(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149036
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20231005BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20231005BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20231005BHJP
C23C 16/34 20060101ALI20231005BHJP
C23C 16/50 20060101ALI20231005BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/318 B
H01L21/302 101D
H01L21/302 101G
C23C16/34
C23C16/50
H05H1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057367
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】野上 隆文
(72)【発明者】
【氏名】小手 健一
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB07
2G084BB14
2G084BB23
2G084CC06
2G084CC16
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD14
2G084DD19
2G084DD25
2G084DD38
2G084DD48
2G084DD51
2G084DD56
2G084DD61
2G084DD62
2G084FF14
2G084FF15
2G084FF22
4K030AA06
4K030AA13
4K030BA27
4K030BA29
4K030BA38
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4K030BA41
4K030CA12
4K030EA04
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4K030FA04
4K030KA05
4K030KA30
5F004AA01
5F004BB14
5F004BB18
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5F004BB28
5F004BD04
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5F045AA08
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5F045EH20
5F045EM05
5F045EM07
5F058BC08
5F058BF07
5F058BF23
5F058BF30
5F058BG02
(57)【要約】
【課題】マイクロ波を用いるプラズマ処理装置における、プラズマ処理結果の基板径方向に関する均一性を、変更が好ましくない処理条件を変更せずに、改善する。
【解決手段】基板が載置される載置台と、前記載置台が内部に設置されるチャンバと、前記チャンバ内に表面波プラズマを生成するために、前記チャンバの天壁から当該チャンバ内にマイクロ波を導入するプラズマ源と、前記載置台に向けてガスを吐出するガス吐出部と、を備え、前記ガス吐出部は、当該ガス吐出部内に存在するガス供給路を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及び前記載置台の中心から前記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている、プラズマ処理装置である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される載置台と、
前記載置台が内部に設置されるチャンバと、
前記チャンバ内に表面波プラズマを生成するために、前記チャンバの天壁から当該チャンバ内にマイクロ波を導入するプラズマ源と、
前記載置台に向けてガスを吐出するガス吐出部と、を備え、
前記ガス吐出部は、当該ガス吐出部内に存在するガス供給路を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及び前記載置台の中心から前記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記ガス吐出部は、前記載置台の中心からの距離が互いに異なる複数の前記吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記ガス吐出部は、
前記吐出位置毎に当該吐出位置に対応して設けられた吐出孔と、
前記吐出孔それぞれに連通する凹所と、
前記凹所内に配置され、前記吐出孔のいずれかに接続される流路を形成する流路部材と、を有する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記ガス供給路の変更は前記流路部材の変更であり、
前記ガス吐出部は、前記凹所内に配置された前記流路部材に対応する前記吐出孔から選択的にガスを吐出する、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記吐出位置及び前記吐出孔は、前記載置台に向かう所定の軸を中心とした周方向に沿って並び、
前記流路部材は、前記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されており、
前記ガス供給路の変更は、前記流路部材の前記向きの変更であり、
前記ガス吐出部は、前記流路部材の向きに応じた前記吐出孔から、選択的にガスを吐出する、請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記ガス吐出部は、
前記載置台に向かう所定の軸から離間した位置に設けられたガスの吐出口と、
前記吐出口に連通する流路を形成する流路部材と、を有し、
前記流路部材は、前記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されており、
前記ガス供給路の変更は、前記流路部材の前記向きの変更である、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記天壁から前記チャンバ内にガスを供給する上方ガス供給部を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記ガス吐出部は、前記上方ガス供給部が有する、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記天壁と前記載置台との間の所定の高さから前記チャンバ内にガスを供給する中間ガス供給部を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記ガス吐出部は、前記中間ガス供給部が有する、請求項9に記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記載置台の側方から前記チャンバ内にガスを供給する側方ガス供給部を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記ガス吐出部は、前記側方ガス供給部が有する、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記載置台の周方向に沿って前記ガス吐出部を複数備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記チャンバの前記天壁は、マイクロ波を透過させるための誘電体窓を複数有する、請求項1~13のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記誘電体窓は、前記天壁の中央に設けられた中央誘電体窓と、前記中央誘電体窓を中心とした周方向に沿って複数設けられた外側誘電体窓と、を有する、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
基板が載置される載置台と、
前記載置台が内部に設置されるチャンバと、
前記チャンバ内に表面波プラズマを生成するために、前記チャンバの天壁から当該チャンバ内にマイクロ波を導入するプラズマ源と、
前記天壁から前記チャンバ内にガスを供給する上方ガス供給部と、
前記天壁から延び、前記天壁と前記載置台との間の所定の高さから前記チャンバ内にガスを供給する中間ガス供給部と、を備え、
前記中間ガス供給部は、前記載置台に向けてガスを吐出するガス吐出部を有し、
前記ガス吐出部は、当該ガス吐出部内に存在するガス供給路を変更することで、所定の平面内における当該ガス吐出部からの前記ガスの吐出位置を、前記載置台の径方向について調整可能に構成されている、プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のプラズマ処理装置は、チャンバと、載置台と、チャンバの天壁を介してチャンバ内にマイクロ波を導入し、チャンバ内に表面波プラズマを生成するプラズマ源と、を備える。上記プラズマ処理装置は、天壁から第1のガスをチャンバ内に供給する第1のガスシャワー部と、天壁と載置台との間から第2のガスをチャンバ内に導入する第2のガスシャワー部と、をさらに備える。第2のガスシャワー部は、天壁から載置台の方向へ延出し、同一円周上に等間隔で配された複数のノズルを有し、複数のノズルはそれぞれ、隣接するノズルに向けて第2のガスを吐出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、マイクロ波を用いるプラズマ処理装置における、プラズマ処理結果の基板径方向に関する均一性を、変更が好ましくない処理条件を変更せずに、改善する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、基板が載置される載置台と、前記載置台が内部に設置されるチャンバと、前記チャンバ内に表面波プラズマを生成するために、前記チャンバの天壁から当該チャンバ内にマイクロ波を導入するプラズマ源と、前記載置台に向けてガスを吐出するガス吐出部と、を備え、前記ガス吐出部は、当該ガス吐出部内に存在するガス供給路を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及び前記載置台の中心から前記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている、プラズマ処理装置である。
【発明の効果】
【0006】
本開示にかかる技術によれば、マイクロ波を用いるプラズマ処理装置における、プラズマ処理結果の基板径方向に関する均一性を、変更が好ましくない処理条件を変更せずに、改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本第1実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置の構成の概略を示す断面図である。
【
図2】
図1のプラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2のマイクロ波プラズマ源におけるマイクロ波放射機構の配置を示す図である。
【
図4】
図1のプラズマ処理装置のマイクロ波プラズマ源におけるマイクロ波放射機構を示す断面図である。
【
図6】第2ガスシャワー部が有するガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図7】第2ガスシャワー部が有するガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図8】第2ガスシャワー部が有するガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図9】第2ガスシャワー部が有するガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図10】第3ガスシャワー部が有するノズルの概略を説明するための図である。
【
図11】従来の成膜装置を用いて形成したSiN膜の厚さの分布を示す図である。
【
図12】従来の成膜装置を用いて形成したSiN膜の屈折率の分布を示す図である。
【
図13】
図1の成膜装置を用いて形成したSiN膜の厚さの分布を示す図である。
【
図14】
図1の成膜装置を用いて形成したSiN膜の屈折率の分布を示す図である。
【
図15】
図1の成膜装置を用いて形成したSiN膜の、ウェハ面内における膜厚及び屈折率の最大値と最小値との差を示す表を示している。
【
図16】
図1の成膜装置を用いて形成したSiN膜の、ウェハ面内における膜厚及び屈折率の最大値と最小値との差を示す表を示している。
【
図17】第2実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第2ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図18】第2実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第2ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための下面図である。
【
図19】第3実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第2ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図20】第4実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図21】第4実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図22】第4実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図23】第4実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図24】第5実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図25】第6実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図26】第7実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図27】第7実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図28】第7実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図29】第7実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図30】第8実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【
図31】第9実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半導体デバイス等の製造プロセスでは、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)等の基板に対して、プラズマ処理が行われる。プラズマ処理を行うプラズマ処理装置としては、高密度で低電子温度の表面波プラズマを生成可能なマイクロ波を用いたものが知られている(特許文献1参照)。
【0009】
マイクロ波を用いるプラズマ処理装置では、例えば、チャンバ内へ以下の三箇所からガスを供給している。
・チャンバの天壁から直接。
・上記天壁からチャンバ内の基板の載置台に向かって延びるノズルから。
・チャンバの側壁から延びるノズルから。
【0010】
プラズマ処理が成膜処理の場合、成膜に直接寄与する材料ガスは、例えば、上述の2種類のノズルから供給される。プラズマ処理により形成される膜の厚さと屈折率の基板面内での均一性が求められる場合、これらの均一化は、ノズル種間での材料ガス流量のバランスを調整すること等で図ることができる。しかし、チャンバ内の圧力によっては、上述のようにバランスを調整しても、膜厚または屈折率の少なくともいずれか一方が、基板の径方向について、不均一となってしまうことがある。また、チャンバ内の圧力は、目標の膜質(具体的には膜応力)によって決まるため、大きく変えることは好ましくない。
【0011】
このように、マイクロ波を用いるプラズマ処理は、基板の径方向に関する均一性について、改善の余地がある。
【0012】
そこで、本開示にかかる技術は、マイクロ波を用いるプラズマ処理装置における、プラズマ処理結果の基板径方向に関する均一性を、変更が好ましくない処理条件を変更せずに、改善する。
【0013】
以下、本実施形態にかかるプラズマ処理装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
(第1実施形態)
<成膜装置>
図1は、第1実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置の構成の概略を示す断面図である。
図2は、
図1のプラズマ処理装置に用いられるマイクロ波プラズマ源の構成を示すブロック図である。
図3は、
図2のマイクロ波プラズマ源におけるマイクロ波放射機構の配置を示す図であり、
図4は、
図1のプラズマ処理装置のマイクロ波プラズマ源におけるマイクロ波放射機構を示す断面図である。
【0015】
図1の成膜装置1は、マイクロ波により表面波プラズマを形成し、基板としてのウェハWに対し、プラズマ処理として成膜処理を行うものである。
【0016】
成膜装置1は、チャンバ2と、マイクロ波プラズマ源3とを備える。
チャンバ2は、ウェハWが載置される載置台としてのサセプタ11が内部に設置されている。マイクロ波プラズマ源3は、チャンバ2内に表面波プラズマを生成するために、チャンバ2の天壁10aから当該チャンバ2内にマイクロ波を導入する。
【0017】
チャンバ2は、気密に構成されており、例えばアルミニウム等の金属材料から略円筒状に形成されている。また、チャンバ2は接地される。
チャンバ2の天壁10aは、円板状に形成され、金属製の本体部に、後述する複数のマイクロ波放射機構の誘電体部材が嵌め込まれて構成されている。マイクロ波プラズマ源3は天壁10aの複数の誘電体部材を介してチャンバ2内にマイクロ波を導入するようになっている。
なお、チャンバ2の内壁面のうち、プラズマに晒される部分は、Y2O3等のセラミックスの溶射が施される。チャンバ2の内壁面のうち、それ以外の部分は、チャンバ母材(例えばアルミニウム)が露出していてもよい。
【0018】
また、成膜装置1は制御部4を備える。制御部4は、例えばCPU等のプロセッサやメモリを備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、成膜装置1におけるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、例えばコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部4にインストールされたものであってもよい。上記記憶媒体は一時的なものであっても非一時的なものであってもよい。
【0019】
チャンバ2内には、前述のサセプタ11が、チャンバ2の底部中央に絶縁部材12aを介して立設された筒状の支持部材12により支持された状態で設けられている。サセプタ11及び支持部材12は、例えば、アルミニウム等の金属材料から円板状に形成され、その表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されている。
サセプタ11には、ウェハWの温度調整機構、ウェハWの裏面に熱伝達用のガスを供給するガス流路、ウェハWを静電吸着するための静電チャック等を設けてもよい。また、サセプタ11との間でウェハWを受け渡すために昇降する昇降ピンが、サセプタ11に対して設けられている。
【0020】
さらにまた、サセプタ11には、整合器13を介して高周波バイアス電源14が電気的に接続されている。この高周波バイアス電源14からサセプタ11に高周波電力が供給されることにより、ウェハW側にプラズマ中のイオンが引き込まれる。なお、サセプタ11を、高周波バイアス電源14から高周波電力が供給される電極を内部に有する絶縁性部材で構成してもよい。また、高周波バイアス電源14はプラズマ処理の特性によっては設けなくてもよい。この場合は、サセプタ11を絶縁性部材で構成したとしても電極は不要である。
【0021】
チャンバ2の底部側方には排気管15が接続されており、この排気管15には真空ポンプを含む排気装置16が接続されている。この排気装置16を作動させることにより、チャンバ2内を排気することができ、チャンバ2内を減圧して所定の圧力に設定することができる。また、チャンバ2の側壁10bには、ウェハWの搬出入を行うための搬入出口17と、この搬入出口17を開閉するゲートバルブ18とが設けられている。
【0022】
また、成膜装置1は、チャンバ2の天壁10aから当該チャンバ2内にガスを供給する上方ガス供給部としての第1ガスシャワー部21と、天壁10aとサセプタ11の間の所定の高さからガスを供給する中間ガス供給部としての第2ガスシャワー部22と、を備える。さらに、成膜装置1は、サセプタ11の側方からチャンバ2内にガスを供給する側方ガス供給部としての第3ガスシャワー部23を備える。第3ガスシャワー部23は、具体的には、チャンバ2内の天壁10aとサセプタ11の間の位置であって第2ガスシャワー部22による供給位置より外側の位置から、チャンバ2内にガスを導入する。これら第1~第3ガスシャワー部21~23の詳細については後述する。
【0023】
チャンバ2内に供給されるガスのうち、材料ガスは、例えば、第1ガスシャワー部21からは供給されず、第2及び第3ガスシャワー部22、23から供給される。また、ArやHe等のプラズマ励起用ガスは、例えば第1及び第3ガスシャワー部21、23から供給される。この場合、第2ガスシャワー部22からプラズマ励起用ガスが供給されてもよいし、供給されなくてもよい。成膜対象が窒化膜の場合、N2ガスやNH3ガス等の窒化ガスは、例えば第1及び第3ガスシャワー部21、23から供給される。この場合も、第2ガスシャワー部22から窒化ガスが供給されてもよいし、供給されなくてもよい。
なお、材料ガスは、成膜対象がSiN膜の場合、例えばSiH4ガスであり、成膜対象がSiC膜やSiCN膜の場合、例えばSiH4ガス及びC2H6ガスである。
【0024】
マイクロ波プラズマ源3は、複数経路に分配してマイクロ波を出力するマイクロ波出力部30と、マイクロ波出力部30から出力されたマイクロ波を伝送するマイクロ波伝送部40とを有する。
【0025】
図2に示すように、マイクロ波出力部30は、マイクロ波電源31と、マイクロ波発振器32と、アンプ33と、分配器34とを有する。
【0026】
マイクロ波電源31は、マイクロ波発振器32に対して電力を供給する。マイクロ波発振器32は、所定の周波数(例えば860MHz)のマイクロ波を例えばPLL発振させる。アンプ33は、発振されたマイクロ波を増幅する。分配器34では、マイクロ波の損失ができるだけ起こらないように、入力側と出力側のインピーダンス整合を取りながらアンプ33で増幅されたマイクロ波を分配する。なお、マイクロ波の周波数としては、860MHzの他に、915MHz等、700MHzから3GHzの範囲の種々の周波数を用いることができる。
【0027】
マイクロ波伝送部40は、複数のアンプ部41と、アンプ部41に対応して設けられた複数のマイクロ波放射機構42とを有する。マイクロ波放射機構42は、例えば、
図3に示すように、天壁10aの中央に1個設けられ、該中央のものを中心とした周方向に沿って複数配置されている。より具体的には、マイクロ波放射機構42は、天壁10aの中央に1個、該中央のもとを中心とした同一円周上に等間隔で6個、合計7個、配置されている。なお、本例では、中央のマイクロ波放射機構42と外周のマイクロ波放射機構42との間の距離と、外周のマイクロ波放射機構42間の距離とは等しくなるよう、これらは配置されている。
【0028】
マイクロ波伝送部40のアンプ部41は、分配器34にて分配されたマイクロ波を各マイクロ波放射機構42に導く。アンプ部41は、位相器43と、可変ゲインアンプ44と、メインアンプ45と、アイソレータ46とを有する。
【0029】
位相器43は、マイクロ波の位相を変化させることができるように構成されており、これを調整することにより放射特性を変調させることができる。例えば、マイクロ波放射機構42毎に位相を調整することにより、指向性を制御してプラズマ分布を変化させることができる。また、隣り合うマイクロ波放射機構42においては90°ずつ位相をずらすようにして円偏波を得ることができる。また、位相器43は、アンプ内の部品間の遅延特性を調整し、後述のチューナ内での空間合成を目的として使用することができる。ただし、このような放射特性の変調やアンプ内の部品間の遅延特性の調整が不要な場合には位相器43は設ける必要はない。
【0030】
可変ゲインアンプ44は、メインアンプ45へ入力するマイクロ波の電力レベルを調整し、プラズマ強度を調整するためのアンプである。可変ゲインアンプ44をアンプ部41毎に変化させることによって、発生するプラズマに分布を生じさせることもできる。
【0031】
メインアンプ45は、ソリッドステートアンプを構成するものであり、例えば、入力整合回路と、半導体増幅素子と、出力整合回路と、高Q共振回路とを有する構成とすることができる。
【0032】
アイソレータ46は、後述する平面アンテナで反射してメインアンプ45に向かう反射マイクロ波を分離するものであり、サーキュレータとダミーロード(同軸終端器)とを有する。サーキュレータは、反射したマイクロ波をダミーロードへ導き、ダミーロードはサーキュレータによって導かれた反射マイクロ波を熱に変換する。
【0033】
マイクロ波放射機構42は、アンプ部41から出力されたマイクロ波をチャンバ2内に放射する機能及びインピーダンスを整合する機能を有する。
【0034】
マイクロ波放射機構42は、
図4に示すように、同軸管51を有する。同軸管51は、筒状の外側導体52及びその中心に設けられた棒状の内側導体53からなる同軸状のマイクロ波伝送路を有する。また、マイクロ波放射機構42は、アンプ部41で増幅されたマイクロ波を、同軸ケーブル55を介して同軸管51に給電する給電アンテナ(図示せず)、を有する。さらに、マイクロ波放射機構42は、負荷のインピーダンスをマイクロ波電源31の特性インピーダンスに整合させるチューナ54と、同軸管51からのマイクロ波をチャンバ2内に放射するアンテナ部56とを有する。
【0035】
外側導体52の上端部の側方から同軸ケーブル55により給電されたマイクロ波が、給電アンテナから放射され、外側導体52と内側導体53との間のマイクロ波伝送路にマイクロ波電力が給電されてアンテナ部56に向かって伝播する。
【0036】
アンテナ部56は、同軸管51の下端部に設けられており、チャンバ2の天壁10aの金属部分に嵌め込まれている。アンテナ部56は、内側導体53の下端部に接続された円板状をなす平面アンテナ61と、平面アンテナ61の上面側に配置された遅波材62と、平面アンテナ61の下面側に配置された誘電体窓63とを有している。
【0037】
平面アンテナ61には、その厚さ方向に貫通するようにスロット61aが形成されている。スロット61aは、マイクロ波が効率良く放射されるような形状をなしている。スロット61aには誘電体が挿入されていてもよい。
【0038】
遅波材62は、真空よりも大きい誘電率を有する誘電体によって形成されており、マイクロ波の波長を短くしてアンテナを小さくする機能を有している。遅波材62は、その厚さによりマイクロ波の位相を調整することができ、平面アンテナ61の接合部が定在波の「はら」になるように厚さを調整することにより、マイクロ波の放射エネルギーが最大となるようにすることができる。
【0039】
誘電体窓63も同様の誘電体で構成され、天壁10aの金属部分に嵌め込まれており、その下面はチャンバ2の内部空間に露出している。誘電体窓63は、マイクロ波をTFモードで効率的に放射することができるような形状をなしている。そして、誘電体窓63を透過したマイクロ波は、チャンバ2内の誘電体窓63の直下部分に表面波プラズマを生成する。
なお、以下では、誘電体窓63のうち、中央に設けられたものを中央誘電体窓63といい、この中央誘電体窓63を中心とした周方向に沿って複数設けられたものを外側誘電体窓63という。外側誘電体窓63は、具体的には、中央誘電体窓63を中心とした同一円周上に等間隔で6個設けられている。
【0040】
遅波材62及び誘電体窓63は、例えば、石英やセラミックス、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等のフッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等から形成される。
【0041】
チューナ54は、同軸管51のアンテナ部56よりも基端部側(上端部側)の部分に配置された2つのスラグ71a、71bを有し、スラグチューナを構成している。また、チューナ54は、これら2つのスラグをそれぞれ独立して駆動するアクチュエータ72と、このアクチュエータ72を制御するチューナコントローラ73とを有している。
【0042】
スラグ71a、71bは、セラミックス等の誘電体材料で構成され、板状かつ円環状をなし、同軸管51の外側導体52と内側導体53の間に配置されている。また、アクチュエータ72は、例えば、内側導体53の内部に設けられた、それぞれスラグ71a、71bが螺合する2本のねじを回転させることによりスラグ71a、71bを個別に駆動する。このアクチュエータ72は、チューナコントローラ73からの指令に基づいて、スラグ71a、71bを上下方向に移動させる。2つのスラグ71a、71bのうち一方のみを動かすと、スミスチャートの原点を通る軌跡を描き、両方同時に動かすと位相のみが回転する。チューナコントローラ73は、周端部のインピーダンスが50Ωになるように、スラグ71a、71bの位置を制御することによりインピーダンス整合を行う。
【0043】
メインアンプ45と、チューナ54と、平面アンテナ61とは近接配置している。そして、チューナ54と平面アンテナ61とは集中定数回路を構成し、かつ共振器として機能する。平面アンテナ61の取り付け部分には、インピーダンス不整合が存在するが、チューナ54によりプラズマ負荷に対して直接チューニングするので、プラズマを含めて高精度でチューニングすることができ、平面アンテナ61における反射の影響を解消することができる。
【0044】
<第1~第3ガスシャワー部21~23>
次に、第1~第3ガスシャワー部21~23について、
図1を参照し、
図5~
図10を用いて説明する。
図5は、天壁10aの下面図である。
図6~
図9はそれぞれ、第2ガスシャワー部22が有する後述のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
図10は、第3ガスシャワー部23が有する後述のノズルの概略を説明するための図であり、第3ガスシャワー部23が設けられた側壁10bの平面図である。
【0045】
成膜装置1は、
図1に示すように、第1~第3ガスシャワー部21~23を備える。第1ガスシャワー部21は、チャンバ2の天壁10aから、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、ガスを供給する。第2ガスシャワー部22は、天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さから、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、ガスを供給する。第3ガスシャワー部23は、チャンバ2内の天壁10aとサセプタ11の間の位置であって第2ガスシャワー部22の吐出位置より外側の位置から、サセプタ11に向けて(具体的には水平方向に)、ガスを供給する。
【0046】
第1ガスシャワー部21は、例えば、天壁10aの金属部分の内部にサセプタ11を中心とした円環状に形成された拡散空間101と、拡散空間101の上部に設けられ該空間101と連通する導入孔102とを有する。また、第1ガスシャワー部21は、拡散空間101からチャンバ2の内部空間に至る複数の吐出孔103を有する。導入孔102には配管81の一端が接続されている。配管81の他端はガス供給部80に接続されている。ガス供給部80は、各種ガスの供給源等を有する。したがって、ガス供給部80からのガスは、配管81、導入孔102及び拡散空間101を経て、吐出孔103から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。吐出孔103は、
図5に示すように、平面視における天壁10aの中心(すなわちサセプタ11の中心)を中心とした同一円周上に複数設けられている。また、吐出孔103は、当該吐出孔103から吐出されるガスの分布が均一になるように設けられている。なお、吐出孔103それぞれ(すなわち第1ガスシャワー部21の吐出位置それぞれ)の、平面視におけるサセプタ11の中心から距離は、例えば、80mmである。
【0047】
第2ガスシャワー部22は、
図1及び
図5に示すように、ガス吐出部110を有する。ガス吐出部110は、サセプタ11に向けてガスを吐出するものであり、平面視における天壁10aの周方向(すなわちサセプタ11の周方向)に沿って、複数設けられている。より具体的には、ガス吐出部110は、平面視における天壁10aの中心(すなわちサセプタ11の中心)を中心とした同一円周上に等間隔で複数(図の例では8個)配置されている。
【0048】
各ガス吐出部110は配管82の一端に接続されている。配管82の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。
各ガス吐出部110は、当該ガス吐出部110からのガスの吐出位置すなわち吐出口にガスを導くガス供給路Kを内部に有する。そして、各ガス吐出部110は、ガス供給路Kを変更することで、所定の平面内における上記吐出位置及びサセプタ11の中心から上記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている。具体的には、各ガス吐出部110は、ガス供給路Kを変更することで、水平面内におけるサセプタ11の径方向(以下、サセプタ径方向)に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0049】
また、各ガス吐出部110は、サセプタ11の中心からの距離が互いに異なる複数の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。具体的には、各ガス吐出部110は、水平面内におけるサセプタ径方向に関する位置が互いに異なる複数(本例では4つ)の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。
【0050】
本実施形態において、各ガス吐出部110は、吐出孔111A~111Dを有する。以下では、吐出孔111A~111Dを吐出孔111と省略することがある。
【0051】
吐出孔111は、ガス吐出部110からのガスの吐出位置毎に、当該吐出位置に対応して設けられている。吐出孔111は、例えば、水平面内においてサセプタ径方向に並ぶように設けられている。
ガス吐出部110は、その下側部分が天壁10aの下面から下方に突出するように形成されており、吐出孔111は、ガス吐出部110の下端に形成されている。ガス吐出部110における、天壁10aの下面から下方に突出した部分の外形形状は例えば円柱状である。
【0052】
吐出孔111A、111B、111C、111Dそれぞれの、平面視におけるサセプタ11の中心から距離は、例えば、105mm、95mm、90mm、80mmである。
【0053】
また、各ガス吐出部110は、吐出孔111A~111Dそれぞれに連通する凹所112を有する。凹所112は例えば天壁10aの上面から下方に円柱状に凹むように形成されている。
【0054】
凹所112内には、
図6~
図9に示すように、流路部材113A~113Dのいずれかが挿抜自在に配置される。以下では、流路部材113A~113Dを流路部材113と省略することがあり、また、後述の流路114A~114Dを流路114と省略することがある。
【0055】
流路部材113Aは、下流端すなわち下端が吐出孔111Aのみと接続される流路114Aを形成する。
流路部材113Bは、下流端すなわち下端が吐出孔111Bのみと接続される流路114Bを形成する。
流路部材113Cは、下流端すなわち下端が吐出孔111Cのみと接続される流路114Cを形成する。
流路部材113Dは、下流端すなわち下端が吐出孔111Dのみと接続される流路114Dを形成する。
【0056】
つまり、ガス吐出部110は、凹所112内に配置され吐出孔111のいずれかに接続される流路114を形成する流路部材113を有する。そして流路部材113A~113Dは選択的に用いられる。流路部材113は、例えば、アルミニウム等の金属材料から円柱状に形成される。
【0057】
なお、流路部材113A~113Dを所望の向きで凹所112内に配置できるように、流路部材113A~113Dの向きの目印となるマーク(図示せず)を例えば流路部材113A~113Dの上部に形成してもよい。
【0058】
また、各ガス吐出部110は、凹所112の開口部を塞ぐ蓋部材115を有する。蓋部材115により、流路部材113を上方から押さえ、流路部材113と凹所112の底部とを密着させてもよい。
蓋部材115と天壁10aの上面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0059】
蓋部材115は、流路部材113の流路にガスを導入する導入孔115aを有する。導入孔115aは、蓋部材115が天壁10aに取り付けられたときに凹所112内と連通し、凹所112内に配置された流路部材113の流路114の上流端すなわち上端に接続される。本実施形態において、導入孔115aが前述の配管82の一端に接続されている。前述のように配管82の他端はガス供給部80に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管82、導入孔115a及び凹所112内に配置されたいずれかの流路部材113の流路114を経て、当該流路部材113に対応する吐出孔111から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。
【0060】
前述のように、各ガス吐出部110は、ガス供給路Kを変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路Kの変更とは、凹所112内に配する流路部材113の変更であり、各ガス吐出部110は、凹所112内に配された流路部材113に対応する吐出孔111から選択的にガスを吐出する。例えば、流路部材113Aに変更された場合、各ガス吐出部110は、流路部材113Aに対応する吐出孔111Aから選択的にガスを吐出する。
【0061】
ガス吐出部110の寸法は例えば以下の通りである。
・ガス吐出部110における、天壁10aの下面から下方に突出した円柱状の部分の外径:35~45mm
・凹所112の内径及び流路部材113の外径:30~35mm
・吐出孔111の径:0.3mm
【0062】
なお、流路部材113の下面と凹所112の底部との間の隙間は例えば0.01mm以下とされる。このように上記隙間を狭くすることより、凹所112内に配置された流路部材113に対応する吐出孔111以外の吐出孔からガスが吐出されるのを抑制することができる。
また、流路部材113の側面と凹所112の内側面との間の隙間も例えば0.01mm以下としてもよい。これにより、ガスが腐食性ガスの場合に、蓋部材115と天壁10aとの間に配設されるOリングが損傷するのを抑制することができる。
さらに、上述のように流路部材113と凹所112との間の隙間を小さくすることで、当該隙間において異常放電が発生するのを抑制することができる。
【0063】
第3ガスシャワー部23は、
図1及び
図10に示すように、ノズル120を有する。ノズル120は、側壁10bからチャンバ2の平面視中心に向けて水平に延出する。このノズル120は、円環状の側壁10bに沿って複数設けられている。言い換えると、ノズル120は、平面視における天壁10aの周方向(すなわちサセプタ11の周方向)に沿って、複数設けられている。より具体的には、ノズル120は、平面視における天壁10aの中心(すなわちサセプタ11の中心)を中心とした同一円周上に等間隔で複数(図の例では30個)配置されている。また、各ノズル120は、平面視でウェハWに重複しない領域に形成されている。
各ノズル120は、筒状(具体的には円筒状)に形成されており、筒状の中空部が、チャンバ2の平面視中心に向けてガスを吐出する吐出孔121となる。
【0064】
また、第3ガスシャワー部23は、側壁10bに円環状に形成された拡散空間122と、拡散空間122の外側方に設けられ該空間122と連通する導入孔123とを有する。また、第3ガスシャワー部23は、拡散空間122からノズル120に至る流路124を有する。上述の導入孔123には配管83の一端が接続されている。配管83の他端はガス供給部80に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスは、配管83、導入孔123及び拡散空間122を経てノズル120に至り、吐出孔121から、チャンバ2の平面視中心方向に吐出される。
【0065】
本実施形態では、材料ガスの供給を、第3ガスシャワー部23からのみではなく、第2ガスシャワー部22からも行う。材料ガスの供給を第3ガスシャワー部23からのみとした場合、サセプタ11に載置されたウェハWの中央部に材料ガスが届きにくいが、第2ガスシャワー部22からも材料ガスの供給を行うことで、ウェハWの中央部にも材料ガスの密度を高くすることができる。
【0066】
<ウェハ処理>
次に、成膜装置1を用いて行われるウェハ処理について、SiN膜を形成する例で説明する。なお、このウェハ処理は、制御部4の制御の下、行われる。
【0067】
まず、ウェハWがチャンバ2内に搬入され、サセプタ11上に載置される。
次いで、排気装置16によりチャンバ2内が排気され、所定の圧力に調整される。
【0068】
その後、各種ガスがチャンバ2内へ吐出されると共に、マイクロ波がチャンバ2内へ放出され、これにより生成されたプラズマによってウェハWが成膜処理され、当該ウェハW上にSiN膜が形成される。この成膜中、チャンバ2内は、排気装置16により引き続き排気され、所望の圧力(以下、成膜圧力)に調整される。成膜圧力は、例えば、形成するSiN膜の目標の性質に応じて形成される。具体的には、例えば、形成するSiN膜の膜応力を引張応力にすることを目標にする場合、成膜圧力は、20Paとされ、それ以外の場合は10Paとされる。
【0069】
成膜中、励起用ガスとしてのArガス及び窒化ガスとしてのNH3ガスが、ガス供給部80から配管81を介して第1ガスシャワー部21に供給され、当該第1ガスシャワー部21からチャンバ2内へ吐出される。
また、材料ガスとしてのSiH4ガスが、ガス供給部80から配管82、83を介して第2及び第3ガスシャワー部22、23に供給され、これら第2及び第3ガスシャワー部22、23からチャンバ2内へ吐出される。
【0070】
また、成膜中、マイクロ波プラズマ源3のマイクロ波出力部30から、マイクロ波伝送部40の複数のアンプ部41及び複数のマイクロ波放射機構42の伝送路を伝送されてきたマイクロ波が、アンテナ部56の遅波材62、平面アンテナ61のスロット61a及び誘電体窓63を介してチャンバ2内に放射される。このとき、チューナ54のスラグ71a及びスラグ71bによりインピーダンスが自動整合され、電力反射が実質的にない状態で、マイクロ波が供給される。各マイクロ波放射機構42から放射されたマイクロ波は、空間合成され、マイクロ波電界を形成し、チャンバ2内にArガスの表面波プラズマを生成する。
【0071】
生成された表面波プラズマにより、第1ガスシャワー部21からのNH3ガスと第2及び第3ガスシャワー部22、23からのSiH4ガスとは解離され、プラズマ化される。NH3ガス及びSiH4ガスのプラズマによって、ウェハW上にSiN膜が形成される。
【0072】
また、成膜中、第2ガスシャワー部22の各ガス吐出部110の凹所112には、流路部材113A~113Dのうち、実験やシミュレーション等により成膜圧力に応じて予め定められた流路部材113が配されている。つまり、成膜中、第2ガスシャワー部22からのSiH4ガスの吐出は、成膜圧力に応じて予め定められた、水平面内におけるサセプタ径方向に関する吐出位置から行われる。
【0073】
なお、Arガスの表面波プラズマの電子温度は、天壁10aの下面近傍において高く、天壁10aの下面から離れサセプタ11に近づくにつれ、低くなる。したがって、第1ガスシャワー部21から、すなわち天壁10aの下面から直接吐出されるN2ガスは、高エネルギーで解離される。それに対し、第2及び第3ガスシャワー部22、23から、すなわち天壁10aの下面から離間した位置から吐出されるSiH4ガスは、低エネルギーで解離される。したがって、過剰解離しやすいSiH4ガスの過剰解離による気相反応パーティクルの発生や吐出孔111の目詰まり等を抑制することができる。
【0074】
また、本例のように、第2ガスシャワー部22からはSiH4ガスのみ供給し窒化ガスを供給しないことで、SiH4ガスの拡散を抑制することができ、Siを含む異物の発生を抑制することができる。
【0075】
SiN膜の形成が終了すると、各種ガスのチャンバ2内への吐出及びチャンバ2内へのマイクロ波の放出が停止され、ウェハWが、サセプタ11から取り外され、チャンバ2から搬出される。
【0076】
<本実施形態の主な効果>
以上のように、本実施形態にかかる成膜装置1は、第2ガスシャワー部22が、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部110を有する。そして、ガス吐出部110(を有する第2ガスシャワー部22)が、所定の平面内におけるガスの吐出位置及びサセプタ11の中心から上記吐出位置までの距離が調整可能となっており、具体的には、水平面内におけるサセプタ径方向に関する吐出位置が調整可能となっている。
それに対し、従来の成膜装置は、本実施形態と異なり、第2ガスシャワー部22において、水平面内におけるサセプタ径方向に関する吐出位置が、固定であり、例えば、第1ガスシャワー部21と同様、その平面視におけるサセプタ11の中心から距離が80mmである。
【0077】
ところで、ウェハ径方向に関し均一に成膜するには、サセプタ11に載置されたウェハWの表面におけるガスのプラズマの密度をウェハ径方向に関し均一にする必要がある。上記従来の成膜装置を用いる場合、このプラズマ密度のウェハ径方向に関する均一性を実現する方法としては、例えば以下の(1)~(3)の少なくともいずれか1つを調整する方法が考えられる。
【0078】
(1)成膜圧力
(2)マイクロ波の面内バランス(具体的には中央誘電体窓63からのマイクロ波と外側誘電体窓63からのマイクロ波とのバランス)
(3)第2ガスシャワー部22からの材料ガス流量と第3ガスシャワー部23からの材料ガス流量とのバランス
【0079】
ただし、上記(1)は、目標の膜質(具体的には膜応力等)によって決まり、大きく変えることはできない。したがって、上記従来の成膜装置を用いる場合は、上記(2)または(3)の少なくともいずれか一方を調整することで、プラズマ密度のウェハ径方向均一性が図られる。
【0080】
しかし、上記従来の成膜装置を用いる場合、上記(1)の成膜圧力によっては、上記(2)または(3)の少なくともいずれか一方のみでは、ウェハWの表面におけるプラズマ密度をウェハ径方向に関し均一にすることができず、ウェハ径方向に関し均一に成膜できないことがある。
【0081】
具体的には、上記従来の成膜装置を用いてSiN膜を形成する場合、上記(2)及び(3)を調整することによる成膜のウェハ径方向に関する均一化を、成膜圧力が10Paのときに実現できても、20Paのときに実現できないことがある。
【0082】
図11及び
図12はそれぞれ、ウェハ径方向に関するSiN膜の厚さ及び屈折率の分布を示す図である。また、
図11及び
図12はそれぞれ、上記従来の成膜装置を用い、成膜圧力を20Paとし、上記(2)及び(3)を調整して略最良な状態にして成膜したときの結果を示している。
図11及び
図12の横軸は、ウェハWの中心からの距離を示している。また、
図11の縦軸は厚さ(具体的にはウェハWの中心における厚さとの差)のウェハ面内での平均値、
図12の縦軸は屈折率(具体的にはウェハWの中心における屈折率との差)のウェハ面内での平均値を示している。
【0083】
図示は省略するが、上記従来の成膜装置を用いてSiN膜を形成した場合、成膜圧力が10Paでは、ウェハW上に形成されたSiN膜の厚さ及び屈折率がウェハ径方向に関し均一となっていた。
一方、成膜圧力を20Paとし上記従来の成膜装置を用いてSiN膜を形成した場合、
図11に示すように、上記(2)及び(3)を調整して略最良な状態にしても、ウェハW上に形成されたSiN膜の厚さが、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、ウェハ中心より約5%薄くなっていた。また、
図12に示すように、上記(2)及び(3)を調整して略最良な状態にしても、ウェハW上に形成されたSiN膜の屈折率が、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、中心より約0.025小さくなっていた。
【0084】
なお、図示は省略するが、上記(2)または(3)を
図11の結果が得られたときの条件からずらしても、ウェハ中心からの距離rが50mmの位置と100mmの位置とでの膜厚差及び屈折率差は改善されなかった。
【0085】
それに対し、本実施形態にかかる成膜装置1は、前述のように、第2ガスシャワー部22が、水平面内におけるサセプタ径方向に関する吐出位置が調整可能となっている。したがって、本実施形態にかかる成膜装置1を用いる場合、ウェハWの表面におけるプラズマ密度(具体的には材料ガスのプラズマ密度)のウェハ径方向に関する均一性を改善するノブすなわち成膜のウェハ径方向にかかる均一性を改善するノブとして、上記(2)、(3)の他に、以下の(4)がある。
【0086】
(4)水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置
【0087】
したがって、上記(2)及び(3)を調整するだけでは成膜のウェハ径方向に関する均一性を十分改善できない成膜圧力であっても、上記(4)も調整することで、成膜のウェハ径方向に関する均一性を改善することができる。
言い換えると、本実施形態によれば、マイクロ波を用いる成膜装置1における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力を変更せずに改善することができる。
【0088】
図13及び
図14はそれぞれ、ウェハ径方向に関するSiN膜の厚さ及び屈折率の分布を示す図である。また、
図13及び
図14はそれぞれ、成膜装置1を用い、成膜圧力を20Paとし、上記(2)及び(3)を調整して略最良な状態にして成膜したときの結果を示している。
図13及び
図14の横軸は、ウェハWの中心からの距離を示している。また、
図13の縦軸は厚さ(具体的にはウェハWの中心における厚さを基準として規格した厚さ)のウェハ面内での平均値、
図14の縦軸は屈折率(具体的にはウェハWの中心における屈折率との差)のウェハ面内での平均値を示している。
【0089】
流路部材113Dを用い水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を80mmとし、成膜圧力を20Paとした場合、
図13に示すように、ウェハW上に形成されたSiN膜の厚さが、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、ウェハ中心より約5%薄くなっていた。また、
図14に示すように、ウェハW上に形成されたSiN膜の屈折率が、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、中心より約0.025小さくなっていた。
【0090】
一方、流路部材113Aを用い水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を105mmとし、成膜圧力を20Paとした場合は、ウェハW上に形成されたSiN膜の厚さが、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、ウェハ中心より約4%厚くなっていた。また、上述の場合、ウェハW上に形成されたSiN膜の屈折率が、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、中心より僅かに大きく(具体的には約0.011大きく)なっていた。
【0091】
そして、流路部材113Cを用い水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を95mmとし、成膜圧力を20Paとした場合は、ウェハW上に形成されたSiN膜の厚さが、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、ウェハ中心より約0.6%のみ厚くなっていた。また、ウェハ中心との膜厚差は一番大きい部分でも1.4%以下であった。さらに、上述の場合、ウェハW上に形成されたSiN膜の屈折率が、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置で、ウェハ中心と略等しかった。また、ウェハ中心との屈折率差は一番大きい部分でも0.01以下であった。
【0092】
なお、図示は省略するが、成膜装置1を用い、成膜圧力を20Paとして形成されたSiN膜の膜応力は、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置によらず、引張応力となっていた。
【0093】
図13及び
図14に示した試験結果からも、本実施形態によれば、成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力を変更せずに改善することができることが分かる。
【0094】
なお、上記従来の成膜装置を用いてSiN膜を形成した場合に前述のように成膜圧力が10Paと20Paのときとで成膜結果のウェハ径方向に関する均一性が異なる理由としては例えば以下が考えられる。
すなわち、ウェハ中心からの距離rが80mmの位置から第2ガスシャワー部22を介して供給された成膜ガスは、第3ガスシャワー部23からのガスの流れの影響で、ウェハ径方向内側に向かったり、排気の影響でウェハ径方向外側に向かったりする。成膜圧力が10Paと小さく排気速度が速い場合、ウェハ中心からの距離rが80mmの位置から第2ガスシャワー部22を介して供給された成膜ガスは、上述のように排気速度が速いため、ウェハWの径方向外側に向かう割合が多い。それに対し、成膜圧力が20Paと大きく排気速度が遅い場合、同成膜ガスは、排気によりウェハWの径方向外側に向かう割合が少ない。そのため、成膜圧力が20Paと大きい場合、ウェハ中心からの距離rが80mmの位置より外側の、同距離rが100mmの位置で、成膜ガスのプラズマが不足することがある。その結果、成膜圧力が20Paのときに、ウェハ径方向に関し成膜結果が不均一になる、と考えられる。
【0095】
それに対し、成膜装置1を用い、成膜圧力を20Paとする場合、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を80mmではなく95mmにすることで、ウェハ中心からの距離rが100mmの位置での成膜ガスのプラズマの不足を補うことができる。その結果、成膜圧力を20Paから変更せずに、成膜のウェハ径方向に関する均一性を改善することができる。
【0096】
図15及び
図16は、成膜装置1によりSiN膜を形成したときの、ウェハ面内における膜厚及び屈折率の最大値と最小値との差を示す表を示している。
図15及び
図16において、「膜厚」は、ウェハWの中心における厚さを基準として規格した厚さであり、「屈折率」は、ウェハWの中心における屈折率との差である。また、
図15は、流路部材113dを用いたときの結果、すなわち、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を80mmとしたときの結果を示している。
図16は、流路部材113Cを用いたときの結果、すなわち、同吐出位置を95mmとしたときの結果を示している。なお、成膜中、上記(3)のバランスは、第2ガスシャワー部22からの材料ガス流量が全体の25%となるようにした。
【0097】
流路部材113Aを用いてSiN膜を形成する場合、すなわち、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を80mmとしてSiN膜を形成する場合、
図15に示すように、成膜圧力が10Paでは、ウェハ面内における膜厚の最大値と最小値との差が1.3%と非常に小さかった。また、ウェハ面内における屈折率の最大値と最小値との差が0.005と非常に小さかった。
一方、成膜圧力が20Paでは、ウェハ面内における屈折率の最大値と最小値との差は0.015と小さかったが、ウェハ面内における膜厚の最大値と最小値との差が3.3%と大きかった。
【0098】
それに対し、流路部材113Cを用いてSiN膜を形成する場合、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部22からの吐出位置を95mmとしてSiN膜を形成する場合、
図16に示すように、成膜圧力が10Paでは、ウェハ面内における屈折率の最大値と最小値との差は0.011と小さかった。しかし、ウェハ面内における膜厚の最大値と最小値との差が3.4%と大きかった。
また、成膜圧力が20Paでは、ウェハ面内における膜厚の最大値と最小値との差が0.4%と非常に小さく、ウェハ面内における屈折率の最大値と最小値との差も0.004と非常に小さかった。
【0099】
つまり、成膜圧力に合わせて成膜装置1に用いる流路部材113を変更することで、膜圧力が10Paと小さくても、20Paと大きくても、SiN膜をウェハ面内均一に形成することができる。
【0100】
(第2実施形態)
図17及び
図18はそれぞれ、第2実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第2ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図及び下面図である。
【0101】
図17の第2ガスシャワー部200も、第1実施形態にかかる第2ガスシャワー部22と同様、天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さから、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、ガスを供給する。また、第2ガスシャワー部200も、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部210を有し、当該ガス吐出部210が、平面視における天壁10aの周方向に沿って、複数設けられている。
【0102】
各ガス吐出部210は、第1実施形態にかかるガス吐出部110と同様、当該ガス吐出部210からのガスの吐出位置すなわち吐出口にガスを導くガス供給路K1を内部に有する。また、各ガス吐出部210も、ガス供給路K1を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0103】
さらに、各ガス吐出部210も、水平面内におけるサセプタ径方向に関する位置が互いに異なる複数(本例では4つ)の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。
【0104】
また、各ガス吐出部210も、吐出孔211A~211Dを有する。以下では、吐出孔211A~211Dを吐出孔211と省略することがある。
吐出孔211も、第1実施形態にかかる吐出孔111と同様、ガス吐出部210からのガスの吐出位置毎に、当該吐出位置に対応して設けられている。ただし、上記吐出位置及び吐出孔211は、第1実施形態にかかる吐出孔111と異なり、
図18に示すように、サセプタ11に向かう所定の軸(具体的にはガス吐出部210の中心軸X1)を中心とした周方向に沿って並んでいる。
【0105】
また、各ガス吐出部210は、
図17に示すように、吐出孔211A~211Dそれぞれに連通する凹所212を有する。凹所212は例えば天壁10aの上面から下方に円柱状に凹むように形成されている。
【0106】
凹所212内には、流路部材213が配置される。流路部材213は、凹所212内において、上記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されている。具体的には、流路部材213は、中心軸X1を中心に回動自在に、凹所212内に配置される。流路部材213は、吐出孔211のいずれかに選択的に下流端すなわち下端が接続される流路214を形成する。この流路部材213は、凹所212内で中心軸X1を中心に回動させることにより、すなわち、当該流路部材213の向きを変更することにより、流路214の接続先の吐出孔211を選択することができる。
【0107】
また、各ガス吐出部210は、凹所212の開口部を塞ぐ蓋部材215を有する。蓋部材215と天壁10aの上面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0108】
さらに、各ガス吐出部210において、流路部材213の上端が回動機構216に接続されている。回動機構216は、軸216a及び駆動部216bを有する。
軸216aは、蓋部材215を貫通するように、上下方向に延在する。この軸216aと蓋部材215との間には、封止部材217が設けられている。封止部材217は、軸216aを軸支すると共に、軸216aと蓋部材215との間の空間を封止する部材であり、例えば磁性流体シールである。軸216aの下端は、流路部材213の上端に連結され、軸216aの上端は駆動部216bに連結されている。
【0109】
駆動部216bは、例えばモータを有し、上記中心軸X1を中心に軸216aを回動させるための駆動力を発生する。軸216aが中心軸X1を中心に回動することに伴って、流路部材213が凹所212内で中心軸X1を中心に回動する。
【0110】
軸216aは、流路部材213と一体に形成されてもよい。
また、軸216aは、流路部材213の流路214にガスを導入する導入路216cを有する。導入路216cは、凹所212内に配置された流路部材213の流路214の上流端すなわち上端に接続される。また、導入路216cは、回転継手218を介して前述の配管82の一端に接続されている。前述のように配管82の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管82、回転継手218、導入路216c及び凹所112内に配置された流路部材213の流路214を経て、当該流路部材213の向きに対応する吐出孔211から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。
【0111】
前述のように、各ガス吐出部210は、ガス供給路K1を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K1の変更とは、凹所212内における流路部材213の向きの変更であり、各ガス吐出部210は、凹所212内の流路部材213の向きに応じた吐出孔211から選択的にガスを吐出する。
【0112】
本実施形態にかかる成膜装置においても、第2ガスシャワー部200が、ガス吐出部210を有する。そして、ガス吐出部210(を有する第2ガスシャワー部200)が、水平面内におけるサセプタ径方向に関する吐出位置が調整可能となっている。したがって、本実施形態にかかる成膜装置を用いる場合、ウェハWの表面におけるプラズマ密度(具体的には材料ガスのプラズマ密度)のウェハ径方向に関する均一性を改善するノブすなわち成膜のウェハ径方向にかかる均一性を改善するノブとして、前述の(2)、(3)の他に、以下の(4A)がある。
【0113】
(4A)水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部200からの吐出位置
【0114】
したがって、上記(2)及び(3)を調整するだけでは成膜のウェハ径方向に関する均一性を十分改善できない成膜圧力であっても、上記(4A)も調整することで、成膜のウェハ径方向に関する均一性を改善することができる。
言い換えると、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0115】
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第2ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【0116】
図19の第2ガスシャワー部300も、第1実施形態にかかる第2ガスシャワー部22と同様、天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さから、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、ガスを供給する。また、第2ガスシャワー部300も、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部310を有し、当該ガス吐出部310が、平面視における天壁10aの周方向に沿って、複数設けられている。
【0117】
各ガス吐出部310は、第1実施形態にかかるガス吐出部110等と同様、当該ガス吐出部310からのガスの吐出位置すなわち吐出口311にガスを導くガス供給路K2を内部に有する。また、各ガス吐出部310も、ガス供給路K2を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0118】
ただし、各ガス吐出部310は、第1実施形態にかかるガス吐出部110等と異なり、サセプタ11に向かう所定の軸(具体的にはガス吐出部310の中心軸X2)から離間した位置に設けられたガスの吐出口311を1つ有する。
【0119】
また、各ガス吐出部310は、流路部材312を有する。流路部材312は、吐出口311に連通する流路313を形成する。
流路部材312は上記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されている。具体的には、流路部材312は、中心軸X2を中心に回動自在に、天壁10aを貫通するようにして取り付けられている。この流路部材312は、中心軸X2を中心に回動させることにより、すなわち、当該流路部材312の向きを変更することにより、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置を調整することができる。
【0120】
また、各ガス吐出部310は、天壁10aにおける流路部材312の貫通部分を塞ぐ蓋部材314を有する。蓋部材314と天壁10aの上面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0121】
さらに、各ガス吐出部310において、流路部材312の上端が回動機構315に接続されている。回動機構315は、軸315a及び駆動部315bを有する。
軸315aは、蓋部材314を貫通するように、上下方向に延在する。この軸315aと蓋部材314との間には、封止部材316が設けられている。封止部材316は、軸315aを軸支すると共に、軸315aと蓋部材314との間の空間を封止する部材であり、例えば磁性流体シールである。軸315aの下端は、流路部材312の上端に連結され、軸315aの上端は駆動部315bに連結されている。
【0122】
駆動部315bは、例えばモータを有し、上記中心軸X2を中心に軸315aを回動させるための駆動力を発生する。軸315aが中心軸X2を中心に回動することに伴って、流路部材312が中心軸X2を中心に回動する。
【0123】
軸316aは、流路部材312と一体に形成されてもよい。
また、軸315aは、流路部材312の流路313にガスを導入する導入路315cを有する。導入路315cは、流路部材312の流路313の上流端すなわち上端に接続される。また、導入路315cは、回転継手317を介して前述の配管82の一端に接続されている。前述のように配管82の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管82、回転継手317、導入路315c及び流路部材312の流路313を経て、当該流路部材312の向きに対応する位置の吐出口311から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。
【0124】
前述のように、各ガス吐出部310は、ガス供給路K2を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置すなわち吐出口311の位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K2の変更とは流路部材312の向きの変更であり、各ガス吐出部310は、流路部材213の向きに対応する位置に位置する吐出口311からガスを吐出する。
【0125】
なお、流路部材312のチャンバ2内に位置する部分を覆うカバー部材(図示せず)を設けてもよい。カバー部材はチャンバ2の天壁10aと一体に形成されてもよい。
【0126】
本実施形態にかかる成膜装置においても、第2ガスシャワー部300が、ガス吐出部310を有する。そして、ガス吐出部310(を有する第2ガスシャワー部22)が、水平面内におけるサセプタ径方向に関する吐出位置が調整可能となっている。したがって、本実施形態にかかる成膜装置を用いる場合、ウェハWの表面におけるプラズマ密度(具体的には材料ガスのプラズマ密度)のウェハ径方向に関する均一性を改善するノブすなわち成膜のウェハ径方向にかかる均一性を改善するノブとして、前述の(2)、(3)の他に、以下の(4B)がある。
【0127】
(4B)水平面内におけるサセプタ径方向に関する第2ガスシャワー部300からの吐出位置
【0128】
したがって、上記(2)及び(3)を調整するだけでは成膜のウェハ径方向に関する均一性を十分改善できない成膜圧力であっても、上記(4B)も調整することで、成膜のウェハ径方向に関する均一性を十分に改善することができる。
言い換えると、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0129】
(第4実施形態)
図20~
図23はそれぞれ、第4実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
図20に示すように、本実施形態にかかる成膜装置にも、第1~第3実施形態と同様、所定の平面内におけるガスの吐出位置等が調整可能に構成されたガス吐出部410が設けられている。ガス吐出部410は、サセプタ11に向けてガスを吐出するものであり、当該ガス吐出部410内に存在するガス供給路K3を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及びサセプタ11の中心から上記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている。
【0130】
第1~第3実施形態では、ガス吐出部110、210、310は、チャンバ2の天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さからガスを供給する第2ガスシャワー部22、200、300が有していた。それに対し、本実施形態では、ガス吐出部410は、天壁10aからガスを供給する第1ガスシャワー部400が有している。
【0131】
ガス吐出部410は、平面視における天壁10aの周方向(すなわちサセプタ11の周方向)に沿って、複数設けられている。より具体的には、ガス吐出部410は、平面視における天壁10aの中心(すなわちサセプタ11の中心)を中心とした同一円周上に等間隔で複数(例えば8個)配置されている。
【0132】
各ガス吐出部410は、前述のように、ガス供給路K3を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及びサセプタ11の中心から上記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている。具体的には、各ガス吐出部410は、ガス供給路K3を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0133】
また、各ガス吐出部410は、サセプタ11の中心からの距離が互いに異なる複数の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。具体的には、各ガス吐出部410は、水平面内におけるサセプタ径方向に関する位置が互いに異なる複数(本例では4つ)の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。
【0134】
本実施形態において、各ガス吐出部410は、吐出孔411A~411Dを有する。以下では、吐出孔411A~411Dを吐出孔411と省略することがある。
【0135】
吐出孔411は、ガス吐出部410からのガスの吐出位置毎に、当該吐出位置に対応して設けられている。吐出孔411は、例えば、水平面内においてサセプタ径方向に並ぶように設けられている。また、吐出孔411は、天壁10aの下端に形成されている。
【0136】
さらに、各ガス吐出部410は、吐出孔411A~411Dそれぞれに連通する凹所412を有する。凹所412は例えば天壁10aの上面から下方に円柱状に凹むように形成されている。
【0137】
凹所412内には、
図20~
図23に示すように、流路部材413A~413Dのいずれかが挿抜自在に配置される。以下では、流路部材413A~413Dを流路部材413と省略することがあり、また、後述の流路414A~414Dを流路414と省略することがある。
【0138】
流路部材413Aは、下流端すなわち下端が吐出孔411Aのみと接続される流路414Aを形成する。
流路部材413Bは、下流端すなわち下端が吐出孔411Bのみと接続される流路414Bを形成する。
流路部材413Cは、下流端すなわち下端が吐出孔411Cのみと接続される流路414Cを形成する。
流路部材413Dは、下流端すなわち下端が吐出孔411Dのみと接続される流路414Dを形成する。
【0139】
つまり、ガス吐出部410は、凹所412内に配置され吐出孔411のいずれかに接続される流路414を形成する流路部材413を有する。そして流路部材413A~413Dは選択的に用いられる。
【0140】
また、各ガス吐出部410は、凹所412の開口部を塞ぐ蓋部材415を有する。
蓋部材415は、流路部材413の流路414にガスを導入する導入孔415aを有する。導入孔415aは、蓋部材415が天壁10aに取り付けられたときに凹所412内と連通し、凹所412内に配置された流路部材413の流路414の上流端すなわち上端に接続される。本実施形態において、導入孔415aが配管81の一端に接続されている。配管82の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管81、導入孔415a及び凹所412内に配置されたいずれかの流路部材413の流路414を経て、当該流路部材413に対応する吐出孔411から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。
【0141】
前述のように、各ガス吐出部410は、ガス供給路K3を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K3の変更とは、凹所412内に配する流路部材413の変更であり、各ガス吐出部410は、凹所412内に配された流路部材413に対応する吐出孔411から選択的にガスを吐出する。例えば、流路部材413Aに変更された場合、各ガス吐出部410は、流路部材413Aに対応する吐出孔411Aから選択的にガスを吐出する。
【0142】
なお、本実施形態の場合、天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さからガスを供給する第2ガスシャワー部は、第1~第3実施形態と同様の構成にしてもよいし、従来と同様の構成にしてもよい。後述の第5及び第6実施形態についても同様である。
【0143】
本実施形態にかかる成膜装置では、第1ガスシャワー部400のガス吐出部410に用いる流路部材413を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第1ガスシャワー部400からのガスの吐出位置を調節することができる。これにより、ウェハWの表面におけるプラズマ密度のウェハ径方向に関する分布を調整することができる。したがって、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0144】
(第5実施形態)
図24は、第5実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【0145】
図24の第1ガスシャワー部500も、第4実施形態にかかる第1ガスシャワー部400と同様、天壁10aからガスを供給する。また、第1ガスシャワー部500も、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部510を有し、当該ガス吐出部510が、平面視における天壁10aの周方向に沿って、複数設けられている。
【0146】
各ガス吐出部510は、第4実施形態にかかるガス吐出部410と同様、当該ガス吐出部510からのガスの吐出位置すなわち吐出口にガスを導くガス供給路K4を内部に有する。また、各ガス吐出部510も、ガス供給路K4を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0147】
さらに、各ガス吐出部510も、水平面内におけるサセプタ径方向に関する位置が互いに異なる複数(本例では4つ)の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。
【0148】
また、各ガス吐出部510も、吐出孔511A~511Dを有する。以下では、吐出孔511A~511Dを吐出孔511と省略することがある。
吐出孔511も、第4実施形態にかかる吐出孔411と同様、ガス吐出部510からのガスの吐出位置毎に、当該吐出位置に対応して設けられている。また、吐出孔511も、天壁10aの下端に形成されている。ただし、上記吐出位置及び吐出孔511は、第4実施形態にかかる吐出孔411と異なり、サセプタ11に向かう所定の軸(具体的にはガス吐出部510の中心軸X3)を中心とした周方向に沿って並んでいる。
【0149】
また、各ガス吐出部510は、吐出孔511A~511Dそれぞれに連通する凹所512を有する。凹所512は例えば天壁10aの上面から下方に円柱状に凹むように形成されている。
【0150】
凹所512内には、流路部材513が配置される。流路部材513は、凹所512内において、上記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されている。具体的には、流路部材513は、中心軸X3を中心に回動自在に、凹所512内に配置される。流路部材513は、吐出孔511のいずれかに選択的に下流端すなわち下端が接続される流路514を形成する。この流路部材513は、凹所512内で中心軸X3を中心に回動させることにより、すなわち、当該流路部材513の向きを変更することにより、流路514の接続先の吐出孔511を選択することができる。
【0151】
また、各ガス吐出部510は、凹所512の開口部を塞ぐ蓋部材515を有する。蓋部材515と天壁10aの上面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0152】
さらに、各ガス吐出部510において、流路部材513の上端が回動機構516に接続されている。回動機構516は、軸516a及び駆動部516bを有する。
軸516aは、蓋部材515を貫通するように、上下方向に延在する。この軸516aと蓋部材515との間には、封止部材517が設けられている。封止部材517は、軸516aを軸支すると共に、軸516aと蓋部材515との間の空間を封止する部材であり、例えば磁性流体シールである。軸516aの下端は、流路部材513の上端に連結され、軸516aの上端は駆動部516bに連結されている。
【0153】
駆動部516bは、例えばモータを有し、上記中心軸X3を中心に軸516aを回動させるための駆動力を発生する。軸516aが中心軸X3を中心に回動することに伴って、流路部材513が凹所512内で中心軸X3を中心に回動する。
【0154】
軸516aは、流路部材513と一体に形成されてもよい。
また、軸516aは、流路部材513の流路514にガスを導入する導入路516cを有する。導入路516cは、凹所512内に配置された流路部材513の流路514の上流端すなわち上端に接続される。また、導入路516cは、回転継手518を介して配管81の一端に接続されている。配管81の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管81、回転継手518、導入路516c及び凹所512内に配置された流路部材513の流路514を経て、当該流路部材513の向きに対応する吐出孔511から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。
【0155】
前述のように、各ガス吐出部510は、ガス供給路K4を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K4の変更とは、凹所512内における流路部材513の向きの変更であり、各ガス吐出部510は、凹所512内の流路部材513の向きに応じた吐出孔511から選択的にガスを吐出する。
【0156】
本実施形態にかかる成膜装置では、凹所512内における流路部材513の向きを変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第1ガスシャワー部500からのガスの吐出位置を調節することができる。これにより、ウェハWの表面におけるプラズマ密度のウェハ径方向に関する分布を調整することができる。したがって、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0157】
(第6実施形態)
図25は、第6実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第1ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【0158】
図25の第1ガスシャワー部600も、第4実施形態にかかる第1ガスシャワー部400等と同様、天壁10aからガスを供給する。また、第1ガスシャワー部600も、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部610を有し、当該ガス吐出部610が、平面視における天壁10aの周方向に沿って、複数設けられている。
【0159】
各ガス吐出部610は、第4実施形態にかかるガス吐出部410等と同様、当該ガス吐出部610からのガスの吐出位置すなわち吐出口611にガスを導くガス供給路K5を内部に有する。また、各ガス吐出部610も、ガス供給路K5を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0160】
ただし、各ガス吐出部610は、第4実施形態にかかるガス吐出部410等と異なり、サセプタ11に向かう所定の軸(具体的にはガス吐出部610の中心軸X4)から離間した位置に設けられたガスの吐出口611を1つ有する。
【0161】
また、各ガス吐出部610は、流路部材612を有する。流路部材612は、吐出口611に連通する流路613を形成する。
流路部材612は上記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されている。具体的には、流路部材612は、中心軸X4を中心に回動自在に、天壁10aを貫通するようにして取り付けられている。この流路部材612は、中心軸X4を中心に回動させることにより、すなわち、当該流路部材612の向きを変更することにより、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置を調整することができる。
【0162】
また、各ガス吐出部610は、天壁10aにおける流路部材612の貫通部分を塞ぐ蓋部材614を有する。蓋部材614と天壁10aの上面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0163】
さらに、各ガス吐出部610において、流路部材612の上端が回動機構615に接続されている。回動機構615は、軸615a及び駆動部615bを有する。
軸615aは、蓋部材614を貫通するように、上下方向に延在する。この軸615aと蓋部材614との間には、封止部材616が設けられている。封止部材616は、軸615aを軸支すると共に、軸615aと蓋部材614との間の空間を封止する部材であり、例えば磁性流体シールである。軸615aの下端は、流路部材612の上端に連結され、軸615aの上端は駆動部615bに連結されている。
【0164】
駆動部615bは、例えばモータを有し、上記中心軸X4を中心に軸615aを回動させるための駆動力を発生する。軸615aが中心軸X4を中心に回動することに伴って、流路部材612が中心軸X4を中心に回動する。
【0165】
軸615aは、流路部材612と一体に形成されてもよい。
また、軸615aは、流路部材612の流路613にガスを導入する導入路615cを有する。導入路615cは、流路部材612の流路613の上流端すなわち上端に接続される。また、導入路615cは、回転継手617を介して配管81の一端に接続されている。配管81の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管81、回転継手617、導入路615c及び流路部材612の流路613を経て、当該流路部材612の向きに対応する位置の吐出口611から、サセプタ11に向けて(具体的には下方に)、吐出される。
【0166】
前述のように、各ガス吐出部610は、ガス供給路K5を変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関するガスの吐出位置すなわち吐出口611の位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K5の変更とは流路部材612の向きの変更であり、各ガス吐出部610は、流路部材612の向きに対応する位置に位置する吐出口611からガスを吐出する。
【0167】
なお、流路部材612のチャンバ2内に露出する部分を覆うカバー部材(図示せず)を設けてもよい。カバー部材はチャンバ2の天壁10aと一体に形成されてもよい。
【0168】
本実施形態にかかる成膜装置では、流路部材612の向きを変更することで、水平面内におけるサセプタ径方向に関する第1ガスシャワー部600からのガスの吐出位置を調節することができる。これにより、ウェハWの表面におけるプラズマ密度のウェハ径方向に関する分布を調整することができる。したがって、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0169】
(第7実施形態)
図26~
図29はそれぞれ、第7実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
図26に示すように、本実施形態にかかる成膜装置にも、第1~第3実施形態と同様、所定の平面内におけるガスの吐出位置等が調整可能に構成されたガス吐出部710が設けられている。ガス吐出部710は、サセプタ11に向けてガスを吐出するものであり、当該ガス吐出部710内に存在するガス供給路K6を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及びサセプタ11の中心から上記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている。
【0170】
第1~第3実施形態では、ガス吐出部110、210、310は、チャンバ2の天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さからガスを供給する第2ガスシャワー部22、200、300が有していた。それに対し、本実施形態では、ガス吐出部710は、サセプタ11の側方からガスを供給する第3ガスシャワー部700が、有している。
【0171】
ガス吐出部710は、平面視における天壁10aの周方向(すなわちサセプタ11の周方向)に沿って、複数設けられている。より具体的には、ガス吐出部710は、平面視における天壁10aの中心(すなわちサセプタ11の中心)を中心とした同一円周上に等間隔で複数(例えば20個)配置されている。
【0172】
各ガス吐出部710は、前述のように、ガス供給路K6を変更することで、所定の平面内におけるガスの吐出位置及びサセプタ11の中心から上記吐出位置までの距離を調整可能に構成されている。具体的には、各ガス吐出部710は、ガス供給路K6を変更することで、鉛直面内における鉛直方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0173】
また、各ガス吐出部710は、サセプタ11の中心からの距離が互いに異なる複数の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。具体的には、各ガス吐出部710は、鉛直面内における鉛直方向に関する位置が互いに異なる複数(本例では4つ)の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。
【0174】
本実施形態において、各ガス吐出部710は、吐出孔711A~711Dを有する。以下では、吐出孔711A~711Dを吐出孔711と省略することがある。
【0175】
吐出孔711は、ガス吐出部710からのガスの吐出位置毎に、当該吐出位置に対応して設けられている。吐出孔711は、例えば、鉛直面内において鉛直方向に並ぶように設けられている。
ガス吐出部710は、その先端側部分が、側壁10bからチャンバ2の平面視中心に向けて水平に延び出すように形成されており、吐出孔711は、ガス吐出部710の先端に形成されている。
【0176】
さらに、各ガス吐出部710は、吐出孔711A~711Dそれぞれに連通する凹所712を有する。凹所712は例えば側壁10bの外側面から内側に円柱状に凹むように形成されている。
【0177】
凹所712内には、
図26~
図29に示すように、流路部材713A~713Dのいずれかが挿抜自在に配置される。以下では、流路部材713A~713Dを流路部材713と省略することがあり、また、後述の流路714A~714Dを流路714と省略することがある。
【0178】
流路部材713Aは、下流端すなわち先端が吐出孔711Aのみと接続される流路714Aを形成する。
流路部材713Bは、下流端すなわち先端が吐出孔711Bのみと接続される流路714Bを形成する。
流路部材713Cは、下流端すなわち先端が吐出孔711Cのみと接続される流路714Cを形成する。
流路部材713Dは、下流端すなわち先端が吐出孔711Dのみと接続される流路714Dを形成する。
【0179】
つまり、ガス吐出部710は、凹所712内に配置され吐出孔711のいずれかに接続される流路714を形成する流路部材713を有する。そして流路部材713A~713Dは選択的に用いられる。
【0180】
また、各ガス吐出部710は、凹所712の開口部を塞ぐ蓋部材715を有する。
蓋部材715は、流路部材713の流路714にガスを導入する導入孔715aを有する。導入孔715aは、蓋部材715が側壁10bに取り付けられたときに凹所712内と連通し、凹所712内に配置された流路部材713の流路714の上流端すなわち基端に接続される。本実施形態において、導入孔715aが配管83の一端に接続されている。配管83の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管83、導入孔715a及び凹所712内に配置されたいずれかの流路部材713の流路714を経て、当該流路部材713に対応する吐出孔711から、サセプタ11に向けて(具体的には水平に)、吐出される。
【0181】
前述のように、各ガス吐出部710は、ガス供給路K6を変更することで、鉛直面内における鉛直方向に関するガスの吐出位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K6の変更とは、凹所712内に配する流路部材713の変更であり、各ガス吐出部710は、凹所712内に配された流路部材713に対応する吐出孔711から選択的にガスを吐出する。例えば、流路部材713Aに変更された場合、各ガス吐出部710は、流路部材713Aに対応する吐出孔711Aから選択的にガスを吐出する。
【0182】
なお、本実施形態の場合、天壁10aとサセプタ11との間の所定の高さからガスを供給する第2ガスシャワー部は、第1~第3実施形態と同様の構成にしてもよいし、従来と同様の構成にしてもよい。また、天壁10aからガスを供給する第1ガスシャワー部は、第4~第6実施形態と同様の構成にしてもよいし、従来と同様の構成にしてもよい。後述の第8及び第9実施形態についても同様である。
【0183】
本実施形態にかかる成膜装置では、第3ガスシャワー部700のガス吐出部710に用いる流路部材713を変更することで、鉛直面内における鉛直方向に関する第3ガスシャワー部700からのガスの吐出位置を調節することができる。これにより、ウェハWの表面におけるプラズマ密度のウェハ径方向に関する分布を調整することができる。例えば、第3ガスシャワー部700~のガスの吐出位置を鉛直方向正方向にずらすことで(すなわち高くすることで)、サセプタ11上のウェハWの中央における材料ガスのプラズマの密度を高くすることができる。したがって、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0184】
(第8実施形態)
図30は、第8実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【0185】
図30の第3ガスシャワー部800も、サセプタ11の側方からガスを供給する。また、第3ガスシャワー部800も、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部810を有し、当該ガス吐出部810が、平面視における天壁10aの周方向に沿って、複数設けられている。
【0186】
各ガス吐出部810は、第7実施形態にかかるガス吐出部710と同様、当該ガス吐出部810からのガスの吐出位置すなわち吐出口にガスを導くガス供給路K7を内部に有する。また、各ガス吐出部810も、ガス供給路K7を変更することで、鉛直面内における鉛直方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0187】
さらに、各ガス吐出部810も、鉛直面内における鉛直方向に関する位置が互いに異なる複数(本例では4つ)の吐出位置から選択的に、ガスを吐出可能に構成されている。
【0188】
また、各ガス吐出部810も、吐出孔811A~811Dを有する。以下では、吐出孔811A~811Dを吐出孔811と省略することがある。
吐出孔811も、第7実施形態にかかる吐出孔711と同様、ガス吐出部810からのガスの吐出位置毎に、当該吐出位置に対応して設けられている。ただし、上記吐出位置及び吐出孔811は、第7実施形態にかかる吐出孔711と異なり、サセプタ11に向かう所定の軸(具体的にはガス吐出部810の中心軸X5)を中心とした周方向に沿って並んでいる。
【0189】
また、各ガス吐出部810は、吐出孔811A~811Dそれぞれに連通する凹所812を有する。凹所812は例えば側壁10bの外側面から内側に円柱状に凹むように形成されている。
【0190】
凹所812内には、流路部材813が配置される。流路部材813は、凹所812内において、上記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されている。具体的には、流路部材813は、中心軸X5を中心に回動自在に、凹所812内に配置される。流路部材813は、吐出孔811のいずれかに選択的に下流端すなわち先端が接続される流路814を形成する。この流路部材813は、凹所812内で中心軸X5を中心に回動させることにより、すなわち、当該流路部材813の向きを変更することにより、流路814の接続先の吐出孔811を選択することができる。
【0191】
また、各ガス吐出部810は、凹所812の開口部を塞ぐ蓋部材815を有する。蓋部材815と側壁10bの外側面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0192】
さらに、各ガス吐出部810において、流路部材813の基端が回動機構816に接続されている。回動機構816は、軸816a及び駆動部816bを有する。
軸816aは、蓋部材815を貫通するように、水平方向に延在する。この軸816aと蓋部材815との間には、封止部材817が設けられている。封止部材817は、軸816aを軸支すると共に、軸816aと蓋部材815との間の空間を封止する部材であり、例えば磁性流体シールである。軸816aの先端は、流路部材813の基端に連結され、軸816aの基端は駆動部816bに連結されている。
【0193】
駆動部816bは、例えばモータを有し、上記中心軸X5を中心に軸816aを回動させるための駆動力を発生する。軸816aが中心軸X5を中心に回動することに伴って、流路部材813が凹所812内で中心軸X5を中心に回動する。
【0194】
軸816aは、流路部材813と一体に形成されてもよい。
また、軸816aは、流路部材813の流路814にガスを導入する導入路816cを有する。導入路816cは、凹所812内に配置された流路部材813の流路814の上流端すなわち基端に接続される。また、導入路816cは、回転継手818を介して配管83の一端に接続されている。配管83の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管83、回転継手818、導入路816c及び凹所512内に配置された流路部材813の流路814を経て、当該流路部材813の向きに対応する吐出孔811から、サセプタ11に向けて(具体的には水平に)、吐出される。
【0195】
前述のように、各ガス吐出部810は、ガス供給路K7を変更することで、鉛直面における鉛直方向に関するガスの吐出位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K7の変更とは、凹所812内における流路部材813の向きの変更であり、各ガス吐出部810は、凹所812内の流路部材813の向きに応じた吐出孔811から選択的にガスを吐出する。
【0196】
本実施形態にかかる成膜装置では、凹所812内における流路部材813の向きを変更することで、鉛直面内における鉛直方向に関する第3ガスシャワー部800からのガスの吐出位置を調節することができる。これにより、ウェハWの表面におけるプラズマ密度のウェハ径方向に関する分布を調整することができる。したがって、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0197】
(第9実施形態)
図31は、第9実施形態にかかるプラズマ処理装置としての成膜装置が有する第3ガスシャワー部のガス吐出部の概略を説明するための部分拡大断面図である。
【0198】
図31の第3ガスシャワー部900も、第7実施形態にかかる第3ガスシャワー部700等と同様、サセプタ11の側方からガスを供給する。また、第3ガスシャワー部900も、サセプタ11に向けてガスを吐出するガス吐出部910を有し、当該ガス吐出部910が、平面視における天壁10aの周方向に沿って、複数設けられている。
【0199】
各ガス吐出部910は、第7実施形態にかかるガス吐出部710等と同様、当該ガス吐出部910からのガスの吐出位置すなわち吐出口911にガスを導くガス供給路K8を内部に有する。また、各ガス吐出部910も、ガス供給路K8を変更することで、鉛直面内における鉛直方向に関する上記吐出位置を調整可能に構成されている。
【0200】
ただし、各ガス吐出部910は、第7実施形態にかかるガス吐出部710等と異なり、サセプタ11に向かう所定の軸(具体的にはガス吐出部910の中心軸X6)から離間した位置に設けられたガスの吐出口911を1つ有する。
【0201】
また、各ガス吐出部910は、流路部材912を有する。流路部材912は、吐出口911に連通する流路913を形成する。
流路部材912は上記所定の軸を中心とした向きを変更可能に構成されている。具体的には、流路部材912は、中心軸X6を中心に回動自在に、側壁10bを貫通するようにして取り付けられている。この流路部材912は、中心軸X6を中心に回動させることにより、すなわち、当該流路部材912の向きを変更することにより、鉛直面内における鉛直方向に関するガスの吐出位置を調整することができる。
【0202】
また、各ガス吐出部910は、側壁10bにおける流路部材912の貫通部分を塞ぐ蓋部材914を有する。蓋部材914と側壁10bの外側面との間にはチャンバ2を密閉するためのOリング等の封止部材(図示せず)が設けられている。
【0203】
さらに、各ガス吐出部910において、流路部材912の基端が回動機構915に接続されている。回動機構915は、軸915a及び駆動部915bを有する。
軸915aは、蓋部材914を貫通するように、水平方向に延在する。この軸915aと蓋部材914との間には、封止部材916が設けられている。封止部材916は、軸915aを軸支すると共に、軸915aと蓋部材914との間の空間を封止する部材であり、例えば磁性流体シールである。軸915aの先端は、流路部材912の基端に連結され、軸915aの基端は駆動部915bに連結されている。
【0204】
駆動部915bは、例えばモータを有し、上記中心軸X6を中心に軸915aを回動させるための駆動力を発生する。軸915aが中心軸X6を中心に回動することに伴って、流路部材912が中心軸X6を中心に回動する。
【0205】
軸915aは、流路部材912と一体に形成されてもよい。
また、軸915aは、流路部材912の流路913にガスを導入する導入路915cを有する。導入路915cは、流路部材912の流路913の上流端すなわち基端に接続される。また、導入路915cは、回転継手917を介して配管83の一端に接続されている。配管83の他端はガス供給部80(
図1参照)に接続されている。したがって、ガス供給部80からのガスが、配管83、回転継手917、導入路915c及び流路部材912の流路913を経て、当該流路部材912の向きに対応する位置の吐出口911から、サセプタ11に向けて(具体的には水平に)、吐出される。
【0206】
前述のように、各ガス吐出部910は、ガス供給路K8を変更することで、鉛直面における鉛直方向に関するガスの吐出位置すなわち吐出口911の位置を調整可能に構成されている。本実施形態において、ガス供給路K8の変更とは流路部材912の向きの変更であり、各ガス吐出部910は、流路部材912の向きに対応する位置に位置する吐出口911からガスを吐出する。
【0207】
なお、流路部材912のチャンバ2内に露出する部分を覆うカバー部材(図示せず)を設けてもよい。カバー部材はチャンバ2の側壁10bと一体に形成されてもよい。
【0208】
本実施形態にかかる成膜装置では、流路部材912の向きを変更することで、鉛直面における鉛直方向に関する第3ガスシャワー部900からのガスの吐出位置を調節することができる。これにより、ウェハWの表面におけるプラズマ密度のウェハ径方向に関する分布を調整することができる。したがって、本実施形態によっても、マイクロ波を用いる成膜装置における成膜のウェハ径方向に関する均一性を、成膜圧力によらず改善することができる。
【0209】
(変形例)
以上では、本開示にかかる技術を、成膜装置に適用していたが、エッチング装置やクリーニング装置等の他のプラズマ処理装置にも適用してもよい。
【0210】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0211】
1 成膜装置
2 チャンバ
3 マイクロ波プラズマ源
10a 天壁
11 サセプタ
21、400、500、600 第1ガスシャワー部
22、200、300 第2ガスシャワー部
110、210、310、410、510、610、710、810、910 ガス吐出部
K~K8 ガス供給路
W ウェハ