(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148819
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】冷却装置、冷却装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/21 20140101AFI20231005BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231005BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231005BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20231005BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20231005BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/21 N
H01M10/613
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M10/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057060
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173598
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 桜子
(72)【発明者】
【氏名】金井 俊典
(72)【発明者】
【氏名】岸 正幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 智哉
【テーマコード(参考)】
4E168
5H031
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA21
4E168CB03
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】接合する薄板状の部材の面積が大きくても確度高くかつ簡易に接合することができる技術を提供する。
【解決手段】冷却装置1は、薄板状であり、第1貫通孔が形成された第1部材10と、薄板状の第2部材と、第1部材10と第2部材との間に配置されて、第1部材10及び第2部材とともに、第1貫通孔から隙間に吸入された冷却液の流路を構成する切り欠き31が形成された流路形成部材と、を備え、第1部材10には、隙間から冷却液を排出する第2貫通孔が形成され、流路形成部材の切り欠き31は、第1貫通孔から第2貫通孔まで冷却液の進行方向が変わるように形成され、切り欠き31が形成された領域を含む第1領域R1の周囲は、第1部材10及び第2部材と流路形成部材とがレーザ溶接にて接合されており、第1領域R1内の隣り合う切り欠き31間は、第1部材10及び第2部材の少なくともいずれかと流路形成部材とが接着されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状であり、第1貫通孔が形成された第1部材と、
前記第1部材との間に隙間を形成するように当該第1部材と対向するように配置された薄板状の第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて、当該第1部材及び当該第2部材とともに、前記第1貫通孔から前記隙間に吸入された冷却液の流路を構成する切り欠きが形成された流路形成部材と、
を備え、
前記第1部材又は前記第2部材には、前記隙間から前記冷却液を排出する第2貫通孔が形成され、
前記流路形成部材の前記切り欠きは、前記第1貫通孔から前記第2貫通孔まで前記冷却液の進行方向が変わるように形成され、
前記切り欠きが形成された領域を含む所定領域の周囲は、前記第1部材及び前記第2部材と前記流路形成部材とがレーザ溶接にて接合されており、当該所定領域内の隣り合う当該切り欠き間は、当該第1部材及び当該第2部材の少なくともいずれかと当該流路形成部材とが接着又は粘着されている、
冷却装置。
【請求項2】
前記流路形成部材の前記切り欠きは、Uターンを繰り返しており、当該流路形成部材におけるU字の側辺間に塗布された接着剤又は粘着剤により、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかと当該流路形成部材とが接着又は粘着されている、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記流路形成部材の前記切り欠きは、前記第1貫通孔から前記第2貫通孔に至るまでの間に並列となる複数の流路を形成するように分岐しており、当該並列となる複数の流路間に塗布された接着剤又は粘着剤により、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかと当該流路形成部材とが接着又は粘着されている、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
隣り合う前記切り欠き間の少なくとも一部は、前記第1部材、前記第2部材及び前記流路形成部材が塑性変形されることで接合されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
薄板状であり、第1貫通孔が形成された第1部材を製造する工程と、
前記第1部材との間に隙間を形成するように当該第1部材と対向するように配置される薄板状の第2部材を製造する工程と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて、当該第1部材及び当該第2部材とともに、前記第1貫通孔から前記隙間に吸入された冷却液が方向を変えながら流通する流路を構成する切り欠きが形成された流路形成部材を製造する工程と、
隣り合う切り欠き間において、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかと前記流路形成部材とを接着又は粘着する工程と、
前記切り欠きが形成された領域を含む所定領域の周囲において、前記第1部材及び前記第2部材と前記流路形成部材とをレーザ溶接にて接合する工程と、
を備える冷却装置の製造方法。
【請求項6】
前記接着又は粘着する工程は、前記流路形成部材のUターンを繰り返す前記切り欠きにおけるU字の側辺間に接着剤又は粘着剤を塗布した状態で、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかに接触させる、
請求項5に記載の冷却装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1部材を製造する工程又は前記第2部材を製造する工程は、前記隙間から前記冷却液を排出する第2貫通孔を形成する工程を有し、
前記接着又は粘着する工程は、前記流路形成部材の前記第1貫通孔から前記第2貫通孔に至るまでの間に並列となる複数の流路を形成する前記切り欠きにおける当該並列となる複数の流路間に接着剤又は粘着剤を塗布した状態で、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかを接触させる、
請求項5に記載の冷却装置の製造方法。
【請求項8】
前記接合する工程は、前記所定領域の周囲にレーザ光を連続的に照射する
請求項5から7のいずれか1項に記載の冷却装置の製造方法。
【請求項9】
隣り合う前記切り欠き間の少なくとも一部における、前記第1部材、前記第2部材及び前記流路形成部材を塑性変形することで接合する工程をさらに備える、
請求項5から8のいずれか1項に記載の冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置および冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された電池モジュール用の冷却部材は、下部プレートと、複数の冷媒流路を含む支持体と、上部プレートとを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷却装置を構成する薄板状の部材同士(特許文献1においては上部プレートと下部プレート)をろう付けにて接合する場合がある。しかしながら、ろう付けにて接合する面の大きさが大きい場合には、未接合部が発生するおそれがある。
未接合部が発生しないように、薄板状の部材同士をレーザ溶接することも考えられる。しかしながら、レーザ光を照射する部位の長さが長くなると生産性が悪化するおそれがある。また、曲線を描くようにレーザ光を照射していく場合に曲率が大きくなるほど熱歪みが生じるためレーザ溶接を施すことが困難となる。同様に、レーザ光を照射する部位間の距離が短いほど、先にレーザ光を照射した部位の熱歪みにより後から照射する部位をレーザ溶接することが困難となる。
本発明は、接合する薄板状の部材の面積が大きくても確度高くかつ簡易に接合することができる冷却装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、薄板状であり、第1貫通孔が形成された第1部材と、前記第1部材との間に隙間を形成するように当該第1部材と対向するように配置された薄板状の第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて、当該第1部材及び当該第2部材とともに、前記第1貫通孔から前記隙間に吸入された冷却液の流路を構成する切り欠きが形成された流路形成部材と、を備え、前記第1部材又は前記第2部材には、前記隙間から前記冷却液を排出する第2貫通孔が形成され、前記流路形成部材の前記切り欠きは、前記第1貫通孔から前記第2貫通孔まで前記冷却液の進行方向が変わるように形成され、前記切り欠きが形成された領域を含む所定領域の周囲は、前記第1部材及び前記第2部材と前記流路形成部材とがレーザ溶接にて接合されており、当該所定領域内の隣り合う当該切り欠き間は、当該第1部材及び当該第2部材の少なくともいずれかと当該流路形成部材とが接着又は粘着されている、冷却装置である。
ここで、前記流路形成部材の前記切り欠きは、Uターンを繰り返しており、当該流路形成部材におけるU字の側辺間に塗布された接着剤又は粘着剤により、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかと当該流路形成部材とが接着又は粘着されていても良い。
また、前記流路形成部材の前記切り欠きは、前記第1貫通孔から前記第2貫通孔に至るまでの間に並列となる複数の流路を形成するように分岐しており、当該並列となる複数の流路間に塗布された接着剤又は粘着剤により、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかと当該流路形成部材とが接着又は粘着されていても良い。
また、隣り合う前記切り欠き間の少なくとも一部は、前記第1部材、前記第2部材及び前記流路形成部材が塑性変形されることで接合されていても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、薄板状であり、第1貫通孔が形成された第1部材を製造する工程と、前記第1部材との間に隙間を形成するように当該第1部材と対向するように配置される薄板状の第2部材を製造する工程と、前記第1部材と前記第2部材との間に配置されて、当該第1部材及び当該第2部材とともに、前記第1貫通孔から前記隙間に吸入された冷却液が方向を変えながら流通する流路を構成する切り欠きが形成された流路形成部材を製造する工程と、隣り合う切り欠き間において、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかと前記流路形成部材とを接着又は粘着する工程と、前記切り欠きが形成された領域を含む所定領域の周囲において、前記第1部材及び前記第2部材と前記流路形成部材とをレーザ溶接にて接合する工程と、を備える冷却装置の製造方法である。
ここで、前記接着又は粘着する工程は、前記流路形成部材のUターンを繰り返す前記切り欠きにおけるU字の側辺間に接着剤又は粘着剤を塗布した状態で、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかに接触させても良い。
また、前記第1部材を製造する工程又は前記第2部材を製造する工程は、前記隙間から前記冷却液を排出する第2貫通孔を形成する工程を有し、前記接着又は粘着する工程は、前記流路形成部材の前記第1貫通孔から前記第2貫通孔に至るまでの間に並列となる複数の流路を形成する前記切り欠きにおける当該並列となる複数の流路間に接着剤又は粘着剤を塗布した状態で、前記第1部材及び前記第2部材の少なくともいずれかを接触させても良い。
また、前記接合する工程は、前記所定領域の周囲にレーザ光を連続的に照射しても良い。
また、隣り合う前記切り欠き間の少なくとも一部における、前記第1部材、前記第2部材及び前記流路形成部材を塑性変形することで接合する工程をさらに備えても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接合する薄板状の部材の面積が大きくても確度高くかつ簡易に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る冷却装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る冷却装置を構成する部品を分解した図の一例である。
【
図3】
図1のIII-III部の断面の一例を示す図である。
【
図5】流路形成部材を下方から見た図の一例である。
【
図6】第2部材及び流路形成部材を上方から見た図の一例である。
【
図7】レーザ溶接を施す方法の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る冷却装置の外観の一例を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る冷却装置を構成する部品を分解した図の一例である。
【
図10】第2実施形態に係る流路形成部材を上から見た図の一例である。
【
図11】流路形成部材を下方から見た図の一例である。
【
図12】レーザ溶接による接合部位の変形例の一例を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係る冷却装置3の外観の一例を示す図である。
【
図14】第3実施形態に係る冷却装置を構成する部品を分解した図の一例である。
【
図15】第3実施形態に係る冷却装置を上から見た図の一例である。
【
図16】流路形成部材を下方から見た図の一例である。
【
図17】第4実施形態に係る冷却装置を上から見た図の一例である。
【
図18】(a)は、塑性変形部を成形する工程の一例を示す図である。(b)は、
図17のXVIIIb-XVIIIb部の断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る冷却装置1の外観の一例を示す図である。
図2は、第1実施形態に係る冷却装置1を構成する部品を分解した図の一例である。
図3は、
図1のIII-III部の断面の一例を示す図である。
【0009】
第1実施形態に係る冷却装置1は、薄板状である第1部材10と、第1部材10と対向するように配置された薄板状の第2部材20とを備える。また、冷却装置1は、第1部材10と第2部材20との間の隙間Sに配置され、第1部材10及び第2部材20とともに隙間Sに吸入された冷却液の流路を形成する流路形成部材30を備える。また、冷却装置1は、第1部材10と第2部材20とで挟み込まれることで保持されて、第1部材10と第2部材20との間の隙間Sに冷却液を吸入する吸入ジョイント40と、隙間Sから冷却液を排出する排出ジョイント50とを備える。
【0010】
冷却装置1は、外形が偏平状かつ直方体状である。以下では、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が積層される方向を、「上下方向」と称する場合がある。また、直方体状の冷却装置1における、上下方向に直交する矩形の長手方向を「第1方向」、矩形の短手方向を「第2方向」と称する場合がある。また、吸入ジョイント40から排出ジョイント50の方へ向かう流路において、吸入ジョイント40側を「上流側」、排出ジョイント50側を「下流側」と称する場合がある。
【0011】
冷却装置1においては、
図1に示すように、第1部材10の上方に、この冷却装置1により冷却される被冷却物が載せられる。被冷却物は、複数の直方体状の単電池101からなる組電池100であることを例示することができる。
【0012】
(第1部材10)
第1部材10は、第1方向の一方(
図3においては左側(以下、「第1側」と称する場合がある。))の端部における第2方向の中央部に板面から円柱状に上側に突出した第1突出部11を有している。第1突出部11における中央部には、円柱状の第1貫通孔111が形成されている。また、第1部材10は、第1方向の他方(
図3においては右側(以下、「第2側」と称する場合がある。))の端部における第2方向の中央部に板面から円柱状に上側に突出した第2突出部12を有している。第2突出部12における中央部には、円柱状の第2貫通孔121が形成されている。
【0013】
(第2部材20)
第2部材20は、第1方向の第1側の端部における第2方向の中央部に板面から円柱状に下側に突出した第1突出部21を有している。また、第2部材20は、第1方向の第2側の端部における第2方向の中央部に板面から円柱状に下側に突出した第2突出部22を有している。
第1部材10と第2部材20とは、第1貫通孔111及び第2貫通孔121が形成されている以外は同形状の部材であり、上下方向に直交する面に対して対称となるように配置されている。それゆえ、第1突出部11と第1突出部21、及び、第2突出部12と第2突出部22が対向する。
【0014】
(流路形成部材30)
流路形成部材30は、薄板状の部材であり、貫通することにより冷却液の流路となる切り欠き31が形成されている。
切り欠き31は、3列の組電池100のそれぞれの列の下方に、第2方向の一方(
図4においては上側(以下、「第3側」と称する場合がある。))の端部から第2方向の他方(
図4においては下側(以下、「第4側」と称する場合がある。))の端部へ第2方向に平行に向かう部位と、第2方向の第4側の端部にて180度折り返す部位と、第2方向に平行に第4側の端部から第3側の端部に向かう部位とを有するU字状の切り欠きであるU字状路33を備えている。
【0015】
また、切り欠き31は、第1方向の第1側の端部に形成されたU字状路33aにおける下流側の端部と、第1方向の中央に形成されたU字状路33bにおける上流側の端部とを接続する円弧状の第1接続路34aを備えている。また、切り欠き31は、第1方向の中央に形成されたU字状路33bにおける下流側の端部と、第1方向の第2側の端部に形成されたU字状路33cにおける上流側の端部とを接続する円弧状の第2接続路34bを備えている。
【0016】
また、切り欠き31は、第1方向の第1側の端部における第1突出部11と第1突出部21とが対向する部位から第1方向の第1側の端部に形成されたU字状路33aにおける上流側の端部までを接続する導入路35を備えている。導入路35は、第1方向の第1側の端部における第1突出部11と第1突出部21とが対向する部位から、第1方向及び第2方向に傾斜する方向に延びている。
【0017】
また、切り欠き31は、第1方向の第2側の端部に形成されたU字状路33cにおける下流側の端部から、第1方向の第2側の端部における第2突出部12と第2突出部22とが対向する部位までを接続する導出路36を備えている。導出路36は、第1方向の第2側の端部に形成されたU字状路33cにおける下流側の端部から180度折り返す円弧状部36aと、第2方向に平行に第3側の端部から第4側の端部に向かう平行部36bとを有し、平行部36bにおける第4側の端部と第1方向の第2側の端部における第2突出部12と第2突出部22とが対向する部位までを接続する傾斜部36cとを有する。
【0018】
(吸入ジョイント40)
吸入ジョイント40は、筒状の第1筒状部41と、第1筒状部41の下方に設けられた筒状の第2筒状部42と、を有する。
第1筒状部41及び第2筒状部42は円筒状であり、内径は同じである。第2筒状部42の外径は、第1筒状部41の外径よりも大きい。
第1筒状部41には、外周面から凹んだ凹部411が全周に亘って形成されている。凹部411にはOリング45が嵌め込まれている。
第2筒状部42における上下方向の中央部には、内部と外部とを連通するように上下方向に交差する方向に貫通する連通孔421が形成されている。連通孔421は、周方向の半分の領域に亘って形成されていることを例示することができる。
【0019】
吸入ジョイント40は、
図3に示すように、第2筒状部42が、第1部材10の第1突出部11と、第2部材20の第1突出部21と、流路形成部材30の切り欠き31と、にて形成される空間内に収容され、第1筒状部41が第1部材10の第1貫通孔111から外部に突出するように配置される。つまり、吸入ジョイント40は、第2筒状部42が上下方向に移動しないように、第1部材10及び第2部材20に保持される。第2筒状部42に形成された連通孔421は、切り欠き31が向かう方向を向くように配置されることを例示することができる。
【0020】
(排出ジョイント50)
排出ジョイント50は、吸入ジョイント40と同じ形状であるので詳細な説明は省略するが、排出ジョイント50は、第1筒状部41、第2筒状部42にそれぞれ相当する、第1筒状部51、第2筒状部52を有している。
第1筒状部51には、外周面から凹んだ凹部511が全周に亘って形成されている。凹部511にはOリング45が嵌め込まれている。
第2筒状部52には、連通孔421に相当する連通孔521が形成されている。
【0021】
排出ジョイント50は、吸入ジョイント40と同様に、第1部材10及び第2部材20に保持される。つまり、排出ジョイント50は、
図3に示すように、第2筒状部52が、第1部材10の第2突出部12と、第2部材20の第2突出部22と、流路形成部材30の切り欠き31と、にて形成される空間内に収容され、第1筒状部51が第1部材10の第2貫通孔121から外部に突出するように配置される。
【0022】
なお、第1部材10の第1突出部11、第2突出部12と、第2部材20の第1突出部21、第2突出部22と、流路形成部材30の切り欠き31とで形成される空間内に吸入ジョイント40の第2筒状部42、排出ジョイント50の第2筒状部52を収容可能であるとともに、切り欠き31に冷却液を流通可能であるのであれば、第1部材10と第2部材20とは同じ形状でなくても良い。
【0023】
また、冷却装置1においては、第1部材10から上方に吸入ジョイント40及び排出ジョイント50が突出して、冷却装置1の上方から冷却液を吸入し、冷却装置1の上方に冷却液を排出しているが、特にかかる態様に限定されない。例えば、第2部材20に貫通孔を形成して第2部材20から下方に吸入ジョイント40及び排出ジョイント50を突出させ、冷却装置1の下方から冷却液を吸入し、冷却装置1の下方に冷却液を排出しても良い。また、冷却液を吸入する方向と冷却液を排出する方向とが逆方向であっても良い。例えば、第1部材10から上方に吸入ジョイント40を突出させるとともに第2部材20から下方に排出ジョイント50を突出させ、冷却装置1の上方から冷却液を吸入し、冷却装置1の下方に冷却液を排出しても良い。
【0024】
図4は、冷却装置1を上方から見た図の一例である。
以上のように構成された、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30は、レーザ溶接にて接合されている。レーザ溶接を施す部位は、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30の外周部であり、太線L1がレーザ光Lを照射する部位である。また、流路形成部材30に切り欠き31が形成された領域(
図4に斜線を引いた領域)である第1領域R1の周囲を、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30をレーザ溶接にて接合する。第1領域R1の周囲の太線L2がレーザ光Lを照射する部位である。
【0025】
第1領域R1は、切り欠き31が形成された領域と、第1接続路34aと第2接続路34bとの接線であって導入路35における第2方向の第3側の端部と導出路36における第2方向の第3側の端部とを結ぶ第1方向に平行な第3側線T3と、3つのU字状路33における第4側の端部を結ぶ接線を導出路36の傾斜部36cにおける第2方向の第4側の端部まで延ばした第1方向に平行な第4側線T4と、にて囲まれた領域である。
【0026】
また、第1部材10と流路形成部材30、及び、第2部材20と流路形成部材30を、接着剤にて接着する。接着する部位は、第1領域R1内における、隣り合う切り欠き31間である。
なお、第1部材10と流路形成部材30、及び、第2部材20と流路形成部材30の両方を接着するのではなく、いずれか一方のみを接着しても良い。例えば、最も下方に配置された第2部材20と流路形成部材30とを接着し、上方に組電池100が配置された第1部材10と流路形成部材30とは接着しないようにしても良い。
また、接着剤にて接着する代わりに、粘着剤にて粘着しても良い。
【0027】
(冷却装置1の製造方法)
次に、冷却装置1の製造方法について説明する。
先ず、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30それぞれを、例えばプレス加工にて製造する。また、吸入ジョイント40及び排出ジョイント50それぞれを、例えば金型鋳造及び切削加工にて製造する。
【0028】
第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30を製造した後、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30を接合する。
先ず、第2部材20の上に、流路形成部材30を載せて、第2部材20と流路形成部材30とを接触させる。流路形成部材30を載せる際には、切り欠き31が形成された領域を含む第1領域R1内における、隣り合う切り欠き31間に接着剤を塗っておく。
【0029】
図5は、流路形成部材30を下方から見た図の一例である。
流路形成部材30に形成された切り欠き31は、3つのU字状路33、第1接続路34a、第2接続路34b、円弧状部36a、平行部36bを有しており、第2方向の第3側の端部から第4側の端部へと第2方向に平行に向かう部位と、第2方向の第4側の端部から第3側の端部へと第2方向に平行に向かう部位とが交互に繰り返すように折り返す部位を有している。言い換えれば、切り欠き31は、Uターンを繰り返している。本実施形態においては、流路形成部材30の下面(第2部材20に対向する面)の第1領域R1内における、隣り合う切り欠き31間に接着剤を塗る。例えば、
図5に示すように、Uターンしている切り欠き31におけるU字の側辺間に接着剤を塗る。
【0030】
そして、接着剤が塗られた流路形成部材30を、接着剤が塗られた面が第2部材20に対向するように下向きにして、第2部材20の上に載せる。そして、接着剤が固まるまで待機する。接着剤が固まると、第2部材20と流路形成部材30とが接着される。
【0031】
図6は、第2部材20及び流路形成部材30を上方から見た図の一例である。
次に、第2部材20の第1突出部21(
図2参照)に吸入ジョイント40の第2筒状部42を載せるとともに、第2部材20の第2突出部22(
図2参照)に排出ジョイント50の第2筒状部52を載せる。また、流路形成部材30の上面(第1部材10に対向する面)の第1領域R1内における、隣り合う切り欠き31間に接着剤を塗る。例えば、
図6に示すように、Uターンしている切り欠き31におけるU字の側辺間に接着剤を塗る。
【0032】
流路形成部材30の上面に接着剤を塗った後に、流路形成部材30の上に第1部材10を載せる。その際、吸入ジョイント40の第1筒状部41を、第1部材10の第1貫通孔111に通すとともに、排出ジョイント50の第1筒状部51を、第1部材10の第2貫通孔121に通す。そして、接着剤が固まるまで待機する。接着剤が固まると、第1部材10と流路形成部材30とが接着される。
【0033】
その後、レーザ溶接を施す。
図7は、レーザ溶接を施す方法の一例を示す図である。
第1部材10、流路形成部材30及び第2部材20の重ね合わせ部位における第1部材10に向けてレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を、第1部材10の外周部の形状に沿って移動させてレーザ光Lを連続的に照射することで、第1部材10と流路形成部材30と第2部材20とを接合する。
図4の太線L1が、レーザ溶接が施された部位である。
【0034】
また、流路形成部材30の第1領域R1の周囲における第1部材10に向けてレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を、第1領域R1の周囲に沿って移動させてレーザ光Lを連続的に照射することで、第1部材10と流路形成部材30と第2部材20とを接合する。
図4の太線L2が、レーザ溶接が施された部位である。
【0035】
なお、第1部材10と流路形成部材30と第2部材20とを接合する際には、第2部材20に向けてレーザ光Lを照射しても良い。また、第1部材10と流路形成部材30と第2部材20とを同時に接合するのではなく、第1部材10に向けてレーザ光Lを照射することで第1部材10と流路形成部材30とを接合するとともに、第2部材20に向けてレーザ光Lを照射することで第2部材20と流路形成部材30とを接合しても良い。
【0036】
また、吸入ジョイント40の第2筒状部42と第1部材10との重ね合わせ部位における第1部材10に向けて、レーザ装置150のレーザヘッド151からレーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を、第1貫通孔111の周囲に移動させることで、第1貫通孔111の周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。これにより、第1部材10と吸入ジョイント40とがレーザ溶接にて接合される。
【0037】
同様に、排出ジョイント50の第2筒状部52と第1部材10との重ね合わせ部位における第1部材10に向けて、レーザ光Lを照射し、レーザヘッド151を、第2貫通孔121の周囲に移動させることで、第2貫通孔121の周囲にレーザ光Lを連続的に照射する。これにより、第1部材10と排出ジョイント50とがレーザ溶接にて接合される。
【0038】
以上説明したように、冷却装置1の製造方法は、薄板状であり、第1貫通孔111が形成された第1部材10を製造する工程と、第1部材10との間に隙間Sを形成するように第1部材10と対向するように配置される薄板状の第2部材20を製造する工程とを備える。また、冷却装置1の製造方法は、第1部材10と第2部材20との間に配置されて、第1部材10及び第2部材20とともに、第1貫通孔111から隙間Sに吸入された冷却液が方向を変えながら流通する流路を構成する切り欠き31が形成された流路形成部材30を製造する工程を備える。また、冷却装置1の製造方法は、隣り合う切り欠き31間において、第1部材10及び第2部材20の少なくともいずれかと流路形成部材30とを接着又は粘着する工程と、切り欠き31が形成された領域を含む所定領域の一例としての第1領域R1の周囲において、第1部材10及び第2部材20と流路形成部材30とをレーザ溶接にて接合する工程とを備える。
【0039】
上記製造方法によれば、第1部材10及び第2部材20と流路形成部材30とをレーザ溶接にて接合するので、接合する薄板状の部材である、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30の面積が大きくても、確度高く接合することができる。また、切り欠き31が形成された領域を含む第1領域R1の周囲において、第1部材10及び第2部材20と流路形成部材30とをレーザ溶接にて接合するので、冷却液が流通する切り欠き31から外へ冷却液が漏れることを防止できる。また、隣り合う切り欠き31間を、第1部材10及び第2部材20の少なくともいずれかと流路形成部材30とを接着又は粘着するので、隣り合う切り欠き31間をもレーザ溶接にて接合するのと比べて、レーザ光を照射する部位の長さを短くすることができるとともに、レーザ光を照射する部位間の距離が短くなることを抑制することができる。その結果、上記製造方法によれば、接合する薄板状の部材の面積が大きくても確度高くかつ簡易に接合することができる。
【0040】
上記製造方法により製造された冷却装置1は、以下のように構成されている。すなわち、冷却装置1は、薄板状であり、第1貫通孔111が形成された第1部材10と、第1部材10との間に隙間Sを形成するように第1部材10と対向するように配置された薄板状の第2部材20と、第1部材10と第2部材20との間に配置されて、第1部材10及び第2部材20とともに、第1貫通孔111から隙間Sに吸入された冷却液の流路を構成する切り欠き31が形成された流路形成部材30とを備える。第1部材10には、隙間Sから冷却液を排出する第2貫通孔121が形成され、流路形成部材30の切り欠き31は、第1貫通孔111から第2貫通孔121まで冷却液の進行方向が変わるように形成されている。そして、切り欠き31が形成された領域を含む第1領域R1の周囲は、第1部材10及び第2部材20と流路形成部材30とがレーザ溶接にて接合されており、第1領域R1内の隣り合う切り欠き31間は、第1部材10及び第2部材20の少なくともいずれかと流路形成部材30とが接着又は粘着されている。以上のように構成された冷却装置1によれば、接合する薄板状の第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30の面積が大きくても、レーザ溶接を施す際に熱歪みが生じ難いので確度高く接合されるとともに、簡易に接合される。
【0041】
(冷却装置1の作用)
以上のように構成された冷却装置1においては、吸入ジョイント40から冷却装置1の内部に流入した冷却液が、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30の切り欠き31にて形成された流路を通って排出ジョイント50に至り、冷却装置1の外部に流出する。このようにして、冷却液が、冷却装置1の内部を流通する間に、第1部材10の上方に載せられた、例えば組電池100を冷却する。
【0042】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る冷却装置2の外観の一例を示す図である。
図9は、第2実施形態に係る冷却装置2を構成する部品を分解した図の一例である。
図10は、第2実施形態に係る流路形成部材230を上から見た図の一例である。
第2実施形態に係る冷却装置2は、第1実施形態に係る冷却装置1に対して、吸入ジョイント40及び排出ジョイント50が設けられている場所が異なるとともに、冷却装置2の内部に形成された流路の形状が異なる。また、冷却装置2は、上下方向に見た場合の形状が正方形である点が冷却装置1と異なる。
【0043】
以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第2実施形態と第1実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。また、
図10の左右方向を「第1方向」、
図10の上下方向を「第2方向」と称する場合がある。
冷却装置2においては、第1方向の第1側の端部であって、第2方向の第3側の端部に、吸入ジョイント40及び排出ジョイント50が設けられるように構成されている。
【0044】
第1部材10に相当する第1部材210には、吸入ジョイント40が設けられている部位に第1突出部11及び第1貫通孔111が形成されているとともに、排出ジョイント50が設けられている部位に第2突出部12及び第2貫通孔121が形成されている。
【0045】
第2部材20に相当する第2部材220には、吸入ジョイント40が設けられている部位に第1突出部21が形成されているとともに、排出ジョイント50が設けられている部位に第2突出部22が形成されている。
【0046】
流路形成部材30に相当する流路形成部材230は、切り欠き31に相当する切り欠き231の形状が、流路形成部材30と異なる。
切り欠き231は、3列の組電池100のそれぞれの列の下方に、第1方向に平行に第1方向の第1側の端部から第2側の端部に向かう部位と、第1方向の第2側の端部にて180度折り返す部位と、第1方向に平行に第2側の端部から第1側の端部に向かう部位とを有するU字状の切り欠きであるU字状路241を備えている。
【0047】
また、切り欠き231は、第2方向の第3側の端部に形成されたU字状路241aにおける下流側の端部と、第2方向の中央に形成されたU字状路241bにおける上流側の端部とを接続する第1接続路251を備えている。また、切り欠き231は、第2方向の中央に形成されたU字状路241における下流側の端部と、第2方向の第4側の端部に形成されたU字状路241cにおける上流側の端部とを接続する第2接続路252を備えている。
【0048】
また、切り欠き231は、第1方向の第1側の端部における第1突出部11と第1突出部21とが対向する部位から第2方向の第3側の端部に形成されたU字状路241aにおける上流側の端部までを接続する導入路253を備えている。
また、切り欠き231は、第2方向の第4側の端部に形成されたU字状路241cにおける下流側の端部から第1方向の第1側の端部における第2突出部12と第2突出部22とが対向する部位までを接続する導出路254を備えている。導出路254は、第1方向の第1側の端部における第2突出部12と第2突出部22とが対向する部位から第2方向の第4側の端部の方へ第2方向に平行に延びる平行部254aと、平行部254aにおける第2方向の第4側の端部と、第2方向の第4側の端部に形成されたU字状路241cにおける下流側の端部とを接続する第3接続路254bとを備えている。
なお、切り欠き231は、一定の幅Dとなるように形成されている。
【0049】
以上のように構成された冷却装置2は、上述した冷却装置1の製造方法と同様の手法にて製造される。
第1部材210、第2部材220及び流路形成部材230は、レーザ溶接にて接合されている。レーザ溶接を施す部位は、第1部材210、第2部材220及び流路形成部材230の外周部であり、太線L1がレーザ光Lを照射する部位である。また、流路形成部材230に切り欠き231が形成された領域を含む第2領域R2(
図10に斜線を引いた領域)の周囲を、第1部材210、第2部材220及び流路形成部材230をレーザ溶接にて接合する。第2領域R2の周囲の太線L22がレーザ光Lを照射する部位である。
【0050】
第2領域R2には、切り欠き231が形成された領域と、隣り合う切り欠き231間の距離が所定距離未満の領域とが含まれる。所定距離は、切り欠き231の幅Dの2倍であることを例示することができる。例えば、隣り合う切り欠き231間の一例である、第1接続路251と導出路254の平行部254aとの間の距離B1は、切り欠き231の幅Dの2倍未満の距離であることから第2領域R2に含まれる。同様に、第2接続路252と導出路254との間も第2領域R2に含まれる。
【0051】
他方、隣り合う切り欠き231間の一例である、第2方向の第3側の端部に形成されたU字状路241aと第2方向の中央に形成されたU字状路241bとの間の距離B2は、切り欠き231の幅Dの2倍以上の距離であることから第2領域R2に含まれない。同様に、第2方向の中央に形成されたU字状路241bと第2方向の第4側の端部に形成されたU字状路241cとの間の距離B3は、切り欠き231の幅Dの2倍以上の距離であることから第2領域R2に含まれない。
【0052】
図11は、流路形成部材230を下方から見た図の一例である。
第1部材10と流路形成部材230、及び、第2部材20と流路形成部材230を、接着剤にて接着する部位は、切り欠き231が形成された領域を含む第2領域R2内における、隣り合う切り欠き231間である。例えば、
図11に斜線部で示した、第1接続路251及び第2接続路252と導出路254の平行部254aとの間、及び、U字状路241におけるU字の側辺間を含む部位に接着剤を塗る。
【0053】
(冷却装置2の作用)
以上のように構成された冷却装置2においても、吸入ジョイント40から冷却装置2の内部に流入した冷却液が、第1部材210、第2部材220及び流路形成部材230の切り欠き231にて形成された流路を通って排出ジョイント50に至り、冷却装置2の外部に流出する。このようにして、冷却液が、冷却装置2の内部を流通する間に、第1部材210の上方に載せられた、例えば組電池100を冷却する。
【0054】
図12は、レーザ溶接による接合部位の変形例の一例を示す図である。
外周部の接合部位(太線L1)と第2領域R2の周囲の接合部位(太線L22)との間の距離が近い場合には、いずれか一方を省略しても良い。例えば、
図12に示すように、第1方向の第1側の端部及び第2方向の両端部における接合を行わないようにしても良い。また、U字状路241における第1方向の第2側の端部にて180度折り返す部位の周囲の接合を行わないようにして、U字状路241における第1方向に平行な部位の周囲の接合を、外周部における第1方向の第2側の端部の接合部位まで延長しても良い。
【0055】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係る冷却装置3の外観の一例を示す図である。
図14は、第3実施形態に係る冷却装置3を構成する部品を分解した図の一例である。
図15は、第3実施形態に係る冷却装置3を上から見た図の一例である。
第3実施形態に係る冷却装置3は、第1実施形態に係る冷却装置1に対して、冷却装置3の内部に形成された流路の形状が異なり、流路形成部材30に相当する流路形成部材330における、切り欠き31に相当する切り欠き331の形状が異なる。また、冷却装置3は、上下方向に見た場合の形状が正方形である点が冷却装置1と異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第3実施形態と第1実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。また、
図15の左右方向を「第1方向」、
図15の上下方向を「第2方向」と称する場合がある。
【0056】
切り欠き331は、3列の組電池100のそれぞれの列の下方に、第1方向に平行な部位である平行路340を備えている。また、切り欠き331は、第1方向の第1側の端部における第1突出部11と第1突出部21とが対向する部位から、3つの平行路340における上流側の端部までを接続する導入路351を備えている。また、切り欠き331は、3つの平行路340における下流側の端部から、第1方向の第2側の端部における第2突出部12と第2突出部22とが対向する部位までを接続する導出路352を備えている。
【0057】
以上のように構成された冷却装置3は、上述した冷却装置1の製造方法と同様の手法にて製造される。
第1部材10、第2部材20及び流路形成部材330は、レーザ溶接にて接合されている。レーザ溶接を施す部位は、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材330の外周部であり、太線L1がレーザ光Lを照射する部位である。また、流路形成部材330に切り欠き331が形成された領域を含む第3領域R3(
図15に斜線を引いた領域)の周囲を、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材330をレーザ溶接にて接合する。第3領域R3の周囲の太線L32がレーザ光Lを照射する部位である。第3領域R3には、切り欠き331が形成された領域と、隣り合う切り欠き331間である、第2方向の第3側の端部に形成された平行路341と第2方向の中央に形成された平行路342との間、及び、第2方向の中央に形成された平行路342と第2方向の第4側の端部に形成された平行路343との間の領域とが含まれる。ただし、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材330の外周部(太線L1)に施すレーザ溶接を省略しても良い。
【0058】
図16は、流路形成部材330を下方から見た図の一例である。
第1部材10と流路形成部材330、及び、第2部材20と流路形成部材330を、接着剤にて接着する部位は、切り欠き331が形成された領域を含む第3領域R3内における、隣り合う切り欠き331間である。例えば、
図16に斜線で示した、第2方向の第3側の端部に形成された平行路341と第2方向の中央に形成された平行路342との間、及び、第2方向の中央に形成された平行路342と第2方向の第4側の端部に形成された平行路343との間に接着剤を塗る。
【0059】
(冷却装置3の作用)
以上のように構成された冷却装置3においては、吸入ジョイント40から冷却装置3の内部に流入した冷却液が、並列に形成された3つの流路である、平行路341、平行路342及び平行路343に分岐して流れた後、排出ジョイント50に至り、冷却装置3の外部に流出する。このようにして、冷却液が、冷却装置3の内部を流通する間に、第1部材10の上方に載せられた、例えば組電池100を冷却する。
【0060】
<第4実施形態>
図17は、第4実施形態に係る冷却装置4を上から見た図の一例である。
第4実施形態に係る冷却装置4は、第1実施形態に係る冷却装置1に対して、さらに、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が塑性変形されることで接合されている点が異なる。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。第4実施形態と第1実施形態とで、同じものについては同じ符号を用い、その詳細な説明は省略する。
【0061】
冷却装置4は、第1領域R1内における隣り合う切り欠き31間の一部において、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が塑性変形されることで、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が接合されている。つまり、第1領域R1内における隣り合う切り欠き31間、言い換えれば、
図5や
図6に示した斜線部内の一部である。
【0062】
より具体的には、冷却装置4は、Uターンしている切り欠き31におけるU字の側辺間である、U字状路33におけるU字の側辺間、U字状路33aとU字状路33bとの間、U字状路33bとU字状路33cとの間、及び、U字状路33cと平行部36bとの間、それぞれに、3つの塑性変形部70を有している。
【0063】
図18(a)は、塑性変形部70を成形する工程の一例を示す図である。
図18(b)は、
図17のXVIIIb-XVIIIb部の断面の一例を示す図である。
上述した製造方法にて冷却装置1を製造した後に、
図18(a)に示すように、略円柱状の凹部が形成された固定型81の上に、冷却装置1を載せ、略円柱状又は円錐台状の凸部が形成された可動型82を、
図18(a)の下方向に移動させる。第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が固定型81及び可動型82により加圧されることで、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が、固定型81の凹部及び可動型82の凸部の形状に沿うように塑性変形する。その結果、
図18(b)に示した断面形状の塑性変形部70が形成される。
【0064】
以上のように構成された冷却装置4によれば、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30が塑性変形されることで成形された塑性変形部70を有するので、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30を確度高く接合することができる。
【0065】
なお、上述した冷却装置4においては、接着剤にて接着した部位を塑性変形させているが、特にかかる態様に限定されない。塑性変形させる部位は接着剤にて接着しないようにしても良い。例えば、塑性変形部70を形成する部位、及び、その周囲には接着剤を塗らないようにすると良い。
また、第1部材10、第2部材20及び流路形成部材30を塑性変形することで接合することを、第2実施形態に係る冷却装置2及び第3実施形態に係る冷却装置3に適用しても良い。
【符号の説明】
【0066】
1,2,3,4…冷却装置、10,210…第1部材、20,220…第2部材、30,230,330…流路形成部材、31,231,331…切り欠き、40…吸入ジョイント、50…排出ジョイント、70…塑性変形部、100…組電池、150…レーザ装置、151…レーザヘッド、R1…第1領域、R2…第2領域、R3…第3領域、S…隙間