(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152240
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】アナログ-デジタル変換装置及びオフセット補正方法
(51)【国際特許分類】
H03M 1/10 20060101AFI20231005BHJP
H03M 1/12 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H03M1/10 A
H03M1/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082450
(22)【出願日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】111112652
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】507185945
【氏名又は名称】創意電子股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】500262038
【氏名又は名称】台湾積體電路製造股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8, Li-Hsin Rd.6, Hsinchu Science Park, Hsinchu, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】汪 鼎豪
(72)【発明者】
【氏名】ハン,シンハン
【テーマコード(参考)】
5J022
【Fターム(参考)】
5J022AA01
5J022AC04
5J022BA03
5J022CA01
5J022CD01
(57)【要約】
【課題】本発明はアナログ-デジタル変換装置及びオフセット補正方法を提供する。
【解決手段】第1のサンプリング周波数で、入力信号を時間インターリーブ方式で多段の第1の量子化出力に変換するN段の第1のアナログ-デジタル変換器(ADC)と、第2のサンプリング周波数で、入力信号を第2の量子化出力に変換する第2のADCであって、また、第1のサンプリング周波数が第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍である第2のADCと、多段の第1の量子化出力と第2の量子化出力を補正して、多段の第3の量子化出力と第4の量子化出力を生成する補正回路と、第2のサンプリング周波数で多段の第3の量子化出力のうちの1つを第5の量子化出力として出力し、第4の量子化出力から第5の量子化出力を減算して、複数の出力データを生成するデータリカバリ回路と、多段の第3の量子化出力と複数の出力データに基づいて出力信号を生成する出力回路と、を含むアナログ-デジタル変換装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサンプリング周波数を有し、時間インターリーブ方式で入力信号を多段の第1の量子化出力に変換するためのN段(Nは2以上の正の整数である)の第1のアナログ-デジタル変換器(ADC)と、
第2のサンプリング周波数を有し、前記第1のサンプリング周波数が前記第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍であり、前記入力信号を第2の量子化出力に変換するための第2のADCと、
前記多段の第1の量子化出力と前記第2の量子化出力のオフセットを補正して、多段の第3の量子化出力と第4の量子化出力とをそれぞれ生成するための第1の補正回路と、
前記第1の補正回路に結合され、前記第2のサンプリング周波数で前記多段の第3の量子化出力のうちの1つを第5の量子化出力として出力し、且つ、前記第4の量子化出力から前記第5の量子化出力を減算して、複数の出力データを生成するためのデータリカバリ回路と、
前記多段の第3の量子化出力と前記複数の出力データに基づいて出力信号を生成する出力回路と、
を含むアナログ-デジタル変換装置。
【請求項2】
前記第2のADCの連続する2つのサンプリングにおいて、前記第2のADCは、前記N段の第1のADCのうちの第K-1段の第1のADCと実質的に同時にサンプリングしてから、前記N段の第1のADCのうちの第K段の第1のADCと実質的に同時にサンプリングし、ただし、KはN以下の正の整数である請求項1に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項3】
前記アナログ-デジタル変換装置は、時間インターリーブ型アナログ-デジタル変換器として動作し、システムサンプリング周期を有し、前記データリカバリ回路は、
前記多段の第3の量子化出力を受信し、且つ、N個の前記システムサンプリング周期ごとに、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つを前記第5の量子化出力として出力するための選択回路を含み、
前記選択回路が現在出力している第3の量子化出力のサンプリング時間と、前記選択回路が前回出力していた第3の量子化出力のサンプリング時間とは、(N+1)個の前記システムサンプリング周期だけ離れている請求項1に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項4】
前記データリカバリ回路は、
前記選択回路に結合され、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つのオフセットを補正して前記第5の量子化出力を生成するための第2の補正回路を更に含む請求項3に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項5】
前記データリカバリ回路は、
前記選択回路に結合され、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つから、周波数が前記第2のサンプリング周波数と実質的に同じであるクロストーク信号に関連する成分を除去するための第2の補正回路を更に含む請求項3に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項6】
前記データリカバリ回路は、
前記第5の量子化出力を複数の第1のデータに割り当てるための第1のデマルチプレクサと、
前記第4の量子化出力を複数の第2のデータに割り当てるための第2のデマルチプレクサと、
前記複数の第2のデータから前記複数の第1のデータをそれぞれ減算して、前記複数の出力データを生成するための複数の第1の演算回路と、
を含む処理回路を備える請求項1に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項7】
前記複数の第1のデータに対応する複数のサンプリング時間は、それぞれ、前記複数の第2のデータに対応する複数のサンプリング時間と実質的に同じである請求項6に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項8】
前記処理回路は、
前記第1のデマルチプレクサの複数の出力をそれぞれ平均化して前記複数の第1のデータを生成するための複数の第1の平均化フィルタと、
前記第2のデマルチプレクサの複数の出力をそれぞれ平均化して前記複数の第2のデータを生成するための複数の第2の平均化フィルタと、
を更に含む請求項6に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項9】
前記第1の補正回路は、
前記N段の第1のADCにそれぞれ結合される複数の第1のサブ補正回路であって、各々は、前記多段の第1の量子化出力の対応する1つを平均化するための第3の平均化フィルタと、前記多段の第1の量子化出力の前記対応する1つから前記第3の平均化フィルタの出力を減算して、前記多段の第3の量子化出力の対応する1つを生成するための第2の演算回路と、を含む複数の第1のサブ補正回路と、
前記第2のADCに結合される第2のサブ補正回路であって、前記第2の量子化出力を平均化するための第4の平均化フィルタと、前記第2の量子化出力から前記第4の平均化フィルタの出力を減算して、前記第4の量子化出力を生成するための第3の演算回路と、を含む第2のサブ補正回路と、
を備える請求項1に記載のアナログ-デジタル変換装置。
【請求項10】
N段の第1のアナログ-デジタル変換器(ADC)と第2のADCとを含むアナログ-デジタル変換装置に適用されるオフセット補正方法であって、
時間インターリーブ方式で、前記N段(Nは2以上の正の整数である)の第1のADCを用いて、第1のサンプリング周波数に基づいて入力信号を多段の第1の量子化出力に変換するステップと、
前記第2のADCを用いて、第2のサンプリング周波数に基づいて前記入力信号を第2の量子化出力に変換するステップであって、前記第1のサンプリング周波数が前記第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍であるステップと、
前記多段の第1の量子化出力と前記第2の量子化出力のオフセットを補正して、多段の第3の量子化出力と第4の量子化出力をそれぞれ生成するステップと、
前記第2のサンプリング周波数で、前記多段の第3の量子化出力のうちの1つを第5の量子化出力として出力するステップと、
前記第4の量子化出力から前記第5の量子化出力を減算して、複数の出力データを生成するステップと、
前記多段の第3の量子化出力と前記複数の出力データに基づいて出力信号を生成するステップと、
を含むオフセット補正方法。
【請求項11】
前記第2のADCの連続する2つのサンプリングにおいて、前記第2のADCは、前記N段の第1のADCのうちの第K-1段の第1のADCと実質的に同時にサンプリングしてから、前記N段の第1のADCのうちの第K段の第1のADCと実質的に同時にサンプリングし、ただし、KはN以下の正の整数である請求項10に記載のオフセット補正方法。
【請求項12】
前記アナログ-デジタル変換装置は、時間インターリーブ型アナログ-デジタル変換器として動作し、システムサンプリング周期を有し、前記第2のサンプリング周波数で、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つを前記第5の量子化出力として出力するステップは、
N個の前記システムサンプリング周期ごとに、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つを前記第5の量子化出力として出力することを含み、
現在出力している第3の量子化出力のサンプリング時間と、前回出力していた第3の量子化出力のサンプリング時間とは、(N+1)個の前記システムサンプリング周期だけ離れている請求項10に記載のオフセット補正方法。
【請求項13】
N個の前記システムサンプリング周期ごとに、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つを前記第5の量子化出力として出力するステップは、
前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つのオフセットを補正して、前記第5の量子化出力を生成することを含む請求項12に記載のオフセット補正方法。
【請求項14】
N個の前記システムサンプリング周期ごとに、前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つを前記第5の量子化出力として出力するステップは、
前記多段の第3の量子化出力のうちの前記1つから、周波数が前記第2のサンプル周波数と実質的に同じであるクロストーク信号に関連する成分を除去することを含む請求項12に記載のオフセット補正方法。
【請求項15】
前記第4の量子化出力から前記第5の量子化出力を減算して、前記複数の出力データを生成するステップは、
前記第5の量子化出力を複数の第1のデータに割り当てることと、
前記第4の量子化出力を複数の第2のデータに割り当てることと、
前記複数の第2のデータから前記複数の第1のデータをそれぞれ減算して、前記複数の出力データを取得することと、を含む請求項10に記載のオフセット補正方法。
【請求項16】
前記複数の第1のデータに対応する複数のサンプリング時間は、それぞれ、前記複数の第2のデータに対応する複数のサンプリング時間と実質的に同じである請求項15に記載のオフセット補正方法。
【請求項17】
前記第5の量子化出力から形成された複数の信号を割り当ててそれぞれ平均化した後に前記複数の第1のデータを形成し、前記第4の量子化出力から形成された複数の信号を割り当ててそれぞれ平均化した後に前記複数の第2のデータを形成する請求項15に記載のオフセット補正方法。
【請求項18】
前記多段の第1の量子化出力のオフセットを補正するステップは、
前記多段の第1の量子化出力をそれぞれ平均化して、平均化された多段の第1の量子化出力を生成することと、
前記多段の第1の量子化出力から前記平均化された多段の第1の量子化出力をそれぞれ減算して、前記多段の第3の量子化出力を生成することと、
前記第2の量子化出力を平均化して、平均化された第2の量子化出力を生成することと、
前記第2の量子化出力から前記平均化された第2の量子化出力を減算して、前記第4の量子化出力を生成することと、を含む請求項10に記載のオフセット補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アナログ-デジタル変換技術に関し、特にサンプリング結果の失いを防止するアナログ-デジタル変換装置及びオフセット補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログ-デジタル変換器(Analogue to Digital Converter;ADC)は、通信システム、電子機器、及び各種のコンピュータシステムにおいて広く用いられている。プロセス変化(Process Variation)のため、ADCの出力信号は、例えば、0Vの信号がADCに入力される場合、ADCの出力信号が、非0Vに対応するオフセット誤差を含む場合がある。ADCによっては、使用状況や部品のランダム変化によってオフセットの程度が異なり、工場出荷時に一律に補正することが困難であるため、ADCは通常、オフセット自動補正機能を備えている。しかし、ADCのオフセット自動補正機能は、入力されるADCの信号がある特定の周波数を有する場合、ADCのサンプリング結果を誤って消去する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑み、如何にアナログ-デジタル変換器(ADC)のオフセット自動補正機能がADCのサンプリング結果を誤って消去することを回避するかは、業界で解決すべき課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、第1のサンプリング周波数を有し、時間インターリーブ方式で入力信号を多段の第1の量子化出力に変換するためのN段(Nは2以上の正の整数である)の第1のADCと、第2のサンプリング周波数を有し、第1のサンプリング周波数が第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍であり、入力信号を第2の量子化出力に変換するための第2のADCと、多段の第1の量子化出力と第2の量子化出力のオフセットを補正して、多段の第3の量子化出力と第4の量子化出力とをそれぞれ生成するための第1の補正回路と、第1の補正回路に結合され、第2のサンプリング周波数で多段の第3の量子化出力のうちの1つを第5の量子化出力として出力し、且つ、第4の量子化出力から第5の量子化出力を減算して、複数の出力データを生成するためのデータリカバリ回路と、多段の第3の量子化出力と複数の出力データに基づいて出力信号を生成するための出力回路と、を含むアナログ-デジタル変換装置を提供する。
【0005】
本開示は、N段の第1のADCと第2のADCとを含むアナログ-デジタル変換装置に適用されるオフセット補正方法であって、時間インターリーブ方式で、N段(Nは2以上の正の整数である)の第1のADCを用いて、第1のサンプリング周波数に基づいて入力信号を多段の第1の量子化出力に変換するステップと、第2のADCを用いて、第2のサンプリング周波数に基づいて入力信号を第2の量子化出力に変換するステップであって、また、第1のサンプリング周波数が第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍であるステップと、多段の第1の量子化出力と第2の量子化出力のオフセットを補正して、多段の第3の量子化出力と第4の量子化出力をそれぞれ生成するステップと、第2のサンプリング周波数で、多段の第3の量子化出力のうちの1つを第5の量子化出力として出力するステップと、第4の量子化出力から第5の量子化出力を減算して、複数の出力データを生成するステップと、多段の第3の量子化出力と複数の出力データに基づいて出力信号を生成するステップと、を含むオフセット補正方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
上記のアナログ-デジタル変換装置及びオフセット補正方法は、入力信号の周波数が第1のADCのサンプリング周波数の整数倍に等しい場合、サンプリング結果を失うことなく、正確な出力信号を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施例によるアナログ-デジタル変換装置を簡略化した機能ブロック図である。
【
図2】
図1における複数のクロック信号の、いくつかの実施例における波形模式図である。
【
図3】本開示の一実施例による入力信号の信号成分の模式図である。
【
図4】本開示の一実施例による選択回路の動作模式図である。
【
図5】本開示の一実施例による処理回路を簡略化した機能ブロック図である。
【
図6】本開示の一実施例による第1のサブ補正回路を簡略化した機能ブロック図である。
【
図7】本開示の一実施例によるオフセット補正方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施例を関連図面と併せて説明する。図面において、同一の要素符号は、同一又は類似の部品又は方法フローを示す。
【0009】
図1は本開示の一実施例によるアナログ-デジタル変換装置100を簡略化した機能ブロック図である。
図2は
図1における複数のクロック信号の、いくつかの実施例における波形模式図である。
図1及び
図2を同時に参照すると、アナログ-デジタル変換装置100は、多段の第1のアナログ-デジタル変換装置100(ADC)110
0~110
3、第2のADC120、第1の補正回路130、データリカバリ回路140及び出力回路150を含む。第1のADC110
0~110
3は、それぞれ複数の第1のクロック信号CLKA
0~CLKA
3に基づいて入力信号SINをサンプリングし、多段の第1の量子化出力QA
0~QA
3をそれぞれ生成することに用いられる。いくつかの実施例において、アナログ-デジタル変換装置100は、時間スキュー(time-skew)補正回路及び/又はゲイン補正回路をさらに含んでもよい。説明の便宜上、これらの回路は
図1に描かれていない。
【0010】
図2に示すように、第1のクロック信号CLKA
0~CLKA
3は時間インターリーブされた(time-interleaved)信号である。第1のADC110
0~110
3が異なる時間で入力信号SINのサンプリングとアナログ-デジタル変換を行うように、第1のクロック信号CLKA
0~CLKA
3のうちの隣接する両者の間に時間間隔を有する。例えば、第1のクロック信号CLKA
0に基づいて、第1のADC110
0はサンプリング時間TM1でサンプリングすることができる。第1のクロック信号CLKA
1に基づいて、第1のADC110
1はサンプリング時間TM2でサンプリングすることができる。アナログ-デジタル変換装置100が一実施例において時間インターリーブ型アナログ-デジタル変換器として動作するように、第1のADC110
0~110
3は入力信号SINを交互にサンプリングすることに用いられる。一実施例において、サンプリング時間TM1とサンプリング時間TM2との違いは、アナログ-デジタル変換装置100の1つのシステムサンプリング周期TSであり、また、システムサンプリング周期TSの逆数がアナログ-デジタル変換装置100のシステムサンプリング周波数fsであり、すなわち、TS=1/fsである。
【0011】
第1のADC120は、第2のクロック信号CLKBに基づいて入力信号SINをサンプリングして、第2の量子化出力QBを生成することに用いられる。第1のクロック信号CLKA0~CLKA3の周波数は第2のクロック信号CLKBの周波数よりも高く、これにより、第1のADC1100~1103の第1のサンプリング周波数が第2のADC120の第2のサンプリング周波数よりも高くなる。第2のADC120は、第1のADC1100~1103のサンプリング結果の正確度を向上させることに寄与し、詳細な内容について後続でさらに説明する。
【0012】
後続の実施例において、説明の便宜上、第1のサンプリング周波数(又は第1のクロック信号CLKA0~CLKA3の周波数)を500MHzと仮定し、第2のサンプリング周波数(又は第2のクロック信号CLKBの周波数)を400MHzと仮定する。しかしながら、本開示の第1のADC1100~1103の数、第1のサンプリング周波数(又は第1のクロック信号CLKA0~CLKA3の周波数)及び第2のサンプリング周波数(又は第2のクロック信号CLKBの周波数)は、上記及び後続の例示的な実施例に限定されない。いくつかの実施例において、アナログ-デジタル変換装置100がN段の第1のADCを含むとき、第1のサンプリング周波数(又は第1のクロック信号CLKA0~CLKA3の周波数)は第2のサンプリング周波数(又は第2のクロック信号CLKBの周波数)の(N+1)/N倍であり、Nは2以上の正の整数である。換言すれば、第1のサンプリング周波数はfs/Nであり、第2のサンプリング周波数はfs/(N+1)である。
【0013】
第1の補正回路130は、第1のADC1100~1103、第2のADC120、データリカバリ回路140及び出力回路150に結合されている。第1の補正回路130は、第1の量子化出力QA0~QA3のオフセット(offset)を補正して多段の第3の量子化出力QC0~QC3を生成することに用いられ、且つ、第2の量子化出力QBのオフセットを補正して第4の量子化出力QDを生成することに用いられる。第3の量子化出力QC0~QC3はデータリカバリ回路140及び出力回路150に伝送される。第4の量子化出力QDはデータリカバリ回路140に伝送される。
【0014】
詳細には、第1の補正回路130は、第1のADC1100~1103にそれぞれ結合される複数の第1のサブ補正回路1320~1323と、第2のADC120に結合される第2のサブ補正回路134とを含む。第1のサブ補正回路1320~1323は同様に動作し、説明の便宜上、以下、第1のサブ補正回路1320のみを例として説明する。第1のサブ補正回路1320は、第1の量子化出力QA0を平均化して、第1の量子化出力QA0のオフセット補正量を取得することに用いられる。次に、第1のサブ補正回路1320は、第1の量子化出力QA0からそのオフセット補正量を減算して第3の量子化出力QC0を生成する。また、第2のサブ補正回路134は、第2の量子化出力QBを平均化して、第2の量子化出力QBのオフセット補正量を取得することに用いられる。次に、第2のサブ補正回路134は、第2の量子化出力QBからそのオフセット補正量を減算して第4の量子化出力QDを生成する。
【0015】
ある場合では、第1の補正回路130は第1の量子化出力QA
0~QA
3を誤って補正することがある。
図3を参照すると、
図3は本開示の一実施例による入力信号SINの信号成分の模式図である。入力信号SINは周波数が500MHzの目標信号310を含み、アナログ-デジタル変換装置100は理想的には目標信号310に基づいてデジタルの出力信号SOUTを生成することに用いられる。
図3において、サンプリング時間TP1~TP21の隣接する両者の間の間隔は、1つのシステムサンプリング周期TSである。
【0016】
目標信号310の周波数が第1のADC1100~1103の第1のサンプリング周波数と同じ(例えば、いずれも500MHz)であるか、又は目標信号310の周波数が第1のサンプリング周波数の正の整数倍である(例えば、第1のADCがN段を有する場合、目標信号310の周波数はfs×i/Nであり、ここでiは正の整数である)場合、第1のADC1100~1103はそれぞれ目標信号310に対して連続して同じ値をサンプリングする。この場合、第1の補正回路130は、平均演算によりオフセット補正量を取得するため、各オフセット補正量が真のオフセット量と等しいものではなく、対応する第1の量子化出力と同じものになって、これにより、第1の補正回路130は、第1の量子化出力QA0~QA3を誤って補正する。
【0017】
例えば、
図3に示すように、第1のADC110
0が目標信号310をサンプリングするとき、目標信号310はいずれも約0.1Vであり、これにより、第1の量子化出力QA
0は、0.1Vに対応する状態を維持する。これに基づき、第1の補正回路130は、第3の量子化出力QC
0(すなわち補正後の第1の量子化出力QA
0)が0Vに対応するように、第1の量子化出力QA
0のオフセット補正量を0.1Vに対応して算出する。
【0018】
また例えば、第1のADC1101がサンプリングするとき、目標信号310はいずれも約0.9Vであり、これにより、第1の量子化出力QA1は、0.9Vに対応する状態を維持する。これに基づき、第1の補正回路130は、第3の量子化出力QC1(すなわち補正後の第1の量子化出力QA1)が0Vに対応するように、第1の量子化出力QA1のオフセット補正量を0.9Vに対応して算出する。
【0019】
データリカバリ回路140は、第2のADC120の第4の量子化出力QDを用いて誤って補正された第1の量子化出力QA0~QA3をリカバリして(又は第1の量子化出力QA0~QA3として)、出力データDO0~DO3を生成する。出力回路150は、第3の量子化出力QC0~QC3と出力データDO0~DO3に基づいてデジタルの出力信号SOUTを生成することに用いられる。一実施例において、出力回路150は、第3の量子化出力QC0~QC3に、それぞれ出力データDO0~DO3を加算することに用いられる。例えば、第3の量子化出力QC0と出力データDO0の組み合わせは第1のADC1100のサンプリング結果に対応し、第3の量子化出力QC1と出力データDO1の組み合わせは第1のADC1101のサンプリング結果に対応し、その他はこのように類推される。出力回路150は、システムサンプリング周波数fsを有する出力信号SOUTを生成するように、データの組み合わせ演算を継続的に実行してもよい。いくつかの実施例において、出力回路150は、マルチプレクサ回路によって実現されてもよいが、本開示は、これに限定されない。
【0020】
以下、第4の量子化出力QDが第1の量子化出力QA
0~QA
3のリカバリに用いられる原理について説明する。第1のサンプリング周波数を第2のADC120の第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍とすることにより、第2のADC120が第1のADC110
0~110
3と実質的に同じ時間で順次サンプリングするようにし、さらに第2のADC120が第1のADC110
0~110
3のサンプリング結果を取得するようにすることができる。例えば、
図3に示すように、第1のADC110
0及び第2のADC120は、サンプリング時間TP1で同時に0.1Vの目標信号310をサンプリングするので、サンプリング時間TP1の第4の量子化出力QDは、サンプリング時間TP1の第1の量子化出力QA
0をリカバリする(又は第1の量子化出力QA
0とする)ことに用いられてもよい。第1のADC110
1及び第2のADC120は、サンプリング時間TP6で同時に0.9Vの目標信号310をサンプリングするので、サンプリング時間TP6の第4の量子化出力QDは、サンプリング時間TP6の第1の量子化出力QA
1をリカバリする(又は第1の量子化出力QA
1とする)ことに用いられてもよく、その他はこのように類推される。第1のADCがN段を有するいくつかの実施例において、第2のADC120の連続する2つのサンプリングにおいて、第2のADC120は、まずN段の第1のADCのうちの第K-1段の第1のADCと実質的に同時にサンプリングし、その後、第K段の第1のADCと実質的に同時にサンプリングし、ただし、KはN以下の正の整数である。
【0021】
いくつかの実施例において、入力信号SINは、目標信号310とは周波数が異なる他のクロストーク(crosstalk)信号(例えば、クロストーク信号320)も含む。一般的には、これらのクロストーク信号は交流信号であるので、クロストーク信号が第4の量子化出力QDに及ぼす影響は、例えば、
図5における第1の平均化フィルタ530
0~530
3と第2の平均化フィルタ540
0~540
3のように平均化フィルタを直列接続することで除去され得る。例えば、サンプリング時間TP1の第4の量子化出力QDは、平均化フィルタによって処理されてから第1の量子化出力QA
0をリカバリすることに用いられてもよい。また例えば、サンプリング時間TP6の第4の量子化出力QDは、別の平均化フィルタによって処理されてから、第1の量子化出力QA
1をリカバリすることに用いられてもよい。しかし、クロストーク信号320の周波数が100MHzである場合(即ち、第1のADCがN段を有し、且つクロストーク信号320の周波数がfs×j/[N×(N+1)](jは正の整数である)である場合)、第4の量子化出力QDに対するクロストーク信号320の影響は直流信号による影響にある程度近似しているため、平均化フィルタによりクロストーク信号320の成分を第4の量子化出力QDから除去することはできない。
【0022】
例えば、
図3に示すように、第2のADC120はサンプリング時間TP1及びサンプリング時間TP21でサンプリングして第1の量子化出力QA
0をリカバリするとき、クロストーク信号320はいずれも約0.3Vである。したがって、仮にこの2つの第4の量子化出力QDを平均化したとしても、クロストーク信号320の成分は除去されることなく依然として完全に残される。
【0023】
データリカバリ回路140は、上記課題を解決するために使用され得る。データリカバリ回路140は、選択回路142と処理回路144とを含む。データリカバリ回路140は、(例えば選択回路142によって)第2のサンプリング周波数で、第3の量子化出力QQC0~QC3のうちの対応する1つを第5の量子化出力QEとして出力することに用いられる。したがって、第5の量子化出力QEは、第2のサンプリング周波数で入力信号SINをサンプリングした量子化出力として理解することができ、且つ、クロストーク信号320(例えば、100MHz)に関する成分を含むが、目標信号310(例えば、500MHz)に関する成分は、第1の補正回路130によってすでに除去されたことから、含まない。データリカバリ回路140は、更に、第4の量子化出力QDから第5の量子化出力QEを減算して、第4の量子化出力QDにおけるクロストーク信号320(例えば、100MHz)に関する成分を除去するとともに、目標信号310(例えば、500MHz)に関する成分を残して、さらに複数の出力データDO0~DO3を生成することに用いられる。いくつかの実施例において、出力データDO0~DO3は、それぞれ、第1のADC1100~1103という4つのチャネルによる目標信号310(例えば、500MHz)に対するサンプリング結果に対応する。
【0024】
以下、選択回路142及び処理回路144の動作を
図4及び
図5と併せてさらに説明する。
図4を参照すると、
図4は本開示の一実施例による選択回路142の動作模式図である。前述の通り、サンプリング時間TP1~TP21の隣接する両者の間の間隔は、1つのシステムサンプリング周期TSである。選択回路142は第3の量子化出力QC
0~QC
3を受信することに用いられるとともに、4つのシステムサンプリング周期TSごとに(すなわち、第1のADCがN段を有する場合、N個のシステムサンプリング周期TSごとに)第3の量子化出力QC
0~QC
3のうちの1つを第5の量子化出力QEとして出力することに用いられる。
図4に示すように、選択回路142はサンプリング時間TP1の第3の量子化出力QC
0、サンプリング時間TP6の第3の量子化出力QC
1、サンプリング時間TP11の第3の量子化出力QC
2、及びサンプリング時間TP16の第3の量子化出力QC
3を出力する。
【0025】
換言すれば、選択回路142が現在出力している第3の量子化出力のサンプリング時間と、その前回出力していた第3の量子化出力のサンプリング時間とは、5つのシステムサンプリング周期だけ離れている(すなわち、第1のADCがN段を有する場合、N+1個のシステムサンプリング周期TSだけ離れている)。例えば、
図4に示すように、第5の量子化出力QEを形成する複数の第3の量子化出力において、第3の量子化出力QC
1(サンプリング時間TP6)と前回の第3の量子化出力QC
0(サンプリング時間TP1)とは、5個のシステムサンプリング周期だけ離れている。
【0026】
一実施例において、選択回路142は、4個のシステムサンプリング周期TSごとに4つの第3の量子化出力QC0~QC3を記憶するように、ラッチ回路又はランダムアクセスメモリを含んでもよい。選択回路142は、更に、これら4つの第3の量子化出力QC0~QC3のうちの対応する1つを出力するためのマルチプレクサを含んでもよい。
【0027】
また
図1を参照すると、いくつかの実施例において、データリカバリ回路140は第2の補正回路146をさらに含む。第2の補正回路146は選択回路142に結合されるとともに、選択回路142から出力した第3の量子化出力のオフセットを補正して、第5の量子化出力QEを生成することに用いられる。第2の補正回路146の補正原理は前述の第1のサブ補正回路132
0~132
3又は第2のサブ補正回路134と同様であり、説明の便宜上、ここで、再び説明しない。
【0028】
いくつかの実施例において、入力信号SINは、第2のサンプリング周波数を有するクロストーク信号(例えば、
図3には示されていない400MHzのクロストーク信号)を含む。
図4から分かるように、選択回路142の出力は、第2のサンプリング周波数で入力信号SINをサンプリングした量子化出力として理解することができ、これにより、第2のサンプリング周波数のクロストーク信号が、選択回路142の出力に固定値の直流成分を生成させる。したがって、第2の補正回路146は、平均演算によって選択回路142の出力から第2のサンプリング周波数に関するクロストーク信号の成分を除去することに用いられてもよい。いくつかの実施例において、入力信号SINが第2のサンプリング周波数のクロストーク信号を含まない場合、第2の補正回路146は省略することができる。
【0029】
次に、
図5を参照すると、
図5は本開示の一実施例による処理回路144を簡略化した機能ブロック図である。処理回路144は、第1のデマルチプレクサ510、第2のデマルチプレクサ520、複数の第1の平均化フィルタ530
0~530
3、複数の第2の平均フィルム530
0~530
3及び複数の第1の演算回路550
0~550
3を含む。
【0030】
第1のデマルチプレクサ510は、第5の量子化出力QEを受信することに用いられるとともに、第5の量子化出力QEにおけるデータをサンプリング時間に応じて第1のデマルチプレクサ510の複数の出力端X0~X3に順次割り当てることに用いられる。例えば、第1のデマルチプレクサ510は、出力端X0~X3を用いて、
図4のサンプリング時間TP1の第3の量子化出力QC
0、サンプリング時間TP6の第3の量子化出力QC
1、サンプリング時間TP11の第3の量子化出力QC
2、及びサンプリング時間TP16の第3の量子化出力QC
3をそれぞれ出力してもよく、その他はこのように類推される。
【0031】
第1の平均化フィルタ5300~5303は、それぞれ、出力端X0~X3に結合されるとともに、出力端X0~X3の出力信号をそれぞれ平均化して複数の第1のデータDA0~DA3を生成することに用いられる。第1の平均化フィルタ5300~5303は、出力端X0~X3の出力信号から前に言及されていない他の周波数のクロストーク信号の情報を除去することに用いられる。
【0032】
第2のデマルチプレクサ520は、第4の量子化出力QDを受信することに用いられるとともに、第4の量子化出力QDにおけるデータをサンプリング時間に応じて第2のデマルチプレクサ520の複数の出力端Y0~Y3に順次割り当てることに用いられる。例えば、
図3及び
図5を同時に参照すると、第2のデマルチプレクサ520は、出力端Y0~Y3を用いて、サンプリング時間TP1の第4の量子化出力QD、サンプリング時間TP6の第4の量子化出力QD、サンプリング時間TP11の第4の量子化出力QD、及びサンプリング時間TP16の第4の量子化出力QDをそれぞれ出力してもよく、その他はこのように類推される。
【0033】
第2の平均化フィルタ5400~5403は、それぞれ、出力端Y0~Y3に結合されるとともに、出力端Y0~Y3の出力信号をそれぞれ平均化して複数の第2のデータDB0~DB3を生成することに用いられる。第2の平均化フィルタ5400~5403は、出力端Y0~Y3の出力信号から前に言及されていない他の周波数のクロストーク信号の情報を除去することに用いられる。
【0034】
以上のことから、第1のデータDA0~DA3に対応する複数のサンプリング時間(例えばサンプリング時間TP1、TP6、TP11及びTP16)は、それぞれ、第2のデータDB0~DB3に対応する複数のサンプリング時間と実質的に同じである。いくつかの実施例において、第1の平均化フィルタ5300~5303と第2の平均化フィルタ5400~5403は、移動平均フィルタによって実現されてもよい。いくつかの実施例において、入力信号SINが前述の他の周波数のクロストーク信号を含まない場合、第1の平均化フィルタ5300~5303と第2の平均化フィルタ5400~5403は省略してもよく、第1のデマルチプレクサー510の出力端X0~X3は第1のデータDA0~DA3を直接出力してもよく、第2のデマルチプレクサー520の出力端Y0~Y3は第2のデータDB0~DB3を直接出力してもよい。
【0035】
総じて言えば、第1のデータDA0~DA3に含まれる情報はクロストーク信号320に対応する。第2のデータDB0~DB3に含まれる情報は目標信号310及びクロストーク信号320に対応する。目標信号310の周波数は500MHz(又はfs×i/N)であり、クロストーク信号320の周波数は100MHz(又はfs×j/[N×(N+1)])である。
【0036】
第1の演算回路5500~5503は、第2のデータDB0~DB3から第1のデータDA0~DA3をそれぞれ減算して、出力データDO0~DO3をそれぞれ生成することに用いられる。したがって、出力データDO0~DO3における情報は目標信号310にのみ対応する。
【0037】
図6は本開示の一実施例による第1のサブ補正回路132
0を簡略化した機能ブロック図である。第1のサブ補正回路132
0は第3の平均化フィルタ610と第2の演算回路620とを含む。第3の平均化フィルタ610は第1の量子化出力QA
0を平均化することに用いられる。第2の演算回路620は、第1の量子化出力QA
0から第3の平均化フィルタ610の出力(すなわち平均後の第1の量子化出力QA
0、又は第1の量子化出力QA
0のオフセット補正量)を減算して、第3の量子化出力QC
0を生成することに用いられる。この実施例において、他の第1のサブ補正回路132
1~132
3と第2のサブ補正回路134との部品、接続関係及び動作は、いずれも、上記の
図6の第1のサブ補正回路132
0に関する説明に適用され、説明の便宜上、ここで再び説明しない。
【0038】
以上のように、アナログ-デジタル変換装置100は、オフセット補正中に、入力信号SINの周波数が第1のADC110
0~110
3の第1のサンプリング周波数の整数倍に等しいときにサンプリング結果を失うことなく、正確な出力信号SOUTを生成することを保証することができる。アナログ-デジタル変換装置100は、目標信号310の周波数が第1のサンプリング周波数の整数倍でない場合にも適用できることに留意されたい。この場合、第1の補正回路130は、第1の量子化出力QA
0~QA
3を誤って補正しなく、これにより、第4の量子化出力QDと第5の量子化出力QEが実質的に乱数となり、その値が
図5の第1の平均化フィルタ530
0~530
3と第2の平均化フィルタ540
0~540
3によって除去される。したがって、
図5の第1のデータDA0~DA3及び第2のデータDB0~DB3はいずれも0Vに対応することができ、これにより、出力データDO0~DO3は、出力信号SOUTに影響を与えることなく0Vに対応し、出力回路150は、第3の量子化出力QC
0~QC
3のみを用いて正確な出力信号SOUTを生成することに相当する。
【0039】
図7は本開示の一実施例によるオフセット補正方法700のフローチャートである。前述の複数の実施例におけるアナログ-デジタル変換装置100は、オフセット補正方法700を実行することに用いることができる。この明細書に記載の方法のいずれも、フローチャートに示されるものよりも多くのステップ又は少ないステップを含んでもよく、且つ、方法におけるステップは、任意の適切な順序で実行されてもよいことが理解されるべきである。
【0040】
ステップS710において、第1のADC1100~1103は、第1のサンプリング周波数に基づいて、時間インターリーブ方式で入力信号SINを第1の量子化出力QA0~QA3に変換する。
【0041】
ステップS720において、第2のADCは、第2のサンプリング周波数に基づいて、入力信号SINを第2の量子化出力QBに変換し、第1のサンプリング周波数が第2のサンプリング周波数の(N+1)/N倍である。
【0042】
ステップS730において、第1の補正回路130は、第1の量子化出力QA0~QA3のオフセットを補正して第3の量子化出力QC0~QC3を生成するとともに、第2の量子化出力QBのオフセットを補正して第4の量子化出力QDを生成する。
【0043】
ステップS740において、データリカバリ回路140は第2のサンプリング周波数で、第3の量子化出力QC0~QC3のうちの1つを第5の量子化出力QEとして出力する。
【0044】
ステップS750において、データリカバリ回路140は、第4の量子化出力QDから第5の量子化出力QEを減算して、出力データDO0~DO3を生成する。
【0045】
ステップS760において、出力回路150は、第3の量子化出力QC0~QC3と出力データDO0~DO3に基づいて出力信号SOUTを生成する。
【0046】
特定の部品を指すために、特定の用語が、明細書及び特許請求の範囲において使用される。しかしながら、当業者であれば、同一の部品が異なる名詞で呼ばれる場合があることを理解されるべきである。明細書及び特許請求の範囲は、名称の相違で部品を区分するものではなく、部品の機能的相違を基準として区分するものである。明細書及び特許請求の範囲で言及された「含む」は、開放的な用語であるため、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである。なお、「結合」は、ここでは、直接的及び間接的な接続手段のいずれも含む。したがって、第1の部品が第2の部品に結合されることが明細書に記載されている場合、第1の部品は、電気的接続や無線伝送、光学伝送などの信号的接続方式によって、直接的に第2の部品に接続されてもよいか、又は、他の部品や接続手段によって、間接的にこの第2の部品に電気的接続や信号的接続されてもよいことを意味する。
【0047】
ここで用いられる「及び/又は」の表現は、挙げられたもののうちの一つ又は複数の項目の任意の組み合わせを含む。また、明細書で特に言及しない限り、任意の単数の形態の用語は複数の形態の意味を同時に含む。
【0048】
以上は、本開示の好ましい実施例に過ぎず、本開示の範囲又は精神から逸脱しない場合、本開示の構造に様々な修飾及び均等な変更を加えることができる。以上のことから、以下の請求項の範囲内で本開示に対して行われる修飾及び均等な変更は、いずれも本開示がカバーする範囲である。
【符号の説明】
【0049】
100 アナログ-デジタル変換装置
1100~1103 第1のアナログ-デジタル変換器
120 第2のアナログ-デジタル変換器
130 第1の補正回路
1320~1323 第1のサブ補正回路
134 第2のサブ補正回路
140 データリカバリ回路
142 選択回路
144 処理回路
146 第2の補正回路
150 出力回路
CLKA0~CLKA3 第1のクロック信号
CLKB 第2のクロック信号
DO0~DO3 出力データ
QA0~QA3 第1の量子化出力
QB 第2の量子化出力
QC0~QC3 第3の量子化出力
QD 第4の量子化出力
QE 第5の量子化出力
SIN 入力信号
SOUT 出力信号
TS システムサンプリング周期
fs システムサンプリング周波数
TM1,TM2,TP1~TP21 サンプリング時間
310 目標信号
320 クロストーク信号
510 第1のデマルチプレクサ
520 第2のデマルチプレクサ
5300~5303 第1の平均化フィルタ
5400~5403 第2の平均化フィルタ
5500~5503 第1の演算回路
DA0~DA3 第1のデータ
DB0~DB3 第2のデータ
X0~X3,Y0~Y3 出力端
610 第3の平均化フィルタ
620 第2の演算回路
700 オフセット補正方法
S710~S760 ステップ