(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149471
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ポジ型感光性ドライフィルム、その硬化物および電子部品
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20231005BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20231005BHJP
C08G 73/22 20060101ALI20231005BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/004 512
G03F7/004 501
C08G73/22
H05K1/03 610H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058063
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 郁弥
(72)【発明者】
【氏名】福島 智美
(72)【発明者】
【氏名】渡部 楽
【テーマコード(参考)】
2H225
4J043
【Fターム(参考)】
2H225AE03P
2H225AE12P
2H225AF02P
2H225AM10P
2H225AM75P
2H225AM79P
2H225AM80P
2H225AM99P
2H225AN21P
2H225AN54P
2H225BA22P
2H225CA13
2H225CB02
2H225CC03
2H225CC21
4J043PA02
4J043PA19
4J043PC145
4J043PC146
4J043QB15
4J043QB23
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4J043SA06
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4J043SA71
4J043SB01
4J043TA26
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4J043TB01
4J043UA131
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4J043UB061
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4J043VA011
4J043VA022
4J043VA051
4J043XA16
4J043YA06
4J043ZA12
4J043ZB22
(57)【要約】
【課題】ドライフィルムとして適切な加熱温度で基材に密着し、フォトリソグラフィによるパターニングが可能であり、熱特性(Tg)に優れた絶縁膜が得られるポジ型感光性ドライフィルム、その硬化物および電子部品を提供する。
【解決手段】支持フィルム上に、ポジ型感光性樹脂組成物からなる樹脂層を備えるポジ型感光性ドライフィルムである。ポジ型感光性樹脂組成物が、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体と、(B)フェノール樹脂と、(C)ジアゾナフトキノン誘導体と、(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物と、を含み、(B)フェノール樹脂の、重量平均分子量Mwが600~2500であって、分散度Mw/Mnが1.5~3.0であり、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量が、6質量部~50質量部である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルム上に、ポジ型感光性樹脂組成物からなる樹脂層を備えるポジ型感光性ドライフィルムであって、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が、
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体と、
(B)フェノール樹脂と、
(C)ジアゾナフトキノン誘導体と、
(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物と、
を含み、
前記(B)フェノール樹脂の、重量平均分子量Mwが600~2500であって、分散度Mw/Mnが1.5~3.0であり、前記(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量が、6質量部~50質量部であることを特徴とするポジ型感光性ドライフィルム。
【請求項2】
請求項1記載のポジ型感光性ドライフィルムに含まれる前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とする硬化物。
【請求項3】
請求項2記載の硬化物を含むことを特徴とする電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体材料などの電子部品において有用なポジ型感光性ドライフィルム(以下、単に「ドライフィルム」とも称する)、その硬化物および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
多層プリント配線板の製造方法として、内層回路板に、絶縁層と導体層とを交互に積み上げて形成するビルドアップ工法が知られている。このようなビルドアップ工法にて製造される多層プリント配線板では、一般的に絶縁層としてエポキシ樹脂を主成分とした熱硬化性樹脂組成物が用いられ、その硬化物に炭酸ガスレーザーにて層間を導通させるためのビアを形成する。
【0003】
また、ビルドアップ工法では、絶縁層にドライフィルム型の材料が用いられる。このようなドライフィルム型の材料は、ラミネーターを用いてプリント配線板に熱圧着することで平坦な層を形成できるため、高多層化が容易となる。
【0004】
一方、近年、ビルドアップ工法を用いて製造した半導体パッケージでは、高性能化に伴うビアの小径化が進み、ビアの数も増加傾向にある。これに対して、従来の炭酸ガスレーザーではビアの小径加工は難しく、小径のビアが形成できるUV-YAGレーザーでは、加工速度が遅く、製造コストが上がるという課題が生じている。
【0005】
そこで、レーザー加工に代わり、フォトリソグラフィでビアを形成することが検討されており、中でも、半導体素子の製造で用いられ、熱特性(高Tg)や解像性に優れたポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を主成分とするポジ型の感光性樹脂組成物が注目されている。
【0006】
例えば、特許文献1,2に、ポリベンゾオキサゾール前駆体を主成分とし、光酸発生剤およびシランカップリング剤を含むポジ型感光性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】再公表2018/056013号
【特許文献2】特開2021-032991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献に記載のポジ型の感光性樹脂組成物は、半導体素子の製造工程にてスピンコートするため液状であり、ドライフィルム型に加工したところ、ラミネーターによる熱圧着では基材に対する密着性が十分に得られないという問題があった。そのため、特許文献1,2に開示されているような組成物の特性を有し、かつドライフィルムとして扱うことができるポジ型感光性ドライフィルムが求められていた。
【0009】
そこで本発明の目的は、ドライフィルムとして適切な加熱温度で基材に密着し、フォトリソグラフィによるパターニングが可能であり、熱特性(Tg)に優れた絶縁膜が得られるポジ型感光性ドライフィルム、その硬化物および電子部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のポジ型感光性ドライフィルムは、支持フィルム上に、ポジ型感光性樹脂組成物からなる樹脂層を備えるポジ型感光性ドライフィルムであって、
前記ポジ型感光性樹脂組成物が、
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体と、
(B)フェノール樹脂と、
(C)ジアゾナフトキノン誘導体と、
(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物と、
を含み、
前記(B)フェノール樹脂の、重量平均分子量Mwが600~2500であって、分散度Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5~3.0であり、前記(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量が、6質量部~50質量部であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の硬化物は、上記ポジ型感光性ドライフィルムに含まれる前記樹脂層が、硬化されてなることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明の電子部品は、上記硬化物を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドライフィルムとして適切な加熱温度で基材に密着し、フォトリソグラフィによるパターニングが可能であり、熱特性(Tg)に優れた絶縁膜が得られるポジ型感光性ドライフィルム、その硬化物および電子部品を実現することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
(ポジ型感光性ドライフィルム)
本発明のポジ型感光性ドライフィルムは、支持フィルム上に、ポジ型感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも称する)からなる樹脂層を備える。
【0016】
まず、本発明のポジ型感光性ドライフィルムの樹脂層を構成するポジ型感光性樹脂組成物に含まれる成分について、詳述する。
【0017】
[(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する。(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法は特に限定されず、公知の方法で合成すればよい。例えば、アミン成分としてのジヒドロキシジアミン類と、酸成分としてのジカルボン酸ジクロリド等のジカルボン酸のジハライドとを反応させて得ることができる。
【0018】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、下記式で表される繰り返し構造を有するポリヒドロキシアミド酸であることが好ましい。
(式中、Xは4価の有機基を示し、Yは2価の有機基を示し、nは1以上の整数であり、好ましくは10~50、より好ましくは20~40である。)
【0019】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を上記の合成方法で合成する場合、上記一般式(1)中、Xは、上記ジヒドロキシジアミン類の残基であり、Yは、上記ジカルボン酸の残基である。
【0020】
上記ジヒドロキシジアミン類としては、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。中でも、上記ジヒドロキシジアミン類としては、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンが好ましい。
【0021】
上記ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、5-tert-ブチルイソフタル酸、5-ブロモイソフタル酸、5-フルオロイソフタル酸、5-クロロイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(p-カルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等の芳香環を有するジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、1,2-シクロブタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の脂肪族系ジカルボン酸が挙げられる。中でも、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテルが好ましい。
【0022】
上記一般式(1)中、Xが示す4価の有機基は、脂肪族基でも芳香族基でもよいが、芳香族基であることが好ましく、2つのヒドロキシ基および2つのアミノ基がオルト位に芳香環上に位置することがより好ましい。上記4価の芳香族基の炭素原子数は、6~30であることが好ましく、6~24であることがより好ましい。上記4価の芳香族基の具体例としては下記の基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ポリベンゾオキサゾール前駆体に含まれうる公知の芳香族基を用途に応じて選択すればよい。
【0023】
【0024】
上記4価の芳香族基は、上記芳香族基の中でも、下記の基であることが好ましい。
【0025】
上記一般式(1)中、Yが示す2価の有機基は脂肪族基でも芳香族基でもよいが、芳香族基であることが好ましく、芳香環上で上記一般式(1)中のカルボニルと結合していることがより好ましい。上記2価の芳香族基の炭素原子数は、6~30であることが好ましく、6~24であることがより好ましい。上記2価の芳香族基の具体例としては、下記の基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、ポリベンゾオキサゾール前駆体に含まれる公知の芳香族基を用途に応じて選択すればよい。
【0026】
(式中、Aは単結合、-CH
2-、-O-、-CO-、-S-、-SO
2-、-NHCO-、-C(CF
3)
2-、および、-C(CH
3)
2-からなる群から選択される2価の基を表す。)
【0027】
上記2価の有機基は、上記芳香族基の中でも、下記の基であることが好ましい。
【0028】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、上記のポリヒドロキシアミド酸の繰り返し構造を2種以上含んでいてもよい。また、上記のポリヒドロキシアミド酸の繰り返し構造以外の構造を含んでいてもよく、例えば、ポリアミド酸の繰り返し構造を含んでいてもよい。
【0029】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の数平均分子量Mnは、5,000~100,000であることが好ましく、8,000~50,000であることがより好ましい。ここで、本発明において、数平均分子量Mnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した数値である。また、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の重量平均分子量Mwは、10,000~200,000であることが好ましく、16,000~100,000であることがより好ましい。ここで、本発明において、重量平均分子量Mwは、GPCで測定し、標準ポリスチレンで換算した数値である。さらに、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の分散度Mw/Mnは、1~5であることが好ましく、1~3であることがより好ましい。
【0030】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の配合量は、樹脂組成物の固形分全量基準で、50質量%~90質量%であることが好ましい。
【0031】
[(B)フェノール樹脂]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、(B)フェノール樹脂を含有する。(B)フェノール樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリスフェノールメタン型フェノール樹脂などを使用することができる。特には、フェノール性水酸基当量が95~120g/eqであり、75℃~125℃の間に軟化点を有するフェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂を用いることが好ましく、このような特性値を有するフェノール樹脂によれば、ドライフィルムはラミネーターによる熱圧着にて基材に対して十分な密着性が得られ、かつフォトリソグラフィにおいて未露光部の耐現像性を向上することができ、さらに耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
【0032】
(B)フェノール樹脂の重量平均分子量Mwは、600~2,500であることが必要であり、600~1,500であることが好ましい。また、(B)フェノール樹脂の分散度Mw/Mnは、1.5~3.0であることが必要であり、1.8~2.1であることが好ましい。このような重量平均分子量Mwおよび分散度Mw/Mnを有する(B)フェノール樹脂を用いることで、フォトリソグラフィにおいて露光部の現像不良が抑制され、未露光部の耐現像性を向上することができる。
【0033】
(B)フェノール樹脂の配合量は、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量で、6質量部~50質量部とすることが必要であり、15質量部~40質量部であることが好ましい。(B)フェノール樹脂の配合量が少なすぎると、フィルム化した際に基材への密着性が十分に得られず、現像時に膜表面に濁りが発生する。(B)フェノール樹脂の配合量が多すぎると、絶縁膜の熱特性(Tg)が低下し、現像時のパターン(未露光)部の表面に濁りが発生する。
【0034】
[(C)ジアゾナフトキノン誘導体]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、(C)ジアゾナフトキノン誘導体を含有する。(C)ジアゾナフトキノン誘導体としては特に限定されず、例えば、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のTKF-428,TKF-528,TS533,TS567,TS583,TS593)や、テトラヒドロキシベンゾフェノンのナフトキノンジアジド付加物(例えば、三宝化学研究所社製のBS550,BS570,BS599)等が挙げられる。
【0035】
(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体と(B)フェノール樹脂は、ポジ型感光材料として知られる(C)ジアゾナフトキノン誘導体を組み合わせて用いることで、非光照射部にアルカリ難溶性を付与することができ、フォトリソグラフィによるパターニングが可能となる。
【0036】
(C)ジアゾナフトキノン誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(C)ジアゾナフトキノン誘導体の配合量は、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量で、5質量部~15質量部であることが好ましい。(C)ジアゾナフトキノン誘導体の配合量を上記範囲とすることで、(C)ジアゾナフトキノン誘導体の配合による効果を、良好に得ることができる。
【0037】
[(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物を含有する。(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物としては、特に限定されず、例えば、以下の構造式で示される化合物が挙げられる。中でも、メトキシ基を2官能以上含むメラミン誘導体を用いることが好ましい。
【0038】
【0039】
加熱により閉環して高耐熱性を示す(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体に加えて、(B)フェノール樹脂、並びに、(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物を用いたことで、これらにより架橋構造が形成されて、高い耐熱性(高Tg)を有する絶縁膜を実現することができる。
【0040】
(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物の配合量は、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量で、10質量部~30質量部であることが好ましい。(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物の配合量を上記範囲とすることで、(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物の配合による効果を、良好に得ることができる。
【0041】
[その他の成分]
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、上記(A)~(D)成分に加えて、任意にその他の成分を含有することができる。
【0042】
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物は、(E)t-ブチルカテコールを含有することが好ましい。(E)t-ブチルカテコールを含有することにより、露光部の現像残渣(スカム)が少なく、現像性に優れるものとすることができる。(E)t-ブチルカテコールの配合量は、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対する含有量で、0.1質量部~1.0質量部であることが好ましい。
【0043】
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物には、加工特性や各種機能性を付与するために、その他、様々な有機または無機の低分子または高分子化合物を配合してもよい。例えば、界面活性剤、(F)レベリング剤、可塑剤、微粒子等を用いることができる。このうち微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子が含まれる。また、(F)レベリング剤(表面調整剤)としては、熱可塑性アクリル樹脂である非シリコン系剥離剤等を用いることができる。
【0044】
また、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために、公知の増感剤を配合することもできる。さらに、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物には、基材に対する密着性向上のために、公知の接着助剤を添加することもできる。さらにまた、本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物には、各種着色剤および繊維等を配合してもよい。
【0045】
本発明に係るポジ型感光性樹脂組成物には、(G)溶剤(溶媒)を配合することができる。溶剤としては、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体、(B)フェノール樹脂、(C)ジアゾナフトキノン誘導体、(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物、および、その他の成分を溶解できるものであれば、特に限定されない。(G)溶剤としては、具体的には例えば、N,N’-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを挙げることができる。
【0046】
(G)溶剤は、単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。(G)溶剤の使用量は、塗布膜厚や粘度に応じて、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対し、50~9000質量部の範囲で用いることができる。また、(G)溶剤は、本発明のドライフィルムの樹脂層中に、20質量%以下で含有していてよい。
【0047】
本発明のポジ型感光性ドライフィルムは、支持フィルム上に、上記ポジ型感光性樹脂組成物を塗布後、乾燥して得られる樹脂層を有する。本発明のドライフィルムは、樹脂層を、基材に接するようにラミネートして使用される。
【0048】
本発明のドライフィルムは、支持フィルム(キャリアフィルム)上に、上記ポジ型感光性樹脂組成物を、ブレードコーターやリップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の適宜の方法により均一に塗布し、乾燥して樹脂層を形成し、好ましくはその上に保護フィルム(カバーフィルム)を積層することにより、製造することができる。乾燥方法としては、特に限定されず、風乾、オーブンまたはホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、乾燥は、樹脂層中の(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の閉環が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には例えば、自然乾燥、送風乾燥または加熱乾燥を、70~110℃で1~30分の条件で行うことができる。好ましくは、オーブン中で1~20分乾燥を行う。また、真空乾燥も可能であり、この場合は、室温で20分~1時間の条件で行うことができる。
【0049】
本発明のドライフィルムにおいて、支持フィルムおよび保護フィルムの材料は、ドライフィルムに用いられるものとして公知の材料であれば、いずれも使用することができる。支持フィルムと保護フィルムとは、同一の材料からなるものであっても、異なる材料からなるものであってもよい。支持フィルムとしては、例えば、2~150μmの厚さのポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。保護フィルムとしては、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、樹脂層に対する接着力が、支持フィルムよりも小さいものが好ましい。
【0050】
なお、本発明においては、上記保護フィルム上に上記ポジ型感光性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面に支持フィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本発明においてドライフィルムを製造する際に樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、支持フィルムおよび保護フィルムのいずれを用いてもよい。
【0051】
本発明のドライフィルム上における樹脂層の膜厚としては、40μm以下が好ましく、5μm~25μmの範囲がより好ましい。
【0052】
(硬化物)
本発明の硬化物は、上記本発明のドライフィルムに含まれる樹脂層を硬化して得られるものであり、熱特性(Tg)に優れた絶縁膜となるものである。以下の製造方法にて、パターン形成した硬化物が得られる。
【0053】
まず、ステップ1として、本発明のポジ型感光性ドライフィルムを、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、支持フィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
【0054】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0055】
次に、ステップ2として、上記樹脂膜を、所定のパターンを有するフォトマスクを介して、あるいは直接、露光する。露光光線は、(C)ジアゾナフトキノン誘導体を活性化させ、酸を発生させることができる波長のものを用いる。具体的には、露光光線は、最大波長が350~410nmの範囲にあるものが好ましい。上述したように、増感剤を適宜用いることで、光感度を調整することができる。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー、レーザーダイレクト露光装置等を用いることができる。
【0056】
次に、ステップ3として、加熱を行い、未露光部の(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の一部を閉環してもよい。ここで、閉環率は、30%程度とすることができ、例えば、10%以上40%以下である。加熱時間および加熱温度は、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体の種類や塗布膜厚によって、適宜変更する。
【0057】
次に、ステップ4として、樹脂膜を現像液で処理する。これにより、樹脂膜中の露光部分を除去して、本発明のポジ型感光性ドライフィルムの樹脂層のパターン膜を形成することができる。
【0058】
現像に用いる方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸せき法等の中から任意の方法を選択することができる。現像液としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の四級アンモニウム塩類等の水溶液を挙げることができる。また、必要に応じて、これらにメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加してもよい。その後、必要に応じて、樹脂膜をリンス液により洗浄してパターン膜を得る。リンス液としては、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を単独または組み合わせて用いることができる。また、現像液として、上記溶剤を使用してもよい。
【0059】
その後、ステップ5として、パターン膜を加熱して硬化塗膜(硬化物)を得る。このとき、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体を閉環し、ポリベンゾオキサゾールを得ればよい。加熱温度は、ポリベンゾオキサゾールのパターン膜を硬化可能な範囲で適宜設定する。例えば、不活性ガス中で、150~350℃で5~120分程度の加熱を行う。加熱温度のより好ましい範囲は、180~300℃である。加熱は、例えば、ホットプレート、オーブン、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いることにより行う。このときの雰囲気(気体)としては、空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
【0060】
本発明のドライフィルムの用途は特に限定されず、例えば、接着剤、充填剤、電子材料、光回路部品、成形材料、レジスト材料、建築材料、3次元造形、光学部材等の公知の分野および製品などが挙げられる。本発明のドライフィルムは、特に、ポリベンゾオキサゾール膜の耐熱性や寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる広範な分野・製品、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体素子の被覆膜、電子部品、層間絶縁膜、ソルダーレジストなどのプリント配線板の被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の形成材料として好適に用いられる。
【0061】
特に、本発明のドライフィルムは、主にパターン形成材料(レジスト)として用いられ、それによって形成されたパターン膜は、ポリベンゾオキサゾールからなる永久膜として耐熱性や絶縁性を付与する成分として機能し、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体素子の被覆膜、層間絶縁膜、ソルダーレジストやカバーレイ膜などのプリント配線板の被覆膜、ソルダーダム、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材を形成することに適している。
【実施例0062】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例や比較例によって制限されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0063】
(ポリベンゾオキサゾール(PBO)前駆体の合成)
攪拌機および温度計を備えた0.5Lのフラスコ中にN-メチルピロリドン212gを仕込み、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシアミドフェニル)ヘキサフルオロプロパン28.00g(76.5mmol)を撹拌溶解した。その後、フラスコを氷浴に浸し、フラスコ内を0~5℃に保ちながら、4,4-ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリド25.00g(83.2mmol)を固体のまま5gずつ30分間かけて加え、氷浴中で30分間撹拌した。その後、室温で5時間撹拌を続けた。撹拌した溶液を1Lのイオン交換水(比抵抗値18.2MΩ・cm)に投入し、析出物を回収した。その後、得られた固体をアセトン420mLに溶解させ、1Lのイオン交換水に投入した。析出した固体を回収後、減圧乾燥して、カルボキシル基末端を有し下記の繰り返し構造を有するポリベンゾオキサゾール(PBO)前駆体A1を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体A1の数平均分子量(Mn)は12,900、重量平均分子量(Mw)は29,300、Mw/Mnは2.28であった。
【0064】
【0065】
下記表中に示す配合に従い、各実施例および比較例のポジ型感光性樹脂組成物のワニスを調製した。(A)PBO前駆体としては、上記で合成したベンゾオキサゾール前駆体を用いた。
【0066】
このポジ型感光性樹脂組成物を、粘度0.5~20dPa・s(回転粘度計5rpm、25℃)になるように溶剤の量を調整して、バーコーターを用いて、樹脂層の厚さが乾燥後15μmになるように支持フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム;東洋紡(株)製TN-200、厚さ38μm、大きさ30cm×30cm)上に塗布した。次いで、熱風循環式乾燥炉にて樹脂層の残留溶剤が0.5~17.5質量%となるように70~90℃(平均80℃)にて10~20分間乾燥し、支持フィルム上に樹脂層を形成して、ポジ型感光性ドライフィルムを作製した。
【0067】
[現像速度評価]
(1)ドライフィルムの樹脂層を、Siウエハに対して、真空ラミネーター(CVP-600,ニッコーマテリアルズ社製,チャンバー温度:90℃)を用いてラミネートし、評価膜を準備した。
(2)得られた評価膜の一部について、露光量500mJ/cm2で露光を行った。
(3)露光した評価膜および未露光の評価膜を1wt% NaOH水溶液に20秒間浸漬し、振動させながら現像した。
(4)現像前後の膜厚から1秒当たりの現像速度[nm/s]を求め、溶解速度比(未露光部現像速度/露光部現像速度)を算出して、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0068】
(評価基準)
〇:溶解速度比が2.5以上である場合。
△:溶解速度比が2以上、2.5未満である場合。
×:溶解速度比が2未満である場合。
【0069】
[ラミネート密着性評価]
(1)リン酸水溶液にて表面処理した銅張積層板に対して、ドライフィルムの樹脂層を現像速度評価と同様にしてラミネートし、評価サンプルを準備した。
(2)1時間静置後、評価サンプルから支持フィルム(PETフィルム)を静かに剥がした。
(3)PETフィルム上への樹脂層の残膜量を面積比率で評価して、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0070】
(評価基準)
◎:PETフィルム上への残膜量が0%である場合。
〇:PETフィルム上への残膜量が1%~10%である場合。
△:PETフィルム上への残膜量が11%~20%である場合。
×:PETフィルム上への残膜量が21%以上である場合。
【0071】
[パターニング性評価]
(1)ドライフィルムの樹脂層を、6インチSiウエハに対して、現像速度評価と同様にしてラミネートし、評価膜を準備した。
(2)1時間静置後、評価膜から支持フィルム(PETフィルム)を静かに剥がした。
(3)得られた評価膜について、コンタクト露光機を用いて、露光量500mJ/cm2でパターン露光を行った。
(4)露光後の評価膜を、1wt% NaOH水溶液に、露光部の膜厚が0μmになるまで浸漬し、パターンを現像した。
(5)得られたパターンを走査電子顕微鏡(SEM)により観察して、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0072】
(評価基準)
◎◎:ライン6μm以上10μm未満、ビアΦ6μm以上10μm未満がともに形成可能である場合。
◎:ライン10μm以上20μm未満、ビアΦ10μm以上20μm未満がともに形成可能である場合。
〇:ライン10μm以上20μm未満またはビアΦ10μm以上20μm未満のどちらかが形成可能である場合。
△:20μm以上のラインまたはビアのみが形成可能である場合。
×:パターンが観察不可能(コントラスト不足または膜がSiウエハから剥離した状態)である場合。
【0073】
[熱特性評価]
(1)ポジ型感光性樹脂組成物のワニスを、銅箔上に150~200μmのギャップで塗工した。
(2)得られた塗膜を、80℃で20分間乾燥した。
(3)乾燥後の塗膜を、大気中で、10分間で150℃まで昇温し、150℃で30分間保持した後、14分間で220℃まで昇温し、220℃で1時間保持することにより、硬化させた。
(4)得られた硬化膜を銅箔から剥離し、TMA測定によりガラス転移温度Tgを測定して、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0074】
(評価基準)
〇:ガラス転移温度Tg(℃)が200℃以上である場合。
×:ガラス転移温度Tg(℃)が200℃未満である場合。
【0075】
[現像時膜濁り評価]
(1)ドライフィルムの樹脂層を、6インチSiウエハに対して、現像速度評価と同様にしてラミネートし、評価膜を準備した。
(2)1時間静置後、評価膜から支持フィルム(PETフィルム)を静かに剥がした。
(3)得られた評価膜を、1wt% NaOH水溶液に60秒間浸漬した。
(4)浸漬後の評価膜について、膜表面の濁りを目視で観察して、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0076】
(評価基準)
〇:濁りが見られない場合。
×:濁りが観察された場合。
【0077】
[現像時膨潤評価]
(1)ドライフィルムの樹脂層を、6インチSiウエハに対して、現像速度評価と同様にしてラミネートし、評価膜を準備した。
(2)1時間静置後、評価膜から支持フィルム(PETフィルム)を静かに剥がした。
(3)得られた評価膜を、1wt% NaOH水溶液に60秒間浸漬した。
(4)浸漬後の評価膜を、イオン交換水で洗浄し、エアーブロアーで水分を除去した。
(5)エアーブロアー使用時に、膜形状の変化を目視で観察して、以下の評価基準に従い評価を行った。
【0078】
(評価基準)
〇:膜形状に変化は観測されず、膨潤していないと判断された場合。
×:膜形状に変化を観測し、膨潤していると判断された場合。
【0079】
これらの結果を、下記の表中に併せて示す。
【0080】
【0081】
*1)DIC(株)製、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量約104g/eq.、軟化点約80℃、Mw/Mn=2.08、Mw=1,200
*2)DIC(株)製、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量約105g/eq.、軟化点約120℃、Mw/Mn=7.87、Mw=10,418
*3)DIC(株)製、クレゾールノボラック樹脂、水酸基当量約117g/eq.、軟化点約85℃、Mw/Mn=1.86、Mw=850
*4)DIC(株)製、クレゾールノボラック樹脂、水酸基当量約119g/eq.、軟化点約124℃、Mw/Mn=2.16、Mw=2,300
*5)明和化成(株)製、フェノールノボラック樹脂、水酸基当量約106g/eq.、軟化点約84℃、Mw/Mn=1.31、Mw=1,900
*6)JFEケミカル(株)製、トリスフェノールメタン樹脂、水酸基当量約203g/eq.、軟化点約70℃、Mw/Mn=1.33、Mw=541
*7)DIC(株)製、ナフタレン型エポキシ樹脂、官能基当量約165g/eq.、軟化点約90℃、Mw/Mn=1.69、Mw=865
*8)(株)三宝化学研究所製、ナフトキノンジアジド化合物、生成されるカルボキシル基当量約383g/eq
*9)(株)三和ケミカル製、ニカラックMW-390、ヘキサメトキシメチルメラミン
*10)DIC(株)製、4-t-ブチルカテコール
*11)BYK Additives & Instruments社製 表面調整剤
【0082】
【0083】
上記表中に示す結果から、(A)ポリベンゾオキサゾール前駆体と、(B)フェノール樹脂と、(C)ジアゾナフトキノン誘導体と、(D)メチロール基および/またはメトキシ基を2官能以上含む化合物とを含み、(B)フェノール樹脂が所定の物性および含有量を満足する本発明のポジ型感光性ドライフィルムは、フォトリソグラフィによるパターニングが可能であって、フィルム化した際に適切な加熱温度により軟化性および基材への密着性を示し、適度な現像速度を有するとともに、熱特性(Tg)に優れた絶縁膜が得られるものであることが明らかである。