(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148077
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】仮保持部材及び仮保持具付ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20231005BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20231005BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20231005BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20231005BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02G3/30
H01B7/00 301
F16B5/06 C
F16B2/08 S
F16B5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055924
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】西村 誠
【テーマコード(参考)】
3J001
3J022
5G309
5G363
【Fターム(参考)】
3J001FA19
3J001GB01
3J001GC04
3J001HA04
3J001HA07
3J001JB00
3J001JB02
3J001JB14
3J001JD15
3J001KA19
3J001KB01
3J001KB02
3J022DA11
3J022EA16
3J022EB02
3J022EB03
3J022EB14
3J022EC02
3J022EC14
3J022EC22
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA02
3J022GA03
3J022GA16
3J022GB43
3J022GB45
3J022GB56
5G309AA09
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DA16
5G363DA20
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】様々な仮装着箇所にワイヤーハーネスをしっかりと仮保持することができるとともに、容易に取り外しできること。
【解決手段】ワイヤーハーネス100を保持するハーネス保持部20と、仮装着箇所Pに対してハーネス保持部20を装着する装着部30とが備えられ、装着部30は、仮装着箇所Pに設けられた貫通孔151に挿入される挿入片31と、挿入片31と対向する対向片32と、挿入片31と対向片32とが対向方向に所定間隔Iaを隔てて固定された基台33とが備えられ、挿入片31が貫通孔151に挿入された状態で貫通孔151の周縁部151uを跨いで対向片32が配置され、挿入片31と対向片32との対向面31a,32aのうち少なくとも一方に、他方に向かって突出するとともに、挿入片31が貫通孔151に挿入された状態において基台側に配置された周縁部151uの抜け出しを抑制する凸状部34が設けられた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスを仮装着箇所に対して仮保持する仮保持部材であり、
前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、
前記仮装着箇所に対して前記ハーネス保持部を装着する装着部とが備えられ、
前記装着部は、
前記仮装着箇所に設けられた貫通孔に挿入される挿入片と、
前記挿入片と対向する対向片と、
前記挿入片と前記対向片とが対向方向に所定間隔を隔てて固定された基台とが備えられ、
前記挿入片が前記貫通孔に挿入された状態で前記貫通孔の周縁部を跨いで前記対向片が配置され、
前記挿入片と前記対向片との対向面のうち少なくとも一方に、他方に向かって突出するとともに、前記挿入片が前記貫通孔に挿入された状態において前記基台側に配置された前記周縁部の抜け出しを抑制する凸状部が設けられた
仮保持部材。
【請求項2】
前記挿入片が前記対向片より長く形成された
請求項1に記載の仮保持部材。
【請求項3】
前記凸状部が、前記対向片の前記対向面に設けられた
請求項2に記載の仮保持部材。
【請求項4】
前記挿入片の前記対向面における前記対向片より突出する部分に、前記対向方向に突出する先端凸状部が設けられた
請求項3に記載の仮保持部材。
【請求項5】
前記凸状部が、所定の弾力性を有し、弾性変形する弾性凸状部である
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の仮保持部材。
【請求項6】
前記ハーネス保持部は、
前記ワイヤーハーネスの外径に応じて該ワイヤーハーネスを保持する径を調整する径調整部が設けられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の仮保持部材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載の仮保持部材が、
前記ワイヤーハーネスの先端付近に装着された
仮保持具付ワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤーハーネスを仮装着箇所に対して仮保持する仮保持部材及び仮保持具付ワイヤーハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に装備された電装機器は、被覆電線を束ねたワイヤーハーネスを介して、別の電装機器や電源装置と接続して電気回路を構成している。
なお、ワイヤーハーネスは様々な配索経路で配索され、所定の接続箇所で別の電装機器や電源装置とコネクタで接続する。
【0003】
上述のように、様々な配索経路で配索し、所定の接続箇所で接続するワイヤーハーネスは、配索作業中に、例えば、接続するコネクタが先端に設けられた枝線を仮置きして、配索することで作業性が向上することがある。
【0004】
例えば、特許文献1では、上部パネルを下部パネルに組付ける際に、ケーブルの他端側を上部パネルに仮置きするために、上部パネルに着脱でき、下部パネルに設けた取付孔に嵌め込み可能で、ケーブルがテープ等で固定された取付冶具が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された取付治具の場合、取付孔が設けられたパネルの板厚が異なると装着できないなど、取付箇所に応じた取付治具が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこでこの発明は、様々な仮装着箇所にワイヤーハーネスをしっかりと仮保持することができるとともに、容易に取り外すことができる仮保持部材及び仮保持具付ワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ワイヤーハーネスを仮装着箇所に対して仮保持する仮保持部材であり、前記ワイヤーハーネスを保持するハーネス保持部と、前記仮装着箇所に対して前記ハーネス保持部を装着する装着部とが備えられ、前記装着部は、前記仮装着箇所に設けられた貫通孔に挿入される挿入片と、前記挿入片と対向する対向片と、前記挿入片と前記対向片とが対向方向に所定間隔を隔てて固定された基台とが備えられ、前記挿入片が前記貫通孔に挿入された状態で前記貫通孔の周縁部を跨いで前記対向片が配置され、前記挿入片と前記対向片との対向面のうち少なくとも一方に、他方に向かって突出するとともに、前記挿入片が前記貫通孔に挿入された状態において前記基台側に配置された前記周縁部の抜け出しを抑制する凸状部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、上述の仮保持部材が、前記ワイヤーハーネスの先端付近に装着された仮保持具付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
前記仮装着箇所は、インパネコやその他パネルに設けられた貫通孔の上縁、側縁、下縁など、周方向の少なくとも一部の周縁部であることを含む。
【0009】
この発明により、仮装着箇所に設けた貫通孔に挿入片を挿入することで、対向片が挿入片に対して貫通孔の周縁部を跨いで配置され、前記挿入片が前記貫通孔に挿入された状態で基台側に配置された周縁部が凸状部に当接するため、不用意に外れることなく、様々な仮装着箇所にワイヤーハーネスをしっかりと仮保持できるとともに、容易に取り外すことができる。
【0010】
この発明の態様として、前記挿入片が前記対向片より長く形成されてもよい。
この発明により、対向片が周縁部に跨ぐように配置されるより先行して前記挿入片を貫通孔に挿入できるため、仮装着箇所により容易に仮保持することができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記凸状部が、前記対向片の前記対向面に設けられてもよい。
この発明により、仮保持状態において貫通片、対向片及び凸状部で周縁部を略囲んでしっかりと仮保持することができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記挿入片の前記対向面における前記対向片より突出する部分に、前記対向方向に突出する先端凸状部が設けられてもよい。
この発明により、周縁部が凸状部を越えて不用意に外れようとしても、前記挿入片の前記対向面における前記対向片より突出する部分に設けられた先端凸状部に係止するため、さらに確実に仮保持することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記凸状部が、所定の弾力性を有し、弾性変形する弾性凸状部であってもよい。
この発明により、弾性凸状部が所定の弾力性で弾性変形するため、容易に前記周縁部が前記基台側に配置される仮保持状態にすることができる。また、弾性凸状部を弾性変形させて基台側に配置された周縁部を導出させることができため、仮装着箇所から容易に取り外すことができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記ハーネス保持部は、前記ワイヤーハーネスの外径に応じて該ワイヤーハーネスを保持する径を調整する径調整部が設けられてもよい。
この発明により、径の異なる様々なワイヤーハーネスをしっかりと仮装着箇所に仮保持することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、様々な仮装着箇所にワイヤーハーネスをしっかりと仮保持することができるとともに、容易に取り外すことができる仮保持部材及び仮保持具付ワイヤーハーネスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の仮保持具付ワイヤーハーネスの要部を示す外観図
【
図2】(a)は本実施形態の仮保持部材の要部を示す平面図、(b)は同じく一部断面で示した正面図
【
図3】本実施形態の仮保持部材を所定の仮装着箇所に仮保持した状態を示す
図1に対応する外観図
【
図4】仮装着箇所に対してワイヤーハーネスを有する側から視た
図4に対応する外観図
【
図6】(a)は本実施形態の仮保持部材を所定の仮装着箇所に仮保持する前状態を
図5に対応して示す断面図、(b)は同じく仮保持する途中状態を示す断面図、(c)は同じく仮保持するさらに途中状態を示す断面図、(d)は同じく仮保持するさらに途中状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。なお、図中、矢印Xは仮保持部材の幅方向、矢印Yは仮保持部材の長手方向、矢印Zは仮保持部材の上下方向を、夫々示すものとする。さらに、図中、矢印Xaは幅方向一方側、矢印Xbは幅方向他方側、矢印Yaは長手方向一方側、矢印Ybは長手方向他方側、矢印Zaは上方向、矢印Zbは下方向を夫々示すものとする。
【0018】
図1に示すように、仮保持具付ワイヤーハーネス1は、自動車等の車体に組み付けられるワイヤーハーネス100と、ワイヤーハーネス100を車体に組み付ける際に、ワイヤーハーネス100の例えば、先端付近100aを車体における所定の仮装着箇所P(
図3参照)に対して仮保持する仮保持部材10とを備えている。
【0019】
ワイヤーハーネス100は、車体に組み付けられた状態において所定の配索経路に沿って配索される。ワイヤーハーネス100は、
図1に示すように、先端部にコネクタ101が接続され、車両に搭載された各種電気機器や電源(バッテリ)などの車載機器(図示省略)にコネクタ101を介して電気的に接続される。ワイヤーハーネス100は、幹線としてのメインハーネス(図示省略)と、メインハーネスから分岐する枝線としてのサブハーネス102を備えている。なお、
図1は、ワイヤーハーネス100における、サブハーネス102の先端付近100aに仮保持部材10を装着した状態を示しているが、これに限らず、メインハーネスの先端付近100aに仮保持部材10を装着して仮装着箇所Pに対して仮保持してもよい。
【0020】
図3、
図4に示すように、仮装着箇所Pは、例えば、車体におけるインストルメントパネルの基材(以下、「インパネコア150」と略記する)に設けられた貫通孔151の周縁部151u、当例では上縁部であり、本実施形態の仮保持部材10は、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uに係合することで仮保持される。
【0021】
本実施形態の仮保持部材10は、ワイヤーハーネス100を車体における、仮装着箇所Pに対して仮保持する部材であり、
図1~
図4に示すように、ワイヤーハーネス100を保持するハーネス保持部20と、仮装着箇所Pに対してハーネス保持部20を装着する装着部30とを備えている。
【0022】
ハーネス保持部20は、公知のバンドクランプと同様の構成であって、
図2(a)(b)に示すように、ワイヤーハーネス100に巻き付けられるバンド部21と、このバンド部21の基部21a(
図2(b)参照)が連結されたロック部25とを備えている。
【0023】
バンド部21は、可撓性を有する長尺な平板状に形成されている。バンド部21の内面には、複数の係合突起22が長さ方向に沿って互いに離間するように等ピッチで配設されている。
【0024】
ロック部25には、ワイヤーハーネス100に当接するハーネス当接面25aと、バンド部21の先端21bが挿通される挿通路26とが形成されている。この挿通路26の出口側かつ、挿通路26に挿通したバンド部21の内面と対向する内壁には、挿通路26に向けて舌片状に突出するロック爪27が形成されている。
【0025】
なお、仮保持部材10は、バンド部21と、挿入片31および対向片32とがY方向において相反する側へ配置されるようにロック部25と基台33とが一体に形成されている。
【0026】
ハーネス保持部20によってワイヤーハーネス100を保持する際には、ワイヤーハーネス100をロック部25におけるハーネス当接面25aに当接させ、ワイヤーハーネス100に対してバンド部21を巻き付けるとともに、バンド部21の先端21bを挿通路26に挿通する。
【0027】
ワイヤーハーネス100に対してバンド部21を巻き付けた状態で挿通路26に挿通したバンド部21に設けられた係合突起22をロック爪27に係合することで、バンド部21が挿通路26から意に反して抜けないように抜け止めする。これにより、ハーネス保持部20は、バンド部21とロック部25との間でワイヤーハーネス100を保持することができる。
【0028】
さらに、ハーネス保持部20は、複数の係合突起22のうち、ワイヤーハーネス100の外径に応じて選択される所定の係合突起22がロック爪27に係合されるため、ワイヤーハーネス100に巻き付けるバンド部21の内径、すなわち、保持力をワイヤーハーネス100の外径に応じて調節できる。したがって、ハーネス保持部20は、異なる径のワイヤーハーネス100も保持することができる。
【0029】
装着部30は、仮装着箇所Pに設けられた貫通孔151に挿入される挿入片31と、挿入片31と上方向Zaにおいて対向する対向片32と、挿入片31と対向片32とが互いに対向した状態で固定される基台33と、対向片32から下方向Zbへ向けて突出する凸状部34と、挿入片31から上方向Zaへ向けて突出する先端凸状部35が備えられている。
【0030】
挿入片31は、上下方向Zに延びる基台33の下部からYa方向へ直線状に延びるとともに、対向片32は、基台33の上部からYa方向へ直線状に延びている。すなわち、対向片32と挿入片31は、互いに平行になるように上下各側に互いに離間して延びている。さらに、挿入片31は、対向片32よりも長く形成され、対向片32のYa方向の端部よりYa方向へより突出して形成されている。
【0031】
図5に示すように、挿入片31の上面31aと対向片32の下面32aとは、上下方向Zに対向し、夫々の間隔Iaが、インパネコア150における仮装着箇所Pに設けられた貫通孔151の周縁部151uの上下方向の長さL150aよりも広く形成されている。これにより、挿入片31が貫通孔151に挿入された状態でインパネコア150における貫通孔151の周縁部151uは、挿入片31と対向片32との間の空間Sに配置される。換言すると、挿入片31が貫通孔151に挿入された状態で挿入片31と対向片32とは、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uを跨いで上下方向Zに互いに対向する。
【0032】
凸状部34は、対向片32の下面32aにおける、Ya方向の端部側に設けられている。凸状部34は、挿入片31の上面31aに達しない長さで下方向Zbへ突出する。
【0033】
本実施形態において、凸状部34の先端部、すなわち下端部と挿入片31の上面31aとの上下方向Zの間隔Ibは、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uの上下方向Zの長さL150aよりも広くなるように形成されている。さらに、本実施形態において、基台33と凸状部34との長手方向Yの間隔Icは、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uの板厚tよりも広くなるように形成されている。
【0034】
先端凸状部35は、挿入片31の上面31aにおける、対向片32のYa方向の端部よりもYa方向へ突出する部分31bに設けられている。先端凸状部35は、挿入片31の上面31aから凸状部34の突出方向と反対方向、すなわち上方向Zaへ突出する。但し、先端凸状部35は、挿入片31の上面31aと対向片32の下面32aとの上下方向Zの間隔Iaよりも短い長さで突出している。
【0035】
本実施形態において、先端凸状部35の上端部と、対向片32の下面32aとの上下方向の間隔Idは、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uの上下方向の長さL150aよりも広くなるように形成されている。
【0036】
先端凸状部35は、上述したように、挿入片31の上面31aにおける、対向片32のYa方向の端部よりもYa方向へ突出する部分31bに設けられているため、凸状部34に対してYa方向にずらした位置に設けられている。本実施形態において、凸状部34と先端凸状部35とのY方向の間隔Ieは、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uの板厚tよりも広くなるように形成されている。
【0037】
続いて、例えば、作業者が車体においてワイヤーハーネス100を所定の配索経路に沿って組付け作業を行う際に、ワイヤーハーネス100の先端付近100aに装着された本実施形態の仮保持部材10を、インパネコア150における仮装着箇所Pに設けられた、貫通孔151の周縁部151uに対して仮保持させる手順について説明する。
【0038】
作業者は、ワイヤーハーネス100の長手方向における先端付近100aを把持するなどして、仮保持部材10を、
図6(a)から
図6(b)に示す状態となるように、凸状部34が貫通孔151の周縁部151uに当接するまで挿入片31をインパネコア150における貫通孔151へ挿入する。
【0039】
さらに、
図6(b)から
図6(c)に示す状態となるように、貫通孔151の周縁部151uの下面151ubに挿入片31の上面31aが当接するまでワイヤーハーネス100の先端付近100aを仮保持部材10ごと持ち上げる。さらにまた、
図6(c)から
図6(d)に示す状態となるように、挿入片31の上面31aをインパネコア150における貫通孔151の周縁部151uの下面151ubに当接させた状態で、挿入片31をインパネコア150における貫通孔151へさらに挿入する。
【0040】
その際、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uは、凸状部34に対してYa方向の側から凸状部34を越えてYb方向の側へと挿入片31の上面31aに沿ってYb方向へスライドする。そうすると、
図6(d)に示すように、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uは、挿入片31と対向片32との間の空間Sにおける、Yb方向の側、すなわち奥側の空間Sb(以下、「奥側空間Sb」と称する)に配置される。
【0041】
そして、作業者がワイヤーハーネス100の先端側部位から手を離すと、
図3~
図5に示すように、仮保持部材10における装着部30を、インパネコア150における仮装着箇所Pとしての貫通孔151の周縁部151uに係合することができる。すなわち、仮保持部材10をインパネコア150における貫通孔151の周縁部151uに対して意に反して外れないように仮保持することができる。
【0042】
なお、
図3~
図5に示すように、仮保持部材10は、車体における所定の仮装着箇所Pにおいて、仮装着箇所Pから意に反して外れない範囲でインパネコア150に対して傾いた姿勢で仮保持されることがある。但し、本実施形態の仮保持部材10は、便宜上、該仮保持部材10のY方向がインパネコア150の板厚方向と一致する姿勢で仮装着箇所Pにおいて仮保持されるものとする。
【0043】
一方で、作業者が仮保持部材10を貫通孔151の周縁部151uから取り外す際には、貫通孔151の周縁部151uに対して仮保持させるための上述した手順と逆の手順で仮保持部材10を動かくことで貫通孔151の周縁部151uから容易に取り外すことができる。
【0044】
上述した実施形態の仮保持部材10は、
図3~
図5に示すように、インパネコア150の仮装着箇所Pに設けられた貫通孔151に挿入片31を挿入することで、対向片32が貫通孔151の周縁部151uを跨いで配置される。
【0045】
すなわち、挿入片31が貫通孔151に挿入された状態においては、貫通孔151の周縁部151uは、挿入片31と対向片32との間の空間Sにおける、凸状部34よりもYb方向の側に有する奥側空間Sbに配置される。
【0046】
このため、挿入片31が貫通孔151から抜けようとしても、貫通孔151の周縁部151uが凸状部34に当接するため、貫通孔151の周縁部151uから装着部30が不用意に外れることない。
【0047】
一方、貫通孔151の周縁部151uから装着部30を意図的に外す際には、仮保持部材10を軽く持ち上げた状態で挿入片31を貫通孔151から抜く方向へ動かすだけで貫通孔151の周縁部151uが凸状部34に当接することなく、貫通孔151の周縁部151uから装着部30を容易に取り外すことができる。
したがって、ワイヤーハーネス100を様々な仮装着箇所Pに対して仮保持部材10を介してしっかりと仮保持できるとともに、容易に取り外すことができる。
【0048】
また、
図1、
図2(a)、
図3~
図5に示すように、仮保持部材10は、挿入片31が対向片32より長く形成されているため、対向片32が挿入片31に対して貫通孔151の周縁部151uを跨ぐように配置されるよりも先行して挿入片31を貫通孔151に挿入できるため、仮装着箇所Pにおいて装着部30をより容易に仮保持することができる。
【0049】
また、同図に示すように、仮保持部材10は、凸状部34が、対向片32の下面32aに設けられているため、仮保持状態において挿入片31、対向片32及び凸状部34で周縁部151uを側面視で略囲んで装着部30をしっかりと仮保持することができる。
【0050】
また、同図に示すように、挿入片31における、対向片32より突出する部分31bの上面31aに、上方向Zaに突出する先端凸状部35が設けられているため、奥側空間Sbに配置された貫通孔151の周縁部151uが凸状部34を越えて不用意に挿入片31から外れようとしても、挿入片31における、対向片32よりYa方向へ突出する部分31bに設けられた先端凸状部35に係止するため、さらに確実に装着部30を仮保持することができる。
【0051】
また、
図1~
図5に示すように、仮保持部材10のハーネス保持部20は、バンド部21によって保持するワイヤーハーネス100の外径に応じてバンド部21の径を調整する径調整部としての複数の係合突起22および、複数の係合突起22の何れかに係合するロック爪27が設けられているため、径の異なる様々なワイヤーハーネス100をしっかりと仮装着箇所Pに仮保持することができる。
【0052】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、仮保持具付ワイヤーハーネスは、仮保持具付ワイヤーハーネス1に対応し、同様に
仮保持部材は、仮保持部材10に対応し、
径調整部は、複数の係合突起22およびロック爪27に対応し、
装着部は、装着部30に対応し、
挿入片は、挿入片31に対応し、
対向片は、対向片32に対応し、
挿入片の対向面における対向片32より突出する部分は、挿入片31の対向面における対向片32より突出する部分31bに対応し、
挿入片と対向片との対向面は、挿入片31の上面31aおよび対向片32の下面32aに対応し、
挿入片と対向片との対向面のうち少なくとも一方は、挿入片31の上面31aに対応し、
他方は、対向片32の下面32aに対応し、
対向片の対向面は、対向片32の下面32aに対応し、
基台は、基台33に対応し、
凸状部は、凸状部34に対応し、
先端凸状部は、先端凸状部35に対応し、
ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス100に対応し、
ワイヤーハーネスの先端付近は、ワイヤーハーネスの先端付近100aに対応し、
貫通孔は、貫通孔151に対応し、
貫通孔の周縁部は、貫通孔の周縁部151uに対応し、
仮装着箇所は、仮装着箇所Pに対応し、
所定間隔は、間隔Iaに対応し、
対向方向は、上下方向Zに対応するが、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0053】
例えば、図示省略するが、本発明の仮保持部材は、凸状部が、所定の弾力性を有し、弾性変形する弾性凸状部であってもよい。
これにより、弾性凸状部が所定の弾力性で弾性変形するため、インパネコア150における貫通孔151の周縁部151uを弾性凸状部よりもYa方向の側から弾性凸状部を弾性変形させてYb方向の側、すなわち奥側空間Sbへと容易に配置して装着部30を仮装着箇所Pにおいて仮保持することができる。また、弾性凸状部を弾性変形させて奥側空間Sbから弾性凸状部よりもYa方向の側へと容易に配置して仮装着箇所Pにおいて装着部30を外すことができる。
【0054】
ここで、弾性変形は、突出方向、すなわち上下方向Zに圧縮する態様と、Y方向へ倒れるように撓み変形する態様とのうち、何れの態様で弾性変形してもよい。
【0055】
また、本発明の仮保持部材は、凸状部34のみを所定の弾力性で弾性変形するように形成するに限らず、凸状部34と先端凸状部35のうち、少なくとも一方を所定の弾力性で弾性変形するように形成してもよい。
【0056】
また、本発明の凸状部は、上述した実施形態の凸状部34のように、対向片32の下面32aから下方向Zbに向かって突出する形態に限らず、挿入片31と対向片32との対向面のうち少なくとも一方に、他方に向かって突出する構成であれば、例えば、挿入片31の上面31aから上方向Zaに向かって突出する、挿入片31と対向片32との双方から他方に向かって突出する構成としてもよい。
このように構成しても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0057】
なお、凸状部を挿入片31と対向片32との双方から他方に向かって突出する構成とする場合には、挿入片31と対向片32とは、Z方向において互いに一致する部位であっても、異なる部位に設けられた構成としてもよい。
何れの構成としても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0058】
1…仮保持具付ワイヤーハーネス
10…仮保持部材
20…ハーネス保持部
22…係合突起
27…ロック爪
30…装着部
31…挿入片
31a…挿入片の上面
31b…挿入片の対向面における対向片より突出する部分
32…対向片
32a…対向片の下面
33…基台
34…凸状部
35…先端凸状部
100…ワイヤーハーネス
100a…ワイヤーハーネスの先端付近
151…貫通孔
151u…貫通孔の周縁部
P…仮装着箇所
Ia…間隔
Z…上下方向