(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151016
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】内視鏡撮像装置及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20231005BHJP
A61B 1/04 20060101ALI20231005BHJP
G02B 23/26 20060101ALN20231005BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20231005BHJP
【FI】
A61B1/00 715
A61B1/04 530
A61B1/00 717
G02B23/26 D
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060404
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 卓郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 一昭
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040DA12
2H040DA14
2H040DA18
2H040GA02
2H040GA03
4C161FF35
4C161FF45
4C161JJ06
4C161JJ11
4C161LL02
4C161SS01
4C161UU03
(57)【要約】
【課題】信号ケーブルの折れが防止され、断線を抑制する内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供する。
【解決手段】内視鏡撮像装置は、観察対象の画像を取得する。内視鏡撮像装置は内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、レンズ鏡胴を保持する保持具と、撮像素子に電気的に接続され、かつ外周を構成する外皮を有する信号ケーブルと、保持具と信号ケーブルとを連結する連結部材とを有し、信号ケーブルには第1のチューブと第2のチューブとが重なって被覆されており、第1のチューブの先端及び第2のチューブの先端は、連結部材内に収容され、第1のチューブの後端は、第2のチューブの後端よりも、連結部材側にある。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、
内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、
前記撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、
前記レンズ鏡胴を保持する保持具と、
前記撮像素子に電気的に接続される信号ケーブルと、
前記保持具と前記信号ケーブルとを連結する連結部材とを有し、
前記信号ケーブルには第1のチューブと第2のチューブとが重なって被覆されており、
前記第1のチューブの先端及び前記第2のチューブの先端は、前記連結部材内に収容され、
前記第1のチューブの後端は、前記第2のチューブの後端よりも、前記連結部材側にある、内視鏡撮像装置。
【請求項2】
複数の関節を備えるアングルを有する筒体の湾曲部に、前記内視鏡撮像装置を配置した場合、前記第1のチューブと前記第2のチューブとが重なって被覆された前記信号ケーブルが前記湾曲部内に配置され、
前記第1のチューブの後端は、前記アングルの第3関節よりも前記アングルの先端側にある、請求項1に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項3】
複数の関節を備えるアングルを有する筒体の湾曲部に、前記内視鏡撮像装置を配置した場合、前記第1のチューブと前記第2のチューブとが重なって被覆された前記信号ケーブルが前記湾曲部内に配置され、
前記第2のチューブの後端は、前記アングルの中央の関節よりも前記アングルの基端側にある、請求項1又は2に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項4】
前記第1のチューブの上に前記第2のチューブが被覆されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項5】
前記第1のチューブは、熱収縮チューブである、請求項1~4のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項6】
前記第2のチューブは、熱収縮チューブである、請求項1~5のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項7】
前記信号ケーブルの先端に、前記信号ケーブルの外周を構成する外皮の上から前記信号ケーブルを中心に向かって圧縮して固定する信号ケーブル圧縮部材が設けられており、
前記信号ケーブル圧縮部材と、前記第1のチューブ及び前記第2のチューブの先端との間に隙間がある、請求項1~6のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項8】
前記信号ケーブル圧縮部材は、金属で構成されており、かつ前記信号ケーブル圧縮部材は、前記信号ケーブルにかしめて固定されている、請求項7に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項9】
前記連結部材は、前記信号ケーブルを内部で保持し、かつ内側に突出した凹部を有し、
前記凹部は、前記信号ケーブル圧縮部材に少なくとも一部が重なっている、請求項7又は8に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項10】
前記凹部の幅が最も狭い部分の、前記撮像レンズの光軸方向の位置が、前記信号ケーブル圧縮部材の前記光軸方向の幅に重なっている、請求項9に記載の内視鏡撮像装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置及び内視鏡に関し、特に、信号ケーブルに積層させてチューブを設けた内視鏡撮像装置及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡用光源装置、内視鏡(内視鏡スコープ)、及びプロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いた診断等が広く行われている。
被検者の体内に挿入される挿入部を有しており、内視鏡用光源装置による照明光は挿入部を経て観察対象に照射される。内視鏡は、照明光が照射された観察対象を撮像素子により撮像して画像信号を生成する。プロセッサ装置は、内視鏡により生成された画像信号を画像処理してモニタに表示するための観察画像を生成する。撮像素子はフレキシブル配線基板等で構成される回路基板を介して信号ケーブルに電気的に接続されており、信号ケーブルがプロセッサ装置に電気的に接続されている。
【0003】
信号ケーブルは、複数の信号線を有する複合多芯ケーブルである。信号ケーブルは、挿入部の全長にわたって挿通されているので、挿入部がループされたり湾曲されたりする度に、強く押し引きされる。このため、信号ケーブルに大きな力が作用することがあり、この場合、信号ケーブルと回路基板との接続部が剥離したり、信号ケーブルが断線したりする可能性がある。このような信号ケーブルの回路基板からの剥離、又は信号ケーブルの断線を回避するため、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、観察窓、観察窓に対面する位置に形成されている鏡筒取付孔を有する先端部本体と、鏡筒取付孔に取り付けられるレンズ鏡筒と、レンズ鏡筒を介して結像される光学画像を光電変換する固体撮像素子と、固体撮像素子が取り付けられる基板と、基板と電気的に接続される複数の素線及びこれを覆う外皮からなる信号ケーブルと、一端に係止部、他端に信号ケーブルの外皮が固着されるケーブル固定部を有するケーブル取付部材と、鏡筒取付孔に近接して先端部本体に形成され、係止部を揺動自在に保持する係止受け部とを備える内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1の内視鏡は、信号ケーブルの外皮が固着されるケーブル固定部を有するケーブル取付部材と、鏡筒取付孔に近接して先端部本体に形成され、係止部を揺動自在に保持する係止受け部とを備える。
しかしながら、特許文献1の内視鏡においても、上述のように挿入部がループされたり湾曲されたりして、強く押し引きされた際に、信号ケーブルに大きな力が作用すると、信号ケーブルが回路基板から剥離したり、信号ケーブルが断線したりする可能性がある。
本発明の目的は、信号ケーブルの折れが防止され、断線を抑制する内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明の一態様は、観察対象の画像を取得する内視鏡撮像装置であって、内部に撮像レンズが設けられたレンズ鏡胴と、撮像レンズを通過した光を受光し、光電変換する撮像素子と、レンズ鏡胴を保持する保持具と、撮像素子に電気的に接続される信号ケーブルと、保持具と信号ケーブルとを連結する連結部材とを有し、信号ケーブルには第1のチューブと第2のチューブとが重なって被覆されており、第1のチューブの先端及び第2のチューブの先端は、連結部材内に収容され、第1のチューブの後端は、第2のチューブの後端よりも、連結部材側にある、内視鏡撮像装置を提供するものである。
【0008】
複数の関節を備えるアングルを有する筒体の湾曲部に、内視鏡撮像装置を配置した場合、第1のチューブと第2のチューブとが重なって被覆された信号ケーブルが湾曲部内に配置され、第1のチューブの後端は、アングルの第3関節よりもアングルの先端側にあることが好ましい。
複数の関節を備えるアングルを有する筒体の湾曲部に、内視鏡撮像装置を配置した場合、第1のチューブと第2のチューブとが重なって被覆された信号ケーブルが湾曲部内に配置され、第2のチューブの後端は、アングルの中央の関節よりもアングルの基端側にあることが好ましい。
【0009】
第1のチューブの上に第2のチューブが被覆されていることが好ましい。
第1のチューブは、熱収縮チューブであることが好ましい。
第2のチューブは、熱収縮チューブであることが好ましい。
信号ケーブルの先端に、信号ケーブルの外周を構成する外皮の上から信号ケーブルを中心に向かって圧縮して固定する信号ケーブル圧縮部材が設けられており、信号ケーブル圧縮部材と、第1のチューブ及び第2のチューブの先端との間に隙間があることが好ましい。
信号ケーブル圧縮部材は、金属で構成されており、かつ信号ケーブル圧縮部材は、信号ケーブルにかしめて固定されていることが好ましい。
連結部材は、信号ケーブルを内部で保持し、かつ内側に突出した凹部を有し、
凹部は、信号ケーブル圧縮部材に少なくとも一部が重なっていることが好ましい。
凹部の幅が最も狭い部分の、撮像レンズの光軸方向の位置が、信号ケーブル圧縮部材の光軸方向の幅に重なっていることが好ましい。
また、本発明の一態様は、本発明の内視鏡撮像装置を有する、内視鏡を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、信号ケーブルの折れが防止され、断線を抑制した内視鏡撮像装置及び内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置を有する内視鏡の先端部及び湾曲部を示す模式的断面図である。
【
図3】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的側面図である。
【
図5】本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の内視鏡撮像装置及び内視鏡を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値εα~数値εβとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばεα≦ε≦εβである。
以下の説明の「平行」、「垂直」及び「直交」等は、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0013】
〔内視鏡システム〕
内視鏡システムは、観察対象である被験者の体内等の観察部位に照明光(図示せず)を照射し、観察部位を撮像して、撮像により得られた画像信号に基づいて観察部位の表示画像を生成し、表示画像を表示するものである。
図1は本発明の実施形態の内視鏡システムの一例を示す模式図である。
内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置13と、プロセッサ装置14とを有する。内視鏡システム10は、後述する内視鏡12の内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)の部分以外は、一般的な内視鏡と同様の構成を有する。
【0014】
内視鏡12は内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)を有する。また、内視鏡12は、詳細に図示はしないが、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部に連なる操作部と、操作部から延びるユニバーサルコードとを有し、挿入部は、先端部12a(
図2参照)と、先端部12a(
図2参照)に連なる湾曲部12b(
図2参照)と、湾曲部12b(
図2参照)と操作部とを繋ぐ軟性部とで構成されている。内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)については後述する。
【0015】
内視鏡12の先端部12a(
図2参照)には、観察部位を照明するための照明光を出射する照明光学系、及び観察部位を撮像する撮像素子及び撮像光学系等を有する内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)等が設けられている。湾曲部12b(
図2参照)は挿入部の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、
図2では2方向に湾曲する構成を示しているが、通常は、後述のように4方向に湾曲する。また、湾曲部の湾曲動作は操作部にて操作される。また、軟性部は、挿入部の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
【0016】
操作部には、先端部の内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)の撮像動作を操作するボタン、又は湾曲部の湾曲動作を操作するノブ等が設けられている。また、操作部には、電気メス等の処置具が導入される導入口が設けられており、挿入部の内部には、導入口から先端部に達し、鉗子等の処置具が挿通される処置具チャンネルが設けられている。
【0017】
ユニバーサルコードの末端にはコネクタが設けられ、内視鏡12は、コネクタを介して、先端部の照明光学系から出射される照明光を生成する光源装置13、及び先端部の内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)によって取得される映像信号を処理するプロセッサ装置14と接続される。
【0018】
プロセッサ装置14は、入力された映像信号を処理して観察部位の映像データを生成し、生成した映像データをモニタ(図示せず)に表示させるか、又はハードディスク等の記憶媒体に記録する。なお、プロセッサ装置14は、パーソナルコンピュータ等のプロセッサによって構成されるものであってもよい。
【0019】
光源装置13は、内視鏡12の内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)によって体腔内の観察対象部位を撮像して、観察対象の画像信号を取得するために、赤光(R)、緑光(G)、及び青光(B)等の3原色光からなる白色光又は特定波長光等の照明光を、発生させて、内視鏡12に供給し、内視鏡12内のライトガイド等によって伝搬し、内視鏡12の挿入部の先端部の照明光学系から出射して、体腔内の観察対象部位を照明するためのものである。
【0020】
挿入部及び操作部並びにユニバーサルコードの内部にはライトガイド又は電線群(信号ケーブル)が収容されている。光源装置13にて生成された照明光がライトガイドを介して先端部の照明光学系に導光され、また、先端部の内視鏡撮像装置20(
図2及び
図3参照)とプロセッサ装置14との間で信号及び電力のうち、少なくとも一方が電線群を介して伝送される。
【0021】
また、内視鏡システム10は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ等を備えていてもよい。更に、送水タンク内の洗浄水、又は外部の空気等の気体を内視鏡内の管路(図示せず)に供給する供給ポンプ等を備えていてもよい。
【0022】
図2は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置を有する内視鏡の先端部及び湾曲部を示す模式的断面図である。
図1に示す内視鏡システム10の内視鏡12の先端部12aに
図2に示すように湾曲部12bが接続されている。内視鏡撮像装置20は、
図2に示すように内視鏡12の先端部12a内に配置される。内視鏡撮像装置20のことをカメラヘッドともいう。
【0023】
湾曲部12bは、複数の関節を備えるアングル15を有する筒体である。アングル15同士は、連結ピン16で接続されており、互い回動する。連結ピン16の部分が関節である。また、アングル15の外側端部には、アングル15の配置方向に沿って操作ワイヤ17が設けられている。操作ワイヤ17を押し引きすることにより、湾曲部12bは湾曲する。なお、
図2に示す連結ピン16と直交する連結ピン(図示せず)により連結されたアングル(図示せず)がある。この図示しないアングルにも、上述のように操作ワイヤが設けられている。これにより、操作ワイヤの操作により、4方向に湾曲する。また、操作ワイヤの先端は、ロー付け、接着、又はかしめ等によりアングル15に固定されている。アングル15、連結ピン16及び操作ワイヤ17は、例えば、ステンレス鋼で構成される。
また、湾曲部12bには、アングル15の外周面を覆うアングルネット(図示せず)、及びアングルネットの外周面を覆う軟性の湾曲部外皮(図示せず)が設けられている。アングルネットは、ステンレス鋼、銅等の金属素線、又は炭素繊維を編み込んだネット等で構成される。
先端部12aに内視鏡撮像装置20が配置されている。先端部12aには、内視鏡撮像装置20以外に、鉗子出口21が設けられ、さらに図示はしないが照明装置、送気ノズル及び送水ノズル等が設けられている。
【0024】
〔内視鏡撮像装置の第1の例〕
図3は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的斜視図であり、
図4は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的側面図であり、
図5は本発明の実施形態の内視鏡撮像装置の第1の例を示す模式的下面図である。なお、
図4は連結部材29の図示を一部、省略している。
図3及び
図4に示す内視鏡撮像装置20は、観察対象の画像を取得するものである。内視鏡撮像装置20は、撮像レンズ23、撮像レンズ23を保持するレンズ鏡胴22、保持具24、撮像素子25、回路基板26、プリズム27、及び信号ケーブル28を有する。また、内視鏡撮像装置20は、連結部材29を有する。信号ケーブル28は外皮28dを有し、信号ケーブル28には第1のチューブと第2のチューブとが重なって被覆されている。
【0025】
プリズム27は、例えば、入射面27aと出射面27bとが直交する直角プリズムである。また、プリズム27には入射面27aと出射面27bとを結ぶ斜面27cを有する。斜面27cがプリズム27の反射面である。プリズム27は、レンズ鏡胴22と撮像素子25との間に配置される光学部材の一例であり、光学部材は、プリズム27に限定されるものではない。なお、プリズム27の配置も特に限定されるものではない。また、プリズム27は、撮像素子25の配置位置によっては必ずしも必要ではなく、別の光学部材を配置する構成でもよい。
【0026】
撮像レンズ23は、撮像レンズ23に入射する光を撮像素子25の受光面25aに結像する光学素子である。撮像レンズ23はレンズ鏡胴22に保持される。
【0027】
レンズ鏡胴22は、筒状の部材であり、内部に、1以上の撮像レンズ23を保持するものである。レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸Cがプリズム27の入射面27a(
図4参照)に垂直になるように、撮像レンズ23を保持する。内視鏡撮像装置20は、例えば、3つの撮像レンズ23を有し、レンズ鏡胴22で保持されている。
ここで、光軸Cに平行な方向をX方向とする。光軸Cと直交する2つの方向のうち、1つをY方向とし、残りをZ方向とする。Y方向は内視鏡撮像装置20の幅方向に対応し、Z方向は内視鏡撮像装置20の高さ方向に対応する。
【0028】
撮像レンズ23及びレンズ鏡胴22の構成は特に制限されない。例えば、撮像レンズ23を1つ有する構成であってもよいし、2つ、又は、4つ以上の撮像レンズ23を有する構成でもよい。また、各撮像レンズ23は、凸レンズであっても凹レンズであってもよい。
【0029】
撮像素子25は、撮像レンズ23によって結像された光を光電変換によって電気信号に変換することで撮像を行う撮像素子である。撮像素子25は、従来公知の撮像素子であり、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサー又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーを用いることができる。
【0030】
撮像素子25は、保持具24に対してレンズ鏡胴22の反対側に配置されている。撮像素子25は、
図4に示すように、例えば、導電性を有するバンプ34を介して回路基板26の第1の平面部26aの表面26fに電気的に接続されている。また、
図4に示すように、撮像素子25は、受光面25aが撮像レンズ23の光軸Cに平行になるように回路基板26上に実装されている。なお、実装とは、電気的に接続されていることをいう。
撮像素子25と回路基板26との間に、撮像素子25と回路基板26とを強固に接続するためにアンダーフィル層(図示せず)を設けることもできる。
【0031】
バンプ34は、金属又は合金で構成される。より具体的には、バンプ34は、半田で構成される。半田で形成されたバンプ34のことを半田ボールともいう。なお、バンプ34は、撮像素子25と回路基板26とを電気的に接続することができれば、半田等に限定されるものではない。また、撮像素子25と回路基板26とは直接電気的に接続してもよい。
また、アンダーフィル層は、撮像素子25と回路基板26との熱膨張係数の違いにより、撮像素子25と回路基板26との接合部、例えば、バンプ34に応力が生じるが、この応力を緩和する。アンダーフィル層により、撮像素子25と回路基板26とが強固に接続され、電気的な接続の信頼性が増し、信頼性が高い内視鏡撮像装置20が得られる。
アンダーフィル層を構成するアンダーフィル剤は、特に限定されるものでなく、撮像素子25と、回路基板26との間の封止樹脂として用いられるものが適宜利用可能である。例えば、アンダーフィル剤として、一液性加熱硬化型のエポキシ樹脂が用いられる。この場合、アンダーフィル剤を供給した後、予め定められた温度に加熱保持して、アンダーフィル層が形成される。
【0032】
回路基板26は、撮像素子25が実装される基板である。また、回路基板26には、撮像素子25以外に、例えば、電子部品30、30aが実装される。電子部品30、30aは、撮像素子25を駆動するためのものであり、特に限定されるものではないが、例えば、電圧レギュレータ、抵抗、及びコンデンサ等が挙げられる。電圧レギュレータは、撮像素子25への電圧を安定化させるデバイスであり、撮像素子25に一定の電圧を出力する。
図示例において、回路基板26は、第1の平面部26aと、第1の平面部26aと第1の屈曲部26bで連結された第2の平面部26cと、第2の平面部26cと第2の屈曲部26dで連結された第3の平面部26eとを有する。第1の平面部26a及び第3の平面部26eは、撮像レンズ23の光軸Cと平行である。第2の平面部26cは、撮像レンズ23の光軸Cに対して傾いて角度がついており、傾斜している。すなわち、第2の平面部26cが光軸Cと平行ではない。第2の平面部26cは、第2の屈曲部26dの方が第1の屈曲部26bよりもZ方向において上側になるように傾斜している。
また、回路基板26には、撮像素子25及び電子部品30、30aに対する信号又は電力が入出力される複数の接続端子(図示せず)が、第3の平面部26e(
図4参照)の第2の平面部26c(
図4参照)に対向する裏面26h(
図4参照)に設けられている。接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(
図4参照)が電気的に接続される。
回路基板26は、例えば、可撓性を有する基板で構成されており、例えば、フレキシブルプリント基板で構成される。
【0033】
第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dは、いずれも曲面で構成されている。第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径は同じでもよく、違っていてもよい。
図4に示すように第1の屈曲部26bの方が第2の屈曲部26dよりも曲率半径が大きい。第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径を調整することにより、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間のスペース、及び第2の平面部26cと第3の平面部26eとの間のスペースを調整できる。
第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dは、曲面を有する構成であれば、曲面だけで構成されていることに限定されるものではなく、例えば、平面と曲面とを有する構成でもよい。
曲率半径は、以下のようにして得られる。まず、側面方向からの回路基板26の画像を取得する。取得した画像を用いて、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径に該当する該当箇所を特定する。該当箇所に、曲線を当てはめ、その曲線の曲率半径を定規を用いて測定する。その測定値が曲率半径である。
なお、上述の曲率半径の測定には、取得した回路基板26の画像をコンピューターに取り込んで、ソフトウェアを用いて、第1の屈曲部26b及び第2の屈曲部26dの曲率半径を測定することも含まれる。曲率半径に該当する該当箇所に、曲線を当てはめ、その曲線の曲率半径を定規を用いて測定することには、コンピューター上でソフトウェアを用いて実施することも含まれる。
【0034】
撮像素子25は、
図4に示すように第1の平面部26aの表面26fに実装されている。また、第1の平面部26aの表面26fには電子部品30も実装されている。
第2の平面部26cの第1の平面部26aの表面26fに対向する裏面26gに電子部品30、30aが実装されている。第2の平面部26cは、第1の平面部26aに対して傾斜しているため、第1の平面部26aと第2の平面部26cとの間にスペースが広い領域ができる。このため、サイズの大きい電子部品30aを実装できる。例えば、第2の平面部26cの裏面26gでは、第2の屈曲部26d側に実装された電子部品30aは第1の屈曲部26b側に実装された電子部品30よりも高さが高い。このように、様々なサイズの電子部品を実装でき、内視鏡撮像装置20のスペースを有効活用できる。
なお、上述のように第3の平面部26eの第2の平面部26cに対向する裏面26hに接続端子(図示せず)が設けられている。回路基板26上における撮像素子25、電子部品30、30a、及び接続端子等の配置は、特に限定されるものではない。
【0035】
回路基板26の第3の平面部26eの裏面26h(
図4参照)に設けられた接続端子に、信号ケーブル28の信号線28a(
図4参照)が電気的に接続されており、撮像素子25と信号ケーブル28とが電気的に接続される。撮像素子25によって光が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介して送信される。信号ケーブル28は、内視鏡の挿入部、操作部、ユニバーサルコード等に挿通されて、プロセッサ装置14(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0036】
信号ケーブル28は、信号線28aと、外周を構成する外皮28dとを有する構成であれば、特に限定されるものではない。信号ケーブル28は、例えば、
図4に示すように複数の信号線28aと、各信号線28aを被覆する被覆層28bと、被覆層28bで被覆された、複数の信号線28aの全体の周囲に設けられたシールド導体28cと、シールド導体28cを被覆する外皮28dとを有する。信号ケーブル28は、複数の信号線28aが束ねられ、かつ周囲にシールド導体28cが設けられ、かつ円筒状の外皮28d内に収納された多芯ケーブルである。
上述のように外皮28dは信号ケーブル28の外周を構成する。被覆層28b、シールド導体28c、及び外皮28dは、例えば、円筒状である。また、信号ケーブル28のシールド導体28cのことをシールドという。信号ケーブル28は、信号線28aを、例えば、5本有する。信号線28aの数は、内視鏡撮像装置20の構成に応じたものであり、特に限定されるものではなく、2本でも、3本でも、4本でもよく、6本以上でもよい。
【0037】
プリズム27は、レンズ鏡胴22と撮像素子25との間に、カバーガラス31を介して配置される。プリズム27は、撮像素子25の受光面25aに撮像レンズ23を通過した光をガイドするものである。プリズム27は、レンズ鏡胴22に保持された撮像レンズ23を通過した光を、斜面27c、すなわち、反射面で、例えば、90°屈曲させて光路を変更し、撮像素子25の受光面25aに導く。撮像レンズ23を透過した透過光はプリズム27に入射し、プリズム27の斜面27c、すなわち、反射面で反射し、撮像素子25の受光面25aに入射される。
例えば、プリズム27は、入射面27aをレンズ鏡胴22の基端側の面に対面して配置される。また、プリズム27は、出射面27bを撮像素子25の受光面25aに対面して配置される。この場合、プリズム27は、カバーガラス31上に出射面27bをカバーガラス31に対向して配置される。
カバーガラス31は、撮像素子25の受光面25a上に配置され、受光面25aを保護するものである。プリズム27とカバーガラス31とは、例えば、光硬化型接着剤で接着される。なお、カバーガラス31がない構成でもよい。
【0038】
保持具24は、レンズ鏡胴22とプリズム27とを保持する部材である。保持具24は、略筒状の部材であり、筒部の内部にレンズ鏡胴22を嵌入されて、レンズ鏡胴22を保持する。保持具24の内面とレンズ鏡胴22の外周面とは接着固定される。
保持具24とレンズ鏡胴22とを接着する接着剤としては、従来の内視鏡で用いられている種々の公知の接着剤を用いることができる。この点は、他の部材同士を接着する接着剤についても同様である。
【0039】
保持具24は、取付筒部24aの基端側の端面に、多角形状のフランジ部24bを有する。フランジ部24bのY方向の両端に、それぞれ規制部材24cが設けられている。
プリズム27は規制部材24cの間に配置され、規制部材24cに挟まれた状態でフランジ部24bに入射面27aが当接される。これにより、プリズム27はX方向の位置決めがなされる。保持具24は、レンズ鏡胴22及びプリズム27を所定の位置に保持することで、レンズ鏡胴22とプリズム27との相対位置、すなわち、レンズ鏡胴22と、撮像素子25の受光面25aとの相対位置を固定する。プリズム27の出射面27bと撮像素子25とが対向する。
ここで、レンズ鏡胴22は、撮像レンズ23の光軸C方向における、保持具24に対する相対位置を、撮像素子25の受光面25aにピントが合うように調整されて、保持具24に接着固定される。光軸C方向とは撮像レンズ23の光軸Cの延在方向である。撮像レンズ23の光軸C方向はX方向と平行な方向である。
【0040】
連結部材29は、保持具24と信号ケーブル28とを連結するものである。連結部材29は信号ケーブル28を内部で保持する。連結部材29は、例えば、
図3に示すように、1つの板材を湾曲させて構成された部材である。具体的には、連結部材29は、1つの板材を光軸C方向に延在する、2か所の折り曲げ部で折り曲げた形状を有する。従って、連結部材29は、光軸C方向に垂直な断面が略C形状となる。連結部材29は、略C形状の内側に回路基板26上の接続端子(信号ケーブル28との接続箇所)が包含されるように配置される。すなわち、
図3に示すように、連結部材29は、図中上側から回路基板26を覆う基部29bと、基部29bの端で折り曲げられて形成された側面部29cとを有する。側面部29cは、例えば、回路基板26の第2の平面部26cに平行な縁29gを有する。縁29gは、第2の平面部26cよりも基部29b側にあり、連結部材29で上側から回路基板26を覆った際、回路基板26の第2の平面部26cが露出する。
連結部材29は、回路基板26の第3の平面部26e等の一部と、プリズム27及び信号ケーブル28の先端部を覆っており、回路基板26、プリズム27及び信号ケーブル28のカバー部材を兼ねている。さらには、連結部材29は、回路基板26、プリズム27及び信号ケーブル28の保護部材としても機能する。
【0041】
連結部材29は、先端側に1対のアーム部29aを有する。1対のアーム部29aの先端部29hは、それぞれY方向に平行に曲げられており、爪部を構成する。1対のアーム部29aが保持具24のフランジ部24bを挟み、アーム部29aの先端部29hが係合して、連結部材29は保持具24に固定される。
また、連結部材29は、側面部29cの基端側に信号ケーブル28を保持する保持部29dを有する。保持部29dは、外皮28dに沿って曲げられており、アーム部29aから保持部29dに向かうに従いY方向の幅が狭くなっている。保持部29dの内部に、信号ケーブル28が固定されて保持される。保持部29dは側面部29cと続した部材である。
【0042】
信号ケーブル28は、第1のチューブ36と第2のチューブ37とが重なって被覆されている。第1のチューブ36と第2のチューブ37とは、信号ケーブル28を保護するものであり、信号ケーブル28の折れを防止し、信号線28aの断線を防止するものである。
図5では、第1のチューブ36に第2のチューブ37が被覆されており、第1のチューブ36が下側であるが、これに限定されるものではない。しかしながら、第1のチューブ36に第2のチューブ37が被覆されていると、第1のチューブ36の後端36bが第2のチューブ37で覆われる。これにより、例えば、アングル15の連結ピン16に第1のチューブ36の後端36bが繰り返し接触してダメージを受けることによるめくれを防ぐことができる。また、第1のチューブ36と第2のチューブ37との界面から潤滑剤等が意図せず侵入することを防止できる。
【0043】
第1のチューブ36の先端36a及び第2のチューブ37の先端37aは連結部材29内に収容されている。
図5では、第1のチューブ36の先端36a及び第2のチューブ37の先端37aが連結部材29のレンズ鏡胴22の反対側の後端面29eよりもレンズ鏡胴22側にあり、保持部29dの内側に位置している。第1のチューブ36の先端36a及び第2のチューブ37の先端37aを、
図5に示すように、連結部材29に対して、オーバーラップさせて信号ケーブル28に設けている。第1のチューブ36の先端36a及び第2のチューブ37の先端37aは、それぞれレンズ鏡胴22側の端のことである。
【0044】
また、第1のチューブ36の後端36bは、第2のチューブ37の後端(図示せず)よりも連結部材29側にある。このように信号ケーブル28に第1のチューブ36と第2のチューブ37とが重なって被覆され、かつ第1のチューブ36の後端36bは、第2のチューブ37の後端(図示せず)よりも連結部材29側にあることにより、信号ケーブル28の折れが防止され、折れ曲がり等により発生する断線を抑制できる。この構成により、さらには信号ケーブル28が曲がりにくくなることも抑制され、信号ケーブル28の柔軟性も維持される。
【0045】
図2に示すように、湾曲部12bに、内視鏡撮像装置20を配置した場合、第1のチューブ36と第2のチューブ37とが重なって被覆された信号ケーブル28は湾曲部12b内に配置される。第1のチューブ36の後端36bは、アングル15の第3関節よりもアングル15の先端側にあることが好ましい。これにより、信号ケーブル28の断線の抑制と、信号ケーブル28の柔軟性とを両立できる。
なお、アングル15の先端部12aに最も近い最初の連結ピン16の位置を第1関節とし、それ以降、アングル15の基端側、すなわち、連結部材29の反対側の端側の連結ピン16の位置を、第2関節、第3関節とする。アングル15の第3関節とは、先端部12aから3番目の連結ピン16の位置である。
また、第2のチューブ37の後端(図示せず)は、アングル15の中央の関節よりもアングル15の基端側にあることが好ましい。これにより、湾曲部12b内では信号ケーブル28は様々に曲げられたりしても、第2のチューブ37がアングル15と接触するため、信号ケーブル28がアングル15と直接接触することはなく、信号ケーブル28は保護される。
なお、アングル15の基端側とは、連結部材29の反対側のことである。また、アングル15の中央の関節とは、
図2に示すように、複数の関節がある場合、関節の総数のうち、半分の位置にある関節のことである。
【0046】
第1のチューブ36は、例えば、熱収縮チューブであることが好ましい。
第2のチューブ37は、例えば、熱収縮チューブであることが好ましい。
第1のチューブ36及び第2のチューブ37を、熱収縮チューブとすることにより、第1のチューブ36と第2のチューブ37とを被覆しても、極端に太くならず、他の内容物の空間を圧迫しない。
また、熱収縮チューブの場合、収縮により内側のケーブルを締め付けて、軸方向の摩擦を生じさせ、ケーブルの軸方向の荷重負荷を熱収縮チューブに分散する。このとき、熱収縮チューブが一部の軸方向負荷を受ける。
なお、第1のチューブ36及び第2のチューブ37が収縮しないチューブの場合、挿通するためにクリアランスを設ける必要があり、第1のチューブ36と第2のチューブ37とを被覆すると太くなる。一方、クリアランスを小さくすると挿通が難しくなる。また、収縮しない太いチューブは一般に硬く、折れ曲がりやすく、曲げにくくなる。
第1のチューブ36及び第2のチューブ37の材質としては、ポリオレフィン、シリコン、及びフッ素樹脂等が挙げられる。
第1のチューブ36と第2のチューブ37について、アングルの曲げRが小さかったり、曲げに必要な力、例えば、ワイヤの牽引力を小さくしたい場合は、柔らかいチューブを選択する。ケーブルが折れやすく、特に連結部材29の根元での折れを防ぎたい場合は、第1のチューブ36を硬めにする等、ケーブルの特性又はアングルの設計によって、2種のチューブの材質、硬さ、厚み、及び長さを変えて調整する。
なお、曲げRとは、曲げた位置から曲げの中心部までの半径のことである。
【0047】
また、連結部材29は、保持具24と信号ケーブル28とに連結することにより、信号ケーブル28が引っ張られた際等に、回路基板26上の接続端子と、信号ケーブル28の信号線28aとの接続箇所が引っ張られて、接続端子と信号線28aとの接続が断線することを防止する。
連結部材29を形成する金属材料としては特に限定はないが、熱伝導率が高い金属材料が好ましい。加工性、入手性、強度等を考慮すると、連結部材29としては、ステンレス鋼、及び銅合金が好ましい。
【0048】
連結部材29のアーム部29aと保持具24のフランジ部24b、並びに連結部材29の保持部29dと信号ケーブル28の外皮28dとは、例えば、接着剤38を用いて接着固定される。接着固定されている場合、接着剤38は硬化状態である。なお、連結部材29の保持部29dと信号ケーブル28の外皮28dとを固定することができれば、接着剤38を用いた接着固定に限定されるものではない。
接着剤38を用いて接着固定する場合、第1のチューブ36及び第2のチューブ37は、硬化状態の接着剤38よりも軟らかいことが好ましい。第1のチューブ36及び第2のチューブ37が、硬化状態の接着剤38よりも軟らかいことにより、第1のチューブ36及び第2のチューブ37が容易に曲がることができ、連結部材29の保持部29dにおいて信号ケーブル28に負荷が作用することが軽減される。第1のチューブ36及び第2のチューブ37がPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂で構成される場合、接着剤38は、例えば、エポキシ樹脂系接着剤が用いられる。接着剤38は、エポキシ系接着剤以外に、例えば、シリコーン系接着剤、又はアクリル系接着剤を用いることができる。
【0049】
内視鏡撮像装置20では、
図4及び
図5に示すように、信号ケーブル28の連結部材29側の端である先端に、信号ケーブル28の外皮28dの上から信号ケーブル28を中心に向かって圧縮して固定する信号ケーブル圧縮部材35を設けてもよい。
信号ケーブル圧縮部材35は、信号ケーブル28の外皮28d上に設けられ、締め付けて外皮28dを信号ケーブル28の信号線28aに固定するものである。信号ケーブル圧縮部材35は、例えば、円環状の部材であり、信号ケーブル28の中心に向かって圧縮すること、すなわち、かしめることにより信号ケーブル圧縮部材35を締め付けて、外皮28dを信号ケーブル28の信号線28aに固定する。
信号ケーブル圧縮部材35は、外皮28dを信号ケーブル28の信号線28aに固定することができれば、円環状に限定されるものではなく、多角形の環状の部材でもよい。また、信号ケーブル圧縮部材35は、円環状ではなく、一周連続することなく、隙間を有する構成でもよく、例えば、Cリング状でもよい。この場合、離れた端部同士を接近させるように、かしめることにより離れた端部同士が接近して、信号ケーブル圧縮部材35の開口部が小さくなり、外皮28dが信号ケーブル28の信号線28aに固定される。また、信号ケーブル圧縮部材35は、例えば、金属で構成される。信号ケーブル圧縮部材35を構成する金属には合金も含まれる。
【0050】
また、内視鏡撮像装置20に使用している信号ケーブル28は、上述のように、複数の信号線28aを外皮28dで束ねた構造をしており、信号線28aは破損しやすいため、外皮28d又は連結部材29により保護が必要である。連結部材29は金属等で形成されており、連結部材29の保持部29dは剛性の変化が急激であり、信号ケーブル28への負荷が大きく集中する。このため、内視鏡の湾曲動作又は他の内容物との摺動により外皮28dがずれて信号線28aが連結部材29外に露出すると、連結部材29の保持部29d近傍において信号線28aの破損が発生する。
しかしながら、信号ケーブル28の外皮28dに信号ケーブル圧縮部材35を設けることにより、信号ケーブル28の外皮28dの固定強度を高くした上で、第1のチューブ36及び第2のチューブ37を、上述のように連結部材29に対してオーバーラップさせて固定することにより、信号ケーブル28の外皮28dの接着面積が減った分を信号ケーブル圧縮部材35の固定強度で補填し、第1のチューブ36及び第2のチューブ37で連結部材29の保持部29d付近の強度を向上させる。これにより、信号ケーブル28の接合強度が高く、信号ケーブル28の接合の信頼性が高い内視鏡撮像装置20が得られる。これにより、信号ケーブル28の断線も抑制される。
【0051】
また、信号ケーブル圧縮部材35の連結部材29の保持部29d側の端35bと、第1のチューブ36の先端36a及び第2のチューブ37の先端37aとの間に隙間39を設けて、第1のチューブ36及び第2のチューブ37を配置することが好ましい。上述の隙間39を設けて、信号ケーブル圧縮部材35と第1のチューブ36及び第2のチューブ37とを設けることにより、接着剤38の接着面積を確保できる。上述の隙間39があることで、より確実に、信号ケーブル28を連結部材29に固定できる。さらには、信号ケーブル28がレンズ鏡胴22の反対側に引っ張られた場合に、信号ケーブル圧縮部材35が接着剤38に引っ掛かり、信号ケーブル28の抜けが防止され、また、信号ケーブル28の破損を抑制できる。
なお、隙間39は、接着剤38の接着面積を確保できるため、0.5mm以上であることが好ましい。接着範囲が大きければ大きい程、接着強度が増すため、隙間39の上限は、特に限定されるものではない。しかしながら、内視鏡撮像装置20の構造的な制約から、隙間39の上限は3mm程度である。隙間39は、マイクロメーター又はノギスを用いて測定される。
なお、例えば、上述の信号ケーブル圧縮部材35及び第1のチューブ36及び第2のチューブ37は、それぞれの部品を所定の位置に位置決めして組み立てることのできる治具又は設備を使用して、組み立てられる。
【0052】
第1のチューブ36及び第2のチューブ37を、上述のように連結部材29の内部にオーバーラップさせて信号ケーブル28に配置すると、連結部材29内での外皮28dの面積が小さくなる。このため、接着剤を用いて信号ケーブル28を連結部材29に固定する場合、接着面積が小さくなる。このことからも、上述の信号ケーブル圧縮部材35を設けることが好ましい。信号ケーブル圧縮部材35により固定強度を補うことができる。さらに第1のチューブ36及び第2のチューブ37により、連結部材29の保持部29d近傍での強度を向上させることができる。これにより、信号ケーブル28において、連結部材29の保持部29d近傍における剛性の急激な変化による負荷の集中が大きすぎる場合、信号ケーブル28の外皮28dがずれていなくても内部の信号線28a(芯線)の破損が抑制される。
【0053】
また、連結部材29は、例えば、信号ケーブル28を内部で保持し、かつ内側に突出した凹部29fを有し、凹部29fは、信号ケーブル圧縮部材35に少なくとも一部が重なっていることが好ましい。この構成であると、連結部材29と信号ケーブル28とを接着剤38を用いて固定する際に、より強固に固定できる。さらには、凹部29fにより、連結部材29の中心と、信号ケーブル28の中心との位置決めを容易にできる。
なお、凹部29fは、例えば、連結部材29の側面部29cを局所的に絞ることにより形成される。
凹部29fと信号ケーブル圧縮部材35とは、凹部29fの一番絞られた部分、すなわち、幅が最も狭い部分が信号ケーブル圧縮部材35に重なっていることが好ましい。より具体的には、凹部29fの幅が最も狭い部分の、撮像レンズ23の光軸C方向の位置が、信号ケーブル圧縮部材35の光軸C方向の幅に重なっていることが好ましい。
【0054】
内視鏡撮像装置20では、プリズム27の斜面27cは第2の屈曲部26dに対向している。撮像素子25の受光面25aに対して垂直な方向から見た際に、プリズム27の斜面27cに、回路基板26の第2の屈曲部26dの少なくとも一部が重なることが好ましい。これにより、プリズム27の斜面27c側のスペースに、第2の屈曲部26dが入り込む形態となり、プリズム27の斜面27c側のスペースを有効利用して、内視鏡撮像装置20の光軸C方向の長さを短くでき、内視鏡撮像装置20を光軸C方向において小型化できる。
【0055】
内視鏡撮像装置20では、プリズム27の斜面27cの一部と回路基板26の第2の屈曲部26dの一部とを光硬化型接着剤を用いて連結してもよい。また、第1の屈曲部26bの一部及び第2の平面部26cの一部と、又は信号ケーブル28の一部及び第3の平面部26eとを、光硬化型接着剤を用いて連結してもよい。これにより、回路基板26の形状を維持でき、内視鏡撮像装置20の製造時間を短縮できる。
光硬化型接着剤は、例えば、波長100~400nm程度の紫外光、波長400超780nm未満程度の可視光波長、又は780nm~1mm程度の赤外光等により硬化する接着剤である。光硬化型接着剤は、例えば、エポキシ樹脂系光硬化型接着剤、アクリル樹脂系光硬化型接着剤、又はシリコーン系光硬化型接着剤である。また、光硬化と熱硬化が併用される接着剤でもよい。この光硬化型接着剤は、上述のプリズム27とカバーガラス31との接着にも利用できる。
【0056】
内視鏡撮像装置20においては、撮像レンズ23から撮像素子25に取り込まれた観察像は、撮像素子25の受光面25aに結像されて電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル28を介してプロセッサ装置14(
図1参照)に出力され、映像信号に変換され、プロセッサ装置14に接続されたモニタに観察画像が表示される。
内視鏡撮像装置20では、撮像素子25の受光面25aを撮像レンズ23の光軸Cに平行に配置したが、これに限定されるものではなく、撮像素子25の受光面25aを撮像レンズ23の光軸Cに対して垂直に配置した構成でもよい。
【0057】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の内視鏡撮像装置及び内視鏡について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良又は変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0058】
10 内視鏡システム
12 内視鏡
12a 先端部
12b 湾曲部
13 光源装置
14 プロセッサ装置
15 アングル
16 連結ピン
17 操作ワイヤ
20 内視鏡撮像装置
21 鉗子出口
22 レンズ鏡胴
23 撮像レンズ
24 保持具
24a 取付筒部
24b フランジ部
24c 規制部材
25 撮像素子
25a 受光面
26 回路基板
26a 第1の平面部
26b 第1の屈曲部
26c 第2の平面部
26d 第2の屈曲部
26e 第3の平面部
26f 表面
26g、26h 裏面
27 プリズム
27a 入射面
27b 出射面
27c 斜面
28 信号ケーブル
28a 信号線
28b 被覆層
28c シールド導体
28d 外皮
29 連結部材
29a アーム部
29b 基部
29c 側面部
29d 保持部
29e 後端面
29f 凹部
29g 縁
29h 先端部
30、30a 電子部品
31 カバーガラス
34 バンプ
35 信号ケーブル圧縮部材
35b 端
36 第1のチューブ
36a、37a 先端
36b 後端
37 第2のチューブ
38 接着剤
39 隙間
C 光軸