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特開2023-153928焼結可能フィルムおよびペーストおよびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023153928
(43)【公開日】2023-10-18
(54)【発明の名称】焼結可能フィルムおよびペーストおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20231011BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20231011BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20231011BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20231011BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20231011BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20231011BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/013
C08L63/00 C
C08K3/10
C08F20/00 510
C08G59/40
H01B1/22 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125965
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2017558433の分割
【原出願日】2016-04-13
(31)【優先権主張番号】62/158,810
(32)【優先日】2015-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ、 プクン
(72)【発明者】
【氏名】グプタ、 シャシ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】レクター、 ルイス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジュオ、 チージュオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ダイ半導体パッケージに使用するのに有利な特性を有する導電性のダイアタッチ材料としての焼結可能なフィルムおよびペースト、このようなフィルムおよびペーストの調製に有用な配合物、ならびにそのような配合物の製造方法を提供する。
【解決手段】1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、フェノール系、ノボラックまたはそれらの混合物等からなる群から選択される、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分、1種以上の導電性充填剤、および任意に有機希釈剤を含む焼結フィルムのための組成物であって、組成物が、100℃以下の温度および40psi以下の圧力でウエハー上にラミネートされ、硬化または焼結時に260℃で少なくとも1.0kg/mmのダイせん断強度を有する、組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、フェノール系、ノボラック、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド、ビスマレイミド、ポリイミドまたはそれらの混合物からなる群から選択される、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分、
1種以上の導電性充填剤、および
任意に有機希釈剤を含む焼結フィルムのための組成物であって、組成物が、
100℃以下の温度および40psi以下の圧力でウエハー上にラミネートされ、
硬化または焼結時に260℃で少なくとも1.0kg/mmのダイせん断強度を有する、組成物。
【請求項2】
組成物が、ダイに取り付けられたときに、0.2kg/mm~1kg/mmの圧力で基板に結合する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種以上のフラックス剤、流動添加剤、接着促進剤、レオロジー改良剤、導電性促進剤、界面活性剤、強化剤、フィルム柔軟化剤、エポキシ硬化触媒、硬化剤、ラジカル重合調節剤、ラジカル安定剤、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含み、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーが、脂肪族骨格、芳香族骨格またはそれらの混合物を有するエポキシを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含み、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーが、官能化エポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が、組成物の全固形分の10重量%までの量で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
1種以上の導電性充填剤が、銀を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
1種以上の導電性充填剤が、1種以上のニッケル、銅、銀メッキ金属、ニッケルメッキ金属、銀メッキグラファイト、銀被覆ポリマー、ニッケルメッキグラファイト、またはニッケルメッキポリマーをさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
1種以上の導電性充填剤が、組成物の全固形分の少なくとも65重量%の量で組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
粒状充填剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
粒状充填剤が、ニッケル系合金、鉄系合金、タングステン酸ジルコニウム、シリカ、またはそれらの混合物を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
粒状充填剤が、10ppm/℃以下の熱膨張係数を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
粒状充填剤が、組成物の全固形分の20重量%までの量で組成物中に存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
有機希釈剤が、反応性有機希釈剤、非反応性有機希釈剤、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物から形成されたフィルム。
【請求項17】
ウエハーに導電性フィルムをラミネートする方法であって、
請求項1に記載の組成物をウエハーに塗布する工程、および
100℃以下の温度および40psi以下の圧力で組成物をウエハー上にラミネートする工程を含む方法。
【請求項18】
導電性ネットワークを調製する方法であって、
請求項1に記載の組成物をウエハーに塗布する工程、
組成物を100℃以下の温度および40psi以下の圧力でウエハー上にラミネートして、ウエハーにフィルムを付着させる工程、
ウエハーに付着したフィルムをダイシングしてダイとフィルムを得る工程、および
0.2kg/mm~1kg/mmの圧力下でダイとフィルムを基板に接合する工程とを含む方法。
【請求項19】
1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、フェノール系、ノボラック、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド、ビスマレイミド、ポリイミドまたはそれらの混合物からなる群から選択される、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分、
1種以上の導電性充填剤、
組成物の全固形分の20重量%までの量の粒状充填剤、および
有機希釈剤を含む焼結ペーストのための組成物であって、組成物が、
硬化または焼結時に260℃で少なくとも1.0kg/mmのダイせん断強度を有する、組成物。
【請求項20】
粒状充填剤が、ニッケル系合金、鉄系合金、タングステン酸ジルコニウム、シリカ、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
粒状充填剤が、10ppm/℃以下の熱膨張係数を有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
請求項19に記載の組成物から形成されたペースト。
【請求項23】
導電性ネットワークを調製する方法であって、
請求項19に記載の組成物を基板に塗布する工程、および
組成物をダイおよび基板にダイアタッチする工程、および
組成物を硬化させる工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼結可能なフィルムおよびペースト、ならびにかかるフィルムおよびペーストの調製に有用な組成物に関する。一態様では、本発明は、このような組成物を作製するための方法に関する。別の態様では、本発明は、本発明による組成物から調製された導電性ネットワーク、およびその製造方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、導電性フィルムを基板上に積層する方法、および導電性ペーストを基板上に分配する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクスにおける鉛フリー材料の使用を義務付ける環境規制のために、ダイアタッチ産業は、はんだ付け代替材料に焦点を当てている。加えて、ダイアタッチ材料は、特に回路密度の増加に伴い、より小型の半導体デバイスに適した熱伝導率および電気伝導率を有さなければならない。フィルムは、半導体業界で使用される従来のラミネーターを用いてラミネートすることが難しいために焼結フィルムは、これまでこの目的を果たすことができなかった。具体的には、焼結フィルムの金属含有率が高くなり、焼結フィルムの表面乾燥が生じ、フィルムのラミネート性や接合性が阻害される。さらに、ウエハー上に焼結フィルムをラミネートし、続いてダイおよびフィルムを基板に接合するためには、高温および高圧が必要である。焼結フィルムを積層して結合するために必要とされるこれらの高い温度および圧力は、半導体産業で使用される一般的に使用される半導体プロセス装置によって与えられる容量を超える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、エレクトロニクス産業および他の工業的用途(例えば、ダイアタッチ半導体パッケージ)において使用するのに有利な特性を有する導電性ダイアタッチ材料として焼結可能な(すなわち、焼結)フィルムおよびペーストを提供する。例えば、本明細書に記載の焼結フィルムおよびペーストは、パワーディスクリート用のリードフレーム上のダイアタッチ用途、高性能ディスクリート用のワイヤボンド置換用のクリップアタッチ用途、エクスポーズドパッドを有するパワーディスクリートの冷却用の熱スラグアタッチ用途、シングルおよびマルチダイデバイス、ダイおよびフレーム間の高い電気的および/または熱伝導性を必要とする他のデバイスに用いることができる。そのようなフィルムおよびペーストの調製に有用な配合物、ならびにそのような配合物の製造方法も提供する。
【0004】
本発明の別の態様によれば、本発明による組成物から調製された導電性ネットワークを提供する。ある態様では、本発明は、そのための適切な基板に接着されたそのような焼結フィルムおよびペーストを含む物品に関する。
【0005】
本明細書に記載の焼結フィルム組成物は、従来の低温および低圧ラミネーターを用いてウエハー上に積層することができる。さらに、焼結フィルムと基板との間の濡れ性が維持され、結合および硬化の後に適切な焼結形態が達成される。
【0006】
さらに、本発明の組成物から調製された焼結フィルムは、それぞれ図1および図2に示すように、フレキシブルロール形態またはプレカット形態で製造することができる。フレキシブルロール形態またはプレカット形態では、フィルムは、剥離ライナー、ダイシングテープなどを含む形態で使用するのに適した基板の間に挟み込むことができる。一例として、焼結フィルム(図1および2の「ダイアタッチフィルム」と表示されている)は、図1に示すフレキシブルロール形態では、2つの剥離ライナーの間に挟まれ、図2に示すプレカット形態では、剥離ライナーとダイシングテープの間に挟まれる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1A~Bは、フレキシブルロール形態で製造された焼結可能なフィルムの図である。
図2図2A~Bは、プレカット形態で製造された焼結可能なフィルムの図である。
図3図3Aは、本明細書に記載の組成物から調製された焼結可能なフィルムの図である。図3Bは、図3Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明の詳細な説明
予期しないほど低い温度および圧力のラミネート特性を有する焼結フィルムを製造する組成物および方法が本明細書に記載される。具体的には、本明細書に記載の組成物は、結合剤、充填剤、および低温および低圧ラミネートフィルムをもたらす他の成分を含む。 フィルムは、半導体のダイアタッチ材料としてのフィルムの焼結能力を犠牲にすることなく、改善された加工性および濡れ性を示す。さらに、本明細書に記載の組成物から得られる焼結フィルムは、特に柔軟性があり、生産コーターによってロールとして調製することができる。
【0009】
本発明によれば、
1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、フェノール系、ノボラック(novalac)、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド、ビスマレイミド、ポリイミドまたはそれらの混合物を含む、少なくとも1種の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分、
1種以上の導電性充填剤、および
任意に有機希釈剤を含む焼結フィルムのための組成物であって、組成物が、
100℃以下の温度および40psi以下の圧力でウエハー上にラミネートされ、
硬化または焼結時に、チタン-ニッケル-銀で金属化されたダイおよび銀リードフレーム基板を用いて測定して、260℃で少なくとも1.0kg/mmのダイせん断強度を有する、組成物を提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、組成物は、ダイに取り付けられたとき、0.2kg/mm~1kg/mmの圧力で基板に結合する。ダイは、サイズによって制限されず、例えば、1x1mm以下から8x8mm以上であり得る。
【0011】
本発明によれば、
1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、フェノール系、ノボラック、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド、ビスマレイミド、ポリイミドまたはそれらの混合物を含む、少なくとも1種の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分、
1種以上の導電性充填剤、
任意に粒状充填剤、および
有機希釈剤を含む焼結ペーストのための組成物であって、組成物が、
硬化または焼結時に、チタン-ニッケル-銀で金属化されたダイおよび銀リードフレーム基板を用いて測定して、260℃で少なくとも1.0kg/mmのダイせん断強度を有する、組成物を提供する。
【0012】
本明細書に記載の組成物は、少なくとも1種の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分を含む。組成物から調製されたフィルムのフィルム品質、粘着性、濡れ性、柔軟性、作業寿命、高温接着性、樹脂-充填剤相溶性、および焼結性を改善するために、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が本明細書に記載の組成物中に提供される。さらに、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分は、本組成物から調製されたペーストのレオロジー、分配性、作業寿命および焼結性を改善するために、本明細書に記載の組成物中に提供される。熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分は、上記特性を提供することができるいずれの樹脂であってもよいが、限定はされないが、さらに以下に記載する、エポキシ、フェノール、ノボラック(例えば、フェノールおよびクレゾール)、アクリル、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド、ビスマレイミド、およびポリイミドが挙げられる。
【0013】
本明細書においてエポキシ樹脂とも呼ばれる、本明細書での使用が企図される1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーは、脂肪族骨格、芳香族骨格、変性エポキシ樹脂、またはこれらの混合物を有するエポキシを含み得る。ある実施形態では、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマー、またはポリマーは、官能化エポキシモノマー、オリゴマー、またはポリマーを含む。エポキシ樹脂中のエポキシ官能基は、少なくとも1である。ある実施形態では、エポキシ樹脂は1である(すなわち、エポキシ樹脂は単官能エポキシ樹脂である)。他の実施形態では、エポキシ樹脂は、少なくとも2つ以上のエポキシ官能基(例えば、2、3、4、5またはそれ以上)を含む。
【0014】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、特定の分子量を有する樹脂に限定されない。例示的なエポキシ樹脂は、約50以下から約1,000,000までの範囲の分子量を有することができる。ある実施形態では、本明細書の任意の使用のために企図されるエポキシ樹脂は、約200,000~約900,000の範囲の分子量を有する。
【0015】
他の実施形態では、本明細書の任意の使用のために企図されるエポキシ樹脂は、約10,000~約200,000の範囲の分子量を有する。さらに他の実施形態では、本明細書の任意の使用のために企図されるエポキシ樹脂は、約1,000~約10,000の範囲の分子量を有する。さらに他の実施形態では、本明細書の任意の使用のために企図されるエポキシ樹脂は、約50~約10,000の範囲の分子量を有する。
【0016】
ある実施形態では、エポキシ樹脂は、ビスフェノールFのジグリシジルエーテルまたはビスフェノールAのジグリシジルエーテルなどの芳香族および/または脂肪族骨格を含む液体エポキシ樹脂または固体エポキシ樹脂であってもよい。任意にエポキシ樹脂は可撓性エポキシである。可撓性エポキシは、短鎖長または長鎖長ポリグリコールジエポキシド液体樹脂などの、可変長の鎖長(例えば、短鎖または長鎖)を有することができる。例示的な短鎖長ポリグリコールジエポキシド液体樹脂は、D.E.R736が挙げられ、および例示的な長鎖ポリグリコールジエポキシド液体樹脂は、D.E.R. 732(いずれもDow Chemical Company(ミシガン州ミッドランド)から市販されている)が挙げられる。
【0017】
ある実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシ化カルボキシル末端ブタジエン-アクリロニトリル(CTBN)オリゴマーまたはポリマー、エポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーまたはポリマー、複素環式エポキシ樹脂(例えば、イソシアネート変性エポキシ樹脂)などの強化エポキシ樹脂であってもよい。
【0018】
ある実施形態において、エポキシ化CTBNオリゴマーまたはポリマーは、以下の構造を有するオリゴマーまたはポリマー前駆体のエポキシ含有誘導体である:
HOOC[(Bu)(ACN)COOH
式中、
各Buは、ブチレン部分(例えば、1,2-ブタジエニルまたは1,4-ブタジエニル)であり、
各ACNはアクリロニトリル部分であり、
Bu単位およびACN単位は、ランダムまたはブロックで配置することができ、
xおよびyの各々は0より大きく、x+yの合計は、1であり、
x:yの比は、約10:1~1:10の範囲にあり、および
mは、約20~約100の範囲にある。
【0019】
当業者によって容易に認識されるように、エポキシ化CTBNオリゴマーまたはポリマーは、様々な方法で、例えば(1)カルボキシル末端化ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、(2)エポキシ樹脂、および(3)ビスフェノールA:
【0020】
【化1】
からCTBNのカルボン酸基とエポキシ(連鎖延長反応による)などの反応によって製造することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、エポキシ樹脂には、(1)カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、(2)エポキシ樹脂、および(3)上記のようなビスフェノールAから製造されたエポキシ化CTBNオリゴマーまたはポリマー;Hypro(登録商標)エポキシ-官能性ブタジエン-アクリロニトリルポリマー(以前はHycar(登録商標)ETBN)などが挙げられる。
【0022】
ある実施形態では、本明細書での使用が企図されるエポキシ樹脂には、ゴムまたはエラストマー変性エポキシが挙げられる。ゴムまたはエラストマー変性エポキシには、以下の化合物のエポキシ化誘導体が挙げられる。;
(a)米国特許第4,020,036号(その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載され、重量平均分子量(Mw)が30,000~400,000またはそれ以上であり、共役ジエンが1分子当たり4~11個の炭素原子を含む(例えば、1,3-ブタジエン、イソプレンなど)共役ジエンのホモポリマーまたはコポリマー;
(b)エピハロヒドリンホモポリマー、2種以上のエピハロヒドリンモノマーのコポリマーまたはエピハロヒドリンモノマーと数平均分子量(Mn)が約800~約50,000の酸化物モノマーとのコポリマー(米国特許第4,101,604号(全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載される);
(c)エチレン/プロピレン/ヘキサジエン/ノルボルナジエンなどのエチレン/プロピレンコポリマーおよびエチレン/プロピレンと少なくとも1種の非共役ジエンとのコポリマーを含む炭化水素ポリマー(米国特許第4,161,471号に記載される。);または
(d)共役ジエンブチルエラストマー、例えば炭素原子数4~14の共役マルチオレフィン約0.5~約15重量%と組み合わせたC4~C5オレフィン85~99.5重量%からなるコポリマーであり、イソブチレンおよびイソプレンのコポリマーであり、その中で組み合わされたイソプレン単位の大部分が共役ジエン不飽和を有する共役ジエンブチルエラストマー(例えば、米国特許第4,160,759号明細書を参照し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。)
【0023】
ある実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーまたはポリマーである。
【0024】
ある実施形態では、本明細書での使用が企図されるエポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーは、以下の構造を有する。:
【0025】
【化2】
式中、
およびRは、それぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり、
は、H、飽和または不飽和ヒドロカルビル、またはエポキシであり、
上述した少なくとも1つのエポキシ含有繰り返し単位および少なくとも1つの上記のオレフィン繰り返し単位が各オリゴマー中に存在し、存在する場合、各繰り返し単位の1~10の範囲で存在し、および
nは、2~150の範囲にある。
【0026】
ある実施形態では、本発明の実施において使用することが企図されるエポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーまたはポリマーは、以下の構造を有する。:
【0027】
【化3】
式中、
Rは、H、OH、低級アルキル、エポキシ、オキシラン置換低級アルキル、アリール、アルカリールなどである。
【0028】
本明細書での使用が企図されるエポキシ樹脂のさらなる例には、柔軟な骨格を有するエポキシが含まれる。例えば、エポキシ樹脂は、
【0029】
【化4】
などが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、追加のエポキシ材料を本発明の配合物に含めることができる。本発明の配合物に含まれる場合、幅広い種々のエポキシ官能化樹脂が本明細書での使用に企図され、たとえば、ビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂(例えば、Epon Resin 834)、ビスフェノールFに基づくエポキシ樹脂(例えば、RSL-1739またはJER YL980)、フェノール-ノボラック樹脂をベースとする多官能性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(例えば、Epiclon HP- 7200L)、ナフタレン型エポキシ樹脂など、並びにそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0031】
本明細書での使用が企図される例示的なエポキシ官能化樹脂には、脂環式アルコールのジエポキシド、水添ビスフェノールA(Epalloy 5000として市販されている)、無水ヘキサヒドロフタル酸の二官能性脂環式グリシジルエステル(Epalloy 5200として市販されている)、Epiclon EXA-835LV、Epiclon HP-7200Lなど、ならびにそれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0032】
本発明の配合物の任意の追加成分として使用するのに適した従来のエポキシ材料のさらなる例には、
【0033】
【化5】
などが挙げられる。
【0034】
本明細書での使用が企図される例示的なエポキシ官能化樹脂には、エポキシ化CTBNゴム561A、24-440BおよびEP-7(Henkel Corporation; Salisbury、NC&Rancho Dominguez、CAから市販されている);脂環式アルコール水素化ビスフェノールAのジエポキシド(Epalloy 5000として市販されている);ヘキサヒドロフタル酸無水物の二官能性脂環式グリシジルエステル(Epalloy 5200として市販されている);ERL 4299; CY-179;CY-184など;およびそれらの任意の2種以上の混合物が含まれる。
【0035】
任意に、エポキシ樹脂は、モノマー単位の混合物である主鎖(すなわち、ハイブリッド主鎖)を有するコポリマーであってもよい。エポキシ樹脂は、直鎖または分岐鎖セグメントを含むことができる。ある実施形態では、エポキシ樹脂は、エポキシ化シリコーンモノマーまたはオリゴマーであり得る。任意に、エポキシ樹脂は、可撓性エポキシ-シリコーンコポリマーであってもよい。本明細書での使用が企図される例示的な可撓性エポキシ-シリコーンコポリマーには、ALBIFLEX 296およびALBIFLEX 348が含まれ、共にEvonik Industries(ドイツ)から市販されている。
【0036】
いくらかの実施形態では、1種のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーが組成物中に存在する。ある実施形態では、エポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーの組合せが組成物中に存在する。例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、または6種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマーが組成物中に存在する。エポキシ樹脂の組み合わせを選択し、組成物から調製したフィルムまたはペーストの所望の特性を達成するために使用することができる。例えば、エポキシ樹脂の組み合わせは、組成物から調製されたフィルムが改善されたフィルム品質、粘着性、濡れ性、柔軟性、作業寿命、高温接着性、樹脂-充填剤相溶性、および焼結性を示すように選択することができる。エポキシ樹脂の組み合わせは、組成物から調製されたペーストが改善されたレオロジー、分散性、作業寿命、および焼結性を示すように選択することができる。
【0037】
1種以上のエポキシモノマー、オリゴマー、またはポリマーは、組成物の全固形分(すなわち、希釈剤を除く組成物)の約10重量%までの量で組成物中に存在し得る。例えば、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマー、またはポリマーは、約0.1重量%~約10重量%、約0.5重量%~約8重量%または約1重量%~約6重量%である。いくつかの実施形態では、1種以上のエポキシモノマー、オリゴマー、またはポリマーは、組成物の全固形分の重量に対して、約10重量パーセント以下、約9重量パーセント以下、約8重量パーセント以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の量で組成物中に存在することができる。
【0038】
本明細書に記載の組成物は、アクリルモノマー、ポリマー、またはオリゴマーをさらに含むことができる。本発明の実施において使用が企図されるアクリレートは、当該技術分野において周知である。例えば、米国特許第5,717,034号を参照し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明に用いられるアクリルモノマー、ポリマーまたはオリゴマーは、特定の分子量に限定されない。例示的なアクリル樹脂は、約50以下~約1,000,000までの範囲の分子量を有することができる。いくつかの実施形態において、任意の使用のために企図されるアクリルポリマーは、約100~約10,000の範囲の分子量および約-40℃~約20℃の範囲のTgを有することができる。ある実施形態では、本明細書の任意の使用のために企図されるアクリルポリマーは、約10,000~約900,000(例えば、約100,000~約900,000または約200,000~約900,000)の範囲の分子量および約-40℃~約20℃の範囲のTgを有する。本明細書に記載の組成物に使用するアクリルコポリマーの例には、Teisan Resin SG-P3およびTeisan Resin SG-80H(共にNagase Chemtex Corp.;日本から商業的に入手できる)がある。任意に、本明細書に記載の組成物に使用するアクリルポリマーまたはオリゴマーは、分解性アクリルポリマーまたはオリゴマーまたはエポキシ変性アクリル樹脂であることができる。
【0039】
アクリルモノマー、ポリマーまたはオリゴマーは、組成物の全固形分の約10重量%までの量で組成物中に存在し得る。例えば、アクリルモノマー、コポリマーまたはオリゴマーは、約0.05重量%~約7重量%または約0.1重量%~約3重量%の量で組成物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、アクリルモノマー、コポリマーまたはオリゴマーは、組成物の全固形分の重量に基づき、約10重量%以下、約9重量%以下、約8重量%以下、約7重量%以下、約6重量%以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の量で存在する。
【0040】
本明細書に記載の組成物に使用するための追加の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分は、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂およびフェノキシ樹脂を含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、マレイミド、ナジイミド、イタコンイミド、ビスマレイミド、またはポリイミドなどのイミド含有モノマー、オリゴマー、またはポリマーを含むことができる。
【0041】
1種以上のエポキシモノマー、ポリマーまたはオリゴマー;アクリルモノマー、ポリマーまたはオリゴマー、フェノール系、ノボラック;ポリウレタン;シアネートエステル;ポリビニルアルコール;ポリエステル;ポリ尿素;ポリビニルアセタール樹脂;フェノキシ樹脂;および/またはイミド含有モノマー、ポリマーまたはオリゴマー(例えば、マレイミド、ビスマレイミドおよびポリイミド)を含む熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分は、組み合わせて結合剤を形成することができる。結合剤は、固体、半固体または液体であり得る。任意に、結合剤は350℃未満の分解温度を有する。
【0042】
本明細書に記載の組成物はまた、銀を含む1種以上の導電性充填剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物中に存在する導電性充填剤は、銀である。他の実施形態では、銀と共に、1種以上の追加の導電性充填剤を含めることができる。本発明の実施の使用に企図される追加の導電性充填剤には、ニッケル、コバルト、銅、銀めっき金属、ニッケルめっき金属、銀めっきグラファイト、銀被覆ポリマー、ニッケルめっきグラファイト、ニッケルめっきポリマー、金、パラジウム、白金、カーボンブラック、炭素繊維、グラファイト、カーボンナノチューブ、アルミニウム、インジウム錫酸化物、銀被覆銅、銀被覆アルミニウム、銀被覆グラファイト、ニッケル被覆グラファイト、ビスマス、錫、ビスマス錫合金、金属被覆ガラス球、銀被覆繊維、銀被覆球、アンチモンドープ酸化錫、カーボンナノチューブ、導電性ナノフィラー、そのような金属の合金など、並びにそれらの任意の2種以上の混合物が挙げられる。これらおよび類似の金属および金属合金は市販されている。
【0043】
導電性充填剤は、本明細書に記載の方法での使用に適するサイズを有することができ、特定の範囲に限定されない。銀などの例示的な導電性充填剤は、約0.1μm~約20μmの範囲の平均粒径を有することができる。いくつかの実施形態において、導電性充填剤は、約1μm~約10μmの範囲の平均粒径を有することができる。他の実施形態において、導電性充填剤は、約1μm~約3μmの範囲の平均粒径を有することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、銀は、1種以上の追加の導電性充填剤とともに主要導電性充填剤として存在する(すなわち、組成物中に存在する全導電性充填剤の少なくとも50重量パーセント、少なくとも60重量パーセント、少なくとも70重量パーセント、少なくとも80重量パーセント、または少なくとも90重量パーセントである。)。
【0045】
導電性充填剤は、組成物中の全固形分の少なくとも65重量%の量で組成物中に存在する。例えば、導電性充填剤は、約65重量%~約95重量%または約75重量%~約85重量%の量で組成物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、導電性充填剤は、組成物の全固形分の少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、または少なくとも約90重量%の量で存在する。
【0046】
本明細書に記載の組成物は、任意に、1種以上の粒状充填剤を含むことができる。粒状充填剤は、例えば、シリカ、ニッケル系合金、鉄系合金、タングステン酸ジルコニウム、またはそれらの混合物を含むことができる。例えば、粒状充填剤は、ニッケル/鉄組成物またはリチウムアルミニウムシリケートであり得る。例示的な粒状充填剤は、10ppm/℃以下(例えば、5ppm/℃以下、0ppm/℃以下、または-5ppm/℃以下)の熱膨張係数(CTE)を有する。いくつかの実施形態において、粒状充填剤は、合金42、カーボンナノチューブ、β-ユークリプタイト、α-ZrW、β-ZrW、Cd(CN)、ReO、(HfMg)(WO、Sm2.7560、Bi0.95La0.05NiO、Invar(Fe-36Ni)、Invar(FePt)、TmFe16Cr、CuOナノ粒子、MnCu0.53Ge0.47N、MnZn0.4Sn0.60.850.15、MnZn0.5Sn0.50.850.10.05、およびそれらの混合物を含む。
【0047】
粒状充填剤は、組成物の全固形分の約20重量%以下(すなわち、20重量%まで)の量で組成物中に存在し得る。例えば、粒状充填剤は、組成物の全固形分の約20重量パーセント未満、約19重量パーセント未満、約18重量パーセント未満、約17重量パーセント未満、約16重量パーセント未満、約15重量パーセント未満、約14重量パーセント未満、約13重量パーセント未満、約12重量パーセント未満、約11重量パーセント未満、約10重量パーセント未満、約9重量パーセント未満、約8重量パーセント未満、約7重量パーセント未満、約6重量パーセント未満、約5重量パーセント未満、約4パーセント未満、約3重量%未満、約2重量%未満、または約1重量%未満の量で存在することができる。
【0048】
本明細書に記載の組成物は、希釈剤(例えば、有機希釈剤を含む)をさらに含むことができる。有機希釈剤は、反応性有機希釈剤、非反応性有機希釈剤、またはそれらの混合物であり得る。例示的な希釈剤としては、例えば、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなど);脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、テトラデカンなど);塩素化炭化水素(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエチレンなど);エーテル(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールエーテル、エチレングリコールのモノアルキルエーテルまたはジアルキルエーテルなど);エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシプロピルアセテートなど);ポリオール(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなど);ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど);アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど);ヘテロ芳香族化合物(例えば、N-メチルピロリドンなど);およびヘテロ脂肪族化合物が挙げられる。
【0049】
本発明による使用のために企図される非反応性希釈剤の量は、本発明の組成物の成分を溶解および/または分散させるのに十分な量で使用される限り、広範囲に変化させることができる。存在する場合、使用される非反応性希釈剤の量は、典型的には組成物の約2重量%~約30重量%の範囲にある。ある実施形態において、非反応性希釈剤の量は、全組成物の約5重量%~20重量%の範囲内である。いくつかの実施形態では、非反応性希釈剤の量は、全組成物の約10重量%~約18重量%の範囲である。本発明による使用のために企図される反応性希釈剤の量は、組成物の5重量%まで(例えば、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%パーセント以下)であることができる。
【0050】
当業者によって容易に認識されるように、ある実施形態において、本発明の組成物は、実質的に非反応性希釈剤をその中に含有しない。たとえ非反応性希釈剤が存在するとしても、本明細書にさらに記載されているように、Bステージ化プロセスにおいてフィルムを形成する間に除去することができる。
【0051】
本明細書に記載の組成物は、任意に、1種以上の硬化剤を含むことができる。硬化剤は、組成物中の導電性促進剤および/または還元剤として任意に機能することができる。尿素、脂肪族および芳香族アミン、ポリアミド、イミダゾール、ジシアンジアミド、ヒドラジド、尿素-アミンハイブリッド硬化系、フリーラジカル開始剤、有機塩基、遷移金属触媒、フェノール、酸無水物、ルイス酸、ルイス塩基等が挙げられる。例えば、米国特許第5,397,618号を参照し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
硬化剤は、組成物の全固形分の約4重量%までの量で組成物中に存在してもよい。いくつかの実施形態において、硬化剤は、組成物には存在しない(すなわち、組成物の全固形分の0重量%)。他の実施形態では、硬化剤は組成物中に約0.05重量%~約4重量%または約0.1重量%~約3重量%の量で存在することができる。任意に、硬化剤は組成物中に約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の量で存在する。
【0053】
本明細書に記載の組成物は、任意に、カルボン酸などの1種以上のフラックス剤を含むことができる。任意に、組成物に使用されるフラックス剤は、フラックス剤として作用するカルボン酸を放出するために焼結プロセス中に再配列する潜在性フラックス剤であってもよい。本明細書に記載の組成物における使用に適する潜在性フラックス剤の例は、以下の構造を含み、本明細書ではDiacid 1550-VEGE付加物と呼ばれる。
【0054】
【化6】
【0055】
フラックス剤は、組成物の全固形分の約10重量%までの量で組成物中に存在することができる。例えば、フラックス剤は、約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約8重量%、または約1重量%~約5重量%の量で組成物中に存在し得る。いくつかの実施形態では、フラックス剤は、約10重量パーセント以下、約9重量パーセント以下、約8重量パーセント以下、約7重量パーセント以下、約6重量パーセント以下、約5重量%以下、約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、または約1重量%以下の量で組成物中に存在することができる。いくつかの実施形態では、フラックス剤は組成物には存在しない(すなわち、0重量%)。
【0056】
本明細書に記載の組成物は、任意に、さらに、1種以上の追加の成分、流動添加剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、導電性促進剤(例えば、過酸化物)、界面活性剤、強化剤、フィルム柔軟剤、エポキシ硬化触媒、硬化剤、ラジカル重合調節剤、ラジカル安定剤、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0057】
本発明の組成物の各成分の量は、広範囲に変わり得る。例示的な組成物は、それぞれ組成物の全固形分の重量%に基づき、
10重量%までの1種類以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、
10重量%までの前記アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、
任意に4重量%までの前記イミド含有モノマー、オリゴマー、またはポリマー、
少なくとも65重量%の前記導電性充填剤、
任意に、5重量%までの接着促進剤、導電性促進剤、および界面活性剤から選択される追加の成分、および
任意に20重量%までの粒状充填剤を含む。
任意に、組成物は30重量%までの有機希釈剤を含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物の各成分の量は、それぞれ組成物の全固形分の重量%に基づいて、約:
1~10重量%の前記1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、
1~10重量%の前記アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、
65~95重量%の前記導電性充填剤、
任意に、5重量%までの接着促進剤、導電性促進剤、および界面活性剤から選択される1種以上の追加の成分、
任意に3~20質量%の粒子状充填剤の範囲である。
任意に、組成物は、5重量%までの有機希釈剤を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物の各成分の量は、それぞれ組成物の全固形分の重量%に基づいて、約:
1~6重量%の前記1種類以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、
任意に3重量%まで(すなわち、0~3重量%)の前記アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、
65~95重量%の前記導電性充填剤、
任意に5重量%までの接着促進剤、導電性促進剤、および界面活性剤から選択される追加の成分、
3~20重量%の粒状充填剤の範囲である。
任意に、組成物は、30重量%までの有機希釈剤を含むことができる。
【0060】
本明細書に記載の組成物は、多くの有用な性能特性を提供する。例えば、組成物は、硬化または焼結されると、260℃で少なくとも1.0kg/mm(例えば、260℃で少なくとも1.5kg/mm)のダイせん断強度を有する。さらに、組成物は、100℃以下の温度および40psi以下の圧力でウエハー上にラミネートされる。さらに、フィルムの形態の組成物は、ダイシングおよびピックアッププロセスを受けて、約110℃~350℃の範囲の温度および約0.2~1kg/mmの圧力で基板に結合することができるダイ/フィルムをもたらすことができる。ダイのサイズは、約1×1mm以下から約8×8mm以上の範囲であり得る。結合時間は3秒未満であることができる。これらの性能特性を、以下にさらに記載する。
【0061】
本発明のある実施形態では、本明細書に記載の組成物の製造方法を提供する。本発明の組成物は、焼結フィルムの形態で、または焼結ペーストの形態で製造することができる。
【0062】
焼結フィルムを形成する本発明の方法は、実質的に均質なブレンドを得るのに十分な時間、高せん断混合を企図する成分の組み合わせを施すことを含む。いくつかの実施形態では、成分を約3時間まで(例えば、約1時間~3時間)の期間にわたって混合することができる。成分の組み合わせは、室温で混合することができる。
【0063】
組成物を焼結フィルムの形態にする実施形態では、組成物を適切な基板(例えば、剥離ライナー)に塗布し、次に高温で加熱して実質的にすべての非反応性希釈剤(すなわち、溶媒)をそこから除去する。例えば、溶媒の少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%を除去することができる。焼結ペーストを加熱して乾燥してフィルムにするプロセスは、ここではBステージングと呼ばれる。得られるフィルムは、約5ミクロン~約50ミクロンの厚さを有することができる。
【0064】
本発明のある実施形態では、上記Bステージ化組成物から溶媒/希釈剤の実質的に全てを除去して得られる反応生成物を含む焼結フィルムを提供する。フィルムはロールで巻き取ることができる。
【0065】
本明細書に記載のフィルムは、半導体産業における従来のラミネーターを使用して基板(例えば、ウエハー)上に積層することができる。例えば、フィルムは、ロールラミネーターを用いてウエハー上に積層することができる。用いることができる例示的なラミネーターとしては、DFM 2700(Disco Corporation;Japan)、Leonardo 200 LD(Microcontrol Electronic;Italy)、およびWestern Magnum XRL-120(El Segundo、CA)が挙げられる。上述したように、積層は、100℃未満の温度(例えば、95℃以下、90℃以下、85℃以下、80℃以下、75℃以下、70℃以下、または65℃以下)で行うことができる。積層は、40psi以下(例えば、35psi以下または30psi以下)の圧力で行うことができる。
【0066】
剥離ライナーを使用する場合は、フィルムから剥がすことができる。次いで、ダイシング工程中に支持体として機能するダイシングテープにフィルムをラミネートすることができる。ダイシングテープへのフィルムの積層は、室温で行うことができる。ラミネーションプロセスの結果として、フィルムはダイシングテープとウエハーとの間に直接接触して保持される。ダイシングプロセスの間、ウエハーおよびフィルムは、ダイに接着されたフィルムで個々のダイにダイシングすることができる。個々のダイおよび接着されたフィルムは、ピックアッププロセスの間にダイシングテープから取り除かれ、次いで、接着/ダイアタッチステップにおいて基板に取り付けることができる。接着/ダイアタッチ工程は、約110℃~350℃の温度で、3秒未満の接着時間で行うことができる。様々なダイサイズ(例えば、1×1mm未満から8×8mm以上の範囲のダイサイズ)に対して、0.2kg/mm~1kg/mmの接着/ダイアタッチ圧力を用いることができる。得られるダイ/フィルム/基板アセンブリは、その後、オーブン内での硬化、ワイヤボンディングとその後の成形などの少なくとも1つの熱操作で処理することができる。
【0067】
本明細書で企図される例示的な焼結フィルムは、約160~300℃の範囲の温度で、約10分~2時間の範囲の時間、前記組成物を加圧なしで硬化させたときに製造されるフィルムを含む。硬化工程の雰囲気は、窒素雰囲気下または空気雰囲気下など、硬化に適した任意の雰囲気とすることができる。いくつかの実施形態では、硬化工程は窒素雰囲気下で行われる。硬化工程の継続時間は、硬化工程を行うために用いられる雰囲気に基づいて、当業者に知られているように改変することができる。
【0068】
焼結ペーストを形成するための本発明の方法は、実質的に均質なブレンドを得るのに十分な時間、成分の企図された組み合わせを施すことを含む。いくつかの実施形態では、成分を約3時間まで(例えば、約1時間~3時間)の期間にわたって混合することができる。成分の組み合わせは、室温で混合することができる。
【0069】
本発明のある実施形態では、ある期間混合後の成分の組合せを含む焼結ペーストを提供する。次いで、焼結ペーストを基板(例えば、リードフレーム)に塗布し、続いて、本明細書に記載したように基板へのダイアタッチプロセスを行う。ダイアタッチプロセスは、当業者に知られている方法を用いて行うことができる。例えば、ダイアタッチは、500mg未満の圧力を用いて室温で行うことができる。次いで、得られる材料を硬化することができる。
【0070】
本明細書で企図される例示的な焼結ペーストには、組成物が約160~300℃の範囲の温度で約10分~2時間の範囲の時間硬化されるときに生成される焼結ペーストが含まれる。硬化は、圧力の有無にかかわらず、オーブン内で行うことができる。例えば、硬化は、加圧オーブンまたは無加圧オーブン中で行うことができる。硬化工程の雰囲気は、窒素雰囲気下または空気雰囲気下など、硬化に適した任意の雰囲気とすることができる。いくつかの実施形態では、硬化工程は窒素雰囲気下で行われる。硬化工程の継続時間は、硬化工程を行うために使用される雰囲気に基づいて、当業者に知られているように改変することができる。
【0071】
実施者のニーズに合わせて様々な硬化スケジュールを考案することができる。低温および長時間の焼結プロファイルは、大型のダイに使用することができ、溶媒は徐々に除去され、ボイドのない結合ラインが保証される。典型的な焼結プロファイルがここで提供されるが、他の同様の焼結プロファイルも同様に効果的であり得ることが理解されるべきである。例示的な焼結プロファイルには、室温から175℃までの30分の傾斜、続いて175℃での60分の保持;室温から200℃までの30分間の傾斜、続いて200℃での60分間の保持;室温から220℃までの30分間の傾斜、続いて220℃での60分間の保持;室温から110℃までの15分間の傾斜、続いて110℃での60分間の保持、続いて240℃での60分間の保持;または室温から250℃までの30分の傾斜、続いて250℃での60分間の保持が挙げられる。
【0072】
任意に、焼結プロファイルは、より高い温度、例えば室温から300℃までの60分の傾斜、続いて300℃で2時間の保持を含むことができる。
【0073】
本発明による焼結ダイアタッチフィルムおよびペーストは、硬化時に、その高温ダイせん断を参照して特徴付けることもできる。本明細書中で使用される場合、「高温ダイせん断」は、260℃で硬化したフィルムまたはペーストのダイせん断を指す。いくつかの実施形態では、硬化したフィルムまたはペーストの260℃での高温ダイせん断は、少なくとも1.0kg/mmである。いくつかの実施形態では、前記フィルムまたはペーストの高温ダイせん断は、少なくとも約1.50kg/mmである。ある実施形態では、フィルムまたはペーストの高温ダイせん断は、1.0kg/mm~4kg/mmである。上述したように、ダイせん断強度は、チタン-ニッケル-銀で金属化されたダイと銀被覆されたリードフレーム基板を使用してダイせん断テスターで測定される。
【0074】
本発明の焼結ダイアタッチフィルムおよびペーストは、硬化時、85℃、85%相対湿度に約3日間暴露した後、260℃で高温湿潤ダイせん断を参照して特徴付けることもできる。いくつかの実施形態では、このような条件に暴露した後の前記フィルムまたはペーストの高温湿潤ダイせん断は、少なくとも1.0kg/mmであり、いくつかの実施形態では、このような条件に曝された後の前記フィルムまたはペーストの高温湿潤ダイせん断は、少なくとも1.0kg/mmである。
【0075】
本発明の別の実施形態によれば、焼結ダイアタッチフィルムおよびペーストを調製する方法が提供され、この方法は、適切な基板にそれらを塗布した後に、非反応性希釈剤または溶媒の実質的にすべてを上記組成物から除去することを含む。
【0076】
本明細書での使用が企図される適切な基板には、リードフレームが含まれる。本明細書で使用される「リードフレーム」は、銅または銅合金からなるベースプレートと、ベースプレートの上面(または両面)に形成された保護コーティングとを含む。保護コーティングは、金、金合金、銀、銀合金、パラジウムまたはパラジウム合金からなる群から選択された少なくとも1種の金属からなり、約10~500オングストロームの厚さを有する。保護コーティングは、適切な手段、例えば蒸着によって形成される。ベースプレートの表面と保護コーティングとの間に、蒸着または湿式メッキによってニッケルまたはニッケル合金の中間コーティングを形成することが可能である。中間コーティングの適切な厚さは、約50~20,000オングストロームの範囲内である。例えば、米国特許第5,510,197号を参照し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
任意に、本発明に使用される基板は、半導体パッケージ(例えばBT基板、FR4基板など)用に設計された積層基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ガラスなどが挙げられる。
【0078】
本発明のさらに別の実施形態によれば、焼結ダイアタッチフィルムおよびペーストを調製する方法を提供する。ペーストの場合、方法は、上記組成物を上記のように、適切な基板に塗布した後に硬化することを含むことができる。この硬化プロセスの間、ペーストは焼結することができる。フィルムの場合、方法は、上記のように、適切な基板へのダイおよびフィルムの高温接着を含むことができる。この結合プロセスの間、フィルムは焼結することができる。任意に、焼結ダイアタッチフィルムを調製する方法は、焼結形態を最適化するためおよびデバイス応力安定化するための硬化プロセスを含むことができる。硬化プロセスはオーブン内で行うことができる。
【0079】
上述したように、本発明による焼結フィルムおよびペーストは、ダイアタッチに使用することができる。ダイ表面は、任意に銀などの金属でコーティングすることができる。
【0080】
本発明のさらに別の実施形態によれば、それに適した基板に接着された焼結ダイアタッチフィルムおよび本明細書に記載のペーストを含む物品を提供する。
【0081】
本発明による物品は、硬化した焼結ダイアタッチフィルムまたはペーストの基板への接着の点で特徴付けることができる。典型的には、260℃で少なくとも約1.0kg/mm(例えば、260℃で少なくとも約1.5kg/mm)である。いくつかの実施形態では、接着は260℃で少なくとも約2.5kg/mmである。上述したように、ダイせん断強度は、チタン-ニッケル-銀で金属化されたダイと、銀で被覆されたリードフレーム基板を用いて、ダイせん断テスターで測定する。
【0082】
当業者によって容易に認識されるように、本発明の物品の寸法は、広範囲にわたって変えることができる。例示的な物品は、例えば、ダイを含む。本発明における使用のためのダイは、表面積が異なってもよい。いくつかの実施形態では、本発明で使用するためのダイは、1×1mm以下から8×8mm以上の範囲であり得る。
【0083】
本発明のさらに別の実施形態によれば、ウエハー上に焼結フィルムをラミネートする方法であって、
本明細書に記載される焼結フィルムのための組成物をウエハーに適用する工程;
100℃以下の温度及び40psi以下の圧力で前記組成物を前記ウエハー上にラミネートする工程を含む方法を提供する。
【0084】
本発明のさらに別の実施形態によれば、導電性ネットワークを調製する方法であって、方法が、
本明細書に記載される焼結フィルムのための組成物をウエハーに適用する工程;
組成物を100℃以下の温度および40psi以下の圧力でウエハー上にラミネートして、ウエハーにフィルムを付着させる工程;
ウエハーに付着したフィルムをダイシングしてダイとフィルムを得る工程、および
0.2kg/mm~1kg/mmの圧力下でダイとフィルムとを基板に接着する工程を含む方法を提供する。
【0085】
本発明のさらに別の実施形態によれば、導電性ネットワークを調製する方法であって、方法が、
本明細書に記載の焼結ペーストのための組成物を所定のパターンで基板(例えば、リードフレーム)に適用する工程;
組成物をダイおよび基板にダイ・アタッチする工程;および
組成物を硬化させる工程を含む方法を提供する。
【0086】
任意に、組成物は、得られるフィルムまたはペーストが少なくとも約5ミクロンの厚さで存在するように適用することができる。例えば、フィルムの厚さは、約5ミクロン~約50ミクロン(例えば、約5ミクロン~約30ミクロン)であり、ペーストの厚さは、約5ミクロン~約50ミクロンであり得る。
【0087】
本発明のさらに別の実施形態によれば、本明細書に記載のように調製された導電性ネットワークを提供する。
【0088】
本明細書に記載される焼結フィルムおよびペーストは、エレクトロニクス産業および他の工業的用途において使用することができる。例えば、本明細書に記載の焼結フィルムおよびペーストは、パワーディスクリート用のリードフレーム上のダイアタッチ用途、高性能ディスクリート用のワイヤボンド置換用のクリップアタッチ用途、エクスポーズドパッドを有するパワーディスクリートの冷却用の熱スラグアタッチ用途、シングルおよびマルチダイデバイス、ダイおよびフレーム間の高い電気的および/または熱伝導性を必要とする他のデバイスに用いることができる。
【0089】
図1A-Bおよび2A-Bは、フレキシブルロール形態(10)またはプレカット形態(20)で製造された本発明の組成物から調製された焼結フィルム(「ダイアタッチフィルム」とも呼ばれる)を示す図である。フレキシブルロール形態またはプレカット形態では、フィルムは、剥離ライナー、ダイシングテープなどの形態で使用するのに適した基板の間に挟み込むことができる。剥離ライナーは約50μmであり得、フィルムは約15~30μmであり得る。図1Aにおいて、フレキシブルロール形態(10)は、2つの剥離ライナー、ゆるい剥離ライナー(16)とタイトな剥離ライナー(18)の間に挟まれた焼結フィルム(14)を含む。焼結フィルムに挟まれていない剥離ライナーの一部である、先行する(leading)剥離ライナー(12)も示されている。図1Bは、剥離ライナー(16)および(18)の間に挟まれた焼結フィルム(14)を示す、線A-Aに沿った図1Aの断面図である。ダイシングテープ(24)と剥離ライナー(26)との間に挟まれた焼結フィルム(22)を示すB-B線に沿った図2Aの断面図を示す。
【0090】
本発明の様々な態様を、以下の非限定的な例によって例示する。実施例は説明のためのものであり、本発明のあらゆる実施を限定するのではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更および修正を行うことができることが理解される。当業者は、本明細書に記載の試薬および成分を合成する方法または商業的に入手する方法を容易に知る。
【実施例0091】
例1
焼結フィルム
本発明による配合物は、以下のように、表1に記載の成分を組み合わせることによって調製した。
【0092】
【表1】
【0093】
高せん断速度で表1に示す成分と溶媒(組成物の約30重量%)を混合することによって、表1に示す配合物A、BおよびCのそれぞれについて焼結フィルムを調製し、コーティングスラリーを得る。コーティングスラリーを剥離ライナーに塗布し、約120~150℃で5分間加熱して溶媒を除去し、組成物を焼結フィルムに安定化させた。次に、カバーライナーを焼結フィルムに適用し、110℃および30psiで積層して、Bステージフィルムをカバーライナーに粘着させ、得られる材料を焼結フィルムロールに巻き取った。ダイアタッチは、以下の工程によって達成された。:カバーライナーを剥がす。;フィルムを約90~95℃、約30~40psiでウエハー上に積層する。;剥離ライナーを剥がす。;ダイシングテープにフィルムを積層する。;フィルムおよびウエハーをダイシングする;ダイシングテープからダイシングされたダイおよびフィルムを取り出す。;ダイシングされたダイとフィルムをリードフレームに取り付ける。;ダイ、フィルム、およびリードフレームを高温および高圧下、およびダイアタッチ接着条件について本明細書に記載される時間条件下で一緒に接着させる。;および任意に、本明細書に記載の硬化条件に従ってダイアタッチデバイスのための硬化または焼結プロセスを実施することを含む。得られる材料を、以下にさらに記載するように、高温ダイせん断強度について試験した。パッケージ内特性および信頼性試験のための試験材料を調製するために、ワイヤボンディングおよび成形プロセスを、ダイアタッチ接着および硬化後に行った。
【0094】
図3Aは、集束イオンビーム(FIB)ミリング後にとった、TiBiAgダイ表面(32)と銀被覆リードフレーム(46)との間の焼結フィルム(30)の断面の例示的な走査電子顕微鏡(SEM)表示である。図3Bは、フィルム(30)の一部の拡大図である。焼結フィルム30は、粒状充填剤(36)、焼結銀(38)、樹脂(48)、および細孔または多孔質領域(42)を含む。さらに、焼結可能なフィルムは、材料中に存在する金属間層(例えば、チタン-ニッケル-銀のダイ表面と焼結フィルムとの間に形成される金属間層、および焼結されたフィルムと銀被覆リードフレームとの間に形成される金属間層)を含む。TiNiAgダイ表面(32)と焼結フィルム(30)との間の界面に第1の金属間層(44)が形成される。銀被覆リードフレーム(46)と焼結フィルム(30)との間の界面に第2の金属間層(46)が形成される。
【0095】
以下に詳述するように、ダイせん断強度、熱伝導率および抵抗率および電気伝導率を測定した。結果を表2に示す。
【0096】
高温ダイせん断強度(HDSS)は、チタン-ニッケル-銀で金属化されたシリコンダイおよび銀被覆銅基板を使用して、Dageシリーズ4000ダイせん断試験機で測定した。
【0097】
バルク硬化材料の熱伝導率を、熱伝導率試験機(LFA 447 NanoFlash、NETZSCH-Geratebau GmbH、ドイツから市販されている)を用いて測定し、熱抵抗率をT3Ster一時的温度測定システム(Mentor Graphics; Wilsonville、OR)で測定した。
【0098】
電気伝導率は、体積抵抗率として測定し、これはMegohmブリッジ上の4点プローブを用いて試験した。
【0099】
【表2】
【0100】
表2に示す結果は、本発明の組成物の改善された高温せん断強度、熱伝導率および抵抗率、および電気伝導率を示す。
【0101】
例2
焼結ペースト
本発明の配合物は、以下のように、表3に記載の成分を組み合わせることによって調製した。
【0102】
【表3】
【0103】
室温で成分を混合することにより、表3に示す配合物D、EおよびFのそれぞれについて、焼結ペーストを調製した。ペーストをリードフレーム基板上に分配し、上述の条件下でダイアタッチ接着プロセスを行った。ダイアタッチデバイスを、本明細書に記載の硬化条件に従って硬化した。得られる材料を高温ダイせん断強度について試験した。性能および信頼性試験のための試験材料を調製するために、ワイヤボンディングおよび成形プロセスを、ダイアタッチ接着および硬化の後に行った。
【0104】
ダイせん断強度、熱伝導率および導電率は、例1で上記した方法に従って測定した。結果を表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】
表4に示す結果は、本発明の組成物の適切なおよび/または改善された高温せん断強度、熱伝導率および電気伝導率を示す。
【0107】
本明細書に示され記載されたものに加えて、本発明の種々の改変は、上記の技術分野の当業者には明らかであろう。そのような改変も、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【0108】
本明細書で言及する特許および刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示す。これらの特許および刊行物は、各個々の出願または刊行物が具体的かつ個々に参照により本明細書に組み込まれているかのように、同じ程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
前述の記載は、本発明の特定の実施形態の例示であるが、その実施を限定することを意味するものではない。添付の特許請求の範囲は、その全ての等価物を含み、本発明の範囲を定めるものとする。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2023-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上のエポキシモノマー、オリゴマーまたはポリマー、アクリルモノマー、オリゴマーまたはポリマー、フェノール系、ノボラック、ポリウレタン、シアネートエステル、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ尿素、ポリビニルアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、マレイミド、ビスマレイミド、ポリイミドまたはそれらの混合物からなる群から選択される、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分、
1種以上の導電性充填剤、および
任意に有機希釈剤を含む焼結フィルムのための組成物であって、
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が、組成物の全固形分の10重量%までの量で組成物中に存在し、
熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂成分が、1種または2種以上の脂肪族骨格および/または芳香族骨格を有するエポキシ樹脂を含み、
エポキシ樹脂が、エポキシ化カルボキシル末端ブタジエン-アクリロニトリル(CTBN)オリゴマーまたはポリマー、エポキシ化ポリブタジエンジグリシジルエーテルオリゴマーまたはポリマーおよび複素環式エポキシ樹脂からなる群から選択される強化エポキシ樹脂を含み、
組成物が、
100℃以下の温度および0.276MPa(40psi)以下の圧力でウエハー上にラミネートされ、
硬化または焼結時に260℃で少なくとも1.0kg/mmのダイせん断強度を有し、
ただし、ジシアンジアミド、キノリノール類またはキノリノール誘導体を含まない組成物。