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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150263
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液状食品用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20231005BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20231005BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D77/06 D
B65D33/38
B65D33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059281
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】西村 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】桑垣 傳美
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA22
3E064BB03
3E064EA01
3E064FA04
3E064HF03
3E064HG01
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E067AA03
3E067AB28
3E067AC20
3E067BA05C
3E067BA12B
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC03B
3E067BC08C
3E067CA07
3E067CA24
3E067DA08
3E067EA06
3E067EB32
3E067EE18
3E067EE40
3E067EE41
3E067FA04
3E067FC01
3E067GD10
(57)【要約】
【課題】プラスチック使用量の削減に貢献しうる、とくに液体調味料といった液状食品用として好適な液状食品用容器を提供する。
【解決手段】液状食品用容器10は、液状食品M用の容器であって、液状食品Mが内容物として充填される袋容器20と、該袋容器20を保持するホルダー30と、を備える。ホルダー30は、袋容器20が装着される筐体31と、当該ホルダー30を平坦面上で自立させる形状に形成された筐体31の底部32と、該底部32または筐体31の側部に形成された、袋容器20を出し入れ可能な大きさの開口部33と、袋容器20の一部を係止させて当該袋容器20の姿勢を保つ係止部37と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状食品用の容器であって、
前記液状食品が内容物として充填される袋容器と、
該袋容器を保持するホルダーと、
を備える、液状食品用容器。
【請求項2】
前記ホルダーは、
前記袋容器が装着される筐体と、
当該ホルダーを平坦面上で自立させる形状に形成された前記筐体の底部と、
該底部または前記筐体の側部に形成された、前記袋容器を出し入れ可能な大きさの開口部と、
前記袋容器の一部を係止させて当該袋容器の姿勢を保つ係止部と、
を備える、請求項1に記載の液状食品用容器。
【請求項3】
前記筐体の側部に形成された前記開口部の縁部の少なくとも一部が、当該開口部側に向けて突出する形状に形成されている、請求項2に記載の液状食品用容器。
【請求項4】
前記縁部は、少なくともその一部が、前記筐体に装着された満充填状態の前記袋容器の外郭を超えて突出するように形成されている、請求項3に記載の液状食品用容器。
【請求項5】
前記縁部は、前記開口部の両側に位置して対向する対の縁からなり、対向する前記縁部は、これら縁部どうしをつなぐ仮想面を、前記筐体に装着された満充填状態の前記袋容器の外郭が超えない位置まで突出するように形成されている、請求項4に記載の液状食品用容器。
【請求項6】
前記筐体は、前記内容物が充填された前記袋容器を保持するに足る強度を備えている、請求項2に記載の液状食品用容器。
【請求項7】
前記袋容器には、当該袋容器を傾けた状態とすることで充填された前記内容物を吐出する吐出口が設けられている、請求項2に記載の液状食品用容器。
【請求項8】
前記袋容器の口部に、前記吐出口を備えた吐出キャップが取り付けられている、請求項7に記載の液状食品用容器。
【請求項9】
前記吐出口を開閉するヒンジタイプまたはスクリュータイプのオーバーキャップが取り付けられている、請求項8に記載の液状食品用容器。
【請求項10】
前記吐出キャップは、前記口部に螺合するスクリュータイプである、請求項8に記載の液状食品用容器。
【請求項11】
前記ホルダーの前記係止部に係合する被係止部が、前記口部の周囲または前記吐出キャップに形成されている、請求項8から10のいずれか一項に記載の液状食品用容器。
【請求項12】
前記吐出口には内容物を所定の方向へ注ぎやすくする注ぎ部が形成されていて、前記係止部および前記被係止部は、前記注ぎ部が所定の方向を向いた状態でのみ係止状態となるように形成されている、請求項8から10のいずれか一項に記載の液状食品用容器。
【請求項13】
前記内容物がしょうゆ含有調味料である、請求項1から10のいずれか一項に記載の液状食品用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状食品用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海洋汚染や地球温暖化の影響がますます深刻化する状況下、世界中でプラスチック削減の動きが活発化している。その中には、洗剤などの容器を、従来のようなボトル型の容器からフィルム容器にすることでプラスチック使用量の削減を目指す、といった取り組みがあり、そのようなフィルム型の包装容器に関する新たな提案もなされている(例えば特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-47927号公報
【特許文献2】特開2018-47928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のごとく包装容器の改良が進む昨今においても、液状食品とりわけしょう油などの液体調味料を対象とした新規な容器という観点からするとまだまだ改良の余地がある。すなわち、例えばしょう油の容器としては酸化を防いで鮮度を保つようにしたPE(ポリエチレン樹脂)製やPET製の二重容器が世に知られ多く利用されるようになっているが、これらはプラスチック削減という点からすれば十分なものであるとは言い難く、かといって上記のごとき近年の新たな包装容器は、そのまま液状食品用として用いるには適していない。例示すれば、新たな包装容器としてはシャンプーなどの粘性がある日用品向けのものが提案されてはいるが、ポンプ形式のキャップが採用されているので、このようなキャップでしょうゆなどの液体調味液を吐出するとすれば適量となるようコントロールすることが難しく、また、内容物の酸化を防ぐことが難しいといった従来の課題が再び生じることになってしまい、さらには、ポンプの場合には液体を吐出させる際の狙いが定まりにくく、また、ポンプ部品の一部が金属である場合は調味料により錆びてしまうといったように、適用するには難点があった。
【0005】
そこで、本発明は、プラスチック使用量の削減に貢献しうる、とくに液体調味料といった液状食品用として好適な液状食品用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、液状食品用の容器であって、
液状食品が内容物として充填される袋容器と、
該袋容器を保持するホルダーと、
を備える、液状食品用容器である。
【0007】
上記のごとき液状食品用容器は、フィルム状の袋容器を採用した新規な構造の液状食品用の容器である。スタンディングパウチ等と称されることがあるこのような袋容器は、それ自体、液状食品などの容器として採用され実際に商品化されてきた実績はあるが、自立しにくいといった問題から、より使い勝手がよいPE製やPET製の二重容器といったボトル容器にとって代わってきたという経緯がある。こういった過去の技術をふまえつつ、本開示においては、袋容器を保持するホルダーと組み合わせた新規な構造の液状食品用容器を提案する。ここで用いるホルダーは液状食品の残量に関わらず繰り返し使用可能なものであり、液状食品を使い切った場合には袋容器のみを廃棄し、新たな袋容器をホルダーに取り付けることで繰り返し使用することができる。また、袋容器は丸めたり折りたたんだりして小さくした状態で廃棄することができるから、廃棄する際のスペース狭小化といった観点からも好ましい。しかも、袋容器を保持するホルダーとともに使用される構造であるから、袋容器単体の場合には自立しづらいという点はいくらでも改善できるので、使い勝手に劣っていたという従前の問題を解消することが可能となっている。
【0008】
上記のごとき液状食品用容器におけるホルダーは、
袋容器が装着される筐体と、
当該ホルダーを平坦面上で自立させる形状に形成された筐体の底部と、
該底部または筐体の側部に形成された、袋容器を出し入れ可能な大きさの開口部と、
袋容器の一部を係止させて当該袋容器の姿勢を保つ係止部と、
を備えていてもよい。
【0009】
上記のごとき液状食品用容器において、筐体の側部に形成された開口部の縁部の少なくとも一部が、当該開口部側に向けて突出する形状に形成されていてもよい。
【0010】
上記のごとき液状食品用容器において、縁部は、少なくともその一部が、筐体に装着された満充填状態の袋容器の外郭を超えて突出するように形成されていてもよい。
【0011】
上記のごとき液状食品用容器において、縁部は、開口部の両側に位置して対向する対の縁からなり、対向する縁部は、これら縁部どうしをつなぐ仮想面を、筐体に装着された満充填状態の袋容器の外郭が超えない位置まで突出するように形成されていてもよい。
【0012】
上記のごとき液状食品用容器において、筐体は、内容物が充填された袋容器を保持するに足る強度を備えていることが望ましい。
【0013】
上記のごとき液状食品用容器において、袋容器には、当該袋容器を傾けた状態とすることで充填された内容物を吐出する吐出口が設けられていてもよい。
【0014】
上記のごとき液状食品用容器において、袋容器の口部に、吐出口を備えた吐出キャップが取り付けられていてもよい。
【0015】
上記のごとき液状食品用容器には、吐出口を開閉するヒンジタイプまたはスクリュータイプのオーバーキャップが取り付けられていてもよい。
【0016】
上記のごとき液状食品用容器の吐出キャップは、口部に螺合するスクリュータイプであってもよい。
【0017】
上記のごとき液状食品用容器において、ホルダーの係止部に係合する被係止部が、口部の周囲または吐出キャップに形成されていてもよい。
【0018】
上記のごとき液状食品用容器において、吐出口には内容物を所定の方向へ注ぎやすくする注ぎ部が形成されていて、係止部および被係止部は、注ぎ部が所定の方向を向いた状態でのみ係止状態となるように形成されていてもよい。
【0019】
上記のごとき液状食品用容器の内容物がしょうゆ含有調味料であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プラスチック使用量の削減に貢献しうる、とくに液体調味料といった液状食品用として好適な液状食品用容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態における液状食品用容器について、ホルダーに袋容器を装着する様子から使用する(液状食品を吐出する)までのイメージを(A)~(D)に示す図である。
図2】ホルダーから取り外した使用済みの袋容器をつぶして減容した状態で廃棄するまでのイメージを(A)~(C)に示す図である。
図3】液状食品用容器の具体的な構造の一例を示す斜視図である。
図4】液状食品用容器の正面図である。
図5】液状食品用容器の右側面図である。
図6】液状食品用容器の背面図である。
図7】液状食品用容器の平面図である。
図8】液状食品用容器の底面図である。
図9】オーバーキャップを開いた状態の吐出キャップを斜め上方から見た斜視図である。
図10】オーバーキャップを開いた状態の吐出キャップを斜め下方から見た斜視図である。
図11】オーバーキャップを開いた状態の液状食品用容器を示す斜視図である。
図12】従来の使い捨て型の液状食品用容器と本願に係る使い回し型の液状食品用容器のそれぞれにおける廃棄時の重量などを比較しながら示す図である。
図13】従来の使い捨て型の液状食品用容器と本願に係る使い回し型の液状食品用容器のそれぞれにおける積算プラスチック廃棄量を比較しながら示す図である。
図14】外装体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る液状食品用容器について説明する。
【0023】
しょうゆ含有調味料をはじめとする各種液状食品用の容器として用いられうる本実施形態の液状食品用容器10は、袋容器20と、ホルダー30とで構成されている(図1等参照)。
【0024】
[袋容器]
袋容器20は、液状食品(図1において符号Mで示す)が内容物として充填される袋状の容器である。本実施形態の袋容器20は、可撓性を有するフィルム部材からなる容器本体21と、袋容器20の口部(スパウト部)20aとなる部分(たとえば頂部)に設けられた外装体22と、液状食品Mの吐出口24と、を備える。
【0025】
容器本体21は、液状食品Mが充填されると膨らみ、また、液状食品Mを使い切った後の状態で畳んだり潰したりして小さくまとめることができるようにフィルム部材で構成されている(図2(B)等参照)。また、容器本体21は、液状食品Mが充填されると膨らみ自立可能となるように構成されていると好ましい。本実施形態の容器本体21は、底部にマチ部21bを有しており(図8参照)、液状食品Mが充填されると自立可能なように膨らむ、いわゆるスタンディングパウチ型のいわゆるBLP(ボトルライクパウチ)容器である(図2(A)等参照)。なお、容器本体21をなすフィルム部材は、単層のものであってもよいし複数の層から構成されるものであってもよい。フィルムが複数の層から構成される場合、例えば、袋状に加工した際に外層をなす基材層と、内層をなすシーラント層と、基材層とシーラント層とを貼り合わせる接着剤層から構成されていてもよい。また、袋容器20の表面のデザイン等は、環境保護の観点からすればバイオマスインキなどで施されていると好適である。
【0026】
外装体22は、袋容器20の口部20aとなる部分(たとえば頂部)に設けられる部材であり、たとえば、キャップ取付部22aと、その下部に設けられた接合部22bとによって構成される(図14参照)。本実施形態の袋容器20においては、外装体22の接合部22bの外周面と容器本体21の周縁部とが貼り合わされることによって、キャップ取付部22aが容器本体21の外に突出した状態で外装体22が容器本体21に取り付けられる(図6等参照)。キャップ取付部22aには、吐出キャップ23が取り付けられる。本実施形態では、キャップ取付部22aの周囲に螺旋状のネジ部(螺合部)22cが設けられた外装体22を採用し、スクリュータイプ(捩じ込み型)の吐出キャップ23(図10等参照)をねじ構造によってこの外装体22に着脱できるようにしている。上記のような外装体22としては、射出成形法等によって作製されたものを使用できる。外装体22の材質としては、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられる。容器本体21と接合部22bとを溶着するには、ヒートシール、高周波シール、熱風シール、マイクロ波加熱、超音波シールといった手法を採用することができる。なお、図14に示す接合部22bの形状や大きさは一例にすぎず、これとは異なる形状であってもよいし、図示するものより薄いものであってもよい。また、ネジ部22cの下方には、大径の首部あるいはフランジによって構成される段部22dが形成されている(図14参照)。
【0027】
吐出キャップ23は、袋容器20の口部20aに取り付けられる部材である。本実施形態では、上記のごとく容器本体21に取り付けられた外装体22のキャップ取付部22aのネジ部22cに、キャップ側のネジ部(螺合部)23cを螺合させてスクリュータイプ(捩じ込み型)の吐出キャップ23を取り付ける構造としているが(図10図14等参照)、このような外装体22を介することなく容器本体21に吐出キャップ23を直に取り付ける構造としてもよい。あるいは、外装体22のネジ部22cに、ネジ部(螺合部)23cを螺合させるスクリュータイプ(捩じ込み型)の吐出キャップ23の他、特に図示してはいないが、押し込んで取り付ける打栓タイプの吐出キャップを採用してもよい。吐出キャップ23の天面部23tには液状食品Mを吐出するための吐出口24が設けられている(図9等参照)。吐出口24は、袋容器20を傾けた状態とすることで充填された液状食品Mが自重によって当該吐出口24から吐出される形状、大きさに設けられている(図1D等参照)。
【0028】
吐出口24は、吐出キャップ23の天面部23tから突出するように形成されている。本実施形態の液状食品用容器10において、この吐出口24は当該吐出キャップ23の中心位置からずれた位置に形成されているが(図9等参照)、中心位置に形成されていてもよい。また、吐出口24は径が一定の筒状部で構成されていてもよいし、ラッパ状に拡径するテーパ状の筒状部で構成されていてもよい(図9等参照)。吐出口24には、液状食品Mを所定の方向へ注ぎやすくする注ぎ部が形成されているとよい。本実施形態では、吐出口24の開口部を斜めにカットした略楕円状ないしは長円状の形状とし、所定の方向に液状食品Mを注ぎやすくする注ぎ部24sを形成している(図1(D)、図10等参照)。
【0029】
吐出キャップ23は、吐出口24を開閉することができるオーバーキャップ(上蓋)を備えていてもよい。本実施形態の吐出キャップ23は、吐出口24を開閉するヒンジタイプのオーバーキャップ26を備えている(図9図11等参照)。ヒンジタイプのオーバーキャップ26は、常に吐出キャップ23に繋がった状態になっていて、かつ、開閉動作を片手で行うことが可能であることから、当該オーバーキャップ26を開き、当該液状食品用容器を持ち、傾けて液状食品Mを吐出させ(図1(D)参照)、その後、オーバーキャップ26を閉めるという一連の動作を片手で行うことを可能とする。本実施形態のオーバーキャップ26には、開閉する際に指の腹などが掛かりやすいように径方向に突出した形状の指掛かり部26aが形成されている(図5図9等参照)。なお、特に図示してはいないが、ヒンジタイプのオーバーキャップ26の代わりとして、スクリュータイプのオーバーキャップ(ねじ構造によって吐出キャップ23に螺合するタイプのオーバーキャップ)を採用してもよい。なお、スクリュータイプのオーバーキャップを採用する場合は、螺合動作の中心位置(吐出キャップ23の中心となる位置)に吐出口24が配置されていることが好適である。
【0030】
本実施形態の袋容器20には被係止部27が設けられている。被係止部27は、ホルダー30の係止部37に係止するように設けられているもので、被係止部27が係止部37に係止することで、袋容器20が所定の姿勢でホルダー30に保持された状態となる(図1図5等参照)。被係止部27は、ホルダー30の係止部37に対して着脱しやすく、尚かついったん係止させた後は外れにくいように形成されていることが好適であるが、その具体的な形状や構造が特に限定されることはない。一例として、本実施形態では、外装体22のキャップ取付部22aに取り付けられた吐出キャップ23と段部22dとの間に括れた小径部が構成されるようにし、当該小径部を被係止部27として機能させるようにしている(図6等参照)。この被係止部27をホルダー30の係止部37に向け押し込み係止させると、袋容器20がホルダー30に取り付けられた状態となる。こうすることで、袋容器20は、吐出キャップ23を介してその自重をホルダー30によって支えられつつ保持された状態となる(図6等参照)。なお、ここで説明した被係止部27は一例にすぎない。この他、被係止部27は、袋容器20の口部20aの周囲であって上記とは異なる位置に形成されていてもよいし、吐出キャップ23自体に形成されていてもよい。また、ホルダー30の材料にバイオ材LDPEを混ぜる等により当該ホルダー30の剛性が低下すると、当該ホルダー30の係止部37が袋容器20の重量で撓むことがあり得る。これによって袋容器20の被係止部27が係止部37から脱落する事象を予防するために採択しうる手段には、ホルダー30をPP(ポリプロピレン)などの単一の素材で所要の剛性を確保しうるように成形するといったことが挙げられる。
【0031】
[ホルダー]
ホルダー30は、袋容器20を所定の姿勢で保持する部材である。本実施形態のホルダー30は、底部32、開口部33、抑え部34、係止部37を備えた筐体31によって構成されている(図1等参照)。
【0032】
筐体31は、吐出キャップ23や吐出口24を除く袋容器20の大部分をその内部に、収容可能な形状と大きさに形成されている。筐体31の全体形状は特に限定されるものではなく、例えば曲面と平面とを組み合わせた側面を含む比較的に単純な半円筒状の形状であってもよいし(図1図2参照)、全体として見れば中間部分がやや括れた外観をもつように複数の平面を組み合わせた持ちやすさとデザイン性の両方を加味した形状であってもよい(図3図4等参照)。また、筐体31の材質もまた特に限定されるものではなく、重量やコストなどの観点で優れる樹脂製としてもよいし、卓上などに置かれた場合の審美性やデザインなどを考慮してアルミニウム製などとしてもよい。いずれの材質であっても、筐体31は、内部に装着された袋容器20を保持するに足る強度を備えている。ただし、液状食品Mが満充填された袋容器20を保持するにあたり、その重量によって筐体31が僅かに変形することは差し支えない。また、ワンプッシュポンプディスペンサーやプッシュボトル等と呼ばれるいわゆるプッシュポンプタイプの袋容器を採用した場合、ホルダーにはプッシュ時の縦方向荷重に耐えるだけの相応の強度を備えることが求められるが、本実施形態のごとく、袋容器20を傾けた状態とすることで充填された液状食品Mを自重によって吐出させる構造の液状食品用容器10においては、ホルダー30にそこまでの強度は不要である。ただし、ホルダー30が、物流の過程において必要な縦方向の強度や、袋容器20を装着する際に必要な横方向(係止部37が広がる方向)の強度を備えていることはいうまでもない。
【0033】
筐体31の底部32は、当該筐体31が平坦面上で自立可能な形状に形成されている(図4等参照)。また、底部32は、袋容器20が装着された状態においてホルダー30が安定して自立できる大きさや形状に形成されていることが好ましい。一例として、本実施形態の筐体31は、平面視あるいは底面視において底部32の外郭形状が多角形(八角形)である(図7図8参照)。底部32は底抜けとなって開口していてもよい(図8参照)。
【0034】
開口部33は、液状食品Mが充填された状態の袋容器20を出し入れ可能な大きさに形成されている(図1等参照)。本実施形態では、筐体31に側部に開口部33を形成し、該開口部33を通じて袋容器20を出し入れすることができるようにしたホルダー30を例示しているが(図1図5等参照)、これ以外の態様、たとえば、筐体31の底部に形成された開口部33を通じて袋容器20を出し入れすることができる態様とすることもできる。ちなみに、図8に示すように筐体31の底部32が底抜けとなっている場合には、当該底抜け部分を通じて袋容器20を出し入れすることが可能となるうえ、底抜けとしたぶん樹脂材料の量を削減することも可能となる。
【0035】
抑え部34は、ホルダー30内に装着された袋容器20の側部を抑え、ホルダー30を傾けた際に当該袋容器20が振れてその一部(下部)が開口部33から出てしまうのを抑止するように形成されている。例えば本実施形態では、開口部33の下方に帯状の抑え部34として設け、必要な開口部33の大きさを確保しつつ、袋容器20の底側部を抑えてホルダー30における袋容器20の安定した姿勢が保たれるようにしている(図6図7等参照)。
【0036】
開口部33の形状および大きさは、少なくとも上記のごとく袋容器20を出し入れすることができるものであれば特に限定されないが、そのことを前提としたうえで、使用時等の便宜を図った形状や大きさとなっていてもよい。例えば本実施形態のホルダー30においては、開口部33を形成する縁部33Tの少なくとも一部(例えば、被係止部27の直下の部分33Tと、開口部33の高さの中間あたりの部分33Tとの2か所)が、当該開口部33のほうに向けて突出する形状に形成されている(図5参照)。このように縁部33Tの一部(特に、開口部33の高さの中間あたりの部分33T)が開口部33のほうに突出していると、使用時、液状食品Mが不意に多く吐出してしまうといったことが抑止されるようになる。すなわち、使用者が液状食品用容器10を片手で持ちながら傾けて所望量の液状食品Mを吐出させようとした際、掌の部分が袋容器20の側部に当たってしまって液状食品Mが余分に吐出してしまうといったことが起こり得るところ、ホルダー30の縁部33Tの一部が上記のごとく開口部33のほうに突出していれば、当該突出した領域のぶん、使用者の掌が液状食品用容器10に当たってしまい得る領域が減ることになり、結果的に、液状食品Mが使用者の意図に反して多めに出てしまうのが抑止されるようになる。
【0037】
上記のごとく、使用者の掌が液状食品用容器10に当たりうる領域を減少させるという観点からすれば、開口部33の縁部33Tのうち少なくともその一部が、ホルダー30の筐体31に装着された満充填状態の袋容器20の外郭20dを超えて突出するように形成されていてもよい。また、同様の観点からすれば、縁部33Tを、開口部33の両側に位置して対向する対の縁で構成し、かつ、対向する縁部33Tどうしをつなぐ仮想面が、筐体31に装着された満充填状態の袋容器20の外郭20dを超えない位置まで突出するように形成してもよい(図1等参照)。
【0038】
係止部37は、袋容器20の一部を係止させて当該袋容器20の姿勢を保つように形成されている。このような係止部37は、袋容器20の被係止部27を着脱させやすく、尚かついったん係止させた後は外れにくいように形成されていることが好適であるが、その具体的な形状や構造が特に限定されることはない。一例として、本実施形態では、筐体31の頂部に、袋容器20の被係止部27が収まる形状および大きさの切り欠きを設け、係止部37としている(図7等参照)。係止部37のうち被係止部27を出し入れする入口に当たる部分に、入口幅を少し狭めるように突出する突起部37tを設けてもよい(図1(A)等参照)。このような突起部37tは、いったん係止させた後の被係止部27が係止部37から外れにくいように機能しうる。
【0039】
なお、本実施形態で示しているのは被係止部27が円形であり、袋容器20が360度どの方向を向いているかにかかわらず係止部37に着脱可能な形態であるが(図1(B)、図7等参照)、被係止部27を非円形とし、係止部37を被係止部27の形状に合わせて異形とすることで、被係止部27が所定の向きであるときのみ係止部37に係止しうるような構成としてもよい。こうすることで、例えば、オーバーキャップ26がホルダー30の開口部33のほうに開き(図11等参照)、吐出口24の注ぎ部24sが開口部33とは反対となるほうを向くといったように(図1(D)参照)、実際に想定される使用の態様に合わせた構造(別言すれば、開口部33が上向きとなるように傾けて使用してほしいのであれば、それに適した構造)とすることができる。
【0040】
上記のごとき液状食品用容器10は、フィルム状といった袋容器20をいわばカートリッジ式のホルダー30で保持するという新規な構造の液状食品用の容器であり、液状食品Mを使い切った場合には袋容器20のみを廃棄し、新たな袋容器20をホルダー30に装着することで繰り返し使い回すことが可能である(図1等参照)。また、袋容器20は丸めたり折りたたんだりして小さくした状態で廃棄することができるから、廃棄する際のスペース狭小化といった観点において好ましいといえる(図2等参照)。ちなみに、ボトル容器をいわゆるスタンディングパウチのようにする(パウチ化する)ことは樹脂使用料削減や廃棄物減容化に資する反面、とくに液状食品Mの残量が減ると容器が自立しにくくなり使い勝手が劣ってしまうというように逆行する要素があるが、この点、本実施形態の液状食品用容器10は、ホルダー30と組み合わせる(ホルダー化する)ことにより、このような課題をも同時に解決しうるものであるということができる。
【0041】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【実施例0042】
従来、液状食品用として用いられている樹脂製容器のひとつであるいわゆるデラミ容器(液状食品Mが収容された内容器(内層)と、該内容器が積層された外容器(外層)とを有する積層剥離容器)を使い捨てするときの廃棄量と、いわゆるBLP(ボトルライクパウチ)型の袋容器20とホルダー30との組み合わせからなる液状食品用容器10を使ったときの廃棄量とを計算した。1回目廃棄時の廃棄物の総重量と、2回目廃棄時の廃棄物の総重量とを算出した結果の一例を図12に示す。また、1回目から10回目まで廃棄した場合における積算プラスチック廃棄量の計算結果の一例を図13に示す。これらの結果、本実施形態にて説明した袋容器20とホルダー30との組み合わせからなる液状食品用容器10を繰り返し使うとプラスチック廃棄量を大きく減少させることが可能であることが認められた。
【符号の説明】
【0043】
10…液状食品用容器
20…袋容器
20a…口部
20d…袋容器の外郭
21…容器本体
21b…マチ部
22…外装体
22a…キャップ取付部
22b…接合部
22c…ネジ部(螺合部)
22d…段部
23…吐出キャップ(吐出口を形成する部品、吐出部材)
23c…ネジ部(螺合部)
23t…天面部
24…吐出口
24s…吐出口の注ぎ部
26…オーバーキャップ(上蓋)
26a…指掛かり部
27…被係止部
30…ホルダー
31…筐体
32…底部
33…開口部
33T…開口部の縁部
34…抑え部
37…係止部
37t…突起部
M…液状食品(内容物)
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