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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023155524
(43)【公開日】2023-10-23
(54)【発明の名称】膨化ドライペットフードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/42 20160101AFI20231016BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20231016BHJP
【FI】
A23K50/42
A23K10/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064874
(22)【出願日】2022-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100130661
【弁理士】
【氏名又は名称】田所 義嗣
(72)【発明者】
【氏名】小俣 愛美
(72)【発明者】
【氏名】堀部 貴弘
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B150AA06
2B150AE15
2B150AE22
2B150AE26
2B150AE28
2B150CD30
2B150CE01
2B150CE02
2B150CE05
2B150CE07
2B150CE12
2B150CJ08
(57)【要約】
【課題】表面が滑らかで、嗜好性の良い膨化ドライペットフードの製造方法を提供すること。
【解決手段】膨化ドライペットフードの製造方法において、原料中、日本産業規格の20メッシュの標準篩を通過し170メッシュの標準篩上に90質量%以上が残る粒度のデュラムセモリナを20質量%以上50質量%以下使用することを特徴とする膨化ドライペットフードの製造方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨化ドライペットフードの製造方法において、原料中、日本産業規格の20メッシュの標準篩を通過し170メッシュの標準篩上に90質量%以上が残る粒度のデュラムセモリナを20質量%以上50質量%以下使用することを特徴とする膨化ドライペットフードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨化ドライペットフードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膨化ドライペットフードの製造方法として、例えば、小麦粉等の穀粉や澱粉、大豆粉、油脂、チキンミール、ビーフミール、ミネラル、ビタミン等を混合した原料に適量の水(原料混合物100質量部に対して10~40質量部)を加えて、押出機から100~150℃で押し出し、それを所定の長さに切断した後、水分含量が10質量%以下になるまで乾燥する製造方法が知られている。
このとき、水を加えた原料混合物の混練温度およびダイスからの押出温度が100℃以上であると一般に膨化したペットフードが得られる。
前記原料として穀類のセモリナを使用する場合があるが、例えば、水および主として穀粉またはセモリナを含む乾燥プレミックスの混合物を調製し、混合物を加熱し、押し出すことを含む加熱穀類または乾燥ペットフードの製造方法において、小麦、燕麦、とうもろこし、米のセモリナが挙げられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-298974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記膨化ドライペットフードの原料として小麦粉主体の配合では、嗜好性は、それほど高くはなく、膨化し易いために気泡が大きくなる傾向があり、そのために表明の凸凹も大きくなり、表面の生地が薄い部分では、製造ライン上で粒が擦れることで生地に穴が開き、見た目が悪くなる他に、カスが出やすく製品価値が下がるという問題があった。
従って、本発明の目的は、表面が滑らかで、嗜好性の良い膨化ドライペットフードの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、原料として、特定粒度のデュラムセモリナを特定割合で使用することにより、表面が滑らかで、嗜好性の良い膨化ドライペットフードを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、膨化ドライペットフードの製造方法において、原料中、日本産業規格の20メッシュの標準篩を通過し170メッシュの標準篩上に90質量%以上が残る粒度のデュラムセモリナを20質量%以上50質量%以下使用することを特徴とする膨化ドライペットフードの製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のペットフードの製造方法によれば、表面が滑らかで、嗜好性の良い膨化ドライペットフードを得ることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、ペットフードとは、犬や猫に与える餌であり、原料としては、前記デュラムセモリナ以外の原料は、従来からペットフードに使用されている原料が使用でき、特に限定はない、
例えばとうもろこし、大豆粕、グルテンフィード、グルテンミール、ビートパルプ、米粉、米糠、魚粉、チキンミール、ポークミール、動物性油脂等を挙げることができる。
これらは混合した後、必要であれば粉砕して使用する。
粉砕方法には特に限定はなく従来から使用されている粉砕方法が使用できる。
【0008】
本発明では、原料としてデュラムセモリナを原料中20質量%以上50質量%以下使用するが、デュラムセモリナの割合が原料中20質量%未満では、効果を十分に得ることができず50質量%を超えると、原料由来と思われるざらつきが発生するため好ましくない。
なお、本発明において、原料とは加水する前の原料をいう。
【0009】
本発明で使用するデュラムセモリナの粒度は、日本産業規格の20メッシュの標準篩を通過し170メッシュの標準篩上に90質量%以上が残る粒度である。
このような粒度のデュラムセモリナは、市販のデュラムセモリナを篩いにかけることで容易に得ることができる。
これより粒度が粗くなると表面に、ざらつきが発生するため好ましくない。
また、粒度が細かくなると表面に凹凸が発生するため好ましくない。
【0010】
前記原料を粉砕後、これに加水してエクストルーダーを使用して押し出し成型するが、エクストルーダーを使用して押し出し成型する従来からの方法が使用でき、エクストルーダーの使用方法には特に限定はない。
加水方法も原料に加水してエクストルーダーに投入する方法や、原料をエクストルーダーに投入した後、エクストルーダー内で蒸気や温水を使用して加水する方法等が使用できる。
乾燥方法にも特に限定はなく、従来から使用されている乾燥方法が使用できる。
例えば、熱風乾燥法を挙げることができる。
得られたペットフードの使用方法には、特に限定はなく、従来のペットフードと同様に犬や猫に与えることができる。
【実施例0011】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[嗜好性試験に使用する膨化ドライペットフード粒の調製]
コーンフラワー50質量部、小麦粉16質量部、大豆粕12質量部、チキンミール8質量部、ミートミール7質量部、小麦フスマ5質量部、ミネラル類(炭酸マンガン、炭酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト)1質量部、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、K3、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、ビオチン)1質量部を十分に混合した後、水20質量部を加えて一軸押出機(ウェンガー社製、X-20型)に供給し、温度140℃で混練してダイスから押し出し、切断した後、水分が10質量%になるように120℃で20分間、熱風乾燥機(エスペック社製、PH-202)で乾燥させて、膨化したドライペットフード粒を得た。
【0012】
[実施例1~3、比較例1~2、参考例1]
表1に示す量のデュラムセモリナ、小麦粉、牛脂、水を一軸エクストルーダー( ウェンガー社製:X-20型)に供給して、温度140℃で混練してダイスから押し出し切断した後、減圧乾燥機で乾燥させ、膨化ドライペットフード粒を得た。
表中、配合量の単位は質量部である。
使用したデュラムセモリナは、日本産業規格の20メッシュの標準篩を通過し170メッシュの標準篩上に90質量%残る粒度のものを使用した。
得られた膨化ドライペットフード粒の外観を以下の基準で10人のパネラーにより行った
<外観>
5点 表面の凹凸が細かく均一で、非常に良い
4点 表面の凹凸がかなり細かくほとんど均一で、良い
3点 普通
2点 表面の凹凸がやや粗くむらが見られ、悪い
1点 表面の凹凸が著しく粗くむらがあり非常に悪い
<嗜好性試験>
前記嗜好性試験に使用する膨化ドライペットフード粒90質量部と実施例1~3、比較例1~2、参考例1で得られた膨化ドライペットフード粒10質量部をよく混合し、これに牛脂5.4質量部とチキンレバーエキス2.2質量部で味付けして嗜好性試験用のドッグフードを得た。
コントロールトとして前記指向性試験に使用する膨化ドライペットフード粒に同じ味付けをしたドッグフードを調製した。
ドッグフードの嗜好性試験は、20頭の犬を1頭ずつ分離して個々の犬舎に収容し、それぞれの犬に試験用ドッグフードを餌皿に入れて個々の犬に給餌すると共に、コントロールとして同時に前記コントロール用ドッグフードを別の餌皿に同じ量、入れて個々の犬に給餌して2時間摂餌させる「二者択一」による嗜好性試験により行った。
嗜好性は、摂取したドッグフードの全量に対する試験用ドッグフードの摂取量の割合(質量%)で評価した。
同じ試験を2日間実施し、20頭の犬の平均値(ドッグフードの摂取割合の平均値)を求めた。
結果を表1に示す。
実施例1、2、3は優れた嗜好性及び外観であった。
【0013】
【表1】