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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154688
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】検査装置および検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20231013BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G01N21/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064194
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】株式会社三井E&S
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA88
2G051AB02
2G051AC15
2G051CA04
2G051CC20
(57)【要約】
【課題】検査精度の低下を抑制しつつ検査時間を短縮できる検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】検査対象物の表面6aとともに周辺風景を撮影するカメラ2と、カメラ2から画像データを取得する処理機構とを予め備えていて、カメラ2が表面6aを含む検査領域画像を撮影するとともに周辺風景を含む補助領域画像を撮影する撮影工程と、処理機構がカメラ2から取得される画像データの補助領域画像に基づきカメラ2の位置を推定する推定工程とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の表面の状態を検査する検査装置において、
前記検査対象物の前記表面とともに周辺風景を撮影するカメラと、前記カメラから画像データを取得して前記周辺風景に基づき前記カメラの位置を推定する処理機構とを備えていて、
前記カメラが、前記表面を含む検査領域画像と、前記周辺風景を含む補助領域画像とを取得する構成を有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記カメラが、前記検査領域画像を取得する検査用レンズと、前記補助領域画像を取得する補助レンズとを設置される一台のカメラで構成される請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記補助レンズが光軸方向に沿って形成される貫通孔を有していて、前記検査用レンズが前記貫通孔に配置される請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査用レンズと前記補助レンズとが、前記検査用レンズの光軸方向に沿って並べて配置される請求項2に記載の検査装置。
【請求項5】
前記カメラとして、前記検査領域画像を取得する検査用カメラと、前記補助領域画像を取得する補助カメラとを有する請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記処理機構が、前記表面を複数の範囲に区分する地図情報を予め有してて、複数の前記範囲のうち前記カメラが配置されている前記範囲を前記周辺風景に基づき推定する構成を有する請求項1~5のいずれかに記載の検査装置。
【請求項7】
検査対象物の表面の状態を検査する検査方法において、
前記検査対象物の前記表面とともに周辺風景を撮影するカメラと、前記カメラから画像データを取得する処理機構とを予め備えていて、
前記カメラが前記表面を含む検査領域画像を撮影するとともに前記周辺風景を含む補助領域画像を撮影する撮影工程と、前記処理機構が前記カメラから取得される前記画像データの前記補助領域画像に基づき前記カメラの位置を推定する推定工程とを備えることを特徴とする検査方法。
【請求項8】
前記検査領域画像と前記補助領域画像とが同時に撮影される請求項7に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機等の検査対象物の表面を検査する検査装置および検査方法に関するものであり、詳しくは検査精度の低下を抑制しつつ検査時間を短縮できる検査装置および検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機の外装の検査を行う検査装置が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には地上から伸びるアームを利用してカメラの三次元座標を取得して、距離センサによりカメラの傾きを検出することで、カメラで取得される画像の位置を把握していた。
【0003】
検査装置が大型であり移動に時間がかかるため、検査に多くの時間がかかる不具合があった。複数台の検査装置を導入して検査時間を短縮しようとしても、検査装置どうしが干渉するため実現が困難であった。そもそも検査装置が比較的高価であるため、検査装置を複数台導入することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2019-219378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は検査精度の低下を抑制しつつ検査時間を短縮できる検査装置および検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための検査装置は、検査対象物の表面の状態を検査する検査装置において、前記検査対象物の前記表面とともに周辺風景を撮影するカメラと、前記カメラから画像データを取得して前記周辺風景に基づき前記カメラの位置を推定する処理機構とを備えていて、前記カメラが、前記表面を含む検査領域画像と、前記周辺風景を含む補助領域画像とを取得する構成を有することを特徴とする。
【0007】
上記の目的を達成するための検査方法は、検査対象物の表面の状態を検査する検査方法において、前記検査対象物の前記表面とともに周辺風景を撮影するカメラと、前記カメラから画像データを取得する処理機構とを予め備えていて、前記カメラが前記表面を含む検査領域画像を撮影するとともに前記周辺風景を含む補助領域画像を撮影する撮影工程と、前記処理機構が前記カメラから取得される前記画像データの前記補助領域画像に基づき前記カメラの位置を推定する推定工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検査対象物の表面の傷等を含む検査領域画像を取得できるため、表面の状態の検査精度を向上するには有利である。周辺風景を含む補助領域画像を取得できるため、補助領域画像からカメラの位置を推定する際の精度を向上するには有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】検査装置の概略を例示する説明図である。
図2】レンズの断面を例示する説明図である。
図3図2のA-A矢視を例示する説明図である。
図4図2のレンズの変形例を例示する説明図である。
図5】航空機を平面視で例示する説明図である。
図6図1の検査装置で検査を行っている状態を例示する説明図である。
図7】検査装置で取得される画像データを例示する説明図である。
図8】検査装置の変形例を例示する説明図である。
図9図8の検査装置で取得される画像データを例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、検査装置および検査方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。図中ではカメラの光軸方向を矢印z、この光軸方向zに直交する第一方向を矢印x、光軸方向zおよび第一方向xに直交する第二方向を矢印yで示している。
【0011】
図1に例示するように検査装置1は、カメラ2と、このカメラ2から画像データを取得する処理機構3と、カメラ2に固定される脚構造体4とを備えている。カメラ2は、レンズ5を有している。図では説明のためレンズ5の表面の一部を破線で示している。
【0012】
カメラ2は例えば水平方向の360°を撮影可能とする半天球カメラで構成される。カメラ2は水平方向および上下方向の360°を撮影可能とする全天球カメラで構成されてもよい。カメラ2の構成はこれに限定されない。検査対象物である航空機の本体や翼の表面の傷等と、周辺風景とを撮影できる構成を有していればよい。カメラ2は、例えば魚眼レンズを有するカメラで構成されてもよく、複数のカメラを組み合わせた構成を有していてもよい。本明細書において周辺風景とは、航空機の翼や窓やエンジンなどをいう。つまり周辺風景とは検査対象物の表面の周囲に存在する他の構造等をいう。周辺風景には、航空機の色彩や模様が含まれていてもよい。
【0013】
カメラ2は、検査対象物の表面を含む検査領域画像と、周辺風景を含む補助領域画像とを取得する構成を有している。検査領域画像は、検査対象物の表面の傷等を少なくとも含んでいればよく、周辺風景の一部が含まれていてもよい。補助領域画像は、周辺風景の少なくとも一部を含んでいればよく、検査対象物の表面が含まれていてもよい。検査領域画像は、例えば検査対象物の表面の傷等にピントが合った画像となる。補助領域画像は、例えば周辺風景にピントが合った画像となる。
【0014】
処理機構3は、カメラ2と有線または無線で接続されていて、カメラ2から画像データを取得する構成を有している。処理機構3は、取得した画像データの周辺風景からカメラ2の位置を推定する構成を有している。この実施形態では処理機構3は、カメラ2に組み込まれている。図1では説明のため処理機構3を破線で示している。処理機構3は、カメラ2の外部に配置される構成であってもよい。
【0015】
図1に例示する実施形態では脚構造体4は、一端をカメラ2に固定される四本の脚部4aと、この脚部4aの他端に連結される接触部4bとを有している。この接触部4bが検査対象物の表面と接触する。接触部4bは、一対の棒状体で構成されていて、一対の棒状体は互いに平行となる位置関係を有している。棒状体は第二方向yに沿って延設されていて、第二方向yにおいて対向する一対の脚部4aの上端どうしを連結する構成を有している。
【0016】
脚構造体4は上記の構成に限定されない。一方をカメラ2に固定されて他方を検査対象物の表面と少なくとも三点で接触可能とする構成を有していればよい。脚構造体4は、検査装置1の必須の構成要件ではない。
【0017】
図2に例示するようにカメラ2が、検査対象物の表面を含む検査領域画像を取得する検査用レンズ5aと、周辺風景を含む補助領域画像を取得する補助レンズ5bとを有していてもよい。検査領域画像は、例えばカメラ2から比較的近い位置にピントを合わせた画像で構成できる。補助領域画像は、例えばカメラ2から比較的遠い位置にピントを合わせた画像で構成できる。この場合、補助レンズ5bのピントは少なくとも検査用レンズ5aのピントよりも遠方に合う状態となっている。検査用レンズ5aと補助レンズ5bとは一台のカメラ2に配置される。検査用レンズ5aは例えば標準レンズや接写に使用されるマクロレンズで構成される。補助レンズ5bは例えば広角レンズや魚眼レンズで構成される。
【0018】
検査領域画像は、例えば焦点距離の比較的長いレンズを通して撮影される画像で構成されてもよい。補助領域画像は、例えば焦点距離の比較的短いレンズを通して撮影される画像で構成されてもよい。この場合、検査用レンズ5aは補助レンズ5bよりも焦点距離の長いレンズで構成される。
【0019】
カメラ2が検査用レンズ5aおよび補助レンズ5bを有しているため、検査領域画像および補助領域画像のそれぞれにおいて独立して撮影条件を調整することが可能となる。撮影条件とは、例えばピントを合わせる位置や、レンズ5の焦点距離をいう。検査領域画像および補助領域画像のそれぞれにおいて、ピントが合う距離や画角の大きさを最適化することが可能となる。
【0020】
この実施形態では検査用レンズ5aは一枚のレンズで構成されている。検査用レンズ5aの構成はこれに限らず、複数のレンズを組み合わせて構成されてもよい。この実施形態では補助レンズ5bは複数のレンズで構成されている。補助レンズ5bの構成はこれに限らず、一枚のレンズで構成されてもよい。
【0021】
図2および図3に例示するようにこの実施形態では、補助レンズ5bの光軸方向に沿って貫通孔5cが形成されている。貫通孔5cは例えばレンズ5の外側から内側に向かって直径が収縮する円錐台形に形成されている。検査用レンズ5aは貫通孔5cに配置されている。図2では説明のためレンズ5(検査用レンズ5aおよび補助レンズ5b)の光軸Pを一点鎖線で示している。図3に例示するように平面視においてレンズ5の中心部に検査用レンズ5aおよび貫通孔5cが配置される状態となる。これに限らず平面視においてレンズ5の中心部以外の位置に貫通孔5cが形成されて検査用レンズ5aが配置される構成であってもよい。
【0022】
検査用レンズ5aを通過する光は、貫通孔5cを通過するため補助レンズ5bの影響を受けない。歪みの少ない検査領域画像を得るには有利である。また補助レンズ5bに検査用レンズ5aを組み込むことができるため、レンズ5を小さく構成しやすくなる。検査装置1の小型化には有利である。
【0023】
図4に例示するように検査用レンズ5aと補助レンズ5bとが、検査用レンズ5aの光軸Pの方向に沿って並べて配置される構成であってもよい。この実施形態では補助レンズ5bに貫通孔5cを形成しないため、レンズ5の製造を比較的容易に行える。レンズ5の製造コストを抑制するには有利である。
【0024】
次に検査装置1を使用した検査方法について説明する。図5に例示するように検査対象物6が航空機の翼である場合を例に説明する。検査対象物6は航空機に限らない。検査対象物6は、風車のブレードや、ロケットや、船舶なども含む。また検査対象物6は、航空機等の外装に限らず内装も対象となる。検査対象物6は例えば工場内の配管等も含む。図5に例示するように検査対象物6の表面に傷7が形成されている場合、この傷7の近傍に検査装置1が設置される。
【0025】
図6に例示するようにまず検査対象物6である航空機の翼の表面6aに、検査装置1が設置される(以下、設置工程ということがある)。この検査装置1は図1に例示する実施形態の脚構造体4を有している。設置工程では、例えば表面6aに形成された傷7に対向する位置に検査装置1が設置される。その際に脚構造体4の少なくとも三点を表面6aに接触させる状態で検査装置1は設置される。脚構造体4は、検査装置1が表面6aに押し当てられても変形しない程度の強度を有している。
【0026】
一対の棒状体で構成される接触部4bの少なくとも三点を表面6aに接触させようとすると、表面6aの湾曲方向である第一方向xに対して、一対の棒状体がこれと直交する第二方向yに延在する状態となる。このとき接触部4bは第二方向yに延在する線で表面6aに接触する状態となる。つまり接触部4bは三点以上で表面6aに接触する状態となる。
【0027】
脚構造体4を三点以上で表面6aに接触させることで、脚構造体4の面が決定される。そのため湾曲する表面6aに対するカメラ2の姿勢(向きおよび傾き)と、表面6aからカメラ2のレンズ5までの距離が一義的に決まる。本明細書においてカメラ2の姿勢とは、表面6aに対するカメラ2の向きおよび傾きをいう。例えば図6に例示する傷7を撮影する際には、何回撮影を行ったとしても傷7に対するカメラ2の姿勢と距離がほぼ一定となる。
【0028】
脚構造体4は予め決定される仮想的な面を介して表面6aに接触する構成を有していればよい。脚構造体4は例えばカメラ2から突設される三本以上の棒状体で構成されてもよい。棒状体の他端側がすべて表面6aに接触する状態であれば、カメラ2の姿勢は一義的に決まる。
【0029】
検査装置1を表面6aに押し当てた状態で、カメラ2が撮影を行う(以下、撮影工程ということがある)。カメラ2は、傷7を有する表面6aとともに周辺風景を撮影する。カメラ2の撮影により得られる画像データの一例を図7に例示する。画像データは、中心部に位置する検査領域画像8と、この検査領域画像8の周辺部に位置する補助領域画像9とを有している。検査領域画像8には表面6aに形成された傷7が写る。補助領域画像9には周辺風景が写る。周辺風景として、航空機における本体と翼との境界となる部分や、翼に設置されているエンジンが写る。
【0030】
検査領域画像8は、傷7にピントが合う状態にできる。そのため傷7の状態や深さなどを検査領域画像8から精度良く把握することが可能となる。検査領域画像8には比較的な小さな傷7や腐食等も鮮明な画像として表示される。表面6aの状態の検査精度を向上するには有利である。補助領域画像9は、周辺風景にピントが合う状態にできる。また補助領域画像9は画角の比較的広い画像にできる。補助領域画像9から周辺風景の状況を精度良く把握することが可能となる。この実施形態では検査領域画像8と補助領域画像9とは、一つの画像データとして同時に取得される。
【0031】
図7に例示する画像データを取得した処理機構3は、補助領域画像9の周辺風景に基づきカメラ2の位置を推定する(以下、推定工程ということがある)。航空機の翼や窓との相対位置から画像データを取得した際のカメラ2の位置を推定できる。航空機の3Dキャドデータなどの図面データを予め処理機構3に記憶させておき、この図面データを利用して周辺風景からカメラ2の位置を推定してもよい。また検査対象物6の表面6aを複数の場所で予め撮影して、カメラ2と周辺風景との位置関係を基礎情報として処理機構3に記憶させる構成としてもよい。この基礎情報に基づき、新たに取得された画像データにおけるカメラ2の位置を処理機構3が推定する構成にできる。図7では説明のため検査対象物6以外の部分は灰色に着色している。
【0032】
補助領域画像9では周辺風景にピントが合う状態となるため、航空機のエンジンや、翼の表面の継ぎ目や色彩等を鮮明な周辺風景として得ることができる。処理機構3はこの周辺風景に基づき、カメラ2の位置を精度良く推定することができる。
【0033】
検査対象である傷7等を含む表面6aとともに周辺風景をカメラ2は撮影するので、周辺風景から傷7等を含む表面6aの位置を処理機構3で推定することができる。検査装置1は画像データの位置情報を得ることができる。位置情報を含む画像データを蓄積することで、航空機等の検査対象物6のメンテナンス等を効率よく行うことができる。
【0034】
脚構造体4を表面6aに接触させて画像を取得するため、カメラ2と表面6aとの距離が一定となる状態で画像が取得される。所定の範囲の表面6aを撮影したときには、ほぼ同一の周辺風景が画像データに含まれることになる。画像データの位置情報の精度を向上するには有利である。
【0035】
画像データの位置情報を高い精度で取得できるため、地上から伸びるアーム等が不要となる。作業者が検査装置1を携帯して検査を行うことが可能となる。検査時間を短縮するには有利である。検査装置1を携帯できるので、風力発電用の風車のブレードや、ロケットなどの高所での検査も可能となる。検査装置1の小型化が可能となるため、複数の検査装置1を利用して同時に検査を行うことができる。検査時間を大幅な短縮が可能となる。
【0036】
処理機構3が、検査対象物6の表面6aを複数の範囲に区分した地図情報を予め有していてもよい。航空機等の形状を表す図面データ等を利用して地図情報は作成できる。このとき処理機構3は、複数の範囲のうちカメラ2が配置されている範囲を周辺風景に基づき推定する構成を有する。同一となる範囲にカメラ2が配置されていれば、カメラ2の設置位置が若干異なる場合であっても、同一の範囲で得られた画像データとして処理機構3は処理できる。画像データに含まれる傷7等が、新たに発生したものか、過去の検査において既に発見された傷7と同一のものかを判別しやすくなる。
【0037】
図8に例示するようにカメラ2として、検査領域画像8を取得する検査用カメラ2aと、補助領域画像9を取得する補助カメラ2bとを検査装置1が備える構成としてもよい。つまり検査装置1は複数台のカメラ2a、2bを有している。補助カメラ2bの数は一台に限らず、複数台で構成されてもよい。また検査用カメラ2aの光軸Pの方向に対して、補助カメラ2bの光軸Pbの方向が傾いている構成を有していてもよい。この場合、補助カメラ2bは検査用カメラ2aとは異なる方向を撮影するため、周辺風景を撮影しやすくなる。検査用カメラ2aの光軸Pと補助カメラ2bの光軸Pbとが平行であってもよい。図8では説明のため検査用カメラ2aの光軸Pおよび補助カメラ2bの光軸Pbを一点鎖線で示している。
【0038】
この実施形態の検査装置1は脚構造体4を備えていない。検査装置1が脚構造体4を備えていてもよい。検査用カメラ2aは例えば標準レンズやマクロレンズを有している。補助カメラ2bは例えば広角レンズや魚眼レンズを有している。
【0039】
図8に例示するカメラ2により得られる画像データの一例を図9に例示する。検査領域画像8と補助領域画像9とは独立した画像データとしてそれぞれ取得される。検査領域画像8と補助領域画像9とは同時に撮影されてもよく、同時ではない状態で撮影されてもよい。ただしカメラ2の位置や姿勢は固定される状態で、検査領域画像8と補助領域画像9とは取得される必要がある。
【0040】
検査領域画像8と補助領域画像9とを取得するために、それぞれ適したカメラ2a、2bを組み合わせて使用することができるため、より適切な画像データを取得しやすくなる。一方で図2または3に例示する実施形態のように一台のカメラ2に検査用レンズ5aと補助レンズ5bとが設置される構成の方が、検査装置1を小型化するには有利である。
【符号の説明】
【0041】
1 検査装置
2 カメラ
2a 検査用カメラ
2b 補助カメラ
3 処理機構
4 脚構造体
4a 脚部
4b 接触部
5 レンズ
5a 検査用レンズ
5b 補助レンズ
5c 貫通孔
6 検査対象物
6a 表面
7 傷
8 検査領域画像
9 補助領域画像
x 第一方向
y 第二方向
z 光軸方向
P、Pb 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9