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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154150
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置、および液体吐出方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063263
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀江 泰介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB12
2C056EB13
2C056EB35
2C056EB37
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC37
2C056FA13
2C056FA14
(57)【要約】
【課題】吐出タイミングの決定精度に優れた液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体吐出装置は、記録媒体に液体を吐出する吐出部と、前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含み、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを所定周期により出力する検出部と、前記検出部からの前記検出データに基づき、前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定する決定部と、を備え、前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に液体を吐出する吐出部と、
前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含み、前記記録媒体を搬送する搬送部と、
前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを出力する検出部と、
前記検出部からの前記検出データに基づき、前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する、液体吐出装置。
【請求項2】
前記所定の処理は移動平均処理である、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記事前データは、予め取得された前記変動成分の位相に基づくデータであり、
前記決定部は、前記処理後データの位相が前記変動成分の位相に揃うように前記処理後データを補正した補正後データに基づき、前記吐出タイミングを決定する、請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記事前データは、前記検出部を用いて予め取得された前記検出データに基づくデータを含み、
前記決定部は、前記検出データに基づくデータを用いて補正した補正後データに基づき、前記吐出タイミングを決定する、請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記事前データは、前記検出部を用いて、前記回転部材の回転原点を基準にして取得される、請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、
吐出部により、記録媒体に液体を吐出し、
前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含む搬送部により、前記記録媒体を搬送し、
検出部により、前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを所定周期により出力し、
決定部により、前記検出データに基づき前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定し、
前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する、液体吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出装置では、搬送される記録媒体に対して所定のタイミングで液体を吐出するものが知られている。
【0003】
また、上記の液体吐出装置として、回転部材の周面に担持されて搬送される記録媒体の搬送量に関する検出データに基づいて、吐出部による液体の吐出タイミングを決定する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体吐出装置では、吐出タイミングの決定精度に優れたものが求められる。
【0005】
本発明は、吐出タイミングの決定精度に優れた液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る液体吐出装置は、記録媒体に液体を吐出する吐出部と、前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含み、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを所定周期により出力する検出部と、前記検出部からの前記検出データに基づき、前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定する決定部と、を備え、前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吐出タイミングの決定精度に優れた液体吐出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る液体吐出装置の全体構成を例示する図である。
図2】実施形態に係る画像形成部の構成を例示する側面図である。
図3】実施形態に係る画像形成部の構成を例示する平面図である。
図4】実施形態に係る制御部のハードウェア構成例のブロック図である。
図5】第1実施形態に係る制御部の機能構成例のブロック図である。
図6】第1実施形態に係る液体吐出装置の動作を例示するフロー図である。
図7】第1実施形態に係る信号周期、処理後データ、事前データおよび補正後データの対応関係を示す図である。
図8】理想的な信号周期に基づいて算出される搬送速度の推移、処理後データに基づいて算出される搬送速度の推移、補正後データに基づいて算出される搬送速度の推移を示す図である。
図9】第2実施形態に係る信号周期、処理後データおよび事前データの対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る液体吐出装置および液体吐出方法について図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下に示す形態は、本実施形態の技術思想を具現化するための液体吐出装置および液体吐出方法を例示するものであって、以下に限定するものではない。また、実施形態に記載されている構成部の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る液体吐出装置1の全体構成を例示する図である。液体吐出装置1は、給紙部10と、画像形成部20と、乾燥部30と、排紙部40と、を備える。液体吐出装置1は、給紙部10から給紙される記録媒体Pに対して、画像形成部20から液体を吐出することにより、記録媒体P上に画像を形成する。液体は、例えばインクである。液体吐出装置1は、例えばインクジェット方式の画像形成装置である。記録媒体Pは、例えば用紙であるが、フィルム等であってもよい。液体吐出装置1は、記録媒体P上に付与された液体を乾燥部30において乾燥させた後、記録媒体Pを排紙部40に排紙する。
【0011】
給紙部10は、複数の記録媒体Pが積載される給紙トレイ11と、給紙トレイ11から記録媒体Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12と、記録媒体Pを画像形成部20へ送り込むレジストローラ対13とを備えている。給送装置12には、ローラやコロを用いた装置、エア吸引を利用した装置等、給送機能を有するあらゆる給送装置を採用できる。
【0012】
給送装置12により給紙トレイ11から送り出された記録媒体Pは、その先端がレジストローラ対13に到達した後、レジストローラ対13が所定のタイミングで駆動されることにより、画像形成部20へ給紙される。なお、給紙部10は、画像形成部20へ記録媒体Pを送り出す機能を備えていれば、その構成は特に限定されない。
【0013】
画像形成部20は、回転部材21と、吐出ユニット22と、受け取り胴24と、受け渡し胴25と、を備える。回転部材21、受け取り胴24および受け渡し胴25は、記録媒体Pを搬送する搬送部2を構成する。受け取り胴24は、給紙部10から記録媒体Pを受け取る。回転部材21は、受け取り胴24が受け取った記録媒体Pを周面に担持して搬送する。回転部材21は、例えば円筒状の回転ドラムである。吐出ユニット22は、回転部材21によって搬送された記録媒体Pに向けてインクを吐出する。受け渡し胴25は、回転部材21によって搬送された記録媒体Pを乾燥部30へ受け渡す。
【0014】
給紙部10から画像形成部20へ搬送されてきた記録媒体Pは、受け取り胴24の表面に設けられた記録媒体グリッパによって先端が把持され、受け取り胴24の表面移動に伴って搬送される。受け取り胴24により搬送された記録媒体Pは、回転部材21と向き合う位置において回転部材21へ受け渡される。
【0015】
回転部材21の表面にも記録媒体グリッパが設けられており、記録媒体Pの先端が記録媒体グリッパによって把持される。また、回転部材21の表面には、複数の吸引孔が分散して形成されている。各吸引孔には、吸引装置26によって回転部材21の内側へ向かう吸い込み気流が発生する。記録媒体Pは、この吸い込み気流により回転部材21の表面に吸着される。受け取り胴24から回転部材21へ受け渡された記録媒体Pは、記録媒体グリッパによって先端が把持されると共に、吸い込み気流によって回転部材21の表面に吸着して、回転部材21の表面移動に伴って搬送される。
【0016】
吐出ユニット22は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)、白色、金色等の複数色の液体を吐出して記録媒体Pに画像を形成する。吐出ユニット22は、液体の色ごとに個別の吐出部23A、吐出部23B、吐出部23C、吐出部23D、吐出部23Eおよび吐出部23F(以下、吐出部23A~23Fという)を備えている。吐出部23A~23Fは、それぞれ記録媒体Pに液体を吐出する。吐出部23A~23Fは、液体吐出装置1に装着された各色の液体カートリッジから供給された液体を吐出できる。吐出部23A~23Fは、液体を吐出するものであれば、その構成に制限はなく、あらゆる構成のものを採用することができる。
【0017】
吐出部23A~23Fは、画像データに応じた駆動信号により吐出動作が制御される。回転部材21によって搬送された記録媒体Pが吐出ユニット22との対向領域を通過する際に、各吐出部23A~23Fの下面(ノズル面)に設けられたノズルから各色の液体が吐出される。これにより、当該画像データに応じた画像が記録媒体P上に形成される。
【0018】
なお、本実施形態において、画像形成部20は、記録媒体P上に液体を付与することにより画像を形成する機能を備えていればよく、液体を吐出させ、あるいは液体を付与する構成を特に限定するものではない。
【0019】
乾燥部30は、乾燥機構部31と、吸引搬送機構部32と、を備える。乾燥機構部31は、画像形成部20において記録媒体P上に付与された液体を乾燥させる。吸引搬送機構部32は、画像形成部20から搬送されてくる記録媒体Pを排紙部40側に搬送する。すなわち、画像形成部20から搬送されてきた記録媒体Pは、吸引搬送機構部32に受け取られた後、吸引搬送機構部32により乾燥機構部31を通過するように搬送され、排紙部40へ受け渡される。乾燥機構部31を通過する際、記録媒体P上の液体には乾燥処理が施され、液体中の水分等の液分が蒸発し、記録媒体P上に液体が固着するとともに、記録媒体Pのカールが抑制される。
【0020】
排紙部40は、複数の記録媒体Pが積載される排紙トレイ41を備える。吸引搬送機構部32により乾燥部30から搬送されてくる記録媒体Pは、排紙トレイ41上に順次積み重ねられて保持される。なお、本実施形態において、排紙部40は、記録媒体Pを排紙する機能を備えていればよく、その構成を特に限定するものではない。
【0021】
本実施形態では、液体吐出装置1は、給紙部10、画像形成部20、乾燥部30および排紙部40を含んで構成されているが、他の機能部が適宜追加されてもよい。液体吐出装置1は、例えば、給紙部10と画像形成部20との間に画像形成の前処理を行う前処理部を備えてもよいし、乾燥部30と排紙部40との間に画像形成の後処理を行う後処理部を備えてもよい。
【0022】
前処理部としては、例えば、液体と反応して滲みを抑制するための処理液を記録媒体Pに塗布する処理液塗布処理を行うもの等が挙げられる。但し、前処理の内容は、この例に限定されない。後処理部は、例えば、画像形成部20で画像が形成された記録媒体Pを反転させて再び画像形成部20へ送って記録媒体Pの両面に画像を形成するための用紙反転搬送処理を行う。あるいは、後処理部は画像が形成された複数枚の記録媒体Pを綴じる処理を行うことができる。但し、後処理の内容は、これらの例に限定されない。
【0023】
なお、本実施形態では、液体吐出装置1を画像形成装置の例として説明している。しかしながら、画像形成装置は、記録媒体Pの被乾燥面に向けて液体を吐出する吐出部を備えていればよく、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されない。他の例として、画像形成装置は、それ自体意味を持たないパターン等を形成するものでもよい。
【0024】
記録媒体は、材質を限定されるものではなく、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど、液体が一時的でも付着可能なものであればよい。記録媒体は、例えば、フィルム製品、衣料用等の布製品、壁紙や床材等の建材、皮革製品などでもよい。本実施形態においては、液体が一時的でも付着可能なものを「記録媒体」と称している。また、「液体」の具体例は、吐出部23A~23Fから吐出されるインクに限定されず、前処理部で用いられる処理液等であってもよい。すなわち、本発明は、目標位置に液体を着弾(着地)させる液体吐出装置に広く適用できる。
【0025】
また、吐出部とは、吐出孔(ノズル)から液体を吐出または噴射する機能部品である。液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどの吐出エネルギー発生手段を使用することができる。但し、使用する吐出エネルギー発生手段は、これらの例に限定されない。
【0026】
<画像形成部20の構成例>
図2及び図3を参照して、画像形成部20の構成を説明する。図2および図3は、画像形成部20の構成を例示する図であり、図2は側面図、図3は平面図である。なお、吐出部23A~23Fの平面図は共通するため、図3ではこれらを代表して吐出部23として図示する。図2および図3に示すように、画像形成部20は、第1エンコーダ201と、第2エンコーダ211と、先端位置センサ220と、を備える。
【0027】
第1エンコーダ201は、エンコーダホイール202と、エンコーダセンサ203と、を含むロータリエンコーダである。エンコーダホイール202は、回転部材21の軸21aに取り付けられている。また、エンコーダホイール202の外周面には、N極及びS極が周方向に交互に配列されている。エンコーダセンサ203は、エンコーダホイール202の外周面に対面する位置に配置されている。
【0028】
エンコーダホイール202は、回転部材21と一体回転する。そして、エンコーダセンサ203は、エンコーダホイール202の外周面に配列されたN極及びS極を読み取って、パルス信号Psを制御部100(図4参照)に出力する。第1エンコーダ201は、回転部材21の単位時間当たりの回転量(すなわち、回転速度)を検出可能である。
【0029】
第2エンコーダ211は、搬送部2による記録媒体Pの搬送量に関する検出データを出力する検出部の一例である。第2エンコーダ211は、エンコーダスケール212と、吐出部23A~23Fそれぞれに対応付けられた複数のエンコーダセンサ213と、を含むリニアエンコーダである。
【0030】
エンコーダスケール212は、回転部材21の軸方向の端部、つまり吐出部23と対面する領域の外側、に配置されている。また、エンコーダスケール212は、回転部材21の周面に沿って周方向に設けられている。エンコーダセンサ213は、エンコーダスケール212に対面する位置に配置されている。また、エンコーダセンサ213は、回転部材21の周方向において、対応する吐出部23と同じ位置に配置されている。さらに、エンコーダセンサ213は、回転部材21の軸方向において、対応する吐出部23に隣接して配置されている。
【0031】
エンコーダスケール212は、回転部材21と一体回転する。また、エンコーダスケール212には、N極及びS極が周方向に交互に配列されている。エンコーダセンサ213は、エンコーダスケール212に配列されたN極及びS極を読み取って、パルス信号を制御部100に出力する。第2エンコーダ211は、回転部材21の単位時間当たりの回転量(すなわち、回転速度)を検出可能である。
【0032】
回転部材21の単位時間の回転量は、回転部材21に担持されて搬送される記録媒体Pの単位時間の搬送量(すなわち、搬送速度)と相関がある。本実施形態では、第2エンコーダ211によるパルス信号の出力間隔(以下、「信号周期Pt」と表記する。)を、搬送部2による記録媒体Pの搬送量に関する検出データの一例として説明する。信号周期Ptが短いほど搬送速度が速いことを表し、信号周期Ptが長いほど搬送速度が遅いことを表す。
【0033】
但し、搬送量に関する検出データは、上記の例に限定されず、第2エンコーダ211から単位時間あたりに出力されるパルス信号の数であってもよい。また、第2エンコーダ211のパルス信号に代えて、第1エンコーダ201のパルス信号を、検出データとして用いてもよい。さらに、第1エンコーダ201及び第2エンコーダ211は、磁気式に限定されず、光学式であってもよい。
【0034】
先端位置センサ220は、吐出部23A~23Fより記録媒体Pの搬送方向Aの上流側において、回転部材21に対面して配置されている。先端位置センサ220は、回転部材21に担持して搬送される記録媒体Pの先端の位置を検出し、検出結果Rgを制御部100に出力する。
【0035】
<制御部100のハードウェア構成例>
図4は、液体吐出装置1が備える制御部100のハードウェア構成を例示するブロック図である。図4に示すように、液体吐出装置1は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ROM(Read Only Memory)103と、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)104と、接続I/F105と、を備える。これらはシステムバスBを介して相互に通信可能に接続されている。
【0036】
CPU101は、RAM103を作業領域として使用し、ROM102に格納されているプログラムを実行することにより、液体吐出装置1全体の動作を制御するプロセッサである。
【0037】
ROM102は、CPU101への記録動作等の制御を実行するためのプログラムおよびその他の固定データを格納する不揮発性のメモリである。RAM103は、各種のデータを一時格納する揮発性のメモリである。
【0038】
HDD/SSD104は、情報の読み書きが可能であって記憶容量が大きい不揮発性のメモリである。HDD/SSD104は、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーションプログラム等を格納する。HDD/SSD104に格納されている情報は、CPU101により読み出され、プログラム実行時に使用されることもある。
【0039】
接続I/F105は、給紙部10、画像形成部20および乾燥部30等をシステムバスBに接続するインタフェースである。制御部100は、接続I/F105を通じて給紙部10、画像形成部20および乾燥部30を制御することにより、画像データで示される画像を記録媒体Pに形成する画像形成処理を実行する。画像データは、例えば、通信インタフェースを通じてPC(Personal Computer)等の外部装置から受信してもよいし、液体吐出装置1が搭載するスキャナが原稿を読み取って生成したものであってもよい。
【0040】
制御部100は、ROM102に格納された制御プログラム、HDD104等のメモリからRAM103にロードされた情報処理プログラム(アプリケーションプログラム)等をCPU101が備える演算機能によって処理する。この処理により構成されるソフトウェア制御部と、液体吐出装置1に搭載されるハードウェア資源との組み合わせにより、液体吐出装置1の各種の機能が実現される。
【0041】
[第1実施形態]
<制御部100の機能構成例>
図5は、制御部100の機能構成を例示するブロック図である。制御部100は、入力部111と、保持部112と、移動平均処理部113と、格納部114と、決定部115と、吐出制御部116と、を備える。
【0042】
制御部100は、入力部111の機能を接続I/F105等により実現でき、保持部112の機能をRAM103等により実現でき、格納部114の機能をHDD/SSD104等により実現できる。また制御部100は、移動平均処理部113、決定部115および吐出制御部116の各機能をCPU101が所定のプログラムを実行することにより実現できる。
【0043】
入力部111は、第2エンコーダ211からのパルス信号の出力間隔を、信号周期Ptとして入力し、入力した信号周期Ptを保持部112に保持させる。信号周期Ptは、搬送部2による記録媒体Pの搬送量に関する検出データの一例である。信号周期Ptは、時間的に隣接する2つのパルス信号の出力時刻の差(sec)である。入力部111は、先端位置センサ220により記録媒体Pの先端が検知されたタイミングに信号周期Ptの入力を開始する。また、入力部111は、記録媒体Pに対する画像の形成が終了するまで、信号周期Ptの入力を継続する。
【0044】
移動平均処理部113は、RAM103に記憶された複数の信号周期Ptの移動平均処理を実行し、算出した移動平均値を処理後データVg1として信号周期Ptと対応付けて保持部112に保持させる。移動平均処理は所定の処理の一例である。
【0045】
ここで、第2エンコーダ211は、部品精度によってそのピッチにばらつきがある。入力部111から入力される信号周期Ptは、このエンコーダスケール212のピッチのバラつきや外部ノイズ等によって変動する場合がある。すなわち、信号周期Ptは、理想的な信号周期に対して誤差を含む場合がある。
【0046】
上記に対し、移動平均処理部113は、入力部111から入力される信号周期Ptに対して移動平均処理を行うことにより、エンコーダスケール212のピッチのバラつきや外部ノイズ等による信号周期Ptの誤差を低減させることができる。
【0047】
本実施形態では、直近の5個の信号周期Ptの平均値を処理後データVg1とする。但し、処理後データVg1を算出するための信号周期Ptの数は5個に限定されず、2以上の任意の数に設定可能である。
【0048】
決定部115は、第2エンコーダ211からの信号周期Ptに基づき、吐出部23による液体の吐出タイミングFを決定する。吐出タイミングFは、換言すると吐出周波数である。
【0049】
ここで、移動平均処理を実行すると、直近の5個の信号周期Ptの平均値を求めるため、処理後データVg1の位相が移動平均処理前のデータに対してずれる場合がある。この位相ずれの発生により、処理後データVg1に基づいて吐出タイミングFを決定すると、吐出部23から吐出された液体を所望の位置に着弾させることができず、画像形成の品質が低下する場合がある。
【0050】
上記に対し、決定部115は、信号周期Ptに対して移動平均処理を施して得られる処理後データVg1と、搬送部2による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データPdと、に基づいて、吐出タイミングFを決定する。これにより、移動平均処理に伴う処理後データVg1の位相ずれの影響を抑え、画像形成の品質低下を抑制することができる。
【0051】
事前データPdは、格納部114に格納されている。本実施形態では、事前データPdは、搬送部2による搬送量の変動成分の位相に基づき予め取得されたデータである。
【0052】
例えば、液体吐出装置1では、画像形成を行う前に、搬送部2により記録媒体Pを搬送した際に、第2エンコーダ211から出力される複数の信号周期Ptの周波数解析が行われる。この周波数解析により、搬送部2による搬送量の変動成分のうち、パワースペクトルが最も大きくなる周波数fが特定される。周波数解析には、フーリエ変換を使用できる。複数の信号周期Ptは、回転部材21を1回転以上回転させて取得することが好ましい。
【0053】
事前データPdは、特定された周波数fでの変動成分の位相θに基づいて、下記式1によって表されるデータとなる。このような事前データPdは、格納部114に格納される。
a+b×sin(2πfx+θ) ・・・(式1)
なお、式1において、aは変動成分のオフセット、bは変動成分の振幅を表し、いずれも定数である。xは回転部材21の回転角度を表す変数である。xに代えて時間tを変数として用いてもよい。
【0054】
決定部115は、事前データPdが示す位相に対して、処理後データVg1の位相が揃うように処理後データVg1を補正した補正後データVg2を取得する。例えば、決定部115は、格納部114を参照して事前データPdを取得し、回転部材21の所定の回転角度ごとに(式1)により算出される値を処理後データVg1から減算する。これにより決定部115は、事前データPdが示す位相に処理後データVg1の位相が揃うように処理後データVg1を補正できる。
【0055】
決定部115は、補正後データVg2に基づいて特定される媒体の搬送速度V(mm/sec)と、画像データの解像度d(dpi)とを、下記式2に代入することによって吐出タイミングFを決定する。
F=V÷(25.4×d) ・・・(式2)
【0056】
決定部115は、処理後データVg1の位相ずれが補正された補正後データVg2を用いて吐出タイミングFを決定することにより、移動平均処理に伴う処理後データVg1の位相ずれの影響を抑える。この結果、決定部115は、吐出タイミングFを正確に決定できる。
【0057】
吐出制御部116は、吐出部23に制御信号Hcを出力し、決定部115によって決定された吐出タイミングFにより、吐出部23に液体を吐出させる。例えば、吐出制御部116は、記録媒体Pの搬送速度が速いほど吐出部23からの吐出タイミングを早く(吐出周波数を高く)し、搬送速度が遅いほど吐出部23からの吐出タイミングを遅く(吐出周波数を低く)して吐出部23に液体を吐出させる。液体吐出装置1は、決定部115により決定された吐出タイミングFにより吐出部23から液体を吐出することによって、吐出された液体を所望の位置に着弾させ、画像形成の品質を向上させることができる。
【0058】
なお、入力部111、移動平均処理部113、決定部115および吐出制御部116は、複数の吐出部23A~23Fそれぞれに対して、各処理を並行して実行する。制御部100は、吐出部23それぞれの吐出タイミングFを、吐出部23に対応付けられた第2エンコーダ211からの信号周期Ptに基づいて制御することができる。
【0059】
<液体吐出装置1の動作例>
図6は、液体吐出装置1の動作を例示するフローチャートである。液体吐出装置1は、例えば、液体吐出装置1の操作者が液体吐出装置1の操作部を用いて行った画像形成開始の操作入力を受け付けた際に、図6の動作を開始する。
【0060】
まずステップS61において、液体吐出装置1は、回転部材21を回転させることによって、受け取り胴24を介して給紙部10から受け取った記録媒体Pの搬送を開始する。そして、液体吐出装置1は、先端位置センサ220によって記録媒体Pの先端が検出されるまで(ステップS62、NO)、以降の処理の実行を待機する。
【0061】
続いて、液体吐出装置1は、先端位置センサ220によって記録媒体Pの先端が検出された後(ステップS62、YES)、ステップS63~S67の各処理を実行する。
【0062】
ステップS63において、液体吐出装置1は、入力部111により信号周期Ptを入力する。
【0063】
続いて、ステップS64において、液体吐出装置1は、移動平均処理部113により移動平均処理を実行し、処理後データVg1を取得する。
【0064】
続いて、ステップS65において、液体吐出装置1は、決定部115により、事前データPdが示す位相に処理後データVg1の位相が揃うように処理後データVg1を補正し、補正後データVg2を取得する。
【0065】
続いて、ステップS66において、液体吐出装置1は、決定部115により、補正後データVg2に基づいて特定される媒体の搬送速度V(mm/sec)と、画像データの解像度d(dpi)とを、上記の式1に代入することによって吐出タイミングFを決定する。
【0066】
続いて、ステップS67において、液体吐出装置1は、決定部115により決定された吐出タイミングFで、吐出制御部116により吐出部23に液体を吐出させる。
【0067】
液体吐出装置1は、記録媒体Pに対する画像の形成が終了するまで(ステップS68、NO)、第2エンコーダ211がパルス信号を出力する度にステップS62~S67の動作を繰り返し行う。但し、保持部112に保持される信号周期Ptの数が5個に達するまでは、ステップS64~S66の処理が省略される。また、吐出すべき液体がないタイミング(例えば、目標位置の画素が白色の場合)では、ステップS67の処理が省略される。
【0068】
<各データ例>
図7は、本実施形態に係る信号周期、処理後データVg1、事前データPdおよび補正後データVg2の対応関係を例示する図である。決定部115は、例えば以下の方法で補正後データを算出する。以下、図7のパルス信号[5]が出力されたタイミングの補正後データVg2(=103.22)を算出する方法を、主に説明する。
【0069】
図7において、左から5列目の「事前データ」は事前データPdに対応する。換言すると、「事前データ」は、予め特定されている周波数fと位相θを用い、上述した式1により表される変動成分に対応する。決定部115は、処理後データVg1(=105.10)から事前データPd(=4.92)を減算することにより、補正後データVg2(=103.22)を得る。
【0070】
パルス信号は、回転部材21の所定の回転角度ごとにおいて出力される。つまり、パルス信号は、回転部材21の所定の回転角度に対応するものである。決定部115は、図7のパルス信号[5]~[16]ごとに上記の減算を行うことにより、パルス信号[5]~[16]ごとでの補正後データVg2を取得できる。
【0071】
保持部112は、図7のテーブルのうち信号周期Pt、処理後データVg1および補正後データVg2を保持する。格納部114は、図7のテーブルのうち事前データPdを格納する。補正前誤差は、理想的な信号周期と処理後データVg1との差である。補正後誤差は、理想的な信号周期と補正後データVg2との差である。
【0072】
なお、理想的な信号周期と、第2エンコーダ211の現実の信号周期とは、大きな傾向が共通する。本実施形態では、単純化のために、第2エンコーダ211の現実の信号周期と、処理後データVg1および補正後データVg2との差を、図7の補正前誤差及び補正後誤差として記載している。
【0073】
図8は、理想的な信号周期に基づいて算出される搬送速度の推移、処理後データVg1に基づいて算出される搬送速度の推移、補正後データVg2に基づいて算出される搬送速度の推移を示す図である。図8の横軸は、回転部材21の回転角度を表し、縦軸は、搬送部2による回転部材21の回転角度を表している。
【0074】
図8において、破線81は、理想的な信号周期に基づいて算出される搬送速度の推移を表す。一点鎖線82は、処理後データVg1に基づいて算出される搬送速度の推移を表す。実線83は、補正後データVg2に基づいて算出される搬送速度の推移を表す。図8を参照すると、実線83は、一点鎖線82と比較して破線81に近づいている。すなわち、遅れが小さくなっている。
【0075】
<第1実施形態に係る液体吐出装置1の作用効果>
以上説明したように、液体吐出装置1は、記録媒体Pに液体を吐出する吐出部23と、記録媒体Pを周面に担持して回転する回転部材21を含み、記録媒体Pを搬送する搬送部2と、を備える。また液体吐出装置1は、搬送部2による記録媒体Pの搬送量に関する信号周期Pt(検出データ)を出力する第2エンコーダ211(検出部)と、第2エンコーダ211からの信号周期Ptに基づき、吐出部23による液体の吐出タイミングFを決定する決定部115と、を備える。決定部115は、信号周期Ptに対して移動平均処理(所定の処理)を施して得られる処理後データVg1と、搬送部2による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データPdと、に基づいて、吐出タイミングFを決定する。
【0076】
本実施形態では、事前データPdは、予め取得された変動成分の位相θに基づくデータである。決定部115は、処理後データVg1の位相が変動成分の位相θに揃うように処理後データVg1を補正した補正後データVg2に基づき、吐出タイミングFを決定する。
【0077】
以上の構成により、液体吐出装置1は、処理後データVg1の位相ずれが補正された補正後データVg2を用いて吐出タイミングFを決定でき、移動平均処理に伴う処理後データVg1の位相ずれの影響を抑えることができる。これにより、吐出タイミングFを正確に決定できるため、本実施形態では、吐出タイミングFの決定精度に優れた液体吐出装置1を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態では、液体吐出装置1は、所定の処理の一例として移動平均処理を実行する。これにより、本実施形態では、第2エンコーダ211のピッチばらつきや外部ノイズ等による信号周期Ptの誤差を低減できるため、吐出タイミングFの決定精度に優れた液体吐出装置1を提供することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、検出データとして信号周期Ptを例示し、所定の処理として移動平均処理を例示したが、実施形態はこれらに限定されるものではない。検出データは搬送速度に関するデータ等であってもよい。所定の処理は、処理後データが検出データに対して位相ずれし得るものであればよい。このような処理には、例えば移動平均処理以外の加算平均処理等が挙げられる。
【0080】
[第2実施形態]
事前データPdは、予め取得された変動成分の位相θに基づくデータに限定されない。以下、図9を参照して、第2実施形態に係る事前データPdについて説明する。なお、第2実施形態は、事前データPdの内容と、回転部材21が回転原点情報を出力するホームポジションセンサを有する点が第1実施形態と相違し、その他の構成および処理は第1実施形態と共通する。
【0081】
本実施形態では、事前データPdは、第2エンコーダ211を用いて予め取得された検出データに基づくデータを含む。この事前データPdは、例えば、第2エンコーダ211を用いて回転部材21の回転原点を基準にして取得される。
【0082】
図9は、第2実施形態に係る信号周期Pt、処理後データVg1および事前データPdの対応関係を例示する図である。図9は、液体吐出装置1により画像形成を行う前に、信号周期Ptおよび処理後データVg1を取得し、これらを用いて事前データPdを求めた結果を示している。図9では、パルス信号[1]が回転原点に対応するものとする。以下、図9のパルス信号[5]が出力されたタイミングの事前データ(=102.87)を算出する方法を、主に説明する。
【0083】
直近の5個の信号周期Ptの平均値を移動平均処理により求めると、位相ずれは、パルス信号約2個分のずれとなる。このずれを考慮すると、パルス信号[5]から2個分ずらしたパルス信号[7]における処理後データVg1(=102.87)が、パルス信号[5]に対応する処理後データVg1になる。従って、パルス信号[5]に対応する処理後データVg1(=105.10)から、パルス信号[7]における処理後データVg1(=102.87)を減算した値(=-2.23)は、誤差に対応する。
【0084】
本実施形態では、誤差としての上記値(=-2.23)を、パルス信号[5]の処理後データVg1に対応する事前データPdとして設定する。上記誤差は、予め取得された検出データに基づくデータに対応するものである。換言すると、予め取得された検出データに基づくデータは、移動平均処理に使用される信号周期Ptの個数に基づいて推定される位相ずれ分、検出データの位相をずらしたものである。
【0085】
パルス信号[5]~[16]のそれぞれにおいても、上記と同様に、事前データPdが設定される。
【0086】
決定部115は、複数の搬送量に関する検出データを処理後データVg1に加算することにより、処理後データVg1を補正する。決定部115は、補正により得られる補正後データVg2に基づいて、吐出タイミングFを決定する。
【0087】
事前データPdを用いる作用効果は、第1実施形態と同様である。但し、第1実施形態に係る事前データPdでは、変動成分として一つの周波数のものを用いる。このため、変動成分に様々な周波数のものが重畳されていると、上記一つの周波数以外の周波数の変動成分が補正されずに残るため、吐出タイミングFの決定精度が低下する場合がある。これに対し、第2実施形態に係る事前データPdでは、様々な周波数の変動成分が重畳されているデータそのものを、位相をずらして使用する。このため、第2実施形態に係る事前データPdでは、様々な周波数の変動成分の影響を併せて補正できるので、吐出タイミングFの決定精度を高くできる点において有利である。
【0088】
一方、第1実施形態に係る事前データPdでは、式1におけるオフセットa、振幅b、周波数f、位相θを格納部114に少なくとも格納すればよいため、格納部114の容量を削減できる点において有利である。また第1実施形態に係る事前データPdは、変動成分が一つの周波数に偏っている場合に有効である。
【0089】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。すなわち、本発明の範囲内で種々の変形および改良が可能である。
【0090】
実施形態において、液体は、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどでもよい。これらは例えば、インクジェット用インク、塗装用塗料、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0091】
また実施形態は、液体吐出方法も含む。例えば液体吐出方法は、液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、吐出部により、記録媒体に液体を吐出し、前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含む搬送部により、前記記録媒体を搬送し、検出部により、前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを所定周期により出力し、決定部により、前記検出データに基づき前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定し、前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する。このような液体吐出方法により、上述した液体吐出装置と同様の効果を得ることができる。
【0092】
実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0093】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 記録媒体に液体を吐出する吐出部と、前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含み、前記記録媒体を搬送する搬送部と、前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを出力する検出部と、前記検出部からの前記検出データに基づき、前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定する決定部と、を備え、前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する、液体吐出装置である。
<2> 前記所定の処理は移動平均処理である、前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<3> 前記事前データは、予め取得された前記変動成分の位相に基づくデータであり、前記決定部は、前記処理後データの位相が前記変動成分の位相に揃うように前記処理後データを補正した補正後データに基づき、前記吐出タイミングを決定する、前記<1>または前記<2>に記載の液体吐出装置である。
<4> 前記事前データは、前記検出部を用いて予め取得された前記検出データに基づくデータを含み、前記決定部は、前記検出データに基づくデータを用いて補正した補正後データに基づき、前記吐出タイミングを決定する、前記<1>から前記<3>のいずれかに記載の液体吐出装置である。
<5> 前記事前データは、前記検出部を用いて、前記回転部材の回転原点を基準にして取得される、前記<4>に記載の液体吐出装置である。
<6> 液体吐出装置による液体吐出方法であって、前記液体吐出装置が、吐出部により、記録媒体に液体を吐出し、前記記録媒体を周面に担持して回転する回転部材を含む搬送部により、前記記録媒体を搬送し、検出部により、前記搬送部による前記記録媒体の搬送量に関する検出データを所定周期により出力し、決定部により、前記検出データに基づき前記吐出部による前記液体の吐出タイミングを決定し、前記決定部は、前記検出データに対して所定の処理を施して得られる処理後データと、前記搬送部による搬送量の変動成分に関して予め取得された事前データと、に基づいて、前記吐出タイミングを決定する、液体吐出方法である。
【符号の説明】
【0094】
1 液体吐出装置
2 搬送部
10 給紙部
11 給紙トレイ
12 給送装置
13 レジストローラ対
20 画像形成部
21 回転部材
21a 軸
22 吐出ユニット
23 吐出部
24 受け取り胴
25 受け渡し胴
30 乾燥部
31 乾燥機構部
32 吸引搬送機構部
40 排紙部
41 排紙トレイ
81 破線
82 一点鎖線
83 実線
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 HDD/SSD
105 接続I/F
111 入力部
112 保持部
113 移動平均処理部
114 格納部
115 決定部
116 吐出制御部
201 第1エンコーダ
202 エンコーダホイール
203 エンコーダセンサ
211 第2エンコーダ(検出部の一例)
212 エンコーダスケール
213 エンコーダセンサ
220 先端位置センサ
A 搬送方向
B システムバス
F 吐出タイミング
Hc 制御信号
P 記録媒体
Pd 事前データ
Ps パルス信号
Pt 信号周期(検出データの一例)
Rg 検出結果
Vg1 処理後データ
Vg2 補正後データ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2019-155794号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9