(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150161
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】内視鏡撮像装置及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20231005BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20231005BHJP
G02B 23/26 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
A61B1/00 731
G02B23/24
G02B23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059115
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】坂本 利男
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 卓郎
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040CA23
2H040CA24
2H040DA12
2H040GA03
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF40
4C161JJ11
4C161LL02
4C161PP07
(57)【要約】
【課題】組み立てが容易であり、かつプリズムの保護が可能な内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供する。
【解決手段】観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置は、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、レンズ鏡胴と撮像素子との間に配置され、撮像レンズを透過した光を撮像素子に反射させる反射面を有するプリズムとを有し、プリズムは、反射面に保護テープが設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、
内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、
前記撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、
前記レンズ鏡胴と前記撮像素子との間に配置され、前記撮像レンズを透過した光を前記撮像素子に反射させる反射面を有するプリズムとを有し、
前記プリズムは、前記反射面に保護テープが設けられている、内視鏡撮像装置。
【請求項2】
前記保護テープの大きさは、前記プリズムの前記反射面の大きさよりも小さい、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項3】
前記保護テープは、前記撮像レンズを透過した前記光が前記プリズムの前記反射面に入射する入射範囲の80%以上の範囲に設けられている、請求項2に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項4】
前記保護テープは、円形状である、請求項1~3のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項5】
前記保護テープは、形状が非対称である、請求項1~3のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項6】
前記保護テープは、外周の一部が、前記保護テープの表面に平行な方向に張り出した凸部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項7】
前記保護テープは、一方の面と、前記一方の面の反対側の他方の面とでは、色が異なる、請求項1~6のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項8】
前記保護テープは、透明又は半透明である、請求項1~7のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置及び内視鏡に関し、特に、プリズムに保護テープを設けた内視鏡撮像装置及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡用光源装置、内視鏡(内視鏡スコープ)、及びプロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。
被検者の体内に挿入される挿入部を有しており、内視鏡用光源装置による照明光は挿入部を経て観察対象に照射される。内視鏡は、照明光が照射された観察対象を撮像素子により撮像して画像信号を生成する。プロセッサ装置は、内視鏡により生成された画像信号を画像処理してモニタに表示するための観察画像を生成する。撮像素子はフレキシブル配線基板等で構成される回路基板を介して信号ケーブルに電気的に接続されており、信号ケーブルがプロセッサ装置に電気的に接続されている。また、撮像レンズ、及びプリズムを介して、観察対象の撮像光を撮像素子に導光している。プリズムの反射面に傷がつくと、撮像素子に入射する撮像光が劣化し、得られる観察対象の画像が不十分なものとなる。
そこで、例えば、特許文献1の内視鏡では、プリズムの反射部を覆い保護する反射面保護部として、保護部材を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の内視鏡の保護部材は大きく、プリズムの反射部に、大きい保護部材を設ける必要があるため、組み立てが大変である。また、プリズムと保護部材との接着に時間もかかる。このため、保護部材を設けるために工程数が増え組み立て工程が煩雑になり、さらには組み立てにも時間がかかる。
本発明の目的は、組み立てが容易であり、かつプリズムの保護が可能な内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、レンズ鏡胴と撮像素子との間に配置され、撮像レンズを透過した光を撮像素子に反射させる反射面を有するプリズムとを有し、プリズムは、反射面に保護テープが設けられている、内視鏡撮像装置を提供するものである。
【0006】
保護テープの大きさは、プリズムの反射面の大きさよりも小さいことが好ましい。
保護テープは、撮像レンズを透過した光がプリズムの反射面に入射する入射範囲の80%以上の範囲に設けられていることが好ましい。
保護テープは、円形状であることが好ましい。
保護テープは、形状が非対称であることが好ましい。
保護テープは、外周の一部が、保護テープの表面に平行な方向に張り出した凸部を有することが好ましい。
保護テープは、一方の面と、一方の面の反対側の他方の面とでは、色が異なることが好ましい。
保護テープは、透明又は半透明であることが好ましい。
また、本発明の一態様は、本発明の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組み立てが容易であり、かつプリズムの保護が可能な内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的側面図である。
【
図4】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例のプリズムの配置を示す模式的斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例のプリズムの配置を示す模式的側面図である。
【
図6】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の保護テープの第2の例を示す模式的平面図である。
【
図7】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の保護テープの第3の例を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内視鏡撮像装置及び内視鏡を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値εα~数値εβとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばεα≦ε≦εβである。
以下の説明の「特定の角度」、「平行」、「垂直」及び「直交」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0010】
〔内視鏡システム〕
内視鏡システムは、観察対象である被験者の体内等の観察部位に照明光(図示せず)を照射し、観察部位を撮像して、撮像により得られた画像信号に基づいて観察部位の表示画像を生成し、表示画像を表示するものである。
図1は本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16とを有する。内視鏡システム10は、後述する内視鏡12の内視鏡撮像装置20(
図2参照)の部分以外は、一般的な内視鏡と同様の構成を有する。
【0011】
内視鏡12は内視鏡撮像装置を有する。また、内視鏡12は、詳細に図示はしないが、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部に連なる操作部と、操作部から延びるユニバーサルコードとを有し、挿入部は、先端部と、先端部に連なる湾曲部と、湾曲部と操作部とを繋ぐ軟性部とで構成されている。内視鏡撮像装置については後述する。
【0012】
内視鏡12の先端部には、観察部位を照明するための照明光を出射する照明光学系、又は観察部位を撮像する撮像素子及び撮像光学系等を有する内視鏡撮像装置20(
図2参照)が設けられている。湾曲部は挿入部の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、湾曲部の湾曲動作は操作部にて操作される。また、軟性部は、挿入部の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
【0013】
操作部には、先端部の内視鏡撮像装置20(
図2参照)の撮像動作を操作するボタン、又は湾曲部の湾曲動作を操作するノブ等が設けられている。また、操作部には、電気メス等の処置具が導入される導入口が設けられており、挿入部の内部には、導入口から先端部に達し、鉗子等の処置具が挿通される処置具チャンネルが設けられている。
【0014】
ユニバーサルコードの末端にはコネクタが設けられ、内視鏡12は、コネクタを介して、先端部の照明光学系から出射される照明光を生成する光源装置14、及び先端部の内視鏡撮像装置20(
図2参照)によって取得される映像信号を処理するプロセッサ装置16と接続される。
【0015】
プロセッサ装置16は、入力された映像信号を処理して観察部位の映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させるか、又はハードディスク等の記憶媒体に記録する。なお、プロセッサ装置16は、パーソナルコンピュータ等のプロセッサによって構成されるものであってもよい。
【0016】
光源装置14は、内視鏡12の内視鏡撮像装置20(
図2参照)によって体腔内の観察対象部位を撮像して、観察対象の画像信号を取得するために、赤光(R)、緑光(G)、及び青光(B)等の3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を、発生させて、内視鏡12に供給し、内視鏡12内のライトガイド等によって伝搬し、内視鏡12の挿入部の先端部の照明光学系から出射して、体腔内の観察対象部位を照明するためのものである。
【0017】
挿入部及び操作部並びにユニバーサルコードの内部にはライトガイド又は電線群(信号ケーブル)が収容されている。光源装置14にて生成された照明光がライトガイドを介して先端部の照明光学系に導光され、また、先端部の内視鏡撮像装置20(
図2参照)とプロセッサ装置16との間で信号及び電力のうち、少なくとも一方が電線群を介して伝送される。
【0018】
また、内視鏡システム10は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ等を備えていてもよい。更に、送水タンク内の洗浄水、又は外部の空気等の気体を内視鏡内の管路(図示せず)に供給する供給ポンプ等を備えていてもよい。
【0019】
〔内視鏡撮像装置の一例〕
図2は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的斜視図であり、
図3は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例を示す模式的側面図である。なお、
図3は連結部材29の図示を一部、省略している。
図2に示す内視鏡撮像装置20は、観察対象の画像を取得するものである。内視鏡撮像装置20は、例えば、撮像レンズ23、撮像レンズ23を保持するレンズ鏡胴22、保持具24、撮像素子25、回路基板26、プリズム27、及び信号ケーブル28を有する。また、内視鏡撮像装置20は、連結部材29を有する。また、プリズム27の反射面27eに保護テープ50(
図3参照)が設けられている。また、例えば、信号ケーブル28の外皮28d(
図3参照)は保護チューブ37で被覆されている。
ここで、撮像レンズ23の光軸Cに平行な方向をX方向とする。光軸Cと直交する2つの方向のうち、1つをY方向とし、残りをZ方向とする。Y方向は内視鏡撮像装置20の幅方向に対応し、Z方向は内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応する。
【0020】
撮像レンズ23は、撮像レンズ23に入射する光を撮像素子25の受光面25aに結像する光学素子である。撮像レンズ23はレンズ鏡胴22に保持される。
【0021】
レンズ鏡胴22は、筒状の部材であり、内部に、1以上の撮像レンズ23を保持するものである。レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸Cがプリズム27の入射面27a(
図3参照)に垂直になるように、撮像レンズ23を保持する。内視鏡撮像装置20は、例えば、3つの撮像レンズ23を有し、レンズ鏡胴22で保持されている。
【0022】
撮像レンズ23及びレンズ鏡胴22の構成は特に制限されない。例えば、撮像レンズ23を1つ有する構成であってもよいし、2つ、又は、4つ以上の撮像レンズ23を有する構成でもよい。また、各撮像レンズ23は、凸レンズであっても凹レンズであってもよい。
【0023】
撮像素子25は、撮像レンズ23によって結像された光を光電変換によって電気信号に変換することで撮像を行う撮像素子であり、受光面25aを有する。撮像素子25では、撮像レンズ23によって結像された光、すなわち、観察対象の撮像光が受光面25aに入射されて、撮像光が光電変換されて撮像が行われる。撮像素子25は、従来公知の撮像素子であり、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサー又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを用いることができる。
【0024】
撮像素子25は、保持具24に対してレンズ鏡胴22の反対側に配置されている。撮像素子25は、
図2及び
図3に示すように、例えば、導電性を有するバンプ34を介して回路基板26の第1の平面部26aの表面26fに電気的に接続されている。また、
図3に示すように、撮像素子25は、受光面25aが撮像レンズ23の光軸Cに平行になるように回路基板26上に実装されている。なお、実装とは、電気的に接続されていることをいう。
撮像素子25と回路基板26との間に、撮像素子25と回路基板26とを強固に接続するためにアンダーフィル層(図示せず)を設けることもできる。
【0025】
バンプ34は、金属又は合金で構成される。より具体的には、バンプ34は、半田で構成される。半田で形成されたバンプ34のことを半田ボールともいう。なお、バンプ34は、撮像素子25と回路基板26とを電気的に接続することができれば、半田等に限定されるものではない。また、撮像素子25と回路基板26とは直接電気的に接続してもよい。
また、アンダーフィル層は、撮像素子25と回路基板26との熱膨張係数の違いにより、撮像素子25と回路基板26との接合部、例えば、バンプ34に応力が生じるが、この応力を緩和する。アンダーフィル層により、撮像素子25と回路基板26とが強固に接続され、電気的な接続の信頼性が増し、信頼性が高い内視鏡撮像装置20が得られる。
アンダーフィル層を構成するアンダーフィル剤は、特に限定されるものでなく、撮像素子25と、回路基板26との間の封止樹脂として用いられるものが適宜利用可能である。例えば、アンダーフィル剤として、一液性加熱硬化型のエポキシ樹脂が用いられる。この場合、アンダーフィル剤を供給した後、予め定められた温度に加熱保持して、アンダーフィル層が形成される。
【0026】
回路基板26は、撮像素子25が実装される基板である。また、回路基板26には、撮像素子25以外に、例えば、電子部品30、30aが実装される。電子部品30、30aは、撮像素子25を駆動するためのものであり、特に限定されるものではないが、例えば、電圧レギュレータ、抵抗、及びコンデンサ等が挙げられる。電圧レギュレータは、撮像素子25への電圧を安定化させるデバイスであり、撮像素子25に一定の電圧を出力する。
図示例において、回路基板26は、第1の平面部26aと、第1の平面部26aと第1の屈曲部26bで連結された第2の平面部26cと、第2の平面部26cと第2の屈曲部26dで連結された第3の平面部26eとを有する。第1の平面部26a及び第3の平面部26eは、撮像レンズ23の光軸Cと平行である。第2の平面部26cは、撮像レンズ23の光軸Cに対して傾いて角度がついており、傾斜している。すなわち、第2の平面部26cが光軸Cと平行ではない。第2の平面部26cは、第2の屈曲部26dの方が第1の屈曲部26bよりもZ方向において上側になるように傾斜している。
また、回路基板26には、撮像素子25及び電子部品30、30aに対する信号又は電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が、第3の平面部26e(
図3参照)の第2の平面部26c(
図3参照)に対向する裏面26h(
図3参照)に設けられている。接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(
図3参照)が電気的に接続される。
回路基板26は、例えば、可撓性を有する基板で構成されており、例えば、フレキシブルプリント基板で構成される。
【0027】
撮像素子25は、
図2及び
図3に示すように第1の平面部26aの表面26fに実装されている。また、第1の平面部26aの表面26fには電子部品30も実装されている。
第2の平面部26cの第1の平面部26aの表面26fに対向する裏面26gに電子部品30、30aが実装されている。第2の平面部26cは、第1の平面部26aに対して傾斜しているため、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間にスペースが広い領域ができる。このため、サイズの大きい電子部品30aを実装できる。例えば、第2の平面部26cの裏面26gでは、第2の屈曲部26d側に実装された電子部品30aは第1の屈曲部26b側に実装された電子部品30よりも高さが高い。このように、様々なサイズの電子部品を実装でき、内視鏡撮像装置20のスペースを有効活用できる。
なお、上述のように第3の平面部26eの第2の平面部26cに対向する裏面26hに接続端子(図示せず)が設けられている。回路基板26上における撮像素子25、電子部品30、30a、及び接続端子等の配置は、特に限定されるものではない。
【0028】
回路基板26の第3の平面部26eの裏面26h(
図3参照)に設けられた接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(
図3参照)が電気的に接続されており、撮像素子25と信号ケーブル28とが電気的に接続される。撮像素子25によって光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介して送信される。信号ケーブル28は、内視鏡の挿入部、操作部、ユニバーサルコード等に挿通されて、プロセッサ装置16(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0029】
信号ケーブル28は、信号線28aと、外周を構成する外皮28dとを有する構成であれば、特に限定されるものではない。信号ケーブル28は、例えば、
図3に示すように複数の信号線28aと、各信号線28aを被覆する被覆層28bと、被覆層28bで被覆された、複数の信号線28aの全体の周囲に設けられたシールド導体28cと、シールド導体28cを被覆する外皮28dとを有する。信号ケーブル28は、複数の信号線28aが束ねられ、かつ周囲にシールド導体28cが設けられ、かつ円筒状の外皮28d内に収納された多芯ケーブルである。
上述のように外皮28dは信号ケーブル28の外周を構成する。被覆層28b、シールド導体28c、及び外皮28dは、例えば、円筒状である。また、信号ケーブル28のシールド導体28cのことをシールドという。信号ケーブル28は、信号線28aを、例えば、5本有する。信号線28aの数は、内視鏡撮像装置20の構成に応じたものであり、特に限定されるものではなく、2本でも、3本でも、4本でもよく、6本以上でもよい。
【0030】
プリズム27は、レンズ鏡胴22と撮像素子25との間に、カバーガラス31を介して配置される。プリズム27は、撮像素子25の受光面25aに撮像レンズ23を通過した光をガイドするものである。プリズム27は、例えば、入射面27aと出射面27bとが直交する直角プリズムである。また、プリズム27には入射面27aと出射面27bとを結ぶ斜面27cを有する。斜面27cがプリズム27の反射面27eである。
プリズム27は、レンズ鏡胴22に保持された撮像レンズ23を通過した光を、斜面27c、すなわち、反射面27eで、例えば、90°屈曲させて光路を変更し、撮像素子25の受光面25aに導く。撮像レンズ23を透過した光はプリズム27に入射し、プリズム27の斜面27c、すなわち、撮像レンズ23を透過した透過光が反射面27eで反射し、撮像素子25の受光面25aに入射される。撮像レンズ23を透過した光は、観察対象の情報を含む光である。
例えば、プリズム27は、入射面27aをレンズ鏡胴22の基端側の面に対面して配置される。また、プリズム27は、出射面27bを撮像素子25の受光面25aに対面して配置される。この場合、プリズム27は、カバーガラス31上に出射面27bをカバーガラス31に対向して配置される。
カバーガラス31は、撮像素子25の受光面25a上に配置され、受光面25aを保護するものである。プリズム27とカバーガラス31とは、例えば、光硬化型接着剤で接着される。なお、カバーガラス31がない構成でもよい。
【0031】
保持具24は、レンズ鏡胴22とプリズム27とを保持する部材である。保持具24は、略筒状の部材であり、筒部の内部にレンズ鏡胴22を嵌入されて、レンズ鏡胴22を保持する。保持具24の内面とレンズ鏡胴22の外周面とは接着固定される。
保持具24とレンズ鏡胴22とを接着する接着剤としては、従来の内視鏡で用いられている種々の公知の接着剤を用いることができる。この点は、他の部材同士を接着する接着剤についても同様である。
【0032】
保持具24は、取付筒部24aの基端側の端面に、多角形状のフランジ部24bを有する。フランジ部24bのY方向の両端に、それぞれ規制部材24cが設けられている。
プリズム27は規制部材24cの間に配置され、規制部材24cに挟まれた状態でフランジ部24bに入射面27aが当接される。これにより、プリズム27はX方向の位置決めがなされる。保持具24は、レンズ鏡胴22及びプリズム27を所定の位置に保持することで、レンズ鏡胴22とプリズム27との相対位置、すなわち、レンズ鏡胴22と、撮像素子25の受光面25aとの相対位置を固定する。プリズム27の出射面27bと撮像素子25とが対向する。
ここで、レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸C方向における、保持具24に対する相対位置を、撮像素子25の受光面25aにピントが合うように調整されて、保持具24に接着固定される。光軸C方向とは撮像レンズ23の光軸Cの延在方向である。撮像レンズ23の光軸C方向はX方向と平行な方向である。
【0033】
連結部材29は、保持具24と信号ケーブル28とを連結するものである。連結部材29は信号ケーブル28を内部で保持する。連結部材29は、例えば、
図2に示すように、1つの板材を湾曲させて構成された部材である。具体的には、連結部材29は、1つの板材を光軸C方向に延在する、2か所の折り曲げ部で折り曲げた形状を有する。従って、連結部材29は、光軸C方向に垂直な断面が略C形状となる。連結部材29は、略C形状の内側に回路基板26上の接続端子(信号ケーブル28との接続箇所)が包含されるように配置される。すなわち、
図2に示すように、連結部材29は、図中上側から回路基板26を覆う基部29bと、基部29bの端で折り曲げられて形成された側面部29cとを有する。側面部29cは、例えば、回路基板26の第2の平面部26cに平行な縁29gを有する。縁29gは、第2の平面部26cよりも基部29b側にあり、連結部材29で上側から回路基板26を覆った際、回路基板26の第2の平面部26cが露出する。
連結部材29は、回路基板26の第3の平面部26e等の一部と、プリズム27及び信号ケーブル28の先端部を覆っており、回路基板26、プリズム27及び信号ケーブル28のカバー部材を兼ねている。さらには、連結部材29は、回路基板26、プリズム27及び信号ケーブル28の保護部材としても機能する。
【0034】
連結部材29は、先端側に1対のアーム部29aを有する。1対のアーム部29aの先端部29hは、それぞれY方向に平行に曲げられており、爪部を構成する。1対のアーム部29aが保持具24のフランジ部24bを挟み、アーム部29aの先端部29hが係合して、連結部材29は保持具24に固定される。
また、連結部材29は、側面部29cの基端側に信号ケーブル28を保持する保持部29dを有する。保持部29dは、外皮28dに沿って曲げられており、アーム部29aから保持部29dに向かうに従いY方向の幅が狭くなっている。保持部29dの内部に、信号ケーブル28が固定されて保持される。保持部29dは側面部29cと続した部材である。
【0035】
また、連結部材29は、保持具24と信号ケーブル28とに連結することにより、信号ケーブル28が引っ張られた際等に、回路基板26上の接続端子と、信号ケーブル28の信号線28aとの接続箇所が引っ張られて、接続端子と信号線28aとの接続が断線することを防止する。
連結部材29を形成する金属材料としては特に限定はないが、熱伝導率が高い金属材料が好ましい。加工性、入手性、強度等を考慮すると、連結部材29としては、ステンレス鋼、及び銅合金が好ましい。
【0036】
保護チューブ37は信号ケーブル28を保護するものであり、信号ケーブル28の折れを防止し、信号線28aの断線を防止するものである。
保護チューブ37は、
図3に示すように、先端37aが、連結部材29のレンズ鏡胴22の反対側の後端面29eよりもレンズ鏡胴22側、かつ固定部材35よりも後端面29e側に位置して設けられている。保護チューブ37を、連結部材29に対して、オーバーラップさせて、信号ケーブル28に設けている。保護チューブ37の先端37aは、保護チューブ37のレンズ鏡胴22側の端のことである。
【0037】
連結部材29のアーム部29aと保持具24のフランジ部24b、並びに連結部材29の保持部29dと信号ケーブル28の外皮28dとは、例えば、接着剤38を用いて接着固定される。接着固定されている場合、接着剤38は硬化状態である。なお、連結部材29の保持部29dと信号ケーブル28の外皮28dとを固定することができれば、接着剤38を用いた接着固定に限定されるものではない。
【0038】
以下、保護テープ50について説明する。
図4は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例のプリズムの配置を示す模式的斜視図である。
図5は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例のプリズムの配置を示す模式的側面図である。
図5は、撮像レンズ23、プリズム27、カバーガラス31及び撮像素子25の配置を簡略化して示す模式図である。
図4及び
図5において、
図2及び
図3に示す内視鏡撮像装置20と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図4に示すようにプリズム27は、反射面27eに保護テープ50が設けられている。
保護テープ50は、プリズム27の反射面27eを保護するものである。上述のように反射面27eに傷がつくと、撮像レンズ23を透過して撮像素子25に入射する撮像光が劣化し、得られる観察対象の画像が不十分なものとなる。このため、プリズム27の反射面27eを保護する。
保護テープ50は、
図5に示すように、例えば、基材52に粘着層54が設けられた積層材である。
保護テープ50は、保護部材のように大きなものではないことから、プリズム27の反射面27eに設けることは容易である。また、粘着層54により保護テープ50はプリズム27の反射面27eに固定される。このため、工程数も少なく、組み立て工程が容易であり、さらには保護テープ50の取り付けにも時間がかからない。このことから、組み立てが容易であり、かつプリズム27の保護が可能な内視鏡撮像装置20を提供できる。
【0040】
なお、保護テープ50は内視鏡撮像装置20内に存在する。このため、例えば、オートクレーブ処理の際に、内視鏡撮像装置20は高温になることから、保護テープ50は、高温環境下でも、変質、及び剥離等が生じない耐熱性を有することが好ましい。このため、保護テープ50の基材52は、ポリイミドで構成されることが好ましい。粘着層54も高温環境下でも、変質、及び剥離等が生じない耐熱性を有することが好ましい。この場合、粘着層54は、例えば、アクリル系粘着剤、又はシリコーン系粘着剤を用いて構成される。
【0041】
保護テープ50の大きさは、プリズム27の反射面27eの大きさよりも小さいことが好ましい。例えば、
図4に示すように保護テープ50の設置面は、プリズム27の反射面27eよりも狭いことである。すなわち、保護テープ50の設置面積は、プリズム27の反射面27eの面積よりも小さいことである。このような構成の場合、プリズム27の反射面27eには、保護テープ50が設けられていない領域Dmがある。この領域Dmが、例えば、上述のようにプリズム27の斜面27cの一部と回路基板26の第2の屈曲部26dの一部とが光硬化型接着剤(図示せず)で連結される際に接着面となる。これにより、確実に接着できる。
なお、保護テープ50の大きさの下限は、後述の入射範囲Diの80%であり、保護テープ50の大きさの上限は、プリズム27からはみ出さないことであり、プリズム27の反射面27eの全面が上限になる。
【0042】
また、
図5に示すように保護テープ50は、撮像レンズ23を透過した光Lsがプリズム27の反射面27eに入射する入射範囲Diの80%以上の範囲Dtに設けられていることが好ましい。すなわち、入射範囲Diの面積の80%以上の領域に、保護テープ50が設けられていることが好ましい。
撮像レンズ23を透過して入射範囲Diに入射した光Lsが反射面27eで反射し、撮像素子25の受光面25aに入射されて、観察対象の画像を取得できる。このため、入射範囲Diを保護するために保護テープ50を設ける必要がある。入射範囲Diのうち、80%以上の範囲Dtに保護テープ50を設けることにより、保護テープ50がない入射範囲Diに傷がつく等の損傷があっても、観察対象に対して必要な画質の画像を取得できる。保護テープ50を設ける範囲の上限は、入射範囲Diの全範囲、すなわち、入射範囲Diの面積の100%である。これにより、入射範囲Diに傷がつくことが防止され、観察対象に対して必要十分な画質の画像を取得できる。
撮像レンズ23を透過した光は、光軸Cと直交する面において、外縁が円形状である。
図3に示すプリズム27のような直角プリズムでは、外縁が円形状の光が、プリズム27の反射面27dに入射した際には、反射面27dでは楕円形状となる。この場合、入射範囲Diは、外形が楕円形である。
【0043】
例えば、
図4に示す保護テープ50は外周50aが円形である。保護テープ50は円形状であれば、保護テープ50をプリズム27の反射面27eに取り付ける際に、特定の向きにする必要がなく、保護テープ50を反射面27eに容易に取り付けることができる。このため、保護テープ50は、円形状であることが好ましい。保護テープ50は、円形状以外に楕円形状でもよく、四角形でもよく、保護テープ50を貼り付けるプリズム27の反射面27eの外形と相似形でもよい。保護テープ50の外形が楕円形状の場合、入射範囲Diの外形と相似形であることがより好ましい。また、保護テープ50を把持しやすいように、後述のように保護テープ50の外周部に凸部を有する構成でもよい。
【0044】
保護テープ50は、一方の面と、一方の面の反対側の他方の面とでは、色が異なることが好ましい。具体的には、
図5に示す保護テープ50において、保護テープ50の基材52の表面52aと、この基材52の表面52aの反対側の粘着層54の表面54aとで、色が異なる。例えば、基材52の表面52aが一方の面であり、粘着層54の表面54aが、一方の面の反対側の他方の面である。例えば、基材52と粘着層54との材質を変えることにより、色を異ならせることができる。
保護テープ50において、基材52の表面52aと、粘着層54の表面54aとで色が異なることにより、基材52及び粘着層54を特定できるため、保護テープ50をプリズム27の反射面27eに取り付ける際に、粘着層54の向きを容易に特定でき、保護テープ50を反射面27eに容易に取り付けることができるため、好ましい。
【0045】
ここで、色が異なるとは、明度、彩度、及び色相のうち、少なくとも1つが異なることであり、好ましくは、色相が異なることである。また、色が明るいとは、明度が高いことを意味するため、色の明るさが違う場合、色が異なることに該当する。
明度、彩度、及び色相は、色彩計(色差計)又は分光測色計を用いて測定できる。
【0046】
また、保護テープ50は、透明又は半透明であることが好ましい。これにより、保護テープ50をプリズム27の反射面27eに取り付けた際に、保護テープ50の剥がれの有無、及び粘着層54での気泡の有無等の設置不良を容易に特定できるため、好ましい。
ここで、透明とは、光透過率が、波長380~780nmの可視光波長域において、40%以上のことである。半透明とは、光透過率が、波長380~780nmの可視光波長域において、20%以上40%未満のことである。
光透過率は、JIS(日本産業規格) K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
【0047】
保護テープ50は、
図4に示す円形状に限定されるものではない。
図6は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の保護テープの第2の例を示す模式的平面図である。
図7は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の一例の保護テープの第3の例を示す模式的平面図である。なお、
図6及び
図7において、
図4及び
図5に示す保護テープ50及びプリズム27と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、
図6及び
図7は、いずれもプリズム27の反射面27eに保護テープ55、56が取り付けられた状態を示す。
【0048】
図6に示す保護テープ55は、
図4に示す保護テープ50に比して、凸部55bを有すること以外は
図4に示す保護テープ50と同じ構成である。保護テープ55は、円形状の外周55aの一部が、保護テープ55の表面に平行な方向に張り出した凸部55bを有する。凸部55bは、例えば、保護テープ55の一部であり、保護テープ55と一体である。また、凸部55bは、例えば、外周55aの反対側の端が半円状の帯状体である。なお、凸部55bの形状は、
図6に示すものに限定されるものではない。
凸部55bがプリズム27の反射面27eからはみ出ると、邪魔になるため、凸部55bは反射面27e内にあることが好ましい。保護テープ55の表面に平行な方向とは、保護テープ55の基材52の表面52aに平行な方向のことである。
例えば、基材と粘着層とが積層された積層シート(図示せず)に、複数まとめて形成されたものから分離して、1つの保護テープ55を得る。この場合、凸部55bがあることにより、保護テープ55を積層シートから分離しやすくなり、扱いが容易になる。このため、保護テープ55は凸部55bを有することが好ましい。また、保護テープ55に凸部55bがあることにより、保護テープ50を把持しやすくなり、保護テープ50をプリズム27の反射面27eに貼り付けやすくなる。
なお、凸部55bを有する保護テープ55は、
図6に示す構成に限定されるものではない。
【0049】
図7に示す保護テープ56は、
図4に示す保護テープ50に比して、形状が非対称であること以外は
図4に示す保護テープ50と同じ構成である。
具体的には、保護テープ56は、円形状の外周56aの一部が、保護テープ56の表面に平行な方向に張り出した凸部56bを有する。凸部56bと外周56aとが接する部分に半円形状の凹部56cが形成されている。凸部56bは、上述の凸部55bと同様に、例えば、外周56aの反対側の端が半円状の帯状体である。凸部56bの形状は、
図6に示すものに限定されるものではない。また、凹部56cの位置及び形状は、
図7に示すものに限定されるものではない。
保護テープ56の表面に平行な方向とは、保護テープ56の基材52の表面52aに平行な方向のことである。
【0050】
図7に示す保護テープ56のように形状が非対称であることにより、上述の色が異なることと同様に、基材52及び粘着層54を特定できるため、保護テープ56をプリズム27の反射面27eに取り付ける際に、粘着層54の向きを容易に特定でき、保護テープ56を反射面27eに容易に取り付けることができるため、好ましい。凸部56bがプリズム27の反射面27eからはみ出ると、邪魔になるため、凸部56bは反射面27e内にあることが好ましい。
なお、形状が非対称な保護テープ56は、
図7に示す構成に限定されるものではない。
形状が非対称とは、点対称及び線対称、並びに並進対称性のいずれも満たさないことである。
【0051】
内視鏡撮像装置20では、
図3に示すように、信号ケーブル28の連結部材29側の端である先端に、信号ケーブル28の外皮28dの上から信号ケーブル28を中心に向かって圧縮して固定する固定部材35を設けてもよい。
固定部材35は、信号ケーブル28の外皮28d上に設けられ、締め付けて外皮28dを信号ケーブル28の信号線28aに固定するものである。固定部材35は、例えば、円環状の部材であり、信号ケーブル28の中心に向かって圧縮すること、すなわち、かしめることにより固定部材35を締め付けて、外皮28dを信号ケーブル28の信号線28aに固定する。
固定部材35は、外皮28dを信号ケーブル28の信号線28aに固定することができれば、円環状に限定されるものではなく、多角形の環状の部材でもよい。また、固定部材35は、円環状ではなく、一周連続することなく、隙間を有する構成でもよく、例えば、Cリング状でもよい。この場合、離れた端部同士を接近させるように、かしめることにより離れた端部同士が接近して、固定部材35の開口部が小さくなり、外皮28dが信号ケーブル28の信号線28aに固定される。また、固定部材35は、例えば、金属で構成される。固定部材35を構成する金属には合金も含まれる。
【0052】
また、内視鏡撮像装置20に使用している信号ケーブル28は、上述のように、複数の信号線28aを外皮28dで束ねた構造をしており、信号線28aは破損しやすいため、外皮28d又は連結部材29により保護が必要である。連結部材29は金属等で形成されており、連結部材29の保持部29dは剛性の変化が急激であり、信号ケーブル28への負荷が大きく集中する。このため、内視鏡の湾曲動作又は他の内容物との摺動により外皮28dがずれて信号線28aが連結部材29外に露出すると、連結部材29の保持部29d近傍において信号線28aの破損が発生する。
しかしながら、信号ケーブル28の外皮28dに固定部材35を設けることにより、信号ケーブル28の外皮28dの固定強度を高くした上で、保護チューブ37を、上述のように連結部材29に対してオーバーラップさせて固定することにより、信号ケーブル28の外皮28dの接着面積が減った分を固定部材35の固定強度で補填し、保護チューブ37で連結部材29の保持部29d付近の強度を向上させる。これにより、信号ケーブル28の接合強度が高く、信号ケーブル28の接合の信頼性が高い内視鏡撮像装置20が得られる。これにより、信号ケーブル28の断線も抑制される。
【0053】
接着剤38を用いて接着固定する場合、保護チューブ37は、硬化状態の接着剤38よりも軟らかいことが好ましい。保護チューブ37が、硬化状態の接着剤38よりも軟らかいことにより、保護チューブ37が容易に曲がることができ、連結部材29の保持部29dにおいて信号ケーブル28に負荷が作用することが軽減される。接着剤38は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤であり、保護チューブ37は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で構成される。接着剤38は、エポキシ系接着剤以外に、例えば、シリコーン系接着剤、又はアクリル系接着剤を用いることができる。
【0054】
また、固定部材35の連結部材29の保持部29d側の端35bと、保護チューブ37の先端37aとの間に隙間39を設けて、保護チューブ37を配置することが好ましい。上述の隙間39を設けて、固定部材35と保護チューブ37とを設けることにより、接着剤38の接着面積を確保できる。上述の隙間39があることで、より確実に、信号ケーブル28を連結部材29に固定できる。さらには、信号ケーブル28がレンズ鏡胴22の反対側に引っ張られた場合に、固定部材35が接着剤38に引っ掛かり、信号ケーブル28の抜けが防止され、また、信号ケーブル28の破損を抑制できる。
なお、隙間39は、接着剤38の接着面積を確保できるため、0.5mm以上であることが好ましい。接着範囲が大きければ大きい程、接着強度が増すため、隙間39の上限は、特に限定されるものではない。しかしながら、内視鏡撮像装置20の構造的な制約から、隙間39の上限は3mm程度である。隙間39は、マイクロメーター又はノギスを用いて測定される。
なお、例えば、上述の固定部材35及び保護チューブ37は、それぞれの部品を所定の位置に位置決めして組み立てることのできる治具又は設備を使用して、組み立てられる。
【0055】
内視鏡撮像装置20において、撮像レンズ23から撮像素子25に取り込まれた観察像は、撮像素子25の受光面25aに結像されて電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介してプロセッサ装置16(
図1参照)に出力され、映像信号に変換され、プロセッサ装置16に接続されたモニタに観察画像が表示される。
【0056】
また、連結部材29は、例えば、信号ケーブル28を内部で保持し、かつ内側に突出した凹部29fを有し、凹部29fは、固定部材35に少なくとも一部が重なっていることが好ましい。この構成であると、連結部材29と信号ケーブル28とを接着剤38を用いて固定する際に、より強固に固定できる。さらには、凹部29fにより、連結部材29の中心と、信号ケーブル28の中心との位置決めを容易にできる。
なお、凹部29fは、例えば、連結部材29の側面部29cを局所的に絞ることにより形成される。
【0057】
内視鏡撮像装置20では、
図3に示すように、プリズム27の斜面27cは第2の屈曲部26dに対向している。撮像素子25の受光面25aに対して垂直な方向、
図3ではZ方向から見た際に、プリズム27の斜面27cに、回路基板26の第2の屈曲部26dの少なくとも一部が重なることが好ましい。これにより、プリズム27の斜面27c側のスペースに、第2の屈曲部26dが入り込む形態となり、プリズム27の斜面27c側のスペースを有効利用して、内視鏡撮像装置20の光軸C方向の長さを短くでき、内視鏡撮像装置20を光軸C方向において小型化できる。
【0058】
内視鏡撮像装置20では、プリズム27の斜面27cの一部と回路基板26の第2の屈曲部26dの一部とが光硬化型接着剤(図示せず)で連結され、第1の屈曲部26bの一部及び/又は第2の平面部26cの一部と、信号ケーブル28の一部及び/又は第3の平面部26eとが、光硬化型接着剤(図示せず)で連結されていることが好ましい。これにより、回路基板26の形状を維持でき、内視鏡撮像装置20の製造時間を短縮できる。
光硬化型接着剤は、例えば、波長100~400nm程度の紫外光、波長400超780nm未満程度の可視光波長、又は780nm~1mm程度の赤外光等により硬化する接着剤である。光硬化型接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系光硬化型接着剤、アクリル樹脂系光硬化型接着剤、又はシリコーン系光硬化型接着剤である。また、光硬化と熱硬化が併用される接着剤でもよい。この光硬化型接着剤は、上述のプリズム27とカバーガラス31との接着にも利用できる。
【0059】
第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dは、いずれも曲面で構成されている。第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径は同じでもよく、違っていてもよい。
図4に示すように第1の屈曲部26bの方が第2の屈曲部26dよりも曲率半径が大きい。第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径を調整することにより、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間のスペース、及び第2の平面部26cと第3の平面部26eとの間のスペースを調整できる。
第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dは、曲面を有する構成であれば、曲面だけで構成されていることに限定されるものではなく、例えば、平面と曲面とを有する構成でもよい。
曲率半径は、以下のようにして得られる。まず、側面方向からの回路基板26の画像を取得する。取得した画像を用いて、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径に該当する該当箇所を特定する。該当箇所に、曲線を当てはめ、その曲線の曲率半径を定規を用いて測定する。その測定値が曲率半径である。
なお、上述の曲率半径の測定には、取得した回路基板26の画像をコンピューターに取り込んで、ソフトウェアを用いて、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径を測定することも含まれる。曲率半径に該当する該当箇所に、曲線を当てはめ、その曲線の曲率半径を定規を用いて測定することには、コンピューター上でソフトウェアを用いて実施することも含まれる。
【0060】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の内視鏡撮像装置及び内視鏡について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0061】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
14 光源装置
16 プロセッサ装置
20 内視鏡撮像装置
22 レンズ鏡胴
23 撮像レンズ
24 保持具
24a 取付筒部
24b フランジ部
24c 規制部材
25 撮像素子
25a 受光面
26 回路基板
26a 第1の平面部
26b 第1の屈曲部
26c 第2の平面部
26d 第2の屈曲部
26e 第3の平面部
26f 表面
26g 裏面
26h 裏面
27 プリズム
27a 入射面
27b 出射面
27c 斜面
27e 反射面
28 信号ケーブル
28a 信号線
28b 被覆層
28c シールド導体
28d 外皮
29 連結部材
29a アーム部
29b 基部
29c 側面部
29d 保持部
29e 後端面
29f 凹部
29g 縁
29h 先端部
30、30a 電子部品
31 カバーガラス
34 バンプ
35 固定部材
35b 端
37 保護チューブ
37a 先端
38 接着剤
39 隙間
50、55、56 保護テープ
50a、55a、56a 外周
52 基材
52a、54a 表面
54 粘着層
55b、56b 凸部
56c 凹部
C 光軸
Di 入射範囲
Dm 領域
Dt 範囲
Ls 光