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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154329
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】スイッチング素子の駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20231012BHJP
   H02H 7/12 20060101ALI20231012BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H03K17/08 Z
H02H7/12 B
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063595
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮島 一之
【テーマコード(参考)】
2G036
5G053
5J055
【Fターム(参考)】
2G036AA22
2G036BB06
2G036BB10
5G053AA02
5G053BA04
5G053CA01
5G053EC03
5J055AX34
5J055BX16
5J055CX07
5J055DX09
5J055DX55
5J055EY01
5J055EY12
5J055EY21
5J055EZ10
5J055EZ31
5J055FX05
5J055FX12
5J055FX13
(57)【要約】
【課題】出力負荷の短絡と、ゲート-エミッタ間の短絡とを区別して判定可能な保護回路を含むスイッチング素子の駆動回路を提供する。
【解決手段】駆動回路は、第1端子及び第2端子間の導通状態を制御端子に入力される制御信号に応じて切り替えることにより駆動可能なスイッチング素子を駆動する。本回路は、第1端子にダイオードを介して接続される端子の電圧である第1電圧を第1基準電圧と比較するとともに、制御端子に対応する第2電圧を第2基準電圧と比較し、これらの比較結果に基づいて、スイッチング素子の異常を示すエラー信号として、前記負荷の短絡に対応する第1エラー信号、又は、前記制御端子の第2端子への短絡に対応し、第1エラー信号とは異なる第2エラー信号を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子及び第2端子間の導通状態を制御端子に入力される制御信号に応じて切り替えることにより駆動可能なスイッチング素子の駆動回路であって、
前記第1端子にダイオードのカソードが接続され、前記ダイオードのアノードが接続される端子の電圧である第1電圧を、前記第1端子に接続された負荷の短絡による前記第1電圧の変化を判定するための第1基準電圧と比較する第1コンパレータと、
前記制御端子の電圧に対応する第2電圧を、前記制御端子が前記第2端子に短絡することによる前記第2電圧の変化を判定するための第2基準電圧と比較する第2コンパレータと、
前記第1コンパレータ及び前記第2コンパレータの比較結果に基づいて、前記スイッチング素子の異常を示すエラー信号として、前記負荷の短絡に対応する第1エラー信号、又は、前記制御端子の前記第2端子への短絡に対応し、前記第1エラー信号とは異なる第2エラー信号を生成するエラー信号生成部と、
を備える、スイッチング素子の駆動回路。
【請求項2】
前記エラー信号生成部は、
前記第1コンパレータによって、前記第1電圧が前記第1基準電圧を超えたと判定され、且つ、前記第2コンパレータによって前記第2電圧が前記第2基準電圧を超えたと判定された場合、前記エラー信号として前記第1エラー信号を生成し、
前記第1コンパレータによって、前記第1電圧が前記第1基準電圧を超えたと判定され、且つ、前記第2コンパレータによって前記第2電圧が前記第2基準電圧以下であると判定された場合、前記エラー信号として前記第2エラー信号を生成する、請求項1に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項3】
前記第1電圧を検出するための端子と、前記第2端子との間に接続された容量素子と、前記容量素子に充電電流を供給する電流源を備える、請求項1又は2に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項4】
前記第1エラー信号及び前記第2エラー信号は互いに異なる時間幅を有するパルス信号である、請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項5】
前記エラー信号生成部は、前記第1電圧と、前記スイッチング素子の駆動回路の電源電圧との電圧差が所定値以下になった場合に、前記第1コンパレータの比較結果に関わらず、前記第2コンパレータの比較結果に基づいて、前記エラー信号を生成する、請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項6】
前記第2電圧が、前記スイッチング素子の駆動回路の電源電圧との電圧差が所定値以下になった場合に、前記容量素子への電流供給量を増加するように構成される、請求項3から5のいずれか一項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング素子の駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
第1端子及び第2端子間の導通状態を制御端子に入力される制御信号に応じて切り替えることにより駆動可能なスイッチング素子が知られている。この種のスイッチング素子として、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)がある。絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、適宜「IGBT」と称する)は、第1端子、第2端子及び制御端子として、それぞれコレクタ端子、エミッタ端子及びゲート端子を備え、ゲート端子に与えられる制御信号に応じて、コレクタ端子及びエミッタ端子間の導通状態を切替可能である。
【0003】
IGBTのようなスイッチング素子は、例えば、インバータのような電力変換装置に用いられる。このような電力変換装置では、IGBTが導通状態(オン状態)にある場合に、出力負荷が接続されるコレクタ端子(出力端子)に天絡等の故障が生じると、コレクタ端子とエミッタ端子との間に過大な電流が流れ、場合によっては、スイッチング素子の破損等の不具合を招くおそれがある。
【0004】
スイッチング素子の駆動回路には、このような不具合を防止するための保護回路を含むものがある。例えば特許文献1には、出力端子の天絡や地絡等の故障からスイッチング素子を保護するための回路を備えるスイッチング素子の駆動回路の一例が開示されている。この文献では、IGBTが導通状態(オン状態)にある場合に、コレクタ-エミッタ間の電位差を検出し、当該電位差が一定値以上であるか否かに基づいて、IGBTの過電流状態を検出する、いわゆるDESAT回路を含む駆動回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-208847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでIGBTのようなスイッチング素子では、前述した出力端子の天絡等の故障の他に、ゲート-エミッタ間に短絡が生じることがある。このようなゲート-エミッタ間の短絡もまた、IGBTにおいて、コレクタ-エミッタ間の電位差の増加をもたらす。そのため、コレクタ-エミッタ間の電位差に基づいて異常判定を行う前述のDESAT回路では、出力負荷の短絡による出力端子の天絡と、ゲート-エミッタ間の短絡とを区別して判定することができない。
【0007】
本実施形態の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、出力負荷の短絡と、ゲート-エミッタ間の短絡とを区別して判定可能な保護回路を含むスイッチング素子の駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本実施形態の少なくとも一実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路は、上記課題を解決するために、
第1端子及び第2端子間の導通状態を制御端子に入力される制御信号に応じて切り替えることにより駆動可能なスイッチング素子の駆動回路であって、
前記第1端子にダイオードのカソードが接続され、前記ダイオードのアノードが接続される端子の電圧である第1電圧を、前記第1端子に接続された負荷の短絡による前記第1電圧の変化を判定するための第1基準電圧と比較する第1コンパレータと、
前記制御端子の電圧に対応する第2電圧を、前記制御端子が前記第2端子に短絡することによる前記第2電圧の変化を判定するための第2基準電圧と比較する第2コンパレータと、
前記第1コンパレータ及び前記第2コンパレータの比較結果に基づいて、前記スイッチング素子の異常を示すエラー信号として、前記負荷の短絡に対応する第1エラー信号、又は、前記制御端子の前記第2端子への短絡に対応し、前記第1エラー信号とは異なる第2エラー信号を生成するエラー信号生成部と、
を備える。
【0009】
上記(1)の態様によれば、第1コンパレータにおいて、負荷が接続された第1端子にダイオードを介して接続される端子の電圧である第1電圧が第1基準電圧と比較されるとともに、第2コンパレータにおいて、制御端子の電圧に対応する第2電圧が第2基準電圧と比較される。エラー信号生成部では、第1コンパレータ及び第2コンパレータの比較結果に基づいて、スイッチング素子の異常を示すエラー信号として、負荷の短絡に対応する第1エラー信号、又は、制御端子の第2端子への短絡に対応する第2エラー信号のいずれかを生成する。第1エラー信号及び第2エラー信号は互いに異なる態様で生成されることで、生成されたエラー信号が、第1エラー信号又は第2エラー信号のいずれかに基づいて、スイッチング素子で生じた異常が、負荷の短絡であるか、制御端子の第2端子への短絡であるかを区別可能である。
【0010】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記エラー信号生成部は、
前記第1コンパレータによって、前記第1電圧が前記第1基準電圧を超えたと判定され、且つ、前記第2コンパレータによって前記第2電圧が前記第2基準電圧を超えたと判定された場合、前記エラー信号として前記第1エラー信号を生成し、
前記第1コンパレータによって、前記第1電圧が前記第1基準電圧を超えたと判定され、且つ、前記第2コンパレータによって前記第2電圧が前記第2基準電圧以下であると判定された場合、前記エラー信号として前記第2エラー信号を生成する。
【0011】
上記(2)の態様によれば、第1コンパレータによって、第1電圧が第1基準電圧を超えたと判定され、且つ、第2コンパレータによって第2電圧が第2基準電圧を超えたと判定された場合には、エラー信号として第1エラー信号が生成される。また第1コンパレータによって、第1電圧が第1基準電圧を超えたと判定され、且つ、第2コンパレータによって第2電圧が第2基準電圧以下であると判定された場合には、エラー信号として第2エラー信号が生成される。このように第1コンパレータ及び第2コンパレータの比較結果に応じたエラー信号を生成することで、スイッチング素子で生じた異常が、負荷の短絡であるか、制御端子の第2端子への短絡であるかを区別可能である。
【0012】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記第1電圧を検出するための端子と、前記第2端子との間に接続された容量素子と、前記容量素子に充電電流を供給する電流源を備える。
【0013】
上記(3)の態様によれば、スイッチング素子で負荷の短絡や制御端子の第2端子への短絡が生じることで、第1電圧が上昇して第1基準電圧に達するまでの遅延時間を、容量素子の大きさによって調整できる。このような容量素子の大きさの調整は、例えば、スイッチング素子をオフ状態からオン状態に切り替える際に、第1電圧が第1基準電圧に到達することで誤検知が行われないように行うことができ、容量素子をスイッチング素子の駆動回路のパッケージに対して外付配置することで、容量素子を変更することによって、遅延時間の調整を容易に行うことができる。
【0014】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記第1エラー信号及び前記第2エラー信号は互いに異なる時間幅を有するパルス信号である。
【0015】
上記(4)の態様によれば、第1エラー信号及び第2エラー信号を互いに異なる時間幅を有するパルス信号として生成することで、エラー信号の受信側はパルス信号の時間幅に基づいて、第1エラー信号及び第2エラー信号を好適に区別できる。
【0016】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記エラー信号生成部は、前記第1電圧と、前記スイッチング素子の駆動回路の電源電圧との電圧差が所定値以下になった場合に、前記第1コンパレータの比較結果に関わらず、前記第2コンパレータの比較結果に基づいて、前記エラー信号を生成する。
【0017】
上記(5)の態様によれば、第1電圧と電源電圧との電圧差に基づいてエラー信号が生成されることにより、何らかの要因によって電源電圧が低下した場合においても、第1電圧の上昇を検知することで負荷の短絡等が生じた場合に的確な異常判定が行うことができる。
【0018】
(6)他の態様では、上記(3)から(5)のいずれか一態様において、
前記第2電圧が、前記スイッチング素子の駆動回路の電源電圧との電圧差が所定値以下になった場合に、前記容量素子への電流供給量を増加するように構成される。
【0019】
上記(6)の態様によれば、第2電圧がスイッチング素子の電源電圧との電圧差が所定値以下になったか否かによってスイッチング素子のオン状態への切替動作が完了したと判断された後に、第1電圧を検出する端子を介して容量素子への電流供給量を増加することで、負荷の短絡等が生じた際に第1電圧が第1基準電圧に達するまでの遅延時間を短縮できる。これにより、遅延期間の間にスイッチング素子に過大な電流が流れる期間を短くすることで、スイッチング素子の破損等の不具合発生を好適に抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本実施形態の少なくとも一実施形態によれば、出力端子の天絡や地絡等と、ゲート-エミッタ間の短絡とを区別して判定可能な保護回路を含むスイッチング素子の駆動回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路を示す回路図である。
図2図1のエラーパルス生成回路の構成の一例である。
図3A図1の駆動回路においてIGBTのオフ状態からオン状態への切替時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。
図3B図1の駆動回路においてIGBTのオフ状態からオン状態への切替時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。
図4】第2実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路を示す回路図である。
図5】第3実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路を示す回路図である。
図6図5の駆動回路においてIGBTのオフ状態からオン状態への切替時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。
図7】参考技術に係るスイッチング素子の駆動回路の回路図である。
図8図7の駆動回路においてIGBTのオフ状態からオン状態への切替時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。
図9】他の参考技術に係るスイッチング素子の駆動回路1´´の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
(参考技術)
まず本発明の幾つかの実施形態の前提となる参考技術について説明する。図7は参考技術に係るスイッチング素子の駆動回路1´の回路図であり、図8図7の駆動回路1´においてIGBTのオフ状態からオン状態への切替(ターンオン)時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。
【0024】
駆動回路1´は、駆動対象として、第1端子及び第2端子間の導通状態を制御端子に入力される制御信号に応じて切り替えることにより駆動可能なスイッチング素子を有する。この例では、スイッチング素子はIGBTであり、第1端子、第2端子及び制御端子として、それぞれコレクタ端子、エミッタ端子及びゲート端子を備え、ゲート端子に与えられる制御信号に応じて、コレクタ端子及びエミッタ端子間の導通状態を切替可能である。
【0025】
IGBTのコレクタ端子には、負荷電源VLOADによって駆動可能な負荷Lが接続される。駆動回路1´には、外部からゲート駆動信号が入力され、ゲート駆動信号に応じてIGBTが駆動される。具体的には、ゲート駆動信号に応じてトランジスタMP1がオン状態となると、電源VSUPの出力電圧がPG端子から抵抗R1を介して、IGBTのゲート端子に印加されることで、IGBTがオン状態に切り替えられる。
【0026】
ここでIGBTがオン状態である場合において、負荷Lの両端が短絡する事象(故障)が生じると、IGBTのコレクタ-エミッタ間電圧Vceが上昇し、IGBTのコレクタ-エミッタ間に過大な電流が流れるおそれがある。そこで駆動回路1´は、当該事象を検出するとともに、IGBTをオフ状態に切り替えることで過電流状態を解消するための保護回路として、DESAT回路を含む。
【0027】
駆動回路1´は、IGBTのコレクタ端子にダイオードD1を介して接続されたDESAT端子を有する。通常、負荷電源VLOADは電源VSUPより大きな電圧を供給するように構成される。そのため、DESAT端子に対して過大な電圧が印加されないようにダイオードD1が設けられている。DESAT端子の電圧(第1電圧V1)は、第1コンパレータCOMP1において、第1基準電圧VREF1と比較される。第1コンパレータCOMP1は、DESAT端子の第1電圧V1と第1基準電圧VREF1との比較結果に対応する出力信号を、エラーパルス生成回路2´に入力する。具体的には第1コンパレータCOMP1の出力信号は、第1電圧V1が第1基準電圧VREF1より大きい場合にはHレベルとなり、第1電圧V1が第1基準電圧VREF1以下である場合にはLレベルとなる。
【0028】
尚、DESAT端子及びエミッタ端子間に設けられた容量素子C1は、DESAT端子の第1電圧V1が上昇する際に遅延時間を設定するための素子である。図8に示すように、時刻t0にIN端子にゲート駆動信号VINが入力され、時刻t1にIGBTのゲート-エミッタ間電圧VgeがIGBTの閾値電圧に達する。時刻t1~t3の期間tonにおいてIGBTがオフ状態からオン状態に切り替えられる(ターンオン)際に、容量素子C1による遅延時間を設定することで、IGBTが完全にオン状態に切り替えられる前にDESAT回路が動作してしまうことが防止される。図7の例では、容量素子C1は電流源I1によって充電されることで、DESAT端子の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1に達するまでの遅延時間を生成している。
【0029】
DESAT回路では、通常動作においては、時刻t1にIGBTがオン状態になるとコレクタ-エミッタ間電圧Vceが下がることで、ダイオードD1がオン状態になるため、時刻t2にDESAT端子の第1電圧V1は一定値に維持(クランプ)され、第1基準電圧VREF以下になる(このとき第1コンパレータCOMP1の出力信号はLレベルとなる)。一方で、IGBTがオン状態になった後、時刻t3以降の時刻tsで負荷Lの両端が短絡する事象が生じたとすると、IGBTのコレクタ-エミッタ間電圧Vceが上昇し、これに伴い、DESAT端子の第1電圧V1も上昇する。ここでDESAT端子の第1電圧V1は、DESAT端子とエミッタ端子との間に接続された容量素子C1の容量値に対応する遅延時間を有するように、次第に上昇する振る舞いを示す。第1コンパレータCOMP1では、DESAT端子の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1に達すると、出力信号がLレベルからHレベルに切り替わることで、時刻t4に負荷Lの両端に短絡が発生したことを検出する。
【0030】
第1コンパレータCOMP1の出力信号は、エラーパルス生成回路2´に入力される。エラーパルス生成回路2´は、第1コンパレータCOMP1からの入力レベルに対応して、所定のHレベル時間幅を有するパルス(電圧信号)を発生させる。エラーパルス生成回路2´から出力されるパルス信号は、RS-FF回路4のS端子に入力され、RS-FF回路4のQ端子の出力をHレベルにラッチさせる。その結果、反転回路INV1の出力はHレベルに切り替わり、トランジスタMP1がオフ状態になるとともに、トランジスタMN1がオン状態になることでIGBTのゲート電圧Vgeを引き下げることでIGBTをオフ状態にし、IGBTの過電流状態が解消される。
【0031】
一方、エラーパルス生成回路から出力されるパルス信号は、トランジスタMN2を一定時間(パルスのHレベル時間幅)オン状態にして、FLT端子電圧をLレベルに切り替える。FLT端子電圧は、エラー信号として、外部のコントロール用のマイコン等(不図示)に入力される。コントロール側では、当該エラー信号を受信することにより、DESAT回路が動作したことを把握可能である。
【0032】
上記構成を有する駆動回路1´では、IGBT側に電流を検出するための端子がない場合や、エミッタ端子側に電流検出用の抵抗を設ける必要がない点で有利ではある。しかしながら、直接IGBTに流れる電流を検出している訳ではないため、仮にIGBTのゲート-エミッタ端子との間に短絡が生じることでIGBTがオフ状態になってしまった場合においても、前述のように負荷Lに短絡が生じた場合と同様に、DESAT端子の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1を超える動作となる。すなわち、第1コンパレータCOMP1において第1電圧V1と第1基準電圧VREF1との比較結果に基づいて異常判定を行う前述のDESAT回路では、出力端子の天絡による異常と、ゲート-エミッタ間の短絡に関する異常とを区別して判定することができない。このような課題は、以下に説明する各実施形態によって好適に解消可能である。
【0033】
(第1実施形態)
図1は第1実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路1Aを示す回路図であり、図2図1のエラーパルス生成回路2の構成の一例である。
尚、以降の実施形態では、前述の参考技術に対応する構成については共通の符号を付すこととし、特段の記載がない限りにおいて、重複する説明は省略する。
【0034】
図1に示す駆動回路1Aは、IGBTのゲート端子の電圧をプルダウンするために、ゲート端子に対して抵抗R2を介して接続されるNG端子を有する。NG端子の電圧(第2電圧V2)は、第2コンパレータCOMP2において第2基準電圧VREF2と比較される。具体的には、第2コンパレータCOMP2の出力信号は、第2電圧V2が第2基準電圧VREF2以下である場合にはHレベルとなり、第2電圧V2が第2基準電圧VREF2より大きい場合にはLレベルとなる。
【0035】
第2コンパレータCOMP2の出力信号は、エラーパルス生成回路2に入力される。エラーパルス生成回路2は、図2に示すように、第1コンパレータCOMP1の出力信号が入力される第1入力端子OUT_COMP1と、第2コンパレータCOMP2の出力信号が入力される第2入力端子OUT_COMP2とを備える。またエラーパルス生成回路2は、論理回路AND1、AND2の出力信号の立ち上がりエッジをそれぞれ検出してパルス信号を発生させる第1パルス発生器6A及び第2パルス発生器6Bを備える。第1パルス発生器6Aが発生させる第1パルス信号P1と、第2パルス発生器6Bが発生させる第2パルス信号P2は、互いに異なる。本実施形態では、第1パルス信号P1及び第2パルス信号P2は互いに異なる時間幅T1,T2を有するが、例えば周波数や振幅など他のパラメータを異ならせてもよい。第1パルス発生器6A及び第2パルス発生器6Bで発生された第1パルス信号P1及び第2パルス信号P2はそれぞれ論理回路ORに入力され、その論理和が、エラーパルス生成回路2の出力信号POUTとして出力される。
【0036】
続いて上記構成を有する駆動回路1Aの具体的な動作について説明する。図3A及び図3B図1の駆動回路1AにおいてIGBTのオフ状態からオン状態への切替(ターンオン)時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。なお、図3A及び図3Bでは、NG端子電圧V2とIGBTのゲート電圧VNGを同一波形として示している。厳密には、IGBTのゲート端子の電圧をプルダウンする際に、抵抗R2に発生する電位差による差異は発生することとなる。
【0037】
図3A及び図3Bでは、時刻t0において、駆動回路1AのIN端子に外部から入力されるゲート駆動信号VINがLレベルからHレベルに切り替わることによりIGBTのオフ状態からオン状態への切替が開始される。駆動回路1AのIN端子に入力されるゲート駆動信号がLレベルからHレベルに切り替わると、トランジスタMP1がオン状態となり、トランジスタMN1及びMN3はオフ状態となる。これにより、IGBTのゲート電圧VNGが立ち上がると共にDESAT端子の第1電圧V1も上昇する。そして時刻t1においてゲート電圧VNGがIGBTの閾値電圧(第2基準電圧VREF2)になると、IGBTはオン状態となり、コレクタ-エミッタ間電圧Vceは減少する(ダイオードD1がオンすることで、時刻t2にDESAT端子の第1電圧V1は一定値に維持(クランプ)される)。その後、時刻t3にIGBTのゲート容量への充電が完了し、IGBTは完全にオン状態となる。
【0038】
図3Aでは、このようにIGBTがオン状態になった後、時刻tsにおいて、負荷Lの両端が短絡する事象が生じることにより、コレクタ-エミッタ間電圧Vceが急激に上昇する。これにより、DESAT端子の第1電圧V1は、容量素子C1に対応する遅延時間を経て、時刻t4に第1基準電圧VREF1に到達する。このときNG端子の第2電圧V2は第2基準電圧V2より大きくなっているため、第2コンパレータCOMP2の出力信号はLレベルとなる。このためエラーパルス生成回路2では、図2に示すように、パルス発生器P1の入力がHレベルに切り替わり、POUT端子から時間幅T1を有する第1パルス信号P1が出力される。このようにエラーパルス生成回路2から出力される第1パルス信号P1は、RS-FF回路4のS端子に入力され、RS-FF回路4のQ端子の出力をHレベルに切り替えることで、トランジスタMP1をオフ状態にするとともに、トランジスタMN1及びMN3をオン状態にし、IGBTをオフ状態にして過電流状態を解消し、DESAT端子の第1電圧V1をグランドレベルまで引き下げる。
【0039】
またエラーパルス生成回路2から出力される第1パルス信号P1はトランジスタMN2を時間幅T1の間ON状態にすることで、FLT端子からは時間幅T1を有するエラー信号が出力される。これにより、外部にあるコントローラ側では、受信したエラー信号の時間幅T1に基づいて、時刻tsにおいて、負荷Lの両端が短絡する事象が生じたことを把握することができる。
【0040】
一方の図3Bでは、このようにIGBTがオン状態になった後、時刻tsにおいて、IGBTのゲート-エミッタ間が短絡する事象が生じることによりIGBTはオフ状態となり、コレクタ-エミッタ間電圧Vceが上昇する。これにより、DESAT端子の第1電圧V1は、容量素子C1に対応する遅延時間を経て、時刻t4に第1基準電圧VREF1に到達する。このときIGBTのゲート-エミッタ間短絡によりゲート電圧VNGはグランド電圧付近まで引き下げられており、NG端子の第2電圧V2は第2基準電圧VREF2以下になっているため、第2コンパレータCOMP2の出力信号はHレベルである。このためエラーパルス生成回路2では、図2に示すように、パルス発生器P2の入力がHレベルに切り替わり、POUT端子から時間幅T2(>T1)を有する第2パルス信号が出力される。このときIGBTは図3Aに示す場合と同様にオフ状態となり、エラーパルス生成回路2から出力される第2パルス信号P2は、トランジスタMN2を時間幅T2の間ON状態にすることで、FLT端子からは時間幅T2を有するエラー信号が出力される。これにより、外部にあるコントローラ側では、受信したエラー信号の時間幅T2に基づいて、時刻tsにおいて、IGBTのゲート-エミッタ間が短絡する事象が生じたことを把握することができる。
【0041】
このようにFLT端子から出力されるエラー信号は、IGBTで生じた事象の種類に応じた時間幅を有するため、外部にあるコントローラ側では、受信したエラー信号の種類(本実施形態では時間幅)に基づいて、IGBTでどのような事象が生じたのかを的確に把握することが可能となる。
【0042】
ここで図9は他の参考技術に係るスイッチング素子の駆動回路1´´の回路図である。この駆動回路1´´では、IGBTのゲート-エミッタ間の短絡を検出するために、ゲート端子に電流を供給するPG端子に接続されるトランジスタMP1のソース電流を測定するための抵抗RSが設けられている。そして抵抗RSの両端間の電位差を、コンパレータCOMPで基準電圧VREFと比較することにより、トランジスタMP1に過大な電流が流れているか否かを判定できる。
【0043】
このような駆動回路1´´においてIGBTのゲート電圧が立ち上がる際には、図3Bの時刻t0~t1に示すように、PG端子の電流IPGが一時的に過大となる。そのため、コンパレータCOMPの出力側に遅延回路8を設けることで、ゲート電圧が立ち上がっている間、コンパレータCOMPからの信号を無効にするための遅延期間を設定する必要がある。このような遅延期間は、IGBTのゲート容量に依存するため、ゲート容量に応じて調整しなければならない(遅延期間の調整が適切でないと、IGBTの通常動作中にコンパレータCOMPの出力が切り替わり、IGBTのゲート-エミッタ間に短絡が生じたと誤検知してしまうおそれがある)。従って、図9に示す構成のように、駆動回路1´´が集積回路化されている場合には、遅延期間を調整するために容量等が交換可能なように容量等を接続するための端子を増設しなければならない。
【0044】
それに対して本実施形態(図1図3を参照)に示す駆動回路1Aでは、前述したように、DESAT端子の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1まで上昇したタイミングで、NG端子の第2電圧V2によってIGBTのゲート電圧を検出して第2基準電圧VREF2と比較した結果に基づいて、IGBTのゲート-エミッタ間に短絡が生じているか否かを判定できる。通常、DESAT端子に接続される容量素子C1はIGBTのゲート立ち上がり時間に合わせて設定されるため(容量素子C1の大きさは、前述のようにオフ状態からオン状態への切替時に第1電圧V1が第1基準電圧VREF1を超えて誤検知が生じないように調整される)、ゲート容量が大きくゲート立ち上がりに時間がかかる場合は、DESAT端子に接続された容量素子C1を大きくすることで対応可能である。このように既存構成である容量素子C1で対応可能となるため、図9に示す参考技術のような端子の増設を不要とすることができる。
【0045】
また図9に示す参考技術では、PG端子に流れる電流IPGに基づいてIGBTのゲート-エミッタ間の短絡状態を判定するが、電流IPGはPG端子電圧が電源VSUPの出力電圧付近まで上昇するまで流れ続け、その値はPG端子とIGBTのゲート端子との間に設けられた抵抗R1の抵抗値に依存する。そのため遅延回路の遅延時間や抵抗R1の抵抗値の設定によっては、IGBTが正常にオン状態にあるにも関わらず、IGBTのゲート-エミッタ間が短絡していると判定されるおそれがある。
【0046】
それに対して本実施形態(図1図3を参照)に示す駆動回路1Aでは、IGBTが正常にオン状態にあれば、DESAT端子の第1電圧V1は第1基準電圧VREF1まで上昇しないため、このような誤検出が生じず、またゲート電圧の立ち上がり時にはトランジスタMN1はオフ状態にあるため、抵抗R2には電位差が生じず、IGBTのゲート電圧を正確に測定する事ができる。
【0047】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路1Bを示す回路図である。
【0048】
前述の駆動回路1Aでは、第1コンパレータCOMP1においてDESAT端子の第1電圧V1の比較対象となる第1基準電圧VREF1は、電源VSUPの出力電圧に応じて設定されるが、例えば電源VSUPの出力電圧が15Vの場合に6V程度に設定される場合が多い。ここで何らかの原因でVDD端子に接続された電源VSUPの出力電圧が6V以下まで低下している状況では、仮にIGBTの負荷Lが短絡したとしても、DESAT端子の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1まで上昇せず、当該故障を検出することができないおそれがある。
【0049】
典型的には、この種の駆動回路では、電源VSUPの出力電圧を監視するためのUVLO(低減圧誤動作防止器機能)回路を備え、電源VSUPの出力電圧の低下を検出してIGBTをオフ状態に切り替える制御が行われる。しかしながら、このようなUVLO回路は、ゲート駆動時に電源VSUPの出力電圧に生じる一時的な変動等で動作しないように、数μs程度の遅延時間を有する。この遅延時間がDESAT回路の検出時間(図3A及び図3Bにおいて時刻tsから時刻t4の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1に達するまでの時間)よりも長い場合は、この間、IGBTに過大な電流が流れ続けてしまう。
【0050】
それに対して駆動回路1Bでは、エラーパルス生成回路2において、DESAT端子の第1電圧V1と、電源VSUPの出力電圧との電圧差が所定値(第3基準電圧VREF3)以下になった場合に、第1コンパレータCOMP1の比較結果に関わらず、第2コンパレータCOMP2の比較結果に基づいてエラー信号が生成されるように構成される。図4では、このような駆動回路1Bの構成例として、DESAT端子の第1電圧V1と、第3基準電圧VREF3とを比較する第3コンパレータCOMP3を備える。第3基準電圧VREF3は、VDD端子を介して電源VSUPに接続されるため、第3コンパレータCOMP3の反転入力端子に入力される電圧は電源VSUPの出力電圧に依存する。
【0051】
何らかの要因によって電源VSUPの出力電圧が低下した場合には、第3コンパレータCOMP3の反転入力端子に入力される電圧は、第1基準電圧VREF1より低くなる。そのため、負荷Lの両端が短絡した場合には、第1コンパレータCOMP1において第1電圧V1が第1基準電圧VREF1に達することができない場合であっても、第3コンパレータCOMP3において第1電圧V1と電源VSUPの出力電圧との電圧差を監視することで、Hレベルの出力信号をOR回路を介してエラーパルス生成回路2に与えることができる。
【0052】
このように駆動回路1Bでは、電源VSUPの出力電圧が低下した場合においても、異常に起因するDESAT端子の第1電圧V1の上昇に基づく故障判定が可能となる。そのため、UVLO回路によってIGBTをオフ状態に切り替える制御に比べてIGBTに過大な電流が流れる時間が大幅に短縮され、IGBTが損傷することを効果的に防止できる。
【0053】
(第3実施形態)
図5は第3実施形態に係るスイッチング素子の駆動回路1Cを示す回路図であり、図6図5の駆動回路1CにおいてIGBTのオフ状態からオン状態への切替(ターンオン)時及びDESAT回路の動作時の各部の電圧及び電流の時間変化を示すタイムチャートである。
【0054】
負荷Lの両端の短絡、又は、ゲート-エミッタ間の短絡が生じた場合に、DESAT端子の第1電圧V1が上昇して第1基準電圧VREF1に達するまでの遅延時間は、前述したように、IGBTがオフ状態からオン状態に切り替えられるターンオン時の第1電圧V1が第1基準電圧VREF1に達しないように設定される。一方で図3を参照して上記したように、NG端子の第2電圧V2がIGBTをオン電圧まで上昇することでIGBTが完全にオン状態になった後は、ターンオン時の制約がなくなるため、遅延時間をより短く設定することで、より迅速な異常検知が可能となる。
【0055】
このような課題を解決するために、駆動回路1Cでは、NG端子の第2電圧V2と、電源VSUPの出力電圧との電圧差が所定値以下になった場合に、第1電圧V1を検出するDESAT端子に対する電流供給量(ソース電流IDESAT)を増加し、すなわち容量素子C1への電流供給量を増加するように構成される。図5では、このような駆動回路1Cの構成例として、NG端子の第2電圧V2と、電源VSUPの出力電圧とを比較する第4コンパレータCOMP4を備える。第4コンパレータCOMP4によって第2電圧V2と電源VSUPの出力電圧との電圧差が第4基準電圧VREF4以下になったことが検知されると、RS-FF回路12によって電流源I2に接続されるスイッチSWをONに切り替えることで、DESAT端子に対する電流供給量をI1+I2に増加させる。これにより、図6に示すように、時刻t3’においてIGBTが完全にON状態になった後に、時刻tsにおいて負荷Lの両端が短絡したり、又は、ゲート-エミッタ間の短絡が生じること(天絡発生)で、DESAT端子の第1電圧V1が上昇する際に、第1基準電圧VREF1に達するまでの遅延時間(時刻ts~t4’)を短くできる。その結果、IGBTに過大な電流が流れる時間がさらに短縮され、IGBTが損傷することを効果的に防止できる。
【0056】
また、このような構成を有する駆動回路1Cでは、IGBTが完全にオン状態になったことを、NG端子の第2電圧V2が電源VSUPの出力電圧との電圧差が第4基準電圧VREF4まで上昇したことを条件に判定している。IGBTの容量が大きい場合、IGBTが完全にオン状態になるまでの立ち上がり時間が伸び、第4コンパレータCOMP4の出力が切り替わるまでの遅延時間は長くなり、IGBTが完全にオン状態になる前にDESAT端子へのソース電流を増加して、第1電圧V1が第1基準電圧VREF1に達するまでの遅延時間が設定した値よりも短くなることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0057】
1A-1C 駆動回路
2 エラーパルス生成回路
4 RS-FF回路
8 遅延回路
12 RS-FF回路
C1 容量素子
COMP1 第1コンパレータ
COMP2 第2コンパレータ
COMP3 第3コンパレータ
COMP4 第4コンパレータ
D1 ダイオード
I1 電流源
I2 電流源
IGBT スイッチング素子
L 負荷
SW スイッチ
VREF1 第1基準電圧
VREF2 第2基準電圧
VREF3 第3基準電圧
VREF4 第4基準電圧
V1 第1電圧
V2 第2電圧
VSUP 電源
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9