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特開2023-151007パウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151007
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】パウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズル
(51)【国際特許分類】
   B23K 7/08 20060101AFI20231005BHJP
   B23K 7/00 20060101ALI20231005BHJP
   B23K 7/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B23K7/08 A
B23K7/00 D
B23K7/10 S
B23K7/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060392
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000150981
【氏名又は名称】日酸TANAKA株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】320011650
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴置 宗夫
(72)【発明者】
【氏名】武田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆
(57)【要約】
【課題】一般軟鋼をピアシングする際の予熱時間を大幅に短縮することで作業効率を高めることができ、かつ安全性の向上を図ることができる。
【解決手段】ガス切断火口2を使用して一般軟鋼からなる被切断材Wに対してピアシングを行うためのピアシング方法であって、ガス切断火口2から切断酸素および予熱ガスを噴出させる工程と、ガス切断火口2から噴出した切断酸素および予熱ガスからなる予熱炎気流Rに向けてパウダーTを供給する工程と、を有し、予熱炎気流Rに添う向きにパウダーTを供給するピアシング方法を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス切断火口を使用して一般軟鋼からなる被切断材に対して鉄粉からなるパウダーを供給して切断するパウダー切断方法であって、
前記ガス切断火口は、切断酸素と、予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスと、を前記被切断材に向けて噴出可能に設けられ、
前記ガス切断火口から噴出した前記予熱ガスからなる予熱炎気流に向けて前記パウダーを供給する、パウダー切断方法。
【請求項2】
前記パウダーは、前記ガス切断火口の噴出口の外周から前記予熱炎気流に向けて供給され、前記予熱炎気流を囲むように粉流を形成し、
前記パウダーによる前記粉流は、前記パウダーの噴出方向にスリット状に延在し前記パウダーが供給されない非供給領域を形成する、
請求項1に記載のパウダー切断方法。
【請求項3】
前記ガス切断火口から前記予熱ガスを噴出させるとともに、前記ガス切断火口から噴出した前記予熱ガスからなる前記予熱炎気流に向けてパウダーを供給することで前記予熱炎気流の中に赤熱化されたパウダーが発生し、前記赤熱化されたパウダーが切断酸素気流の噴出定点周囲に配置され、前記噴出定点周囲の前記赤熱化されたパウダーに前記切断酸素を供給し前記被切断材に対してピアシングを行う、
請求項1又は2に記載のパウダー切断方法。
【請求項4】
前記ピアシングによって加工された貫通穴を切断開始点として、前記ピアシングを行う工程から継続し、前記ガス切断火口を移動させることにより前記被切断材を切断するガス切断工程を有し、
前記ガス切断工程の前に、前記ピアシングによって前記被切断材の上面に付着した吹上げノロを通過するまで前記パウダーを供給し続け、通過後に前記パウダーの供給を停止した後に、前記ガス切断工程を開始する、請求項3に記載のパウダー切断方法。
【請求項5】
切断酸素と、予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスとを、一般軟鋼からなる被切断材に向けて噴出可能に設けられたガス切断火口に装着して、前記被切断材に対してパウダー切断を行うためのパウダー供給ノズルであって、
前記ガス切断火口の外周に沿って周方向に延在し鉄粉からなるパウダーを供給するパウダー供給路と、
前記ガス切断火口から噴出した前記予熱ガスからなる予熱炎気流に向けて前記パウダーを噴出するパウダー噴出口と、を備える、パウダー供給ノズル。
【請求項6】
前記ガス切断火口に外嵌する内筒と、前記内筒の外周側に配置される外筒と、を有し、
前記パウダー噴出口は、前記内筒と前記外筒との間に配置され、ノズル軸方向から見てリング状に形成されている、請求項5に記載のパウダー供給ノズル。
【請求項7】
前記パウダー噴出口は、ノズル軸回りに周回する周方向に区画する仕切り部を備え、
前記仕切り部は、前記内筒の外周面と前記外筒の内周面とを接続する、
請求項6に記載のパウダー供給ノズル。
【請求項8】
前記仕切り部の周方向の幅寸法は、周方向に隣り合う前記仕切り部同士の間の距離より小さい、
請求項7に記載のパウダー供給ノズル。
【請求項9】
前記仕切り部は、前記周方向に90度の間隔をあけて4箇所に設けられている、
請求項7又は8に記載のパウダー供給ノズル。
【請求項10】
前記ガス切断火口から噴出する前記切断酸素及び前記予熱ガスの供給における開始及び停止を制御する第1制御と、前記パウダー噴出口から噴出する前記パウダーの供給における開始及び停止を制御する第2制御と、は別々に制御される、
請求項5乃至9のいずれか1項に記載のパウダー供給ノズル。
【請求項11】
請求項5乃至10のいずれか1項に記載のパウダー供給ノズルと、
前記パウダー供給ノズルを装着可能に設けられる前記ガス切断火口と、
を備える、パウダー切断ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すようにガス切断火口を使用して一般軟鋼からなる被切断材を切断する際には、被切断材に対して例えば1~5分といった長時間の予熱をかけた後にピアシングを行うことが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭48-41957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の一般軟鋼からなる被切断材における切断方法では、ピアシングの作業において相当の予熱時間を要することから、切断にかかる総時間が長くなるという問題があり、その点で改善の余地があった。
【0005】
ところで、非鉄金属の切断において、鉄材をガス切断火口から噴出される予熱炎気流に供給して鉄粉からなるパウダーを燃焼させることで酸化反応を強化して高温とし、その熱で母材を溶かして切断する方法が知られている。このような鉄材を予熱炎気流に供給する方法を一般軟鋼の切断に採用すると、ヒュームが発生するという問題があり、また切断コストも増加することから、一般軟鋼の切断には適用しにくい現状がある。
また、従来は、予熱炎気流に供給する鉄材として番線等の鉄線を使用するケースもあるが、その供給のタイミング等、作業者の熟練した技術が必要であり、かつ品質が安定しない。しかも、作業者が被切断材の上で予熱炎気流中に噴出されている切断酸素気流に番線を供給する作業では、1500℃を超える高温のスラグが作業者の近傍で飛散するため、作業性の点でより安全性を向上させることが求められていた。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、一般軟鋼の切断時間を大幅に短縮することで作業効率を高めることができ、かつ安全性の向上を図ることができるパウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るパウダー切断方法は、ガス切断火口を使用して一般軟鋼からなる被切断材に対して鉄粉からなるパウダーを供給して切断するパウダー切断方法であって、前記ガス切断火口は、切断酸素と、予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスと、を前記被切断材に向けて噴出可能に設けられ、前記ガス切断火口から噴出した前記予熱ガスからなる予熱炎気流に向けて前記パウダーを供給する。
【0008】
また、本発明に係るパウダー切断方法は、前記パウダーは、前記ガス切断火口の噴出口の外周から前記予熱炎気流に向けて供給され、前記予熱炎気流を囲むように粉流を形成し、前記パウダーによる前記粉流は、前記パウダーの噴出方向にスリット状に延在し前記パウダーが供給されない非供給領域を形成する。
【0009】
また、本発明に係るパウダー切断方法は、前記ガス切断火口から前記予熱ガスを噴出させるとともに、前記ガス切断火口から噴出した前記予熱ガスからなる前記予熱炎気流に向けてパウダーを供給することで前記予熱炎気流中に赤熱化されたパウダーが発生し、前記赤熱化されたパウダーが切断酸素気流の噴出定点周囲に配置され、前記噴出定点周囲の前記赤熱化されたパウダーに前記切断酸素を供給し前記被切断材に対してピアシングを行う。
【0010】
また、本発明に係るパウダー切断方法は、前記ピアシングによって加工された貫通穴を切断開始点として、前記ピアシングを行う工程から継続し、前記ガス切断火口を移動させることにより前記被切断材を切断するガス切断工程を有し、前記ガス切断工程の前に、前記ピアシングによって前記被切断材の上面に付着した吹上げノロを通過するまで前記パウダーを供給し続け、通過後に前記パウダーの供給を停止した後に、前記ガス切断工程を開始する。
【0011】
また、本発明に係るパウダー供給ノズルは、切断酸素と、予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスとを、一般軟鋼からなる被切断材に向けて噴出可能に設けられたガス切断火口に装着して、前記被切断材に対してパウダー切断を行うためのパウダー供給ノズルであって、前記ガス切断火口の外周に沿って周方向に延在し鉄粉からなるパウダーを供給するパウダー供給路と、前記ガス切断火口から噴出した前記予熱ガスからなる予熱炎気流に向けて前記パウダーを噴出するパウダー噴出口と、を備える。
【0012】
また、本発明に係るパウダー供給ノズルは、前記ガス切断火口に外嵌する内筒と、前記内筒の外周側に配置される外筒と、を有し、前記パウダー噴出口は、前記内筒と前記外筒との間に配置され、ノズル軸方向から見てリング状に形成されている。
【0013】
また、本発明に係るパウダー供給ノズルは、前記パウダー噴出口は、ノズル軸回りに周回する周方向に区画する仕切り部を備え、前記仕切り部は、前記内筒の外周面と前記外筒の内周面とを接続する。
【0014】
また、本発明に係るパウダー供給ノズルは、前記仕切り部の周方向の幅寸法は、周方向に隣り合う前記仕切り部同士の間の距離より小さい。
【0015】
また、本発明に係るパウダー供給ノズルは、前記仕切り部は、前記周方向に90度の間隔をあけて4箇所に設けられている。
【0016】
また、本発明に係るパウダー供給ノズルは、前記ガス切断火口から噴出する前記切断酸素及び前記予熱ガスの供給における開始及び停止を制御する第1制御と、前記パウダー噴出口から噴出する前記パウダーの供給における開始及び停止を制御する第2制御と、は別々に制御される。
【0017】
また、本発明に係るパウダー切断ノズルは、上述したパウダー供給ノズルと、前記パウダー供給ノズルを装着可能に設けられる前記ガス切断火口と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るパウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズルによれば、一般軟鋼の切断時間を大幅に短縮することで作業効率を高めることができ、かつ安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による切断ノズルの全体構成を示す半縦断面図である。
図2図1に示すX1-X1線矢視図であって、切断ノズルを先端側から見た正面図である。
図3図1に示すX2-X2線矢視図であって、切断ノズルを後方から見た背面図である。
図4】切断ノズルを使用したピアシングの状態を示す図である。
図5図4に示すX3-X3線断面図であって、粉流領域を示した図である。
図6】(a)~(d)は、パウダーピアシングの動作説明図である。
図7】実施例による試験方法を示す概略図であり、(a)は比較例でパウダー供給無しのケース、(b)は実施例でパウダー供給有りのケースである。
図8】変形例による切断ノズルを先端側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について、図1から図6を参照して説明する。なお、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法等は適宜調整されている。
【0021】
図1は、本実施形態の切断ノズル1の全体構成を示す半縦断面図である。図2は、図1に示すX1-X1線矢視図であって、切断ノズル1を先端側から見た正面図である。図3は、図1に示すX2-X2線矢視図であって、切断ノズル1を後方から見た背面図である。図4は、切断ノズル1を使用したピアシングの状態を示す図である。図5は、図4に示すX3-X3線断面図であって、粉流Taの領域を示した図である。図6は、パウダーピアシングの動作説明図である。そして、図1及び図3では、見やすくするためにガス切断火口2が省略されている。
【0022】
本実施形態によるガス切断方法は、図1に示す切断ノズル1(パウダー切断ノズル)を使用して行われるパウダー切断方法を使用して一般軟鋼からなる被切断材W(図4図7参照)を切断するための方法である。すなわち、切断ノズル1は、被切断材Wに対してピアシングや被切断材Wの端部からの切り込みを行う際に使用できる。本実施形態の切断ノズル1では、例えば不図示の載置テーブルへ略水平面に載置された被切断材Wに対してピアシングを行い、ピアシングに続いてピアシングを切断開始点として切断を行う一例を示す。
【0023】
図1図3に示すように、切断ノズル1は、ガス切断火口2と、パウダー供給ノズル3と、を備える。切断ノズル1は、ガス切断火口2の外周側にパウダー供給ノズル3が着脱可能な状態で装着される。
ここで、切断ノズル1において、ノズル軸Oに沿って切断酸素、予熱ガスが噴出する下流側を先端側、先端側と反対側を基端側という。
【0024】
ガス切断火口2は、切断酸素と、予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスと、を被切断材Wに向けて噴出可能に設けられ、被切断材Wを切断する際に用いる火口である。
ここで、可燃性ガスとしては、LPG、アセチレン、プロピレン、LNG、水素などであり、これらのうち1種類を採用してもよいし、これらと予熱用酸素とを混合した予熱ガスを採用することも可能である。
【0025】
ガス切断火口2は、切断酸素供給路21を有する内部芯棒2Aと、内部芯棒2Aを挿通させた外部火口2Bと、口金(図示省略)と、を備える。
内部芯棒2Aは、長尺の円筒形状であり、先端側に向かうに従い細くなる形状を有している。内部芯棒2Aは、ノズル軸O方向で基端側において、上記の口金に螺着されている。これにより内部芯棒2Aは、口金に嵌合されて互いに一体とされている。内部芯棒2Aの材料としては、例えば熱伝導性および耐熱性が高く、かつ製造コスト等の経済性も高い黄銅が採用される。
【0026】
内部芯棒2Aは、長手方向のノズル軸Oに沿って延びる切断酸素供給路21を有している。切断酸素供給路21は、先端において外部空間に連通している。切断酸素供給路21の先端で内部芯棒2Aの先端面2aには、切断酸素を噴出する切断酸素噴出口22が形成されている。切断酸素供給路21を通過した切断酸素は、切断酸素噴出口22から先方に向けて噴出される。
【0027】
また、内部芯棒2Aは、切断酸素供給路21の外側でノズル軸Oに沿って延びる予熱ガス供給路23を有している。予熱ガス供給路23は、先端において外部空間に連通している。予熱ガス供給路23の先端で内部芯棒2Aの先端面2aには、ノズル軸O方向から見て切断酸素噴出口22から半径方向に放射状に延びる複数のスリット形状の予熱ガス噴出口24が形成されている。予熱ガス供給路23を通過した予熱ガスは、予熱ガス噴出口24から先方に向けて噴出される。
【0028】
外部火口2Bは、長尺の円筒形状であり、ノズル軸方向に見て同心円状に内部芯棒2Aに嵌合している。外部火口2Bは、外部火口2Bの内面2cと内部芯棒2Aの外面2bとの間に予熱酸素と燃焼ガスを混合した予熱ガスを通過させる予熱ガス供給路23を形成している。外部火口2Bの外面には、装着されるパウダー供給ノズル3が配置される。
【0029】
次に、パウダー供給ノズル3の構成について詳細に説明する。図1図3に示すように、パウダー供給ノズル3は、ガス切断火口2とは別体で設けられている。パウダー供給ノズル3は、ガス切断火口2の外周部にパウダーTを供給するパウダー供給路31を形成し、パウダーTを噴出するパウダー噴出口32を有する。
【0030】
パウダー供給ノズル3は、ガス切断火口2に外嵌する内筒35と、内筒35の外周側に配置される外筒36(外周壁)と、内筒35の内側に挿通させたガス切断火口2を係止するための火口止めナット34と、を備えている。火口止めナット34、内筒35及び外筒36は、それぞれの断面形状は円形である。火口止めナット34と内筒35のノズル軸方向に連設する接続部分の内面34a、35b同士はほぼ面一に形成されている。火口止めナット34と内筒35との内側にはガス切断火口2が基端側から挿入されて嵌合される。火口止めナット34の先端部、内筒35及び外筒36の基端部には、それぞれを同軸に連通する雌ねじ部3aが形成されている。火口止めナット34、内筒35及び外筒36は、雌ねじ部3aに図3に示すねじ3bを締め付けることにより一体的に組み付けられている。
【0031】
図1に示すように、内筒35の内面35bの形状は、ガス切断火口2の外周面2dに一致し、先端側に向かうに従い縮径している。内筒35の外周面35aの先端側には、先端に向けて外径が小さくなる先端テーパ部351が形成されている。
【0032】
外筒36は、内筒35とノズル軸方向の長さが同じである。外筒36は、基端側に配置されノズル軸方向に同心円上に延びる円筒状の基端部361と、基端部361の先端側に連設する円錐状のテーパ部362と、を有する。テーパ部362は、先端側に向かうに従い細くなる形状となっている。
【0033】
内筒35と外筒36との間には、パウダーTが供給される上記のパウダー供給路31が形成されている。内筒35の基端側には、径方向外側に突出する閉止フランジ35cが全周にわたって設けられている。閉止フランジ35cは、外筒36の基端側の内周面36aに対して液密に接触している。これにより、パウダー供給路31内に供給されるパウダーTは先端側のパウダー噴出口32から噴出される。
【0034】
基端部361には、パウダー供給路31に連通する複数(ここでは2つ)のパウダー導入継手37がねじ締結によって取り付けられている。パウダー導入継手37は、不図示のパウダー供給装置に接続され、このパウダー供給装置からパウダーがパウダー供給路31内に供給される。図3に示すように、2つのパウダー導入継手37同士のノズル軸方向から見た取付け角度θは、60°に設定されている。
なお、パウダー導入継手37の取付け角度θは、パウダーがパウダー供給路31に均一に供給されるように配置されることが好ましい。そのため、最良の取付け角度θとしては、例えば180°ピッチで2箇所、あるいは120°ピッチで3箇所などがよい。ただし、パウダー導入継手37と上記パウダー供給装置とを繋ぐ配管(図示省略)の取り合いを考慮して、本実施形態のように2箇所を片側に寄せた配置としてもよい。
【0035】
図2に示すように、パウダー噴出口32は、内筒35の外周面35aと外筒36の内周面36aとの間に配置され、ノズル軸方向から見てリング状に形成されている。さらにパウダー噴出口32は、ノズル軸回りに周回する周方向に区画する複数(本実施形態では4つ)の仕切りリブ33(仕切り部)を備えている。すなわち、仕切りリブ33は、周方向に90°ピッチで間隔をあけて設けられている。
【0036】
仕切りリブ33は、パウダー噴出口32の周方向に一定の間隔をあけて複数配置され、内筒35の外周面35aと外筒36の内周面36aとを接続する。仕切りリブ33は、周方向に90°の間隔をあけて4箇所に設けられている。仕切りリブ33は、図1に示すように、内筒35及び外筒36の先端から基端側に延びている。仕切りリブ33が配置される領域は、内筒35の先端テーパ部351に対して径方向に対向する範囲である。ここで、仕切りリブ33の周方向の幅寸法は、周方向に隣り合う仕切りリブ33同士の間の距離より小さくなっている。
【0037】
パウダー供給ノズル3のパウダー噴出口32から噴出されるパウダーTは、ガス切断火口2の噴出口の外周から予熱炎気流Rに向けて供給され、予熱炎気流Rを囲むように粉流Taを形成する。そして、パウダー噴出口32に仕切りリブ33を設けることにより、図5に示すように、このパウダーTによる粉流Taは、パウダーTの噴出方向にスリット状に延在しパウダーTが供給されない非供給領域Tbを形成する。
【0038】
次に、切断ノズル1を使用して一般軟鋼からなる被切断材Wに対してピアシングを行うためのピアシング方法と、このピアシング方法を使用して被切断材Wを切断するガス切断方法と、を実施する際の動作、および上述した本実施形態のパウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズルの作用について説明する。
【0039】
先ず、図2に示すように、使用する切断ノズル1は、ガス切断火口2にパウダー供給ノズル3を組み付けて一体化した状態で使用する。
図2及び図4に示すように、予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスが切断ノズル1のガス切断火口2の予熱ガス供給路23に供給され、この予熱ガスが予熱ガス噴出口24から外部に噴出されて予熱炎を発生させる。これと同時に、切断酸素が切断酸素供給路21に供給されて切断酸素噴出口22から噴出される。さらに、パウダー供給ノズル3において、パウダーTがパウダー供給路31に供給されてパウダー噴出口32から噴出される。このときパウダー噴出口32から噴出されるパウダーTは、予熱ガスからなる予熱炎気流Rに向けて供給される。
なお、図4では、見やすくするためにパウダーT(粉流Ta)が予熱炎気流Rの外周に沿うように噴出した図になっているが、予熱炎気流Rの流通方向に対して交差する向きでパウダーTが供給される。
【0040】
本実施形態では、パウダー噴出口32がガス切断火口2の切断酸素噴出口22及び予熱ガス噴出口24の外周側に配置されているので、パウダー噴出口32から噴出されるパウダーTは予熱炎気流Rの外周側に沿って供給される。すなわち、予熱炎気流Rは、パウダーTの粉流Taによって覆われた状態となる。
なお、上述したように粉流Taには非供給領域Tbが形成されるので、予熱炎気流Rが粉流Taによって全周にわたって覆われている状態ではなく、粉流Taの一部がスリット状に開放されている。
【0041】
噴出されるパウダーTは、粉流Taの内側の予熱炎気流Rに供給され、十分に加熱・溶融されて一般軟鋼からなる被切断材Wに向けて噴出される。しかも、パウダーTが外方に飛散して損失することがなく、ほとんどのパウダーTを効率よく燃焼させることができる。
【0042】
より具体的には、図6(a)~(d)に示すように、ガス切断火口2から予熱ガスを噴出させるとともに、ガス切断火口2から噴出した予熱ガスからなる予熱炎気流Rに向けてパウダーTを供給することで予熱炎気流R中に赤熱化されたパウダーT3が発生する。ここで、図6(a)~(d)において符号T1は噴出直後のパウダーを示し、符号T2は赤熱化する途中のパウダーを示し、符号T3は赤熱化したパウダーを示している。そして、赤熱化されたパウダーT3は、切断酸素気流Vの噴出定点Va周囲に配置される。その噴出定点Va周囲の赤熱化されたパウダーT3に切断酸素を供給することで、一気に酸化反応を起こし、極めて短い予熱時間で被切断材Wに対してピアシング、あるいは切断を行うことができる。
【0043】
このように、本実施形態では、一般軟鋼の被切断材Wに対してもパウダー切断方法を適用することが可能となり、切断時間を大幅に短縮することで作業効率を高めることができ、かつ安全性の向上を図ることができる。
従って、パウダーTの燃焼比率は高くなり、発熱反応が強力となって燃焼効率が上昇し、被切断材Wの母材を溶融させると同時に、燃焼生成物を予熱炎気流Rの機械的エネルギーで吹き飛ばし、被切断材Wをピアシングしたり切り込む動作を容易に行うことができる。
【0044】
このように予熱用酸素及び可燃性ガスを混合させた予熱ガスからなる予熱炎気流RにパウダーTを供給することにより被切断材Wをピアシングして貫通穴Pを形成する。
また、本実施形態では、従来のようなピアシング前に例えば1~5分に及ぶ長時間の予熱を行うことなく、即、ピアシングのみを開始できる。しかも、上述したようにピアシングにおいてパウダーTを予熱炎気流Rに供給することにより、燃焼効率が上昇するため、短時間(例えば10秒以下程度)でピアシングを行うことができ、動作時間を大幅に短縮することができる。
【0045】
続いて、予熱炎気流RにパウダーTを供給することにより被切断材Wをピアシングして貫通穴Pを形成した後でガス切断工程の前に、ピアシングによって被切断材Wの上面に付着した吹上げノロGを通過するまでパウダーTを供給し続ける。そして、吹上げノロGをパウダーTにより吹き飛ばして剥離させて除去した後に、パウダーの供給を停止し、ガス切断工程を開始する。
このように、本実施形態では、吹上げノロGの剥離工程をピアシング工程の中で同時に行うことができる。そのため、通常の工程では、予熱工程、ピアシング工程、吹上げノロGの剥離工程、予熱工程、切断工程となるところを、本実施形態では予熱工程、ピアシング工程(吹上げノロGの剥離工程を含む)、切断工程となって工程を省略することが可能となる。
【0046】
さらに、本実施形態では、切断ノズル1により自動的にパウダーTを噴出することが可能となるので、従来のように鉄線を人力で予熱炎気流Rに供給するといった作業が不要となる。すなわち、被切断材W上で作業員が行う作業をなくすことができ、作業にかかる安全性を高めることができる。しかも、本実施形態の切断ノズル1は切断装置に組み込み、自動化できるので、作業効率や品質を向上できる。
【0047】
また、このとき使用される切断ノズル1は、切断酸素供給路21を形成し切断酸素を噴出する切断酸素噴出口22、及び予熱ガス供給路23を形成し予熱ガスを噴出する予熱ガス噴出口24を有するガス切断火口2と、パウダー供給ノズル3と、を備えている。パウダー供給ノズル3は、パウダー供給ノズル3は、ガス切断火口2の外周に沿って周方向に延在しパウダーTを供給するパウダー供給路31と、ガス切断火口2から噴出した予熱ガスからなる予熱炎気流Rに向けてパウダーTを噴出するパウダー噴出口32と、を備える。ガス切断火口2に外嵌する内筒35と、内筒35の外周側に配置される外筒36と、を有する。パウダー噴出口32は、内筒35と外筒36との間に配置され、ノズル軸方向から見てリング状に形成されている。この場合、パウダー供給ノズル3のパウダー噴出口32が同芯のリング状となるので、パウダーTの供給が安定する利点がある。
【0048】
そして、ピアシング完了後にパウダー供給ノズル3から噴出されるパウダーTの供給のみを停止する。
その後、ピアシングによって加工された被切断材Wの貫通穴Pを切断開始点として、ピアシングを行う工程から継続して噴出される予熱炎気流Rによって被切断材Wに対してガス切断が行われる。このように、本実施形態では、ピアシング後にパウダーTの噴出を停止することのみで、予熱炎気流Rはそのまま継続して噴出して被切断材Wに対して所定形状の切り込みを設けることができる。つまり、ピアシングと切り込みの動作の切り換えによりガス切断火口2を停止する必要がなく、効率よく、かつ短時間で切り込み動作を行うことができる。
【0049】
このように、本実施形態ではピアシング後にそのまま連続的に切り込みを行うことが可能となる。そのため、一旦停止させることがなく、切り込み箇所を損傷させることを防止でき、被切断材Wの廃棄箇所を低減できる利点がある。
【0050】
なお、本実施形態では、ピアシングによって形成した貫通穴Pを切断開始点として切断するパウダー切断方法の一例を示したが、ピアシングを行わずに被切断材Wの端面から直接切り込む切断方法に上述したパウダー切断方法を適用することができる。
【0051】
なお、切断ノズル1は制御部(図示省略)に接続されていてもよい。この場合の制御部では、ガス切断火口2から噴出される切断酸素及び予熱ガスの供給における開始及び停止を制御する第1制御と、パウダー噴出口32から噴出されるパウダーTの供給における開始及び停止を制御する第2制御と、は別々に制御される。これによりパウダーTの供給のタイミングや供給時間を、切断方法や被切断材Wの厚みや材質などの条件に合わせて適宜調整することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態のピアシング方法では、予熱炎気流Rは、供給されるパウダーTによって膜状に覆われている。そのため、パウダーTが予熱炎気流Rの外周部から周方向に均等に接触させた状態で供給することができ、断面視でパウダーTの燃焼領域にムラが無く断面全体に均等に燃焼させることができる。
【0053】
また、本実施形態のピアシング方法では、図5に示すように、パウダーTがガス切断火口2の噴出口の外周から予熱炎気流Rに向けて供給され、予熱炎気流Rを囲むように粉流Taを形成している。パウダーTによる粉流Taは、パウダーTの噴出方向にスリット状に延在しパウダーTが供給されない非供給領域Tbを形成している。これにより、予熱炎気流R全体がパウダーTの粉流Taによって外方から完全に覆われることがなく、粉流Taの一部に非供給領域Tbの隙間が形成される。すなわち、図4に示すように、ピアシングの際に切断ノズル1側に向かって飛散してくる吹上げノロGが、非供給領域Tbのスリット状の隙間から粉流Taの外方に拡散する。そのため、切断ノズル1のガス切断火口2の火口に吹上げノロGが付着することを抑制でき、ガス切断火口2が逆火することを防止できる。
【0054】
また、本実施形態の切断ノズル1は、パウダー噴出口32は、ノズル軸回りに周回する周方向に区画する仕切りリブ33を備えている。仕切りリブ33は、内筒35の外周面35aと外筒36の内周面36aとを接続する。これにより、予熱炎気流R全体がパウダーTの粉流Taによって外方から完全に覆われることがなく、粉流Taの一部に非供給領域Tbの隙間が形成される。すなわち、図4に示すように、ピアシングの際に切断ノズル1側に向かって飛散してくる吹上げノロGが、非供給領域Tbの隙間から粉流Taの外方に拡散する。そのため、切断ノズル1のガス切断火口2の火口に吹上げノロGが付着することを抑制でき、ガス切断火口2が逆火することを防止でき、ピアシングの安定性を維持することができる。
【0055】
また、本実施形態の切断ノズル1は、仕切りリブ33の周方向の幅寸法が周方向に隣り合う仕切りリブ33同士の間の距離より小さくなるように配置されている。この場合、予熱炎気流Rに向けて十分な量のパウダーTを供給することができる。
【0056】
また、本実施形態の切断ノズル1は、仕切りリブ33は、周方向に90度の間隔をあけて4箇所に設けられているので、吹上げノロGを非供給領域Tbの隙間から粉流Taの外方4方向に向けて均一に拡散することができる。
【0057】
また、本実施形態の切断ノズル1は、ガス切断火口2から噴出する切断酸素及び予熱ガスの供給における開始及び停止を制御する第1制御と、パウダー噴出口32から噴出するパウダーTの供給における開始及び停止を制御する第2制御と、は別々に制御される。そのため、ピアシング後に第2制御によりパウダーTの噴出のみを停止し、予熱炎気流Rはそのまま継続して噴出して被切断材Wに対して所定形状の切り込みを設ける動作を行うことができる。
【0058】
次に、上述した実施形態によるパウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズルの効果を裏付けるために行った実施例について以下説明する。
【0059】
(実施例)
本実施例では、上記の実施形態の切断ノズル1を使用し、所定板厚の被切断材Wに対してピアシングによる試験を行い、パウダー(パウダー)の有無によるピアシング時間を評価した。図7は、試験方法を示す概略図であり、(a)は比較例でパウダー供給無しのケース、(b)は実施例でパウダー供給有りのケースを示す。表1は、試験の条件と試験結果を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
試験は、使用燃料ガス(可燃性ガス)として、炭化系水素ガス(LPG)と水素混合ガスの2種類を使用し、それぞれ板厚が25mm、50mmの一般軟鋼の被切断材Wに対してパウダー供給有りの実施例と、パウダー供給無しの比較例によりピアシングを行いピアシング予熱時間(秒)とピアシングによって形成される貫通穴径(ピアス穴径(mm))を確認した。
ここで、図7(a)の符号P2(P)は比較例(パウダー供給無し)によるピアス穴を示し、図7(b)の符号P1(P)は実施例(パウダー供給有り)によるピアス穴を示している。
【0062】
試験条件であるパウダー供給量(g/min)、開口率(パウダー供給口(上述したパウダー噴出口に相当))、火口高さH(mm)は、表1に示す通りである。被切断材Wの上面から火口までの火口高さHは、実施例(パウダー供給有り)の場合で100mmとし、比較例(パウダー供給無し)の場合で10mmとしている。
【0063】
表1に示すように、試験の結果、実施例(パウダー供給有り)の場合のピアシング予熱時間(秒)は、板厚25mmで4~8秒、板厚50mmで10秒となった。一方、比較例(パウダー供給無し)の場合のピアシング予熱時間(秒)は、板厚25mmで40~60秒(炭化系水素ガス)、20~30秒(水素予熱ガス)、板厚50mmで70~90秒(炭化系水素ガス)、60~80秒(水素予熱ガス)となった。このように実施例は比較例に比べて大幅にピアシング予熱時間を短縮できることがわかる。また、実施例では、被切断材Wの板厚を大きくしてもピアシング予熱時間は数秒増える微増であるのに対して、比較例では、被切断材Wの板厚を大きくするほど、ピアシング時間も倍近く増加する。
【0064】
また、ピアス穴径は、実施例(パウダー供給有り)が比較例(パウダー供給無し)よりも小径になっている。被切断材Wの板厚が25mmの場合には、実施例で8mmであるのに対して比較例では12mmとなった。また、被切断材Wの板厚が50mmの場合には、実施例で12mmであるのに対して比較例では2倍で24mmとなった。このことから、パウダー供給を行うことにより、ピアス穴径を小さくでき効率的であることがわかった。
【0065】
さらに、実施例の場合には、ピアシング予熱時間、ピアス穴径ともに、ガスの種類による変動がみられなかった。そのため、例えば低コストのガスを使用しても同様の効果が得られる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述した実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、ガス切断火口2とパウダー供給ノズル3とを備えた切断ノズル1を使用したパウダー切断方法を例示したが、切断ノズル1を使用してパウダーを供給するパウダー切断方法であることに限定されることはない。例えば、本実施形態の切断ノズル1ではなく、例えばパウダー供給ノズル3と同様の機能を有するパウダー供給手段をガス切断火口2とは別体で設け、ガス切断火口2から噴出される予熱炎気流Rに対してパウダー供給手段からパウダーを供給する方法とすることも可能である。
【0068】
また、本実施形態では、パウダー供給ノズル3のパウダー噴出口32に仕切りリブ33(仕切り部)を設ける構成としているが、この仕切りリブ33は省略することも可能であり、あるいは仕切りリブ33の数量や位置を変更することも可能である。
例えば、図8に示す変形例のパウダー供給ノズル3Aの内筒35の外周面35aと外筒36の内周面36aとの間のパウダー噴出口32Aように、仕切りリブ33(仕切り部)が設けられず全周にわたってリング状に開口する構成であってもかまわない。
【0069】
また、ガス切断火口2の各構成(切断酸素供給路21、切断酸素噴出口22、予熱ガス供給路23、予熱ガス噴出口24など)の形状、数量についても、上記実施形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係るパウダー切断方法、パウダー供給ノズル、及びパウダー切断ノズルによれば、一般軟鋼の切断時間を大幅に短縮することで作業効率を高めることができ、かつ安全性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
1 切断ノズル
2 ガス切断火口
3、3A パウダー供給ノズル
21 切断酸素供給路
22 切断酸素噴出口
23 予熱ガス供給路
24 予熱ガス噴出口
31 パウダー供給路
32、32A パウダー噴出口
33 仕切りリブ(仕切り部)
34 ナット
35 内筒
35a 外周面
36 外筒(外周壁)
36a 内周面
O ノズル軸
P 貫通穴
R 予熱炎気流
T パウダー
T3 赤熱化されたパウダー
Ta 粉流
Tb 非供給領域
W 被切断材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8