(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150120
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】コンクリートのCO2の吸収量導出システム、及びコンクリートのCO2の吸収量導出方法
(51)【国際特許分類】
C04B 40/02 20060101AFI20231005BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20231005BHJP
【FI】
C04B40/02
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059059
(22)【出願日】2022-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小堺 規行
(72)【発明者】
【氏名】小田部 裕一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大樹
【テーマコード(参考)】
4G112
5L049
【Fターム(参考)】
4G112RA02
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】コンクリートのCO
2の吸収量を評価できるコンクリートのCO
2の吸収量導出システム、及びコンクリートのCO
2の吸収量導出方法の提供。
【解決手段】CO
2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定可能な配合設定手段2と、前記配合設定手段2によって設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートのCO
2の吸収量を導出する吸収量導出手段5と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定可能な配合設定手段と、
前記配合設定手段によって設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出する吸収量導出手段と、を備える、
コンクリートのCO2の吸収量導出システム。
【請求項2】
前記吸収量導出手段は、前記対象配合により製造されるコンクリートの単位面積当たりのCO2の吸収量を示す単位面積吸収情報に基づいてCO2の吸収量を導出する、
請求項1に記載のコンクリートのCO2の吸収量導出システム。
【請求項3】
前記吸収量導出手段は、前記対象配合により製造されるコンクリートの単位体積当たりのCO2の吸収量を示す単位体積吸収情報、及び中性化速度を示す中性化速度情報のうちの少なくとも一方の情報に基づいて前記単位面積吸収情報を導出する、
請求項2に記載のコンクリートのCO2の吸収量導出システム。
【請求項4】
前記吸収量導出手段は、
前記単位面積吸収情報と、
前記対象配合により製造されるコンクリートの施工面積を示す施工面積情報、及び施工した時点からの経過時間を示す材齢情報のうちの少なくとも一方の情報と、に基づいてCO2の吸収量を導出する、
請求項2又は請求項3の何れか1項に記載のコンクリートのCO2の吸収量導出システム。
【請求項5】
CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定し、
設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出する、
コンクリートのCO2の吸収量導出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートのCO2の吸収量導出システム、及びコンクリートのCO2の吸収量導出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記システムには、例えば、特許文献1に開示されているような、ポルトランドセメントを構成材料として含むコンクリートの配合を基準配合として、ポルトランドセメントの一部を高炉に代替した混合セメントを構成材料として含む仮配合によるCO2の排出量が目標量だけ削減できるか否かを評価するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のシステムでは、製造したコンクリートによるCO2の吸収量については全く考慮されていたかった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、コンクリートのCO2の吸収量を評価できるコンクリートのCO2の吸収量導出システム、及びコンクリートのCO2の吸収量導出方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンクリートのCO2の吸収量導出システムは、
CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定可能な配合設定手段と、
前記配合設定手段によって設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出する吸収量導出手段と、を備える。
【0007】
上記構成のコンクリートのCO2の吸収量導出システムでは、配合設定手段で設定した対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を吸収量導出手段によって導出できるようになっている。
【0008】
本発明のコンクリートのCO2の吸収量導出システムにおいて、
前記吸収量導出手段は、前記対象配合により製造されるコンクリートの単位面積当たりのCO2の吸収量を示す単位面積吸収情報に基づいてCO2の吸収量を導出するようにしてもよい。
【0009】
このようにすれば、コンクリートの打設面積に応じたCO2の吸収量を把握しやすくなる。
【0010】
本発明のコンクリートのCO2の吸収量導出システムにおいて、
前記吸収量導出手段は、前記対象配合により製造されるコンクリートの単位体積当たりのCO2の吸収量を示す単位体積吸収情報、及び中性化速度を示す中性化速度情報のうちの少なくとも一方の情報に基づいて前記単位面積吸収情報を導出する、ようにしてもよい。
【0011】
このようにすれば、打設後のコンクリートのCO2の吸収量を詳しく把握できるようになる。
【0012】
本発明のコンクリートのCO2の吸収量導出システムは、
前記吸収量導出手段は、
前記単位面積吸収情報と、
前記対象配合により製造されるコンクリートの施工面積を示す施工面積情報、及び施工した時点からの経過時間を示す材齢情報のうちの少なくとも一方の情報と、に基づいてCO2の吸収量を導出する、ようにしてもよい。
【0013】
このようにすれば、施工後のコンクリートのCO2の吸収量を把握しやすくなる。
【0014】
本発明のコンクリートのCO2の吸収量導出方法は、
CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定し、
設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出する。
【0015】
上記構成のコンクリートのCO2の吸収量導出方法においても、設定した対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出できるようになっている。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明のコンクリートのCO2の吸収量導出システム、及びコンクリートのCO2の吸収量導出方法は、コンクリートのCO2の吸収量を評価できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンクリートのCO
2の排吸量導出システムの構成の概要を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るコンクリートのCO
2の排吸量導出システムにおける配合情報の説明図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るコンクリートのCO
2の排吸量導出システムにおける施工情報の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかるコンクリートのCO2の吸収量導出システムについて添付図面を参照しつつ説明する。
【0019】
なお、本実施形態では、コンクリート(生コンクリート)のCO2の排出量を導出する機能と吸収量を導出する機能とを有するコンクリートのCO2の排吸量導出システムについて説明する。
【0020】
本実施形態に係る排吸量導出システム1は、
図1に示すように、コンクリート(生コンクリート)の配合に関する配合情報を対象配合として設定する配合設定手段2と、配合情報により製造したコンクリートを用いる施工の内容(施工内容)を示す施工情報30を設定する施工情報設定手段3と、コンクリート(生コンクリート)の製造にあたり排出されるCO
2の量(総排出量)を示す排出量情報を導出する排出量導出手段4と、施工後のコンクリートによるCO
2の総吸収量を示す吸収量情報を導出する吸収量導出手段5と、総吸収量と総排出量の比率(吸排比率)を示す吸排比率情報を導出する吸排比率導出6と、配合設定手段2で設定した配合情報のうち推奨配合として選定するものを選定する配合選定手段7と、配合設定手段2で設定した配合情報と、排出量情報、吸収量情報、吸排比率情報を表示する表示手段8と、を備えている。
【0021】
なお、施工後のコンクリートというのは、コンクリートにより建造される構造物のことである。
【0022】
配合設定手段2による配合情報の設定とは、例えば、予め設定されている複数の配合情報のなかから、総排出用や総吸収量を導出する対象配合とする配合情報を選択することである。この場合、配合設定手段2は、複数の配合情報を選択可能に構成されていればよい。
【0023】
図2に示すように、配合情報20には、コンクリートの構成材料ごとに設定される複数の材料情報200と、有効水結合材比情報201と、が含まれている。
【0024】
各材料情報200には、コンクリートの製造に関する情報である製造関連情報202と、コンクリートの構成材料の輸送に関する情報である輸送関連情報203と、が関連付けられている。
【0025】
材料情報200には、構成材料が属する分類を示す材料分類情報2000と、材料分類情報2000により示される分類の中での構成材料の種類を示す材料種類情報2001と、が設定されている。
【0026】
複数の材料情報200の中には、材料分類情報2000にセメントが設定されている材料情報200(以下、セメント情報と称する)が含まれている。
【0027】
セメント情報200の材料種類情報2001には、セメントがセメントのみで構成される単独種であるか、セメントがセメントと添加物とで構成される混合種であるかが設定される。
【0028】
セメント情報200の材料分類情報2000に混合種であることを示す情報が設定されている場合、複数の材料情報200の中には、材料種分類情報2000に添加物が設定されている材料情報200(以下、添加物情報と称する)も含まれる。セメント情報200の材料分類情報2000に単独種であることを示す情報が設定されている場合は、複数の材料情報200の中に添加物情報200は含まれない。
【0029】
製造関連情報202には、構成材料の使用数量を示す使用数量情報2020と、コンクリートの製造時に構成材料から排出されるCO2の排出量の原単位とする製造時排出原単位情報2021とが含まれている。
【0030】
輸送関連情報203には、構成材料の輸送数量を示す輸送数量情報2030と、構成材料の輸送時に生じるCO2の量の原単位とする輸送時排出原単位情報2031と、構成材料の輸送距離2032と、が含まれている。
【0031】
施工情報設定手段3で設定する施工情報30には、
図3に示すように、コンクリートの施工範囲を示す施工範囲情報300と、コンクリートの施工後の材齢を示す材齢情報301と、が含まれている。
【0032】
施工範囲情報300には、施工後のコンクリートの露出面積を導出できる情報が設定されていればよい。
【0033】
また、材齢情報301には、コンクリートで建造する構造物の建造予定期間等が設定されていればよい。
【0034】
排出量導出手段4は、
図1に示すように、コンクリートの製造時に排出されるCO
2の量を示す製造排出量情報を導出する製造排出量導出手段40と、コンクリートの構成材料の輸送時に排出されるCO
2の量を示す輸送排出量情報を導出する輸送排出量導出手段41と、を有する。
【0035】
製造排出量導出手段40は、下式(1)により製造排出量情報を導出する。
【0036】
なお、下式(1)において、V
O1は製造排出量情報(製造時のCO
2の排出量(t-CO2/m3))、Q
B1は製造時排出原単位情報(製造時における構成材料のCO
2排出量の原単位(t-CO
2/t))、Q
U1は使用数量情報(製造時の構成材料の使用数量(kg/m3))である。
【数1】
【0037】
輸送排出量導出手段41は、下式(2)により輸送排出量情報を導出する。
【0038】
なお、下式(2)において、V
O2は輸送排出量情報(構成材料の輸送時におけるCO
2の排出量(t-CO2/m3))、Q
B1は輸送時排出原単位情報(輸送時における構成材料のCO
2排出量の原単位(t-CO
2/t))、Q
Tは構成材料の輸送数量(例えば、1回分の輸送量や、輸送車両1台分での輸送量等(t/m3))、Dは輸送距離、である。
【数2】
このようにして導出された製造排出量情報と輸送排出量情報の総量が排出量情報になる。
【0039】
吸収量導出手段5は、施工後のコンクリートによる単位面積当たりのCO2の吸収量(単位面積吸収量)を示す単位面積吸収量情報を導出する単位面積吸収量導出手段50と、施工後のコンクリートによるCO2の吸収量を示す施工後吸収量情報を導出する施工後吸収量導出手段51と、を有する。
【0040】
単位面積吸収量導出手段50は、施工後のコンクリートの炭酸化によるCO2の吸収量(炭酸化吸収量)を示す炭酸化吸収量情報と、施工後のコンクリートの中性化によるCO2の吸収量の経時的な変化の度合いである中性化速度係数を示す中性化速度係数情報とを導出し、炭酸化吸収量情報と中性化速度係数情報とに基づいて単位面積吸収量情報を導出するように構成されている。
【0041】
炭酸化吸収量は、下式(3)によって導出される。
【0042】
なお、下式(3)において、A
upは炭酸化吸収量(コンクリートの中性化領域1m
3あたりにおけるCO
2の吸収量(t-CO2/m3))、γcは炭酸化度(0.75)、Cは単位セメント量(kg/m3)、Ca0はセメント中のCaO量(%)、MCaO
2はCO
2のモル質量(=44.0g/mol)、MCaOはCaOのモル質量(=56.1g/mol)である。
【数3】
【0043】
中性化速度係数は、下式(4)によって導出される。
【0044】
なお、下式(4)において、αρは中性化速度係数(mm/√年)、WBは有効水結合材比、Rはセメント種別ごとに定められている中性化比率である。なお、セメント種別ごとに定められている中性化比率とは、例えば、NCの場合は1.00、HCの場合は0.95、BBの場合は、1.35等になる。
【数4】
【0045】
このように、本実施形態の単位面積吸収量導出手段50は、セメント種別ごとの中性化速度係数を考慮して中性化速度係数を導出するように構成されている。
【0046】
そして、単位面積吸収量Aは、下式(5)によって導出される。
【数5】
【0047】
施工後吸収量導出手段51は、下式(6)によって総吸収量を導出する。
【0048】
なお、下式(6)において、V
Iは、CO2の総吸収量、Yは材齢(年)、Eaは露出面積(m
2)である。
【数6】
【0049】
吸排比率導出手段6は、下式(7)により、吸排比率(吸排比率情報)を導出する。
なお、下式(7)において、Pは吸排比率である。
【数7】
【0050】
配合選定手段7は、例えば、吸排比率情報が示す比率が最も良い配合情報を選定するように構成されていればよい。
【0051】
また、配合選定手段7が推奨配合とする配合情報を選定する基準は、例えば、吸排比率の低さとしてもよいが、例えば、総排出量の低さや、総吸収量の高さ等としてもよい。なお、配合選定手段7は、配合設定手段2で設定した配合情報が1つであっても、推奨配合とする配合情報を選定する処理を実行するように構成されていればよい。
【0052】
本実施形態の表示手段8は、配合設定手段2で設定した配合情報と、配合情報について導出した排出量情報、吸収量情報、吸排比率情報と、配合選定手段7で推奨配合として選定した配合情報を表示するように構成されている。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る排吸量導出システム1によれば、配合設定手段2によって設定された複数の対象配合のそれぞれについて、排出量導出手段4がCO2の排出量を導出し、この複数の対象配合のそれぞれについての排出量が表示手段8によって比較可能な状態で表示されるため、これにより、種々の配合のコンクリートのCO2の排出量を評価できるようになっている。
【0054】
また、配合設定手段2では、異なるセメント種(単独種と、混合種)のセメントを含む配合情報を対象配合として選択可能であるため、単独種のセメントを用いる対象配合と、混合種のセメントを用いる対象配合についてCO2の排出量を比較可能な状態で表示でき、これにより、異なるセメント種を用いた対象配合であってもCO2の排出量を比較して評価できるようになっている。
【0055】
このように、排吸量導出システム1は、種々の配合のコンクリートのCO2の排出量を評価できるという優れた効果を奏し得る。
【0056】
また、表示手段8による表示には、配合選定手段7によって推奨配合として選定した配合情報も表示されるため、対象配合として選択した複数の配合情報の中から所望の条件を満たす配合情報を容易に選定できるようになる。
【0057】
さらに、配合選定手段7は、総排出量と総吸収量(吸排比率)に基づいて推奨配合を選定するように構成されているため、CO2の排出量とCO2の吸収量とを考慮したクリーンな配合を選定し易くなる。
【0058】
さらに、本実施形態の排吸量導出システム1では、配合設定手段2で対象配合として設定(選択)した配合情報により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を吸収量導出手段5によって導出できるため、コンクリートのCO2の吸収量を評価できるという優れた効果を奏し得る。
【0059】
また、吸収量導出手段5は、対象配合として設定された配合情報により製造されるコンクリートの単位面積当たりのCO2の吸収量を示す単位面積吸収情報に基づいてCO2の吸収量を導出するように構成されているため、コンクリートの施工面積(露出面積)に応じたCO2の吸収量を把握しやすくなる。
【0060】
さらに、吸収量導出手段5では、中性化速度を表す中性化速度係数に基づいて単位面積吸収量を導出するように構成されており、施工後のコンクリートのCO2の吸収量をより詳しく把握できるようになる。
【0061】
また、吸収量導出手段5は、単位面積吸収量に加えて、施工後のコンクリートの材齢と、露出面積を用いて総吸収量を導出するように構成されているため、施工後のコンクリートによるCO2の吸収量をより把握しやすくなる。
【0062】
なお、本発明に係るコンクリートのCO2の吸収量導出システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0063】
上記実施系形態の排吸量導出システム1は、コンクリートのCO2の排出量を導出する機能と吸収量を導出する機能とを有するように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、排吸量導出システム1は、コンクリートのCO2の吸収量を導出する機能のみを有するコンクリートのCO2の吸収量導出システムとして構成されていてもよい。
【0064】
この場合、配合選定手段7は、総吸収量に基づいて推奨配合を選定するように構成されていればよい。
【0065】
なお、コンクリートのCO2の吸収量導出システムにおいても、総排出量を示す情報を取得したうえで、該総排出量を示す情報を用いて吸排比率導出6や、配合選定手段7、表示手段8を実行することは可能である。
【0066】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、配合設定手段2は、1つの配合情報のみを選択可能となるように構成されていてもよい。
【0067】
上記実施形態の排吸量導出システム1は、GHG(温室効果ガス)に属する気体であるCO2について、対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出するように構成されていたが、この構成に限定されない。排吸量導出システム1は、例えば、水蒸気や、メタン(CH4)、亜酸化窒素((一酸化二窒素)N2O)、フロン、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCS)、パーフルオロカーボン類 (PFCS)、六フッ化硫黄(SH6)等のような、大気圏内で地表から放射された赤外線の一部を吸収することによって温室効果をもたらす気体について、対象配合により製造されるコンクリートによるCO2の吸収量を導出するように構成されていてもよい。また、GHGに属する気体のうちの一種について対象配合により製造されるコンクリートによるCO2の吸収量を導出したり、GHGに属する気体のうちの複数種について対象配合により製造されるコンクリートによるCO2の吸収量を導出したりしてもよい。
【0068】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、排吸量導出システム1を動作させれば、CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定し、設定された前記対象配合に基づいて、対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出する、コンクリートのCO2の吸収量導出方法を実行できる。
【0069】
また、上述のように、排吸量導出システム1をコンクリートのCO2の吸収量を導出する機能のみを有するコンクリートのCO2の吸収量導出システムとして構成する場合は、コンクリートのCO2の吸収量導出システムを動作させることでコンクリートのCO2の吸収量導出方法を実行することができる。
【0070】
コンクリートのCO2の吸収量導出方法においても、設定した対象配合により製造されるコンクリートのCO2の吸収量を導出できるようになっている。
【0071】
なお、コンクリートのCO2の吸収量導出方法においても、GHG(温室効果ガス)に属する気体であるCO2の他、例えば、水蒸気や、メタン(CH4)、亜酸化窒素((一酸化二窒素)N2O)、フロン、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCS)、パーフルオロカーボン類 (PFCS)、六フッ化硫黄(SH6)等のような、大気圏内で地表から放射された赤外線の一部を吸収することによって温室効果をもたらす気体について、対象配合により製造されるコンクリートによるCO2の吸収量を導出するように構成されていてもよい。また、GHGに属する気体のうちの一種について対象配合により製造されるコンクリートによるCO2の吸収量を導出したり、GHGに属する気体のうちの複数種について対象配合により製造されるコンクリートによるCO2の吸収量を導出したりしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…吸排量導出システム、2…配合設定手段、3…施工情報設定手段、4…排出量導出手段、5…吸収量導出手段、6…吸排比率導出手段、7…配合選定手段、8…表示手段、20…配合情報、30…施工情報、40…製造排出量導出手段、41…輸送排出量導出手段、50…単位面積吸収量導出手段、51…施工後吸収量導出手段、200…材料情報(セメント情報、添加物情報)、201…有効水結合材比情報、202…製造関連情報、203…輸送関連情報、300…施工範囲情報、301…材齢情報、2000…材料分類情報、2001…材料種類情報、2020…使用数量情報、2021…製造時排出原単位情報、2030…輸送数量情報、2031…輸送時排出原単位情報、2032…輸送距離
【手続補正書】
【提出日】2022-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定可能な配合設定手段と、
前記配合設定手段によって設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートによって構成される構造物のCO2の吸収量を示す総吸収量情報を導出する吸収量導出手段と、を備え、
前記吸収量導出手段は、前記構造物による単位面積当たりのCO
2
の吸収量を示す単位面積吸収量情報を導出する単位面積吸収量導出手段と、前記単位面積吸収量情報を用いて前記総吸収量情報を導出する施工後吸収量導出手段と、を有し、
前記単位面積吸収量導出手段は、前記構造物の炭酸化によるCO
2
の吸収量を示す炭酸化吸収量情報と、前記構造物の中性化によるCO
2
の吸収量の経時的な変化の度合いである中性化速度係数を示す中性化速度係数情報とを導出し、前記炭酸化吸収量情報と前記中性化速度係数情報とに基づいて前記単位面積吸収量情報を導出するように構成され、
前記施工後吸収量導出手段は、前記構造物の材齢を示す材齢情報と、前記単位面積吸収量情報とに基づいて前記総吸収量情報を導出するように構成されている、
コンクリートのCO2の吸収量導出システム。
【請求項2】
CO2の吸収量の導出対象となるコンクリートの構成材料の配合を対象配合として少なくとも1つ設定し、
設定された前記対象配合に基づいて、前記対象配合により製造されるコンクリートによって構成される構造物のCO2の吸収量を示す総吸収量情報を導出する、コンクリートのCO2の吸収量導出方法であって、
前記総吸収量情報を導出する際に、
前記構造物の炭酸化によるCO
2
の吸収量を示す炭酸化吸収量情報と、前記構造物の中性化によるCO
2
の吸収量の経時的な変化の度合いである中性化速度係数を示す中性化速度係数情報とを導出し、
前記炭酸化吸収量情報と前記中性化速度係数情報とに基づいて前記構造物による単位面積当たりのCO
2
の吸収量を示す単位面積吸収量情報を導出し、
前記構造物の材齢を示す材齢情報と、前記単位面積吸収量情報とに基づいて前記総吸収量情報を導出する、
コンクリートのCO
2
の吸収量導出方法。