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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153140
(43)【公開日】2023-10-17
(54)【発明の名称】アグリカン結合免疫グロブリン
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20231005BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20231005BHJP
   C07K 16/40 20060101ALI20231005BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20231005BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231005BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20231005BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20231005BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20231005BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20231005BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231005BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20231005BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231005BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/40
C07K16/46
C07K19/00
C12N15/12
C12N15/62 Z
C07K14/47
C12N15/63 Z
A61K39/395 N
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P17/02
A61P19/08
A61P43/00 111
A61K48/00
A61K47/42
A61K47/10
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119575
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2019566695の分割
【原出願日】2018-06-04
(31)【優先権主張番号】62/514,180
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505166225
【氏名又は名称】アブリンクス エン.ヴェー.
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェンゼン,ソーレン
(72)【発明者】
【氏名】ベステ,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンス,ギー
(72)【発明者】
【氏名】ギューリング,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ラデル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】トライキス,ラース
(57)【要約】
【課題】本発明は、アグリカンに特異的に結合する免疫グロブリンに、ことさらには、ポリペプチド、かかるポリペプチドをコードする核酸に;かかるポリペプチドを調製するための方法に;予防、治療または診断目的のための、かかるポリペプチドを含む組成物および特に医薬組成物に関する。
【解決手段】特に、本発明の免疫グロブリンは、アグリカンの活性を阻害する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アグリカンに特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)。
【請求項2】
ヒトアグリカン[配列番号125]に特異的に結合する、請求項1に記載のISV。
【請求項3】
イヌアグリカン(配列番号126)、ウシアグリカン(配列番号127)、ラットアグリカン(配列番号128);ブタ(コア)アグリカン(配列番号129);マウスアグリカン(配列番号130)、ウサギアグリカン(配列番号131);カニクイザルアグリカン(配列番号132)および/またはアカゲザルアグリカン(配列番号133)に特異的に結合する、請求項1または2に記載のISV。
【請求項4】
ニューロカン(配列番号134)および/またはブレビカン(配列番号135)に実質的に結合しない、請求項1~3のいずれか一項に記載のISV。
【請求項5】
アグリカンへの結合について、ニューロカンおよび/またはブレビカンよりも10倍より高い、100倍より高い、好ましくは1000倍より高い選択性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のISV。
【請求項6】
好ましくは、軟骨および/または半月板などの軟骨性組織に結合する、請求項1~4のいずれか一項に記載のISV。
【請求項7】
滑液(SF)中で37℃で、14日間、21日間、1か月間、2か月間またはさらには3か月間などの、少なくとも7日間の安定性を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のISV。
【請求項8】
軟骨保持アッセイにおいて、少なくとも、3、4、5または6RUなどの、少なくとも2RUの軟骨保持を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のISV。
【請求項9】
少なくとも10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、またはさらにはそれを超えるなど、少なくとも5μm、軟骨中へと浸透する、請求項1~8のいずれか一項に記載のISV。
【請求項10】
ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列から本質的になる、請求項1~9のいずれか一項に記載のISV。
【請求項11】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1~10のいずれか一項に記載のISVであって、ここで;
- CDR1が、配列番号24、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37および109からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55および110からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および111からなる群より選択される、
前記ISV。
【請求項12】
アグリカンのG1ドメインに結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載のISV。
【請求項13】
8より大きなpIを有する、請求項12に記載のISV。
【請求項14】
10-2-1未満のKoffを有する、請求項12または13に記載のISV。
【請求項15】
10-6M未満のEC50を有する、請求項12~14のいずれか一項に記載のISV。
【請求項16】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1~15のいずれか一項に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号24、20、もしくは21;または
b)配列番号24のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置2において、Sは、R、F、IもしくはTに変更されている;
- 位置3において、Tは、Iに変更されている;
- 位置5において、Iは、Sに変更されている;
- 位置6において、Iは、S、TもしくはMに変更されている;
- 位置7において、Nは、YもしくはRに変更されている;
- 位置8において、Vは、A、Y、TもしくはGに変更されている;
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または
- 位置10において、Rは、G、KもしくはAに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号42、38、もしくは39;または
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;
- SもしくはNが位置3と位置4との間に挿入される(位置2a、表1.3B);
- 位置3において、Sは、R、W、NもしくはTに変更されている;
- 位置4において、Sは、TもしくはGに変更されている;
- 位置5において、Gは、Sに変更されている;
- 位置6において、Gは、SもしくはRに変更されている;
- 位置7において、Nは、S、TもしくはRに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、DもしくはYに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号60、56もしくは57;または
f)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置1において、Pは、G、R、DもしくはEに変更されているか、または不在である;
- 位置2において、Tは、R、L、PもしくはVに変更されているか、または不在である;
- 位置3において、Tは、M、SもしくはRに変更されているか、または不在である;
- 位置4において、Hは、D、Y、GもしくはTに変更されている;
- 位置5において、Yは、F、V、TもしくはGに変更されている;
- 位置6において、Gは、L、D、S、YもしくはWに変更されている;
- R、T、YもしくはVが、位置6と位置7との間に挿入される(位置6a、表1.3C);
- 位置7において、Gは、PもしくはSに変更されている;
- 位置8において、Vは、G、T、H、R、LもしくはYに変更されている;
- 位置9において、Yは、R、A、S、DもしくはGに変更されている;
- 位置10において、Yは、N、E、G、WもしくはSに変更されている;
- Wが、位置10と位置11との間に挿入される(位置10a、表1.3C);
- 位置11において、Gは、S、KもしくはYに変更されている;
- 位置12において、Pは、EもしくはDに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項17】
- CDR1が、配列番号24、20、21、25、27、29、31、34、35、36、37および109からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42、38、39、43、45、47、49、50、53、54、55および110からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60、56、57、61、63、65、67、71、72、73、74および111からなる群より選択される、
ISVの群より選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載のISV。
【請求項18】
- CDR1が、配列番号24であり、CDR2が、配列番号42であり、およびCDR3が、配列番号60である;
- CDR1が、配列番号20であり、CDR2が、配列番号38であり、およびCDR3が、配列番号56である;
- CDR1が、配列番号21であり、CDR2が、配列番号39であり、およびCDR3が、配列番号57である;
- CDR1が、配列番号25であり、CDR2が、配列番号43であり、およびCDR3が、配列番号61である;
- CDR1が、配列番号27であり、CDR2が、配列番号45であり、およびCDR3が、配列番号63である;
- CDR1が、配列番号29であり、CDR2が、配列番号47であり、およびCDR3が、配列番号65である;
- CDR1が、配列番号31であり、CDR2が、配列番号49であり、およびCDR3が、配列番号67である;
- CDR1が、配列番号34であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号71である;
- CDR1が、配列番号35であり、CDR2が、配列番号53であり、およびCDR3が、配列番号72である;
- CDR1が、配列番号36であり、CDR2が、配列番号54であり、およびCDR3が、配列番号73である;ならびに
- CDR1が、配列番号37であり、CDR2が、配列番号55であり、およびCDR3が、配列番号74である、
ISVの群より選択される、請求項17に記載のISV。
【請求項19】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1~16のいずれか一項に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号24および109;または
b)配列番号24のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置7において、Nは、Sに変更されている;および/または
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号42および110;または
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置1において、Tは、Aに変更されている;
- 位置3において、Sは、Rに変更されている;
- 位置4において、Sは、Tに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、Dに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号60および111;または
f)配列番号60のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置4において、Hは、Rに変更されている;および/または
- 位置8において、Vは、Dに変更されている、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項20】
- CDR1が、配列番号24および109からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42および110からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60および111からなる群より選択される、
ISVの群より選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載のISV。
【請求項21】
エピトープビン1またはエピトープビン4に属する、請求項12~20のいずれか一項に記載のISV。
【請求項22】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項21に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号36;および
b)配列番号36のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置3において、Tは、Sに変更されている;
- 位置6において、Tは、Sに変更されている;
- 位置8において、Tは、Aに変更されている;および/または
- 位置9において、Mは、Vに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号54;および
d)配列番号54のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Aは、Iに変更されている;
- 位置4において、Wは、Rに変更されている;
- 位置7において、Gは、Rに変更されている;および/または
- 位置8において、Tは、Sに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号73;および
f)配列番号73のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Rは、Gに変更されている;
- 位置2において、Pは、RもしくはLに変更されている;
- 位置3において、Rは、LもしくはSに変更されている;
- 位置5において、Yは、Rに変更されている;
- 位置6において、Yは、SもしくはAに変更されている;
- 位置7において、Yは、Tに変更されているか、または不在である;
- 位置8において、Sは、Pに変更されている;
- 位置9において、Lは、HもしくはRに変更されている;
- 位置10において、Yは、PもしくはAに変更されている;
- 位置11において、Sは、AもしくはYに変更されている;
- 位置12において、Yは、Dに変更されている;
- 位置13において、Dは、Fに変更されている;
- 位置14において、Yは、Gに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置14の後、Sが挿入される、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項23】
- CDR1が、配列番号20、29および36からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号38、47および54からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号56、65および73からなる群より選択される、
ISVの群より選択される、請求項22に記載のISV。
【請求項24】
ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1ドメインへの結合を交差ブロッキングする、請求項22または23に記載のISV。
【請求項25】
アグリカンのG1-ドメインのエピトープビン1に結合し、請求項22または23に記載のISVとアグリカンのG1ドメインへの結合について競合する、ISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列。
【請求項26】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項21に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号24;および
b)配列番号24のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置2において、Sは、IもしくはFに変更されている;
- 位置5において、Iは、Sに変更されている;
- 位置6において、Iは、SもしくはMに変更されている;
- 位置7において、Nは、RもしくはYに変更されている;
- 位置8において、Vは、AもしくはYに変更されている;
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または
- 位置10において、Rは、Kに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号42;および
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;
- 位置2と位置3との間にNが挿入される(位置2a、表2.3B);
- 位置7において、Nは、Rに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、Dに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号60;および
f)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Pは、不在である;
- 位置2において、Tは、Rに変更されているか、または不在である;
- 位置3において、Tは、Mに変更されているか、または不在である;
- 位置4において、Hは、DもしくはYに変更されている;
- 位置5において、Yは、FもしくはVに変更されている;
- 位置6において、Gは、LもしくはDに変更されている;
- 位置8において、Vは、GもしくはTに変更されている;
- 位置9において、Yは、Rに変更されている;
- 位置10において、Yは、NもしくはEに変更されている;
- 位置11において、Gは、SもしくはKに変更されている;
- 位置12において、Pは、Eに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項27】
- CDR1が、配列番号24、25および27からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42、43および45からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60、61および63からなる群より選択される、
ISVの群より選択される、請求項26に記載のISV。
【請求項28】
ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1ドメインへの結合を交差ブロッキングする、請求項26または27に記載のISV。
【請求項29】
アグリカンのG1-ドメインのエピトープビン4に結合し、請求項26または27に記載のISVとアグリカンのG1ドメインへの結合について競合する、ISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列。
【請求項30】
配列番号5、1、2、6、8、10、12、16、17、18および19を有するISV、ならびに配列番号5、1、2、6、8、10、12、16、17、18および19のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される、請求項1~29のいずれか一項に記載のISV。
【請求項31】
アグリカンのG1-IGD-G2ドメインに結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載のISV。
【請求項32】
8より大きなpIを有する、請求項31に記載のISV。
【請求項33】
10-2-1未満のKoffを有する、請求項31または32に記載のISV。
【請求項34】
10-6M未満のEC50を有する、請求項31~33のいずれか一項に記載のISV。
【請求項35】
請求項31~34のいずれか一項に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号32、30および23;ならびに
b)配列番号32のアミノ酸配列と3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置2において、Rは、Lに変更されている;
- 位置6において、Sは、Tに変更されている;および/または
- 位置8において、Tは、Aに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号50、41、48および51;ならびに
d)配列番号50のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置7において、Gは、SもしくはRに変更されている;および/または
- 位置8において、Rは、Tに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号68、59、66および69;ならびに
f)配列番号68のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置4において、Rは、VもしくはPに変更されている;
- 位置6において、Aは、Yに変更されている;
- 位置7において、Sは、Tに変更されている;
- 位置8において、Sは、不在である;
- 位置9において、Nは、Pに変更されている;
- 位置10において、Rは、TもしくはLに変更されている;
- 位置11において、Gは、Eに変更されている;および/または
- 位置12において、Lは、TもしくはVに変更されている、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項36】
- CDR1が、配列番号32、30および23からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号50、41、48および51からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号68、59、66および69からなる群より選択される、
ISVの群より選択される、請求項31~35のいずれか一項に記載のISV。
【請求項37】
- CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号68である;
- CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号51であり、およびCDR3が、配列番号69である;
- CDR1が、配列番号30であり、CDR2が、配列番号48であり、およびCDR3が、配列番号66である;ならびに
- CDR1が、配列番号23であり、CDR2が、配列番号41であり、およびCDR3が、配列番号59である、
ISVの群より選択される、請求項36に記載のISV。
【請求項38】
配列番号13、4、11および14を有するISV、ならびに配列番号13、4、11および14のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される、請求項31~37のいずれか一項に記載のISV。
【請求項39】
ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合を交差ブロッキングする、請求項31~38のいずれか一項に記載のISV。
【請求項40】
アグリカンのG1-IGD-G2ドメインに結合し、請求項31~38のいずれか一項に記載のISVとアグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合について競合する、ISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列。
【請求項41】
アグリカンのG2ドメインに結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載のISV。
【請求項42】
8より大きなpIを有する、請求項41に記載のISV。
【請求項43】
10-2-1未満のKoffを有する、請求項41または42に記載のISV。
【請求項44】
10-6M未満のEC50を有する、請求項41~43のいずれか一項に記載のISV。
【請求項45】
請求項41~44のいずれか一項に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号28;および
b)配列番号28のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Gは、Rに変更されている;
- 位置2において、Pは、SもしくはRに変更されている;
- 位置3において、Tは、Iに変更されている;
- 位置5において、Sは、Nに変更されている;
- 位置6において、Rは、N、MもしくはSに変更されている;
- 位置7において、Yは、Rに変更されているか、または不在である;
- 位置8において、Aは、Fに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置10において、Gは、Yに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号46;および
d)配列番号46のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Aは、SもしくはYに変更されている;
- 位置4において、Wは、Lに変更されている;
- 位置5において、Sは、Nに変更されている;
- 位置6において、Sは、不在である;
- 位置7において、Gは、不在である;
- 位置8において、Gは、Aに変更されている;
- 位置9において、Rは、S、DもしくはTに変更されている;および/または
- 位置11において、Yは、NもしくはRに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号64;および
f)配列番号64のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Aは、RもしくはFに変更されている;
- 位置2において、Rは、IもしくはLに変更されている;
- 位置3において、Iは、HもしくはQに変更されている;
- 位置4において、Pは、GもしくはNに変更されている;
- 位置5において、Vは、Sに変更されている;
- 位置6において、Rは、G、NもしくはFに変更されている;
- 位置7において、Tは、R、WもしくはYに変更されている;
- 位置8において、Yは、RもしくはSに変更されているか、または不在である;
- 位置9において、Tは、Sに変更されているか、または不在である;
- 位置10において、Sは、E、Kに変更されているか、または不在である;
- 位置11において、Eは、N、Aに変更されているか、または不在である;
- 位置12において、Wは、Dに変更されているか、または不在である;
- 位置13において、Nは、Dに変更されているか、または不在である;
- 位置14において、Yは、不在である;および/または
- Dおよび/またはNが、配列番号64の位置14の後に付加される、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項46】
- CDR1が、配列番号28、22、26および33からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号46、40、44および52からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号64、58、62および70からなる群より選択される、
ISVの群より選択される、請求項41~45のいずれか一項に記載のISV。
【請求項47】
- CDR1が、配列番号28であり、CDR2が、配列番号46であり、およびCDR3が、配列番号64である;
- CDR1が、配列番号22であり、CDR2が、配列番号40であり、およびCDR3が、配列番号58である;
- CDR1が、配列番号26であり、CDR2が、配列番号44であり、およびCDR3が、配列番号62である;ならびに
- CDR1が、配列番号33であり、CDR2が、配列番号52であり、およびCDR3が、配列番号70である、
ISVの群より選択される、請求項46に記載のISV。
【請求項48】
配列番号9、3、7および15を有するISV、ならびに配列番号9、3、7および15のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される、請求項41~47のいずれか一項に記載のISV。
【請求項49】
ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG2ドメインへの結合を交差ブロッキングする、請求項41~48のいずれか一項に記載のISV。
【請求項50】
アグリカンのG2-ドメインに結合し、アグリカンのG2ドメインへの結合について、請求項41~48のいずれか一項に記載のISVと競合する、ISVドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列。
【請求項51】
配列番号1~19および114~118、ならびに配列番号1~19および114~118のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される、請求項1~50のいずれか一項に記載のISV。
【請求項52】
請求項1~51のいずれか一項に記載の少なくとも1つのISV、および場合によっては第2のISV、場合によっては第3のISV、および場合によっては第4のISVを含む、ポリペプチド。
【請求項53】
請求項1~51のいずれか一項に記載の少なくとも2つのISV、および場合によっては第3のISV、および場合によっては第4のISVを含む、請求項52に記載のポリペプチド。
【請求項54】
少なくとも2つのISVが、同じであっても異なっていてもよい、請求項53に記載のポリペプチド。
【請求項55】
少なくとも2つのISVが、独立して、配列番号1~19および114~118からなる群より選択される、請求項54に記載のポリペプチド。
【請求項56】
少なくとも2つのISVが、配列番号5、6、8および114~117からなる群より選択される、請求項55に記載のポリペプチド。
【請求項57】
少なくとも2つのISVが、配列番号13および118からなる群より選択される、請求項55に記載のポリペプチド。
【請求項58】
少なくとも1つのさらなるISVを含む、請求項52~57のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項59】
少なくとも1つのさらなるISVが、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11に結合する、請求項58に記載のポリペプチド。
【請求項60】
少なくとも1つのさらなるISVが、活性を保持する、請求項58または59に記載のポリペプチド。
【請求項61】
少なくとも1つのさらなるISVが、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11の活性を阻害する、請求項58~60のいずれか一項に記載のポリペプチド
【請求項62】
滑液(SF)中で37℃で、14日間、21日間、1か月間、2か月間またはさらには3か月間などの、少なくとも7日間の安定性を有する、請求項52~61のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項63】
軟骨保持アッセイにおいて、少なくとも、3、4、5または6RUなどの、少なくとも2RUの軟骨保持を有する、請求項52~62のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項64】
少なくとも10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、またはさらにはそれを超えるなど、少なくとも5μm、軟骨中へと浸透する、請求項52~63のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項65】
血清タンパク質結合部分または血清タンパク質をさらに含む、請求項52~64のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項66】
血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合する、請求項65に記載のポリペプチド。
【請求項67】
血清タンパク質結合部分が、血清アルブミンに結合するISVである、請求項65または66に記載のポリペプチド。
【請求項68】
血清アルブミンに結合するISVが、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になり、ここで、CDR1は、SFGMSであり、CDR2は、SISGSGSDTLYADSVKGであり、およびCDR3は、GGSLSRである、請求項67に記載のポリペプチド。
【請求項69】
血清アルブミンに結合するISVが、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb135、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、Alb82-GGGを含む、請求項68に記載のポリペプチド。
【請求項70】
血清タンパク質結合部分が、非抗体ベースのポリペプチドである、請求項65または66に記載のポリペプチド。
【請求項71】
PEGをさらに含む、請求項52~64のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項72】
ISVが、互いに直接連結されているか、または、リンカーを介して連結されている、請求項52~71のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項73】
第1のISVおよび/または第2のISVおよび/または場合によっては第3のISVおよび/または場合によっては第4のISVおよび/または場合によっては血清アルブミンに結合するISVが、リンカーを介して連結されている、請求項52~69のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項74】
リンカーが、5GS、7GS、9GS、10GS、15GS、18GS、20GS、25GS、30GSおよび35GSのリンカーからなる群より選択される、請求項72または73に記載のポリペプチド。
【請求項75】
表E-1および表E-2においてそれぞれ示されるとおりの、標的に結合するISVおよび1つまたは2つのアグリカンに結合するISVを含む、ポリペプチドおよび/またはコンストラクトの群より選択される、請求項52~74のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項76】
請求項1~51のいずれか一項に記載のISVまたは請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチドを含むかまたはこれから本質的になるコンストラクトであって、任意に1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、これらは、任意に1つ以上のペプチド性リンカーを介して連結されている、前記コンストラクト。
【請求項77】
1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位が、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそのフラグメント、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群より選択される、請求項76に記載のコンストラクト。
【請求項78】
請求項1~51のいずれか一項に記載のISV、請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチド、または請求項76または77に記載のコンストラクトをコードする、核酸。
【請求項79】
請求項78に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項80】
請求項78に記載の核酸、または請求項79に記載の発現ベクターを含む、宿主または宿主細胞。
【請求項81】
請求項1~51のいずれか一項に記載のISV、または請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチドを生成するための方法であって、少なくとも以下のステップ:
a)好適な宿主細胞または宿主生物において、または別の好適な発現系において、請求項78に記載の核酸を発現させること;任意に、それに続いて:
b)請求項1~51のいずれか一項に記載のISV、または請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチドを単離および/または精製すること、
を含む、前記方法。
【請求項82】
請求項1~51のいずれか一項に記載の少なくとも1つのISV、請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項76または77に記載のコンストラクト、または請求項78に記載の核酸を含む、組成物。
【請求項83】
医薬組成物である、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
少なくとも1つの薬学的に受入可能なキャリア、希釈剤または賦形剤および/またはアジュバントをさらに含み、および任意に、1つ以上のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物を含む、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
医薬としての使用のための、請求項82~84のいずれか一項に記載の組成物、請求項1~51のいずれか一項に記載のISV、請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項76または77に記載のコンストラクト。
【請求項86】
関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを予防または処置することにおける使用のための、請求項85に記載の組成物、ISV、ポリペプチド、またはコンストラクト。
【請求項87】
関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを予防または処置するための方法であって、それを必要とする対象に、請求項85に記載の少なくとも組成物、ISV、ポリペプチド、または化合物またはコンストラクトのそれを必要とする人物にとっての薬学的活性量を投与することを含む、前記方法。
【請求項88】
軟骨性組織からの化合物の流出を減少させるかおよび/または阻害するための方法であって、請求項52~75のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチド、請求項76または77に記載のコンストラクト、または請求項82~86のいずれか一項に記載の組成物の薬学的活性量を、それを必要とする人物に投与することを含む、前記方法。
【請求項89】
ADAMTS5および/またはMMP13活性を阻害および/またはブロッキングするための方法であって、請求項52~75のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチド、請求項76または77に記載のコンストラクト、または請求項82~86のいずれか一項に記載の組成物の薬学的活性量を、それを必要とする人物に投与することを含む、前記方法。
【請求項90】
関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを処置または予防するための医薬組成物の調製における、請求項1~51のいずれか一項に記載のISV、請求項52~75のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項76または77に記載のコンストラクト、または請求項82~86のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、アグリカンに結合する免疫グロブリンに関し、ことさらには、1つ以上のかかる免疫グロブリン(それぞれ本明細書において「本発明の免疫グロブリン(単数または複数)」、および「本発明のポリペプチド」ともまた称される)を含むかこれらから本質的になるポリペプチドに関する。本発明はまた、かかる免疫グロブリンまたはポリペプチドを含むコンストラクト、ならびにかかる免疫グロブリンまたはポリペプチドをコードする核酸(本明細書において「本発明の核酸(単数または複数)」ともまた称される)に関し;かかる免疫グロブリン、ポリペプチドおよびコンストラクトを調製するための方法に関し;かかる免疫グロブリンまたはポリペプチドを発現しているかまたはこれを発現することができる宿主細胞に関し;かかる免疫グロブリン、ポリペプチド、コンストラクト、核酸および/または宿主細胞を含む組成物、および特に医薬組成物に関し;ならびに特に予防および/または治療目的、例えば本明細書において記述される予防および/または治療目的のための、免疫グロブリン、ポリペプチド、コンストラクト、核酸、宿主細胞および/または組成物の使用に関する。本発明の他の側面、態様、利点および用途は、本明細書におけるさらなる記載から明らかとなるであろう。
【背景技術】
【0002】
背景
変形性関節症は、全世界で最も一般的な身体障害の原因の一つである。3,000万人の米国人がそれを罹患し、最も一般的な関節障害である。2025年までに、合衆国の人口の20%超がそれを罹患すると予測されている。疾患は、全ての関節において起こり得、最も頻繁には膝、股関節(hip)、手指および脊椎において起こる。変形性関節症(OA)は、関節の症状、関節軟骨の欠損に由来する徴候、ならびに骨、腱および筋肉を含む隣接組織の変化の組み合わせにより特徴づけられる、多様な状態のグループとして定義することができる。OAは、進行性の関節軟骨(骨を被覆する軟骨)のびらんにより特徴づけられる。最終的に、当該疾患は、関節軟骨の全体的な破壊、その下にある骨の硬化、骨棘形成などをもたらし、これらは全て、運動の喪失および疼痛をもたらす。疼痛は、OAの最も顕著な症状であり、これは、ことに頻繁に、患者が医学的援助を求める理由である。
【0003】
アグリカンは、関節軟骨における主要なプロテオグリカンである(Kiani et al. 2002 Cell Research 12:19-32)。この分子は、軟骨に過重負荷特性を与える含水ゲル構造を提供するので、関節軟骨の正しい機能において重要である。アグリカンは、軟骨細胞により発現される大きな多モジュール分子(2317アミノ酸)である。そのコアタンパク質は、3つの球状ドメイン(G1、G2およびG3)、ならびにグリコサミノグリカン鎖の付加のためのG2とG3との間の大きな伸展した領域からなる。この伸展した領域は、2つのドメインを含み、その1つはケラタン硫酸鎖(KSドメイン)で、1つはコンドロイチン硫酸鎖(CSドメイン)で置換されている。CSドメインは、それに付加した100~150のグリコサミノグリカン(GAG)鎖を有する。アグリカンは、ヒアルロナンと大きな複合体を形成し、ここで、50~100のアグリカン分子は、G1ドメインおよびリンクタンパク質を介して1つのヒアルロナン分子と相互作用する。水の取り込み(GAG含有量に起因する)により、これらの複合体は、圧縮に耐える可逆的に変形可能なゲルを形成する。関節軟骨の構造、体液保持および機能は、アグリカンのマトリックス含有量、および完全なコアタンパク質に結合したコンドロイチン硫酸の量に関連している。
【0004】
OAは、1)漸進的にドメインG3およびG2を放出し(軟骨の「収縮」をもたらす)、最終的にG1ドメインを放出する、アグリカンの分解、ならびに2)軟骨構造を不可逆的に破壊するコラーゲンの分解、により特徴づけられる。
【0005】
変形性関節症をもたらすリスクファクターとして、加齢、肥満および関節傷害が同定されているが、OAの原因は未知であり、現在、疾患の進行を停止させるかまたは関節を治癒させる薬理学的処置は存在しない。大きな関節については、疼痛のような潜在的な副作用を限定することを補助するために、薬物を関節中に注射することができる。治療の戦略は、第一に、疼痛を軽減すること、および関節の機能を改善することを目的とする。非オピオイド性抗NGF疼痛処置であるファシヌマブは、第II/III相治験の間に、重要な疼痛スコアに改善をもたらすことが示されている。デュロキセチンは、変形性関節症に起因する慢性膝痛の処置について承認され、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)により条件付きで推奨されている。ラネリック酸ストロンチウムは、大きな多施設研究において、症候性の変形性膝関節症を有する患者において、関節腔の幅の減少の速度を著しく低下させるのみならず、プラセボと比較して疼痛スコアを改善することが見出された。しかし、この時点において、生物学的剤であるインターロイキン-1受容体アンタゴニストおよび抗腫瘍壊死因子抗体は、効果的であるとも、変形性関節症の経過を変化させるとも示されていない(Smelter Hochberg 2013 Current Opin. Rheumatol. 25:310)。したがって、多くのかかる治療は無効であるか、および/または副作用を伴う。究極的には、患者は、疼痛を制御することができない場合は、全膝または股関節の置換治療を受けることになる。
【0006】
薬理学的治療は、パラセタモールの経口投与から始まり、これは、NSAIDSまたはCOX-2阻害剤および弱いオピオイドと組み合わされる場合もある。薬物の経口投与の主な欠点は、目的の部位における限定されたバイオアベイラビリティ、ならびに、肝損傷、胃腸(GI)潰瘍、GI出血および便秘などの副作用のリスクである。
【0007】
OAは、限局的な性質を有するので、薬物の関節内投与は、処置を改善するための優れた機会を提供する。しかし、新たに開発された疾患修飾性変形性関節症薬(disease modifying osteoarthritis drug:DMOAD)のほとんどは、関節内に投与された場合であってすら、関節中では短い滞留時間を有する(Edwards 2011 Vet. J. 190:15-21;Larsen et al. 2008 J Pham Sci 97:4622-4654)。治療用タンパク質の関節内(IA)送達は、関節腔からのそれらの迅速なクリアランスおよび軟骨中での保持の不足により限定されてきた。関節における薬物の滑液での滞留時間は、しばしば、24時間未満である。IA注射された薬物の大部分の迅速なクリアランスに起因して、有効濃度を維持するためには頻繁な注射が必要とされるであろう(Owen et al. 1994 Br. J. Clin Pharmacol. 38:349-355)。しかし、頻繁なIA注射は、それらが引き起こし得る疼痛および不快が患者のコンプライアンスに負荷をかけること、ならびに関節の感染症を導くリスクに起因して、望ましくない。
【0008】
Loffredoらは、ヘパリン結合ドメインとの融合による軟骨へのターゲティングされた送達が、インスリン様増殖因子1(IGF-1)のin vivoでの機能を延長させるために十分であるか否かを試験した。ヘパリンは、肥満細胞に存在する。しかし、ヘパリンの天然の役割は未知であるが、それは、抗血栓薬として広く用いられている(Loffredo et al. 2014 Arthritis Rheumatol. 66:1247-1255)。
さらなる軟骨アンカータンパク質(CAP)の必要性は、なお存在している。
【発明の概要】
【0009】
発明の要旨
本発明者らは、治療薬を、薬物を関節中に「アンカリング」して結果として薬物の保持を増大させるが、前記治療薬の有効性を損なわないはずである部分(本明細書においてまた「軟骨アンカータンパク質」または「CAP」として示される)にカップリングすることにより、治療薬の有効性が著しく増大され得るという仮説を立てた。このアンカリングの概念は、毒性および副作用を減少させ、それにより可能な有用な薬物の数を広げることにより、薬物の有効性のみならず、患部の関節に対する操作上の特異性をも増大させる。本発明者らはさらに、アグリカン結合剤は、潜在的にアンカーとして機能し得るが、アグリカンは、重度にグリコシル化され、関節において軟骨が患う多様な障害において分解されるという仮説を立てた。さらに、薬物が臨床に入ることができる前に必要とされる多様な動物モデルにおけるコストおよび大規模な試験を考慮して、かかるアグリカン結合剤は、優先的に広い交差反応性を有するべきであり、例えば、アグリカン結合剤は、多様な種のアグリカンに結合すべきである。
【0010】
多様な巧妙な免疫化、スクリーニングおよび特徴づけの方法を用いて、本発明者らは、関節における長期の保持および活性を可能にする優れた選択性、安定性および/または特異性の特徴を有する多数のアグリカン結合剤を同定することができた。
【0011】
したがって、本発明は、アグリカンに特異的に結合する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)に関し、好ましくは前記ISVは、ヒトアグリカン(配列番号125)に特異的に結合し、および/またはここで、前記ISVは、イヌアグリカン(配列番号126)、ウシアグリカン(配列番号127)、ラットアグリカン(配列番号128)、ブタ(コア)アグリカン(配列番号129)、マウスアグリカン(配列番号130)、ウサギアグリカン(配列番号131)、カニクイザルアグリカン(配列番号132)および/またはアカゲザルアグリカン(配列番号133)に特異的に結合し、さらにより好ましくは、ここで、前記ISVは、ニューロカン(配列番号134)および/またはブレビカン(配列番号135)に実質的に結合しない。
【0012】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、ISVは、アグリカンへの結合について、ニューロカンおよび/またはブレビカンよりも10倍より高い、100倍より高い、好ましくは1000倍より高い選択性を有するか、および/または前記ISVは、好ましくは、軟骨および/または半月板などの軟骨性組織に結合するか、および/または前記ISVは、滑液(SF)中で37℃で、14日間、21日間、1か月間、2か月間またはさらには3か月間などの、少なくとも7日間の安定性を有するか、および/または前記ISVは、軟骨保持アッセイにおいて、少なくとも、3、4、5または6RUなどの、少なくとも2RUの軟骨保持を有するか、および/または前記ISVは、少なくとも10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、またはさらにはそれを超えるなど、少なくとも5μm、軟骨中へと浸透するか、および/または前記ISVは、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列から本質的になる。
【0013】
一側面において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで;CDR1は、配列番号24、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37および109からなる群より選択され;CDR2は、配列番号42、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55および110からなる群より選択され;およびCDR3は、配列番号60、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および111からなる群より選択される。
【0014】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、アグリカンのG1ドメインに結合し、好ましくは前記ISVは、8より大きなpIを有し、および/または前記ISVは、210-2-1未満のKoffを有するか、および/または、前記ISVは、110-6M未満のEC50を有する。
【0015】
一側面において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで;
i)CDR1は、以下からなる群より選択される:a)配列番号24、20、もしくは21;またはb)配列番号24のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、位置2において、Sは、R、F、IもしくはTに変更されている;位置3において、Tは、Iに変更されている;位置5において、Iは、Sに変更されている;位置6において、Iは、S、TもしくはMに変更されている;位置7において、Nは、YもしくはRに変更されている;位置8において、Vは、A、Y、TもしくはGに変更されている;位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または、位置10において、Rは、G、KもしくはAに変更されている;ならびに/あるいは、
ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:c)配列番号42、38、もしくは39;またはd)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1アミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;SもしくはNが位置3と位置4との間に挿入される(位置2a、表1.3B);位置3において、Sは、R、W、NもしくはTに変更されている;位置4において、Sは、TもしくはGに変更されている;位置5において、Gは、Sに変更されている;位置6において、Gは、SもしくはRに変更されている;位置7において、Nは、S、TもしくはRに変更されている;位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または、位置9において、Nは、DもしくはYに変更されている;ならびに/あるいは、
iii)CDR3は、以下からなる群より選択される:e)配列番号60、56もしくは57;またはf)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、位置1において、Pは、G、R、DもしくはEに変更されているか、または不在である;位置2において、Tは、R、L、PもしくはVに変更されているか、または不在である;位置3において、Tは、M、SもしくはRに変更されているか、または不在である;位置4において、Hは、D、Y、GもしくはTに変更されている;位置5において、Yは、F、V、TもしくはGに変更されている;位置6において、Gは、L、D、S、YもしくはWに変更されている;R、T、YもしくはVが、位置6と位置7との間に挿入される(位置6a、表1.3C);位置7において、Gは、PもしくはSに変更されている;位置8において、Vは、G、T、H、R、LもしくはYに変更されている;位置9において、Yは、R、A、S、DもしくはGに変更されている;位置10において、Yは、N、E、G、WもしくはSに変更されている;Wが、位置10と位置11との間に挿入される(位置10a、表1.3C);位置11において、Gは、S、KもしくはYに変更されている;位置12において、Pは、EもしくはDに変更されているか、または不在である;および/または、位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である。
【0016】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号24、20、21、25、27、29、31、34、35、36、37および109からなる群より選択され;CDR2が、配列番号42、38、39、43、45、47、49、50、53、54、55および110からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号60、56、57、61、63、65、67、71、72、73、74および111からなる群より選択される、ISVの群より選択される。
【0017】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、
- CDR1が、配列番号24であり、CDR2が、配列番号42であり、およびCDR3が、配列番号60である;
- CDR1が、配列番号20であり、CDR2が、配列番号38であり、およびCDR3が、配列番号56である;
- CDR1が、配列番号21であり、CDR2が、配列番号39であり、およびCDR3が、配列番号57である;
- CDR1が、配列番号25であり、CDR2が、配列番号43であり、およびCDR3が、配列番号61である;
- CDR1が、配列番号27であり、CDR2が、配列番号45であり、およびCDR3が、配列番号63である;
- CDR1が、配列番号29であり、CDR2が、配列番号47であり、およびCDR3が、配列番号65である;
- CDR1が、配列番号31であり、CDR2が、配列番号49であり、およびCDR3が、配列番号67である;
- CDR1が、配列番号34であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号71である;
- CDR1が、配列番号35であり、CDR2が、配列番号53であり、およびCDR3が、配列番号72である;
- CDR1が、配列番号36であり、CDR2が、配列番号54であり、およびCDR3が、配列番号73である;ならびに
- CDR1が、配列番号37であり、CDR2が、配列番号55であり、およびCDR3が、配列番号74である、
ISVの群より選択される。
【0018】
一側面において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで;
i)CDR1は、以下からなる群より選択される:a)配列番号24および109;またはb)配列番号24のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置7において、Nは、Sに変更されている;および/または位置9において、Vは、Mに変更されている;ならびに/あるいは
ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:c)配列番号42および110;またはd)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、位置1において、Tは、Aに変更されている;位置3において、Sは、Rに変更されている;位置4において、Sは、Tに変更されている;位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または、位置9において、Nは、Dに変更されている;ならびに/あるいは
iii)CDR3は、以下からなる群より選択される:e)配列番号60および111;またはf)配列番号60のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置4において、Hは、Rに変更されている;および/または位置8において、Vは、Dに変更されている。
【0019】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号24および109からなる群より選択され;CDR2が、配列番号42および110からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号60および111からなる群より選択される、ISVの群より選択される。
【0020】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、エピトープビン1またはエピトープビン4に属し、好ましくは前記ISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になり、ここで;
i)CDR1は、以下からなる群より選択される:a)配列番号36;およびb)配列番号36のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置3において、Tは、Sに変更されている;位置6において、Tは、Sに変更されている;位置8において、Tは、Aに変更されている;および/または位置9において、Mは、Vに変更されている;ならびに/あるいは
ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:c)配列番号54;およびd)配列番号54のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置1において、Aは、Iに変更されている;位置4において、Wは、Rに変更されている;位置7において、Gは、Rに変更されている;および/または位置8において、Tは、Sに変更されている;ならびに/あるいは
iii)CDR3は、以下からなる群より選択される:e)配列番号73;およびf)配列番号73のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置1において、Rは、Gに変更されている;位置2において、Pは、RもしくはLに変更されている;位置3において、Rは、LもしくはSに変更されている;位置5において、Yは、Rに変更されている;位置6において、Yは、SもしくはAに変更されている;位置7において、Yは、Tに変更されているか、または不在である;位置8において、Sは、Pに変更されている;位置9において、Lは、HもしくはRに変更されている;位置10において、Yは、PもしくはAに変更されている;位置11において、Sは、AもしくはYに変更されている;位置12において、Yは、Dに変更されている;位置13において、Dは、Fに変更されている;位置14において、Yは、Gに変更されているか、または不在である;および/または位置14の後、Sが挿入される。
【0021】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号20、29および36からなる群より選択され;CDR2が、配列番号38、47および54からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号56、65および73からなる群より選択される、ISVの群より選択される。
【0022】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1ドメインへの結合を交差ブロッキングする。
【0023】
一側面において、本発明は、ISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG1-ドメインのエピトープビン1に結合し、アグリカンのG1ドメインへの結合について本明細書において記載されるようなISVと競合するものに関する。
【0024】
一側面において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで;i)CDR1は、以下からなる群より選択される:a)配列番号24;およびb)配列番号24のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置2において、Sは、IもしくはFに変更されている;位置5において、Iは、Sに変更されている;位置6において、Iは、SもしくはMに変更されている;位置7において、Nは、RもしくはYに変更されている;位置8において、Vは、AもしくはYに変更されている;位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または、位置10において、Rは、Kに変更されている;ならびに/あるいは、ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:c)配列番号42;およびd)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;位置2と位置3との間にNが挿入される(位置2a、表2.3B);位置7において、Nは、Rに変更されている;位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または、位置9において、Nは、Dに変更されている;ならびに/あるいは、iii)CDR3は、以下からなる群より選択される:e)配列番号60;およびf)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置1において、Pは、不在である;位置2において、Tは、Rに変更されているか、または不在である;位置3において、Tは、Mに変更されているか、または不在である;位置4において、Hは、DもしくはYに変更されている;位置5において、Yは、FもしくはVに変更されている;位置6において、Gは、LもしくはDに変更されている;位置8において、Vは、GもしくはTに変更されている;位置9において、Yは、Rに変更されている;位置10において、Yは、NもしくはEに変更されている;位置11において、Gは、SもしくはKに変更されている;位置12において、Pは、Eに変更されているか、または不在である;および/または、位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である;好ましくはCDR1は、配列番号24、25および27からなる群より選択され;CDR2は、配列番号42、43および45からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号60、61および63からなる群より選択され;さらにより好ましくは、ここで、前記ISVは、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1ドメインへの結合を交差ブロッキングする。
【0025】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG1-ドメインのエピトープビン4に結合し、アグリカンのG1ドメインへの結合について本明細書において記載されるようなISVと競合するものに関する。
【0026】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、配列番号5、1、2、6、8、10、12、16、17、18および19を有するISV、ならびに配列番号5、1、2、6、8、10、12、16、17、18および19のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される。
【0027】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインに結合し、好ましくはここで、前記ISVは、8より大きなpIを有し、および/または210-2-1未満のKoffを有し、および/または110-6M未満のEC50を有する。
【0028】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで;i)CDR1は、以下からなる群より選択される:a)配列番号32、30および23;ならびにb)配列番号32のアミノ酸配列と3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置2において、Rは、Lに変更されている;位置6において、Sは、Tに変更されている;および/または、位置8において、Tは、Aに変更されている;ならびに/あるいは、ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:c)配列番号50、41、48および51;ならびにd)配列番号50のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置7において、Gは、SもしくはRに変更されている;および/または位置8において、Rは、Tに変更されている;および/またはiii)CDR3は、以下からなる群より選択される:e)配列番号68、59、66および69;ならびにf)配列番号68のアミノ酸配列と5、4、3、2または1アミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置4において、Rは、VもしくはPに変更されている;位置6において、Aは、Yに変更されている;位置7において、Sは、Tに変更されている;位置8において、Sは、不在である;位置9において、Nは、Pに変更されている;位置10において、Rは、TもしくはLに変更されている;位置11において、Gは、Eに変更されている;および/または位置12において、Lは、TもしくはVに変更されている。好ましくは、ここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号32、30および23からなる群より選択され;CDR2が、配列番号50、41、48および51からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号68、59、66および69からなる群より選択される、ISVの群より選択され、さらにより好ましくは、ここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号68であり;CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号51であり、およびCDR3が、配列番号69である;CDR1が、配列番号30であり、CDR2が、配列番号48であり、およびCDR3が、配列番号66である;ならびにCDR1が、配列番号23であり、CDR2が、配列番号41であり、およびCDR3が、配列番号59である、ISVの群より選択される。
【0029】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、配列番号13、4、11および14を有するISV、ならびに配列番号13、4、11および14のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される。
【0030】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合を交差ブロッキングする。一側面において、本発明は、ISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインに結合し、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合について本明細書において記載されるようなISVと競合する者に関する。
【0031】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、アグリカンのG2ドメインに結合し、好ましくはここで、前記ISVは、8より大きなpIを有し、および/または210-2-1未満のKoffを有し、および/または110-6M未満のEC50を有する。
【0032】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで;i)CDR1は、以下からなる群より選択される:a)配列番号28;およびb)配列番号28のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置1において、Gは、Rに変更されている;位置2において、Pは、SもしくはRに変更されている;位置3において、Tは、Iに変更されている;位置5において、Sは、Nに変更されている;位置6において、Rは、N、MもしくはSに変更されている;位置7において、Yは、Rに変更されているか、または不在である;位置8において、Aは、Fに変更されているか、または不在である;および/または、位置10において、Gは、Yに変更されている;ならびに/あるいは、ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:c)配列番号46;およびd)配列番号46のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置1において、Aは、SもしくはYに変更されている;位置4において、Wは、Lに変更されている;位置5において、Sは、Nに変更されている;位置6において、Sは、不在である;位置7において、Gは、不在である;位置8において、Gは、Aに変更されている;位置9において、Rは、S、DもしくはTに変更されている;および/または位置11において、Yは、NもしくはRに変更されている;ならびに/あるいは、iii)CDR3は、以下からなる群より選択される:e)配列番号64;およびf)配列番号64のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、位置1において、Aは、RもしくはFに変更されている;位置2において、Rは、IもしくはLに変更されている;位置3において、Iは、HもしくはQに変更されている;位置4において、Pは、GもしくはNに変更されている;位置5において、Vは、Sに変更されている;位置6において、Rは、G、NもしくはFに変更されている;位置7において、Tは、R、WもしくはYに変更されている;位置8において、Yは、RもしくはSに変更されているか、または不在である;位置9において、Tは、Sに変更されているか、または不在である;位置10において、Sは、E、Kに変更されているか、または不在である;位置11において、Eは、N、Aに変更されているか、または不在である;位置12において、Wは、Dに変更されているか、または不在である;位置13において、Nは、Dに変更されているか、または不在である;位置14において、Yは、不在である;ならびに/あるいはDおよび/またはNが、配列番号64の位置14の後に付加され;好ましくはここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号28、22、26および33からなる群より選択され;CDR2が、配列番号46、40、44および52からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号64、58、62および70からなる群より選択される、ISVの群より選択され、さらにより好ましくは、ここで、前記ISVは、CDR1が、配列番号28であり、CDR2が、配列番号46であり、およびCDR3が、配列番号64である;CDR1が、配列番号22であり、CDR2が、配列番号40であり、およびCDR3が、配列番号58である;CDR1が、配列番号26であり、CDR2が、配列番号44であり、およびCDR3が、配列番号62である;ならびにCDR1が、配列番号33であり、CDR2が、配列番号52であり、およびCDR3が、配列番号70である、ISVの群より選択される。
【0033】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、配列番号9、3、7および15を有するISV、ならびに配列番号9、3、7および15のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される。
【0034】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG2ドメインへの結合を交差ブロッキングする。一側面において、本発明は、ISV、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG2-ドメインに結合し、アグリカンのG2ドメインへの結合について本明細書において記載されるようなISVと競合するものに関する。
【0035】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVに関し、ここで、前記ISVは、配列番号1~19および114~118、ならびに配列番号1~19および114~118のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される。
【0036】
一側面において、本発明は、少なくとも1つの本明細書において記載されるようなISVを含むポリペプチドに関し、好ましくは前記は、少なくとも2つの本明細書において記載されるようなISVを含み、ここで、前記少なくとも2つのISVは、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、前記少なくとも2つのISVは、独立して、配列番号1~19および114~118からなる群より選択され、より好ましくは、ここで、前記少なくとも2つのISVは、配列番号5、6、8および114~117からなる群より選択され、またはここで、前記少なくとも2つのISVは、配列番号13および118からなる群より選択される。
【0037】
好ましくは、一側面において、本発明のポリペプチドは、少なくとも1つのさらなるISV、例えば治療用ISVを含む。好ましくは、前記少なくとも1つのさらなるISVは、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシン(Matrixin)またはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11に結合し;ここで、前記少なくとも1つのさらなるISV、例えば治療用ISVは、好ましくは活性を保持する。さらにより好ましくは、前記少なくとも1つのさらなるISV、例えば治療用ISVは、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11の活性を阻害する。
【0038】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関し、ここで、前記ポリペプチドは、は、滑液(SF)中で37℃で、14日間、21日間、1か月間、2か月間またはさらには3か月間などの、少なくとも7日間の安定性を有するか、および/または、軟骨保持アッセイにおいて、少なくとも、3、4、5または6RUなどの、少なくとも2RUの軟骨保持を有するか、および/または、少なくとも10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、またはさらにはそれを超えるなど、少なくとも5μm、軟骨中へと浸透する。
【0039】
一側面において、本発明は、血清タンパク質結合部分または血清タンパク質をさらに含む、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関し、好ましくは前記血清タンパク質結合部分は、血清アルブミンに結合する;さらにより好ましくは前記血清タンパク質結合部分は、血清アルブミンに結合するISVである;さらにより好ましくは、前記血清アルブミンに結合するISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になり、ここで、CDR1は、SFGMSであり、CDR2は、SISGSGSDTLYADSVKGであり、およびCDR3は、GGSLSRである;さらにより好ましくは前記血清アルブミンに結合するISVは、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb135、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、Alb82-GGGを含む(表Cを参照)。一側面において、本発明は、血清タンパク質結合部分または血清タンパク質をさらに含む、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関し、ここで、前記血清タンパク質結合部分は、非抗体ベースのポリペプチドである。一側面において、本発明は、PEGをさらに含む、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関する。
【0040】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関し、ここで、前記ISVは、互いに直接連結されているか、または、リンカーを介して連結されている。一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関し、ここで、第1のISVおよび/または第2のISVおよび/または場合によっては第3のISVおよび/または場合によっては第4のISVおよび/または場合によっては前記血清アルブミンに結合するISVは、リンカーを介して連結されている;好ましくは前記リンカーは、5GS、7GS、9GS、10GS、15GS、18GS、20GS、25GS、30GSおよび35GSのリンカーからなる群より選択される(表Dを参照)。
【0041】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなポリペプチドに関し、ここで、前記ポリペプチドは、表E-1および表E-2においてそれぞれ示されるとおりの標的に結合するISV、および示されるとおりの1つまたは2つのアグリカンに結合するISVを含む、ポリペプチドおよび/またはコンストラクトの群より選択される。
【0042】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISV、または本明細書において記載されるようなポリペプチドを含むか、これから本質的になるコンストラクトに関し、これは、任意に1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、これらは、任意に1つ以上のペプチド性リンカーを介して連結されている;好ましくは前記1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそのフラグメント、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群より選択される。
【0043】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISV、本明細書において記載されるようなポリペプチド、または本明細書において記載されるようなコンストラクトをコードする、核酸に関する。
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるような核酸を含む、発現ベクターに関する。
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるような核酸、または本明細書において記載されるような発現ベクターを含む、宿主または宿主細胞に関する。
【0044】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISVまたは本明細書において記載されるようなポリペプチドを生成するための方法に関し、前記方法は、少なくとも以下のステップを含む:a)好適な宿主細胞または宿主生物において、または別の好適な発現系において、本明細書において記載されるような核酸を発現させること;任意に、それに続いて:b)本明細書において記載されるようなISV、または本明細書において記載されるようなポリペプチドを、単離および/または精製すること。
【0045】
一側面において、本発明は、少なくとも1つの本明細書において記載されるようなISV、本明細書において記載されるようなポリペプチド、本明細書において記載されるようなコンストラクト、または本明細書において記載されるような核酸を含む、組成物に関する;好ましくは前記組成物は、医薬組成物であり、これは、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に受入可能なキャリア、希釈剤または賦形剤および/またはアジュバントをさらに含み、および任意に、1つ以上のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物を含む。
【0046】
一側面において、本発明は、医薬としての使用のための、本明細書において記載されるような組成物、本明細書において記載されるようなISV、本明細書において記載されるようなポリペプチド、または本明細書において記載されるようなコンストラクトに関する。好ましくは、本明細書において記載されるような組成物、ISV、ポリペプチドまたはコンストラクトは、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成(Spondyloepimetaphyseal dysplasia)、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを予防または処置することにおける使用のためのものである。
【0047】
一側面において、本発明は、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを予防または処置するための方法に関し、ここで、前記方法は、それを必要とする対象に、少なくとも本明細書において記載されるような組成物、ISV、ポリペプチドまたはコンストラクトのそれを必要とする人物にとっての薬学的活性量を投与することを含む。
【0048】
一側面において、本発明は、軟骨性組織からの化合物、ポリペプチドまたはコンストラクトの流出を減少させるかおよび/または阻害するための方法に関し、ここで前記方法は、本明細書において記載されるような少なくとも1つのポリペプチド、本明細書において記載されるような化合物またはコンストラクト、または本明細書において記載されるような組成物の薬学的活性量を、それを必要とする人物に投与することを含む。
【0049】
一側面において、本発明は、ADAMTS5活性および/またはMMP13活性を阻害および/またはブロッキングするための方法に関し、ここで前記方法は、本明細書において記載されるような少なくとも1つのポリペプチド、本明細書において記載されるようなコンストラクト、または本明細書において記載されるような組成物の薬学的活性量を、それを必要とする人物に投与することを含む。
【0050】
一側面において、本発明は、本明細書において記載されるようなISV、本明細書において記載されるようなポリペプチド、本明細書において記載されるようなコンストラクト、または本明細書において記載されるような組成物の、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを処置または予防するための医薬組成物の調製における使用に関する。
【0051】
ポリペプチドおよび組成物の他の側面、利点、適用および用途は、本明細書におけるさらなる開示から明らかとなるであろう。いくつかの文書が、本明細書のテキスト全体にわたり引用される。本明細書において引用される文書(全ての特許、特許出願、科学刊行物、製造者の仕様書、説明書などを含む)の各々は、上記および下記のいずれにおいても、その全体において本明細書により参考として援用される。本明細書における何であれ、本発明が、先行発明によるかかる開示よりも日付が前であることを主張する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1125I標識ALB26-CAPコンストラクトの注射の2または4週間後のラット関節の切片のオートラジオグラフィー画像の例。注射の2週間後の結果および注射の4週間後の結果の両方について:左パネル:組織学的切片;右パネル:オートラジオグラフィー。
【0053】
図2】代表的なMARG画像。特異的MARG染色は、画像上の黒い粒子として現れ、矢印により示される。
【0054】
図3】抗MMP13-CAPナノボディ(C010100754)または抗ADAMTS5-CAPナノボディ(C010100954)を用いたラットMMTモデルにおけるナノボディによる軟骨分解の阻害。処置は、術後3日にIA注射により開始した。術後42日に病理組織学を行った。医学的および全体的な実質的な軟骨の変性幅ならびに軟骨変性の減少のパーセンテージを決定した。1群あたり20個体の動物を用いた。
【0055】
図4】関節1つ(右膝)あたり400μgのナノボディの単一の関節内注射を受けた変形性関節症ラットおよび健常ラットにおける、ポリペプチドの第1の用量(h)の後の時間に対する血清濃度(ng/mlにおける平均濃度)。ドットは、健常動物における個々の濃度を表し;三角形は、OA動物における個々の濃度を表し;および線は、平均濃度を表す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
特に記載または定義がない限り、使用する全ての用語は、当分野におけるそれらの通常の意味を有し、それらは当業者にとり明らかである。参照として、例えば標準的なハンドブック、例えばSambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd. Ed.) Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、F. Ausubelら(Current protocols in molecular biology, Green Publishing and Wiley Interscience, New York, 1987)、Lewin(Genes II, John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1985)、Oldら(Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering (2nd edition) University of California Press, Berkeley, CA, 1981)、Roittら(Immunology (6th. Ed.) Mosby/Elsevier, Edinburgh, 2001)、Roittら(Roitt's Essential Immunology (10th Ed.) Blackwell Publishing, UK, 2001)、およびJanewayら(Immunobiology (6th Ed.) Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York, 2005)、ならびに本明細書において引用される一般的な背景技術が挙げられる。
【0057】
特に明記しない限り、具体的に詳細に記載しない全ての方法、ステップ、技術および操作は、当業者には明らかであるように、自体公知の方法で実施可能であり、実施された。参照として、例えば標準的なハンドブックおよび本明細書に記載の一般的背景技術、およびその中の引用参照文献、ならびに、例えば以下のレビュー:Presta (Adv. Drug Deliv. Rev. 58 (5-6): 640-56, 2006)、Levin and Weiss (Mol. Biosyst. 2(1): 49-57, 2006)、Irving et al. (J. Immunol. Methods 248(1-2): 31-45, 2001)、Schmitz et al. (Placenta 21 Suppl. A: S106-12, 2000)、Gonzales et al. (Tumour Biol. 26(1): 31-43, 2005)が挙げられ、これらは、親和性成熟や、免疫グロブリンなどのタンパク質の特異性および他の所望の特性を改善するための他の技術などのタンパク質工学の技術を記載する。
【0058】
本明細書で用いられる「配列」という用語(例えば「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変ドメイン配列」、「VHH配列」または「タンパク質配列」などの用語中)は、一般的に、文脈がより限定された解釈を必要としない限り、然るべきアミノ酸配列ならびにそれをコードする核酸またはヌクレオチド配列の両者を包含すると理解すべきである。
【0059】
アミノ酸配列とは、文脈に依存して、単一のアミノ酸または2つ以上のアミノ酸の非分枝状配列を意味するものと解釈される。ヌクレオチド配列とは、3つ以上のヌクレオチドの非分枝状配列を意味するものと解釈される。
【0060】
アミノ酸とは、天然に存在するタンパク質中に共通して見出されるL-アミノ酸である。アミノ酸残基は、標準的な3文字または1文字のアミノ酸コードに従って示されるであろう。例えば、WO 08/020079の48頁における表A-2に参照がなされる。D-アミノ酸を含むアミノ酸配列は、この定義によっては包含されることを意図されない。翻訳後に修飾されるアミノ酸を含む任意のアミノ酸配列は、初めに、修飾された位置、例えばヒドロキシル化またはグリコシル化と共に、この表A-2において示される記号を用いて翻訳されるアミノ酸配列として記載され得るが、これらの修飾は、アミノ酸配列においては明示的には示されない場合もある。連結、架橋およびエンドキャップ、非ペプチジル結合などで修飾された配列として表すことができる任意のペプチドまたはタンパク質は、この定義により包含される。
【0061】
用語「タンパク質」、「ペプチド」、「タンパク質/ペプチド」、および「ポリペプチド」は、本開示全体にわたり交換可能に用いられ、各々は、本開示の目的のためには同じ意味を有する。各々の用語は、2つ以上のアミノ酸の直鎖からなる有機化合物を指す。化合物は、10以上のアミノ酸;25以上のアミノ酸;50以上のアミノ酸;100以上のアミノ酸、200以上のアミノ酸、および300以上ものアミノ酸を有していてもよい。当業者は、ポリペプチドをタンパク質から区別するアミノ酸の数の当該分野において認識されたカットオフ点は存在しないが、ポリペプチドは一般にタンパク質より少ないアミノ酸を含むこと;ポリペプチドは、化学合成または組み換え方法により作製することができること;およびタンパク質は、一般にin vitroまたはin vivoで組み換え方法により作製され、これは全て当該分野において公知のとおりであることを理解するであろう。
【0062】
核酸またはアミノ酸配列は、例えば、それが得られた反応媒体または培養培地と比較し、通常、前記給源または培地中で会合する、別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分もしくは巨大分子、または少なくとも1つの混入物質、不純物もしくは微量成分などの少なくとも1つの他の成分からそれが分離されたとき、「(本質的に)単離された(形態)」と考えられる。特に少なくとも2倍に、特に少なくとも10倍に、より具体的には少なくとも100倍に、また最大で1000倍以上に精製されたとき、核酸またはアミノ酸配列は「(本質的に)単離された」と考えられる。「(本質的に)単離された形態で」ある核酸またはアミノ酸は、好適なクロマトグラフィー技術、例えばポリアクリルアミドゲル電気泳動などの好適な技術を使用することにより決定したときに、好ましくは本質的に均質である。
【0063】
あるヌクレオチド配列またはアミノ配列が、それぞれ、別のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を「含む」か、または「本質的に」別のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列「からなる」といわれるときは、それぞれ、後者のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が、前者のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列に組み込まれていることを意味しうるが、このことはより通常には、それぞれ、前者のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列が、その配列中に、それぞれ、後者の配列と同じヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を有する、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基のストレッチを含むことを一般的に意味し、前者の配列が実際に生成されたまたは得られた方法とは無関係である(例えば、本明細書に記載されるいかなる好適な方法によるものであってもよい)。非限定的な例として、本発明のポリペプチドが、免疫グロブリン単一可変ドメイン(「ISV」)を含むといわれるときは、前記免疫グロブリン単一可変ドメイン配列が、本発明のポリペプチドの配列中に組み込まれていることを意味しうるが、より通常には、本発明のポリペプチドが、その配列中にISVの配列を含むことを一般的に意味し、本発明の前記ポリペプチドが生成されたまたは得られた方法とは無関係である。また、核酸またはヌクレオチド配列が、別のヌクレオチド配列を含むといわれるときは、挙げられている前者の核酸またはヌクレオチド配列は、好ましくは、それが発現産物(例えばポリペプチド)として発現されるとき、後者のヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列が前記発現産物の一部をなす(言い換えると、後者のヌクレオチド配列が、挙げられている前者のより大きな核酸またはヌクレオチド配列と同じ読み枠である)。また、本発明のコンストラクトがポリペプチドまたはISVを含むと言われる場合、これは、前記コンストラクトが、それぞれ少なくとも前記ポリペプチドまたはISVを包含することを意味し得るが、より通常には、このことは、前記コンストラクトが、前記ポリペプチドまたはISVに加えて、基、残基(例えば、アミノ酸残基)、部分および/または結合単位を包含することを意味し、これは、前記ポリペプチドまたはISVが、どのようにして前記基、残基(例えば、アミノ酸残基)、部分および/または結合単位に連結されているかには関係がなく、および前記コンストラクトがどのようにして生成されたかまたは得られたかにも関係がない。
【0064】
「本質的に、~からなる」とは、本発明の方法で使用するISVが、正確に本発明のISVと同じであるか、または、ISVのアミノ末端、カルボキシ末端、またはアミノ末端およびカルボキシ末端の両方に、1~20アミノ酸残基、例えば1~10アミノ酸残基、好ましくは1~6アミノ酸残基、例えば1、2、3、4、5または6アミノ酸残基などの限定された数のアミノ酸残基を有する本発明のISVに対応する。
【0065】
2つ以上のヌクレオチド配列を比較する場合、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列間の「配列同一性」のパーセンテージは、[第2のヌクレオチド配列の対応する部位のヌクレオチドと同一である第1のヌクレオチド配列中のヌクレオチドの数]を、[第1のヌクレオチド配列のヌクレオチドの総数]で除算し、[100%]で乗算することにより算出することができ、第1のヌクレオチド配列と比較し、第2のヌクレオチド配列のヌクレオチドの欠失、挿入、置換または追加は、単一ヌクレオチド(位置)の相違と考えられる。代替的には、2つ以上のヌクレオチド配列間の配列同一性の程度は、例えばNCBIのBlastのv2.0などの配列アラインメント用の公知のコンピューターアルゴリズムを用いて、標準的な設定を用いて算出できる。配列同一性の程度を決定するための他の幾つかの技術、コンピューターアルゴリズムおよび設定は、例えばWO 04/037999、EP 0967284、EP 1085089、WO 00/55318、WO 00/78972、WO 98/49185およびGB 2357768に記載されている。通常、2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」のパーセンテージを上記で概説した算出方法に従って決定する目的には、ヌクレオチド数の最も大きいヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、別のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
【0066】
2つ以上のアミノ酸配列を比較する目的には、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列間の「配列同一性」(本明細書において「アミノ酸同一性」ともまた称される)のパーセンテージは、[第2のアミノ酸配列の対応する位置のアミノ酸残基と同一である第1のアミノ酸配列のアミノ酸残基の数]を、[第1のアミノ酸配列のアミノ酸残基の総数]で除算し、[100%]で乗算することにより算出することができ、第1のアミノ酸配列と比較し、第2のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の欠失、挿入、置換または追加は、単一アミノ酸残基(位置)の相違として、すなわち、本明細書で定義される「アミノ酸相違」と考えられる。代替的には、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を、例えば、ヌクレオチド配列の配列同一性の程度の決定に関して上記したような公知のコンピューターアルゴリズムを用いて、同様に標準的な設定を用いて算出することができる。通常、2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセンテージを上記で概説した算出方法に従って決定する目的には、アミノ酸残基数の最も大きいアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、別のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。
【0067】
また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を決定する際、当業者は、いわゆる「保存的」アミノ酸置換、すなわち、アミノ酸残基が類似する化学構造を有する他のアミノ酸残基により置換され、ポリペプチドの機能、活性または他の生物学的性質にほとんど、または本質的に影響しないアミノ酸置換と一般的に記載することができる置換を考慮し得る。かかる保存的アミノ酸置換は、例えばWO 04/037999、GB 335768、WO 98/49185、WO 00/46383およびWO 01/09300から当分野において周知であり、またかかる置換の(好ましい)タイプおよび/または組合せは、WO 04/037999、または例えばWO 98/49185、ならびにその中のさらなる引用参照文献の該当する教示を基礎として選択することができる。
【0068】
かかる保存的置換は、好ましくは、以下のグループ(a)~(e)中の1つのアミノ酸が、同じグループ内の別のアミノ酸残基により置換される置換である。(a)小さい脂肪族、無極性または低極性残基:Ala、Ser、Thr、ProおよびGly;(b)極性、負荷電残基およびそれらの(非荷電)アミド:Asp、Asn、GluおよびGin;(c)極性、正荷電残基:His、ArgおよびLys;(d)大きい脂肪族、無極性残基:Met、Leu、Ile、Valおよびシステイン;ならびに(e)芳香族残基:Phe、TyrおよびTrp。特に好適な保存的置換は、以下の通りである。AlaからGly、またはSer;ArgからLys;AsnからGln、またはHis;AspからGlu;CysからSer;GlnからAsn;GluからAsp;GlyからAla、またはPro;HisからAsn、またはGln;IleからLeu、またはVal;LeuからIle、またはVal;LysからArg、Gin、またはGlu;MetからLeu、Tyr、またはIle;PheからMeの、Leu、またはTyr;SerからThr;ThrからSer;TrpからTyr;TyrからTrp;および/またはPheからVal、Ile、またはLeu。
【0069】
また、本明細書に記載されるポリペプチドに適用されるいずれかのアミノ酸置換は、例えばSchulzらなどにより開発された、異なる種の相同タンパク質間のアミノ酸変化の頻度分析(Principles of Protein Structure", Springer-Verlag, 1978)、例えばChouおよびFasman により開発された構造形成ポテンシャル分析(Biochemistry 13: 211, 1974;Adv. Enzymol., 47: 45-149, 1978)、Eisenbergら(Proc. Natl. Acad Sci. USA 81: 140-144, 1984)、KyteおよびDoolittle(J. Molec. Biol. 157: 105-132, 1981)またはGoldmanら(Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986)により開発されたタンパク質の疎水性パターン分析に基づいてもよく、これらの全内容を全て本明細書に参照により援用する。ナノボディの一次、二次および三次構造に関する情報は、本明細書の詳細な説明、および上で引用の一般的背景技術に記載されている。また、これに関して、ラマ由来のVHHドメインの結晶構造が、例えばDesmyterら(Nature Structural Biology, 3: 803, 1996)、Spinelliら(Natural Structural Biology, 3: 752-757, 1996)またはDecanniereら(Structure, 7 (4): 361, 1999)に開示されている。従来公知のVドメインにおいて、V/Vのインターフェースを形成する幾つかのアミノ酸残基およびそれらの位置における可能なラクダ化置換に関する詳しい情報が、上で引用の従来技術文献に存在する。
【0070】
アミノ酸配列および核酸配列は、それらが全長において100%の配列同一性(本明細書で定義される)を有する場合、「完全に同じ」であるものとする。
【0071】
2つのアミノ酸配列を比較するとき、「アミノ酸(単数または複数)の相違」という用語は、第1の配列内のある位置において、第2の配列と比較し、単一アミノ酸残基が挿入、欠失または置換されていることを指し、すなわち、2つのアミノ酸配列が、1つ、2つもしくはそれ以上のかかるアミノ酸の相違を含みうることが理解される。ことさらには、本発明のアミノ酸配列および/またはポリペプチドにおいて、用語「アミノ酸の相違(単数または複数)」は、b)、d)またはf)において特定されるCDR配列の位置における、それぞれa)、c)またはe)のCDR配列と比較した、単一のアミノ酸残基の挿入、欠失または置換を指す;b)、d)およびf)のCDR配列は、それぞれa)、c)またはe)のCDR配列と比較して、1、2、3、4または最大5つのかかるアミノ酸の相違を含んでもよいことが理解されている。
【0072】
「アミノ酸の相違(単数または複数)」は、1、2、3、4または最大5つの置換、欠失、挿入またはそれらのいかなる組み合わせであってもよいが、それは本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドの特性を改善するか、または少なくとも、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドの所望の特性、または所望の特性のバランスもしくは組合せを損なわないものである。この点、結果として得られる本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドは少なくとも、1、2、3、4または最大5つの置換、欠失または挿入を有さない、1つ以上のCDR配列を含むポリペプチドと比較し、親和性を表面プラスモン共鳴(SPR)で測定した場合に、同じ、ほぼ同じ、またはより高い親和性で、アグリカンと結合すべきものである。
【0073】
このことに関して、b)、d)および/またはf)によるCDRのアミノ酸配列は、それ自体公知の親和性成熟の1つ以上の技術を用いる親和性成熟により、それぞれa)、c)および/またはe)によるアミノ酸配列から誘導されるアミノ酸配列であってよい。
【0074】
例えば、また本発明のポリペプチドの発現に用いる宿主生物に応じて、翻訳後修飾のための1つ以上の部位(例えば1つ以上のグリコシル化部位)を除去するように、かかる欠失および/または置換を設計でき、それは当業者の技量の範囲内である。
【0075】
本明細書にて用いられている「ナノボディファミリー」、「VHHファミリー」または「ファミリー」とは、同一の長さを有する(すなわち、それらの配列中に同数のアミノ酸を有する)一群のナノボディおよび/またはVHH配列であって、(Kabat番号づけに従い)位置8から位置106間のアミノ酸配列が89%以上のアミノ酸配列同一性を有する配列を指す。
【0076】
交換可能に用いられる用語「エピトープ」および「抗原決定基」は、免疫グロブリン、通常の抗体、ISVおよび/または本発明に係るポリペプチドなどの抗原結合性分子により、より具体的には前記分子の抗原結合部位により認識される、ポリペプチドまたはタンパク質などの大分子中の部分のことを指す。エピトープは、免疫グロブリンのための最小限の結合部位を定め、それにより免疫グロブリンの特異的な標的を表す。
エピトープを認識する抗原結合性分子(例えば本発明の免疫グロブリン、通常抗体、ISVおよび/またはポリペプチド)の部分は、「パラトープ」と呼ばれる。
【0077】
特定のエピトープ、抗原、またはタンパク質(またはその少なくとも一部、断片もしくはエピトープ)と「結合する」ことができるか、「特異的に結合する」ことができるか、「親和性を有する」か、および/または「特異性を有する」アミノ酸配列(例えばISV、抗体、本発明のポリペプチド、または一般に抗原に結合するタンパク質もしくはポリペプチドもしくはそれらのフラグメント)は、前記エピトープ、抗原またはタンパク質「に対する」または「を標的とする」と言われ、またはかかるエピトープ、抗原またはタンパク質に対する「結合」分子であるか、または「抗」エピトープ、「抗」抗原または「抗」タンパク質(例えば「抗」アグリカン)であると言われる。
【0078】
親和性は、分子相互作用の強度または安定性を表す。親和性は、一般に、Kまたは解離定数として示され、これは、モル/リットル(またはM)の単位を有する。親和性はまた、会合定数、Kとして表すこともでき、これは、1/Kに等しく、(モル/リットル)-1(またはM-1)の単位を有する。本明細書において、2つの分子の間の相互作用の安定性は、主に、それらの相互作用のK値により表されるであろう;関係K=1/Kを考慮して、分子相互作用の強度をそのK値により特定することは、対応するK値を計算するためにも用いることができることは、当業者には明らかである。K値は、分子相互作用の強度を、熱力学的な意味においてもまた特徴づける。なぜならば、それは、周知の関係DG=RT.ln(K)(同等にDG=-RT.ln(K))による結合の自由エネルギー(DG)の変化に関係するからであり、ここで、Rは、気体定数に等しく、Tは、絶対温度に等しく、lnは、自然対数を表す。
有意義(例えば特異的)であるとみなされる生物学的相互作用についてのKは、典型的には、10-12M(0.001nM)~10-5M(10000nM)の範囲である。相互作用が強力であるほど、そのKは弱い。
【0079】
はまた、koffとして表される複合体の解離速度定数の、konとして表されるその会合の速度に対する比としても表すことができる(したがって、K=koff/konおよびK=kon/koff)。オフ速度koffは、単位s-1を有する(ここで、sは、秒のSI単位表示法である)。オン速度konは、単位M-1-1を有する。オン速度は、10-1-1~約10-1-1で変化し得、二分子相互作用についての拡散により限定される会合速度定数に近づく。オフ速度は、関係t1/2=ln(2)/koffにより、所与の分子相互作用の半減期に関係する。オフ速度は、10-6-1(複数の日にわたるt1/2を有する不可逆的な複合体に近い)~1s-1(t1/2=0.69s)で変化し得る。
【0080】
ISVDなどの抗原結合タンパク質の抗原または抗原決定基への特異的結合は、それ自体公知の任意の好適な様式において決定することができ、これは、例えば、飽和結合アッセイおよび/または競合的結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA)およびサンドウィッチ競合アッセイ、および当該分野においてそれ自体公知のこれらの様々なバリアント;ならびに本明細書において記述される他の技術を含む。
【0081】
2つの分子の間の分子相互作用の親和性は、それ自体公知の様々な技術、例えば、周知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサー技術(例えば、Ober et al. 2001, Intern. Immunology 13: 1551-1559を参照)を介して測定することができ、ここで、一方の分子をバイオセンサーチップ上に固定して、他方の分子を、kon、koff、ひいてはK(またはK)値の測定を得られるフロー条件下において、固定された分子の上を通過させる。これは、例えば、周知のBIACORE(登録商標)装置(Pharmacia Biosensor AB, Uppsala, Sweden)を用いて行うことができる。Kinetic Exclusionアッセイ(KINEXA(登録商標))(Drake et al. 2004, Analytical Biochemistry 328: 35-43)は、結合パートナーの標識を行うことなく、溶液中の結合イベントを測定し、複合体の解離を動力学的に排除することに基づく。溶液中での親和性分析はまた、自動化生体分析および迅速な試料のターンアラウンドのためのプラットフォームを提供する(Fraley et al. 2013, Bioanalysis 5: 1765-74)GYROLAB(登録商標)イムノアッセイ系、たはELISAを用いて行うことができる。
【0082】
測定プロセスが何らかの形で、例えば一方の分子のバイオセンサー上でのコーティングに関連するアーチファクトにより、示唆される分子の固有の結合親和性に影響を及ぼす場合、測定されたKが、見かけのKに対応し得ることは、当業者には明らかであろう。また、一方の分子が、他方の分子に対する1つより多くの認識部位を含む場合見かけのKが、測定され得る。かかる状況においては、測定された親和性は、2つの分子による相互作用のアビディティにより、影響を及ぼされ得る。特に、Kの正確な測定は、非常に労働集約的であり得、したがって、しばしば、見かけのK値が、2つの分子の結合強度を評価するために決定される。全ての測定が一貫した方法において(例えばアッセイ条件を普遍に保って)なされる限り、見かけのK測定を、真のKの近似として用いることができることに注意すべきであり、したがって、本文書において、Kおよび見かけのKは、等しい重要性または関連性をもって扱われるべきである。
【0083】
「特異性」という用語は、特定の抗原結合性分子または抗原結合性タンパク質(例えば本発明のISVDおよび/またはポリペプチド)分子が結合できる、様々なタイプの抗原または抗原決定基の数のことを指す。抗原結合性タンパク質の特異性は、例えば、WO 08/020079号(本明細書において参考として援用される)の53~56頁に記載されるように、親和性および/またはアビディティに基づいて決定することができ、また同文献は、(本発明のポリペプチドまたはISVDなどの)抗原結合性分子と該当する抗原との間の結合を測定するための幾つかの好ましい技術を記載している。典型的には、抗原結合性タンパク質(例えば本発明のISVDおよび/またはポリペプチド)は、10-5~10-12mol/L以下、好ましくは10-7~10-12mol/L以下、より好ましくは10-8~10-12mol/Lの解離定数(K)で(すなわち、10~1012L/mol以上、好ましくは10~1012L/mol以上、より好ましくは10~1012L/molの会合定数(K)により)それらの抗原と結合する。10-4mol/L超のいかなるK値(または10-1リットル/molより低いいかなるK値)は一般的に、非特異的結合を示すものとして考えられる。好ましくは、本発明の一価のISVDは、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満(例えば10~5nMの間、またはそれ以下)、例えば500pM未満、例えば10~5pMまたは5pM未満などの親和性で所望の抗原と結合する。WO 08/020079号の53~56頁のパラグラフn)についてもまた参照がなされる。
【0084】
ISVおよび/またはポリペプチドが、第2の標的または抗原に結合する場合の親和性よりも、少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、および好ましくは少なくとも1000倍、またはそれより良好な親和性(上記のとおりであり、K値、K値、Koff速度および/またはKon速度として好適に表される)により第1の抗原に結合する場合に、当該ISVDおよび/またはポリペプチドは、別の(第2の)標的または抗原と比較して、(第1の)標的または抗原に「対して特異的である」と言われる。例えば、ISVDおよび/またはポリペプチドは、当該ISVおよび/またはポリペプチドが第2の標的または抗原に結合する場合のKよりも、少なくとも10倍低い、例えば少なくとも100倍低い、および好ましくは少なくとも1000倍低いか、またはさらに低いK値で、第1の標的または抗原に結合してもよい。好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドが、第2の標的または抗原と比較して第1の標的または抗原に「対して特異的である」場合、それは、(本明細書において定義されるとおり)前記第1の標的または抗原に対して向けられているが、前記第2の標的または抗原に対しては向けられていない。
【0085】
抗原または抗原決定基に対する抗原結合タンパク質の特異的結合は、それ自体公知の任意の好適な様式において決定することができ、これは、例えば、飽和結合アッセイおよび/または競合的結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、エンザイムイムノアッセイ(EIA)および当該分野において公知のそれらの様々なバリアント;ならびに本明細書において記述される他の技術を含む。
【0086】
親和性を評価するために用いることができる好ましいアプローチは、Friguet et al. 1985(J. Immunol. Methods 77: 305-19)の2ステップELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)の手法である。この方法は、溶液相での結合平衡の測定を確立し、プラスチックなどの支持体上の分子のうちの1つの吸着に関連して起こり得るアーチファクトを回避する。当業者には明らかであろうとおり、解離定数は、実際の解離定数であっても見かけの解離定数であってもよい。解離定数を決定するための方法は、当業者には明らかであり、例えば、WO 08/020079の53~56頁において記述される技術を含む。
【0087】
最後に、多くの状況において、経験を積んだ科学者は、いくつかの参照分子と比較して結合親和性を決定することが好都合であると判断し得ることに、注意すべきである。例えば、分子AとBとの間の結合強度を評価するために、例えば、Bに結合することが知られており、ELISAまたはFACS(蛍光活性化セルソーティング)または他の形式における容易な検出のために(蛍光検出のためのフルオロフォア、光吸収検出のための発色団、ストレプトアビジン媒介性ELISA検出のためのビオチン)、フルオロフォアまたは発色団基またはビオチンなどの他の化学部分により好適に標識される、参照分子Cを用いる。典型的には、参照分子Cは、固定された濃度に保たれ、Aの濃度は、所与の濃度またはBの量に対して変化する。結果として、IC50値は、Aの不在下においてCについて測定されるシグナルが半減するAの濃度に対応して得られる。参照分子のKであるKDrefならびに参照分子の総濃度crefが既知であることを前提として、相互作用A-Bについての見かけのKは、以下の式:K=IC50/(1+cref/KDref)から得ることができる。cref<<KDrefである場合、K≒IC50であることに注意する。IC50の測定が比較される結合剤に対して一貫した方法において(例えば固定されたcrefを保って)行われることを前提として、分子相互作用の強度または安定性の相違は、IC50を比較することにより評価することができ、この測定は、本文書全体にわたり、Kと、または見かけのKと等しいものとして判断される。
【0088】
最大半量阻害濃度(IC50)はまた、生物学的または生化学的機能を阻害することにおける化合物の有効性、例えば薬理学的効果の測定であってもよい。この定量的測定は、所与の生物学的プロセス(またはプロセスの構成成分、すなわち、酵素、細胞、細胞受容体、走化性、退形成、転移、侵襲性など)を、半分まで阻害するために必要とされる、ポリペプチドまたはISV(例えばナノボディ)の量を示す。言い換えれば、それは、ある物質の最大半量(50%)阻害濃度(IC)(50%ICまたはIC50)である。本発明のポリペプチドまたはISV(例えばナノボディ)などの所与のアンタゴニストについてのIC50値は、アゴニストの最大生物学的応答の半量を阻害するために必要とされる濃度を決定することにより、計算することができる。ある薬物のKは、用量応答曲線を構築し、様々な濃度のアンタゴニスト(本発明のポリペプチドまたはISV(例えばナノボディ)など)の効果(例えばアゴニスト活性を逆転させることにおける)を試験することにより、計算することができる。
【0089】
最大半量有効濃度(EC50)という用語は、特定された暴露時間の後で基線と最大値との間の半量の応答を誘導する化合物の濃度を指す。本発明に関して、それは、ポリペプチド、ISV(例えばナノボディ)の効力の尺度として用いられる。計量的な用量応答曲線のEC50は、その最大効果の50%が観察される化合物の濃度を表す。濃度は、好ましくは、モル濃度単位において表される。
【0090】
生物学的系において、リガンド濃度の小さな変化は、典型的には、応答の迅速な変化と、その後のシグモイド関数をもたらす。リガンド濃度の増大に伴う応答の増大が緩慢になる屈曲点が、EC50である。このことは、最良適合(best-fit)線の偏差により数学的に決定することができる。推定のためにグラフに依存することは、ほとんどの場合において好都合である。EC50が例のセクションにおいて提供される場合、実験は、可能な限り正確なKを反映するように設計した。言い換えると、EC50値は、従って、K値としてみなすことができる。用語「平均K」は、少なくとも1回の実験、しかし好ましくは1より多く、例えば少なくとも2回の実験において得られる平均K値に関する。用語「平均」とは、数学用語である「平均」(データの和を、データ中の項目の数により除算したもの)を指す。
【0091】
それはまた、化合物のその阻害の尺度であるIC50(50%阻害)に関する。競合結合アッセイおよび機能的アンタゴニストアッセイについて、IC50は、用量応答曲線の最も一般的な要約的尺度である。アゴニスト/刺激因子アッセイについて、最も一般的な要約的尺度は、EC50である。
【0092】
阻害定数(K)は、阻害剤がどの程度強力であるかの指標である;それは、最大半量の阻害をもたらすために必要とされる濃度である。実験条件に依存して変化し得るIC50とは異なり、Kは、しばしば、薬物の阻害定数と称される。阻害定数Kは、Cheng-Prusoff等式:
【数1】
を用いて計算することができ、ここで、[L]は、固定されたリガンドの濃度である。
【0093】
ISVおよび/またはポリペプチドは、(上記のKD値、KA値、Koff速度および/またはKon速度として好適に表した場合に)ISVおよび/またはポリペプチドが第2の標的または抗原と結合する場合と比較し、少なくとも10倍、例えば少なくとも100倍、好ましくは少なくとも1000倍以上の親和性で、第1の抗原と結合するとき、別の(第2の)標的または抗原よりも第1の標的または抗原に「特異的である」ものとする。例えば、ISVおよび/またはポリペプチドは、前記ISVおよび/またはポリペプチドが第2の標的または抗原と結合する場合と比較し、少なくとも10倍低いKD値、例えば少なくとも100倍低い、好ましくは少なくとも1000倍低い、またはさらにはそれより低いKD値で、第1の標的または抗原に結合しうる。好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドが、第2の標的または抗原と比較し第1の標的または抗原に「特異的である」というときは、それらが(本明細書で定義されるように)前記第1の標的または抗原に対するものであるが、前記第2の標的または抗原に対するものではないことをいう。
【0094】
本明細書において交換可能に用いられる「(交差)ブロッキングする」、「(交差)ブロッキングされた」、「(交差)ブロッキング」、「競合的結合」、「(交差)競合する」および「(交差)競合すること」および「(交差)競合」の用語は、免疫グロブリン、抗体、ISV、ポリペプチドまたは他の結合剤による、他の免疫グロブリン、抗体、ISV、ポリペプチドまたは結合剤による所定の標的への結合を妨げる能力を意味する。免疫グロブリン、抗体、ISV、ポリペプチドまたは他の結合剤が、別のものの標的への結合を妨げることを可能にする程度、すなわち、本発明における交差ブロッキングをしうるか否かは、例えば競合ELISAにおいてファージ上にディスプレイされたISVDに対して精製されたISVDのスクリーニングを行うなどの、競合的結合アッセイを用いて決定でき、これは、当該分野において一般的である。特に好適な定量的交差ブロッキングアッセイとして、細胞上で発現されたアグリカンによる、ELISAおよび蛍光活性化セルソーティング(FACS)結合アッセイが挙げられる。FACSのセットアップにおいて、(低下した)チャネル蛍光により(交差)ブロッキングの程度を測定することができる。
【0095】
標的に対して向けられた免疫グロブリン、抗体、ISV、ポリペプチドまたは他の結合剤が、本明細書において定義されるように、(交差)ブロッキングするか否か、(交差)ブロッキングことができるか否か、競合的に結合するか否か、または(交差)競合的であるか否かを決定するための方法は、例えば、Xiao-Chi Jiaら(Journal of Immunological Methods 288: 91-98, 2004)、Miller ら(Journal of Immunological Methods 365: 118-125, 2011)において記載されるか、および/または本明細書において記載される方法である(例えば、例2.3を参照)。
【0096】
アミノ酸配列は、2つの異なる抗原または抗原決定基(例えば、哺乳動物の異なる種からのアグリカンなど、例えば、ヒトアグリカン、イヌアグリカン、ウシアグリカン、ラットアグリカン、ブタアグリカン、マウスアグリカン、ウサギアグリカン、カニクイザルアグリカン、および/またはアカゲザルアグリカンなど)に対して、これらの異なる抗原または抗原決定基について(本明細書において定義されるとおり)特異的である場合に、「交差反応性」であると言われる。
【0097】
本発明に関して、「調節すること(modulating)」または「調節する(to modulate)」とは、一般に、好適なin vitro、細胞、ex vivoまたはin vivoアッセイ(本明細書において記述されるものなど)を用いて測定した場合に、本発明のISV、ポリペプチドまたはコンストラクトにより、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)、ADAMTS11および/または炎症促進性サイトカイン(例えば、インターロイキン-1αおよび-β、インターロイキン-6およびTNF-αなど)の活性を、低下させるかまたはこれを阻害することを意味する。特に、「調節すること」または「調節する」とは、好適なin vitro、細胞、ex vivoまたはin vivoアッセイ(本明細書において記述されるものなど)を用いて測定した場合に、前述のメンバーの活性を、同じアッセイにおける、本発明の免疫グロブリンまたはポリペプチドの存在を伴わないことを除いては同じ条件下における、前述のメンバーの活性と比較して、少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、例えば少なくとも10%、または少なくとも25%、例えば少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または90%、またはそれより多く低下させるかまたはこれを阻害することを意味していてもよい。
【0098】
本発明に関して、「増強すること(enhancing)」または「増強する(to enhance)」とは、一般に、好適なin vitro、細胞、ex vivoまたはin vivoアッセイ(本明細書において記述されるものなど)を用いて測定した場合に、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトの活性を増大するか、増強するか、またはこれを刺激することを意味する。特に、好適なin vitro、細胞、ex vivoまたはin vivoアッセイ(本明細書において記述されるものなど)を用いて測定した場合に、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトの活性を、アグリカン結合剤(例えば本発明のアグリカンに結合するISV)の存在を伴わないことを除いては同じ条件下における同じアッセイにおけるコンストラクトまたはポリペプチドの活性と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれより多く、例えば100%などに、増大または増強することを意味する。
【0099】
2つの化合物の「相乗効果」とは、2つの剤の組み合わせの効果が、それらの個々の効果の和よりも大きいものであり、好ましくは、対照の薬物および単一の薬物とは、統計学的に異なる。
【0100】
本発明のISVまたはポリペプチドの「効力」という用語は、本明細書において用いられる場合、その特異的効果、例えば軟骨への浸透、アグリカンへの特異的結合、および/または軟骨保持などが生じるために必要とされる、本発明のISVまたはポリペプチドの量の関数である。それは、例のセクションにおいて用いられる場合、例えば当業者には公知の方法により、簡易に測定することができる。
【0101】
対照的に、本発明のISVまたはポリペプチドの「有効性」は、ISVまたはポリペプチドの濃度を飽和させた時点において、それ自体の効果の最大強度を測定する。有効性は、本発明のISVまたはポリペプチドから達成することができる最大応答を示す。それは、ISVまたはポリペプチドが所望される(治療的)効果、例えば、アグリカンへの結合またはアグリカンに対する保持、および/またはADAMTSファミリーメンバーまたはMMPファミリーメンバーの活性を阻害することなど、を提供する能力を指す。
【0102】
本発明のポリペチドまたはコンストラクトの「半減期」は、例えば天然のメカニズムによるコンストラクトまたはポリペチドの分解および/またはコンストラクトまたはポリペチドのクリアランスもしくは隔離により、コンストラクトまたはポリペチドの血清中濃度がインビボにおいて50%減少するのに要する時間のことを指す。例えば、WO 08/020079号の57ページのパラグラフo)を参照。本発明のコンストラクトまたはポリペプチドのインビボ半減期は、薬物動態学的分析など、自体公知のいかなる方法で決定してもよい。好適な方法は当業者に明らかであると考えられ、例えば一般的には、WO 08/020079の57頁のパラグラフo)に記載の方法であってもよい。WO 08/020079の57頁のパラグラフo)に記載のように、半減期は、t1/2-α、t1/2-βおよび曲線下面積(AUC)などのパラメータを使用して表すことができる。参照として、例えば標準的なハンドブック、例えばKennethら(Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists, John Wiley & Sons Inc., 1986)、ならびにM GibaldiおよびD Perron("Pharmacokinetics", Marcel Dekker, 2nd Rev. Edition, 1982)が挙げられる。用語「半減期の増加」または「増加した半減期」とは、例えば、WO 08/020079の57頁のパラグラフo)にも記載されるとおり、t1/2-βの増加を指すが、t1/2-αおよび/またはAUC、またはその両方の増加を伴っても伴わなくともよい。
【0103】
特に明記しない限り、用語「免疫グロブリン」および「免疫グロブリン配列」は、本明細書において、重鎖抗体または従来の4鎖型抗体のいずれを指すものとして用いられるときでも、フルサイズの抗体、その個々の鎖、ならびにその全ての部分、ドメインまたは断片(限定されないが、抗原結合性ドメインまたは断片(例えばそれぞれVHHドメインまたはV/Vドメイン)を含む)を包含する一般的な用語として用いられる。
【0104】
本明細書で用いられる(ポリペプチドまたはタンパク質の)「ドメイン」なる用語は、残りのタンパク質とは独立に、その三次構造を保持する能力を有する、フォールディングされたタンパク質構造を意味する。一般的に、ドメインは、タンパク質の個別の機能特性を担い、多くの場合、タンパク質の残りの部分および/またはドメインの機能の損失なしに、他のタンパク質へ追加もしくは移動させることができ、またはそこから除去することができる。
【0105】
本明細書で用いられる「免疫グロブリンドメイン」という用語は、抗体鎖(例えば従来の4鎖型抗体の、または重鎖抗体の鎖など)の球状領域を、または、本質的に、かかる球状領域からなるポリペプチドを指す。免疫グロブリンドメインは、それらが抗体分子に特徴的な、約7つの逆平行β鎖が2つのβシートとして配列した2層サンドイッチからなり、任意に保存されたジスルフィド結合によって安定化された免疫グロブリンの折り畳み構造を保持していることを特徴とする。
【0106】
本明細書中で使用される用語「免疫グロブリン可変ドメイン」とは、当該技術分野および本明細書の下記において、「フレームワーク領域1」または「FR1」、「フレームワーク領域2」または「FR2」、「フレームワーク領域3」または「FR3」、および「フレームワーク領域4」または「FR4」とそれぞれ称される4つの「フレームワーク領域」から本質的になる、免疫グロブリンドメインを意味し、前記フレームワーク領域は、3つの「相補性決定領域」または「CDR」により中断され、それらは、当該技術分野および本明細書の下記において、「相補性決定領域1」または「CDR1」、「相補性決定領域2」または「CDR2」、および「相補性決定領域3」または「CDR3」とそれぞれ称される。このように、免疫グロブリン可変ドメインの一般構造または配列は、以下の通り示すことができる:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。抗原結合部位、特にCDR1、CDR2および/またはCDR3を有することによって抗体に抗原に対する特異性を付与するのが、免疫グロブリン可変ドメイン(単数または複数)である。
【0107】
「単一可変ドメイン」と交換可能に用いられる「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(「ISV」または「ISVD」)という用語は、抗原結合部位が単一の免疫グロブリンドメインに存在し、またそれにより形成される分子として定義される。これにより、ISVが、2つの免疫グロブリンドメイン、特に2つの可変ドメインが相互作用して抗原結合部位を形成する「従来型の」免疫グロブリンまたはそれらの断片とは別のものとなる。典型的には、従来型の免疫グロブリンでは、重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)が相互作用して抗原結合部位を形成する。この場合、VHおよびVLの両方の相補性決定領域(CDR)が、抗原結合部位に寄与しており、すなわち合計6つのCDRが抗原結合部位の形成に関与している。
【0108】
上記の定義を考慮すると、従来の4鎖型抗体(当分野において公知の、例えば免疫グロブリンG、免疫グロブリンM、免疫グロブリンA、免疫グロブリンDまたは免疫グロブリンE分子)の抗原結合性ドメイン、またはFab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合されたFvまたはscFv断片などのFv断片の抗原結合性ドメイン、またはかかる従来型の4鎖型抗体に由来するdiabody(いずれも公知)の抗原結合性ドメインは、通常、これらの場合、抗原の各エピトープへの結合が、通常、1つの(単一の)免疫グロブリンドメインのみでは起こらず、例えば軽鎖および重鎖可変ドメインによる一対の(会合している)免疫グロブリンドメインによって、すなわち免疫グロブリンドメインのVH-VLによって、はじめて各抗原のエピトープと共同で結合するため、ISVとは考えない。
【0109】
これとは対照的に、ISVは、更なる免疫グロブリン可変ドメインとの組合せなしに抗原のエピトープと特異的に結合できる。ISVの結合部位は、単一のVH/VHHまたはVLドメインにより形成される。ゆえに、ISVの抗原結合部位が、3つのCDRのみにより形成される
【0110】
このように、単一可変ドメインは、それが単一の抗原結合単位(すなわち、単一の抗原結合性ドメインが他の可変ドメインと相互作用して機能的な抗原結合性単位を形成する必要がない、本質的に単一の可変ドメインからなる、機能的な抗原結合単位)を形成できる限り、軽鎖可変ドメイン配列(例えばVL配列)もしくは好適なその断片、または重鎖可変ドメイン配列(例えばVH配列またはVHH配列)もしくは好適なその断片、であってもよい。
【0111】
本発明の一態様において、ISVは、重鎖可変ドメイン配列(例えばVH配列)であり、より具体的には、ISVは、従来の4鎖型抗体から誘導される重鎖可変ドメイン配列であるか、または重鎖抗体から誘導される重鎖可変ドメイン配列であってもよい。
【0112】
例えば、ISVは、(単一)ドメイン抗体(もしくは(単一)ドメイン抗体としての使用に好適なアミノ酸)、(単一)ドメイン抗体としての使用に好適な免疫グロブリン、「dAb」またはsdAb、もしくはdAbとしての使用に好適なアミノ酸、またはナノボディ(本明細書において定義され、VHHを含むがこれに限定されない);ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、親和性成熟により得られたVHH配列、他の単一可変ドメイン、免疫グロブリン単一重鎖可変ドメイン、またはそれらのいかなる好適な断片、であってもよい。
【0113】
具体的には、ISVは、ナノボディ(Nanobody)(登録商標)(本明細書で定義される)またはその好適な断片であってもよい。なお、Nanobody(登録商標)およびNanobodies(登録商標)はAblynx N.V.社の登録商標である。ナノボディの一般的説明については、下のさらなる記載、また、例えば本明細書で引用するWO 08/020079(16頁)に記載の従来技術をさらに参照してもよい。
【0114】
「VHHドメイン」(別名、VHH、VHドメイン、VHH抗体断片およびVHH抗体)は、元々は「重鎖抗体」(すなわち「軽鎖欠損抗体」、Hamers-Casterman et al. Nature 363: 446-448, 1993)の抗原結合性免疫グロブリン(可変)ドメインとして記載されたものである。「VHHドメイン」という用語は、これらの可変ドメインを、従来の4鎖型抗体に存在する重鎖可変ドメイン(本明細書において「Vドメイン」または「VHドメイン」と称される)から、および従来の4鎖型抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(本明細書において「Vドメイン」または「VLドメイン」と称される)から、区別するために選ばれたものである。VHHおよびナノボディの更なる説明に関する参照としては、例えば、Muyldermansのレビュー(Reviews in Molecular Biotechnology 74: 277-302, 2001)、ならびに背景技術においても言及した以下の特許出願:Vrije Universiteit BrusselのWO 94/04678、WO 95/04079およびWO 96/34103;UnileverのWO 94/25591、WO 99/37681、WO 00/40968、WO 00/43507、WO 00/65057、WO 01/40310、WO 01/44301、EP 1134231およびWO 02/48193;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)のWO 97/49805、WO 01/21817、WO 03/035694、WO 03/054016およびWO 03/055527;Algonomics N.VおよびAblynx N.V.のWO 03/050531;カナダ国立研究会議(National Research Council of Canada)によるWO 01/90190;Institute of AntibodiesによるWO 03/025020(=EP 1433793)、ならびにAblynx N.V.によるWO 04/041867、WO 04/041862、WO 04/041865、WO 04/041863、WO 04/062551、WO 05/044858、WO 06/40153、WO 06/079372、WO 06/122786、WO 06/122787およびWO 06/122825、およびAblynx N.V.によるさらなる公開特許出願が挙げられる。これらの出願に記載の更なる従来技術、特に国際公開第06/040153号の41~43頁に記載の参照文献リストを参照してもよく、当該リストおよび参照文献は、参照により本明細書に援用される。これらの参照文献に記載のように、ISV、ナノボディ(特にVHH配列および部分的にヒト化したナノボディ)は、特に1つ以上のフレームワーク配列に存在する、1つ以上の「ホールマーク残基」の存在により特徴づけることができる。ISV、ナノボディに関する更なる説明、具体的にはナノボディのヒト化および/またはラクダ化、ならびに他の修飾、部分または断片、誘導体または「ナノボディ融合体」、多価構築物(幾つかのリンカー配列に関する非限定的な例を包含する)、ならびに、ISV、ナノボディの半減期を増加させる異なる修飾およびそれらの調製、については、例えばWO 08/101985およびWO 08/142164に記載されている。ナノボディの更なる一般的説明についての参照として、例えば本明細書において引用する、WO 08/020079(16頁)に記載の従来技術が挙げられる。
【0115】
「ドメイン抗体」(また、「Dab」(単数または複数)、「ドメイン抗体」および「dAb」としても公知、「ドメイン抗体」および「dAb」の語は、GlaxoSmithKline社のグループの商標として使用されている)は、例えばEP 0368684、Ward et al.(Nature 341: 544-546, 1989)、Holt et al.(Tends in Biotechnology 21: 484-490, 2003)、およWO 04/068820、ならびにDomantis社のWO 06/030220、WO 06/003388およびWO 03/002609および他の公開された特許出願に記載されている。ドメイン抗体は、本質的に、非ラクダ科の哺乳動物の、特にヒト4鎖型抗体のVHまたはVLドメインに対応する。単一の抗原結合性ドメインとして(すなわち、VLまたはVHドメインの各々との対によってではなく)エピトープに結合させるためには、例えばヒトの単一VHまたはVLドメイン配列のライブラリーを用いて、かかる抗原結合性に関する具体的な選抜を行う必要がある。ドメイン抗体は、VHHと同様、約13~約16kDaの分子量を有し、完全にヒト配列に由来する場合、例えばヒトの治療的使用のためのヒト化を必要としない。
【0116】
なお、哺乳類の起源でないため、本発明の文脈においては好ましさが低いが、単一可変ドメインを特定のサメの種由来のものとしてもよいことに留意すべきである(例えば、いわゆる「IgNARドメイン」、WO05/18629を参照)。
【0117】
そのように、本発明の意味においては、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」または「単一可変ドメイン」という用語には、ヒト以外の給源の、好ましくはラクダ科の動物を給源とし、好ましくはラクダ科動物の重鎖抗体から誘導されるポリペプチドが含まれる。前述したように、それらはヒト化してもよい。さらに、当該用語は非ラクダ科動物(例えばマウスまたはヒト)を給源とし、それを、例えばDavies and Riechmann(FEBS 339: 285-290, 1994;Biotechnol. 13: 475-479, 1995;Prot. Eng. 9: 531-537, 1996)およびRiechmann and Muyldermans(J. Immunol. Methods 231 : 25-38, 1999)に記載のように「ラクダ化」した誘導ポリペプチドを含んでもよい。
【0118】
VHHドメインのアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans(J. Immunol. Methods 231: 25-38, 1999)の図2に示すようなラクダ科動物由来のVHHドメインへの適用と同様、Kabatら("Sequence of proteins of immunological interest", US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)で示されるVドメインに関する一般的な番号づけに従い付番される。Vドメインのアミノ酸残基に番号づけするための代替法であって、VHHドメインにも同様に適用できる方法も当分野において公知である。しかしながら、本願の明細書、特許請求の範囲および図面では、特に明記しない限り、上記の通りVHHドメインに適用されるKabat番号づけに従い行う。
【0119】
留意点としては、VドメインおよびVHHドメインに関して当分野で周知であるが、各CDRのアミノ酸残基の総数は変動しうるものであり、Kabat番号づけにより示されるアミノ酸残基の総数と対応しえないということである(すなわち、Kabat番号づけに従う1つ以上の位置が、実際の配列中に存在しないか、または、実際の配列が、Kabat番号づけから考えられる数より多くのアミノ酸残基を含む場合がありうる)。これは、一般的にはKabat番号づけが実際の配列中のアミノ酸残基の実際の番号づけに対応する場合も、また対応しない場合もあることを意味する。VHドメインおよびVHHドメインのアミノ酸残基の総数は、通常110~120の範囲、多くの場合112~115の間の範囲である。しかしながら、より短いおよびより長い配列も、本明細書に記載される目的に適しうる点に留意すべきである。
【0120】
CDR領域の決定は、様々な方法に従い実施できる。Kabatに従うCDRの決定においては、VHHのFR1が、位置1~30のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR1が、位置31~35のアミノ酸残基を含み、VHHのFR2が、位置36~49のアミノ酸を含み、VHHのCDR2が、位置50~65のアミノ酸残基を含み、VHHのFR3が、位置66~94のアミノ酸残基を含み、VHHのCDR3が、位置95~102のアミノ酸残基を含み、VHHのFR4が、位置103~113のアミノ酸残基を含む。
【0121】
しかしながら、本願においては、CDR配列はKontermann and Dubel(Eds., Antibody Engineering, vol 2, Springer Verlag Heidelberg Berlin, Martin, Chapter 3, pp. 33-51, 2010)に従い決定されたものである。この方法によれば、FR1は位置1~25のアミノ酸残基を含み、CDR1は位置26~35のアミノ酸残基を含み、FR2は位置36~49のアミノ酸を含み、CDR2は位置50~58のアミノ酸残基を含み、FR3は位置59~94のアミノ酸残基を含み、CDR3は位置95~102のアミノ酸残基を含み、FR4は位置103~113(Kabat番号づけに従う)のアミノ酸残基を含む。
【0122】
ドメイン抗体およびナノボディ(VHHドメインを含む)などのISVは、ヒト化することができる。具体的には、ナノボディ(VHHドメインを含む)などのヒト化された免疫グロブリン単一可変ドメインは、以前の段落で一般的に定義される免疫グロブリン単一可変ドメインであってもよいが、(本明細書で定義される)ヒト化置換であり、および/または、それに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基(具体的には少なくとも1つのフレームワーク残基)が存在するものである。潜在的に有用なヒト化置換は、天然のVHH配列のフレームワーク領域の配列を1つ以上の密接に関連するヒトV配列の対応するフレームワーク配列と比較し、その後、このように決定される1つ以上の潜在的に有用なヒト化置換(またはそれらの組み合わせ)を、本明細書に記載のいずれかの自体公知の方法に従い、前記VHH配列中に導入し、得られるヒト化VHH配列を、標的との親和性に関して、安定性に関して、発現の容易性およびレベルに関して、および/または、他の目的の特性に関して試験することにより、確認できる。このようにして、試行錯誤を減少させつつ、他の適切なヒト化置換(またはその好適な組合せ)を、本明細書の開示に基づき当業者が決定できる。また、前記に基づいて、免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばナノボディ(VHHドメインを含む)(のフレームワーク領域)を、部分的にヒト化でき、または完全にヒト化できる。
【0123】
1つ以上のCDRのアミノ酸配列内に1つ以上の変異を導入することによって、ISV、例えばドメイン抗体およびナノボディ(VHHドメインおよびヒト化されたVHHドメインを含む)を親和性成熟させることもでき、かかる変異により、それぞれの親分子と比較し、得られる免疫グロブリン単一可変ドメインの各抗原に対する親和性が改善される。本発明の親和性成熟された免疫グロブリン単一可変ドメイン分子は、公知技術の方法により、例えば、Marks et al. (Biotechnology 10:779-783, 1992)、Barbas, et al.(Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91: 3809-3813, 1994)、Shier et al.(Gene 169: 147-155, 1995)、Yelton et al.(Immunol. 155: 1994-2004, 1995)、Jackson et al.(J. Immunol. 154: 3310-9, 1995)、Hawkins et al.(J. Mol. Biol. 226: 889 896, 1992)、Johnson and Hawkins(Affinity maturation of antibodies using phage display, Oxford University Press, 1996)の記載に基づき調製できる。
【0124】
ISV(例えばドメイン抗体またはナノボディ)を出発物質としてポリペプチドを設計/選抜および/または調製するプロセスは、本明細書において、前記ISVを「フォーマット化する」ともまた称され、ポリペプチドの一部を構成するISVは、「フォーマット化された」または「フォーマットされた形の」ポリペプチドであると言われる。ISVをフォーマット化できる方法の例、およびかかるフォーマットの例は、本明細書の開示に基づき当業者に自明であり、かかるフォーマット化されたISVは、本発明の更なる側面を構成する。
【0125】
例えば、限定されないが、1つ以上のISVを、ポリペプチドの調製用の「結合単位」、「結合ドメイン」または「ビルディングブロック」(これらの用語は交換可能に用いられる)として用いることができ、それらは任意に、(すなわち、アグリカン上の同一または他のエピトープに対する、および/またはアグリカン以外の1つ以上の他の抗原、タンパク質または標的に対する)結合単位として有用な1つ以上の更なるISVを含んでもよい。
【0126】
本発明は、アグリカンに対する特異性を有するか、および/またはアグリカンに結合する、アグリカン結合剤、例えばISV(本明細書において「本発明のISV」ともまた称される)および/またはポリペプチド(本明細書において「本発明のポリペプチド」ともまた称される)を提供する。
アグリカンはまた、アグリカン1、ACAN、AGC1、AGCAN、CSPGCP、MSK16、SEDK、軟骨特異的プロテオグリカンコアタンパク質(CSPCP)またはコンドロイチン硫酸プロテオグリカン1(CSPG1)として知られる。アグリカンは、ヒトにおいては、染色体Chr15:q26.1に位置するACAN遺伝子によりコードされる。
【0127】
アグリカンは、大きな多モジュール分子(2317アミノ酸)である。そのコアタンパク質は、3つの球状ドメイン(G1、G2およびG3)、ならびに、多数のN結合型オリゴ糖およびコンドロイチン硫酸鎖およびケラタン硫酸鎖が付加されるG2とG3との間の大きな伸展した領域からなる。アグリカンは、関節軟骨における主要なプロテオグリカンである。それは、軟骨に過重負荷特性を与えるヒアルロナンおよび連結タンパク質とのその相互作用を通して、含水ゲル構造を提供することにより、関節軟骨の正しい機能において重要な役割を果たす。G1ドメインは、ヒアルロナン酸および連結タンパク質と相互作用し、細胞外マトリックス(ECM)において安定な三元複合体を形成する。G2ドメインは、G1のタンデムリピートおよび連結タンパク質に相同であり、生成物のプロセッシングに関与する。G3は、コアタンパク質のカルボキシル末端を構成し、グリコサミノグリカン修飾および生成物の分泌を増強する。また、G3ドメインは、プロテオグリカン凝集物をECMタンパク質(フィビュリンおよびテネイシン)に連結する。アグリカンの分解は、C末端において開始されると考えられる。G3ドメインを有さないアグリカン分子の集団は、加齢と共に増加する。アグリカンは、ラミニン、フィブロネクチン、テネイシンおよびコラーゲンと相互作用するが、また、多様なA Disintegrin And Metalloprotease with Thrombo-spondin Motifs(ADAMTS)、例えばADAMTS4、ADAMTS5およびADAMTS11、ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)例えばMMP8、MMP13、MMP19およびMMP20の酵素的基質でもある。
【0128】
一側面において、本発明は、アグリカンに特異的に結合するISVおよびポリペプチドなどのアグリカン結合剤に関する。
本発明のアグリカン結合剤は、最終的に、ヒトにおける医薬としての使用のために意図される。したがって、一側面において、本発明は、ヒトアグリカン(配列番号125)に特異的に結合するアグリカン結合剤、例えばISVおよびポリペプチドに関する。
本発明者らは、高度に改善された種間交差反応性および精巧な選択性の特性を有するアグリカン結合剤を同定した。
【0129】
したがって、一側面において、本発明は、ISVまたはポリペプチドなどのアグリカン結合剤に関し、ここで、前記アグリカン結合剤は、ヒトアグリカン(P16112;配列番号125)、イヌアグリカン(Q28343;配列番号126)、ウシアグリカン(P13608;配列番号127)、ラットアグリカン(P07897;配列番号128);ブタアグリカン(コア;Q29011、配列番号129);マウスアグリカン(Q61282;配列番号130)、ウサギアグリカン(G1U677-1;配列番号131);カニクイザルアグリカン(XP_005560513.1;配列番号132)および/またはアカゲザルアグリカン(XP_002804990.1;配列番号133)に特異的に結合する(表Bを参照)。
【0130】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドが、先行技術の分子に対して、有利な特徴を有することを観察した;それらは、関節において安定であり、軟骨において長期間にわたり保持され、軟骨性組織に対して特異的であり、例えば、ニューロカン(O14594、配列番号134)および/またはブレビカン(Q96GW7、配列番号135)(表Bを参照)には実質的に結合しない。
【0131】
したがって、一側面において、本発明は、ISVまたはポリペプチドなどのアグリカン結合剤に関し、ここで、前記アグリカン結合剤は、ニューロカン(O14594、配列番号134)および/またはブレビカン(Q96GW7、配列番号135)に実質的に結合せず、好ましくはここで、前記アグリカンは、10-5モル/リットルよりも高い、例えば10-4モル/リットルのK値で、ニューロカンおよび/またはブレビカンに結合する。
【0132】
一側面において、本発明は、アグリカン結合剤アグリカンへの結合について、ニューロカンおよび/またはブレビカンよりも10倍より高い、100倍より高い、好ましくは1000倍より高い選択性を有する、ISVなどのアグリカン結合剤に関する。
【0133】
好ましい本発明のアグリカン結合剤は、免疫グロブリン(例えば、重鎖抗体、従来の四鎖抗体(IgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE分子など)、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、例えばジスルフィド連結されたFvもしくはscFvフラグメント、またはかかる従来の四鎖抗体から誘導されたダイアボディ、またはこれらの個々の鎖、ならびに全ての部分、ドメインまたはそのフラグメント(抗原結合ドメインまたはフラグメント、例えば免疫グロブリン単一可変ドメインを含むが、これらに限定されない)、本発明の一価のポリペプチド、または他の結合剤)を含む。
【0134】
本発明のアグリカン結合剤は、唯一の例外を除き(表2.2を参照)、8を超えるpIを有することが観察された。理論により拘束されることなく、本発明者らは、アグリカンの高い正の電荷が、全部分の、すなわち、多重特異性ポリペプチドにおけるもののように別の構成要素にカップリングされた場合であっても、保持および軟骨浸透に影響を及ぼし得る、という仮説を立てた。したがって、本発明は、8より大きな、例えば8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0またはこれより大きな、例えば9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8または9.8ものpIを有する、アグリカン結合剤、例えば本発明のISV、ポリペプチドまたはコンストラクト、好ましくは本発明のISVに関する。
【0135】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドの、アグリカンへの結合は、当該分野において一般に公知の多様な結合アッセイにおいて測定することができる。典型的なアッセイとして(限定されることなく)、蛍光リガンド結合アッセイ、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、放射性リガンド結合アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、プラズモン導波路共鳴(PWR)、親和性に基づくバイオセンサーについてのSPRイメージング、Whispering gallery型微小共振器(WGM)、共鳴導波路格子(Resonant waveguide grating:RWG)、Biolayer干渉バイオセンサー(Biolayer Interferometry Biosensor:BIB)アッセイ、核磁気共鳴(NMR)、X線結晶解析、熱変性アッセイ(TDA)、等温滴定カロリメトリー(ITC)、ELISA、ならびに表面弾性波(Surface acoustic wave:SAW)バイオセンサーおよびRWGバイオセンサーアッセイなどのホールセルリガンド結合アッセイが挙げられる。本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドの、アグリカンへの結合を測定するための好ましいアッセイは、SPR、例えば、例において記載されるようなSPRなどであり、ここで、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドの、アグリカンへの結合を決定した。本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドの、アグリカンへの結合についてのいくつかの好ましいK値は、本明細書におけるさらなる説明および例から明らかとなるであろう。別の特に好ましいアッセイは、例において詳述されるようなELISAである(例1.2および2.4を参照)。
【0136】
本発明のアグリカン結合剤のアグリカンへの結合はまた、好ましくはアグリカン標的の立体構造を保存す結合アッセイにおいて測定することができる。典型的なアッセイとして(限定されることなく)、アグリカンが細胞(例えばCHO細胞)表面上で暴露されるアッセイが挙げられる。
【0137】
本発明の態様において、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、前記アグリカンへの結合について、好ましくは表面プラズモン共鳴により測定される場合に、少なくとも約10-1-1、少なくとも約10-1-1、少なくとも約10-1-1、少なくとも約10-1-1、少なくとも約10-1-1、10-1-1、少なくとも約10-1-1、少なくとも約10-1-1、および少なくとも約1010-1-1からなる群より選択される、オン速度定数(Kon)を有する。
【0138】
本発明の態様において、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、前記アグリカンへの結合について、好ましくは表面プラズモン共鳴により測定される場合に、約10-3-1以下、約10-4-1以下、約10-5-1以下、約10-6-1以下、約10-7-1以下、約10-8-1以下、約10-9-1以下、および約10-10-1以下からなる群より選択される、オフ速度定数(Koff)を有する。
【0139】
本発明の態様において、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、100nM~10pMの平均K値、例えば90nM以下の平均K値など、さらにより好ましくは80nM以下、例えば70、60、50、40、30、20、10、5nM未満、またはさらにそれより低い、例えば4、3、2または1nM未満、例えば500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20pM未満、またはさらにそれより低い、例えば10pM未満の平均K値により、前記アグリカンに結合する。好ましくは、Kは、例えばProteonにより決定されるように、SPRにより決定される。
本発明の免疫グロブリンおよび/またはポリペプチドのアグリカンへの結合についてのいくつかの好ましいEC50値は、本明細書におけるさらなる説明および例から明らかとなるであろう。
【0140】
ELISA結合アッセイにおいて、好ましくはG1ドメインおよび/またはG1-IGD-G2ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、ヒトアグリカンに結合することにおいて、10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、またはさらには10-10M以下のEC50値を有していてもよい。例えば、かかるELISA結合アッセイにおいて、本発明の免疫グロブリンおよび/またはポリペプチドは、ヒトアグリカンに結合することにおいて、10-10M~10-8M、例えば10-9M~10-8M、または10-10M~10-9MのEC50値を有していてもよい。
【0141】
かかるELISA結合アッセイにおいて、好ましくはG1ドメインおよび/またはG1-IGD-G2ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、カニクイザル(cyno)アグリカンに結合することにおいて、10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、またはさらには10-10M以下のEC50値を有していてもよい。例えば、かかるELISA結合アッセイにおいて、本発明のポリペプチドは、cynoアグリカンに結合することにおいて、10-10M~10-7M、例えば10-10M~10-8M、10-10M~10-9M、のEC50値を有していてもよい。
【0142】
かかるELISA結合アッセイにおいて、好ましくはG1ドメインおよび/またはG1-IGD-G2ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、ラットアグリカンに結合することにおいて、10-6M以下、好ましくは10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、またはさらには10-10M以下のEC50値を有していてもよい。例えば、かかるELISA結合アッセイにおいて、本発明のポリペプチドは、ラットアグリカンに結合することにおいて、10-10M~10-6M、例えば10-10M~10-7M、10-10M~10-8M、10-10M~10-9MのEC50値を有していてもよい。
【0143】
かかるELISA結合アッセイにおいて、好ましくはG1ドメインおよび/またはG1-IGD-G2ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、イヌアグリカンに結合することにおいて、10-6M以下、好ましくは10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、またはさらには10-10M以下のEC50値を有していてもよい。例えば、かかるELISA結合アッセイにおいて、本発明のポリペプチドは、イヌアグリカンに結合することにおいて、10-10M~10-6M、例えば10-10M~10-7M、10-10M~10-8M、10-10M~10-9MのEC50値を有していてもよい。
【0144】
かかるELISA結合アッセイにおいて、好ましくはG1ドメインおよび/またはG1-IGD-G2ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、ウシアグリカンに結合することにおいて、10-6M以下、好ましくは10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、またはさらには10-10M以下のEC50値を有していてもよい。例えば、かかるELISA結合アッセイにおいて、本発明のポリペプチドは、ウシアグリカンに結合することにおいて、10-10M~10-6M、例えば10-10M~10-7M、10-10M~10-8M、10-10M~10-9MのEC50値を有していてもよい。
【0145】
用語「軟骨性組織」とは、本明細書において用いられる場合、弾性軟骨、硝子軟骨および線維軟骨を含む軟骨を指し、これらは、細胞間隙に対する細胞(軟骨細胞)の比率、ならびにコラーゲンおよびプロテオグリカンの相対量により定義される。「関節軟骨」は、骨の関節の表面上で見出される軟骨であり、専ら硝子軟骨である。半月板は、完全に線維軟骨からなる。アグリカンは、細胞外マトリックス(ECM)における主要なプロテオグリカンであり、全タンパク質含有量のうちの約50%を占める(他の約50%は、コラーゲンIIおよびいくつかの微量なタンパク質、例えば、コラーゲンIXなどである)。
【0146】
本発明のアグリカン結合剤は、滑膜、腱、および/または筋上膜などの非軟骨性組織に対して、軟骨および半月板などの関節における軟骨性組織に優先性を示した。したがって、本発明は、ISVまたはポリペプチドなどのアグリカン結合剤に関し、ここで、前記アグリカン結合剤は、好ましくは、非軟骨性組織と比較して、好ましくは少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、またはそれよりさらに多く、軟骨および/または半月板などの軟骨性組織に結合する。
【0147】
関節とは、2つ以上の骨が交わる領域であると理解される。ほとんどの関節は、可動性であり、骨が動くことを可能にする。関節は、軟骨、滑膜、靭帯、腱、滑液包および滑液からなる。いくつかの関節はまた、半月板を有する。
【0148】
例において示されるとおり、本発明のアグリカン結合剤は、多様な軟骨保持の特徴を有し、これが、特定の必要性に応じて関節における保持をカスタマイズすることを可能にする(例2.2を参照)。好ましくは、アグリカン結合剤は、関節内注射により期待され得る比較的短時間のアグリカン結合剤の軟骨への暴露の後で、軟骨において長期間にわたり保持される能力を有する。軟骨保持は、例のセクションにおいて記載されるように、ex vivoでの軟骨保持アッセイを介して測定することができる。保持の程度は、ウェスタンブロットの目視検査により、または濃度測定による定量を介して、測定することができる。保持の程度を決定するために用いられるスケールは、当該分野においてにより定義され得、例えば、0~6RU(保持単位(Retention Unit))のスケールであり、ここで、このアッセイにおいて0は保持がないことであり、6は完全な保持である。必要な場合には、スケールは、各々のアグリカン結合剤にスコアが割り当てられている、例えば、完全な保持および保持なしが固定されている、本発明のアグリカン結合剤を用いて定量することができる。代替案においては、スケールは、本発明のアグリカン結合剤を介して割り当てられる多様な中間スコア、例えば、2つの114F08=6RU、およびダミーのアグリカン結合剤、例えばALB26-ALB26=0RUを含むアグリカン結合剤;または2つの114F08=6を含むアグリカン結合剤;608A05=5を含むアグリカン結合剤;アグリカン結合剤604G01=4;2つの601D02=3を含むアグリカン結合剤;2つの606A07=2を含むアグリカン結合剤;アグリカン結合剤112A01=1;ならびにダミーのアグリカン結合剤、例えば、ALB26-ALB26=0により設定することができる。(表2.2を参照)。したがって、本発明は、本発明によるISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤に関し、ここで、前記アグリカン結合剤は、軟骨保持アッセイにおいて、少なくとも、3、4、5または6RUなどの、少なくとも2RUの軟骨保持を有する。
【0149】
本発明のアグリカン結合剤は、好ましくは安定であるべきである。第1の必要条件として、アグリカン結合剤の生物物理学的特性を、例3において詳述されるように試験し、ここで、これらのアグリカン結合剤が、高い融解温度、ならびに凝集および多量体化の徴候の不在により示されるように、有利な安定性の特徴を示したことが示された。次に、アグリカン結合剤は、滑液中での37℃におけるインキュベーションにより、関節における長期にわたるそれらの活性について試験した(例6を参照)。コンストラクトのうちのいずれの分解も検出することはできなかった。このことは、in vivoでの状況を模倣する状態下において、コンストラクトが安定であったことを示している。
【0150】
一側面において、本発明は、アグリカン結合剤、例えばISVに関し、ここで、前記アグリカン結合剤は、滑液(SF)中で37℃において、14日間、21日間、1か月間、2か月間またはさらには3か月間などの、少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間、7日間の安定性を有する。
【0151】
本発明は、アグリカンへの結合に特に好適なアミノ酸残基のストレッチ(配列番号20~37および109、配列番号38~55および110、ならびに配列番号56~74および111;表A-2)を提供する。特に、本発明は、ヒトアグリカンに結合するアミノ酸残基のストレッチを提供し、ここで、前記ストレッチの前記アグリカンへの結合は、軟骨性組織の存在下において保持される(上記のとおり)。これらのアミノ酸残基のストレッチは、特にそれらが本発明のポリペプチドの抗原結合部位(の一部)を形成するように、本発明のコンストラクトまたはポリペプチドにおいて存在してもよく、および/または、これに組み込まれていてもよい。これらのアミノ酸残基のストレッチは、アグリカンに対して産生させた重鎖抗体のCDR配列またはVHH配列として作製した。これらのアミノ酸残基のストレッチは、本明細書において、「本発明のCDR配列(単数または複数)」(それぞれ、「本発明のCDR1配列(単数または複数)」、「本発明のCDR2配列(単数または複数)」および「本発明のCDR3配列(単数または複数)」)ともまた称される。
【0152】
しかしながら、本発明は、最も広義には、これらのアミノ酸残基のストレッチによって、本発明のポリペプチドが、所望される親和性および効力によりアグリカンと結合できる限り、これらのアミノ酸残基のストレッチが本発明のポリペプチドにおいて有する特定の構造的役割または機能に限定されない点に留意すべきである。このように、一般的に、本発明は最も広義には、特定の親和性、アビディティ、有効性および/または効力によりアグリカンと結合でき、本明細書に記載される1つ以上のCDR配列、特に二つ以上のかかるCDR配列の好適な組合せを、1つ以上の更なるアミノ酸配列を介して、全ポリペプチドがアグリカンと結合できる結合ドメインおよび/または結合単位を形成する態様で各々適切に連結された形で含む、ポリペプチド(本明細書において「本発明のポリペプチド(単数または複数)」ともまた称される)を提供する。しかしながら、本発明のポリペプチド中にかかるCDR配列が1つだけ存在する場合であっても、本発明のポリペプチドのアグリカンとの結合能力が十分に提供される点にも留意すべきであり、例えば再び参照として、WO 03/050531に記載のいわゆる「促進断片(Expedite fragments)」が挙げられる。
【0153】
具体的であるが非限定的な側面において、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、以下からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基のストレッチから本質的になるか、またはこれを含んでもよい:
i)CDR1配列:
a)配列番号24、32、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、33、34、35、36、37および109;ならびに
b)配列番号24のアミノ酸配列と4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列;
ならびに/または
ii)CDR2配列:
c)配列番号42、50、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、51、52、53、54、55および110;ならびに
d)配列番号42のアミノ酸配列と4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列;
ならびに/または
iii)CDR3配列:
e)配列番号60、68、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67、69、70、71、72、73、74および111;ならびに
f)配列番号60のアミノ酸配列と4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0154】
さらなる側面において、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはISVは、配列番号20~74および109~111からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基のストレッチを含んでもよい。
【0155】
特に、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはISVは、1つの結合部位を含むアグリカン結合剤であってよく、ここで、前記抗原結合部位は、上記のようなCDR1配列、CDR2配列およびCDR3配列(または任意の好適なそれらの組み合わせ)からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基のストレッチを含む。好ましい側面においては、しかし、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはISVは、本発明のCDR1配列、本発明のCDR2配列および/または本発明のCDR3配列からなる群より選択される1つより多くの、例えば2つ以上のアミノ酸残基のストレッチを含む。好ましくは、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはISVは、それぞれ、本発明のCDR1配列、本発明のCDR2配列および本発明のCDR3配列からなる群より選択される、3つのアミノ酸残基のストレッチを含む。本明細書において本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはISVのために好ましいものとして記述されるCDRの組み合わせは、表A-2において列記され、すなわち、好ましくは、前記表の単一の行に示されるCDRの組み合わせである。
【0156】
上記のCDRを有する代表的な本発明のポリペプチドを、表A-1において示す(配列番号1~19および114~118)。
【0157】
好ましい態様において、本発明は3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで:
- CDR1は、配列番号24、32、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、33、34、35、36、37および109からなる群より選択され;
- CDR2は、配列番号42、50、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、51、52、53、54、55および110からなる群より選択され;ならびに
- CDR3は、配列番号60、68、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67、69、70、71、72、73、74および111からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0158】
好ましい態様において、本発明は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで:
- CDR1は、配列番号24であり、CDR2は、配列番号42であり、およびCDR3は、配列番号60である;
- CDR1は、配列番号32であり、CDR2は、配列番号50であり、およびCDR3は、配列番号68である;
- CDR1は、配列番号20であり、CDR2は、配列番号38であり、およびCDR3は、配列番号56である;
- CDR1は、配列番号21であり、CDR2は、配列番号39であり、およびCDR3は、配列番号57である;
- CDR1は、配列番号22であり、CDR2は、配列番号40であり、およびCDR3は、配列番号58である;
- CDR1は、配列番号23であり、CDR2は、配列番号41であり、およびCDR3は、配列番号59である;
- CDR1は、配列番号25であり、CDR2は、配列番号43であり、およびCDR3は、配列番号61である;
- CDR1は、配列番号26であり、CDR2は、配列番号44であり、およびCDR3は、配列番号62であり;
- CDR1は、配列番号27であり、CDR2は、配列番号45であり、およびCDR3は、配列番号63である;
- CDR1は、配列番号28であり、CDR2は、配列番号46であり、およびCDR3は、配列番号64である;
- CDR1は、配列番号29であり、CDR2は、配列番号47であり、およびCDR3は、配列番号65である;
- CDR1は、配列番号30であり、CDR2は、配列番号48であり、およびCDR3は、配列番号66であり;
- CDR1は、配列番号31であり、CDR2は、配列番号49であり、およびCDR3は、配列番号67である;
- CDR1は、配列番号32であり、CDR2は、配列番号51であり、およびCDR3は、配列番号69である;
- CDR1は、配列番号33であり、CDR2は、配列番号52であり、およびCDR3は、配列番号70であり;
- CDR1は、配列番号34であり、CDR2は、配列番号50であり、およびCDR3は、配列番号71である;
- CDR1は、配列番号35であり、CDR2は、配列番号53であり、およびCDR3は、配列番号72である;
- CDR1は、配列番号36であり、CDR2は、配列番号54であり、およびCDR3は、配列番号73であり;
- CDR1は、配列番号37であり、CDR2は、配列番号55であり、およびCDR3は、配列番号74であり;または
- CDR1は、配列番号109であり、CDR2は、配列番号110であり、およびCDR3は、配列番号111であり;
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0159】
好ましい態様において、本発明は、ISVなどのアグリカン結合剤に関し、ここで、配列番号117、5、118、13、114~116、1~4、6~12および14~19からなる群より選択される。
【0160】
本発明は、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドの、(またはそれを発現させるために用いられる本発明の核酸の)起源にも、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチド、または本発明の核酸が生成される(または生成された)か得られる(または得られた)かにも、限定されないことに、さらに留意すべきである。したがって、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、天然に存在するISV(任意の好適な種からの)であっても、または合成または半合成のISVおよび/またはポリペプチドであってもよい。
【0161】
さらに、限定されないがヒト骨格または非免疫グロブリン骨格などの他の「骨格」に対して、前記の1つ以上のCDRを「グラフトする」ことができることも、当業者に自明である。適切な骨格およびかかるCDRグラフトの技術は当業者に自明であり、例えば米国特許第7,180,370号、国際公開第01/27160号、欧州特許出願公開第0605522号、欧州特許出願公開第0460167号、米国特許第7,054,297号、Nicaise et al.(Protein Science 13: 1882-1891, 2004)、Ewert et al.(Methods 34: 184-199, 2004)、Kettleborough et al.(Protein Eng. 4: 773-783, 1991)、O' Brien and Jones(Methods Mol. Biol. 207: 81-100, 2003)、Skerra(J. Mol. Recognit. 13: 167-187, 2000)およびSaerens et al.(J. Mol. Biol. 352: 597-607, 2005)、およびその中の更なる引例などにより公知技術である。例えば、マウスまたはラットのCDRをヒトフレームワークおよび骨格上へグラフトする技術自体も公知であり、また同様に用いることにより、本発明の一価のポリペプチドについて本明細書において定義されるCDR配列の1つ以上と、1つ以上のヒトフレームワーク領域または配列と、を含むキメラタンパク質が提供される。アミノ酸配列を提示するための適切な骨格は当業者に自明であり、例えば、免疫グロブリン(すなわち本明細書で上記した免疫グロブリン配列以外の)に基づくかまたはそれに由来する結合骨格、プロテインAドメイン(Affibodies(商標)など)に由来するタンパク質骨格、テンダミスタット(tendamistat)、フィブロネクチン、リポカリン、CTLA-4、T細胞レセプター、人工アンキリンリピート、アビマー(avimers)およびPDZドメイン(Binz et al. Nat Biotech 23: 1257, 2005)、ならびに、限定されないがDNAまたはRNAアプタマーなどの、DNAまたはRNAに基づく結合部分(Ulrich et al. Com Chem. High Throughput Screen 9: 619-32, 2006)が挙げられる。
【0162】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドにおいて、CDRは、更なるアミノ酸配列に連結されてもよく、および/またはアミノ酸配列を介して各々連結されてもよく、その際、前記アミノ酸配列は、好ましくはフレームワーク配列であるか、またはフレームワーク配列として作用するアミノ酸配列であるか、または一緒にCDRを提示するための骨格を形成する。
【0163】
好適な態様では、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドは、少なくとも2つのフレームワーク配列に連結される少なくとも3つのCDR配列を含み、その際、3つのCDR配列のうちの好ましくは少なくとも1つはCDR3配列であり、その他の2つのCDR配列はCDR1またはCDR2配列であり、好ましくは、1つがCDR1配列であり、1つがCDR2配列である。特に好適かつ非限定的な態様では、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチド、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を有し、その際、CDR1、CDR2およびCDR3は、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドに関して本明細書で定義されるとおりであり、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドにおいて、フレームワーク配列は、いかなる適切なフレームワーク配列であってもよく、適切なフレームワーク配列の例は、例えば標準的なハンドブックおよび本明細書の更なる開示および従来技術に基づき、当業者に明らかである。
【0164】
したがって、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、ここで;
(i)CDR1は、
(a)配列番号24、32、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、33、34、35、36、37および109;ならびに
(b)配列番号24のアミノ酸配列と、または配列番号20~23、25~37および109のいずれかと、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは、
(ii)CDR2は、
(c)配列番号42、50、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、51、52、53、54、55および110;ならびに
(d)配列番号42のアミノ酸配列と、配列番号38~41、43~55および110のいずれかと、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは、
(iii)CDR3は、
(e)配列番号60、68、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67、69、70、71、72、73、74および111;ならびに
(f)配列番号60のアミノ酸配列と、または配列番号56~59、61~74および111のいずれかと、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列;
からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0165】
本発明のアグリカン結合剤は、アグリカンのG1領域、G1-IGD-G2領域またはG2領域にマッピングすることができる。
したがって、本発明は、アグリカンのG2ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。例において記載されるとおり、本発明のこれらのアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドは、多様な好ましい特徴を有する。好ましくは、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチド、は、8より大きなpIを有するか、および/または210-2-1未満のKoffを有するか、および/または110-6M未満のEC50を有する。
【0166】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドのCDRの比較により、アグリカンのG2ドメインへの結合を保持しつつ、CDRにおいて許容可能な多数のアミノ変更が明らかとなった。参照として用いられた601D02のCDRに対する、全てのクローンのCDRにおける配列可変性を、表1.5A、1.5Bおよび1.5Cにおいて表す。
【0167】
一態様において、本発明は、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号28、22、26および33;ならびに
b)配列番号28のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Gは、Rに変更されている;
- 位置2において、Pは、SもしくはRに変更されている;
- 位置3において、Tは、Iに変更されている;
- 位置5において、Sは、Nに変更されている;
- 位置6において、Rは、N、MもしくはSに変更されている;
- 位置7において、Yは、Rに変更されているか、または不在である;
- 位置8において、Aは、Fに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置10において、Gは、Yに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号46、40、44および52;ならびに
d)配列番号46のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Aは、SもしくはYに変更されている;
- 位置4において、Wは、Lに変更されている;
- 位置5において、Sは、Nに変更されている;
- 位置6において、Sは、不在である;
- 位置7において、Gは、不在である;
- 位置8において、Gは、Aに変更されている;
- 位置9において、Rは、S、DもしくはTに変更されている;および/または
- 位置11において、Yは、NもしくはRに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号64、58、62および70;ならびに
f)配列番号64のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Aは、RもしくはFに変更されている;
- 位置2において、Rは、IもしくはLに変更されている;
- 位置3において、Iは、HもしくはQに変更されている;
- 位置4において、Pは、GもしくはNに変更されている;
- 位置5において、Vは、Sに変更されている;
- 位置6において、Rは、G、NもしくはFに変更されている;
- 位置7において、Tは、R、WもしくはYに変更されている;
- 位置8において、Yは、RもしくはSに変更されているか、または不在である;
- 位置9において、Tは、Sに変更されているか、または不在である;
- 位置10において、Sは、E、Kに変更されているか、または不在である;
- 位置11において、Eは、N、Aに変更されているか、または不在である;
- 位置12において、Wは、Dに変更されているか、または不在である;
- 位置13において、Nは、Dに変更されているか、または不在である;
- 位置14において、Yは、不在である;および/または
- DおよびNが、配列番号64の位置14の後に付加される;
からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0168】
一側面において、本発明は、
- CDR1は、配列番号28、22、26および33からなる群より選択され;
- CDR2は、配列番号46、40、44および52からなる群より選択され;ならびに
- CDR3は、配列番号64、58、62および70からなる群より選択される、
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0169】
一側面において、本発明は、
- CDR1が、配列番号28であり、CDR2が、配列番号46であり、およびCDR3が、配列番号64である;
- CDR1が、配列番号22であり、CDR2が、配列番号40であり、およびCDR3が、配列番号58である;
- CDR1が、配列番号26であり、CDR2が、配列番号44であり、およびCDR3が、配列番号62である;ならびに
- CDR1が、配列番号33であり、CDR2が、配列番号52であり、およびCDR3が、配列番号70である;
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0170】
一側面において、本発明は、配列番号9、3、7および15、ならびに配列番号9、3、7および15のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、アグリカン結合剤からなる群より選択される、アグリカン結合剤の群から選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。
【0171】
一側面において、本発明は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG2ドメインへの結合を交差ブロッキングする、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。
【0172】
一側面において、本発明は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG2-ドメインに結合し、アグリカンのG2ドメインへの結合について、本発明のアグリカン結合剤、例えば好ましくは配列番号9、3、7および15のいずれか1つにより表される本発明のISVおよび/またはポリペプチドと競合するものに関する。
【0173】
本発明はまた、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインに結合する本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。例において記載されるとおり、本発明のこれらのアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドは、多様な好ましい特徴を有する。好ましくは、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドは、8より大きなpIを有するか、および/または210-2-1未満のKoffを有するか、および/または110-6M未満のEC50を有する。
【0174】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドのCDRの比較により、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合を保持しつつ、CDRにおいて許容し得るアミノ変更が明らかとなった。参照として用いられた604F02のCDRに対する全てのクローンのCDRにおける配列の可変性を、表1.4A、1.4Bおよび1.4Cにおいて表される。
【0175】
一側面において、本発明はまた、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号32、30および23;ならびに
b)配列番号32のアミノ酸配列と3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置2において、Rは、Lに変更されている;
- 位置6において、Sは、Tに変更されている;および/または
- 位置8において、Tは、Aに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号50、41、48および51;ならびに
d)配列番号50のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置7において、Gは、SもしくはRに変更されている;および/または
- 位置8において、Rは、Tに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号68、59、66および69;ならびに
f)配列番号68のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置4において、Rは、VもしくはPに変更されている;
- 位置6において、Aは、Yに変更されている;
- 位置7において、Sは、Tに変更されている;
- 位置8において、Sは、不在である;
- 位置9において、Nは、Pに変更されている;
- 位置10において、Rは、TもしくはLに変更されている;
- 位置11において、Gは、Eに変更されている;および/または
- 位置12において、Lは、TもしくはVに変更されている;
からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0176】
一側面において、本発明は、
- CDR1は、配列番号32、30および23からなる群より選択され;
- CDR2は、配列番号50、41、48および51からなる群より選択され;ならびに
- CDR3は、配列番号68、59、66および69からなる群より選択される、
本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0177】
一側面において、本発明は、
- CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号68である;
- CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号51であり、およびCDR3が、配列番号69である;
- CDR1が、配列番号30であり、CDR2が、配列番号48であり、およびCDR3が、配列番号66である;ならびに
- CDR1が、配列番号23であり、CDR2が、配列番号41であり、およびCDR3が、配列番号59である;
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0178】
一側面において、本発明は、配列番号118、13、4、11および14を有するアグリカン結合剤、ならびに配列番号118、13、4、11および14のいずれか1つと、90%または95%などの、80%より高い配列同一性を有する、アグリカン結合剤からなる群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。
【0179】
一側面において、本発明は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合を交差ブロッキングする、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。
【0180】
一側面において、本発明は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインに結合し、アグリカンのG1-IGD-G2ドメインへの結合について、好ましくは配列番号118、13、4、11および14のいずれか1つにより表される、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドと、競合するものに関する。
【0181】
特に好ましい態様において、本発明は、アグリカンのG1ドメインに結合する、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドに関する。例において記載されるとおり、本発明のこれらのアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチド、は、多様な好ましい特徴を有する。好ましくは、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドは、8より大きなpIを有するか、および/または210-2-1未満のKoffを有するか、および/または110-6M未満のEC50を有する。
【0182】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドのCDRの比較により、アグリカンのG1ドメインへの結合を保持しつつ、CDRにおいて許容可能な多数のアミノ変更が明らかとなった。参照として用いられた114F08のCDRに対する全てのクローンのCDRにおける配列可変性を、表1.3A、1.3Bおよび1.3Cにおいて表す。
【0183】
好ましい側面において、本発明は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号24、20、21、25、27、29、31、34、35、36および37;ならびに
b)配列番号24のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置2において、Sは、R、F、IもしくはTに変更されている;
- 位置3において、Tは、Iに変更されている;
- 位置5において、Iは、Sに変更されている;
- 位置6において、Iは、S、RもしくはMに変更されている;
- 位置7において、Nは、YもしくはRに変更されている;
- 位置8において、Vは、A、Y、TもしくはGに変更されている;
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または
- 位置10において、Rは、G、KもしくはAに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号42、38、39、43、45、47、49、50、53、54および55;ならびに
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;
- SもしくはNが位置3と位置4との間に挿入される(位置2a、表1.3B);
- 位置3において、Sは、R、W、NもしくはTに変更されている;
- 位置4において、Sは、TもしくはGに変更されている;
- 位置5において、Gは、Sに変更されている;
- 位置6において、Gは、SもしくはRに変更されている;
- 位置7において、Nは、S、TもしくはRに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、DもしくはYに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号60、56、57、61、63、65、67、71、72、73および74;ならびに
f)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Pは、G、R、DもしくはEに変更されているか、または不在である;
- 位置2において、Tは、R、L、PもしくはVに変更されているか、または不在である;
- 位置3において、Tは、M、SもしくはRに変更されているか、または不在である;
- 位置4において、Hは、D、Y、GもしくはTに変更されている;
- 位置5において、Yは、F、V、TもしくはGに変更されている;
- 位置6において、Gは、L、D、S、YもしくはWに変更されている;
- R、T、YもしくはVが、位置6と位置7との間に挿入される(位置6a、表1.3C);
- 位置7において、Gは、PもしくはSに変更されている;
- 位置8において、Vは、G、T、H、R、LもしくはYに変更されている;
- 位置9において、Yは、R、A、S、DもしくはGに変更されている;
- 位置10において、Yは、N、E、G、WもしくはSに変更されている;
- Wが、位置10と位置11との間に挿入される(位置10a、表1.3C);
- 位置11において、Gは、S、KもしくはYに変更されている;
- 位置12において、Pは、EもしくはDに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である;
からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0184】
好ましい側面において、本発明は、CDR1が、配列番号24、20、21、25、27、29、31、34、35、36、37および109からなる群より選択され;CDR2が、配列番号42、38、39、43、45、47、49、50、53、54、55および110からなる群より選択され;およびCDR3が、配列番号60、56、57、61、63、65、67、71、72、73、74および111からなる群より選択される、アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する;好ましくは、アグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドは、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0185】
好ましい側面において、本発明は、
- CDR1が、配列番号24であり、CDR2が、配列番号42であり、およびCDR3が、配列番号60である;
- CDR1が、配列番号20であり、CDR2が、配列番号38であり、およびCDR3が、配列番号56である;
- CDR1が、配列番号21であり、CDR2が、配列番号39であり、およびCDR3が、配列番号57である;
- CDR1が、配列番号25であり、CDR2が、配列番号43であり、およびCDR3が、配列番号61である;
- CDR1が、配列番号27であり、CDR2が、配列番号45であり、およびCDR3が、配列番号63である;
- CDR1が、配列番号29であり、CDR2が、配列番号47であり、およびCDR3が、配列番号65である;
- CDR1が、配列番号31であり、CDR2が、配列番号49であり、およびCDR3が、配列番号67である;
- CDR1が、配列番号34であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号71である;
- CDR1が、配列番号35であり、CDR2が、配列番号53であり、およびCDR3が、配列番号72である;
- CDR1が、配列番号36であり、CDR2が、配列番号54であり、およびCDR3が、配列番号73であり;
- CDR1が、配列番号37であり、CDR2が、配列番号55であり、およびCDR3が、配列番号74であり;ならびに
- CDR1が、配列番号109であり、CDR2が、配列番号110であり、およびCDR3が、配列番号111である;
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0186】
例のセクションにおいて、例示的なクローン114F08が、特に好ましい特徴を有することが示されている。クローン114F08は、クローン114A09(配列番号114)および114B04(配列番号115)をさらに含む、CDRにおける類似性(これは、機能的特徴における類似性を反映する)に基づいてグループ化され(表A-2ならびに表3.3A、3.3Bおよび3.3Cを参照)、クローンのファミリーまたはセットを表す。したがって、別の特に好ましい側面において、本発明は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで;
i)CDR1は、以下からなる群より選択される:
a)配列番号24および109;ならびに
b)配列番号24のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置7において、Nは、Sに変更されている;および/または
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、以下からなる群より選択される:
c)配列番号42および110;ならびに
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Tは、Aに変更されている;
- 位置3において、Sは、Rに変更されている;
- 位置4において、Sは、Tに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、Dに変更されている;
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、以下からなる群より選択される:
e)配列番号60および111;ならびに
f)配列番号60のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置4において、Hは、Rに変更されている;および/または
- 位置8において、Vは、Dに変更されている;
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0187】
一側面において、本発明は、
- CDR1が、配列番号24および109からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42および110からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60および111からなる群より選択される、
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0188】
さらに、例のセクションにおいて、アグリカンのG1領域に結合し、エピトープビン1またはエピトープビン4に属するアグリカン結合剤が、軟骨保持アッセイにおいて特に有効であることが示されている。一側面において、本発明は、エピトープビン1またはエピトープビン4に属する本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。
【0189】
エピトープビン1に属する本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドのCDRの比較により、アグリカンのG1ドメインへの結合を保持しつつ、CDRにおいて許容することができる多数のアミノ変更が明らかとなった。参照として用いられた608A05のCDRに対する全てのクローンのCDRにおける配列可変性を、表2.3D、2.3Eおよび2.3Fにおいて表す。
【0190】
好ましい側面において、本発明は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号36、20および29;ならびに
b)配列番号36のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置3において、Tは、Sに変更されている;
- 位置6において、Tは、Sに変更されている;
- 位置8において、Tは、Aに変更されている;および/または
- 位置9において、Mは、Vに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号54、38および37;ならびに
d)配列番号54のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Aは、Iに変更されている;
- 位置4において、Wは、Rに変更されている;
- 位置7において、Gは、Rに変更されている;および/または
- 位置8において、Tは、Sに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号73、56および65;ならびに
f)配列番号73のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Rは、Gに変更されている;
- 位置2において、Pは、RもしくはLに変更されている;
- 位置3において、Rは、LもしくはSに変更されている;
- 位置5において、Yは、Rに変更されている;
- 位置6において、Yは、SもしくはAに変更されている;
- 位置7において、Yは、Tに変更されているか、または不在である;
- 位置8において、Sは、Pに変更されている;
- 位置9において、Lは、HもしくはRに変更されている;
- 位置10において、Yは、PもしくはAに変更されている;
- 位置11において、Sは、AもしくはYに変更されている;
- 位置12において、Yは、Dに変更されている;
- 位置13において、Dは、Fに変更されている;
- 位置14において、Yは、Gに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置14の後、Sが挿入される;
からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0191】
一側面において、本発明は、
- CDR1が、配列番号20、29および36からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号38、47および54からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号56、65および73からなる群より選択される;
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0192】
一側面において、本発明は、エピトープビン1に属する本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドであって、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1ドメインへの結合を交差ブロッキングするものに関する。
【0193】
一側面において、本発明は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG1-ドメインのエピトープビン1に結合し、アグリカンのG1ドメインへの結合について、本発明のアグリカン結合剤、例えばエピトープビン1に属する、好ましくは例えば配列番号1、10および18のいずれか1つにより表されるISVおよび/またはポリペプチドと競合するものに関する。
【0194】
エピトープビン4に属する本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドのCDRの比較により、アグリカンのG1ドメインへの結合を保持しつつ、CDRにおいて許容することができる、多数のアミノ変更が明らかとなった。参照として用いられた114F08のCDRに対する全てのクローンのCDRにおける配列の可変性を、表2.3A、2.3Bおよび2.3Cにおいて表す。
【0195】
一側面において、本発明は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号24、25および27;ならびに
b)配列番号24のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置2において、Sは、IもしくはFに変更されている;
- 位置5において、Iは、Sに変更されている;
- 位置6において、Iは、SもしくはMに変更されている;
- 位置7において、Nは、RもしくはYに変更されている;
- 位置8において、Vは、AもしくはYに変更されている;
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または
- 位置10において、Rは、Kに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号42、43および45;ならびに
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;
- 位置2と位置3との間にNが挿入される(位置2a、表2.3B);
- 位置7において、Nは、Rに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、Dに変更されている;
からなる群より選択され、ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号60、61および63;ならびに
f)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、アミノ酸の相違(単数または複数)は、以下のとおり定義される:
- 位置1において、Pは、不在である;
- 位置2において、Tは、Rに変更されているか、または不在である;
- 位置3において、Tは、Mに変更されているか、または不在である;
- 位置4において、Hは、DもしくはYに変更されている;
- 位置5において、Yは、FもしくはVに変更されている;
- 位置6において、Gは、LもしくはDに変更されている;
- 位置8において、Vは、GもしくはTに変更されている;
- 位置9において、Yは、Rに変更されている;
- 位置10において、Yは、NもしくはEに変更されている;
- 位置11において、Gは、SもしくはKに変更されている;
- 位置12において、Pは、Eに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である;
からなる群より選択され、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0196】
一側面において、本発明は、
- CDR1が、配列番号24、25および27からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42、43および45からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60、61および63からなる群より選択される;
アグリカン結合剤の群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関し、
好ましくは、ISVおよび/またはポリペプチドなどのアグリカン結合剤は、構造FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4を含み、ここで、FR1、FR2、FR3およびFR4は、フレームワーク配列である。
【0197】
一側面において、本発明は、エピトープビン4に属する本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドであって、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列の、アグリカンのG1ドメインへの結合を交差ブロッキングするものに関する。
【0198】
一側面において、本発明は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適な免疫グロブリン、dAb、dAbとしての使用のために好適な免疫グロブリン、ナノボディ、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化VH配列、または親和性成熟により得られたVHH配列であって、アグリカンのG1-ドメインのエピトープビン4に結合し、アグリカンのG1ドメインへの結合について、エピトープビン4に属する本発明のアグリカン結合剤、例えば配列番号117、114、115、116、5、6および8のいずれか1つにより表されるISVおよび/またはポリペプチドなどと競合するものに関する。
【0199】
一側面において、本発明は、配列番号117、118、116、114、115、5、13、1、2、6、8、10、12、16、17、18、および19により表されるアグリカン結合剤、ならびに配列番号117、118、116、114、115、5、13、1、2、6、8、10、12、16、17、18、および19のいずれか1つと、90%、または95%、またさらにはそれより高いなどの、80%より高いば配列同一性を有する、ISVからなる群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVおよび/またはポリペプチドに関する。
【0200】
1つの具体的かつ非限定的な側面では、本発明のアグリカン結合剤は、免疫グロブリンフォールドを含むアミノ酸残基のストレッチ、または適切な条件(生理的条件などの)下で、(すなわちフォールディングによって)免疫グロブリンフォールドを形成できるアグリカン結合剤であってもよい。参照として、特に、Halaby et al.(J. Protein Eng. 12: 563-71, 1999)によるレビューが挙げられる。好ましくは、適切に免疫グロブリンフォールドを形成するようにフォールディングされるとき、アミノ酸残基のストレッチは、アグリカンとの結合のための抗原結合部位を適切に形成することが可能である。したがって、好適な側面では、本発明のアグリカン結合剤は、例えば免疫グロブリン単一可変ドメインなどの免疫グロブリンである。
【0201】
したがって、フレームワーク配列は好ましくは、免疫グロブリンフレームワーク配列(の好適な組合せ)、または免疫グロブリンフレームワーク配列から(例えば配列最適化(例えばヒト化またはラクダ化)によって)誘導されるフレームワーク配列である。例えば、フレームワーク配列は、軽鎖可変ドメイン(例えばV配列)などの免疫グロブリン単一可変ドメイン、および/または重鎖可変ドメイン(例えばV配列)から誘導されるフレームワーク配列であってもよい。特に好適な一側面では、フレームワーク配列は、VHH配列から誘導されたフレームワーク配列(前記フレームワーク配列が任意に部分的に、または、完全にされてもよい)または、(本明細書で定義されるように)ラクダ化された従来型のV配列のいずれかである。
【0202】
フレームワーク配列は、好ましくは、本発明の一価のポリペプチドが、ドメイン抗体(またはドメイン抗体としての使用に適するアミノ酸配列)などのISV、単一ドメイン抗体(または単一ドメイン抗体としての使用に適するアミノ酸)、「dAb」(またはdAbとしての使用に適するアミノ酸)、ナノボディ(登録商標)、VHH配列、ヒト化VHH配列、ラクダ化V配列、または親和性成熟によって得られたVHH配列、であるようなものであってもよい。また、適切なフレームワーク配列は、例えば標準的なハンドブックおよび本明細書の更なる開示および従来技術に基づき、当業者に明らかである。
【0203】
本発明の別の特に好ましいクラスのISVは、天然に存在するVドメインのアミノ酸配列に対応するが、「ラクダ化」されている、すなわち、従来の四鎖抗体からの天然に存在するVドメインのアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメインにおける対応する位置(単数または複数)において生じるアミノ酸残基の1つ以上により置き換えられている、アミノ酸配列を有するISVを含む。これは、当業者には明らかであろうそれ自体公知の様式において、例えば本明細書における記載に基づいて、行うことができる。かかる「ラクダ化」置換は、好ましくは、V-Vインターフェースを形成するか、および/もしくはこれにおいて存在するアミノ酸の位置において、ならびに/または、当業者に周知であり、例えばWO 94/04678およびDavies and Riechmann(1994および1996)において定義されている、いわゆるラクダ科ホールマーク残基において、挿入される。好ましくは、ラクダ化ISVを作製または設計するための出発材料または出発点として用いられるV配列は、好ましくは哺乳動物からのV配列、より好ましくはヒトのV配列、例えばV3配列である。しかし、かかる本発明のラクダ化ISVは、それ自体公知の任意の好適な様式において得ることができ、したがって、厳密には、天然に存在するVドメインを出発材料として含むポリペプチドを用いて得られたポリペプチドに限定されないことに注意すべきである。
【0204】
例えば、再び本明細書においてさらに記載されるように、「ヒト化」および「ラクダ化」はいずれも、それぞれ天然に存在するVHHドメインまたはVドメインをコードするヌクレオチド配列を提供し、次いで、前記ヌクレオチド配列中の1つ以上のコドンを、新たなヌクレオチド配列が、それぞれ「ヒト化された」または「ラクダ化された」本発明のISVをコードするように、それ自体公知の様式において変更することにより、行うことができる。この核酸を、次いで、所望される本発明のISVを提供するためにそれ自体公知の様式において発現させることができる。あるいは、それぞれ天然に存在するVHHドメインまたはVドメインのアミノ酸配列に基づいて、それぞれ所望される本発明のヒト化またはラクダ化ISVのアミノ酸配列を設計して、次いで、それ自体公知のペプチド合成のための技術を用いて、de novoで合成することができる。また、それぞれ天然に存在するVHHドメインまたはVドメインのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に基づいて、それぞれ所望される本発明のヒト化またはラクダ化ISVをコードするヌクレオチド配列を設計して、次いで、それ自体公知の核酸合成のための技術を用いて、de novoで合成することができ、その後、そのようにして得られた核酸を、所望される本発明のISVを提供するために、それ自体公知の様式において発現させることができる。
【0205】
特に、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドにおいて存在するフレームワーク配列は、本発明のアグリカン結合剤がナノボディとなるように、例えばWO 08/020079(表A-3~A-8)において定義されるような、ホールマーク残基の1つ以上を含んでもよい。かかるフレームワーク配列(の好適な組み合わせ)のいくつかの好ましいが非限定的な例は、本明細書におけるさらなる開示から明らかとなるであろう(例えば、表A-2を参照)。一般に、ナノボディ(特に、VHH配列および部分的にヒト化ナノボディ)は、特に、フレームワーク配列の1つ以上における1つ以上の「ホールマーク残基」の存在により特徴づけることができる(例えば、WO 08/020079、61頁24行~98頁3行においてさらに記載されるとおりである)。本明細書において用いられる場合、任意の配列番号に関する「により表される」は、前記配列番号「を含むか、またはこれからなる」に等しく、好ましくは前記配列番号「からなる」に等しい。
【0206】
ことさらには、本発明は、(一般)構造:
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのISVを含むアグリカン結合剤を提供し、
ここで、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、ここで、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し、およびこれは:
i)配列番号117、116、118、116、115、114および1~19のアミノ酸配列の少なくとも1つと、少なくとも80%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは95%のアミノ酸同一性を有し(表A-2を参照)、ここで、アミノ酸同一性の程度を決定することを目的として、CDR配列を形成するアミノ酸残基は、無視される。このことに関して、また、配列番号117、118、116、115、114および1~19の免疫グロブリン単一可変ドメインのフレームワーク1配列(配列番号119、120および75~84)、フレームワーク2配列(配列番号121および85~93)、フレームワーク3配列(配列番号123、124、122、94~104および112-113)ならびにフレームワーク4配列(配列番号105~108)を列記する表A-2に対して参照がなされる;または
ii)表A-2において表されるようなフレームワーク配列の組み合わせ;
ならびにここで;
iii)好ましくは、Kabat番号づけによる位置11、37、44、45、47、83、84、103、104および108におけるアミノ酸残基の1つ以上が、例えばWO 08/020079の表A-3~表A-8において記述されるようなホールマーク残基から選択される。
【0207】
したがって、本発明は、ISVおよび/またはポリペプチドに関し、ここで、前記ISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および前記3つの相補性決定領域CDR1~CDR3から本質的になり、例えば、アグリカンに特異的に結合するISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および前記3つの相補性決定領域CDR1~CDR3からなり、治療用ISV、例えば、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11に結合するISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および前記3つの相補性決定領域CDR1~CDR3からなり;血清アルブミンに結合するISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる。
【0208】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドはまた、以下の同時係属中の全て表題「Improved immunoglobulin variable domains」の米国仮出願において記載される特定の変異/アミノ酸残基を含んでもよい:2014年5月16日に出願されたUS 61/994552;2014年6月18日に出願されたUS 61/014,015;2014年8月21日に出願されたUS 62/040,167;および2014年9月8日に出願されたUS 62/047,560(全てAblynx N.V.に帰属する)。
【0209】
特に、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、以下を好適に含んでもよい:(i)位置112におけるKもしくはQ;または(ii)位置11におけるVと組み合わせた位置110におけるKもしくはQ;または(iii)位置89におけるT;または(iv)位置89におけるLと、位置110におけるKもしくはQ;または(v)位置11におけるVと、位置89におけるL;または(i)~(v)の任意の好適な組み合わせ。
【0210】
前記の同時係属中の米国仮出願においてもまた記載されるとおり、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドが、上の(i)~(v)のうちの1つによる変異(または好適なそれらの組み合わせ)を含む場合:
- 位置11におけるアミノ酸残基は、好ましくは、L、VまたはK(および最も好ましくはV)から選択され;および
- 位置14におけるアミノ酸残基は、好ましくは、AまたはPから好適に選択され;および
- 位置41におけるアミノ酸残基は、好ましくは、AまたはPから好適に選択され;および
- 位置89におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、VまたはLから好適に選択され;および
- 位置108におけるアミノ酸残基は、好ましくは、QまたはLから好適に選択され;および
- 位置110におけるアミノ酸残基は、好ましくは、T、KまたはQから好適に選択され;および
- 位置112におけるアミノ酸残基は、好ましくは、S、KまたはQから好適に選択される。
【0211】
前記の同時係属中の米国仮出願において記述されるとおり、前記の変異は、いわゆる「既存の抗体」の、本発明のISV、ポリペプチドおよびコンストラクトへの結合を防止するかまたはこれを減少させることにおいて有効である。この目的のために、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドはまた、(任意に、前記変異と組み合わせて)C末端伸長部(X)(ここで、nは1~10、好ましくは1~5、例えば1、2、3、4または5(および好ましくは1または2、例えば1)であり;ならびに各々のXは、独立して選択される(好ましくは天然に存在する)アミノ酸残基であって、好ましくは独立して、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)からなる群より選択される)を含んでもよく、これについて、再び前記米国仮出願ならびにWO 12/175741に参照がなされる。特に、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチドは、それがタンパク質、ポリペプチドまたは他の化合物またはそれを含むコンストラクトのC末端の終末を形成する場合、かかるC末端伸長部を含んでもよい(再び、前記米国仮出願ならびにWO 12/175741においてさらに記載されるとおりである。
【0212】
本発明のアグリカン結合剤は、任意の好適な様式において任意の好適なソースから誘導された免疫グロブリン、例えばISVであってよく、例えば、天然に存在するVHH配列(すなわち、ラクダ科の好適な種からの)、合成または半合成のアミノ酸配列であってよく、これは、これらに限定されないが、「ヒト化された」(本明細書において定義されるとおり)ナノボディまたはVHH配列、「ラクダ化された」(本明細書において定義されるとおり)免疫グロブリン配列(および特に、ラクダ化重鎖可変ドメイン配列)、ならびに親和性成熟(例えば、合成の、無作為な、または天然に存在する免疫グロブリン配列から出発して)、CDR移植、ベニアリング(veneering)、異なる免疫グロブリン配列から誘導されるフラグメントを組み合わせること、重複するプライマーを用いるPCRアセンブリーなどの技術、および当業者に周知の免疫グロブリン配列を操作するための類似の技術により得られたナノボディ;または本明細書においてさらに記載されるような前述のいずれかの任意の好適な組み合わせを含む。また、免疫グロブリンがVHH配列を含む場合、前記免疫グロブリンは、本明細書においてさらに記載されるように、1つ以上のさらなる(部分的にまたは完全に)ヒト化された本発明の免疫グロブリンを提供するために、好適にヒト化されていてもよい。同様に、免疫グロブリンが、合成または半合成の配列(部分的にヒト化された配列など)を含む場合、前記免疫グロブリンは、任意に、再び本明細書において記載されるように、1つ以上のさらなる(部分的にまたは完全に)ヒト化された本発明の免疫グロブリンを提供するために、さらに好適にヒト化されていてもよい。
【0213】
一側面において、本発明は、配列番号117、118、116、115、114および1~19からなる群より選択される、本発明のアグリカン結合剤、例えばISVを提供する。
【0214】
ISVは、ポリペプチドの調製のための「構成要素(building block)」として用いることができ、これは、任意に、アグリカン上の同じもしくは別のエピトープに対する、および/またはアグリカン以外の1つ以上の他の抗原、タンパク質もしくは標的に対する、1つ以上のさらなる「構成要素」、例えばISV、例えば治療的な作用の機序を有する構成要素、例えば治療用ISVを含んでもよい。
【0215】
一般に、単一の構成要素、単一のISVまたは単一のナノボディを含むか、またはこれから本質的になるタンパク質またはポリペプチドまたはコンストラクトは、本明細書において、それぞれ、「一価の」タンパク質もしくはポリペプチドとして、または「一価のコンストラクト」と称されるであろう。2つ以上の構成要素または結合単位(例えばISVなど)を含むポリペプチドまたはコンストラクトは、本明細書において、「多価の」ポリペプチドまたはコンストラクトともまた称され、かかるポリペプチドまたはコンストラクト中に存在する構成要素/ISVは、本明細書において、「多価形式」におけるものともまた称されるであろう。例えば、「二価の」ポリペプチドは、2つのISV、任意に、リンカーを介して連結されている配列を含んでもよく、一方、「三価の」ポリペプチドは、任意に2つのリンカー配列を介して連結された3つのISVを含んでもよく;一方、「四価の」ポリペプチドは、任意に3つのリンカー配列を介して連結された4つのISVを含んでもよい、など。
【0216】
多価のポリペプチドまたはコンストラクトにおいて、2つ以上のISV、例えばナノボディは、同じであっても異なっていてもよく、同じ抗原または抗原決定基に対して(例えば同じ部分(単数または複数)もしくはエピトープ(単数または複数)に対して、または異なる部分もしくはエピトープに対して)向けられていてもよく、あるいは、異なる抗原または抗原決定基に対して向けられていてもよく;あるいは任意の好適なそれらの組み合わせであってもよい。少なくとも1つの構成要素が第1の抗原(すなわちアグリカン)に対して向けられており、少なくとも1つの構成要素が第2の抗原(すなわち、アグリカンとは異なるもの、例えば治療標的など)に対して向けられている、少なくとも2つの構成要素(例えばISVなど)を含むポリペプチドまたはコンストラクトは、それぞれ「多重特異性の」ポリペプチドまたは多重特異性コンストラクトともまた称され、かかるポリペプチドまたはコンストラクト中に存在する構成要素(例えばISVなど)は、本明細書において「多重特異的形式」にあるものともまた称されるであろう。したがって、例えば、「二重特異性の」本発明のポリペプチドは、第1の抗原(すなわちアグリカン)に対して向けられた少なくとも1つのISV、および第2の抗原(すなわち、アグリカンとは異なるもの、例えば治療標的など)に対して向けられた少なくとも1つのさらなるISVを含むポリペプチドであり、一方、「三重特異性の」本発明のポリペプチドは、第1の抗原(すなわち、アグリカン)に対して向けられた少なくとも1つのISV、第2の抗原(すなわち、アグリカンとは異なるもの、例えば治療標的など)に対して向けられた少なくとも1つのさらなるISV、および第3の抗原(すなわち、アグリカンとも第2の抗原とも異なるもの)に対して向けられた少なくとも1つのさらなるISVを含むポリペプチドである;など。
【0217】
「マルチパラトープ型(multiparatopic)」のポリペプチドおよび「マルチパラトープ型」のコンストラクト、例えば、「バイパラトープ型(biparatopic)」のポリペプチドまたはコンストラクトおよび「トリパラトープ型(triparatopic)」のポリペプチドまたはコンストラクトなどは、各々が異なるパラトープを有する2つ以上の構成要素を含むか、またはこれらから本質的になる。
【0218】
したがって、アグリカンに結合する本発明のISVは、本質的に単離された形態(本明細書において定義されるとおり)であっても、またはそれらは、コンストラクトまたはポリペプチドの部分を形成してもよく、これは、アグリカンに結合する1つ以上のISVを含むか、またはこれらから本質的になってもよく、およびこれは、任意に、1つ以上のさらなるアミノ酸配列(全て、任意に、1つ以上の好適なリンカーを介して連結されている)をさらに含んでもよい。本発明は、アグリカンに結合する、少なくとも1つの本発明によるISV、例えば1つ以上の本発明のISV(またはその好適なフラグメント)を含むか、またはこれらから本質的になる、ポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
【0219】
1つ以上の本発明のISVは、それぞれ一価、多価またはマルチパラトープ型の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトを提供するために、かかるポリペプチドまたはコンストラクトにおいて結合単位または構成要素として用いることができ、全て本明細書において記載されるとおりである。本発明は、したがってまた、1つの本発明の一価のポリペプチドまたはISVを含むか、またはこれから本質的になる、一価のコンストラクトであるポリペプチドに関する。本発明は、したがってまた、それぞれ多価のポリペプチドまたは多価のコンストラクトである、ポリペプチドまたはコンストラクト、例えば、2つ以上の本発明のISVを含むか、またはこれらから本質的になる、二価または三価のポリペプチドまたはコンストラクトなどに関する(1つ以上のVHHドメインを含む多価および多重特異性ポリペプチド、およびそれらの調製については、例えばまた、Conrathら(J. Biol. Chem. 276: 7346-7350, 2001)に、ならびに例えばWO 96/34103、WO 99/23221およびWO 2010/115998に参照がなされる)。
【0220】
本発明はさらに、アグリカン、好ましくはヒトアグリカンに対して向けられた、少なくとも1つのISV、例えば1つまたは2つのISV(またはその好適なフラグメント)、および1つのさらなるISVを含むか、またはこれから(本質的に)なる、多価ポリペプチド(本明細書において「本発明の多価ポリペプチド(単数または複数)」ともまた称される)に関する。
【0221】
一側面において、その最も簡易な形態において、本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクトは、アグリカンに対して向けられた第1のISV、例えばナノボディ、およびアグリカンに対して向けられた同一の第2のISV、例えばナノボディを含む、二価の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトであって、ここで、前記第1および前記第2のISV、例えばナノボディは、任意に、リンカー配列(本明細書において定義されるとおり)を介して連結されていてもよい。別の形態において、本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクトは、アグリカンに対して向けられた第1のISV、例えばナノボディ、アグリカンに対して向けられた同一の第2のISV、例えばナノボディ、およびアグリカンとは異なる抗原、例えば治療標的などに対して向けられた第3のISV、例えばナノボディを含む、本発明の三価のポリペプチドまたはコンストラクトであってよく、ここで、前記第1、第2、および第3のISV、例えばナノボディは、任意に、1つ以上の、特に2つのリンカー配列を介して連結されていてもよい。
【0222】
別の側面において、本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクトは、アグリカンに対して向けられた第1のISV、例えばナノボディ、および第2の抗原、例えば治療標的などに対して向けられた第2のISV、例えばナノボディを含む、二重特異性の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトであってもよく、ここで、前記第1および第2のISV、例えばナノボディは、任意に、リンカー配列(本明細書において定義されるとおり)を介して連結されていてもよい;一方、本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクトはまた、アグリカンに対して向けられた第1のISV、例えばナノボディ、第2の抗原、例えば治療標的などに対して向けられた第2のISV、例えばナノボディ、および例えばまた治療標的などであるが前記第2の抗原とは異なる第3の抗原に対して向けられた第3のISV、例えばナノボディを含む、三重特異性の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトであってもよく、ここで、前記第1、第2、および第3のISV、例えばナノボディは、任意に、1つ以上の、特に2つのリンカー配列を介して連結されていてもよい。
【0223】
好ましい側面において、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、それぞれ、三価の二重特異性のポリペプチドまたはコンストラクトである。三価の二重特異性の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、その最も簡易な形態において、アグリカンに対する2つの同一のISV、例えばナノボディ、および例えば治療標的などの別の抗原に対して向けられた第3のISV、例えばナノボディを含む、本発明の三価のポリペプチドまたはコンストラクト(本明細書において定義されるとおり)であってよく、ここで、前記第1、第2、および第3のISV、例えばナノボディは、任意に、1つ以上の、特に2つのリンカー配列を介して連結されていてもよい。
【0224】
好ましい側面において、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、それぞれ、三価の二重特異性のポリペプチドまたはコンストラクトである。三価の二重特異性の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、アグリカンに対する2つのISV、例えばナノボディ(ここで、アグリカンに対する前記ISVは、同じであっても異なっていてもよい)、および例えば治療標的などの別の抗原に対して向けられた第3のISV、例えばナノボディを含む、本発明の三価のポリペプチドまたはコンストラクト(本明細書において定義されるとおり)であってよく、ここで、前記第1、第2および第3のISV、例えばナノボディは、任意に、1つ以上の、および特に2つのリンカー配列を介して連結されてもよい。
本発明による特に好ましい三価の二重特異性のポリペプチドまたはコンストラクトは、本明細書において記載される例において、および表E-1およびE-2において示されるものである。
【0225】
別の側面において、本発明のポリペプチドは、二重特異性のポリペプチドまたはコンストラクトである。二重特異性の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、その最も簡易な形態において、アグリカンに対するISV、例えばナノボディを含む、二価の本発明のポリペプチドまたはコンストラクト(本明細書において定義されるとおり)、および例えば治療標的などの別の抗原に対して向けられた第2のISV、例えばナノボディであってよく、ここで、前記第1および第2のISV、例えばナノボディは、任意にリンカーを介して連結された配列であってもよい。
【0226】
好ましい側面において、本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクトは、アグリカンに対して向けられた2つ以上のISVを含むか、またはこれから本質的になる。一側面において、本発明は、本発明による少なくとも2つのアグリカンに結合するISV、例えば2、3または4つのISV(またはその好適なフラグメント)を含むか、またはこれから本質的になるポリペプチドまたはコンストラクトに関する。2つ以上のISVは、任意に、1つ以上のペプチド性リンカーを介して連結されていてもよい。
【0227】
本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクト中に存在する2つ以上のISVは、軽鎖可変ドメイン配列(例えばV配列)からなっても、重鎖可変ドメイン配列(例えば、V配列)からなってもよい;それらは、従来の4鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列からなっても、重鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列からなってもよい。好ましい側面において、それらは、ドメイン抗体(またはドメイン抗体としての使用のために好適なアミノ酸)からなっても、単一ドメイン抗体(または単一ドメイン抗体としての使用のために好適なアミノ酸)からなっても、「dAb」(またはdAbとしての使用のために好適なアミノ酸)からなっても、ナノボディ(登録商標)(限定されないが、VHHを含む)からなっても、ヒト化VHH配列からなっても、ラクダ化V配列からなっても;または親和性成熟により得られたVHH配列からなる。2つ以上のISVは、部分的にまたは完全にヒト化されたナノボディまたは部分的にまたは完全にヒト化されたVHHからなってもよい。
【0228】
本発明の一側面において、マルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型またはトリパラトープ型)の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトにおいて存在する第1のISVおよび第2のISVは、アグリカンへの結合について、互いに(交差)競合せず、したがって、異なるファミリーに属する。したがって、本発明は、2つ以上のISVを含むマルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型)のポリペプチドまたはコンストラクトに関し、ここで、各々のISVは、異なるファミリーに属する。一側面において、このマルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型)の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトの第1のISVは、このマルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型)の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトの第2のISVのアグリカンへの結合を交差ブロッキングせず、および/または、第1のISVは、第2のISVによるアグリカンへの結合から交差ブロッキングされない。別の側面において、マルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型)の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトの第1のISVは、このマルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型)の本発明のポリペプチドまたはコンストラクトの第2のISVのアグリカンへの結合を交差ブロッキングし、および/または第1のISVは、第2のISVによるアグリカンへの結合から交差ブロッキングされる。
【0229】
好ましい側面において、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、2つ以上のISVを含むか、またはこれから本質的になり、これらのうちの少なくとも1つのISVは、アグリカンに対して向けられている。特に好ましい側面において、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、3つ以上のISVを含むか、またはこれから本質的になり、これらのうちの少なくとも2つのISVは、アグリカンに対して向けられている。前記のアグリカンに対して向けられた少なくとも2つのISVは、同じであっても異なっていてもよく、アグリカンの同じエピトープ対して向けられていても、異なるエピトープに対して向けられていてもよく、同じエピトープビンに属していても、異なるエピトープビンに対して属していてもよく、および/またはアグリカンの同じドメインに結合しても異なるドメインに結合してもよいことは、理解されるであろう。
【0230】
好ましい側面において、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトは、少なくとも2つのISVを含むか、またはこれから本質的になり、ここで、前記少なくとも2つのISVは、同じであっても異なっていてもよく、これらは、独立して、配列番号117、118、116、115および1~19からなる群より選択され、より好ましくは、前記少なくとも2つのISVは、配列番号117、5、6、8、114~116からなる群より選択され、および/または前記少なくとも2つのISVは、配列番号118および13からなる群より選択される。
【0231】
さらなる側面において、本発明は、アグリカンに対して向けられた2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインであって、配列番号117、118、114、115、116および1~19のいずれか1つにより結合されるような、同じエピトープ(単数または複数)に結合するものを含む、マルチパラトープ型(好ましくはバイパラトープ型)のポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
【0232】
臨床用途のための分子の最終的な形式は、アグリカンに結合する1つまたは2つの構成要素、例えばISV、および、治療的な作用の様式を有する1つ以上の構成要素、例えばISV、およびおそらくはさらなる部分を含むことが、理解される。例のセクションにおいて、かかる形式が、アグリカン結合および保持の両方の特性、ならびに治療効果、例えば酵素および/または阻害機能を保持することが示される。治療的な作用の様式を有する1つ以上の構成要素、例えばISVは、アグリカンが関与する疾患、例えば関節炎疾患、変形性関節症、脊椎骨端骨幹端異形成、腰椎椎間板変性疾患、変形性関節疾患、関節リウマチ、離断性骨軟骨炎、アグリカン症(aggrecanopathies)、アグリカンが、他の、例えば治療的な、構成要素を、望ましい部位において(例えば関節においてなど)指揮するか、アンカリングするか、および/または保持するために用いられる疾患において、治療効果を有する任意の構成要素(「治療用構成要素」または「治療用ISV」)であってよい。本発明は、したがって、1つ以上のさらなる構成要素、例えばさらなるISVが活性を保持する、本発明によるポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
【0233】
本発明は、アグリカンに結合する少なくとも1つの本発明によるISV、例えば1つ以上の本発明のISV(またはその好適なフラグメント)、および少なくとも1つのさらなるISV、特に治療用ISVを含むか、またはこれらから本質的になるポリペプチドまたはコンストラクトに関し、ここで、前記少なくとも1つのさらなるISVは、好ましくは治療標的に結合する、例えば、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11に結合する。
【0234】
一側面において、本発明は、アグリカンに結合する少なくとも1つのISVおよび治療効果を有する少なくとも1つのさらなるISV、例えば治療用構成要素から本質的になるか、またはこれらを含む、本発明のポリペプチドまたはコンストラクトに関する。治療効果は、以下にさらに詳細に記載されるであろう疾患を寛解させるか、処置するか、または予防する、任意の所望される効果であってよい。好ましくは、さらなるISV、例えば治療用ISVは、プロテアーゼ活性を阻害または減少させる、例えば、治療標的の、すなわち、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11の活性を、阻害または減少させる。活性を阻害または減少させることは、プロテアーゼまたはプロテイナーゼの活性部位に結合することにより、またはその構造を修飾することにより、当該プロテアーゼまたはプロテイナーゼの標的タンパク質の加水分解を妨げるかおよび/または低下させることにより、達成することができる。
【0235】
一側面において、本発明は、表E-1および表E-2のポリペプチドおよびコンストラクトから選択される本発明のポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
一側面において、本発明は、滑液(SF)中で37℃において、14日間、21日間、1か月間、2か月間またはさらには3か月間などの、少なくとも7日間の安定性を有する、本発明のISV、ポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
一側面において、本発明は、軟骨保持アッセイにおいて、少なくとも、3、4、5または6RUなどの、少なくとも2RUの軟骨保持を有する、本発明のISV、ポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
一側面において、本発明は、少なくとも10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、またはさらにはそれを超えるなど、少なくとも5μm、軟骨中へと浸透する、本発明のISV、ポリペプチドまたはコンストラクトに関する。
【0236】
本発明のポリペプチド、コンストラクトまたはISVの安定性は、当業者に公知の慣用的なアッセイにより測定することができる。典型的なアッセイとして(限定されることなく)、例えば再び例のセクションにおいて(例6を参照)詳述されるように、前記ポリペプチド、コンストラクトまたはISVの活性を決定し、その後、所望される期間にわたり滑液中でインキュベートし、その後、活性を決定するアッセイが挙げられる。
【0237】
本発明の多価のポリペプチドまたはコンストラクトにおける治療的な構成要素の所望される活性は、当業者に公知の慣用的なアッセイにより測定することができる。典型的なアッセイとして、例のセクションにおいて(例8を参照)詳述されるように、GAG放出がアッセイされるアッセイが挙げられる。
【0238】
相対的な親和性は、ポリペプチド中のISVDの位置に依存し得る。本発明のポリペプチド中のISVDの順序(配向)は、当業者の必要性に応じて選択することができる。個々のISVDの順序、ならびにポリペプチドがリンカーを含むか否かは、設計上の選択の問題である。リンカーを有するかこれを有さないいくつかの配向は、他の配向と比較して 好ましい結合の特徴を提供する場合がある。例えば、本発明のポリペプチド中の第1のISV(例えば、ISV1)および第2のISV(例えば、ISV2)の順序は、以下であってもよい(N末端からC末端へ):(i)ISV1(例えば、ナノボディ1)-[リンカー]-ISV2(例えば、ナノボディ2)-[C末端伸長部];または(ii)ISV2(例えば、ナノボディ2)-[リンカー]-ISV1(例えば、ナノボディ1)-[C末端伸長部];(ここで、角括弧の間の部分、すなわちリンカー、およびC末端伸長部は、任意である)。全ての配向は、本発明により包含される。所望される結合の特徴を提供するISVの配向を含むポリペプチドは、例えば、例のセクションにおいて例示されるような慣用的なスクリーニングにより容易に同定することができる。好ましい順序は、N末端からC末端へ、以下のとおりである:治療用ISV-[リンカー]-アグリカンに結合するISV-[C末端伸長部]、ここで、角括弧の間の部分は、任意である。別の好ましい順序は、N末端からC末端へ、以下のとおりである:治療用ISV-[リンカー]-アグリカンに結合するISV-[リンカー]-アグリカンに結合するISV-[C末端伸長部]、ここで、角括弧の間の部分は、任意である。
【0239】
本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のポリペプチドおよび/またはISVは、1つ以上の他の基、残基(例えばアミノ酸残基)、部分または結合単位を、さらに含んでも、含まなくともよい(これらのアグリカン結合剤、例えばポリペプチドおよび/またはISV(さらなる基、残基、部分または結合単位を含むもの、またはこれを含まないもの)は、全て、「本発明の化合物(単数または複数)」、「本発明のコンストラクト(単数または複数)」および/または「本発明のポリペプチド(単数または複数)」と称される)。存在する場合、かかるさらなる基、残基、部分または結合単位は、ポリペプチドおよび/またはISVなどのアグリカン結合剤にさらなる機能性を提供するものであっても、そうでなくともよく、ポリペプチドおよび/またはISVのアグリカン結合剤の特性を修飾するものであっても、そうでなくともよい。
【0240】
例えば、かかる更なる基、残基、部分または結合単位は、1つ以上の更なるアミノ酸配列でもよく、そうすると、生じるポリペプチドは(融合)ポリペプチドとなる。好適かつ非限定的な側面では、前記1つ以上他の基、残基、部分または結合単位は、免疫グロブリンである。さらにより好ましくは、前記1つ以上他の基、残基、部分または結合単位は、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用に適するアミノ酸、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用に適するアミノ酸、dAb、dAbとしての使用に適するアミノ酸、ナノボディ(例えば例えばVHH、ヒト化VHHまたはラクダ化VH配列)からなる群から選択されるISVである。
【0241】
上述の通り、更なる結合単位、例えば異なる抗原特異性を有するISVを連結して多重特異的なポリペプチドを形成することができる。2以上の特異性のISVを結合することによって、二重特異性、三重特異性等のポリペプチドまたはコンストラクトを形成しることができる。例えば、本発明のポリペプチドは、アグリカンに対する2つ以上のISVと、別の標的に対する少なくとも1つのISVとを含んでもよい。かかる構築物およびその修飾物はいずれも、(当業者に容易に想定できるように)、「本発明の化合物、本発明の構築物および/または本発明のポリペプチド」という本明細書で用いられる用語に包含される。
【0242】
上記の化合物、構築物および/またはポリペプチドにおいて、1つ、2つ、3つまたはそれ以上のISV、および1つ以上の基、残基、部分または結合単位は各々、直接に、および/または1つ以上の適切なリンカーまたはスペーサを介して連結されてもよい。例えば、1つ以上の基、残基、部分または結合単位がアミノ酸配列であるとき、リンカーはアミノ酸配列でもよく、その結果、得られるポリペプチドは融合(タンパク質)または融合(ポリペプチド)となる。
【0243】
1つ以上の更なる基、残基、部分または結合単位は、いかなる適切なおよび/または目的のアミノ酸配列でもあってもよい。更なるアミノ酸配列は、本発明のポリペプチドの(生物学的)特性を変化させても、または変化させなくともよく、影響してもよく、また、本発明のポリペプチドに更なる官能性を付与しても、または付与しなくともよい。好ましくは、更なるアミノ酸配列は、それが本発明のポリペプチドに1つ以上の所望の特性または官能性を付与するものである。
【0244】
かかるアミノ酸配列の例は、当業者に明らかであり、一般的には、通常抗体およびその断片に基づくペプチド融合において用いられるあらゆるアミノ酸配列(限定されないが、ScFvおよび単一ドメイン抗体を含む)を含んでもよい。参照としては、例えばHolliger and Hudson (Nature Biotechnology 23: 1126-1136, 2005)によるレビューが挙げられる。
【0245】
例えば、かかるアミノ酸配列は、本発明のポリペプチドそれ自体と比較し、半減期、溶解性または吸収を増加させ、免疫原性または毒性を減少させ、好ましくない副作用を排除または軽減し、および/または他の有利な特性を付与し、および/または、本発明の化合物、構築物またはポリペプチドの望ましくない特性を減少させるアミノ酸配列であってもよい。かかるアミノ酸配列の幾つかの非限定的な例は、血清タンパク質であり、例えばヒト血清アルブミン(例えばWO 00/27435を参照)またはハプテン分子(例えば循環抗体により認識されるハプテン、例えばWO 98/22141を参照)である。
【0246】
本発明の特定の側面において、本発明のコンストラクトまたはポリペプチドは、当該部分を含まない対応する本発明のコンストラクトまたはポリペプチドと比較して、延長された半減期をもたらす部分を有していてもよい。本発明のかかるコンストラクトおよびポリペプチドのいくつかの好ましいが非限定的な例は、本明細書におけるさらなる開示に基づいて、当業者に明らかとなり、例えば、以下を含む:その半減期を延長するように(例えば、ペグ化により)化学修飾されている本発明のISVまたはポリペプチド;血清タンパク質(血清アルブミンなど)に結合するための少なくとも1つのさらなる結合部位を含む、本発明のアグリカン結合剤、例えば本発明のISVおよび/またはポリペプチド;または、本発明のアミノ酸配列の半減期を延長する少なくとも1つの部分(および特に少なくとも1つのアミノ酸配列)に連結されている、本発明の少なくとも1つのアミノ酸配列を含む、本発明のポリペプチド。かかる半減期延長部分またはISVを含む、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドの例は、本明細書におけるさらなる開示に基づいて、当業者に明らかとなり;および、例えば、限定することなく以下を含む:1つ以上の本発明のISVが、1つ以上の血清タンパク質もしくはそのフラグメント((ヒト)血清アルブミンもしくはその好適なフラグメントなど)に、または1つ以上の血清タンパク質に結合することができる結合単位(例えば、血清アルブミンなど(ヒト血清アルブミンなど)の血清タンパク質、IgGなどの血清免疫グロブリン、もしくはトランスフェリンに結合することができる、ドメイン抗体、ドメイン抗体としての使用のために好適なISV、単一ドメイン抗体、単一ドメイン抗体としての使用のために好適なISV、dAbs、dAbとしての使用のために好適なISV、もしくはナノボディなど;さらなる記載および本明細書において記述される参考文献に対する参照がなされる)に、好適に連結されている、ポリペプチド;本発明のアミノ酸配列が、Fc部分(ヒトFcなど)または好適な部分またはそのフラグメントに連結されているポリペプチド;あるいは、1つ以上の本発明のISVが、1つ以上の血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチド、例えばWO 91/01743、WO 01/45746、WO 02/076489、WO2008/068280、WO2009/127691およびPCT/EP2011/051559において記載されるタンパク質およびペプチドなどに、好適に連結されているポリペプチド。
【0247】
一側面において、本発明は、本発明のコンストラクト、例えばポリペプチドを提供し、ここで、前記ポリペプチドは、血清タンパク質結合部分または血清タンパク質をさらに含む、
好ましくは、前記血清タンパク質結合部分は、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンに結合する。
【0248】
一般に、延長された半減期を有する本発明のコンストラクトまたはポリペプチドは、好ましくは、対応する本発明のコンストラクトまたはポリペプチドそれ自体、すなわち延長された半減期をもたらす部分を含まないものの半減期よりも、少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、例えば少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍、または20倍を超えてより長い半減期を有する。例えば、半減期が延長された本発明のコンストラクトまたはポリペプチドは、例えば、ヒトにおいて、対応する本発明のコンストラクトまたはポリペプチドそれ自体、すなわち延長された半減期をもたらす部分を含まないものと比較して、1時間、好ましくは2時間より長く、より好ましくは6時間より長く、例えば12時間より長く、またはさらには24、48もしくは72時間より長く延長された半減期を有していてもよい。
【0249】
本発明の好ましいが非限定的な側面において、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドは、例えば、ヒトにおいては、対応する本発明のコンストラクトまたはポリペプチド自体、すなわち、延長された半減期をもたらす部分を伴わないものと比較して、1時間より長く、好ましくは2時間より長く、より好ましくは6時間より長く、例えば12時間より長く、またはさらには24、48または72時間より長く延長された、血清半減期を有する。
【0250】
本発明の別の好ましいが非限定的な側面において、かかる本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドは、ヒトにおいて、少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも48時間、さらにより好ましくは少なくとも72時間またはそれより長い血清半減期を示す。例えば、本発明の化合物またはポリペプチドは、少なくとも5日間(約5~10日間など)、好ましくは少なくとも9日間(約9~14日間など)、より好ましくは少なくとも約10日間(約10~15日間など)、または少なくとも約11日間(約11~16日間など)、より好ましくは少なくとも約12日間(約12~18日間などまたはそれより長い)、または14日間より長い(約14~19日間など)半減期を有していてもよい。
【0251】
本発明の特に好ましいが非限定的な側面において、本発明は、アグリカンに結合する1つ以上の構成要素および場合によっては1つ以上の治療用構成要素の他に、本明細書において記載されるとおり、血清アルブミンに結合する少なくとも1つの構成要素、例えば血清アルブミン(ヒト血清アルブミンなど)に結合するISVを含む、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドを提供し、ここで、前記血清アルブミンに結合するISVは、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含むか、またはこれから本質的になり、ここで、CDR1は、SFGMSであり、CDR2は、SISGSGSDTLYADSVKGであり、およびCDR3は、GGSLSRである。好ましくは、前記ヒト血清アルブミンに結合するISVは、Alb8、Alb23、Alb129、Alb132、Alb135、Alb11、Alb11(S112K)-A、Alb82、Alb82-A、Alb82-AA、Alb82-AAA、Alb82-G、Alb82-GG、Alb82-GGG、Alb92またはAlb223からなる群より選択される(表Cを参照)。
【0252】
一態様において、本発明は、血清タンパク質結合部分を含む本発明のコンストラクト、例えばポリペプチドに関し、ここで、前記血清タンパク質結合部分は、非抗体ベースのポリペプチドである。
【0253】
一側面において、本発明は、1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位を含む、本明細書において記載されるような化合物またはコンストラクトに関し、これらは、
好ましくは、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそのフラグメント、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群より選択される。
【0254】
一態様において、本発明は、半減期の延長をもたらす部分を含む本発明のコンストラクト、例えばポリペプチドに関し、ここで、前記部分は、PEGである。したがって、本発明は、PEGを含む、本発明のコンストラクトまたはポリペプチドに関する。
【0255】
さらなるアミノ酸残基は、本発明のポリペプチドの他の(生物学的)特性を変化させるか、改変するか、または別段に影響を及ぼすものであっても、そうでなくともよく、本発明のポリペプチドにさらなる機能性を付加するものであっても、そうでなくともよい。例えば、かかるアミノ酸残基は:
a)Met残基、例えば異種の宿主細胞または宿主生物における発現の結果として、N末端Met残基を含んでもよく;
b)合成の後で宿主細胞からのポリペプチドの分泌を指揮するシグナル配列またはリーダー配列を形成してもよい((例えば、本発明のポリペプチドを発現させるために用いられる宿主細胞に依存して、本発明のポリペプチドのプレ形態、プロ形態またはプレプロ形態を提供するために)。好適な分泌型リーダーペプチドは、当業者には明らかであり、本明細書においてさらに記載されるものであってよい。通常は、かかるリーダー配列は、ポリペプチドのN末端に連結するが、本発明は、その最も広義において、それに限定されない;
c)例えば前記配列または残基に対して向けられた親和性技術を用いて、「タグ」、例えば、ポリペプチドの精製を可能にするかまたはこれを促進するアミノ酸配列または残基を形成してもよい。その後、前記配列または残基を、取り除いて(例えば、化学的切断または酵素切断により)ポリペプチドを提供することができる(この目的のために、タグは、任意に、切断可能なリンカー配列を介してアミノ酸配列またはポリペプチド配列に連結されるか、または切断可能なモチーフを含んでもよい)。かかる残基のいくつかの好ましいが非限定的な例は、複数のヒスチジン残基、グルタチオン残基およびmycタグ(AAAEQKLISEEDLNGAAなど)である;
d)官能化されているか、および/または官能基の付加のための部位として働き得る1つ以上のアミノ酸残基であってもよい。好適なアミノ酸残基および官能基は、は、当業者には明らかであり、これらに限定されないが、本明細書において記述される本発明のポリペプチドの誘導体のためのアミノ酸残基および官能基が挙げられる。
【0256】
本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドにおいて、2つ以上の構成要素、例えばISVなど、および任意に1つ以上の他の基、薬物、剤、残基、部分または結合単位は、互いに直接連結されてもよく(例えばWO 99/23221において記載されるように)、および/または、互いに1つ以上の好適なスペーサーまたはリンカーを介して連結していてもよく、または任意のそれらの組み合わせであってもよい。多価かつ多重特異性のポリペプチドにおける使用のために好適なスペーサーまたはリンカーは、当業者には明らかであり、一般に、アミノ酸配列を連結するために当該分野において用いられる任意のリンカーまたはスペーサーであってよい。好ましくは、前記リンカーまたはスペーサーは、医薬用途のために意図されるコンストラクト、タンパク質またはポリペプチドを構築することにおける使用のために好適である。
【0257】
例えば、本発明のポリペプチドは、例えば、アグリカンに結合する1つの構成要素(ISVなど)、1つの治療用構成要素(ISVなど)、および(ヒト)血清アルブミンに結合する1つの構成要素(ISVなど)を含む、三価の、三重特異性ポリペプチドであってよく、ここで、前記第1、第2、および第3の構成要素(ISVなど)は、任意に、1つ以上の、特に2つのリンカー配列を介して連結されていてもよい。また、本発明は、アグリカンに結合する第1のISVおよび/または第2のISVおよび/または場合によっては第3のISVおよび/または場合によっては血清アルブミンに結合するISVを含む、本発明のコンストラクトまたはポリペプチドを提供し、ここで、前記第1のISVおよび/または前記第2のISVおよび/または場合によっては前記第3のISVおよび/または場合によっては前記血清アルブミンに結合するISVは、リンカーを介して連結されている。
【0258】
いくつかの特に好ましいスペーサーとして、抗体フラグメントまたは抗体ドメインを連結するために当該分野において用いられるスペーサーおよびリンカーが挙げられる。これらは、上で引用される一般的な背景技術において記述されるリンカー、ならびに例えばダイアボディまたはScFvフラグメントを構築するために当該分野において用いられるリンカーを含む(このことに関しては、しかし、ダイアボディにおいて、およびScFvフラグメントにおいては、用いられるリンカー配列は、関連するVおよびVドメインが完全な抗原結合部位を形成するために集合することを可能にする長さ、可撓性の程度、および他の特性を有するべきであるが、本発明のポリペプチドにおいて用いられるリンカーの長さまたは可撓性については、各々のISV(例えばナノボディ)は、それ自体で完全な抗原結合部位を形成するので、特段の限定は存在しないことに注意すべきである)。
【0259】
例えば、リンカーは、好適なアミノ酸配列、および特に、1~50、好ましくは1~30、例えば1~10アミノ酸残基のアミノ酸配列であってよい。かかるアミノ酸配列のいくつかの好ましい例として、gly-serリンカー、例えば(glyser型のもの、例えば(例えばWO 99/42077において記載されるような(glyser)または(glyser、ならびに本明細書において記述されるAblynxによる出願において記載されるGS30、GS15、GS9およびGS7リンカー(例えばWO 06/040153およびWO 06/122825を参照)、ならびにヒンジ様領域、例えば天然に存在する重鎖抗体のヒンジ領域または類似の配列(例えばWO 94/04678において記載されるものなど)が挙げられる。好ましいリンカーを、表Dにおいて表す(配列番号154~170)。
【0260】
他の好適なリンカーは、一般に、有機化合物またはポリマー、特に、医薬用途のためのタンパク質における使用のために好適なものを含む。例えば、ポリ(エチレングリコール)部分は、抗体ドメインを連結するために用いられてきた;例えばWO 04/081026を参照。
【0261】
用いられるリンカー(単数または複数)の長さ、可撓性の程度、および/または他の特性(重要ではないが、通常は、ScFvフラグメントにおいて用いられるリンカーについてのものとして)は、最終的な本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドの特性(限定されないが、ケモカインに対する、または他の抗原の1つ以上に対する親和性、特異性またはアビディティを含む)に対して何らかの影響を有していてもよいことは、本発明の範囲内に包含される。本明細書における開示に基づいて、当業者は、任意にいくつかの限定された慣用的な実験の後で、本発明の特異的なコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドにおける使用のために最適なリンカー(単数または複数)を決定することができるであろう。
【0262】
例えば、アグリカンおよび別の標的に対して向けられた構成要素、ISVまたはナノボディを含む本発明の多価ポリペプチドにおいて、リンカーの長さおよび可撓性は、好ましくは、それが、本発明の各々の構成要素(ISVなど)が、ポリペプチド中に存在してそのコグネートな標的(例えば、標的の各々の上の抗原決定基)に結合することを可能にするようなものである。やはり、本明細書における開示に基づいて、当業者は、任意にいくつかの限定された慣用的な実験の後で、本発明の特異的なコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドにおける使用のために最適なリンカー(単数または複数)を決定することができるであろう。
【0263】
また、用いられるリンカー(単数または複数)が、1つ以上の他の有利な特性または機能を本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドに付与すること、ならびに/または誘導体の形成のために、および/もしくは官能基の付加のために1つ以上の部位を提供することも、本発明の範囲内である(例えば、本発明のISVの誘導体については、本明細書において記載されるとおりである)。例えば、1つ以上の荷電したアミノ酸残基を含むリンカーは、改善された親水性の特性を提供することができ、一方、小さいエピトープまたはタグを形成するかまたはこれを含むリンカーは、検出、同定および/または精製の目的のために用いることができる。やはり、本明細書における開示に基づいて、当業者は、任意にいくつかの限定された慣用的な実験の後で、本発明の特異的なポリペプチドにおける使用のために最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0264】
最後に、本発明のポリペプチドなどのコンストラクトにおいて2つ以上のリンカーが用いられる場合、これらのリンカーは、同じであっても異なっていてもよい。やはり、本明細書における開示に基づいて、当業者は、任意にいくつかの限定された慣用的な実験の後で、本発明の特異的なコンストラクトまたはポリペプチドにおける使用のために最適なリンカーを決定することができるであろう。
【0265】
通常は、発現および生成の容易性のためには、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドは、直鎖状ポリペプチドであろう。しかし、本発明は、最も広義には、それに限定されない。例えば、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドが、3つ以上の構成要素、ISVまたはナノボディを含む場合、3つ以上の「腕」を有するリンカーの使用によりそれらを連結することが可能であり、その各々の「腕」は、「星形」のコンストラクトを提供するように、構成要素、ISVまたはナノボディに連結する。また、通常はあまり好ましくないが、環状コンストラクトを使用することも可能である。
【0266】
したがって、本発明は、前記ISVが、互いに直接連結されているか、または、リンカーを介して連結されている、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドに関する。
したがって、本発明は、第1のISVおよび/または第2のISVおよび/または場合によっては血清アルブミンに結合するISVが、リンカーを介して連結されている、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドに関する。
【0267】
したがって、本発明は、前記リンカーが、5GS、7GS、9GS、10GS、15GS、18GS、20GS、25GS、30GS、35GS、poly-A、8GS、40GS、G1ヒンジ、9GS-G1ヒンジ、ラマアッパーロングヒンジ領域(llama upper long hinge region)およびG3ヒンジのリンカーからなる群より選択される、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドに関する。
したがって、本発明は、前記ポリペプチドが、表E-1および表E-2のポリペプチドからなる群より選択される、本発明のコンストラクト、例えば本発明のポリペプチドに関する。
【0268】
タグまたは他の機能性部分(例えば毒素、標識、放射性化学物質など)をさらに含む、本発明のISVまたはポリペプチドを含む化合物、構築物および/またはポリペプチドも本発明に包含される。
【0269】
他の基、残基、部分または結合単位は、例えば、単独で生物学的におよび/または薬理的に活性を有するか、または活性を有さない化学基、残基、部分であってもよい。例えば、限定されないが、かかる基は、本発明の1つ以上のISVまたはポリペプチドに連結されることにより、本発明のポリペプチドの「誘導体」を形成しうる。
【0270】
したがって、本発明は最も広義には、本発明のポリペプチドの誘導体である化合物、構築物および/またはポリペプチドも包含する。かかる誘導体は一般的には、本発明のポリペプチド中の、および/または本発明のポリペプチドを形成するアミノ酸残基の1つ以上の修飾によって、具体的には化学的および/または生物学的(例えば酵素的)修飾によって得ることが可能である。
【0271】
かかる修飾の例、ならびに、かかる修飾および潜在的用途およびかかる修飾による利点を導入するために用いることができる態様、方法および技術により修飾できるポリペプチド配列中の(すなわちタンパク質骨格、または好ましくは側鎖上への)アミノ酸残基の例は、当業者に明らかである(Zangi et al., Nat Biotechnol 31(10):898-907, 2013を参照)。
【0272】
例えば、かかる修飾では、(例えば共有結合的な連結、または他のいずれかの好適な方法により)、本発明のポリペプチドの内部および表面への1つ以上の官能基、残基または、部分への、特に、1つ以上の(官能)基、残基または部分への導入を行ってもよく、それにより、本発明のポリペプチドに1つ以上の所望の特性または官能性が付与される。かかる官能基の例は、当業者に明らかである。
【0273】
例えば、かかる修飾では、(例えば共有結合的な連結、または他のいずれかの好適な方法により)、1つ以上の官能基の導入を行ってもよく、それにより、本発明のポリペプチドの半減期、溶解性および/または吸収性が増加し、本発明のポリペプチドの免疫原性および/または毒性が減少し、本発明のポリペプチドのいずれかの好ましくない副作用を排除または軽減し、および/または、他の有利な特性を付与し、および/または、本発明のポリペプチドの望ましくない特性を減少させ、または前記の2つ以上のいかなる組合せを生じさせる。かかる官能基、およびそれらを導入する技術の例は当業者に明らかであり、通常、前記で引用した一般的な先行文献に記載のいずれの官能基および技術、ならびに、医薬用タンパク質の修飾のための、特に、抗体または抗体断片(ScFvおよび単一ドメイン抗体を含む)の修飾のための官能基および公知技術それ自体が含まれ、参照として、例えばRemington (Pharmaceutical Sciences, 16th ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1980)が挙げられる。かかる官能基は、例えば、本発明のポリペプチドに(例えば共有結合で)直接連結されてもよく、または任意に適切なリンカーまたはスペーサを介して連結されてもよく、これらはまた当業者に明らかである。
【0274】
一つの具体的な例は、本発明のポリペプチドを(例えばPEG化によって)化学修飾し、その半減期を増加させた、本発明の誘導体ペプチドである。これは、半減期を増加させておよび/または医薬用タンパク質の免疫原性を低下させるために最も広く用いられる技術の1つであり、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはその誘導体(例えばメトキシポリ(エチレングリコール)またはmPEG)などの適切な薬理的に許容できるポリマーの付加を含む。一般的に、いかなる適切な形態のPEG化も使用可能であり、例えば抗体および抗体断片、例えば(単一)ドメイン抗体およびScFvなどの分野で用いられるPEG化を用いることができ、参照としては、例えばChapman (Nat. Biotechnol. 54: 531-545, 2002)、Veronese and Harris (Adv. Drug Deliv. Rev. 54: 453-456, 2003)、Harris and Chess (Nat. Rev. Drug. Discov. 2: 214-221, 2003)および国際公開第04/060965)が挙げられる。例えばNektar Therapeutics社(米国)から、タンパク質のPEG化用の各種試薬も市販されている。
【0275】
好ましくは、特にシステイン残基を介する部位特異的PEG化が用いられる(例えばYang et al. (Protein Engineering 16: 761-770, 2003)を参照。例えば、この場合、本発明のポリペプチドに天然に存在するシステイン残基にPEGを付加することが可能であり、本発明のポリペプチドを、PEG付加用の1つ以上のシステイン残基が最適に導入されるよう修飾してもよく、または、PEG付加のための1つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸配列を、本発明のポリペプチドのN末端および/またはC末端に融合させてもよく、いずれも、当業者に公知のタンパク質工学的技術を直接使用できる。
【0276】
好ましくは、本発明のポリペプチドの場合、5000以上の、例えば10,000以上および200,000未満の、例えば100,000未満、例えば20,000~80,000の範囲の分子量のPEGが用いられる。
【0277】
別の、通常はあまり好ましくない修飾は、通常は、本発明のポリペプチドを発現させるために用いられる宿主細胞に依存して、翻訳時および/または翻訳後修飾の一部としての、N連結またはO連結のグリコシル化を含む。
【0278】
本発明のマーカーポリペプチドの使用目的に応じて、さらにもう別の修飾として、1つ以上の検出可能マーカーまたは他のシグナル発生基もしくは部分を導入してもよい。適切な標識およびそれらを付加し、使用し、検出する技術は、当業者に明らかであり、例えば、限定されないが、蛍光マーカー(例えばフルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド、およびフルオレサミンおよび蛍光金属、例えばランタノイド系列の152Euまたは他の金属など、リン光性標識、化学発光標識または生物発光標識(ルミナール、イソルミノール、セロマチック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、オキサレートエステル、ジオキセタンまたはGFPおよびその類縁体)、放射性同位元素(例えばH、125I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Feおよび75Se)、金属、金属キレートもしくは金属カチオン(例えば99mTc、123I、111In、131I、97Ru、67Cu、67Ga、68Gaなどの金属カチオン)、または特にインビボ、インビトロまたはin situでの診断およびイメージング用に適する他の金属もしくは金属カチオン(例えば157Gd、55Mn、162Dy、52Crおよび56Fe)、ならびにクロモフォアおよび酵素(例えばリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌のヌクレアーゼ、δ-V-ステロイドイソメラーゼ、酵母のアルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコール糖-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエスチラーゼ)。他の適切な標識が、当業者に明らかであり、例えばNMRまたはESR分光法を使用して検出できる部分が挙げられる。
【0279】
本発明のかかるマーカーポリペプチドは、例えばインビトロ、インビボまたはインサイチュアッセイ(ELISA、RIA、EIAなどの公知のイムノアッセイおよび他の「サンドイッチアッセイ」など)、ならびに(具体的な標識の選択により)インビボの診断およびイメージング目的に使用することができる。
【0280】
当業者に明らかであるように、例えば上記で言及した金属または金属カチオンの1つをキレート化するために、キレート基を導入する他の修飾を行ってもよい。例えば、適切なキレート基として、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0281】
さらに別の修飾として、特定の結合対(例えばビオチン-(ストレプト)アビジン結合対)の一部分である官能基を導入してもよい。かかる官能基を用いることにより、結合対の残り半分を結合させた他のタンパク質、ポリペプチドまたは化学物質に、いわゆる結合対の形成によって、本発明のポリペプチドを結合させることができる。例えば、本発明のポリペプチドは、ビオチンとコンジュゲートさせ、アビジンまたはストレプトアビジンとコンジュゲートさせた他のタンパク質、ポリペプチド、化合物または担体と連結させることができる。例えば、本発明のかかるコンジュゲートポリペプチドは、例えば検出可能なシグナル発生剤をアビジンまたはストレプトアビジンにコンジュゲートした診断システムにおいて、レポーターとして用いることができる。かかる結合対は、例えば本発明のポリペプチドを、医薬用途に適する担体などの担体に結合するために用いることもできる。例えば、Cao and Suresh (Journal of Drug Targeting 8: 257, 2000)に記載のリポソーム製剤を参照。またかかる結合対を用いて、治療的活性剤を本発明のポリペプチドに連結させてもよい。
【0282】
他の有望な化学的および酵素的修飾も当業者に明らかである。研究用途(例えば機能-活性の関係の試験)用に、かかる修飾を導入してもよい。参照としては、例えばLundblad and Bradshaw (Biotechnol. Appl. Biochem. 26: 143-151, 1997)が挙げられる。
【0283】
好ましくは、前記化合物、構築物、ポリペプチドおよび/または誘導体は、本明細書において定義される(すなわち本発明のポリペプチドのために定義される)親和性(最適には、K値(実際のまたは見かけの)、K値(実際のまたは見かけの)、Kon速度および/またはKoff速度、あるいは本明細書にさらに記載されるIC50値として測定され、および/または表される)によりアグリカンと結合する。
本発明のかかる化合物、構築物および/またはポリペプチド、およびその誘導体は、(本明細書で定義されるように)本質的に単離された形態であってもよい。
【0284】
一側面において、本発明は、本発明によるISVまたは本発明によるポリペプチドを含むか、またはこれから本質的になる、本発明のコンストラクトに関し、およびここで、1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、これらは、任意に1つ以上のペプチド性リンカーを介して連結されている。
【0285】
一側面において、本発明は、1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位が、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそのフラグメント、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群より選択される、本発明のコンストラクトに関する。
本発明はさらに、本明細書において記載される化合物、コンストラクト、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、および組成物を調製するための方法に関する。
【0286】
本発明の多価ポリペプチドは、一般に、本発明の多価ポリペプチドを提供するために、少なくとも、ISVおよび/または本発明の一価のポリペプチドを、任意に1つ以上の好適なリンカーを介して、1つ以上のさらなるISVに好適に連結するステップを含む方法により、調製することができる。本発明のポリペプチドはまた、少なくとも、本発明のポリペプチドをコードする核酸を提供し、前記核酸を好適な様式において発現させ、発現された本発明のポリペプチドを回収するステップを含む方法により、調製することができる。かかる方法は、それ自体公知の様式において行うことができ、これは、例えば本明細書においてさらに記載される方法および技術に基づいて、当業者には明らかであろう。
【0287】
本発明の多価ポリペプチドを調製するための方法は、少なくとも、2つ以上の本発明のISVと例えば1つ以上のリンカーとを好適な様式において一緒に連結するステップを含んでもよい。本発明のISV(およびリンカー)は、当該分野において公知であり、本明細書においてさらに記載される任意の方法によりカップリングすることができる。好ましい技術は、多価のポリペプチドを発現する遺伝子のコンストラクトを調製するために、本発明のISV(およびリンカー)をコードする核酸配列を連結することを含む。アミノ酸または核酸を連結するための技術は、当業者には明らかであり、再び、上述のSambrook et al.およびAusubel et al.などの標準的なハンドブック、ならびに以下の例への参照がなされる。
【0288】
したがって、本発明はまた、本発明の多価ポリペプチドを調製することにおける、本発明のISVの使用に関する。多価のポリペプチドを調製するための方法は、本発明のISVを、少なくとも1つのさらなる本発明のISVに、任意に1つ以上のリンカーを介して連結することを含むであろう。本発明のISVは、次いで、2(例えば二価のポリペプチドにおいて)、3(例えば三価のポリペプチドにおいて)、4(例えば四価のポリペプチドにおいて)、またはそれより多く(例えば多価のポリペプチドにおいて)の構成要素を含む、多価ポリペプチドを提供および/または調製することにおいて、結合ドメインまたは構成要素として用いられる。このことに関して、本発明のISVは、2、3、4またはそれより多くの構成要素を含む、多価、例えば二価、三価または四価の本発明のポリペプチドを提供および/または調製することにおいて、結合ドメインまたは結合単位として用いることができる。
【0289】
したがって、本発明はまた、多価のポリペプチドを調製することにおける、本発明のISVポリペプチド(本明細書において記載されるとおり)の使用に関する。多価のポリペプチドの調製のための方法は、本発明のISVを、少なくとも1つのさらなる本発明のISV、任意に、1つ以上のリンカーを介して連結することを含むであろう。
【0290】
本発明のポリペプチドおよび核酸は、公知の方法をそのまま使用し調製することができ、それは本明細書における更なる記載から当業者に明らかである。例えば、本発明のポリペプチドは、抗体の調製に関する公知の、具体的には、抗体断片(限定されないが(単一)ドメイン抗体およびScFv断片が含まれる)の調製のためのいずれかの方法をそのまま使用し調製することができる。ポリペプチドおよび核酸を調製する幾つかの好適かつ非限定的な方法には、本明細書に記載される方法および技術が含まれる。
【0291】
本発明のポリペプチドを産生する方法は、次のステップを含みうる:
-適切な宿主細胞または宿主生物(本明細書において「本発明の宿主」ともまた称される)において、または本発明の前記ポリペプチドをコードする核酸(本明細書において「本発明の核酸」ともまた称される)の他の適切な発現系において、発現させるステップと、次に任意に:
-このようにして得られた本発明のポリペプチドを単離および/または生成するステップ。
具体的には、かかる方法は、以下のステップを含みうる:
-本発明の前記宿主が本発明の少なくとも1つのポリペプチドを発現および/または産生する条件下で、本発明の宿主を培養および/または維持するステップと、次に任意に、
-このようにして得られた本発明のポリペプチドを単離および/または精製するステップ。
したがって、本発明はまた、本発明のポリペプチド、ISVまたはコンストラクトをコードする核酸またはヌクレオチド配列(「本発明の核酸」ともまた称される)に関する。
【0292】
本発明の核酸は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの形態であってよい。本発明の一態様により、本発明の核酸は、本明細書において定義されるように、本質的に単離された形態である。本発明の核酸はまた、ベクター、例えば発現ベクター、例えばプラスミド、コスミドまたはYACなどにおいて存在しても、および/またはこれの一部であってもよく、これはやはり、本質的に単離された形態であってよい。したがって、本発明はまた、本発明の核酸またはヌクレオチド配列を含む発現ベクターに関する。
【0293】
本発明の核酸は、本明細書に記載される本発明のポリペプチドに関する情報に基づいて、公知の方法をそのまま使用し調製または取得することができ、および/または、適切な天然の給源から単離することもできる。また、当業者に明らかなように、本発明の核酸を調製するために、幾つかのヌクレオチド配列、例えば、本発明のISVをコードする少なくとも2つの核酸、および例えば1つ以上のリンカーをコードする核酸は、好適な方法で連結されうる。本発明の核酸を生成させる技術は当業者に明らかで、例えば、限定されないが、自動化DNA合成、部位特異的変異導入、2つ以上の天然のおよび/または合成された配列(またはその2つ以上の部分)を結合すること、不完全長の発現産物の発現をもたらす変異の導入、1つ以上の制限酵素部位の導入(例えば適切な制限酵素を用いて容易に切断でき、および/またはライゲーションできるカセットおよび/または領域の作製)、および/または1つ以上の「ミスマッチ」プライマーを使用したPCR反応による変異導入が挙げられる。これらの、および他の技術は当業者に明らかであり、参照としては、標準的なハンドブックである、Sambrook et al.およびAusubel et al.(前記)、ならびに下記の実施例が挙げられる。
【0294】
好ましいが非限定的な態様において、本発明の遺伝子コンストラクトは、以下を含む:
a)少なくとも1つの本発明の核酸;
b)プロモーターなどの1つ以上の調節エレメント、および任意に好適なターミネーター
に作動的に連結され;ならびに任意にまた、
c)それ自体公知の遺伝子コンストラクトの1つ以上のさらなるエレメント;
ここで、用語「調節エレメント」、「プロモーター」、「ターミネーター」および「作動的に連結される」は、当該分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0295】
本発明の遺伝子コンストラクトは、一般に、例えば上述のSambrookら、およびAusubelらなどの一般的なハンドブックにおいて記載される技術を用いて、本発明のヌクレオチド配列(単数または複数)を上記の1つ以上のさらなるエレメントに好適に連結することにより、提供することができる。
【0296】
本発明の核酸および/または本発明の遺伝子コンストラクトは、宿主細胞または宿主生物を形質転換するために、すなわち本発明のポリペプチドの発現および/または産生のために、用いることができる。好適な宿主または宿主細胞は、当業者には明らかであり、例えば、抗体および抗体フラグメント((単一)ドメイン抗体およびScFvフラグメントを含むがこれらに限定されない)の発現および産生のための(これは、当業者には明らかであろう)、任意の好適な真菌、原核生物または真核生物の細胞または細胞株、または任意の好適な真菌、原核生物または(非ヒト)真核生物の生体、ならびにそれら自体公知のすべての他の宿主細胞または(非ヒト)宿主であってよい。また、本明細書において上で引用される一般的な背景技術に、ならびに、例えば、WO 94/29457;WO 96/34103;WO 99/42077;Frenken et al. (Res Immunol. 149: 589-99, 1998);Riechmann and Muyldermans (1999)、supra;van der Linden (J. Biotechnol. 80: 261-70, 2000);Joosten et al. (Microb. Cell Fact. 2: 1, 2003);Joosten et al. (Appl. Microbiol. Biotechnol. 66: 384-92, 2005);および本明細書において引用されるさらなる参考文献に対して、参照がなされる。さらに、本発明のポリペプチドはまた、細胞フリーの発現系において発現および/または産生させることができ、かかる系の好適な例は、当業者には明らかであろう。本発明の宿主または宿主細胞を形質転換させるための好適な技術は、当業者には明らかであり、意図される宿主細胞/宿主生物および用いられるべき遺伝子コンストラクトに依存し得る。再び、上述のハンドブックおよび特許出願に対して参照がなされる。形質転換された宿主細胞(これは、安定な細胞株の形態におけるものであってよい)または宿主生物(これは、安定な変異体の系統または系であってよい)は、本発明のさらなる側面を形成する。したがって、本発明は、本発明による核酸、または本発明による発現ベクターを含む宿主または宿主細胞に関する。好ましくは、これらの宿主細胞または宿主生物は、それらが、(例えば、好適な条件下において)本発明のポリペプチドを(および宿主生物の場合においては、その少なくとも1つの細胞、部分、組織または器官において)、発現するか、または(少なくとも)これを発現することができるようなものである。本発明はまた、本発明の宿主細胞または宿主生物のさらなる世代、後代および/または子孫を含み、これは、例えば、細胞分裂により、または有性もしくは無性生殖により得ることができる。
【0297】
本発明のポリペプチドの発現をもたらす/得るために、形質転換された宿主細胞、または形質転換された宿主生物は、一般に(所望される)本発明のポリペプチドが発現される/産生されるような条件下において、保たれるか、維持されるか、および/または培養されてもよい。好適な条件は、当業者には明らかであり、通常は、用いられる宿主細胞/宿主生物に、ならびに(適切な)本発明のヌクレオチド配列の発現を制御する調節エレメントに依存するであろう。再び、上で本発明の遺伝子コンストラクトの段落において記述されたハンドブックおよび特許出願に対して、参照がなされる。
【0298】
本発明のポリペプチドは、次いで、宿主細胞/宿主生物から、および/または前記の宿主細胞または宿主生物をその中で培養した培地から、それ自体公知のタンパク質の単離および/または精製の技術、例えば(分取)クロマトグラフィーおよび/または電気泳動技術、示差沈殿技術、親和性技術(例えば、本発明のポリペプチドに融合した特異的な切断可能なアミノ酸配列を用いて)、および/または分取免疫学的技術(すなわち、単離されるべきポリペプチドに対する抗体を用いて)を用いて、単離することができる。
【0299】
一側面において、本発明は、本発明によるコンストラクト、ポリペプチドまたはISVを生成するための方法に関し、該方法は、少なくとも以下のステップを含む:(a)好適な宿主細胞または宿主生物において、または別の好適な発現系において、本発明による核酸配列を発現させること;任意にそれに続いて、(b)本発明によるコンストラクト、ポリペプチドまたはISVを単離および/または精製すること。
一側面において、本発明は、本発明によるコンストラクト、ポリペプチド、ISVまたは核酸を含む、組成物に関する。
【0300】
一般に、医薬用途のために、本発明のコンストラクト、ポリペプチドおよび/またはISVDは、少なくとも1つの本発明のコンストラクト、ポリペプチドおよび/またはISVD、ならびに少なくとも1つの薬学的に受入可能なキャリア、希釈剤または賦形剤および/またはアジュバント、ならびに任意に1つ以上の医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物を含む、医薬調製物または組成物として処方することができる。非限定的な例により、かかる処方物は、経口投与のため、非経口投与(静脈内、筋肉内または皮下注射または静脈内輸注によるものなど)のために、局所投与(関節内投与など)のため、吸入による、皮膚貼付剤による、移植片による、坐剤などによる投与のために好適な形態におけるものであってよく、ここで、関節内投与が好ましい。投与の様式に依存して、固体、半固体または液体であってよいかかる好適な投与形態、ならびにその調製物における使用のための方法およびキャリアは、当業者には明らかであり、本明細書においてさらに記載される。かかる医薬調製物または組成物は、本明細書において一般に、「医薬組成物」と称されるであろう。
【0301】
したがって、さらなる側面において、本発明は、少なくとも少なくとも1つの本発明のコンストラクト、少なくとも1つの本発明のポリペプチド、少なくとも1つの本発明のISV、または少なくとも1つの本発明の核酸、および少なくとも1つの好適なキャリア、希釈剤または賦形剤(すなわち、医薬用途のために好適なもの)、および任意に1つ以上のさらなる活性物質を含む、医薬組成物に関する。特定の側面において、本発明は、本発明によるコンストラクト、ポリペプチド、ISVまたは核酸、好ましくは表E-1または表E-2のうちの少なくとも1つ、および少なくとも1つの好適なキャリア、希釈剤または賦形剤(すなわち、医薬用途のために好適なもの)、および任意に1つ以上のさらなる活性物質を含む、医薬組成物に関する。
【0302】
一般に、本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVは、それ自体公知の任意の好適な様式において、処方および投与することができる。例えば、上で引用される一般的な背景技術に(ならびに特にWO 04/041862、WO 04/041863、WO 04/041865、WO 04/041867およびWO 08/020079)、ならびに標準的なハンドブック、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company, USA(1990)、Remington、the Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams and Wilkins(2005);またはHandbook of Therapeutic Antibodies(S. Dubel編)、Wiley, Weinheim, 2007年(例えば252~255頁を参照)に、参照がなされる。
【0303】
特定の側面において、本発明は、本発明によるコンストラクト、ポリペプチド、ISVまたは核酸を含み、少なくとも1つの薬学的に受入可能なキャリア、希釈剤または賦形剤および/またはアジュバントをさらに含み、および任意に、1つ以上のさらなる医薬活性ポリペプチドおよび/または化合物を含む、医薬組成物に関する。
【0304】
本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVは、従来の抗体および抗体フラグメント(ScFvおよびダイアボディを含む)および他の医薬活性タンパク質のためのそれ自体公知の任意の様式において処方および投与することができる。これらを調製するためのかかる処方および方法は、当業者には明らかであり、例えば、非経口投与(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、腔内、動脈内または髄腔内投与)のために、または局所(例えば、関節内、経皮または皮内)投与のために好適な調製物を含む。
【0305】
非経口投与のための調製物は、例えば、輸注または注射のために好適な無菌の溶液、懸濁液、分散またはエマルジョンであってよい。かかる調製物のために好適なキャリアまたは希釈剤として、例えば、WO 08/020079の143頁において記述されるものが挙げられる。通常は、水性の溶液または懸濁液が好ましいであろう。
【0306】
本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVはまた、遺伝子治療から知られる送達の方法を用いて投与することができる。例えば、その遺伝子治療薬送達方法について参考として援用される米国特許第5,399,346号を参照。遺伝子治療の送達の方法を用いて、本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVをコードする遺伝子を遺伝子導入した初代細胞に、特定の臓器、組織、移植片、腫瘍、関節または細胞を標的とする組織特異的プロモーターをさらに遺伝子導入してもよく、さらに、細胞内に局在した発現のためのシグナルおよび安定化配列を、遺伝子導入してもよい。
【0307】
本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVはまた、静脈内で、関節内で、または腹腔内で、輸注または注射により、投与してもよい。特段の例は、WO 08/020079の144および145頁に、またはPCT/EP2010/062975(文書全体)において、さらに記載されるとおりである。
本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVの有用な投与量は、それらのin vitroでの活性と動物モデルにおけるin vivoでの活性とを比較することにより、決定することができる。マウス、および他の動物における有効な投与量の、ヒトへの推定のための方法は、当該分野において公知である;例えばUS 4,938,949を参照。
【0308】
処置における使用のために必要とされる本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVの量は、選択される特定のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトによってのみ変化するのではなく、投与の経路、処置されている状態の性質、患者の年齢および状態によってもまた変化し、最終的には、主治医または臨床医の裁量によるであろう。また、本発明のコンストラクト、ポリペプチド、および/またはISVの投与量は、標的である細胞、腫瘍、関節、組織、移植片、または臓器に依存して変化する。
【0309】
所望される用量は、単一用量において適切な間隔において投与される分割された用量として、例えば、1日あたり2回、3回、4回またはそれより多くの部分用量(sub-dose)として、都合よく提示することができる。部分用量それ自体を、例えば多数の個別の緩やかに間隔を空けた投与に、さらに分割してもよい。好ましくは、用量は、1週間に1回、またはさらにそれより少ない頻度で、例えば2週間に1回、3週間に1回、1か月に1回、またはさらに2か月に1回、投与される。
【0310】
投与レジメンは、長期の処置を含んでもよい。「長期」とは、少なくとも2週間、および好ましくは数週間、数か月間、または数年間の期間を意味する。この投与の範囲において必要な修飾は、本明細書において提供される教示を前提として、慣用的な実験のみを用いて、当業者により決定され得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Martin, E.W.編、第4版)、Mack Publishing Co., Easton, PAを参照。投与量はまた、何らかの合併症のイベントがあった場合には、個々の医師により調整され得る。
【0311】
当該分野においては、関節において軟骨が罹患する障害、例えば変形性関節症などのための、より有効な治療が必要とされている。関節内投与された場合であっても、ほとんどの薬物の滞留時間は、罹患した軟骨を処置するためには不十分である。本発明者らは、治療薬を、薬物を関節中に「アンカリング」して結果として薬物の保持を増大させるが、前記治療薬の有効性を損なわないはずである部分(また、「軟骨アンカータンパク質」または「CAP」としても示される)にカップリングすることにより、治療薬の有効性が著しく増大され得るという仮説を立てた。このアンカリングの概念は、毒性および副作用を減少させることにより、薬物の有効性のみならず、患部関節に対する操作上の特異性をも増大させ、それにより、有用な薬物候補の数を拡大する。本発明者らはさらに、アグリカン結合剤は、潜在的にアンカーとして機能し得るが、アグリカンは、重度にグリコシル化され、関節において軟骨が患う多様な障害において分解されるという仮説を立てた。さらに、薬物が臨床に入ることができる前に必要とされる多様な動物モデルにおけるコストおよび大規模な試験を考慮して、かかるアグリカン結合剤は、優先的に広い交差反応性を有するべきであり、例えば、アグリカン結合剤は、多様な種のアグリカンに結合すべきである。多様な巧妙な免疫化、スクリーニングおよび特徴づけの方法を用いて、本発明者らは、優れた選択性、安定性および特異性の特徴を有し、関節における長期の保持および活性を可能にする、多様なアグリカン結合剤を同定することができた。
【0312】
一側面において、本発明は、医薬としての使用のための、本発明による組成物、本発明によるISV、本発明によるポリペプチド、および/または本発明によるコンストラクトに関する。
一側面において、本発明は、関節からの、組成物、ポリペプチドまたはコンストラクトの流出を減少させるかおよび/または阻害するための方法に関し、ここで、前記方法は、少なくとも1つの本発明によるポリペプチド、本発明によるコンストラクト、または本発明による組成物の薬学的活性量を、それを必要とする人物に投与することを含む。
【0313】
本発明において、用語「流出を減少させるかおよび/または阻害すること」とは、関節中から外側への、組成物、ポリペプチドまたはコンストラクトの外向き流を減少させるかおよび/または阻害することを意味する。好ましくは、流出は、本発明のアグリカン結合剤、例えばアグリカンに結合するISV(単数または複数)の存在を伴わないことを除いて同じ条件下における、関節における前述の組成物、ポリペプチドまたはコンストラクトの流出と比較して、少なくとも10%、例えば少なくとも20%、30%、40%、または50%、またはさらに例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、またはさらに100%、低下させられるか、および/または阻害される。
【0314】
本発明のアグリカン結合剤は、軟骨に影響を及ぼす多様な疾患、例えば、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎など(一般的に本明細書において「アグリカンに関連する疾患」として示される)において用いることができることが、理解される。
【0315】
一側面において、本発明は、アグリカンに関連する疾患、例えば、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを予防または処置することにおける使用のための、本発明による組成物、ISV、ポリペプチド、および/またはコンストラクトに関する。
【0316】
一側面において、本発明は、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを予防または処置するための方法に関し、ここで、前記方法は、それを必要とする対象に、本発明による少なくとも組成物、ISV、ポリペプチド、またはコンストラクトのそれを必要とする人物にとっての薬学的活性量を投与することを含む。
【0317】
一側面において、本発明は、関節症および軟骨ジストロフィー、関節炎疾患、例えば変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎、外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎などを処置または予防するための医薬組成物の調製における、本発明によるISV、ポリペプチド、組成物またはコンストラクトの使用に関する。
【0318】
アグリカンに結合することにより、本発明のアグリカン結合剤は、アグリカンを分解することにおいて、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11の活性を低下させるかまたは阻害し得ることが期待される。
【0319】
したがって、一側面において、本発明は、アグリカンを分解することにおいて、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)、好ましくはMMP8、MMP13、MMP19、MMP20、ADAMTS5(アグリカナーゼ-2)、ADAMTS4(アグリカナーゼ-1)および/またはADAMTS11の活性を低下させるかまたは阻害する方法に関し、ここで、前記方法は、本発明による少なくともISV、ポリペプチド、コンストラクトまたは組成物の薬学的活性量を、それを必要とする人物に投与することを含む。
【0320】
本発明の文脈において、「予防または処置」という用語は、疾患を予防および/または処置することが含まれるのみならず、また一般的に、疾患の発症を防止し、減速させ、または疾患の進行を逆転させ、疾患に関連する1つ以上の徴候の発症を防止または遅延させ、疾患に関連する1つ以上の徴候を低減および/または緩和し、それらに関連するいかなる疾患および/または徴候の重症度および/または期間を減少させ、および/または、それらに関連するいかなる疾患および/または徴候重症度の増加を防止し、疾患によって生じるいかなる生理的損傷も予防、低減または逆転させること、また通常では、処置を受ける患者に有益なあらゆる薬理学的行動が含まれる。
【0321】
処置を受ける対象は、いかなる温血動物でもあってもよいが、特に哺乳動物、具体的にはヒトである。当業者に明らかなように、処置を受ける対象は、具体的には、本明細書に記載の疾患、障害および症状に罹患するか、またはそのリスクを有する人物である。
【0322】
一般に、処置レジメンは、1つ以上の本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトの、またはこれを含む1つ以上の組成物の、1つ以上の薬学的に有効な量または用量における投与を含むであろう。投与されるべき具体的な量(単数または複数)または用量は、やはり上で引用される要因に基づいて、医師により決定され得る。
【0323】
一般に、処置されるべき特定の疾患、障害または状態、用いられるべき特定の本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトの効力、特定の投与の経路、および用いられる特定の医薬処方物または組成物に依存して、医師は、好適な日用量を決定することができるであろう。
【0324】
通常は、上の方法において、本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトは用いられるであろう。しかし、2つ以上のISV、ポリペプチドおよび/または本発明のコンストラクトを、組み合わせにおいて用いることは、本発明の範囲内である。
【0325】
本発明のISV、ポリペプチドおよび/またはコンストラクトは、1つ以上のさらなる薬学的に活性な化合物または原理と組み合わせて、すなわち、相乗効果をもたらしても、これをもたらさなくともよい組み合わせ処置レジメンとして、用いることができる。やはり、臨床医は、上で引用される要因およびその専門家としての判断に基づいて、かかるさらなる化合物または原理、ならびに好適な組み合わせ処置レジメンを選択することができるであろう。
【0326】
特に、本発明のISV、ポリペプチドおよび/またはコンストラクトは、本明細書において引用される疾患、障害および状態の予防および/または処置のために用いられるか、またはこれらのために用いることができる、他の薬学的に活性な化合物または原理と組み合わせて用いることができ、その結果として相乗効果が得られても得られなくともよい。かかる化合物および原理、ならびにそれを投与するための経路、方法および医薬処方物または組成物の例は、臨床医には明らかであろう。
【0327】
2つ以上の物質または原理が組み合わされた処置レジメンの一部として用いられる場合、それらは、同じ投与の経路を介して投与されても、異なる投与の経路を介して投与されてもよく、本質的に同じ時点であっても、異なる時点において投与されてもよい(例えば、本質的に同時に、連続的に、または交互の体制により)。物質または原理が、同時に、同じ投与の経路を介して投与されるべきである場合、それらは、異なる医薬処方物または組成物、または組み合わされた医薬処方物または組成物の一部として、投与することができ、これは、当業者には明らかであろう。
【0328】
また、2つ以上の活性物質または原理が、組み合わされた処置レジメンの一部として用いられるべきである場合、物質または原理の各々を、化合物または原理が単独で用いられる場合と同じ量において、および同じレジメンに従って投与してもよく、かかる組み合わされた使用は、相乗効果をもたらし得るものであっても、そうでなくともよい。しかし、2つ以上の活性物質または原理の組み合わされた使用が相乗効果をもたらす場合、なお所望される治療的作用を達成しつつ、投与されるべき当該物質または原理のうちの一方、それより多くまたは全ての量を減少させることも可能であり得る。このことは、例えば、なお所望される薬学的効果または治療効果を得つつ、当該物質または原理のうちの1つまたはそれより多くをそれらの通常の量で使用した場合にそれらの使用に付随する任意の望ましくない副作用を、回避するか、制限するか、またはこれを軽減するために有用であり得る。
【0329】
本発明により使用される処置レジメンの有効性は、それ自体公知の任意の様式において、関与する疾患、障害または状態について、決定および/または追跡することができ、これは、臨床医には明らかであろう。臨床医はまた、適切である場合、および各症例ごとに、所望される治療効果を達成するために、望ましくない副作用を回避するか、制限するか、またはこれを軽減するために、および/または、一方での所望される治療効果を達成することと、他方での望ましくない副作用を回避するか、制限するか、またはこれを軽減することとの間の適切なバランスを達成するために、特定の処置レジメンを変更または改変することができるであろう。
【0330】
一般に、処置レジメンは、所望される治療効果が達成されるまで、および/または所望される治療効果が維持されるべきである限り、続けられるであろう。やはり、これは、臨床医により決定され得る。
【0331】
別の側面において、本発明は、少なくともアグリカンに関連する疾患の予防および/または処置のための;および/または本明細書において記述される処置の方法のうちの1つ以上における使用のための、医薬組成物の調製における、本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトの使用に関する。
本発明はまた、アグリカンを調節すること、例えばアグリカン分解を阻害することにより予防および/または処置することができる少なくとも1つの疾患または障害の予防および/または処置の処置のための医薬組成物の調製における、本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトの使用に関する。
【0332】
本発明はまた、本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトを患者に投与することにより予防および/または処置することができる少なくとも1つの疾患、障害または状態の予防および/または処置のための医薬組成物の調製における、本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクトの使用に関する。
本発明はさらに、少なくとも1つのアグリカンに関連する疾患の予防および/または処置における使用のための、本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクト、またはこれを含む医薬組成物に関する。
【0333】
処置されるべき対象は、任意の温血動物であってよいが、特に、哺乳動物、およびことさらにはヒトである。獣医学的適用において、処置されるべき対象は、商業目的のために育てられている、またはペットとして飼育されている任意の動物を含む。当業者には明らかであるように、処置されるべき対象は、特に、本明細書において記述される疾患、障害および/または状態を罹患しているか、またはそのリスクを有する人物であろう。
やはり、かかる医薬組成物において、1つ以上の本発明のISV、ポリペプチド、化合物および/またはコンストラクト、またはこれをコードするヌクレオチド、および/またはこれを含む医薬組成物は、本明細書において記述されるもののような1つ以上の他の有効な原理と、好適に組み合わせてもよい。
【0334】
本発明はまた、in vitroで(例えばin vitroまたは細胞アッセイにおいて)またはin vivoで(例えば単細胞または多細胞生物において、および特に哺乳動物において、ことさらにはヒトにおいて、例えば本発明の疾患、障害または状態のリスクを有するかまたはこれを罹患するヒトにおいて)の使用のための、組成物(限定することなく、本明細書においてさらに記載されるような医薬組成物または調製物など)に関する。
処置についての言及は、別段に明示的に記述されない限り、確立した症状の処置、および予防的処置の両方を含むことが、理解されるべきである。
【0335】
配列は、WIPO標準ST.25に従って、説明の主要部において、および独立した配列表において、開示される。特定の番号により特定される配列番号は、説明の主要部において、および独立した配列表において、同じであるべきである。例として、配列番号1は、説明の主要部において、および独立した配列表の両方において、同じ配列を定義すべきである。説明の主要部における配列の定義と独立した配列表との間に矛盾が存在する場合(例えば、説明の主要部における配列番号1が、誤って、独立した配列表における配列番号2に対応する場合)、出願における、特に特定の態様の具体的な配列に対する参照は、出願の主要部における配列に対する参照として理解されるべきであり、独立した配列表に対する参照として理解されるべきではない。言い換えると、説明の主要部における配列の定義/命名と独立した配列表との間の矛盾は、独立した配列表を、説明、例、図面および請求の範囲を含む出願の主要部において開示される配列およびそれらの命名に補正することにより、解消されるべきである。
【0336】
本発明は、ここで、非限定的な好ましい側面、例および図面により、さらに記載されるであろう。
本願全体にわたり引用される参考文献の全ての全内容(学術文献、発行済み特許、公開された特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)は、特に、本明細書において上で言及される教示について、本明細書により参考として明示的に援用される。
【0337】

例1 アグリカンによるラマの免疫、重鎖のみの抗体フラグメントレパートリーのクローニング、およびファージの調製
本発明者らは、OAの動物モデルの目的は、症状および疾患の進行を検出する機会を同定することができ、新たな治療を開発することができるように、関節の損傷のスケールおよび進行を制御可能に再現することであることに気づいた。理想的な動物モデルは、比較的低コストのものであり、再現可能な疾患の進行を、短時間の内に差異を検出するために十分に大きい効果の規模と共に提示するものである。モデルが、あまりに迅速に末期の変性へと進行する場合、OAの病態生理学の代表である中間の時点を入手し得ない場合があり、この情報の不在下においては、潜在的な介入の微妙な効果は見逃される可能性がある。OAが、機械的プロセスと生化学的プロセスとの相互作用の結果である末期の表現型であることを承知の上で、動物モデルは、制御された環境においてこれらの要因を研究することを可能にする(Teeple et al. 2013 AAPS J. 15: 438-446を参照)。
【0338】
動物モデルの最終的なゴールは、ヒト疾患を再現することである(Cohen-Solal et al. 2013 Bonekey Rep. 2: 422を参照)。ヒトOAにおけるプロフィールの不均一性を前提として、多くのモデルが必要とされる。それらは、自発的なものまたは誘導されるもののいずれかである。それらのほとんどは、OAの発症に利する1つの要因、例えば加齢、機械的ストレス(手術)、化学的欠損(酵素)、または遺伝的要因におけるものに焦点を当てる。それらの全ては、重篤度、病変の局在および病因に関して異なる。しかし、発症中のOAの全ての側面に取り組む動物モデルは存在しない。
【0339】
したがって、様々な動物モデルにおいて、ならびに最終的にはヒト患者において有用であるために、CAP結合剤は、好ましくは、広い交差反応性を有し、例えば、1つより多くの種のアグリカンに結合する。好ましくは、アグリカン結合剤は、ヒトアグリカン、ならびにイヌアグリカン、ウシアグリカン、ラットアグリカン、ブタアグリカン、マウスアグリカン、ウサギアグリカン、カニクイザルアグリカンおよび/またはアカゲザルアグリカンのうちの1つ以上に結合する。
【0340】
さらに、本発明者らは、アグリカンの分解が、C末端領域中で開始されるようであることに気づいた。G3ドメインを含まないアグリカン分子の集合は、加齢によっても増加する。関節炎に付随する軟骨の変性の主要な特徴は、G1ドメインとG2ドメインとの間の球間領域中でのタンパク質分解による切断に起因するアグリカンの減少である。したがって、好ましくは、アグリカン結合剤は、アグリカンのN末端領域、すなわち、CSまたはG3ドメイン以外の領域、例えばG1-IGD-G2領域、またはG1-ドメイン、IGD、またはG2ドメインに結合する。最も好ましくは、アグリカン結合剤は、軟骨細胞およびECM中に存在し続けるG1ドメインに結合するであろう。
【0341】
1.1 免疫
5個体のラマを、組み換え(rec)ヒトアグリカンで免疫した(G1-IGD-G2ドメイン、R&D Systems、#1220-PG)(例1.2を参照)。抗原投与の後で血清試料を取得し、ヒト組み換えアグリカンG1-IGD-G2に対するELISAにより、力価を決定した。全てのラマが、特異的な血清力価を示した。
【0342】
1.2 一次スクリーニング
PBL(一次血液リンパ球(primary blood lymphocyte))からRNAを抽出し、遺伝子フラグメントをコードするISVを増幅するためのRT-PCRのための鋳型として用いた。これらのフラグメントを、ファージミドベクターpAX212中にクローニングし、His6タグおよびFLAG3タグと融合させたISVを提示するファージ粒子の生成を可能にした。標準的なプロトコルに従って、ファージを調製し、保存した(Phage Display of Peptides and Proteins: A Laboratory Manual、第1版、Brian K. Kay, Jill Winter, John McCafferty, Academic Press, 1996を参照)。
【0343】
5つの免疫ライブラリーおよび2つの合成ISVライブラリーを用いて、ファージディスプレイ選択を行った。ライブラリーを、組み換えヒトおよび(ビオチン-)ラットアグリカンG1-IGD-G2ドメイン、全長抽出されたウシアグリカンまたは完全なウシ軟骨の様々な組み合わせに対する、2回から3回の濃縮に供した。選択アウトプットからの個々のクローンを、ELISAにおいてヒトG1-IGD-G2ドメインに対する結合についてスクリーニングした(ISVを発現するE.coli細胞からのペリプラズム抽出物を用いて)。542のELISA陽性クローンの配列決定により、144のユニークなISV配列を同定した。ISVを、種交差反応性について評価し、ELISAにより個々のヒトG1、IGDおよびG2ドメインへの結合についてマッピングした。わずかなISVのみが、組み換えヒト、ラット、イヌおよびウシアグリカンG1-IGD-G2に対して類似の結合レベルを示した。限定された種交差反応性は、G1ドメイン結合剤について特に顕著であり、これについては、特にウシおよびイヌアグリカンへの結合が低かった。より種交差反応性が高いG1ドメイン結合性ISVを同定するために、ウシG1-IGD-G2、イヌG1-IGD-G2およびヒトG1ドメインに対するファージディスプレイ選択を行った。ELISAにおいてヒト、カニクイザル、ラット、イヌおよびウシG1-IGD-G2への結合についてスクリーニングした1245のクローンのうち、わずか15の新規の種交差反応性ISVを同定し、このうち9つを、G1-ドメインにマッピングすることができた。
【0344】
合計19のユニークなクローンを、さらなる特徴づけのための「リードパネル」として選択した。このリードパネルについてのドメインマッピングおよび種交差反応性のデータの概要を、表1.2において提供する。
【表1】
【0345】
1.3 G1結合剤
G1結合剤のCDRにおける配列可変性を、クローン114F08に対して決定した。クローン114F08のCDRのアミノ酸配列を、全ての他のクローン(G1結合剤)のCDRを比較する参照として用い、以下の表1.3A、1.3Bおよび1.3Cにおいて表す(CDR1は、Kabat位置26において開始し、CDR2は、Kabat位置50において開始し、およびCDR3は、Kabat位置95において開始する)。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0346】
1.4 G1-IGD-G2結合剤
G1-IGD-G2(GIG)結合剤のCDRにおける配列可変性を、クローン604F02に対して決定した。クローン604F02のCDRのアミノ酸配列を、全ての他のクローン(GIG結合剤)のCDRを比較する参照として用い、以下の表1.4A、1.4Bおよび1.4Cにおいて表す(CDR1は、Kabat位置26において開始し、CDR2は、Kabat位置50において開始し、およびCDR3は、Kabat位置95において開始する)。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0347】
1.5 G2結合剤
G2-結合剤のCDRにおける配列可変性を、クローン601D02に対して決定した。クローン601D02のCDRのアミノ酸配列を、全ての他のクローン(G2結合剤)のCDRを比較する参照として用い、以下の表1.5A、1.5Bおよび1.5Cにおいて示す(CDR1は、Kabat位置26において開始し、CDR2は、Kabat位置50において開始し、およびCDR3は、Kabat位置95において開始する)。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0348】
1.6 ISVの配列最適化
多様なISVを、配列最適化プロセスに供した。配列最適化は、親ISV配列を変異させるプロセスである。このプロセスは、ISVのヒト化(i)、翻訳後修飾(ii)、ならびに起こり得る既存の抗体のためのエピトープ(iii)をノックアウトすることを包含する。
(i)ヒト化を目的として、親ISV配列を、変異させて、ヒトIGHV3-IGHJ生殖系列コンセンサス配列に対してより同一性が高いISV配列を得る。フレームワーク領域中の、ISVとヒトIGHV3-IGHJ生殖系列コンセンサスとの間で異なる特定のアミノ酸(いわゆるホールマーク残基を例外として)を、タンパク質の構造、活性および安定性は未変化に保つように、ヒトのカウンターパートへと変更する。一握りのホールマーク残基は、ISVの安定性、活性および親和性のために重要であることが知られており、したがって、変異させない。
(ii)CDR中に存在する、および翻訳後修飾(PTM)に対して感受性であるという実験的証左が存在するアミノ酸を、タンパク質の構造、活性および安定性は未変化に保ちつつ、PTM部位が不活化されるように変更する。
(iii)タンパク質の構造、活性および安定性に影響を及ぼすことなく、ISVの配列を、任意の天然に存在する既存の抗体の結合を最少化して、処置創発的な免疫原性応答を惹起する可能性を減少させるために最適化する。
【0349】
配列を最適化した形式のISVの作製のために、ISVの構成成分を、全て標準的なプロトコルに従って、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)においてタグ付けされていないタンパク質として産生させ、タンパク質Aアフィニティークロマトグラフィーを介して精製し、その後、脱塩した。
多様な配列を最適化した形式のISVを、表A-1およびA-2において示す。
【0350】
例2 リードパネル(精製ISV)-アグリカンの特徴づけ
一次スクリーニング、ELISAを介した結合の最初の評価、オフ速度および種交差反応性の決定の後で、リードパネルのISVを、さらなる特徴づけに供した。
【0351】
2.1 アグリカンリードパネルをALB26でフォーマットする(n=19)
臨床用途のための分子の最終的な形式は、1つまたは2つのアグリカン結合ISV(「アンカー」)、およびまた1つ、2つ、またはそれより多くの、治療的な作用の様式を有するISVまたは他の部分を含むことが見込まれる。したがって、19の選択されたクローンを、一価または二価の形式においてALB26に融合させ(CAP-ALB26またはALB26-CAP-CAP)、P. pastorisにおいて発現させた。ALB26は、異なる種からのアルブミンへの結合を完全に無効にする2つの変異をCDR1において有するALB11のバリアントである(アルブミン結合性ISV)。アグリカン結合剤を含む最終的なポリペプチドの形式のサイズを模倣するために、ALB26への融合を行った。いかなる理論によっても拘束されることは望まないが、本発明者らは、pIが、軟骨の浸透および保持に影響を及ぼし得るという仮説を立てた。陰性対照または「ダミー」として、二価のALB26(C01010030)を用いた。
【0352】
2.2 ex vivoでのウシ軟骨保持
軟骨保持を評価するための確立されたアッセイは存在しないので、本発明者らは、ウシ軟骨を用いて、信頼し得る、かつ再現可能なex vivo軟骨保持アッセイを開発した。
ウシの骨は、典型的には、地元の畜殺場から回収した。軟骨を、骨から切り落として約1mm厚の細片にし、さらに生検用カッターを用いて3mmの直系を有する円板に切り抜いた。軟骨の円板を、フレッシュな軟骨から優先的に採取した。
【0353】
比較的短時間の軟骨へのナノボディの暴露(これは、関節内注射により期待され得る)の後で、ISVが、より長期間にわたり軟骨中に保持される能力を決定した。アッセイは、ex vivoで軟骨、典型的には3mmのウシの円板(約10mg湿重量)を、10μg/mLのナノボディ(100μL)と共にONでインキュベートすることと、その後、最大5日間にわたり洗浄すること(PBS/0.1%のBSA/0.1%のNaN/100mMのNaCl)からなった。その後、結合した(保持された)ナノボディを、SDS含有SDS-PAGEサンプルバッファー(LDSサンプルバッファー、Invitrogen)中で軟骨から放出させ、ウェスタンブロット(WB)により分析した。アッセイは、典型的には、ナノボディ試料1つあたり4枚の軟骨円板を用いて行った;2枚の円板は、ナノボディインキュベーションの直後(t)に分析し、結合したナノボディの初期量を決定した;2枚の円板は、洗浄後(t1-5days)に分析した。保持の程度を、t1-5daysおよびtにおいて検出されたナノボディの量の比として定義した。アッセイのスループットを増加させるために、この比の決定は、ウェスタンブロットの目視検査により行い、これは、0~6のスコアを提供し、ここで、0は保持なしであり、6は完全な保持である。
【0354】
結果のまとめを、表2.2において示す。
【表5】
【0355】
9つのコンストラクトが軟骨において非常に良好に保持された(スコア5~6)ことを見出した。この「トップ9」は、組み換えG1、G2またはG1-IGD-G2ドメインの全てに結合するアグリカン結合部分について、一価および二価の両方のコンストラクトを含んだ。このアッセイにおいて、14のコンストラクトは、中程度の保持(<5~2のスコア)を示し、5つのコンストラクトは、検出可能であるが低い保持(<2~1のスコア)を示した。1つを除き全てのアグリカンコンストラクトが、8から9を超える範囲のpI値を有したことは、注目すべきである。
【0356】
2.3 エピトープビニング
エピトープビニングのために、精製されたALB26融合ナノボディコンストラクトを、FLAGタグに融合した同じセットナノボディに対して、競合ELISAにおいて、スクリーニングした。
簡単に述べると、アッセイのセットアップは、以下のとおりである。モノクローナルファージELISAを、ファージの半飽和希釈率で、1μmの精製ナノボディ(または5μg/mLのmAb)を用いて、またはこれを用いずに、インキュベートした。精製ナノボディ(またはmAb)の存在下における450nmでの吸光度とこれの不在下における450nmでの吸光度との間の比を、重複エピトープまたは非重複エピトープエピトープを認識するか否かを決定するために用いた。
【0357】
結果として生じたエピトープビンを、表2.2(上)において示す。エピトープビン2および3におけるコンストラクト(G1-ドメイン上のもの)は、ex vivoウシ軟骨保持アッセイにおいて、低い軟骨保持スコア(0~1)を有した。しかし、ELISAおよびウシ軟骨保持により測定されたウシアグリカンG1-IGD-G2に対する結合の間に、直接的な相関は存在しないようであった。いかなる理論にも拘束されないが、本発明者らは、これらのエピトープが、ネイティブな軟骨組織においては容易にはアクセス可能でない場合があるという仮説を立てた。
ビンに属するクローンのCDRの配列可変性を、下および上に表す(すなわち、ビン8を、参照化合物として604F02と共に;表1.4A-C)。
【0358】
114F08に対するエピトープビン4のG1結合剤の配列可変性を、以下の表2.3A、2.3Bおよび2.3Cにおいて表す。クローン114F08のCDRのアミノ酸配列を、全ての他のクローン(エピトープビン4結合剤)のCDRを比較する参照として用いた(CDR1は、Kabat位置26において開始し、CDR2は、Kabat位置50において開始し、およびCDR3は、Kabat位置95において開始する)。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【0359】
608A05に対するエピトープビン1のG1結合剤の配列可変性を、以下の表2.3D、2.3Eおよび2.3Fにおいて表す。クローン608A05のCDRのアミノ酸配列を、全ての他のクローン(エピトープビン1結合剤)のCDRを比較する参照として用いた(CDR1は、Kabat位置26において開始し、CDR2は、Kabat位置50において開始し、およびCDR3は、Kabat位置95において開始する)。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0360】
2.4 結合の特徴-ELISAおよびSPR
ex vivo ウシ軟骨保持およびエピトープビニングのデータに基づいて、様々なエピトープビンからのいくつかの例示的なコンストラクトを、さらなる特徴づけのために選択した。上記の理由のために、G2ドメインへの結合剤は、この段階におけるさらなる特徴づけから除外した。
【0361】
選択されたコンストラクトを、ヒト、カニクイザル、ラット、イヌおよびウシアグリカンからの組み換えG1-IGD-G2領域に対するELISAにおいて特徴づけ、それらの種交差反応性を決定し、組み換えヒトニューロカンおよびブレビカンに対するELISAにおいて特徴づけ、選択性を決定した。決定したEC50値を、表2.4Aにおいて列記する。
【0362】
「一価の」アグリカン-ALB26形式に対して、オフ速度を決定するために、SPR(ProteOn)実験を行った。アグリカン表面とのナノボディの相互作用が、不均一であることを見出した。不均一性は、再結合イベント、固定されたアグリカンの不均一な集団、および/または不均一なグルコシル化パターンに起因し得た。結果として、計算されたオフ速度は、単なる指標である。全体的に、解離動態は、ナノボディを含むアグリカンについて迅速であった(表2.4B)。
【表8-1】
【表8-2】
【0363】
例3 一価のリードコンストラクト-アグリカンの生物物理学的特徴づけ
全ての選択されたコンストラクトが、組み合わせにおけるものであってもそうでなくとも、多様な有利な特徴を示したことから、ISV114F08および604F02およびそれらの対応するALB26-形式(C010100054、-118および094)を、さらなる特徴づけのためのリードパネルを代表する例示的なコンストラクトとして用いた。
【0364】
3.1 E. coliおよびP. pastorisにおける一価の114F08および604F02の発現
生物物理学的特徴づけのために、一価のナノボディ114F08および604F02を、FLAG-Hisタグを用いて、E. coliおよび/またはP. pastorisにおいて発現させ、標準的なプロトコルに従って精製した(例えば、Maussang et al. 2013 J Biol Chem 288(41): 29562-72)。
【0365】
3.2 114F08および604F02のpI、Tmおよび分析的SEC
Thermal shiftアッセイ(TSA)のために、5μLの精製された一価のナノボディ(800μg/ml)を、5μLの蛍光プローブSypro Orange(Invitrogen、S6551)(最終濃度10×)と共に、10μLのバッファー(100mMのリン酸、100mMのホウ酸、100mMのクエン酸、115mMのNaCl、3.5~9の範囲の様々なpHにおいて緩衝化したもの)中で、インキュベートした。試料を、LightCycler 480II装置(Roche)において、4.4℃/sの速度で37℃から99℃まで加熱し、その後、それらを0.03℃/sの速度で37℃まで冷却した。熱により誘導されるアンフォールディングにより、タンパク質の疎水性のパッチを暴露し、これにSypro Orangeが結合して蛍光強度の増大をもたらす(Ex/Em=465/580nm)。蛍光強度曲線の第1の導関数の屈曲点は、融解温度(Tm)の尺度として働き、これは、本質的にEricssonら、2006年(Anals of Biochemistry, 357: 289-298)に従う。
【0366】
Biosep-SEC-3(Agilent)カラムと組み合わせたUltimate 3000装置(Dionex)において、10mMのリン酸、300mMのArg-HCl(pH6.0)を移動相として用いて、分析的分子ふるいクロマトグラフィー(分析的SEC)実験を行った。8μgのナノボディ試料(d-PBS中、0.5mg/mL)を注入した。
【0367】
2つのアグリカンISVの等電点は、比較的塩基性であった。配列を、表A-1において示す。融解温度を、114F08については61.0℃、および604F02については70.0℃であるものと決定した。クローンのうちのいずれも、分析的SECにより決定されるものとしては、凝集または多量体化の徴候を示さなかった。
したがって、正の機能的特性に次いで、ISVは、有利な生物物理学的特性を示す。
【0368】
3.3 114F08ファミリーメンバー
114F08のファミリーメンバーのCDRにおける配列可変性を、以下の表3.3A、3.3Bおよび3.3Cにおいて表す。クローン114F08のCDRのアミノ酸配列を、全ての他のクローン(114F08ファミリーメンバー)のCDRを比較する参照として用いた(CDR1は、Kabat位置26において開始し、CDR2は、Kabat位置50において開始し、およびCDR3は、Kabat位置95において開始する)。

【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【0369】
例4 多様な種からの軟骨へのex vivoでの結合
例示的なCAP含有ポリペプチド(また本明細書において「CAP含有コンストラクト」または「コンストラクト」としても命名される)は、組み換え/抽出されたヒトタンパク質に、およびウシex vivo軟骨保持アッセイにおいてはウシ軟骨に結合することが示された。これらの例示的なCAP含有コンストラクトがまた、他の種からの軟骨にも結合することを示すために、ウシ軟骨を用いた上記のような実験を、ヒト軟骨およびラット軟骨を用いて、本質的に繰り返した。
【0370】
4.1 ヒト軟骨へのex vivoでの結合
例示的なCAP含有コンストラクトがまたヒト軟骨にも結合することを確認するために、選択されたコンストラクトを、ex vivoでの軟骨結合アッセイにおいて、凍結ヒト軟骨片を用いて試験した。30分間の洗浄の後で、ウェスタンブロットにより、結合を決定した。
結果を、表4.1においてまとめる。
【表10】
全てのコンストラクトが、ダミーコンストラクトよりも良好にヒト軟骨に結合したことを見出した。
【0371】
4.2 ex vivoでのラット軟骨への結合
ラットin vivoモデルにおけるコンストラクトの試験を容易にするために、ラット軟骨への結合を評価した。したがって、無傷の軟骨を有するラットからの大腿骨を用いて、アッセイをセットアップした。例示的なコンストラクトC010100054、-118、および-094を、ラット軟骨と共に一晩インキュベートし、その後30分間洗浄し、ウェスタンブロット分析により結合したコンストラクトの放出を追跡した。
【0372】
結果を、表4.2において示す。
全ての試験されたコンストラクトが、ラット軟骨に良好に結合したことを見出した。
【表11】
【0373】
例5 組織特異性
上で、本発明のコンストラクトがアグリカンに特異的に結合することが、in vitroおよびex vivoの両方において示された。加えて、これらのコンストラクトはまた、好ましくは、関節の軟骨に結合する一方で、関節中の他の組織には結合しないか、より少なく結合すべきである。
例示的なCAP含有コンストラクトの、滑膜、腱、筋上膜および半月板への結合を、ex vivo軟骨結合アッセイについてのものと同じセットアップを用いて評価した。コンストラクトとのONインキュベーションの後の短時間の組織の洗浄(30分間)の後で、コンストラクト放出およびウェスタンブロット分析を行った。
【0374】
結果を、表5においてまとめる。
結果は、CAP結合剤が、関節において見出される他の組織よりも、半月板を含む軟骨性組織への優先的な結合を示すことを示す。
【表12】
【0375】
例6 ウシ滑液におけるナノボディ安定性
患者の利便性および安全を含む多様な理由のために、コンストラクトが滑膜中でより長い期間にわたり安定であり続けることが好ましい。
したがって、例示的なALB26融合CAPコンストラクトの滑液(SF)中での安定性を、非関節炎ウシSF中でのコンストラクトの7日間までにわたる37℃におけるインキュベーションにより評価した。
【0376】
結果を、表6においてまとめる。
【表13】
コンストラクトのいずれの分解も観察することができなかった。
【0377】
例7 IL-1α-刺激された外植片軟骨における保持
この時点において、ナノボディを含むCAPの軟骨の結合および保持に取り組む全ての実験は、健常な(非関節炎の)ex vivoでの軟骨において行った。関節炎の軟骨は、分解したコラーゲンおよびアグリカンにより特徴づけられる。したがって、これらのタンパク質の分解が起こっている場合に、軟骨におけるアグリカン結合剤の結合および保持を評価することもまた、妥当である。このことを目的として、例示的なALB26融合CAPコンストラクトを、軟骨を、分解を誘導するように刺激した軟骨外植片アッセイにおいて試験した。
【0378】
簡単に述べると、IL-1αおよびオンコスタチンMを用いて、またはこれらを用いずに培養し、その後5日間、培地を毎日交換しながら(洗浄)培養を続けたウシ軟骨外植片と共に、例示的なCAP含有コンストラクトを一晩(ON)インキュベートした。IL-1αおよびオンコスタチンMは、主に、6日間の実験中にアグリカンの分解を誘導する。軟骨外植片を、WBによるコンストラクトの結合および保持について分析した。2回の独立した実験を行った(Exp AおよびExp B)。
【0379】
ウェスタンブロットの結果を、表7.1において表す。
【表14】
【0380】
刺激された軟骨外植片中のコンストラクトを含むCAPの保持の結果を、表7.2においてまとめる。
【表15】
【0381】
結果は、コンストラクトC01010054(「054」または「54」)およびC01010045(「045」または「45」)は、刺激された軟骨において、5日間の洗浄の後で、刺激されていない軟骨と比較して、減少した保持を有し、一方、コンストラクトC01010118(「118」)およびC01010094(「094」または「94」)は、刺激に対してほとんど感受性を示さなかったことを示す。
さらに、G2アグリカンドメイン(C01010045により例示されるもの)の結合は、他方のドメインへの結合よりも減少したようであり、これは、アグリカン分解がC末端から進行するという仮説と一致するであろう。
【0382】
例8 ADAMTS5-CAP GAG放出アッセイ
軟骨アンカー部分であるCAPの、軟骨組織におけるプロテアーゼ阻害性ナノボディの効力に対して生じ得る影響に取り組むために、例示的なCAPコンストラクトを、ADAMTS5(ATS5)をブロッキングするISVに融合させ、GAG(グリコサミノグリカン(GlycosAminoGlycan))放出軟骨外植片アッセイにおいて試験した。
【0383】
コンストラクトをGAG放出軟骨外植片アッセイにおいて試験する前に、in vitroでの軟骨結合およびADAMTS5阻害特性を確認した。後者について、酵素ペプチドアッセイを行い、これは、in vitroで、ADAMTS5 ISVの酵素ブロッキング機能が、CAP融合コンストラクトのいずれにおいても損なわれなかったことを示した。
【0384】
GAG放出アッセイにおいて、ウシ軟骨外植片を、5日間にわたり、IL-1αおよびオンコスタチンM(ADAMTS5の誘導のため)およびある用量範囲のコンストラクトの存在下において培養し、その後、培養上清中の放出されたGAG含有量の定量を行った。
【0385】
試験されたコンストラクトおよびGAG放出アッセイの結果を、表8においてまとめる。
【表16】
結果は、アンカーアーム(anchoring arm)(CAP-ISVコンストラクト)をADAMTS5阻害剤に負荷することは、なおGAG放出の効率的な阻害を可能にすることを示す。
【0386】
例9 CAP-コンストラクトのin vivoでのバイオイメージング
例示的なアグリカンCAPコンストラクトのin vitroおよびex vivoでの特徴づけと平行して、保持特性を確認するために、ALB26融合コンストラクトのうちのいくつかについて、in vivoでの生体分布を決定した。
【0387】
9.1 ALB26-CAPコンストラクトの生体分布研究
ナノボディを、125Iで標識した(125I-SIBのリジンカップリングを介して)。健常ラットの膝関節に、コンストラクトを注射した。注射の4週間後までの様々な時点において、関節のオートラジオグラフィー画像を作製した。これらの画像は、in vivoでのセッティングにおけるコンストラクトの保持および組織(軟骨)特異性を評価することを可能にする。
代表的な画像を、図1において示す。
【0388】
結果から、全てのコンストラクトが軟骨に対する特異的結合を示したことを結論付けることができる。注射の4週間後であっても、「一価の」および「二価の」アグリカン結合剤の両方について、はっきりとした染色が観察された。
【0389】
9.2 ALB26-CAPコンストラクトのMARG
上記の生体分布研究(例9.1)は、ALB26-CAPコンストラクトの軟骨における特異的保持を示した。しかし、画像の解像度は、軟骨中への浸透の深さの検討を可能にしなかった。イメージングの解像度を増大して、それにより軟骨中への浸透を評価することを可能にするために、MARG(Micro-Auto-Radio-Graphy)を用いた。
【0390】
研究に用いられた例示的なコンストラクトを、表9.2Aにおいて列記する。本研究のために、ナノボディを、Hで標識し(H-NSPのリジンカップリングを介して(N-スクシンイミジルプロピオン酸))、健常ラット関節および骨関節炎(前十字靱帯の切断を介して外科的に誘導した)ラット関節中に注射した;1群あたり8個体のラット。注射の7~14日間後、ラットを安楽死させ、注射された健常関節およびOA誘導関節を、MARGのために処理した。
【0391】
代表的なMARG画像を、図2において示す。
【表17】
【0392】
アグリカン結合剤の全てが、一般に、健常な軟骨中への浸透を示した。コンストラクト626は、時折また、表面上のいくつかのより顕著な染色を示した。手術された膝においては、多様な程度の軟骨の染色および浸透が観察された:一価のコンストラクト054によっては、何らの染色も観察されなかった;一価のコンストラクト094によっては、染色は不在または軽度であったが、一方、二価のコンストラクト626は、浸透の深度は変動しつつも、いくらかより顕著な染色をもたらした(表9.2Bを参照)。
【表18】
【0393】
例10 in vivoでのラットMMT DMOADは、統計学的に有意な効果を示した。
本発明のCAP結合剤のin vivoでの有効性をさらに示すために、ラットにおいて外科的に誘導した内側半月板断裂(MMT)モデルを用いた。簡単に述べると、本発明のCAP結合剤を、抗MMP13 ISV(「0754」もしくは「C010100754」として命名される)または抗ADAMTS5 ISV(「0954」もしくは「C010100954」として命名される)にカップリングした。ラットに、一方の膝に手術を行い、OA様症状を誘導した。処置は、術後3日目にIA注射により開始した。術後42日に病理組織学を行った。探索性バイオマーカー分析のために、中間および最終の血清試料を取得した。医学的および全体的な実質的な軟骨の変性幅ならびに軟骨変性の減少のパーセンテージを決定した。1群あたり20個体の動物を用いた。
ナノボディによる脛骨内側(medial tibia)における軟骨分解の阻害を、図3において示す。
【0394】
結果は、42日後に、ADAMTS5-CAPコンストラクトおよびMMP13-CAPコンストラクトにより、ビヒクルと比較して軟骨の幅が実質的に減少したことを示す。これらの結果は、CAP部分は、(a)抗MMP13 ISV(0754)または抗ADAMTS5 ISV(0954)のいずれの活性に対しても負の影響を有しないこと;および(b)関節においてより長時間にわたりこれらのコンストラクトの保持を可能にすることを示唆する。
【0395】
例11 健常ラットおよび骨関節炎ラットにおけるCAP結合剤の保持は、in vivoで同様である。
健常なラットにおける軟骨保持研究において、本発明のポリペプチドは、関節内(I.A.)注射の後112日間まで軟骨中で測定可能であったことが示された(データは示さず)。軟骨の組成は全身の循環における軟骨の結合および吸収に影響を有し得るので、本発明のポリペプチドの薬物動態学を、病気の変形性関節症ラットおよび健常なラットにおいてin vivoで比較し、その後、遅れずにポリペプチドの血清レベルを比較した。
【0396】
特に、ラットにおいて外科的に誘導した内側半月板断裂(MMT)モデルを、いくつかの改変と共に例10において記載されるように用いた。簡単に述べると、本発明のポリペプチドを、抗MMP13 ISVおよび抗ADAMTS5 ISVにカップリングして、MMP13-ADAMTS5-CAP-CAPコンストラクト(「0949」または「C010100949」ナノボディと命名される)を生じた。ラットに、一方の膝において手術を行い、OA様症状を誘導した(OA群)。各々の処置群(健常およびOA)は、15個体の動物からなり、第7日(健常)または術後7日(MMT)において、400μg/30μlのナノボディの単一のI.A.注射を受けた。血清試料を、麻酔されたラットから、第0日において、第7日において(0hにおいて=プレ用量試料)、第8日において(処置後24hまでの異なる時点において)、第9日(処置の48時間後)、d10(処置の3日後)、d14(処置の7日後)、d21(処置の14日後)およびd42(処置の35日後)において回収した。回収した血清試料を、電気化学発光(electrochemoluminescence:ECL)ベースの総合PKアッセイ形式におけるポリペプチド濃度の決定、およびその後の非コンパートメント(non-compartmental)分析のために用いた。
健常ラットおよびOAラットの血清中のポリペプチドの保持を、図4において示す。
【0397】
結果は、健常なラットおよびOAラットにおけるポリペプチドの血清濃度において、何らの明らかな差異は観察され得ないことを示す。これらの結果は、軟骨分解は、本発明のポリペプチドの薬物動態学に対して、何らの影響を有しないことを示唆する。
【0398】
【表19】
【0399】
【表20-1】
【表20-2】
【0400】
【表21-1】
【表21-2】
【表21-3】
【表21-4】
【表21-5】
【表21-6】
【表21-7】
【表21-8】
【表21-9】
【0401】
【表22】
【0402】
【表23】
【0403】
【表24-1】
【0404】
【表24-2】
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023153140000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号125で表されるヒトアグリカンに特異的に結合する、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)。
【請求項2】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1に記載のISVであって、ここで;
- CDR1が、配列番号24、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37および109からなる群より選択され;
- CDR2が、配列番号42、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55および110からなる群より選択され;ならびに
- CDR3が、配列番号60、56、57、58、59、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74および111からなる群より選択される、
前記ISV。
【請求項3】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1または2に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号24、20、21、109;および
b)配列番号24のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置2において、Sは、R、F、IもしくはTに変更されている;
- 位置3において、Tは、Iに変更されている;
- 位置5において、Iは、Sに変更されている;
- 位置6において、Iは、S、TもしくはMに変更されている;
- 位置7において、Nは、YもしくはRに変更されている;
- 位置8において、Vは、A、Y、TもしくはGに変更されている;
- 位置9において、Vは、Mに変更されている;および/または
- 位置10において、Rは、G、KもしくはAに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号42、38、39、および110;および
d)配列番号42のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置1において、Tは、AもしくはGに変更されている;
- SもしくはNが位置3と位置4との間に挿入される;
- 位置3において、Sは、R、W、NもしくはTに変更されている;
- 位置4において、Sは、TもしくはGに変更されている;
- 位置5において、Gは、Sに変更されている;
- 位置6において、Gは、SもしくはRに変更されている;
- 位置7において、Nは、S、TもしくはRに変更されている;
- 位置8において、Aは、Tに変更されている;および/または
- 位置9において、Nは、DもしくはYに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号60、56、57、および111;および
f)配列番号60のアミノ酸配列と5、4、3、2もしくは1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列、ここで、
- 位置1において、Pは、G、R、DもしくはEに変更されているか、または不在である;
- 位置2において、Tは、R、L、PもしくはVに変更されているか、または不在である;
- 位置3において、Tは、M、SもしくはRに変更されているか、または不在である;
- 位置4において、Hは、D、Y、GもしくはTに変更されている;
- 位置5において、Yは、F、V、TもしくはGに変更されている;
- 位置6において、Gは、L、D、S、YもしくはWに変更されている;
- R、T、YもしくはVが、位置6と位置7との間に挿入される;
- 位置7において、Gは、PもしくはSに変更されている;
- 位置8において、Vは、G、T、H、R、LもしくはYに変更されている;
- 位置9において、Yは、R、A、S、DもしくはGに変更されている;
- 位置10において、Yは、N、E、G、WもしくはSに変更されている;
- Wが、位置10と位置11との間に挿入される;
- 位置11において、Gは、S、KもしくはYに変更されている;
- 位置12において、Pは、EもしくはDに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置13において、Yは、Lに変更されているか、または不在である、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項4】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1または2に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号32、30および23;ならびに
b)配列番号32のアミノ酸配列と3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置2において、Rは、Lに変更されている;
- 位置6において、Sは、Tに変更されている;および/または
- 位置8において、Tは、Aに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号50、41、48および51;ならびに
d)配列番号50のアミノ酸配列と2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置7において、Gは、SもしくはRに変更されている;および/または
- 位置8において、Rは、Tに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号68、59、66および69;ならびに
f)配列番号68のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置4において、Rは、VもしくはPに変更されている;
- 位置6において、Aは、Yに変更されている;
- 位置7において、Sは、Tに変更されている;
- 位置8において、Sは、不在である;
- 位置9において、Nは、Pに変更されている;
- 位置10において、Rは、TもしくはLに変更されている;
- 位置11において、Gは、Eに変更されている;および/または
- 位置12において、Lは、TもしくはVに変更されている、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項5】
4つのフレームワーク領域(それぞれFR1~FR4)および3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)から本質的になる、請求項1または2に記載のISVであって、ここで;
i)CDR1は、
a)配列番号28;および
b)配列番号28のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Gは、Rに変更されている;
- 位置2において、Pは、SもしくはRに変更されている;
- 位置3において、Tは、Iに変更されている;
- 位置5において、Sは、Nに変更されている;
- 位置6において、Rは、N、MもしくはSに変更されている;
- 位置7において、Yは、Rに変更されているか、または不在である;
- 位置8において、Aは、Fに変更されているか、または不在である;および/または
- 位置10において、Gは、Yに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
ii)CDR2は、
c)配列番号46;および
d)配列番号46のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Aは、SもしくはYに変更されている;
- 位置4において、Wは、Lに変更されている;
- 位置5において、Sは、Nに変更されている;
- 位置6において、Sは、不在である;
- 位置7において、Gは、不在である;
- 位置8において、Gは、Aに変更されている;
- 位置9において、Rは、S、DもしくはTに変更されている;および/または
- 位置11において、Yは、NもしくはRに変更されている;
からなる群より選択される、
ならびに/あるいは
iii)CDR3は、
e)配列番号64;および
f)配列番号64のアミノ酸配列と5、4、3、2または1のアミノ酸(単数または複数)の相違を有するアミノ酸配列であって、ここで、
- 位置1において、Aは、RもしくはFに変更されている;
- 位置2において、Rは、IもしくはLに変更されている;
- 位置3において、Iは、HもしくはQに変更されている;
- 位置4において、Pは、GもしくはNに変更されている;
- 位置5において、Vは、Sに変更されている;
- 位置6において、Rは、G、NもしくはFに変更されている;
- 位置7において、Tは、R、WもしくはYに変更されている;
- 位置8において、Yは、RもしくはSに変更されているか、または不在である;
- 位置9において、Tは、Sに変更されているか、または不在である;
- 位置10において、Sは、E、Kに変更されているか、または不在である;
- 位置11において、Eは、N、Aに変更されているか、または不在である;
- 位置12において、Wは、Dに変更されているか、または不在である;
- 位置13において、Nは、Dに変更されているか、または不在である;
- 位置14において、Yは、不在である;および/または
- DおよびNが、配列番号64の位置14の後に付加される、
からなる群より選択される、前記ISV。
【請求項6】
- CDR1が、配列番号24であり、CDR2が、配列番号42であり、およびCDR3が、配列番号60である;
- CDR1が、配列番号20であり、CDR2が、配列番号38であり、およびCDR3が、配列番号56である;
- CDR1が、配列番号21であり、CDR2が、配列番号39であり、およびCDR3が、配列番号57である;
- CDR1が、配列番号25であり、CDR2が、配列番号43であり、およびCDR3が、配列番号61である;
- CDR1が、配列番号27であり、CDR2が、配列番号45であり、およびCDR3が、配列番号63である;
- CDR1が、配列番号29であり、CDR2が、配列番号47であり、およびCDR3が、配列番号65である;
- CDR1が、配列番号31であり、CDR2が、配列番号49であり、およびCDR3が、配列番号67である;
- CDR1が、配列番号34であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号71である;
- CDR1が、配列番号35であり、CDR2が、配列番号53であり、およびCDR3が、配列番号72である;
- CDR1が、配列番号36であり、CDR2が、配列番号54であり、およびCDR3が、配列番号73である;
- CDR1が、配列番号37であり、CDR2が、配列番号55であり、およびCDR3が、配列番号74である;
- CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号50であり、およびCDR3が、配列番号68である;
- CDR1が、配列番号32であり、CDR2が、配列番号51であり、およびCDR3が、配列番号69である;
- CDR1が、配列番号30であり、CDR2が、配列番号48であり、およびCDR3が、配列番号66である;
- CDR1が、配列番号23であり、CDR2が、配列番号41であり、およびCDR3が、配列番号59である;
- CDR1が、配列番号28であり、CDR2が、配列番号46であり、およびCDR3が、配列番号64である;
- CDR1が、配列番号22であり、CDR2が、配列番号40であり、およびCDR3が、配列番号58である;
- CDR1が、配列番号26であり、CDR2が、配列番号44であり、およびCDR3が、配列番号62である;ならびに
- CDR1が、配列番号33であり、CDR2が、配列番号52であり、およびCDR3が、配列番号70である、
ISVの群より選択される、請求項2~5のいずれか一項に記載のISV。
【請求項7】
配列番号1~19および114~118を有するISVからなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のISV。
【請求項8】
配列番号1~19および114~118のいずれか1つと80%より高い配列同一性を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のISV。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのISVを含む、ポリペプチド。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも2つのISVを含む、ポリペプチド。
【請求項11】
少なくとも2つのISVが、独立して、配列番号1~19および114~118からなる群より選択される、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのISVまたは請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも2つのISVが、セリンプロテアーゼファミリーのメンバー、カテプシン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)/マトリキシンまたはA Disintegrin and Metalloproteinase with Thrombospondin motifs(ADAMTS)に結合する、請求項9~11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
血清タンパク質結合部分または血清タンパク質をさらに含む、請求項9~12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか一項に記載のISVまたは請求項9~13のいずれか一項に記載のポリペプチドを含むかまたはこれから本質的になるコンストラクトであって、1つ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含む、前記コンストラクト。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのISV、請求項9~13のいずれか一項に記載のポリペプチド、または請求項14に記載のコンストラクトを含む、組成物。
【請求項16】
医薬としての使用のための、請求項15に記載の組成物、請求項1~8のいずれか一項に記載のISV、請求項9~13のいずれか一項に記載のポリペプチド、または請求項14に記載のコンストラクト。
【請求項17】
関節症および軟骨ジストロフィー;変形性関節症、関節リウマチ、痛風関節炎、乾癬性関節炎などの関節炎疾患;外傷性の断裂または脱離、軟骨無形成症、肋軟骨炎、脊椎骨端骨幹端異形成症、椎間板ヘルニア、腰椎椎間板変性疾患、変性関節疾患、および再発性多発軟骨炎を予防または処置することにおける使用のための、請求項15に記載の組成物、請求項1~8のいずれか一項に記載のISV、請求項9~13のいずれか一項に記載のポリペプチド、または請求項14に記載のコンストラクト。
【外国語明細書】