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特開2023-147545ハーネス外装部材、及び、外装部材付ワイヤーハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147545
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ハーネス外装部材、及び、外装部材付ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231005BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055106
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 美咲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 歩
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5G309AA10
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD14
(57)【要約】
【課題】容易にワイヤーハーネスを収容できるとともに、容易に車両に配置できるハーネス外装部材、及び、外装部材付ワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【解決手段】ハーネス90を収容する外装部材10は、シート材によって構成されるとともに、ハーネス90の長手方向Xに沿って、板厚方向に向けた屈曲を促進するスリットSが複数設けられ、スリットSによって屈曲させて、ハーネス90を収容する収容形状を形成できる。このスリットSは、ハーネス90を収容する第1収容形状αを形成する第1スリットS1と、第1収容形状αと異なる第2収容形状βを形成する第2スリットS2とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを収容するハーネス外装部材であって、
樹脂製シート材によって構成されるとともに、
前記ワイヤーハーネスの長手方向に沿って、板厚方向に向けた屈曲を促進する屈曲促進部が複数設けられ、
前記屈曲促進部によって屈曲させて、前記ワイヤーハーネスを収容する収容形状を形成し、
前記屈曲促進部は、
前記ワイヤーハーネスを収容する第1収容形状を形成する第1屈曲促進部と、
前記第1収容形状と異なる第2収容形状を形成する第2屈曲促進部とを有する
ハーネス外装部材。
【請求項2】
前記屈曲促進部は、前記板厚方向に向けて窪ませた凹状のスリットで形成された
請求項1に記載のハーネス外装部材。
【請求項3】
前記屈曲促進部は、
前記樹脂製シート材の表面側と裏面側の双方に設けられた
請求項1又は請求項2に記載のハーネス外装部材。
【請求項4】
前記収容形状の変形を規制する変形規制部を有する
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のハーネス外装部材。
【請求項5】
前記第1収容形状及び前記第2収容形状の少なくとも一方は、前記長手方向から視て、内部に前記ワイヤーハーネスを挿通させる挿通空間を有する筒形状に形成され、
前記変形規制部は、前記挿通空間に配置されるとともに、前記筒形状において向き合う面同士を支持する
請求項4に記載のハーネス外装部材。
【請求項6】
前記変形規制部は、
前記長手方向の外側に向けて突出する突片で構成され、
前記突片は、前記収容形状において、少なくとも先端が前記挿通空間に挿入されるように、前記挿通空間に向けて折り曲げる折曲部を備えた
請求項5に記載のハーネス外装部材。
【請求項7】
前記変形規制部は、
前記ハーネス外装部材と別体で構成され、前記収容形状において嵌合する嵌合部材で構成された
請求項4に記載のハーネス外装部材。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載のハーネス外装部材と、
車両に配索されるワイヤーハーネスとで構成され、
前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部が、前記収容形状に形成された前記ハーネス外装部材の内部に収容される
外装部材付ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両に配索されるワイヤーハーネスを収容するハーネス外装部材、及び、前記ハーネス外装部材にワイヤーハーネスを収容させた外装部材付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の操作性や快適性を向上させるために搭載されている電気機器類は、ワイヤーハーネスを介してバッテリーなどと電気的に接続されており、信号の送受信や電力の供給などが行われている。このように電気機器類に接続するワイヤーハーネスを保護するものとして、従来より、可撓性を有さない樹脂成型の外装部材であって、ワイヤーハーネスの保護機能及び経路規制機能を有するプロテクタが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているプロテクタは、ワイヤーハーネスを収容するベースと、ベースの開口を蓋う三つのカバーとで一体構成されている。ベースは、一端側に比べて他端側がワイヤーハーネスの組み付け方向に窪んだ形状で構成され、カバーはベースにおける両端と中央部分に配置されている。
【0004】
中央部分のカバーは、一端側のカバーに対して回動可能に構成されているため、ベースにワイヤーハーネスを収容して、両端部分のカバーを固定した後に、連続して中央部分のカバーでベースの開口を蓋うことができる。そして、このようにワイヤーハーネスの一部分を収容したプロテクタを車両本体に配置することで、ワイヤーハーネスを車両本体に配索できるとされている。
【0005】
近年、車両に搭載される電気機器類の増加に伴い、電気機器類同士を電気的に接続するワイヤーハーネスが増加している。一方で、車両における居住空間の広大化が望まれており、車両におけるワイヤーハーネスの配索空間は狭隘化している。このため、上述のような、車両における配索空間に適した形状としたプロテクタでは、ワイヤーハーネスを収容するのが困難となり、ワイヤーハーネスの収容しやすい形状としたプロテクタでは、車両における配索空間に配置するのが困難となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-80385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、容易にワイヤーハーネスを収容できるとともに、容易に車両に配置できるハーネス外装部材、及び、外装部材付ワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ワイヤーハーネスを収容するハーネス外装部材であって、樹脂製シート材によって構成されるとともに、前記ワイヤーハーネスの長手方向に沿って、板厚方向に向けた屈曲を促進する屈曲促進部が複数設けられ、前記屈曲促進部によって屈曲させて、前記ワイヤーハーネスを収容する収容形状を形成し、前記屈曲促進部は、前記ワイヤーハーネスを収容する第1収容形状を形成する第1屈曲促進部と、前記第1収容形状と異なる第2収容形状を形成する第2屈曲促進部とを有することを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、上述のハーネス外装部材と、車両に配索されるワイヤーハーネスとで構成され、前記ワイヤーハーネスの少なくとも一部が、前記収容形状に形成された前記ハーネス外装部材の内部に収容される外装部材付ワイヤーハーネスである。
【0010】
前記樹脂製シート材は、折り曲げが可能であれば、特に限定されず、熱可塑性樹脂製シート材及び熱硬化性樹脂製シート材のいずれも含まれる。また、前記樹脂製シート材として、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された合成樹脂発泡シート材であることが好ましい。これにより、可撓性及び緩衝性に優れた前記ハーネス外装部材とすることができ、装着性や加工性をより向上することができる。
【0011】
前記屈曲促進部は、樹脂製シート材で構成されたハーネス外装部材の折り曲げを促進するように構成された場合や、樹脂製シート材で構成されたハーネス外装部材の湾曲を促進するように構成された場合を含む。
また、前記屈曲促進部は、前記長手方向に対して平行となるように設けられている場合のみならず、前記長手方向に対して傾斜するように設けられている場合、前記長手方向に沿って湾曲している場合を含む。
【0012】
前記第1屈曲促進部と前記第2屈曲促進部は、全く異なる屈曲促進部である場合のみならず、一部が共通する場合も含む。すなわち、前記ハーネス外装部材は、前記第1収容形状の一部分を変形することにより、前記第2収容形状を形成する構成を含む。
【0013】
この発明により、容易にワイヤーハーネスを収容できるとともに、容易に車両に配置できる。
詳述すると、樹脂製シート材で構成されたハーネス外装部材には、複数の屈曲促進部が長手方向に沿って設けられている。このため、例えば、ワイヤーハーネスをハーネス外装部材に収容する際に、ハーネス外装部材を第1屈曲促進部で屈曲することで、ハーネス外装部材をワイヤーハーネスが収容しやすい第1収容形状とすることができ、ワイヤーハーネスを収容する収容作業を向上させることができる。
【0014】
また、ワイヤーハーネスを収容した後に車両にワイヤーハーネスを配索する際には、ハーネス外装部材を第2屈曲促進部で屈曲することで、第1収容形状から配索空間に適した第2収容形状に変形させることができる。これにより、配索空間に合わせてワイヤーハーネスを容易に車両に配置できる。
【0015】
このように、長手方向に沿って複数の屈曲促進部が設けられているため、ワイヤーハーネスを内部に収容しやすい収容形状から、車両空間への配置に適した収容形状に変形することができる。このため、容易にワイヤーハーネスを収容できるとともに、容易に車両に配置できる。したがって、ワイヤーハーネスの収容作業及びワイヤーハーネスの配索作業の作業効率を向上させることができる。
【0016】
また、屈曲促進部を複数設けることにより、第1収容形状及び第2収容形状の他、車両に配置するまでの間に、例えば、外装部材付ワイヤーハーネスの運搬に適した形状などに適宜変形することもできる。
【0017】
この発明の態様として、前記屈曲促進部は、前記板厚方向に向けて窪ませた凹状のスリットで形成されてもよい。
この発明により、簡易な構造で屈曲促進部を形成できるため、ハーネス外装部材の生産性を向上させることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記屈曲促進部は、前記樹脂製シート材の表面側と裏面側の双方に設けられてもよい。
前記屈曲促進部は、前記樹脂製シート材の表面側と裏面側における同一又は異なる箇所に配置されている場合を含む。
【0019】
この発明によると、ハーネス外装部材の表面及び裏面の双方に対して、ハーネス外装部材を屈曲させることができる。すなわち、設計の自由度が向上し、ハーネス外装部材を様々な収容形状に形成できる。したがって、ハーネス外装部材を配置する配索空間に適した形状やワイヤーハーネスを収容しやすい形状に変形できるため、様々な規格の車両や状況に応じてハーネス外装部材を用いることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記収容形状の変形を規制する変形規制部を有してもよい。
前記変形規制部は、前記樹脂製シート材で構成された前記ハーネス外装部材の一部で構成する場合の他、前記ハーネス外装部材と別体で構成される場合を含む。
【0021】
この発明により、ワイヤーハーネスの収容する際や外装部材付ワイヤーハーネスを配索する際に、収容形状が変形することを防止できるため、ワイヤーハーネスの収容作業や配索作業を効率よく行うことができる。また、例えば、車両に配置された状態において、振動などの外力により収容形状が意図しない形状に変形することを防止できる。したがって、意図せずに収容形状が変形することによる、外部に搭載された他部材とハーネス外装部材との干渉を防止できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記第1収容形状及び前記第2収容形状の少なくとも一方は、前記長手方向から視て、内部に前記ワイヤーハーネスを挿通させる挿通空間を有する筒形状に形成され、前記変形規制部は、前記挿通空間に配置されるとともに、前記筒形状において向き合う面同士を支持してもよい。
【0023】
この発明により、筒形状に形成されたハーネス外装部材において向き合う面同士を変形規制部で支持するといった簡易な構造で、ワイヤーハーネスを挿通するハーネス外装部材の筒形状を維持できる。すなわち、簡易な構造で意図しない収容形状の変形を防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記変形規制部は、前記長手方向の外側に向けて突出する突片で構成され、前記突片は、前記収容形状において、少なくとも先端が前記挿通空間に挿入されるように、前記挿通空間に向けて折り曲げる折曲部が備えられてもよい。
【0025】
この発明によると、変形規制部は樹脂製シート材の一部を長手方向に突出させた突片を、折曲部で挿通空間に向けて折り曲げ、挿通空間の内部に挿入するだけで、筒形状において向き合う面同士を支持することができる。したがって、簡易な構造で、筒形状に形成された収容形状の意図しない変形を防止できる。
【0026】
また、収容形状において、強度が低下する開口部分の剛性を向上させることができるため、外力による収容形状の変形をより確実に防止できる。
さらにまた、変形規制部は樹脂製シート材と一体構成されているため、部品点数を削減することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記変形規制部は、前記ハーネス外装部材と別体で構成され、前記収容形状において嵌合する嵌合部材で構成されてもよい。
前記嵌合部材は、前記収容形状に対して嵌合することで、前記収容形状の変形を規制できればその構成について限定はない。例えば、前記収容形状が矩形状の筒形状に形成された状態において、向き合う面を支持するように嵌合することで前記収容形状の変形を規制する構成や、長手方向に沿った開口が形成された収容形状において開口に嵌合することで前記収容形状の変形を規制する構成を含む。
【0028】
この発明により、嵌合部材で構成された変形規制部にて意図しない外力の作用により収容形状が変形することを防止でき、確実に収容形状を維持できる。また、嵌合部材を開口に嵌合することにより、収容形状の剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
この発明により、容易にワイヤーハーネスを収容できるとともに、車両に配置できるハーネス外装部材、及び、外装部材付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】ハーネス外装部材の概略斜視図。
図2】ハーネス外装部材の概略端面図。
図3】スリットの断面形状を示す概略断面図。
図4】他の第1収容形状に変形させたハーネス外装部材の概略斜視図。
図5】他の第1収容形状に変形させたハーネス外装部材の概略端面図。
図6】実施例2におけるハーネス外装部材の概略斜視図。
図7】実施例2におけるハーネス外装部材の概略断面図。
図8】実施例3におけるハーネス外装部材の概略斜視図。
図9】展開した状態の実施例4におけるハーネス外装部材の概略斜視図。
図10】実施例4におけるハーネス外装部材の概略斜視図。
図11】実施例5におけるハーネス外装部材の説明図。
図12】実施例6におけるハーネス外装部材の説明図。
図13】実施例7におけるハーネス外装部材の概略断面図。
図14】実施例8におけるハーネス外装部材の概略斜視図。
図15】実施例8におけるハーネス外装部材の概略斜視図。
図16】第2スリットが長手方向に対して傾斜したハーネス外装部材の概略斜視図。
図17】第2スリットが長手方向に沿って湾曲したハーネス外装部材の概略斜視図。
図18】展開状態において幅方向の沿った貫通孔を有するハーネス外装部材の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明は、例えば、車両に搭載される電装機器類を電気的に接続するハーネス90を収容して保護する外装部材10及び、外装部材10にハーネス90の一部を収容した外装付ハーネス1である。以下において、この発明の一実施例を図1乃至図5に基づき説明する。
【実施例0032】
図1乃至図5は外装部材10、及び、外装付ハーネス1を示す。詳述すると、図1(a)は外装部材10の展開概略斜視図を示し、図1(b)は第1収容形状αに形成された外装部材10にハーネス90を収容した外装付ハーネス1の概略斜視図を示し、図1(c)は第2収容形状βに形成された外装部材10にハーネス90を収容した外装付ハーネス1の概略斜視図を示す。また、図2(a)は図1(a)に対応する展開状態における外装部材10の中央部分の概略端面図を示し、図2(b)は図1(b)に対応する概略端面図を示し、図2(c)は図1(c)に対応する概略端面図を示す。なお、図2(b)及び図2(c)は、図2(a)と同じ位置の端面を示す。
【0033】
図3はスリットSを例示する概略拡大断面図を示す。なお、図3は展開した状態の外装本体20を幅方向Yに沿って切断した切断面を長手方向Xから視た断面の拡大概略断面図を示す。図4は他の第1収容形状αの概略斜視図を示し、図5図4に対応する第1収容形状αの概略端面図を示す。
なお、図中において、ワイヤーハーネス90に沿った方向を長手方向Xとし長手方向Xに対して直交する方向を幅方向Yとし、長手方向X及び幅方向Yに対して直交する方向を上下方向Zとする。
【0034】
外装付ハーネス1は、外装部材10と、外装部材10に一部を収容したワイヤーハーネス90(以後、ハーネス90とする。)とで構成されている。
ハーネス90は、内部の導体を絶縁被膜で囲繞した被覆電線を複数束ねたもので、信号送受信や電力供給に用いられる。
【0035】
外装部材10は、図1及び図2に示すように、所定の剛性を有する樹脂製シート材(以下、単にシート材と略記する。)によって構成された外装本体20を所定の箇所で屈曲させて構成されている。
外装本体20を構成するシート材は、発泡状又は多孔質形状に成型された合成樹脂発泡体で構成された熱可塑性樹脂発泡シートであり、所定の剛性を有し、かつ、可撓性や弾性、熱可塑性を有する。また、シート状に構成されているため、加工性に優れている。さらにまた、外装本体20と同一形状の成型樹脂品(例えば、ポリプロピレン製)などと比べて軽量である。
【0036】
シート材を構成する樹脂発泡シートの密度は、特に限定されないが、例えば、機械的特性の異方性を防止、すなわち、機械的特性を等方化して、外装部材10の設計の自由度を向上させ、また、外装部材10に外装されたハーネス90への応力に対する強度をより向上させる点から、200Kg/m以上1000Kg/m以下が好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300Kg/m以上600Kg/m以下がより好ましく、350Kg/m以上550Kg/m以下が特に好ましい。
【0037】
また、シート材の厚さは、特に限定されないが、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度、特に、外装部材10に外装されたハーネス90への応力に対する機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下が特に好ましい。また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に、非発泡層が形成されていてもよい。
【0038】
すなわち、シート材(熱可塑性樹脂発泡シート)は、発泡層と発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、外装部材10の機械的強度が向上して、外装されるハーネス90の保護性能がより向上する。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0039】
また、シート材の発泡層の気泡数密度は、特に限定されず、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、800個/mm以上が好ましく、1000個/mm以上が特に好ましい。一方で、上述の気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度をより確実に得る点から、例えば、1010個/mm以下を挙げることができる。
【0040】
このようなシート材で構成された外装本体20は、図1(a)及び図2(a)に示すように、展開した状態において、所定の板厚を有する平面視で略方形状のシート状に形成されている。ここで、図1(a)及び図2(a)に示すように、外装部材10に対してハーネス90を収容した際の、ハーネス90と対向する側の面を表面21とし、反対側の面を裏面22としている。
【0041】
展開した外装本体20における幅方向Yの一端には、図1及び図2に示すように、係合凸部23が形成されており、この係合凸部23と対応する位置の外装本体20の他端には、係合凸部23と係合する係合凹部24が形成されている。
【0042】
なお、外装本体20の一端に係合凸部23を、他端に係合凹部24をそれぞれ形成する構造に代えて、外装本体20の一端に係合凹部24を、他端に係合凸部23をそれぞれ形成する構造を採用してもよい。また、外装本体20の一端に係合凸部23と係合凹部24とを長手方向Xの先端側から順に配置し、外装本体20の他端に係合凹部24と係合凸部23とを、一端に配置された係合凸部23と係合凹部24と対向するように長手方向Xの先端側から順に配置してもよい。
【0043】
外装本体20の裏面22には、図2に示すように、ハーネス90の長手方向Xに沿って、板厚方向に向けた折り曲げを促進する複数のスリットSが設けられている。なお、外装本体20を展開した展開状態において、幅方向Yの一端側から他端側にかけて形成されているスリットSを、それぞれスリットSa~Smとする(図2(a)参照)。
【0044】
スリットSは、図3(a)に示すように、裏面22を板厚方向に向けて断面V字状に窪ませた凹状に形成されているが、スリットSはこの形状に限定されず、図3(b)に示すようにU字状であってもよい。また、図3(c)に示すように、スリットSは、表面21側と裏面22側との双方に設けられてもよい。
【0045】
表面21側と裏面22側との双方にスリットSが設けられている場合、図3(c)に示すように、外装本体20における表面21側に位置するスリットSと、裏面22側に位置するスリットSとは、幅方向Yにオフセットした位置に設けられていることが好ましい。さらにまた、スリットSは、図3(a)乃至図3(c)に示す溝形状のスリットSに代えて、板厚方向に延びる線分状の切れ目であってもよい。
【0046】
複数のスリットS(スリットSa~Sm)は、長手方向Xに沿って互いに平行かつ隣接するスリット間に等間隔を隔てて設けられているが、必ずしも等間隔である必要はなく、スリット間の間隔は不等間隔であってもよい。
【0047】
このように複数のスリットSが設けられた外装本体20は、図1(b)、図1(c)、図2(b)及び図2(c)に示すように、後述する特定のスリットSを介して折り曲げることで、ハーネス90を収容する第1収容形状α又は第2収容形状βを形成することができる。
【0048】
すなわち、スリットS(スリットSa~Sm)は、ハーネス90を収容する第1収容形状α(図1(b)及び図2(b)参照)を形成する第1屈曲促進部としての第1スリットS1と、第1収容形状αとは異なる形状の第2収容形状β(図1(c)及び図2(c)参照)を形成する第2屈曲促進部としての第2スリットS2を有する。
【0049】
具体的には、図2(a)及び図2(b)に示すように、第1スリットS1は、外装本体20の一端から3番目のスリットScと、外装本体20の一端から11番目のスリットSk(換言すれば、外装本体20の他端から3番目のスリットSk)である。
【0050】
そして、図1(a)及び図2(a)に示す展開状態の外装本体20において、第1スリットS1を介して一端と一方の第1スリットS1(スリットSc)との間、並びに、他端と他方の第1スリットS1(スリットSk)との間を起立させる。これにより、図1(b)及び図2(b)に示すように、外装本体20aを、長手方向Xから見て上方が広く開放された凹状の第1収容形状αに形成された外装部材10とすることができる。このように第1収容形状αに形成された外装部材10は、上方が広く開放された凹状であるため、ハーネス90を容易に収容できる。
【0051】
このように第1収容形状αに形成された外装部材10において、一端と一方の第1スリットS1(スリットSc)との間のエリアは第1収容形状αにおける側壁の一方である第1収容側壁31となり、他端と他方の第1スリットS1(スリットSk)との間のエリアは第1収容形状αにおける側壁の他方である第1収容側壁31となり、一方の第1スリットS1(スリットSc)と他方の第1スリットS1(スリットSk)との間のエリアは第1収容形状αにおける底壁である第1収容底壁32となる。
【0052】
一方で、第2スリットS2は、図2(a)及び図2(c)に示すように、外装本体20の一端から1番目、7番目、8番目の各スリットSa,Sg,Shである。
図1(b)及び図2(b)に示す第1収容形状αに形成された外装部材10に対してハーネス90を収容した後に、第2スリットS2を折り曲げるとともに、係合凸部23と係合凹部24とを凹凸嵌合させることで、図1(c)及び図2(c)に示すように、外装部材10を長手方向Xから見て角筒形状の、車両における配索空間に適した形状である第2収容形状βに変形できる。
【0053】
このように第2収容形状βに形成された外装部材10において、一端と一方の第2スリットS2(スリットSa)との間のエリアは第2収容形状βにおける側壁の一方である第2収容側壁41となり、隣接する2つの第2スリットS2(スリットSg,Sh)間のエリアは第2収容形状βにおける側壁の一方である第2収容側壁41となり、一方の第2スリットS2(スリットSa)と他方の第2スリットS2(スリットSg)との間のエリアは第2収容形状βにおける底壁である第2収容底壁42となり、他端と他方の第2スリットS2(スリットSh)との間のエリアは第2収容形状βにおける蓋である第2収容上壁43となる。
【0054】
このように、外装本体20で構成された外装部材10は、長手方向Xに沿った複数のスリットSを設けることにより、ハーネス90を外装本体20に収容する際に、外装本体20を第1スリットS1で折り曲げ、外装本体20をハーネス90が収容しやすい第1収容形状αとすることができる。これにより、ハーネス90を収容する収容作業を向上させることができる。
【0055】
また、ハーネス90を収容した後に、車両にハーネス90を配索する際には、外装本体20を第2スリットS2で折り曲げることで、第1収容形状αから配索空間に適した第2収容形状βに変形させることができる。これにより、配索空間に合わせてハーネス90を容易に車両に配置できる。
【0056】
このように、長手方向Xに沿って複数のスリットSが設けられているため、ハーネス90を内部に収容しやすい第1収容形状αから、車両空間への配置に適した第2収容形状βに変形させることができる。これにより、容易にハーネス90を収容できるとともに、容易に車両に配置できる。したがって、ハーネス90の収容作業及びハーネス90の配索作業の作業効率を向上させることができる。
【0057】
また、スリットSを複数設けることにより、図4及び図5に示すように、ハーネス90を収容する第1収容形状αを異なる形状とすることができる。
例えば、外装本体20の一端から5番目のスリットSeと、外装本体20の一端から9番目のスリットSi(換言すれば、外装本体20の他端から5番目のスリットSi)を第1スリットS1として、一端とスリットSeとの間、並びに、他端とスリットSiを起立させる。これにより、図4及び図5に示すように、外装本体20を、長手方向Xから見て凹状で、上方が開放されて、さらには、ハーネス90をする際に、ハーネス90が第1収容側壁31からこぼれ落ちないように第1収容側壁31を高くした、他の第1収容形状αに形成された外装部材10とすることができる。
【0058】
そして、他の第1収容形状αの外装本体20に対してハーネス90を収容した後に、第2スリットS2を折り曲げるとともに、係合凸部23と係合凹部24とを凹凸嵌合させることで、外装部材10を第2収容形状βに変形できる(図1(c)及び図2(c)参照)。なお、他の第2スリットS2で折り曲げることで、第2収容形状βを異なる形状に形成することもできる。
【0059】
また、図3(c)で示したように、屈曲促進部であるスリットSを、シート材の表面21側と裏面22側との双方に設けると、例えば、図2(b)に仮想線vで示すように、第1収容形状αにおいて、一端とスリットSaとの間のシート材のエリアと、他端とスリットSmとの間のシート材のエリアとを外方に折り曲げることができる。これにより、第1収容形状αに対するハーネス90を収容がさらに容易となる。
【0060】
このようにスリットSを外装本体20の表裏両面に設けると、外装本体20の表面21及び裏面22の双方に対して、外装本体20を折り曲げることができる。すなわち、設計の自由度が向上し、外装本体20を様々な収容形状に形成でき、ハーネス90を収容しやすい形状や外装部材10を配置する配索空間に適した形状に変形できる。したがって、様々な規格の車両に応じて外装部材10を用いることができる。
【0061】
上述の外装部材10では、第2スリットS2を介して外装本体20を折り曲げることで、第2収容上壁43を形成しているが、必ずしも外装本体20で第2収容上壁43などを形成する必要はなく、別部材を用いて第2収容上壁43を形成してもよい。以下、別部材である蓋部材50を外装本体20に組み付けた、外装部材10の他の実施形態(実施例2)である外装部材10aについて、図6及び図7に基づいて簡単に説明する。
なお、外装部材10aにおいて、上述の実施例1と同様の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例0062】
図6及び図7は外装部材10a及び外装部材10aにハーネス90を収容した外装付ハーネス1aを示す。詳述すると、図6(a)は第1収容形状αaに形成された外装部材10aにハーネス90を収容した外装付ハーネス1aの概略斜視図を示し、図6(b)は第2収容形状βaに形成された外装部材10aにハーネス90を収容した外装付ハーネス1aの概略斜視図を示す。また、図7(a)は図6(a)における嵌合孔25に対応する位置の概略断面図を示し、図7(b)は図6(b)における嵌合孔25に対応する位置の概略断面図を示す。
【0063】
外装部材10aは、シート材で構成された外装本体20aと、外装本体20aとは別体で構成された蓋部材50とで構成されている。
蓋部材50は、図6及び図7に示すように、幅方向Yの中央に長手方向Xの全長にわたって延びる蓋側スリット51を有するとともに、幅方向Yの両端には嵌合突部52を備えている。
【0064】
外装本体20aは、上述の外装本体20と略同じ構成をしており、係合凸部23及び係合凹部24の代わりに、第2収容形状βaにおいて、嵌合突部52と対応する位置に、嵌合突部52を挿入して嵌合する嵌合孔25が貫通形成されている。
【0065】
この外装部材10aを構成する外装本体20aの裏面22には、ハーネス90の長手方向Xに沿って複数のスリットSが幅方向Yに互いに離間して設けられている。そして、図6及び図7に示すように、外装本体20aは、特定のスリットS(第1スリットS1及び第2スリットS2)を介して折り曲げることで、ハーネス90を収容する第1収容形状αa及び第2収容形状βaに形成された外装部材10aとすることができる。
【0066】
より詳しくは、第1スリットS1を折り曲げて一端側と他端側とを起立させることで、図6(a)及び図7(a)に示すように、外装本体20aを上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αaに形成された外装部材10aとすることができ、ハーネス90を容易に収容することができる。
【0067】
そして、ハーネス90の収容後において、外装本体20aの一端側及び他端側の嵌合孔25に蓋部材50の嵌合突部52を挿入する。この場合、蓋部材50は、蓋側スリット51が外装本体20aと離間する方向に折り曲がった、長手方向Xから見て逆V字状に変形される(図7(a)参照)。これにより、第1収容形状αに形成された外装部材10aにハーネス90を収容した外装付ハーネス1aとすることができる。
【0068】
そして、図7(a)に示す第1収容形状αに形成された外装部材10aにおいて、蓋部材50を略フラット形状になるように下方へ押圧することで、図7(b)に示すように、蓋部材50を嵌合させた外装本体20aが一対の第2スリットS2を介して折り曲げられる。これにより、長手方向Xから見て角筒形状の第2収容形状βaに外装部材10aを変形できる。ここで、略フラット形状の蓋部材50は第2収容上壁43として機能することとなる。このように構成された外装部材10aは、外装部材10と同様の効果を奏する。
【0069】
また、上述の外装部材10及び外装部材10aは、長手方向Xに沿って多数設けられたスリットSを第1スリットS1及び第2スリットS2として機能させることにより、例えば第1収容形状αから第2収容形状βに変形させることができる。このような外装部材10及び外装部材10aに対して、第1収容形状αや第2収容形状βからの意図しない変形を防止する変形規制部を備えてもよい。以下、変形規制部を備えた実施形態(実施例3乃至実施例7)について図8乃至図13に基づき説明する。
なお、図8乃至図13に示す実施形態おいて、外装部材10と同様の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例0070】
図8は変形規制部として突片61を備えた外装部材10bを示す。詳述すると、図8(a)は第1収容形状αbに形成された外装部材10bの概略斜視図を示し、図8(b)は第2収容形状βbに形成された外装部材10bの概略斜視図を示す。
【0071】
外装部材10bは、上述の外装部材10と同じく、シート材で構成された外装本体20bを折り曲げて構成されている。
外装本体20bは、図8(a)に示すように、裏面22に複数のスリットSが幅方向Yに互いに離間して設けられ、特定のスリットS(第1スリットS1及び第2スリットS2)を折り曲げることで第1収容形状αb及び第2収容形状βbを形成することができる。
【0072】
ここでは、第1スリットS1を、図8(a)に示すように、外装本体20の一端から5番目のスリットSと、外装本体20の一端から9番目のスリットS(換言すれば、外装本体20の他端から5番目のスリットS)とし、第2スリットS2を、外装本体20の一端から1番目、7番目及び8番目のスリットSとする。
【0073】
そして、この外装本体20bは、図8(a)に示すように、一端と1番目のスリットS(第2スリットS2)との間、並びに、7番目及び8番目のスリットS(第2スリットS2)との間から長手方向Xの外側に向けて突出する突片61を備えている。つまり、これらの突片61は外装本体20bの一部を長手方向Xに突出して形成したものである。
【0074】
また、突片61と外装本体20との境界部分には、裏面22側から板厚方向に向けて窪ませた折曲スリット部611を備えている。このように折曲スリット部611を備えることにより、図8(a)に示すように、突片61は表面21に向けて折り曲げることができる。
【0075】
このように構成された外装本体20bは、第1スリットS1を折り曲げて、外装本体20bの一端側及び他端側を起立させることで、図8(a)に示すように、上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αbに形成された外装部材10bとすることができる。
【0076】
そして、第1収容形状αbに形成された外装部材10bにおいて、それぞれの突片61を、図8に矢印で示すように、折曲スリット部611を介して第1収容形状αbの内側に折り曲げた後、上方の開口からハーネス90を収容する。
【0077】
そして、第2スリットS2で折り曲げるとともに、係合凸部23と係合凹部24とを凹凸嵌合させることで、図8(b)に示すように、外装部材10bを長手方向Xから見て角筒形状の第2収容形状βbに変形できる。
【0078】
このように第2収容形状βbに形成された外装部材10bは、第1収容形状αから視て角筒形状に形成され、内部にはハーネス90を挿通させる挿通空間が形成される。そして、挿通空間に挿入された突片61が、角筒形状において対向する面同士、すなわち、第2収容底壁42と第2収容上壁43とを支持することとなる。
【0079】
このように外装本体20bの一部を長手方向Xに突出させた突片61は、折曲スリット部611で挿通空間に向けて折り曲げられて挿通空間の内部に挿入されることで、角筒形状において向き合う面同士を支持できる。したがって、外装部材10bは外装部材10と同様の効果を奏するとともに、簡易な構造で、角筒形状に形成された外装部材10bの意図しない変形を防止することができる。
【0080】
次に、変形規制部として外装本体20の幅方向Y全体から長手方向Xに突出させた突出部62を備えた外装部材10cについて、図9及び図10に基づき簡単に説明する。
【実施例0081】
図9及び図10は突出部62を備えた外装部材10cを示す。詳述すると、図9は展開した状態の外装本体20cの概略斜視図を示し、図10(a)は第1収容形状αcに形成された外装部材10cの概略斜視図を示し、図10(b)は第2収容形状βcに形成された外装部材10cの概略斜視図を示す。
【0082】
外装部材10cは、外装部材10bと同様に、シート材で構成された外装本体20cを折り曲げて構成されている。外装本体20cは、図9に示すように、裏面22に、ハーネス90の長手方向Xに沿って複数のスリットSが設けられ、特定のスリットS(第1スリットS1及び第2スリットS2)を折り曲げることでハーネス90を収容する第1収容形状αc及び第2収容形状βcを形成することができる。
【0083】
ここでは、第1スリットS1を、図10(a)に示すように、外装本体20の一端から3番目のスリットSと、外装本体20の一端から7番目のスリットS(換言すれば、外装本体20の他端から3番目のスリットS)とし、第2スリットS2を、外装本体20の一端から1番目、5番目及び6番目のスリットSとする。
【0084】
外装本体20cは、図9に示すように、幅方向Yの一端から他端までの間を長手方向Xに沿って突出する突出部62が設けられている。この突出部62には、スリットSから長手方向Xに延長する延長スリットDが設けられている。延長スリットDは、容易に切断することができるように構成されているため、突出部62を幅方向Yに分離できる。
【0085】
また、突出部62と外装本体20と境界部分には、幅方向Yの一端から他端までの間に第1折曲部621と、第2折曲部622が設けられている。
第1折曲部621は、裏面22側を板厚方向に向けて窪ませて形成されており、表面21側に向けて突出部62を折り曲げることができるように構成されている。
【0086】
一方で、第2折曲部622は、第1折曲部621よりも突出部62が突出している側において、表面21側を板厚方向に向けて窪ませて形成されており、裏面22側に向けて突出部62を折り曲げることができるように構成されている。
【0087】
このように構成された外装本体20cは、第1スリットS1を折り曲げて、外装本体20cの一端側及び他端側を起立させることで、図10(a)に示すように、上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αcに形成された外装部材10cとすることができる。
【0088】
次に、外装本体20の第1収容形状αcにおいて、第2スリットS2から延長する延長スリットDを切断する。ここで、一端側の第2スリットS2と一端との間の第1内折突片62aと、他の第2スリットS2との間の第2内折突片62bとする。
【0089】
そして、図10(a)に矢印で示すように、第1折曲部621を介してそれぞれの第1内折突片62a及び第2内折突片62bを第1収容形状αcの内側に折り曲げた後に、内部にハーネス90を収容する。
【0090】
そして、第2スリットS2で折り曲げるとともに、係合凸部23と係合凹部24とを凹凸嵌合させることで、図10(b)に示すように、外装部材10cを長手方向Xから見て角筒形状の第2収容形状βcに変形できる。
【0091】
このように第1内折突片62a及び第2内折突片62bが挿通空間内に挿入された外装部材10cは、角筒形状において対向する面同士、すなわち、第2収容底壁42と第2収容上壁43とを第1内折突片62a及び第2内折突片62bとで支持することができる。したがって、外装本体20cが第2収容形状βcから意図せずに変形することを防止できる。すなわち、外装部材10bと同様の効果を奏することができる。
【0092】
また、第2収容形状βcにおいて、第1内折突片62aと第2内折突片62bとの間の突出部62(第1外折突片62c)と、第2内折突片62bと幅方向Yの他端と間の突出部62(第2外折突片62d)を、第2折曲部622を介して第2収容形状βcにおける角筒形状の外側に折り曲げることで、開口をさらに補強することができる。
なお、第1外折突片62c及び第2外折突片62dは、第2収容形状βcにおける角筒形状の外側に折り曲げずに、切り取ってもよいし、そのままに長手方向Xに延出した状態としてもよい。
【0093】
外装部材10b及び外装部材10cは、外装本体20と一体に構成された突片61及び突出部62(第1内折突片62a及び第2内折突片62b)を折り曲げて挿通空間に挿入し、第2収容底壁42と第2収容上壁43とを支持することで、第2収容形状βb及び第2収容形状βcの形状を維持しているが、例えば、第2収容形状βの形状を維持するために、外装本体20と別部材の変形規制部材70を備えてもよい。
以下、図11乃至図13に基づき、別部材の変形規制部材70を備えた実施形態(実施例5乃至実施例7)について、図11乃至図13に基づき説明する。
【実施例0094】
図11は第2収容形状βに形成された外装本体20に対して変形規制片71を挿入した外装部材10dを示す。図11(a)は外装部材10dにハーネス90を収容した外装付ハーネス1dの概略斜視図を示し、図11(b)は外装付ハーネス1dにおける長手方向Xの先端部分の概略断面図を示す。
【0095】
変形規制部材70として機能する変形規制片71は、外装本体20と同じくシート材で構成されており、外装本体20と略同じ板厚を有する、長手方向Xに長い短冊形状に形成されている。この変形規制片71は、長手方向Xに沿って外装本体20の長手方向Xの全長に相当する長さを有し、幅方向Yの一端と隣接するスリットSと一端との間隔と等しい長さを有する。すなわち、変形規制片71の幅は、第2収容形状βに形成された外装本体20における第2収容底壁42と第2収容上壁43との間隔と等しい。
なお、変形規制片71の長手方向Xの長さ及び板厚は、適宜設定を変更してもよい。
【0096】
このように構成された変形規制片71は、外装本体20を第2収容形状βに変形させた状態において、一対の第2収容側壁41の内面に沿うように挿通空間に挿入することができる。そして、第2収容形状βに形成された外装本体20の挿通空間に変形規制片71が挿入された外装部材10dでは、変形規制片71が、角筒形状において互いに向き合う第2収容底壁42と第2収容上壁43とを支持している。
【0097】
このように第2収容形状βに形成された外装本体20の挿通空間において、対向する第2収容底壁42と第2収容上壁43を支持するように変形規制片71が挿入された外装部材10dは、外装部材10bと同様の効果を奏する。すなわち、外装部材10dは、角筒形状に形成された外装本体20において向き合う面同士(第2収容底壁42及び第2収容上壁43)を変形規制片71で支持するといった簡易な構造で、ハーネス90を挿通する外装本体20の角筒形状を維持できる。
【0098】
なお、上述の実施例では、挿通空間に挿入した変形規制片71で第2収容底壁42と第2収容上壁43を支持しているが、この形状に限定されない。例えば幅方向Yに沿って対向する一対の第2収容側壁41同士を支持するような構成としてもよい。また、第2収容形状βにおける幅方向Yの両端部分に限らず、幅方向Yの中央部分に変形規制片71を挿入しても構わない。
さらにまた、変形規制片71は、外装本体20と同様にシート材で構成されているが、別部材で構成されていてもよい。
【0099】
次に、変形規制部材70として機能する開口嵌合部材72を、第2収容形状βに形成された外装本体20の開口に嵌合させて第2収容形状βの形状を維持する外装部材10eについて、図12とともに簡単に説明する。
【実施例0100】
図12は第2収容形状βに形成された外装本体20の長手方向Xの一端に開口嵌合部材72を挿入した外装部材10eを示す。詳述すると、図12(a)は外装部材10eの概略斜視図を示し、図12(b)は開口嵌合部材72の概略断面図を示し、図12(c)は開口嵌合部材72が嵌合した部分における外装部材10eの概略断面図を示す。
【0101】
外装部材10eは、外装本体20と、外装本体20と別体で構成され、第2収容形状βに形成された外装本体20に外嵌する開口嵌合部材72とで構成されている。
変形規制部材70として機能する開口嵌合部材72は、図12(a)及び図12(b)に示すように、第2収容形状βに形成された外装本体20における長手方向Xの一端に外嵌する角筒形状の嵌合部材であり、幅方向Yに所定の間隔を隔てた一対の外嵌側壁721、外嵌側壁721と外嵌側壁721との下端及び上端を連結する外嵌底壁722及び外嵌上壁723とで構成されている。
【0102】
また、外嵌側壁721、外嵌底壁722及び外嵌上壁723は、外装本体20の板厚に比べて十分に厚い板厚を有しており、外嵌側壁721、外嵌底壁722及び外嵌上壁723における板厚方向の中央部分には、第2収容形状βに形成された外装部材10と長手方向Xの端部と同形状に形成された矩形状の嵌合溝部724が形成されている。
【0103】
したがって、第2収容形状βに形成された外装本体20に対して開口嵌合部材72を嵌合させた外装部材10eでは、図12(c)に示すように、開口嵌合部材72の内周面が第2収容形状βに形成された外装本体20の内周面よりも内側に配置され、開口嵌合部材72の外周面が第2収容形状βに形成された外装本体20の内周面よりも外側に配置されている。
【0104】
このため、外装部材10eでは、一対の外嵌側壁721が第2収容形状βに形成された外装本体20の第2収容底壁42及び第2収容上壁43を支持するとともに、外嵌底壁722及び外嵌上壁723が第2収容形状βに形成された外装本体20の第2収容側壁41同士を支持している。したがって、外装部材10eでは、第2収容形状βを確実に維持することができる。
【0105】
また、嵌合溝部724に外装本体20の一端が嵌合しているため、第2収容側壁41、第2収容底壁42及び第2収容上壁43の外周面を外嵌側壁721、外嵌底壁722及び外嵌上壁723がそれぞれ保護している。このため、第2収容形状βを確実に維持するとともに、強度が弱くなる外装本体20における開口部分を補強することができる。
【0106】
上述の外装部材10eは、外装本体20の開口に変形規制部材70である開口嵌合部材72を嵌合することで、第2収容形状βに形成された外装本体20の形状を維持しているが、例えば図13に示すように、開口嵌合部材72の代わりに嵌合蓋部73を外装本体20に嵌合させてもよい。
以下、嵌合蓋部73を第2収容形状βfに形成された外装本体20に嵌合した外装部材10fについて、図13に基づき簡単に説明する。
【実施例0107】
図13は第2収容形状βfに形成された外装本体20fに対して嵌合蓋部73を嵌合させた外装部材10fの概略断面図を示す。
【0108】
嵌合蓋部73は、外装本体20の板厚と比べて十分な厚さを有しており、一対の嵌合側壁部731と、図13に示すように、一対の嵌合側壁部731の上端を連結する上壁部732とで断面逆凹状に構成され、第2収容形状βfに形成された外装本体20の長手方向Xの長さと略同等の長さを有する。
【0109】
一対の嵌合側壁部731は、図13に示すように、第2収容形状βfに形成された外装本体20の幅方向Yの長さと略等しい間隔だけ隔てて配置されている。そして、この嵌合側壁部731の板厚方向の中央部分には、外装本体20の板厚と同じ幅を有する嵌合溝733が形成されている。
【0110】
このように構成された嵌合蓋部73は、図13に示すように、図示省略するハーネス90の収容後に、第2スリットS2を折り曲げ、第2収容形状βfに形成された外装本体20における一端及び他端に嵌合溝733を嵌合することができる。これにより、嵌合蓋部73が、第2収容上壁43として機能するとともに、第2収容側壁41及び第2収容底壁42の変形を防止し、外装本体20の第2収容形状βfを維持することができる。
【0111】
さらにまた、外装部材10では、外装本体20を第2スリットS2で折り曲げることで第2収容形状βを形成しているが、例えば第2スリットS2で湾曲させてもよい。以下、第2スリットS2を湾曲させて第2収容形状βgを形成する外装部材10gについて、図14及び図15に基づき簡単に説明する。
【実施例0112】
図14及び図15は外装部材10g及び外装付ハーネス1gを示す。詳述すると、図14(a)は第1収容形状αgに形成された外装部材10gにハーネス90を収容した外装付ハーネス1gの概略斜視図を示し、図14(b)は第2収容形状βgに形成された外装部材10gにハーネス90を収容した外装付ハーネス1gの概略斜視図を示し、図15(a)は図14(a)における貫通孔81に対応する位置の概略断面図を示し、図15(b)は図14(b)における貫通孔81に対応する位置の概略断面図を示す。
【0113】
なお、図14及び図15に示す外装部材10gにおいて、外装部材10と同様の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0114】
外装部材10gは、外装本体20と同様に、シート材で構成された外装本体20gで構成されている。この外装本体20gの裏面22には、ハーネス90の長手方向Xに沿って、板厚方向に向けた屈曲を促進する複数のスリットSが幅方向Yに互いに離間して設けられている。
【0115】
また、外装本体20gの幅方向Yの中央部分には、板厚方向に沿って貫通する貫通孔81が長手方向Xに沿って所定の間隔を隔てて2つ設けられている。この貫通孔81は、幅方向Yに沿って外装本体20の板厚の略2倍の長さを有する。
また、外装本体20gにおける貫通孔81の幅方向Yの両端には、幅方向Yに向けて突出する嵌合突起82が設けられている。
【0116】
このようにシート材で構成された外装本体20gは、第1スリットS1を折り曲げて、外装本体20bの一端側及び他端側を起立させることで、図14(a)及び図15(a)に示すように、上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αgに形成された外装部材10gとすることができる。
【0117】
そして、第1収容形状αgで形成された外装部材10gにハーネス90を収容した後に、第1スリットS1よりも一端側及び他端側との間に設けられた第2スリットS2を幅方向Yの内側に向けて湾曲させアーチ形状に屈曲させるとともに、嵌合突起82を貫通孔81に嵌合する。これにより、第1収容形状αgで形成された外装部材10gを、一対の筒形状が長手方向Xに延び、かつ、車両のワイヤーハーネス配索空間に適した第2収容形状βgに変形させることができる。
【0118】
このように、ハーネス90を収容する外装部材10は、シート材によって構成されるとともに、ハーネス90の長手方向Xに沿って、板厚方向に向けた屈曲を促進するスリットSが複数設けられ、スリットSによって屈曲させて、ハーネス90を収容する収容形状を形成できる。このスリットSは、ハーネス90を収容する第1収容形状αを形成する第1スリットS1と、第1収容形状αと異なる第2収容形状βを形成する第2スリットS2とを有する(特に、図1図2参照)。
【0119】
また、外装付ハーネス1は、上述の外装部材10と、車両に配索されるハーネス90とで構成され、ハーネス90の一部が、第1収容形状α及び第2収容形状βに形成された外装部材10の内部に収容されるものである(図1及び図2参照)。なお、外装付ハーネス1は、ハーネス90の全部を外装部材10に収容する構成としてもよい。
【0120】
このような外装部材10、及び、外装付ハーネス1によれば、第1収容形状αと第2収容形状βに容易かつ自在に変形できることから、容易にハーネス90を収容できるとともに、容易に車両に配置できる。
詳述すると、シート材で構成された外装部材10には、複数のスリットSが長手方向Xに沿って設けられている。このため、ハーネス90を外装部材10に収容する際に、第1スリットS1で屈曲することで、外装部材10をハーネス90が収容しやすい第1収容形状αとすることができ、ハーネス90を収容する収容作業を向上させることができる。
【0121】
また、ハーネス90を収容した後に車両にハーネス90を配索する際には、第2スリットS2で屈曲することで、第1収容形状αから配索空間に適した第2収容形状βに変形させることができる。これにより、配索空間に合わせてハーネス90を容易に車両に配置できる。
【0122】
このように、長手方向Xに沿って複数のスリットSが設けられているため、ハーネス90を内部に収容しやすい第1収容形状αから、車両空間への配置に適した第2収容形状βに変形させることができる。このため、容易にハーネス90を収容できるとともに、容易に車両に配置できる。したがって、ハーネス90の収容作業及びハーネス90の配索作業の作業効率を向上させることができる。
【0123】
また、スリットSを複数設けることにより、第1収容形状α及び第2収容形状βの他、車両に配置するまでの間に、例えば、外装付ハーネス1の運搬に適した形状などに適宜変形することもできる。
【0124】
また、かかる外装部材10において、スリットSは、板厚方向に向けて窪ませた凹状のスリットで形成されている。このため、簡易な構造でスリットSを形成できるため、外装部材10の生産性を向上させることができる。
なお、上述の外装部材10a乃至外装部材10gは、外装部材10と同様に、上述の効果を奏する。
【0125】
また、スリットSが外装本体20の表面21側と裏面22側の双方に設けられている場合には(図3(c)参照)、外装本体20の表面21及び裏面22の双方に対して、外装本体20を屈曲させることができる。これにより、設計の自由度が向上し、外装部材10を様々な収容形状に形成できる。したがって、外装部材10を例えばハーネス90を収容しやすい形状や車両の配索空間に適した形状に変形でき、様々な状況や規格の車両に応じて外装部材10を用いることができる。
【0126】
さらにまた、外装部材10b、外装部材10c、外装部材10d、外装部材10e及び外装部材10fは、第2収容形状β,βb,βc,βf(以下、第2収容形状βxとする。)の変形を規制する突片61、第1内折突片62a、第2内折突片62b、変形規制部材70(変形規制片71、開口嵌合部材72及び嵌合蓋部73)を有している(図7乃至図13参照)。
【0127】
これにより、ハーネス90を配索する際に、第2収容形状βxが変形することを防止できるため、ハーネス90の収容作業を効率よく行うことができる。また、例えば、振動などの外力により、車両に配置された状態において、第2収容形状βxから意図しない形状に変形することを防止できる。したがって、形状が変形することによる、外部に搭載された他部材との干渉を防止できる。
【0128】
加えて、外装部材10b、外装部材10c、外装部材10d及び外装部材10eにおいて、第2収容形状βが長手方向Xから視て、内部にハーネス90を挿通させる挿通空間を有する筒形状に形成され、突片61、第1内折突片62a、第2内折突片62b、変形規制片71、開口嵌合部材72は、挿通空間に少なくとも一部が配置されるとともに、筒形状において向き合う面同士を支持している(図8図10図11及び図12参照)。
【0129】
これにより、筒形状に形成された第2収容形状βxにおいて、互いに向き合う面(第2収容底壁42と第2収容上壁43)を突片61、第1内折突片62a、第2内折突片62b、変形規制片71、開口嵌合部材72で支持するといった簡易な構造で、ハーネス90を挿通する第2収容形状βxを維持できる。すなわち、簡易な構造で意図しない第2収容形状βxの変形を防止できる。
【0130】
また、外装部材10bは、長手方向Xの外側に向けて突出する突片61を有し、突片61は、第2収容形状βbにおいて、少なくとも先端が挿通空間に挿入されるように、挿通空間に向けて折り曲げる折曲スリット部611を備えている(図8参照)。
【0131】
同様に、外装部材10cは、長手方向Xの外側に向けて突出する第1内折突片62a及び第2内折突片62bを有し、第1内折突片62a及び第2内折突片62bは、第2収容形状βcにおいて、少なくとも先端が挿通空間に挿入されるように、挿通空間に向けて折り曲げる第1折曲部621を備えている(図10参照)。
【0132】
このような外装部材10b及び外装部材10cによれば、外装本体20b及び外装本体20cの一部を長手方向Xに突出させた突片61、第1内折突片62a及び第2内折突片62bを、折曲スリット部611及び第1折曲部621でそれぞれ挿通空間に向けて折り曲げ、挿通空間の内部に挿入するだけで、筒形状において向き合う面同士を支持することができる。したがって、簡易な構造で、筒形状である第2収容形状βからの意図しない変形を防止できる。
【0133】
また、第2収容形状βb及び第2収容形状βcにおいて、強度が低下する開口部分の剛性を向上させることができるため、外力による第2収容形状βb及び第2収容形状βcの変形をより確実に防止できる。さらにまた、突片61、第1内折突片62a及び第2内折突片62bは外装本体20bと外装本体20cと一体構成されているため、部品点数を削減することができる。
【0134】
さらに、かかる外装部材10d、外装部材10e及び外装部材10fは、外装本体20と別体で構成され、第2収容形状βにおいて嵌合する変形規制部材70(変形規制片71,開口嵌合部材72、嵌合蓋部73)を備えている(図11乃至図13参照)。このように外装本体20に対して嵌合する変形規制部材70(変形規制片71,開口嵌合部材72、嵌合蓋部73)により、意図しない外力の作用による第2収容形状βが変形することを防止でき、より確実に第2収容形状βを維持できる。
【0135】
この発明の構成と上述の実施例との対応において、
この発明のハーネス外装部材は、外装部材10a乃至外装部材10gに対応し、
以下同様に、
第1収容形状は、第1収容形状α、第1収容形状αa、第1収容形状αb、第1収容形状αc及び第1収容形状αgに対応し、
第2収容形状は、第2収容形状β、第2収容形状βa、第2収容形状βb、第2収容形状βc、第2収容形状βf及び第2収容形状βgに対応し、
樹脂製シート材の表面は、表面21に対応し、
樹脂製シート材の裏面は、裏面22に対応し、
変形規制部は、突片61、第1内折突片62a、第2内折突片62b、変形規制部材70(変形規制片71、開口嵌合部材72及び嵌合蓋部73)に対応し、
ワイヤーハーネスは、ハーネス90に対応し、
外装部材付ワイヤーハーネスは、外装付ハーネス1、外装付ハーネス1a、外装付ハーネス1d、外装付ハーネス1e、外装付ハーネス1gに対応し、
屈曲促進部は、スリットSに対応し、
第1屈曲促進部は、第1スリットS1に対応し、
第2屈曲促進部は、第2スリットS2に対応し、
突片は、突片61、第1内折突片62a及び第2内折突片62bに対応し、
折曲部は、折曲スリット部611及び第1折曲部621に対応し
嵌合部材は、変形規制片71、開口嵌合部材72及び嵌合蓋部73に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施例を得ることができる。
【0136】
例えば、前述の各実施例においては、一例として、同一外径の複数のハーネス90を収容すべく構成したが、これは、外径が相対的に大きい幹線と、外径が相対的に小さい分岐線との複数を収容すべく構成してもよい。この場合、ハーネス90の長手方向Xに沿って形成されるスリットSの形成数量は、収容すべきハーネス90の占有スペース及び収容形状に対応して任意の数に形成することができる。
【0137】
また、例えば、外装本体20乃至外装本体20gでは、スリットSを長手方向Xに沿って直線状に形成しているが、この形状に限らない。例えば、図16に示すように、スリットSの一部を長手方向Xと交差するように形成しても構わない。以下、スリットSを長手方向Xと交差するように形成した外装部材10hについて図16に基づき簡単に説明する。
【0138】
ここで、図16は外装部材10hを示す。詳述すると、図16(a)は外装部材10hの展開した状態の概略斜視図を示し、図16(b)は第1収容形状αhに形成された外装部材10hの概略斜視図を示し、図16(c)は第2収容形状βhに形成された外装部材10hの概略斜視図を示す。なお、図16においては、図示の便宜上、ハーネス90を省略して示している。
【0139】
なお、外装部材10hにおいて、上述の外装部材10と同様の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0140】
この外装部材10hは、所定板厚を有する平面視で略方形状の外装本体20hで構成されている(図16(a)参照)。外装本体20hは、外装本体20と同様に、シート材で構成されている。
【0141】
外装本体20hの裏面22には、ハーネス90の長手方向Xに対して平行に設けられた2本の第1スリットS1と、長手方向Xに対して交差する方向に沿って並んだ3本の第2スリットS2が幅方向Yに互いに離間して設けられている。
第1スリットS1は、幅方向Yの一端及び他端の近辺において、長手方向Xに沿って設けられている。
【0142】
3本の第2スリットS2のうち一端から1番目の第2スリットS2(一端スリットS21)は、長手方向Xの先端から基端に向かうに伴い一端に向けて傾斜している。また、一端から2番目の第2スリットS2(中間スリットS22)は、長手方向Xの先端から基端に向かうに伴い他端に向けて傾斜している。一端から3番目のスリットSr(他端スリットS23)は、一端スリットS21と平行に形成されている。なお。一端スリットS21と中間スリットS22とは平面視において、線対称となっている。
【0143】
このように構成された外装本体20hにおける第1スリットS1を折り曲げて、外装本体20hの幅方向Yの一端側及び他端側を起立させることで、図16(b)に示すように、上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αhに外装部材10hを形成することができる。
【0144】
そして、第1収容形状αhに形成された外装部材10hに対してハーネス90を収容した後に、外装本体20hを第2スリットS2で折り曲げるとともに、幅方向Yの一端と他端とを固定することで、図16(c)に示すように、長手方向Xから見て筒形状の第2収容形状βhに外装部材10hを形成することができる。
【0145】
このように第2収容形状βhに形成された外装部材10hでは、一端スリットS21と中間スリットS22との間のエリア及び他端スリットS23と幅方向Yの他端との間のエリアが第2収容側壁41となり、中間スリットS22と他端スリットS23との間のエリアが第2収容底壁42となる。また、一端スリットS21と幅方向Yの一端との間のエリアが第2収容上壁43となる。
【0146】
このように第2収容形状βに形成された外装部材10hは、図16(c)に示すように、長手方向Xの先端側では幅方向Yの長さが相対的に長く、上下方向Zの高さが相対的に小さく、長手方向Xの先端側から基端側にかけて幅方向Yの長さが相対的に短く、上下方向Zの高さが相対的に高くなるように、漸次変化する筒形状となる。このため、外装部材10hを車両に配置した場合、漸次変化する幅方向Y及び上下方向Zの長さに応じて車両のスペースを有効利用することもできる。
【0147】
なお、展開状態における外装部材10hは平面視正方形状である必要はなく、平行四辺形状であってもよい。また、長手方向Xの先端と基端の長さ、及び、幅方向Yの一端と他端の長さが異なっていてもよい。
【0148】
さらにまた、外装部材10や外装部材10hなど、上述の実施例では、スリットSを直線状としているが、例えば図17に示すように、スリットSを長手方向Xに沿って湾曲させてもよい。
以下、湾曲スリットS3を有する外装部材10iについて、図17に基づき簡単に説明する。
【0149】
図17(a)は展開状態における外装部材10iの概略底面図を示し、図17(b)は第1収容形状αiに形成された外装部材10iの概略斜視図を示し、図17(c)は第2収容形状βiに形成された外装部材10iの概略斜視図を示す。
【0150】
外装部材10iは、外装部材10と同様に、外装本体20と同様のシート材で構成された外装本体20iで構成されている。外装本体20iは、図17(a)に示すように、幅方向Yの一端が円弧状に窪むとともに、他端が円弧状に突出する平板形状で形成されている。
【0151】
外装本体20iの裏面22には、ハーネス90の長手方向Xに対して平行に設けられた2本の第1スリットS1と、長手方向Xに沿って湾曲させた湾曲スリットS3が幅方向Yに互いに離間して設けられている。
第1スリットS1は、幅方向Yの一端及び他端の近辺において、長手方向Xに沿って設けられている。
【0152】
湾曲スリットS3は、先端から基端にかけて円弧を形成するように構成されている。この3本の湾曲スリットS3のうち一端から1番目の湾曲スリットS3(一端湾曲スリットS31)は、図17(a)に示すように、長手方向Xの先端から中央に向かうに伴い、徐々に一端に向かうとともに、中央部分から基端に向かうに伴い他端に向かうような円弧形状となっている。
【0153】
一端から2番目の湾曲スリットS3(中間湾曲スリットS32)は、外装本体20iにおける幅方向Yの中央部分に設けられており、一端湾曲スリットS31と線対称となっている。一端から3番目の湾曲スリットS3(他端湾曲スリットS33)は、第1スリットS1よりも他端側に設けられ、一端湾曲スリットS31と同形状に形成されている。
【0154】
このように構成された外装本体20iにおける第1スリットS1を折り曲げて、外装本体20iの幅方向Yの一端側及び他端側を起立させることで、図17(b)に示すように、上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αiに外装部材10iを形成することができる。
【0155】
そして、第1収容形状αiに形成された外装部材10hに対してハーネス90を収容した後に、外装本体20hを湾曲スリットS3で折り曲げるとともに、幅方向Yの一端と他端とを嵌合させることで、図17(c)に示すように、長手方向Xから見て筒形状の第2収容形状βiに外装部材10iを形成することができる。
【0156】
この第2収容形状βiに形成された外装部材10iは、図17(c)に示すように、長手方向Xの先端側及び基端側において、幅方向Y及び上下方向Zの長さが相対的に長く、長手方向Xの中央部分に向かうに伴い幅方向Y及び上下方向Zの長さが短くなるように、漸次変化する筒形状となる。このため、外装部材10iを車両に配置した場合、漸次変化する幅方向Y及び上下方向Zの長さに応じて車両のスペースを有効利用することもできる。
【0157】
さらにまた、第1収容形状αや第2収容形状βに形成された外装部材10の形状を維持するための変形規制部材70として、図18に示すように、規制軸部材74を備えた外装部材10jとしてよい。以下、外装部材10j及び外装付ハーネス1jについて、図18に基づき簡単に説明する。
【0158】
なお、外装部材10jにおいて、上述の外装部材10と同様の構成については、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0159】
図18(a)は展開状態における外装本体20jの概略斜視図を示し、図18(b)は第1収容形状αjに形成された外装部材10jにハーネス90を収容した外装付ハーネス1jの概略斜視図を示し、図18(c)は第2収容形状βjに形成された外装部材10jにハーネス90を収容した外装付ハーネス1jの概略斜視図を示す。
【0160】
外装部材10jは、シート材で構成された外装本体20jと、外装本体20jに挿通させる規制軸部材74とで構成されている(図18(b)及び図18(c)参照)。
外装本体20jは、図18(a)に示すように、展開した状態において、所定の板厚を有する平面視で略方形状のシート状に形成されており、裏面22にはスリットS(第1スリットS1及び第2スリットS2)が設けられている。また、外装本体20jには、幅方向Yの一端から他端に向けて貫通する貫通孔26が、長手方向Xに沿って等間隔で複数設けられている。
【0161】
規制軸部材74は、図18(b)に示すように、シート部材よりも剛性の大きな材質で構成され、所定の高さを有する柱状体であり、断面形状が貫通孔26の断面形状と同形状となっている。したがって、貫通孔26には、規制軸部材74を挿通させることができる。なお、規制軸部材74は、切断するなどにより適宜長さを変更することができる。
【0162】
換言すると、外装本体20jは、板厚方向の中央部分に、板厚方向(上下方向Z)及びスリットSの延出方向(長手方向X)と交差する方向に沿った貫通孔26が設けられ、貫通孔26には、規制軸部材74が挿通することができる。
【0163】
このように構成された外装本体20jは、第1スリットS1を折り曲げて、外装本体20jの一端側及び他端側を起立させることで、図18(b)に示すように、上方が開放された長手方向Xから見て凹状の第1収容形状αjに形成することができる。
【0164】
また、ハーネス90を収容した後に、第2スリットS2で折り曲げるとともに、係合凸部23と係合凹部24とを凹凸嵌合させることで、図18(c)に示すように、外装部材10bを長手方向Xから見て角筒形状の第2収容形状βjに変形できる。
【0165】
このように第1収容形状αjや第2収容形状βjに形成された状態において、図18(b)及び図18(c)に示すように、所定の長さに調整された規制軸部材74を貫通孔26に挿通させることで、第1収容形状αjや第2収容形状βjに維持された外装部材10jとすることができる。
【0166】
このように、シート材で構成された外装本体20jにおける板厚方向の中央部分に、板厚方向(上下方向Z)及びスリットSの延出方向(長手方向X)と交差する方向に沿った貫通孔26が設けられ、スリットSを屈曲させて、ハーネス90を収容する収容形状を形成された状態において、規制軸部材74を貫通孔26に挿通させた外装部材10jは、規制軸部材74がスリットSによる折り曲げを規制することができる。このため、外装部材10jでは、例えば第1収容形状αjや第2収容形状βjの形状を維持することができる。
【符号の説明】
【0167】
1 外装付ハーネス
10 外装部材
21 表面
22 裏面
61 突片
62 突出部
62a 第1内折突片
62b 第2内折突片
70 変形規制部材
71 変形規制片
72 開口嵌合部材
73 嵌合蓋部
74 規制軸部材
90 ワイヤーハーネス
611 折曲スリット部
621 第1折曲部
1a 外装付ハーネス
1d 外装付ハーネス
1e 外装付ハーネス
1g 外装付ハーネス
1j 外装付ハーネス
10a 外装部材
10b 外装部材
10c 外装部材
10d 外装部材
10e 外装部材
10f 外装部材
10g 外装部材
10h 外装部材
10i 外装部材
10j 外装部材
S スリット
S1 第1スリット
S2 第2スリット
α 第1収容形状
β 第2収容形状
αa 第1収容形状
αb 第1収容形状
αc 第1収容形状
αg 第1収容形状
αh 第1収容形状
αi 第1収容形状
αj 第1収容形状
βa 第2収容形状
βb 第2収容形状
βc 第2収容形状
βf 第2収容形状
βg 第2収容形状
βh 第2収容形状
βi 第2収容形状
βj 第2収容形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18