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特開2023-148830バッテリ状態判定システム、バッテリ状態判定装置、バッテリ状態判定方法、バッテリ状態判定プログラム、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148830
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】バッテリ状態判定システム、バッテリ状態判定装置、バッテリ状態判定方法、バッテリ状態判定プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/389 20190101AFI20231005BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231005BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231005BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01R31/389
H02J7/00 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057080
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】岩根 典靖
(72)【発明者】
【氏名】温田 透
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA53
2G216BA58
2G216CA01
2G216CA04
5G503EA09
5G503GD02
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS06
5H030AS08
5H030BB10
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができるバッテリ状態判定システム、バッテリ状態判定装置、バッテリ状態判定方法、バッテリ状態判定プログラム、および記憶媒体を提供する。
【解決手段】バッテリ状態システム8は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラ14を備える。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとを別々に算出可能となるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラを備え、
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とを別々に算出可能となるように構成される、
バッテリ状態判定システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの電流値を取得するように構成され、
前記コントローラは、前記電流値の符号に基づいて充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるかを判定するように構成される、
請求項1に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記電流値の前記符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に前記電流値を充電電流値として取得するように構成され、
前記コントローラは、前記電流値の前記符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に前記電流値を放電電流値として取得するように構成され、
前記コントローラは、前記充電電流値に基づいて前記充電抵抗値を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記放電電流値に基づいて前記放電抵抗値を算出するように構成される、
請求項2に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記電流値の前記符号がプラスおよびマイナスの前記一方の場合に前記充電可能バッテリの電圧値を充電電圧値として取得するように構成され、
前記コントローラは、前記電流値の前記符号がプラスおよびマイナスの前記他方の場合に前記電圧値を放電電圧値として取得するように構成され、
前記コントローラは、前記充電電流値および前記充電電圧値に基づいて前記充電抵抗値を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記放電電流値および前記放電電圧値に基づいて前記放電抵抗値を算出するように構成される、
請求項3に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記充電電流値および前記充電電圧値を周期的に取得するように構成され、
前記コントローラは、前記充電電流値の最新充電電流値から前回充電電流値を減算することで充電電流差を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記充電電圧値の最新充電電圧値から前回充電電圧値を減算することで充電電圧差を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記充電電流差および前記充電電圧差に基づいて前記充電抵抗値を算出するように構成される、
請求項4に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記充電電流差の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に前記充電電流差および前記充電電圧差に基づいて第1充電抵抗値を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記充電電流差の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に前記充電電流差および前記充電電圧差に基づいて第2充電抵抗値を算出するように構成される、
請求項5に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記充電抵抗値をRC、前記充電電流差をΔAC、前記充電電圧差をΔVCとする場合に、
RC=∫(ΔVC/ΔAC)dt、および、
RC=∫(ΔAC×ΔVC)dt/∫(ΔAC×ΔAC)dt
の一方に基づいて前記充電抵抗値を算出するように構成される、
請求項5または6に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記充電抵抗値を周期的に算出するように構成され、
前記コントローラは、周期的に算出される複数の充電抵抗値の加重平均値、移動平均値、および算術平均値の1つを前記充電抵抗値として算出するように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記放電電流値および前記放電電圧値を周期的に取得するように構成され、
前記コントローラは、前記放電電流値の最新放電電流値から前回放電電流値を減算することで放電電流差を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記放電電圧値の最新放電電圧値から前回放電電圧値を減算することで放電電圧差を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記放電電流差および前記放電電圧差に基づいて前記放電抵抗値を算出するように構成される、
請求項4から7のいずれか一項に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記放電電流差の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に前記放電電流差および前記放電電圧差に基づいて第1放電抵抗値を算出するように構成され、
前記コントローラは、前記放電電流差の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に前記放電電流差および前記放電電圧差に基づいて第2放電抵抗値を算出するように構成される、
請求項9に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記放電抵抗値をRD、前記放電電流差をΔAD、前記放電電圧差をΔVDとする場合に、
RD=∫(ΔVD/ΔAD)dt、および、
RD=∫(ΔAD×ΔVD)dt/∫(ΔAD×ΔAD)dt
の一方に基づいて前記放電抵抗値を算出するように構成される、
請求項9または10に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記放電抵抗値を周期的に算出するように構成され、
前記コントローラは、周期的に算出される複数の放電抵抗値の加重平均値、移動平均値、および算術平均値の1つを前記放電抵抗値として算出するように構成される、
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの温度および推定充電率の少なくとも1つを取得するように構成され、
前記コントローラは、前記温度および前記推定充電率の前記少なくとも1つに基づいて前記充電抵抗値および前記放電抵抗値の少なくとも1つを補正するように構成される、
請求項1から12のいずれか一項に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項14】
前記コントローラに電気的に接続され前記充電可能バッテリの電流値を測定するように構成される電流センサをさらに備える、
請求項1から13のいずれか一項に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項15】
前記コントローラに電気的に接続され前記充電可能バッテリの電圧値を測定するように構成される電圧センサをさらに備える、
請求項1から14のいずれか一項に記載のバッテリ状態判定システム。
【請求項16】
充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラを備え、
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とを別々に算出可能となるように構成される、
バッテリ状態判定装置。
【請求項17】
充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるかをコントローラにより判定すること、および、
前記充電可能バッテリの充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とを前記コントローラにより別々に算出すること、
を備えるバッテリ状態判定方法。
【請求項18】
請求項17に記載の前記バッテリ状態判定方法をコンピュータに実行させる、
バッテリ状態判定プログラム。
【請求項19】
請求項18に記載の前記バッテリ状態判定プログラムを記憶する、
コンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、バッテリ状態判定システム、バッテリ状態判定装置、バッテリ状態判定方法、バッテリ状態判定プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、バッテリの内部抵抗を算出する技術が記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5394162号公報
【特許文献2】特開2011-61979号公報
【特許文献3】特許第6615011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、バッテリの内部抵抗は、バッテリに対して電流が流れる方向が放電側か充電側かによって値が異なる。特許文献1~3に記載の技術は、このような内部抵抗の特性に配慮していないので、内部抵抗の算出精度が低下する。
【0005】
本願に開示される技術の課題は、充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができるバッテリ状態判定システム、バッテリ状態判定装置、バッテリ状態判定方法、バッテリ状態判定プログラム、および記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の特徴によれば、バッテリ状態判定システムは、充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラを備える。コントローラは、充電可能バッテリの充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とを別々に算出可能となるように構成される。
【0007】
第1の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とが別々に算出可能となるので、本来は値が異なる充電時の抵抗値と放電時の抵抗値とが混在する場合に比べて、充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができる。
【0008】
第2の特徴によれば、第1の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、充電可能バッテリの電流値を取得するように構成される。コントローラは、電流値の符号に基づいて充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるかを判定するように構成される。
【0009】
第2の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、電流値の符号に基づいて充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるかが判定されるので、充電中および放電中を正確に判定できる。
【0010】
第3の特徴によれば、第2の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、電流値の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に電流値を充電電流値として取得するように構成される。コントローラは、電流値の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に電流値を放電電流値として取得するように構成される。コントローラは、充電電流値に基づいて充電抵抗値を算出するように構成される。コントローラは、放電電流値に基づいて放電抵抗値を算出するように構成される。
【0011】
第3の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電電流値および放電電流値を別々に取得することで、充電電流値および放電電流値を用いて充電抵抗値および放電抵抗値をそれぞれ精度よく算出できる。
【0012】
第4の特徴によれば、第3の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、電流値の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に充電可能バッテリの電圧値を充電電圧値として取得するように構成される。コントローラは、電流値の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に電圧値を放電電圧値として取得するように構成される。コントローラは、充電電流値および充電電圧値に基づいて充電抵抗値を算出するように構成される。コントローラは、放電電流値および放電電圧値に基づいて放電抵抗値を算出するように構成される。
【0013】
第4の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電電圧値および放電電圧値を別々に取得することで、充電電圧値および放電電圧値を用いて充電抵抗値および放電抵抗値のそれぞれの算出精度を高めることができる。
【0014】
第5の特徴によれば、第4の特徴に係るバッテリ状態判定システムおいて、コントローラは、充電電流値および充電電圧値を周期的に取得するように構成される。コントローラは、充電電流値の最新充電電流値から前回充電電流値を減算することで充電電流差を算出するように構成される。コントローラは、充電電圧値の最新充電電圧値から前回充電電圧値を減算することで充電電圧差を算出するように構成される。コントローラは、充電電流差および充電電圧差に基づいて充電抵抗値を算出するように構成される。
【0015】
第5の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電電流差および充電電圧差を用いることで充電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0016】
第6の特徴によれば、第5の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、充電電流差の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に充電電流差および充電電圧差に基づいて第1充電抵抗値を算出するように構成される。コントローラは、充電電流差の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に充電電流差および充電電圧差に基づいて第2充電抵抗値を算出するように構成される。
【0017】
第6の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電電流差の符号に応じて第1充電抵抗値および第2充電抵抗値を別々に算出するので、充電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0018】
第7の特徴によれば、第5または第6の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、充電抵抗値をRC、充電電流差をΔAC、充電電圧差をΔVCとする場合に、
RC=∫(ΔVC/ΔAC)dt、および、
RC=∫(ΔAC×ΔVC)dt/∫(ΔAC×ΔAC)dt
の一方に基づいて充電抵抗値を算出するように構成される。
【0019】
第7の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0020】
第8の特徴によれば、第1から第6の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、充電抵抗値を周期的に算出するように構成される。コントローラは、周期的に算出される複数の充電抵抗値の加重平均値、移動平均値、および算術平均値の1つを充電抵抗値として算出するように構成される。
【0021】
第8の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0022】
第9の特徴によれば、第4から第7の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、放電電流値および放電電圧値を周期的に取得するように構成される。コントローラは、放電電流値の最新放電電流値から前回放電電流値を減算することで放電電流差を算出するように構成される。コントローラは、放電電圧値の最新放電電圧値から前回放電電圧値を減算することで放電電圧差を算出するように構成される。コントローラは、放電電流差および放電電圧差に基づいて放電抵抗値を算出するように構成される。
【0023】
第9の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、放電電流差および放電電圧差を用いることで放電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0024】
第10の特徴によれば、第9の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、放電電流差の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に放電電流差および放電電圧差に基づいて第1放電抵抗値を算出するように構成される。コントローラは、放電電流差の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に放電電流差および放電電圧差に基づいて第2放電抵抗値を算出するように構成される。
【0025】
第10の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、放電電流差の符号に応じて第1放電抵抗値および第2放電抵抗値を別々に算出するので、放電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0026】
第11の特徴によれば、第9または第10の特徴に係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、放電抵抗値をRD、放電電流差をΔAD、放電電圧差をΔVDとする場合に、
RD=∫(ΔVD/ΔAD)dt、および、
RD=∫(ΔAD×ΔVD)dt/∫(ΔAD×ΔAD)dt
の一方に基づいて放電抵抗値を算出するように構成される。
【0027】
第11の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、放電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0028】
第12の特徴によれば、第1から第10の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、放電抵抗値を周期的に算出するように構成される。コントローラは、周期的に算出される複数の放電抵抗値の加重平均値、移動平均値、および算術平均値の1つを放電抵抗値として算出するように構成される。
【0029】
第12の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電抵抗値の算出精度をさらに高めることができる。
【0030】
第13の特徴によれば、第1から第12の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラは、充電可能バッテリの温度および推定充電率の少なくとも1つを取得するように構成される。コントローラは、温度および推定充電率の少なくとも1つに基づいて充電抵抗値および放電抵抗値の少なくとも1つを補正するように構成される。
【0031】
第13の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、充電可能バッテリの状態に応じて、充電抵抗値および放電抵抗値の少なくとも1つの算出精度をさらに高めることができる。
【0032】
第14の特徴によれば、第1から第13の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラに電気的に接続され充電可能バッテリの電流値を測定するように構成される電流センサをさらに備える。
【0033】
第14の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、電流センサで測定される電流値を比較的迅速に取得できる。
【0034】
第15の特徴によれば、第1から第14の特徴のいずれか1つに係るバッテリ状態判定システムにおいて、コントローラに電気的に接続され充電可能バッテリの電圧値を測定するように構成される電圧センサをさらに備える。
【0035】
第15の特徴に係るバッテリ状態判定システムでは、電圧センサで測定される電圧値を比較的迅速に取得できる。
【0036】
第16の特徴によれば、バッテリ状態判定装置は、充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラを備える。コントローラは、充電可能バッテリの充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とを別々に算出可能となるように構成される。
【0037】
第16の特徴に係るバッテリ状態判定装置では、充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とが別々に算出可能となるので、本来は値が異なる充電時の抵抗値と放電時の抵抗値とが混在する場合に比べて、充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができる。
【0038】
第17の特徴によれば、バッテリ状態判定方法は、充電可能バッテリが充電中であるか放電中であるかをコントローラにより判定すること、および、充電可能バッテリの充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とをコントローラにより別々に算出すること、を備える。
【0039】
第17の特徴に係るバッテリ状態判定方法では、充電時の充電抵抗値と放電時の放電抵抗値とが別々に算出されるので、本来は値が異なる充電時の抵抗値と放電時の抵抗値とが混在する場合に比べて、充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができる。
【0040】
第18の特徴によれば、バッテリ状態判定プログラムは、第17の特徴に係るバッテリ状態判定方法をコンピュータに実行させる。
【0041】
第18の特徴に係るバッテリ状態判定プログラムでは、充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができる。
【0042】
第19の特徴によれば、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体は、第18の特徴に係るバッテリ状態判定プログラムを記憶する。
【0043】
第19の特徴に係る記憶媒体では、充電可能バッテリの内部抵抗の算出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、第1実施形態に係るバッテリ状態判定システムの概略ブロック図である。
図2図2は、充電可能バッテリの電流値と抵抗値との関係を示すグラフである。
図3図3は、図1に示すバッテリ状態判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図4図4は、図1に示すバッテリ状態判定システムにおいて実行されるバッテリ状態判定方法を示すフローチャートである。
図5図5は、第2実施形態に係るバッテリ状態判定システムの概略ブロック図である。
図6図6は、充電可能バッテリの電流値と抵抗値との関係を示すグラフである。
図7図7は、図5に示すバッテリ状態判定システムにおいて実行されるバッテリ状態判定方法を示すフローチャートである。
図8図8は、第1変形例に係るバッテリ状態判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図9図9は、図8に示すバッテリ状態判定システムにおいて実行されるバッテリ状態判定方法を示すフローチャートである。
図10図10は、第2変形例に係るバッテリ状態判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図11図11は、図10に示すバッテリ状態判定システムにおいて実行されるバッテリ状態判定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
【0046】
第1実施形態
図1に示すように、充電可能バッテリ2は、負荷4に電気的に接続される。充電可能バッテリ2は、負荷4に電気を供給する。充電可能バッテリ2は、例えば、鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリ、およびニッケル水素バッテリなどの二次バッテリを含む。したがって、充電可能バッテリ2は、二次バッテリ2とも称し得る。
【0047】
負荷4は、充電可能バッテリ2から供給される電気により動作する。負荷4は、少なくとも1つの電気機器を含む。充電可能バッテリ2が車両に搭載される場合、電気機器の例は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)、ライト、ヒータ、オーディオ機器、センサ、およびカメラを含む。
【0048】
車両の例は、自動車を含む。自動車の例は、動力源としてエンジン(内燃機関)が搭載される自動車、動力源としてエンジンおよび車両駆動モータが搭載されるハイブリッド車、および動力源として車両駆動モータが搭載される電気自動車または燃料電池自動車を含む。したがって、例えば、充電可能バッテリ2が車両駆動用に用いられてもよいし、充電可能バッテリ2以外に車両駆動用バッテリが車両に搭載されてもよい。車両は上記の車両に限定されない。また、充電可能バッテリ2は、車両以外の用途に用いられてもよい。
【0049】
充電可能バッテリ2は、充電回路6に電気的に接続される。充電回路6は、充電可能バッテリ2に電気を供給し、充電可能バッテリ2を充電する。充電可能バッテリ2が車両に搭載される場合、例えば、充電回路6は、オルタネータおよび車両駆動モータなどの発電装置を含む。
【0050】
ところで、充電可能バッテリ2の状態を把握するために、充電可能バッテリ2の内部抵抗を算出する場合がある。内部抵抗を用いて、充電可能バッテリ2の状態判定(例えば、劣化判定、満充電判定、およびSOF(放電性能:State of Function)判定)を行える。しかし、内部抵抗は、電流の流れる方向が放電側か充電側かによって値が異なる。
【0051】
そこで、バッテリ状態判定システム8は、充電可能バッテリ2の充電時および放電時に別々に充電可能バッテリ2の抵抗値を算出可能となるように構成される。ここで、「別々に…算出可能となるように構成される」とは、「常に別々に算出するように構成される」ほか、「制御の切り替え等により別々に算出するように構成される(制御により別々に算出されないように構成されることも含む)」ことも含む。バッテリ状態判定システム8は、例えば、バッテリ状態判定装置10、外部装置30、および外部装置40を備える。バッテリ状態判定装置10は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される。バッテリ状態判定装置10は、充電可能バッテリ2から供給される電気により動作する。
【0052】
バッテリ状態判定システム8は、充電可能バッテリ2の充電時および放電時に別々に充電可能バッテリ2の抵抗値を算出可能となるように構成される。バッテリ状態判定装置10は、コントローラ14を備える。すなわち、バッテリ状態判定システム8は、コントローラ14を備える。本実施形態では、コントローラ14は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)を構成する。コントローラ14は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される。コントローラ14は、例えば、プロセッサ14P、メモリ14M、回路基板14C、およびバス14Bを含む。
【0053】
プロセッサ14Pは、例えば、CPU(Central Processing Unit)および/またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。メモリ14Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAM(Random Access Memory)および/またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリの例は、ROM(Read Only Memory)およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)を含む。メモリ14Mは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体(Computer-readable storage medium)とも称し得る。プロセッサ14Pおよびメモリ14Mは、電気的に回路基板14C上に搭載される。プロセッサ14Pおよびメモリ14Mは、および回路基板14Cを介して互いに電気的に接続される。プロセッサ14Pは、ハードウェアプロセッサ14Pとも称し得る。メモリ14Mは、ハードウェアメモリ14Mとも称し得る。
【0054】
コントローラ14は、バッテリ状態判定システム8およびバッテリ状態判定装置10の制御アルゴリズムを実現するようにプログラムされている。コントローラ14のメモリ14Mは、例えば、バッテリ状態判定システム8およびバッテリ状態判定装置10の制御アルゴリズムを実現するためのプログラムなどのソフトウェアを記憶する。プロセッサ14Pは、メモリ14Mに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、バッテリ状態判定システム8およびバッテリ状態判定装置10の制御アルゴリズムを実現する。
【0055】
コントローラ14の構成は、プロセッサ14P、メモリ14M、回路基板14Cおよびバス14Bに限定されない。コントローラ14の構成は、ハードウェアのみ、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。また、プロセッサ14Pおよびメモリ14Mは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)のように1チップで構成されてもよい。なお、コントローラ14は、コントローラ回路(Controller circuit)14、コントローラ回路構成(Controller circuitry)14、回路(Circuit)14、および/または回路構成(Circuitry)14とも称し得る。
【0056】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される。コントローラ14は、充電可能バッテリ2から電源回路14Sに供給される電気により動作する。コントローラ14は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される電源回路14Sを備える。電源回路14Sは、例えば、充電可能バッテリ2から供給される電圧(例えば、12V)を必要に応じて所定の電圧(例えば、3.3Vまたは5V)に変換する。電源回路14Sは、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。
【0057】
バッテリ状態判定装置10は、電流センサ16をさらに備える。すなわち、バッテリ状態判定システム8は、電流センサ16をさらに備える。電流センサ16は、コントローラ14に電気的に接続され、充電可能バッテリ2の電流値を測定するように構成される。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値を取得するように構成される。電流センサ16は、充電可能バッテリ2と負荷4との間、および、充電可能バッテリ2と充電回路6との間に配置される。電流センサ16は、充電可能バッテリ2から負荷4へ流れる放電電流の電流値を測定するように構成され、充電回路6から充電可能バッテリ2へ流れる充電電流の電流値を測定するように構成される。コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値を所定の周期で取得し、取得した測定電流値をメモリ14Mに記憶する。
【0058】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかを判定するように構成される。コントローラ14は、電流値の符号に基づいて充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかを判定するように構成される。コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値の符号に基づいて、充電可能バッテリ2が充電中なのか放電中なのかを判定するように構成される。
【0059】
コントローラ14は、電流値の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に電流値を充電電流値ACとして取得するように構成される。コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に電流値を充電電流値ACとして取得するように構成される。例えば、コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値の符号がプラスの場合に電流値を充電電流値ACとして取得するように構成される。しかし、コントローラ14は、電流値の符号がマイナスの場合に電流値を充電電流値ACとして取得するように構成されてもよい。
【0060】
コントローラ14は、電流値の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に電流値を放電電流値ADとして取得するように構成される。コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に電流値を放電電流値ADとして取得するように構成される。例えば、コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値の符号がマイナスの場合に電流値を放電電流値ADとして取得するように構成される。しかし、コントローラ14は、電流センサ16により測定される電流値の符号がプラスの場合に電流値を放電電流値ADとして取得するように構成されてもよい。
【0061】
バッテリ状態判定装置10は、電圧センサ18をさらに備える。すなわち、バッテリ状態判定システム8は、電圧センサ18をさらに備える。電圧センサ18は、コントローラ14に電気的に接続され、充電可能バッテリ2の電圧値を測定するように構成される。コントローラ14は、電圧センサ18の測定電圧値を所定の周期で取得し、取得した測定電圧値をメモリ14Mに記憶する。
【0062】
コントローラ14は、電流値の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に充電可能バッテリ2の電圧値を充電電圧値VCとして取得するように構成される。コントローラ14は、電流値の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に電圧値を放電電圧値VDとして取得するように構成される。
【0063】
コントローラ14は、電圧センサ18により測定される電圧値の符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に電圧値を充電電圧値VCとして取得するように構成される。コントローラ14は、電圧センサ18により測定される電圧値の符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に電圧値を放電電圧値VDとして取得するように構成される。例えば、コントローラ14は、電圧センサ18により測定される電圧値の符号がプラスの場合に電圧値を充電電圧値VCとして取得するように構成される。コントローラ14は、電圧センサ18により測定される電圧値の符号がマイナスの場合に電圧値を放電電圧値VDとして取得するように構成される。しかし、コントローラ14は、電圧値の符号がマイナスの場合に電圧値を充電電圧値VCとして取得するように構成されてもよい。コントローラ14は、電圧値の符号がプラスの場合に電圧値を放電電圧値VDとして取得するように構成されてもよい。
【0064】
図2に示すように、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとを別々に算出可能となるように構成される。コントローラ14は、充電電流値ACに基づいて充電抵抗値RCを算出するように構成される。コントローラ14は、放電電流値ADに基づいて放電抵抗値RDを算出するように構成される。
【0065】
コントローラ14は、充電電流値ACおよび充電電圧値VCに基づいて充電抵抗値RCを算出するように構成される。コントローラ14は、放電電流値ADおよび放電電圧値VDに基づいて放電抵抗値RDを算出するように構成される。
【0066】
図1に示すように、コントローラ14は、充電電流値ACおよび充電電圧値VCを周期的に取得するように構成される。コントローラ14は、周期的に取得される充電電流値ACを最新充電電流値AC1から所定の数だけメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、周期的に取得される充電電圧値VCを最新充電電圧値VC1から所定の数だけメモリ14Mに記憶する。
【0067】
コントローラ14は、充電電流値ACの最新充電電流値AC1から前回充電電流値AC2を減算することで充電電流差を算出するように構成される。コントローラ14は、最新充電電流値AC1、前回充電電流値AC、および以下の式(1)に基づいて充電電流差ΔACを算出するように構成される。
【0068】
ΔAC=AC1-AC2 ・・・(1)
コントローラ14は、充電電圧値VCの最新充電電圧値VC1から前回充電電圧値VC2を減算することで充電電圧差を算出するように構成される。コントローラ14は、最新充電電圧値VC1、前回充電電圧値VC2、および以下の式(2)に基づいて充電電圧差ΔVCを算出するように構成される。
【0069】
ΔVC=VC1-VC2 ・・・(2)
コントローラ14は、充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて充電抵抗値RCを算出するように構成される。例えば、以下の式(3)に基づいて、コントローラ14は、充電電圧差ΔVCを充電電流差ΔACで除算することで充電抵抗値RCを算出するように構成される。
【0070】
RC=ΔVC/ΔAC ・・・(3)
コントローラ14は、充電抵抗値RCを周期的に算出するように構成される。例えば、コントローラ14は、式(3)で今回算出される充電抵抗値RCを今回充電抵抗値RC1としてメモリ14Mに記憶する。つまり、上記の式(3)は、以下のようにも表現できる。
【0071】
RC1=ΔVC/ΔAC ・・・(3A)
コントローラ14は、周期的に算出される複数の充電抵抗値RCの加重平均値、移動平均値、および算術平均値の1つを充電抵抗値RCとして算出するように構成される。コントローラ14は、以下の式(4)に基づいて、今回充電抵抗値RC1および前回充電抵抗値RC2の加重平均値を充電抵抗値RCとして算出するように構成される(重み係数KCは、0から1までの数)。
【0072】
RC=(1-KC)×RC2+KC×RC1 ・・・(4)
コントローラ14は、式(4)で算出される充電抵抗値RCをメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、式(4)で新たに充電抵抗値RCを算出する際に、式(4)で前回算出された充電抵抗値RCを前回充電抵抗値RC2としてメモリ14Mに記憶する。なお、コントローラ14は、周期的に算出される複数の充電抵抗値RCの移動平均値または算術平均値を充電抵抗値RCとして算出するように構成されてもよい。
【0073】
コントローラ14は、放電電流値ADおよび放電電圧値VDを周期的に取得するように構成される。コントローラ14は、周期的に取得される放電電流値ADを最新放電電流値AD1から所定の数だけメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、周期的に取得される放電電圧値VDを最新放電電圧値VD1から所定の数だけメモリ14Mに記憶する。
【0074】
コントローラ14は、放電電流値ADの最新放電電流値AD1から前回放電電流値AD2を減算することで放電電流差ΔADを算出するように構成される。最新放電電流値をAD1、前回放電電流値をAD2、放電電流差をΔADとする場合、コントローラ14は、以下の式(5)に基づいて放電電流差ΔADを算出するように構成される。
【0075】
ΔAD=AD1-AD2 ・・・(5)
コントローラ14は、放電電圧値VDの最新放電電圧値VD1から前回放電電圧値VD2を減算することで放電電圧差ΔVDを算出するように構成される。最新放電電圧値をVD1、前回放電電圧値をVD2、放電電圧差をΔVDとする場合、コントローラ14は、以下の式(6)に基づいて放電電圧差ΔVDを算出するように構成される。
【0076】
ΔVD=VD1-VD2 ・・・(6)
コントローラ14は、放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて放電抵抗値RDを算出するように構成される。例えば、以下の式(7)に基づいて、コントローラ14は、放電電圧差ΔVDを放電電流差ΔADで除算することで放電抵抗値RDを算出するように構成される。
【0077】
RD=ΔVD/ΔAD ・・・(7)
コントローラ14は、放電抵抗値RDを周期的に算出するように構成される。例えば、コントローラ14は、式(7)で今回算出される放電抵抗値RDを今回放電抵抗値RD1としてメモリ14Mに記憶する。つまり、上記の式(7)は、以下のようにも表現できる。
【0078】
RD1=ΔVD/ΔAD ・・・(7A)
コントローラ14は、周期的に算出される複数の放電抵抗値RDの加重平均値、移動平均値、および算術平均値の1つを放電抵抗値RDとして算出するように構成される。コントローラ14は、以下の式(8)に基づいて、今回放電抵抗値RD1および前回放電抵抗値RD2の加重平均値を放電抵抗値RDとして算出するように構成される(重み係数KDは、0から1までの数)。
【0079】
RD=(1-KD)×RD2+KD×RD1 ・・・(8)
コントローラ14は、式(8)で算出される放電抵抗値RDをメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、式(8)で新たに放電抵抗値RDを算出する際に、式(8)で前回算出された放電抵抗値RDを前回放電抵抗値RD2としてメモリ14Mに記憶する。なお、コントローラ14は、周期的に算出される複数の放電抵抗値RDの移動平均値または算術平均値を放電抵抗値RDとして算出するように構成されてもよい。
【0080】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2の温度および推定充電率の少なくとも1つを取得するように構成される。バッテリ状態判定装置10は、温度センサ19を備える。温度センサ19は、コントローラ14に電気的に接続され、充電可能バッテリ2の温度を測定するように構成される。コントローラ14は、温度センサ19の測定温度を周期的に取得するように構成され、測定温度をメモリ14Mに記憶する。
【0081】
コントローラ14は、電流センサ16の測定電流値および電圧センサ18の測定電圧値の少なくとも1つに基づいて充電可能バッテリ2の推定充電率(SOC:State of Charge)を算出するように構成される。コントローラ14は、例えば、OCV法および電流積算法などの方法に基づいて充電可能バッテリ2の推定充電率を算出するように構成される。
【0082】
コントローラ14は、温度および推定充電率の少なくとも1つに基づいて充電抵抗値RCおよび放電抵抗値RDの少なくとも1つを補正するように構成される。例えば、コントローラ14は、温度と充電抵抗値RCとの関係を示す第1関係式をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、第1関係式および測定温度に基づいて充電抵抗値RCを補正するように構成される。また、コントローラ14は、推定充電率と充電抵抗値RCとの関係を示す第2関係式をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、第2関係式および推定充電率に基づいて充電抵抗値RCを補正するように構成される。しかし、温度による充電抵抗値RCの補正および推定充電率による充電抵抗値RCの補正の少なくとも1つがコントローラ14の制御から省略されてもよい。
【0083】
同様に、コントローラ14は、温度と放電抵抗値RDとの関係を示す第3関係式をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、第3関係式および測定温度に基づいて放電抵抗値RDを補正するように構成される。また、コントローラ14は、推定充電率と放電抵抗値RDとの関係を示す第4関係式をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、第4関係式および推定充電率に基づいて放電抵抗値RDを補正するように構成される。しかし、温度による放電抵抗値RDの補正および放電率による放電抵抗値RDの補正の少なくとも1つがコントローラ14の制御から省略されてもよい。
【0084】
コントローラ14は、充電抵抗値RCおよび放電抵抗値RDの少なくとも1つに基づいて充電可能バッテリ2の状態を判定するように構成される。充電可能バッテリ2の劣化が進行すると充電可能バッテリ2の内部抵抗は増加する。
【0085】
例えば、コントローラ14は、充電抵抗値RCを充電抵抗閾値TCと比較することで充電可能バッテリ2の交換の要否を判定するように構成される。具体的には、コントローラ14は、充電抵抗値RCが充電抵抗閾値TC以上の場合に充電可能バッテリ2の交換が必要であると判定するように構成される。コントローラ14は、充電抵抗値RCが充電抵抗閾値TC未満の場合に充電可能バッテリ2の交換は不要であると判定するように構成される。コントローラ14は、充電抵抗閾値TCをメモリ14Mに記憶する。充電抵抗閾値TCは、充電抵抗値RCによる判定に適した値に設定される。なお、充電抵抗値RCおよび充電抵抗閾値TCは、他の制御に用いられてもよい。コントローラ14が、充電抵抗値RCおよび充電抵抗閾値TCを用いて充電可能バッテリ2の交換の要否を判定しないように構成されてもよい。
【0086】
同様に、コントローラ14は、放電抵抗値RDを放電抵抗閾値TDと比較することで充電可能バッテリ2の交換の要否を判定するように構成される。具体的には、コントローラ14は、放電抵抗値RDが放電抵抗閾値TD以上の場合に充電可能バッテリ2の交換が必要であると判定するように構成される。コントローラ14は、放電抵抗値RDが放電抵抗閾値TD未満の場合に充電可能バッテリ2の交換は不要であると判定するように構成される。コントローラ14は、放電抵抗閾値TDをメモリ14Mに記憶する。放電抵抗閾値TDは、放電抵抗値RDによる判定に適した値に設定される。
【0087】
図1に示すように、バッテリ状態判定装置10は、コントローラ14に電気的に接続されるインターフェース20をさらに備える。インターフェース20は、入力情報を受けるように、および/または、外部装置30および/または40へバッテリ状態判定結果を送信するように構成される。バッテリ状態判定結果は、充電抵抗値RC、放電抵抗値RD、充電抵抗値RCに基づくバッテリ状態判定結果、および放電抵抗値RDに基づくバッテリ状態判定結果の少なくとも1つを示す。
【0088】
インターフェース20は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。インターフェース20は、コントローラ14から供給される電気により動作する。インターフェース20は、ユーザインターフェース22および通信部24を含む。
【0089】
ユーザインターフェース22は、コントローラ14に電気的に接続される。ユーザインターフェース22は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。ユーザインターフェース22は、入力情報をユーザから受けるように構成される。コントローラ14は、ユーザインターフェース22から入力される入力情報をメモリ14Mに記憶する。ユーザインターフェース22の例は、タッチパネルなどの操作パネルを含む。
【0090】
通信部24は、コントローラ14に電気的に接続される。通信部24は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。通信部24は、入力情報を外部装置30および/または40から受信するように構成される。コントローラ14は、通信部24に入力される入力情報をメモリ14Mに記憶する。また、通信部24は、バッテリ状態判定結果を外部装置30および/または40へ送信するように構成される。
【0091】
通信部24は、無線通信回路を含む。無線通信回路は、コントローラ14に電気的に接続され、例えば、インターネットに無線で接続可能である。無線通信回路は、バッテリ状態判定結果を外部装置30へインターネットを介して送信するように構成される。充電可能バッテリ2が車両に搭載される場合、通信部24は、例えば、無線通信回路およびゲートウェイECUを含む。
【0092】
無線通信回路は、例えば、アンテナ、無線送信回路、および無線受信回路を含む。アンテナは、無線送信回路および無線受信回路に電気的に接続される。無線送信回路は、アンテナを介して無線で信号を送信するように構成される。無線受信回路は、アンテナを介して無線で信号を受信するように構成される。無線送信回路は、所定のプロトコルで信号を暗号化するように構成される。無線受信回路は、所定のプロトコルで無線信号を復号化するように構成される。
【0093】
図1に示すように、外部装置30は、各種情報処理を行う装置であり、サーバ30とも称し得る。外部装置30は、例えば、データセンタまたはクラウドの一部を構成し、インターネットに接続可能である。外部装置30は、コントローラ32、インターフェース33、およびディスプレイ34を備える。インターフェース33およびディスプレイ34は、コントローラ32に電気的に接続される。ディスプレイ34は、コントローラ32に電気的に接続され、情報を表示するように構成される。コントローラ32は、情報を表示するようにディスプレイ34を制御するように構成される。
【0094】
コントローラ32は、例えば、プロセッサ32P、メモリ32M、回路基板32C、およびバス32Bを含む。プロセッサ32Pは、例えば、CPUおよび/またはMPUを含む。メモリ32Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAMおよび/またはDRAMを含む。不揮発性メモリの例は、ROMおよびEEPROMを含む。メモリ32Mは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体(Computer-readable storage medium)とも称し得る。プロセッサ32Pおよびメモリ32Mは、電気的に回路基板32C上に搭載される。プロセッサ32Pおよびメモリ32Mは、および回路基板32Cを介して互いに電気的に接続される。プロセッサ32Pは、ハードウェアプロセッサ32Pとも称し得る。メモリ32Mは、ハードウェアメモリ32Mとも称し得る。
【0095】
コントローラ32は、外部装置30の制御アルゴリズムを実現するようにプログラムされている。コントローラ32のメモリ32Mは、例えば、外部装置30の制御アルゴリズムを実現するためのプログラムなどのソフトウェアを記憶する。プロセッサ32Pは、メモリ32Mに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、外部装置30の制御アルゴリズムを実現する。
【0096】
コントローラ32の構成は、プロセッサ32P、メモリ32M、回路基板32Cおよびバス32Bに限定されない。コントローラ32の構成は、ハードウェアのみ、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。また、プロセッサ32Pおよびメモリ32Mは、ASICまたはFPGAのように1チップで構成されてもよい。なお、コントローラ32は、コントローラ回路(Controller circuit)32、コントローラ回路構成(Controller circuitry)32、回路(Circuit)32、および/または回路構成(Circuitry)32とも称し得る。
【0097】
インターフェース33は、回路基板32Cおよびバス32Bを介してプロセッサ32Pおよびメモリ32Mに電気的に接続される。インターフェース33は、ユーザインターフェース35および通信部36を含む。
【0098】
ユーザインターフェース35は、コントローラ32に電気的に接続される。ユーザインターフェース35は、回路基板32Cおよびバス32Bを介してプロセッサ32Pおよびメモリ32Mに電気的に接続される。ユーザインターフェース35は、ユーザが外部装置30の操作をする際に用いられる。ユーザインターフェース35の例は、キーボード、マウス、およびタッチパネルを含む。
【0099】
通信部36は、コントローラ32に電気的に接続される。通信部36は、回路基板32Cおよびバス32Bを介してプロセッサ32Pおよびメモリ32Mに電気的に接続される。通信部36は、バッテリ状態判定装置10および外部装置40と通信するように構成される。
【0100】
通信部36は、例えば、有線通信回路を含む。有線通信回路は、コントローラ32に電気的に接続され、例えば、インターネットに有線で接続可能である。有線通信回路は、バッテリ状態判定装置10および外部装置40とインターネットを介して通信するように構成される。通信部36は、無線通信回路を含んでいてもよい。
【0101】
図3に示すように、通信部36は、バッテリ状態判定装置10からバッテリ状態判定結果BRを受信するように構成される。通信部36は、バッテリ状態判定装置10から受信したバッテリ状態判定結果BRを外部装置40に送信するように構成される。通信部36は、入力情報を外部装置40から受信するように構成される。通信部36は、外部装置40から受信した入力情報および外部装置30が保有する情報の少なくとも一方をバッテリ状態判定装置10に送信するように構成される。
【0102】
図1に示すように、外部装置40は、外部装置30と通信するように構成され、端末40とも称し得る。外部装置40は、バッテリ状態判定装置10のユーザが使用するための装置である。外部装置40は、外部装置30から送信されるバッテリ状態判定結果を表示するように構成される。また、外部装置40は、バッテリ状態判定装置10のユーザからのバッテリ状態判定に必要な情報の入力を受けるように構成され、入力情報を外部装置30に送信するように構成される。外部装置40の例は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータを含む。なお、外部装置40は、バッテリ状態判定装置10と通信するように構成されていてもよい。
【0103】
外部装置40は、コントローラ42、インターフェース43、およびディスプレイ44を備える。インターフェース43およびディスプレイ44は、コントローラ42に電気的に接続される。ディスプレイ44は、コントローラ42に電気的に接続され、情報を表示するように構成される。コントローラ42は、情報を表示するようにディスプレイ44を制御するように構成される。
【0104】
コントローラ42は、例えば、プロセッサ42P、メモリ42M、回路基板42C、およびバス42Bを含む。プロセッサ42Pは、例えば、CPUおよび/またはMPUを含む。メモリ42Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAMおよび/またはDRAMを含む。不揮発性メモリの例は、ROMおよびEEPROMを含む。メモリ42Mは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体(Computer-readable storage medium)とも称し得る。プロセッサ42Pおよびメモリ42Mは、電気的に回路基板42C上に搭載される。プロセッサ42Pおよびメモリ42Mは、および回路基板42Cを介して互いに電気的に接続される。プロセッサ42Pは、ハードウェアプロセッサ42Pとも称し得る。メモリ42Mは、ハードウェアメモリ42Mとも称し得る。
【0105】
コントローラ42は、外部装置40の制御アルゴリズムを実現するようにプログラムされている。コントローラ42のメモリ42Mは、例えば、外部装置40の制御アルゴリズムを実現するためのプログラムなどのソフトウェアを記憶する。プロセッサ42Pは、メモリ42Mに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、外部装置40の制御アルゴリズムを実現する。
【0106】
コントローラ42の構成は、プロセッサ42P、メモリ42M、回路基板42Cおよびバス42Bに限定されない。コントローラ42の構成は、ハードウェアのみ、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。また、プロセッサ42Pおよびメモリ42Mは、ASICまたはFPGAのように1チップで構成されてもよい。なお、コントローラ42は、コントローラ回路(Controller circuit)42、コントローラ回路構成(Controller circuitry)42、回路(Circuit)42、および/または回路構成(Circuitry)42とも称し得る。
【0107】
インターフェース43は、回路基板42Cおよびバス42Bを介してプロセッサ42Pおよびメモリ42Mに電気的に接続される。インターフェース43は、ユーザインターフェース45および通信部46を含む。
【0108】
ユーザインターフェース45は、コントローラ42に電気的に接続される。ユーザインターフェース45は、回路基板42Cおよびバス42Bを介してプロセッサ42Pおよびメモリ42Mに電気的に接続される。ユーザインターフェース45は、入力情報をユーザから受けるように構成される。コントローラ42は、ユーザインターフェース45から入力される入力情報をメモリ42Mに記憶する。ユーザインターフェース45の例は、キーボード、マウス、およびタッチパネルを含む。
【0109】
通信部46は、コントローラ42に電気的に接続される。通信部46は、回路基板42Cおよびバス42Bを介してプロセッサ42Pおよびメモリ42Mに電気的に接続される。通信部46は、外部装置30と通信するように構成される。通信部46は、無線通信回路を含む。無線通信回路は、コントローラ42に電気的に接続され、インターネットを介して外部装置30と無線で通信するように構成される。
【0110】
通信部24と同様に、通信部46の無線通信回路は、例えば、アンテナ、無線送信回路、および無線受信回路を含む。アンテナは、無線送信回路および無線受信回路に電気的に接続される。無線送信回路は、アンテナを介して無線で信号を送信するように構成される。無線受信回路は、アンテナを介して無線で信号を受信するように構成される。無線送信回路は、所定のプロトコルで信号を暗号化するように構成される。無線受信回路は、所定のプロトコルで無線信号を復号化するように構成される。
【0111】
図3に示すように、通信部46は、インターネットを介して入力情報を外部装置30へ送信するように構成される。通信部46は、外部装置30から送信されるバッテリ状態判定結果BRをインターネットを介して受信するように構成される。外部装置40のディスプレイ44は、バッテリ状態判定結果BRを表示するように構成される。
【0112】
図1に示すように、バッテリ状態判定装置10は、報知装置26を備える。報知装置26は、コントローラ14に電気的に接続される。報知装置26は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。コントローラ14は、情報を表示するように報知装置26を制御するように構成される。報知装置26は、コントローラ14から供給される電気により動作する。
【0113】
報知装置26は、バッテリ状態判定結果をユーザに報知するように構成される。報知装置26は、例えば、インジケータ、ディスプレイ、およびスピーカの少なくとも1つを含む。コントローラ14は、バッテリ状態判定結果を報知装置26がユーザに報知するように報知装置26を制御するように構成される。例えば、報知装置26は、充電可能バッテリ2の交換が必要であることユーザに報知するように構成される。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の交換が必要であることユーザに報知するように報知装置26を制御するように構成される。
【0114】
図3および図4を参照しながらバッテリ状態判定システム8の動作について説明する。図4に示すように、バッテリ状態判定装置10のコントローラ14は、以下に説明するバッテリ状態判定方法を実行するように構成される。コントローラ14は、バッテリ状態判定プログラムをメモリ14Mに記憶する。すなわち、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体は、バッテリ状態判定プログラムを記憶する。バッテリ状態判定プログラムは、バッテリ状態判定方法をコンピュータに実行させる。コントローラ14のプロセッサ14Pは、メモリ14Mに記憶されるバッテリ状態判定プログラムを読み込み実行することで、以下に説明するバッテリ状態判定方法を実現する。
【0115】
図4に示すように、バッテリ状態判定方法は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかをコントローラ14により判定すること(例えば、ステップS2)、および、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとをコントローラ14により別々に算出すること(例えば、ステップS11~S15およびS21~S25)、を備える。
【0116】
充電可能バッテリ2の電流値A1および電圧値V1がコントローラ14により取得される(ステップS1)。電流センサ16の測定電流値A1がコントローラ14により取得される。電圧センサ18の測定電圧値V1がコントローラ14により取得される。電流値A1および電圧値V1は、コントローラ14のメモリ14Mに一時的に記憶される。
【0117】
充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかがコントローラ14により判定される(ステップS2)。電流値A1の符号に基づいて充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかがコントローラ14により判定される。電流値A1の符号がプラスおよびマイナスの一方(例えば、プラス)の場合に、電流値A1が充電電流値ACとしてコントローラ14により取得され、電圧値V1が充電電圧値VCとしてコントローラ14により取得される(ステップS3)。一方、電流値A1の符号がプラスおよびマイナスの他方(例えば、マイナス)の場合に、電流値A1が放電電流値ADとしてコントローラ14により取得され、電圧値V1が放電電圧値VDとしてコントローラ14により取得される(ステップS4)。
【0118】
ステップS2において電流値A1に基づいて充電中と判定される場合、前回電流値A2が充電中に取得されたか放電中に取得されたかがコントローラ14により判定される(ステップS10)。前回電流値A2が放電中に取得されたと判定される場合、電流値A1および電圧値V1が前回電流値A2および前回電圧値V2としてメモリ14Mに記憶され(ステップS5)、プロセスがステップS1に戻る。
【0119】
一方、前回電流値A2が充電中に取得されたと判定される場合、前述の式(1)および(2)に基づいて充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCがコントローラ14により算出される(ステップS11)。
【0120】
充電電流差ΔAC、充電電圧差ΔVC、および前述の式(3A)に基づいて今回充電抵抗値RC1がコントローラ14により算出される(ステップS12)。今回充電抵抗値RC1は、メモリ14Mに記憶される。今回充電抵抗値RC1が温度および推定充電率の少なくとも1つに基づいてコントローラ14により補正される(ステップS12A)。補正後の今回充電抵抗値RC1は、メモリ14Mに記憶される。今回充電抵抗値RC1、前回充電抵抗値RC2、および前述の式(4)に基づいて充電抵抗値RCがコントローラ14により算出される(ステップS13)。なお、ステップS12Aでの補正は、必要に応じて実行されればよい。ステップS12Aでの補正の要否が条件に応じて選択されるようにしてもよい。また、バッテリ状態判定方法から補正処理が省略されてもよい。
【0121】
充電可能バッテリ2の状態を判定するために、充電抵抗値RCが充電抵抗閾値TCとコントローラ14により比較される(ステップS14)。充電抵抗値RCが充電抵抗閾値TC未満の場合は、プロセスがステップS5に進む(ステップS14)。一方、充電抵抗値RCが充電抵抗閾値TC以上である場合は、充電可能バッテリ2の交換が必要であることを示すバッテリ状態判定結果BRが報知装置26によりユーザに報知される(ステップS14およびS15)。充電抵抗値RCが充電抵抗閾値TC以上である場合は、バッテリ状態判定結果BRがインターネットおよび外部装置30を介してバッテリ状態判定装置10から外部装置40へ送信される(ステップS16、図3参照)。バッテリ状態判定結果BRが外部装置40のディスプレイ44に表示される(ステップS17)。
【0122】
次の放電抵抗値RDの演算に用いるために、電流値A1が前回充電電流値AC2としてメモリ14Mに記憶され、電圧値V1が前回充電電圧値VC2としてメモリ14Mに記憶される(ステップS18)。ステップS13で算出された充電抵抗値RCは前回充電抵抗値RC2としてメモリ14Mに記憶される(ステップS19)。プロセスがステップS5を介してステップS1に戻る。
【0123】
また、ステップS2において電流値A1に基づいて放電中と判定される場合、前回電流値A2が充電中に取得されたか放電中に取得されたかがコントローラ14により判定される(ステップS20)。前回電流値A2が充電中に取得されたと判定される場合、電流値A1および電圧値V1が前回電流値A2および前回電圧値V2としてメモリ14Mに記憶され(ステップS5)、プロセスがステップS1に戻る。
【0124】
一方、前回電流値A2が放電中に取得されたと判定される場合、前述の式(5)および(6)に基づいて放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDがコントローラ14により算出される(ステップS21)。
【0125】
放電電流差ΔAD、放電電圧差ΔVD、および前述の式(7A)に基づいて今回放電抵抗値RD1がコントローラ14により算出される(ステップS22)。今回放電抵抗値RD1は、メモリ14Mに記憶される。今回放電抵抗値RD1が温度および推定放電率の少なくとも1つに基づいてコントローラ14により補正される(ステップS22A)。補正後の今回放電抵抗値RD1は、メモリ14Mに記憶される。今回放電抵抗値RD1、前回放電抵抗値RD2、および前述の式(8)に基づいて放電抵抗値RDがコントローラ14により算出される(ステップS23)。
【0126】
充電可能バッテリ2の状態を判定するために、放電抵抗値RDが放電抵抗閾値TDとコントローラ14により比較される(ステップS24)。放電抵抗値RDが放電抵抗閾値TD未満の場合は、プロセスがステップS5に進む(ステップS24)。一方、放電抵抗値RDが放電抵抗閾値TD以上である場合は、充電可能バッテリ2の交換が必要であることを示すバッテリ状態判定結果BRが報知装置26によりユーザに報知される(ステップS24およびS25)。放電抵抗値RDが放電抵抗閾値TD以上である場合は、バッテリ状態判定結果BRがインターネットおよび外部装置30を介してバッテリ状態判定装置10から外部装置40へ送信される(ステップS26、図3参照)。バッテリ状態判定結果BRが外部装置40のディスプレイ44に表示される(ステップS27)。
【0127】
次の放電抵抗値RDの演算に用いるために、電流値A1が前回放電電流値AD2としてメモリ14Mに記憶され、電圧値V1が前回放電電圧値VD2としてメモリ14Mに記憶される(ステップS28)。ステップS23で算出された放電抵抗値RDは前回放電抵抗値RD2としてメモリ14Mに記憶される(ステップS29)。プロセスがステップS5を介してステップS2に戻る。
【0128】
以上に説明したように、バッテリ状態判定システム8およびバッテリ状態判定装置10は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラ14を備える。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとを別々に算出可能となるように構成される。バッテリ状態判定方法は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかをコントローラ14により判定すること、および、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとをコントローラ14により別々に算出すること、を備える。したがって、充電可能バッテリ2の内部抵抗の算出精度を高めることができる。
【0129】
また、充電抵抗値RCを用いるのが好ましい場合と放電抵抗値RDを用いるのが好ましい場合とで、充電抵抗値RCおよび放電抵抗値RDを使い分けることで、それぞれの処理の精度を高めることができる。充電抵抗値RCを用いるのが好ましい場合としては、例えば、充電可能バッテリ2が満充電に達したか否かを判定する場合が挙げられる。放電抵抗値RDを用いるのが好ましい場合としては、例えば、所定の要求電流が流れた際の予想電圧を算出する場合が挙げられる。また、充電可能バッテリ2の交換の要否判定(劣化判定)、充電可能バッテリ2の放電性能の判定、アイドリングストップを行うか否かの判定等にも充電抵抗値RC、放電抵抗値RD、およびこれらを用いて算出された値に対してそれぞれ判定を行うことで、判定精度を高めることができる。
【0130】
第2実施形態
図5から図7を参照しながら、第2実施形態に係るバッテリ状態判定装置210を備えるバッテリ状態判定システム208について以下に説明する。バッテリ状態判定方法を除いて、バッテリ状態判定システム208は第1実施形態に係るバッテリ状態判定システム8と実質的に同じ構造を有する。バッテリ状態判定装置210は第1実施形態に係るバッテリ状態判定装置10と実質的に同じ構造を有する。したがって、第1実施形態の構成要素と実質的に同じ構造を有する構成要素には、ここでは同じ番号を付し、簡略化のために、これらについて再度詳細に記載および/または図示しない。
【0131】
図5に示すように、バッテリ状態判定システム208は、コントローラ14、電流センサ16、電圧センサ18、温度センサ19、インターフェース20、および報知装置26を備える。バッテリ状態判定装置210は、コントローラ14、電流センサ16、電圧センサ18、温度センサ19、インターフェース20、および報知装置26を備える。バッテリ状態判定システム208は、第1実施形態のバッテリ状態判定システム8と実質的に同じ構成を有する。バッテリ状態判定装置210は、第1実施形態のバッテリ状態判定装置10と実質的に同じ構成を有する。
【0132】
図6に示すように、第1実施形態と同様に、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとを別々に算出可能となるように構成される。コントローラ14は、充電電流値ACに基づいて充電抵抗値RCを算出するように構成される。コントローラ14は、放電電流値ADに基づいて放電抵抗値RDを算出するように構成される。コントローラ14は、充電電流値ACおよび充電電圧値VCに基づいて充電抵抗値RCを算出するように構成される。コントローラ14は、放電電流値ADおよび放電電圧値VDに基づいて放電抵抗値RDを算出するように構成される。
【0133】
第2実施形態では、充電抵抗値RCは、第1充電抵抗値RC11および第2充電抵抗値RC12を含む。放電抵抗値RDは、第1放電抵抗値RD11および第2放電抵抗値RD12を含む。
【0134】
コントローラ14は、充電電流差ΔACの符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて第1充電抵抗値RC11を算出するように構成される。コントローラ14は、充電電流差ΔACの符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて第2充電抵抗値RC12を算出するように構成される。コントローラ14は、第1充電抵抗値RC11をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、第2充電抵抗値RC12をメモリ14Mに記憶する。
【0135】
例えば、コントローラ14は、充電電流差ΔACの符号がプラスの場合に充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて第1充電抵抗値RC11を算出するように構成される。コントローラ14は、充電電流差ΔACの符号がマイナスの場合に充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて第2充電抵抗値RC12を算出するように構成される。しかし、コントローラ14は、充電電流差ΔACの符号がマイナスの場合に充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて第1充電抵抗値RC11を算出するように構成されてもよい。コントローラ14は、充電電流差ΔACの符号がプラスの場合に充電電流差ΔACおよび充電電圧差ΔVCに基づいて第2充電抵抗値RC12を算出するように構成されてもよい。
【0136】
コントローラ14は、放電電流差ΔADの符号がプラスおよびマイナスの一方の場合に放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて第1放電抵抗値RD11を算出するように構成される。コントローラ14は、放電電流差ΔADの符号がプラスおよびマイナスの他方の場合に放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて第2放電抵抗値RD12を算出するように構成される。コントローラ14は、第1放電抵抗値RD11をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、第2放電抵抗値RD12をメモリ14Mに記憶する。
【0137】
例えば、コントローラ14は、放電電流差ΔADの符号がプラスの場合に放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて第1放電抵抗値RD11を算出するように構成される。コントローラ14は、放電電流差ΔADの符号がマイナスの場合に放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて第2放電抵抗値RD12を算出するように構成される。しかし、コントローラ14は、放電電流差ΔADの符号がマイナスの場合に放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて第1放電抵抗値RD11を算出するように構成されてもよい。コントローラ14は、放電電流差ΔADの符号がプラスの場合に放電電流差ΔADおよび放電電圧差ΔVDに基づいて第2放電抵抗値RD12を算出するように構成されてもよい。
【0138】
コントローラ14は、以下の式(13)および(14)の一方に基づいて充電抵抗値RCを算出するように構成される。
【0139】
RC=∫(ΔVC/ΔAC)dt ・・・(13)
RC=∫(ΔAC×ΔVC)dt/∫(ΔAC×ΔAC)dt ・・・(14)
例えば、コントローラ14は、以下の式(13A)および(14A)の一方に基づいて第1充電抵抗値RC11を算出するように構成される。
【0140】
RC11=∫(ΔVC/ΔAC)dt ・・・(13A)
RC11=∫(ΔAC×ΔVC)dt/∫(ΔAC×ΔAC)dt ・・・(14A)
コントローラ14は、以下の式(13B)および(14B)の一方に基づいて第2充電抵抗値RC12を算出するように構成される。
【0141】
RC12=∫(ΔVC/ΔAC)dt ・・・(13B)
RC12=∫(ΔAC×ΔVC)dt/∫(ΔAC×ΔAC)dt ・・・(14B)
同様に、コントローラ14は、以下の式(15)および(16)の一方に基づいて放電抵抗値RDを算出するように構成される。
【0142】
RD=∫(ΔVD/ΔAD)dt ・・・(15)
RD=∫(ΔAD×ΔVD)dt/∫(ΔAD×ΔAD)dt ・・・(16)
例えば、コントローラ14は、以下の式(15A)および(16A)の一方に基づいて第1放電抵抗値RD11を算出するように構成される。
【0143】
RD11=∫(ΔVD/ΔAD)dt ・・・(15A)
RD11=∫(ΔAD×ΔVD)dt/∫(ΔAD×ΔAD)dt ・・・(16A)
コントローラ14は、以下の式(15B)および(16B)の一方に基づいて第2放電抵抗値RD12を算出するように構成される。
【0144】
RD12=∫(ΔVD/ΔAD)dt ・・・(15B)
RD12=∫(ΔAD×ΔVD)dt/∫(ΔAD×ΔAD)dt ・・・(16B)
図7に示すように、コントローラ14は、第1実施形態の式(3)、(3A)、(4)、(7)、(7A)および(8)の代わりに、前述の式(14)および(16)(例えば、式(14A)、(14B)、(16A)および(16B))に基づいて第1充電抵抗値RC11、第2充電抵抗値RC12、第1放電抵抗値RD11、および第2放電抵抗値RD12を算出するように構成される。
【0145】
なお、前述の式(13)、(14)、(15)、(16)、(13A)、(13B)、(14A)、(14B)、(15A)、(15B)、(16A)および(16B)は、充電抵抗値RCおよび放電抵抗値RDの算出方法の単なる一例である。したがって、例えば、上記の積分演算が、所定の条件(例えば、所定の時間経過)を満たすごとにリセットされてもよいし、所定の間隔を空けて周期的に実行されてもよい。
【0146】
図7に示すように、バッテリ状態判定装置210において、図4に示すステップS1~S5、S10、S11、S20、およびS21がコントローラ14により実行される。
【0147】
ステップS11の実行後、充電電流差ΔACの符号がプラスかマイナスかがコントローラ14により判定される(ステップS33)。充電電流差ΔACの符号がマイナスの場合(つまり、充電電流差ΔACが減少する場合)、充電電流差ΔAC、充電電圧差ΔVC、および式(14A)に基づいて第1充電抵抗値RC11がコントローラ14により算出される(ステップS34)。充電電流差ΔACの符号がプラスの場合(つまり、充電電流差ΔACが増加する場合)、充電電流差ΔAC、充電電圧差ΔVC、および式(14B)に基づいて第2充電抵抗値RC12がコントローラ14により算出される(ステップS35)。
【0148】
第1充電抵抗値RC11が温度および推定充電率の少なくとも1つに基づいてコントローラ14により補正される(ステップS34A)。補正された第1充電抵抗値RC11は、メモリ14Mに記憶される。同様に、第2充電抵抗値RC12が温度および推定充電率の少なくとも1つに基づいてコントローラ14により補正される(ステップS35A)。補正された第2充電抵抗値RC12は、メモリ14Mに記憶される。
【0149】
充電可能バッテリ2の状態を判定するために、第1充電抵抗値RC11が第1充電抵抗閾値TC11とコントローラ14により比較される(ステップS36)。第1充電抵抗閾値TC11は、第1充電抵抗値RC11による判定に適した値に設定される。第1充電抵抗値RC11が第1充電抵抗閾値TC11未満である場合、プロセスはステップS5に進む(ステップS36)。一方、第1充電抵抗値RC11が第1充電抵抗閾値TC11以上である場合、充電可能バッテリ2の交換が必要であることを示すバッテリ状態判定結果BRが報知装置26によりユーザに報知される(ステップS36およびS15)。第1充電抵抗閾値TC11はメモリ14Mに記憶される。
【0150】
充電可能バッテリ2の状態を判定するために、第2充電抵抗値RC12が第2充電抵抗閾値TC12とコントローラ14により比較される(ステップS37)。第2充電抵抗閾値TC12は、第2充電抵抗値RC12による判定に適した値に設定される。第2充電抵抗値RC12が第2充電抵抗閾値TC12未満である場合、プロセスはステップS5に進む(ステップS37)。一方、第2充電抵抗値RC12が第2充電抵抗閾値TC12以上である場合、充電可能バッテリ2の交換が必要であることを示すバッテリ状態判定結果BRが報知装置26によりユーザに報知される(ステップS37およびS15)。第2充電抵抗閾値TC12はメモリ14Mに記憶される。
【0151】
ステップS15~S18およびS5が実行された後、プロセスがステップS1から所定の周期で繰り返される。
【0152】
また、ステップS21の実行後、放電電流差ΔADの符号がプラスかマイナスかがコントローラ14により判定される(ステップS43)。放電電流差ΔADの符号がマイナスの場合(つまり、放電電流差ΔADが減少する場合)、放電電流差ΔAD、放電電圧差ΔVD、および式(16A)に基づいて第1放電抵抗値RD11がコントローラ14により算出される(ステップS44)。放電電流差ΔADの符号がプラスの場合(つまり、放電電流差ΔADが増加する場合)、放電電流差ΔAD、放電電圧差ΔVD、および式(16)に基づいて第2放電抵抗値RD12がコントローラ14により算出される(ステップS45)。
【0153】
第1放電抵抗値RD11が温度および推定放電率の少なくとも1つに基づいてコントローラ14により補正される(ステップS44A)。補正された第1放電抵抗値RD11は、メモリ14Mに記憶される。同様に、第2放電抵抗値RD12が温度および推定放電率の少なくとも1つに基づいてコントローラ14により補正される(ステップS45A)。補正された第2放電抵抗値RD12は、メモリ14Mに記憶される。
【0154】
充電可能バッテリ2の状態を判定するために、第1放電抵抗値RD11が第1放電抵抗閾値TD11とコントローラ14により比較される(ステップS46)。第1放電抵抗閾値TD11は、第1放電抵抗値RD11による判定に適した値に設定される。第1放電抵抗値RD11が第1放電抵抗閾値TD11未満である場合、プロセスはステップS5に進む(ステップS46)。一方、第1放電抵抗値RD11が第1放電抵抗閾値TD11以上である場合、充電可能バッテリ2の交換が必要であることを示すバッテリ状態判定結果BRが報知装置26によりユーザに報知される(ステップS46およびS25)。第1放電抵抗閾値TD11はメモリ14Mに記憶される。
【0155】
充電可能バッテリ2の状態を判定するために、第2放電抵抗値RD12が第2放電抵抗閾値TD12とコントローラ14により比較される(ステップS47)。第2放電抵抗閾値TD12は、第2放電抵抗値RD12による判定に適した値に設定される。第2放電抵抗値RD12が第2放電抵抗閾値TD12未満である場合、プロセスはステップS5に進む(ステップS47)。一方、第2放電抵抗値RD12が第2放電抵抗閾値TD12以上である場合、充電可能バッテリ2の交換が必要であることを示すバッテリ状態判定結果BRが報知装置26によりユーザに報知される(ステップS47およびS25)。第2放電抵抗閾値TD12はメモリ14Mに記憶される。
【0156】
ステップS25~S28およびS5が実行された後、プロセスがステップS1から所定の周期で繰り返される。
【0157】
なお、ステップS34、S35、S44、およびS45において、式(14A)、(14B)、(16A)および(16B)の代わりに、式(13A)、(13B)、(15A)および(15B)に基づいて第1充電抵抗値RC11、第2充電抵抗値RC12、第1放電抵抗値RD11、および第2放電抵抗値RD12が算出されてもよい。
【0158】
以上に説明したように、バッテリ状態判定装置210は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるか判定するように構成されるコントローラ14を備える。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとを別々に算出可能となるように構成される。バッテリ状態判定方法は、充電可能バッテリ2が充電中であるか放電中であるかをコントローラ14により判定すること、および、充電可能バッテリ2の充電時の充電抵抗値RCと放電時の放電抵抗値RDとをコントローラ14により別々に算出すること、を備える。したがって、充電可能バッテリ2の内部抵抗の算出精度を高めることができる。また、第1実施形態に係るバッテリ状態判定システム8およびバッテリ状態判定装置10と同様の効果を得ることができる。
【0159】
なお、前述の第1実施形態では、バッテリ状態判定システム8およびバッテリ状態判定装置10においてステップS1~S5、S10~S16、S18~S26、およびS27~S29が実行されるが、以下に説明するように、ステップS1~S5、S10~S16、S18~S26、およびS27~S29の少なくとも一部が外部装置30で実行されてもよい。
【0160】
例えば、図8に示す第1変形例に係るバッテリ状態判定システム308では、図9に示すように、外部装置30に対応する判定装置330においてステップS14およびS24が実行される。図8に示すように、バッテリ状態判定システム308は、バッテリ状態判定装置310および外部装置40を含む。バッテリ状態判定装置310は、バッテリ管理装置311、判定装置330、および外部装置40を備える。バッテリ管理装置311の基本構成は、バッテリ状態判定装置10の基本構成と実質的に同じである。判定装置330の基本構成は、外部装置30の基本構成と実質的に同じである。バッテリ状態判定プログラムの一部は、判定装置330のコントローラ32のメモリ32Mに記憶され、コントローラ32のプロセッサ32Pにより読み込まれることで、判定装置330によりステップS14およびS24が実行される。
【0161】
図8および図9に示すように、バッテリ管理装置311は、ステップS1~S5、S10~S13、およびS20~S23を実行することで充電抵抗値RCおよび放電抵抗値RDを取得する。バッテリ管理装置311は、充電抵抗値RCまたは放電抵抗値RDを判定装置330へ送信する(ステップS330およびS340)。判定装置330は、ステップS14およびS24を実行することで、充電可能バッテリ2の交換が必要か否かを判定する。判定装置330は、充電可能バッテリ2の交換が必要であると判定する場合、バッテリ状態判定結果BRをバッテリ管理装置311および外部装置40へ送信する(ステップS331およびS341)。バッテリ管理装置311の報知装置26は、バッテリ状態判定結果BRをユーザに報知する(ステップS15およびS25)。外部装置40のディスプレイ44は、バッテリ状態判定結果BRを表示する(ステップS17およびS27)。
【0162】
また、図10に示す第2変形例に係るバッテリ状態判定システム408では、図11に示すように、外部装置30に対応する判定装置430においてステップS12~S14およびS22~S24が実行される。図10に示すように、バッテリ状態判定システム408は、バッテリ状態判定装置410および外部装置40を含む。バッテリ状態判定装置410は、バッテリ管理装置411、判定装置430、および外部装置40を備える。バッテリ管理装置411の基本構成は、バッテリ状態判定装置10の基本構成と実質的に同じである。判定装置430の基本構成は、外部装置30の基本構成と実質的に同じである。バッテリ状態判定プログラムの一部は、判定装置430のコントローラ32のメモリ32Mに記憶され、コントローラ32のプロセッサ32Pにより読み込まれることで、判定装置430によりステップS12~S14およびS22~S24が実行される。
【0163】
図10および図11に示すように、バッテリ管理装置411は、ステップS1~S5、S10、S11、S20、およびS21を実行することで充電電流差ΔAC、充電電圧差ΔVC、放電電流差ΔAD、および放電電圧差ΔVDを取得する。バッテリ管理装置411は、充電電流差ΔAC、充電電圧差ΔVC、放電電流差ΔAD、および放電電圧差ΔVDを判定装置430へ送信する(ステップS430およびS440)。判定装置430は、ステップS12~S14およびS22~S24を実行することで、充電可能バッテリ2の充電抵抗値RCおよび放電抵抗値RDを取得し、充電可能バッテリ2の交換が必要か否かを判定する。判定装置430は、充電可能バッテリ2の交換が必要であると判定する場合、バッテリ状態判定結果BRをバッテリ管理装置411および外部装置40へ送信する(ステップS431およびS441)。バッテリ管理装置411の報知装置26は、バッテリ状態判定結果BRをユーザに報知する(ステップS15およびS25)。外部装置40のディスプレイ44は、バッテリ状態判定結果BRを表示する(ステップS17およびS27)。
【0164】
図10および図11に示す第2変形例において、判定装置430によりステップS10、S11、S20、およびS21が実行されてもよい。この場合、バッテリ管理装置511は、電流値A1および電圧値V1を判定装置430へ送信する。
【0165】
図8図11に示す第1および第2変形例は、第2実施形態に係るバッテリ状態判定システム208にも適用可能である。
【0166】
第1実施形態に係るバッテリ状態判定システム8の構成および第2実施形態に係るバッテリ状態判定システム208の構成は、組み合わせ可能である。第1実施形態に係るバッテリ状態判定装置10の構成および第2実施形態に係るバッテリ状態判定装置210の構成は、組み合わせ可能である。例えば、図4に示すバッテリ状態判定方法において、ステップS13およびS23の演算(式(4)および(8)の演算)の代わりに、図7のステップS34、S35、S45およびS46の演算(式(14)および(16)の演算)を適用可能であるし、式(13)および(15)の演算も適用可能である。同様に、図7に示すバッテリ状態判定方法において、ステップS34、S35、S45およびS46の演算(式(14)および(16)の演算)の代わりに、図4のステップS13およびS23の演算(式(4)および(8)の演算)を適用可能である。
【0167】
なお、前述の実施形態および第1および第2変形例に係るバッテリ状態判定システム8および208、バッテリ状態判定装置10および210、バッテリ管理装置311および411、バッテリ状態判定方法、ならびにバッテリ状態判定プログラムは、例えば、個人が所有する車両、レンタカーとして使用される車両、およびカーシェアリングに利用される車両に適用可能である。個人が所有する車両にバッテリ状態判定システム8および208、バッテリ状態判定装置10および210、ならびにバッテリ管理装置311および411の少なくとも1つが適用される場合、例えば、外部装置40は、車両の所有者またはドライバーが車両に搭載される充電可能バッテリ2の転極を監視するために使用される。レンタカーとして使用される車両にバッテリ状態判定システム8および208、バッテリ状態判定装置10および210、ならびにバッテリ管理装置311および411の少なくとも1つが適用される場合、例えば、外部装置40は、レンタカー会社およびそのスタッフが、貸し出した車両に搭載される充電可能バッテリ2の転極を監視するために使用される。また、カーシェアリングに利用される車両にバッテリ状態判定システム8および208、バッテリ状態判定装置10および210、ならびにバッテリ管理装置311および411の少なくとも1つが適用される場合、例えば、外部装置40は、カーシェアリング会社およびそのスタッフが、シェアされる車両に搭載される充電可能バッテリ2の転極を監視するために使用される。
【0168】
また、前述の実施形態および第1~第3変形例に係るバッテリ状態判定システム8および208、バッテリ状態判定装置10および210、バッテリ管理装置311および411、バッテリ状態判定方法、ならびにバッテリ状態判定プログラムは、車両以外の装置にも適用可能である。例えば、太陽光発電システムなどで発電された電気を蓄積しておく充電可能バッテリの監視にも利用可能である。
【0169】
なお、前述のバッテリ状態判定システム8および208は、バッテリ状態判定システムの単なる一例であり、バッテリ状態判定システムの構成は、バッテリ状態判定システム8および208の構成に限定されない。例えば、前述の実施形態では、バッテリ状態判定システム8がバッテリ状態判定装置10、外部装置30、および外部装置40を備えるが、バッテリ状態判定システム8から外部装置30および40の少なくとも1つが省略されてもよいし、バッテリ状態判定システム8が他の構成を含んでいてもよい。バッテリ状態判定システム208およびそれらの変形例についても同様である。また、バッテリ状態判定システム8が、電流センサ16、電圧センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sを備えるが、電流センサ16、電圧センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つがバッテリ状態判定システム8から省略されてもよいし、バッテリ状態判定システム8が他の構成を含んでいてもよい。電流センサ16、電圧センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つがバッテリ状態判定システム8から省略される場合、バッテリ状態判定システム8は必要な情報(例えば、電流値、電圧値)をバッテリ状態判定システム8の外部から取得するように構成され得る。バッテリ状態判定システム208およびそれらの変形例についても同様である。
【0170】
前述のバッテリ状態判定装置10および210は、バッテリ状態判定装置の単なる一例であり、バッテリ状態判定装置の構成は、バッテリ状態判定装置10および210の構成に限定されない。例えば、前述の実施形態では、バッテリ状態判定装置10が、電流センサ16、電圧センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sを備えるが、電流センサ16、電圧センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つがバッテリ状態判定装置10から省略されてもよい。電流センサ16、電圧センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つがバッテリ状態判定装置10から省略される場合、バッテリ状態判定装置10は必要な情報(例えば、電流値、電圧値)をバッテリ状態判定装置10の外部から取得するように構成され得る。バッテリ状態判定装置210およびそれらの変形例についても同様である。
【0171】
なお、本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0172】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0173】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0174】
また、本開示における「AおよびBの少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、および(3)AおよびBの両方、のいずれも包含している。「A、BおよびCの少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AおよびB、(5)BおよびC、(6)AおよびC、(7)A、BおよびCの全て、のいずれも包含している。本開示では、「AおよびBの少なくとも1つ」という表現は、「Aの少なくとも1つおよびBの少なくとも1つ」とは解釈されない。
【0175】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0176】
2 :充電可能バッテリ
4 :負荷
6 :充電回路
8、208、308、408:バッテリ状態判定システム
10、210、310、410:バッテリ状態判定装置
14 :コントローラ
16 :電流センサ
18 :電圧センサ
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11