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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147570
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】発光素子及び発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/36 20100101AFI20231005BHJP
   H01L 33/48 20100101ALN20231005BHJP
【FI】
H01L33/36
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055141
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】宮城 明宏
【テーマコード(参考)】
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5F142AA12
5F142BA02
5F142BA32
5F142CB11
5F142CB22
5F142CD02
5F142CD17
5F142CD18
5F142CG03
5F142CG23
5F142CG25
5F142CG43
5F142DA12
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB12
5F142DB16
5F142DB24
5F142GA28
5F241AA05
5F241CA05
5F241CA22
5F241CA40
5F241CA93
5F241CB11
5F241CB22
(57)【要約】
【課題】所望の発光分布を有する発光素子及び発光装置を提供すること。
【解決手段】上面視において、第1方向に延びる長辺と、第1方向に直交する第2方向に延び長辺よりも短い短辺とを有する半導体構造体であって、n側層とp側層と活性層とを有し、n側層は、活性層及びp側層から露出された複数の第1領域と、活性層及びp側層が配置された第2領域とを有する半導体構造体と、第2領域の上方に配置されn側電極と電気的に接続された複数のn側外部接続部と、p側電極上に配置されp側電極と電気的に接続された複数のp側外部接続部と、を備え、上面視において、第1領域は、複数のn側外部接続部間及び複数のp側外部接続部間に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面視において、第1方向に延びる長辺と、前記第1方向に直交する第2方向に延び、前記長辺よりも短い短辺とを有する半導体構造体であって、n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有し、前記n側層は、前記活性層及び前記p側層から露出された複数の第1領域と、前記活性層及び前記p側層が配置された第2領域と、を有する、前記半導体構造体と、
前記半導体構造体を覆い、前記第1領域に位置する複数の第1開口部と、前記第2領域の上方の前記p側層上に位置する複数の第2開口部とを有する絶縁膜と、
複数の前記第1開口部において前記n側層と電気的に接続されたn側電極と、
複数の前記第2開口部において前記p側層と電気的に接続されたp側電極と、
前記第2領域の上方に配置され、前記n側電極と電気的に接続された複数のn側外部接続部と、
前記p側電極上に配置され、前記p側電極と電気的に接続された複数のp側外部接続部と、
を備えた発光素子であって、
上面視において、前記発光素子は、複数の前記n側外部接続部が配置されたn側領域と、前記第1方向において前記n側領域と隣り合い、複数の前記p側外部接続部が配置されたp側領域とを有し、
上面視において、前記第1領域は、複数の前記n側外部接続部間及び複数の前記p側外部接続部間に配置されている発光素子。
【請求項2】
複数の前記n側外部接続部は前記第1方向及び前記第2方向に並んで配置され、複数の前記p側外部接続部は前記第1方向及び前記第2方向に並んで配置され、
上面視において、前記第1開口部は、前記第1方向において隣り合う前記n側外部接続部間、前記第2方向において隣り合う前記n側外部接続部間、前記第1方向において隣り合う前記p側外部接続部間、及び前記第2方向において隣り合う前記p側外部接続部間にそれぞれ配置されている請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
上面視において、前記n側外部接続部及び前記p側外部接続部のそれぞれは、前記第1方向に延びる第1辺と、前記第2方向に延び、前記第1辺よりも短い第2辺とを有し、
上面視において、対向する前記n側外部接続部の前記第1辺間に配置された前記第1開口部の数は、対向する前記n側外部接続部の前記第2辺間に配置された前記第1開口部の数よりも多く、
上面視において、対向する前記p側外部接続部の前記第1辺間に配置された前記第1開口部の数は、対向する前記p側外部接続部の前記第2辺間に配置された前記第1開口部の数よりも多く、
上面視において、対向する前記n側外部接続部の前記第1辺間、対向する前記n側外部接続部の前記第2辺間、対向する前記p側外部接続部の前記第1辺間、及び対向する前記p側外部接続部の前記第2辺間に配置されたそれぞれの前記第1開口部の面積は同じである請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記長辺の長さは、前記短辺の長さの2倍以上5倍以下である請求項1~3のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項5】
上面視において、前記第1開口部は、前記n側外部接続部と前記p側外部接続部との間に配置されている請求項1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
上面視において、前記n側層は、前記第1方向において離れて位置する2つの角部を有し、
上面視において、前記n側層は、前記2つの角部のそれぞれに位置し、前記活性層及び前記p側層から露出された第3領域を有し、
前記n側電極は、前記第3領域において前記n側層と電気的に接続されている請求項1~5のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に配置された請求項6に記載の2つの発光素子と、
を備え、
前記第2方向において、前記2つの発光素子の前記第3領域が配置された前記角部同士が対向するように前記基板上に配置される発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上面視形状が長方形である発光素子が提案されている。上面視形状が長方形の発光素子において発光分布が悪化しやすい傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-11275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、所望の発光分布を有する発光素子及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光素子は、上面視において、第1方向に延びる長辺と、前記第1方向に直交する第2方向に延び、前記長辺よりも短い短辺とを有する半導体構造体であって、n側層と、p側層と、前記n側層と前記p側層との間に位置する活性層とを有し、前記n側層は、前記活性層及び前記p側層から露出された複数の第1領域と、前記活性層及び前記p側層が配置された第2領域と、を有する、前記半導体構造体と、前記半導体構造体を覆い、前記第1領域に位置する複数の第1開口部と、前記第2領域の上方の前記p側層上に位置する複数の第2開口部とを有する絶縁膜と、複数の前記第1開口部において前記n側層と電気的に接続されたn側電極と、複数の前記第2開口部において前記p側層と電気的に接続されたp側電極と、前記第2領域の上方に配置され、前記n側電極と電気的に接続された複数のn側外部接続部と、前記p側電極上に配置され、前記p側電極と電気的に接続された複数のp側外部接続部と、を備えた発光素子であって、上面視において、前記発光素子は、複数の前記n側外部接続部が配置されたn側領域と、前記第1方向において前記n側領域と隣り合い、複数の前記p側外部接続部が配置されたp側領域とを有し、上面視において、前記第1領域は、複数の前記n側外部接続部間及び複数の前記p側外部接続部間に配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、所望の発光分布を有する発光素子及び発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の発光素子の模式上面図である。
図2図1のII-II線における模式断面図である。
図3図1のIII-III線における模式断面図である。
図4】第2実施形態の発光素子の模式上面図である。
図5】第3実施形態の発光装置の模式上面図である。
図6図5のVI-VI線における模式断面図である。
図7A】第3実施形態の発光装置における複数の発光素子の配置関係を説明するための模式上面図である。
図7B】第3実施形態の発光装置における複数の発光素子の配置関係を説明するための模式上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。なお、各図面は、実施形態を模式的に示したものであるため、各部材のスケール、間隔若しくは位置関係などが誇張、又は部材の一部の図示を省略する場合がある。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
【0009】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、特定の方向又は位置を示す用語(例えば、「上」、「下」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向又は位置を分かり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向又は位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本明細書において「上」と表現する位置関係は、接している場合と、接していないが上方に位置している場合も含む。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態の発光素子1は、半導体構造体10を備える。図1に示す発光素子1の上面視において、互いに直交する2つの方向を第1方向X及び第2方向Yとする。半導体構造体10の上面視における形状は長方形である。この長方形における角部は、直角でもよいし、丸みを帯びていてもよい。半導体構造体10は、上面視において、第1方向Xに延びる2つの長辺10aと、第2方向Yに延びる2つの短辺10bとを有する。短辺10bの長さは、長辺10aの長さよりも短い。例えば、長辺10aの長さは、短辺10bの長さの2倍以上5倍以下である。長辺10aの長さは、例えば、1mm以上3mm以下である。短辺10bの長さは、例えば、0.5mm以上1.5mm以下である。
【0011】
半導体構造体10は、窒化物半導体からなる。本明細書において「窒化物半導体」とは、例えば、InAlGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。また、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、半導体の導電型などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むものも「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0012】
図2に示すように、半導体構造体10は、n側層11と、活性層12と、p側層13とを有する。n側層11からp側層13に向かう方向であって、第1方向X及び第2方向Yに直交する方向を第3方向Zとする。活性層12は、第3方向Zにおいて、n側層11とp側層13との間に位置する。活性層12は、光を発する発光層であり、例えば複数の障壁層と、複数の井戸層を含むMQW(Multiple Quantum well)構造を有する。n側層11は、n型不純物を含む半導体層を有する。p側層13は、p型不純物を含む半導体層を有する。活性層12が発する光は、例えば、紫外光または可視光である。青色光の発光ピーク波長は、例えば、430nm以上490nm以下である。緑色光の発光ピーク波長は、例えば、500nm以上540nm以下である。紫外光の発光ピーク波長は、400nm以下である。
【0013】
n側層11は、活性層12及びp側層13から露出された複数の第1領域11aと、活性層12及びp側層13が配置された第2領域11bとを有する。上面視において、第2領域11bの面積は、第1領域11aの面積よりも広い。
【0014】
半導体構造体10は基板90上に配置される。第3方向Zにおいて、基板90側から順に、n側層11、活性層12、及びp側層13が位置する。基板90は、例えば、サファイアまたはスピネルのような絶縁性基板を用いることができる。また、基板90として、GaN、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、またはSiなどの導電性の基板を用いてもよい。また、発光素子1は、基板90を有していなくてもよい。
【0015】
発光素子1は、p側電極20、n側電極23、被覆膜30、絶縁膜40、保護膜50、複数のn側外部接続部61、及び複数のp側外部接続部62をさらに備える。p側電極20は、第1p側電極21と、第2p側電極22とを含む。
【0016】
第1p側電極21は、第2領域11bの上方のp側層13の上面13aに配置され、p側層13と電気的に接続される。第1p側電極21は、金属材料からなる。第1p側電極21の材料として、例えば、銀、アルミニウムなどの金属、又はこれらの金属を含む合金を用いることができる。
【0017】
被覆膜30は、半導体構造体10及び第1p側電極21を覆う。被覆膜30は、第1p側電極21上に位置する複数の第6開口部31を有する。被覆膜30は、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜である。被覆膜30は、単層構造としてよいし、複数の絶縁膜が積層された積層構造としてもよい。
【0018】
絶縁膜40は、半導体構造体10及び被覆膜30を覆う。絶縁膜40は、第1領域11aに位置する複数の第1開口部41と、第2領域11bの上方のp側層13上に位置する複数の第2開口部42とを有する。絶縁膜40は、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜である。絶縁膜40は、単層構造としてよいし、複数の絶縁膜が積層された積層構造としてもよい。
【0019】
第1領域11aは、第1開口部41において絶縁膜40から露出する部分を有する。図1に示す例においては、第1領域11a及び第1開口部41を、破線の円で表す。上面視において、円形の第1領域11aの内側に、円形の第1開口部41が位置する。なお、第1領域11a及び第1開口部41の上面視における形状は、円形に限らず、楕円形、四角形、または五角形以上の多角形であってもよい。なお、上面視における第1領域11aの形状はすべて同じとすることに限らず、上面視における形状が異なる第1領域11aを備えていてもよい。また、第1開口部41の上面視における形状はすべて同じとすることに限らず、上面視における形状が異なる形状の第1開口部41を配置してもよい。
【0020】
絶縁膜40の第2開口部42の少なくとも一部は、上面視において、被覆膜30の第6開口部31に重なる。第1p側電極21は、第6開口部31において被覆膜30から露出し、且つ上面視において第6開口部31に重なる第2開口部42において絶縁膜40から露出する部分を有する。
【0021】
n側電極23の一部は、絶縁膜40上に配置され、絶縁膜40を介してp側層13の上方に配置されている。n側電極23は、複数の第1開口部41において第1領域11aに接し、n側層11と電気的に接続されている。上面視における複数の第1開口部41の形状をすべて同じとし、複数の第1開口部41それぞれにおいてn側電極23とn側層11とが接する面積をすべて同じとすることが好ましい。なお、複数の第1開口部41それぞれにおいてn側電極23とn側層11とが接する面積が、すべて同じであるとは、それぞれの面積が±3%程度の範囲で異なる場合を含む。また、複数の第1開口部41それぞれにおいてn側電極23とn側層11とが接する面積がすべて同じであれば、上面視における複数の第1開口部41の形状のうち一部の形状を異ならせてもよい。
【0022】
第2p側電極22は、複数の第2開口部42それぞれに配置され、第1p側電極21に接している。第2p側電極22は、第1p側電極21を介して、p側層13と電気的に接続されている。図1及び図2に示す例では、複数の第2p側電極22はそれぞれ離隔し、4つのp側外部接続部62と第1p側電極21との間にそれぞれ配置されている。上面視において、第2p側電極22は、第1領域11aと重ならないように配置されている。
【0023】
n側電極23及び第2p側電極22は、金属材料からなる。n側電極23及び第2p側電極22の材料として、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、プラチナ、タングステンなどの金属、又はこれらの金属を含む合金を用いることができる。n側電極23及び第2p側電極22のそれぞれは、単層構造としてよいし、複数の金属層が積層された積層構造としてもよい。
【0024】
第1p側電極21が第2領域11bにおいてp側層13と接する面積は、n側電極23が第1領域11aにおいてn側層11と接する面積よりも広い。
【0025】
保護膜50は、n側電極23及び第2p側電極22を覆う。保護膜50は、n側電極23上に位置する複数の第4開口部51と、第2p側電極22上に位置する複数の第5開口部52とを有する。保護膜50は、例えば、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜である。保護膜50は、単層構造としてよいし、複数の絶縁膜が積層された積層構造としてもよい。
【0026】
n側電極23は、第4開口部51において保護膜50から露出する部分を有する。第2p側電極22は、第5開口部52において保護膜50から露出する部分を有する。
【0027】
n側外部接続部61は、第2領域11bの上方に配置され、n側電極23と電気的に接続されている。n側外部接続部61は、第4開口部51においてn側電極23に接している。n側外部接続部61は、n側電極23を介して、n側層11と電気的に接続されている。
【0028】
p側外部接続部62は、第2p側電極22上に配置され、第2p側電極22と電気的に接続されている。p側外部接続部62は、第5開口部52において第2p側電極22に接している。p側外部接続部62は、第1p側電極21及び第2p側電極22を介して、p側層13と電気的に接続されている。
【0029】
n側外部接続部61及びp側外部接続部62は、金属材料からなる。n側外部接続部61及びp側外部接続部62の材料として、例えば、チタン、ニッケル、プラチナ、金、タングステンなどの金属、又はこれらの金属を含む合金を用いることができる。n側外部接続部61及びp側外部接続部62のそれぞれは、単層構造としてよいし、複数の金属層が積層された積層構造としてもよい。
【0030】
図1に示すように、上面視において、発光素子1は、複数のn側外部接続部61が配置されたn側領域200nと、第1方向Xにおいてn側領域200nと隣り合い、複数のp側外部接続部62が配置されたp側領域200pとを有する。n側領域200n及びp側領域200pには、それぞれ複数の第1領域11aが配置されている。上面視において、n側領域200nに配置された第1領域11a間の距離と、p側領域200pに配置された第1領域11a間の距離とは同じである。なお、n側領域200nに配置された第1領域11a間の距離及びp側領域200pに配置された第1領域11a間の距離はすべて同じとすることに限らず、上面視における距離が一部異なるように第1領域11aを配置してもよい。
【0031】
上面視において、第1領域11aは、複数のn側外部接続部61間、及び複数のp側外部接続部62間に配置されている。換言すると、n側電極23とn側層11との接続部が、複数のn側外部接続部61間、及び複数のp側外部接続部62間に配置されている。これにより、長方形の発光素子1に対して、n側電極23とn側層11との接続部の配置の偏りを低減することができ、発光分布の偏りを低減することができる。
【0032】
発光素子1が基板に実装される場合、n側外部接続部61と基板との間、及びp側外部接続部62と基板との間に接合部材が配置される。発光素子1は、例えば、基板にフリップチップ実装により配置される。上面視において第1領域11aには、n側外部接続部61及びp側外部接続部62が配置されないため、基板への実装時における接合部材からの荷重が第1領域11aに対してかかりにくい。これにより、第1領域11aに配置された絶縁膜40、第1領域11aと第2領域11bとの間の段差を覆うように配置された絶縁膜40、及び第1領域11aに配置された保護膜50における亀裂の発生を低減できる。その結果、発光装置の信頼性を向上することができる。
【0033】
例えば、複数のn側外部接続部61は第1方向X及び第2方向Yに並んで配置され、複数のp側外部接続部62は第1方向X及び第2方向Yに並んで配置されている。図1に示す例では、n側領域200nにおいて4つのn側外部接続部61が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置され、p側領域200pにおいて4つのp側外部接続部62が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置されている。n側領域200nにおいて、5以上のn側外部接続部61が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置され、p側領域200pにおいて、5以上のp側外部接続部62が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置されてもよい。また、n側領域200nにおいて、2以上のn側外部接続部61が第1方向Xのみに並んで配置され、または2以上のn側外部接続部61が第2方向Yのみに並んで配置されてもよい。p側領域200pにおいて、2以上のp側外部接続部62が第1方向Xのみに並んで配置され、または2以上のp側外部接続部62が第2方向Yのみに並んで配置されてもよい。
【0034】
上面視において、第1開口部41は、第1方向Xにおいて隣り合うn側外部接続部61間、第2方向Yにおいて隣り合うn側外部接続部61間、第1方向Xにおいて隣り合うp側外部接続部62間、及び第2方向Yにおいて隣り合うp側外部接続部62間にそれぞれ配置されることが好ましい。これにより、複数のn側外部接続部61が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置され、複数のp側外部接続部62が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置された構成において、発光分布の偏りを低減することができる。
【0035】
例えば、上面視において、1つのn側外部接続部61は、第1方向Xに延びる第1辺61aと、第2方向Yに延び、第1辺61aよりも短い第2辺61bとを有する。また、1つのp側外部接続部62は、第1方向Xに延びる第1辺62aと、第2方向Yに延び、第1辺62aよりも短い第2辺62bとを有する。n側外部接続部61及びp側外部接続部62の上面視における形状は、それぞれ長方形である。図1に示す例では、n側外部接続部61及びp側外部接続部62の上面視における形状はすべて同じである。n側外部接続部61及びp側外部接続部62の上面視における形状をすべて同じとすることに限らず、上面視における形状が異なるn側外部接続部61及び/又はp側外部接続部62を備えていてもよい。例えば、第1辺61a、62aの長さは、長辺10aの長さの10%以上30%以下である。例えば、第1辺61a、62aの長さは、300μm以上600μm以下である。例えば、第2辺61b、62bの長さは、短辺10bの長さの15%以上50%以下である。例えば、第2辺61b、62bの長さは、200μm以上500μm以下である。
【0036】
上面視において、複数の第1開口部41の面積をそれぞれ同じとする場合、対向するn側外部接続部61の第1辺61a間に配置された第1開口部41の数は、対向するn側外部接続部61の第2辺61b間に配置された第1開口部41の数よりも多いことが好ましい。同様に、上面視において、複数の第1開口部41の面積をそれぞれ同じとする場合、対向するp側外部接続部62の第1辺62a間に配置された第1開口部41の数は、対向するp側外部接続部62の第2辺62b間に配置された第1開口部41の数よりも多いことが好ましい。これにより、第2辺61bよりも長い第1辺61aを有する複数のn側外部接続部61及び第2辺62bよりも長い第1辺62aを有する複数のp側外部接続部62が配置された構成において、発光分布の偏りを低減することができる。図1に示す例では、対向するn側外部接続部61の第1辺61a間に2つの第1開口部41が配置され、対向するn側外部接続部61の第2辺61b間に1つの第1開口部41が配置されている。また、対向するp側外部接続部62の第1辺62a間に2つの第1開口部41が配置され、対向するp側外部接続部62の第2辺62b間に1つの第1開口部41が配置されている。
【0037】
また、上面視において、第1開口部41を、n側外部接続部61とp側外部接続部62との間にも配置することが好ましい。これにより、発光分布の偏りをさらに低減することができる。図1に示す例では、第1方向Xにおいて隣り合うn側外部接続部61とp側外部接続部62との間に1つの第1開口部41がそれぞれ配置されている。上面視において、n側領域200nとp側領域200pとの間には、2つの第1開口部41が配置されている。
【0038】
上面視において、隣り合うn側外部接続部61とp側外部接続部62との間の最短距離は、隣り合うn側外部接続部61間の最短距離、及び隣り合うp側外部接続部62間の最短距離よりも長いことが好ましい。これにより、後述するように発光素子を基板に接合部材を用いて接合する際、n側外部接続部61とp側外部接続部62とが接合部材により電気的に接続されることを低減することができる。隣り合うn側外部接続部61間の最短距離、及び隣り合うp側外部接続部62間の最短距離は、例えば、80μm以上120μm以下である。隣り合うn側外部接続部61とp側外部接続部62との間の最短距離は、例えば、100μm以上300μm以下である。
【0039】
また、n側層11は、活性層12及びp側層13から露出された第3領域11cを有する。第3領域11cは、被覆膜30から露出する部分を有する。上面視において、第3領域11cは、長辺10a及び短辺10bに沿って延び、第1領域11a及び第2領域11bを連続して囲んでいる。第3領域11cは、半導体構造体10の外周部に配置されている。
【0040】
n側電極23は、第1領域11aの他にさらに第3領域11cにおいてもn側層11に接し、n側層11と電気的に接続されている。これにより、発光分布の偏りをさらに低減することができる。例えば、第3領域11cのうち被覆膜30から露出する部分は、半導体構造体10の外周部に連続して配置され、第3領域11cにおけるn側電極23とn側層11との接続部は、第1領域11a及び第2領域11bを連続して囲んでいる。
【0041】
[第2実施形態]
第2実施形態の発光素子2は、図4に示すように、第3領域11cにおいて、n側電極23が、絶縁膜40の複数の第3開口部43を通じて部分的にn側層11と接していること以外は上記第1実施形態と基本的に同じ構造を有する。
【0042】
発光素子2のn側層11は、上面視において、第1方向Xにおいて離れて位置する2つの角部Cを有する。それぞれの角部Cは、長辺10aの一部と短辺10bの一部を含む。角部Cに含まれる長辺10aの一部の長さは、例えば、長辺10aの長さの5%以上25%以下である。角部Cに含まれる短辺10bの一部の長さは、例えば、短辺10bの長さの10%以上50%以下である。
【0043】
上面視において、絶縁膜40は、2つの角部Cのそれぞれに位置する複数の第3開口部43を有する。1つの角部Cにおいて、複数の第3開口部43が第1方向X及び第2方向Yに並んで配置されている。図4において、角部Cに配置された第3開口部43を破線の円で表す。第3開口部43の上面視における形状は、円形に限らず、楕円形、四角形、または五角形以上の多角形であってもよい。
【0044】
第3領域11cは、第3開口部43において絶縁膜40から露出する部分を有する。第3開口部43以外の部分において、第3領域11cは被覆膜30及び絶縁膜40に覆われている。n側電極23は、第3開口部43において第3領域11cに接し、n側層11と電気的に接続されている。第3領域11cにおいて、第3開口部43が配置されていない部分は、絶縁膜40で覆われ、n側電極23と接していない。図4に示す例では、n側電極23は、第3領域11cのうち第3開口部43に位置する第3領域11cのみにおいてn側層11と電気的に接続されている。
【0045】
第2実施形態の発光素子2によれば、第3開口部43を通じてn側電極23が第3領域11cに接続する部分を有する角部Cの輝度を、第3開口部43が配置されていない角部よりも高くすることができる。これにより、発光素子の角部の一部が他の領域よりも高い輝度となる発光分布を有する発光素子とすることができる。
【0046】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態として、複数の発光素子を含む発光装置について説明する。
【0047】
図5及び図6に示す発光装置100は、発光素子として、上記第2実施形態の発光素子2を備える。発光装置100は、基板110と、基板110上に配置された、例えば2つの発光素子2とを備える。
【0048】
基板110は、絶縁性基板であり、例えば、セラミック基板または樹脂基板である。基板110上には、複数の電子部品113a、113b、113cも配置されている。電子部品113a、113b、113cは、例えば、サーミスタ、トランジスタ、整流ダイオードなどである。
【0049】
上面視において、発光素子2は、第1被覆部材111に囲まれている。電子部品113a、113b、113cは、第1被覆部材111で覆われている。上面視において、第1被覆部材111に囲まれた領域に配置された発光素子2は、第2被覆部材112で覆われている。第1被覆部材111及び第2被覆部材112には、例えば、フェニルシリコーン樹脂やジメチルシリコーン樹脂などの樹脂材料を用いることができる。第1被覆部材111及び第2被覆部材112は、例えば、光散乱性部材を含んでもよい。光散乱性部材としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウムを用いることができる。また、第2被覆部材112はレンズとしての機能を有していてよい。
【0050】
第2被覆部材112は、蛍光体を含むことができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、KSi0.99Al0.015.99:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS又はAgInSe)等を用いることができる。
【0051】
第2被覆部材112が配置された領域を発光領域120とする。図5には、発光領域120の上面視における形状を円形として示すが、発光領域120の上面視における形状は、楕円形、四角形、または五角形以上の多角形であってもよい。
【0052】
発光装置100は、例えば車両に搭載された照明に用いることができる。発光装置100は、例えば、赤色、白色、アンバー色を発する。赤色を発する発光装置100は、例えば、車両に搭載されるテールランプ、ブレーキランプなどに用いることができる。基板110には、例えば2つのピン孔115が形成されている。発光装置100を車載照明のソケット等に搭載する際、ピン孔115にソケットの外部端子が挿入される。ピン孔115の内周面には、基板110の表面に形成された配線パターンと接続された導体が形成されている。ピン孔115に挿入された外部端子は、導体に接し、基板110の表面の配線パターンと電気的に接続される。配線パターンは、発光素子2及び電子部品113a、113b、113cと電気的に接続されている。
【0053】
2つの発光素子2は、第3開口部43を通じてn側電極23が第3領域11cに接続する部分を有する角部C同士が第2方向Yにおいて対向するように、基板110上に配置される。これにより、発光領域120において、角部C同士が対向する部分の輝度を、角部C同士が対向しない部分の輝度よりも高くすることができる。角部C同士が対向しない部分は、発光領域120の外周に位置する。したがって、発光領域120において外周よりも内側の輝度を高くすることができる。
【0054】
基板110の表面には、配線パターンと電気的に接続されたn側パッドとp側パッドが配置されている。それぞれの発光素子2の複数(図4の例では4つ)のn側外部接続部61は、1つのn側パッドに接合部材を介して接合される。それぞれの発光素子2の複数(図4の例では4つ)のp側外部接続部62は、1つのp側パッドに接合部材を介して接合される。1つの発光素子2の複数のn側外部接続部61が接合されるn側パッドは分割されていない。1つの発光素子2の複数のp側外部接続部62が接合されるp側パッドは分割されていない。接合部材として、例えば、はんだを用いることができる。
【0055】
基板110上に3つ以上の発光素子を配置してもよい。図7A及び図7Bには、基板110上に3つの発光素子が配置された例を示す。
【0056】
図7Aに示す例では、角部C同士を第2方向Yにおいて対向するように配置された2つの発光素子2の間に、発光素子3が配置されている。上面視において、発光素子3の第1方向Xの長さは、発光素子2の第1方向Xの長さよりも短い。発光素子3と、2つの発光素子2とはそれぞれ個別に発光の制御ができるように接続されている。これにより、発光装置は、発光素子3を発光させず、2つの発光素子2を発光させる第1モードと、2つの発光素子2を発光させず、発光素子3を発光させる第2モードと、2つの発光素子2及び発光素子3を発光させる第3モードとを切り替える制御が可能となる。また、それぞれの発光素子を発光させる際、発光素子3を、発光素子2の輝度よりも低く発光させてもよい。
【0057】
図7Bに示す例では、角部C同士を第2方向Yにおいて対向するように配置された2つの発光素子2の間に、第1実施形態の発光素子1が配置されている。発光素子1において、それぞれの発光素子2の長辺10aに対向する長辺10a側に、n側電極23とn側層11の第3領域11cとの接続部が第1方向Xに延びて配置されている。または、2つの発光素子2の間に配置する発光素子は、第3開口部43を通じてn側電極23が第3領域11cに接続する部分を有する角部Cを、4つの角部に有する発光素子であってもよい。
【0058】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0059】
1~3…発光素子、10…半導体構造体、10a…長辺、10b…短辺、11…n側層、11a…第1領域、11b…第2領域、11c…第3領域、12…活性層、13…p側層、20…p側電極、21…第1p側電極、22…第2p側電極、23…n側電極、30…被覆膜、31…第6開口部、40…絶縁膜、41…第1開口部、42…第2開口部、43…第3開口部、50…保護膜、51…第4開口部、52…第5開口部、61…n側外部接続部、61a…第1辺、61b…第2辺、62…p側外部接続部、62a…第1辺、62b…第2辺、90…基板、100…発光装置、110…基板、200p…p側領域、200n…n側領域、C…角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B