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特開2023-154784情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154784
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20231013BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231013BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
G06F3/12 348
G06F3/12 315
G06F3/12 371
G06F3/12 385
B41J29/38 201
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064342
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田口 大悟
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061HJ06
2C061HN05
2C061HQ17
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB22
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】ネットワークを介して取得されるデータに関する印刷の所要時間を短縮化すること。
【解決手段】情報処理装置は、印刷対象のデータについて特定の処理が実行される場合と前記特定の処理が実行されない場合とで異なるデータ形式を選択する選択部と、前記選択部が選択したデータ形式の前記データをネットワークを介して接続する画像形成装置へ送信する送信部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象のデータについて特定の処理が実行される場合と前記特定の処理が実行されない場合とで異なるデータ形式を選択する選択部と、
前記選択部が選択したデータ形式の前記データをネットワークを介して接続する画像形成装置へ送信する送信部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記特定の処理は画像処理である、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、前記特定の処理が実行されない場合は、前記画像形成装置が一部分を受信すれば印刷の開始が可能であるデータ形式を選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記特定の処理が実行されない場合は、PDL形式を選択する、
ことを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置と、前記情報処理装置にネットワークを介して接続する画像形成装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
印刷対象のデータについて特定の処理が実行される場合と前記特定の処理が実行されない場合とで異なるデータ形式を選択する選択部と、
前記選択部が選択したデータ形式の前記データを前記画像形成装置へ送信する送信部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
印刷対象のデータについて特定の処理が実行される場合と前記特定の処理が実行されない場合とで異なるデータ形式を選択する選択手順と、
前記選択手順が選択したデータ形式の前記データをネットワークを介して接続する画像形成装置へ送信する送信手順と、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
印刷対象のデータについて特定の処理が実行される場合と前記特定の処理が実行されない場合とで異なるデータ形式を選択する選択手順と、
前記選択手順が選択したデータ形式の前記データをネットワークを介して接続する画像形成装置へ送信する送信手順と、
をコンピュータに実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クラウドストレージ等の記憶装置の中から選択されたデータに対してユーザが所望する処理を実行後に当該データを画像形成装置に印刷させるシステムが有る。ここで、ユーザが所望する処理の候補としては、OCR処理、スタンプ押下処理、バーコード押下処理等の画像処理も含まれる。従来、このような画像処理の実行がユーザに所望された場合にも対応可能なように、画像処理に対応可能なデータ形式のデータがクラウドストレージ等の記憶装置に保存されている。
【0003】
なお、特許文献1には、ユーザによる印刷要求を待ってから印刷対象のファイルを画像形成装置が処理できるファイル形式に変換する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像処理に対応可能なデータ形式の場合、例えば、PDFデータのように画像形成装置がデータの全部を受信しないと印刷を開始できないデータも有る。この場合、ユーザが印刷の実行指示を行ってから印刷が完了するまでの時間は、画像形成装置がデータをダウンロードする時間と当該データを印刷する時間の合計以上になってしまう。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、ネットワークを介して取得されるデータに関する印刷の所要時間を短縮化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで上記課題を解決するため、情報処理装置は、印刷対象のデータについて特定の処理が実行される場合と前記特定の処理が実行されない場合とで異なるデータ形式を選択する選択部と、前記選択部が選択したデータ形式の前記データをネットワークを介して接続する画像形成装置へ送信する送信部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
ネットワークを介して取得されるデータに関する印刷の所要時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるクラウドサーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態におけるクラウドサーバ20及びクラウドストレージ30の機能構成例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態におけるアプリケーションの構成例を示す図である。
図6】コンポーネントの種類の一例を示す図である。
図7】アプリケーションの一例を示す図である。
図8】クラウドストレージ30への文書データのアップロード処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図9】クラウドストレージ30に保存されている文書データを画像形成装置10に印刷させる際の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。図1において、情報処理システム1は、画像形成装置10、クラウドサーバ20及びクラウドストレージ30を含む。画像形成装置10は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークを介してクラウドサーバ20に接続する。クラウドサーバ20は、LAN又はインターネット等のネットワークを介してクラウドストレージ30に接続する。
【0010】
画像形成装置10は、紙文書からスキャンした画像データをクラウドサーバ20に送信(アップロード)したり、ユーザによって印刷対象として選択されたデータをクラウドサーバ20から取得(ダウンロード)して印刷を実行したりする機器である。
【0011】
クラウドサーバ20は、画像形成装置10からの要求に応じた処理を実行するアプリケーション群を有する1以上のコンピュータである。例えば、或るアプリケーションは、画像形成装置10からアップロードされる画像データについて所定の処理を実行し、所定の処理の実行結果として得られるデータをクラウドストレージ30に送信(アップロード)する。別のアプリケーションは、画像形成装置10から印刷対象として要求されたデータをクラウドストレージ30から取得(ダウンロード)して、当該データに対して所定の処理を実行した後に当該データを画像形成装置10へ送信する。所定の処理の一例として、画像処理が有る。画像処理の一例として、OCR(Optical Character Recognition)処理、スタンプ処理及びバーコード付与処理等が有る。
【0012】
クラウドストレージ30は、クラウドサーバ20からアップロードされるデータを保存する1以上のコンピュータである。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態におけるクラウドサーバ20のハードウェア構成例を示す図である。図2のクラウドサーバ20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200、補助記憶装置202、メモリ装置203、CPU204、及びインタフェース装置205等を有する。
【0014】
クラウドサーバ20での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0015】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従ってクラウドサーバ20に係る機能を実行する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。図3において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0017】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM115には、各種の設定情報等が記憶される。
【0018】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード80に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD-ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
【0019】
図4は、本発明の実施の形態におけるクラウドサーバ20及びクラウドストレージ30の機能構成例を示す図である。図4において、クラウドサーバ20は、選択部21及びアプリケーション実行部22を有する。これら各部は、クラウドサーバ20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU204に実行させる処理により実現される。クラウドサーバ20は、また、アプリケーション情報記憶部23を利用する。アプリケーション情報記憶部23は、例えば、補助記憶装置202、又はクラウドサーバ20にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0020】
一方、クラウドストレージ30は、ドキュメント記憶部31を有する。ドキュメント記憶部31は、例えば、クラウドストレージ30を構成する補助記憶装置等を用いて実現可能である。
【0021】
ドキュメント記憶部31は、クラウドサーバ20からアップロードされたデータ(以下、「文書データ」という。)を記憶する。本実施の形態において、ドキュメント記憶部31は、同一の文書データ(同一の文書に関するデータ)について、複数のデータ形式のデータを記憶する。複数のデータ形式のうちの第1のデータ形式は、文書データについて特定の処理は可能であるが画像形成装置10がデータの全部を受信しないと印刷を開始できないデータ形式である。複数のデータ形式のうち第2のデータ形式は、画像形成装置10がデータの一部分を受信することで印刷の開始が可能であるデータ形式である。第2のデータ形式は、特定の処理は不可能であってもよい。本実施の形態において、特定の処理は画像処理である。但し、画像処理以外の処理に基づいて、ダウンロード対象のデータ形式が異なるようにしてもよい。
【0022】
文書データについての画像処理とは、文書データが示す画像を利用した処理をいう。例えば、当該画像から情報を抽出したり、当該画像を変更したりする処理が画像処理の一例として挙げられる。例えば、OCR処理、スタンプ押下処理、バーコード押下処理等が画像処理の具体的な一例である。
【0023】
本実施の形態では、PDF形式を第1のデータ形式の一例とし、PDL(Page Description Language)軽視委を第2のデータ形式の一例とする。PDFデータは、画像処理は可能であるが、その全部を画像形成装置10が受信しなければ印刷を開始することができない。一方、PDLデータについては、画像形成装置10は、その受信と並行して受信した部分について逐次的に印刷を実行することができる。
【0024】
選択部21は、ドキュメント記憶部31に記憶されている文書データのうち印刷対象として選択された文書データについてダウンロード対象とするデータ形式を選択する。選択部21は、クラウドサーバ20が実行可能な複数のアプリケーションのうち、画像処理を実行するアプリケーションが実行対象として選択された場合と、画像処理を実行しないアプリケーションが実行対象として選択された場合とで異なるデータ形式を選択する。
【0025】
図5は、本発明の実施の形態におけるアプリケーションの構成例を示す図である。図5が示すように、アプリケーションは、1以上のコンポーネントの順序付けられた組み合わせによって構成されるワークフローとして定義される。図5は、アプリケーションが3つのコンポーネントによって構成される例を示すが、コンポーネントの数はワークフローの定義に依存する。
【0026】
コンポーネントは、ワークフローを構成する処理単位ごとに定義されたプログラム部品であり、その機能はその実装に応じて異なる。図6は、コンポーネントの種類の一例を示す図である。図6では、外部ストレージ系か画像処理系かの観点でコンポーネントが分類されている。
【0027】
外部ストレージ系のコンポーネントは、クラウドストレージ30への文書データのアップロード、又はクラウドストレージ30からの文書データのダウンロードを実行するコンポーネントである。図6には、外部ストレージ系のコンポーネントの一例として、Dストレージアップロード、Dストレージダウンロード、Oストレージアップロード及びOストレージダウンロードが示されている。Dストレージアップロードは、"Dストレージ"というサービス名のクラウドストレージ30(以下、「Dストレージ」という。)へ文書データをアップロードするコンポーネントである。Dストレージダウンロードは、Dストレージから文書データをダウンロードするコンポーネントである。Oストレージアップロードは、"Oストレージ"というサービス名のクラウドストレージ30(以下、「Oストレージ」という。)へ文書データをアップロードするコンポーネントである。OストレージダウンロードはOストレージから文書データをダウンロードするコンポーネントである。
【0028】
画像処理系のコンポーネントは、入力データに対して画像処理を実行し、画像処理の結果として生成されるデータを出力するコンポーネントである。図6には、画像処理系のコンポーネントの一例として、OCR処理、画像スタンプ、PDFページ結合及びPDFページ分割が示されている。OCR処理は、入力データ(例えば、PDFデータ)に対してOCR処理を実行し、OCRの結果を出力するコンポーネントである。画像スタンプは、入力データ(例えば、PDFデータ)に対してスタンプ押下処理を実行し、その結果を出力するコンポーネントである。PDFページ結合は、複数のPDFデータを入力し、当該複数のPDFデータの各ページが結合された1つのPDFデータを生成するコンポーネントである。PDFページ分割は、1つのPDFデータを入力し、当該PDFデータのページごとに別々のPDFデータを生成するコンポーネントである。
【0029】
このようなコンポーネントを順序付けて組み合わせることで、例えば、図7に示されるようなアプリケーションを定義(作成)することができる。図7は、アプリケーションの一例を示す図である。図7には、アプリケーションA、アプリケーションB及びアプリケーションCの3つのアプリケーションが例示されている。これら各アプリケーションは、図7に示されるコンポーネントの順番で処理を実行する。各アプリケーションにおいて、先頭のコンポーネントは、アプリケーションに対する入力データを受け付けたり取得したりするコンポーネントであり、末尾のコンポーネントは、アプリケーションの成果物を出力するコンポーネントである。ここで、アプリケーションA及びアプリケーションBの先頭のコンポーネントは、PDFデータを入力とするコンポーネントである。PDFデータの入力元は、例えば、画像形成装置10である。すなわち、画像形成装置10において紙文書からスキャンされた画像を示すPDFデータが当該アプリケーションに入力される。
【0030】
図4に戻る。選択部21は、実行対象として選択されたアプリケーションが画像処理系のコンポーネントを含むか否かに基づいて、当該アプリケーションが画像処理を実行するか否かを判定する。選択部21は、当該アプリケーションが画像処理を実行する場合はPDF形式を選択し、画像処理を実行しない場合はPDL形式を選択する。
【0031】
アプリケーション実行部22は、実行対象として選択されたアプリケーションの処理を実行する。したがって、アプリケーション実行部22は、実行対象として選択されたアプリケーションとして機能する。アプリケーション実行部22は、実行対象として選択されたアプリケーションが外部ストレージ系のコンポーネントであって、クラウドストレージ30からダウンロードを実行するコンポーネント(図6の例では、Dストレージダウンロード又はOストレージダウンロード)を含む場合、選択部21によって判定されたデータ形式の文書データを、当該コンポーネントにダウンロード(取得)させる。
【0032】
アプリケーション情報記憶部23は、アプリケーションごとに、当該アプリケーションの構成情報を記憶する。アプリケーションの構成情報とは、アプリケーションを構成するコンポーネントの種別(画像処理系であるか否か)と、各コンポーネントの実行順とを示す情報である。すなわち、アプリケーションの構成情報とは、図7に示した内容を示す情報である。以下、アプリケーションの構成情報を「アプリケーション情報」という。
【0033】
以下、情報処理システム1において実行される処理手順について説明する。図8は、クラウドストレージ30への文書データのアップロード処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図8では、図7のアプリケーションA又はアプリケーションBのように、画像形成装置10においてスキャンされた画像を示す文書データを入力とし、処理結果の文書データをクラウドストレージ30へアップデートするアプリケーションが実行対象として選択されているとする。この場合、画像形成装置10は、紙文書のスキャンの実行指示の入力を待機する。
【0034】
ユーザによってスキャンの実行指示が入力されると、画像形成装置10は、紙文書をスキャンし、スキャンした画像を示す文書データをクラウドサーバ20へアップロード(送信)する(S101)。
【0035】
アプリケーション実行部22は、当該文書データを受信すると、実行対象として選択されたアプリケーション(以下、「対象アプリ」という。)のアプリケーション情報をアプリケーション情報記憶部23から取得し(S102、S103)、当該アプリケーション情報に基づいて対象アプリの処理を実行する。すなわち、アプリケーション実行部22は、当該文書データを入力とし、当該アプリケーション情報に定義に従ってコンポーネントを順番に実行することで、対象アプリの処理を実行する。その過程において、図6又は図7のDストレージアップロード又はOストレージアップロードのように、クラウドストレージ30へ文書データをアップロードするコンポーネントが呼び出されると、アプリケーション実行部22は、当該文書データをPDFデータ及びPDLデータに変換する(S104)。したがって、当該文書データに関して2つのデータ形式のデータが生成される。アプリケーション実行部22は、当該コンポーネントの処理として、当該PDFデータ及び当該PDLデータを当該コンポーネントに対応するクラウドストレージ30のドキュメント記憶部31へアップロード(送信)する(S105)。続いて、アプリケーション実行部22は、アップロードの完了通知を画像形成装置10へ送信する(S106)。
【0036】
このように、本実施の形態では。同じ文書データに対して2種類のデータ(PDFデータ及びPDLデータ)が生成され、それぞれがクラウドストレージ30に保存される。
【0037】
次に、クラウドストレージ30に保存されている文書データを画像形成装置10に印刷させる際の処理手順について説明する。
【0038】
図9は、クラウドストレージ30に保存されている文書データを画像形成装置10に印刷させる際の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図9では、実行対象のアプリケーションとして、図7のアプリケーションCのようにクラウドストレージ30から文書データをダウンロードするアプリケーションが選択済みであるとする。この場合、クラウドストレージ30に保存されている文書データの一覧が画像形成装置10の操作パネル15に表示される。
【0039】
ユーザが、当該文書データの一覧の中から処理対象(印刷対象)の文書データを選択すると(S201)、画像形成装置10は、当該文書データの識別情報(以下、「対象文書ID」という。)をクラウドサーバ20へ送信する(S202)。
【0040】
続いて、選択部21は、実行対象として選択されたアプリケーション(以下、「対象アプリ」という。)のアプリケーション情報をアプリケーション実行部22を介してアプリケーション情報記憶部23から取得する(S203~S206)。続いて、選択部21は、当該アプリケーション情報に基づいて対象アプリが画像処理系のコンポーネントを含むか否か(画像処理を実行するか否か)を判定する(S207)。
【0041】
対象アプリが画像処理系のコンポーネントを含む場合(すなわち、対象アプリが画像処理を実行する場合)、選択部21は、対象文書IDに係る文書データ(以下、「対象文書データ」という。)について、PDF形式のデータを対象アプリへの入力データとして選択し、対象文書IDに関してPDFデータのダウンロードをアプリケーション実行部22へ要求する(S211)。この場合、アプリケーション実行部22は、対象アプリの実行過程において、クラウドストレージ30から対象文書データをダウンロードするコンポーネントを実行する際に、対象文書データに係るPDFデータをクラウドストレージ30からダウンロード(取得)する(S212、S213)。
【0042】
一方、対象アプリが画像処理系のコンポーネントを含まない場合(すなわち、対象アプリが画像処理を実行しない場合)、選択部21は、対象文書データについて、PDL形式のデータを対象アプリへの入力データとして選択し、対象文書IDに関してPDLデータのダウンロードをアプリケーション実行部22へ要求する(S221)。この場合、アプリケーション実行部22は、対象アプリの実行過程において、クラウドストレージ30から対象文書データをダウンロードするコンポーネントを実行する際に、対象文書データに係るPDLデータをクラウドストレージ30からダウンロード(取得)する(S222、S223)。
【0043】
続いて、アプリケーション実行部22は、取得したデータ(PDFデータ又はPDLデータ)について、対象アプリに関する処理を実行する(S231)。例えば、対象アプリが画像処理系のコンポーネントを含む場合、画像処理が当該PDFデータに対して実行される。
【0044】
続いて、アプリケーション実行部22は、処理結果のPDFデータ又はPDLデータを画像形成装置10へ送信する(S232)。すなわち、対象アプリが画像処理系のコンポーネントを含む場合にはPDFデータが送信され、対象アプリが画像処理系のコンポーネントを含まない場合にはPDLデータが送信される。
【0045】
画像形成装置10は、PDFデータ又はPDLデータを受信すると、当該PDFデータ又は当該PDLデータに基づく印刷を実行する(S233)。ここで、PDFデータは、その全部が受信されないと印刷は開始されない。一方、PDLデータは、一部を受信すれば、当該一部について印刷の開始が可能である。すなわち、PDLデータが受信される場合、画像形成装置10は、受信した分について逐次的に印刷を実行可能である。具体的には、クラウドサーバ20から画像形成装置10に対してPDLデータが送信される場合、印刷の実行と送信とを並行して実行することが可能となる。その結果、PDLデータの送信時間の一部又はほぼ全部を、印刷時間に重ねることができる。したがって、PDFデータの場合に比べて印刷の所要時間(ユーザの待ち時間)を短縮化することができる。
【0046】
上述したように、本実施の形態によれば、ネットワークを介して取得されるデータに関する印刷の所要時間を短縮化することができる。
【0047】
また、クラウドサーバ20では様々なユーザがコンポーネントを組み合わせて、様々なアプリケーションを作成することができる。本実施の形態では、アプリケーションごとに自動的にPDFデータとPDLデータのどちらをクラウドストレージ30から取得したらよいかを自動で判断するため、取得するデータ形式を設定する作業負担をユーザに課すことなく適切なデータ形式を選択することができ、無駄な処理時間を省略することができる。
【0048】
なお、本実施の形態に記載された装置群は、本明細書に開示された実施形態を実施するための複数のコンピューティング環境のうちの1つを示すものにすぎない。
【0049】
ある実施形態では、クラウドサーバは、サーバクラスタといった複数のコンピューティングデバイスを含む。複数のコンピューティングデバイスは、ネットワークや共有メモリなどを含む任意のタイプの通信リンクを介して互いに通信するように構成されており、本明細書に開示された処理を実施する。同様に、画像形成装置10は、互いに通信するように構成された複数のコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0050】
また、上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0051】
なお、本実施の形態において、クラウドサーバ20は、情報処理装置の一例である。アプリケーション実行部22は、送信部の一例である。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 情報処理システム
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
20 クラウドサーバ
21 選択部
22 アプリケーション実行部
23 アプリケーション情報記憶部
30 クラウドストレージ
31 ドキュメント記憶部
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
115 NVRAM
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2017-211823
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9