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特開2023-156138排ガス希釈装置、排ガス希釈方法、及び、排ガス分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156138
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】排ガス希釈装置、排ガス希釈方法、及び、排ガス分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20231017BHJP
   G01N 1/38 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G01N1/22 G
G01N1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022065825
(22)【出願日】2022-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】榮谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】竹内 肇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 利成
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA02
2G052AB05
2G052AB06
2G052AB07
2G052AB08
2G052AB12
2G052AB22
2G052AC20
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052FB03
2G052FB07
2G052FD01
2G052HC27
2G052JA04
(57)【要約】
【課題】排ガス希釈装置の希釈トンネルに対して混合促進部の交換を容易にする。
【解決手段】排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈装置10であって、排ガス及び希釈用ガスが導入される希釈トンネル11と、希釈トンネル11の内部に設けられ、排ガス及び希釈用ガスの混合を促進する混合促進部12と、混合促進部12を交換するための開口部13と、開口部13を開閉する開閉機構14とを備え、開閉機構14により開口部13が開口された状態で混合促進部12が交換可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈装置であって、
前記排ガス及び前記希釈用ガスが導入される希釈トンネルと、
前記希釈トンネルの内部に設けられ、前記排ガス及び前記希釈用ガスの混合を促進する混合促進部と、
前記混合促進部を交換するための開口部と、
前記開口部を開閉する開閉機構とを備え、
前記開閉機構により前記開口部が開放された状態で前記混合促進部が交換可能に構成されている、排ガス希釈装置。
【請求項2】
前記希釈トンネルは、前記開口部よりも上流側部分である上流側トンネル部と、前記開口部よりも下流側部分である下流側トンネル部とを有し、
前記開閉機構による前記開口部の開閉に関わらず、前記上流側トンネル部及び前記下流側トンネル部の相対位置が固定されている、請求項1に記載の排ガス希釈装置。
【請求項3】
前記開閉機構は、前記希釈トンネルの壁に沿ってスライド移動することにより前記開口部を開閉するものである、請求項1又は2に記載の排ガス希釈装置。
【請求項4】
前記開閉機構は、前記希釈トンネルの壁にヒンジ部を介して設けられ、前記希釈トンネルに対して回転移動することにより前記開口部を開閉するものである、請求項1又は2に記載の排ガス希釈装置。
【請求項5】
前記開閉機構は、前記希釈トンネルの壁外面に装着される装着部と、当該装着部から前記開口部を介して前記希釈トンネルの内部に延びており、前記混合促進部が着脱可能に取り付けられる取り付け部とを有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の排ガス希釈装置。
【請求項6】
前記混合促進部は、オリフィス板である、請求項1乃至5の何れか一項に記載の排ガス希釈装置。
【請求項7】
前記希釈トンネルの下流に接続された定容量サンプリング部をさらに備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載の排ガス希釈装置。
【請求項8】
排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈方法であって、
前記排ガス及び前記希釈用ガスが導入される希釈トンネルと、前記希釈トンネルの内部に設けられ、前記排ガス及び前記希釈用ガスの混合を促進する混合促進部と、前記混合促進部を交換するための開口部と、前記開口部を開閉する開閉機構とを備える排ガス希釈装置を用いて、
前記開閉機構により前記開口部が開放された状態で前記混合促進部を交換し、交換された前記混合促進部を用いて前記排ガスを前記希釈用ガスにより希釈する、排ガス希釈方法。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の排ガス希釈装置と、
前記排ガス希釈装置により希釈された排ガスを分析する分析機器とを備える、排ガス分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス希釈装置、排ガス希釈方法、及び、排ガス分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば車両から排出される排ガスを分析する際には、特許文献1に示すように、排ガス希釈装置により排ガスを希釈し、希釈された排ガスを分析することが行われている。
【0003】
具体的にこの排ガス希釈装置は、導入された排ガス及び希釈用空気を混合することにより排ガスを希釈する希釈トンネルを有し、当該希釈トンネルの内部には、排ガス及び希釈用空気の撹拌・混合を促進するためのオリフィス板(混合促進部材)が設けられている。
【0004】
このオリフィス板は、希釈ガスと排ガスの混合を促進させるものであり、試験車両からの排ガス流量、排ガス流量に対する希釈比に応じた希釈ガスの流量、及び希釈排ガスの総量に応じて、適切な開口径のものが選択される。このため、試験車両の排気量に応じて、希釈トンネルからオリフィス板を交換する必要がある。
【0005】
しかしながら、希釈トンネルからオリフィス板を交換する場合には、希釈トンネルをオリフィス板が取り付けられた部分で分離し、分離された希釈トンネルの少なくとも一方を移動させる必要があり、この作業は大掛かりである。また、希釈トンネルが天井等から吊り下げて設けられている場合には、希釈トンネルを床に下ろす必要があり、これによっても交換作業が大掛かりとなってしまう。
【0006】
なお、流量計測用オリフィスとして特許文献2に示すように、全面座フランジの間にオリフィス板を挟み込んで配置する構成のものがあるが、オリフィス板を交換する際には、ボルトを緩めて全面座フランジの間隔を前後に拡げる必要があり、配管を前後方向に移動させなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-61913号公報
【特許文献2】特開2016-80599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、排ガス希釈装置の希釈トンネルに対して混合促進部の交換を容易にすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る排ガス希釈装置は、排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈装置であって、前記排ガス及び前記希釈用ガスが導入される希釈トンネルと、前記希釈トンネルの内部に設けられ、前記排ガス及び前記希釈用ガスの混合を促進する混合促進部と、前記混合促進部を交換するための開口部と、前記開口部を開閉する開閉機構とを備え、前記開閉機構により前記開口部が開放された状態で前記混合促進部が交換可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このように構成した本発明によれば、排ガス希釈装置の希釈トンネルに対して混合促進部の交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る排ガス希釈装置を用いた排ガス分析システムを示す模式図である。
図2】同実施形態の希釈トンネルにおける混合促進部及びその周辺構造を示す部分拡大断面図である。
図3】同実施形態の希釈トンネルにおいて開口部を開放した状態を示す部分拡大断面図である。
図4】変形実施形態の希釈トンネルにおける混合促進部及びその周辺構造を示す部分拡大断面図である。
図5】変形実施形態の希釈トンネルにおける混合促進部及びその周辺構造を示す部分拡大断面図である。
図6】変形実施形態の希釈トンネルにおける混合促進部及びその周辺構造を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0013】
本発明の排ガス希釈装置は、前述のとおり、排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈装置であって、前記排ガス及び前記希釈用ガスが導入される希釈トンネルと、前記希釈トンネルの内部に設けられ、前記排ガス及び前記希釈用ガスの混合を促進する混合促進部と、前記混合促進部を交換するための開口部と、前記開口部を開閉する開閉機構とを備え、前記開閉機構により前記開口部が開放された状態で前記混合促進部が交換可能に構成されている。
この排ガス希釈装置であれば、混合促進部を交換するための開口部を有し、当該開口部が開放された状態で混合促進部を交換することができるので、希釈トンネルに対して混合促進部の交換を容易にすることができる。具体的には、従来のように希釈トンネルを混合促進部の上流側部分と下流側部分に分離し、それら一方を移動させた後に、混合促進部を交換するという作業を不要にすることができる。また、混合促進部を交換することによって、希釈トンネル内を適切な流量に設定することができるとともに適切な希釈比に設定できるようになる。
【0014】
前記希釈トンネルが、前記開口部よりも上流側部分である上流側トンネル部と、前記開口部よりも下流側部分である下流側トンネル部とを有し、前記開閉機構による前記開口部の開閉に関わらず、前記上流側トンネル部及び前記下流側トンネル部の相対位置が固定されている。
この構成であれば、開口部よりも上流側部分である上流側トンネル部と、開口部よりも下流側部分である下流側トンネル部との相対位置が固定されているので、混合促進部の交換後において、上流側トンネル部と下流側トンネル部との中心軸合わせを行う必要がなく、混合促進部の交換作業を容易にすることができる。
なお、従来の構成では、希釈トンネルにおける混合促進部の上流側部分又は下流側部分の少なくとも一方を移動させる必要があり、交換後にそれらの中心軸合わせを行う必要があり、作業が大掛かりになってしまう。
【0015】
開閉機構の具体的な実施の態様としては、前記開閉機構が、前記希釈トンネルの壁に沿ってスライド移動することにより前記開口部を開閉するものである。
ここで、開閉機構が、希釈トンネルの壁に沿ってスライド移動することにより開口部を開閉する構成であれば、開閉機構が移動する際の希釈トンネル周りの移動空間を小さくすることができ、また、混合促進部の交換時に開閉機構が邪魔になりにくく、混合促進部の交換の作業性を向上することができる。
【0016】
また、開閉機構の具体的な実施の態様としては、前記開閉機構は、前記希釈トンネルの壁にヒンジ部を介して設けられ、前記希釈トンネルに対して回転移動することにより前記開口部を開閉するものである。
【0017】
開閉機構の具体的な実施の態様としては、前記開閉機構が、前記希釈トンネルの壁外面に装着される装着部と、当該装着部から前記開口部を介して前記希釈トンネルの内部に延びており、前記混合促進部が着脱可能に取り付けられる取り付け部とを有するものである。
【0018】
また、混合促進部の具体的な実施の態様としては、オリフィス板であることが考えられる。なお、その他の混合促進部としては、複数の孔を有するメッシュ状の板や渦巻き状に流れを誘導するノズル型の機構等を挙げることができる。
【0019】
排ガス希釈装置の具体的な実施の態様としては、前記希釈トンネルの下流に接続された定容量サンプリング部をさらに備えることが考えられる。
【0020】
本発明の排ガス希釈方法は、排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈方法であって、前記排ガス及び前記希釈用ガスが導入される希釈トンネルと、前記希釈トンネルの内部に設けられ、前記排ガス及び前記希釈用ガスの混合を促進する混合促進部と、前記混合促進部を交換するための開口部と、前記開口部を開閉する開閉機構とを備える排ガス希釈装置を用いて、前記開閉機構により前記開口部が開放された状態で前記混合促進部を交換し、交換された前記混合促進部を用いて前記排ガスを前記希釈用ガスにより希釈することを特徴とする。
【0021】
本発明の排ガス分析システムは、上述した排ガス希釈装置と、前記排ガス希釈装置により希釈された排ガスを分析する分析機器とを備えることを特徴とする。
【0022】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る排ガス希釈装置を用いた排ガス分析システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0023】
本実施形態の排ガス分析システム100は、図1に示すように、例えば供試体である車両Wの内燃機関(エンジンE)から排出される排ガスの一部又は全部を採取するとともに、その排ガスを希釈用ガス(例えば希釈用空気)で希釈することにより、排ガスに含まれる成分を分析するものである。なお、本実施形態の車両Wは、シャシダイナモメータSD上を模擬走行するものである。
【0024】
具体的に排ガス分析システム100は、図1に示すように、排ガスを希釈用ガスにより希釈する排ガス希釈装置10と、排ガス希釈装置10により希釈された排ガスを分析する分析機器20とを備えている。
【0025】
排ガス希釈装置10は、排ガス及び希釈用ガスが導入される希釈トンネル11と、当該希釈トンネル11の下流に接続されて排ガス及び希釈用ガスの合計流量を例えば一定流量に調整する定容量サンプリング部15(CVS;constant volume sampler)とを有している。なお、図1の希釈トンネル11は、天井等に吊り下げられたものであるが、床などに設置したものであっても良い。
【0026】
希釈トンネル11には、希釈トンネル11に排ガスを導入するための排ガス導入管16が接続されている。この排ガス導入管16の上流側には、エンジンEからの排ガスを排出する排出管(テールパイプ)が接続されている。また、希釈トンネル11には、排ガス導入管16が接続された部分よりも上流側に、希釈用ガスを導入するための希釈用ガス導入部17が設けられている。この希釈用ガス導入部17は、希釈トンネル11に接続されて希釈トンネル11に希釈用ガスを導入するための希釈用ガス導入管であっても良いし、希釈トンネル11に設けられて希釈トンネル11外の空気を清浄して導入する清浄フィルタを有する空気取り込み口であっても良い。
【0027】
この希釈トンネル11の内部には、図1及び図2に示すように、排ガス導入管16により導入された排ガス及び希釈用ガス導入部17により導入された希釈用ガスの混合・撹拌を促進するための混合促進部であるオリフィス板12が設けられている。このオリフィス板12は、中央部に円形状の開口を有しており、当該開口の中心が概略円筒状の希釈トンネル11の流路中心と略一致するように設けられている。
【0028】
本実施形態では、希釈トンネル11内部において排ガス導入管16の開口は、希釈トンネル11の下流を向いて開口しており、オリフィス板12の開口は、排ガス導入管16の開口と同軸上となるように正対して設けられている。なお、図2では、オリフィス板12の開口は、排ガス導入管16の開口よりも下流側に位置しているが、オリフィス板12の開口の内部に排ガス導入管16の開口が位置しても良いし、オリフィス板12の開口の下流側に排ガス導入管16の開口が位置しても良い。
【0029】
このように希釈トンネル11の内部にオリフィス板12を設けることによって、当該オリフィス板12の開口を希釈用ガスが通過することによって希釈用ガスを所望の乱流にすることができ、当該希釈用ガスと排ガスとの混合・撹拌が促進される。
【0030】
定容量サンプリング部15は、図1に示すように、希釈トンネル11の下流に接続されており、例えば臨界流量ベンチュリ(CFV)等の絞り部15aと、当該絞り部15aの下流に設けられた吸引ポンプ等の吸引部15bとを有している。吸引部15bにより生じる絞り部15aの上流側圧力と下流側圧力との差圧によって絞り部15aを流れるガスの流量が調整され、絞り部15aが臨界流量ベンチュリの場合には、差圧が所定値以上において一定流量となる。
【0031】
分析機器20は、図1に示すように、希釈トンネル11により希釈された希釈排ガスをサンプリングして、排ガス中の成分を分析するものである。この分析機器20としては、希釈排ガスに含まれる成分(例えばNO、SO、NH、CO、CO、HO、HC、THC、HCHO等)を連続測定する排ガス分析装置、希釈排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集するフィルタ又は当該フィルタ上のPMを分析するPM分析装置、希釈排ガスに含まれる粒子状物質の粒子数を分析するPN分析装置、希釈排ガスをバッグに採取する採取バッグ又は当該採取バッグに採取された排ガスを分析する排ガス分析装置等を用いることができる。
【0032】
<オリフィス板12の交換機構>
然して、本実施形態の排ガス希釈装置10は、車両Wからの排ガス流量、及び排ガス流量に対する希釈比に応じた希釈ガスの流量、そして希釈排ガスの総量に応じて、適切な開口径が選択できるようオリフィス板12を交換可能に構成されている。ここで、交換されるオリフィス板12は、互いに開口径が異なるオリフィス板12である。
【0033】
具体的に排ガス希釈装置10は、図2及び図3に示すように、希釈トンネル11の壁(ここではガスの流れ方向に直交する側壁)に形成され、オリフィス板12を交換するための開口部13と、開口部13を開閉する開閉機構14とをさらに備え、開閉機構14により開口部13が開放された状態でオリフィス板12が交換可能に構成されている。
【0034】
本実施形態の開口部13は、希釈トンネル11の周方向全体に亘って設けられている。ここで、希釈トンネル11は、開口部13よりも上流側部分である上流側トンネル部11aと、開口部13よりも下流側部分である下流側トンネル部11bとに分割されている。上流側トンネル部11a及び下流側トンネル部11bは、それらの中心軸が略一致するように固定されている。これにより、開閉機構14による開口部13の開閉に関わらず、上流側トンネル部11a及び下流側トンネル部11bの相対位置が固定されることになる。
【0035】
開閉機構14は、希釈トンネル11の開口部13を開閉するものであり、本実施形態では、希釈トンネル11に対してスライド移動することにより開口部13を開閉する構成としてある。
【0036】
具体的に開閉機構14は、図2及び図3に示すように、希釈トンネル11の側壁外面に装着される例えば円筒状の装着部14a1と、当該装着部14a1から開口部13を介して希釈トンネル11の内部に延びており、オリフィス板12が着脱可能に取り付けられる取り付け部14a2とを有している。
【0037】
開閉機構14は、上流側トンネル部11aに設けられる上流側要素14aと、下流側トンネル部11bに設けられる下流側要素14bとを有している。そして、本実施形態では、下流側要素14bが下流側トンネル部11bの側壁外面に沿ってスライド移動して、上流側要素14aに対して進退移動することにより、開口部13を開閉する構成としてある。
【0038】
そして、開閉機構14の上流側要素14aは、上流側トンネル部11aの側壁外面に装着される上流側装着部14a1と、当該上流側装着部14a1から開口部13を介して希釈トンネル11の内部に延びており、オリフィス板12が着脱可能に取り付けられる取り付け部14a2とを有している。なお、上流側装着部14a1と上流側トンネル部11aとの間には、Oリング等の1又は複数のシール部材が設けられている。また、取り付け部14a2にはオリフィス板12を取り付けるための凹部14a3が設けられており、当該凹部14a3とオリフィス板12との間には、Oリング等の1又は複数のシール部材が設けられている。
【0039】
また、開閉機構14の下流側要素14bは、下流側トンネル11bの側壁外面に装着される下流側装着部14b1と、当該下流側装着部14b1から開口部13を介して希釈トンネル11の内部に延びており、上流側要素14aの取り付け部14a2のオリフィス板12を押圧する押圧部14b2とを有している。そして、下流側装着部14b1は、下流側トンネル部11bの側壁外面に外から嵌っており、下流側トンネル部11bの中心軸方向に沿ってスライド移動可能に設けられている。なお、下流側装着部14b1と下流側トンネル部11bとの間には、Oリング等の1又は複数のシール部材が設けられている。また、押圧部14b2には、オリフィス板12に押圧接触するOリング等の1又は複数のシール部材が設けられている。
【0040】
そして、開閉機構14において、上流側要素14a及び下流側要素14bは、上流側トンネル部11aの側壁外面に設けられた例えばフランジ状の突起部14cに対して、ボルト及びナット等の固定機構18により締結固定される。この固定機構18により開口部13が開閉機構14により閉塞された状態となる。また、固定機構18により締結固定することにより、取り付け部14a2に取り付けられたオリフィス板12が、取り付け部14a2及び押圧部14b2により押圧固定される。
【0041】
次に、オリフィス板12を交換する場合には、図3に示すように、固定機構18を取り外し、下流側要素14bを下流側トンネル部11bの下流側(図3の右側)にスライド移動させる。これにより、開口部13が開放される。そして、開口部13から、上流側要素14aの取り付け部14a2に取り付けられたオリフィス板12を取り外す。その後、例えば開口径の異なる新しいオリフィス板12を取り付け部14a2に取り付ける。本実施形態では、取り付け部14a2に形成された凹部14a3にオリフィス板12を嵌めることにより位置決めされる。
【0042】
オリフィス板12を取り付け部14a2に取り付けた後、下流側要素14bを下流側トンネル部11bの上流側(図3の左側)にスライド移動させる。そして、固定機構18により突起部14cに上流側要素14a及び下流側要素14bを締結固定することによって、オリフィス板12の交換が完了する。このオリフィス板12の交換において、希釈トンネル11の上流側トンネル部11a及び下流側トンネル部11bは移動しないため、それらの相対位置は変化しない。また、上流側トンネル部11aに対してオリフィス板12が位置決めされるので、交換の前後において、オリフィス板12の中心軸は同じ位置となる。
【0043】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の排ガス分析システム100によれば、希釈トンネル11の側壁にオリフィス板12を交換するための開口部13を形成し、当該開口部13が開放された状態でオリフィス板12を交換することができるので、希釈トンネル11に対してオリフィス板12の交換を容易にすることができる。具体的には、オリフィス板12を交換する作業のために、希釈トンネル11をオリフィス板12の上流側部分と下流側部分に分離し、それら一方を移動させる作業を不要にすることができる。また、オリフィス板12を交換することによって、排ガスの導入される排ガスの流量に応じて、希釈トンネル11内を適切な流量に設定することができるとともに適切な希釈比に設定できるようになる。
【0044】
<その他の実施形態>
例えば、前記実施形態では、開閉機構14の上流側要素14aに取り付け部14a2が設けられ、開閉機構14の下流側要素14bに押圧部14b2が設けられた構成であったが、逆の構成、つまり、下流側要素14bに取り付け部が設けられ、上流側要素14aに押圧部が設けられる構成であっても良い。
【0045】
また、取り付け部14a2は、オリフィス板12を嵌め込むための凹部を有さない構成としても良い。この場合、取り付け部14a2には、オリフィス板12を位置決めするための凹部以外の位置決め部を設けても良い。
【0046】
また、開閉機構14は、図4に示すように、上流側トンネル部11a又は下流側トンネル部11bの一方(図4では下流側トンネル部11b)の側壁外面に装着される例えば円筒状の装着部141と、当該装着部141から開口部13を介して希釈トンネル11の内部に延びており、オリフィス板12が着脱可能に取り付けられる取り付け部142とを有していても良い。なお、装着部141と上流側トンネル部11aとの間には、Oリング等の1又は複数のシール部材(不図示)が設けられている。また、取り付け部142にはオリフィス板12を取り付けるための凹部142aが設けられており、当該凹部142aとオリフィス板12との間には、Oリング等の1又は複数のシール部材(不図示)が設けられている。この開閉機構14の装着部141を下流側トンネル部11bに対してスライド移動させることにより、開口部13が開閉される。なお、上流側トンネル部11aには、開閉機構14を例えばボルト及びナット等の固定機構18により固定するための固定用フランジ11dを設けても良い。
【0047】
さらに、図5に示すように、上流側トンネル部11a又は下流側トンネル部11bの一方(図5では下流側トンネル部11b)における開口部13側の内面にオリフィス板12を固定するための固定部19を設けても良い。この場合、開閉機構14は、上流側トンネル部11a又は下流側トンネル部11bの一方(図5では下流側トンネル部11b)の側壁外面に装着される例えば円筒状の装着部141を有する構成としても良い。この構成においては、装着部141の内面に雌ねじ部M1を形成し、上流側トンネル部11a及び下流側トンネル部11bの外面に雄ねじ部M2を形成して、装着部141を上流側トンネル部11a及び下流側トンネル部11bに螺合させることにより、開口部13を開閉させる構成とすることが考えられる。ここで、装着部141の材質を、上流側トンネル部11a及び下流側トンネル部11bの熱膨張係数よりも小さい材質とすることで、暖機運転時に装着部141と各トンネル部11a、11bとの隙間が埋まる構成にすることができる。
【0048】
その上、前記実施形態の開口部13は、希釈トンネルの周方向全体に亘って形成されているが、希釈トンネルの周方向の一部に形成されたものであっても良い。
【0049】
加えて、前記実施形態の開閉機構は、希釈トンネルに対してスライド移動するものであったが、希釈トンネルから分離可能に設けられ、希釈トンネルから取り外されることによって開口部を開放する構成であっても良い。また、開閉機構は、希釈トンネルに対して外側に移動可能に設けられ、開口部を開閉する構成としても良い。具体的に開閉機構14は、図6に示すように、希釈トンネル11の壁にヒンジ部143を介して回転可能に設けられた扉部材144を備え、当該扉部材144を希釈トンネル11に対して回転移動させることにより開口部13を開閉する構成としても良い。なお、図示しないが、扉部材144は、開口部13を閉じた状態でロック機構により希釈トンネル11の壁に固定される。
【0050】
また、前記実施形態の供試体は車両であったが、供試体としては車両の一部、具体的には、内燃機関(エンジンE)としても良い。この場合、排ガス希釈装置はエンジンベンチと組み合わされて用いられる。
【0051】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0052】
100・・・排ガス分析システム
10 ・・・排ガス希釈装置
20 ・・・分析機器
11 ・・・希釈トンネル
12 ・・・混合促進部(オリフィス板)
13 ・・・開口部
14 ・・・開閉機構
11a・・・上流側トンネル部
11b・・・下流側トンネル部
14a1・・・装着部
14a2・・・取り付け部
15 ・・・定容量サンプリング部
図1
図2
図3
図4
図5
図6