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特開2023-149556薄膜及びその製造方法、熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ並びに磁気センサ
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  • 特開-薄膜及びその製造方法、熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ並びに磁気センサ 図1
  • 特開-薄膜及びその製造方法、熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ並びに磁気センサ 図2
  • 特開-薄膜及びその製造方法、熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ並びに磁気センサ 図3
  • 特開-薄膜及びその製造方法、熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ並びに磁気センサ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149556
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】薄膜及びその製造方法、熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ並びに磁気センサ
(51)【国際特許分類】
   H10N 15/20 20230101AFI20231005BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20231005BHJP
   H10B 61/00 20230101ALI20231005BHJP
   H01F 10/16 20060101ALI20231005BHJP
   C23C 14/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L37/04
H01L43/08 M
H01L27/105 447
H01F10/16
C23C14/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058190
(22)【出願日】2022-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「トポロジカル機能界面の創出」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100154391
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康義
(72)【発明者】
【氏名】塚▲崎▼ 敦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏平
(72)【発明者】
【氏名】須▲崎▼ 友文
(72)【発明者】
【氏名】水野 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】深堀 明博
【テーマコード(参考)】
4K029
4M119
5E049
5F092
【Fターム(参考)】
4K029AA04
4K029AA24
4K029BA24
4K029BA46
4K029BB02
4K029BC06
4K029BD11
4K029CA01
4K029CA05
4K029DB20
4K029DC15
4K029DC35
4K029DC39
4K029EA08
4K029FA06
4K029GA01
4M119AA19
4M119BB00
4M119BB20
4M119JJ03
4M119JJ09
5E049AA01
5E049AA04
5E049AA07
5E049BA06
5E049BA16
5E049BA30
5E049GC01
5F092AA20
5F092AB01
5F092AB06
5F092AB10
5F092AC04
5F092BE02
5F092BE13
5F092BE25
5F092CA02
5F092CA25
(57)【要約】
【課題】優れた熱電変換性能及び磁場応答性を有するホイスラー合金の薄膜、その薄膜の製造方法、並びにその薄膜を用いた熱電変換素子、磁気抵抗効果素子及び磁気センサを提供する。
【解決手段】本発明の薄膜は、所定の2種のホイスラー合金を少なくとも含有する混晶を含む。本発明の熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及び磁気センサは本発明の薄膜を用いたものである。本発明の薄膜の製造方法はレーザーアブレーション法及びスパッタリング法のいずれか1つの方法により薄膜を形成する薄膜形成工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるホイスラー合金と下記一般式(2)で表されるホイスラー合金とを少なくとも含有する混晶を含む薄膜。
(Z 1-x ) (1)
式(1)中、XはCo、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Zは、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Al、Ga、In、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、xは0以上1以下の数値である。
(Z 1-y ) (2)
式(2)中、XはCo、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Zは、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Al、Ga、In、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、yは0以上1以下の数値であり、YはYと異なるか、又はZはZと異なるか、又はY及びZはY及びZとそれぞれ異なる。
【請求項2】
前記一般式(1)で表されるホイスラー合金及び前記一般式(2)で表されるホイスラー合金はCo基フルホイスラー合金である請求項1に記載の薄膜。
【請求項3】
前記一般式(1)で表されるホイスラー合金は、下記一般式(3)で表されるホイスラー合金であり、前記一般式(2)で表されるホイスラー合金は、下記一般式(4)で表されるホイスラー合金である請求項1又は2に記載の薄膜。
CoFe3-m(Z 1-n ) (3)
式(3)中、Zは、Si、Ge及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、mは0以上3以下の数値であり、nは0以上1以下の数値である。
CoFe3-t(Z 1-u ) (4)
式(4)中、Zは、Si、Ge及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、tは0以上3以下の数値であり、uは0以上1以下の数値であり、tはmと異なるか、又はuはnと異なるか、又はt及びuはm及びnとそれぞれ異なる。
【請求項4】
前記混晶が強磁性体又は反強磁性体である請求項1~3のいずれか1項に記載の薄膜。
【請求項5】
前記混晶は、前記一般式(1)で表されるホイスラー合金及び前記一般式(2)で表されるホイスラー合金以外のホイスラー合金をさらに含む請求項1~4のいずれか1項に記載の薄膜。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の薄膜を用いた熱電変換素子。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の薄膜を用いた磁気抵抗効果素子。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の薄膜を用いた磁気メモリ。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載の薄膜を用いた磁気センサ。
【請求項10】
レーザーアブレーション法及びスパッタリング法のいずれか1つの方法により薄膜を形成する薄膜形成工程を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の薄膜の製造方法。
【請求項11】
前記薄膜形成工程は、スパッタリング法により薄膜を形成する請求項10に記載の薄膜の製造方法。
【請求項12】
前記薄膜形成工程は、加熱した基板の上に前記薄膜を形成する請求項11に記載の薄膜の製造方法。
【請求項13】
前記薄膜形成工程における基板の加熱温度よりも高い温度で前記基板の上に形成した薄膜を熱処理するポストアニール工程をさらに含む請求項12に記載の薄膜の製造方法。
【請求項14】
前記ポストアニール工程における熱処理温度は400~800℃である請求項13に記載の薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイスラー合金の薄膜及びその製造方法、並びに、その薄膜を用いた熱電変換素子、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及び磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁性体に電流を流した場合、電流と磁化の外積方向には異常ホール効果による電界が生じるが、磁性体に熱流を流した場合、磁化と温度勾配の外積方向に異常ネルンスト効果により、電界が生じる。このような異常ネルンスト効果を利用することにより、例えば、ゼーベック効果に基づく発電よりも簡便な構成で発電モジュールの大面積化が可能となり、大面積熱源からの効率的な熱回収を実現することができる。このような異常ネルンスト効果を有する物質としてホイスラー合金が知られている。例えば、CoMnGa等に代表されるホイスラー合金が大きな異常ネルンスト効果を室温で示すことが実験と理論の両面から実証されている(非特許文献1参照)。そして、ホイスラー合金は、熱電発電素子、磁気ペルチェ素子、熱流センサ等への応用が期待されている。
【0003】
また、ホイスラー合金の多くは高いスピン偏極率を有するため、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ、磁気センサ等への応用も期待されている。
【0004】
例えば、CoFeSn、CoFeSi等のホイスラー合金は、理論上は大きな異常ネルンスト効果を有し、これにより、優れた磁気熱電変換性能を有することが予測されている(非特許文献1参照)。しかし、これらのホイスラー合金では、実際には、理論値ほど大きな異常ネルンスト効果は現れていない。異常ネルンスト効果によるホイスラー合金の磁気熱電変換性能を向上させる方法としては、例えば、ホイスラー合金のフェルミエネルギーを制御する方法が挙げられる。しかし、非特許文献1では、ホイスラー合金の具体的なフェルミエネルギーの制御方法は明らかにされていない。
【0005】
混晶材料として、CoFe0.4Mn0.6Si、CoFeGa0.5Ge0.5等のホイスラー合金薄膜が報告されている(特許文献1)。しかし、ホイスラー合金のフェルミエネルギーをリジッドバンド的に制御することで混晶材料のホイスラー合金の磁気熱電変換性能を向上させたという報告はない。なお、リジッドバンド的制御とは、混晶材料を構成する合金の混合比が変わったとしても、混合比率の最も高い母相のバンド構造や状態密度の形は固定して不変であると考え、混晶材料を構成する合金の混合比の変化による電子数の変化によって、混晶材料のフェルミエネルギーを制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-134520号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Jonathan Noky, Yang Zhang, Johannes Gooth, Claudia Felser & Yan Sun,「Giant anomalous Hall and Nernst effect in magnetic cubic Heusler compounds」,npj Computational Materials volume 6, Article number: 77 (2020),インターネット<https://doi.org/10.1038/s41524-020-0342-5>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ホイスラー合金の混晶化によりホイスラー合金のフェルミエネルギーをリジッドバンド的に制御することで、優れた熱電変換性能及び優れた磁場応答性を有するホイスラー合金の薄膜、その薄膜の製造方法、並びにその薄膜を用いた熱電変換素子、磁気抵抗効果素子及び磁気センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定のホイスラー合金の混晶を含む薄膜がフェルミエネルギーをリジッドバンド的に制御できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の要旨は、次の<1>~<14>のとおりである。
<1>下記一般式(1)で表されるホイスラー合金と下記一般式(2)で表されるホイスラー合金とを少なくとも含有する混晶を含む薄膜。
(Z 1-x ) (1)
式(1)中、XはCo、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Zは、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Al、Ga、In、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、xは0以上1以下の数値である。
(Z 1-y ) (2)
式(2)中、XはCo、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Zは、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Al、Ga、In、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、yは0以上1以下の数値であり、YはYと異なるか、又はZはZと異なるか、又はY及びZはY及びZとそれぞれ異なる。
<2>前記一般式(1)で表されるホイスラー合金及び前記一般式(2)で表されるホイスラー合金はCo基フルホイスラー合金である<1>に記載の薄膜。
<3>前記一般式(1)で表されるホイスラー合金は、下記一般式(3)で表されるホイスラー合金であり、前記一般式(2)で表されるホイスラー合金は、下記一般式(4)で表されるホイスラー合金である<1>又は<2>に記載の薄膜。
CoFe3-m(Z 1-n ) (3)
式(3)中、Zは、Si、Ge及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、mは0以上3以下の数値であり、nは0以上1以下の数値である。
CoFe3-t(Z 1-u ) (4)
式(4)中、Zは、Si、Ge及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、tは0以上3以下の数値であり、uは0以上1以下の数値であり、tはmと異なるか、又はuはnと異なるか、又はt及びuはm及びnとそれぞれ異なる。
<4>前記混晶が強磁性体又は反強磁性体である<1>~<3>のいずれか1つに記載の薄膜。
<5>前記混晶は、前記一般式(1)で表されるホイスラー合金及び前記一般式(2)で表されるホイスラー合金以外のホイスラー合金をさらに含む<1>~<4>のいずれか1つに記載の薄膜。
<6><1>~<5>のいずれか1つに記載の薄膜を用いた熱電変換素子。
<7><1>~<5>のいずれか1つに記載の薄膜を用いた磁気抵抗効果素子。
<8><1>~<5>のいずれか1つに記載の薄膜を用いた磁気メモリ。
<9><1>~<5>のいずれか1つに記載の薄膜を用いた磁気センサ。
<10>レーザーアブレーション法及びスパッタリング法のいずれか1つの方法により薄膜を形成する薄膜形成工程を含む<1>~<5>のいずれか1項に記載の薄膜の製造方法。
<11>前記薄膜形成工程は、スパッタリング法により薄膜を形成する<10>に記載の薄膜の製造方法。
<12>前記薄膜形成工程は、加熱した基板の上に前記薄膜を形成する<11>に記載の薄膜の製造方法。
<13>前記薄膜形成工程における基板の加熱温度よりも高い温度で前記基板の上に形成した薄膜を熱処理するポストアニール工程をさらに含む<12>に記載の薄膜の製造方法。
<14>前記ポストアニール工程における熱処理温度は400~800℃である<13>に記載の薄膜の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、優れた熱電変換性能及び優れた磁場応答性を有するホイスラー合金の薄膜、その薄膜の製造方法、並びにその薄膜を用いた熱電変換素子、磁気抵抗効果素子及び磁気センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ホールバー(Hall bar)構造を説明するための図である。
図2図2は、実施例1、実施例2、実施例5及び実施例6のX線回折パターンの測定結果を示す図である。
図3図3は、実施例1~6の薄膜における、格子体積、格子定数、(002)面のピーク強度及び(111)面のピーク強度を示す図である。
図4図4は、実施例7~11のホール伝導度、電気伝導度、ホール角の正接、飽和磁化、異常ネルンスト係数及びゼーベック係数の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[薄膜]
本発明の薄膜は、下記一般式(1)で表されるホイスラー合金と下記一般式(2)で表されるホイスラー合金とを少なくとも含有する混晶を含む。
(Z 1-x ) (1)
式(1)中、XはCo、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Zは、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Al、Ga、In、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、xは0以上1以下の数値である。
(Z 1-y ) (2)
式(2)中、XはCo、Fe及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Zは、Si、Ge、Sn及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Al、Ga、In、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、yは0以上1以下の数値であり、YはYと異なるか、又はZはZと異なるか、又はY及びZはY及びZとそれぞれ異なる。
【0014】
上記混晶が、さらに均一な結晶となるために、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金及び上記一般式(2)で表されるホイスラー合金は、互いに結晶構造が類似し、ホイスラー合金を構成するイオンのイオン半径あるいは原子の原子半径に大きな差がないことが好ましい。
【0015】
本発明の薄膜は、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金と上記一般式(2)で表されるホイスラー合金とを少なくとも含有する混晶を含む単膜を表す。
用途や製造方法に応じて適宜、他の層を本発明の薄膜の上に設けてもよい。他の層には、例えば、SiO、MgO、Al、HfO、有機絶縁膜パリレン、半絶縁性の半導体、フッ化物などのイオン性結晶AFおよびAEF(Aはアルカリ金属元素を表し、AEはアルカリ土類金属元素を表す)等の薄膜酸化防止層、あるいは本発明の薄膜の磁気異方性を素子設計上好ましい状態に制御あるいは維持するための層などが挙げられる。
【0016】
一般式(1)で表されるホイスラー合金及び一般式(2)で表されるホイスラー合金は、それぞれCo基フルホイスラー合金であることが好ましく、一般式(1)で表されるホイスラー合金は、下記一般式(3)で表されるホイスラー合金であり、一般式(2)で表されるホイスラー合金は、下記一般式(4)で表されるホイスラー合金であることがより好ましい。
CoFe3-m(Z 1-n ) (3)
式(3)中、Zは、Si、Ge及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、mは0以上3以下の数値であり、nは0以上1以下の数値である。
CoFe3-t(Z 1-u ) (4)
式(4)中、Zは、Si、Ge及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Aは、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、tは0以上3以下の数値であり、uは0以上1以下の数値であり、tはmと異なるか、又はuはnと異なるか、又はt及びuはm及びnとそれぞれ異なる。
【0017】
薄膜の異常ネルンスト効果及び異常ホール効果のうちの少なくとも一方の効果を改善するという観点から、上記一般式(3)で表されるホイスラー合金及び上記一般式(4)で表されるホイスラー合金は、電子バンド中にベリー曲率が大きくなる特異点をもつワイル半金属や線ノード半金属の特性を有するフルホイスラー合金であることが好ましい。
【0018】
上記一般式(3)で表されるホイスラー合金及び上記一般式(4)で表されるホイスラー合金の結晶構造は、特に限定されない。上記一般式(3)で表されるホイスラー合金及び上記一般式(4)で表されるホイスラー合金の結晶構造には、例えば、A2構造、B2構造、L2構造等が挙げられる。これらの結晶構造の中で、計算による性能予測の容易さ、及び製造時の製品物性の安定性の観点から、L2構造が好ましい。なお、ホイスラー合金を「STU」で表した場合、ホイスラー合金のL2構造は、岩塩構造のナトリウムと塩素イオンの位置をT原子及びU原子が占め、それぞれのオクタントの中心にS元素が位置する単位格子で表すことができる。そして、T原子が立方格子の各面の中心と隅を、U原子が立方の中心と稜の中心を、S原子がオクタントの中心を占める。また、ホイスラー合金のB2構造は、L2構造に対してT原子及びU原子の占める位置がランダムになる。さらに、ホイスラー合金のA2構造は、L2構造に対してS原子、T原子及びU原子の占める位置がランダムになる。
【0019】
なお、ホイスラー合金の混晶の薄膜のフェルミエネルギーを制御することにより、ホイスラー合金の混晶のフェルミエネルギー近傍の電子バンドのベリー曲率を増大させることができ、これにより、異常ネルンスト効果及び異常ホール効果の少なくとも一方の効果を改善することができると考えられる。その結果、ホイスラー合金の混晶の薄膜の熱電変換性能又は磁場応答性が改善されると考えられる。
【0020】
上記一般式(1)で表されるホイスラー合金の含有量は、混晶のフェルミエネルギー近傍の電子バンドのベリー曲率を最大もしくは最大値近傍まで増大させることができれば、特に限定されない。例えば、薄膜の異常ネルンスト効果及び異常ホール効果を改善するという観点から、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金の含有量は、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金と上記一般式(2)で表されるホイスラー合金の物質量の合計を100物質量部とした時に、好ましくは50~99物質量部であり、より好ましくは60~90物質量部であり、さらに好ましくは70~80物質量部である。
【0021】
また、上記一般式(2)で表されるホイスラー合金の含有量は、混晶のフェルミエネルギー近傍の電子バンドのベリー曲率を最大もしくは最大値近傍まで増大させることができれば、特に限定されない。例えば、薄膜の異常ネルンスト効果及び異常ホール効果の少なくとも一方の効果を改善するという観点から、上記一般式(2)で表されるホイスラー合金の含有量は、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金と上記一般式(2)で表されるホイスラー合金との含有量の物質量の合計を100物質量部とした時に、好ましくは1~50物質量部であり、より好ましくは10~40物質量部であり、さらに好ましくは20~30物質量部である。
【0022】
上記混晶は、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金及び上記一般式(2)で表されるホイスラー合金以外のホイスラー合金をさらに含んでもよい。この場合、薄膜の異常ネルンスト効果及び異常ホール効果の少なくとも一方の効果を改善するという観点から、上記混晶中の上記一般式(1)で表されるホイスラー合金と上記一般式(2)で表されるホイスラー合金との合計は、好ましくは50~100質量%であり、より好ましくは65~100質量%であり、さらに好ましくは80~100質量%である。
【0023】
本発明の薄膜は混晶以外の成分を含んでいてもよい。混晶以外の成分としては、ポリマー、半導体、絶縁体、カーボンブラックなどの炭素材料、金属単体、合金、金属酸化物、磁性体等が挙げられる。混晶以外の成分を含む形態としては、通常の複合体でもよいし、交互積層の状態でもよく、棒状での積層状態でもよい。
薄膜の異常ネルンスト効果及び異常ホール効果の少なくとも一方の効果を改善するという観点から、薄膜中の上記混晶の割合は、好ましくは60~100質量%であり、より好ましくは70~100質量%であり、さらに好ましくは80~100質量%である。
【0024】
本発明の薄膜は優れた異常ネルンスト効果を有し、これにより優れた熱電変換性能を有するので、熱電変換素子に、好適に使用することができる。また、本発明の薄膜は、優れた異常ネルンスト効果に加えて、優れた異常ホール効果を有し、さらに、高いスピン偏極率を有することが理論的に期待され、これにより優れた磁場応答性を有すると考えられるので、磁気抵抗効果素子、磁気メモリ及び磁気センサに、好適に使用することができる。
【0025】
[薄膜の製造方法]
本発明の薄膜の製造方法は、レーザーアブレーション法及びスパッタリング法のいずれか1つの方法により薄膜を形成する薄膜形成工程を含む。レーザーアブレーション法とは、真空中で堆積材料の原料(ターゲット)にパルスレーザーを照射して、原子・分子・クラスターに分解・気化することで、基板上に堆積させる方法である。また、スパッタリング法とは、減圧下でイオン化したガスを堆積材料に衝突させ、原子・分子・クラスターに分解・気化することで、堆積材料の原料(ターゲット)を基板上に堆積させる方法である。これらの方法により,本発明の薄膜を容易に形成することができる。これらの方法の中で、大面積化への対応が容易で量産に適していることからスパッタリング法が好ましい。
【0026】
薄膜形成工程で実施するスパッタリング法で使用するターゲットは、目的の組成の薄膜を得ることができれば、特に限定されない。スパッタリング法で使用するターゲットには、例えば、薄膜の材料を合金化した合金ターゲット、薄膜の各成分の短冊状の小片をモザイク状に組み合わせたモザイクターゲット等が挙げられる。これらのターゲットの中でモザイクターゲットは準備が容易であり、組成の微調整も容易であるので好ましい。
【0027】
薄膜形成工程で薄膜を形成するときに雰囲気は特に限定されない。例えば、アルゴン(Ar)ガス中で薄膜を形成することができる。この場合、アルゴンガスの圧力は0.1~10Paであることが好ましい。
【0028】
混晶を含む薄膜は、例えば、上記一般式(1)で表されるホイスラー合金の薄膜を形成するためのターゲットと、上記一般式(2)で表されるホイスラー合金の薄膜を形成するためのターゲットを同時に、もしくは別々にスパッタリングすることにより混晶を含む薄膜を形成することができる。上記の薄膜形成は、高温で実施しても良いし、低温で実施した後にポストアニールしても良い。
【0029】
薄膜形成工程では、加熱した基板の上に薄膜を形成することが好ましい。薄膜形成工程で使用する基板は、例えばMgO(001)基板である。成膜する前に1気圧の酸素ガスを流しながら800~1000℃の温度でMgO基板をアニールし、10-4~10-2Paの減圧下で700~900℃の温度でMgO基板をさらにアニールしてもよい。成膜中に基板を加熱するときの温度は、特に限定されないが、好ましくは50~250℃であり、より好ましくは100~200℃である。
【0030】
本発明の薄膜の製造方法は、薄膜形成工程における基板の加熱温度よりも高い温度で基板の上に形成した薄膜を熱処理するポストアニール工程をさらに含んでもよい。これにより、L2構造を有する薄膜を容易に形成することができる。ポストアニール工程における熱処理温度は、好ましくは400~800℃であり、より好ましくは550~800℃である。また、ポストアニール工程における熱処理時間は、好ましくは0.5~5時間であり、より好ましくは0.5~1.5時間である。
【実施例0031】
以下、本発明について、実施例及び比較例により、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
以下の様にして、実施例1~6の薄膜を作製した。
[実施例1]
薄膜を堆積させる前に、1気圧の酸素ガスのフローの下、900℃の温度でMgO(001)基板をアニールし、その後、1×10-3Pa程度のベース圧力のスパッタリングチャンバー内で800℃の温度でMgO(001)基板をアニールした。アニール後のMgO(001)基板の温度を150℃の温度に設定した。そして、分圧が0.5Paであるアルゴンガス中で、Co、Fe及びSnの金属の短冊状の小片をモザイク状に組み合わせたモザイクターゲットを用いてRFマグネトロンスパッタリング装置(株式会社エイコー製、商品名「スパッタリング装置ES-250」)を使用して、MgO基板の上に、CoFeSn膜を堆積した。MgO基板のサイズは、10mm×10mm×厚み0.5mmとした。さらに、高温でのアニール時の再蒸発を抑制するために、スパッタリング法により、CoFeSn膜の上にSiO層を形成して実施例1の薄膜を作製した。X線反射率測定によりCoFeSn膜およびSiO層の厚みを求め、それぞれの堆積条件における成膜レートを決定した。本実施例では、それぞれの成膜レートに基づいて、CoFeSn膜の厚みを約100nm、SiO層の厚みを約50nmと設定した。
【0033】
[実施例2]
実施例1のCoFeSn膜を用いて、400℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0034】
[実施例3]
実施例2のCoFeSn膜を用いて、500℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0035】
[実施例4]
実施例3のCoFeSn膜を用いて、600℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0036】
[実施例5]
実施例4のCoFeSn膜を用いて、700℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0037】
[実施例6]
実施例5のCoFeSn膜を用いて、800℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0038】
以下の評価を実施した。
(薄膜の化学組成)
薄膜の化学組成は、エネルギー分散X線分光法により測定した。
【0039】
(薄膜の結晶構造)
薄膜の結晶構造は、Cu Kα線を用いてX線回折法(XRD)により測定した。
【0040】
実施例1(薄膜のアニールなし、As-grown)、実施例2(薄膜のアニールの最高温度(T)が400℃、Ta=400℃)、実施例5(薄膜のアニールの最高温度(T)が700℃、Ta=700℃)、及び実施例6(薄膜のアニールの最高温度(T)が800℃、Ta=800℃)のX線回折パターンの測定結果を図2に示す。また、X線回折パターンの測定結果から求めた実施例1~6の薄膜における、格子体積、格子定数、(002)面のピーク強度及び(111)面のピーク強度を図3に示す。アニールの最高温度をおよそ600~700℃にすると、(111)面のピーク強度が高くなることから、アニールの最高温度をおよそ600~700℃にすることにより、薄膜の結晶構造をB2構造からより規則的な構造であるL2構造に変更できることがわかった。
【0041】
実施例1~6の薄膜のアニールの最高温度(T)、組成、及びX線回折パターンの(002)面のピーク強度(I(002))に対する(111)面のピーク強度(I(111))の強度比(I(111)/I(002))を表1に示す。この表1からも、ピーク強度比(I(111)/I(002))の結果から、薄膜のアニールの最高温度をおよそ600~700℃にすることにより、薄膜の結晶構造をB2構造からL2構造に変更できることがわかった。
【0042】
【表1】
【0043】
以下の様にして、実施例7~11の薄膜を作製した。
[実施例7]
MgO基板のサイズを、5mm×10mm×厚み0.5mmとした以外は、実施例1と同様にしてCoFeSn膜を形成した。
【0044】
[実施例8]
MgO基板のサイズを、5mm×10mm×厚み0.5mmとした以外は、実施例1と同様にしてCoFeSn膜を形成した後、400℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0045】
[実施例9]
MgO基板のサイズを、5mm×10mm×厚み0.5mmとした以外は、実施例1と同様にしてCoFeSn膜を形成した後、600℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0046】
[実施例10]
MgO基板のサイズを、5mm×10mm×厚み0.5mmとした以外は、実施例1と同様にしてCoFeSn膜を形成した後、700℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0047】
[実施例11]
MgO基板のサイズを、5mm×10mm×厚み0.5mmとした以外は、実施例1と同様にしてCoFeSn膜を形成した後、800℃の温度で1時間アニールを実施した。
【0048】
以下の評価を実施した。
〈薄膜の抵抗率テンソルの測定〉
フォトリソグラフィ及びArイオンミリングによって、得られた薄膜をホールバー(Hall bar)構造(図1参照)にパターン化してサンプルを作製した。そして、小型無冷媒型物理特性測定装置(Quantum Design, Inc.製、商品名「VersaLab」)を使用して、サンプルの電気及び熱輸送測定を行った。サンプルは、熱浴(クールサイド)として機能する熱伝導銅ブロックと銅の天板(ホットサイド)と接続した断熱ブロックとの間にブリッジ状に取り付けた。2つのブロックにサンプルを固定するために銀ペーストを用いた。断熱ブロックの銅の天板には、約50Ωの抵抗器を設置した。抵抗器をヒーターとして用い、温度勾配を発生させた。なお、測定中、低温側は約302Kの温度に保った。このサンプルを使用して、電流方向(図1のx方向)に生じる電位差(Vxx)、ホール効果による、電流に直交した方向(図1のy方向)の電位差(Vyx)を測定し、サンプルの2次元系の抵抗率テンソルの各成分(ρxx、ρxy、ρyx、ρyy)を算出した。なお、ρxx及びρyyは電気抵抗率であり、ρxy及びρyxはホール抵抗率である。ホール抵抗率(ρyx)は、下記の式に示すように、磁場の大きさ(H)と磁化の大きさ(M)に比例する2つの項の和で表すことができる。
ρyx=RM+Rμ
式中、Rは異常ホール係数であり、Rは通常のホール係数であり、μは真空の透磁率である。なお、磁場は面垂直に印加された。
【0049】
サンプル上のいくつかの点の温度(T)は、同じ基板上のサンプルの評価部分の近くにスパッタによって形成したPt/Ti二層膜(通常の膜厚は50nm/5nm)による抵抗温度計を用いて観測した。温度(T)に対する抵抗温度特性は、温度勾配を発生させない条件で個別に測定した。
【0050】
(薄膜の化学組成)
薄膜の化学組成は、エネルギー分散X線分光法により測定した。
【0051】
(ホール伝導度)
ホール伝導度は、下記の式から算出した。
ホール伝導度(σxy)=ρyx/(ρxx +ρyx
【0052】
(電気伝導度)
電気伝導度は、下記の式から算出した。
電気伝導度(σxx)=ρxx/(ρxx +ρyx
【0053】
(ホール角の正接)
ホール角の正接は、下記の式から算出した。
ホール角の正接=σxy/σxx
【0054】
(磁化)
磁化(M)測定は、上記小型無冷媒型の振動サンプル磁力計ユニットを用いて行った。サンプルの磁化は、MgO基板の反磁性成分を差し引いて算出した。そして、2Tから3Tまでの磁場で測定した磁化の平均値を飽和磁化(Msat)とした。
【0055】
(異常ネルンスト係数)
異常ネルンスト係数は、下記の式から算出した。なお、異常ネルンスト係数はフェルミエネルギー付近の占有バンドと占有されていないバンドのベリー曲率から生じる異常ネルンスト効果の大きさに相関する。
異常ネルンスト係数(Sxy)=(Vxy/ΔT)×(L/W)
式中、Vxyは電流に直交した方向(y方向)の電位差であり、ΔTは、x方向のL(=4mm)の間の温度差であり、Wは、温度差方向と直交する方向(y方向)の電圧(Vxy)を測定した2点間の距離である。なお、Vxyは2T及び3Tの磁場下で、ΔT=3~4Kとなる条件でそれぞれ測定し、得られた値の平均値から算出した。
【0056】
(ゼーベック係数)
ゼーベック係数は、下記の式から算出した。なお、ゼーベック係数はフェルミエネルギーの状態密度のエネルギー微分に比例する。
ゼーベック係数(Sxx)=-Vxx/ΔT
式中、Vxxは電流方向(x方向)に生じる電位差であり、ΔTは、x方向のL(=4mm)の間の温度差である。
【0057】
実施例7~11の薄膜のホール伝導度(σxy)、電気伝導度(σxx)、ホール角の正接(σxy/σxx)、飽和磁化(Msat)、異常ネルンスト係数(Sxy)及びゼーベック係数(Sxx)の結果を図4に示す。図4から、室温で堆積した直後の実施例7の薄膜が最も磁気熱電能が高く、アニール温度を高くするにつれて薄膜の磁気熱電能が低下していくことが分かった。同様に、ホール効果を用いた磁気センサにおける、磁場を電気的に検出する際の出力電力の指標となるホール角の正接も、アニール温度を高くするにつれて低下していくことがわかった。
【0058】
実施例7~11の薄膜のアニール温度(T)、組成、異常ネルンスト係数(Sxy)及びホール伝導度(σxy)を表1に示す。なお、ホール伝導度は磁場が2.5Tのときの値である。薄膜のアニール温度を高くするにつれて薄膜の磁気熱電能が低下していくことも分かった。そして、700℃の温度でアニールした薄膜では、ホール伝導度(σxy)が理論値(49S/cm)に近くなっており、リジッドバンド制御による異常ネルンスト効果及び異常ホール効果の増大に適した試料が得られた。
【0059】
薄膜の結晶構造はアニールの最高温度により変わることから、実施例7、8及び11薄膜の結晶構造はB2構造であり、実施例9及び10薄膜の結晶構造はL2構造であると考えられる。
【0060】
【表2】
図1
図2
図3
図4