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特開2023-150538ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル、成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150538
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル、成形体
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/672 20060101AFI20231005BHJP
   C08G 65/34 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
C08G63/672
C08G65/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022059692
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 未紗子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 美聡
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 康子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 志成
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】下川 隆一
【テーマコード(参考)】
4J005
4J029
【Fターム(参考)】
4J005AA21
4J005BA00
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB07
4J029AC03
4J029AE03
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA08
4J029BA10
4J029BB06A
4J029BB10A
4J029BB13A
4J029BD03A
4J029BD04A
4J029BD07A
4J029BF09
4J029BF25
4J029BF27
4J029BH02
4J029CA01
4J029CA02
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CB10A
4J029CC06A
4J029CD03
4J029CE04
4J029CF08
4J029CF13
4J029CF19
4J029CG06
4J029CH02
4J029CH07
4J029DB02
4J029DB13
4J029HA01
4J029HB01
4J029JE182
(57)【要約】
【課題】熱安定性及び柔軟性に優れた共重合ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを提供する。
【解決手段】ジカルボン酸に由来する構造単位、ジオールに由来する構造単位及び下記式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位を有し、該ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000である、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
HO-(R-O)n-(R-O)-H (1)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジカルボン酸に由来する構造単位、ジオールに由来する構造単位及び下記式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位を有し、該ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000である、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
HO-(R-O)n-(R-O)-H (1)
(式中、Rは、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオールの炭化水素基、あるいは、2~6の炭素原子からなるアルキレン基であり、Rは炭素数6~18のアルキレン基を示す。n、mは式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000の範囲内であり、n/(n+m)が0.1以上となる値を示す。)
【請求項2】
前記ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の前記ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の含有量が10~80質量%である、請求項1に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
【請求項3】
前記ジカルボン酸に由来する構造単位が、芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸に由来する構造単位を含む、請求項1又は2に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
【請求項4】
前記ジオールに由来する構造単位が炭素数2~8の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
【請求項5】
2種以上のジオールからなるポリアルキレンエーテルグリコール成分に由来する構造単位を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
【請求項6】
炭素数8~15のジオール成分に由来する構造単位と炭素数36~44のジオール成分に由来する構造単位を有するポリアルキレンエーテルグリコールからなる、請求項5に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを含む、成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアルキレンエーテルグリコールを共重合したポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル、および、該共重合ポリエステルを含む成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル樹脂は、その優れた機械的特性や化学的特性から、工業的に重要な位置を占めている。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート(PBT)等の芳香族ポリエステルは、耐熱性、耐薬品性に優れた樹脂で、成形加工の容易さと経済性から、繊維、フィルム、シート、ボトル、電気電子部品、自動車部品、精密機器部品等の押出成形用途、射出成形用途等の分野で広く使用されている。しかし、近年、ポリエステルの基本特性を維持しつつ、柔軟性や低温特性、そして耐衝撃性といった新たな機能を付与したポリエステルが求められるようになった。またそのようなポリエステルを効率的に製造することが望まれている。
【0003】
例えば、PBTにおいては、その物性改良のため、これまで数多くの共重合成分の検討がなされてきたが、実用化に至るケースは極めて限定的であった。これは、共重合成分がPBT鎖中にランダム的に組み込まれやすく、PBTの融点降下や結晶化速度の低下を引き起こし、PBT本来の高い融点、易成形性等の長所を打ち消す方向に作用するためである。
一方、共重合成分がPBT鎖にブロック的に組み込まれた場合には、導入割合に対応する融点降下の作用が小さいため、PBTの融点を低下させずに各種物性の改質を行うことができる。その代表的な共重合成分として、ポリテトラメチレングリコール(以下「PTMG」と称する。)が知られている(特許文献1)。すなわち、結晶性であるPBTをハードセグメントとして、ソフトセグメントであるPTMGを共重合することで、PBTに柔軟性を付与することができる技術が知られており、現在ではフィルム分野等で広く使用されている。その一例として、特許文献2には、PTMGの含有量が10重量%であるPTMG共重合体を積層フィルムの一層として使用した例が記載されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、PTMGセグメントは、適正範囲を超える熱が加わると、分解ガスとして揮発性、引火性、有害性あるテトラヒドロフラン(THF)を発生するという欠点がある。この特性は、物性面においては樹脂の熱分解温度の低下、分解ガスの発生といったネガティブな結果をもたらす。そして、加工面においては溶融成形中に、発生したTHF気泡が樹脂中に混入するという問題を引き起こす。
【0005】
特許文献3ではアルキレン鎖の長いポリアルキレンエーテルグリコールとポリエステルとの共重合により高温下でも有害なガスが発生しない、すなわち熱安定性に優れた共重合ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの例が記載されている。しかしながら、熱安定性と、柔軟性等の機械物性との両立を図ることができず、実用面での改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭49-31795号公報
【特許文献2】特開2007-307708号公報
【特許文献3】特開2020-147744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
熱安定性及び柔軟性に優れた共重合ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、特定の構造単位を有するポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルが優れた熱安定性及び柔軟性を有し、これらの課題が克服できることを知見し、本発明に到達した。
即ち本発明の要旨は以下である。
【0009】
[1] ジカルボン酸に由来する構造単位、ジオールに由来する構造単位及び下記式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位を有し、該ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000である、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
HO-(R-O)n-(R-O)-H (1)
(式中、Rは、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオールの炭化水素基、あるいは、2~6の炭素原子からなるアルキレン基であり、Rは炭素数6~18のアルキレン基を示す。n、mは式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000の範囲内であり、n/(n+m)が0.1以上となる値を示す。)
【0010】
[2] 前記ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の前記ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の含有量が10~80質量%である、[1]に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
[3] 前記ジカルボン酸に由来する構造単位が、芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸に由来する構造単位を含む、[1]又は[2]に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
[4] 前記ジオールに由来する構造単位が炭素数2~8の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む、[1]から[3]のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
【0011】
[5] 2種以上のジオールからなるポリアルキレンエーテルグリコール成分に由来する構造単位を有する、[1]から[4]のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
[6] 炭素数8~15のジオール成分に由来する構造単位と炭素数36~44のジオール成分に由来する構造単位を有するポリアルキレンエーテルグリコールからなる、[5]に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル。
[7] [1]~[6]のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを含む、成形体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、熱安定性及び柔軟性に優れたポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されるものではない。なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において「主成分とする」とは、当該成分の70モル%以上を占めることを意味する。例えば、「テレフタル酸成分を主成分として含むジカルボン酸成分」とは、ポリエステルを構成する全酸成分の70モル%以上がテレフタル酸成分であることを意味する。
また、「ジカルボン酸成分」とは、「ジカルボン酸成分に由来してポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中に組み込まれる構成単位」との意味合いでも用いられる。「ジオール成分」、「ポリアルキレンエーテルグリコール成分」についても同様である。
なお、本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合エステルは、ポリアルキレンエーテルグリコール成分を含まないポリエステルと混合した組成物として用いてもよい。
【0014】
<ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル>
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルは、ジカルボン酸に由来する構造単位、ジオールに由来する構造単位及び下記式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位を有する。
HO-(R1-O)-(R-O)-H (1)
(式中、Rは、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオールの炭化水素基、あるいは2~6の炭素原子からなるアルキレン基であり、Rは炭素数6~18のアルキレン基を示す。n、mは式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000の範囲内であり、n/(n+m)が0.1以上となる値を示す。なお、「R-O」および「R-O」の共重合形態は、ブロックでもランダムでもよい。)
【0015】
(ジカルボン酸成分)
本発明に用いるジカルボン酸成分としては、下記に記載するジカルボン酸並びにそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。またこれらは、石油化学法及び/又はバイオマス資源由来の発酵工程を有する製法によって製造されたものを用いることもできる。ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としてはジカルボン酸の低級アルコールエステルの他、酸無水物や酸塩化物等のエステル形成性誘導体が好ましい。ここで、低級アルコールとは、通常、アルキル基の炭素数が1~4の直鎖式もしくは分岐鎖式のアルコールを指す。
本発明に用いるジカルボン酸成分としては、特に限定されないが、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族鎖式ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体;ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(1,4-DMCD)等の脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体;テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ジブロモイソフタル酸、スルホイソフタル酸ナトリウム、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びテレフタル酸メチルエステル(DMT)等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等が挙げられる。
また、ジカルボン酸成分としては、フランジカルボン酸ジメチル(FDCM)などの複素環式芳香族ジカルボン酸を挙げることもできる。
また、前記エステル形成性誘導体としては、前記のほかに例えば無水コハク酸、無水アジピン酸等の無水物等が挙げられる。
これらのなかでも得られるポリエステルの物性の面から、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、テレフタル酸ジメチルエステル(DMT)等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(1,4-DMCD)等の脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体等が好ましく、特にテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルが好ましい。上述のジカルボン酸を主成分として含むことが好ましい。
これらのジカルボン酸成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0016】
(ジオール成分)
本発明を用いるジオール成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール(1,4-BG)、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール等の直鎖式脂肪族ジオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール(1,4-CHDO)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHDM)等の環式脂肪族ジオール;キシリレングリコール、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオール;イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、エリトリタン等の植物原料由来のジオール等が挙げられる。
なお、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-BG等もバイオマス資源由来のものを使用することができる。
これらの中でも得られるポリエステルの物性の面から、1,4-BG、1,4-CHDO、1,4-CHDM等の炭素数2~8の脂肪族ジオールが好ましく、特に1,4-BG、1,4-CHDMが好ましい。
【0017】
これらのジオール成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
これらのジオール成分はジカルボン酸成分と組み合わさって、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルのハードセグメントを構成する。
なお、ジオールに由来する構造単位の量は後述のポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位と合算したグリコール全体のモル量がジカルボン酸に由来する構造単位のモル量と概ね等しくなるような量とする。ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルが「その他の共重合可能な成分」を含む場合は、この量を加味してジオール成分の量を定める。
【0018】
(ポリアルキレンエーテルグリコール成分)
本発明に用いるポリアルキレンエーテルグリコールは下記式(1)で表される構造を有する。
HO-(R-O)-(R-O)-H (1)
(式中、Rは、不飽和脂肪酸を二量体化して得られる環式及び非環式二量体酸を還元して得られるアルコール中に通常存在する36~44の炭素原子を含む二量体ジオールの炭化水素基、あるいは2~6の炭素原子からなるアルキレン基であり、Rは炭素数6~18のアルキレン基を示す。n、mは式(1)で表されるポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の数平均分子量が500~5,000の範囲内であり、n/(n+m)が0.1以上となる値を示す。なお、「R-O」および「R-O」の共重合形態は、ブロックでもランダムでもよい。)
【0019】
例えば特開2020-147744号公報に記載された製造方法によるものを使用することができる。具体的には、例えば1,10-デカンジオールを原料とする重縮合反応を用いてポリデカメチレングリコールを製造するように、適当な炭素数のアルキレン鎖を持つ1種類もしくは2種類のアルキレンジオールから適当な炭素数のアルキレン鎖を持つポリアルキレンエーテルグリコールを製造する。末端の一部がスルホン酸となっている場合は、このポリアルキレンエーテルグリコールを酸性または塩基性の水溶液中、温度、触媒種、触媒量、反応温度、反応時間等の条件を調節して加水分解することで、適当なアルキレン鎖の炭素数、及び適当な分子量を持つポリアルキレンエーテルグリコールを得ることができる。
【0020】
(ポリアルキレンエーテルグリコールの特徴)
本発明に係るポリアルキレンエーテルグリコール成分は、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルのソフトセグメントを構成するものであり、前記式(1)における(R)の炭素数を6以上とすることを特徴とする。ソフトセグメントとして用いるポリアルキレンエーテルグリコールのアルキレン鎖(R)の炭素数を6以上とすることで、熱分解し易いエーテル結合の、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル全体に対する数濃度を減少させることができ、また、エーテル結合切断時に、安定な環状エーテルの発生を抑え、熱安定性を向上させることができる。また、前記式(1)における(R)を不飽和脂肪酸の二量体である環式又は非環式二量体酸が還元された炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基あるいは2~6の炭素原子からなるアルキレン基とすることで、ポリアルキレンエーテルグリコールの規則性を乱し結晶性および融点を低下させることができソフトセグメントとして好ましい。
【0021】
のアルキレン基の炭素数としては、下限は6以上であり、8以上が好ましく、上限は18以下であり、15以下が好ましい。また、Rのアルキレン基としては、炭素数36~44の二量体ジオールに由来する2価の炭化水素基、または炭素数6以下であり、好ましくは3以下である2価の炭化水素基である。
【0022】
具体的には非環式二量体酸を還元して得られた分岐構造を有する二量体ジオールとしては、下記構造式で表される化合物(あくまで一実施形態であり、この化合物に限定されるものではない。)が挙げられる。
【0023】
【化1】
【0024】
環式二量体酸を還元して得られた環状構造を有する二量体ジオールとしては、下記構造式で表される化合物(あくまで一実施形態であり、この化合物に限定されるものではない。)が挙げられる。
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
また、本発明におけるポリアルキレンエーテルグリコール成分の数平均分子量は500~5,000で、好ましくは600~4,000、より好ましくは700~3,000である。数平均分子量がこの範囲であると、共重合ポリエステル製造時の反応性が良好であり、共重合による融点降下の程度が小さく、機械的特性等が良好な共重合ポリエステルを得ることができる。
【0030】
なお、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の数平均分子量の測定方法は、後述の実施例の項に記載される通りである。ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量は、それを製造するときの反応温度、反応時間、触媒量等により制御することができる。
これらのポリアルキレンエーテルグリコール成分は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
ポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位の、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の含有量、即ち、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルにおける共重合割合は好ましくは10~80質量%、より好ましくは15~70質量%、更に好ましくは20~65質量%である。ポリアルキレンエーテルグリコール成分の共重合割合がこの範囲であると、熱安定性に優れ、柔軟性と融点のバランスがよいポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを得ることができる。
【0031】
式(1)において、n/(n+m)は、0.1以上となる値を示し、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上である。
また、ポリアルキレンエーテルグリコール成分は、2種以上のジオールからなることが好ましい。この点で、上記n/(n+m)は、上限が、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。
【0032】
(その他の共重合可能な成分)
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルは、前記のジカルボン酸に由来する構造単位、ジオールに由来する構造単位、及びポリアルキレンエーテルグリコールに由来する構造単位に加えて、必要に応じその他の共重合可能な化合物に由来する構造単位を含んでもよい。
本発明でポリエステルの原料として使用可能なその他の共重合可能な化合物としては、グリコール酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸;ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t-ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能カルボン酸;トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸等の三官能以上の多官能カルボン酸;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能アルコール等が挙げられる。その他の共重合可能な化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
【0033】
その他の共重合可能な化合物に由来する構造単位のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の含有量は、酸にあっては全カルボン酸成分に対し、水酸基化合物にあっては全ジオール成分に対し、好ましくは10モル%未満、より好ましくは5モル%未満である。かかる範囲にあることによって、共重合による融点降下の程度が小さく、機械的特性等が良好な共重合ポリエステルを得ることができる。
【0034】
<ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの製造方法>
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルは、ジカルボン酸、ジオール及びポリアルキレンエーテルグリコールと、必要に応じて用いられるその他の共重合可能な化合物を出発物質として、エステル交換反応及び/又はエステル化反応工程、及びこの反応により得られたオリゴマーの重縮合反応、更に必要に応じて固相重縮合を行う重縮合工程を経てポリエステルを得る方法により製造することができる。
【0035】
(エステル交換反応及び/又はエステル化反応)
本発明においては、第1段階として、ジカルボン酸と、ジオール及びポリアルキレンエーテルグリコールとの間のエステル交換反応及び/又はエステル化反応を行う。
通常、ジカルボン酸とポリアルキレンエーテルグリコールは、エステル交換反応及び/又はエステル化反応に続く後述の重縮合反応おいて留去されることはないが、ジオールには、重縮合反応において留去されるものとされないものがある。
重縮合反応において留去できるジオールを用いる場合には、ジオールとポリアルキレンエーテルグリコールとを合算したグリコール全体のモル量をジカルボン酸のモル量よりも多少多く使用して、エステル交換反応及び/又はエステル化反応において全てのジカルボン酸を反応させた後、重縮合反応時に未反応のジオールを留去するのがよい。
一方、重縮合反応において留去できないジオールを用いる場合、重縮合反応を十分に進めるためには、使用するジオールとポリアルキレンエーテルグリコールとを合算したグリコール全体のモル量を、ジカルボン酸のモル量とほぼ等しくするのがよい。
【0036】
すなわち、ジオールとポリアルキレンエーテルグリコールとを合算したグリコール全体の使用量は、1,4-BG等の重縮合反応において留去できるジオールを用いる場合、ジカルボン酸1モルに対して、1.1~3.0モルであることが好ましく、さらには1.1~1.5モルが好ましい。この値が小さすぎると、重縮合反応が十分に進行しない傾向があり、大きすぎると例えば1,4-BGの分解によるTHFの生成が増える傾向がある。また、1,4-CHDM等の重縮合反応において留去できないジオールを用いる場合、ジカルボン酸1モルに対して、0.9~1.1モルであることが好ましく、さらには0.98~1.02モルが好ましい。この値が小さすぎても大きすぎても、重縮合反応が十分に進行しない傾向がある。
【0037】
この第1段階の反応に用いる触媒としては、例えば、三酸化二アンチモン等のアンチモン化合物;二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物;テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタンアルコラート、テトラフェニルチタネート等のチタンフェノラート等のチタン化合物;ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、シクロヘキサヘキシルジスズオキサイド、ジドデシルスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、トリフェニルスズハイドロオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート等のスズ化合物;酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウム等のマグネシウム化合物や、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキサイド、燐酸水素カルシウム等のカルシウム化合物等の周期表第2A族金属の原子を含む金属化合物の他、マンガン化合物、亜鉛化合物等が挙げられる。中でも、チタン原子及び周期表第2A族金属の原子を含む金属化合物が好ましく、特に、チタン化合物、スズ化合物が好ましく、テトラブチルチタネートが特に好ましい。これらの触媒は、単独でも2種以上混合して使用することもできる。
【0038】
これらの反応触媒は、製造されたポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルに含まれる該反応触媒由来の金属濃度が下記の範囲内となるように添加するのが好ましい。
エステル交換反応の場合、これらの触媒の使用量は、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量として、通常1~300質量ppm、好ましくは5~250質量ppm、さらに好ましくは10~200質量ppm、特に好ましくは20~175質量ppm、最も好ましくは25~150質量ppmである。エステル化反応の場合、これらの触媒の使用量は、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量として、通常1~300質量ppm、好ましくは5~200質量ppm、さらに好ましくは1~100質量ppm、特に好ましくは20~90質量ppm、最も好ましくは30~70質量ppmである。
エステル交換反応及び/又はエステル化反応において添加する触媒量が、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量がこの範囲内にあると、異物の生成が抑制され、また得られるポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの熱滞留時の劣化反応やガス発生が起こりにくい。
【0039】
エステル交換反応及び/又はエステル化反応条件は、その反応を進行させることができる限り任意であり、反応温度は通常120℃以上、好ましくは150℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは270℃以下、更に好ましくは260℃以下である。また、反応時間は通常2~8時間、好ましくは2~6時間、更に好ましくは2~4時間である。
上記第1段階の反応により、ジカルボン酸成分、ジオール成分、及びポリアルキレンエーテルグリコール成分が反応したオリゴマーが生成する。
【0040】
(重縮合反応)
次いで、前記第1段階で生成したオリゴマーの重縮合反応(第2段階の反応)を行なう。重縮合反応は、通常溶融重縮合反応で行う。溶融重縮合反応における条件は、その反応を進行させることができる限り任意である。重縮合反応時における反応温度は好ましくは300℃以下、好ましくは260℃以下であり、一方200℃以上が好ましく、更に好ましくは240℃以上である。反応温度が上記上限値以下であると、製造時の熱分解反応を抑制し、色調が良化する傾向にある。反応温度が上記下限値以上であると効率的に重縮合反応を進行させやすい。
重縮合反応触媒としては、エステル交換反応及び/又はエステル化反応において記載した触媒種を用いることができる。エステル交換反応及び/又はエステル化反応における触媒をそのまま重縮合反応触媒として用いてもよいし、触媒を更に添加してもよい。その量は、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の重縮合反応触媒の金属換算含有量が下記の範囲内となるように添加するのが好ましい。
【0041】
エステル交換反応に続いて重縮合する場合、追加する触媒量は、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量で、通常5~300質量ppm、好ましくは10~200質量ppm、更に好ましくは15~150質量ppm、特に好ましくは20~100質量ppm、最も好ましくは30~50質量ppmである。
エステル化反応に続いて重縮合する場合、追加する触媒量は、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量で、通常0.5~300質量ppm、好ましくは1~200質量ppm、更に好ましくは3~100質量ppm、特に好ましくは5~50質量ppm、最も好ましくは10~40質量ppmである。
重縮合反応における追加する触媒量が、ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル中の金属換算含有量としてこの範囲内にあると、異物の生成が抑制され、また得られるポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの熱滞留時の劣化反応やガス発生が起こりにくい。
【0042】
重縮合反応時の反応槽内圧力は低いほど反応は進みやすく、最終段階では通常27kPa以下、好ましくは20kPa以下、より好ましくは13kPa以下、中でも少なくとも1つの重縮合反応槽においては好ましくは0.4kPa以下の状態をとることが好ましい。重縮合反応に要する時間は、得られるポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの固有粘度を測定しその範囲を一定にするように調整されるが、通常2~12時間、好ましくは2~10時間である。重縮合反応を連続式で行う場合、重縮合反応槽での平均滞留時間を重縮合反応に要する時間とみなす。
【0043】
なお、本発明において、ポリアルキレンエーテルグリコールの反応系への添加時期は、エステル交換反応及び/又はエステル化反応の開始時以降、重縮合反応終了までの間である。
この間にポリアルキレンエーテルグリコールを添加することにより、共重合成分としてのブロック性が保持しやすく、高融点のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルを得ることができる。添加時期としては、エステル交換反応及び/又はエステル化反応の開始時から重縮合反応開始までの間が、添加操作及びブロック性確保の点から好ましい。
【0044】
重縮合反応終了後、得られたポリマーを反応槽からストランド状に抜き出し、水冷下又は水冷後、カッティングしてペレットとする。ペレットは必要に応じて固相重縮合を行うことで更に高重合度化することができる。
固相重縮合反応は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、減圧にて、又は不活性ガス流通下行う。反応温度は通常180℃以上、好ましくは190℃以上で、一方、通常210℃以下、好ましくは200℃以下である。固相重縮合反応は所望の固有粘度に達するまで比較的長時間行われる。固相重縮合の反応時間は通常5~20時間、好ましくは6~15時間である。固相重縮合は回分式または連続式で行うことができる。
【0045】
<ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの物性>
以下に、本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの好適な物性値を挙げる。各物性の測定方法は後述の実施例の項に記載される通りである。
【0046】
(還元粘度)
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの還元粘度(ηsp/C)は、0.48dL/g以上であることが好ましいが、より好ましくは0.5dL/g以上、さらに好ましくは0.6dL/g以上、特に好ましくは0.7dL/g以上、最も好ましくは0.8dL/g以上である。還元粘度の上限は3.0dL/g以下、好ましくは2.5dL/g以下、最も好ましくは2.0dL/g以下である。還元粘度が0.48dL/g未満であると、フィルムや射出成形品を成形することができず、成形できたとしても強度が不足し、使用に耐えないおそれがある。また、還元粘度が3.0dL/gよりも大きいと成形が困難になり好ましくない。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂の還元粘度(ηsp/C)は、フェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)中、ポリエステル樹脂濃度0.5g/dLで、30℃にて測定した溶液粘度から求めたものである。
【0047】
(末端酸価)
また、本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの末端酸価は200μeq/g未満であるが、好ましくは150μeq/g未満、さらに好ましくは100μeq/g未満、最も好ましくは50μeq/g未満である。末端酸価が200μeq/gより大きいと物性低下が大きく好ましくない。なお、末端酸価の下限については0が好ましい。
【0048】
(融点(後の実施例におけるTm2))
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの融点は好ましくは100~280℃であり、さらに好ましくは150~270℃である。融点がこの範囲であると、高温での使用に耐える優れた耐熱性を有し、また熱安定性に優れ、高温下でも有害なガスが発生しないものとなる。
【0049】
(熱分解温度)
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルが5%重量が減少した際の熱分解温度(Td5)が高いほど、熱分解しにくい。熱分解温度(Td5)は、通常375~400℃程度であるが、この値は高いほど熱安定性に優れ、好ましい。
【0050】
(融解熱ΔH)
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルのソフトセグメント由来の融点の融解熱(後の実施例のΔHm1に対応)は、通常0~50J/g程度であり、この値が小さいほどソフトセグメント成分が柔軟性に優れ、好ましい。また、本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの融点の融解熱(後の実施例のΔHm2に対応)は通常0~40J/g程度であり、この値が小さいほどハードセグメントの結晶性が低く柔軟性が向上する点で好ましい。
【0051】
<組成物・成形体>
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルには、必要に応じて安定剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤等の各種添加剤、あるいはPBTやその他の樹脂を配合してポリエステル組成物とすることができる。また、本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル、または、該共重合ポリエステルを含む組成物を成形して、成形体とすることもできる。 組成物中の、本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
【0052】
(配合方法)
前記の各種添加剤や樹脂の配合方法は、特に制限されない。各種添加剤はポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの製造段階あるいは製造後に、PBTやその他の樹脂はポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの製造後に配合することができる。ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの製造後に配合する場合は、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸又は2軸の押出機を混練機として使用する方法が好ましい。各成分は、混練機に順次供給することもでき、また一括して供給することもできる。また、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておいてもよい。
【0053】
(成形方法)
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル及びそれを含む組成物は、熱可塑性樹脂について一般に使用されている成形法、すなわち、射出成形、中空成形、押出成形、プレス成形、延伸成形、インフレ成形等の成形法によってフィラメント、繊維、シート、フィルム等を含む各種の成形体とすることができる。
なお、得られる成形体は適度な柔軟性、例えば曲げ弾性率として150~600MPaを有するものとすることができ、柔軟性が必要とされる用途に好適に使用することができる。
【実施例0054】
<測定・評価方法>
以下の諸例で採用した物性および評価項目の測定方法は次の通りである。
(ポリアルキレンエーテルグリコールの合成材料)
1,3-プロパンジオール:東京化成工業株式会社(炭素数3)
1,10-デカンジオール:東京化成工業株式会社もしくは豊国製油株式会社 (炭素数10)
ダイマージオール:クローダジャパン株式会社 製品名「プリポール2033」 (炭素数36)
トリフルオロメタンスルホン酸:東京化成工業株式会社
p-トルエンスルホン酸一水和物:富士フイルム和光純薬株式会社
【0055】
(ジカルボン酸)
ジメチルテレフタル酸(DMT):東京化成工業株式会社
フランジカルボン酸ジメチル(FDCM):東京化成工業株式会社
(ジオール)
1,4-ブタンジオール(1,4-BG):東京化成工業株式会社
シクロヘキサンジメタノール(CHDM):東京化成工業株式会社
【0056】
H-NMR分析)
溶媒として、重クロロホルムを用い、日本電子社製「ECZ-400」にて、共鳴周波数400MHz、フリップ角45°、測定温度室温にて、H-NMRを測定した。
【0057】
(GPC(ゲル浸透 クロマトグラフィー)測定)
カラム:TSKgel GMHHR-N (東ソー、7.8・300mm、9mm) 2本、
カラムオーブン温度:40℃
移動相:THF 1mL/min
分析時間:30min
検出:RI検出器
試料:20-50μL注入
較正法:ポリスチレン換算
較正曲線近似式:3次式
【0058】
(水酸基数、末端エステル化率、末端オレフィン化率、重合度、ダイマージオール含有量の計算方法)
ポリアルキレンエーテルグリコールの末端の水酸基は、添加した酸と反応してエステルとなり、また分子内脱水反応により不飽和基となる。その結果、H-NMR分析において、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は3.6ppm付近、エステル基が結合したメチレン基由来の信号は4.0ppm付近、末端不飽和基(CH=CH-)由来の信号は、5.0-6.0ppm付近に複数観測される(溶媒は、重クロロホルム)。目的とする脱水縮合反応により生成したエーテル基が結合したメチレン基由来の信号は3.4ppm付近に観測される。
水酸基数、末端オレフィン化率、末端エステル化率は次の計算式により算出した。
水酸基数=[(A/2)/(A/2+B/2+C/3)]×2
末端エステル化率=[(B/2)/(A/2+B/2+C/3)]×100
末端オレフィン化率=[(C/3)/(A/2+B/2+C/3)]×100
重合度=D/A+1
【0059】
1,10-デカンジオールとダイマージオール共重合ポリアルキレンエーテルグリコール中のダイマージオール含有率=[(E/6)/(A/4+D/4)]×100
(但し、式中、Aは3.6ppm付近の1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号の積分値;Bは4.0ppm付近のエステル基が結合したメチレン基由来の信号の積分値、
Cは5.0-6.0ppm付近の末端不飽和基(CH=CH-)由来の信号の積分値、
Dは3.4ppm付近のエーテル基が結合したメチレン基由来の信号の積分値
Eは0.88ppm付近のダイマージオールの末端メチル基由来の信号の積分値である。)
【0060】
二量体ジオールを含むポリアルキレンエーテルグリコールのCは、原料に含まれるオレフィン量を以下の式で補正した。C=C’-Cp/Ap×(A+D)×C‘-Cp/Ap*(A+D)×(1,10-デカンジオールと二量体ジオール共重合ポリアルキレンエーテルグリコール中の二量体ジオール含有率)(ただし、C’は生成物の5.0-6.0ppm付近の末端不飽和基(CH=CH-)由来の信号の積分値、Cpは原料ダイマー二量体ジオールにおける5.0-6.0ppm付近の末端不飽和基(CH=CH-)由来の信号の積分値、Apは原料ダイマー二量体ジオールにおける3.6ppm付近の1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号の積分値である。)
【0061】
(トルエン濃度測定)
溶媒として重クロロホルムを用いたH-NMR分析にて、(1,1,2,2,-テトラクロロエタンを内部標準とし、)2.36ppm付近に観測されるメチル基由来の信号の積分値より算出した。
【0062】
(水分濃度測定)
カールフィッシャー水分測定装置(三菱ケミカルアナリテック社製「CA-200」)にて、アクアミクロン(登録商標)AKXおよびアクアミクロン(登録商標)CXU(いずれも三菱ケミカル社製)を用いて、電量滴定法により測定した。
【0063】
(水酸基価測定、数平均分子量の計算方法)
自動滴定装置(三菱ケミカルアナリテック社製「GT-200」)にて、ASTM E-1899-16に準拠して、ポリアルキレンエーテルグリコールの水酸基価を測定した。
測定された水酸基価から、下記式(I)により数平均分子量(Mn)を求めた。
数平均分子量=2×56.1/(水酸基価×10-3) …(I)
【0064】
(DSC)
日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計「DSC7000x」を用いて融点(Tm)を測定した。昇温速度は、10℃/minとし、最大ピークの頂点のうち低い方をTm1(ソフトセグメント由来の融点)、高い方をTm2(ポリマーの融点)、それぞれのピーク面積を融解熱ΔHm1、ΔHm2(J/g)とした。ΔHmの値が小さいほど、結晶性が低い。
【0065】
(TG-DTA、5%重量減少温度の測定)
日立ハイテクサイエンス製示唆熱熱重量同時測定装置「STA200RV」を用い、試料約7mgをアルミニウム製容器に載せ、窒素雰囲気下(窒素流量200ml/分)で昇温速度10℃/分で30℃から500℃まで試料の質量を測定した。5%重量減少時の温度を5%重量減少温度Td5とする(単位:℃)。5%重量減少温度は耐熱性の指標であり、高いほど耐熱性が高い。
【0066】
(還元粘度(ηsp/C))
実施例及び比較例で得られたポリエステル樹脂を、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(1:1重量比)中、濃度0.5g/dlとした溶液について30℃で測定した溶液粘度から求めた。
【0067】
<ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法>
(110―デカンジオール/プリポール2033(75/25) Mn927(共重合ポリオール1)の製造例)
1,10-デカンジオール128g(0.736mol)とダイマージオール(クローダジャパン株式会社製 プリポール2033)132g(0.245mol)を蒸留管、窒素導入管、熱電対及び攪拌機を備えた四つ口フラスコに仕込み、オイルバスにて加熱融解した後、反応器内を減圧脱気し窒素置換した。窒素を0.20NL/minで供給しながらこのフラスコをオイルバス中に浸して加熱し、160℃を超えたところにゆっくりと5.73g(30.1mmol)のpトルエンスルホン酸・一水和物を添加した。フラスコ内液温が170℃になった時点を反応開始とし、以後、液温を170~171℃に保持して13時間反応させた。反応により生成した水は窒素に同伴させて留去した。90℃付近まで放冷された反応液に37gの10wt%水酸化ナトリウム水溶液を注ぎ、110℃で15時間還流加熱し、エステルの加水分解を行った。
反応物を90℃付近に加熱し、イオン交換水を500g注いだ。90℃で約15~30分撹拌し、1~2時間静置し油層と水層に分離したことを確認したのち、水層を抜出した。水層の電導度を測定し、電導度が0~10μS/cmに到達するまで計8回イオン交換水の添加と油水分離を繰り返した。油層を取り出した後、トルエン100mLを注ぎ、100℃、20torrでトルエンを減圧留去して共沸脱水した。水分量を測定し、水分濃度が300ppm以下に到達するまで計5回の共沸脱水を繰り返した。オイルバスを120℃に昇温し、油回転式真空ポンプにて1時間、トルエン濃度が0.1wt%以下に到達するまで減圧脱揮し、目的のポリアルキレンエーテルグリコールを得た。
NMRより求めた重合度は3.71、ポリアルキレンエーテルグリコール中のダイマージオール含有率は26.6mol%、末端オレフィン化率は0.67mol%、末端エステル化率はNMR検出下限以下であった。GPCより求めた数平均分子量は956、質量平均分子量は2001、分子量分布は2.09、水酸基価は121.0であり、これより換算した数平均分子量は927であった。5%重量減少温度は284.9℃であった。
【0068】
(110-デカンジオール/プリポール2033(75/25) Mn893(共重合ポリオール2)の製造例)
1,10-デカンジオール246.7g(1.416mol)とダイマージオール(クローダジャパン株式会社製 プリポール2033)253g(0.472mol)を蒸留管、窒素導入管、熱電対及び攪拌機を備えた四つ口フラスコに仕込み、オイルバスにて加熱融解した後、反応器内を減圧脱気し窒素置換した。窒素を1.0NL/minで供給しながらこのフラスコをオイルバス中に浸して加熱し、148℃を超えたところにゆっくりとトリフルオロメタンスルホン酸5.04g(33.5mmol)とイオン交換水2.48gの混合物を添加し、反応開始とした。以後、液温を149~151℃に保持して4時間反応させた。室温まで冷却した後、再度昇温し、液温130~131℃に保持して3時間反応させた。反応により生成した水は窒素に同伴させて留去した。
反応物を90℃付近まで放冷し、イオン交換水を100g注いだ。90℃で30分撹拌し、1時間静置し油層と水層に分離したことを確認したのち、水層を抜出した。次いでイオン交換水を300g注ぎ、90℃で約15~30分撹拌し、0.5~1時間静置し油層と水層に分離したことを確認したのち、水層を抜出した。水層の電導度を測定し、電導度が0~10μS/cmに到達するまで計8回イオン交換水の添加と油水分離を繰り返し(、さらに計25回イオン交換水の添加と油水分離を繰り返し)た。油層を取り出した後、トルエン300mLを注ぎ、100℃、20torrでトルエンを減圧留去して共沸脱水した。次いでトルエン200mLを注ぎ、100℃、10torrで共沸脱水し、これ以降はトルエン100mLを注ぎ、水分量を測定し、水分濃度が300ppm以下に到達するまで計5回の共沸脱水を繰り返した。オイルバスを120℃に昇温し、油回転式真空ポンプにて2時間、トルエン濃度が0.1wt%以下に到達するまで減圧脱揮し、目的のポリアルキレンエーテルグリコールを得た。
NMRより求めた重合度は3.67、ポリアルキレンエーテルグリコール中のダイマージオール含有率は25.6mol%、末端オレフィン化率は0.68mol%、末端エステル化率はNMR検出下限以下であった。GPCより求めた数平均分子量は970、質量平均分子量は1996、分子量分布は2.06、水酸基価は125.6であり、これより換算した数平均分子量は893であった。
【0069】
(110-デカンジオール/13-プロパンジオール(50/50)Mn1040(共重合ポリオール3)の製造例)
1,10-デカンジオール370g(2.123mol)と1,3-プロパンジオール161g(2.123mol)を蒸留管、窒素導入管、熱電対及び攪拌機を備えた四つ口フラスコに仕込み、オイルバスにて70℃まで加熱した後、反応器内を減圧脱気し窒素置換した。窒素を0.20NL/minで供給しながら、70℃に維持した状態でゆっくりとトリフルオロメタンスルホン酸5.33g(35.5mmol)とイオン交換水2.65gの混合物を添加した。このフラスコをオイルバス中に浸して加熱し、約0.5-1時間でフラスコ内液温を150℃に到達させた。フラスコ内液温が150℃になった時点を反応開始とし、以後、液温を148~152℃に保持して15時間反応させた。反応により生成した水は窒素に同伴させて留去した。
反応物を120℃付近まで放冷し、イオン交換水を200g注いだ。90℃で30分撹拌し、1時間静置し油層と水層に分離したことを確認したのち、水層を抜出した。次いでイオン交換水を250~300g注ぎ、90℃で約15~2時間撹拌し、0.5~1時間静置し油層と水層に分離したことを確認したのち、水層を抜出した。水層の電導度を測定し、電導度が0~10μS/cmに到達するまで計6回イオン交換水の添加と油水分離を繰り返した。油層を取り出した後、トルエン100~150mLを注ぎ、84℃、70torrでトルエンを減圧留去して共沸脱水した。水分量を測定し、水分濃度が300ppm以下に到達するまで計3回の共沸脱水を繰り返した。オイルバスを120℃に昇温し、油回転式真空ポンプにて3.5時間、トルエン濃度が0.1wt%以下に到達するまで減圧脱揮し、目的のポリエーテルポリオールを得た。
NMRより求めた重合度は8.95、ポリエーテルポリオール中のデカンジオール含有率は52.4mol%、末端オレフィン化率は0.92mol%であった。GPCより求めた数平均分子量は1080、質量平均分子量は2844、分子量分布は2.63、水酸基価は107.9であり、これより換算した数平均分子量は1040であった。
【0070】
<ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルの製造方法>
(実施例1)
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、ジメチルテレフタル酸26.45重量部、1,4-ブタンジオール9.18重量部、ポリアルキレンエーテルグリコール(共重合ポリオール1)70.00質量部、チタンテトラブチレートを予め6.0重量%溶解させた1,4-ブタンジオール溶液0.71重量部を仕込んだ。
容器内容物を攪拌下、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に、系内を攪拌しながら150℃で1時間、その後1時間45分間で210℃に昇温し、この温度で15分間反応させた。次に、チタンテトラブチレートを予め6.0重量%溶解させた1,4-ブタンジオール溶液0.36重量部を添加した後、1時間30分かけて0.05×10Pa以下になるように減圧した。減圧開始から15分後に45分かけて240℃まで昇温し、240℃で加熱減圧状態を保持したまま重合を4時間15分継続した後、重合を終了し、ポリエステル樹脂(テレフタル酸/ブタンジオール/ポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステル)を得た。
得られた共重合ポリエステルの還元粘度は1.464dL/gであった。また、この共重合ポリエステルのTm1は、16℃であった。
【0071】
(実施例2~7)
実施例1と同様に原料及び触媒を仕込んで、重縮合反応を行い、目標の粘度に到達したところで重縮合反応を停止した以外は実施例1と同様に行った。また、各実施例において、表1に示すジカルボン酸成分、ジオール成分、および、ポリアルキレンエーテルグリコール成分を使用した。得られたポリエステル樹脂の還元粘度、Tm1、Tm2、ΔHm1、ΔHm2、および、Td5熱分解温度を表1に示す。
【0072】
(比較例1)
実施例1において、ポリアルキレンエーテルグリコール(共重合ポリオール1)70.00重量部に変えて、ポリデカメチレングリコール(PDMG)70.00重量部を用いた以外は実施例1と同様に重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂の還元粘度、Tm1、Tm2、ΔHm1、ΔHm2、および、Td5熱分解温度を表1に示す。
【0073】
(比較例2)
実施例1において、ポリアルキレンエーテルグリコール(共重合ポリオール1)70.00重量部に変えて、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)70.00重量部を用いた以外は実施例1と同様に重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂の還元粘度、Tm1、Tm2、ΔHm1、ΔHm2、および、Td5熱分解温度を表1に示す。
【0074】
(比較例3)
実施例1において、ポリアルキレンエーテルグリコール(共重合ポリオール1)70.00重量部に変えて、ポリデカメチレングリコール(PDMG)10.00重量部を用いた以外は実施例1と同様に重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂の溶融粘度、Tm1、Tm2、ΔHm1、ΔHm2、および、Td5熱分解温度を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
本発明の効果は、ポリアルキレンエーテルグリコールの含有量が同じ樹脂同士を比較することによって判断できる。例えば、ポリアルキレングリコールの含有量が70質量%である実施例1、実施例5及び比較例1を比べた際、比較例1はΔHm1の値が大きくTm1も高いのに対して、実施例1及び実施例5はΔHm1の値が小さくTm1も下がり、且つ熱分解温度降下の作用が小さいことから、熱安定性及び柔軟性を兼ね備えていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のポリアルキレンエーテルグリコール共重合ポリエステルは、フィラメント、繊維、シート、フィルム等を含む各種の成形体として、熱安定性と柔軟性などの機械物性との両立を図ることが要望される用途において、好適に使用することが可能である。