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特開2023-148227ワークピースの研磨方法および研磨装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148227
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ワークピースの研磨方法および研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/013 20120101AFI20231005BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20231005BHJP
   B24B 49/04 20060101ALI20231005BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20231005BHJP
   B24B 53/017 20120101ALI20231005BHJP
   B24B 55/06 20060101ALI20231005BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B24B37/013
B24B37/10
B24B49/04 Z
B24B49/12
B24B53/017 Z
B24B55/06
H01L21/304 621D
H01L21/304 622S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056134
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】金馬 利文
【テーマコード(参考)】
3C034
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C034AA08
3C034BB75
3C034BB93
3C034CA02
3C034CB03
3C034DD01
3C034DD07
3C034DD10
3C047AA20
3C047AA22
3C047AA34
3C047FF08
3C047FF19
3C047HH15
3C158AA07
3C158AA12
3C158AB04
3C158AB06
3C158AC02
3C158AC04
3C158AC05
3C158BA09
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB14
3C158ED01
5F057AA20
5F057BA11
5F057CA11
5F057DA03
5F057DA38
5F057EC30
5F057FA36
5F057FA41
5F057GA12
5F057GA27
5F057GB02
5F057GB13
5F057GB20
(57)【要約】
【課題】スラリーなどの研磨液がワークピースの膜厚の測定精度に与える影響を低減させ、正確な膜厚測定を達成することができる研磨方法を提供する。
【解決手段】本研磨方法は、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態でワークピースWを研磨ヘッド1により研磨パッド2に押し付けて該ワークピースWを研磨し、ワークピースWの研磨中に、研磨テーブル3内に配置された光学センサヘッド7によりワークピースWに光を照射し、かつワークピースWからの反射光を受け、反射光のスペクトルに基づいてワークピースWの膜厚を決定し、ワークピースWの研磨中に、洗浄ノズル8から光学センサヘッド7の直上のターゲット位置TPに洗浄液を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースの研磨方法であって、
研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させながら、前記研磨パッド上に研磨液を供給し、
前記研磨パッド上に前記研磨液が存在した状態で前記ワークピースを研磨ヘッドにより前記研磨パッドに押し付けて該ワークピースを研磨し、
前記ワークピースの研磨中に、前記研磨テーブル内に配置された光学センサヘッドにより前記ワークピースに光を照射し、かつ前記ワークピースからの反射光を受け、
前記反射光のスペクトルに基づいて前記ワークピースの膜厚を決定し、
前記ワークピースの研磨中に、前記光学センサヘッドの直上のターゲット位置に洗浄ノズルから洗浄液を供給し、
前記洗浄ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置され、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記研磨ヘッドの上流に位置している、研磨方法。
【請求項2】
前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの上流にあるときに、前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給が開始される、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給は、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの下に移動する前に停止される、請求項2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記洗浄液は、前記研磨テーブルの回転に同期して間欠的に前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項5】
前記研磨テーブルの一回転あたりの洗浄液の供給時間は、前記研磨テーブルが一回転する時間の半分よりも短い、請求項4に記載の研磨方法。
【請求項6】
前記研磨方法は、前記ワークピースの研磨中に、気体ノズルから前記ターゲット位置に気体を供給することをさらに含み、
前記気体ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置されており、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記洗浄ノズルの上流に位置している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項7】
前記研磨テーブルが一回転する間に、前記気体および前記洗浄液は交互に前記気体ノズルおよび前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給される、請求項6に記載の研磨方法。
【請求項8】
ワークピースのための研磨装置であって、
研磨パッドを支持する研磨テーブルと、
前記研磨テーブルを回転させるテーブルモータと、
研磨液を前記研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルと、
前記研磨パッド上に前記研磨液が存在した状態で前記ワークピースを前記研磨パッドに押し付けて該ワークピースを研磨する研磨ヘッドと、
前記ワークピースの研磨中に、前記ワークピースに光を照射し、かつ前記ワークピースからの反射光を受けるように配置された光学センサヘッドと、前記光学センサヘッドは前記研磨テーブル内に配置されており、
前記反射光のスペクトルに基づいて前記ワークピースの膜厚を決定するスペクトル処理装置と、
前記光学センサヘッドの直上のターゲット位置に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに連結された洗浄液供給弁と、
前記洗浄液供給弁の動作を制御する流体供給制御部を備え、
前記洗浄ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置され、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記研磨ヘッドの上流に位置しており、
前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記ワークピースの研磨中に、前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に前記洗浄液を供給させるように構成されている、研磨装置。
【請求項9】
前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの上流にあるときに前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給を開始させるように構成されている、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの下に移動する前に前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給を停止させる、請求項9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記研磨テーブルの回転に同期して間欠的に前記洗浄液を前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給させるように構成されている、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記研磨テーブルの一回転あたりの洗浄液の供給時間は、前記研磨テーブルが一回転する時間の半分よりも短い、請求項11に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記研磨装置は、前記ターゲット位置に気体を供給する気体ノズルと、
前記気体ノズルに連結された気体供給弁をさらに備えており、
前記流体供給制御部は、前記気体供給弁の動作を制御するように構成されており、
前記気体ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置されており、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記洗浄ノズルの上流に位置している、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁および前記気体供給弁に指令を与えて、前記研磨テーブルが一回転する間に、前記気体および前記洗浄液を交互に前記気体ノズルおよび前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給させるように構成されている、請求項13に記載の研磨装置。
【請求項15】
前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給される前記洗浄液の流量を調節する流量調節弁をさらに備えている、請求項8乃至14のいずれか一項に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造に使用されるウェーハ、基板、パネルなどのワークピースを研磨する技術に関し、特にスラリーなどの研磨液がワークピースの膜厚の測定精度に与える影響を低減させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、シリコンウェーハ上に種々の材料が膜状に繰り返し形成され、積層構造を形成する。この積層構造を形成するためには、最上層の表面を平坦にする技術が重要となっている。このような平坦化手段として、化学機械研磨(CMP)が使用されている。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は研磨装置によって実行される。この種の研磨装置は、一般に、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、ワークピース(例えば、膜を有するウェーハ)を保持する研磨ヘッドと、研磨液(例えばスラリー)を研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルとを備える。ワークピースを研磨するときは、研磨液供給ノズルから研磨液を研磨パッド上に供給しながら、研磨ヘッドによりワークピースの表面を研磨パッドに押し付ける。研磨ヘッドと研磨テーブルをそれぞれ回転させてワークピースと研磨パッドとを相対移動させることにより、ワークピースの表面を形成する膜を研磨する。
【0004】
絶縁膜やシリコン層などの非金属膜の厚さを測定するために、研磨装置は、一般に、光学膜厚測定装置を備える。この光学膜厚測定装置は、ワークピースの研磨中に、光源から発せられた光をワークピースの表面に導き、ワークピースからの反射光のスペクトルを解析することで、ワークピースの膜厚を決定するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-104191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ワークピースの研磨中に得られるスペクトルは、研磨パッド上に存在する研磨液の影響を受けやすい。例えば、研磨液の流量を増やした研磨条件下、または濃度の高い研磨液を使用する研磨条件下では、ワークピースからの反射光の強度が低下し、結果として反射光のスペクトルから算出される膜厚が、実際の膜厚から大きく異なることがある。
【0007】
そこで、本発明は、スラリーなどの研磨液がワークピースの膜厚の測定精度に与える影響を低減させ、正確な膜厚測定を達成することができる研磨方法および研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、ワークピースの研磨方法であって、研磨パッドを支持する研磨テーブルを回転させながら、前記研磨パッド上に研磨液を供給し、前記研磨パッド上に前記研磨液が存在した状態で前記ワークピースを研磨ヘッドにより前記研磨パッドに押し付けて該ワークピースを研磨し、前記ワークピースの研磨中に、前記研磨テーブル内に配置された光学センサヘッドにより前記ワークピースに光を照射し、かつ前記ワークピースからの反射光を受け、前記反射光のスペクトルに基づいて前記ワークピースの膜厚を決定し、前記ワークピースの研磨中に、前記光学センサヘッドの直上のターゲット位置に洗浄ノズルから洗浄液を供給し、前記洗浄ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置され、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記研磨ヘッドの上流に位置している、研磨方法が提供される。
【0009】
一態様では、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの上流にあるときに、前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給が開始される。
一態様では、前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給は、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの下に移動する前に停止される。
一態様では、前記洗浄液は、前記研磨テーブルの回転に同期して間欠的に前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給される。
一態様では、前記研磨テーブルの一回転あたりの洗浄液の供給時間は、前記研磨テーブルが一回転する時間の半分よりも短い。
一態様では、前記研磨方法は、前記ワークピースの研磨中に、気体ノズルから前記ターゲット位置に気体を供給することをさらに含み、前記気体ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置されており、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記洗浄ノズルの上流に位置している。
一態様では、前記研磨テーブルが一回転する間に、前記気体および前記洗浄液は交互に前記気体ノズルおよび前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給される。
【0010】
一態様では、ワークピースのための研磨装置であって、研磨パッドを支持する研磨テーブルと、前記研磨テーブルを回転させるテーブルモータと、研磨液を前記研磨パッド上に供給する研磨液供給ノズルと、前記研磨パッド上に前記研磨液が存在した状態で前記ワークピースを前記研磨パッドに押し付けて該ワークピースを研磨する研磨ヘッドと、前記ワークピースの研磨中に、前記ワークピースに光を照射し、かつ前記ワークピースからの反射光を受けるように配置された光学センサヘッドと、前記光学センサヘッドは前記研磨テーブル内に配置されており、前記反射光のスペクトルに基づいて前記ワークピースの膜厚を決定するスペクトル処理装置と、前記光学センサヘッドの直上のターゲット位置に洗浄液を供給する洗浄ノズルと、前記洗浄ノズルに連結された洗浄液供給弁と、前記洗浄液供給弁の動作を制御する流体供給制御部を備え、前記洗浄ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置され、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記研磨ヘッドの上流に位置しており、前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記ワークピースの研磨中に、前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に前記洗浄液を供給させるように構成されている、研磨装置が提供される。
【0011】
一態様では、前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの上流にあるときに前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給を開始させるように構成されている。
一態様では、前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記ターゲット位置が前記研磨ヘッドの下に移動する前に前記洗浄ノズルからの前記洗浄液の供給を停止させる。
一態様では、前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁に指令を与えて、前記研磨テーブルの回転に同期して間欠的に前記洗浄液を前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給させるように構成されている。
一態様では、前記研磨テーブルの一回転あたりの洗浄液の供給時間は、前記研磨テーブルが一回転する時間の半分よりも短い。
一態様では、前記研磨装置は、前記ターゲット位置に気体を供給する気体ノズルと、前記気体ノズルに連結された気体供給弁をさらに備えており、前記流体供給制御部は、前記気体供給弁の動作を制御するように構成されており、前記気体ノズルは、前記研磨パッドの上方に配置されており、かつ前記研磨テーブルの回転方向において前記洗浄ノズルの上流に位置している。
一態様では、前記流体供給制御部は、前記洗浄液供給弁および前記気体供給弁に指令を与えて、前記研磨テーブルが一回転する間に、前記気体および前記洗浄液を交互に前記気体ノズルおよび前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給させるように構成されている。
一態様では、前記研磨装置は、前記洗浄ノズルから前記ターゲット位置に供給される前記洗浄液の流量を調節する流量調節弁をさらに備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄液が研磨パッドの上からターゲット位置に供給され、研磨液(例えばスラリー)をターゲット位置から除去することができる。したがって、光学センサヘッドに入射するワークピースからの反射光は、研磨液の影響を受けにくく、結果として、ワークピースの研磨中にワークピースの正確な膜厚を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】研磨装置の一実施形態を示す模式図である。
図2】スペクトルの一例を示す図である。
図3】洗浄ノズルと研磨ヘッドとの位置関係の一例を説明するための上面図である。
図4】研磨装置の断面図である。
図5】研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。
図6】研磨装置のさらに他の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、研磨装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨パッド2を支持する研磨テーブル3と、半導体デバイスの製造に使用されるウェーハ、基板、パネルなどのワークピースWを研磨パッド2に押し付ける研磨ヘッド1と、研磨テーブル3を回転させるテーブルモータ6と、スラリーなどの研磨液を研磨パッド2上に供給するための研磨液供給ノズル5と、洗浄液を研磨パッド2上に供給する洗浄ノズル8を備えている。研磨パッド2の上面は、ワークピースWを研磨する研磨面2aを構成する。本実施形態の研磨対象であるワークピースWは円形のウェーハであるが、ワークピースWは矩形状、正方形、あるいは多角形などの他の形状を有してもよい。
【0015】
研磨ヘッド1はヘッドシャフト10に連結されており、ヘッドシャフト10は図示しない研磨ヘッドモータに連結されている。研磨ヘッドモータは、研磨ヘッド1をヘッドシャフト10とともに矢印で示す方向に回転させる。研磨テーブル3はテーブルモータ6に連結されており、テーブルモータ6は研磨テーブル3および研磨パッド2を矢印で示す方向に回転させるように構成されている。
【0016】
ワークピースWは次のようにして研磨される。研磨テーブル3および研磨ヘッド1を図1の矢印で示す方向に回転させながら、研磨液供給ノズル5から研磨液が研磨テーブル3上の研磨パッド2の研磨面2aに供給される。ワークピースWは研磨ヘッド1によって回転されながら、研磨パッド2上に研磨液が存在した状態でワークピースWは研磨ヘッド1によって研磨パッド2の研磨面2aに押し付けられる。ワークピースWの表面は、研磨液の化学的作用と、研磨液に含まれる砥粒および/または研磨パッド2の機械的作用により研磨される。本実施形態の研磨装置は、ワークピースWを、その被研磨面が下向きの状態で研磨パッド2の研磨面2aに対して押し付けるフェースダウン型研磨装置である。
【0017】
研磨装置は、ワークピースWの研磨中にワークピースWの膜厚を測定する光学膜厚測定装置20を備えている。光学膜厚測定装置20は、光を発する光源22と、光源22の光をワークピースWに照射し、ワークピースWからの反射光を受ける光学センサヘッド7と、ワークピースWからの反射光の強度を測定する分光器24と、ワークピースWからの反射光の強度測定データに基づいてワークピースWの膜厚を決定するスペクトル処理装置27を備えている。光源22および分光器24は、光学センサヘッド7に連結されている。光源22、分光器24、および光学センサヘッド7は、研磨テーブル3に取り付けられており、研磨テーブル3とともに回転する。
【0018】
研磨パッド2は、光を通過させるための通孔30を有している。研磨テーブル3が一回転するたびに、光源22によって発せられた光は、光学センサヘッド7に伝送され、光学センサヘッド7から通孔30を通ってワークピースWの表面に導かれる。光はワークピースWの表面で反射し、ワークピースWの表面からの反射光は通孔30を通って光学センサヘッド7によって受けられる。反射光は光学センサヘッド7から分光器24に送られる。分光器24は所定の波長範囲に亘って反射光を波長に従って分解し、各波長での反射光の強度を測定することで反射光の強度測定データを生成する。反射光の強度測定データは、分光器24からスペクトル処理装置27に送られる。
【0019】
スペクトル処理装置27は、反射光の強度測定データから、ワークピースWの反射光のスペクトルを生成するように構成されている。反射光のスペクトルは、反射光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。反射光の強度は、反射率または相対反射率などの相対値として表わすこともできる。
【0020】
スペクトル処理装置27は、反射光のスペクトルからワークピースWの膜厚を決定するように構成されている。スペクトルに基づいてワークピースWの膜厚を決定する方法には、公知の技術が用いられる。例えば、スペクトル処理装置27は、反射光のスペクトルに最も形状が近い参照スペクトルを参照スペクトルライブラリの中から決定し、この決定された参照スペクトルに関連付けられた膜厚を決定する。他の例では、スペクトル処理装置27は、反射光のスペクトルに対してフーリエ変換を実行し、得られた周波数スペクトルから膜厚を決定する。
【0021】
図2は、スペクトル処理装置27によって生成されたスペクトルの一例を示す図である。スペクトルは、光の波長と強度との関係を示す線グラフ(すなわち分光波形)として表される。図2において、横軸はワークピースWから反射した光の波長を表わし、縦軸は反射した光の強度から導かれる相対反射率を表わす。相対反射率とは、反射光の強度を示す指標値であり、光の強度と所定の基準強度との比である。各波長において光の強度(実測強度)を所定の基準強度で割ることにより、装置の光学系や光源固有の強度のばらつきなどの不要なノイズを実測強度から除去することができる。
【0022】
図2に示す例では、反射光のスペクトルは、相対反射率と反射光の波長との関係を示す分光波形であるが、反射光のスペクトルは、反射光の強度自体と、反射光の波長との関係を示す分光波形であってもよい。
【0023】
図1に示すように、スペクトル処理装置27は、ワークピースWの研磨動作を制御するための研磨制御部9に接続されている。この研磨制御部9は、スペクトル処理装置27によって決定されたワークピースWの膜厚に基づいて、ワークピースWの研磨動作を制御する。例えば、研磨制御部9は、ワークピースWの膜厚が目標膜厚に達した時点である研磨終点を決定する、あるいはワークピースWの膜厚が所定の値に達したときにワークピースWの研磨条件を変更するように構成されている。
【0024】
スペクトル処理装置27は、プログラムが格納された記憶装置27aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置27bを備えている。スペクトル処理装置27は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。記憶装置27aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置27bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、スペクトル処理装置27の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0025】
図1に示すように、洗浄ノズル8は、研磨テーブル3および研磨パッド2の上方に配置されている。より具体的には、洗浄ノズル8は、研磨テーブル3とともに回転する光学センサヘッド7の軌道HPの上方に配置されており、軌道HPを向いている。洗浄ノズル8は、研磨テーブル3および研磨パッド2の回転方向において、研磨ヘッド1の上流に位置している。
【0026】
洗浄ノズル8は、研磨パッド2の上方から研磨パッド2上に洗浄液を供給するように配置されている。より具体的には、洗浄ノズル8は、光学センサヘッド7の直上のターゲット位置TPに洗浄液を供給する。洗浄液の例としては、純水が挙げられる。ターゲット位置TPは、研磨パッド2の研磨面2a内にある。具体的には、ターゲット位置TPは、研磨パッド2に形成された通孔30の位置である。一実施形態では、洗浄液は、光学センサヘッド7の直上のターゲット位置TPを含む円弧状のエリアに供給されるようにしてもよい。円弧状のエリアは、光学センサヘッド7の軌道HPに沿った円弧状のエリアである。
【0027】
研磨装置は、洗浄ノズル8に連結された洗浄液供給ライン35と、洗浄液供給ライン35に取り付けられた洗浄液供給弁36と、洗浄液供給弁36の動作を制御する流体供給制御部39を備えている。洗浄液供給ライン35は、洗浄液供給源(図示せず)に連結されており、洗浄液(例えば純水)を洗浄ノズル8に供給する。洗浄液供給弁36は、電動弁、電磁弁、エアペレート弁などのアクチュエータ駆動型弁である。一実施形態では、洗浄液供給弁36は、洗浄ノズル8に直接連結されてもよい。
【0028】
流体供給制御部39は、洗浄液供給弁36に指令を与えて、ワークピースWの研磨中に、洗浄ノズル8からターゲット位置TPに洗浄液を供給させるように構成されている。洗浄ノズル8から放出された洗浄液は、ターゲット位置TPから研磨液を除去することができる。したがって、光学センサヘッド7に入射するワークピースWからの反射光は、研磨液の影響を受けにくく、結果として、スペクトル処理装置27は、ワークピースWの研磨中にワークピースWの正確な膜厚を決定することができる。
【0029】
研磨装置は、洗浄液供給ライン35に取り付けられた流量調節弁37をさらに備えている。この流量調節弁37は洗浄液供給弁36の上流に配置されており、洗浄ノズル8から供給される洗浄液の流量を調節するように構成されている。流量調節弁37は流体供給制御部39に接続されており、流量調節弁37の動作は流体供給制御部39によって制御される。流量調節弁37の動作、すなわち洗浄ノズル8からターゲット位置TPに供給される洗浄液の流量は、研磨テーブル3の回転速度、研磨パッド2の種類、研磨液の種類および/または濃度、研磨パッド2の構造(例えば、後述する透明窓の有無)などに基づいて設定される。
【0030】
ワークピースWの研磨中は、研磨液と洗浄液の両方が研磨パッド2上に供給される。すなわち、研磨液(例えばスラリー)が研磨パッド2の研磨面2a上に供給されながら、洗浄液は、研磨パッド2内のターゲット位置TPに供給される。ターゲット位置TPに一旦供給された洗浄液が研磨液に置換されることを防止するためには、ターゲット位置TPが研磨ヘッド1に近づいたときに洗浄ノズル8から洗浄液をターゲット位置TPに供給することが好ましい。
【0031】
そこで、流体供給制御部39は、ワークピースWの研磨中に、洗浄液供給弁36に指令を与えて、ターゲット位置TPが研磨ヘッド1の上流にあるときに洗浄ノズル8からの洗浄液の供給を開始させるように構成されている。一実施形態では、流体供給制御部39は、ワークピースWの研磨中に、洗浄液供給弁36に指令を与えて、ターゲット位置TPが研磨ヘッド1の下に移動する前に洗浄ノズル8からの洗浄液の供給を停止させるように構成されている。このような洗浄液の供給動作によれば、研磨液が洗浄液で希釈されることを抑制し、ワークピースWの研磨レート(除去レートともいう)の低下を防止することができる。
【0032】
本実施形態では、流体供給制御部39は、洗浄液供給弁36に指令を与えて、研磨テーブル3の回転に同期して洗浄液を間欠的に洗浄ノズル8からターゲット位置TPに供給させるように構成されている。すなわち、研磨テーブル3が一回転するたびに、洗浄液の供給開始と供給停止が行われる。研磨テーブル3が一回転するたびに、洗浄液の供給開始と供給停止を複数回繰り返し、洗浄液の圧力でターゲット位置TPから研磨液を除去するようにしてもよい。研磨テーブル3の一回転あたりの洗浄液の供給時間は、研磨テーブル3が一回転する時間の半分よりも短い。一実施形態では、研磨液の希釈を防ぐ観点から、研磨テーブル3の一回転あたりの洗浄液の供給時間は、研磨テーブル3が一回転する時間の3分の1よりも短い。
【0033】
流体供給制御部39は、プログラムが格納された記憶装置39aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置39bを備えている。流体供給制御部39は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。記憶装置39aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置39bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、流体供給制御部39の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0034】
図3は、洗浄ノズル8と研磨ヘッド1との位置関係の一例を説明するための上面図である。研磨テーブル3の回転中心CPと研磨ヘッド1の上流側端面とを延びる直線をL1とし、研磨テーブル3の回転中心CPと洗浄ノズル8の吐出口とを延びる直線をL2とすると、直線L1と直線L2との間の角度αは、0~120度、より好ましくは20~90度、さらに好ましくは30~60度の範囲内にある。このような位置にある洗浄ノズル8は、ターゲット位置TPが研磨ヘッド1の下に移動する直前に洗浄液をターゲット位置TPに当てることができるので、ターゲット位置TPに一旦供給された洗浄液が研磨液に置換されることを防止することができる。
【0035】
図4を参照して、光学膜厚測定装置20の詳細について説明する。分光器24は、光検出器25を備えている。一実施形態では、光検出器25は、フォトダイオード、CCD、またはCMOSなどから構成されている。光学センサヘッド7は、光源22および光検出器25に光学的に連結されている。光検出器25はスペクトル処理装置27に電気的に接続されている。
【0036】
光学膜厚測定装置20は、光源22から発せられた光をワークピースWの表面に導く投光用光ファイバーケーブル41と、ワークピースWからの反射光を受け、反射光を分光器24に送る受光用光ファイバーケーブル42を備えている。投光用光ファイバーケーブル41の先端および受光用光ファイバーケーブル42の先端は、研磨テーブル3内に位置している。
【0037】
投光用光ファイバーケーブル41の先端および受光用光ファイバーケーブル42の先端は、光をワークピースWの表面に導き、かつワークピースWからの反射光を受ける光学センサヘッド7を構成する。投光用光ファイバーケーブル41の他端は光源22に接続され、受光用光ファイバーケーブル42の他端は分光器24に接続されている。分光器24は、ワークピースWからの反射光を波長に従って分解し、所定の波長範囲に亘って反射光の強度を測定するように構成されている。
【0038】
研磨テーブル3は、その上面で開口する第1の孔50Aおよび第2の孔50Bを有している。また、研磨パッド2は、これら孔50A,50Bに対応する位置に形成された通孔30を有している。孔50A,50Bと通孔30とは連通し、通孔30は研磨面2aで開口している。第1の孔50Aは液体供給ライン54に連結されており、第2の孔50Bはドレインライン55に連結されている。投光用光ファイバーケーブル41の先端および受光用光ファイバーケーブル42の先端から構成される光学センサヘッド7は、第1の孔50Aに配置されており、かつ通孔30の下方に位置している。
【0039】
ワークピースWの研磨中は、リンス液として純水が液体供給ライン54を介して第1の孔50Aに供給され、さらに第1の孔50Aを通って通孔30に供給される。純水は、ワークピースWの表面(被研磨面)と光学センサヘッド7との間の空間を満たす。純水は、第2の孔50Bに流れ込み、ドレインライン55を通じて排出される。第1の孔50Aおよび通孔30内を流れる純水は、研磨液が第1の孔50Aに浸入することを防止し、これにより光路が確保される。
【0040】
光学センサヘッド7から発せられた光は、通孔30を通ってワークピースWに照射され、ワークピースWからの反射光は通孔30を通過して光学センサヘッド7に受けられる。本実施形態では、通孔30の位置は、洗浄ノズル8から洗浄液が供給されるターゲット位置TPである。したがって、洗浄ノズル8は、通孔30に洗浄液を供給し、洗浄液は、研磨液(例えばスラリー)を通孔30から除去することができる。特に、本実施形態によれば、液体供給ライン54から供給される純水と、洗浄ノズル8から供給される洗浄液とにより、光学センサヘッド7の上方に存在する研磨液を除去することができる。
【0041】
投光用光ファイバーケーブル41は、光源22によって発せられた光をワークピースWの表面まで導く光伝送部である。投光用光ファイバーケーブル41および受光用光ファイバーケーブル42の先端は、第1の孔50A内に位置しており、ワークピースWの被研磨面の近傍に位置している。投光用光ファイバーケーブル41および受光用光ファイバーケーブル42の各先端から構成される光学センサヘッド7は、研磨ヘッド1に保持されたワークピースWを向いて配置される。研磨テーブル3が回転するたびにワークピースWの所定の測定点に光が照射される。本実施形態では、1つの光学センサヘッド7のみが研磨テーブル3内に設けられているが、複数の光学センサヘッド7が研磨テーブル3内に設けられてもよい。例えば、ワークピースWの中心およびエッジをそれぞれ通過するように配置された2つの光学センサヘッド7が設けられてもよい。
【0042】
図5は、研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図5に示す実施形態では、研磨装置は、ターゲット位置TPに気体を供給する気体ノズル61と、気体ノズル61に連結された気体供給ライン62と、気体供給ライン62に取り付けられた気体供給弁63をさらに備えている。気体の例としては、空気、不活性ガス(例えば窒素ガス)などが挙げられる。
【0043】
気体供給ライン62は、気体供給源(図示せず)に連結されており、気体を気体ノズル61に供給する。気体供給弁63は、電動弁、電磁弁、エアペレート弁などのアクチュエータ駆動型弁である。一実施形態では、気体供給弁63は、気体ノズル61に直接連結されてもよい。
【0044】
気体ノズル61は、研磨テーブル3および研磨パッド2の上方に配置されている。より具体的には、気体ノズル61は、研磨テーブル3とともに回転する光学センサヘッド7の軌道HPの上方に配置されており、軌道HPを向いている。気体ノズル61は、研磨テーブル3および研磨パッド2の回転方向において、洗浄ノズル8の上流に位置している。気体ノズル61は、研磨パッド2の上方から研磨パッド2上に気体を供給するように配置されている。より具体的には、気体ノズル61は、光学センサヘッド7の直上のターゲット位置TPに気体を供給する。
【0045】
流体供給制御部39は、洗浄液供給弁36に加え、気体供給弁63の動作を制御するように構成されている。流体供給制御部39は、気体供給弁63に指令を与えて、ワークピースWの研磨中に、気体ノズル61からターゲット位置TPに気体を供給するように構成されている。より具体的には、流体供給制御部39は、洗浄液供給弁36および気体供給弁63に指令を与えて、研磨テーブル3が一回転する間に、気体および洗浄液を交互に気体ノズル61および洗浄ノズル8からターゲット位置TPに供給させるように構成されている。
【0046】
研磨テーブル3が一回転する間に、気体は先にターゲット位置TPに供給され、次いで洗浄液がターゲット位置TPに供給される。気体の噴流は、ターゲット位置TPに存在する研磨液を除去することができる。洗浄液はターゲット位置TPに残留する研磨液を除去するのみならず、気体の噴流が当てられて乾燥した研磨パッド2の部位をウエット状態に戻すことができる。
【0047】
気体は、洗浄液と同様に、ターゲット位置TPから研磨液を除去することができるが、その一方で、気体の供給は研磨パッド2を乾燥させることがある。乾燥した研磨パッド2はワークピースWにスクラッチを発生させるおそれがある。本実施形態によれば、気体が研磨パッド2に供給された後に、研磨パッド2は洗浄液でウエット状態に戻されるので、研磨パッド2の乾燥が防止できる。
【0048】
一実施形態では、流体供給制御部39は、ワークピースWの研磨中に、気体供給弁63に指令を与えて、ターゲット位置TPが研磨ヘッド1の下に移動する前に、気体ノズル61からの気体の噴射を停止させるように構成されている。このような気体の供給動作によれば、研磨液を除去するために供給される気体の量を低減することができる。
【0049】
本実施形態では、流体供給制御部39は、気体供給弁63および洗浄液供給弁36に指令を与えて、研磨テーブル3の回転に同期して気体および液体を交互にかつ間欠的に気体ノズル61および洗浄ノズル8からターゲット位置TPに供給させるように構成されている。すなわち、研磨テーブル3が一回転するたびに、気体の供給開始と供給停止、および液体の供給開始と供給停止が行われる。研磨テーブル3の一回転あたりの気体の供給時間は、研磨テーブル3が一回転する時間の半分よりも短い。研磨パッド2の乾燥を防ぐ観点から、研磨テーブル3の一回転あたりの気体の供給時間は、研磨テーブル3が一回転する時間の3分の1よりも短い。研磨テーブル3が一回転するたびに、気体の供給開始と供給停止を複数回繰り返し、気体の噴流の圧力でターゲット位置TPから研磨液を除去するようにしてもよい。
【0050】
図6は、研磨装置の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図4を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。図6に示す実施形態では、研磨装置は、液体供給ライン54およびドレインライン55に代えて、研磨パッド2内に配置された透明窓70を備えている。透明窓70は研磨パッド2に形成された通孔30内に配置されている。透明窓70は、研磨パッド2の通孔30を完全に閉じており、通孔30は研磨液や研磨屑が光学センサヘッド7に接触することを防止する。
【0051】
透明窓70は、光学センサヘッド7の真上に位置している。したがって、光学センサヘッド7は、透明窓70を通じて光をワークピースWに放射し、透明窓70を透過したワークピースWからの反射光を受ける。透明窓70は、光を透過させる材料から構成された窓である。透明窓70の材料は特に限定されないが、例えば透明な樹脂から構成されている。
【0052】
本実施形態では、洗浄液を供給すべきターゲット位置TPは、透明窓70の上面の位置である。図1乃至図4を参照して説明した実施形態と同様に、洗浄ノズル8は、ワークピースWの研磨中に、洗浄液をターゲット位置TP、すなわち透明窓70の上面に供給する。洗浄ノズル8から放出された洗浄液は、ターゲット位置TP、すなわち透明窓70の上面から研磨液を除去することができる。したがって、光学センサヘッド7に入射するワークピースWからの反射光は、研磨液の影響を受けにくく、結果として、スペクトル処理装置27は、ワークピースWの研磨中にワークピースWの正確な膜厚を決定することができる。
【0053】
図6に示す透明窓70の実施形態は、図5を参照して説明した気体ノズル61および洗浄ノズル8の両方を備えた実施形態も同様に適用可能である。気体ノズル61および洗浄ノズル8の配置や、気体および液体の供給タイミングなどは、図5を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0054】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0055】
W ワークピース
TP ターゲット位置
1 研磨ヘッド
2 研磨パッド
2a 研磨面
3 研磨テーブル
5 研磨液供給ノズル
6 テーブルモータ
7 光学センサヘッド
8 洗浄ノズル
9 研磨制御部
10 ヘッドシャフト
20 光学膜厚測定装置
22 光源
24 分光器
25 光検出器
27 スペクトル処理装置
30 通孔
35 洗浄液供給ライン
36 洗浄液供給弁
37 流量調節弁
39 流体供給制御部
41 投光用光ファイバーケーブル
42 受光用光ファイバーケーブル
50A 第1の孔
50B 第2の孔
54 液体供給ライン
55 ドレインライン
61 気体ノズル
62 気体供給ライン
63 気体供給弁
70 透明窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6