(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149126
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 33/00 20060101AFI20231005BHJP
B82Y 20/00 20110101ALI20231005BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20231005BHJP
【FI】
C01G33/00 A
B82Y20/00
B82Y40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022057521
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】廖 曰淳
(72)【発明者】
【氏名】山内 賢一
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AB02
4G048AC08
4G048AD04
4G048AE08
(57)【要約】
【課題】アモルファス相が生じにくい状態で、100nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得ることができる酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法は、ペンタアルコキシニオブ(V)と水と水溶性溶媒とを含む混合物を255℃以上に加熱して水熱反応を進行させることを含み、前記ペンタアルコキシニオブ(V)中のアルコキシ基は、独立に、炭素原子数2~5のアルコキシ基である。前記水と前記ペンタアルコキシニオブ(V)とのモル比は、好ましくは0.20以上である。前記水熱反応を400psi以上の圧力下で進行させることが好ましい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンタアルコキシニオブ(V)と水と水溶性溶媒とを含む混合物を255℃以上に加熱して水熱反応を進行させることを含む酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法であって、
前記ペンタアルコキシニオブ(V)中のアルコキシ基は、独立に、炭素原子数2~5のアルコキシ基である製造方法。
【請求項2】
前記酸化ニオブ(V)ナノ結晶のサイズは、20nm未満である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記水と前記ペンタアルコキシニオブ(V)とのモル比は、0.20以上である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記水熱反応を400psi以上の圧力下で進行させる請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学部材の形成に、高屈折材料が用いられている。高屈折材料は、例えば、酸化チタンや酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子を原料として得られる。高屈折材料の原料として用いることのできる金属酸化物粒子には、例えば、酸化ニオブ(V)粒子も包含される。酸化ニオブ(V)粒子の製造方法としては、例えば、塩化ニオブ(V)を原料とするソルボサーマル合成法が挙げられる(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Scientific Reports, 2015, Vol. 5, p.7716 (2015).<URL: https://doi.org/10.1038/srep07716>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化ニオブ(V)粒子の従来の製造方法では塩化ニオブ(V)を原料として用いるため、得られる酸化ニオブ(V)粒子に残留する塩化物イオンを原因とする腐食の恐れがある。また、酸化ニオブ(V)粒子の従来の製造方法では、100nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)粒子を得ることが困難であったり、アモルファス相の酸化ニオブ(V)粒子が生じたり、あるいは、結晶化度の低い酸化ニオブ(V)粒子が製造されたりする問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、アモルファス相が生じにくい状態で、100nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得ることができる酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、所定のペンタアルコキシニオブ(V)と水と水溶性溶媒とを含む混合物を255℃以上に加熱して水熱反応を進行させて酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得ることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0007】
本発明の一態様は、ペンタアルコキシニオブ(V)と水と水溶性溶媒とを含む混合物を255℃以上に加熱して水熱反応を進行させることを含む酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法であって、前記ペンタアルコキシニオブ(V)中のアルコキシ基は、独立に、炭素原子数2~5のアルコキシ基である製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アモルファス相が生じにくい状態で、100nm未満のサイズを有する単一結晶相の酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得ることができる酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】比較例5の酸化ニオブ(V)ナノ粒子に関するXRD測定の結果を示すグラフである。
【
図2】実施例4の酸化ニオブ(V)ナノ粒子に関するXRD測定の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法>
本発明に係る酸化ニオブ(V)ナノ結晶の製造方法により、100nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得ることができる。該製造方法により、好ましくは20nm未満のサイズ、より好ましくは18nm以下のサイズ、更により好ましくは17nm以下のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得ることができる。本明細書において、酸化ニオブ(V)ナノ結晶のサイズとは、X線回折測定により検出された回折ピークの半値幅からHalder-Wagner法で算出された平均一次粒子粒径、即ち、結晶子サイズをいう。
【0011】
本発明に係る製造方法で得られる酸化ニオブ(V)ナノ結晶の結晶相としては、特に限定されず、例えば、TT相、T相、B相、P相、N相、R相、M相、H相、I相が挙げられ、特にTT相が得やすい。一方、本発明に係る製造方法では、アモルファス相の酸化ニオブ(V)粒子が生じにくい。結晶相の種類は、X線回折(XRD)により観測されるピークが現れる2θ軸上の位置で確認できる。アモルファス相が生じているか否かは、XRDのスペクトルの形状から確認できる。
【0012】
[ペンタアルコキシニオブ(V)]
ペンタアルコキシニオブ(V)は、本発明に係る製造方法において、酸化ニオブ(V)ナノ結晶を製造するための原料として用いられる。本発明に係る製造方法では、従来と異なり、原料として塩化ニオブ(V)を原料として用いないため、得られる酸化ニオブ(V)ナノ結晶への塩化物イオンの残留が効果的に抑制され、塩化物イオンを原因とする腐食を防止しやすい。ペンタアルコキシニオブ(V)は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0013】
ペンタアルコキシニオブ(V)は、ペンタアルコキシニオブ(V)中のアルコキシ基が、独立に、炭素原子数2~5のアルコキシ基である限り、特に限定されない。前記アルコキシ基の炭素原子数は、反応性等の観点から、好ましくは2~4、より好ましくは3又は4、更により好ましくは4である。炭素原子数2~5のアルコキシ基としては、例えば、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基等が挙げられ、反応性等の観点から、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、及びtert-ブトキシ基が好ましく、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、及びtert-ブトキシ基がより好ましく、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、及びtert-ブトキシ基が更により好ましく、n-ブトキシ基が特に好ましい。
【0014】
ペンタアルコキシニオブ(V)の具体例としては、例えば、ペンタエトキシニオブ(V)、ペンタn-プロポキシニオブ(V)、ペンタイソプロポキシニオブ(V)、ペンタn-ブトキシニオブ(V)、ペンタイソブトキシニオブ(V)、ペンタsec-ブトキシニオブ(V)、ペンタtert-ブトキシニオブ(V)、ペンタn-ペンチルオキシニオブ(V)、ペンタイソペンチルオキシニオブ(V)、ペンタtert-ペンチルオキシニオブ(V)等が挙げられ、反応性等の観点から、ペンタエトキシニオブ(V)、ペンタn-プロポキシニオブ(V)、ペンタイソプロポキシニオブ(V)、ペンタn-ブトキシニオブ(V)、ペンタイソブトキシニオブ(V)、ペンタsec-ブトキシニオブ(V)、及びペンタtert-ブトキシニオブ(V)が好ましく、ペンタn-プロポキシニオブ(V)、ペンタイソプロポキシニオブ(V)、ペンタn-ブトキシニオブ(V)、ペンタイソブトキシニオブ(V)、ペンタsec-ブトキシニオブ(V)、及びペンタtert-ブトキシニオブ(V)がより好ましく、ペンタn-ブトキシニオブ(V)、ペンタイソブトキシニオブ(V)、ペンタsec-ブトキシニオブ(V)、及びペンタtert-ブトキシニオブ(V)が更により好ましく、ペンタn-ブトキシニオブ(V)が特に好ましい。
【0015】
[水]
本発明に係る製造方法においては、ペンタアルコキシニオブ(V)と水との反応により、ペンタアルコキシニオブ(V)の加水分解が進行し、酸化ニオブ(V)ナノ結晶が生成される。水とペンタアルコキシニオブ(V)とのモル比は、好ましくは0.20以上であり、より好ましくは0.22~7であり、更により好ましくは0.24~5.5である。水とペンタアルコキシニオブ(V)とのモル比が上記範囲内であると、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得やすい。
【0016】
[水溶性溶媒]
水溶性溶媒は、本発明に係る製造方法において、水とともに、反応溶媒として用いられる。該製造方法において、水溶性溶媒は、水よりもはるかに多量に用いられる。具体的に、水溶性溶媒と水との質量比は、好ましくは50~3000であり、より好ましくは80~2700であり、更により好ましくは100~2500である。水溶性溶媒と水との質量比が上記範囲内であると、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得やすい。これは、水よりもはるかに多量に存在する水溶性溶媒の環境下で、ペンタアルコキシニオブ(V)のより緩やかな加水分解がより均一に進行しやすいためであると推認される。水溶性溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0017】
水溶性溶媒としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-プロパノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル部炭酸メチル、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。中でも、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得やすいことから、水溶性溶媒としては、アルコール類が好ましく、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ベンジルアルコール、及びフェネチルアルコールがより好ましく、1-ブタノール及びベンジルアルコールが更により好ましい。
【0018】
[水熱反応]
本発明に係る製造方法では、ペンタアルコキシニオブ(V)と水と水溶性溶媒とを含む混合物を255℃以上に加熱して水熱反応を進行させる。水熱反応における加熱温度が255℃以上であると、酸化ニオブ(V)のアモルファス相が生じにくく、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得やすい。水熱反応における加熱温度は、好ましくは257~300℃であり、より好ましくは258~280℃であり、更により好ましくは259~275℃である。
【0019】
本発明に係る製造方法では、水熱反応を400psi以上の圧力下で進行させることが好ましい。水熱反応における圧力が400psi以上であると、酸化ニオブ(V)のアモルファス相が生じにくく、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得やすい。水熱反応における圧力は、好ましくは420~700psiであり、より好ましくは440~600psiであり、更により好ましくは450~580psiである。
【0020】
本発明に係る製造方法において、水熱反応の時間は、特に限定されず、例えば、50~140分でよく、60~130分でもよい。本発明に係る製造方法では、比較的短時間で、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する酸化ニオブ(V)ナノ結晶を得やすい。
【0021】
本発明に係る製造方法により得られた酸化ニオブ(V)ナノ結晶は、エタノール等を用いた洗浄により精製してもよい。
【0022】
本発明に係る製造方法により得られた酸化ニオブ(V)ナノ結晶は、高屈折材料の原料として用いることができる。その際、酸化ニオブ(V)ナノ結晶は、例えば、公知のキャッピング剤で処理されていてもよい。キャッピング剤としては、例えば、アルコキシシラン、フェノール、アルコール、カルボン酸、カルボン酸ハライド等が挙げられる。
【実施例0023】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0024】
[酸化ニオブ(V)ナノ粒子の調製]
原料として、ペンタn-ブトキシニオブ(V)、水、ベンジルアルコール、及び1-ブタノールを、表1に示す量で、不活性雰囲気下、600mL反応器(Parr社製)に仕込んだ。反応混合物を撹拌しつつ2~3℃/分の昇温速度で加熱し、表1に示す温度に達した後、表1に示す時間、水熱反応を進行させたところ、反応圧力は、表1に示す値まで到達した。反応が完了し、反応器の温度が室温に戻った後、上述の通りにして得た酸化ニオブ(V)ナノ粒子を白色乳状懸濁物(ウェットケーキ)として回収した。
【0025】
[サイズの測定]
上述の通りにして得たウェットケーキの減圧乾燥物を試料として用いて、X線回折装置(SmartLab、株式会社リガク製)により、酸化ニオブ(V)ナノ粒子のXRD測定を行った。得られた結果を付属ソフトウェアのPDXLで解析し、Halder-Wagner法にて酸化ニオブ(V)ナノ粒子の平均一次粒子粒径(結晶子サイズ)を求めたところ、表1に示す結果が得られた。
【0026】
なお、XRD測定の結果から、酸化ニオブ(V)ナノ粒子の相を解析した。表1において、Amはアモルファス相、TTはTT相を示し、Am+TTは、アモルファス相とTT相とが混在していることを示す。例えば、
図1に示す通り、比較例5の酸化ニオブ(V)ナノ粒子においては、アモルファス相とTT相とが混在していることが確認された。これに対し、
図2に示す通り、実施例4の酸化ニオブ(V)ナノ粒子においては、TT相のみが存在し、酸化ニオブ(V)ナノ結晶が形成されていることが確認された。他の実施例の酸化ニオブ(V)ナノ粒子においても、TT相のみが存在し、酸化ニオブ(V)ナノ結晶が形成されていることが確認された。
【0027】
【表1】
Nb-P:ペンタn-ブトキシニオブ(V)
BA:ベンジルアルコール
BuOH:1-ブタノール
Am:アモルファス相
TT:TT相
【0028】
表1から分かる通り、実施例では、100nm未満のサイズ、特に20nm未満のサイズを有する単一相の酸化ニオブ(V)ナノ結晶が得られたのに対し、比較例では、アモルファス相が生じてしまうことが確認された。