(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150486
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】タンクおよびタンク構造体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F17C13/00 301C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059614
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】坂口 善樹
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB14
3E172BB17
3E172BC03
3E172BC06
3E172BC08
3E172CA12
3E172EA02
3E172EA43
3E172EB02
3E172EB13
(57)【要約】
【課題】水素ガスを供給する際の安全性を向上できるタンクおよびタンク構造体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】略円筒形状の本体1aとこの本体1aの一端に形成される口金2とを備えたタンク1を、複数組み合わせて構成されるタンク構造体6を製造する製造方法において、タンク1が本体1aの他端に形成される第二口金2aを予め有していて、タンク1の軸方向yが互いに平行となる状態であり且つタンク1の軸方向yの一方側に複数の口金2が位置して他方側に複数の第二口金2aが位置する状態で、複数のタンク1が組み合わされる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状の本体と、この本体の一端に形成される口金とを備えたタンクにおいて、
前記本体の他端に形成される第二口金を備えることを特徴とするタンク。
【請求項2】
略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせて構成されるタンク構造体において、
前記タンクが前記本体の他端に形成される第二口金を有していて、
前記タンクの軸方向が互いに平行となる状態であり且つ前記タンクの軸方向の一方側に複数の前記口金が位置して他方側に複数の前記第二口金が位置する状態で、複数の前記タンクが組み合わされていることを特徴とするタンク構造体。
【請求項3】
複数の前記口金に連結される第一配管と、複数の前記第二口金に連結される第二配管とを備えていて、
前記第一配管が、第一統合部と、この第一統合部とそれぞれの前記口金とを連結する第一枝部とを有していて、
前記第二配管が、第二統合部と、この第二統合部とそれぞれの前記第二口金とを連結する第二枝部とを有する請求項2に記載のタンク構造体。
【請求項4】
略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせて構成されるタンク構造体を製造する製造方法において、
前記タンクが前記本体の他端に形成される第二口金を予め有していて、
前記タンクの軸方向が互いに平行となる状態であり且つ前記タンクの軸方向の一方側に複数の前記口金が位置して他方側に複数の前記第二口金が位置する状態で、複数の前記タンクが組み合わされることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスを貯留するタンクおよびタンク構造体およびその製造方法に関するものであり、詳しくは水素ガスを供給する際の安全性を向上できるタンクおよびタンク構造体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素ガスを搬送するためのタンクが種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、枠体に複数のタンクを固定していわゆるカードルと呼ばれるユニットを構成して、このユニットを並列に連結して、水素ガスを駆動源に供給する構成が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の構成は、並列に並べられたユニットどうしを配管で連結して、且つ駆動源まで配管を延設する必要があるため、配管が比較的長くなっていた。配管が長くなるため、配管から水素ガスの漏えい等が発生する可能性を低減できなかった。配管が長くなるほど水素ガスが漏洩する可能性は高まる。
【0004】
また並列に並べられたユニットどうしを配管で連結するため、配管が複雑となり配管の分岐が多数必要であった。配管の分岐が多くなるため、分岐から水素ガスの漏えい等が発生する可能性を低減できなかった。
【0005】
配管を構成する金属は、水素を吸収して強度が低下する水素脆性の影響を受ける。配管の全長が長くなったり、分岐が多くなるほど水素脆性により配管が破損して水素ガスが漏洩する可能性が高くなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国特開2021-181790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は水素ガスを供給する際の安全性を向上できるタンクおよびタンク構造体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するためのタンクは、略円筒形状の本体と、この本体の一端に形成される口金とを備えたタンクにおいて、前記本体の他端に形成される第二口金を備えることを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するためのタンク構造体は、略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせて構成されるタンク構造体において、前記タンクが前記本体の他端に形成される第二口金を有していて、前記タンクの軸方向が互いに平行となる状態であり且つ前記タンクの軸方向の一方側に複数の前記口金が位置して他方側に複数の前記第二口金が位置する状態で、複数の前記タンクが組み合わされていることを特徴とする。
【0010】
上記の目的を達成するためのタンク構造体の製造方法は、略円筒形状の本体とこの本体の一端に形成される口金とを備えたタンクを、複数組み合わせて構成されるタンク構造体を製造する製造方法において、前記タンクが前記本体の他端に形成される第二口金を予め有していて、前記タンクの軸方向が互いに平行となる状態であり且つ前記タンクの軸方向の一方側に複数の前記口金が位置して他方側に複数の前記第二口金が位置する状態で、複数の前記タンクが組み合わされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本体の両端にそれぞれ口金と第二口金とが形成されているため、タンクどうしを直列に連結できる。配管の全長を短縮するとともに分岐の数を抑制できる。水素ガスを供給する際の安全性を向上するには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】タンク構造体の側面を例示する説明図である。
【
図5】タンク構造体の正面を例示する説明図である。
【
図6】コンテナに配置されたタンク構造体を例示する説明図である。
【
図7】複数のタンク構造体を連結した状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、タンクおよびタンク構造体およびその製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中ではタンクの軸方向を矢印y、この軸方向を直角に横断する幅方向を矢印x、上下方向を矢印zで示している。
【0014】
図1に例示するようにタンク1は、略円筒形状に形成される本体1aを備えている。本体1aは、円筒形状の胴部1bと、軸方向yにおいて胴部1bの両端に配置されていて曲面を有する閉止部1cとを有している。閉止部1cは鏡板と言われることもある。本体1aの一端、つまり一方の閉止部1cには口金2が形成されている。また本体1aの他端、つまり他方の閉止部1cには第二口金2aが形成されている。つまり軸方向yにおける本体1aの一端に口金2が形成されていて他端に第二口金2aが形成されている。口金2および第二口金2aを介して本体1aの内外を水素ガスが移動可能となっている。本体1aは例えば低合金鋼やアルミ合金などの金属で構成される。また本体1aはプラスチックで構成されてもよい。
【0015】
本体1aの軸方向yの両端に口金2および第二口金2aが形成されている。この実施形態では口金2と第二口金2aは同一軸線上に配置されている。口金2および第二口金2aの位置は上記に限定されない。軸方向yにおける本体1aの両端部に口金2と第二口金2aとがそれぞれ配置されていればよい。口金2と第二口金2aとは同一の構造を有している。
【0016】
タンク1が口金2および第二口金2aを備える構成により、複数のタンク1どうしを軸方向yに並べて直列に連結することができる。その際、一方のタンク1の口金2と他方のタンク1の第二口金2aとが配管で連結される。配管の全長を短縮するとともに分岐の数を抑制できる。タンク1から外部に水素ガスを供給したり、外部からタンク1に水素ガスの供給を受けたりする際の安全性を向上できる。
【0017】
図2に例示するようにタンク1は、タンク1の軸方向yにおける両端近傍で予め定めた位置にそれぞれ固定される接触部材3を備えていてもよい。接触部材3は、本体1aの胴部1bに固定されることが望ましい。接触部材3は、本体1aの閉止部1cに固定されてもよい。接触部材3は、金属やプラスチックで構成される。接触部材3は、本体1aと同様に低合金鋼やアルミ合金で構成されてもよい。接触部材3は本発明の必須の構成要件ではない。
【0018】
図3に例示するようにこの実施形態では、接触部材3は平面視で正六角形に形成されている。ここで平面視とはタンク1の軸方向yに見通す方向を言う。接触部材3は、正六角形を形成する六つの辺部3aを有している。辺部3aは、正六角形の外周を形成する辺を言う。接触部材3は、本体1aが貫通する貫通孔3bを中心部に有している。この実施形態では貫通孔3bは正六角形に形成されている。接触部材3は、本体1aに対して溶接により固定されている。そのため本体1aの外周面と接触部材3の貫通孔3bとの間には溶接部4が形成されている。本体1aへの接触部材3の固定方法は溶接に限定されない。本体1aの所定の位置に接触部材3を固定できれば、他の方法であってもよい。
【0019】
タンク1は搬送時や保管時に接触部材3が地面等に接触する。本体1aの外周面が地面等に接触しないので、タンク1の摩耗や破損を回避するには有利である。
【0020】
複数のタンク1において接触部材3が同一の位置に固定されている場合、複数のタンク1どうしを接近させても接触部材3どうしが接触する。タンク1の本体1aの外周面どうしが接触することを回避できる。複数のタンク1を互いに接近させた状態で配置して搬送しても、タンク1の破損等が発生しない。
【0021】
図2に例示するように本体1aが周面に配置される補強部材5を備えていてもよい。この実施形態では本体1aの胴部1bの外周面を覆う状態で補強部材5が配置されている。またタンク1の軸方向yにおいて補強部材5の両端よりも外側に接触部材3がそれぞれ固定されている。補強部材5は、例えば炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどの繊維強化プラスチックで構成できる。補強部材5は上記に限らず金属など他の材料で構成されてもよい。
図2では説明のため補強部材5に斜線を付している。
【0022】
補強部材5は必須の構成要件ではない。タンク1は、補強部材5を有さないいわゆるタイプ1と呼ばれるタンクで構成されてもよい。タンク1は、胴部1bに補強部材5を配置されたいわゆるタイプ2と呼ばれるタンクで構成されてもよい。タンク1が補強部材5を有する場合は、補強部材5の外周面を覆う状態で接触部材3が固定されてもよい。またタンク1の軸方向yにおいて、補強部材5よりタンク1の端部に近い位置であり補強部材5の配置されていない場所に接触部材3が固定されてもよい。
【0023】
図4および5に例示するようにタンク1を複数組み合わせてタンク構造体6を構成できる。
図5に例示するようにこの実施形態では中心に一つのタンク1と、幅方向xにおいて中心のタンク1の両側に配置される二つずつのタンク1とを組み合わせて、合計五つのタンク1でタンク構造体6が構成されている。接触部材3の辺部3aどうしが溶接で固定されている。接触部材3どうしの固定方法は溶接に限定されない。ボルトなど他の方法で接触部材3どうしを固定してもよい。本明細書において複数のタンク1が組み合わされるとは、タンク1どうしの相対位置が固定される状態をいう。
【0024】
図4に例示するようにそれぞれのタンク1は軸方向yが互いに平行となる状態で互いに固定されている。軸方向yにおける一方側に複数の口金2が位置して、他方側に複数の第二口金2aが位置する状態で、複数のタンク1は配置されている。つまりタンク構造体6は、軸方向yにおける一方側に複数の口金2がそろい、他方側に複数の第二口金2aがそろう状態となる。
図4では説明のため補強部材5に斜線を付している。
【0025】
燃料電池等で構成される水素ガスの供給先にタンク構造体6を連結する際には、口金2と供給先とが配管で連結される。供給先に連結されているタンク構造体6の第二口金2aと、別のタンク構造体6の口金2とを配管で連結してもよい。タンク構造体6が軸方向yに直列に連結される。燃料電池等の供給先に対して複数のタンク構造体6を連結できる。
【0026】
タンク構造体6を他のタンク構造体6や燃料電池等の供給先に連結する際に、配管の長さを抑制できる。水素ガスを供給する際の安全性を向上するには有利である。
【0027】
接触部材3どうしを固定する構成により、タンク1の胴部1bなどの外周面どうしが互いに接触しない状態で、且つ複数のタンク1が密集する状態でタンク1どうしを固定できる。単位容積あたりのタンク1の配置数を増加できるため、水素ガスを効率よく搬送するには有利である。
【0028】
タンク1どうしが固定されているため、見かけ上一つの大型タンクとして取り扱うことが可能となる。
図6に例示するように例えば海上輸送用のコンテナ7にタンク構造体6を設置することで、複数のタンク1を容易に搬送することができる。この実施形態ではタンク構造体6は18本のタンク1を備えている。
【0029】
複数のタンク1が一つのタンク構造体6として一体に構成されているため、フォークリフトやチェーンブロックを使用して、タンク構造体6を一体としてコンテナ7に載置したり、コンテナ7から取り出したりできる。タンク1を一つずつコンテナ7に載置したり取り出したりする場合に比べて、タンク構造体6を一体として取り扱う方が作業効率を向上できる。タンク構造体6をフォークリフト等で持ち上げる際には、最下段に位置する接触部材3に力をかけることが望ましい。本体1aの外周面等の劣化を抑制するには有利である。
【0030】
接触部材3がコンテナ7の床面や壁面や天面と接触するため、タンク1の本体1aの外周面や補強部材5が床面等と接触することを回避できる。本体1aの外周面を傷つけることなく、タンク構造体6をコンテナ7に設置できる。コンテナ7によるタンク1の大量搬送が可能となる。
図6では説明のためコンテナ7を破線で示している。
【0031】
図4に例示するようにタンク構造体6は、複数のタンク1の口金2に連結される第一配管8と、複数のタンク1の第二口金2aに連結される第二配管9とを備えていてもよい。第一配管8は、第一統合部8aと、この第一統合部8aとそれぞれの口金2とを連結する第一枝部8bとを有している。第二配管9は、第一配管8と同様に第二統合部9aと、この第二統合部9aとそれぞれの第二口金2aとを連結する第二枝部9bとを有している。以下、第一配管8について説明するが、第二配管9においても同様である。
【0032】
図5に例示するように第一配管8は、タンク1の軸方向yに見通したときタンク構造体6の中心部に配置される第一統合部8aと、この第一統合部8aとそれぞれのタンク1の口金2とを連結する第一枝部8bとで構成される。この実施形態では第一統合部8aは、タンク1の軸方向yに略平行となる配管で構成されている。第一配管8は高圧水素用ステンレス鋼のフレキシブル配管で構成することが望ましい。第一配管8は上記に限らず、銅管で構成されてもよい。第一統合部8aと第一枝部8bとが異なる材料で構成されてもよい。
【0033】
タンク構造体6は、複数のタンク1が第一配管8および第二配管9により予め連結される構成を有しているため、タンク構造体6の例えば第一配管8と水素ガスの供給先の配管との連結のみで水素ガスの供給を開始できる。また一方のタンク構造体6の第二配管9と他方のタンク構造体6の第一配管8との連結のみで、複数のタンク構造体6から供給先への水素ガスの供給を開始できる。タンク構造体6が第一配管8や第二配管9を備えていない場合は、複数のタンク1の口金2どうしを配管で連結する度に窒素置換等の作業が必要となる。
図4に例示する実施形態では一回の窒素置換等の作業で、複数のタンク1と水素ガスの供給先との連結を実現できる。また一回の窒素置換の作業で二つのタンク構造体6の連結を実現できる。
【0034】
水素ガスの供給先に対して複数のタンク1を連結する際に、窒素置換など必要となる作業を減らすことができる。タンク1の連結作業が簡易となるため、タンク1から外部に水素ガスを供給したり外部からタンク1に水素ガスの供給を受けたりする際の安全性を向上するには有利である。
【0035】
図5に例示するようにタンク1の軸方向yに見通したとき、第一統合部8aを中心に放射状に第一枝部8bが連結される構成となる。そのためそれぞれの第一枝部8bの長さを比較的短く構成できる。タンク構造体6の搬送時に振動等により第一配管8や第二配管9が破損することを抑制するには有利である。
【0036】
第一統合部8aは、タンク1の軸方向yに見通したときタンク構造体6の中心部に配置される構成に限定されない。タンク構造体6の中心部に第一統合部8aが配置される方が、複数の第一枝部8bの中で最長となる第一枝部8bの長さを短くできる。第一枝部8bが短いほど、タンク構造体6の搬送時に振動等により第一配管8が破損する可能性を低減できる。
【0037】
タンク構造体6において、第一配管8および第二配管9は必須の構成要件ではない。タンク構造体6の搬送が完了した後に、水素ガスの供給先で第一配管8および第二配管9がタンク構造体6に連結される構成であってもよい。
【0038】
タンク構造体6において、タンク1が接触部材3を有さず枠体に複数のタンク1が配置される構成であってもよい。枠体にタンクが固定されるいわゆるカードルとしてタンク構造体6が構成されてもよい。
【0039】
図6に例示するようにタンク構造体6は、海上輸送用のコンテナ7に配置される構成であってもよい。コンテナ7は例えば20ftコンテナで構成される。コンテナ7はこれに限らず例えば40ftコンテナや鉄道用の12ftコンテナなどで構成されてもよい。コンテナ7の大きさに合わせて、タンク構造体6の大きさは適宜調整できる。例えば18本のタンク1で構成されるタンク構造体6を40ftのコンテナ7に二つ配置する構成としてもよい。タンク構造体6はコンテナ7に固定されて、コンテナ7と一体となる状態としてもよい。タンク構造体6がコンテナ7に配置される構成により、例えばコンテナクレーンやフォークリフトなどコンテナ7の荷役用の設備を利用してタンク構造体6を荷役したり搬送したりすることが可能となる。
【0040】
図7に例示するように水素ガスの供給先である燃料電池等の機器10に対して、コンテナ7に配置されるタンク構造体6を直列に連結して配置することができる。
図7ではタンク構造体6を平面視で示すとともに、説明のためコンテナ7を破線で示している。
【0041】
まず機器10の近傍に配置されるコンテナ7の扉を開けて、機器10にタンク構造体6の第一配管8を連結する。このとき配管内の空気を窒素に置換する窒素置換を行う。その後、第一配管8およびタンク1の口金2の少なくとも一方に配置される弁を開放する。タンク構造体6の水素ガスが機器10に供給される。コンテナ7の扉に配管が通過する開口部を形成してもよい。コンテナ7の扉を開けることなく、機器10とタンク構造体6とを連結できる。
【0042】
タンク構造体6を追加する場合は、機器10に連結されているタンク構造体6の第二配管9と追加されるタンク構造体6の第一配管8とを連結する。この連結部分における窒素置換を行った後に、連結される二つのタンク構造体6の図示しない弁を開放する。この場合二つのタンク構造体6から機器10に水素が供給される。
【0043】
機器10に連結されるタンク構造体6の数を増やしても、配管の長さがほとんど増加しない。また配管の分岐の数が増加しない。機器10側の設備として配管を備えている必要がない。タンク構造体6から機器10に水素ガスを供給する際の安全性を向上するには有利である。複数のタンク構造体を並列に連結する場合には、機器10側の設備として比較的長い配管が必要であり、この配管の管理を行う必要があった。
【0044】
機器10から近い位置に連結されるタンク構造体6から水素ガスを機器10に供給しつつ、機器10から遠い位置に連結されるタンク構造体6を交換することができる。機器10への水素ガスの供給を維持しつつ、タンク構造体6の交換が可能となる。水素ガスの供給先である機器10の代わりに、タンク構造体6に対して水素ガスを供給するディスペンサー等の水素供給源を配置してもよい。水素供給源からタンク構造体6に水素ガスを供給する際の安全性も上記と同様に向上できる。
【符号の説明】
【0045】
1 タンク
1a 本体
1b 胴部
1c 閉止部
2 口金
2a 第二口金
3 接触部材
3a 辺部
3b 貫通孔
4 溶接部
5 補強部材
6 タンク構造体
7 コンテナ
8 第一配管
8a 第一統合部
8b 第一枝部
9 第二配管
9a 第二統合部
9b 第二枝部
10 機器
x 幅方向
y 軸方向
z 上下方向