(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148029
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】食品用風味増強剤、食品の風味増強方法、及び食品用風味増強剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 27/10 20160101AFI20231005BHJP
A23L 27/60 20160101ALN20231005BHJP
A23L 17/00 20160101ALN20231005BHJP
A23L 35/00 20160101ALN20231005BHJP
A23L 11/00 20210101ALN20231005BHJP
A23L 15/00 20160101ALN20231005BHJP
A23D 9/00 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
A23L27/10 C
A23L27/60 A
A23L17/00 A
A23L35/00
A23L11/00 Z
A23L15/00 Z
A23D9/00 504
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055851
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】片岡 久
(72)【発明者】
【氏名】荒井 尚志
(72)【発明者】
【氏名】谷津 穂高
(72)【発明者】
【氏名】境野 眞善
(72)【発明者】
【氏名】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 陽平
【テーマコード(参考)】
4B020
4B026
4B036
4B042
4B047
【Fターム(参考)】
4B020LB19
4B020LC02
4B020LG01
4B020LK04
4B020LP07
4B026DC01
4B026DG05
4B026DP10
4B026DX01
4B036LC01
4B036LF13
4B036LH13
4B036LH26
4B036LP03
4B042AC03
4B042AD39
4B042AD40
4B042AG07
4B042AG30
4B042AH01
4B042AH09
4B042AK06
4B042AK13
4B042AP02
4B042AP07
4B047LF04
4B047LF06
4B047LF10
4B047LG10
4B047LG40
4B047LP01
(57)【要約】
【課題】圧搾法により得られる大豆油の付加価値を高めると共に、より自然な食品として油脂感を増強できる食品用油脂感増強剤、食品の油脂感増強方法、及び食品用風味増強剤の製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒抽出されていない大豆の圧搾油を精製して得られた大豆圧搾精製油を有効成分とすることを特徴とする食品用風味増強剤を提供するものである。前記大豆圧搾精製油は、前記大豆の圧搾油を、(1)脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理、(2)脱ガム、脱色及び脱臭処理のいずれかで精製処理して得られたものであることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒抽出されていない大豆の圧搾油を精製して得られた大豆圧搾精製油を有効成分とすることを特徴とする食品用風味増強剤。
【請求項2】
前記大豆圧搾精製油は、前記大豆の圧搾油を、(1)脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理、(2)脱ガム、脱色及び脱臭処理のいずれかで精製処理して得られたものである、請求項1記載の食品用風味増強剤。
【請求項3】
油脂感増強のために用いられる、請求項1又は2記載の食品用風味増強剤。
【請求項4】
コク味増強のために用いられる、請求項1又は2記載の食品用風味増強剤。
【請求項5】
食品の製造過程で、請求項1又は2に記載の食品用風味増強剤を食品に付与することを特徴とする食品の風味増強方法。
【請求項6】
油脂感を増強させる、請求項5記載の食品の風味増強方法。
【請求項7】
コク味を増強させる、請求項5記載の食品の風味増強方法。
【請求項8】
大豆を圧搾処理して圧搾油を採取する工程と、
前記圧搾油を(1)脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理、(2)脱ガム、脱色及び脱臭処理のいずれかで精製処理する工程とを含むことを特徴とする食品用風味増強剤の製造方法。
【請求項9】
油脂感増強のために用いられる、食品用風味増強剤の製造方法。
【請求項10】
コク味増強のために用いられる、食品用風味増強剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の風味を増強する食品用風味増強剤、食品の風味増強方法、及び食品用風味増強剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品用油脂の1つとして大豆油が市販されている。大豆油は、原料である大豆に含有される油分が少ないので、一般的には有機溶媒を使った抽出法で製造されている。一方、下記特許文献1に示されるように、圧搾法によって大豆油を製造する方法も知られている。
【0003】
しかしながら、圧搾法により得られる大豆油は、油の回収率が低くなるので高価となり、実際にはあまり製造されていないのが現状であった。
【0004】
また、近年、摂取カロリーの低減のため、油脂量を少なくすることが求められるようになってきた。このため、少ない油脂量でも、油脂感を増強する手段の開発が試みられている。
【0005】
例えば、下記特許文献2には、α-カロテン及びβ-カロテンの合計含有量が50質量ppm以上2000質量ppm以下であるパーム系油脂の酸化処理物を有効成分とし、前記酸化処理物の過酸化物価が3以上250以下である、食品用油脂感増強剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-27091号公報
【特許文献2】国際公開第2020/209158号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に示されるような圧搾法により得られる大豆油は、有機溶剤を使用しないので、環境にやさしく、得られる油も大豆本来の栄養成分や風味を有していて好ましいが、高価となるため、ほとんど製造されていないという問題があった。
【0008】
一方、上記特許文献2に示されるような食品用油脂感増強剤も提案されているが、より自然な食品として油脂感を増強できるものも求められていた。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、圧搾法により得られる大豆油の付加価値を高めると共に、より自然な食品として油脂感を増強できる食品用油脂感増強剤、食品の油脂感増強方法、及び食品用風味増強剤の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、有機溶媒を用いずに大豆を圧搾して圧搾油を得ることにより、食品の風味を増強する効果に優れた素材を得ることができることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、有機溶媒抽出されていない大豆の圧搾油を精製して得られた大豆圧搾精製油を有効成分とすることを特徴とする食品用風味増強剤を提供するものである。
【0012】
前記大豆圧搾精製油は、前記大豆の圧搾油を、(1)脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理、(2)脱ガム、脱色及び脱臭処理のいずれかで精製処理して得られたものであることが好ましい。
【0013】
前記食品用風味増強剤は、油脂感増強のために用いられることが好ましい。
【0014】
また、前記食品用風味増強剤は、コク味増強のために用いられることが好ましい。
【0015】
更に、本発明は、食品の製造過程で、前記食品用風味増強剤を食品に付与することを特徴とする食品の風味増強方法を提供するものである。この方法は、油脂感及びコク味のいずれか1つ以上を増強するために用いられることが好ましい。
【0016】
更に、本発明は、大豆を圧搾処理して圧搾油を採取する工程と、前記圧搾油を(1)脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理、(2)脱ガム、脱色及び脱臭処理のいずれかで精製処理する工程とを含むことを特徴とする食品用風味増強剤の製造方法を提供するものである。この製造方法は、油脂感及びコク味のいずれか1つ以上を増強するための食品用風味増強剤を製造するために用いられることが好ましい。
【0017】
[不可能・非実際的事情の存在]
本発明は、有機溶媒抽出されていない大豆の圧搾油を精製し、これを風味増強の有効成分とするものである。一般に、食用油脂の処理物は極めて多種類の化学物質で構成される組成物となっており、含まれる化学物質を調べ、逐一特定することは、不可能であるか、又は著しく過大な経済的支出や時間を要するためおよそ実際的ではない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、有機溶媒抽出されていない大豆の圧搾油を精製して得られた大豆圧搾精製油を利用して、食品の風味を増強する効果、特には油脂感増強効果及びコク味増強効果に優れた素材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の食品用風味増強剤及びその製造方法、並びに食品の風味増強方法について説明する。
【0020】
本発明の食品用風味増強剤は、有機溶媒抽出されていない大豆の圧搾油を精製して得られた大豆圧搾精製油を有効成分とするものである。
【0021】
上記大豆の圧搾油は、原料大豆を圧搾処理することにより得ることができる。原料大豆としては、通常の大豆油の製造に使用されるものであれば、品種や産地等、特に限定せず使用することができる。また、原料大豆は、精選、粗砕、脱皮、乾燥等の処理を行ったものを用いることができる。原料大豆は、粗砕されたものが好ましく、インパクターを用いて1/2から1/4に粗砕されたものが更に好ましい。
【0022】
上記圧搾処理の方法としては、例えばバッチ式圧搾法、連続式圧搾法等を挙げることができる。バッチ式圧搾法としては例えばプレートプレス、玉締機、ポットプレスなどの各種圧搾機を用いることができ、連続式圧搾法としては、スクリュープレスのメカニズムを利用したエキスペラーなどを用いることができる。
【0023】
圧搾処理の時の温度は、圧搾による摩擦熱によって上昇する傾向にあるが、圧搾処理を100℃以上の温度で行うと、圧搾処理して得られる圧搾油の風味が劣化する場合があるので、100℃より低い温度とすることが好ましく、60℃とすることが更に好ましい。圧搾は任意の回数を実施することができ、圧搾粕の残油分を下げるためには数回の圧搾を実施することが好ましい。
【0024】
上記大豆圧搾精製油は、上記大豆の圧搾油を(1)脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理、(2)脱ガム、脱色及び脱臭処理のいずれかで精製処理して得られたものであることが好ましい。脱酸処理を行わない上記(2)で得られる大豆圧搾精製油は、脱酸処理を行う上記(1)で得られる大豆圧搾精製油よりも、油脂増強及びコク味増強効果がやや高いが、やや不純物が多い傾向がある。勿論、(1)、(2)のいずれの大豆圧搾精製油も、問題なく食用油脂として使用できるものである。
【0025】
上記脱ガム処理は、油分中に含まれるリン脂質を主成分とするガム質を水和除去する処理である。具体的には、原油に水蒸気又は水を加えて攪拌する。これにより、原油に含まれているガム質は、水和して水層へ移る。したがって、当該水層を除去することにより、原油からガム質が除去される。なお、脱ガム処理は、脱ガム剤を添加して行ってもよい。脱ガム剤は、例えば、シュウ酸、クエン酸、リン酸等の有機酸の水溶液からなるものを用いるとよい。
【0026】
上記脱酸処理は、原油に含まれている遊離脂肪酸をセッケン分として除去する処理である。脱酸処理は、例えば、炭酸ナトリウムや苛性ソーダといったアルカリ性の物質を水に溶かした水溶液で原油を処理することにより行われる。なお、脱酸処理は、アルカリの水溶液を処理することに限られず、例えば、水蒸気蒸留法や分子蒸留法などを用いてもよい。
【0027】
上記脱色処理は、原油に含まれる色素を除去する処理である。脱色処理は、例えば、活性白土、活性炭等に色素を吸着させることによって行われる。色素が付着した活性白土等は、例えば減圧濾過等により除去される。
【0028】
上記脱臭処理は、原油に含まれる有臭成分を除去する処理である。脱臭処理は、例えば、高温、減圧下で水蒸気蒸留等することによって行われる。
【0029】
本発明の食品用風味増強剤は、各種食品の原料として、あるいは添加材として用いることができる。具体的には、フライ油や炒め用油等を含む調理油、ドレッシング、マヨネーズ、ソース、ルウ、スープなどに好適に適用される。また、ホイップクリーム、スポンジケーキ、ホットケーキ、マドレーヌ等のケーキ、チョコレート、クッキー等の洋菓子類にも適用可能である。更に、パン、ドーナッツ等のベーカリー食品にも適用可能である。加えて、畜肉、魚介類及びそれらの加工食品にも適用可能である。畜肉、魚介類及びそれらの加工食品には、例えば、オーブンやスチームなどで加熱調理されたノンフライ食品、ハム、焼き肉、焼き鳥、ステーキ、焼き魚、焼きエビ、トンカツ、ビーフカツ、チキンカツ、からあげ、竜田揚げ、フライドチキン、鮭フライ、アジフライ、ホッケフライ、サバフライ、タラ等の白身魚のフライ、エビフライ等のフライ食品、ホッケの開き等の干し物がある。
【0030】
更に、本発明の食品用風味増強剤は、バッター液、ブレッダー、ピックル液、タンブリング液等に添加して用いることもできる。
【0031】
上記ドレッシングとは、液状の調味料であり、食酢又は柑橘類の果汁及び油脂に食塩、砂糖類、香辛料、ハーブ、酒等を加えて製造されたものを指す。例えば、マヨネーズ様調味料、フレンチドレッシング、和風ドレッシング、ごまドレッシング、サウザンアイランドドレッシング、シーザーサラダドレッシング、サラダクリーミードレッシング、コールスロードレッシング、サラダドレッシング、サンドイッチスプレッド、チーズドレッシング、イタリアンドレッシング、中華ドレッシング、タルタルソースが該当する。本発明の食品用風味増強剤は、これらのドレッシングに添加して用いることができる。
【0032】
上記ソースとは、通常調理時に作る液状又はペースト状のものと、調理のために市販されているウスターソース類全般とを指す。具体的には、例えば、カレーソース、ハヤシソース、ホワイトソース、デミグラスソース、パスタソース、ベシャメルソース、ヴルーテソース、エスパニョールソース、シチューソース、ポタージュソース、ウスターソース、中濃ソース、濃厚ソースが該当する。本発明の食品用風味増強剤は、これらのソースに添加して用いることができる。
【0033】
上記ルウとは、小麦粉等の穀粉をバター等の油脂で加熱して調理したペースト、顆粒又はブロック形態のものを指す。具体的には、例えば、カレールウ、ハヤシルウ、ホワイトルウ、デミグラスルウ、パスタルウ、ベシャメルルウ、ヴルーテルウ、エスパニョールルウ、シチュールウ、ポタージュルウが該当する。本発明の食品用風味増強剤は、これらのルウに添加して用いることができる。
【0034】
上記スープとは、肉、野菜、魚介類等を煮込んだ水分の多い料理のことを指す。具体的には、例えば、鍋料理、そば、うどん、ラーメン、パスタ等のつゆ、コンソメスープ、卵スープ、ワカメスープ、フカヒレスープ、ポタージュスープ、オニオンスープ、コーンスープ、中華スープ、ボルシチ、味噌汁、吸い物が該当する。本発明の食品用風味増強剤は、これらのスープに添加して用いることができる。
【0035】
本発明の食品用風味増強剤をフライ油や炒め用油等を含む調理油として用いる場合、調理油は本発明の食品用風味増強剤のみで構成されてもよく、有機溶媒を用いて抽出された大豆油等の他の食品用油脂と混合して構成されてもよい。他の食品用油脂と混合する場合は、本発明の食品用風味増強剤の含有量が50質量%以上であることが好ましい。
【0036】
上記食品用油脂としては、特に限定されず、例えば、菜種油、コーン油、大豆油、パームオレイン、ゴマ油、落花生油、紅花油、ひまわり油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、胡桃油、カボチャ種子油、椿油、茶実油、オリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂などの植物油脂、牛脂、豚脂、鶏油、乳脂、魚油などの動物油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂等を挙げることができる。
【0037】
また、上記の植物油脂、動物油脂、又は合成油脂を硬化、分別及びエステル交換から選ばれる1種又は2種以上の処理をした加工油脂を使用することができる。また、これらの食品用油脂は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0038】
本発明の食品用風味増強剤は、油脂感及びコク味のいずれか1つ以上の増強を目的として使用されることが好ましく、用途や目的に応じたその他の食品添加物を含んでいても良い。また、調味料やその他食品に添加して使用するのに適した種々の形態とすることができる。
【実施例0039】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
本実施例及び比較例に係る食品用風味増強剤の油脂感、コク味及び香りの有無や程度は、詳細は後述する4~5名の専門パネルによる官能評価によって評価した。
【0041】
(実施例1)
原料大豆を、インパクターを用いて1/2から1/4に粗砕した後、エキスペラーを用いて圧搾処理して、圧搾油を得た。さらに圧搾粕の残油分を低下させるために一度圧搾処理した圧搾粕を再度エキスペラーで圧搾処理して、圧搾油を得た。これら2種の圧搾油を合一した該圧搾油を常法に従い脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理により精製処理して大豆圧搾精製油を得て、実施例1とした。
【0042】
(実施例2)
精製処理を脱ガム、脱色及び脱臭処理により行った以外は、実施例1と同様にして大豆圧搾精製油を得て、実施例2とした。
【0043】
(比較例)
原料大豆から、ヘキサンを用いて油分を抽出し、該抽出油を常法に従い脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理により精製処理して精製油を得て、比較例とした。
【0044】
[マヨネーズの作製]
卵黄20gと塩1.25gとを混合し、更に酢7.5gを添加して混合した。該混合物に実施例1,2及び比較例の精製油73gを少量ずつ加えながら混合し、つのができる粘度まで混合することでマヨネーズを作製した。
【0045】
[マヨネーズの油脂感の評価]
作製したマヨネーズを5名のパネラーが食し、その油脂感を、表1を評価基準としてそれぞれ評価した。評価の平均値を、表2に示す。
【0046】
【0047】
[カルパッチョの作製]
実施例1,2及び比較例の精製油15gと、酢30gと、塩2.5gとを混合し、一口程度の大きさに切られたまぐろを該混合液に漬けることでカルパッチョを作製した。
【0048】
[カルパッチョの油脂感とコク味の評価]
作製したカルパッチョを5名のパネラーが食し、その油脂感及びコク味を、表1を評価基準としてそれぞれ評価した。5人の評価値の平均値を算出し、表2に示した。
【0049】
[精製油の油脂感の評価]
実施例1,2及び比較例の精製油を5名のパネラーが食し、その油脂感を、表1を評価基準としてそれぞれ評価した。5人の評価値の平均値を算出し、表2に示した。
【0050】
【0051】
[コロッケの作製]
実施例1及び2の精製油150gと比較例の精製油150gとを混合し、それぞれ実施例1及び2ブレンド油とした。実施例1及び2ブレンド油と比較例の精製油を180℃まで加熱し、該精製油で冷凍コロッケを3分間揚げることでコロッケを作製した。揚げ開始から1分半で精製油中のコロッケをひっくり返し、精製油から引き揚げた後、1分間の油切りの後、4分間静置してからカットした。
【0052】
[コロッケの油脂感、コク味、香りの評価]
作製したコロッケを4名のパネラーが食し、その油脂感、コク味、食べる前の香り、食べたときの香り、及び、風味の伸びを、表1を評価基準としてそれぞれ評価した。4人の評価値の平均値を算出し、表3に示した。
【0053】
【0054】
[大豆ミートからあげの作製]
大豆ミート(マルコメ社製、ブロックタイプ)240gと、醤油22.5gと、料理酒22.5gとを混合し、更に片栗粉90gを加えて混合した。該混合物を3つに分割することで加熱前大豆ミートからあげを得た。フライパンを150℃まで加熱した後、フライパンに実施例1,2及び比較例の精製油を10g加え、加熱前大豆ミートからあげを3分間炒めることで大豆ミートからあげを作製した。
【0055】
[大豆ミートからあげの油脂感、コク味、香りの評価]
作製した大豆ミートからあげを4名のパネラーが食し、その油脂感、コク味、食べる前の香り、食べたときの香り、及び大豆臭を、表1を評価基準としてそれぞれ評価した。4人の評価値の平均値を算出し、表4に示した。
【0056】
【0057】
[スクランブルエッグの作製]
実施例1,2の精製油4gもしくは8g、及び比較例の精製油8gをフライパンで150℃まで加熱した後、溶き卵100gを加えて30秒間炒めることでスクランブルエッグを作製した。
【0058】
[スクランブルエッグの油脂感、コク味、香りの評価]
作製したスクランブルエッグを4名のパネラーが食し、その油脂感、コク味、食べる前の香り、及び食べたときの香りを、表1を評価基準としてそれぞれ評価した。4人の評価値の平均値を算出し、表5に示した。
【0059】
【0060】
(油脂感、コク味、香りの評価)
表2~5に示すように、有機溶媒を用いずに大豆を圧搾して得られた圧搾油を精製することにより得られた精製油である実施例1及び2、実施例1及び2の精製油を含む食品、実施例1及び2の精製油を用いて得られた食品は、有機溶媒を用いて抽出して得られた抽出油を精製することにより得られた精製油である比較例、比較例の精製油を含む食品、比較例の精製油を用いて得られた食品よりも油脂感、コク味が増強されていた。また、脱ガム、脱色及び脱臭処理により精製処理を行った実施例2の精製油、精製油を含む食品、精製油を用いて得られた食品は、脱ガム、脱酸、脱色、及び脱臭処理により精製処理を行った実施例1の精製油、精製油を含む食品、精製油を用いて得られた食品よりも油脂感、コク味が増強されていた。
【0061】
食べる前の香り及び食べたときの香りも同様に増強されていた。また、表4に示すように、実施例1及び2の精製油用いて炒めることにより、大豆ミートからあげの大豆臭が軽減された。