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特開2023-154485シールド外装部材、外装部材付ワイヤーハーネス、及びシールド外装部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154485
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】シールド外装部材、外装部材付ワイヤーハーネス、及びシールド外装部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20231013BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20231013BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H02G3/04 087
H05K9/00 L
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063796
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】中田 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】荒川 晴美
【テーマコード(参考)】
5E321
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
5E321AA23
5E321BB21
5E321BB53
5E321CC16
5E321GG09
5G309AA11
5G357DA05
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE02
5G357DE08
(57)【要約】
【課題】ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWを保護できるプロテクタ10、プロテクタ付ワイヤーハーネス1、及びプロテクタ10の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂発泡シートで構成され、内部にワイヤーハーネスWを挿通する筒状のプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の内周面に積層されたシールド部材12とが備えられたプロテクタ10、及びプロテクタ10の内部にワイヤーハーネスWが挿通されたプロテクタ付ワイヤーハーネス1であることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製シート材で構成され、内部にワイヤーハーネスを挿通する筒状の外装本体と、
前記外装本体の周面に積層されたシールド部材とが備えられた
シールド外装部材。
【請求項2】
前記シールド部材を保護する保護部材が備えられ、
前記シールド部材が、前記外装本体と前記保護部材との間に配置された
請求項1に記載のシールド外装部材。
【請求項3】
前記保護部材は、樹脂製シート材で構成された
請求項2に記載のシールド外装部材。
【請求項4】
前記シールド部材が、シート状である
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のシールド外装部材。
【請求項5】
前記シールド部材を前記外装本体に固定する固定部が備えられた
請求項1に記載のシールド外装部材。
【請求項6】
前記固定部は、
前記外装本体と前記シールド部材との間に形成した接着層で構成された
請求項5に記載のシールド外装部材。
【請求項7】
前記固定部は、
前記外装本体とは別体構成され、前記外装本体への係合によって前記シールド部材を固定する係合部材で構成された
請求項5に記載のシールド外装部材。
【請求項8】
前記固定部は、
前記外装本体とで前記シールド部材を挟持する挟持部で構成された
請求項5に記載のシールド外装部材。
【請求項9】
前記シールド部材は、
前記外装本体へ向けて突設され、前記外装本体の内部に係止固定される内部係止部が設けられ、
前記固定部は、前記内部係止部で構成された
請求項5に記載のシールド外装部材。
【請求項10】
前記外装本体は、
前記ワイヤーハーネスの長手方向に沿って延びる断面凹形状のベース部と、
前記断面凹形状の開口を覆うカバー部とで構成された
請求項1に記載のシールド外装部材。
【請求項11】
前記ベース部は、
前記ワイヤーハーネスを挟んで前記カバー部に対向する底部と、
前記底部における前記長手方向に直交する方向の端部から前記カバー部へ向けて立設した一対の側壁部とで、断面凹形状に形成され、
前記カバー部は、
前記ベース部の開口を閉塞した状態において、前記一対の側壁部のうち、少なくとも一方の側壁部に重なり合う重合部が設けられた
請求項10に記載のシールド外装部材。
【請求項12】
前記外装本体は、
前記ベース部に対して前記カバー部を枢動可能に連結する枢動部が備えられた
請求項10又は請求項11に記載のシールド外装部材。
【請求項13】
前記ベース部は、
前記ワイヤーハーネスを挟んで前記カバー部に対向する底部と、
該底部における長手方向に直交する方向の端部から前記カバー部へ向けて立設した一対の側壁部とで、断面凹形状に形成され、
前記外装本体は、
一方の前記側壁部に対して前記カバー部を枢動自在に連結する枢動部と、
他方の前記側壁部に枢動自在に連設され、前記外装本体の内部で前記カバー部に重合する重合部とが備えられた
請求項10に記載のシールド外装部材。
【請求項14】
一端を前記シールド部材に接続し、他端を接地極に接続する導通部材が設けられた
請求項1に記載のシールド外装部材。
【請求項15】
前記シールド部材は、
前記外装本体における長手方向の端部開口から露出する
請求項1に記載のシールド外装部材。
【請求項16】
請求項1に記載のシールド外装部材と、
該シールド外装部材の内部に挿通されたワイヤーハーネスとが備えられた
外装部材付ワイヤーハーネス。
【請求項17】
前記ワイヤーハーネスにおける長手方向の先端に、接続対象物に電気的に接続するコネクタが設けられ、
該コネクタの一部が、前記外装本体の内部に収容された
請求項16に記載の外装部材付ワイヤーハーネス。
【請求項18】
前記ワイヤーハーネスにおける長手方向の先端に、接続対象物に電気的に接続するコネクタが設けられ、
前記外装本体における長手方向の端部が、前記コネクタの内部に挿入された
請求項16に記載の外装部材付ワイヤーハーネス。
【請求項19】
樹脂製シート材で構成された外装本体の表面に、シールド部材を積層して固定する固定工程と、
前記外装本体を、内部にワイヤーハーネスを挿通可能な筒状に成形する本体成形工程とを行う
シールド外装部材の製造方法。
【請求項20】
前記固定工程は、
前記外装本体に対して前記シールド部材を接着固定する工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【請求項21】
前記固定工程は、
前記外装本体に前記シールド部材を重ね合わせ、別体構成の係合部材を、前記シールド部材側から前記外装本体に係合する工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【請求項22】
前記固定工程は、
前記外装本体に設けた挟持部に、前記シールド部材を挟み込んで固定する工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【請求項23】
前記固定工程は、
樹脂製シート材によって構成され、前記シールド部材を保護する保護部材を、前記外装本体の内部に収容し、前記外装本体とで前記シールド部材を挟み込んで固定する工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【請求項24】
前記固定工程は、
前記外装本体に対して前記シールド部材を超音波溶接する工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【請求項25】
前記固定工程は、
前記外装本体に対して、熱可塑性を有する前記シールド部材を重ね合わせるとともに、前記シールド部材を加熱して熱溶着する工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【請求項26】
前記固定工程は、
前記シールド部材を重ね合わせた前記外装本体に対して、前記シールド部材側から針状治具を複数個所に突き刺して、前記シールド部材に前記外装本体の内部へ向けて突設する内部係止部を形成するとともに、該内部係止部を前記外装本体の内部に係止させる工程である
請求項19に記載のシールド外装部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばワイヤーハーネスを外装本体の内部に挿通するシールド外装部材、外装部材付ワイヤーハーネス、及びシールド外装部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両では、電源と電気機器類などとを、複数の電線を束ねたワイヤーハーネスを用いて電気的に接続している。このワイヤーハーネスは、筒状の外装部材の内部に挿通して、所望される配索経路に位置規制するとともに、周辺部品との接触を防止している。
【0003】
例えば、特許文献1では、熱可塑性樹脂発泡シート材を折り目に沿って折り曲げて、断面略矩形の筒状体に成形した外装部材に対して、ワイヤーハーネスを挿通することで、重量の増加を抑えて、ワイヤーハーネスを位置規制するとともに、周辺部品との接触を防止している。
【0004】
ところで、昨今、自動車などの車両では、インバータなどの高電圧機器、乗員に各種情報を提供する情報機器、あるいは外部と無線通信する通信機器など、電磁ノイズを発生させ易い電気機器が増加するとともに、これらを接続するワイヤーハーネスも増加している。
【0005】
このため、電気機器の近傍を通るようにワイヤーハーネスを配索する場合、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器で発生した電磁ノイズからワイヤーハーネスを部分的に保護する必要がある。
しかしながら、特許文献1の外装部材ではシールド性能を期待できないため、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを部分的に保護したいというニーズに対応できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-153377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを保護できるシールド外装部材、外装部材付ワイヤーハーネス、及びシールド外装部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、樹脂製シート材で構成され、内部にワイヤーハーネスを挿通する筒状の外装本体と、前記外装本体の周面に積層されたシールド部材とが備えられたシールド外装部材であることを特徴とする。
上記外装本体は、断面略矩形の筒状体、断面略多角形の筒状体、あるいは断面略円形の筒状体のことをいう。
【0009】
上記外装本体の周面に積層されたとは、外装本体の外周面に積層、または外装本体の内周面に積層、あるいは外装本体の外周面及び内周面に積層されていることをいう。
さらに、外装本体の周面に積層されたとは、シールド部材が外装本体に密着している状態の他、シールド部材が部分的に外装本体から離間している状態を含むものである。
【0010】
この発明によれば、樹脂製シート材によって構成された外装本体の周面にシールド部材が積層されているため、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスをシールド部材で囲繞することができる。
よって、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを保護することができる。
【0011】
この発明の態様として、前記シールド部材を保護する保護部材が備えられ、前記シールド部材が、前記外装本体と前記保護部材との間に配置されてもよい。
この構成によれば、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスあるいは周辺部品との接触によってシールド部材が損傷することを防止できる。これにより、シールド外装部材は、安定したシールド性能を確保することができる。
【0012】
またこの発明の態様として、前記保護部材は、樹脂製シート材で構成されてもよい。
上記樹脂シート材は、外装本体を構成する樹脂製シート材と同一の樹脂製シート材、または外装本体を構成する樹脂製シート材とは異なる樹脂製シート材のことをいう。
この構成によれば、シールド外装部材は、例えば金属製の保護部材に比べて重量増加を抑えて、シールド部材を保護することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記シールド部材が、シート状であってもよい。
上記シート状とは、薄肉板状、あるいは薄膜状のことをいう。
この構成によれば、シールド外装部材は、シールド部材を外装本体の周面に容易に密着させることができるため、シールド部材を外装本体に確実に積層することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記シールド部材を前記外装本体に固定する固定部が備えられてもよい。
上記シールド部材を外装本体に固定するとは、粘着によって固定する、接着によって固定する、係合によって固定する、挟持によって固定する、あるいは溶着によって固定することなどをいう。
【0015】
この構成によれば、シールド部材を外装本体に固定できるため、シールド外装部材は、シールド部材が外装本体に積層された状態を安定して維持することができる。
これにより、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスを確実に囲繞できるため、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを安定して保護することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記固定部は、前記外装本体と前記シールド部材との間に形成した接着層で構成されてもよい。
この構成によれば、シールド外装部材は、簡素な構成でシールド部材を外装本体に固定することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記固定部は、前記外装本体とは別体構成され、前記外装本体への係合によって前記シールド部材を固定する係合部材で構成されてもよい。
上記係合するとは、外装本体に設けた係合孔に係合する、外装本体に突き刺すように係合するなどのことをいう。
【0018】
この構成によれば、シールド外装部材は、係合部材の外装本体への係合によって、シールド部材を外装本体に固定することができる。
このため、例えばシールド部材を外装本体に接着固定する場合に比べて、シールド外装部材は、シールド部材を外装本体に容易に、かつ強固に固定することができる。
これにより、シールド外装部材は、シールド部材が外装本体に積層された状態をより安定して維持することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記固定部は、前記外装本体とで前記シールド部材を挟持する挟持部で構成されてもよい。
上記挟持部は、外装本体に一体構成された挟持部、または外装本体とは別体構成された挟持部のことをいう。
【0020】
この構成によれば、シールド外装部材は、シールド部材を挟持部に挟持させるだけで、シールド部材を外装本体に固定することができる。
【0021】
このため、例えばシールド部材を外装本体に接着固定する場合に比べて、シールド外装部材は、シールド部材を外装本体に容易に、かつ強固に固定することができる。
これにより、シールド外装部材は、シールド部材が外装本体に積層された状態をより安定して維持することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記シールド部材は、前記外装本体へ向けて突設され、前記外装本体の内部に係止固定される内部係止部が設けられ、前記固定部は、前記内部係止部で構成されてもよい。
【0023】
この構成によれば、シールド外装部材は、シールド部材の内部係止部によってシールド部材を外装本体に固定することができる。
これにより、シールド外装部材は、外装本体及びシールド部材とは別体の固定部を不要にできるため、重量増加を抑えてシールド部材を外装本体に固定することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記外装本体は、前記ワイヤーハーネスの長手方向に沿って延びる断面凹形状のベース部と、前記断面凹形状の開口を覆うカバー部とで構成されてもよい。
上記断面凹形状とは、例えば断面略門型、断面略半円弧状、断面略U字状、断面略V字状などのことをいう。
【0025】
この構成によれば、ベース部の開口を介してワイヤーハーネスを内部に挿通できるため、シールド外装部材は、例えば既設のワイヤーハーネスに対して容易に装着することができる。
【0026】
さらに、ベース部の開口がカバー部によって閉塞されるため、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスをシールド部材で確実に囲繞することができる。
これにより、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスへの組付け性を損なうことなく、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを保護することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記ベース部は、前記ワイヤーハーネスを挟んで前記カバー部に対向する底部と、前記底部における前記長手方向に直交する方向の端部から前記カバー部へ向けて立設した一対の側壁部とで、断面凹形状に形成され、前記カバー部は、前記ベース部の開口を閉塞した状態において、前記一対の側壁部のうち、少なくとも一方の側壁部に重なり合う重合部が設けられてもよい。
【0028】
この構成によれば、カバー部がベース部の開口を閉塞した状態において、カバー部の重合部がベース部の側壁部に重なり合うため、外装本体は、内部への異物の侵入を抑えることができる。
【0029】
さらに、例えばシールド部材を外装本体の内周面に積層した場合、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスをシールド部材で隙間なく囲繞できるため、外装本体がベース部とカバー部とで構成された場合であっても、安定したシールド性能を確保することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記外装本体は、前記ベース部に対して前記カバー部を枢動可能に連結する枢動部が備えられてもよい。
この構成によれば、シールド外装部材は、ベース部とは別体のカバー部に比べて、ベース部の開口を容易に閉塞することができる。このため、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスに対する組付け性を向上することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記ベース部は、前記ワイヤーハーネスを挟んで前記カバー部に対向する底部と、該底部における長手方向に直交する方向の端部から前記カバー部へ向けて立設した一対の側壁部とで、断面凹形状に形成され、前記外装本体は、一方の前記側壁部に対して前記カバー部を枢動自在に連結する枢動部と、他方の前記側壁部に枢動自在に連設され、前記外装本体の内部で前記カバー部に重合する重合部とが備えられてもよい。
【0032】
この構成によれば、カバー部がベース部の開口を閉塞した状態において、カバー部が重合部に重なり合うため、外装本体は、内部への異物の侵入を抑えることができる。
【0033】
さらに、例えばシールド部材を外装本体の内周面に積層した場合、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスをシールド部材で隙間なく囲繞できるため、外装本体がベース部とカバー部とで構成された場合であっても、安定したシールド性能を確保することができる。
【0034】
またこの発明の態様として、一端を前記シールド部材に接続し、他端を接地極に接続する導通部材が設けられてもよい。
この構成によれば、シールド外装部材は、シールド部材が吸収した電磁ノイズを、導通部材を介して接地極に伝播して除去することができる。このため、シールド外装部材は、さらに安定したシールド性能を確保することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記シールド部材は、前記外装本体における長手方向の端部開口から露出してもよい。
この構成によれば、シールド外装部材は、外装本体から露出したシールド部材でワイヤーハーネスを囲繞することで、電磁ノイズが外装本体の端部開口から外部に漏出すること、及び電磁ノイズが外装本体の端部開口から内部に侵入することを防止できる。
これにより、シールド外装部材は、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスをより確実に保護することができる。
【0036】
またこの発明は、上述したシールド外装部材と、該シールド外装部材の内部に挿通されたワイヤーハーネスとが備えられた外装部材付ワイヤーハーネスであることを特徴とする。
この発明によれば、シールド外装部材のシールド部材により、外装部材付ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを保護することができる。
【0037】
この発明の態様として、前記ワイヤーハーネスにおける長手方向の先端に、接続対象物に電気的に接続するコネクタが設けられ、該コネクタの一部が、前記外装本体の内部に収容されてもよい。
【0038】
この構成によれば、コネクタの一部が外装本体の内部に収容されるため、外装部材付ワイヤーハーネスは、コネクタとの接続箇所近傍で発生した電磁ノイズの漏出を防止するとともに、ワイヤーハーネスとコネクタとの接続箇所近傍を電磁ノイズから保護することができる。
【0039】
さらに、ワイヤーハーネスとコネクタとの接続箇所をシールド外装部材が支持するため、外装部材付ワイヤーハーネスは、コネクタの近傍におけるワイヤーハーネスの意図しない折れ曲がりを防止することができる。
【0040】
またこの発明の態様として、前記ワイヤーハーネスにおける長手方向の先端に、接続対象物に電気的に接続するコネクタが設けられ、前記外装本体における長手方向の端部が、前記コネクタの内部に挿入されてもよい。
【0041】
この構成によれば、外装本体における長手方向の端部がコネクタの内部に挿入されるため、外装部材付ワイヤーハーネスは、コネクタとの接続箇所近傍で発生した電磁ノイズの漏出を防止するとともに、ワイヤーハーネスとコネクタとの接続箇所近傍を電磁ノイズから保護することができる。
【0042】
またこの発明は、樹脂製シート材で構成された外装本体の表面に、シールド部材を積層して固定する固定工程と、前記外装本体を、内部にワイヤーハーネスを挿通可能な筒状に成形する本体成形工程とを行うシールド外装部材の製造方法であることを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、外装本体にシールド部材を積層できるため、シールド外装部材の製造方法は、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを保護するシールド外装部材を提供することができる。
【0044】
この発明の態様として、前記固定工程は、前記外装本体に対して前記シールド部材を接着固定する工程であってもよい。
この構成によれば、シールド部材を外装本体に容易に固定することができる。
【0045】
またこの発明の態様として、前記固定工程は、前記外装本体に前記シールド部材を重ね合わせ、別体構成の係合部材を、前記シールド部材側から前記外装本体に係合する工程であってもよい。
この構成によれば、係合部材の外装本体への係合に伴って、シールド部材を外装本体に容易に固定することができる。
【0046】
またこの発明の態様として、前記固定工程は、前記外装本体に設けた挟持部に、前記シールド部材を挟み込んで固定する工程であってもよい。
この構成によれば、シールド部材を挟持部に挟持させるだけで、シールド部材を外装本体に容易に固定することができる。
【0047】
またこの発明の態様として、前記固定工程は、樹脂製シート材によって構成され、前記シールド部材を保護する保護部材を、前記外装本体の内部に収容し、前記外装本体とで前記シールド部材を挟み込んで固定する工程であってもよい。
この構成によれば、保護部材の収容に伴って、シールド部材を外装本体に固定することができる。
【0048】
またこの発明の態様として、前記固定工程は、前記外装本体に対して前記シールド部材を超音波溶接する工程であってもよい。
この構成によれば、シールド部材を外装本体に容易に固定することができる。
【0049】
またこの発明の態様として、前記固定工程は、前記外装本体に対して、熱可塑性を有する前記シールド部材を重ね合わせるとともに、前記シールド部材を加熱して熱溶着する工程であってもよい。
この構成によれば、シールド部材を外装本体に容易に固定することができる。
【0050】
またこの発明の態様として、前記固定工程は、前記シールド部材を重ね合わせた前記外装本体に対して、前記シールド部材側から針状治具を複数個所に突き刺して、前記シールド部材に前記外装本体の内部へ向けて突設する内部係止部を形成するとともに、該内部係止部を前記外装本体の内部に係止させる工程であってもよい。
【0051】
この構成によれば、シールド部材の内部係止部が外装本体に係止されるため、例えば外装本体及びシールド部材とは別体の固定部を不要にできるとともに、重量増加を抑えてシールド部材を外装本体に固定することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により、ワイヤーハーネスで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、外部で生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスを保護できるシールド外装部材、外装部材付ワイヤーハーネス、及びシールド外装部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】上方側から見たプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
図2図1中のA-A矢視断面図。
図3】プロテクタの積層状態を示す断面斜視図。
図4】下方側から見たプロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図5】実施例2におけるシールド部材及び保護部材の固定構造の概略を示す断面図。
図6】固定工程の概略を説明する説明図。
図7】実施例3におけるシールド部材及び保護部材の固定構造の概略を示す断面斜視図。
図8】シールド部材及び保護部材の固定構造を示す断面図。
図9】上方側から見たプロテクタの分解状態を示す分解斜視図。
図10】実施例4におけるシールド部材及び保護部材の固定構造の概略を示す断面図。
図11】固定工程の概略を説明する説明図。
図12】実施例5におけるプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
図13図12中のB-B矢視断面図。
図14】プロテクタ本体が分離した状態を示す外観斜視図。
図15】長手方向に沿った縦断面におけるコネクタ近傍の断面を示す断面図。
図16】保護部材の外観を示す外観斜視図。
図17】固定工程の概略を説明する説明図。
図18】別の実施形態におけるプロテクタ本体の断面を示す断面図。
図19】別の実施形態における固定構造の概略を説明する説明図。
図20】別の実施形態におけるプロテクタ付ワイヤーハーネスの外観を示す外観斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0054】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0055】
実施例1では、ワイヤーハーネスWをプロテクタ10の内部に挿通したプロテクタ付ワイヤーハーネス1について、図1から図4を用いて説明する。
なお、図1は上方側から見たプロテクタ付ワイヤーハーネス1の外観斜視図を示し、図2図1中のA-A矢視断面図を示し、図3はプロテクタ10の積層状態の断面斜視図を示し、図4は下方側から見たプロテクタ10の分解斜視図を示している。
【0056】
さらに、図2中において、図示を明確にするため、ワイヤーハーネスWを二点鎖線で図示するとともに、開いた状態のカバー部112を二点鎖線で図示している。
また、図1中の上側を上方とし、図1中の下側を下方として、図中の矢印Xは、平面視におけるプロテクタ10の長手方向(以下、長手方向Xと呼ぶ)を示している。さらに、図中の矢印Yは、長手方向Xに対して平面視略直交する方向(以下、幅方向Yと呼ぶ)を示している。
【0057】
実施例1のプロテクタ付ワイヤーハーネス1は、図1に示すように、長手方向Xに沿って延びるワイヤーハーネスWと、ワイヤーハーネスWを内部に挿通したプロテクタ10とを備えている。
【0058】
まず、ワイヤーハーネスWは、例えば電源と電気機器を電気的に接続する複数の電線(図示省略)を束ねて構成されている。このワイヤーハーネスWは、プロテクタ10の内部に挿通されることで、保護されるとともに、配索経路が規制されている。
【0059】
また、プロテクタ10は、図1及び図2に示すように、長手方向Xに延びる内部空間10XにワイヤーハーネスWが挿通された略筒状のプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の内周面に積層されたシールド部材12とを備えている。
【0060】
さらに、プロテクタ10は、図2及び図3に示すように、シールド部材12に積層された保護部材13と、一端がシールド部材12に接続されたアース線14とを備えている。
加えて、プロテクタ10は、図3に示すように、プロテクタ本体11とシールド部材12との間に介在するシールド接着層15と、シールド部材12と保護部材13との間に介在する保護接着層16とを備えている。
【0061】
プロテクタ10のプロテクタ本体11は、図1及び図2に示すように、長手方向Xに延びる断面略矩形の筒状であって、熱可塑性樹脂発泡シートで構成されている。このプロテクタ本体11の内部空間10Xは、ワイヤーハーネスWを収容する空間として形成されている。
なお、プロテクタ本体11は、例えば外周面に巻き回した粘着テープ2によって、断面矩形の筒状の状態を維持している。
【0062】
詳述すると、プロテクタ本体11は、図2及び図4に示すように、所定方向に長い平板状の熱可塑性樹脂発泡シートを、所定方向に延びる切れ込みである折り目11aに沿って山折りして、所定方向に延びる断面矩形の筒状に成形している。
【0063】
ここで、プロテクタ本体11を構成する熱可塑性樹脂発泡シートについて詳述する。熱可塑性樹脂発泡シートの密度は、特に限定されないが、例えば、機械的特性の異方性を防止、すなわち、機械的特性を等方化して、プロテクタ本体11の設計の自由度を向上させ、また、プロテクタ本体11に収容されたワイヤーハーネスWへの応力に対する強度をより向上させる点から、200Kg/m以上1000Kg/m以下が好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300Kg/m以上600Kg/m以下がより好ましく、350Kg/m以上550Kg/m以下が特に好ましい。
【0064】
プロテクタ本体11を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの厚さは、特に限定されないが、例えば、折り曲げ容易性と機械的強度、特に、プロテクタ本体11に収容されたワイヤーハーネスWへの応力に対する機械的強度とのバランスをより向上させる点から、0.50mm以上4.0mm以下が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下が特に好ましい。
【0065】
また、熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に、非発泡層が形成されていてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡層と該発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、プロテクタ本体11の機械的強度が向上して、収容されるワイヤーハーネスWの保護性能がより向上する。非発泡層の厚さは、特に限定されず、例えば、10μm以上100μm以下が挙げられる。
【0066】
また、プロテクタ本体11を構成する熱可塑性樹脂発泡シートの発泡層の気泡数密度は、特に限定されず、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、800個/mm以上が好ましく、1000個/mm以上が特に好ましい。一方で、上述の気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度をより確実に得る点から、例えば、1010個/mm以下を挙げることができる。
【0067】
このような熱可塑性樹脂発泡シートで形成されたプロテクタ本体11は、図2に示すように、上方が開口した断面略凹形状のベース部111と、ベース部111の開口を閉塞するカバー部112と、ベース部111に対してカバー部112を枢動自在に連結する枢動部113とを備えている。
【0068】
具体的には、プロテクタ本体11のベース部111は、図2に示すように、ワイヤーハーネスWを挟んでカバー部112に対向する底部111aと、底部111aにおける幅方向Yの両端から上方へ向けて立設された一対の側壁部111bとで、上方が開口した断面略凹形状に形成されている。
【0069】
このベース部111は、図4に示すように、平板状に展開した展開状態のプロテクタ本体11において、一対の側壁部111bが底部111aにおける幅方向Yの両端にそれぞれ連設されている。
なお、側壁部111bと底部111aとの境界には、折り目11aが形成されている。
【0070】
そして、ベース部111は、図2及び図4に示すように、底部111aの厚み方向が上下方向となり、一対の側壁部111bの厚み方向が幅方向Yとなるように、展開状態のプロテクタ本体11を折り目11aに沿って山折りして形成している。
【0071】
また、プロテクタ本体11のカバー部112は、図2に示すように、ベース部111の上方の開口を閉塞するカバー本体112aと、カバー本体112aにおける幅方向Yの一端から下方へ向けて垂設され、ベース部111の一方の側壁部111bに幅方向Yで重合する重合部112bとを備えている。
【0072】
このカバー部112は、図4に示すように、展開状態のプロテクタ本体11において、カバー本体112aが他方の側壁部111bにおける幅方向Yの一端に枢動部113を介して連設され、重合部112bがカバー本体112aにおける幅方向Yの他端に連設されている。
なお、カバー本体112aと側壁部111bとの境界、及びカバー本体112aと重合部112bとの境界には、折り目11aが形成されている。
【0073】
そして、カバー部112は、図2及び図4に示すように、ベース部111の上方の開口を閉塞した状態において、カバー本体112aの厚み方向が上下方向となり、重合部112bの厚み方向が幅方向Yとなるように、展開状態のプロテクタ本体11を折り目11aに沿って山折りして形成している。
【0074】
また、プロテクタ本体11の枢動部113は、図2に示すように、ベース部111の他方の側壁部111bとカバー部112のカバー本体112aとを枢動可能に連結している。この枢動部113は、展開状態における他方の側壁部111bとカバー本体112aとの境界に設けた折り目11aに沿って山折りした部分で構成されている。
【0075】
また、プロテクタ10のシールド部材12は、導電性及び可撓性を有する薄肉シート状の部材で構成され、プロテクタ本体11の内部に挿通されたワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、プロテクタ本体11の内部に挿通されたワイヤーハーネスWを電気機器などで生じた電磁ノイズから保護している。なお、シールド部材12としては、例えばアルミ箔、銅箔、あるいは導電布などである。
【0076】
このシールド部材12は、図4に示すように、展開状態におけるプロテクタ本体11に対して、長手方向Xの長さが長く、幅方向Yの長さが略同じシート状に形成されている。
そして、シールド部材12は、図2に示すように、筒状の状態のプロテクタ本体11に対して、ベース部111の内周面と、カバー本体112aの内周面と、側壁部111bに対向する重合部112bの面とに積層されている。
【0077】
具体的には、シールド部材12は、図2及び図4に示すように、プロテクタ本体11に積層されるシールド本体部12aと、プロテクタ本体11における長手方向Xの開口から露出するシールド露出部12b(図1参照)とを備えている。
【0078】
シールド部材12のシールド本体部12aは、底部111a、一対の側壁部111b、カバー本体112a、及び重合部112bを一体的に覆う大きさに形成され、プロテクタ本体11に積層されている。
【0079】
より詳しくは、シールド本体部12aは、図4に示すように、展開状態におけるプロテクタ本体11に略同じ長手方向Xの長さ、及び幅方向Yの長さを有する平面視略矩形に形成されている。このシールド本体部12aは、プロテクタ本体11の一方の主面に、後述するシールド接着層15介して貼付されている。
【0080】
一方、シールド部材12のシールド露出部12bは、図4に示すように、シールド本体部12aに略同じ幅方向Yの長さで、シールド本体部12aにおける長手方向Xの両端からそれぞれ延設されている。
【0081】
このシールド露出部12bは、図1に示すように、プロテクタ本体11の内部にワイヤーハーネスWが挿通された状態において、ワイヤーハーネスWを囲繞するとともに、長手方向Xの先端が粘着テープ2でワイヤーハーネスWに固定されている。
【0082】
また、プロテクタ10の保護部材13は、可撓性を有する薄肉シート状の樹脂製シート材で構成され、シールド部材12のシールド本体部12aに積層されることで、ワイヤーハーネスWとの接触からシールド部材12のシールド本体部12aを保護している。なお、保護部材13としては、例えばウレタンシート、あるいはビニールシートなどである。
【0083】
この保護部材13は、図4に示すように、展開状態におけるプロテクタ本体11に略同じ長手方向Xの長さ、及び幅方向Yの長さを有するシート状に形成されている。
そして、保護部材13は、図2及び図4に示すように、プロテクタ本体11とは逆側のシールド部材12の主面に、後述する保護接着層16を介して貼付されることで、シールド部材12を介してプロテクタ本体11に積層されている。
【0084】
また、プロテクタ10のアース線14は、図3に示すように、導体14aを絶縁被覆14bで被覆した電線である。このアース線14は、図3に示すように、一端がシールド部材12に電気的に接合され、他端が図示を省略した接地極に接続されている。
【0085】
具体的には、アース線14は、図3に示すように、絶縁被覆14bの一端から露出させた導体14aが、シールド部材12のシールド本体部12aに電気的に接合されている。このため、アース線14は、図1に示すように、筒状のプロテクタ本体11の内部空間10Xから導出されるように配置されている。
【0086】
また、プロテクタ10のシールド接着層15は、図3に示すように、プロテクタ本体11に対してシールド部材12を固定する固定部であって、プロテクタ本体11にシールド部材12を貼付する接着剤によって形成されている。
【0087】
また、プロテクタ10の保護接着層16は、図3に示すように、シールド部材12に対して保護部材13を固定する固定部であって、シールド部材12に保護部材13を貼付する接着剤によって形成されている。
【0088】
次に、上述した構成のプロテクタ付ワイヤーハーネス1における組付け工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11にシールド部材12及び保護部材13を積層して固定する固定工程として、展開状態のプロテクタ本体11の上面に対して、シールド接着層15を形成する接着剤を塗布する。
【0089】
その後、作業者または組付け装置は、予めアース線14を接合したシールド部材12のシールド本体部12aを、プロテクタ本体11の上面に塗布した接着剤を介してプロテクタ本体11の上面に貼付して、プロテクタ本体11にシールド部材12を積層する。
【0090】
シールド部材12を積層すると、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11に積層したシールド部材12のシールド本体部12aに保護接着層16を形成する接着剤を塗布したのち、保護部材13をシールド本体部12aに貼付して、シールド部材12に保護部材13を積層する。
【0091】
そして、プロテクタ本体11の上面に塗布した接着剤が硬化してシールド接着層15が形成され、シールド部材12に塗布した接着剤が硬化して保護接着層16が形成されることによって、プロテクタ本体11の上面にシールド部材12及び保護部材13が固定される。
【0092】
固定工程を完了すると、作業者または組付け装置は、シールド部材12及び保護部材13が積層された展開状態のプロテクタ本体11を、ワイヤーハーネスWを内部に挿通可能な筒状に成形する本体成形工程を開始する。
【0093】
本体成形工程を開始すると、作業者または組付け装置は、シールド部材12及び保護部材13を貼付した上面が内周面となるように、展開状態におけるプロテクタ本体11を折り目11aに沿って山折りしてベース部111を成形する。
【0094】
具体的には、作業者または組付け装置は、底部111aに対して一対の側壁部111bを起立させるように、プロテクタ本体11を折り目11aに沿って山折りして、ベース部111を成形する。
ベース部111を成形すると、作業者または組付け装置は、ベース部111の開口からワイヤーハーネスWを挿通して、ベース部111の内部にワイヤーハーネスWを収容する。
【0095】
ワイヤーハーネスWをベース部111に収容すると、作業者または組付け装置は、側壁部111bに対してカバー本体112aを折り目11aに沿って山折りして枢動部113を成形するとともに、カバー本体112aに対して重合部112bを折り目11aに沿って山折りしてカバー部112を成形する。
【0096】
さらに、作業者または組付け装置は、枢動部113を中心にカバー部112を回動して、ベース部111の開口を閉塞する。
その後、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11の外周面に粘着テープ2を巻き回して、ベース部111にカバー部112を固定し筒状のプロテクタ10を構成する。
【0097】
プロテクタ10を構成すると、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11から露出したシールド部材12のシールド露出部12bでワイヤーハーネスWを囲繞したのち、シールド露出部12bの先端を粘着テープ2でワイヤーハーネスWに固定する。
このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ付ワイヤーハーネス1の組付け作業を完了する。
【0098】
以上のように、実施例1のプロテクタ10は、熱可塑性樹脂発泡シートで構成され、内部にワイヤーハーネスWを挿通する筒状のプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の内周面に積層されたシールド部材12とが備えられている。
また、実施例1のプロテクタ付ワイヤーハーネス1は、上述したプロテクタ10と、プロテクタ10の内部に挿通されたワイヤーハーネスWとが備えられている。
【0099】
この構成によれば、熱可塑性樹脂発泡シートによって構成されたプロテクタ本体11の内周面にシールド部材12が積層されているため、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWをシールド部材12で囲繞することができる。
よって、プロテクタ10及びプロテクタ付ワイヤーハーネス1は、ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器などで生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWを保護することができる。
【0100】
また、シールド部材12を保護する保護部材13が備えられ、シールド部材12が、プロテクタ本体11と保護部材13との間に配置されているため、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWとの接触によってシールド部材12が損傷することを防止できる。これにより、プロテクタ10は、安定したシールド性能を確保することができる。
【0101】
また、保護部材13が樹脂製シート材で構成されているため、プロテクタ10は、例えば金属製の保護部材に比べて重量増加を抑えて、シールド部材12を保護することができる。
【0102】
また、シールド部材12がシート状であるため、プロテクタ10は、シールド部材12をプロテクタ本体11の周面に容易に密着させることができる。このため、プロテクタ10は、シールド部材12をプロテクタ本体11に確実に積層することができる。
【0103】
また、シールド部材12をプロテクタ本体11に固定するシールド接着層15が備えられているため、プロテクタ10は、シールド部材12がプロテクタ本体11に積層された状態を安定して維持することができる。
これにより、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWを確実に囲繞できるため、ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器などで生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWを安定して保護することができる。
【0104】
また、プロテクタ本体11とシールド部材12とをシールド接着層15で固定しているため、プロテクタ10は、簡素な構成でシールド部材12をプロテクタ本体11に固定することができる。
【0105】
また、プロテクタ本体11は、ワイヤーハーネスWの長手方向に沿って延びる断面凹形状のベース部111と、断面凹形状の開口を覆うカバー部112とで構成されている。
この構成によれば、ベース部111の開口を介してワイヤーハーネスWを内部に挿通できるため、プロテクタ10は、例えば既設のワイヤーハーネスWに対して容易に装着することができる。
【0106】
さらに、ベース部111の開口がカバー部112によって閉塞されるため、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWをシールド部材12で確実に囲繞することができる。
これにより、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWへの組付け性を損なうことなく、ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器などで生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWを保護することができる。
【0107】
また、ベース部111は、ワイヤーハーネスWを挟んでカバー部112に対向する底部111aと、底部111aにおける幅方向Yの端部からカバー部112へ向けて立設した一対の側壁部111bとで、断面凹形状に形成されている。
一方、カバー部112は、ベース部111の開口を閉塞した状態において、一方の側壁部111bに重なり合う重合部112bが設けられている。
【0108】
この構成によれば、カバー部112がベース部111の開口を閉塞した状態において、カバー部112の重合部112bがベース部111の側壁部111bに重なり合うため、プロテクタ本体11は、内部への異物の侵入を抑えることができる。
【0109】
さらに、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWをシールド部材12で隙間なく囲繞できるため、プロテクタ本体11がベース部111とカバー部112とで構成された場合であっても、安定したシールド性能を確保することができる。
【0110】
また、プロテクタ本体11に、ベース部111に対してカバー部112を枢動可能に連結する枢動部113が備えられているため、プロテクタ10は、ベース部111とは別体のカバー部に比べて、ベース部111の開口を容易に閉塞することができる。このため、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWに対する組付け性を向上することができる。
【0111】
さらに、熱可塑性樹脂発泡シートを折り目11aに沿って山折りした部分で枢動部113を構成し、カバー部112を枢動部113に連結しているため、プロテクタ10は、カバー部が別体の場合に比べて、部品点数を低減することができる。
【0112】
また、一端をシールド部材12に接続し、他端を接地極に接続するアース線14が設けられているため、プロテクタ10は、シールド部材12が吸収した電磁ノイズを、アース線14を介して接地極に伝播して除去することができる。このため、プロテクタ10は、さらに安定したシールド性能を確保することができる。
【0113】
また、シールド部材12が、プロテクタ本体11における長手方向Xの端部開口から露出しているため、プロテクタ10は、プロテクタ本体11から露出したシールド部材12でワイヤーハーネスWを囲繞することで、電磁ノイズがプロテクタ本体11の端部開口から外部に漏出すること、及び電磁ノイズがプロテクタ本体11の端部開口から内部に侵入することを防止できる。
これにより、プロテクタ10は、ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器などで生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWをより確実に保護することができる。
【0114】
また実施例1のプロテクタ10の製造方法は、熱可塑性樹脂発泡シートで構成されたプロテクタ本体11の表面に、シールド部材12を積層して固定する固定工程と、プロテクタ本体11を、内部にワイヤーハーネスWを挿通可能な筒状に成形する本体成形工程とを行う。
【0115】
この構成によれば、プロテクタ本体11にシールド部材12を積層できるため、プロテクタ10の製造方法は、ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器などで生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWを保護するプロテクタ10を提供することができる。
【0116】
また、固定工程が、プロテクタ本体11に対してシールド部材12を接着固定する工程であるため、プロテクタ10の製造方法は、シールド部材12をプロテクタ本体11に容易に固定することができる。
【実施例0117】
実施例2のプロテクタ10は、上述した実施例1に対して、シールド部材12及び保護部材13の固定構造が異なる。このような実施例2のプロテクタ10について、図5及び図6を用いて説明する。
なお、図5は実施例2におけるシールド部材12及び保護部材13の固定構造の断面図を示している。
【0118】
さらに、図6は固定工程の概略を説明する説明図であり、図6(a)はプロテクタ本体11にシールド部材12及び保護部材13を重ね合わせた状態におけるプロテクタ10の断面図を示し、図6(b)は係合部材17をプロテクタ本体11に挿通開始した状態におけるプロテクタ10の断面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0119】
実施例2のプロテクタ10は、図5に示すように、熱可塑性樹脂発泡シートで構成されたプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の内周面に積層したシールド部材12及び保護部材13と、シールド部材12及び保護部材13を係合によってプロテクタ本体11に固定する係合部材17とを備えている。
【0120】
詳述すると、プロテクタ10のプロテクタ本体11は、図5に示すように、係合部材17が係合する複数の係合孔114を備えている。なお、詳細な図示を省略するが、係合孔114は、平面視略円形状の貫通孔に形成されている。
【0121】
この係合孔114は、図6(a)に示すように、シールド部材12及び保護部材13が積層されるプロテクタ本体11の上面側に位置する大径の大径部114aと、プロテクタ本体11の下面側に位置し、大径部114aよりも小径の小径部114bとで構成されている。
【0122】
また、プロテクタ10のシールド部材12及び保護部材13は、図5に示すように、プロテクタ本体11と係合部材17とで挟持されるように、プロテクタ本体11に固定されている。
また、プロテクタ10の係合部材17は、図5及び図6(a)に示すように、係合孔114の大径部114aに収容される頭部171と、係合孔114の小径部141bに係合する軸部172とで構成されている。
【0123】
この係合部材17の軸部172は、図5及び図6(a)に示すように、係合孔114の大径部114aよりも小径、かつ係合孔114の小径部114bよりも僅かに大径で、軸方向に沿った縦断面における断面形状が断面逆ツリー形状の略柱状体に形成されている。この軸部172における周面の凹凸は、小径部114bに係合する係合部分172aとして形成されている。
【0124】
次に、上述した構成のプロテクタ10における固定工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、図6(a)に示すように、展開状態におけるプロテクタ本体11の上面に対して、シールド部材12及び保護部材13をこの順番で重ね合わせて積層する。
【0125】
その後、作業者または組付け装置は、シールド部材12及び保護部材13が積層されたプロテクタ本体11の係合孔114に対して、係合部材17を挿入する。
この際、係合部材17の軸部172は、図6(b)に示すように、シールド部材12及び保護部材13を突き破りながら、係合孔114の小径部114bに挿入される。
【0126】
係合孔114に係合部材17をさらに挿入すると、係合部材17の軸部172は、係合部分172aがプロテクタ本体11に係合開始する。
そして、係合部材17の頭部171が係合孔114の大径部114aに収容されると、作業者または組付け装置は、係合孔114への係合部材17の挿入を完了する。
【0127】
この際、係合部材17は、図5に示すように、頭部171がプロテクタ本体11とでシールド部材12及び保護部材13を挟持し、軸部172がプロテクタ本体11の内部に係合する。
このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11にシールド部材12及び保護部材13に積層して固定する。
【0128】
以上のように、実施例2のプロテクタ10は、プロテクタ本体11とは別体構成された係合部材17が、プロテクタ本体11に係合することによってシールド部材12を固定することができる。
これにより、例えばシールド部材12をプロテクタ本体11に接着固定する場合に比べて、プロテクタ10は、シールド部材12をプロテクタ本体11に容易に、かつ強固に固定することができる。
よって、プロテクタ10は、シールド部材12がプロテクタ本体11に積層された状態をより安定して維持することができる。
【0129】
また、実施例2の固定工程が、プロテクタ本体11にシールド部材12を重ね合わせ、別体構成の係合部材17を、シールド部材12側からプロテクタ本体11に係合する工程であるため、プロテクタ10の製造方法は、係合部材17のプロテクタ本体11への係合に伴って、シールド部材12をプロテクタ本体11に容易に固定することができる。
【実施例0130】
実施例3のプロテクタ10は、上述した実施例1に対して、シールド部材12及び保護部材13の固定構造が異なる。このような実施例3のプロテクタ10について、図7から図9を用いて説明する。
【0131】
なお、図7は実施例3におけるシールド部材12及び保護部材13の固定構造の断面斜視図を示し、図8はシールド部材12及び保護部材13の固定構造の断面図を示し、図9は上方側から見たプロテクタ10の分解斜視図を示している。
【0132】
また、図7及び図8中において、図示を明確にするため、プロテクタ本体11の底部111aと一方の側壁部111bのみを図示し、他方の側壁部111b及びカバー部112の図示を省略している。
【0133】
さらに、図9中において、図示を明確にするため、プロテクタ本体11の底部111aのみを図示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0134】
実施例3のプロテクタ10は、図7及び図8に示すように、熱可塑性樹脂発泡シートで構成されたプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の内周面に積層する複数のシールド部材12及び複数の保護部材13と、シールド部材12及び保護部材13を挟持によって固定する複数の挟持部材18とを備えている。
【0135】
なお、シールド部材12及び保護部材13は、実施例1とは異なり、プロテクタ本体11の底部111a、一対の側壁部111b、カバー本体112a、及び重合部112bごとに積層されている。
【0136】
詳述すると、プロテクタ10のシールド部材12は、図7から図9に示すように、導電性及び可撓性を有する薄肉シート状の部材であって、積層されるプロテクタ本体11の内周面に対して、長手方向Xの長さが略同じで、長手方向Xに直交する方向の長さが僅かに短い略矩形に形成されている。
【0137】
例えばシールド部材12は、図9に示すように、プロテクタ本体11における底部111aの内周面に対して、長手方向Xの長さが略同じで、幅方向Yの長さが僅かに短い大きさに形成されている。
【0138】
また、プロテクタ10の保護部材13は、図7から図9に示すように、可撓性を有する薄肉シート状の樹脂製シート材であって、積層されるシールド部材12に略同じ大きさの略矩形に形成されている。
例えば保護部材13は、図9に示すように、プロテクタ本体11の底部111aに積層されるシールド部材12に略同じ大きさに形成されている。
【0139】
また、プロテクタ10の挟持部材18は、図7から図9に示すように、プロテクタ本体11とは別体で構成され、例えばプロテクタ本体11の内周面となる一方の主面に接着によって固定されている。この挟持部材18は、図7及び図8に示すように、プロテクタ本体11の各内周面に対して、長手方向Xに直交する方向の両端に固定されている。
【0140】
具体的には、挟持部材18は、長手方向Xに延びる長尺形状であって、プロテクタ本体11の各内周面に2つ固定されている。この挟持部材18は、図8に示すように、幅方向Yに沿った縦断面において、プロテクタ本体11に固定する基部18aと、基部18aの一端から基部18aを跨ぐ略円弧状に延設された弾性を有する弾性片部18bとで構成されている。
【0141】
さらに、挟持部材18の弾性片部18bは、図8に示すように、プロテクタ本体11に固定された状態において、シールド部材12及び保護部材13をプロテクタ本体11とで挟持可能に形成されている。
【0142】
次に、上述した構成のプロテクタ10における組付け工程について、一例を用いて簡単に説明する。なお、展開状態におけるプロテクタ本体11には、予め挟持部材18が接着固定されている。
【0143】
作業者または組付け装置は、シールド部材12及び保護部材13をこの順番で重ね合わせる。その後、作業者または組付け装置は、展開状態におけるプロテクタ本体11の上面にシールド部材12が接するように、プロテクタ本体11と挟持部材18の弾性片部18bとの間に、シールド部材12及び保護部材13を挟み込む。
【0144】
そして、作業者または組付け装置は、全ての挟持部材18に対して、シールド部材12及び保護部材13を挟み込んで挟持させる。
このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11にシールド部材12及び保護部材13を積層して固定する。
【0145】
以上のように、実施例3のプロテクタ10は、固定部が、プロテクタ本体11とでシールド部材12を挟持する挟持部材18で構成されているため、シールド部材12を挟持部材18に挟持させるだけで、シールド部材12をプロテクタ本体11に固定することができる。
【0146】
これにより、例えばシールド部材12をプロテクタ本体11に接着固定する場合に比べて、プロテクタ10は、シールド部材12をプロテクタ本体11に容易に、かつ強固に固定することができる。
よって、プロテクタ10は、シールド部材12がプロテクタ本体11に積層された状態をより安定して維持することができる。
【0147】
また、実施例3の固定工程が、プロテクタ本体11に設けた挟持部材18に、シールド部材12を挟み込んで固定する工程であるため、プロテクタ10の製造方法は、シールド部材12を挟持部材18に挟持させるだけで、シールド部材12をプロテクタ本体11に容易に固定することができる。
【実施例0148】
実施例4のプロテクタ10は、上述した実施例1に対して、シールド部材12及び保護部材13の固定構造が異なる。このような実施例4のプロテクタ10について、図10及び図11を用いて説明する。
なお、図10は実施例4におけるシールド部材12及び保護部材13の固定構造の断面図を示している。
【0149】
さらに、図11は固定工程の概略を説明する説明図であり、図11(a)は、展開状態のプロテクタ本体11の上面にシールド部材12及び保護部材13を積層した状態の断面図を示し、図11(b)は内部係止部12cを形成開始した状態の断面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0150】
実施例4のプロテクタ10は、図10に示すように、熱可塑性樹脂発泡シートで構成されたプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の内周面に積層したシールド部材12及び保護部材13とを備えている。
【0151】
さらに、プロテクタ10は、図10に示すように、保護部材13がシールド部材12に接着固定され、シールド部材12がプロテクタ本体11に係止固定されている。
【0152】
詳述すると、シールド部材12は、図10に示すように、プロテクタ本体11の内部へ向けて突設され、プロテクタ本体11の内部に係止される複数の内部係止部12cを、プロテクタ本体11に固定する固定部として備えている。
【0153】
この内部係止部12cは、図11に示すように、プロテクタ本体11に重ね合わせたシールド部材12に対して、先鋭な針状治具3をプロテクタ本体11の内部へ向けて突き刺すことで形成されている。
【0154】
つまり、内部係止部12cは、図10に示すように、針状治具3を突き刺すことによって生じ、プロテクタ本体11の内部に係止可能な形状に変形したシールド部材12のカエリで構成されている。
【0155】
次に、上述した構成のプロテクタ10における固定工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、図11(a)に示すように、展開状態におけるプロテクタ本体11の上面に対して、保護部材13を接着固定したシールド部材12を重ね合わせて積層する。
【0156】
その後、作業者または組付け装置は、図11(a)及び図11(b)に示すように、針状治具3で穿孔するように、上方から下方へ向けて保護部材13に針状治具3を突き刺す。この際、針状治具3は、図11(b)に示すように、保護部材13、シールド部材12、プロテクタ本体11の順に突き刺さる。
【0157】
そして、針状治具3がシールド部材12に突き刺さるにつれて、シールド部材12には、図10に示すように、プロテクタ本体11の内部へ向けてカエリが生じることで、内部係止部12cが形成される。
【0158】
この際、シールド部材12の内部係止部12cは、プロテクタ本体11の内部に突き刺さることで、プロテクタ本体11に係止された係止状態となる。
このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ本体11にシールド部材12及び保護部材13を積層して固定する。
【0159】
以上のように、実施例4のプロテクタ10は、シールド部材12に、プロテクタ本体11へ向けて突設され、プロテクタ本体11の内部に係止固定される内部係止部12cが設けられ、固定部が、内部係止部12cで構成されている。
【0160】
また、実施例4の固定工程は、シールド部材12を重ね合わせたプロテクタ本体11に対して、シールド部材12側から針状治具3を複数個所に突き刺して、シールド部材12にプロテクタ本体11の内部へ向けて突設する内部係止部12cを形成するとともに、内部係止部12cをプロテクタ本体11の内部に係止させる工程である。
【0161】
この構成によれば、プロテクタ10は、シールド部材12の内部係止部12cによってシールド部材12をプロテクタ本体11に固定することができる。
これにより、プロテクタ10は、プロテクタ本体11及びシールド部材12とは別体の固定部を不要にできるため、重量増加を抑えてシールド部材12をプロテクタ本体11に固定することができる。
【実施例0162】
実施例5のプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、上述した実施例1に対して、プロテクタの構成が異なる。このような実施例5のプロテクタ付ワイヤーハーネス4について、図12から図17を用いて説明する。
【0163】
なお、図12は実施例5におけるプロテクタ付ワイヤーハーネス4の外観斜視図を示し、図13図12中のB-B矢視断面図を示し、図14はプロテクタ本体21が分離した状態の外観斜視図を示している。
さらに、図15は長手方向Xに沿った縦断面におけるコネクタC近傍の断面図を示し、図16は保護部材23の外観斜視図を示している。
【0164】
加えて、図17は固定工程の概略を説明する説明図であり、図17(a)は重合部214を保護部材23に重ね合わせる工程を説明する断面図を示し、図17(b)はカバー部212を重合部214に重ね合わせる工程を説明する断面図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0165】
実施例5のプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、図12に示すように、長手方向Xに沿って延びるワイヤーハーネスWと、ワイヤーハーネスWを内部に挿通したプロテクタ20とを備えている。
実施例5のワイヤーハーネスWは、図12に示すように、電気機器のコネクタ(図示省略)に電気的に接続されるコネクタCを、長手方向Xの一端に備えている。
【0166】
また、プロテクタ20は、図13及び図14に示すように、長手方向Xに延びる内部空間(符号省略)にワイヤーハーネスWが挿通された略筒状のプロテクタ本体21と、プロテクタ本体21の内周面に積層されたシールド部材22と、シールド部材22を保護する保護部材23とを備えている。
このプロテクタ20は、図15に示すように、プロテクタ本体21の内部にワイヤーハーネスWとコネクタCの基端部分とを収容している。
【0167】
詳述すると、プロテクタ20のプロテクタ本体21は、図13に示すように、長手方向Xに延びる断面略矩形の筒状であって、所定方向に長い平板状の熱可塑性樹脂発泡シートを、所定方向に延びる折り目(図示省略)に沿って山折りして形成している。
【0168】
このようなプロテクタ本体21は、図13に示すように、上方が開口した断面略凹形状のベース部211と、ベース部211の開口を閉塞するカバー部212と、ベース部211に対してカバー部212を枢動自在に連結する枢動部213と、ベース部211の内部でカバー部212に重合する重合部214とを備えている。
【0169】
具体的には、プロテクタ本体21のベース部211は、図13に示すように、上下方向に厚みを有する底部211aと、底部211aにおける幅方向Yの両端から上方へ向けて立設された一対の側壁部211bとを備えている。
このベース部211は、展開状態のプロテクタ本体21において、一対の側壁部211bが底部211aにおける幅方向Yの両端にそれぞれ連設されている。
【0170】
また、プロテクタ本体21のカバー部212は、図13に示すように、プロテクタ本体21が筒状の状態において、後述する重合部214の上面に重なり合う略平板状に形成されている。
具体的には、カバー部212は、展開状態のプロテクタ本体21において、他方の側壁部211bにおける幅方向Yの一端に枢動部213を介して連設されている。
【0171】
また、プロテクタ本体21の枢動部213は、図13に示すように、ベース部211の他方の側壁部211bとカバー部212とを枢動可能に連結している。この枢動部213は、展開状態における他方の側壁部211bとカバー部212との境界に設けた折り目に沿って山折りした部分で構成されている。
【0172】
また、プロテクタ本体21の重合部214は、展開状態のプロテクタ本体21において、一方の側壁部211bにおける幅方向Yの一端に枢動可能に連設されている。この重合部214は、図13に示すように、プロテクタ本体21が筒状の状態において、厚み方向が上下方向となるように配置されるとともに、上面がカバー部212の内周面に重なり合い、下面が保護部材23の上面に重なり合うように配置されている。
【0173】
また、プロテクタ20のシールド部材22は、導電性及び可撓性を有する薄肉シート状であって、例えばアルミ箔、銅箔、あるいは導電布などで構成されている。このシールド部材22は、展開状態におけるプロテクタ本体21に略同じ長手方向Xの長さ、及び幅方向Yの長さを有する平面視略矩形のシート状に形成されている。
【0174】
また、プロテクタ20の保護部材23は、図13及び図14に示すように、長手方向Xに延びる断面矩形の筒状であって、プロテクタ本体21に同じ熱可塑性樹脂発泡シートで構成されている。
この保護部材23は、図13に示すように、プロテクタ本体21の内部において、シールド部材22をプロテクタ本体21とで挟持可能な大きさの外形形状に形成されている。
【0175】
このような保護部材23は、図13及び図14に示すように、上方が開口した断面略凹形状の保護ベース部231と、保護ベース部231の上方の開口を閉塞する保護カバー部232と、保護ベース部231に対して保護カバー部232を枢動自在に連結する保護枢動部233とを備えている。
【0176】
具体的には、保護部材23の保護ベース部231は、図13に示すように、上方の開口に対向する保護底部231aと、保護底部231aにおける幅方向Yの両端からそれぞれ立設された一対の保護側壁部231bと、ワイヤーハーネスWが粘着テープ2で固定される電線保持部231cとを備えている。
【0177】
この保護ベース部231は、平板状に展開した展開状態において、一対の保護側壁部231bが保護底部231aにおける幅方向Yの両端にそれぞれ連設され、電線保持部231cが保護底部231aにおける長手方向Xの一端に連設されている。
なお、電線保持部231cは、図16に示すように、保護底部231aから長手方向Xの一方へ連続する略平板に形成されている。
【0178】
さらに、一方の保護側壁部231bには、図14及び図16に示すように、保護底部231aに対して起立した状態において、上端面から上方へ向けて逆台形状に突出した嵌合突部234が、長手方向Xに所定間隔を隔てて複数形成されている。
【0179】
また、保護部材23の保護カバー部232は、図13に示すように、保護枢動部233を介して他方の側壁部211bに連結されている。この保護カバー部232における幅方向Yの端面には、図14及び図16に示すように、保護ベース部231の嵌合突部234が嵌合する被嵌合部235が、長手方向Xに所定間隔を隔てて凹設されている。
【0180】
また、保護部材23の保護枢動部233は、プロテクタ本体21の枢動部213と同様に、展開状態における他方の保護側壁部231bと保護カバー部232との境界に設けた折り目に沿って山折りした部分で構成されている。
【0181】
次に、上述した構成のプロテクタ付ワイヤーハーネス4における組付け工程について、一例を用いて簡単に説明する。
まず、作業者または組付け装置は、熱可塑性樹脂発泡シートで構成された展開状態の保護部材23を、折り目に沿って山折りして保護ベース部231を成形する。
【0182】
さらに、作業者または組付け装置は、保護ベース部231の内部にワイヤーハーネスWを収容したのち、保護部材23の保護カバー部232を回動させて、保護ベース部231の開口を閉塞する。
この際、作業者または組付け装置は、保護カバー部232の被嵌合部235に保護ベース部231の嵌合突部234を嵌合することで、保護カバー部232を保護ベース部231に固定して筒状の保護部材23を構成する。
【0183】
その後、作業者または組付け装置は、粘着テープ2を用いてワイヤーハーネスWを保護部材23の電線保持部231cに固定する。
ワイヤーハーネスWを保護部材23の内部に収容固定すると、作業者または組付け装置は、展開状態のプロテクタ本体21を、ワイヤーハーネスWを内部に挿通可能な筒状に成形する本体成形工程、及びシールド部材22をプロテクタ本体21に積層して固定する固定工程を開始する。
【0184】
なお、展開状態のプロテクタ本体21の上面には、シールド部材22が、カバー部212の端部及び重合部214の端部に接着剤などで予め仮固定されている。
具体的には、作業者または組付け装置は、図14に示すように、展開状態のプロテクタ本体21を、折り目に沿って山折りしてベース部211を成形する。
【0185】
その後、作業者または組付け装置は、図14及び図17(a)に示すように、プロテクタ本体21におけるベース部211の開口からワイヤーハーネスWを保護部材23とともに挿通して、ベース部211の底部211aに保護部材23を載置する。
【0186】
さらに、作業者または組付け装置は、図17(a)に示すように、プロテクタ本体21の重合部214を折り目に沿って山折りして、保護部材23の上面に重ね合わせる。その後、作業者または組付け装置は、図17(b)に示すように、枢動部213を中心にプロテクタ本体21のカバー部212を回動して、重合部214の上面に重ね合わせる。
【0187】
そして、作業者または組付け装置は、プロテクタ20の外周面に粘着テープ2を巻き回して、ベース部211にカバー部212を固定し筒状のプロテクタ20を構成する。この際、シールド部材22は、保護部材23とプロテクタ本体21とに挟持されることで、プロテクタ本体21に積層した状態で固定される。
このようにして、作業者または組付け装置は、プロテクタ付ワイヤーハーネス4の組付け作業を完了する。
【0188】
以上のように、実施例5のプロテクタ20は、熱可塑性樹脂発泡シートで構成された筒状のプロテクタ本体21と、プロテクタ本体21の内周面に積層されたシールド部材22とが備えられている。
このため、プロテクタ20及びプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、上述した実施例1と同様に、ワイヤーハーネスWで発生した電磁ノイズを遮蔽するとともに、電気機器などで生じた電磁ノイズからワイヤーハーネスWを保護することができる。
【0189】
さらに、保護部材23が、プロテクタ本体21に同じ熱可塑性樹脂発泡シートで構成されているため、プロテクタ20は、例えば金属製の保護部材に比べて重量増加を抑えて、シールド部材22を保護することができる。
【0190】
また、ベース部211は、ワイヤーハーネスWを挟んでカバー部212に対向する底部211aと、底部211aにおける幅方向Yの端部からカバー部212へ向けて立設した一対の側壁部211bとで、断面凹形状に形成されている。
【0191】
そして、プロテクタ本体21は、一方の側壁部211bに対してカバー部212を枢動自在に連結する枢動部213と、他方の側壁部211bに枢動自在に連設され、プロテクタ本体21の内部でカバー部212に重合する重合部214とが備えられている。
【0192】
この構成によれば、カバー部212がベース部211の開口を閉塞した状態において、カバー部212が重合部214に重なり合うため、プロテクタ本体21は、内部への異物の侵入を抑えることができる。
【0193】
さらに、プロテクタ20は、ワイヤーハーネスWをシールド部材22で隙間なく囲繞できるため、プロテクタ本体21がベース部211とカバー部212とで構成された場合であっても、安定したシールド性能を確保することができる。
【0194】
加えて、熱可塑性樹脂発泡シートを折り目に沿って山折りした部分で枢動部213を構成し、カバー部212を枢動部213に連結しているため、プロテクタ20は、カバー部が別体の場合に比べて、部品点数を低減することができる。
【0195】
また、実施例5のプロテクタ付ワイヤーハーネス4は、ワイヤーハーネスWにおける長手方向Xの先端に、電気機器に電気的に接続するコネクタCが設けられ、コネクタCの一部が、プロテクタ本体21の内部に収容されている。
【0196】
この構成によれば、コネクタCの一部がプロテクタ本体21の内部に収容されるため、プロテクタ付ワイヤーハーネス4は、コネクタCとの接続箇所近傍で発生した電磁ノイズの漏出を防止するとともに、ワイヤーハーネスWとコネクタCとの接続箇所近傍を電磁ノイズから保護することができる。
【0197】
さらに、ワイヤーハーネスWとコネクタCとの接続箇所をプロテクタ20が支持するため、プロテクタ付ワイヤーハーネス4は、コネクタCの近傍におけるワイヤーハーネスWの意図しない折れ曲がりを防止することができる。
【0198】
また、実施例5の固定工程が、樹脂製シート材によって構成され、シールド部材22を保護する保護部材23を、プロテクタ本体21の内部に収容し、プロテクタ本体21とでシールド部材22を挟み込んで固定する工程であるため、プロテクタ20の製造方法は、保護部材23の収容に伴って、シールド部材22をプロテクタ本体21に固定することができる。
【0199】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の樹脂製シート材は、実施形態の熱可塑性樹脂発泡シートに対応し、
以下同様に、
外装本体は、プロテクタ本体11,21に対応し、
シールド外装部材は、プロテクタ10,20に対応し、
固定部は、シールド接着層15、係合部材17、挟持部材18、及び内部係止部12cに対応し、
接着層は、シールド接着層15に対応し、
挟持部は、挟持部材18に対応し、
長手方向に直交する方向は、幅方向Yに対応し、
導通部材は、アース線14に対応し、
外装部材付ワイヤーハーネスは、プロテクタ付ワイヤーハーネス1,4に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0200】
具体的には、上述した実施形態において、プロテクタ本体11,21を断面略矩形の筒状としたが、これに限定せず、断面略多角形の筒状、あるいは断面略円形の筒状であってもよい。
また、プロテクタ本体11,21のベース部111,211は、底部111a,211a、及び一対の側壁部111b,211bからなる断面凹形状に限定せず、断面略半円弧状の断面凹形状、断面略U字状の断面凹形状、あるいは断面略V字状の断面凹形状であってもよい。
【0201】
また、プロテクタ本体11,21の内周面に、シールド部材12,22を積層したが、これに限定せず、プロテクタ本体の外周面にシールド部材を積層したプロテクタであってもよい。この場合、保護部材は、プロテクタ本体の外部において、シールド部材を囲繞するようにシールド部材に積層する。
【0202】
あるいは、プロテクタ本体の内周面及び外周面にシールド部材を積層したプロテクタであってもよい。もしくは、シールド部材を内部に積層した熱可塑性樹脂発泡シートで、プロテクタ本体を構成してもよい。
【0203】
また、プロテクタ本体11,21の内周面に密着するようにシールド部材12,22を配置したが、これに限定せず、シールド部材が部分的にプロテクタ本体の周面から離間した構成であってもよい。
【0204】
また、シールド部材12,22を、例えばアルミ箔、銅箔、あるいは導電布などで構成したが、これに限定せず、アルミ層を有するシールド部材、シールド性能を有するエラストマなどのゴム製シートで構成されたシールド部材などであってもよい。なお、シールド部材は、薄肉シート状に限らず、塗布によって形成された薄膜状であってもよい。
【0205】
また、保護部材13,23を備えたプロテクタ10,20としたが、これに限定せず、プロテクタ本体にシールド部材のみが積層されたプロテクタであってもよい。
【0206】
また、ベース部111,211とカバー部112,212とを粘着テープ2を用いて固定したが、これに限定せず、結束バンド、あるいはプロテクタ本体11,21を囲繞して保持する保持部材で、ベース部とカバー部とを固定してもよい。もしくは、実施例5の保護部材23のように、ベース部とカバー部とが嵌合することで固定される構成であってもよい。
【0207】
また、カバー部112,212がベース部111,211に枢動自在に連結されたプロテクタ本体11,21としたが、これに限定せず、ベース部とカバー部とが別体構成されたプロテクタ本体であってもよい。
【0208】
例えば別の実施形態におけるプロテクタ本体31の断面図を示す図18のように、プロテクタ本体31は、上方が開口した断面略凹形状のベース部311と、ベース部311の開口を閉塞するカバー部312とで構成されてもよい。
【0209】
より詳しくは、プロテクタ本体31のベース部311は、底部311aと一対の側壁部311bとで断面略凹状に形成され、その内周面にシールド部材12及び保護部材13が積層されている。
【0210】
一方、プロテクタ本体31のカバー部312は、図18に示すように、ベース部311の底部311aに対向するカバー本体312aと、カバー本体312aにおける幅方向Yの両端から下方へ垂設するとともに、側壁部311bに重合する一対の重合部312bとを備えている。
【0211】
そして、このカバー部312には、ベース部311と同様に、カバー本体312aの下面、及び側壁部311bに対向する重合部312bの面に跨って、シールド部材12及び保護部材13が積層されている。
このような構成であっても、プロテクタは、上述した実施例と同様の効果を奏することができる。
【0212】
また、実施例1において、展開状態のプロテクタ本体11にシールド部材12及び保護部材13を貼付したのち、プロテクタ本体11を折り目11aに沿って山折りして筒状に成形したが、これに限定せず、折り目11aに沿って筒状に成形されたプロテクタ本体11に対して、シールド部材12及び保護部材13を貼付してもよい。
あるいは、保護部材13を貼付したシールド部材12を、展開状態のプロテクタ本体11または筒状に成形したプロテクタ本体11に貼付してもよい。
【0213】
また、実施例1において、接着剤を塗布したプロテクタ本体11にシールド部材12を貼付することで、プロテクタ本体11にシールド部材12を固定する固定方法としたが、これに限定せず、プロテクタ本体に対してシールド部材を超音波溶接によって固定する固定方法であってもよい。
【0214】
あるいは、熱可塑性を有するシールド部材をプロテクタ本体に重ね合わせたのち、シールド部材を加熱してプロテクタ本体に熱溶着する固定方法であってもよい。
このような固定方法であっても、シールド外装部材の製造方法は、シールド部材を外装本体に容易に固定することができる。
【0215】
また、実施例2において、プロテクタ本体11の係合孔114に係合部材17が係合する構成としたが、これに限定せず、例えばタッピングビスのように係合孔を係止しながら、プロテクタ本体11に係合する係合部材であってもよい。
【0216】
また、断面逆ツリー形状の軸部172を有する係合部材17としたが、これに限定せず、プロテクタ本体11の係合孔114に係合可能であれば、適宜の構成であってもよい。
例えば別の実施形態における固定構造の概略を説明する説明図を示す図19(a)のように、先端に径方向外側へ突出した係止爪19aを有する係止部材19であってもよい。この場合、係止部材19の係止爪19aは、図19(b)に示すように、係合孔114を貫通して、プロテクタ本体11の下面に係止される。
【0217】
また、実施例3において、プロテクタ本体11とは別体の挟持部材18としたが、これに限定せず、プロテクタ本体に一体形成された挟持部であってもよい。
また、実施例5において、保護部材23をプロテクタ本体21に同じ熱可塑性樹脂発泡シートで構成したが、これに限定せず、プロテクタ本体21とは異なる熱可塑性樹脂発泡シートで保護部材23を構成してもよい。
【0218】
また、実施例5において、プロテクタ本体21の内部に、ワイヤーハーネスWとコネクタCの基端部分とが収容されたプロテクタ付ワイヤーハーネス4としたが、これに限定せず、別の実施形態におけるプロテクタ付ワイヤーハーネス4の外観斜視図を示す図20のように、プロテクタ20における長手方向Xの端部が、ワイヤーハーネスWの一端に設けたコネクタC2の内部に挿入されたプロテクタ付ワイヤーハーネス4であってもよい。
【0219】
この構成によれば、プロテクタ本体21における長手方向Xの端部がコネクタC2の内部に挿入されるため、プロテクタ付ワイヤーハーネス4は、コネクタC2との接続箇所近傍で発生した電磁ノイズの漏出を防止するとともに、ワイヤーハーネスWとコネクタC2との接続箇所近傍を電磁ノイズから保護することができる。
【0220】
また、実施例5において、断面略矩形の筒状に形成された保護部材23を、プロテクタ本体21の内部に収容したが、これに限定しない。
例えば展開形状のプロテクタ本体に、シールド部材と熱可塑性樹脂発泡シートで構成された保護部材とを積層し、プロテクタ本体を筒状の状態に成形する過程で、筒状の保護部材がプロテクタ本体の内部に成形される構成であってもよい。この場合、保護部材は、保護底部、一対の側壁部及び保護カバーがそれぞれ独立した構成であってもよい。
【符号の説明】
【0221】
1,4…プロテクタ付ワイヤーハーネス
3…針状治具
10,20…プロテクタ
11,21,31…プロテクタ本体
12,22…シールド部材
12c…内部係止部
13,23…保護部材
14…アース線
15…シールド接着層
17…係合部材
18…挟持部材
19…係止部材
111,211,311…ベース部
111a,211a,311a…底部
111b,211b,311b…側壁部
112,212,312…カバー部
112b,214,312b…重合部
113,213…枢動部
C,C2…コネクタ
W…ワイヤーハーネス
X…長手方向
Y…幅方向
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