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特開2023-151358非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151358
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20231005BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20231005BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231005BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20231005BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20231005BHJP
   H01M 4/64 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01M10/052
H01M10/0566
H01M4/66 A
H01M4/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060935
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】田代 勇太
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017DD05
5H017HH03
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL18
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H050AA14
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA11
5H050EA24
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA14
(57)【要約】
【課題】できるだけ厚みを小さくしながらも電極合材層の脱落や剥離を十分に抑制することができる下地層を備えた非水電解質二次電池用電極を提供する。
【解決手段】集電体と、電極合材層と、これら集電体と電極合材層との間に設けられた導電性の下地層とを備えるものであって、前記下地層が、スチレン-アクリル酸エステル系共重合体と、炭素材料と、ポリアクリル酸を少なくとも含み、前記下地層における前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体の含有量は45質量%以上77.5質量%以下であり、前記ポリアクリル酸は、該ポリアクリル酸が備えるカルボキシ基のうち、アルカリ金属イオンによって中和されている中和カルボキシ基の割合が25%以下であり、前記集電体の片面あたりの前記電極合材層の目付量が15mg/cm以上70mg/cm以下であることを特徴とする非水電解質二次電池用電極とした。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
電極合材層と、
これら集電体と電極合材層との間に設けられた導電性の下地層とを備えるものであって、
前記下地層が、スチレン-アクリル酸エステル系共重合体と、炭素材料と、ポリアクリル酸を少なくとも含み、
前記下地層における前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体の含有量は45質量%以上77.5質量%以下であり、
前記ポリアクリル酸は、該ポリアクリル酸が備えるカルボキシ基が中和されていない、又は前記カルボキシ基のうち、アルカリ金属イオンによって中和されている中和カルボキシ基の割合が0%を超えて25%以下であり、
前記集電体の片面あたりの前記電極合材層の目付量が15mg/cm以上70mg/cm以下であることを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
【請求項2】
前記集電体の片面あたりの前記電極合材層の目付量が25mg/cm以上70mg/cm以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項3】
前記集電体の片面あたりの前記電極合材層の目付量が30mg/cm以上50mg/cm以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項4】
前記下地層の厚みが0.5μm以上5μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項5】
前記下地層の厚みが0.5μm以上2μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項6】
前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体のガラス転移温度が-20℃以上15℃以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項7】
前記電極合材層が0.5質量%以上10質量%以下のポリテトラフルオロエチレンを含有するものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項8】
前記ポリアクリル酸が備えるカルボキシ基が中和されていない、又は前記ポリアクリル酸における前記中和カルボキシ基の割合が0%を超えて10%以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項9】
前記下地層における前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体の含有量が60質量%以上70質量%以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項10】
前記炭素材料がファーネスブラック(furnace black)、チャネルブラック(channel black)、サーマルブラック(thermal black)、ケッチェンブラック(ketjen black)及びアセチレンブラック(acetylene black)からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極。
【請求項11】
正極と、負極と、これら正極と負極との間に設けられたセパレータと、電解液とを備える非水電解質二次電池であって、
前記正極が請求項1~10のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用電極であることを特徴とする、非水電解質二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池用電極及び該電極を備えた非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池をはじめとする非水電解質二次電池は、スマートフォンやノート型パソコン等の電源として広く用いられているが、これら電子機器の小型化と軽量化が進むにつれて二次電池にはさらなる高エネルギー密度化が求められている。
また、最近は電気自動車やハイブリッド自動車等の電源としての需要も高まっており、従来のガソリンエンジンと同等の性能を確保するための高エネルギー密度化が求められている。
【0003】
リチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化の方法の一つとして、電極合材層の目付量を増やすことが挙げられる。
【0004】
通常、電極合材層の作製においては、電極合材スラリーを集電箔に塗工、乾燥することによって得ることが一般的であるが、電極合材層の目付量を大きくすると、バインダーが表面にマイグレーションを起こしやすく、集電箔から電極合材層が脱落あるいは剥離しやすくなってしまう。
そのため、目付量の大きい電極合材層の作製では電極合材組成物を乾式で混合、混練し、カレンダープレスなどでシート化した後、集電箔と張り合わせる方法も用いられている。このとき、集電箔から電極合材層が脱落や剥離しないように抑える方法として、以下の特許文献1のように集電箔と電極合材層との間に導電性を有する下地層を設けることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2020/196372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、下地層は電極活物質を含む層ではなく、電池のエネルギー密度向上に貢献しない層であるために、高エネルギー密度を実現するためには、下地層の厚みをより薄くすることが求められる。
また、前述した特許文献1においては、電極合材層の脱落若しくは剥離が起こりやすい高温貯蔵時における電池性能については確認されておらず、高温貯蔵時においても電極合材層の脱落や剥離を十分に抑制できる下地層が求められる。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、できるだけ厚みを小さくしながらも電極合材層の脱落や剥離が起こりやすい高温貯蔵時においても、電極合材層の脱落や剥離を十分に抑制することができる下地層を備えた非水電解質二次電池用電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る非水電解質二次電池用電極は、集電体と、電極合材層と、これら集電体と電極合材層との間に設けられた導電性の下地層とを備えるものであって、
前記下地層が、スチレン-アクリル酸エステル系共重合体と、炭素材料と、ポリアクリル酸を少なくとも含み、
前記下地層における前記スチレン-アクリル酸系エステル系共重合体の含有量は45質量%以上77.5質量%以下であり、
前記ポリアクリル酸は、該ポリアクリル酸が備えるカルボキシ基が中和されていない、又は前記カルボキシ基のうち、アルカリ金属イオンによって中和されている中和カルボキシ基の割合が25%以下であり、
前記集電体の片面あたりの前記電極合材層の目付量が15mg/cm以上70mg/cm以下であることを特徴とするものである。前記目付量は、25mg/cm以上70mg/cm以下であることが好ましく、30mg/cm以上50mg/cm以下であることが特に好ましい。
【0009】
このように構成した非水電解質二次電池用電極によれば、前記集電体の片面あたりの前記電極合材層の目付量が大きい電極においても、前記下地層の厚みを所望の高エネルギー密度を達成することができる範囲まで十分に小さくした場合であっても、電極合材層の脱落や剥離を抑制することができる。
【0010】
本発明の具体的な実施態様としては、前記下地層の厚みが0.5μm以上5μm以下のものを挙げることができる。前記下地層の厚みは、0.5μm以上2μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1.5μm以下であることが特に好ましい。
【0011】
前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体のガラス転移温度が、―20℃以上15℃以下であることが好ましい。
【0012】
前述したような目付量の電極合材層を実現するには、前記電極合材層が0.5質量%以上10質量%以下のポリテトラフルオロエチレンを含有するものであることが好ましい。
【0013】
前記ポリアクリル酸が備えるカルボキシ基が中和されていない、又は前記ポリアクリル酸における前記中和カルボキシ基の割合が0%を超えて10%以下であることがより好ましい。
【0014】
前記下地層における前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体の含有量は50質量%以上75質量%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の具体的な実施態様としては、前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体が、スチレン-アクリル酸ブチル系共重合体及び/又はスチレン-アクリル酸2-エチルへキシル系共重合体であるものを挙げることができる。
【0016】
前記炭素材料が、ファーネスブラック(furnace black)、チャネルブラック(channel black)、サーマルブラック(thermal black)、ケッチェンブラック(ketjen black)及びアセチレンブラック(acetylene black)のうち1つ以上を含むものであることが好ましい。
【0017】
本発明は、以上に説明したような非水電解質二次電池用電極である正極と、負極と、これら正極と負極との間に設けられたセパレータと、電解液とを備える非水電解質二次電池をも含むものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、正極合材層の目付量を大きくし、かつ下地層の厚みをできるだけ小さくすることによって、非水電解質二次電池の高エネルギー密度化を図るとともに、正極合材層の脱落や剥離を十分に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態に係る二次電池の具体的な構成について説明する。
<1.非水電解質二次電池の基本構成>
本実施形態に係る非水電解質二次電池は、正極と、負極と、セパレータ(separator)と、非水電解質と、を備えるリチウムイオン二次電池である。
このリチウムイオン二次電池の形態は、特に限定されないが、例えば、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、またはボタン(button)形等のいずれであってもよい。
【0020】
(1-1.正極)
前記正極は、正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極合材層とを備えている。
前記正極集電体は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、板状又は箔状のものであり、アルミニウム(aluminum)、ステンレス(stainless)鋼、及びニッケルメッキ(nickel coated)鋼等で構成されることが好ましい。
前記正極合材層は、少なくとも正極活物質を含み、導電剤と、正極用バインダーとをさらに含んでいてもよい。
【0021】
前記正極活物質は、例えば、リチウムを含む遷移金属酸化物または固溶体酸化物であり、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質であれば特に制限されない。リチウムを含む遷移金属酸化物としては、例えば、Li1.0Ni0.88Co0.1Al0.01Mg0.01等を挙げることができるが、これ以外にも、LiCoO等のLi・Co系複合酸化物、LiNiCoMn等のLi・Ni・Co・Mn系複合酸化物、LiNiO等のLi・Ni系複合酸化物、またはLiMn等のLi・Mn系複合酸化物等を例示することができる。固溶体酸化物としては、LiMnCoNi(1.150≦a≦1.430、0.45≦x≦0.6、0.10≦y≦0.15、0.20≦z≦0.28)、LiMn1.5Ni0.5等を例示することができる。なお、前記正極活物質の含有量(含有比)は、特に制限されず、非水電解質二次電池の正極合材層に適用可能な含有量であればよい。また、これらの化合物を単独で用いても良いし、または複数種混合して用いてもよい。
【0022】
前記導電剤は、前記正極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。前記導電剤の具体例としては、例えば、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、繊維状炭素及び、ナノ炭素材料の中から選ばれる一種以上を含有するものを挙げることができる。
前記カーボンブラックの例としては、ファーネスブラック(furnace black)、チャネルブラック(channel black)、サーマルブラック(thermal black)、ケッチェンブラック(ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)等を挙げることができる。
前記繊維状炭素の例としては、炭素繊維等を挙げることができる。
前記ナノ炭素材料の例としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、単層グラフェン、多層グラフェン等を挙げることができる。
前記導電剤の含有量は、特に制限されず、非水電解質二次電池の正極合材層に適用可能な含有量であれば良い。
【0023】
前記正極用バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)等のフッ素含有樹脂、スチレンブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber)等のエチレン含有樹脂、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(ethylene-propylene-diene terpolymer)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitile-butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluororubber)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose)若しくはカルボキシメチルセルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースの塩等)、又はニトロセルロース(nitrocellulose)等を挙げることができる。前記正極用バインダーは、前記正極活物質及び前記導電剤を前記正極集電体上に結着可能なものであればよく、特に制限されないが、正極合材層の目付量を大きくするという観点から、正極合材層がバインダーとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride)等のフッ素含有樹脂を含有していることが好ましく、正極合材層中のバインダーの含有量は0.5質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。バインダーの含有量がこの範囲にあるとき、正極合剤層の機械的強度が良好な工程性を確保できる程度に向上し、正極極板のエネルギー密度を高めることができる。
【0024】
(1-2.負極)
負極は、負極集電体と、該負極集電体上に形成された負極合材層とを備えるものである。
前記負極集電体は、導電体であればどのようなものでも良く、例えば、板状又は箔状のものであり、銅、ステンレス鋼、及びニッケルメッキ鋼等で構成されるものであることが好ましい。
【0025】
前記負極合材層は、少なくとも負極活物質を含み、導電剤と、負極用バインダーとをさらに含んでいても良い。
前記負極活物質は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵及び放出することが出来るものであれば特に限定されないが、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、Si系活物質又はSn系活物質(例えば、ケイ素(Si)もしくはスズ(Sn)もしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物もしくは複合化物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金)、金属リチウム及びLiTi12等の酸化チタン系化合物、リチウム窒化物等が考えられる。負極活物質としては、以上に挙げたもののうち一種類を用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。なお、ケイ素の酸化物は、SiOx(0≦x≦2)で表される。
【0026】
前記導電剤は、前記負極の導電性を高めるためのものであれば特に制限されず、例えば、前記正極の項で説明したものと同様のものを使用することができる。
【0027】
前記負極用バインダーとしては、前記負極活物質及び前記導電剤を前記負極集電体上に結着可能なものであればよく、特に制限されない。前記負極用バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸(PAA)、スチレンブタジエン系共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロースの金属塩(CMC)などであってもよい。1種のバインダーが単独で使用されても良いし、2種以上を含有するものとしても良い。
【0028】
(1-3.セパレータ)
セパレータは、特に制限されず、リチウムイオン二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene)、ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(polyester)系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(vinylidene difluoride-hexafluoropropylene copolymer)、フッ化ビニリデン-パーフルオロビニルエーテル共重合体(vinylidene difluoride-perfluorovinylether copolymer)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-tetrafluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-trifluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-フルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-fluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロアセトン共重合体(vinylidene difluoride-hexafluoroacetone copolymer)、フッ化ビニリデン-エチレン共重合体(vinylidene difluoride-ethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-プロピレン共重合体(vinylidene difluoride-propylene copolymer)、フッ化ビニリデン-トリフルオロプロピレン共重合体(vinylidene difluoride-trifluoro propylene copolymer)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(vinylidene difluoride-tetrafluoroethylene copolymer)、フッ化ビニリデン-エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(vinylidene difluoride-ethylene-tetrafluoroethylene copolymer)等を挙げることができる。なお、セパレータの気孔率は、特に制限されず、従来のリチウムイオン二次電池のセパレータが有する気孔率を任意に適用することが可能である。
【0029】
セパレータの表面に、耐熱性を向上させるための無機粒子を含む耐熱層、または電極と接着して電池素子を固定化するための接着剤を含む層があってもよい。前述の無機粒子としては、Al、AlOOH、Mg(OH)、SiOなどがあげられる。接着剤としてはフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン重合体の酸変性物、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などがあげられる。
【0030】
(1-4.非水電解液)
非水電解液は、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。非水電解液は、電解液用溶媒である非水溶媒に電解質塩を含有させた組成を有する。前記非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(butylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、フルオロエチレンカーボネート(fluoroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル類、γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone)、γ-バレロラクトン(γ-valerolactone)等の環状エステル類、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethylmethyl carbonate)等の鎖状カーボネート類、ギ酸メチル(methylformate)、酢酸メチル(methylacetate)、酪酸メチル(methylbutyrate)、プロピオン酸エチル(ethyl propionate)、プロピオン酸プロピル(propyl propionate)等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)またはその誘導体、1,3-ジオキサン(1,3-dioxane)、1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、1,2-ジメトキシエタン(1,2-dimethoxyethane)、1,4-ジブトキシエタン(1,4-dibutoxyethane)、またはメチルジグライム(methyldiglyme)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(ethylene glycol monopropyl ether)、プロピレンレングリコールモノプロピルエーテル(propylene glycol monopropyl ether)等のエーテル類、アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル類、ジオキソラン(dioxolane)またはその誘導体、エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)またはその誘導体等を、単独で、またはそれら2種以上を混合して使用することができる。なお、前記非水溶媒を2種以上混合して使用する場合、各非水溶媒の混合比は、従来のリチウムイオン二次電池で用いられる混合比が適用可能である。
【0031】
電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiPF-x(C2n+1)x[但し、1<x<6、n=1or2]、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CHNBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n-CNClO、(n-CNI、(CN-maleate、(CN-benzoate、(CN-phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム(stearyl sulfonic acid lithium)、オクチルスルホン酸リチウム(octyl sulfonic acid lithium)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(dodecyl benzenesulfonic acid lithium)等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。なお、電解質塩の濃度は、従来のリチウムイオン二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。本実施形態では、前述したようなリチウム化合物(電解質塩)を0.8mol/l以上1.5mol/l以下程度の濃度で含有させた非水電解液を使用することが好ましい。
【0032】
なお、非水電解液には、各種の添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、負極作用添加剤、正極作用添加剤、エステル系の添加剤、炭酸エステル系の添加剤、硫酸エステル系の添加剤、リン酸エステル系の添加剤、ホウ酸エステル系の添加剤、酸無水物系の添加剤、及び電解質系の添加剤等が挙げられる。これらのうちいずれか1種を非水電解液に添加しても良いし、複数種類の添加剤を非水電解液に添加してもよい。
【0033】
<2.本実施形態に係る非水電解質二次電池の特徴構成>
以下に、本実施形態に係る非水電解質二次電池の特徴構成について説明する。
【0034】
(2-1.下地層)
前述した正極は、さらに下地層を備えている。
前記下地層は、前記正極集電体と前記正極合材層との間に設けられて、前記正極合材層が脱落又は剥離することを抑えるものである。
【0035】
前記下地層は、炭素材料と、結着剤(下地層用バインダー)と、分散剤とを含有するものである。
前記炭素材料は、下地層の導電性を高めるためのものであれば特に制限されない。前記炭素材料の具体例としては、例えば、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、繊維状炭素およびナノ炭素材料の中から選ばれる一種以上を含有するものを挙げることができる。
前記カーボンブラックの例としては、ファーネスブラック(furnace black)、チャネルブラック(channel black)、サーマルブラック(thermal black)、ケッチェンブラック(ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)等を挙げることができる。
前記繊維状炭素の例としては、炭素繊維等を挙げることができる。
前記ナノ炭素材料の例としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、単層グラフェン、多層グラフェン等を挙げることができる。
炭素材料の中でも分散が容易であるカーボンブラックを使用することが好ましい。カーボンブラックの中でも導電性が高いアセチレンブラックを使用することがより好ましい。
前記下地層中の炭素材料の含有量は、17質量%以上35質量%以下であることが好ましく、より好ましくは21質量%以上32質量%以下である。炭素材料の含有量が17質量%以上である時前記下地層の導電性が良好となり、21質量%以上である時前記下地層の導電性がより良好となる。一方で炭素材料の含有量を低下させることは、前述した下地層用バインダーや分散剤の含有量を増大させる余地を生むため、前記下地層の良好な接着性の発現や分散性向上につながる。そのため、炭素材料の含有量は35質量%以下であることが好ましく、32質量%以下であることがさらに好ましい。
【0036】
前記下地層用バインダーは、下地層に含まれる炭素材料等の各成分を互いに結着させるとともに、該下地層と前記正極集電体又は前記正極合材層とを結着させるものである。具体的に本実施形態に係る下地層用バインダーは、スチレン-アクリル酸エステル系共重合体である。
スチレン-アクリル酸エステル系共重合体とは、共重合体の構成単位がスチレン、およびアクリル酸エステルを重合してなる構成が主となっている共重合体のことであり、たとえばスチレンおよびアクリル酸エステルの構成単位を80質量%以上99質量%以下の範囲で含む共重合体である。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソボニル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシブチル、アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、2-アクリオイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、アクリル酸エトキシ-ジエチレングリコール、アクリル酸メトキシ-トリエチレングリコール、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸フェノキシ-ポリエチレングリコール、アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及び2-アクリロキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられ、好ましくはアクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルを含む。
【0037】
スチレン-アクリル酸エステル系共重合体は、1質量%以上20質量%以下の範囲でスチレンおよびアクリル酸エステル以外の構成単位を含有していても良い。
スチレン-アクリル酸エステル系共重合体が含有していても良い構成単位としては、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、o-メチルスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、o-クロロスチレン、などの芳香族ビニル化合物を重合した時の構成単位、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボニル等の不飽和メタクリル酸アルキルエステル化合物、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等の(メタ)アクリル酸系化合物、(メタ)アクリルアミド、(メタ)N-メチルアクリルアミド、(メタ)N-ジメチルアクリルアミド、(メタ)N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、(メタ)N-ブトキシメチルアクリルアミド、(メタ)イソブトキシメチルアクリルアミド、等の不飽和カルボン酸アミド化合物、その他、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、メタクリル酸エトキシ-ジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシ-トリエチレングリコール、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸フェノキシ-ポリエチレングリコール、メタクリル酸フェノキシジエチレングリコール、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリロニトリル、及び2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート等が重合した時の構成単位が挙げられる。
【0038】
前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体のガラス転移温度は30℃以下であることが好ましく、-20℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度がこの範囲にあるとき、正極合剤層を下地層に接着させるときの熱ロールプレスの温度を例えば100℃を超えるような過度に高い温度にしなくとも良好な接着性が得られる。前記スチレン-アクリル酸エステル系共重合体のガラス転移温度は、-15℃以上15℃以下であることがより好ましく、―10℃以上15℃以下であることが特に好ましい。
スチレン-アクリル酸エステル系共重合体のガラス転移温度は、共重合体の構成単位の種類と含有量によって調整することができる。スチレン-アクリル酸エステル系共重合体は80質量%以上、99質量%がスチレン、およびアクリル酸エステルを重合した時の構成単位を含有しているので、スチレンとアクリル酸エステルの含有量によって調整できる。たとえばスチレンの単独重合体のガラス転移温度は約100℃であり、アクリル酸2-エチルヘキシルの単独重合体のガラス転移温度は約-55℃であるので、スチレンとアクリル酸2-エチルヘキシルの含有量を調整することで、およそ-55℃から100℃の間のガラス転移温度を持つ共重合体を合成することができる。また、使用する単量体の単独重合体のガラス転移温度が既知であれば、それらの単量体化合物の体積分率からFoxの式を用いて、計算上のガラス転移温度を求めることができ、それを参考にしながら共重合物を合成し、示差走査熱量測定(DSC, Differential Scanning Calorimetry)を行うことによって、-20℃以上15℃以下のガラス転移温度をもったスチレン-アクリル酸エステル系共重合体を得ることができる。
【0039】
前記下地層によって前記正極合材層の脱落や剥離を十分に防止するために、前記下地層用バインダーの前記下地層中における含有量は45質量%以上であることが好ましい。また、下地層の導電性を十分に確保するためには前記下地層用バインダーの前記下地層中における含有量は77.5質量%以下であることが好ましい。前記下地層用バインダーの前記下地層中における含有量は50質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、55質量%以上70質量%以下であることが特に好ましい。
【0040】
前記分散剤は、前述した炭素材料と下地層用バインダーとを均一に分散させるためのものであり、本実施形態においてはポリアクリル酸がそれに該当する。
ポリアクリル酸は、分子内に複数のカルボキシ基を有しており、これらカルボキシ基がナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンによって中和されている場合がある。
本実施形態で用いるポリアクリル酸は、これらカルボキシ基ができるだけ中和されていないものであることが好ましい。具体的には、ポリアクリル酸が備えるカルボキシ基のうち、中和されているカルボキシ基(中和カルボキシ基)の割合が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、0%(すなわち未中和)であることが特に好ましい。
前記下地層中の前記分散剤の含有量は、7質量%以上15質量%以下であることが好ましく、9質量%以上14質量%以下であることがより好ましい。分散剤が7質量%以上である時、前述した炭素材料と下地層用バインダーとを均一に分散でき、9質量%以上である時、より均一に分散することができる。一方で分散剤の含有量を低下させることは、前述した下地層用バインダーや導電剤の含有量を増大させる余地を生むため、前記下地層の良好な接着性の発現や低抵抗化による電池性能向上につながる。そのため、分散剤の含有量は15質量%以下であることが好ましく、14質量%以下であることがさらに好ましい。
【0041】
<3.本実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法>
次に、リチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
(3-1.正極の作製方法)
本実施形態に係る正極は、以下のように作製される。
まず、前述した下地層に含有される各成分を水等の溶媒に懸濁してスラリー状にした下地層スラリーを調整し、この下地層スラリーを、正極集電体上に塗布乾燥することによって下地層を形成する。この時、下地層スラリーの塗工量は、乾燥後の下地層の厚みが、例えば、0.5μm以上5μm以下の厚みとなるようにする。乾燥後の下地層の厚みは、0.5μm以上2μm以下とすることがより好ましく、0.5m以上1.5μm以下とすることが特に好ましい。なお、塗布の方法は、特に限定されない。塗布の方法としては、例えば、ナイフコーター(knife coater)法、グラビアコーター(gravure coater)法、リバースロールコーター(reverse roll coater)、スリットダイコーター(slit die coater)等が考えられる。以下の各塗布工程も同様の方法により行われる。
次に、正極活物質、導電剤、及び正極用バインダーを所望の割合で混合したものを、混錬して正極合材塊を作成し、この正極合材塊を圧延して正極合材シートを作成する。この正極合材シートを熱ロールプレスなどによって前記下地層上に積層する乾式法によって、正極が作製される。なお、正極合材シートを下地層に乾式法で積層する工程に用いる製造装置は、特に限定されない。正極合材シートを下地層に積層する工程に用いる製造装置としては、ロールプレス装置、熱ロールプレス装置、ドライラミネーター、カレンダー加工装置、ヒートプレス装置等が考えられる。前記積層する工程で、例えば、熱ロールプレス装置を用いる場合、熱ロールプレス装置のプレスロール温度は、正極合剤に使用する材料等によって適宜変更可能であるが、20℃以上150℃以下であることが好ましく、30℃以上120℃以下であることがより好ましく、40℃以上80℃以下であることが特に好ましい。また、プレスロールの回転速度は、分速0.1m以上10m以下であることが好ましく、0.1m以上5m以下であることがより好ましく、0.1m以上1.0m以下であることが特に好ましい。前記プレスロールの温度や前記ロールの回転速度を始めとした各種パラメータは、用いられる熱ロールプレス装置によって好適な範囲が異なる可能性があり、それぞれの熱ロールプレス装置に応じて前記パラメータを調節可能であることは言うまでもない。正極合材シートの積層時には、正極集電体の片面あたりの正極合材層の目付量が15mg/cm以上70mg/cm以下となるように調整する。正極集電体の片面あたりの正極合剤層の目付量は、25mg/cm以上70mg/cm以下であることがより好ましく、30mg/cm以上50mg/cm以下であることが特に好ましい。
【0042】
(3-2.負極の作成方法)
まず、負極合材層を構成する材料を混合したものを、負極スラリー用溶媒に分散させることで、負極スラリーを作製する。次いで、負極スラリーを負極集電体上に塗布し、乾燥させることで、負極合材層を形成する。次いで、プレス機により負極合材層を所望の密度となるようにプレスする。これにより、負極が作製される。
【0043】
(3-3.非水電解質二次電池の作製方法)
次いで、セパレータを正極及び負極で挟むことで、電極構造体を作製する。次いで、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。次いで、当該容器内に非水電解液を注入することで、セパレータ内の各気孔や正極及び負極の空隙に電解液を含浸させる。これにより、リチウムイオン二次電池が作製される。
【0044】
<4.本実施形態による効果>
以上のように構成した非水電解質二次電池によれば、正極合材層の目付量を大きくし、かつ下地層の厚みをできるだけ小さくすることによって、非水電解質二次電池の高エネルギー密度化を図るとともに、正極合材層の脱落や剥離を十分に抑制することができる。
【0045】
<5.本発明に係る他の実施形態>
本発明は、前述した実施形態に限られるものではない。
前述した実施形態では、正極集電体の片面にのみ下地層を形成する場合を説明したが、下地層及び正極合剤層は正極集電体の両面に設けられるものとしても良い。
前記実施形態においては、正極集電体と正極合材層との間に下地層を設ける場合について説明したが、本発明に係る下地層は負極集電体と負極合材層との間に設けられて、負極合材層の脱落や剥離を抑制するものとしても良い。
本発明に係る下地層は、固体電解質層を備えない非水電解質二次電池に限らず、固体電解質層を備える半固体二次電池や全固体二次電池などにも適用可能なものである。
その他、本発明はこれら実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【実施例0046】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、以下の実施例は、あくまでも本発明の一例であり、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<下地層スラリーの作成>
まず、以下の分散液1~5を作成し、これら分散液を用いて下地層スラリー1~37を作成した。各分散液を作成する際に使用した分散剤の種類を表1に、作成した各分散液の組成を表2に示す。また、各下地層スラリーを作成する際に使用した下地層用バインダーの種類を表3に、各下地層スラリーの組成を表4に示す。下地層スラリー36及び37は、表4中の下地層スラリー9と、使用する下地層用バインダーのガラス転移温度が異なる以外は、同様にして作製したものである。下地層スラリー36は下地層用バインダーとして表3-2の(B-4)を使用した。また、下地層スラリー37は下地層バインダーとして表3-2の(B-5)を使用した。
【0047】
(分散液1の作成)
アセチレンブラックを70.0g、分散剤(A-1)の20.0%水溶液を150g(水溶液から水を除去した場合の乾固物とした場合の質量は30g)、水1030gを入れディスパーを用いて3000rpmにて20分間混合した。前記の混合物を吉田工業機械株式会社製NanoVatorにより圧力80MPaにて高圧分散処理した。前記高圧分散処理を3回繰り返し、アセチレンブラック分散液(分散液1)を得た。この分散液1を乾固させ秤量した結果、分散液中の乾固物の含有量(固形分濃度)は約8質量%であった。
【0048】
(分散液2~4の作成)
前記分散液組成1に使用した分散剤(A-1)を、(A-2)、(A-3)又は(A-4)に変えた以外は全て(分散液1の作成)と同様の方法で作成した。
【0049】
(分散液5の作成)
アセチレンブラックを70.0g、分散剤(A-5)の5.0%水溶液を600g(水溶液から水を除去した場合の乾固物とした場合の質量は30g)、水580gを入れディスパーを用いて3000rpmにて20分間混合した。前記の混合物を吉田工業機械株式会社製NanoVatorにより圧力80MPaにて高圧分散処理した。前記高圧分散処理を3回繰り返し、アセチレンブラック分散液(分散液5)を得た。この分散液5を乾固させ秤量した結果、前記固形分濃度は約8質量%であった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
(下地層スラリー1の作成)
乾固物の含有量(固形分濃度)が40.0質量%のバインダー(B-1)の樹脂微粒子水分散体を30.0gと、分散液1を100g秤量し、これらを撹拌用容器に投入した。前記攪拌用容器をTHYNKY社製自転・公転ミキサーARE-310に装着し、400rpmにて10分間混合し、下地層スラリー1を得た。前記下地層スラリー1を乾固させ秤量した結果、下地層スラリー中の乾固物の含有量(固形分濃度)は約15%であった。
【0053】
(下地層スラリー2~37の作成)
表4に記載した組成となるようバインダーおよびアセチレンブラック分散液を秤量し、前記(下地層スラリー1の作成)と同様の手法で作成した。作成したスラリーを乾固させ秤量した結果、前記固形分濃度は全て約15%であった。
【0054】
<下地層スラリーの塗工>
前記の作成方法によって得られた下地層組成1~37のスラリーを厚さ約15μmのアルミニウム箔(A3003-H18)の片面に塗工した。塗工はマイクログラビア塗工機を使用し、下地層の膜厚が0.5μmから2μmとなるよう塗工した。乾燥は80℃で1分間行った。下地層組成8、13、18、22、31、33、35のスラリーは、前記アルミニウム箔上ではじきが生じるためグラビア塗工できなかった。それらの組成の下地層はアプリケーターを用いて前記アルミニウム箔の両面に所定の膜厚で塗工し、恒温槽にて80℃で1分間乾燥を行った。
【0055】
<下地層スラリーについての性能評価試験>
(下地層スラリーの塗工性の評価方法)
下地層組成1~37の下地層用スラリーを、グラビア塗工機を用いて膜厚0.5μmから2μmで塗工した際、乾燥後の下地層が狙いの膜厚で塗工できているか評価した。また、乾燥後の下地層においてはじきやピンホールなどの塗工欠陥が生じているかどうかを目視にて評価した。具体的には、未塗工部の面積の目視観察を行った。
【0056】
(下地層スラリーの塗工性の評価基準)
塗工時に下地層用スラリーが集電箔に触れた面積を100%%として未塗工部面積が10%未満の場合に○と評価した。未塗工部が10%以上の場合に×と評価した。結果を表4に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表3-2】
【0059】
【表4】
【0060】
<正極合材シートの作成>
(正極合材シート1の作成)
LiNi0.8Co0.1Al0.1、アセチレンブラック、ポリテトラフルオロエチレンの粉体を質量比93.0:3.5:3.5で秤量し、乳鉢にて10分間混錬した。混錬後の塊状正極合材を2本のロール間に約100回通し、膜厚約150μm、密度2.9g/cmから密度3.1g/cmの正極合材シートを作成した。前述の2本のロール間に塊状正極合材を約100回通す工程において、2本のロールのギャップは3mmから徐々に狭められ、最終的なギャップは約0.1mmであった。
前記の方法で得られた正極合材シートの正極合材密度、および正極合材層の目付量をそれぞれ3.6g/cm、35.0mg/cmに調整するため、熱ロールプレスを用いて正極合材シートの圧延を行った。熱ロールの温度を40℃に設定し、ロールの回転速度を分速0.5mに設定した。ロールギャップを10μmに調整し、寸法3.0cm×8.0cmに成形された正極合材シートを長手方向に2回通した。次いで、ロールギャップを5μmに調整し、正極合材シートを2回通した。前記圧延工程における総圧は0.3kNであり、線圧は10kN/mであった。作成された正極合材シートを15.5φで打ち抜き、その重量と膜厚を測定したところ、膜厚が約100μm、正極合材密度が約3.6g/cm、目付量が約35.0mg/cmであった。
【0061】
<正極の作成>
(実施例1)
この工程では前記の方法で作成された正極合材シートを、熱ロールプレスを用いて集電箔上に接着する。熱ロールの温度を60℃に設定し、ロールの回転速度を分速0.5mに設定した。ロールギャップを60μmに調整し、膜厚1μmで集電箔上に塗工された下地層(下地層組成9)の上に正極合材シート1を乗せ、ロール間に1回通した。なお、各実施例及び比較例で使用しているロールの回転速度条件については、±分速0.2m程度の誤差が生じる場合があるが、製造された正極合剤シートの性質への影響はない。また、各実施例及び比較例で使用しているロールギャップの条件についても、±10μm程度の誤差があっても特に問題はない。前記接着工程における総圧は0.3kNであり、線圧は10kN/mであった。このようにして作製された正極を真空乾燥機にて80℃で6時間乾燥した。真空乾燥後の正極を15.5φで打ち抜き重量と膜厚を測定したところ、正極合材密度が約3.6g/cm、目付量が約35.0mg/cmであった。
【0062】
(実施例2~27および比較例1~23)
下地層と正極合材シートとの組み合わせや各層の厚み等を(表5)に記載した内容に変えたこと以外は実施例1と同様の方法で作製した。ロールギャップは、用いられる正極合材シートの目付量に応じて下記の計算によって得られた値となるよう調整した。
(ロールギャップ)=(用いられる正極合材シートの目付量)÷35×60μm
【0063】
<実施例1~27、比較例1~23の各正極についての性能評価試験>
(電極の反り評価方法)
実施例1~27および比較例1~23で作製した正極を13mmφで打ち抜き、デジタルマイクロスコープ((株)キーエンス社製VHX5000)にて観察し、正極のカールを算出して電極の反りの程度を評価した。
カールの算出方法は以下の通りである。
正極の反りの凸なる部分を上に向けて、水平に配置した平板の上に置く。前記平板の表面から正極の前記平板側の表面までの最大距離をΔZ、前記最大距離が計測された正極上の点Aと、前記点Aに最も近い前記平板と前記正極との接点との水平方向における距離を2倍した長さをxとし、以下の式(1)によってカール(%)を算出した。
(カール)=ΔZ÷x×100%・・・(1)
【0064】
(電極の反りの評価基準)
前述したように算出したカールが10%未満であった場合には正極の反りを○と評価した。前記カールが10%以上であった場合には正極の反りを×と評価した。結果を表5に示す。
【0065】
(正極集電体に対する正極合材層の密着性の評価方法)
実施例1~27および比較例1~23で作製した正極を幅25mm、長さ80mmの短冊状に切り出した。ついで、両面テープを用いて、正極の正極合材層側の面をステンレス板に張り合わせ、密着性評価用サンプルを作成した。剥離試験機((株)島津製作所社製SHIMAZU EZ-S)に前記密着性評価用サンプルを装着し、剥離速度を100mm/分に設定し、長さ60mmの180度における剥離強度を測定した。
【0066】
(正極集電体に対する正極合材層の密着性の評価基準)
前記剥離強度が4.0g重/mm以上の場合は密着性を◎と評価した。3.0g重/mm以上4.0g重/mm未満の場合は密着性を○と評価した3.0g重/mm未満の場合は密着性を×と評価した。結果を表5に示す。
【0067】
(電極抵抗の評価方法)
実施例1~27および比較例1~23で作製した正極の正極合材層と正極集電体との界面抵抗である電極界面抵抗を電極抵抗測定装置(日置電機(株)社製XF057)を用いて測定した。測定電圧は5Vで、測定電流は0.1mAに設定した。
【0068】
(電極抵抗の評価基準)
前記電極測定にて得られた界面抵抗値が比較例1を基準として25%未満の場合に電極抵抗を◎と評価した。界面抵抗値が比較例1を基準として25%以上50%未満の場合に電極抵抗を○と評価した。それ以外の場合に電極抵抗を×と評価した。結果を表5に示す。
【0069】
<二次電池セルの作製>
実施例1~27および比較例1~23で作成した各正極とLi金属圧着銅箔にそれぞれアルミニウム及びニッケル線を溶接した後、ポリエチレン製多孔質セパレータを介して正極1枚と負極1枚とを対向させる形で積層させることで、電極積層体を作製した。次いで、アルミラミネートフィルム内に上記の電極積層体を、リード線を外部に引き出した状態で収納し、電解液を注液して減圧封止することで初期充電前二次電池セルを作製した。電解液には、エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネートを20/20/40(体積比)で混合した溶媒に1.15MのLiPFと1.0質量%のビニレンカーボネートを溶解させたものを使用した。
【0070】
(高温貯蔵時における抵抗増加の評価方法)
実施例1~27および比較例1~23の正極を使用して作製した各二次電池セルを、25℃の恒温槽内で、充電終止電圧4.25V、放電終止電圧3.0Vの条件で0.1CAで定電流充電、0.05CAで定電圧充電0.1CAで定電流放電を1サイクル行った。次いで充電終止電圧4.25V、放電終止電圧3.0Vの条件で0.2CAで定電流充電、0.05CAで定電圧充電0.2CAで定電流放電を1サイクル行った。続いて、充電終止電圧4.25Vの条件で0.2CAで定電流充電、0.05CAで定電圧充電を行った。さらに、前記二次電池を満充電状態にした。満充電状態の二次電池のセル電圧と1kHzインピーダンスをバッテリーテスタにて測定し、60℃の恒温槽内に貯蔵した。貯蔵した満充電状態の二次電池を1、3、7、14日目に室温に戻し、OCVと1kHzインピーダンスをバッテリーテスタにて測定した。
【0071】
(高温貯蔵時における抵抗増加の評価基準)
高温貯蔵時の抵抗増加を以下の式(3)によって算出し、評価した。
(高温貯蔵時抵抗増加)=(高温貯蔵14日目に測定した二次電池の1kHzインピーダンス)÷(高温貯蔵直前に測定した二次電池の1kHzインピーダンス)×100%・・・(3)
前記抵抗増加が120%未満の場合に◎と評価した。前記抵抗増加が120%以上150%未満の場合に○と評価した。前記抵抗増加が150%以上の場合に×と評価した。結果を表5に示す。
【0072】
(高温貯蔵時における電圧低下の評価方法)
高温貯蔵時の電圧低下を以下の式(4)によって算出し、評価した。
(高温貯蔵時電圧低下)=(高温貯蔵直前に測定した二次電池のOCV)-(高温貯蔵14日目に測定した二次電池のOCV)・・・(4)
前記電圧低下が0.08V未満の場合に◎と評価した。前記電圧低下が0.08V以上0.1V未満の場合に○と評価した。前記電圧低下が0.1V以上の場合に×と評価した。結果を表5に示す。
【0073】
【表5】
【0074】
<評価結果の考察>
表5の結果から、本発明に係る下地層を備えた実施例1~29によれば、正極合材層の目付量が30mg/cm以上と十分に大きい場合であっても、0.5μm以上2μm以下と十分に小さい厚みの下地層によっても、比較例1と比較して密着性が著しく向上し、極板抵抗値も十分に小さい正極を提供することができることが分かった。
下地層はリチウムイオンを吸蔵放出しない非活物質からなる層であるので、厚く塗工するほど体積エネルギー密度および重量エネルギー密度向上の観点で不利になる。この点、本発明の実施例1~29で使用した下地層は前述した通り薄膜であるので、エネルギー密度向上の観点で有利である。
また、実施例1~29によれば、二次電池を高温貯蔵した場合における正極合材層の脱落や剥離によって生じる高温貯蔵時の抵抗増加や電圧低下を十分に抑制できることが確認できた。
なお、表6に示すように、正極合剤層の目付量を25mg/cm、60mg/cm又は70mg/cmとした以外は実施例1と同様にして二次電池セルを製造したところ、各二次電池セルの塗工性、電極の反り、密着性及び極板抵抗は、いずれも実施例1と同様に非常に優れたものであることが確認できた。さらに、これらの二次電池セルについては、いずれも高温貯蔵時の抵抗増加や高温貯蔵時の電圧低下についても実施例1と同様に十分に抑えられる結果となる。
【0075】
【表6】
【0076】
実施例1~29比較例13~22との対比から、下地層が含有する下地層用バインダーとしてはアクリル酸エステル系共重合体が好ましいことが分かる。
【0077】
ここには記載していないが、アクリル酸エステル系共重合体の含有量を40質量%とした以外は実施例1と同様にして作成した場合よりも、実施例1~27の密着力がより高かった。この結果から、下地層におけるアクリル酸エステル系共重合体の含有量を45質量%以上とすることによって、正極合材層の脱落や剥離を十分に抑制できる高い密着性を発揮できることが分かった。また、実施例1~27と比較例2~4との比較から、下地層におけるアクリル酸エステル系共重合体の含有量を77.5質量%以下とすることによって、電極の反りの発生を抑えることができることが分かった。実施例4と実施例13との比較から、下地層中のアクリル酸エステル系共重合体の含有量を60質量%以上とすることによって密着性をより向上させることができることが分かる。
【0078】
また、実施例1~29と比較例9~12、14、17、18、21、22との比較から、分散剤としてポリアクリル酸を用いることによって、下地層の塗工性が向上することが分かった。
【0079】
また実施例1~29と比較例5~8との対比から、分散剤として使用するポリアクリル酸の中和度(中和割合)が25%以下であることによって、高温貯蔵時の抵抗増加や電圧低下を十分に抑制できることが分かった。実施例13~14と実施例15、実施例16と実施例17、又は実施例21~22と実施例23との対比から前記中和度は10%以下であることがより好ましいことが分かる。
【0080】
さらに実施例1、29及び比較例23の結果から、下地層用バインダーのガラス転移温度が-20℃以上15℃以下であることによって、高温貯蔵時の抵抗増加や電圧低下を十分に抑制できることが分かった。
【0081】
なお、正極合剤シートを製造する際の熱ロールプレス時のロール温度を以下の表7の通りの条件とした以外は実施例1と同様にして製造した各二次電池セルについても、いずれも下地層の塗工性が良く、電極の反りがなく、密着性が良好で極板抵抗を小さく抑えることができた。さらにこれら各二次電池セルについても高温貯蔵時の抵抗増加や、低温貯蔵時の電圧低下は実施例1と同様に十分に抑えられることが分かった。
【0082】
【表7】
【0083】
さらに、正極合剤シートを製造する際の熱ロールプレス時のロール温度及びロール速度を以下の表8の通りの条件とした以外は実施例1と同様にして製造した各二次電池セルについても、いずれも下地層の塗工性が良く、電極の反りがなく、密着性が良好で極板抵抗を小さく抑えることができた。さらにこれら各二次電池セルについても高温貯蔵時の抵抗増加や、低温貯蔵時の電圧低下は実施例1と同様に十分に抑えられる。
【0084】
【表8】