(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151372
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】レーダ装置、レーダ制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/91 20060101AFI20231005BHJP
G01S 13/50 20060101ALI20231005BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01S13/91
G01S13/50
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060952
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】屋冨祖 良貴
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 正浩
【テーマコード(参考)】
5H181
5J070
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC14
5H181FF33
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL14
5J070AC01
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD06
5J070AE01
5J070AF01
5J070AH31
5J070AK10
5J070BB03
5J070BG40
(57)【要約】
【課題】走行方向が定められている道路において逆走を精度良く検出できるレーダ装置、レーダ制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】レーダ装置2は、電磁波を送信する送信アンテナ8及び送信アンテナ8が送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナ9を備えるレーダ装置2であって、受信アンテナ9が受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理部21と、検出処理部21により検出された物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定部22と、方向判定部22が逆走と判定した逆走車両(逆走物標)101とは異なる順走車両(順走車両100)100の検出情報に基づいて逆走車両101が実像か虚像かを識別する識別処理部23と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を送信する送信アンテナ及び前記送信アンテナが送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナを備えるレーダ装置であって、
前記受信アンテナが受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理部と、
前記検出処理部により検出された前記物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か前記順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定部と、
前記方向判定部が逆走と判定した逆走物標とは異なる順走物標の検出情報に基づいて前記逆走物標が実像か虚像かを識別する識別処理部と、
を備えるレーダ装置。
【請求項2】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが逆走物標に対向する方向に向けて設置されており、
前記識別処理部は、
前記逆走物標が検出されなくなってから所定時間内に、前記レーダ装置の位置から所定距離内に順走する順走物標が新たに検出されたことを示す前記検出情報を取得した場合は前記逆走物標を虚像と判定する請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記識別処理部は、
前記所定時間内かつ前記所定距離内に前記順走物標が新たに検出された状態であり、更に、当該順走物標が予め設定される設定領域に存在することを示す前記検出情報を取得した場合に前記逆走物標を虚像と判定する請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記識別処理部は、
前記所定時間内かつ前記所定距離内に前記順走物標が新たに検出された状態であり、更に、前記逆走物標の移動方向に対して前記順走物標の移動方向が逆方向の関係となっていることを示す前記検出情報を取得した場合に前記逆走物標を虚像と判定する請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記識別処理部は、
前記逆走物標の移動方向の速度の絶対値と前記順走物標の移動方向の速度の絶対値が等しいと判定されることを前記虚像と判定する条件の1つとする請求項2~4の何れか一項に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが順走物標に対向する方向に向けて設置されており、
前記識別処理部は、
前記逆走物標が検出されるに至るまでの所定時間内に、前記レーダ装置の位置から所定距離内に順走する順走物標が存在していたことを示す前記検出情報を取得した場合は前記逆走物標を虚像と判定する請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項7】
電磁波を送信する送信アンテナ及び前記送信アンテナが送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナを備えるレーダ装置の制御方法であって、
前記受信アンテナが受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理ステップと、
前記検出処理ステップにより検出された前記物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か前記順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定ステップと、
前記方向判定ステップが逆走と判定した逆走物標とは異なる順走物標の検出情報に基づいて前記逆走物標が実像か虚像かを識別する識別処理ステップと、
を含むレーダ装置の制御方法。
【請求項8】
電磁波を送信する送信アンテナ及び前記送信アンテナが送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナを備えるレーダ装置のコンピュータに、
前記受信アンテナが受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理機能と、
前記検出処理機能により検出された前記物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か前記順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定機能と、
前記方向判定機能が逆走と判定した逆走物標とは異なる順走物標の検出情報に基づいて前記逆走物標が実像か虚像かを識別する識別処理機能と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の逆走を検出するレーダ装置、レーダ制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーダによって移動体を物標として検出する技術が知られている。この種の技術が記載されるものとして例えば、特許文献1がある。特許文献1は、マルチパスが生じた場合でも、虚像と実像とを区別することが可能なレーダ装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、高速道路等において逆走する車両をレーダ装置によって検出する場合がある。この場合において、レーダの検知範囲に駐車車両等の障害物が存在すると、当該障害物に電磁波が反射して順走車両の虚像(鏡像)を逆走車両として誤検出するおそれがあった。
【0005】
本発明は、走行方向が定められている道路において逆走を精度良く検出できるレーダ装置、レーダ制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電磁波を送信する送信アンテナ及び前記送信アンテナが送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナを備えるレーダ装置であって、前記受信アンテナが受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理部と、前記検出処理部により検出された前記物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か前記順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定部と、前記方向判定部が逆走と判定した逆走物標とは異なる順走物標の検出情報に基づいて前記逆走物標が実像か虚像かを識別する識別処理部と、を備えるレーダ装置に関する。
【0007】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが逆走物標に対向する方向に向けて設置されており、前記識別処理部は、前記逆走物標が検出されなくなってから所定時間内に、前記レーダ装置の位置から所定距離内に順走する順走物標が新たに検出されたことを示す前記検出情報を取得した場合は前記逆走物標を虚像と判定してもよい。
【0008】
前記識別処理部は、前記所定時間内かつ前記所定距離内に前記順走物標が新たに検出された状態であり、更に、当該順走物標が予め設定される設定領域に存在することを示す前記検出情報を取得した場合に前記逆走物標を虚像と判定してもよい。
【0009】
前記識別処理部は、前記所定時間内かつ前記所定距離内に前記順走物標が新たに検出された状態であり、更に、前記逆走物標の移動方向に対して前記順走物標の移動方向が逆方向の関係となっていることを示す前記検出情報を取得した場合に前記逆走物標を虚像と判定してもよい。
【0010】
前記識別処理部は、前記逆走物標の移動方向の速度の絶対値と前記順走物標の移動方向の速度の絶対値が等しいと判定されることを前記虚像と判定する条件の1つとしてもよい。
【0011】
前記送信アンテナ及び前記受信アンテナが順走物標に対向する方向に向けて設置されており、前記識別処理部は、前記逆走物標が検出されるに至るまでの所定時間内に、前記レーダ装置の位置から所定距離内に順走する順走物標が存在していたことを示す前記検出情報を取得した場合は前記逆走物標を虚像と判定してもよい。
【0012】
また、本発明は、電磁波を送信する送信アンテナ及び前記送信アンテナが送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナを備えるレーダ装置の制御方法であって、前記受信アンテナが受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理ステップと、前記検出処理ステップにより検出された前記物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か前記順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定ステップと、前記方向判定ステップが逆走と判定した逆走物標とは異なる順走物標の検出情報に基づいて前記逆走物標が実像か虚像かを識別する識別処理ステップと、を含むレーダ装置の制御方法に関する。
【0013】
また、本発明は、電磁波を送信する送信アンテナ及び前記送信アンテナが送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナを備えるレーダ装置のコンピュータに、前記受信アンテナが受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理機能と、前記検出処理機能により検出された前記物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か前記順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定機能と、前記方向判定機能が逆走と判定した逆走物標とは異なる順走物標の検出情報に基づいて前記逆走物標が実像か虚像かを識別する識別処理機能と、
を実行させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、走行方向が定められている道路において逆走を精度良く検出できるレーダ装置、レーダ制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレーダ装置を含む逆走検出システムの模式図である。
【
図2】本実施形態のレーダ装置のアンテナ部の構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態のレーダ装置の判定装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態のレーダ装置の判定装置の逆走検出を行うための機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の逆走車両に対向するように設置されたレーダ装置によって逆走と一度判定された車両が虚像であると判定される場合を説明する模式平面図である。
【
図6】レーダ装置が逆走車両に対向するように設置された場合における順走車両とその虚像の距離と時間の関係を示すグラフである。
【
図7】レーダ装置が逆走車両に対向するように設置された場合における逆走車両とその虚像の距離と時間の関係を示すグラフである。
【
図8】虚像である逆走車両が検出された場合において新たに検出された順走車両が設定領域内に位置することを説明する座標と時間の関係を示すグラフである。
【
図9】順走車両とその虚像のそれぞれの移動方向の速度と時間の関係を示すグラフである。
【
図10】逆走車両とその虚像のそれぞれの移動方向の速度と時間の関係を示すグラフである。
【
図11】本実施形態の順走車両に対向するように設置されたレーダ装置によって逆走と一度判定された車両が虚像であると判定される場合を説明する模式平面図である。
【
図12】レーダ装置が順走車両に対向するように設置された場合における順走車両とその虚像の距離と時間の関係を示すグラフである。
【
図13】レーダ装置が順走車両に対向するように設置された場合における逆走車両とその虚像の距離と時間の関係を示すグラフである。
【
図14】本実施形態のレーダ装置による逆走検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るレーダ装置2を含む逆走検出システム1の模式図である。
図1に示すように、本実施形態の逆走検出システム1は、レーダ装置2と、表示装置3と、職員用コンピュータ4と、監視サーバ5と、を備える。
【0018】
レーダ装置2は、予め走行方向が定められている一方通行の道路において逆走する逆走車両101を検出するための検出装置である。レーダ装置2は、例えば、高速道路のインターの出入口に設置される。レーダ装置2は、電磁波を送信し、その反射波を受信するアンテナ部6と、アンテナ部6の受信信号に基づいて逆走の検出処理を実行する判定装置10を備える。
【0019】
図2は、本実施形態のレーダ装置2のアンテナ部6の構成の一例を示す図である。この例におけるアンテナ部6は、少なくとも1つ以上の送信アンテナ8と複数の受信アンテナ9を有する。送信アンテナ8から道路に向けて電磁波が照射され、車両によって散乱された散乱波を複数の受信アンテナ9が受信する。複数の受信アンテナ9の受信結果は、判定装置10によって解析されて逆走する逆走車両101が存在するか否かが判定される。なお、この判定装置10による逆走を検出するための構成については後述する。
【0020】
表示装置3は、逆走車両101の運転手に逆走禁止等の表示を行う報知手段である。本実施形態の表示装置3は、レーダ装置2の判定装置10に接続されており、判定装置10の判定結果に基づいて表示内容を変更することもできる。
【0021】
レーダ装置2の判定装置10、職員用コンピュータ4及び監視サーバ5は、ネットワーク7によって通信可能に接続されている。ネットワーク7は、例えば、IP-VPN(Virtual Private Network)等によって構成される。監視サーバ5は、レーダ装置2の判定装置10の判定結果に基づいて職員用コンピュータ4にレーダ装置2が設置される道路で逆走が発生している旨を通知する処理等を行う。例えば、レーダ装置2が逆走する逆走車両101が存在すると判定すると、その判定結果が監視サーバ5に送信され、当該監視サーバ5から予め登録される職員用コンピュータ4にメールを送信すること等によって逆走が行っていることを職員に通知する。
【0022】
以上、逆走検出システム1について説明したが、本構成はあくまで一例であり、特にこの構成に限定されるわけではない。次に、レーダ装置2の逆走を検出するための詳細な構成について説明する。
【0023】
まず、
図3を参照して判定装置10のハードウェア構成の一例について説明する。
図3は、本実施形態のレーダ装置2の判定装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、判定装置10は、プロセッサ11、ROM(read-only memory)12、RAM(random-access memory)13、補助記憶装置14、通信I/F(interface)15を備え、各部がバス等によって接続されるコンピュータである。
【0025】
プロセッサ11は、判定装置10の動作に必要な演算及び制御等の処理を行うコンピュータの中枢部分であり、各種演算及び処理等を行う。プロセッサ11は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)等である。あるいは、プロセッサ11は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ11は、これらにハードウェアアクセラレーター等を組み合わせたものであっても良い。
【0026】
プロセッサ11は、ROM12又は補助記憶装置14等に記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等のプログラムに基づいて、判定装置10の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ11は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ11の回路内に組み込まれていても良い。
【0027】
ROM12及びRAM13は、プロセッサ11を中枢としたコンピュータの主記憶装置である。ROM12は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM12は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェア等を記憶する。また、ROM12は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ等も記憶する。RAM13は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリア等として利用される。RAM13は、典型的には揮発性メモリである。
【0028】
補助記憶装置14は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリ等である。補助記憶装置14は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェア等を記憶する。また、補助記憶装置14は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値等を記憶する。
【0029】
通信I/F15は、表示装置3や監視サーバ5等の外部の装置と通信するためのインターフェースである。判定装置10の判定結果は、通信I/F15からネットワーク7を介して監視サーバ5に送信される。
【0030】
次に、プロセッサ11によって実現される判定装置10の機能について説明する。
図4は、本実施形態のレーダ装置2が備える判定装置10の逆走検出を行うための機能的構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、判定装置10は、プロセッサ11によって実行される機能部として、通信処理部20と、検出処理部21と、方向判定部22と、識別処理部23と、を備える。
【0031】
通信処理部20は、通信I/F15を通じた外部機器との通信を行うための処理を実行する。逆走が検出された場合は、この通信処理部20によって逆走が生じていることが監視サーバ5に送信される。また、表示装置3への表示情報も通信処理部20によって通信I/F15を通じて送信される。
【0032】
検出処理部21は、アンテナ部6の複数の受信アンテナ9が受信した信号に基づいて物標を検出する処理を実行する。これによってレーダ装置2の検知範囲内の車両等の移動体が物標として検出される。また、検出処理部21は、物標に関する情報(位置、速度、及び、方位角等)を取得する。
【0033】
方向判定部22は、検出処理部21によって検出された物標の位置が移動する方向(以下、走行方向という)を判定する処理を実行する。レーダ装置2が電磁波を照射する道路には、一方通行等の走行方向が予め定められている。方向判定部22は、物標の走行方向が道路に定められた走行方向に沿う順走であるか、道路に定められた方向の反対方向である逆走であるかを予め設定された条件に基づいて判定する。方向判定部22は、例えば、検出処理部21が検出した物標の移動方向における走行方向の成分に基づいて判定する。なお、以下の説明において、便宜上、方向判定部22が順走すると判定した順走物標を順走車両100とし、逆走すると判定した逆走物標を逆走車両101として説明する。
【0034】
識別処理部23は、検出処理部21や方向判定部22が取得した物標に関する検出情報を取得し、方向判定部22によって判定された逆走車両101が実像であるか虚像であるかを判定する識別処理を所定条件に基づいて実行する。検出情報には、順走車両100や逆走車両101の実際の移動方向、速度、順走か逆走かを示す走行方向、検出時間、消失した時間等が含まれる。
【0035】
識別処理部23が、方向判定部22によって逆走と判定された逆走車両101を実像と判定した場合、実際に逆走車両101が存在していることになる。逆に、識別処理部23が、方向判定部22によって判定された逆走車両101を虚像と判定した場合は、駐車車両等の障害物等に起因する虚像(鏡像)が逆走車両101と判定されたことになるので、実際には車両の逆走が生じていないことになる。
【0036】
次に、識別処理部23による識別処理について説明する。
図5は、本実施形態のレーダ装置2によって逆走と一度判定された逆走車両101が虚像であると判定される場合を説明する模式平面図である。
【0037】
図5では、順走方向が設定される一方通行の道路150に対して反対の方向である逆走車両101に対向するようにレーダ装置2が設置されている。つまり、レーダ装置2の電波の送受信面は、逆走車両101が走行してくる方向を向いている。また、レーダ装置2の設置場所の近傍にはトラック等の比較的大型の駐車車両110が位置している。
【0038】
一方通行の道路150を順走する順走車両100がレーダ装置2の検知範囲に入ると、レーダ装置2から照射された電磁波が駐車車両110で反射され、その反射波が順走車両100に到達し、反射される。この反射波の一部が駐車車両110に再反射し、レーダ装置2のアンテナ部6で受信される。すると、この再反射波の入射方向の直線上に実際には存在しない虚像である逆走車両101が検出される状態となる。逆走検出の精度を向上させるためには、逆走車両101が実像か虚像を識別する必要がある。
【0039】
ここで、
図6及び
図7を参照して順走車両100とその虚像(ゴーストと称する場合がある)の関係と、逆走車両101とその虚像(ゴースト)の関係について説明する。
図6は、レーダ装置2が逆走車両101に対向するように設置された場合における順走車両100とその虚像の関係を示すグラフである。
図7は、レーダ装置2が逆走車両101に対向するように設置された場合における逆走車両101とその虚像の関係を示すグラフである。なお、
図6及び
図7の何れにおいても、横軸が時間の経過を示し、縦軸がレーダ装置2からの検出された車両までの距離を示す。また以下の説明では、説明の都合上便宜的に検出された像が実像であるか虚像であるかが特定されているように記載しているが、実際の処理では虚像も実像として検出され、検出後の処理によって最初に検出された逆走車両101の像が虚像か否かを判定する。
【0040】
図6に示すように、順走車両100のゴーストとして逆走車両101が検出される場合は、実像である順走車両100よりも先に、虚像である逆走車両101がレーダ装置2によって検出される。この逆走車両101は、時間の経過に伴ってレーダ装置2との距離が近くなる挙動を示す。この時点では、検出された逆走車両101が実車であるかゴーストであるかは識別できない。逆走車両101は、ある程度レーダ装置2に近づいたところで消失し、代わって実車である順走車両100が検出される。順走車両100は、レーダ装置2による検出開始時点でレーダ装置2の近くに位置しており、時間の経過に伴ってレーダ装置2との距離が遠くなる挙動を示す。
【0041】
図7に示すように、逆走車両101のゴーストとして順走車両100が検出される場合は、実像である逆走車両101が先にレーダ装置2によって検出される。この逆走車両101も時間の経過に伴ってレーダ装置2との距離が近くなり、ある程度近づいたところで消失する。代わってゴーストである順走車両100が検出される。この時点では、検出された逆走車両101が実車であるかゴーストであるかは識別できない。ゴーストである順走車両100の検出開始時点でのレーダ装置2との距離は、実車である逆走車両101よりも遠い位置にある点が
図6の場合と異なっている。即ち、実車として逆走車両101が存在する場合は、検出開始時点でのゴーストである順走車両100とレーダ装置2の距離が遠くなる挙動を示すことになる。このように、
図6に示す逆走車両101がゴーストである場合と
図7に示す逆走車両101が実車である場合では、逆走車両101の消失後に検出される順走車両100の挙動が異なることが確認できる。
【0042】
そこで、本実施形態では、逆走車両101の消失後、一定時間内かつ一定の距離範囲内に順走車両100が検出されるか否かを識別処理の所定条件とし、この所定条件に基づいて検出された逆走車両101が実像であるか虚像であるかを識別する。逆走車両101の消失後、一定時間内かつ一定の距離範囲内に順走車両100が検出された場合は、
図6に示す状態であり、検出された逆走車両101は虚像であると識別する。逆に、逆走車両101の消失後、一定時間内に検出された順走車両100が一定の距離範囲外の場合は、
図7に示す状態であり、検出した逆走車両101が実像であると識別する。これによって虚像を逆走の発生と誤検出することなく、精度の高い逆走検出を実現できる。
【0043】
次に、上述の識別処理の所定条件に更に条件を追加した例について説明する。なお、以下の説明において既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
図8は、虚像である逆走車両101が検出された場合において新たに検出された順走車両100が設定領域内に位置することを説明するグラフである。
図8の縦軸は
図6に示すx-y座標で定義されたy座標の値であり、横軸は時間の経過を示す。x-y座標は、例えば、順走方向に直交する方向に対して45度傾けた方向をy軸とし、このy軸に直交する方向をx軸とする平面視における座標である。
【0045】
この例では、識別処理部23は、所定のy座標の範囲を設定領域に設定する。
図8に示す矩形は所定時間と設定されるy座標の範囲とに基づいて決定されたものであり、この矩形の内側に逆走車両101の検出後の順走車両100が検出された場合に、最初に検出された逆走車両101が虚像と判定する条件となる。即ち、逆走車両101の消失後の所定時間内であること、検出された順走車両100が所定距離内にあること、及び検出された順走車両100が設定領域に含まれること、の3つの条件を識別処理の所定条件とする。この3つの条件を満たした場合に、一度検出された逆走車両101は虚像であり、実際には逆走が発生していないと判定されることになる。
【0046】
次に、
図9及び
図10を参照し、
図8を参照して説明した条件とは異なる条件を識別処理の所定条件に加える例について説明する。
図9は順走車両100とその虚像のそれぞれの移動方向の速度と時間の関係を示すグラフであり、
図10は逆走車両101を連続的に検知した場合の移動方向の速度と時間の関係を示すグラフである。
図9及び
図10の何れにおいても、縦軸は車両の速度を示し、横軸は時間の経過を示す。逆走車両101を虚像なく連続的に検出した場合、距離のみによる評価においては
図6、
図7の間のような状況となり、虚像と見誤る可能性もある。
【0047】
図9及び
図10には、車両の移動成分をx方向成分とy方向成分に分けてプロットしている。
図9の矩形の内側に示すように、順走車両100の虚像のx方向成分の速度は、-10m/s~-12.5m/sあたりであり、y方向成分の速度は8m/s~11m/sあたりとなっている。これに対して順走車両100の実像のx方向成分の速度は10m/s~14m/sあたりであり、y方向成分の速度は-6m/s~-10m/sあたりである。即ち、逆走車両101の移動方向の速度の符号と順走車両100の移動方向の速度の符号が反対の関係になっている。一方、
図10では、逆走車両101の速度の符号が反対になる関係が成立しない。
【0048】
そこで、
図9に示すような逆走車両101の移動方向の速度の符号と順走車両100の移動方向の速度の符号とが反対になることを識別処理の所定条件の1つに加えることで、より判定精度を向上させることができる。即ち、逆走車両101の消失後の所定時間内であること、検出された順走車両100が所定距離内にあること、及び逆走車両101の移動方向と順走車両100の移動方向が反対であることの3つの条件を識別処理の所定条件とする。この3つの条件を満たした場合に、一度検出された逆走車両101は虚像であり、実際には逆走が発生していないと判定されることになる。
【0049】
更に、移動方向の速度の絶対値を識別処理の所定条件に加えることもできる。順走車両100と逆走車両101が2台別個に存在する事象と、1台の車両で実像と虚像が見える事象を区別する必要がある。
図9には、逆走車両101の移動方向の速度の絶対値と順走車両100の移動方向の速度の絶対値についてもプロットしている。
図9の矩形の内側では、逆走車両101の移動方向の速度の絶対値と順走車両100の移動方向の速度の絶対値が略同じ値となっている。これは虚像と実像いずれも同一の車両由来であることを示唆している。一方仮に、順走車両100と逆走車両101の2台が各々別個に実像として存在した場合、両者の絶対値が略同じ値となることは確率的に低い。従って、逆走車両101の移動方向の速度の絶対値と順走車両100の移動方向の速度の絶対値が等しいと判定されることも識別処理の条件の1つとすることができる。ここでいう、絶対値が等しいと判定されるとは、厳密に一致する場合だけでなく、ある程度の幅を持って略一致する場合も含まれる。この条件は、上述の逆走車両101の移動方向と順走車両100の移動方向が反対であることに更に加える4つ目の条件となる。なお、場合によっては、上述の検出された順走車両100が設定領域に含まれることにさらに加える4つ目の条件としてもよいし、上述の逆走車両101の移動方向と順走車両100の移動方向が反対であることに代わる3つ目の条件としてもよい。
【0050】
以上、レーダ装置2が、逆走車両101に対向する方向に向けて設置される構成について説明してきたが、この構成に限定されるわけではない。電磁波を反射する反射物の位置やレイアウト上の制限等によってレーダ装置2の設置向きが変わることがある。
【0051】
次に、レーダ装置2が、順走車両100に対向する方向に向けて設置される構成について説明する。
図11は、順走車両100に対向するように設置されたレーダ装置2によって逆走と一度判定された車両が虚像であると判定される場合を説明する模式平面図である。
図11には、順走方向が設定される一方通行の道路151に従って移動する順走車両100に対向するようにレーダ装置2が設置されている。つまり、レーダ装置2の電波の送受信面は、順走車両100が走行してくる方向を向いている。また、レーダ装置2の設置場所の近傍にはトラック等の比較的大型の駐車車両110が位置している。
【0052】
図11に示す場合においても、レーダ装置2から照射された電磁波が駐車車両110で反射され、その反射波が一方通行の道路151を順走する順走車両100に到達し、反射される。この反射波の一部が駐車車両110に再反射してこの再反射波の入射方向の直線上に実際には存在しない虚像である逆走車両101が検出される状態となる。逆走検出の精度を向上させるためには、逆走車両101が実像か虚像かを識別する必要がある。
【0053】
図12は、レーダ装置2が順走車両100に対向するように設置された場合における順走車両100とその虚像の距離と時間の関係を示すグラフである。
図13は、レーダ装置2が順走車両100に対向するように設置された場合における逆走車両101とその虚像の距離と時間の関係を示すグラフである。なお以下の説明では、説明の都合上便宜的に検出された像が実像であるか虚像であるかが特定されているように記載しているが、実際の処理では虚像も実像として検出され、検出後の処理によって、検出された逆走車両101の像が虚像か否かを判定する。
【0054】
図12に示すように、順走車両100のゴーストとして逆走車両101が検出される場合は、実像である順走車両100が先にレーダ装置2によって検出される。順走車両100は時間の経過に伴ってレーダ装置2との距離が近くなり、ある程度近づいたところで消失する。代わってゴーストである逆走車両101が検出される。
【0055】
図13に示すように、逆走車両101のゴーストとして順走車両100が検出される場合は、実像である逆走車両101よりも先に虚像である順走車両100がレーダ装置2によって検出される。この順走車両100は、ある程度レーダ装置2に近づいたところで消失し、代わって実像である逆走車両101が検出される。逆走車両101が検出される前に検出されたゴーストである順走車両100のレーダ装置2との距離は、実車である順走車両100よりも遠い位置にある点が
図12とは異なっている。即ち、実車として逆走車両101が存在する場合は、ゴーストである順走車両100とレーダ装置2の距離が遠くなる挙動を示すことになる。このように、
図12に示す逆走車両101がゴーストである場合と
図13に示す逆走車両101が実車である場合では、逆走車両101の前に検出される順走車両100の挙動が異なることが確認できる。
【0056】
図12及び
図13が示すように、レーダ装置2が順走車両100に対向するように設置された場合において、一度、逆走車両101と判定された物標が実像か虚像かを識別するためには、逆走車両101の出現前の一定時間内、一定の距離範囲内に順走車両100が検出されることを識別処理の条件とすればよい。逆走車両101と判定された場合であっても、逆走車両101の出現前の一定時間内、一定の距離範囲内に順走車両100が検出されていた場合は、当該逆走車両101が虚像であると識別することができる。
【0057】
以上、複数種類の識別処理の所定条件について説明してきた。次に、
図14を参照して本実施形態のレーダ装置2による逆走検出処理の全体の流れについて説明する。
図14は、本実施形態のレーダ装置2による逆走検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
図14のフローが開始されると、まず、検出処理部21が複数の受信アンテナ9からの信号に基づいて物標を検出する処理を実行する(ステップS101)。ここで車両等の移動体が物標として検出される。
【0059】
次に、方向判定部22が、検出した物標の走行方向が順走か逆走かを判定する処理を開始する(ステップS102)。方向判定部22は、例えば、物標の移動方向の走行方向の成分に基づいて当該物標が順走車両100か逆走車両101かを判定する。方向判定部22は、逆走車両101が検出されない場合は以降の処理をスキップしていったん処理を終了する(ステップS103;No)。方向判定部22は、逆走車両101が検出された場合は処理をステップS104に移行する(ステップS103;Yes)。
【0060】
ステップS104では、通信処理部20が、逆走判定が一度行われたことに基づいて表示装置3に逆走禁止を表示する又は逆走禁止を強調するための一次アクションの処理を実行する(ステップS104)。この時点では、逆走車両101が虚像の可能性もあるが、表示装置3は逆走車両101に向けて設置されているので、順走車両100への影響は軽微である。一次アクションの処理による表示は、例えば、所定時間経過後や逆走車両101のレーダ装置2からの消失後に終了する。
【0061】
ステップS104の処理の後、識別処理部23は、識別処理の所定条件を満たす順走車両100が存在するか否かの判定処理を開始する(ステップS105)。識別処理の所定条件は、例えば、上述した識別処理の所定条件の何れかが予め選択される。識別処理部23は、識別処理の所定条件を満たす順走車両100が検出された場合は、当該逆走車両101は虚像であるため、以降の処理をスキップしていったん処理を終了する(ステップS106;Yes)。
【0062】
識別処理部23は、順走車両100が検出されなかった場合は処理をステップS107に移行する(ステップS106;No)。ステップS107では、識別処理部23が、方向判定部22が判定した逆走車両101が実像であることを確定し、通信処理部20に処理を移行する(ステップS107)。次に、通信処理部20が、逆走車両101が発生したことをレーダ装置2の位置情報や時刻情報等とともに外部の監視サーバ5に送信する(ステップS108)。
【0063】
以上説明したように、本実施形態のレーダ装置2は、電磁波を送信する送信アンテナ8が送信した電磁波の反射を受信する受信アンテナ9を備えるレーダ装置2であって、受信アンテナ9が受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理部21と、検出処理部21により検出された物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定部22と、方向判定部22が逆走と判定した逆走車両(逆走物標)101とは異なる順走車両(順走物標)100の検出情報に基づいて逆走車両101が実像か虚像かを識別する識別処理部23と、を備える。
【0064】
これにより、検出された逆走車両101が、駐車車両110等に起因する虚像(鏡像)か実像かを識別することができ、実際に逆走車両101が発生したか否かを精度良く検出できる。
【0065】
また、送信アンテナ8及び受信アンテナ9が逆走車両101に対向する方向に向けて設置されている場合においては、識別処理部23は、逆走車両101が検出されなくなってから所定時間内に、レーダ装置2の位置から所定距離内に順走する順走車両100が新たに検出されたことを示す検出情報を取得した場合は逆走車両101を虚像と判定することができる。
【0066】
これにより、レーダ装置2が送信アンテナ8及び受信アンテナ9が逆走車両101に対向する方向に向けて設置された位置関係と、虚像である逆走車両101と実像である順走車両100のレーダ装置2との距離とを利用して、逆走車両101の実像と虚像の識別を精度良く実行することができる。
【0067】
また、識別処理部23は、逆走車両101が検出されなくなってから所定時間内かつレーダ装置2からの所定距離内に順走車両100が新たに検出された状態であり、更に、当該順走車両100が予め設定される設定領域に存在することを示す検出情報を取得した場合に逆走車両101を虚像と判定することもできる。
【0068】
これにより、設定領域に存在することが条件の1つに加えられるので、レーダ装置2との位置関係を利用してより逆走車両101の実像と虚像の識別処理を精度よく行うことができる。
【0069】
識別処理部23は、逆走車両101が検出されなくなってから所定時間内かつレーダ装置2からの所定距離内に順走車両100が新たに検出された状態であり、更に、逆走車両101の移動方向に対して順走車両100の移動方向が逆方向の関係となっていることを示す検出情報を取得した場合に逆走車両101を虚像と判定する。
【0070】
これにより、実像である順走車両100の移動方向に対して虚像である逆走車両101の移動方向が反対方向であることを利用して、逆走車両101の実像と虚像の識別処理を精度よく行うことができる。
【0071】
また、識別処理部23は、逆走車両101の移動方向の速度の絶対値と順走車両100の移動方向の速度の絶対値が等しいと判定されることを虚像と判定する条件の1つとすることもできる。
【0072】
これにより、実像である順走車両100の移動速度の絶対値と虚像である逆走車両101の移動速度の絶対値が略一致することを利用してより一層識別処理の精度を向上させることができる。
【0073】
また、送信アンテナ8及び受信アンテナ9が順走車両100に対向する方向に向けて設置される場合では、識別処理部23は、逆走車両101が検出されるに至るまでの所定時間内に、レーダ装置2の位置から所定距離内に順走する順走車両100が存在していたことを示す検出情報を取得した場合は逆走車両101を虚像と判定する。
【0074】
これにより、送信アンテナ8及び受信アンテナ9が順走車両100に対向する方向に向けて設置された位置関係と、虚像である逆走車両101と実像である順走車両100のレーダ装置2との距離とを利用して、逆走車両101の実像と虚像の識別を精度良く実行することができる。
【0075】
また、本実施形態のレーダ装置の制御方法は、受信アンテナ9が受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理ステップと、検出処理ステップにより検出された物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定ステップと、方向判定ステップが逆走と判定した逆走車両101とは異なる順走車両100の検出情報に基づいて逆走車両101が実像か虚像かを識別する識別処理ステップと、を含む。
【0076】
これにより、検出された逆走車両101が、駐車車両110等に起因する虚像(鏡像)か実像かを識別することができ、実際に逆走車両101が発生したか否かを精度良く検出できる。
【0077】
また、本実施形態のプログラムは、レーダ装置2のコンピュータである判定装置10に、受信アンテナ9が受信した信号に基づいて物標を検出する検出処理機能と、検出処理機能により検出された物標の位置が移動する方向に基づいて、この移動方向が、予め定められた方向に沿う順走か順走の逆方向である逆走かを判定する方向判定機能と、方向判定機能が逆走と判定した逆走車両101とは異なる順走車両100の検出情報に基づいて逆走車両101が実像か虚像かを識別する識別処理機能と、を実行させる。
【0078】
これにより、検出された逆走車両101が、駐車車両110等に起因する虚像(鏡像)か実像かを識別することができ、実際に逆走車両101が発生したか否かを精度良く検出できる。
【0079】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0080】
また、上述した上記実施形態及び変形例における一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。そして、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 逆走検出システム
2 レーダ装置
21 検出処理部
22 方向判定部
23 識別処理部
100 順走車両(順走物標)
101 逆走車両(逆走物標)