(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151380
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】設計図面比較装置、設計図面比較方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20231005BHJP
G06T 7/174 20170101ALI20231005BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06T7/174
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022060964
(22)【出願日】2022-03-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「大学発新産業創出プログラム 社会還元加速プログラム(SCORE)大学推進型 拠点都市環境整備型」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 智晴
【テーマコード(参考)】
5B146
5L096
【Fターム(参考)】
5B146DA03
5B146DA07
5B146DE02
5B146DG07
5B146EC09
5L096DA01
5L096GA08
5L096JA16
(57)【要約】
【課題】設計図面間の差異を図形パーツ毎に表示する。
【解決手段】ベクター画像で表される複数の図形パーツで構成される2個の設計図面の入力を受け付ける受付手段と、第1の設計図面と第2の設計図面との間で対応する前記図形パーツを比較する比較手段と、比較手段に基づき、図形パーツ間の差異を検出する差異検出手段と、差異検出手段で検出された差異を第1の設計図面及び第2の設計図面の少なくとも一方に表示する表示手段と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベクター画像で表される複数の図形パーツで構成される2個の設計図面の入力を受け付ける受付手段と、
第1の設計図面と第2の設計図面との間で対応する前記図形パーツを比較する比較手段と、
前記比較手段に基づき、前記図形パーツ間の差異を検出する差異検出手段と、
前記差異検出手段で検出された前記差異を前記第1の設計図面及び前記第2の設計図面の少なくとも一方に表示する表示手段と、
を有する設計図面比較装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設計図面比較装置であって、
前記設計図面は、PDF形式の電子ファイルである、
設計図面比較装置。
【請求項3】
請求項2に記載の設計図面比較装置であって、
前記2個の設計図面それぞれをビットマップ化する変換手段と、
第1のビットマップ化設計図面と第2のビットマップ化設計図面との間で対応する前記図形パーツをピクセル毎に比較する第2比較手段と、
をさらに有し、
前記差異検出手段は、前記比較手段及び前記第2比較手段に基づき、前記図形パーツ間の前記差異を検出する、
設計図面比較装置。
【請求項4】
請求項3に記載の設計図面比較装置であって、
前記差異は、前記図形パーツの形状、位置、追加及び削除の少なくとも1つである、
設計図面比較装置。
【請求項5】
請求項4に記載の設計図面比較装置であって、
前記差異検出手段は、前記比較手段に基づき、前記図形パーツの位置、追加及び削除の差異を検出し、前記第2比較手段に基づき、前記図形パーツの形状の差異を検出する、
設計図面比較装置。
【請求項6】
請求項5に記載の設計図面比較装置であって、
前記表示手段は、前記差異の種類に応じて、前記図形パーツの色を変化させて表示する、
設計図面比較装置。
【請求項7】
コンピュータが、
ベクター画像で表される複数の図形パーツで構成される2個の設計図面の入力を受け付ける受付手順と、
第1の設計図面と第2の設計図面との間で対応する前記図形パーツを比較する比較手順と、
前記比較手順に基づき、前記図形パーツ間の差異を検出する差異検出手順と、
前記差異検出手順で検出された前記差異を前記第1の設計図面及び前記第2の設計図面の少なくとも一方に表示する表示手順と、
を実行する設計図面比較方法。
【請求項8】
コンピュータに、
ベクター画像で表される複数の図形パーツで構成される2個の設計図面の入力を受け付ける受付手順と、
第1の設計図面と第2の設計図面との間で対応する前記図形パーツを比較する比較手順と、
前記比較手順に基づき、前記図形パーツ間の差異を検出する差異検出手順と、
前記差異検出手順で検出された前記差異を前記第1の設計図面及び前記第2の設計図面の少なくとも一方に表示する表示手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設計図面比較装置、設計図面比較方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建築業界では、CAD(Computer-aided design)システム等を用いて建築物の設計図面を描くことが一般的である。CADを利用することで、過去に作成した建築図面やそれらに用いられた図形パーツを用いて、既存の建築図面の修正や新規の建築図面の作成等を容易に行うことができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め記憶手段に記憶された様々な種類の設計図面をはめ込み合成することで、効率的に設計図面を作成する発明が開示されている。また、例えば、特許文献2には、紙に描かれた設計図面を読み取った画像データに基づいて、設計図面に描かれた間取りを認識する発明が開示されている。
【0004】
一方、CADシステムは高度な専門知識を要する高価なソフトウェアであるため、一般的なパーソナルコンピュータ(Personal Computer; PC)等でデータを参照することができない。設計図面の参照のみを行う関係者に設計図面を提供する際には、一般的なPC等で参照可能なPDF(Portable Document Format)形式に変換することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-105592号公報
【特許文献2】特開平7-152804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、設計図面間の差異を図形パーツ毎に確認することは困難である、という課題がある。PDF形式の設計図面は、ベクター画像で表された図形パーツが埋め込まれた文書データである。そのため、PDF形式の設計図面に含まれる画像情報を比較しても、構造情報の差異を得ることができない。例えば、修正前の設計図面と修正後の設計図面とを比較するときには、修正箇所や内容を目視で確認する必要がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記のような技術的課題に鑑みて、設計図面間の差異を図形パーツ毎に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様の設計図面比較装置は、ベクター画像で表される複数の図形パーツで構成される2個の設計図面の入力を受け付ける受付手段と、第1の設計図面と第2の設計図面との間で対応する図形パーツを比較する比較手段と、比較手段に基づき、図形パーツ間の差異を検出する差異検出手段と、差異検出手段で検出された差異を第1の設計図面及び第2の設計図面の少なくとも一方に表示する表示手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、設計図面間の差異を図形パーツ毎に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態における設計図面比較システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】第1実施形態における設計図面比較装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態における設計図面比較方法の処理手順の一例を示す図である。
【
図5】位置が変化した図形パーツの表示例を示す図である。
【
図6】削除された図形パーツの表示例を示す図である。
【
図7】追加された図形パーツの表示例を示す図である。
【
図11】差異が表された設計図面の一例を示す図である。
【
図12】第2実施形態における設計図面比較装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図13】第2実施形態における設計図面比較方法の処理手順の一例を示す図である。
【
図14】形状及び位置が変化した図形パーツの表示例を示す図である。
【
図15】形状が変化した図形パーツの表示例を示す図である。
【
図16】ビットマップ化図形パーツの比較を説明するための図である。
【
図20】図形方式による比較結果の一例を示す図である。
【
図23】解析方式による比較結果の一例を示す図である。
【
図24】解析方式による比較結果の一例を示す図である。
【
図25】図形方式による比較結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態は、2個の設計図面を比較し、それらの差異を少なくとも一方の設計図面に表示する設計図面比較システムである。本実施形態における設計図面は、PDF形式の電子ファイルである(以下、「PDF設計図面」とも呼ぶ)。PDF設計図面は、ベクター画像で表される複数の図形パーツから構成される画像埋め込み文書データである。設計図面比較システムは、比較対象とする2個のPDF設計図面間で対応する図形パーツを比較する。
【0013】
本実施形態における設計図面比較システムは、各図形パーツの比較結果から検出された差異に応じて、当該図形パーツを異なる表示態様で少なくとも一方のPDF設計図面に表示する。異なる表示態様とは、例えば、差異の種類に応じて図形パーツを色分けして表示する態様等である。したがって、本実施形態における設計図面比較システムによれば、ユーザはPDF設計図面間の差異を容易に把握することができる。
【0014】
本実施形態において、比較対象とする2個のPDF設計図面は、例えば、修正前のPDF設計図面及び修正後のPDF設計図面である。修正前のPDF設計図面と修正後のPDF設計図面との差異を表示することで、行われた修正の内容を容易に把握することができるようになる。
【0015】
<設計図面比較システムの全体構成>
まず、本実施形態における設計図面比較システムの全体構成を、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における設計図面比較システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示されているように、本実施形態における設計図面比較システム1は、設計図面比較装置10及びユーザ端末30を含む。設計図面比較装置10及びユーザ端末30は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークN1を介してデータ通信可能に接続されている。
【0017】
設計図面比較装置10は、ユーザ端末30からの要求に応じて、2個のPDF設計図面の差異を出力するPC(Personal Computer)、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。設計図面比較装置10は、比較対象とする2個のPDF設計図面をユーザ端末30から受信する。また、設計図面比較装置10は、差異が表されたPDF設計図面をユーザ端末30に送信する。
【0018】
ユーザ端末30は、ユーザが利用するPC、タブレット端末、スマートフォン等の情報処理端末である。ユーザ端末30は、ユーザの操作に応じて、比較対象とする2個のPDF設計図面を設計図面比較装置10に送信する。また、ユーザ端末30は、設計図面比較装置10から差異が表されたPDF設計図面を受信し、ユーザに対して表示する。
【0019】
なお、
図1に示した設計図面比較システム1の全体構成は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があり得る。例えば、設計図面比較装置10は、複数台のコンピュータにより実現してもよいし、クラウドコンピューティングのサービスとして実現してもよい。また、例えば、設計図面比較システム1は、設計図面比較装置10及びユーザ端末30がそれぞれ備えるべき機能を兼ね備えたスタンドアローンの情報処理装置により実現してもよい。
【0020】
以下、スタンドアローンの情報処理装置により実現された設計図面比較装置10について説明する。
【0021】
<設計図面比較システムのハードウェア構成>
次に、本実施形態における設計図面比較システムのハードウェア構成を、
図2を参照しながら説明する。
【0022】
≪コンピュータのハードウェア構成≫
本実施形態における設計図面比較装置10は、例えばコンピュータにより実現される。
図2は、本実施形態におけるコンピュータ500のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図2に示されているように、コンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)504、入力装置505、表示装置506、通信I/F(Interface)507及び外部I/F508を有する。CPU501、ROM502及びRAM503は、いわゆるコンピュータを形成する。コンピュータ500の各ハードウェアは、バスライン509を介して相互に接続されている。なお、入力装置505及び表示装置506は外部I/F508に接続して利用する形態であってもよい。
【0024】
CPU501は、ROM502又はHDD504等の記憶装置からプログラムやデータをRAM503上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。
【0025】
ROM502は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM502は、HDD504にインストールされている各種プログラムをCPU501が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶装置として機能する。具体的には、ROM502には、コンピュータ500の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、EFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムや、OS(Operating System)設定、ネットワーク設定等のデータが格納されている。
【0026】
RAM503は、電源を切るとプログラムやデータが消去される揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。RAM503は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等である。RAM503は、HDD504にインストールされている各種プログラムがCPU501によって実行される際に展開される作業領域を提供する。
【0027】
HDD504は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。HDD504に格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーション等がある。なお、コンピュータ500はHDD504に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いる記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive等)を利用するものであってもよい。
【0028】
入力装置505は、ユーザが各種信号を入力するために用いるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウス、音声等の音データを入力するマイクロホン等である。
【0029】
表示装置506は、画面を表示する液晶や有機EL(Electro-Luminescence)等のディスプレイ、音声等の音データを出力するスピーカ等で構成されている。
【0030】
通信I/F507は、通信ネットワークに接続し、コンピュータ500がデータ通信を行うためのインタフェースである。
【0031】
外部I/F508は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、ドライブ装置510等がある。
【0032】
ドライブ装置510は、記録媒体511をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体511には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体511には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。これにより、コンピュータ500は外部I/F508を介して記録媒体511の読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0033】
なお、HDD504にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体511が外部I/F508に接続されたドライブ装置510にセットされ、記録媒体511に記録された各種プログラムがドライブ装置510により読み出されることでインストールされる。あるいは、HDD504にインストールされる各種プログラムは、通信I/F507を介して、通信ネットワークとは異なる他のネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0034】
<設計図面比較装置の機能構成>
続いて、本実施形態における設計図面比較装置の機能構成を、
図3を参照しながら説明する。
図3は本実施形態における設計図面比較装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0035】
図3に示されているように、本実施形態における設計図面比較装置10は、図面記憶部100、図面受付部101、ベクター比較部102、差異検出部103及び差異表示部104を備える。
【0036】
図面記憶部100は、修正前のPDF設計図面と修正後のPDF設計図面を記憶する。記憶する修正前後のPDF設計図面は、各々一枚でも、複数枚でもよく、ケースバイケースに応じて、適時変更することは可能である。なお、PDF設計図面は後述する様に、複数の図形パーツで構成されており、各図形パーツは記号化されており、記号化された状態で、図面記憶部100に記憶されている。
【0037】
図面記憶部100は、
図2に示されているHDD504によって実現される。
【0038】
図面受付部101は、図面記憶部100から比較対象とする2個のPDF設計図面の入力を受け付ける。比較対象とするPDF設計図面は、例えば、修正前のPDF設計図面(以下、「第1のPDF設計図面」とも呼ぶ)及び修正後のPDF設計図面(以下、「第2のPDF設計図面」とも呼ぶ)である。
【0039】
図面受付部101は、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501及び入力装置505に実行させる処理によって実現される。
【0040】
ベクター比較部102は、図面受付部101が受け付けた2個のPDF設計図面間で対応する図形パーツを比較する。PDF設計図面の比較は、公知のベクター画像解析法を用いればよい。この方式は例えば次の様に行われる。第1のPDF設計図面が11番~1n番(n個)の図形パーツで構成され、第2のPDF設計図面が21番~2m番(m個)の図形パーツで構成されていると仮定すると、まず、11番図形パーツは、21番図形パーツから2m番図形パーツまで順次比較が行われ、同様に、12番図形パーツは21番図形パーツから2m番図形パーツまで順次比較が行われ、以下同様の比較が行われる。
【0041】
ベクター比較部102は、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0042】
差異検出部103は、ベクター比較部102が出力する比較結果に基づいて、各図形パーツ間の差異を検出する。本実施形態における差異検出部103が検出する差異は、図形パーツの位置の差異、図形パーツの追加、及び図形パーツの削除等である。
【0043】
差異検出部103は、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0044】
差異表示部104は、差異検出部103が検出した差異を、2個のPDF設計図面の少なくとも一方に表示する。差異表示部104は、ユーザが差異の種類を容易に判別できる態様で、PDF設計図面に含まれる図形パーツを変化させて表示する。具体的な差異の表示態様は、後述する。
【0045】
差異表示部104は、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501及び表示装置506に実行させる処理によって実現される。
【0046】
<設計図面比較方法の処理手順>
次に、本実施形態における設計図面比較システムが実行する設計図面比較方法の処理手順を、
図4を参照しながら説明する。
図4は本実施形態における設計図面比較方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS101において、図面受付部101は、ユーザの操作に応じて、比較対象とする第1のPDF設計図面及び第2のPDF設計図面の入力を受け付ける。次に、図面受付部101は、受け付けた第1のPDF設計図面及び第2のPDF設計図面をベクター比較部102に送る。
【0048】
ステップS102において、ベクター比較部102は、図面受付部101から第1のPDF設計図面及び第2のPDF設計図面を受け取る。次に、ベクター比較部102は、図面記憶部100に記憶されている図形情報を読み出す。
【0049】
続いて、ベクター比較部102は、読み出した図形情報に基づいて、第1のPDF設計図面と第2のPDF設計図面との間で対応する図形パーツを比較する。ここでは、上述の様に、PDF設計図面の比較は、公知のベクター画像解析法を用いればよい。そして、ベクター比較部102は、各図形パーツの比較結果を差異検出部103に送る。
【0050】
ステップS103において、差異検出部103は、ベクター比較部102から各図形パーツの比較結果を受け取る。次に、差異検出部103は、各図形パーツの比較結果に基づいて、各図形パーツ間の差異を検出する。続いて、差異検出部103は、検出した各図形パーツの差異を差異表示部104に送る。
【0051】
差異検出部103が検出する差異は、図形パーツの位置の差異、図形パーツの追加、及び図形パーツの削除である。図形パーツの位置の差異は、当該図形パーツが両方のPDF設計図面に含まれる場合に、各PDF設計図面における図形パーツの位置が一致するか否かである。図形パーツの追加は、第1のPDF設計図面に存在しない図形パーツが第2のPDF設計図面に存在する場合である。図形パーツの削除は、第1のPDF設計図面に存在する図形パーツが第2のPDF設計図面に存在しない場合である。
【0052】
ステップS104において、差異表示部104は、差異検出部103から各図形パーツの差異を受け取る。次に、差異表示部104は、受け取った各図形パーツの差異に基づいて、修正前のPDF設計図面及び修正後のPDF設計図面の少なくとも一方に含まれる当該図形パーツの表示態様を変化させる。続いて、差異表示部104は、差異が表されたPDF設計図面を表示装置506に表示する。
【0053】
<差異表示の具体例>
ここで、差異表示部104が図形パーツの差異を表示する方法について、
図5乃至
図7を参照しながら詳細に説明する。
【0054】
図5は、図形パーツが同じ形状で異なる位置に存在する場合の表示例を示す図である。
図5(A)は、修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図5(B)は、修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
【0055】
図5は、修正前のPDF設計図面1000に含まれる図形パーツ1001が、修正後のPDF設計図面1010に含まれる図形パーツ1011に対応することを表している。
図5に示されているように、図形パーツ1001と図形パーツ1011とは、位置が異なり、形状が同一である。この場合、修正後のPDF設計図面1010において、図形パーツ1011を第1の色に変化させて表示する。第1の色は、例えば、緑色である。
【0056】
図6は、図形パーツが修正後に削除された場合の表示例を示す図である。
図6(A)は、修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図6(B)は、修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
【0057】
図6は、修正前のPDF設計図面1100に含まれる図形パーツ1101が、修正後のPDF設計図面1110には含まれないことを表している。この場合、修正前のPDF設計図面1100において、図形パーツ1101を第2の色に変化させて表示する。第2の色は、第1の色と異なればどのような色でもよい。第2の色は、例えば、青色である。
【0058】
図7は、図形パーツが修正後に追加された場合の表示例を示す図である。
図7(A)は、修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図7(B)は、修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
【0059】
図7は、修正後のPDF設計図面1210に含まれる図形パーツ1211が、修正前のPDF設計図面1200には含まれないことを表している。この場合、修正後のPDF設計図面1210において、図形パーツ1211を第3の色に変化させて表示する。第3の色は、第1の色及び第2の色と異なればどのような色でもよい。第3の色は、例えば、赤色である。
【0060】
<ベクター画像解析法の具体例>
ここで、ベクター画像解析法について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、ベクター画像で表された図形パーツの一例を示す図である。
【0061】
設計図面の作図者は、複数の図形パーツを組み合わせて作図するに際して、個々の図形パーツを特定する。例えば、図形パーツの種類、大きさ、位置の特定は以下のようにして行う。
【0062】
円弧(楕円又は真円)の図形パーツに関しては、中心点、短径、長径及び角度を与えれば、特定の円弧を作図できる。短径と長径とが異なれば楕円の円弧となり、短径と長径とが等しければ真円の円弧となる。
図8(A)は、円弧の作図の一例を示す概念図である。中心点(x
1, y
1)、短径a、長径b及び角度θ(240°~360°)を定めれば、
図8(A)に示すような楕円の円弧が作図される。
【0063】
直線の図形パーツに関しては、始点及び終点を与えれば、特定の直線が作図できる。
図8(B)は、直線の作図の一例を示す概念図である。始点(x
1, y
1)及び終点(x
2, y
2)を定めれば、
図8(B)に示すような直線が作図される。
【0064】
方形(長方形又は正方形)の図形パーツに関しては、対角点を与えれば、特定の方形が作図できる。
図8(C)は、方形の作図の一例を示す概念図である。一方の対角点(x
1, y
1)及び他方の対角点(x
2, y
2)を定めれば、
図8(C)に示すような長方形が作図される。X座標の差(|x
1-x
2|)とY座標の差(|y
1-y
2|)が等しければ正方形となる。
【0065】
図9は、修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。設計図面の作図者は、まず、図形パーツの種類、大きさ及び位置を特定する。ここでは、4つの図形パーツa~dを特定したものとする。次に、作図者は、図形パーツa~dを組み合わせて作図する。
図9は、図形パーツa~dを配置して、修正前のPDF設計図面1300を作成したことを表している。
【0066】
図10は、修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。作図者は、必要に応じて修正前のPDF設計図面の図形パーツを移動、追加及び削除することで、修正後のPDF設計図面を作成する。
図10は、図形パーツaを図形パーツa'に移動し、図形パーツbを消去し、図形パーツdを図形パーツd'に移動し、図形パーツeを追加して、修正後のPDF設計図面1310を作成したことを表している。
【0067】
図9に示した修正前のPDF設計図面及び
図10に示した修正後のPDF設計図面を入力することで、設計図面比較装置10は、修正前のPDF設計図面と修正後のPDF設計図面との間で各図形パーツを比較し、修正部分を特定する。
【0068】
図形パーツaは、修正後のPDF設計図面1310では当初の位置(x1, y1)に存在しない。例えば、図形パーツaが楕円である場合、短径、長径及び角度が等しい図形パーツが他に存在するか比較する。この結果、座標(x'1, y'1)を中心点とし、種類及び大きさが同一の図形パーツa'が存在することが確認される。そのため、図形パーツaは図形パーツa'に移動したと判断する。
【0069】
図形パーツbは、修正後のPDF設計図面1310では、当初の位置(x1, y1)(x2, y2)に存在しない。例えば、図形パーツbが直線の場合、始点と終点から長さと傾斜が同一の図形パーツが他に存在するか比較する。この結果、同じ図形パーツが存在しないことが確認される。この結果、図形パーツbは削除されたと判断する。
【0070】
図形パーツcは修正後のPDF設計図面1310でも、当初の位置に存在する。そのため、図形パーツcは修正なしと判断する。
【0071】
図形パーツdは当初の位置(x1, y1)(x2, y2)に存在しない。例えば、図形パーツdが方形の場合、対角点から大きさが同一の図形パーツが他に存在するか比較する。この結果、対角点(x'1, y'1)(x'2, y'2)に種類及び大きさが同一の図形パーツd'が存在することが確認される。そのため、図形パーツdは図形パーツd'に移動したと判断する。
【0072】
図形パーツeは、修正前のPDF設計図面1300には存在しない。そのため、図形パーツeは追加されたと判断する。
【0073】
≪図形パーツの同一性判断≫
2つの図形パーツを比較して同一であるか否かを判断する際、形状又は大きさが類似する場合も同一として扱ってよい。類似の判断は、図形パーツを表すパラメータの差異が所定の範囲に含まれるか否かにより行う。例えば、図形パーツが楕円である場合、短径、長径又は角度の比が±10%以内であれば同一と扱うことができる。また、例えば、図形パーツが直線の場合、長さ及び傾斜が±10%以内であれば同一と扱うことができる。また、例えば、図形パーツが方形の場合、各辺の長さが±10%以内であれば同一と扱うことができる。
【0074】
図11は、修正前のPDF設計図面と修正後のPDF設計図面との差異を表示した設計図面の一例を示す図である。差異を表示した設計図面1320では、修正前後のPDF設計図面間で対応する図形パーツの差異が色分けして表示されている。
図11に示すように、修正により移動した図形パーツは、第1の色(例えば、緑色)で表示する。修正により削除された図形パーツは、第2の色(例えば、青色)で表示する。修正により追加された図形パーツは、第3の色(例えば、赤色)で表示する。このように、差異を種類に応じて色分けして表示することにより、ユーザは修正内容を容易に把握することができる。
【0075】
<第1実施形態の効果>
本実施形態における設計図面比較装置10は、2個のPDF設計図面間で対応する図形パーツを比較し、比較結果から検出された図形パーツ間の差異をPDF設計図面に表示する。したがって、本実施形態における設計図面比較装置10によれば、2個のPDF設計図面間の差異を容易に確認することができる。
【0076】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、比較対象とする2個のPDF設計図面をそれぞれビットマップ化し(以下、ビットマップ化されたPDF設計図面を「ビットマップ化設計図面」とも呼ぶ)、PDF設計図面を比較して検出した差異とビットマップ化設計図面を比較して検出した差異とを、2個のPDF設計図面の少なくとも一方に表示する設計図面比較システムである。
【0077】
本実施形態における設計図面比較システムは、第1実施形態と比較して、PDF設計図面をビットマップ化し、それらを比較して差異を検出する点が異なる。設計図面をビットマップ化して比較することで、図形パーツ間の形状や大きさの差異を検出することが可能となる。したがって、本実施形態における設計図面比較システムによれば、より詳細にPDF設計図面間の差異を確認することが可能となる。
【0078】
以下、第2本実施形態における設計図面比較システムについて、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0079】
<設計図面比較装置の機能構成>
まず、本実施形態における設計図面比較装置の機能構成を、
図12を参照しながら説明する。
図12は本実施形態における設計図面比較装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0080】
図12に示されているように、本実施形態における設計図面比較装置10は、第1実施形態と同様に、図面記憶部100、図面受付部101、ベクター比較部102、差異検出部103及び差異表示部104を備える。本実施形態における設計図面比較装置10は、図面変換部111及びビットマップ比較部112をさらに備える。
【0081】
図面変換部111は、図面受付部101が受け付けた2個のPDF設計図面を構成する図形パーツをビットマップ化する。これにより、2個のビットマップ化設計図面が生成される。
【0082】
図面変換部111は、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0083】
ビットマップ比較部112は、図面変換部111が生成した2個のビットマップ化設計図面をピクセル毎に比較する。
【0084】
ビットマップ比較部112は、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0085】
本実施形態における差異検出部103は、ベクター比較部102が出力する比較結果及びビットマップ比較部112が出力する比較結果に基づいて、各図形パーツ間の差異を検出する。本実施形態における差異検出部103は、図形パーツの位置の差異、図形パーツの追加、及び図形パーツの削除に加えて、図形パーツの形状の差異及び図形パーツの大きさの差異等を検出する。
【0086】
なお、差異検出部103は、ベクター比較部102が出力する比較結果に基づいて、図形パーツの位置の差異、図形パーツの追加、及び図形パーツの削除を検出する。ここで、第1のPDF設計図面のある図形パーツが、第2のPDF設計図面においても、同じ位置に形状が変化して(例えば大きさ)存在する場合、差異検出部103は、ビットマップ比較部112が出力する比較結果に基づいて、図形パーツの形状の差異及び図形パーツの大きさの差異を検出する。
【0087】
<設計図面比較方法の処理手順>
次に、本実施形態における設計図面比較システムが実行する設計図面比較方法の処理手順を、
図13を参照しながら説明する。
図13は本実施形態における設計図面比較方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0088】
ステップS111において、図面変換部111は、図面受付部101から第1のPDF設計図面及び第2のPDF設計図面を受け取る。次に、図面変換部111は、受け取った第1のPDF設計図面及び第2のPDF設計図面をそれぞれビットマップ化する。続いて、図面変換部111は、第1のビットマップ化設計図面及び第2のビットマップ化設計図面をビットマップ比較部112に送る。
【0089】
ステップS112において、ビットマップ比較部112は、図面変換部111から第1のビットマップ化設計図面及び第2のビットマップ化設計図面を受け取る。次に、ビットマップ比較部112は、第1のビットマップ化設計図面と第2のビットマップ化設計図面とをピクセル毎に比較する。続いて、ビットマップ比較部112は、ビットマップ化設計図面の比較結果を差異検出部103に送る。
【0090】
ステップS103において、差異検出部103は、ベクター比較部102から比較結果を受け取る。次に、差異検出部103は、ビットマップ比較部112から比較結果を受け取る。
【0091】
続いて、差異検出部103は、ベクター比較部102が出力する比較結果及びビットマップ比較部112が出力する比較結果に基づいて、各図形パーツの間の差異を検出する。次に、差異検出部103は、検出した各図形パーツの差異を差異表示部104に送る。
【0092】
<差異表示の具体例>
ここで、差異表示部104が図形パーツの差異を表示する方法について、
図14及び
図15を参照しながら詳細に説明する。
【0093】
図14は、図形パーツが異なる形状で異なる位置に存在する場合の表示例を示す図である。
図14(A)は、修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図14(B)は、修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
【0094】
図14は、修正前のPDF設計図面1400に含まれる図形パーツ1401が、修正後のPDF設計図面1410に含まれる図形パーツ1411に対応することを表している。
図14に示されているように、図形パーツ1401と図形パーツ1411とは、位置及び形状が異なる。この場合、修正後のPDF設計図面1410において、図形パーツ1411を第3の色(例えば、赤色)に変化させて表示する。この場合、図形パーツ1401と図形パーツ1411を≪図形パーツの同一性判断≫に記載した様に、両者を同一と判断したことを想定している。同一と判断しない場合には、PDF設計図面の修正後、図形パーツ1401は削除され、図形パーツ1411が新たに追加される。
【0095】
図15は、図形パーツが異なる形状で同じ位置に存在する場合の表示例を示す図である。
図15(A)は、修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図15(B)は、修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
【0096】
図15は、修正前のPDF設計図面1500に含まれる図形パーツ1501が、修正後のPDF設計図面1510に含まれる図形パーツ1511に対応することを表している。
図11に示されているように、図形パーツ1501と図形パーツ1511とは、位置が同一であり、形状が異なる。この場合、修正後のPDF設計図面1510において、図形パーツ1511を第3の色(例えば、赤色)に変化させて表示する。
【0097】
<ビットマップ画像解析法の具体例>
ベクター画像解析法は、同じ種類かつ同じ大きさの図形パーツの比較には優れるが、同じ種類かつ異なる大きさの図形パーツの比較には不向きである。一方、ビットマップ画像解析法は、同じ種類の図形パーツ同士の大きさの差異の認識に優れる。このため、ベクター画像解析法とビットマップ画像解析法を併用することにより、図形の位置変化及び形状変化を高精度に認識することができる。
【0098】
図16は、ビットマップ画像解析法の処理手順の一例を示す図である。
図16に示されているように、ビットマップ画像解析法では、まず、修正前のPDF設計図面に含まれる図形パーツ及び修正後のPDF設計図面に含まれる図形パーツそれぞれをビットマップ化する。次に、修正前のビットマップ化図形パーツと修正後のビットマップ化図形パーツとをピクセル毎に比較する。続いて、ビットマップ化図形パーツ間の差分を特定し、その差分を色分けして表示する。
【0099】
<第2実施形態の効果>
本実施形態における設計図面比較装置10は、2個のPDF設計図面をビットマップ化し、ビットマップ化設計図面間で対応する図形パーツを比較する。これにより、図形パーツの形状や大きさの差異を表示することができる。したがって、本実施形態における設計図面比較装置10によれば、2個のPDF設計図面間の差異をより詳細に確認することができる。
【0100】
[実施例]
上記実施形態における設計図面比較システムの実施例について、
図17から
図25を参照しながら説明する。
【0101】
図17は、本実施例における図面入力画面の一例を示す概念図である。図面入力画面は、図面受付部101が比較対象とする2個のPDF設計図面の入力を受け付けるための画面である。
【0102】
図17(A)は、初期状態の図面入力画面2000の一例を示す図である。
図17(B)は、比較完了後の図面入力画面2100の一例を示す図である。
【0103】
図17に示されているように、本実施例における図面入力画面2000は、修正前PDF入力欄2001、修正後PDF入力欄2002、実行方式選択欄2003、実行ボタン2004、画像方式出力ボタン2005及び解析方式出力ボタン2006を有する。初期状態では、実行ボタン2004、画像方式出力ボタン2005及び解析方式出力ボタン2006は押下不可に制御される。
【0104】
初期状態の図面入力画面2000において、ユーザは、修正前PDF入力欄2001及び修正後PDF入力欄2002に修正前のPDF設計図面及び修正後のPDF設計図面を入力する。ユーザは、修正前PDF入力欄2001及び修正後PDF入力欄2002において、参照ボタンから起動されるファイル選択画面からPDF設計図面を選択してもよいし、テキストボックスにPDF設計図面のファイルパスを入力してもよい。なお、本実施例では、紙をスキャンして作成したPDF設計図面及びページサイズの異なるPDF設計図面は入力不可としている。
【0105】
本実施例では、修正前PDF入力欄2001及び修正後PDF入力欄2002において、各ファイルのページ範囲を指定することができる。ページ範囲が指定された場合、指定されたページ範囲が比較対象となる。なお、ページ範囲が指定されなかった場合、全ページが比較対象となる。
【0106】
比較対象とするPDF設計図面を入力した後、ユーザは、実行方式選択欄2003において、実行方式を選択する。本実施例における実行方式は、画像方式、解析方式及び両方である。画像方式では、PDF設計図面の変更点(追加箇所および削除箇所)が1つのPDF設計図面に出力される。解析方式では、修正前のPDF設計図面及び修正後のPDF設計図面それぞれに変更点を書き込んだ2つのPDF設計図面が出力される。解析方式では、図形パーツの平行移動を検知することができる。両方を選択した場合、画像方式及び解析方式の両方で比較が行われる。
【0107】
実行方式を選択した後、ユーザが実行ボタン2004を押下すると、指定された実行方式で修正前のPDF設計図面と修正後のPDF設計図面との比較が行われる。比較が完了すると、画像方式出力ボタン2005及び/又は解析方式出力ボタン2006が押下可能となる。
【0108】
比較完了後の図面入力画面2100において、いずれのボタンが押下可能となるかは、比較に用いた実行方式により異なる。画像方式を選択した場合、画像方式出力ボタン2005が押下可能となる。解析方式を選択した場合、解析方式出力ボタン2006が押下可能となる。両方を選択した場合、画像方式出力ボタン2005及び解析方式出力ボタン2006が押下可能となる。
【0109】
<画像方式の出力例>
画像方式で比較を行った場合に出力されるPDF設計図面について、
図18から
図20を参照しながら説明する。
図18は、本実施例における修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図19は、本実施例における修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
図20は、画像方式による差分を表示したPDF設計図面の一例を示す図である。
【0110】
図20に示されているように、画像方式による差分を表示したPDF設計図面では、追加箇所及び削除箇所が色分けして表示される。追加箇所は、修正前のPDF設計図面にはないが、修正後のPDF設計図面にはある図形パーツである。削除箇所は、修正前のPDF設計図面にはあるが、修正後のPDF設計図面にはない図形パーツである。
【0111】
図20において、青色で表示されている箇所は、追加箇所である。赤色で表示されている箇所は、追加箇所である。灰色で表示されている箇所は、変更されていない箇所である。
【0112】
<解析方式の出力例>
解析方式で比較を行った場合に出力されるPDF設計図面について、
図21から
図25を参照しながら説明する。
図21は、本実施例における修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図22は、本実施例における修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
図23は、解析方式による差分を表示した修正前のPDF設計図面の一例を示す図である。
図24は、解析方式による差分を表示した修正後のPDF設計図面の一例を示す図である。
図25は、画像方式による差分を表示したPDF設計図面の一例を示す図である。
【0113】
図23及び
図24に示されているように、解析方式による差分を表示した修正前のPDF設計図面では、追加箇所、削除箇所に加えて移動箇所が色分けして表示される。移動箇所は、修正前のPDF設計図面から修正後のPDF設計図面で平行移動したと検知された図形パーツである。
【0114】
図23及び
図24において、青色で表示されている箇所は、追加箇所である。赤色で表示されている箇所は、追加箇所である。灰色で表示されている箇所は、変更されていない箇所である。緑色で表示されている箇所は、移動箇所である。
【0115】
図21に示した修正前のPDF設計図面と
図22に示した修正後のPDF設計図面は、変更箇所が多数あり、全体的に紙面における絶対位置がずれている。そのため、画像方式による差分を表示すると、
図25に示すように、ほぼ全体が追加箇所又は削除箇所と認識されてしまい、修正内容を把握することが困難となる。一方、
図23及び
図24に示すように、解析方式による差分では、移動箇所を異なる色で表示できるため、追加箇所又は削除箇所を把握しやすくなる。
【0116】
[補足]
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等の機器を含むものとする。
【0117】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 設計図面比較システム
10 設計図面比較装置
100 図面記憶部
101 図面受付部
102 ベクター比較部
103 差異検出部
104 差異表示部
111 図面変換部
112 ビットマップ比較部
30 ユーザ端末