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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023151608
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231005BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022061310
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼栖 紀尚
(72)【発明者】
【氏名】山中 進矢
(72)【発明者】
【氏名】立花 佑太
(72)【発明者】
【氏名】北澤 貴
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BA09
5F004BB12
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004CA04
5F004CA06
5F045AA08
5F045BB20
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH13
5F045EJ05
5F045EM05
(57)【要約】
【課題】シャワープレートとクーリングプレートとを有するシャワーヘッドを備える基板処理装置において、クーリングプレートの反りを抑制し、シャワープレートの破損を防止又は低減する基板処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に設けられ、基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に対向するシャワーヘッドと、を備え、前記シャワーヘッドは、ガスを吐出するガス吐出口が形成されるシャワープレートと、前記シャワープレートを保持し、冷媒が供給される冷媒流路およびガス供給流路が形成されるクーリングプレートと、前記シャワープレートと前記クーリングプレートの間に形成され、前記ガス吐出口およびガス供給流路にそれぞれ連通する複数のガス拡散室を有し、前記冷媒流路は、平面視して、少なくとも一部が、前記シャワープレートと前記クーリングプレートとの間の伝熱面上に配置される、基板処理装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に設けられ、基板を支持する基板支持部と、
前記基板支持部に対向するシャワーヘッドと、を備え、
前記シャワーヘッドは、
ガスを吐出するガス吐出口が形成されるシャワープレートと、
前記シャワープレートを保持し、冷媒が供給される冷媒流路およびガス供給流路が形成されるクーリングプレートと、
前記シャワープレートと前記クーリングプレートの間に形成され、前記ガス吐出口およびガス供給流路にそれぞれ連通する複数のガス拡散室を有し、
前記冷媒流路は、平面視して、少なくとも一部が、前記シャワープレートと前記クーリングプレートとの間の伝熱面上に配置される、
基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス拡散室は、前記クーリングプレートの下面に形成された凹溝と、前記シャワープレートの上面とによって形成され、
前記シャワープレートのガス吐出口は、前記ガス拡散室と連通する、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記シャワープレートと接する前記クーリングプレートの伝熱面から前記冷媒流路の下面までの高さは、3mm以上20mm以下である、
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記冷媒流路は、平面視して、前記ガス拡散室と前記伝熱面との境界上に沿って配置される部分冷媒流路を含む、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記冷媒流路は、平面視して、前記伝熱面の直上に配置される、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記冷媒流路の底面は、前記ガス拡散室の天面よりも低い位置に配置される、
請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記冷媒流路は、前記ガス拡散室を囲うように配置される、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記シャワープレートは、Si、SiC、SiO、Alのうちいずれかで形成され、
前記クーリングプレートは、Al、SiC、または金属基複合材料のうちいずれかで形成される、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、載置台の上面に配置される基板に対面して配置されるシャワーヘッドを備え、シャワーヘッドは、複数の孔を有する表面板と、ガス流路及びガスを加熱するヒータを有する中間板と、中間板に熱的に接続する天板と、を有する、装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、ガス流路が形成された上部電極と、下面にプレナムが形成された裏当て部材と、熱制御板と、を有するシャワーヘッド電極組立体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/180233号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/141941号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の側面では、本開示は、シャワープレートとクーリングプレートとを有するシャワーヘッドを備える基板処理装置において、クーリングプレートの反りを抑制し、シャワープレートの破損を防止又は低減する基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に設けられ、基板を支持する基板支持部と、前記基板支持部に対向するシャワーヘッドと、を備え、前記シャワーヘッドは、ガスを吐出するガス吐出口が形成されるシャワープレートと、前記シャワープレートを保持し、冷媒が供給される冷媒流路およびガス供給流路が形成されるクーリングプレートと、前記シャワープレートと前記クーリングプレートの間に形成され、前記ガス吐出口およびガス供給流路にそれぞれ連通する複数のガス拡散室を有し、前記冷媒流路は、平面視して、少なくとも一部が、前記シャワープレートと前記クーリングプレートとの間の伝熱面上に配置される、基板処理装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
一の側面によれば、シャワープレートとクーリングプレートとを有するシャワーヘッドを備える基板処理装置において、クーリングプレートの反りを抑制し、シャワープレートの破損を防止又は低減する基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】容量結合型の基板処理装置の構成例を説明するための図の一例。
図2】第1実施形態に係るシャワーヘッドの断面図の一例。
図3】第1実施形態に係るクーリングプレートを下方から見た底面図の一例。
図4】第2実施形態に係るシャワーヘッドの断面図の一例。
図5】第2実施形態に係るクーリングプレートを下方から見た底面図の一例。
図6】第3実施形態に係るシャワーヘッドの断面図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0010】
以下に、プラズマ処理システムの構成例について説明する。図1は、容量結合型の基板処理装置の構成例を説明するための図の一例である。
【0011】
プラズマ処理システムは、容量結合型の基板処理装置1及び制御部2を含む。容量結合型の基板処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、基板処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
【0012】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0013】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF(Radio Frequency)電源31及び/又はDC(Direct Current)電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、静電電極1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
【0014】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0015】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0016】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a(13a1~13a3)、少なくとも1つのガス供給流路13b(13b1~13b3)、少なくとも1つのガス拡散室13c(13c1~13c3)、及び複数のガス導入口13d(13d1~13d3)を有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス供給流路13b及びガス拡散室13cを通過して複数のガス導入口13dからプラズマ処理空間10s内に導入される。
【0017】
また、図1に示すシャワーヘッド13は、ガス導入部51と、ガス導入部52と、ガス導入部53と、を有する。ガス導入部51は、プラズマ処理チャンバ10内の基板Wの中心領域(センター領域)にガスを導入する。ガス導入部52は、ガス導入部51よりも外側領域(中間領域)にガスを導入する。ガス導入部53は、ガス導入部52よりも外側領域(エッジ領域)にガスを導入する。ガス導入部51、ガス導入部52及びガス導入部53は、同心状に配置されている。
【0018】
ガス供給口13aは、ガス供給口13a1と、ガス供給口13a2と、ガス供給口13a3と、を有する。ガス供給口13a1は、ガス導入部51に導入されるガスが供給される。ガス供給口13a2は、ガス導入部52に導入されるガスが供給される。ガス供給口13a3は、ガス導入部53に導入されるガスが供給される。
【0019】
ガス供給流路13bは、ガス供給流路13b1と、ガス供給流路13b2と、ガス供給流路13b3とを有する。ガス供給流路13b1は、ガス供給口13a1とガス拡散室13c1とを接続する。ガス供給流路13b2は、ガス供給口13a2とガス拡散室13c2とを接続する。ガス供給流路13b3は、ガス供給口13a3とガス拡散室13c3とを接続する。
【0020】
ガス拡散室13cは、ガス拡散室13c1と、ガス拡散室13c2と、ガス拡散室13c3と、を有する。ガス拡散室13c1には、ガス供給流路13b1及び複数のガス導入口13d1が、ガスが通流可能に接続される。ガス導入部51は、ガス供給口13a1、ガス供給流路13b1、ガス拡散室13c1、複数のガス導入口13d1を有する。また、ガス拡散室13c2には、ガス供給流路13b2及び複数のガス導入口13d2が、ガスが通流可能に接続される。ガス導入部52は、ガス供給口13a2、ガス供給流路13b2、ガス拡散室13c2、複数のガス導入口13d2を有する。また、ガス拡散室13c3には、ガス供給流路13b3及び複数のガス導入口13d3が、ガスが通流可能に接続される。ガス導入部53は、ガス供給口13a3、ガス供給流路13b3、ガス拡散室13c3、複数のガス導入口13d3を有する。
【0021】
また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0022】
また、シャワーヘッド13は、クーリングプレート131と、シャワープレート132と、を有する。クーリングプレート131は、シャワープレート132を保持する。また、クーリングプレート131は、保持したシャワープレート132を冷却する機能を有する。また、クーリングプレート131は、ガス供給口13a、ガス供給流路13b及びガス拡散室13cが形成される。クーリングプレート131は、例えば、Al、SiC、または金属基複合材料(MMC:Metal Matrix Composites)で形成される。
【0023】
シャワープレート132は、複数のガス導入口13dが形成される。クーリングプレート131にシャワープレート132が保持された際、複数のガス導入口13dは、ガス拡散室13cと連通する。シャワープレート132は、例えばSi、SiC、SiO、Al等で形成される。
【0024】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0025】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0026】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0027】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0028】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0029】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0030】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0031】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程を基板処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するように基板処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てが基板処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介して基板処理装置1との間で通信してもよい。
【0032】
次に、シャワーヘッド13について、図2から図3を用いて説明する。図2は、第1実施形態に係るシャワーヘッド13の断面図の一例である。図3は、第1実施形態に係るクーリングプレート131を下方から見た底面図の一例である。なお、図3において、冷媒流路200を破線で図示し、ドットのパターンを付して冷媒流路200を明示する。
【0033】
クーリングプレート131の上面131aには、ガス供給口13a(13a1~13a3)が設けられている。また、クーリングプレート131には、クーリングプレート131を板厚方向に貫通する流路であるガス供給流路13b(13b1~13b3)が設けられている。ガス供給流路13b(13b1~13b3)は、ガス供給口13a(13a1~13a3)と凹溝131c(131c1~131c3)とをそれぞれ連通するように形成される。クーリングプレート131の下面131bには、凹溝131c(131c1~131c3)が形成されている。凹溝131cは、例えばクーリングプレート131と同心の円環形状に形成される。図3に示す例において、凹溝131c1は、円環形状の凹溝として形成される。凹溝131c2は、凹溝131c1よりも外周側に配置される円環形状の凹溝として形成される。凹溝131c3は、凹溝131c2よりも外周側に配置される円環形状の凹溝として形成される。
【0034】
なお、凹溝131c(131c1~131c3)の形状は、円環形状に形成されるものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、凹溝131c1は、円形状の凹溝として形成されていてもよい。そして、凹溝131c2は凹溝131c1よりも外周側に配置される円環形状の凹溝として形成されていてもよく、凹溝131c3は凹溝131c2よりも外周側に配置される円環形状の凹溝として形成されていてもよい。
【0035】
クーリングプレート131の下面131bに形成された凹溝131c1と、シャワープレート132の上面とによって、ガス拡散室13c1が形成される。同様に、クーリングプレート131の下面131bに形成された凹溝131c2と、シャワープレート132の上面とによって、ガス拡散室13c2が形成される。また、クーリングプレート131の下面131bに形成された凹溝131c3と、シャワープレート132の上面とによって、ガス拡散室13c3が形成される。
【0036】
このような構成により、ガス供給口13aから供給された処理ガスは、ガス供給流路13bを介してガス拡散室13cに供給される。ガス拡散室13c内で拡散した処理ガスは、ガス導入口13dを介して、プラズマ処理空間10s(図1参照)に吐出される。このような構成により、ガス拡散室13c内で処理ガスの供給圧力を低下させることができる。これにより、クーリングプレート131とシャワープレート132との間において発生する異常放電を抑制することができる。
【0037】
また、クーリングプレート131の下面131bには、シャワープレート132と当接することにより、クーリングプレート131とシャワープレート132とを伝熱させる伝熱面131d(131d1~131d4)を有する。図3に示す例において、伝熱面131d1は、円形状に形成され、凹溝131c1の内側に形成される。伝熱面131d2は、円環形状に形成され、凹溝131c1の外側かつ凹溝131c2の内側に形成される。伝熱面131d3は、円環形状に形成され、凹溝131c2の外側かつ凹溝131c3の内側に形成される。伝熱面131d4は、円環形状に形成され、凹溝131c3の外側に形成される。
【0038】
このような構成により、クーリングプレート131は、伝熱面131d(131d1~131d4)でシャワープレート132と接触し、凹溝131c(131c1~131c3)が形成された領域では、シャワープレート132と接触していない。
【0039】
なお、伝熱面131d(131d1~131d4)の形状は、これに限られるものではない。例えば、凹溝131c1が円形状の凹溝として形成される場合、円形状に形成される伝熱面131d1はなくてもよい。
【0040】
また、伝熱面131d(131d1~131d4)が形成される領域に、クーリングプレート131とシャワープレート132とを締結するためのボルト(図示せず)を挿通するためのボルト穴(図示せず)が形成されていてもよい。これにより、シャワープレート132は、クーリングプレート131に着脱自在に取り付けられる。なお、クーリングプレート131に対するシャワープレート132の取り付け方法は、これに限られるものではない。例えば、シャワープレート132の外周部において、クランプ部材(図示せず)によってクーリングプレート131とシャワープレート132とをクランプする構成であってもよい。
【0041】
さらに換言すれば、クーリングプレート131の下面131bには、クーリングプレート131の中心からクーリングプレート131の外周に向かって、伝熱面131d(131d1~131d4)と凹溝131c(131c1~131c3)とが交互に繰り返して形成されている。
【0042】
また、クーリングプレート131には、ブライン等の冷媒が通流する冷媒流路200が形成されている。冷媒流路200の一端には冷媒供給路201が形成され、冷媒流路200の他端には冷媒排出路202が形成されている。冷媒供給路201は、クーリングプレート131の上面131aからクーリングプレート131の高さ方向に形成され、冷媒流路200の一端に接続する流路である。冷媒排出路202は、クーリングプレート131の上面131aからクーリングプレート131の高さ方向に形成され、冷媒流路200の他端に接続する流路である。冷媒供給路201及び冷媒排出路202は、チラー等の冷媒供給装置(図示せず)に接続される。これにより、冷媒供給装置から冷媒供給路201に供給された冷媒はクーリングプレート131内の冷媒流路200を流れるとともにクーリングプレート131を抜熱し、冷媒排出路202から排出される。
【0043】
ここで、図2に示すように、高さ方向において、冷媒流路200は、クーリングプレート131の伝熱面131dから冷媒流路200の下面までの高さH1が3mm以上20mm以下の範囲に形成されることが好ましい。これにより、冷媒流路200を伝熱面131dに近づけることができる。
【0044】
また、図3に示すように、平面視において、冷媒流路200は、クーリングプレート131の伝熱面131dの近傍に配置される。具体的には、冷媒流路200は、平面視において、冷媒流路200の少なくとも一部が、クーリングプレート131の伝熱面131dの上に配置される。
【0045】
更に、具体的には、冷媒流路200は、図3に示すように、部分冷媒流路211~220を有する。
【0046】
冷媒流路200は、平面視において、伝熱面131d1の外周と凹溝131c1(ガス拡散室13c1)の内周との境界上に沿って配置される部分冷媒流路211を有する。部分冷媒流路211は、平面視において、円弧状に形成され、少なくとも一部が伝熱面131d1上に形成される。
【0047】
冷媒流路200は、平面視において、凹溝131c1(ガス拡散室13c1)の外周と伝熱面131d2の内周との境界上に沿って配置される部分冷媒流路212を有する。部分冷媒流路212は、平面視において、円弧状に形成され、少なくとも一部が伝熱面131d2上に形成される。
【0048】
冷媒流路200は、平面視において、伝熱面131d2の外周と凹溝131c2(ガス拡散室13c2)の内周との境界上に沿って配置される部分冷媒流路213を有する。部分冷媒流路213は、平面視において、円弧状に形成され、少なくとも一部が伝熱面131d2上に形成される。
【0049】
冷媒流路200は、平面視において、凹溝131c2(ガス拡散室13c2)の外周と伝熱面131d3の内周との境界上に沿って配置される部分冷媒流路214を有する。部分冷媒流路214は、平面視において、円弧状に形成され、少なくとも一部が伝熱面131d3上に形成される。
【0050】
冷媒流路200は、平面視において、伝熱面131d3の外周と凹溝131c3(ガス拡散室13c3)の内周との境界上に沿って配置される部分冷媒流路215を有する。部分冷媒流路215は、平面視において、円弧状に形成され、少なくとも一部が伝熱面131d3上に形成される。
【0051】
冷媒流路200は、部分冷媒流路215と部分冷媒流路213とを接続する部分冷媒流路216を有する。また、冷媒流路200は、部分冷媒流路213と部分冷媒流路211とを接続する部分冷媒流路217を有する。また、冷媒流路200は、部分冷媒流路211と部分冷媒流路212とを接続する部分冷媒流路218を有する。また、冷媒流路200は、部分冷媒流路212と部分冷媒流路214とを接続する部分冷媒流路219を有する。また、冷媒流路200は、部分冷媒流路214と冷媒排出路202とを接続する部分冷媒流路220を有する。
【0052】
以上のように、冷媒供給路201から供給された冷媒は、円弧状の部分冷媒流路215、部分冷媒流路216、円弧状の部分冷媒流路213、部分冷媒流路217、円弧状の部分冷媒流路211、部分冷媒流路218、円弧状の部分冷媒流路212、部分冷媒流路219、円弧状の部分冷媒流路214、部分冷媒流路220、の順番で流れ、冷媒排出路202から排出される。
【0053】
換言すれば、冷媒流路200は、円形状の伝熱面131d1を冷却するように近傍に配置された部分冷媒流路211を有する。また、冷媒流路200は、円環形状の伝熱面131d2を冷却するように近傍に配置された部分冷媒流路212,213を有する。また、冷媒流路200は、円環形状の伝熱面131d3を冷却するように近傍に配置された部分冷媒流路214,215を有する。
【0054】
ここで、プラズマ処理空間10s(図1参照)に形成されたプラズマからシャワープレート132に入熱した熱は、クーリングプレート131に入熱する。このため、クーリングプレート131は、上面131a側と比較して下面131b側の温度が高くなる。これにより、クーリングプレート131は、上面131a側と比較して下面131b側の熱膨張が大きくなり、クーリングプレート131に変形(反り)が発生する。このクーリングプレート131の変形によって、クーリングプレート131に保持されるシャワープレート132が割れる等の破損のおそれがある。
【0055】
これに対し、図2及び図3に示すように、クーリングプレート131は、伝熱面131d(131d1~131d4)でシャワープレート132と接触する。つまり、クーリングプレート131は、凹溝131c(131c1~131c3)が形成された領域では、シャワープレート132と接触していない。このように、クーリングプレート131とシャワープレート132との接触を伝熱面131dで制限することにより、クーリングプレート131とシャワープレート132とが全面で接触する構成と比較して、クーリングプレート131の変形(反り)を少なくすることを可能とし、クーリングプレート131に働く荷重を低減することができる。これにより、クーリングプレート131に保持されるシャワープレート132が割れる等の破損を防止又は低減することができる。
【0056】
また、冷媒流路200は、伝熱面131dの近傍に配置される。これにより、伝熱面131dを介してクーリングプレート131に入熱した熱は、冷媒流路200を流れる冷媒によって抜熱される。これにより、クーリングプレート131における上面131a側と下面131b側との温度差を低減して、クーリングプレート131の変形(反り)を抑制することができる。また、クーリングプレート131に保持されるシャワープレート132が割れる等の破損を防止又は低減することができる。
【0057】
次に、他のシャワーヘッド13について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、第2実施形態に係るシャワーヘッド13の断面図の一例である。図5は、第2実施形態に係るクーリングプレート131を下方から見た底面図の一例である。
【0058】
図4及び図5に示すように、冷媒流路200は、伝熱面131dの直上に配置されていてもよい。具体的には、伝熱面131dの直上に配置される冷媒流路200の底面は、凹溝131c(ガス拡散室13c)の天面よりも低い位置に配置されている。換言すれば、クーリングプレート131の伝熱面131dから冷媒流路200の下面までの高さH1が凹溝131cの深さ(クーリングプレート131の伝熱面131dから凹溝131cの天面までの高さ)よりも低く形成されることが好ましい。冷媒流路200を伝熱面131dの直上に配置することで冷却効率を向上させることができる。
【0059】
次に、更に他のシャワーヘッド13について、図6を用いて説明する。図6は、第3実施形態に係るシャワーヘッド13の断面図の一例である。
【0060】
図6に示すように、冷媒流路200の断面形状は、ガス拡散室13cを囲うように断面視して略L字形状に形成されていてもよい。これにより、冷媒流路200の流路断面積を大きくして冷媒の流量を多くして、冷却効率を向上させることができる。
【0061】
以上、プラズマ処理システムの実施形態等について説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0062】
W 基板
1 基板処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
10s プラズマ処理空間
11 基板支持部
13 シャワーヘッド
13a ガス供給口
13b ガス供給流路
13c ガス拡散室
13d ガス導入口(ガス吐出口)
20 ガス供給部
30 電源
40 排気システム
51~53 ガス導入部
131 クーリングプレート
132 シャワープレート
131a 上面
131b 下面
131c 凹溝
131d 伝熱面
200 冷媒流路
201 冷媒供給路
202 冷媒排出路
211~220 部分冷媒流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6