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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023152527
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20231010BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022062612
(22)【出願日】2022-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 晃一
(72)【発明者】
【氏名】小林 和弘
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC13
5E319AC17
5E319BB20
5E319CC33
5E319CD26
5E319GG03
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】電子部品との接続信頼性を確保しつつ、製造効率の低下を抑制すること。
【解決手段】配線基板は、表面に凹部が形成される第1パッドと、表面に前記第1パッドの凹部よりも深い凹部が形成される第2パッドとを備える配線層と、前記配線層を被覆するとともに、前記第1パッドの凹部まで貫通する第1開口部と、前記第2パッドの凹部まで貫通し前記第1開口部よりも大径の第2開口部とを備える絶縁層と、前記第1開口部及び前記第2開口部の内部を充填して前記絶縁層の上面に延在し、平面視で前記第1開口部及び前記第2開口部と重なる位置に凹部を有する第1金属層と、前記第1金属層に重ねて形成され、一部が前記第1金属層の上面の凹部に格納される第2金属層とを有し、前記第1金属層は、前記絶縁層の上面に延在する部分の厚さが均一である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹部が形成される第1パッドと、表面に前記第1パッドの凹部よりも深い凹部が形成される第2パッドとを備える配線層と、
前記配線層を被覆するとともに、前記第1パッドの凹部まで貫通する第1開口部と、前記第2パッドの凹部まで貫通し前記第1開口部よりも大径の第2開口部とを備える絶縁層と、
前記第1開口部及び前記第2開口部の内部を充填して前記絶縁層の上面に延在し、平面視で前記第1開口部及び前記第2開口部と重なる位置に凹部を有する第1金属層と、
前記第1金属層に重ねて形成され、一部が前記第1金属層の上面の凹部に格納される第2金属層とを有し、
前記第1金属層は、前記絶縁層の上面に延在する部分の厚さが均一であることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第2開口部と重なる位置に形成される凹部は、前記第1開口部と重なる位置に形成される凹部よりも深い
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記第2金属層は、前記第1金属層から遠い側の面が球面状に突出する
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1金属層は、前記第2金属層を形成する金属よりも融点が高い金属から形成される
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1金属層は、銅を含み、
前記第2金属層は、錫を含む
ことを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1金属層と前記第2金属層の間に介在するニッケル層
をさらに有することを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項7】
第1パッド及び第2パッドを備える配線層を形成し、
前記配線層を被覆するとともに、前記第1パッドまで貫通する第1開口部と、前記第2パッドまで貫通し前記第1開口部よりも大径の第2開口部とを備える絶縁層を形成し、
前記第1開口部の底面に露出する前記第1パッドの表面に凹部を形成するとともに、前記第2開口部の底面に露出する前記第2パッドの表面に前記第1パッドの凹部よりも深い凹部を形成し、
金属のめっきにより、前記第1開口部及び前記第2開口部の内部を充填して前記絶縁層の上面に延在し、平面視で前記第1開口部及び前記第2開口部と重なる位置に凹部を有する第1金属層を形成し、
他の金属のめっきにより、前記第1金属層に重ねて第2金属層を形成し、
前記第2金属層を溶融した後に固化する工程を有し、
前記第1金属層を形成する工程は、前記絶縁層の上面に延在する部分の厚さを均一にすることを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体チップが搭載される配線基板には、半導体チップとの接続端子としてバンプが形成されることがある。バンプは、配線基板の導体層に接続する金属の突起であり、導体層を被覆するソルダーレジスト層に設けられる開口部から外方へ突出する。このようなバンプは、例えば異なる2種類の金属のめっきによって形成される2層構造を採ることがある。
【0003】
具体的には、ソルダーレジスト層に設けられる開口部及びその周囲において、例えば銅などの第1金属層のめっきが施され、第1金属層の上層に例えば錫又ははんだなどの第2金属層のめっきが施される。そして、リフロープロセスにより、第2金属層のみを溶融させて固化することにより、表面が球面状のバンプが形成される。すなわち、第1金属層よりも第2金属層の融点が低いため、適切なリフロー温度が設定されることにより、第1金属層を溶融させずに第2金属層のみを溶融させてバンプを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-136652号公報
【特許文献2】特開2013-093404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、配線基板と半導体チップは、複数のバンプを介して接続されることがある。すなわち、例えば電気信号の入出力のための接続端子と、電源電圧の印加のための接続端子とが、別々に設けられることがある。このような場合、接続端子としてのバンプの径がすべて同一であるとは限らず、径が異なるバンプが設けられることがある。具体的には、例えば電気信号の入出力のためのバンプの径は比較的小径である一方、電源電圧の印加のためのバンプの径は比較的大径であるなどのように、小径と大径のバンプが混在する。
【0006】
これらのバンプが上述した2層構造のめっきによって形成されると、小径のバンプよりも大径のバンプの方が高くなる。すなわち、第1金属層及び第2金属層のめっきの工程では、小径及び大径のバンプにおいて同一の厚さのめっきが施されるため、大径のバンプにおける第2金属層の体積の方が小径のバンプにおける第2金属層の体積よりも大きい。そして、これらの第2金属層が溶融されて固化されると、表面が球面状となる。この状態では、大径のバンプの方が小径のバンプよりも高く突出する。
【0007】
このように高さが異なるバンプが混在する場合には、配線基板と半導体チップの接続信頼性が低下する。すなわち、高さが低い小径のバンプでは、バンプ頂部と半導体チップの電極とが十分に接触せずにオープン不良が発生することがある。そこで、小径のバンプに関しては、追加のめっきを施して第2金属層の体積を増加させ、バンプを高くすることにより、大径のバンプと小径のバンプとの高さが揃えられることがある。
【0008】
しかしながら、小径のバンプにのみ第2金属層の追加のめっきを施す場合には、配線基板の製造過程において工程が増加することとなり、コストが増加するとともに、歩留まりが低下するという問題がある。すなわち、小径のバンプにのみ追加のめっきを施す場合には、大径のバンプをマスクするためにレジストのパターニングなどを行った上で、錫又ははんだなどのめっきが行われる。つまり、追加のめっきに伴ってパターニングなどの工程も追加され、配線基板を製造する際の効率が低下する。
【0009】
このような製造効率の低下は、半導体チップを搭載する配線基板のみにおいて発生するものではなく、複数のバンプを介して他の電子部品を搭載する配線基板においても同様に発生し得る。
【0010】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、電子部品との接続信頼性を確保しつつ、製造効率の低下を抑制することができる配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願が開示する配線基板は、1つの態様において、表面に凹部が形成される第1パッドと、表面に前記第1パッドの凹部よりも深い凹部が形成される第2パッドとを備える配線層と、前記配線層を被覆するとともに、前記第1パッドの凹部まで貫通する第1開口部と、前記第2パッドの凹部まで貫通し前記第1開口部よりも大径の第2開口部とを備える絶縁層と、前記第1開口部及び前記第2開口部の内部を充填して前記絶縁層の上面に延在し、平面視で前記第1開口部及び前記第2開口部と重なる位置に凹部を有する第1金属層と、前記第1金属層に重ねて形成され、一部が前記第1金属層の上面の凹部に格納される第2金属層とを有し、前記第1金属層は、前記絶縁層の上面に延在する部分の厚さが均一である。
【発明の効果】
【0012】
本願が開示する配線基板及び配線基板の製造方法の1つの態様によれば、電子部品との接続信頼性を確保しつつ、製造効率の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施の形態に係る配線基板の構成を示す図である。
図2図2は、一実施の形態に係る半導体パッケージの製造方法を示すフロー図である。
図3図3は、コア基板形成の具体例を示す図である。
図4図4は、ビルドアップの具体例を示す図である。
図5図5は、ソルダーレジスト層形成の具体例を示す図である。
図6図6は、端子形成の具体例を示す図である。
図7図7は、半導体チップ搭載の具体例を示す図である。
図8図8は、端子形成工程を示すフロー図である。
図9図9は、ソルダーレジスト層の開口部を示す図である。
図10図10は、シード層形成を説明する図である。
図11図11は、パターニングを説明する図である。
図12図12は、第1金属層形成を説明する図である。
図13図13は、第2金属層形成を説明する図である。
図14図14は、レジスト剥離を説明する図である。
図15図15は、リフローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願が開示する配線基板及び配線基板の製造方法の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、一実施の形態に係る配線基板100の構成を示す図である。図1においては、配線基板100の断面を模式的に示している。図1に示す配線基板100は、例えば半導体チップを搭載する半導体パッケージの基板として利用することが可能である。
【0016】
配線基板100は、積層構造となっており、コア基板110、多層配線構造120及びソルダーレジスト層130、140を有する。以下においては、図1に示すように、ソルダーレジスト層140が最下層であり、ソルダーレジスト層130が最上層であるものとして説明するが、配線基板100は、例えば上下反転して用いられても良く、任意の姿勢で用いられて良い。
【0017】
コア基板110は、板状の絶縁体である基材111の両面に、めっきにより配線層113が形成されたものである。両面の配線層113は、必要に応じてビア112によって接続される。
【0018】
多層配線構造120は、絶縁性の絶縁層121と導電性の配線層122とを備える層が積層されたものである。図1においては、コア基板110の上方の多層配線構造120内に2層が積層され、コア基板110の下方の多層配線構造120内に2層が積層されているが、積層される層の数は1層又は3層以上であっても良い。
【0019】
最上層の配線層122には、それぞれ半導体チップとの接続端子となるバンプ150、160に接続されるパッド123、124が形成される。具体的には、小径のバンプ150に接続される配線層122には、パッド123が形成され、大径のバンプ160に接続される配線層122には、パッド124が形成される。パッド123、124の表面にはそれぞれ凹部が形成され、この凹部においてバンプ150、160が配線層122に接続する。
【0020】
ソルダーレジスト層130は、多層配線構造120の最上層の配線層122を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層130は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。なお、ソルダーレジスト層130は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の非感光性樹脂を用いて形成されても良い。
【0021】
配線基板100のソルダーレジスト層130側は、例えば半導体チップなどの電子部品が搭載される面である。半導体チップが搭載される位置においては、ソルダーレジスト層130に開口部131、132が穿設される。すなわち、ソルダーレジスト層130のバンプ150、160が形成される位置に、開口部131、132が設けられる。開口部131、132の径は異なっており、開口部131よりも開口部132の方が大径である。ソルダーレジスト層130が感光性樹脂を用いて形成される場合には、露光・現像により開口部131、132を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層130が非感光性樹脂を用いて形成される場合には、レーザ加工により開口部131、132を形成することが可能である。
【0022】
開口部131、132の底面には、それぞれパッド123、124が露出し、パッド123、124にバンプ150、160が接続する。すなわち、小径の開口部131には小径のバンプ150が形成されてパッド123に接続し、大径の開口部132には大径のバンプ160が形成されてパッド124に接続する。
【0023】
バンプ150、160は、異なる2種類の金属の2層構造となっている。具体的には、バンプ150は、例えば銅などの第1金属層151と錫などの第2金属層152とを有し、第1金属層151と第2金属層152の接合面には、例えばニッケルの層が介在する。一方、バンプ160も、例えば銅などの第1金属層161と錫などの第2金属層162とを有し、第1金属層161と第2金属層162の接合面には、例えばニッケルの層が介在する。これらのバンプ150、160においては、第1金属層151、161の上面の中央に凹部が形成され、第1金属層151、161の上面の中央が周囲よりも低くなっている。ただし、第1金属層151の凹部は、第1金属層161の凹部よりも浅く容積が小さい。そして、これらの凹部に一部が格納される第2金属層152、162が球面状に上方へ突出している。
【0024】
バンプ150よりもバンプ160の方が大径であるため、第2金属層152よりも第2金属層162の方が体積が大きいが、第1金属層151よりも第1金属層161に形成された凹部の方が容積が大きいため、第2金属層162の方がより多く凹部に格納される。このため、第2金属層162の頂部のソルダーレジスト層130の表面からの高さが低くなる。このため、第2金属層152に比べて体積が大きい第2金属層162が大きく上方へ突出しても、バンプ150の頂部とバンプ160の頂部との高さが等しくなる。そして、例えば半導体チップがバンプ150、160の上方に搭載される場合、バンプ150、160の頂部と半導体チップの電極とが確実に接触し、接続信頼性を向上することができる。
【0025】
ソルダーレジスト層140は、多層配線構造120の最下層の配線層122を被覆し、配線を保護する層である。ソルダーレジスト層140は、例えばアクリル樹脂及びポリイミド樹脂等の絶縁性の感光性樹脂からなる層であり、絶縁層の1つである。なお、ソルダーレジスト層140は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性の非感光性樹脂を用いて形成されても良い。
【0026】
配線基板100のソルダーレジスト層140側は、外部の部品や機器などに接続される面である。外部の部品や機器と電気的に接続する外部接続端子が形成される位置においては、ソルダーレジスト層140に開口部141が穿設され、開口部141から多層配線構造120の配線層122が露出する。開口部141には、例えばはんだボールなどの外部接続端子が形成される。ソルダーレジスト層140が感光性樹脂を用いて形成される場合には、露光・現像により開口部141を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層140が非感光性樹脂を用いて形成される場合には、レーザ加工により開口部141を形成することが可能である。
【0027】
次いで、上記のように構成された配線基板100を有する半導体パッケージの製造方法について、具体的に例を挙げながら、図2のフロー図を参照して説明する。
【0028】
まず、配線基板100の支持部材となるコア基板110が形成される(ステップS101)。具体的には、例えば図3に示すように、板状の絶縁体である基材111に、基材111を貫通するビア112が形成されるとともに、基材111の両面に例えば銅などの金属の配線層113が例えば銅箔又は銅めっきにより形成される。基材111の両面の配線層113は、必要に応じて、例えば銅などの金属のめっきによって形成されたビア112によって接続されている。基材111としては、例えばガラス織布等の補強材にエポキシ樹脂等の絶縁樹脂を含浸させたものを用いることが可能である。補強材としては、ガラス織布の他にも、ガラス不織布、アラミド織布又はアラミド不織布などを用いることができる。また、絶縁樹脂としては、エポキシ樹脂の他にも、ポリイミド樹脂又はシアネート樹脂などを用いることができる。
【0029】
そして、コア基板110の上面及び下面にビルドアップ法によって多層配線構造120が形成される(ステップS102)。具体的には、例えば図4に示すように、コア基板110の上面及び下面に絶縁層121が形成され、絶縁層121の表面に配線層122が形成される。絶縁層121は、例えばエポキシ樹脂又はポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を用いて形成される。また、配線層122は、例えば銅などの金属のめっきによって形成される。
【0030】
コア基板110の配線層113と配線層122との間、又は隣接する層の配線層122の間は、必要に応じて、例えば銅などの金属のめっきによって形成されたビア125によって接続される。絶縁層121及び配線層122は、コア基板110の上面及び下面にそれぞれ複数積層されても良い。最上層の配線層122には、小径のバンプ150が形成される位置にパッド123が形成され、大径のバンプ160が形成される位置にパッド124が形成される。
【0031】
多層配線構造120が形成されると、多層配線構造120の最外層の配線層122がソルダーレジスト層130、140によって被覆される(ステップS103)。例えば、コア基板110の上面に積層された多層配線構造120の最上層の配線層122がソルダーレジスト層130によって被覆され、コア基板110の下面に積層された多層配線構造120の最下層の配線層122がソルダーレジスト層140によって被覆される。
【0032】
そして、例えば図5に示すように、半導体チップが搭載される側のソルダーレジスト層130には、半導体チップとの接続端子が設けられる位置に開口部131、132が穿設される。このとき、例えば半導体チップの電極の種類によって接続端子の大きさが異なるため、開口部131の径と開口部132の径とは異なる。すなわち、例えば電気信号の入出力のための接続端子が形成される開口部131は比較的小径であるのに対し、例えば電源電圧の印加のための接続端子が形成される開口部132は比較的大径である。開口部131、132の底には、多層配線構造120の配線層122に含まれるパッド123、124が露出する。
【0033】
一方、外部の部品や機器と接続される側のソルダーレジスト層140には、外部接続端子が設けられる位置に開口部141が穿設される。開口部141の底には、多層配線構造120の最下層の配線層122が露出する。ソルダーレジスト層130、140として感光性樹脂が用いられる場合には、露光・現像によって開口部131、132、141を形成することが可能である。また、ソルダーレジスト層130、140として非感光性樹脂が用いられる場合には、レーザ加工によって開口部131、132、141を形成することが可能である。
【0034】
そして、ソルダーレジスト層130の開口部131、132に、半導体チップを接続するための接続端子が形成される(ステップS104)。すなわち、例えば図6に示すように、開口部131には小径のバンプ150が形成され、開口部132には大径のバンプ160が形成される。バンプ150、160は、いずれも2層構造であり、第1金属層151、161に重なる第2金属層152、162が球面状に上方へ突出している。第1金属層151、161及び第2金属層152、162は、いずれもめっきによって形成される。
【0035】
第1金属層151は、開口部131及びその周囲に例えば銅めっきを施すことによって形成され、開口部131内を充填するとともにソルダーレジスト層130の上面において開口部131の周囲に延在する。第1金属層151の平面視で開口部131と重なる位置には凹部が形成され、凹部周囲の上面は、ソルダーレジスト層130の上面よりも高い位置に形成される。そして、第1金属層151の上面に、例えばニッケル層を介して錫めっきを施すことによって、第2金属層152が形成される。第2金属層152は、リフロープロセスを経ることにより溶融されて固化し、上方へ球面状に突出する。
【0036】
一方、第1金属層161は、開口部132及びその周囲に例えば銅めっきを施すことによって形成され、開口部132内を充填するとともにソルダーレジスト層130の上面において開口部132の周囲に延在する。第1金属層161の平面視で開口部132と重なる位置には凹部が形成され、凹部周囲の上面は、ソルダーレジスト層130の上面よりも高い位置に形成される。第1金属層161に形成される凹部は、第1金属層151に形成される凹部よりも深く、容積が大きい。そして、第1金属層161の上面に、例えばニッケル層を介して錫めっきを施すことによって、第2金属層162が形成される。第2金属層162は、リフロープロセスを経ることにより溶融されて固化し、上方へ球面状に突出する。
【0037】
第2金属層152、162の一部がそれぞれ第1金属層151、161の凹部に格納されるため、第1金属層151、161に凹部が形成されない場合と比較して、第2金属層152、162の頂部の高さは低くなる。このとき、第1金属層161の凹部の容積が第1金属層151の凹部の容積よりも大きいため、第2金属層152と比較して、第2金属層162がより多く凹部に格納される。結果として、小径のバンプ150の第2金属層152よりも大径のバンプ160の第2金属層162の方が体積が大きくても、ソルダーレジスト層130の上面からバンプ150、160の頂部までの高さは等しくなる。なお、バンプ150、160の形成工程に関しては、後に詳述する。
【0038】
ソルダーレジスト層130側にバンプ150、160が形成されると、ソルダーレジスト層140側には、外部接続端子が形成される(ステップS105)。そして、ソルダーレジスト層130側には半導体チップが搭載され(ステップS106)、バンプ150、160と半導体チップの電極とが接続される。具体的には、例えば図7に示すように、ソルダーレジスト層140の開口部141にはんだボール170などの外部接続端子が形成される。また、半導体チップ200がバンプ150、160の上方に搭載され、半導体チップ200の電極210がバンプ150に接合されるとともに、電極220がバンプ160に接合される。このとき、半導体チップ200の電極210、220に設けられたバンプ210a、220aとバンプ150、160とがリフローにより溶融及び固化される。このため、電極210、220とバンプ150、160との接合部においては、バンプ210a、220aとバンプ150、160とが相互に混じり合って溶融・固化されている。
【0039】
そして、電極210、220とバンプ150、160との接合部は、アンダーフィル樹脂230によって封止され、配線基板100に半導体チップ200が実装された半導体パッケージとなる。なお、上述した外部接続端子を形成する工程と半導体チップを搭載する工程とは順序が逆であっても良い。すなわち、配線基板100に半導体チップ200が搭載された後に、ソルダーレジスト層140の開口部141にはんだボール170などの外部接続端子が形成されても良い。
【0040】
次に、半導体チップ200との接続端子となるバンプ150、160の形成工程について、より具体的に図8に示すフロー図を参照しながら説明する。
【0041】
コア基板110の上面に多層配線構造120が積層されると、多層配線構造120の最上層の配線層122がソルダーレジスト層130によって被覆される。このとき、最上層の配線層122に含まれるパッド123、124もソルダーレジスト層130によって被覆される。ソルダーレジスト層130には、例えば図9に示すように、開口部131、132が穿設される。開口部131の開口径は例えば20~30μm程度であり、深さは13~23μm程度である。また、開口部132の開口径は例えば30~40μm程度であり、深さは開口部131と同じく13~23μm程度である。そして、開口部131、132の底面に露出するパッド123、124には、それぞれ凹部123a、124aが形成される(ステップS201)。
【0042】
具体的には、露光・現像又はレーザ加工によって開口部131、132が形成された後に絶縁樹脂の残渣を除去する後処理工程において、過剰なエッチングを行うことにより、パッド123、124の表面に凹部123a、124aが形成される。すなわち、開口部131、132の底面に露出するパッド123、124がエッチング液に浸漬される時間を長くすることにより、パッド123、124の表面に残留する絶縁樹脂の残渣が除去されるとともに、凹部123a、124aが形成される。このとき、開口部131よりも開口部132が大径であるため、開口部132の底面に露出するパッド124の露出面積は、開口部131の底面に露出するパッド123の露出面積よりも大きく、パッド124の方がより大きく侵食される。この結果、パッド124に形成される凹部124aは、パッド123に形成される凹部123aよりも深くなる。
【0043】
なお、レーザ加工によって開口部131、132が形成される場合には、レーザを過剰に照射することにより、パッド123、124に凹部123a、124aを形成することも可能である。すなわち、ソルダーレジスト層130へのレーザ照射により、開口部131、132が形成された後も、開口部131、132の底面に露出するパッド123、124にレーザ照射を継続することにより、パッド123、124の表面に凹部123a、124aを形成することができる。このとき、パッド123よりもパッド124に対して長時間レーザ照射することにより、凹部124aを凹部123aよりも深くすることができる。
【0044】
ソルダーレジスト層130に開口部131、132が形成され、パッド123、124に凹部123a、124aが形成されると、ソルダーレジスト層130の表面にシード層が形成される(ステップS202)。すなわち、例えば図10に示すように、例えば無電解銅めっき又は銅のスパッタリングなどにより、ソルダーレジスト層130の表面と開口部131、132において露出するパッド123、124との全面にシード層301が形成される。シード層301の厚さは例えば0.40~0.60μm程度であり、例えば浴温34±2℃で15分の無電解銅めっきを施すことによって形成することが可能である。
【0045】
そして、配線基板100の表面に回路パターンを形成するパターニングが行われる(ステップS203)。具体的には、例えば図11に示すように、ドライフィルムレジスト302が配線基板100の表面に貼付された後に回路パターンの露光・現像が行われ、開口部131、132を含む配線部分からドライフィルムレジストが除去される。開口部131の周囲におけるドライフィルムレジスト302の開口径は例えば27~47μm程度であり、開口部132の周囲におけるドライフィルムレジスト302の開口径は例えば60~80μm程度である。また、ドライフィルムレジスト302の厚さは、例えば30~40μm程度である。
【0046】
そして、例えば銅めっきが施されることにより、開口部131、132に第1金属層151、161が形成される(ステップS204)。このとき、例えばポリマー(抑制剤)、ブライトナー(促進剤)及びレベラーを含有する硫酸銅めっき液を用いた銅めっきにより第1金属層151、161を形成することができる。ポリマー(抑制剤)としては、例えばポリエチレングリコール(ポリエーテル化合物)等の非イオン界面活性剤を用いることができ、ブライトナー(促進剤)としては、例えばビス(3-スルホポロビル)ジスルフィド等の有機硫黄系化合物を用いることができる。また、レベラーとしては、例えば四級アミン化合物を用いることができる。
【0047】
上記のような硫酸銅めっき液を用いて、所定の電流密度で所定時間の銅めっきを施すことにより、ドライフィルムレジスト302が除去された領域に銅が析出し、開口部131、132の内部を含む領域に第1金属層151、161が形成される。ここでは、銅めっきを継続する時間を通常よりも短時間とすることにより、例えば図12に示すように、小径の開口部131と大径の開口部132との周囲に析出する銅の厚さが等しくなり、第1金属層151、161のソルダーレジスト層130の上面に延在する部分の厚さが均一になる。同時に、第1金属層151、161のそれぞれ平面視で開口部131、132と重なる位置には、凹部151a、161aが形成される。
【0048】
第1金属層151、161は、それぞれ下方の一部がパッド123、124の凹部123a、124aに格納されるが、上述したように凹部123aより凹部124aの方が深く容積が大きい。このため、凹部123aに格納される第1金属層151の体積よりも凹部124aに格納される第1金属層161の体積の方が大きく、同一時間の銅めっきによって第1金属層151、161が形成されても、凹部151aより凹部161aの方が深く容積が大きくなる。また、第1金属層151、161がパッド123、124の凹部123a、124a内に形成されることにより、アンカー効果によって第1金属層151、161の密着性を向上することができる。このため、最終的に形成されるバンプ150、160が配線基板100から脱落することを防止することができる。
【0049】
銅めっきによる第1金属層151、161が形成された後、例えば錫めっきが施されることにより、開口部131、132に第2金属層152、162が形成される(ステップS205)。このとき、例えば図13に示すように、第1金属層151、161と第2金属層152、162との間にニッケル層303、304を介在させても良い。ニッケル層303、304は、第1金属層151、161の表面に沿って均一の厚さに形成される。ニッケル層303、304を介在させることにより、第1金属層151、161の銅が第2金属層152、162の錫へ溶出したり拡散したりすることを防止することができる。ニッケル層303、304の厚さは例えば1~5μm程度であり、例えば電流密度を1.0ASD、めっき時間を17.2分とする電解ニッケルめっき条件を適用したニッケルめっきを施すことにより形成可能である。なお、第1金属層151、161の銅の溶出及び拡散を防止するためには、第2金属層152、162の金属よりも融点が高いニッケル以外の金属の層を第1金属層151、161と第2金属層152、162との間に介在させても良い。
【0050】
第2金属層152、162の形成では、開口部131、132において均一の厚さのめっきが施される。このため、第2金属層152、162の上面には、第1金属層151、161の上面と同様に凹部152a、162aが形成される。第2金属層152、162の厚さは例えば10~20μm程度であり、例えば電流密度を1.5ASD、めっき時間を23.3分とする電解錫めっき条件を適用した錫めっきを施すことにより形成可能である。第2金属層152、162は、錫以外にも、例えば錫-銀系合金、錫-銀-銅系合金及び錫-ビスマス系合金等の各種はんだ金属を用いて形成されても良い。
【0051】
第2金属層152、162が形成されると、ドライフィルムレジスト302が剥離される(ステップS206)。剥離には、例えば苛性ソーダやアミン系のアルカリ剥離液が用いられる。また、フラッシュエッチングが行われ、めっきが施されていない部分のシード層301が除去される。フラッシュエッチングにおいては、ソルダーレジスト層130の上面において露出する第1金属層151、161の側面にもエッチング液が浸潤し、サイドエッチングが発生する。本実施の形態においては、第1金属層151、161の露出する側面の高さが等しいため、第1金属層151、161のサイドエッチング量が均等になる。結果として、第1金属層151、161がソルダーレジスト層130から脱落する可能性を同等とすることができ、サイドエッチング量を適切に制御することにより、第1金属層151、161双方の脱落を防止することができる。
【0052】
シード層301を除去するフラッシュエッチングにより、例えば図14に示すように、開口部131においては、シード層301、第1金属層151、ニッケル層303及び第2金属層152が積層され、ソルダーレジスト層130の上面から突出する導体部が形成される。また、開口部132においては、シード層301、第1金属層161、ニッケル層304及び第2金属層162が積層され、ソルダーレジスト層130の上面から突出する導体部が形成される。第2金属層152、162の中央には、それぞれ凹部152a、162aが残存する。
【0053】
この状態で、第2金属層152、162を溶融するリフロー温度によるリフローが実行される(ステップS207)。すなわち、高温で第2金属層152、162を溶融させた後、冷却することにより第2金属層152、162を固化させる。このとき、第1金属層151、161を形成する金属(例えば銅)の融点が第2金属層152、162を形成する金属(例えば錫)の融点よりも高いため、第1金属層151、161は溶融せずに第2金属層152、162のみが溶融及び固化する。
【0054】
これにより、例えば図15に示すように、第2金属層152、162の上面が球面状に突出し、バンプ150、160が形成される。ここで、第1金属層151に形成された凹部151aに第2金属層152の一部が格納され、第1金属層161に形成された凹部161aに第2金属層162の一部が格納される。そして、凹部161aの容積が凹部151aの容積よりも大きいため、凹部に格納される体積は第2金属層162の方が大きく、第2金属層152、162の頂部が同じ高さになる。すなわち、同時に1回のめっきによって第2金属層152、162を形成しても、ソルダーレジスト層130の上面からバンプ150、160の頂部までの高さが等しくなる。この結果、半導体チップ200を搭載する際に、バンプ150、160と半導体チップ200の電極210、220とを確実に接触させてオープン不良を回避することができる。また、バンプ150、160のいずれか一方の頂部のみが半導体チップ200によって過剰に押圧されて横方向へ伸張することがなく、隣接するバンプが互いに接触するショート不良を回避することができる。
【0055】
以上のように、本実施の形態によれば、配線基板のソルダーレジスト層の開口部にめっきによってバンプを形成する際、開口部の底面に露出するパッドに開口部の径に応じた凹部を形成し、開口部の径が大きいほど第1金属層に深い凹部が形成されるようにする。これにより、第1金属層に重なる第2金属層を溶融させて固化した場合、開口部の径が大きいほど、第2金属層の一部が第1金属層の凹部に格納される。結果として、複数の開口部の径が異なっていても、ソルダーレジスト層表面から各開口部に形成されるバンプの頂部までの高さを等しくすることができ、配線基板のバンプに接続して搭載される電子部品との接続信頼性を確保することができる。また、バンプの高さを等しくするための追加のめっき等の工程が不要となるため、製造効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0056】
100 配線基板
110 コア基板
111 基材
112、125 ビア
113、122 配線層
120 多層配線構造
121 絶縁層
123、124 パッド
123a、124a 凹部
130、140 ソルダーレジスト層
131、132、141 開口部
150、160 バンプ
151、161 第1金属層
151a、152a、161a、162a 凹部
152、162 第2金属層
170 はんだボール
図1
図2
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