(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014884
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】基板保持具及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20230124BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230124BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230124BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 B
H01L21/68 N
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119079
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】島田 光一
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030EA04
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4K030GA06
4K030KA45
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5F131JA33
(57)【要約】
【課題】ボートへの基板の貼り付きを抑制できる技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様による基板保持具は、基板を棚状に保持する第1のボートと、前記第1のボートと同軸に、前記第1のボートに対して相対的に昇降するよう設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、を備え、前記第1のボートは、上下に対向して設けられる第1の底板及び第1の天板と、前記第1の底板と前記第1の天板とを接続する第1の支柱であり、基板を載置する第1の載置面を含む第1の支柱と、を有し、前記第2のボートは、上下に対向して設けられる第2の底板及び第2の天板と、前記第2の底板と前記第2の天板とを接続する第2の支柱であり、基板を載置する第2の載置面を含む第2の支柱と、を有し、前記第2の天板は、平面視で前記第1の天板と重なるように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を棚状に保持する第1のボートと、
前記第1のボートと同軸に、前記第1のボートに対して相対的に昇降するよう設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、
を備え、
前記第1のボートは、上下に対向して設けられる第1の底板及び第1の天板と、前記第1の底板と前記第1の天板とを接続する第1の支柱であり、基板を載置する第1の載置面を含む第1の支柱と、を有し、
前記第2のボートは、上下に対向して設けられる第2の底板及び第2の天板と、前記第2の底板と前記第2の天板とを接続する第2の支柱であり、基板を載置する第2の載置面を含む第2の支柱と、を有し、
前記第2の天板は、平面視で前記第1の天板と重なるように配置される、
基板保持具。
【請求項2】
前記第2のボートは、前記第1の載置面に対して前記第2の載置面を昇降させることで前記第1のボートとの間で基板を受け渡す、
請求項1に記載の基板保持具。
【請求項3】
前記第1の天板は、略円環板状又は略円板状を有し、
前記第2の天板は、前記第1の天板と同じ外径の略円環板状又は略円板状を有する、
請求項1又は2に記載の基板保持具。
【請求項4】
前記第1の支柱の中心点及び前記第2の支柱の中心点は、同心円の同一円弧上に設けられる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項5】
前記第2の支柱は、前記第1の支柱よりも短い、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項6】
前記第2の底板は、前記第1の底板よりも上方に配置され、
前記第2の天板は、前記第1の天板よりも下方に配置される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項7】
前記第2の底板及び前記第2の天板は、それぞれ前記第1の支柱を挿通させる切欠きを有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項8】
前記第2のボートは、水平移動により前記第1のボートに対して着脱可能に構成される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項9】
前記第1のボート及び前記第2のボートは、同期して回転するよう構成される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項10】
基板を棚状に保持する第1のボートと、
前記第1のボートと同軸に、前記第1のボートに対して相対的に昇降するよう設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、
前記第1のボート及び前記第2のボートを収容する処理容器と、
を備え、
前記第1のボートは、上下に対向して設けられる第1の底板及び第1の天板と、前記第1の底板と前記第1の天板とを接続する第1の支柱であり、基板を載置する第1の載置面を含む第1の支柱と、を有し、
前記第2のボートは、上下に対向して設けられる第2の底板及び第2の天板と、前記第2の底板と前記第2の天板とを接続する第2の支柱であり、基板を載置する第2の載置面を含む第2の支柱と、を有し、
前記第2の天板は、平面視で前記第1の天板と重なるように配置される、
基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板保持具及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理室の内部に複数の基板を積載したボートを収容して複数の基板に成膜処理を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、独立に上下方向に移動可能なインナーボートとアウターボートとを有する二重構造のボートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ボートへの基板の貼り付きを抑制できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による基板保持具は、基板を棚状に保持する第1のボートと、前記第1のボートと同軸に、前記第1のボートに対して相対的に昇降するよう設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、を備え、前記第1のボートは、上下に対向して設けられる第1の底板及び第1の天板と、前記第1の底板と前記第1の天板とを接続する第1の支柱であり、基板を載置する第1の載置面を含む第1の支柱と、を有し、前記第2のボートは、上下に対向して設けられる第2の底板及び第2の天板と、前記第2の底板と前記第2の天板とを接続する第2の支柱であり、基板を載置する第2の載置面を含む第2の支柱と、を有し、前記第2の天板は、平面視で前記第1の天板と重なるように配置される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ボートへの基板の貼り付きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図8】第1のボートと第2のボートの位置関係を示す断面図
【
図9】第1のボートと第2のボートの位置関係を示す斜視図
【
図10】第1のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図
【
図11】第2のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一又は対応する部材又は部品については、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔基板の貼り付き〕
ボートに設けられる爪に基板を載置し、基板を載置した状態のボートを処理容器内に収容して基板に成膜処理を施すと、爪に基板が貼り付く場合がある。特に、基板にポリシリコン膜を厚く成膜すると、爪に基板が貼り付きやすい。
【0010】
爪に基板が貼り付くことを防止する対策の一例として、爪の表面に微細な凹凸を形成して爪と基板との接触面積を減らす技術がある。しかしながら、基板に成膜される膜の膜厚が厚くなると、上記の技術を適用しても爪に基板が貼り付く場合がある。
【0011】
本開示は、相対的に昇降する第1のボート及び第2のボートを備え、第1のボートと第2のボートとの間で基板の受け渡しが可能な基板保持具を用いることで、ボートへの基板の貼り付きを抑制できる技術を提供する。以下、詳細に説明する。
【0012】
〔基板処理装置〕
図1を参照し、実施形態の基板処理装置の一例について説明する。実施形態の基板処理装置は、複数の基板に対して一度に処理を行うバッチ式の装置である。
【0013】
基板処理装置1は、処理容器10、ガス供給部30、排気部40、加熱部50及び制御部80を有する。
【0014】
処理容器10は、内部を減圧可能である。処理容器10は、基板Wを収容する。基板Wは、例えば半導体ウエハである。処理容器10は、内管11及び外管12を含む。内管11は、下端が開放された有天井の略円筒状を有する。外管12は、下端が開放されて内管11の外側を覆う有天井の略円筒状を有する。内管11及び外管12は、石英等の耐熱材料により形成されており、同軸状に配置されて2重管構造となっている。
【0015】
内管11の天井は、例えば平坦になっている。内管11の一側には、その長手方向(上下方向)に沿ってガスノズルを収容する収容部13が形成されている。収容部13は、内管11の側壁の一部を外側へ向けて突出させて形成された凸部14内の領域である。
【0016】
収容部13に対向させて内管11の反対側の側壁には、その長手方向(上下方向)に沿って矩形状の開口15が形成されている。
【0017】
開口15は、内管11内のガスを排気できるように形成されたガス排気口である。開口15の長さは、基板保持具100の長さと同じであるか、又は、基板保持具100の長さより長く上下方向へそれぞれ延びる長さである。
【0018】
処理容器10の下端は、例えばステンレス鋼により形成される略円筒状のマニホールド17によって支持されている。マニホールド17の上端にはフランジ18が形成されており、フランジ18上に外管12の下端を設置して支持するようになっている。フランジ18と外管12との下端との間にはOリング等のシール部材19を介在させて外管12内を気密状態にしている。
【0019】
マニホールド17の上部の内壁には、略円環状の支持部20が設けられている。支持部20は、内管11の下端を設置して支持する。マニホールド17の下端の開口には、Oリング等のシール部材22を介して蓋21が気密に取り付けられている。蓋21は、略円板状を有し、処理容器10の下端の開口、すなわち、マニホールド17の開口を気密に塞ぐ。蓋21は、例えばステンレス鋼により形成される。
【0020】
蓋21の中央部には、磁性流体シール等のシール部材23を介して基板保持具100を回転可能に支持する回転軸24が貫通させて設けられている。回転軸24の下部は、ボートエレベータよりなる昇降機構25のアーム25aに回転自在に支持されている。
【0021】
回転軸24の上端には、外側支持体26及び内側支持体27が設けられている。外側支持体26は、中空の略円筒状を有する。外側支持体26は、第1のボート110を支持する。内側支持体27は、中実の略円柱状を有し、外側支持体26内に挿通されている。内側支持体27は、第2のボート120を支持する。
【0022】
外側支持体26及び内側支持体27は回転軸24の回転を受けて同期して回転し、その結果、第1のボート110及び第2のボート120が同期して回転する。また、蓋21、回転軸24、外側支持体26、内側支持体27、第1のボート110及び第2のボート120は、昇降機構25の昇降を受けて一体で上下動し、その結果、第1のボート110及び第2のボート120が処理容器10内に対して挿脱される。
【0023】
内側支持体27は、外側支持体26に対して相対的に昇降するよう構成される。これにより、第2のボート120が第1のボート110に対して相対的に昇降する。
【0024】
第1のボート110及び第2のボート120は、複数(例えば50枚~150枚)の基板Wを棚状に保持する基板保持具100を構成する。なお、基板保持具100の詳細については後述する。
【0025】
蓋21上には、保温台28が設けられている。保温台28は、基板保持具100が蓋21側との伝熱により冷却されることを防止して基板保持具100を保温する。例えば、保温台28は、蓋21上に設けられる複数の支柱に、上下方向に間隔をあけて略水平に配置される複数の石英板が取り付けられた構成を有する。
【0026】
ガス供給部30は、ガスノズル31を含む。ガスノズル31は、例えば石英により形成される。ガスノズル31は、内管11内にその長手方向に沿って設けられ、その基端がL字状に屈曲されてマニホールド17を貫通するようにして支持されている。ガスノズル31は、その長手方向に沿って複数のガス孔31hを有し、複数のガス孔31hから処理ガスを水平方向に吐出する。複数のガス孔31hは、例えば基板保持具100に支持される基板Wの間隔と同じ間隔で配置される。処理ガスの種類は限定されないが、成膜ガス、エッチングガス、パージガス等が挙げられる。
【0027】
なお、
図1の例では、ガス供給部30が1つのガスノズル31を含む場合を説明したがガスノズルの数は限定されない。例えば、ガス供給部30は複数のガスノズルを含んでいてもよい。この場合、複数のガスノズルは、同じ処理ガスを吐出するよう構成されていてもよく、異なる処理ガスを吐出するよう構成されていてもよい。
【0028】
排気部40は、内管11内から開口15を介して排出され、内管11と外管12との間の空間P1を介してガス出口41から排出されるガスを排気する。ガス出口41は、マニホールド17の上部の側壁であって、支持部20の上方に形成されている。ガス出口41には、排気通路42が接続されている。排気通路42には、圧力調整弁43及び真空ポンプ44が順次介設されて、処理容器10内を排気できるようになっている。
【0029】
加熱部50は、外管12の周囲に設けられている。加熱部50は、例えばベースプレート29上に設けられている。加熱部50は、外管12を覆うように略円筒状を有する。加熱部50は、例えば発熱体を含み、処理容器10内の基板Wを加熱する。
【0030】
制御部80は、基板処理装置1の各部の動作を制御するように構成される。制御部80は、例えばコンピュータであってよい。基板処理装置1の各部の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体90に記憶されている。記憶媒体90は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0031】
〔基板保持具〕
図2~
図9を参照し、実施形態の基板処理装置1が備える基板保持具100の一例について説明する。
図2は第1のボートに第2のボートが取り付けられる途中の状態の基板保持具を示す斜視図であり、
図3及び
図4は第1のボートに第2のボートが取り付けられている状態の基板保持具を示す斜視図である。なお、
図4では、第1のボートの天板の図示を省略している。
図5は第1のボートに第2のボートが取り付けられている状態の基板保持具を示す側面図である。
図6は
図3の基板保持具を上方から見た図であり、
図7は
図4の基板保持具を上方から見た図である。
図8は第1のボートと第2のボートの位置関係を示す断面図であり、
図9は第1のボートと第2のボートの位置関係を示す斜視図である。
【0032】
基板保持具100は、処理容器10内に収容可能であり、複数の基板を上下方向に間隔をあけて略水平に保持する。基板保持具100は、第1のボート110及び第2のボート120を有する。
【0033】
第1のボート110は、底板111、天板112及び支柱113(113a~113c)を含む。底板111、天板112及び支柱113は、例えば石英、炭化珪素等の耐熱材料により形成される。
【0034】
底板111は、外側支持体26に支持される。底板111は、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。なお、底板111は略円板状を有していてもよい。
【0035】
天板112は、底板111の上方に、底板111と対向して設けられる。天板112は、底板111と同様、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。なお、天板112は略円板状を有していてもよい。
【0036】
支柱113は、上下方向に延在する棒状を有し、底板111と天板112とを接続する。3本の支柱113a~113cは、同じ長さを有する。各支柱113a~113cは、その中心点が同心円の同一円弧上に位置するように設けられる。各支柱113a~113cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝114が形成されている。溝114は、基板を載置する載置面115(
図10及び
図11)を形成する。載置面115に基板が載置されることで基板が支柱113に保持される。
【0037】
平面視において、支柱113bの中心点、支柱113aの中心点及び支柱113cの中心点を通る円弧の中心角θ1(
図7)は180°より大きいことが好ましい。これにより、基板の中心位置が第1のボート110の中心位置からずれた場合においても基板を安定して保持できる。また、平面視において、中心角θ1は第1のボート110に基板を搬入する際の妨げとならない角度(例えば220°)以下に設定される。
【0038】
第2のボート120は、水平移動により第1のボート110に対して着脱可能に構成される。第2のボート120は、第1のボート110と同軸に設けられ、第1のボート110に対して相対的に昇降可能に構成される。第2のボート120は、底板121、天板122及び支柱123(123a~123c)を含む。底板121、天板122及び支柱123は、例えば石英、炭化珪素等の耐熱材料により形成される。
【0039】
底板121は、内側支持体27に支持され、底板111よりも上方に配置される。底板121は、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有し、平面視で底板111と重なるように配置される。なお、底板121は略円板状を有していてもよい。底板121の外縁部には、支柱113a~113cを挿通させる切欠き121a~121cが形成されている。切欠き121a~121cは、第2のボート120を水平移動させて第1のボート110に取り付ける際に、底板121と支柱113a~113cとが接触しないよう形成される。
【0040】
天板122は、底板121の上方且つ天板112の下方に、底板121と対向して設けられる。天板122は、底板121と同様、保持する対象の基板の外径よりも大きい外径の略円環板状を有する。天板122の外縁部には、支柱113a~113cを挿通させる切欠き122a~122cが形成されている。切欠き122a~122cは、第2のボート120を水平移動させて第1のボート110に取り付ける際に、天板122と支柱113a~113cとが接触しないよう形成される。天板122の内縁部には、窪み面122sが形成されている。窪み面122sは、天板122の上面よりも低い上面を有し、天板122の開口122hを塞ぐ蓋(図示せず)を載置するための載置面として機能する。なお、天板122は略円板状を有していてもよい。
【0041】
支柱123は、上下方向に延在する棒状を有し、底板121と天板122とを接続する。3本の支柱123a~123cは、同じ長さを有する。各支柱123a~123cは、その中心点が各支柱113a~113cの中心点が通る円と同じ円の同一円弧上に位置するように設けられる。各支柱123a~123cは、それぞれ各支柱113a~113cよりも短い。各支柱123a~123cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝部124が形成されている。溝部124は、基板を載置する載置面125(
図10及び
図11)を形成する。載置面125に基板が載置されることで基板が支柱123に保持される。
【0042】
平面視において、支柱123bの中心、支柱123aの中心及び支柱123cの中心を通る円弧の中心角θ2(
図7)は180°より大きいことが好ましい。これにより、基板の中心位置が第2のボート120の中心位置からずれた場合においても基板を安定して保持できる。また、平面視において、中心角θ2は第2のボート120に基板を搬入する際の妨げとならない角度(例えば220°)以下に設定される。
【0043】
〔基板の受け渡し〕
図10及び
図11を参照し、基板保持具100における基板の受け渡しの一例について説明する。
図10は第1のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図であり、
図11は第2のボートで基板を保持した状態の基板保持具を示す側面図である。
【0044】
第1のボート110で基板Wを保持する場合、
図10に示されるように、載置面125の位置が載置面115の位置よりも下方に移動するまで、第2のボート120を下降させる。これにより、基板Wは載置面115上に載置され、載置面125上から離間した状態となる。
【0045】
第2のボート120で基板Wを保持する場合、
図11に示されるように、載置面125の位置が載置面115の位置よりも上方に位置するまで、第2のボート120を上昇させる。これにより、基板Wは載置面125上に載置され、載置面115上から離間した状態となる。
【0046】
例えば、第1のボート110で基板Wを保持した状態の基板保持具100を処理容器10内に収容して処理容器10内において基板Wに成膜処理を施す際に、成膜処理の途中で第1のボート110に対して第2のボート120を上昇させる。これにより、第1のボート110に保持された基板Wが第2のボート120に渡される。また、第2のボート120で基板Wを保持した状態で、第1のボート110に対して第2のボート120を下降させる。これにより、第2のボート120に保持された基板Wが第1のボート110に渡される。このように、成膜処理の途中で、第1のボート110と第2のボート120との間で基板Wを受け渡すことにより、基板Wが載置面115及び載置面125に居続けることがない。その結果、載置面115上及び載置面125上に基板Wが貼り付くことを抑制できる。なお、成膜処理の途中で、第1のボート110と第2のボート120との間での基板Wの受け渡しを複数回繰り返してもよい。
【0047】
なお、上記の実施形態において、底板111、天板112、支柱113及び載置面115はそれぞれ第1の底板、第1の天板、第1の支柱及び第1の載置面の一例である。また、底板121、天板122、支柱123及び載置面125はそれぞれ第2の底板、第2の天板、第2の支柱及び第2の載置面の一例である。
【0048】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【0049】
上記の実施形態では、第2のボート120が第1のボート110に対して相対的に昇降するよう構成される場合を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、第1のボート110が第2のボート120に対して相対的に昇降するように構成されてもよい。また、例えば第1のボート110と第2のボート120の両方が昇降するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 基板保持具
110 第1のボート
111 底板
112 天板
113 支柱
115 載置面
120 第2のボート
121 底板
122 天板
123 支柱
125 載置面
【手続補正書】
【提出日】2022-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を棚状に保持する第1のボートと、
前記第1のボートと同軸に、前記第1のボートに対して相対的に昇降するよう設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、
を備え、
前記第1のボートは、上下に対向して設けられる第1の底板及び第1の天板と、前記第1の底板と前記第1の天板とを接続する第1の支柱であり、基板を載置する第1の載置面を含む第1の支柱と、を有し、
前記第2のボートは、上下に対向して設けられる第2の底板及び第2の天板と、前記第2の底板と前記第2の天板とを接続する第2の支柱であり、基板を載置する第2の載置面を含む第2の支柱と、を有し、
前記第2の天板は、平面視で前記第1の天板と重なるように配置される、
基板保持具。
【請求項2】
前記第2のボートは、前記第1の載置面に対して前記第2の載置面を昇降させることで前記第1のボートとの間で基板を受け渡す、
請求項1に記載の基板保持具。
【請求項3】
前記第1の天板は、略円環板状又は略円板状を有し、
前記第2の天板は、前記第1の天板と同じ外径の略円環板状又は略円板状を有する、
請求項1又は2に記載の基板保持具。
【請求項4】
前記第1の支柱の中心点及び前記第2の支柱の中心点は、同一円周上に設けられる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項5】
前記第2の支柱は、前記第1の支柱よりも短い、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項6】
前記第2の底板は、前記第1の底板よりも上方に配置され、
前記第2の天板は、前記第1の天板よりも下方に配置される、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項7】
前記第2の底板及び前記第2の天板は、それぞれ前記第1の支柱を挿通させる切欠きを有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項8】
前記第2のボートは、水平移動により前記第1のボートに対して着脱可能に構成される、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項9】
前記第1のボート及び前記第2のボートは、同期して回転するよう構成される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の基板保持具。
【請求項10】
基板を棚状に保持する第1のボートと、
前記第1のボートと同軸に、前記第1のボートに対して相対的に昇降するよう設けられ、基板を棚状に保持する第2のボートと、
前記第1のボート及び前記第2のボートを収容する処理容器と、
を備え、
前記第1のボートは、上下に対向して設けられる第1の底板及び第1の天板と、前記第1の底板と前記第1の天板とを接続する第1の支柱であり、基板を載置する第1の載置面を含む第1の支柱と、を有し、
前記第2のボートは、上下に対向して設けられる第2の底板及び第2の天板と、前記第2の底板と前記第2の天板とを接続する第2の支柱であり、基板を載置する第2の載置面を含む第2の支柱と、を有し、
前記第2の天板は、平面視で前記第1の天板と重なるように配置される、
基板処理装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
支柱113は、上下方向に延在する棒状を有し、底板111と天板112とを接続する。3本の支柱113a~113cは、同じ長さを有する。各支柱113a~113cは、その中心点が同一
円周上に位置するように設けられる。各支柱113a~113cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝114が形成されている。溝114は、基板を載置する載置面115(
図10及び
図11)を形成する。載置面115に基板が載置されることで基板が支柱113に保持される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
支柱123は、上下方向に延在する棒状を有し、底板121と天板122とを接続する。3本の支柱123a~123cは、同じ長さを有する。各支柱123a~123cは、その中心点が各支柱113a~113cの中心点
と同一
円周上に位置するように設けられる。各支柱123a~123cは、それぞれ各支柱113a~113cよりも短い。各支柱123a~123cには、上下方向に間隔をあけて複数の溝部124が形成されている。溝部124は、基板を載置する載置面125(
図10及び
図11)を形成する。載置面125に基板が載置されることで基板が支柱123に保持される。