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特開2023-148608発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148608
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231005BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20231005BHJP
   F21V 9/30 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
F21S2/00 100
H01L33/58
F21V9/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056735
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】家段 勝好
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CE03
5F142CE06
5F142CE08
5F142CE16
5F142DA14
5F142DB16
5F142DB17
5F142GA12
(57)【要約】
【課題】光取出効率を向上させた発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係る発光モジュールは、第1面を有する支持部材と、前記第1面上に配置された配線層と、を含む基板と、前記第1面上に配置され、平面視で複数の穴部を有する遮光部材と、前記第1面上で前記複数の穴部の内側にそれぞれ配置され、前記配線層に電気的に接続された複数の発光素子と、前記複数の穴部の内側で、前記複数の発光素子の光取出面上にそれぞれ配置された複数の凸状体を有する第1透光性部材と、前記複数の発光素子と前記複数の穴部の内周面との間で前記配線層に接してそれぞれ配置された複数の間隙と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有する支持部材と、前記第1面上に配置された配線層と、を含む基板と、
前記第1面上に配置され、平面視で複数の穴部を有する遮光部材と、
前記第1面上で前記複数の穴部の内側にそれぞれ配置され、前記配線層に電気的に接続された複数の発光素子と、
前記複数の穴部の内側で、前記複数の発光素子の光取出面上にそれぞれ配置された複数の凸状体を有する第1透光性部材と、
前記複数の発光素子と前記複数の穴部の内周面との間で前記配線層に接してそれぞれ配置された複数の間隙と、
を備えた発光モジュール。
【請求項2】
平面視で、
前記複数の間隙は、前記複数の発光素子の側面の外周にわたってそれぞれ囲み、
前記複数の穴部の内周面は、前記複数の間隙を介して、前記複数の発光素子の側面の外周にわたってそれぞれ囲む請求項1記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記複数の凸状体のそれぞれの外周面の形状は、角柱、円柱、楕円柱、球体および楕円体、前記光取出面に近いほど小さい径を有する角錐台、円錐台、楕円錐台から選択された請求項1または2に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記第1透光性部材は、波長変換部材を含む請求項1~3のいずれか1つに記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記複数の凸状体は、前記波長変換部材を含む請求項4記載の発光モジュール。
【請求項6】
前記第1透光性部材は、前記複数の凸状体上に配置された第2透光性部材をささらに含み、
前記第2透光性部材は、前記波長変換部材を含む請求項4記載の発光モジュール。
【請求項7】
前記第1透光性部材は、前記凸状体上に配置された第3透光性部材と、前記第3透光性部材上に配置された第4透光性部材と、を含み、
前記第4透光性部材は、前記波長変換部材を含む請求項4記載の発光モジュール。
【請求項8】
前記複数の発光素子のそれぞれは、前記光取出面の反対側に位置する電極形成面と前記光取出面との間に位置する側面に配置された光反射膜を含む請求項1~7のいずれか1つに記載の発光モジュール。
【請求項9】
第1面を有する支持部材と、前記第1面上に配置された配線層と、を含む基板と、
前記第1面上に配置され、平面視で穴部を有する遮光部材と、
前記第1面上で前記穴部の内側に配置され、前記配線層に電気的に接続された発光素子と、
前記穴部の内側で、前記発光素子の光取出面上に配置された凸状体を有する第1透光性部材と、
前記発光素子と前記穴部の内周面との間で前記配線層に接して配置された間隙と、
を備えた発光モジュール。
【請求項10】
第1面を有する支持部材と前記第1面上に配置された配線層とを含む基板と、前記第1面上に互いに離隔して配置され、前記配線層に接続された複数の発光素子と、複数の穴部を有し前記複数の発光素子を前記複数の穴部の内部にそれぞれ配置した遮光部材と、を含む第1中間部材を準備する工程と、
透光性を有する複数の凸状体を前記複数の穴部を介して前記複数の発光素子の上面に配置する工程と、
を備え、
前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面に配置する工程では、前記複数の発光素子と前記複数の穴部の内周面との間で前記配線層に接する複数の間隙がそれぞれ配置された発光モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記第1中間部材を準備する工程は、
前記基板と前記複数の発光素子とを含む第2中間部材を準備する工程と、
前記第2中間部材について、前記複数の発光素子の上面、前記複数の発光素子の側面および前記複数の発光素子の周囲の前記第1面を覆う複数の被覆部材を配置する工程と、
前記複数の被覆部材同士の間を埋めるように遮光部材を配置する工程と、
前記複数の被覆部材を除去して複数の穴部を形成する工程と、
を含む請求項10記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面に配置する工程は、
熱可塑性を有する第1透光性部材を前記複数の穴部上に配置して第3中間部材を形成する工程と、
前記第3中間部材を加熱して前記第1透光性部材から前記複数の凸状体を形成して前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面に配置する工程と、
を含む請求項10または11に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面に配置する工程は、
可塑性を有する第1透光性部材を前記複数の穴部上に配置して第4中間部材を形成する工程と、
前記第4中間部材を減圧された雰囲気中に置いた後、前記第4中間部材が置かれた雰囲気の気圧を上昇させて前記第1透光性部材から前記複数の凸状体を形成して前記複数の凸状体を前記発光素子の上面に配置する工程と、
を含む請求項10または11に記載の発光モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面に配置する工程は、
前記複数の穴部を介して、前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面上に直接配置する工程を含む請求項10または11に記載の発光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の発光素子を2次元に配置した発光モジュールは、液晶ディスプレイのバックライトやディスプレイ等の各種の面状光源として広く利用されている。
【0003】
光源となる発光素子を超小型のベアチップとすることによって、発光モジュールの小型化、薄型化が可能になる。小型化、薄型化された発光モジュールにおいても、光取出効率をさらに向上させることによって、搭載アプリケーションの拡大やさらなる高効率化が可能になるなどのメリットが大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2016-525288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施形態は、光取出効率を向上させた発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る発光モジュールは、第1面を有する支持部材と、前記第1面上に配置された配線層と、を含む基板と、前記第1面上に配置され、平面視で複数の穴部を有する遮光部材と、前記第1面上で前記複数の穴部の内側にそれぞれ配置され、前記配線層に電気的に接続された複数の発光素子と、前記複数の穴部の内側で、前記複数の発光素子の光取出面上にそれぞれ配置された複数の凸状体を有する第1透光性部材と、前記複数の発光素子と前記複数の穴部の内周面との間で前記配線層に接してそれぞれ配置された複数の間隙と、を備える。
【0007】
実施形態に係る発光モジュールは、第1面を有する支持部材と、前記第1面上に配置された配線層と、を含む基板と、前記第1面上に配置され、平面視で穴部を有する遮光部材と、前記第1面上で前記穴部の内側に配置され、前記配線層に電気的に接続された発光素子と、前記穴部の内側で、前記発光素子の光取出面上に配置された凸状体を有する第1透光性部材と、前記発光素子と前記穴部の内周面との間で前記配線層に接して配置された間隙と、を備える。
【0008】
実施形態に係る発光モジュールの製造方法は、第1面を有する支持部材と前記第1面上に配置された配線層とを含む基板と、前記第1面上に互いに離隔して配置され、前記配線層に接続された複数の発光素子と、複数の穴部を有し前記複数の発光素子を前記複数の穴部の内部にそれぞれ配置した遮光部材と、を含む第1中間部材を準備する工程と、透光性を有する複数の凸状体を前記複数の穴部を介して前記複数の発光素子の上面に配置する工程と、を備える。前記複数の凸状体を前記複数の発光素子の上面に配置する工程では、前記複数の発光素子と前記複数の穴部の内周面との間で前記配線層に接する複数の間隙がそれぞれ配置される。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、光取出効率を向上させた発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な上面図である。
図2図1のII部の拡大図である。
図3図2のIII-III線における矢視断面であり、第1の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図4】第1の実施形態の変形例に係る発光モジュールを例示する模式的な上面図である。
図5A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図5B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図6A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図6B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図7A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図7B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図8A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図8B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図9A】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法の変形例を例示する模式的な断面図である。
図9B】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法の変形例を例示する模式的な断面図である。
図10】第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法の変形例を例示する模式的な断面図である。
図11】第2の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図12A】第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図12B】第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図13A】第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図13B】第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図14】第3の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図15】第4の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図16A】第4の実施形態の変形例1に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図16B】第4の実施形態の変形例2に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図16C】第4の実施形態の変形例3に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図17】第5の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0012】
(第1の実施形態)
(発光モジュール100の構成)
図1は、第1の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な上面図である。
図2は、図1のII部の拡大図である。
図3は、図2のIII-III線における矢視断面であり、第1の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図1図3に示すように、本実施形態に係る発光モジュール100は、基板10と、複数の発光素子30と、複数の間隙40と、遮光部材50と、第1透光性部材60と、を備える。基板10は、支持部材12と、配線層20と、を含む。支持部材12は、第1面12aを有する。配線層20は、第1面12a上に配置されている。第1面12a上には、複数の発光素子30が配置されている。
【0013】
すべての実施形態およびその変形例の説明では、3次元のXYZ座標を用いることがある。XY平面は、第1面12aにほぼ平行な平面であるものとする。X軸の方向は、行列配置された複数の発光素子30の行方向に沿う方向である。Y軸の方向は、行列配置された複数の発光素子30の列方向に沿う方向である。Y軸は、X軸に直交する。Z軸は、XY平面に直交する。支持部材12の第1面12aの反対側に位置する面から第1面12aに向かう向きを正方向であるものとする。
【0014】
Z軸の正方向を「上」や「上部」、「上方」、Z軸の負方向を「下」や「下部」、「下方」のようにいうことがある。ただし、Z軸に沿う方向は、必ずしも重力がかかる方向であるとは限らない。これらは説明の理解を容易にするためのものであって、実際の「上」や「上部」、「上方」、「下」、「下部」、「下方」に限定されるものではない。Z軸方向の長さを厚さということがある。
【0015】
図1および図2に示すように、発光モジュール100では、複数の発光素子30は、XY平面視で、ほぼ正方形の基板10上に8行×8列の行列状に配置されている。複数の発光素子30が配置される行数および列数はこれに限らず、例えば用途に合せて、必要な行数および列数とすることができる。複数の発光素子30の配置は、図1のような行列配置に限らず、例えば千鳥状の配置や六方最密状の配置等、任意に適切な配置とすることができる。
【0016】
図1の例の複数の発光素子30の配置では、隣り合う発光素子30の間隔は、すべての発光素子30について同じとされている。これに限らず、隣り合う発光素子30の間隔は、発光モジュール100における発光素子30の位置に応じて、異なっていてもよい。例えば、発光モジュール100の角部では、隣り合う発光素子の数が少なくなり、発光素子同士の光による干渉が小さくなるため、発光モジュール100の中央部よりも輝度が低くなる。そのため、発光モジュール100の角部では、発光モジュール100の中央部における発光素子30の間隔よりも、発光素子30の間隔を狭めて、輝度を高めるようにしてもよい。基板10の形状は、正方形に限らず、発光素子30の配置数や配置の態様に応じて、長方形でもよいし、台形やひし形等、任意の多角形とすることができる。
【0017】
発光モジュール100では、遮光部材50は、XY平面視で、行列状に配置された複数の穴部55を有している。複数の穴部55の内側には、複数の発光素子30がそれぞれ配置されている。
【0018】
図1図3に示すように、発光モジュール100では、遮光部材50の上面50T上に第1透光性部材60が配置されている。第1透光性部材60は、穴部55の内部にも配置されており、発光素子30上に配置されている。発光素子30上の第1透光性部材60は、発光素子30の上面である光取出面30S上を覆っている。
【0019】
XY平面視で、穴部55の内周面55Wは、発光素子30の外周よりも外側に配置されている。発光素子30と内周面55Wとの間には、間隙40が配置されている。発光素子30から上方へ放射された光は、第1透光性部材60を介して、発光モジュール100から放射される。発光素子30の側方に放射された光の多くは、間隙40により発光素子30の側に反射され、反射された光の少なくとも一部は、発光素子30から上方へ放射される。間隙40を透過した光は、内周面55Wで遮光される。
【0020】
発光素子30は、配線層20上に配置されている。複数の発光素子30は、配線層20で相互に電気的に接続されている。図2では、配線層20を構成する配線は、行列状に配置された複数の発光素子30の行方向に沿って配置されている。配線層20を構成する配線の配置は、発光モジュール100の回路構成によって決定され、任意の方向に沿って配置される。この例においても、配線層20は、列方向に沿って配置された配線も含んでいる。発光モジュール100は、発光モジュール100の回路構成に応じて、配線層20から絶縁された他の配線層を含んでもよい。
【0021】
間隙40は、穴部55の内周面55Wと発光素子30の側面30Lとの間に配置されている。間隙40は、好ましくは、XY平面視で、発光素子30の側面30Lの外周のすべてにわたって配置されている。間隙40は、空気の層であり、間隙40に接している発光素子30の屈折率よりも低い屈折率を有する。そのため、間隙40は、間隙40へのより小さい入射角に対して全反射するように作用する。つまり、発光素子30と間隙40との臨界角が小さいので、間隙40は、臨界角以上で入射する光を反射することができる。
【0022】
発光素子30の側面30Lや下方の電極形成面30Rの付近には、銅(Cu)などの金属材料で形成された配線層20が配置されている。このような配線層20に光が照射されると配線層20を形成する金属材料に吸収される。そのため、発光素子30が放射した光が配線層20に照射されると、その発光素子30の光取出効率が低下する。
【0023】
本実施形態に係る発光モジュール100では、例えば、発光素子30の側面30Lから放射される光は、間隙40によって反射される。間隙40で反射された光の少なくとも一部は、例えば発光素子30の内部で上方へ向かう光となる。そのため、発光素子30から放射され、配線層20に照射される光を抑制することができ、その発光素子30の光取出効率が向上する。したがって、発光モジュール100の光取出効率を向上させることが可能になる。
【0024】
間隙40がXY平面視で発光素子30の外周の全周にわたって囲んでいる場合には、発光素子30の側方へ向かう光は、間隙40で反射されて発光素子30に戻され、少なくともその一部は、上方へ向かう光となるので、その発光素子30の光取出効率が向上する。
【0025】
図3に示すように、第1面12aには、複数の凹部12bが配置されている。支持部材12は、複数の凹部12bにそれぞれ配置された複数の発光素子30を支持する。
【0026】
支持部材12は、好ましくは、光反射性樹脂により形成される。光反射性樹脂は、例えば、耐熱性および耐光性に優れた熱硬化性の樹脂である。光反射性樹脂は、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等を好適に利用することができる。例えば、シリコーン樹脂に対して、光反射性のフィラーを混入することにより、光反射性を有する部材とすることができる。光反射性のフィラーは、例えばTiOとすることができる。支持部材12の厚さは、例えば15μm~300μm程度とすることができる。
【0027】
基板10は、補強基板14を含んでもよい。補強基板14は、支持部材12の第1面12aの反対側に位置する面側に配置される。補強基板14は、支持部材12の機械的な強度を補強するために用いられる。発光モジュール100の薄型化を実現するために、支持部材12は十分に薄く形成される。支持部材12が薄い場合には、支持部材12に反りやしわが発生しやすくなる場合がある。その場合には、発光モジュール100の寸法精度を維持することが困難となるおそれがある。補強基板14を配置することによって、支持部材12の反りやしわの発生を抑制して、支持部材12の機械的な強度を補強することが可能になる。補強基板14は、例えば、ポリイミド含侵ガラスクロスを用いた基板を用いることができる。補強基板14の厚さは、例えば、25μm~200μm程度とすることができる。
【0028】
補強基板14の下部には、緩衝部材1101が配置されている。緩衝部材1101は、製造工程中等で発光モジュール100に熱的ストレスや機械的ストレスが加わるのを緩和するために設けられている。緩衝部材1101は、製造工程での利用に供した後、削除されてもよい。
【0029】
配線層20は、第1面12a上に配置されている。配線層20を構成する複数の配線は、X軸方向に沿って配置されている。これらの配線は、複数の凹部12b上にも配置されている。
【0030】
発光素子30は、光取出面30Sと電極形成面30Rとを有する。電極形成面30Rは、光取出面30Sの反対側に位置している。電極形成面30Rには一対の電極32a,32bが配置されている。発光素子30は、側面30Lを有する。側面30Lは、光取出面30Sと電極形成面30Rとの間に位置する。光取出面30Sは発光素子30の上面であり、電極形成面30Rは発光素子30の下面である。配線層20を構成する配線は、凹部12bにおいて、発光素子30の電極32a,32bに接続されている。
【0031】
発光素子30は、この例では、XY平面視で方形である。発光素子30のXY平面視での形状は、方形に限らず3つ以上の角を有する多角形でもよいし、円形または楕円形であってもよい。多角形の場合には、角部は面取りされていてもよいし、丸くてもよい。発光素子30は、この例では、電極形成面30Rから光取出面30Sに向かって径が大きくなる角錐台である。これに限らず、発光素子30の形状は、電極形成面30Rから光取出面30Sに向かって径が小さくなる角錐台や円錐台や楕円錘台等であってもよい。発光素子30は、電極形成面30Rから光取出面30Sまで同じ径を有する柱状体であってもよい。
【0032】
発光素子30の側面30Lには、光反射膜34が配置されていることが好ましい。光反射膜34は、例えばDBR(Distributed Bragg Reflector)膜である。側面30Lに光反射膜34を有することによって、側面30Lからの光の放射を抑制して、発光素子30の光取出効率を向上させることができる。
【0033】
発光素子30では、主として光取出面30Sから光が放射される。この例では、光取出面30Sは粗面化されており、光取出面30Sから放射される光は、より広い範囲に拡散される。光取出面30Sは、これに限らず、ほぼ平坦化された平坦面であってもよい。側面30Lおよび電極形成面30Rからも光の一部が放射される。
【0034】
発光素子30は、半導体構造体を含んでおり、一対の電極32a,32bは、半導体構造体を構成するp型半導体層およびn型半導体層に接続されている。半導体構造体では、例えば、p型半導体層、発光層およびn型半導体層が積層されることにより、発光ダイオードの構造が実現されている。
【0035】
発光層は、ダブルヘテロ構造または単一量子井戸構造(SQW)のように単一の活性層を持つ構造であってもよいし、多重量子井戸構造(MQW)のようにひとまとまりの活性層群を持つ構造であってもよい。発光層は、可視光または紫外光を発光可能である。例えば、可視光としては、少なくとも青色から赤色までの光を挙げることができる。このような発光層を含む半導体構造体としては、例えば、InAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)を含むことができる。
【0036】
発光素子30は、半導体構造体に2以上の発光層を含むことができる。例えば、半導体構造体は、n型半導体層とp型半導体層との間に2以上の発光層を含む構造であってもよいし、n型半導体層と発光層とp型半導体層とが順に積層された構造が2回以上繰り返された構造であってもよい。2以上の発光層は、例えば、発光色が異なる発光層を含んでいてもよいし、発光色が同じ発光層を含んでいてもよい。なお、発光色が同じとは、使用上同じ発光色とみなせる範囲であればよく、例えば、各発光色の主波長に数nm程度のばらつきがあってもよい。発光色の組み合わせとしては適宜選択することができ、例えば2つの発光層を含む場合の組み合わせとしては、青色光と青色光、緑色光と緑色光、赤色光と赤色光、紫外光と紫外光、青色光と緑色光、青色光と赤色光、または緑色光と赤色光などが挙げられる。
【0037】
遮光部材50は、第1面12a上に配置される。より具体的には、遮光部材50は、第1面12a上および配線層20上に配置される。
【0038】
遮光部材50は、隣り合う発光素子30の間に配置されている。発光素子30の周囲には、配線層20が配置されており、金属材料で形成されている配線層20に光が照射されることを防止するために、遮光部材50は、配線層20を覆うように配置されている。また、発光モジュール100を画像表示装置として利用する場合には、遮光部材50は、隣り合う発光素子30がそれぞれ放射する光の干渉を制御するためにも設けられている。そのため、遮光部材50の厚さは、光の取出効率が高くなるように設定される。例えば、遮光部材50の厚さは、発光素子30の厚さよりも厚い。遮光部材50の厚さは、第1面12aから遮光部材50の上面50TまでのZ軸方向に沿った長さである。つまり、上面50TのZ軸方向の位置は、光取出面30SのZ軸方向の最大の位置よりも高い。
【0039】
発光素子30から放射される光は、遮光部材50を隔てて配置された発光素子30が放射する光と合成され得る。これら複数の発光素子30によって合成された光は、発光モジュールが輝度むらの少ない面状光源となるように、遮光部材50の厚さや材質が設定される。
【0040】
遮光部材50は、発光素子30から放射される光に対して遮光性を有する材質で形成される。遮光部材50は、例えば光反射性を有する材質とすることができる。あるいは、遮光部材50は、光を吸収する材質などを利用してもよい。好ましくは、遮光部材50は、光反射性樹脂で形成される。遮光部材50が光反射性を有する場合には、発光素子30から放射された光が内周面55Wで反射されて外部に放射されるので、光取出効率が向上する。光反射性樹脂は、耐熱性および耐光性に優れた熱硬化性の樹脂とすることが好ましい。例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等が好適に利用できる。
【0041】
遮光部材50を形成する材料は、光反射性を有するものに限らず、光を吸収する材質であってもよい。光を吸収する材質としては、黒色の樹脂を用いることができる。黒色に着色された樹脂でも遮光性能を発揮できる。
【0042】
遮光部材50の厚さは、例えば10μm~450μm程度とすることができる。遮光部材50を光反射性樹脂で形成した場合には、光取出効率は、遮光部材50の厚さが厚いことが好ましい。
【0043】
上述では、複数の発光素子30のそれぞれは、遮光部材50に配置された穴部55ごとに配置されるものとしたが、これに限るものではない。例えば、複数の発光素子30を1組の光源として、1つの穴部55の内部に配置するようにしてもよい。1つの穴部55の内部に配置する発光素子30の個数は、発光モジュールの全体にわたって同じとしてもよいし、例えば、発光モジュール100のXY平面上の位置に応じて異ならせてもよい。
【0044】
第1透光性部材60は、遮光部材50の上面50T上に配置されている。第1透光性部材60は、凸状体62を有する。凸状体62は、穴部55の内部で発光素子30上に配置されている。凸状体62の下端は、穴部55の内部で光取出面30Sに接している。好ましくは、凸状体62の光取出面30Sに接する部分は、光取出面30Sの全面を覆う。
【0045】
凸状体62は、Z軸の正方向に向かって大きくなる径を有する任意の形状の錐台の外周面62Wを有する。この例では、凸状体62の外周面62Wの形状は、XY断面において正方形である。つまり、この例の凸状体62の外周面62Wの側面は、台形である。XY平面視での外周面62Wの形状は、円や楕円、方形等の多角形であってもよい。外周面62Wの形状は、XY平面視において、いずれの形状となる場合であっても、多角形の角部は、丸くなっていたり、多角形の辺や円周、楕円の周は、部分的に不規則な凹みやふくらみ等があったりしてもよい。
【0046】
間隙40は、発光素子30と内周面55Wとの間に配置されている。より具体的には、間隙40は、発光素子30の側面30Lと、側面30Lに対向する位置にある内周面55Wとの間に配置されている。間隙40は、側面30Lと内周面55Wとの間で、配線層20に接して配置されている。側面30Lと内周面55Wとの間では、間隙40は、少なくとも配線層20を覆って配置されている。好ましくは、間隙40は、XY平面視で、側面30Lの外周のすべてにわたって配置されている。この例では、間隙40は、内周面55Wと凸状体62の外周面62Wとの間にも配置されている。間隙40は、発光素子30ごとに配置されており、したがって、発光モジュール100では、複数の間隙40を備えている。
【0047】
間隙40は、例えば空気の層である。間隙40を構成する材料は、発光モジュール100を構成する部材のうち間隙40以外の部材の材質の屈折率よりも低い値の屈折率を有していればよい。より具体的には、間隙40を構成する材料は、発光素子30を構成する材料の屈折率、支持部材12を構成する材料の屈折率および第1透光性部材60を構成する材料の屈折率のいずれよりも低い屈折率を有する。間隙40を構成する材料は、例えば、ヘリウム(He)や二酸化炭素(CO)等の真空の屈折率に近い屈折率を有する他の気体を含んでもよい。これらの気体に限らず、発光素子30から光が出射される場合に、発光素子30の上方以外の方向への光の放射を発光素子30の側へ全反射できるような低屈折率を有する材質であってもよい。
【0048】
本実施形態に係る発光モジュール100では、間隙40が内周面55Wと外周面62Wとの間にも配置されている。間隙40の屈折率は、第1透光性部材60および凸状体62の屈折率よりも低いので、第1透光性部材60の凸状体62を介して放射される光のうち側方や下方へ向かう光の一部は、間隙40への入射角が大きい場合には反射され、凸状体62内に戻る。凸状体62を透過した光の一部は、穴部55の内周面55Wに到達する。内周面55Wに到達した光は、遮光部材50で遮光される。遮光部材50が光吸収性の材料で形成されている場合には、内周面55Wに到達した光は、遮光部材50に吸収される。遮光部材50が光反射性の材料で形成されている場合には、内周面55Wに到達した光は、間隙40側に反射され、その反射光は、間隙40の屈折率が凸状体62の屈折率よりも小さいため、間隙40との界面を透過し凸状体62に入射される。凸状体62に間隙40から入射された光の少なくとも一部は、上方へ向かう。間隙40に入射した光は、再度凸状体62に入射され、その入射光の少なくとも一部は、上方へ向かう。このようにして、その凸状体62の発光源の発光素子30の光取出効率は向上する。
【0049】
第1透光性部材60は、波長変換部材70を含んでいる。波長変換部材70は、例えば波長変換物質の粒子である。波長変換物質は、発光素子30が発する光を異なる波長の光に変換する。波長変換物質としては、蛍光体材料が挙げられる。
【0050】
波長変換部材70は、1種類または複数の異なる種類の波長変換物質が含有され得る。複数の波長変換物質を含有する場合は、例えば、波長変換部材70が緑色系の発光をするβサイアロン蛍光体と赤色系の発光をするKSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体とを含むことができる。複数の波長変換物質を含有した波長変換部材70を用いることにより、発光モジュール100の色再現範囲をひろげることができる。
【0051】
波長変換物質としては、公知の蛍光体を用いることができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16l2:Eu)、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInSまたはAgInSe)などを用いることができる。酸窒化物系蛍光体の代表例は、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)およびαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)などである。窒化物系蛍光体の代表例は、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)およびSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)などである。フッ化物系蛍光体の代表例は、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、KSi0.99Al0.015.99:Mn)およびMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)などである。
【0052】
第1透光性部材60はシート状の樹脂製の部材であり、樹脂材料には、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、これらを混合した樹脂を用いることができ、またはガラスなどの透光性材料を用いることができる。耐光性および成形容易性の観点からは、第1透光性部材60の母材としてシリコーン樹脂を選択することが有益である。このような波長変換物質が分散された樹脂製の部材としては、蛍光体シートを利用することができる。
【0053】
なお、第1透光性部材60上に、光学部材を配置するようにしてもよい。この場合、光学部材は、光拡散部材や光散乱部材のいずれか、または両方を重ねて配置することができる。光拡散部材は、例えば光拡散シートである。光散乱部材は、例えばプリズムシートである。このような光学部材を用いることによって、発光モジュール100の輝度むらをより低減することが可能になる。
【0054】
(変形例)
図4は、第1の実施形態の変形例に係る発光モジュールを例示する模式的な上面図である。
第1の実施形態では、発光モジュール100は、単一の遮光部材50を備えている。遮光部材50は、単一である場合に限らず、複数個設けられるようにしてもよい。本変形例では、発光素子30ごとに遮光部材50が配置されている。
【0055】
図4に示すように、発光モジュール100aは、複数の発光素子30と、複数の遮光部材50とを備える。遮光部材50は、発光素子30ごとに配置されている。発光素子30は、遮光部材50に形成された穴部55の内部に配置される点は、第1の実施形態の場合と同じである。したがって、本変形例において、遮光部材50以外の構成要素は、第1の実施形態の場合と同じであり、詳細な説明を適宜省略する。
【0056】
第1透光性部材60は、遮光部材50上に配置されている。第1透光性部材60は、隣り合う遮光部材50の間にも配置される。遮光部材50は、任意の適切な複数の発光素子30ごとに配置されてもよい。1つの穴部55に複数の発光素子30を配置してもよいのは、第1の実施形態の場合と同様である。
【0057】
(発光モジュール100の動作)
本実施形態に係る発光モジュール100は、面状に配置された複数の穴部55を有する遮光部材50を備えている。複数の穴部55の内部には、複数の発光素子30がそれぞれ配置されている。そのため、遮光部材50の穴部55によって、発光素子30ごとに、配光が制御され、発光モジュール100は、輝度むらの少ない面状光源として機能することができる。発光素子30は、上方への光の放射のほか、側方や下方へも光を放射する。側方への光は、間隙40によって発光素子30から上方へ向かう光に変換される。下方への光は、発光素子30を配置する支持部材12を光反射性の部材とすることによって、上方への光に変換することができる。
【0058】
発光素子30から上方に放射された光は、第1透光性部材60の凸状体62に入射される。凸状体62に入射された光は、波長変換部材70によって所望の波長の光に変換される。
【0059】
凸状体62から上方に放射される光は、所望の波長の光として発光モジュール100から放射される。凸状体62の側方や下方へ放射された光は、穴部55の内周面55Wに到達する。内周面55Wに到達した光は、遮光部材50の特性にしたがって、吸収または反射される。遮光部材50の光反射性により反射された光の一部は、凸状体62に戻され上方へ向かう光となる。したがって、発光モジュール100では、発光素子30ごとの光取出効率が向上し、発光素子30ごとに設けられた内周面55WのXY平面視での形状で制御された範囲で発光する。
【0060】
(発光モジュール100の製造方法)
図5A図8Bは、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
図5A図8Bでは、図2に示したIII-III線における矢視断面に対応する箇所の模式的な断面図が示されている。後述する製造方法の変形例を表す図9A図10についても同様であり、第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を表す図12A図13Bについても同様である。
【0061】
図5Aに示すように、中間部材(第2中間部材)1002が準備される。中間部材1002は、基板10と、発光素子30と、を含んでいる。基板10は、第1面12aを有する支持部材12を含み、発光素子30は、第1面12a上に配置されている。発光素子30は、第1面12a上で、電極32a,32bを介して配線層20に接続されている。中間部材1002では、配線層20は、Cuを含む金属材料をスパッタ等の製造技術を用いて堆積することにより形成されている。配線層20は、スパッタによらず、Cuを含む金属材料の微粒子をインクジェット方式で印刷することにより形成するようにしてもよい。また、発光素子30と配線層20との間には、半田やAuボール、異方性導電膜(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)などの導電性の接合剤を有してもよい。導電性の接合剤を用いる場合は、配線層20はCuを含まなくてもよく、Cu以外の材料を用いることもできる。
【0062】
中間部材1002は、中間部材1002の搬送時やこの後の工程における熱的ストレス、機械的ストレスから発光モジュール100を構成する各部材を保護するために、緩衝部材1101を介して、支持基板1102が配置される。支持基板1102は、工程中の各種ストレスに応じて適切な材料が選定される。緩衝部材1101は、中間部材1002と支持基板1102との間に配置される。緩衝部材1101は、例えば、支持基板1102に中間部材1002を固定する接着剤を含む層や、基板10と支持基板1102との膨張係数等の差による応力を吸収するため、複数の層としてもよい。
【0063】
図5Bに示すように、中間部材1002について、被覆部材1040が配置される。被覆部材1040は、発光素子30ごとに配置される。発光素子30ごとに配置される被覆部材1040は、光取出面30S、側面30L、第1面12aおよび配線層20を覆うように配置される。被覆部材1040には、例えば、レジストが用いられる。レジストの材料としては、アクリル系の樹脂等が用いられる。被覆部材1040を配置する工程では、未硬化のレジスト材料を、発光素子30を埋設するように塗布し、これを硬化させることによって、被覆部材1040が形成される。
【0064】
図6Aに示すように、被覆部材1040の間を埋めるように遮光部材1050が配置される。遮光部材1050は、被覆部材1040上にも配置される。遮光部材1050は、中間部材1002の全体を覆うように配置される。遮光部材1050を配置する工程では、例えば、熱硬化性の樹脂を中間部材1002の全体にわたって配置し、加熱により硬化させて遮光部材1050を形成することによって、遮光部材1050を配置する。
【0065】
図6Bに示すように、被覆部材1040が遮光部材1050から露出するまで、遮光部材1050は、上面側から切削される。遮光部材1050の切削により、切削後の遮光部材50の上面50Tは、平坦化される。なお、図6Aに関連して説明した遮光部材1050の形成工程において、遮光部材1050を被覆部材1040上に配置しないようにすることもできる。その場合には、遮光部材1050を切削する工程を省略することができる。
【0066】
図7Aに示すように、被覆部材1040が除去され、中間部材(第1中間部材)1001が形成される。中間部材1001は、第1面12a上に穴部55を有する遮光部材50が配置された部材である。つまり、中間部材1001は、基板10、配線層20、発光素子30および遮光部材50を含んでいる。
【0067】
被覆部材1040の除去には、例えばドライエッチングが用いられる。ドライエッチングにより被覆部材を除去することにより、穴部55の内周面55Wを第1面12aに対してほぼ垂直とすることができ、間隙40の形成が容易になる。被覆部材1040が除去された箇所には、穴部55が形成される。穴部55の内部では、発光素子30、第1面12aおよび配線層20が露出されている。
【0068】
なお、発光モジュール100の製造では、中間部材1002を例えば別のプラント等で製造し、以降の工程を上述のように実行してもよいし、中間部材1001までを例えば別のプラント等で製造し、以降の工程を以下説明するように実行してもよい。中間部材1001,1002については、別のプラント等で製造されたものを購入し、購入した中間部材1001,1002をそれぞれの以降の工程に投入するようにしてもよい。
【0069】
図7Bに示すように、離型部材1064に貼付された第1透光性部材1060が準備され、第1透光性部材1060および離型部材1064は、遮光部材50の上面50T上に配置される。離型部材1064は、第1透光性部材1060を支持する支持部材として機能するシート状の樹脂製の部材である。例えば、第1透光性部材1060は、波長変換部材70を含有する蛍光体シートである。
【0070】
第1透光性部材1060は、熱硬化性の樹脂材料である。第1透光性部材1060は、離型部材1064に貼付されている常温の状態では、硬化しておらず、外力による変形が可能である。また、第1透光性部材1060は、所定の硬化温度よりも低い温度による加熱で軟化し、所定の硬化温度による所定時間の加熱により硬化する。軟化した状態では、外力による変形が容易になる。離型部材1064は、第1透光性部材1060を配置する面に接着剤の層が配置されており、第1透光性部材1060が貼付されている。
【0071】
第1透光性部材1060および離型部材1064は、第1透光性部材1060の側が上面50Tに接するように配置される。例えば、あらかじめ上面50Tに接着剤等が塗布されており、第1透光性部材1060および離型部材1064は、穴部55をふさぐように、上面50T上に配置される。
【0072】
図8Aに示すように、離型部材1064が除去される。離型部材1064と第1透光性部材1060との接着力は、第1透光性部材1060と上面50Tとの接着力よりも弱く設定されている。そのため、離型部材1064は、第1透光性部材1060から容易に引きはがすことができる。
【0073】
図8Bに示すように、中間部材1001は、内部の温度制御が可能なチャンバー2001内に載置される。チャンバー2001内の温度は、設定された温度に設定された時間で到達するように制御される。チャンバー2001内の温度は、第1透光性部材1060が軟化する温度に設定される。設定される温度およびその温度に到達する時間は、第1透光性部材1060の材料に応じて適切に設定される。第1透光性部材1060の軟化のために設定される温度は、例えば、60℃程度から100℃程度である。また、第1透光性部材1060の硬化のために設定される温度は、例えば、120℃程度から180℃程度である。
【0074】
軟化した第1透光性部材1060では、自重により、穴部55のほぼ中央部に配置された部分が、発光素子30側に垂れ下がる。第1透光性部材1060の穴部55のほぼ中央部に配置された部分は、垂れ下がって発光素子30に達し、光取出面30Sを覆う。チャンバー2001内の温度を硬化温度まで引き上げて、第1透光性部材1060が光取出面30Sを覆った状態で、第1透光性部材1060を硬化させて、凸状体62を形成する。これにより、凸状体62を有する第1透光性部材60が形成される。
【0075】
第1透光性部材1060を軟化させ硬化させる工程では、第1透光性部材の垂れ下がった部分の外周の形状が、Z軸の正方向に向かって径が大きくなる錐台となるように、チャンバー2001内の温度および時間が設定される。第1透光性部材1060を軟化させ硬化させる工程では、凸状体62の外周面62Wと遮光部材50の内周面55Wとの間に間隙40が形成されるように、チャンバー2001内の温度および時間が設定される。軟化のための温度および時間を、常温から硬化温度までの間で複数段階に設定してもよいし、軟化のための温度を、設定された温度上昇時間で連続的に変化させてもよい。
【0076】
第1透光性部材1060を配置した中間部材1001の全体の温度を制御する観点から、上述のようなチャンバー2001による工程の実行が好ましい。より簡便には、第1透光性部材1060を軟化させ硬化させる工程は、中間部材1001を温度制御可能なステージ上に載置して、ステージの温度を適切に設定することとしてもよい。
【0077】
図9Aおよび図9Bは、第1の実施形態に係る発光モジュールの製造方法の変形例を例示する模式的な断面図である。
第1透光性部材60の凸状体62を形成する方法は、上述に限らず、以下説明する方法によってもよい。この製造方法の変形例では、図8Aに関連して説明した製造工程までは同一の工程が適用される。すなわち、中間部材1001に第1透光性部材1060を貼付するまでの工程は同じであり、以下説明する図9A以降の製造工程は、図8Aに示した工程以降に実行される。
【0078】
図9Aに示すように、第1透光性部材1060が貼付された中間部材1001は、チャンバー2002内に載置される。チャンバー2002には、配管2004を介して、ポンプ2003が流体的に接続されている。チャンバー2002内の気圧は、ポンプ2003および配管2004によって、所望の値に減圧し、大気圧に戻すことができる。
【0079】
チャンバー2002内に第1透光性部材1060を貼付した中間部材1001を載置した後に、チャンバー2002内の空気は、ポンプ2003および配管2004によって排気される。排気によって、チャンバー2002内は減圧される。つまり、第1透光性部材1060が貼付された中間部材1001の周囲は減圧される。第1透光性部材1060によってふさがれた穴部55の内部もチャンバー2002内と同程度に減圧される。
【0080】
図9Bに示すように、チャンバー2002内の気圧が所定値に達した後、チャンバー2002に再び空気を導入して、チャンバー2002内の気圧P1を上昇させる。このとき、第1透光性部材1060によってふさがれた穴部55の内部の気圧P2は、チャンバー2002内の気圧P1よりも低くなるため、第1透光性部材1060は、気圧P1,P2の差分程度の、穴部55の内部に向かう圧力を受ける。そのため、穴部55に向かって凸状に変形された部分1062を有する第1透光性部材1060が形成される。なお、図9Bでは、矢印の長さが気圧P1,P2の大きさを模式的に表している。
【0081】
図10に示すように、所定の時間をかけて、チャンバー2002の気圧を大気圧まで戻すことにより、凸状体62を有する第1透光性部材60が形成される。凸状体62は、穴部55の内部で光取出面30S上に配置される。
【0082】
穴部55の内部に凸状体62を配置する工程では、好ましくは、チャンバー2002内の気圧を減圧状態から大気圧に戻すときに、チャンバー2002内の温度を制御することによって、より確実に凸状体62を形成し、光取出面30S上に配置することができる。
【0083】
具体的には、図7A図8Bに関連して説明したように、第1透光性部材1060の材料を、温度制御により軟化させ、硬化させることが可能なものとし、チャンバー2002内の温度を制御可能なものとする。その上で、チャンバー2002内の気圧を減圧状態から大気圧に戻す前に、チャンバー2002内の温度を段階的に、または連続的に変化させることによって、穴部55の内部に引き込まれる部分1062の形成を容易にすることができる。そのため、適切な外周面62Wの形状を有する凸状体62が形成される。第1透光性部材および中間部材1001の温度制御には、チャンバー2002内部の温度制御に代えて、温度制御可能なステージを備えたチャンバーとし、第1透光性部材1060および中間部材1001をステージ上に載置することによってもよい。
【0084】
第1透光性部材60の凸状体62の形成工程は、上述に限らない。例えば、穴部55および発光素子の配置に応じて、第1透光性部材60の面上に凸状体62をあらかじめ成形された部材を準備するようにしてもよい。
【0085】
その後、支持基板1102は、レーザリフトオフ等を用いて除去される。支持基板1102の除去後に、または支持基板1102の除去と同時に、緩衝部材1101は除去されてもよい。
【0086】
本実施形態に係る発光モジュール100の効果について説明する。
発光モジュール100では、穴部55の内周面55Wと発光素子30との間に、間隙40が配置されている。間隙40は、少なくとも配線層20上を覆っている。間隙40は、例えば空気の層である。間隙40は、発光モジュール100を構成する他の部材の屈折率よりも低い屈折率を有する。配線層20が光吸収効果を有する金属材料で形成されていても、発光素子30から放射される上方以外の光は、空気の層である間隙40へ入射されにくく、発光素子30の内部に全反射される。そのため、全反射された光は、発光素子30から上方へ放射される光になる。したがって、発光素子30ごとの光取出効率が向上し、発光モジュール100の輝度が向上し、消費電力が低減される。
【0087】
発光素子30は、好ましくは、側面30Lに光反射膜34を有している。したがって、発光素子30では、側面30Lからの光の放射が抑制されるので、発光素子30ごとの光取出効率は、さらに向上する。
【0088】
発光素子上に配置されて、発光素子から放射される光を導光するピラーと、ピラーの側面にピラーと異なる屈折率を有するレンズ部分とを備えることで、発光素子の光取出効率を向上させる技術が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この技術では、レンズ部分の屈折率を真空の屈折率に近い値まで下げることは困難であり、光取出効率の改善には限界がある。これに対して、本実施形態に係る発光モジュール100では、間隙40の屈折率は、真空の屈折率に十分に近いので、発光素子30からの放射されるほとんどの光を上方への光に変換することができる。
【0089】
本実施形態に係る発光モジュール100では、凸状体62を形成することによって、穴部55の内周面55Wと発光素子30との間に間隙40を形成することができる。図7A図8Bに関連して説明したように、凸状体62は、第1透光性部材60を構成する母材の熱により軟化する性質や熱硬化性を利用することによって、容易に形成することができる。母材の材質を適切に選択することによって、第1透光性部材60を構成する母材の可塑的な性質を利用して、図9A図10に関連して説明したように、気圧変化による圧力印加を利用することもできる。これらの工程には、専用性の高い設備等を必要としないので、本実施形態に係る発光モジュール100は、容易に製造することができる。
【0090】
(第2の実施形態)
(発光モジュール200の構成)
図11は、第2の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図11に示すように、本実施形態に係る発光モジュール200は、基板10と、複数の発光素子30と、複数の間隙40と、遮光部材50と、第1透光性部材60と、第2透光性部材260と、を備える。
本実施形態では、発光モジュール200は、第1透光性部材60と発光素子30との間に第2透光性部材260を備え、凸状体62,262が第1透光性部材60および第2透光性部材260によりそれぞれ形成されている点で第1の実施形態の場合と相違する。本実施形態に係る発光モジュール200の構成は、他の点では、第1の実施形態に係る発光モジュール100の構成と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0091】
第2透光性部材260は、第1透光性部材60と発光素子30との間に配置されている。より詳細には、第2透光性部材260は、第1透光性部材60と光取出面30Sとの間に配置されている。第2透光性部材260は、第1透光性部材60と間隙40との間にも配置されている。第2透光性部材260は、第1透光性部材60と遮光部材50の上面50Tとの間にも配置されている。
【0092】
第1透光性部材60は、凸状体62を有する。第2透光性部材260は、凸状体262を有する。2つの凸状体62,262は、穴部55の内部で発光素子30上に配置されている。凸状体262は、光取出面30Sに接している。凸状体262は、穴部55の内部で外周面262Wを有する。外周面262Wの形状は、光取出面30Sに近いほどXY平面視での径が小さくなる錐台である。錐台のXY断面視での形状は、この例では、角部が丸い正方形である。外周面262Wによる錐台は、第1の実施形態の場合と同様であり、円、楕円、多角形等の任意の形状を有し、部分的に不規則な凹みやふくらみ等を有することがある。
【0093】
第2透光性部材260は、凸状体262を有する側の面に接着剤の層を有する。したがって、凸状体262の外周面262Wは、接着剤の層である。第2透光性部材260は、第1透光性部材60が配置されている側の面にも接着剤の層を有する。第1透光性部材60は、この接着剤の層を介して第2透光性部材260に固定されている。つまり、第1透光性部材60は、第2透光性部材260を介して、光取出面30S上に配置され固定され、第2透光性部材260を介して、遮光部材50の上面50T上に配置され固定されている。
【0094】
間隙40は、発光素子30と穴部55の内周面55Wとの間で、配線層20を覆って配置されている。より詳細には、間隙40は、発光素子30の側面30Lと内周面55Wとの間に配置されている。間隙40は、内周面55Wと凸状体262の外周面262Wとの間にも配置されている。好ましくは、間隙40は、XY平面視で、発光素子30の側面30Lの外周にわたって配置されている。
【0095】
(発光モジュール200の動作)
本実施形態に係る発光モジュール200では、間隙40の機能および動作は、第1の実施形態の場合と同様であり、説明を省略する。
本実施形態に係る発光モジュール200では、第2透光性部材260が第1透光性部材60と発光素子30との間に配置されている。つまり、第2透光性部材260は、発光素子30と第1透光性部材60とを光学的に結合する光学部材として機能する。発光素子30から上方へ放射される光は、第2透光性部材260を介して、波長変換部材70を含む第1透光性部材60に入射する。発光素子30から放射され、第2透光性部材260に入射した光は、第2透光性部材260によって拡散され、より広い角度の配光に変換される。そのため、発光素子30ごとに光の輝度むらが低減され、より輝度むらの少ない発光モジュール200が実現される。
【0096】
(発光モジュール200の製造方法)
図12A図13Bは、第2の実施形態に係る発光モジュールの製造方法を例示する模式的な断面図である。
本実施形態に係る発光モジュール200の製造方法では、図7Aに関連して説明した中間部材1001を準備する工程までは、同じである。以下説明する図12A以降の工程は、図7Aに示した工程に続いて実行される。
【0097】
図12Aに示すように、第2透光性部材1260に貼付された第1透光性部材1060が準備され、第1透光性部材1060および第2透光性部材1260が中間部材1001に配置される。第1透光性部材1060は、第2透光性部材1260を介して、遮光部材50の上面50T上に配置される。第1透光性部材1060および第2透光性部材1260は、穴部55をふさぐように中間部材1001上に配置される。
【0098】
第1透光性部材1060および第2透光性部材1260を配置された中間部材1001は、チャンバー2002内に載置される。チャンバー2002は、図9A図10に関連して説明したものと同じであり、配管2004を介して、ポンプ2003に流体的に接続されている。
【0099】
図12Bに示すように、配管2004およびポンプ2003によって、チャンバー2002内の空気が排気される。チャンバー2002内の排気によって、第1透光性部材1060および第2透光性部材1260によってふさがれた穴部55の内部の気圧は、チャンバー2002内の気圧とともに、減圧される。
【0100】
図13Aに示すように、チャンバー2002内の気圧が所定値となった後、チャンバー2002内に再度大気を導入することによって、チャンバー2002内の気圧P3は、第1透光性部材1060bおよび第2透光性部材1260bによってふさがれている穴部55の内部の気圧P4よりも高くなる。そのため、第1透光性部材1060bおよび第2透光性部材1260bは、穴部55の内部に向かって、気圧P3,P4の差分にもとづく圧力で押圧される。なお、図13Aでは、矢印の長さは、気圧P3,P4の大きさを模式的に表している。
【0101】
図13Bに示すように、気圧P3,P4を適切に設定することによって、凸状体62,262が形成される。第1透光性部材60および第2透光性部材260を、温度によって軟化し、硬化する材料で形成されたものとすることによって、より確実に凸状体62,262を形成することができるのは、第1の実施形態の場合と同様である。
【0102】
上述の気圧制御可能なチャンバー2002を用いる凸状体62,262を形成する工程に代えて、図7A図8Bに関連して説明した温度制御可能なチャンバー2001を用いて、凸状体62,262を形成する工程としてもよい。
【0103】
本実施形態に係る発光モジュール200の効果について説明する。
本実施形態に係る発光モジュール200は、第1の実施形態に係る発光モジュール100の場合と同様の効果を有する。そのほか、以下の効果を有する。
本実施形態に係る発光モジュール200は、第1透光性部材60と発光素子30との間に第2透光性部材260を備える。発光モジュール200の動作で説明したように、第2透光性部材260は、発光素子30を第1透光性部材60に光学的に結合するので、光取出面30Sから放射された光が第2透光性部材260内でひろがりながら第1透光性部材60に到達する。そのため、発光素子30ごとに、XY平面視での面内の輝度むらを低減させる。したがって、輝度むらの少ない発光モジュール200を実現することができる。
【0104】
第2透光性部材260は、両面を有するシート状の母材と、母材の両面の接着剤の層とを有するとすることができる。そのため、一方の面に第1透光性部材60を配置して、容易に固定することができる。また、第1透光性部材60および第2透光性部材260を遮光部材50の上面50Tに配置し、第2透光性部材260の他方の面で上面50Tに容易に固定することができる。そのため、第1透光性部材60を上面50Tに固定するための接着剤の塗布工程等を省略することができ、発光モジュール200の製造のための期間を短縮することができる。
【0105】
本実施形態に係る発光モジュール200では、汎用的な設備で凸状体62,262を形成することができるのは、第1の実施形態の場合と同様である。
【0106】
(第3の実施形態)
(発光モジュール300の構成)
図14は、第3の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図14に示すように、本実施形態に係る発光モジュール300は、基板10と、複数の発光素子30と、複数の間隙40と、遮光部材50と、第1透光性部材60と、第2透光性部材360と、を備える。
本実施形態では、第2透光性部材360の構成が上述した他の実施形態の場合と相違する。その他の構成は、他の実施形態の場合と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0107】
第2透光性部材360は、支持部361と複数の凸状体362とを有する。複数の凸状体362は、複数の穴部55の内部にそれぞれ配置されている。支持部361は、複数の凸状体362上に配置されている。支持部361は、遮光部材50の上面50T上に配置されている。支持部361は、穴部55上にも配置されている。
【0108】
第2透光性部材360は、例えば、透光性を有する樹脂材料で形成されている。透光性の樹脂材料は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等である。支持部361および複数の凸状体362は、第2透光性部材360と同じ材料で形成されており、例えば、一体として形成されている。
【0109】
凸状体362は、穴部55の内部で発光素子30上に配置され、凸状体362の下端は、光取出面30Sに接している。凸状体362は、光取出面30SのXY平面視での外周付近を除いて、光取出面30Sのほとんどを覆っている。凸状体362は、光取出面30Sの全面を覆うことが好ましい。
【0110】
凸状体362の外周面362Wは、XY平面視でほぼ正方形で、角柱の側面の形状を有する。外周面362WのXY平面視での形状は、Z軸方向にわたってほぼ同一である。外周面362WのXY平面視での形状は、正方形に限らず、方形を含む他の多角形でもよいし、円や楕円であってもよい。外周面362WのXY平面視での形状は、外周面362Wと穴部55の内周面55Wとの間に間隙40が形成されればよく、他の任意の形状でよい。
【0111】
間隙40は、穴部55の内周面55Wと発光素子30の側面30Lとの間で配線層20を覆って配置されている。間隙40は、XY平面視で、側面30Lの外周にわたって配置されるのが好ましいのは、上述の他の実施形態の場合と同様である。間隙40は、内周面55Wと凸状体362の外周面362Wとの間にも配置されている。間隙40は、間隙40以外の他の構成要素の屈折率よりも低い屈折率を有する。間隙40は、例えば空気の層である。
【0112】
(発光モジュール300の動作)
本実施形態に係る発光モジュール300は、上述の他の実施形態に係る発光モジュール100,200の場合と同様に動作するので、説明を省略する。
【0113】
(発光モジュール300の製造方法)
本実施形態に係る発光モジュール300では、図7Aに関連して説明した中間部材1001を準備する工程までは同じである。以下説明する工程は、図7Aに示した工程に続いて実行される。
本実施形態に係る発光モジュール300では、第2透光性部材360が準備される。第2透光性部材360は、封入金型等を用いて、あらかじめ複数の凸状体362を有する第2透光性部材360を形成することができる。準備された第2透光性部材360は、中間部材1001上に配置される。第2透光性部材360を配置する工程では、第2透光性部材360は、例えば接着剤等を用いて、凸状体362の下端を光取出面30S上に配置して固定され、遮光部材50の上面50T上に配置して固定される。
【0114】
凸状体362の外周面362Wの形状は、穴部55の内周面55Wの形状に合わせてあらかじめ成形されているので、内周面55Wと外周面362Wとの間に、確実に間隙40が配置される。
【0115】
本実施形態に係る発光モジュール300の効果について説明する。
本実施形態に係る発光モジュール300は、上述の他の実施形態の場合と同様の効果を有する。そのほか、本実施形態に係る発光モジュール300は、Z軸方向にわたってほぼ同一の径を有する凸状体362を含む第2透光性部材360を備えている。そのため、穴部55の内周面55Wと凸状体362の外周面362Wとの間の間隙40を安定して確実に形成することができる。そのため高い歩留りを実現し、発光モジュール300の低コスト化に貢献することが可能になる。
【0116】
(第4の実施形態)
(発光モジュール400の構成)
図15は、第4の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図15に示すように、本実施形態に係る発光モジュール400は、基板10と、複数の発光素子30と、複数の間隙40と、遮光部材50と、第1透光性部材60と、複数の凸状体462と、を備える。
本実施形態に係る発光モジュール400は、複数の凸状体462を備える点で上述した他の実施形態の場合と相違する。本実施形態に係る発光モジュール400は、他の点では、上述の他の実施形態の場合と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0117】
複数の凸状体462は、複数の穴部55の内部にそれぞれ配置されている。複数の凸状体462は、複数の発光素子30上に配置されている。凸状体462は、光取出面30Sに接して配置されており、好ましくは、光取出面30Sのほとんどを覆っている。
【0118】
凸状体462の外周面462Wの形状は、上下に押しつぶされた扁平な球面である。したがって、外周面462WのXY平面視での形状は、穴部55の入口から光取出面30Sに向かって、異なる径を有している。外周面462WのXY平面視での形状は、Z軸の負方向に向かって、次第に径が大きくなり、光取出面30Sに近づくほど小さな径となる。外周面462Wは、内周面55Wとの間で間隙40を形成できればよいので、外周面462Wは、なめらかな球面でなくてもよい。
【0119】
凸状体462は、透光性を有する材料で形成されている。そのため、光取出面30Sから放射された光は、凸状体462を透過する。凸状体462は、例えば透光性を有する樹脂材料で形成されており、樹脂材料は、例えば、シリコーン樹脂等である。
【0120】
第1透光性部材60は、複数の凸状体462上に配置されている。第1透光性部材60は、穴部55をふさぐように配置されており、遮光部材50の上面50T上にも配置されている。
【0121】
間隙40は、穴部55の内周面55Wと凸状体462の外周面462Wとの間で、配線層20を覆って配置されている。間隙40は、発光素子30の側面30Lと外周面462Wとの間にも配置されている。
【0122】
(変形例)
図16A図16Cは、第4の実施形態の変形例に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図16A図16Cに示す変形例では、第4の実施形態の発光モジュール400の凸状体462とは、異なる形状の凸状体を備える点で、第4の実施形態の場合と相違する。他の点では、第4に実施形態の場合と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0123】
図16Aに示すように、発光モジュール400aは、凸状体462aを備える。本変形例の発光モジュール400aの凸状体462aは、第4の実施形態の場合の凸状体462よりも、XY平面視での径が大きい扁平な球体である。凸状体462aは、第1透光性部材60と発光素子30の間に配置されている。凸状体462aは、発光素子30の光取出面30Sに接して配置されており、光取出面30Sの全面を覆っている。
【0124】
凸状体462aは、発光素子30の側面30Lも覆っている。したがって、間隙40は、穴部55の内周面55Wと凸状体462aの外周面462aWとの間で配線層20を覆って配置されている。
【0125】
凸状体462aは、透光性を有しており、第4の実施形態の場合と同様の材料で形成されている。
【0126】
本変形例では、凸状体462aが発光素子30の光取出面30Sおよび側面30Lを覆っているので、発光素子30から側方に放射される光や、光取出面30Sの外周付近から側方に向かう光は、間隙40で全反射されて、上方へ向かう光に変換される。
【0127】
図16Bに示すように、発光モジュール400bは、凸状体462bを備えている。本変形例の発光モジュール400bの凸状体462bは、柱状体である。凸状体462bの外周面462bWのXY平面視での形状は、Z軸方向にわたってほぼ同じである。本変形例では、凸状体462bは、XY平面視で、光取出面30Sの中央部付近の一部を覆っている。したがって、穴部55の内周面55Wと外周面462bWとの間の間隙40の長さは、上述の他の実施形態や変形例の場合よりも長い。この場合、光取出面30Sのうち、光取出面30Sが凸状体462bで覆われていない部分から放射された光が間隙40に放射される。間隙40が凸状体462bよりも屈折率が低いことで、間隙40に入射された光の一部は、凸状体462bに入射されやすくなり、凸状体462bに入射された光の多くは上方へ取り出される。
【0128】
図16Cに示すように、発光モジュール400cは、凸状体462cを備えている。本変形例の発光モジュール400cの凸状体462cは、錐台形状を有している。凸状体462cの外周面462cWのXY平面視での形状は、穴部55の入口から光取出面30Sに近づくほど径の小さくなる。
【0129】
この例では、凸状体462cは、光取出面30Sの全面を覆っており、側面30Lも覆っている。間隙40は、穴部55の内周面55Wと凸状体462cの外周面462cWとの間で、配線層20を覆っている。したがって、発光素子30から放出される光のうち、側方に放射される光は、凸状体462cによって閉じ込められ、発光素子30の内部等で上方への光に変換されて放射される。
【0130】
(発光モジュール400,400a~400cの製造方法)
図7Aに関連して説明した中間部材1001が準備される。凸状体462は、例えば、微小な粒子を形成する技術を用いて、中間部材1001の穴部55内に直接形成される。微小な粒子を形成する技術は、例えば、印刷技術、インクジェット技術またはポッティング技術等である。微小な粒子を形成する技術は、穴部55のXY平面視での径や遮光部材50の厚さ、あるいは、変形例として上述した凸状体の形状等に応じて適切なものが選定される。
【0131】
凸状体462が形成された中間部材1001では、第1透光性部材60が、遮光部材50の上面50T上および凸状体462上に配置され、固定される。
【0132】
本実施形態に係る発光モジュール400およびその変形例の発光モジュール400a~400cの効果について説明する。
本実施形態に係る発光モジュール400およびその変形例の発光モジュール400a~400cは、上述した第1の実施形態に係る発光モジュール100と同様の効果を有する。そのほか、本実施形態に係る発光モジュール400は、扁平な球体である凸状体462を備えている。凸状体462は、透光性を有しており、発光素子30から放射される光の経路を提供する。発光素子30からの光は、凸状体462によって広角にひろげられて第1透光性部材60に入射されるので、発光素子30ごとの輝度がより均一化される。
【0133】
発光素子30の構造等に応じて、各変形例のような凸状体を配置することによって、適切な配光を実現することが可能になる。
【0134】
(第5の実施形態)
(発光モジュール500の構成)
図17は、第5の実施形態に係る発光モジュールを例示する模式的な断面図である。
図17に示すように、本実施形態に係る発光モジュール500は、基板10と、複数の発光素子30と、複数の間隙40と、遮光部材50と、第3透光性部材563と、第4透光性部材564と、複数の凸状体462と、を備える。本実施形態に係る発光モジュール500の構成は、第3透光性部材563を備える点で、第4の実施形態に係る発光モジュール400の構成と相違する。なお、第4透光性部材564は、上述した他の実施形態の場合の第1透光性部材60と同じである。凸状体462は、第4の実施形態の場合の凸状体462と同じである。その他の構成要素も上述した他の実施形態と同じとすることができ、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0135】
凸状体462は、第4の実施形態の場合と同様に、穴部55の内部で発光素子30上に配置されている。凸状体462の外周面462Wの形状は、第4の実施形態の各変形例を適用してもよい。凸状体462は、透光性の材料で形成されており、第3透光性部材563とともに、発光素子30と波長変換部材70を含む第4透光性部材564との間を光学的に結合する部材として機能する。
【0136】
第3透光性部材563は、遮光部材50の上面50T上および凸状体462上に配置されている。より詳細には、第3透光性部材563は、第4透光性部材564と上面50Tとの間に配置され、穴部55をふさぐように配置されている。第3透光性部材563は、第2の実施形態の場合の第2透光性部材260と同様の材料および構成とされる。つまり、第3透光性部材563は、両面に接着剤の層を有しており、一方の面に接着剤の層を介して第4透光性部材564が配置されている。第3透光性部材563は、他方の面の接着剤の層を介して、遮光部材50の上面50Tに配置され固定され、凸状体562上に配置され固定されている。
【0137】
本実施形態に係る発光モジュール500は、上述の他の実施形態の場合と同様に動作する。
【0138】
本実施形態に係る発光モジュール500は、上述の他の実施形態の場合と同様に製造することができる。すなわち、図7Aに示した中間部材1001が準備され、穴部55の内部に凸状体462が直接形成される。その後、図12Aに関連して説明したように、第4透光性部材564が貼付された第3透光性部材563が、凸状体462が形成された中間部材1001上に配置される。
【0139】
以上説明した実施形態によれば、光取出効率を向上させた発光モジュールおよび発光モジュールの製造方法を実現することができる。
【0140】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0141】
10 基板、12 支持部材、14 補強基板、20 配線層、30 発光素子、40 間隙、50 遮光部材、55 穴部、55W 内周面、60 第1透光性部材、62,262,362,462,462a~462c 凸状体、62W,262W,362W,462W,462aW~462cW 外周面、70 波長変換部材、100,100a,200,300,400,400a~400c,500 発光モジュール、260,360 第2透光性部材、563 第3透光性部材、564 第4透光性部材、1001,1002 中間部材、1040 被覆部材、1050 遮光部材、1060 第1透光性部材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17