(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156320
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】dV/dt制御性を備えたIGBTを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20231017BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20231017BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231017BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H01L29/78 652J
H01L29/78 655G
H01L29/78 653C
H01L29/78 655A
H01L29/78 655F
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 652K
H01L29/78 658B
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118018
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2018199648の分割
【原出願日】2018-10-24
(31)【優先権主張番号】10 2017 124 872.2
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッレイ, アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ビーナ, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ダイネーゼ, マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】イエーガー, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェン, ヨハネス ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】フィリッポウ, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】サントス ロドリゲス, フランシスコ ハビエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】dV/dt制御性を備えたIGBTを製造する方法を提供する。
【解決手段】方法は、第1の導電型のドリフト領域100を備えた半導体本体10を設けるステップと、複数のトレンチ14~16を生成するステップと、半導体本体に、トレンチの一部を露出させトレンチの少なくとも1つをマスク材料302よって覆う保護層300を有するマスク配置30を設けるステップと、半導体本体及びマスク配置をドーパント材料供給ステップに供し、露出されたトレンチの底部の下方で、第1の導電型と相補的な第2の導電型の複数のドーピング領域1059を生成するステップと、マスク配置を除去するステップと、半導体本体を温度アニーリングし、複数のドーピング領域を、オーバーラップし、且つ、露出されたトレンチの底部に隣接する第2の導電型のバリア領域105を形成するように第1の横方向Xと平行に延在させる温度アニーリングステップと、を含む。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力半導体デバイス(1)を処理する方法(2)であって、
- 第1の導電型のドリフト領域(100)を備えた半導体本体(10)を設けることと、
- 複数のトレンチ(14、15、16)を生成すること(20)であって、前記トレンチ(14、15、16)は、垂直方向(Z)に沿って前記半導体本体(10)内に延在し、且つ第1の横方向(X)に沿って互いに隣接して配置される、複数のトレンチ(14、15、16)を生成すること(20)と、
- 前記半導体本体(10)にマスク配置(30)を設けること(22)であって、前記マスク配置(30)は、横方向構造(301)であって、それに従って前記トレンチ(14、15、16)の一部が露出され、及び前記トレンチ(14、15、16)の少なくとも1つが前記第1の横方向に沿って前記マスク機構(30)によって覆われる、横方向構造(301)を有する、マスク配置(30)を設けること(22)と、
- 前記半導体本体(10)及び前記マスク配置(30)をドーパント材料供給ステップに供すること(24)であって、それにより、前記露出されたトレンチ(14、15、16)の底部の下方で、前記第1の導電型と相補的な第2の導電型の複数のドーピング領域(1059)を生成する、ドーパント材料供給ステップに供すること(24)と、
- 前記マスク配置(30)を除去すること(26)と、
- 前記半導体本体(10)を温度アニーリングステップに供すること(28)であって、それにより、前記複数のドーピング領域(1059)を、オーバーラップし、且つ前記露出されたトレンチ(14、15、16)の前記底部に隣接する前記第2の導電型のバリア領域(105)を形成するように前記第1の横方向(X)と平行に延在させる、温度アニーリングステップに供すること(28)と
を含む方法(2)。
【請求項2】
前記温度アニーリングステップ(28)は、少なくとも、前記バリア領域(105)が、前記ドーパント材料供給ステップ(24)中に前記マスク配置(30)によって覆われたトレンチの底部及び/又は側壁に達するまで前記バリア領域(105)が横方向に延在するように実行される、請求項1に記載の方法(2)。
【請求項3】
前記温度アニーリングステップ(28)は、前記バリア領域(105)が前記トレンチ底部を越えて横方向に延在するように実行される、請求項2に記載の方法(2)。
【請求項4】
前記ドーパント材料供給ステップ(24)は、注入処理ステップを含む、請求項1~3の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項5】
前記温度アニーリングステップ(28)は、前記バリア領域(105)が1e14cm-3~4e17cm-3の範囲内の電気活性化ドーパント濃度を示すように実行され、前記電気活性化ドーパント濃度は、少なくとも0.1μmの前記垂直方向(Z)に沿った延在範囲内に存在する、請求項1~4の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項6】
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)により、前記垂直方向(Z)に且つ前記垂直方向(Z)に対して空間的に制限される、請求項1~5の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項7】
前記トレンチ(14、15、16)を生成することは、前記第1の横方向(X)に沿った各トレンチ幅が、前記垂直方向(Z)に沿った前記各トレンチの全延在範囲の少なくとも最初の80%に関して、前記各トレンチのトレンチ開口に存在するトレンチ幅の少なくとも95%の範囲内にとどまるように実行される、請求項1~6の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項8】
前記生成されたトレンチ(14、15、16)のそれぞれは、前記垂直方向(Z)と基本的に平行なトレンチ側壁を示し、前記注入(24)は、前記垂直方向(Z)に沿って実行される、請求項1~7の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項9】
少なくともトレンチ側壁において保護層(300)を設けることをさらに含み、前記ドーパント材料供給ステップ(24)は、前記露出されたトレンチの前記側壁に前記保護層(300)が存在する間に実行される、請求項1~8の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項10】
前記保護層(300)は、全てのトレンチ(14、15、16)に形成され、前記マスク配置(30)を設けることの前又は後に、エッチバック処理ステップは、前記トレンチ側壁(144、154、164)の前記保護層(300)を保持しながら、前記トレンチ(14、15、16)間の表面セクション(10-1)及びトレンチ底部(145、155、165)における前記保護層(300)を少なくとも部分的に除去するように実行される、請求項9に記載の方法(2)。
【請求項11】
前記マスク配置(30)を設けること(22)は、リソグラフィ処理ステップを実行することを含む、請求項1~10の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項12】
前記マスク配置(30)を設けること(22)は、ステンシルマスクを用いることを含む、請求項1~11の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項13】
前記トレンチ(14、15、16)内及びその上に犠牲平坦化構造(309)を形成すること(212)をさらに含み、前記マスク配置(30)は、前記犠牲平坦化構造(309)の上に設けられる、請求項1~12の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項14】
前記トレンチ(14、15、16)は、第1のピッチを有する第1のレイアウトに従って形成され、前記マスク配置(30)の前記横方向構造(301)は、第2のレイアウトに従って構成され、前記第2のレイアウトは、前記第1のピッチの少なくとも2倍の大きさの第2のピッチ又は形状サイズを有する、請求項1~13の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項15】
前記半導体本体(10)は、前記ドリフト領域(100)を備えた活性セル領域(1-2)であって、前記トレンチ(14、15、16)は、少なくとも前記活性セル領域(1-2)内に形成される、活性セル領域(1-2)と、前記垂直方向(Z)に沿って少なくとも前記バリア領域(105)と同じ深さに延在する前記第2の導電型のウェル領域(109)を含むエッジ終端領域(1-3)と、前記活性セル領域(1-2)と前記エッジ終端領域(1-3)との間に配置される遷移領域(1-5)であって、横方向(X、Y)に沿って前記活性セル領域(1-2)から前記エッジ終端領域(1-3)に向かって少なくとも1μmの幅(W)を有する遷移領域(1-5)とを含み、
- 前記遷移領域内に形成される前記トレンチ又はそのセクションは、前記マスク配置(30)によって覆われる、請求項1~14の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項16】
- 前記トレンチ(14、15、16)を、
-制御電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)と、
- ダミー電極(151)を有する少なくとも1つのダミートレンチ(15)と
において形成するステップと、
- 前記半導体本体(10)において且つ前記トレンチ(14、15、16)間において、
- 前記少なくとも1つの制御トレンチ(14)に隣接して配置される少なくとも1つの活性メサ(18)であって、前記制御電極(141)は、制御信号を受信し、且つ前記活性メサ(18)における負荷電流を制御するように構成される、少なくとも1つの活性メサ(18)と、
- 前記少なくとも1つのダミートレンチ(15)に隣接して配置される少なくとも1つの不活性メサ(19)と
を形成することと
をさらに含み、前記バリア領域(105)は、前記少なくとも1つの不活性メサ(19)と横方向にオーバーラップするように生成される、請求項1~15の何れか一項に記載の方法(2)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの制御トレンチ(14)及びそれに隣接するトレンチ(16)は、前記第1の横方向に沿って前記マスク配置(30)によって覆われ、前記バリア領域(105)は、少なくとも、前記ドーパント材料供給ステップ(24)中に前記マスク配置(30)によって覆われた前記隣接するトレンチ(16)の底部(165)及び/又は側壁(164)に達するまで横方向に延在する、請求項16に記載の方法(2)。
【請求項18】
前記温度アニーリングステップ(28)は、前記バリア領域(105)が前記トレンチ底部(165)を越えて前記少なくとも1つの活性メサ(18)内に横方向に延在するように実行される、請求項17に記載の方法(2)。
【請求項19】
前記バリア領域(105)は、前記ドリフト領域(100)によって前記制御トレンチ(14)から分離される、請求項18に記載の方法(2)。
【請求項20】
前記隣接するトレンチ(16)は、前記制御トレンチ(14)と比較して前記垂直方向(Z)に沿ってより大きい全延在範囲を有して形成され、前記温度アニーリングステップ(28)中の前記バリア領域(105)の横方向延在範囲は、前記隣接するトレンチ(16)によって阻止される、請求項17に記載の方法(2)。
【請求項21】
電力半導体デバイス(1)を処理する方法(2)であって、前記電力半導体デバイス(1)は、第1の負荷端子(11)及び第2の負荷端子(12)を含み、前記電力半導体デバイス(1)は、前記端子(11、12)間で垂直方向(Z)に沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ第1の導電型のドリフト領域(100)を備えた活性セル領域(1-2)と、第2の導電型のウェル領域(109)を有するエッジ終端領域(1-3)と、前記活性セル領域(1-2)内に配置される複数のIGBTセル(1-1)とをさらに含み、前記IGBTセル(1-1)のそれぞれは、前記垂直方向(Z)に沿って前記ドリフト領域(100)内に延在し、且つ複数のメサを横方向に制限する複数のトレンチを含み、前記複数のトレンチは、制御電極(141)を有する少なくとも1つの制御トレンチ(14)と、前記制御電極(141)に電気的に結合されたダミー電極(151)を有する少なくとも1つのダミートレンチ(15)と、前記第1の負荷端子(11)に電気的に接続されたソース電極(161)を有する少なくとも1つのソーストレンチ(16)とを含み、前記複数のメサは、前記少なくとも1つの制御トレンチ(14)と前記少なくとも1つのソーストレンチ(16)との間に配置された少なくとも1つの活性メサ(18)と、前記少なくとも1つのダミートレンチ(15)に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ(19)とを含み、前記方法(2)は、
- 前記第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域(105)を設けること(2200)であって、少なくとも前記ダミートレンチ(15)の底部(155)及び前記ソーストレンチ(16)の底部(165)の両方は、少なくとも部分的に前記電気的に浮遊するバリア領域(105)内に延在し、前記電気的に浮遊するバリア領域(105)と前記ウェル領域(109)との間で横方向(X、Y)に位置する前記ドリフト領域(100)の一部は、前記横方向に少なくとも1μmの横方向延在範囲を有する、バリア領域(105)を設けること(2200)
を含む、方法(2)。
【請求項22】
第1の負荷端子(11)及び第2の負荷端子(12)を含む電力半導体デバイス(1)であって、前記端子(11、12)間で垂直方向(Z)に沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ
- 第1の導電型のドリフト領域(100)と、
- 複数のIGBTセル(1-1)であって、前記IGBTセル(1-1)のそれぞれは、前記垂直方向(Z)に沿って前記ドリフト領域(100)内に延在し、且つ少なくとも1つの活性メサ(18)を横方向に制限する複数のトレンチ(14、15、16)を含み、前記少なくとも1つの活性メサ(18)は、前記ドリフト領域(100)の上側セクション(100-1)を含む、複数のIGBTセル(1-1)と、
- 前記ドリフト領域(100)により、前記垂直方向(Z)に且つ前記垂直方向(Z)に対して空間的に制限される第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域(105)と
を含み、
- 全ての活性メサ(18)の総量は、第1の構成分及び第2の構成分に分割され、前記第1の構成分は、前記バリア領域(105)と横方向にオーバーラップせず、及び前記第2の構成分は、前記バリア領域(105)と横方向にオーバーラップし、
- 前記第1の構成分は、少なくとも、前記電力半導体デバイス(1)が設計される公称負荷電流の0%~100%の範囲内の前記負荷電流を伝送するように構成され、及び
- 前記第2の構成分は、前記負荷電流が前記公称負荷電流の少なくとも0.5%を超える場合に前記負荷電流を伝送するように構成される、電力半導体デバイス(1)。
【請求項23】
前記第2の構成分は、前記負荷電流が前記公称負荷電流の少なくとも0.5%を超える場合にのみ、前記負荷電流を伝送するように構成される、請求項22に記載の電力半導体デバイス(1)。
【請求項24】
それぞれの活性メサ(18)は、前記各活性メサ(18)内で反転チャネルを誘起するように構成され、全ての活性メサ(18)は、同じ反転チャネル閾値電圧で構成される、請求項22又は23に記載の電力半導体デバイス(1)。
【請求項25】
前記負荷電流が前記公称負荷電流の50%を超える場合、前記活性メサ(18)の前記第1の構成分量によって伝導される第1の負荷電流構成分と、前記活性メサ(18)の前記第2の構成分量によって伝導される第2の負荷電流構成分との間の比率は、少なくとも前記第1の構成分量と前記第2の構成分量との間の比率の10%以内である、請求項22~24の何れか一項に記載の電力半導体デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、IGBTなどの電力半導体デバイスの実施形態及び電力半導体デバイスの処理の実施形態に言及する。特に、本明細書は、複数のトレンチが、電気的に浮遊するバリア領域内に延在する、ダミートレンチを含むマイクロパターントレンチ(MPT)を有するIGBTを処理する方法の実施形態に言及する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーの変換及び電気モータ又は電気機械の駆動など、自動車用途、民生用途、及び産業用途における現代のデバイスの多くの機能は、電力半導体デバイスに依存している。例えば、2~3例を挙げると、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)及びダイオードは、電源機構及び電力変換器のスイッチを含む(但し、これらに限定されない)様々な用途に使用されてきた。
【0003】
IGBTは、通常、IGBTの2つの負荷端子間の負荷電流路に沿って負荷電流を伝導するように構成された半導体本体を有する。さらに、負荷電流路は、ゲート電極と呼ばれることもある絶縁電極を用いて制御することができる。例えば、対応する制御信号を例えばドライバユニットから受信すると、制御電極は、導電状態及び阻止状態の一方にIGBTを設定することができる。
【0004】
場合により、ゲート電極は、IGBTのトレンチ内に含まれ得、このトレンチは、例えば、ストライプ構成又はニードル構成を示す場合がある。
【0005】
さらに、IGBTのトレンチは、異なるタイプの電極を一体化することができ、これらの電極の一部は、IGBTゲート端子に接続され得、他の電極は、IGBT負荷端子(例えば、ソース/エミッタ端子)に接続され得る。
【0006】
通常、IGBTの損失(例えば、スイッチング損失)を低く抑えることが望ましい。例えば、低スイッチング損失は、短いスイッチング期間(例えば、短いターンオン期間及び/又は短いターンオフ期間)を確保することによって達成することができる。
【0007】
一方、所与の用途では、電圧の最大勾配(dV/dt)及び/又は負荷電流の最大勾配(dl/dt)に関する要件も存在する場合がある。
【0008】
さらに、IGBTのスイッチング挙動は、その動作温度に依存する場合があり、広範囲の可能な動作温度内で電力損失及び電圧/電流勾配に関する前記規定を満たすことが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施形態によれば、電力半導体デバイスは、第1の導電型のドリフト領域を備えた活性セル領域と、少なくとも部分的に活性セル領域内に配置される複数のIGBTセルであって、各IGBTセルは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在する少なくとも1つのトレンチを含む、複数のIGBTセルと、活性セル領域を取り囲むエッジ終端領域と、活性セル領域とエッジ終端領域との間に配置される遷移領域であって、活性セル領域からエッジ終端領域に向かって横方向に沿って幅を有し、IGBTセルの少なくとも一部は、遷移領域内に配置されるか又は遷移領域内に延在する、遷移領域と、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域であって、活性セル領域内に且つIGBTセルのトレンチの少なくとも一部と接触して配置され、遷移領域内に延在しない、電気的に浮遊するバリア領域とを含む。
【0010】
別の実施形態によれば、電力半導体デバイスは、第1の負荷端子及び第2の負荷端子を含み、電力半導体デバイスは、前記端子間で垂直方向に沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ第1の導電型のドリフト領域を備えた活性セル領域と、第2の導電型のウェル領域を有するエッジ終端領域と、活性セル領域内に配置される複数のIGBTセルとを有し、IGBTセルのそれぞれは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在し、且つ複数のメサを横方向に制限する複数のトレンチを含む。複数のトレンチは、制御電極を有する少なくとも1つの制御トレンチと、制御電極に電気的に結合されたダミー電極を有する少なくとも1つのダミートレンチと、第1の負荷端子に電気的に接続されたソース電極を有する少なくとも1つのソーストレンチとを含む。複数のメサは、少なくとも1つの制御トレンチと少なくとも1つのソーストレンチとの間に配置された少なくとも1つの活性メサと、少なくとも1つのダミートレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサとを含む。電力半導体デバイスは、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域をさらに含み、少なくともダミートレンチの底部及びソーストレンチの底部の両方は、少なくとも部分的に電気的に浮遊するバリア領域内に延在し、電気的に浮遊するバリア領域とウェル領域との間に横方向に位置するドリフト領域の一部は、前記横方向に少なくとも1μmの横方向延在範囲を有する。
【0011】
さらに別の実施形態によれば、電力半導体デバイスを処理する方法が提示される。電力半導体デバイスは、第1の導電型のドリフト領域を備えた活性セル領域と、少なくとも部分的に活性セル領域内に配置される複数のIGBTセルであって、各IGBTセルは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在する少なくとも1つのトレンチを含む、複数のIGBTセルと、活性セル領域を取り囲むエッジ終端領域と、活性セル領域とエッジ終端領域との間に配置される遷移領域であって、活性セル領域からエッジ終端領域に向かって横方向に沿って幅を有し、IGBTセルの少なくとも一部は、遷移領域内に配置されるか又は遷移領域内に延在する、遷移領域とを含む。この方法は、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域を設けるステップを含み、電気的に浮遊するバリア領域は、活性セル領域内に且つIGBTセルのトレンチの少なくとも一部と接触して配置され、電気的に浮遊するバリア領域は、遷移領域内に延在しない。
【0012】
別の実施形態によれば、電力半導体デバイスを処理する別の方法が提示される。電力半導体デバイスは、第1の負荷端子及び第2の負荷端子を含み、電力半導体デバイスは、前記端子間で垂直方向に沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ第1の導電型のドリフト領域を備えた活性セル領域と、第2の導電型のウェル領域を有するエッジ終端領域と、活性セル領域内に配置される複数のIGBTセルとを含み、IGBTセルのそれぞれは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在し、且つ複数のメサを横方向に制限する複数のトレンチを含む。複数のトレンチは、制御電極を有する少なくとも1つの制御トレンチと、制御電極に電気的に結合されたダミー電極を有する少なくとも1つのダミートレンチと、第1の負荷端子に電気的に接続されたソース電極を有する少なくとも1つのソーストレンチとを含む。複数のメサは、少なくとも1つの制御トレンチと少なくとも1つのソーストレンチとの間に配置された少なくとも1つの活性メサと、少なくとも1つのダミートレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサとを含む。この別の方法は、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域を設けるステップを含み、少なくともダミートレンチの底部及びソーストレンチの底部の両方は、少なくとも部分的に電気的に浮遊するバリア領域内に延在し、電気的に浮遊するバリア領域とウェル領域との間で横方向に位置するドリフト領域の一部は、前記横方向に少なくとも1μmの横方向延在範囲を有する。
【0013】
別の実施形態によれば、電力半導体デバイスを処理する方法は、第1の導電型のドリフト領域を備えた半導体本体を設けるステップと、複数のトレンチを生成するステップであって、トレンチは、垂直方向に沿って半導体本体内に延在し、且つ第1の横方向に沿って互いに隣接して配置される、ステップと、半導体本体にマスク配置を設けるステップであって、マスク配置は、横方向構造であって、それに従ってトレンチの一部が露出され、及びトレンチの少なくとも1つがマスク配置によって覆われる、横方向構造を有する、ステップと、半導体本体及びマスク配置をドーパント材料供給ステップに供するステップであって、それにより、露出されたトレンチの底部の下方で、第1の導電型と相補的な第2の導電型の複数のドーピング領域を生成する、ステップと、マスク配置を除去するステップと、半導体本体を温度アニーリングステップに供するステップであって、それにより、複数のドーピング領域を、オーバーラップし、且つ露出されたトレンチの底部に隣接する第2の導電型のバリア領域を形成するように第1の横方向と平行に延在させる、ステップとを含む。
【0014】
さらに別の実施形態によれば、電力半導体デバイスは、第1の負荷端子及び第2の負荷端子を含む。電力半導体デバイスは、前記端子間で垂直方向に沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ第1の導電型のドリフト領域と、複数のIGBTセルであって、IGBTセルのそれぞれは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在し、且つ少なくとも1つの活性メサを横方向に制限する複数のトレンチを含み、少なくとも1つの活性メサは、ドリフト領域の上側セクションを含む、複数のIGBTセルと、ドリフト領域により、垂直方向に且つ垂直方向に対して空間的に制限される第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域とを含む。全ての活性メサの総量は、第1の構成分及び第2の構成分に分割され、第1の構成分は、バリア領域と横方向にオーバーラップせず、及び第2の構成分は、バリア領域と横方向にオーバーラップする。第1の構成分は、少なくとも、電力半導体デバイスが設計される公称負荷電流の0%~100%の範囲内の負荷電流を伝送するように構成される。第2の構成分は、負荷電流が公称負荷電流の少なくとも0.5%を超える場合に負荷電流を伝送するように構成される。
【0015】
当業者であれば、以下の詳細な説明を読み且つ添付の図面を見ることで追加の特徴及び利点を認識するであろう。
【0016】
図面におけるパーツは、必ずしも正確な縮尺ではなく、代わりに本発明の原理を示すことに重点を置いている。さらに、図面では、同様の参照符号は、対応するパーツを指す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図2】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図3A】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図3B】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図4A】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図4B】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図5】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスのドーパント濃度のコースを概略的且つ例示的に示す。
【
図6A】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図6B】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図6C】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図7】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図8A】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図8B】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図8C】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図8D】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図9】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの斜視投影を概略的且つ例示的に示す。
【
図10】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図11】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図12】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図13】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図14】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図15】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図16】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図17】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図18】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図19】1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイスの水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
【
図20】1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法のステップを概略的且つ例示的に示す。
【
図21】1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法のステップを垂直断面の1つ又は複数のセクションに基づいて概略的且つ例示的に示す。
【
図22】1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法のステップを垂直断面の1つ又は複数のセクションに基づいて概略的且つ例示的に示す。
【
図23】1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法のステップを垂直断面の1つ又は複数のセクションに基づいて概略的且つ例示的に示す。
【
図24】1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法のステップを垂直断面の1つ又は複数のセクションに基づいて概略的且つ例示的に示す。
【
図25】1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法のステップを垂直断面の1つ又は複数のセクションに基づいて概略的且つ例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなし、例示として、本発明を実施することができる具体的な実施形態を示す添付の図面を参照する。
【0019】
この点に関して、「最上部」、「底部」、「下方」、「前」、「後ろ」、「裏」、「立ち上がり」、「立ち下がり」、「下」、「上」などの方向を示す用語は、説明されている図面の配向に関連して使用される場合がある。実施形態の一部は、幾つかの異なる配向で配置することができるため、方向を示す用語は、例示目的で使用され、決して限定するものではない。他の実施形態を利用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的又は論理的な変更形態がなされ得ることが理解されるものとする。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味に解釈されるものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0020】
これより、詳細に様々な実施形態に言及し、それらの1つ又は複数の例を図面に示す。各例は、説明目的で提供されるものであり、本発明を限定するものではない。例えば、ある実施形態の一部として図示又は記載される特徴は、さらに別の実施形態をもたらすために他の実施形態に対して又は他の実施形態と併せて使用することができる。本発明は、そのような変更形態及び変形形態を含むことが意図されている。これらの例は、添付の請求項の範囲を限定するものと解釈されない特定の言語を用いて記載される。図面は、一定の縮尺ではなく、単なる例示目的のものである。分かり易くするために、別段の言明のない限り、同じ要素又は製造ステップは、異なる図面において同じ参照符号で示されている。
【0021】
本明細書で使用する「水平」という用語は、半導体基板又は半導体構造の水平面と実質的に平行な配向を表すことを意図する。これは、例えば、半導体ウエハ、ダイ、又はチップの面であり得る。例えば、以下に述べる第1の横方向X及び第2の横方向Yは、水平方向であり得、第1の横方向X及び第2の横方向Yは、互いに直角であり得る。
【0022】
本明細書で使用する「垂直」という用語は、実質的に水平面と直角に、すなわち半導体ウエハ/チップ/ダイの面の法線方向と平行に配置された配向を表すことを意図する。例えば、以下に述べる垂直方向Zは、第1の横方向X及び第2の横方向Yの両方と直角な延在方向であり得る。
【0023】
本明細書では、nドープは、「第1の導電型」と呼ばれ、一方、pドープは、「第2の導電型」と呼ばれる。代替的に、第1の導電型がpドープとなり、且つ第2の導電型がnドープとなることができるように逆のドーピング関係が用いられ得る。
【0024】
本明細書に関連して、「オーミック接触している」、「電気接触している」、「オーミック接続している」、及び「電気的に接続された」という用語は、半導体デバイスの2つの領域、セクション、ゾーン、部分若しくはパーツ間に、又は1つ若しくは複数のデバイスの異なる端子間に、又は端子、メタライゼーション若しくは電極と半導体デバイスの一部分若しくはパーツとの間に低オーミック電気接続又は低オーミック電流路が存在することを表すことを意図する。さらに、本明細書に関連して、「接触している」という用語は、各半導体デバイスの2つの要素間に直接的な物理接続が存在することを表すことを意図し、例えば、互いに接触している2つの要素間の遷移は、別の中間要素などを含まなくてもよい。
【0025】
さらに、本明細書に関連して、別段の言明のない限り、「電気絶縁」という用語は、一般的な妥当な意味解釈に照らして使用され、従って2つ以上の構成要素が互いに分離して配置され、且つこれらの構成要素を接続するオーミック接続が存在しないことを表すことを意図する。しかし、互いに電気的に絶縁された構成要素は、それでもなお互いに結合(例えば、機械的結合、及び/又は容量結合、及び/又は誘導結合)され得る。一例を挙げると、コンデンサの2つの電極が互いに電気的に絶縁され得、それと同時に例えば絶縁(例えば、誘電体)により互いに機械的及び容量的に結合され得る。
【0026】
本明細書に記載する具体的な実施形態は、例えば、ストライプセル又はセルラーセル構成を示す、IGBTなどの半導体デバイス、例えば電力変換器又は電源機構内で使用することができるIGBTに関するが、これに限定されない。従って、ある実施形態では、このようなIGBTは、負荷に供給され且つ/又は電源によって供給される負荷電流を伝送するように構成することができる。例えば、IGBTは、モノリシック集積IGBTセル及び/又はモノリシック集積RC-IGBTセルなどの1つ又は複数の活性電力半導体セルを有し得る。このようなトランジスタセルは、電力半導体モジュールに組み込まれ得る。複数のこのようなセルは、IGBTの活性セル領域と共に配置されるセルフィールドを構成し得る。
【0027】
本明細で使用する「電力半導体デバイス」という用語は、高電圧阻止能力及び/又は高電流伝送能力を備えたシングルチップ上の半導体デバイスを表すことを意図する。すなわち、このような電力半導体デバイス(例えば、IGBT)は、一般的にはアンペア範囲内の高電流(例えば、数十又は数百アンペアまで)、及び/又は一般的には15Vを超え、より一般的には100V以上(例えば、少なくとも1200Vまで)の高電圧を対象とする。
【0028】
例えば、下記の電力半導体デバイスは、ストライプトレンチセル構成又はセルラートレンチセル構成を示すIGBTであり得、低電圧、中電圧、及び/又は高電圧用途における電力構成要素として使用されるように構成することができる。
【0029】
例えば、本明細書で使用する「電力半導体デバイス」という用語は、例えば、データの保存、データの計算、及び/又は他のタイプの半導体ベースのデータ処理に使用される論理半導体デバイスを対象としない。
【0030】
図1は、1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイス1の水平投影の一セクションを概略的且つ例示的に示す。
図2は、1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイス1の垂直断面の一セクションを概略的且つ例示的に示す。以下では
図1及び
図2のそれぞれに言及する。
【0031】
電力半導体デバイス1は、IGBT、又は逆導電(RC)IGBTなどのIGBT構成に基づく構成を備えた電力半導体デバイスであり得る。
【0032】
例えば、電力半導体デバイス1は、第1の負荷端子11及び第2の負荷端子12に結合される半導体本体10を有する。例えば、第1の負荷端子11は、エミッタ端子であり、第2の負荷端子12は、コレクタ端子であり得る。
【0033】
半導体本体10は、第1の導電型のドリフト領域100を有し得る。ドリフト領域100は、nドープされ得る。ある実施形態では、ドリフト領域100は、2e12cm-3~4e14cm-3の範囲内の(電気活性化された)ドーパント濃度を有する。例えば、垂直方向Zに沿ったドリフト領域100の延在範囲及びそのドーパント濃度は、当業者に知られているように、電力半導体デバイス1が設計されるべき阻止電圧定格に基づいて選択される。本明細書内では、「ドリフト領域」という用語は、当業者が一般的にドリフト領域又はドリフトゾーンと指定する電力半導体デバイス(例えば、IGBT)のそのような領域を表すことを意図する。
【0034】
さらに、第1の負荷端子11は、電力半導体デバイス1の前側に配置され得、前側メタライゼーションを含み得る。第2の負荷端子12は、前側と反対側に(例えば、電力半導体デバイス1の背面に)配置され得、例えば背面メタライゼーションを含み得る。従って、電力半導体デバイス1は、垂直構成を示し得、負荷電流は、垂直方向Zに沿って伝導され得る。別の実施形態では、第1の負荷端子11及び第2の負荷端子12のそれぞれは、電力半導体デバイス1の共通の側に(例えば、ともに前側に)配置され得る。
【0035】
これより、より詳細に
図1を参照すると、電力半導体デバイス1は、活性セル領域1-2、エッジ終端領域1-3、及びチップエッジ1-4をさらに含み得る。エッジ終端領域1-3は、活性セル領域1-2を取り囲み得る。遷移領域1-5を活性セル領域1-2とエッジ終端領域1-3との間に配置することができる。例えば、遷移領域1-5は、活性セル領域1-2を取り囲む。遷移領域1-5は、エッジ終端領域1-3によって取り囲まれ得る。
【0036】
ある実施形態では、半導体本体10は、基本的に、エッジ終端領域1-3、遷移領域1-5、及び活性セル領域1-2から構成される。
【0037】
例えば、エッジ終端領域1-3、遷移領域1-5、及び活性セル領域1-2のそれぞれは、電力半導体デバイス1の前側から半導体本体10全体を通って電力半導体デバイス1の背面へ垂直方向Zに沿って延在する。エッジ終端領域1-3、遷移領域1-5、及び活性セル領域1-2のそれぞれは、半導体本体10の構成要素だけでなく、その外部の構成要素(例えば、第1の負荷端子11及び/又は第2の負荷端子12の構成要素)も含み得る。
【0038】
さらに、ある例では、横方向に沿って、半導体本体10内においてエッジ終端領域1-3と、遷移領域1-5と、活性セル領域1-2との間にオーバーラップが存在しない。従って、活性セル領域1-2は、遷移領域1-5によって完全に取り囲まれ得、半導体本体10内において、遷移領域1-5と活性セル領域1-2との間に、例えば第1の横方向X、第2の横方向Y、及びそれらの線形結合に沿って横方向のオーバーラップが存在しない。同様に、遷移領域1-5は、エッジ終端領域1-3によって完全に取り囲まれ得、半導体本体10内において、遷移領域1-5とエッジ終端領域1-3との間に、例えば第1の横方向X、第2の横方向Y、及びそれらの線形結合に沿って横方向のオーバーラップが存在しない。
【0039】
ある実施形態では、遷移領域1-5は、活性セル領域1-2からエッジ終端領域1-3に向かって横方向に沿って(例えば、第1の横方向Xに/第1の横方向Xに対して、及び第2の横方向Yに/第2の横方向Yに対して、並びに/又はこれらの横方向の線形組み合わせにおいて)少なくとも1μmの幅Wを有する。従って、遷移領域1-5の前記幅Wは、活性セル領域1-2とエッジ終端領域1-3との間の距離であり得る。この(最小)幅Wは、遷移領域1-5の全周囲に沿って存在し得る。遷移領域1-5の幅は、1μmより大きくてもよく、例えば3μmより大きくても、5μmより大きくても、又はさらに10μmより大きくてもよい。遷移領域1-5及びエッジ終端領域1-3の別の例示的特徴を以下に説明する。前記幅Wに沿ってドリフト領域100の一部が存在し得る。
【0040】
チップエッジ1-4は、半導体本体10を横方向に終端させ得、例えば、チップエッジ1-4は、例えばウエハダイシングによって生じたものであり得、垂直方向Zに沿って延在し得る。エッジ終端領域1-3は、
図1に示すように、活性セル領域1-2とチップエッジ1-4との間に配置され得る。
【0041】
本明細書では、「活性セル領域」及び「エッジ終端領域」という用語は、通常的に用いられ、すなわち、活性セル領域1-2及びエッジ終端領域1-3は、当業者が一般的にそれらと関連付ける原理的な技術的機能性を提供するように構成することができる。
【0042】
例えば、ある実施形態によれば、電力半導体デバイス1の活性セル領域1-2は、端子11と端子12との間で負荷電流の主要部分を伝導するように構成されるが、エッジ終端領域1-3は、負荷電流を伝導せずに、電界のコースに関する機能を果たすことにより、阻止能力を確実にし、活性セル領域1-2及び遷移領域1-5などを安全に終端させる。
【0043】
電力半導体デバイス1は、複数のIGBTセル1-1を有し、複数のIGBTセル1-1は、主に活性セル領域1-2内に配置される。例えば、電力半導体デバイス1の複数のIGBTセル1-1の大部分が活性セル領域1-2内に配置される。IGBTセル1-1の数は、100より大きくても、1000より大きくても、又はさらに10,000より大きくてもよい。例えば、IGBTセル1-1の総数の少なくとも85%、少なくとも95%、又は少なくとも98%が活性セル領域1-2内に配置される。ある実施形態では、残りのIGBTセル1-1が遷移領域1-5内に配置される。
図1に概略的に示すように、IGBTセル1-1の一部は、完全に遷移領域1-5内に配置され得、その他は、活性セル領域1-2内に配置され、且つそれぞれの横方向端部によって遷移領域内に延在し得る。
【0044】
ある実施形態では、
図1に概略的且つ例示的に示すように、各IGBTセル1-1は、少なくとも部分的に遷移領域1-5内に延在する。
【0045】
従って、例えば、IGBTセル1-1の一部は、
図1に概略的且つ例示的に示すように、遷移領域1-5内に配置されるか又は遷移領域1-5内に延在する。この点において、遷移領域1-5は、電力半導体デバイス1の活性領域の形態として理解することもできる。例えば、遷移領域1-5内に配置されるか又は遷移領域1-5内に延在するIGBTセル1-1の総数の前記構成分により、遷移領域1-5は、負荷電流の一部を伝導するようにも構成され得る。
【0046】
ある実施形態によれば、IGBTセル1-1は、エッジ終端領域1-3内に配置されない。しかし、エッジ終端領域1-3内において、例えばターンオフ動作の直前及び/又はターンオフ動作中に電荷担体の排出を支援する、特別に構成された電荷担体排出セル(
図1では不図示、
図6A~6Bを参照されたい)が含まれ得る。
【0047】
各IGBTセル1-1は、
図1に概略的に示すように、ストライプ構成を示し得、各IGBTセル1-1及びその構成要素の1つの横方向における、例えば第2の横方向Yに沿った全横方向延在範囲は、この横方向に沿った活性セル領域1-2の全延在範囲と実質的に一致し得、又はそれを僅かに超え得る。
【0048】
別の実施形態では、各IGBTセル1-1は、セルラー構成を示し得、各IGBTセル1-1の横方向延在範囲は、活性セル領域1-2の全横方向延在範囲よりも実質的に小さくてもよい。
【0049】
しかし、本明細に記載の実施形態は、ほとんどの図面に例示的且つ概略的に示すように、第2の横方向Yに関するストライプ構成を備えたIGBTセル1-1に関連している。
【0050】
ある実施形態では、活性セル領域1-2に含まれる複数のIGBTセル1-1のそれぞれは、同じ配置を示す。これより例示的IGBTセル配置の一セクションを
図2に関して説明する。
【0051】
遷移領域1-5内に含まれ得るIGBTセル1-1の構成は、活性セル領域1-2に含まれるIGBTセル1-1の構成と同じであり得る。追加的又は代替的に、遷移領域1-5は、活性セル領域1-2のIGBTセル1-1と比較して、例えばMPT接触手法/近傍関係(下記のより詳細な説明を参照されたい)の観点から異なる構成を備えたIGBTセルを含む。
【0052】
各IGBTセル1-1は、垂直方向Zに沿ってドリフト領域内に延在する少なくとも1つのトレンチを有する。各IGBTセル1-1は、少なくとも部分的に半導体本体10内に延在し得、且つドリフト領域100の少なくともあるセクションを有し得る。さらに、各IGBTセル1-1は、第1の負荷端子11と電気的に接続され得る。各IGBTセル1-1は、前記端子11と前記端子12との間で負荷電流の一部を伝導し、及び前記端子11と前記端子12との間に印加される阻止電圧を阻止するように構成され得る。
【0053】
電力半導体デバイス1を制御するために、各IGBTセル1-1は、制御トレンチ14内に含まれる制御電極141を備えることができ、及び導電状態及び阻止状態の一方に各IGBTセル1-1を選択的に設定するように構成され得る。
【0054】
例えば、
図2に示す例を参照すると、第1の導電型のソース領域101が第1の負荷端子11と電気的に接続され得る。ソース領域101は、例えば、ドリフト領域100よりも大幅に大きいドーパント濃度でnドープされ得る。
【0055】
さらに、第2の導電型のチャネル領域102がソース領域101とドリフト領域100とを離し得、例えば、チャネル領域102は、IGBT構成の一般原理に詳しい当業者に知られているように、ソース領域101をドリフト領域100から分離させることができる。チャネル領域102は、例えば、1e15cm-3~5e18cm-3の範囲内の電気活性化ドーパント濃度でpドープされ得る。チャネル領域102とドリフト領域100との間の遷移は、第1のpn接合1021を形成し得る。
【0056】
ソース領域101を第1の負荷端子11と接続させるために、第1の接触プラグ113は、ソース領域101及びチャネル領域102のそれぞれと接触するように第1の負荷端子11から垂直方向Zに沿って延在することができる。
【0057】
ドリフト領域100は、第2の負荷端子12と電気接触して配置されるドープ接触領域108と境界面をなすまで垂直方向Zに沿って延在し得る。領域105(下記により詳細に説明する)と、ドープ接触領域108との間に配置されるドリフト領域100のセクションは、ドリフト領域100の主要部分を形成し得る。ある実施形態では、ドリフト領域100のドーパント濃度は、当業者に知られているように、例えば第1の導電型のフィールド停止領域を形成するように、ドープ接触領域108との境界面を形成するドリフト領域100の下側セクションにおいて増加する。
【0058】
ドープ接触領域108は、電力半導体デバイス1の構成に従って形成され得、例えば、ドープ接触領域108は、第2の導電型のエミッタ領域(例えば、p型エミッタ)であり得る。RC-IGBTを形成するために、ドープ接触領域108は、第2の負荷端子12にも電気的に接続され、且つ一般的に「n短絡」と呼ばれる第1の導電型の小さいセクションによって遮断される第2の導電型のエミッタ領域によって構成され得る。
【0059】
例えば、各IGBTセル1-1は、前記制御トレンチ電極141を備えた少なくとも1つの制御トレンチ14と、ダミートレンチ電極151を備えた少なくとも1つのダミートレンチ15とを含み、前記トレンチ14及び15のそれぞれは、垂直方向Zに沿って半導体本体10内に延在し得、及び各トレンチ電極141及び151を半導体本体10から絶縁する絶縁体142及び152を含み得る。
【0060】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの制御トレンチ14及び少なくとも1つのダミートレンチ15のトレンチ電極141及び151は、それぞれ電力半導体デバイス1の制御端子13に電気的に結合され得る。
【0061】
図2は、ダミートレンチ15が制御トレンチ14に隣接して配置されることを例示的に示すが、IGBTセル1-1は、制御トレンチタイプ及びダミートレンチタイプと異なるタイプの1つ又は複数の別のトレンチを有し得、この少なくとも1つの別のトレンチは、制御トレンチ14に隣接して配置され得ることが理解されるものとする。例えば、前記少なくとも1つの別のトレンチは、トレンチ電極(他の図面では参照符号161)が第1の負荷端子11に電気的に接続されるソーストレンチ(他の図面では参照符号16)であり得る。これを以下により詳細に説明する。
【0062】
例えば、制御端子13は、ゲート端子である。さらに、制御端子13は、制御トレンチ電極141に電気的に接続され得、且つ例えば少なくとも絶縁構造132により、第1の負荷端子11、第2の負荷端子12、及び半導体本体10から電気的に絶縁され得る。
【0063】
ある実施形態では、電力半導体デバイス1は、例えば、導電状態及び阻止状態の一方に電力半導体デバイス1を選択的に設定するように、第1の負荷端子11と制御端子13との間に電圧を印加することによって制御され得る。
【0064】
例えば、電力半導体デバイス1は、例えば、当業者に知られているIGBTを制御する原理的な方法でゲート-エミッタ電圧VGEに基づいて制御されるように構成される。
【0065】
ある実施形態では、ダミートレンチ電極151も制御端子13に電気的に接続され得、従って制御トレンチ電極141と同じ制御信号を受信し得る。別の実施形態では、ダミートレンチ電極151は、1e-3オーム~1オームの範囲内、1オーム~10オームの範囲内、又は10オーム~100オームの範囲内の抵抗を有するレジスタにより、制御端子13に電気的に結合され得る。別の実施形態では、ダミートレンチ電極151は、第2の制御端子(不図示)に電気的に接続され、従って制御トレンチ電極141と異なる制御信号を受信する。
【0066】
さらに、電力半導体デバイス1の各IGBTセル1-1は、
図2に例示的に示すように、第1の負荷端子11と電気的に接続された少なくとも1つの活性メサ18を備えることができ、活性メサ18は、ソース領域101、チャネル領域102、及びドリフト領域100の一部を有し、活性メサ18において、これらの領域101、102、及び100の各セクションは、制御トレンチ14の側壁144に隣接して配置することができる。例えば、ソース領域101及びチャネル領域102のそれぞれは、例えば、第1の接触プラグ113により、第1の負荷端子11に電気的に接続される。
【0067】
電力半導体デバイス1のある実施形態では、ドープ接触領域108は、p型エミッタであり、活性メサ18は、全体的にp型エミッタ108と横方向にオーバーラップし得る。
【0068】
さらに、制御トレンチ電極141(本明細書では制御電極141とも呼ばれる)は、制御端子13から制御信号を受信し、且つ例えば電力半導体デバイス1を導電状態に設定するようにチャネル領域102内で反転チャネルを誘起することにより、活性メサ18の負荷電流を制御するように構成することができる。従って、第1の負荷端子11と活性メサ18との間の遷移181は、負荷電流が第1の負荷端子11から半導体本体10内へと通過し且つ/又はその逆の境界面を提供することができる。
【0069】
ある実施形態では、活性メサ18内の反転チャネルの誘起は、例えば、各活性メサ18内において、反転チャネル閾値電圧を超えると可能である。例えば、反転チャネル閾値電圧は、制御電極141の仕事関数、ソース領域101のドーパント濃度、チャネル領域102のドーパント濃度、トレンチ絶縁体142の関連する厚さ、トレンチ絶縁体142の誘電率の少なくとも1つに依存する。
【0070】
ある実施形態では、電力半導体デバイス1の全ての活性メサ18は、同じ反転チャネル閾値電圧で構成される。
【0071】
例えば、活性セル領域1-2に含まれる全てのIGBTセル1-1の制御電極141は、制御端子13に電気的に接続され得る。
【0072】
活性メサ18に加えて、電力半導体デバイス1の各IGBTセル1-1は、例えば少なくとも1つのダミートレンチ15に隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサ19を備えることができ、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の遷移191は、少なくとも第1の導電型の電荷担体に対して電気絶縁を提供する。
【0073】
ある実施形態では、IGBTセル1-1は、負荷電流が不活性メサ19と第1の負荷端子11との間の前記遷移191を越えることを防止するように構成され得る。例えば、不活性メサ19は、反転チャネルの誘起を許可しない。活性メサ18とは対照的に、ある実施形態によれば、不活性メサ19は、電力半導体デバイス1の導電状態中に負荷電流を伝導しない。例えば、不活性メサ19は、負荷電流を伝送する目的で使用されない廃止メサと見なすことができる。
【0074】
不活性メサ19の第1の実施形態では、不活性メサ19は、第1の負荷端子11に電気的に接続されず、例えば絶縁層112によって第1の負荷端子11から電気的に絶縁される。この実施形態では、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の遷移191は、第1の導電型の電荷担体だけでなく、第2の導電型の電荷担体にも電気絶縁を提供する。このために、ある変形形態では、不活性メサ19は、
図2に示すように、ソース領域101のセクション及びチャネル領域102のセクションの何れも有しておらず、不活性メサ19は、接触プラグ(参照符号111を参照されたい)による接触も行われない。別の変形形態では、不活性メサ19は、例えば、ソース領域101のセクション及び/又はチャネル領域102のセクションも有することにより、活性メサ18と同様に構成され得、活性メサ18との違いは、不活性メサ19のソース領域101のセクション(存在する場合)及びチャネル領域102のセクションの何れも第1の負荷端子11に電気的に接続されないことを含む。不活性メサ19の第1の実施形態によれば、電流が前記遷移191を越えることはない。
【0075】
不活性メサ19の第2の実施形態では、不活性メサ19は、第1の負荷端子11に電気的に接続され得、第1の負荷端子11と不活性メサ19との間の遷移191は、第2の導電型の電荷担体に対してではなく、第1の導電型の電荷担体のみに対して電気絶縁を提供する。すなわち、この第2の実施形態では、不活性メサ19は、第2の導電型の電荷担体の電流(例えば、正孔電流)が前記遷移191を通過することを可能にするように構成され得る。例えば、ダミートレンチ電極151の電位に応じて、このような正孔電流は、例えば、ターンオフ動作を実行する直前に、例えば半導体本体10内に存在する総電荷担体濃度を減少させるように一時的にのみ発生し得る。ある実施形態では、これはまた、逆導電IGBT構成において第1の導電型の電荷担体に対してのみ電気絶縁を有する不活性メサ19に関して生じ得、逆導電IGBT構成では、負荷電流は、ダイオードモード動作において一時的にこれらの不活性メサ19を通って伝送され、背面(ドープ接触領域108を参照されたい)は、第2の導電型のエミッタ及び第1の導電型のエミッタ(上記では「n短絡」と呼ばれる)の両方を有するように構造化される。上述の通り、この第2の実施形態では、不活性メサ19は、第1の負荷端子11に電気的に接続され得る。例えば、不活性メサ19の第2の導電型(下記の電気的に浮遊するバリア領域105と異なる)のドープ接触領域(不図示)は、
図3Bに概略的且つ例示的に示すように、例えば第1の接触プラグ113の1つにより、第1の負荷端子11に電気的に接続され得る。第2の導電型のドープ接触領域(不図示)は、不活性メサ19内に存在するドリフト領域100のセクションを第1の負荷端子11から分離され得る。例えば、不活性メサ19の第2の実施形態によれば、不活性メサ19内において、第1の負荷端子11に電気的に接続される、第1の導電型のドーパントでドープされた領域は存在しない。
【0076】
不活性メサ19の上記で例示した第1の実施形態及び第2の実施形態は、負荷電流が不活性メサ19と第1の負荷端子11との間の前記遷移191を越えることを防止するIGBTセル1-1の構成を提供することを可能にし得る。
【0077】
不活性メサ19は、制御トレンチ14及びダミートレンチ15により、又はダミートレンチ15及び別のトレンチタイプ(さらに以下に説明する)により横方向に制限され得る。不活性メサ19の別の任意選択的な態様を以下に説明する。例えば、一例では、ダミートレンチ電極151を制御端子13に電気的に接続することができるが、ある実施形態によれば、不活性メサ19が不活性メサ19内で反転チャネルを誘起することを許可しないため、ダミートレンチ電極151は、不活性メサ19における負荷電流を制御するように構成されない。
【0078】
電力半導体デバイス1は、
図2に概略的に例示的に示すように、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域105(以下では単に「バリア領域」とも呼ばれる)をさらに有し得る。このバリア領域105の例示的特徴をさらに以下でより詳細に説明する。バリア領域105のより詳細な説明の前に、電力半導体デバイス1のマイクロパターントレンチ構造(MPT)に関する例示的態様を説明する。
【0079】
図3A~3Bに概略的に示す実施形態を参照すると、活性セル領域1-2の各IGBTセル1-1は、垂直方向Zに沿って半導体本体10内に延在し、且つソーストレンチ電極161を半導体本体10から絶縁する絶縁体162を含む少なくとも1つのソーストレンチ16をさらに有し得、ソーストレンチ電極161は、第1の負荷端子11に電気的に接続される。例えば、少なくとも1つのソーストレンチ16は、
図3A~3Bに示すように、制御トレンチ14とダミートレンチ15との間に配置される。ある実施形態では、各IGBTセル1-1は、2つ以上のソーストレンチ16、例えば2つのソーストレンチ16(
図4Aを参照されたい)又は4つのソーストレンチ16(
図6Aを参照されたい)を有し得、これらのソーストレンチの各トレンチ電極161は、第1の負荷端子11に電気的に接続され得る。例えば、2つ以上のソーストレンチ16は、一方の側の制御トレンチ14と他方の側のダミートレンチ15との間に配置される。
【0080】
ある実施形態では、活性メサ18は、制御トレンチ14及びソーストレンチ16により横方向に制限され得る。例えば、制御トレンチ14の側壁144とソーストレンチ16の側壁164とは、第1の横方向Xに沿って活性メサ18を制限する。活性メサ18は、
図2に関して例示的に説明したように構成され得、例えば、第1の接触プラグ113は、チャネル領域102のセクション及びソース領域101のセクションのそれぞれを第1の負荷端子11に電気的に接続し得る。
【0081】
さらに、
図3A~3B及び
図4A~4Bに示す実施形態によれば、活性セル領域1-2の各IGBTセル1-1は、2つ以上の不活性メサ19を有し得、不活性メサ19の少なくとも1つは、ソーストレンチ16及びダミートレンチ15によって横方向に制限され得る。別の不活性メサ19は、2つのソーストレンチ16によって横方向に制限され得る。別の不活性メサ19は、2つのダミートレンチ15によって横方向に制限され得る。さらに別の不活性メサ19は、ダミートレンチ15の1つ及び制御トレンチ14によって横方向に制限され得る。図示のように、各不活性メサ19は、チャネル領域102のそれぞれのセクションを有し得、ある実施形態では、これらのセクションは、上記で説明した通り、第1の負荷端子11に電気的に接続されずに、例えば絶縁層112によって第1の負荷端子11から電気的に絶縁される。
【0082】
図3A~3Bに概略的に示す実施形態を参照すると、活性セル領域の各IGBTセル1-1は、少なくとも1つのソーストレンチ16に加えて又は少なくとも1つのソーストレンチ16の代わりとして、垂直方向Zに沿って半導体本体10内に延在し、且つトレンチ電極171を半導体本体10から絶縁する絶縁体172を含む少なくとも1つの浮遊トレンチ17をさらに有し得、浮遊トレンチ17のトレンチ電極171は、電気的に浮遊している。ある実施形態では、浮遊トレンチ17のトレンチ電極171は、第1の負荷端子11、第2の負荷端子12、制御端子13、及び半導体本体10のセクションの何れにも電気的に接続されない。
【0083】
ある実施形態では、電気的に浮遊するトレンチ電極171は、高オーミック抵抗の接続により、既定の電位(例えば、接触の電位又は別の半導体領域の電位)に接続される。例えば、前記高オーミック接続により、スイッチング動作中、電気的に浮遊するトレンチ電極171の電位は、一時的に既定の電位から切り離される。前記デカップリングは、前記スイッチング動作の時間スケールで(例えば、少なくとも10ns、又は少なくとも100ns、又は少なくとも10μsにわたって)生じ得る。例えば、前記高オーミック接続の抵抗は、1e2Ωを超えるか又は1e6Ωを超える。ある実施形態では、例えば静止状態で測定された、第1の負荷端子11と電気的に浮遊するトレンチ電極171との間のオーミック抵抗は、1e2Ωを超えるか又は1e6Ωを超える。
【0084】
例えば、少なくとも1つの浮遊トレンチ17は、存在する場合、制御トレンチ14とダミートレンチ15との間に配置することができる。さらに、
図3A~3Bに示すように、IGBTセル1-1は、追加的に、前記少なくとも1つのソーストレンチ16を有し得、ソーストレンチ16及び浮遊トレンチ17は、一方の側の制御トレンチ14と他方の側のダミートレンチ15との間に配置され得る。ある実施形態では、活性メサ18は、制御トレンチ14の側壁144とソーストレンチ16の側壁164とにより横方向に制限される。不活性メサ19は、ソーストレンチ16の側壁164、浮遊トレンチ17の側壁174、及びダミートレンチ15の側壁154の群のうちの少なくとも2つにより横方向に制限され得る。
【0085】
従って、ある実施形態によれば、活性領域の各IGBTセル1-1は、少なくとも1つの制御トレンチ14、少なくとも1つのダミートレンチ15、少なくとも1つのソーストレンチ16、及び任意選択的に少なくとも1つの浮遊トレンチ17を有し、少なくとも1つのソーストレンチ16(存在する場合)及び少なくとも1つの浮遊トレンチ17(存在する場合)は、制御トレンチ14とダミートレンチ15との間に配置することができる。
【0086】
ある実施形態では、電力半導体デバイス1は、IGBTであり得、その活性領域1-2の各IGBTセル1-1は、マイクロパターントレンチ(MPT)構造を示し得る。
【0087】
例えば、IGBTセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17のそれぞれ又は少なくとも大部分は、等しい空間寸法を示し得、及び規則的なパターンに従って配置され得る。例えば、トレンチ14、15、16、17のそれぞれは、垂直方向Zに沿った3μm~8μmの範囲内の深さ、及び第1の横方向Xに沿った0.4μm~1.6μmの範囲内の幅を示し得る。トレンチ14、15、16、17は、第1のピッチを有する第1のレイアウトに従って形成することができ、第1のレイアウトは、トレンチ幅及びメサ幅のそれぞれを定義し得る。
【0088】
さらに、IGBTセル1-1内に含まれ得る全トレンチ14、15、16、17のトレンチ電極141、151、161、171のそれぞれ又は少なくとも大部分は、例えば、垂直方向に沿った全延在範囲(各トレンチ底部145、155、165、175によって終端される)、及び第1の横方向への全延在範囲(すなわち、それぞれの側壁144、154、164、174によって終端されるトレンチ幅)に関する、及び/又は絶縁体142、152、162、172の寸法に関する等しい空間寸法を示し得る。さらに、IGBTセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17のそれぞれは、第1の横方向Xに沿って等間隔で配置することができる。例えば、IGBTセル1-1のメサ18及び19のそれぞれは、同じ幅を示し得、この幅は、0.1μm~0.3μmの範囲内、0.3μm~0.8μmの範囲内、又は0.8μm~1.4μmの範囲内であり得る。
【0089】
さらに、IGBTセル1-1内に含まれ得るトレンチ14、15、16、17の一部は、例えば、少なくとも100nmだけ、少なくとも500nmだけ、又は少なくとも1000nmだけバリア領域105内に延在し得る。この態様も以下により詳細に説明する。
【0090】
以下の説明に関して、これらの略語を適用する場合がある。
G=制御トレンチ14
D=ダミートレンチ15
S=ソーストレンチ16
F=浮遊トレンチ17
k=活性メサ18
o=不活性メサ19
【0091】
上述の通り、電力半導体デバイス1は、活性セル領域1-2内において、複数の等しく構成されたIGBTセル1-1を有し得る。ある実施形態では、上記で紹介した略語を用いて、活性セル領域1-2の各IGBTセル1-1内の例示的近傍関係は、以下のように表現することができる。
oDoSoSkGkSoSoD
【0092】
この例示的近傍関係(これは、本明細書において接触スキームとも呼ばれる)に限定されることなく、残りの図面の多くによる実施形態は、上記で特定した例示的近傍関係に基づいている。従って、IGBTセル1-1は、ある実施形態によれば、必ずしも浮遊トレンチ17を有する必要はないことが理解されるものとする。
【0093】
例えば、別の実施形態では、各IGBTセル1-1は、1つ又は複数の制御トレンチ14、及び1つ又は複数のソーストレンチ16のみを有する。さらに、このような実施形態では、各IGBTセル1-1は、1つ又は複数の活性メサ18のみを有し、不活性メサ19を有さない。例えば、この場合、接触スキームは、「kGkS」などであり得る。この場合、制御端子13に接続されたあらゆるトレンチ電極は、例えば、それぞれの反転チャネルを制御することにより、実際に活性メサを制御し、従ってダミートレンチは存在しない。さらに別の実施形態では、IGBTセル1-1は、1つ又は複数の制御トレンチ14、及び1つ又は複数の活性メサのみを有し、不活性メサ、ダミートレンチ、ソーストレンチ、及び浮遊トレンチの何れも有さない。
【0094】
上記で示した通り、接触スキームとは関係なく、電力半導体デバイス1は、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域105(以下では単に「バリア領域」とも呼ばれる)をさらに有し得る。
【0095】
ある実施形態では、バリア領域105は、活性メサ18のセクションと、ダミートレンチ15の底部155との間に導電性経路を提供するように構成される。従って、バリア領域105は、活性メサ18のセクションの電位をダミートレンチ15の底部155に誘導するように構成され得る。例えば、バリア領域105は、ダミートレンチ15の底部155と境界面をなすように活性メサ18内に延在し、そこからソーストレンチ16の底部165の下方に延在し、及び不活性メサ19を横断して延在する。
【0096】
上述の通り、電力半導体デバイス1は、複数のIGBTセル1-1を有し得、例えば、それらの大部分は、活性セル領域1-2内に含まれる。例えば、バリア領域105は、活性領域1-2内の複数のIGBTセル1-1内に含まれる不活性メサ19を互いに接続する。例えば、このために、バリア領域105は、各不活性メサ19内に部分的に延在し得る。バリア領域105は、少なくとも部分的に活性メサ18の一部内にさらに延在し得る。各ダミートレンチ底部155は、バリア領域105内に延在し得る。それにより、バリア領域105は、活性メサ内に存在する電位をダミートレンチ電極151に向かって誘導することができる。
【0097】
以下により詳細に説明するように、バリア領域105は、活性メサ18の一部(部分)と横方向にオーバーラップし得、且つ活性メサ18のその他(部分)と横方向にオーバーラップしていなくてもよい。例えば、このために、バリア領域105は、以下により詳細に説明するように、1つ又は複数の通路1053によって形成される横方向構造を示し得、及び/又はバリア領域105は、1つ又は複数の活性メサ18を備え得る(上記で説明したように)遷移領域1-5により、エッジ終端領域1-3から横方向に変位し得る。
【0098】
従って、より一般的な表現では、ある実施形態によれば、第1の負荷端子11及び第2の負荷端子12を有した電力半導体デバイス1が提示される。電力半導体デバイス1は、前記端子11と前記端子12との間で垂直方向Zに沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ第1の導電型のドリフト領域100と、複数のIGBTセル1-1であって、各IGBTセル1-1は、垂直方向Zに沿ってドリフト領域100内に延在し、且つ少なくとも1つの活性メサ18を横方向に制限する複数のトレンチ(例えば、14、15、16)を含み、少なくとも1つの活性メサ18は、ドリフト領域100の上側セクション100-1を含む、複数のIGBTセル1-1と、ドリフト領域100により、垂直方向Zに且つ垂直方向Zに対して空間的に制限される第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域105とを含む。
【0099】
全ての活性メサ18の総量は、第1の構成分及び第2の構成分に分けることができ、第1の構成分は、バリア領域105と横方向にオーバーラップせず、及び第2の構成分は、バリア領域105と横方向にオーバーラップする。例えば、活性メサ18の第1の構成分は、バリア領域105の少なくとも1つの通路1053(さらに以下の説明を参照されたい)、又はバリア領域105が存在しないドリフト領域100の別のセクション(例えば、遷移領域1-5内)と横方向にオーバーラップする。これに対して、活性メサ18の第2の構成分は、バリア領域105と横方向にオーバーラップする。例えば、第2の構成分によって伝導される負荷電流は、バリア領域105を横断する。
【0100】
ある実施形態では、第1の構成分は、少なくとも、公称負荷電流(この公称負荷電流用に電力半導体デバイスが設計される)の0%~100%の範囲内の負荷電流を伝送するように構成される。第2の構成分は、負荷電流が公称負荷電流の少なくとも0.5%を超える場合に負荷電流を伝送するように構成され得る。
【0101】
従って、活性メサ18の第1の構成分は、例えば、電力半導体デバイス1のターンオン中に負荷電流の伝導を開始する「イグニッション量」と見なすことができ、一方、第2の構成分は、最初に不活性な状態のままである。次いで、負荷電流が公称負荷電流の閾値(例えば、少なくとも0.5%)を超える場合、例えばその場合に限り(この閾値は、0.5%より高くてもよく、例えば1%より高くてもよく、例えば少なくとも5%又は少なくとも10%であり得る)、バリア領域105は、第2の構成分も負荷電流を伝送することができるように導電性がより高くなり得る。
【0102】
例えば、電力半導体デバイス1の公称負荷電流の10%未満、又は1%未満、又は0.5%未満の小さい負荷電流の場合、バリア領域105と横方向のオーバーラップのない活性メサ18(すなわち総量の前記第1の構成分)は、第1の導電型の電荷担体のエミッタとして機能することができ、例えば、これにより電力半導体デバイス1の伝達又は出力特性のスナップバックを回避することができる。より大きい負荷電流(公称負荷電流の0.5%、1%、5%、又は10%を超える)の場合、上側pn接合1051は、第1の導電型の電荷担体に対して順方向バイアスモードにある。この場合、これは、第1の導電型の電荷担体が、バリア領域105と横方向にオーバーラップする活性メサ18(すなわち総量の前記第2の構成分)によって放出されることも可能にすることができる。
【0103】
既に上記で説明した通り、各活性メサ18は、それぞれの活性メサ18内で反転チャネルを誘起するように構成することができる。例えば、全ての活性メサ18は、同じ反転チャネル閾値電圧で構成される。従って、上記で例示的に説明した、第2の構成分量内での負荷電流伝導の開始と、第1の構成分量内での負荷電流伝導の開始との間の遅延は(これによれば、例えば、ターンオン中、バリア領域105と横方向にオーバーラップする活性メサ18の第2の構成分量は、負荷電流が例えば少なくとも0.5%の前記閾値を超える場合にのみ負荷電流を伝送する)、例えば、第2の構成分量を制御する制御電極に供給される制御信号と異なる制御信号を、第1の構成分量を制御する制御電極に提供すること、及び反転チャネル閾値電圧間の差の何れによっても引き起こされない。より正確に言えば、ある実施形態によれば、第1の構成分量及び第2の構成分量は、同じ制御信号を与えられ、及び同じ反転チャネル閾値電圧で構成され、前記遅延は、バリア領域105を適切に配置し、及びバリア領域105を横方向に構造化することによってのみ達成される。
【0104】
従って、ある実施形態では、活性メサ18の第1の構成分量と、活性メサ18の第2の構成分量との間の唯一の差別化特徴は、第1の構成分量がバリア領域105と横方向にオーバーラップしないこと、及び第2の構成分量がバリア領域105と横方向にオーバーラップすることである。例えば、それにより、前記例示的に記載した負荷電流伝導開始(開始時刻)間の遅延が達成される。
【0105】
例えば、負荷電流が両方の構成分量によって伝導されると、負荷電流は、これらの構成分量間の比率に応じて構成分量間で分配することができる。ある実施形態では、負荷電流が公称負荷電流の50%を超える場合、活性メサ18の第1の構成分量によって伝導される第1の負荷電流構成分と、活性メサ18の第2の構成分量によって伝導される第2の負荷電流構成分との間の比率は、第1の構成分量と第2の構成分量との間の比率の少なくとも10%以内であり得、又は活性メサ18の第1の構成分量によって伝導される第1の負荷電流構成分と、活性メサ18の第2の構成分量によって伝導される第2の負荷電流構成分との間の比率は、第1の構成分量と第2の構成分量との間の比率と(少なくとも実質的に)同一であり得る。
【0106】
電気的に浮遊するバリア領域105は、ドリフト領域100により、垂直方向Zに且つ垂直方向Zに対して空間的に制限され得る。従って、バリア領域105は、上側pn接合1051及び下側pn接合1052のそれぞれをドリフト領域100と共に形成し得、下側pn接合1052は、ダミートレンチ15の底部155よりも下側に配置することができる。例えば、上側pn接合1051は、不活性メサ19内に、従ってダミートレンチ15の底部155より上に配置される。垂直方向Zに沿った第1のpn接合1021と、上側pn接合1051との間の距離は、少なくとも0.5μmであり得る。従って、ある実施形態によれば、2つのpn接合1021及び1051は、互いに同じではなく、ドリフト領域100によって互いに離される。
【0107】
すなわち、バリア領域105は、ドリフト領域100の少なくとも一部によってチャネル領域102から離され得る。例えば、バリア領域105は、垂直方向Zに沿って、一方の側のドリフト領域100の上側セクション100-1と、他方の側のドリフト領域100の下側セクション100-2とによって制限され、前記上側セクション100-1は、IGBTセル1-1のチャネル領域102への遷移を形成する。下側セクション100-2は、ドープ接触領域108(これは、上記で示したようにp型エミッタであり得る)と境界面をなすまで垂直方向Zに沿って延在し得る。
【0108】
ある実施形態では、バリア領域105は、第2の導電型の他の半導体領域と接触せずに、例えばドリフト領域100のセクションによって第2の導電型の他の半導体領域から離される。例えば、バリア領域105から、最も近い第2の導電型の他の半導体領域までの距離は、少なくとも1μm、又は少なくとも2μmとなる。従って、例えば、チャネル領域102とバリア領域105との間にp型接続が存在せず、バリア領域105と、エッジ終端領域1-3のウェル領域109(さらに下記で述べる)との間にもp型接続が存在しない。前記距離に沿ってドリフト領域100の一部が存在し得る。
【0109】
上述の全ての実施形態に関して、ある変形形態によれば、メサ18及び19内に含まれるドリフト領域100のセクション、例えばチャネル領域102と第1のpn接合1021を形成し、及びバリア領域105と上側pn接合1051を形成する上側セクション100-1(下記の説明を参照されたい)は、バリア領域105の下方に配置されるドリフト領域100のセクション(例えば、バリア領域105と下側pn接合1052を形成するドリフト領域100の前記下側セクション100-2)のドーパント濃度と比較して少なくとも2倍の大きさのドーパント濃度を示し得る。
【0110】
メサ18及び19内に含まれるドリフト領域100の前記セクション(上側セクション100-1)は、それぞれ1e14cm-3~4e17cm-3の範囲内の最大ドーパント濃度(例えば、少なくとも1e16cm-3の最大ドーパント濃度)を示し得る。例えば、メサ18及び19内に含まれ、且つ前記増加したドーパント濃度を示し得るドリフト領域100の前記セクションは、「nバリア領域」とも呼ぶことができる。例えば、メサ18及び19内に含まれるドリフト領域100のセクションのドーパント濃度は、上側pn接合1051が、トレンチ底部145及び155より僅かに上のレベルにとどまるように選択される。
【0111】
ここで、
図4Bを参照すると、ある変形形態によれば、ドリフト領域100の上側セクション(セクション100-1)における増加したドーパント濃度は、局所的にのみ提供される。例えば、複数の活性メサ18のうちの1つのみ、又は複数の活性メサ18のうちの数個のみ、又は複数の活性メサ18の全てが局所nバリア領域100-3を有する。例えば、局所nバリア領域100-3のそれぞれは、バリア領域105又はバリア領域通路1053の上に且つそれぞれのチャネル領域102の下方に配置される。例えば、各nバリア領域100-3は、それぞれのチャネル領域102と接触して配置され、そこから垂直方向Zに沿って下に(p)バリア領域105と境界面をなすまで、又は(p)バリア105が存在しない場合、対応するZ方向のレベルで終端するまで/それぞれの場所で通路1053を示すまで延在する。第1の横方向Xに沿って、各nバリア領域100-3は、それぞれの活性メサ18を充填し得る。各nバリア領域100-3は、ドリフト領域100の下側セクション100-2のドーパント濃度の少なくとも2倍の大きさの最大ドーパント濃度を示し得る。例えば、各nバリア領域100-3は、1e14cm
-3~4e17cm
-3の範囲内の最大ドーパント濃度(例えば、少なくとも1e16cm
-3の最大ドーパント濃度)を示す。これに対して、この変形形態によれば、不活性メサ19内に含まれるドリフト領域の上側セクション100-1は、ドリフト領域100の下側セクション100-2の最大ドーパント濃度と実質的に等しい最大ドーパント濃度を示し得、例えば、不活性メサ19内に設けられるnバリア領域100-3は存在しない。
【0112】
ある変形形態によれば(不図示)、上側pn接合1051は、ダミートレンチ15の底部155及び制御トレンチ14の前記底部145のそれぞれよりも下に配置され得る(この例は、図示されない)。この場合、ダミートレンチ15の底部155と、上側pn接合1051との間の垂直方向Zに沿った距離は、3μm未満、2μm未満、又は1μm未満であり得る。
【0113】
例えば、バリア領域105は、0.1μm~0.5μmの範囲内、0.5μm~1μmの範囲内、又は1μm~5μmの範囲内の垂直方向Zに沿った厚さを示す。
【0114】
バリア領域105と、バリア領域105内に延在するトレンチとの間の垂直方向Zに沿った共通垂直延在範囲は、例えば、50nm~3000nmの範囲内であり得る。ある実施形態では、バリア領域105は、トレンチの全て又はトレンチの少なくとも大部分と比較して垂直方向Zに沿ってさらに延在する(すなわち半導体本体10内のより深いレベルへと下に)。
【0115】
バリア領域105は、ある実施形態によれば、10Ωcmを超え且つ1000Ωcm未満の(例えば、100Ωcmを超え且つ500Ωcm未満の)抵抗率を示し得る。
【0116】
バリア領域105は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ジフルオロボリル(BF2)、三フッ化ホウ素(BF3)、又はそれらの組み合わせの少なくとも1つを含み得る。これらの例示的材料のそれぞれは、ある実施形態によれば、ドーパント材料として機能することができる。さらに、これらの例示的材料のそれぞれは、バリア領域105を形成するように半導体本体10内に注入することができる。
【0117】
例えば、バリア領域105は、1e14cm-3より大きく且つ4e14cm-3より小さい電気活性化ドーパント濃度を示す。例えば、約1e16cm-3の前記ドーパント濃度は、少なくとも0.5μm又は少なくとも1μmの垂直方向Zに沿った延在範囲を有して存在し得る。さらに、バリア領域105は、ダミートレンチ15の底部155がバリア領域105内に延在する領域において最大ドーパント濃度を示し得る。
【0118】
ある実施形態では、バリア領域105のドーパント濃度は、チャネル領域102内に存在するドーパント濃度より小さい。例えば、バリア領域105の最大ドーパント濃度は、チャネル領域102内に存在するドーパント濃度の1%~80%の範囲内である。
【0119】
垂直方向Zに沿った第2の導電型のドーパントのドーパント濃度(CC)の例示的コースを
図5に示し、実線は、第2の導電型のドーパント濃度(N
A)を示し、点線は、第1の導電型のドーパント濃度(N
D)を示す。従って、上側セクションでは、例えば第1の負荷端子11に近接して、ドーパント濃度N
Aは、チャネル領域102(チャネル領域102は、上記で説明した通り、不活性メサ19の場合、不活性メサ19の構成に応じて第1の負荷端子に電気的に接続され、又は第1の負荷端子に電気的に接続されない)に与えるように比較的高くてもよい。次いで、ドーパント濃度N
Aは、ドリフト領域100(前記上側セクション100-1)が存在するメサのセクションにおいて急速に減少する。チャネル領域102と、ドリフト領域100の上側セクション100-1との間の遷移は、各メサ内で前記第1のpn接合1021を形成し得る。不活性メサ19がチャネル領域102のセクションを有さない場合、それに応じて、第1の負荷端子11の始まりと、バリア領域105の始まりとの間のドーパント濃度CCの値は、
図5に示す極小値LM以下に対応する値となる。この場合、例えば各トレンチ底部155の前で、ドーパント濃度N
Aは、バリア領域105を形成するように(再び)増加する。ドリフト領域100の上側セクション100-1と、バリア領域105との間の遷移は、上側pn接合1051を形成する。図示の通り、バリア領域105は、各トレンチが終端するレベルと実質的に等しい深さレベル(例えば、ダミートレンチ15の底部155のレベル)でドーパント濃度最大値CCMを示し得る。次いで、ドーパント濃度N
Aは、ドリフト領域100の下側セクション100-2と下側pn接合1052を形成するように再び減少する。
【0120】
例えば、電気的に浮遊するバリア領域105は、既定の電位に(例えば、第1の負荷端子11、第2の負荷端子12、及び制御端子13の何れにも)電気的に接続されない。ある実施形態では、電気的に浮遊するバリア領域105は、高オーミック抵抗の接続により、既定の電位(例えば、接触の電位、又は別の半導体領域の電位)に接続される。例えば、前記高オーミック接続により、スイッチング動作中、バリア領域105の電位は、一時的に既定の電位から切り離される。前記デカップリングは、前記スイッチング動作の時間スケールで(例えば、少なくとも10ns、又は少なくとも100ns、又は少なくとも10μsにわたって)生じ得る。例えば、前記高オーミック接続の抵抗は、1e2Ωを超えるか又は1e6Ωを超える。
【0121】
ある実施形態では、例えば静止状態で測定された、第1の負荷端子11とバリア領域105との間のオーミック抵抗は、1e2Ωを超えるか又は1e6Ωを超える。
【0122】
例えば、バリア領域105が電気的に浮遊していることを確実にするために、バリア領域105は、遷移領域1-5内に延在せず、例えば、バリア領域105は、
図1に示すように活性セル領域1-2内にのみ配置することができる。
【0123】
例えば、バリア領域105は、遷移領域1-5内に延在しない。上記で説明した通り、遷移領域1-5は、IGBTセル1-1の幾つかを備えることができ、従って電力半導体デバイス1の活性領域(すなわち負荷電流の一部の伝導も行う電力半導体デバイスの一部)と見なすことができる。
【0124】
ある実施形態では、遷移領域1-5は、電気的に浮遊するバリア領域105のセクション及び第2の導電型の別の電気的に浮遊する半導体領域の何れも含まない。例えば、遷移領域1-5内に含まれる浮遊するpドープ半導体領域は存在しない。
【0125】
上記で説明した通り、バリア領域105は、電気的に浮遊しており、それと同時に、バリア領域105は、IGBTセル1-1のトレンチの少なくとも一部と接触して配置することができる。従って、バリア領域105は、トレンチ絶縁体142、152、及び162と境界面をなし得る。例えば、少なくともソーストレンチ底部165及び/又は少なくともダミートレンチ底部155は、例えば、ソーストレンチ電極161、ダミートレンチ電極151、及びバリア領域105が垂直方向Zに沿って少なくとも100nm、少なくとも50nm、又は少なくとも1000nmの共通垂直延在範囲を有するようにバリア領域105内に延在する(バリア領域105は、トレンチ底部と比較して垂直方向Zに沿ってさらに延在し得る)。
【0126】
1つ又は複数の実施形態による電力半導体デバイス1の垂直断面の一セクションを例示的且つ概略的に示した
図6A~6Cに関して、この態様をより詳細に説明し、
図6Bは、第1の横方向Xに沿った
図6Aのセクションの続きを示し、
図6Cは、第1の横方向Xに沿った
図6Bのセクションの続きを示す。
【0127】
図6Aから開始して、第1の負荷端子11は、絶縁構造80(例えば、カプセル封じ)によって部分的に覆われ得る。活性セル領域1-2内に複数の前記IGBTセル1-1が配置され、各IGBTセル1-1は、前記例示的接触スキーム/近傍関係、すなわち「oDoSoSkGkSoSoD」を示す。別の実施形態では、異なる接触スキームが用いられる。
【0128】
活性メサ18は、前記第1の接触プラグ113によって第1の負荷端子11に電気的に接続され、ソーストレンチ16のソース電極161は、第2の接触プラグ115により、第1の負荷端子11に電気的に接続される。制御トレンチ14の制御電極141及びダミートレンチ15のダミー電極151は、例えば、ゲートランナ135(
図6Bを参照されたい)により、制御端子13に電気的に接続される。
【0129】
遷移領域1-5内では、同様に接触スキーム「oDoSoSkGkSoSoD」又はこれと異なる接触スキームを示す場合がある1つの別のIGBTセル1-1が配置される。さらに第1の横方向Xに沿って1つの別のダミートレンチ15、別の複数のソーストレンチ16、及び1つの制御トレンチ14が配置され、制御トレンチ14に隣接して2つの活性メサ18が配置される。従って、遷移領域1-5内で負荷電流の一部の伝導を行うことができる。
【0130】
トレンチパターンは、エッジ終端領域1-3内でも第1の横方向Xに沿って継続し得、エッジ終端領域1-3内のこのようなトレンチは、ソーストレンチ16であり得る。前記ソーストレンチ16間のメサは、第1の接触プラグ113により、第1の負荷端子11に電気的に接続され得る。従って、ソーストレンチ16と、第1の負荷端子11に電気的に接続されるこれらのトレンチ間のメサとは、電荷担体排出セルを形成することができる。
【0131】
エッジ終端領域1-3内において、第2の導電型の半導体ウェル領域109をさらに配置することができる。例えば、ウェル領域109は、pドープされ、例えばトレンチ14、15、16及び16の全延在範囲と比較してさらに垂直方向Zに沿って絶縁層112から延在する。例えば、ウェル領域109は、半導体本体内にバリア領域105とほぼ同じ深さまで延在する。
【0132】
図6Aをさらに参照すると、バリア領域105は、活性セル領域1-2と遷移領域1-5との間の遷移で終端し得る。例えば、バリア領域105は、活性セル領域1-2内のみに配置され、遷移領域1-5内及びエッジ終端領域1-3内の何れにも延在しない。
【0133】
一方、ウェル領域109は、エッジ終端領域1-3内のみに配置され、遷移領域1-5内及び活性セル領域1-2内の何れにも延在しない。上記で説明した通り、遷移領域1-5は、活性セル領域1-2を完全に取り囲み得、及びエッジ終端領域1-3によって完全に取り囲まれ得る。遷移領域1-5の最小幅W、すなわちバリア領域105とウェル領域109との間の最小距離は、1μmであり、前記最小幅は、1μmより大きくてもよい(例えば、3μm、5μm、又はさらに10μm若しくは20μmより大きくてもよい)。前記幅Wに沿ってドリフト領域100の一部が存在し得る。
【0134】
例示的に示したように、ウェル領域109は、例えば、前記第1の接触プラグ113によって第1の負荷端子11に電気的に接続されるため、ウェル領域109内の電位は、第1の負荷端子11の電位と実質的に同じであり得る。従って、遷移領域1-5及びその最小幅Wにより、バリア領域105が実際に電気的に浮遊していることをより確実に保証することができる。
【0135】
ある実施形態では、ウェル領域109は、1e15~5e18cm-3の範囲内の電気活性化最大ドーパント濃度を有する。ウェル領域109は、垂直方向Zに沿って、例えばトレンチ14、15、16よりもさらに、例えばバリア領域105とドリフト領域100との間に形成される下側pn接合1052に実質的に相当するレベルまで下に延在し得る。
【0136】
これより
図6Bを参照すると、ウェル領域109は、半導体VLD(横方向ドーピング変化)又はJTE(接合終端拡張構造)領域107と境界面をなすまで第1の横方向Xに沿って延在し得る。また、VLD/JTE領域107は、第2の導電型であり得、ウェル領域109より低いドーパント濃度を有し得る。一般に、電力半導体デバイスの終端構造内のこのようなVLD又はJTE領域の概念は、当業者に知られており、従って本明細書ではより詳細なVLD又はJTE領域107の機能の説明を行わない。安全上の理由から、VLD/JTE領域107は、厚さのある酸化物層85(これは、LOCOS層又は埋込フィールド酸化膜であり得る)により、ゲートランナ135の電位から分離され得る。代替的に、当業者に知られている他の終端概念が使用され得る。
【0137】
例えば、ゲートランナ135は、ウェル領域109及びVLD領域107のそれぞれと横方向にオーバーラップする。
【0138】
これより
図6Cを参照すると、VLD領域107は、チップエッジ1-4よりかなり前のエッジ終端領域1-3内の位置で終端し得る。チップエッジ1-4とVLD領域107の終端との間の領域は、基本的に、ドリフト領域100の非構造化セクションによって構成され得、ここで、チップエッジ1-4に近接してチャネルストッパ構成を設け得る。一般に、電力半導体デバイスのチップエッジに近接したチャネルストッパ構成の概念も当業者に知られている。例えば、
図6A~6Cに例示的に示した実施形態によれば、チャネルストッパ構成を形成するために、第2の負荷端子12の電位を示すコレクタ接触121が設けられる。これに接続されるのは、トレンチ125の電極である。例えば、トレンチ125は、同様に遷移領域1-5を完全に取り囲むため、終端領域1-3のコースをたどる。チャネルストッパ構成を形成するために、別のトレンチ1251及び1252が設けられ得る。トレンチ125、1251、及び1252の両側に第2の導電型の半導体領域127が位置し得る。
【0139】
ある実施形態では、バリア領域105は、横方向構造を備える。例えば、バリア領域105は、遷移領域1-5と境界面をなすまで活性セル領域1-2全体を通って延在する横方向に構造化された層として形成される。従って、バリア領域105は、活性セル領域1-2内のみに配置され得、遷移領域1-5内に延在しない。活性セル領域1-2内では、バリア領域105は、横方向に構造化される。
【0140】
例えば、IGBTセル1-1は、第1のピッチを有する第1のレイアウトに従った横方向構造を有して構成され、バリア領域105の横方向構造は、第2のレイアウトに従って構成され、第2のレイアウトは、第1のピッチの少なくとも2倍の大きさの第2のピッチを有する。従って、バリア領域105の横方向構造は、トレンチパターンよりも粗くなり得る。
【0141】
バリア領域105の横方向構造は、複数のパススルー通路1053(以下では単に「通路」とも呼ばれる)によって形成することができる。このような概念を一般的に
図7に例示的に示す。例えば、第2のレイアウトによれば、各パススルー通路1053は、第1のレイアウトに従って形成された最小トレンチ幅及び/又は最小メサ幅の少なくとも2倍の大きさの最大横方向延在範囲を示し得る。
【0142】
ある実施形態では、1つ又は複数の通路1053は、電力半導体デバイス1の公称負荷電流の10%未満又は1%未満の電流に対する負荷電流通路を提供する。より大きい負荷電流に対して、活性セル領域1-2全体は、部分が両方でバリア領域105とオーバーラップするか否かにかかわらず、負荷電流を伝送する。従って、ある実施形態によれば、公称負荷電流の10%未満又は1%未満の負荷電流は、バリア領域105を横断する必要はないが、1つ又は複数の通路1053を通過する場合がある。例えば、バリア領域105が存在せず、すなわち活性メサ18内で誘起され得る反転チャネルの垂直投影(垂直方向Zに沿った)で(例えば、ソース領域101の垂直投影で)前記通路1053を示す。
【0143】
前段落に記載した起こり得る影響は、バリア領域105と横方向にオーバーラップしない活性メサ18の総量の第1の構成分と、バリア領域105と横方向にオーバーラップする活性メサ18の総量の第2の構成分とに関して上記でもより詳細に説明している。
【0144】
ある実施形態では、1つ又は複数の通路1053は、ソース領域101の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップするように位置付け及び/又は寸法の決定が行われる。
【0145】
例えば、バリア領域105は、活性セル領域1-2内において、及び例えば第1の負荷端子11及び第2の負荷端子12のそれぞれと実質的に平行に、且つ少なくともドリフト領域100によってこれらの端子11、12のそれぞれから分離して配置される「カーペット」を形成し得る。このようなバリア領域105のカーペット状構成は、トレンチ底部145並びに155及び/又は165がバリア領域105内に突入し得るように半導体本体10内に位置付けられ得る。
【0146】
通路1053は、活性メサ18の1つ又は複数と横方向にオーバーラップし得る。従って、上記で紹介した視覚的語彙に従えば、バリア領域105は、「パッチワークカーペット」として実現され得、1つ又は複数の通路1053は、ドリフト領域100のセクションで完全に充填され得る。通路1053の寸法、位置、及び数は、例えば、セル構成に従って選択することができる。
【0147】
バリア領域105は、電力半導体デバイス1の活性セル領域1-2内の連続的なバリア層として(例えば、前記「カーペット」として)実現され得る。上記に示したように、ダミートレンチ底部155及び/又は制御トレンチ底部145及び/又はソーストレンチ底部165のそれぞれは、バリア領域105内に延在し得、例えば、ダミートレンチ15及び/又は制御トレンチ14及び/又はソーストレンチ16は、少なくとも100nm、少なくとも500nm、又は少なくとも1000nmだけバリア領域105内に延在し得る。
【0148】
さらに
図7を参照すると、例えば変形形態Aによれば、通路は、IGBTセル1-1のストライプ構成と実質的に直角に配置されたストライプ構成を備え得る。別の実施形態では、大きい延在範囲の中央パススルー通路1053が設けられる(変形形態C)。変形形態B及びDによれば、複数のより小さい通路1053が設けられ、これらの通路は、様々なパターンに従って分布させることができる。
【0149】
複数の通路1053の各々は、ドリフト領域100のセクションによって充填され得る。従って、通路1053内には、ドリフト領域のドーパント濃度に相当するドーパント濃度を示すnドープ半導体領域が存在し得る。さらに以下でより詳細に説明する別の実施形態では、通路1053の一部又は全ては、(より深い)トレンチによって充填され得る。
【0150】
幾つかの実施形態は、所定の設計ルールに従ってパススルー通路1053の位置付け及び寸法の決定が行われるバリア領域105を備える。例えば、前記第2のレイアウトは、この設計ルールに従って構成することができる。通路1053の位置及び寸法は、例えば、ターンオン動作中の電圧勾配(dV/dt)に関する電力半導体デバイス1の動的挙動に大きい影響を与え得る。
【0151】
例えば、このような設計ルールの第1の規定によれば、互いに隣接して配置されるパススルー通路1053の2つの任意のパススルー通路間の距離は、1mm未満である。
【0152】
このような設計ルールの第2の規定は、バリア領域105が半導体本体10の半導体層内に配置され、半導体層が活性セル領域1-2内で完全且つ独占的に延在すると共に、ある総量を示し、パススルー通路1053が前記総量の少なくとも1%且つ最大で50%を形成することである。半導体層の残りの量、すなわちバリア領域105のpドープ部分は、第2の導電型の半導体領域によって形成することができる。既に上記で示したように、すなわち、残りの量は、1e14cm
-3より大きく且つ4e17cm
-3より小さいドーパント濃度(
図5の濃度CCを参照されたい)を有し得、前記ドーパント濃度は、少なくとも0.1μm又は少なくとも0.5μmの垂直方向Zに沿った延在範囲内に存在する。
【0153】
上記設計ルールの第3の規定は、バリア領域105が、その通路1053にもかかわらず、活性セル領域1-2の複数のIGBTセル1-1内に含まれる不活性メサ19を互いに接続することであり得る。
【0154】
上記設計ルールの第4の規定は、通路1053が活性セル領域1-2の活性メサ18の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップすることであり得る。例えば、1つ又は複数の通路1053は、ソース領域101の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップするように位置付け及び/又は寸法の決定が行われる。
【0155】
上記設計ルールの第5の規定は、通路1053が活性セル領域1-2の制御トレンチ14の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップすることであり得る。
【0156】
上記設計ルールの別の規定は、バリア領域105が、例えば、それぞれの活性メサ18が横方向に位置するそれぞれの制御トレンチ14との接触を確立することなく、活性メサ18のサブセット内に少なくとも部分的に延在することであり得る。例えば、それにより、バリア領域105は、活性メサ18のサブセット中のそれぞれの活性メサ18のセクションと、ダミートレンチ15の底部155との間に導電性経路を提供するように構成することができる。従って、それは、パススルー通路1053がIGBTセル1-1の活性メサ18の1つ又は複数と横方向にオーバーラップするという設計ルールの規定であり得る。例えば、この設計ルールは、パススルー通路1053が、活性セル領域1-2内に存在する活性メサ18の総数に対して活性メサ18の少なくとも1%且つ最大で50%と横方向にオーバーラップすることを指定し得る。上記で説明した通り、バリア領域105と活性メサ18のそれぞれとの間の横方向のオーバーラップは、部分的に生じ得、すなわち、バリア領域105は、必ずしも完全に各活性メサ18とオーバーラップする必要はなく、例えば各活性メサ18のメサ幅の最大10%、最大30%、又は最大70%であり得る。
【0157】
幾つかの実施形態による電力半導体デバイス1の水平投影のセクションをそれぞれ概略的且つ例示的に示す
図8A~8Dに関して、バリア領域105の例示的横方向構造を提示する。
【0158】
図8A~8Dのそれぞれを参照すると、バリア領域105は、活性セル領域1-2内で完全且つ独占的に延在し得る。活性セル領域1-2内に前記複数のIGBTセル1-1が設けられ得、各IGBTセル1-1は、両側にそれぞれの活性メサ18が横方向に位置し得る前記制御トレンチ14の少なくとも1つを有し、各活性メサ18は、第1の負荷端子11に電気的に接続されたソース領域101を有する。活性領域1-2内に含まれるIGBTセル1-1は、
図6A~6Cに関して説明したような構成を示し得る。IGBTセル1-1は、同じく上記で説明したように、実質的に第2の横方向Yに沿って配向されたストライプ構成を示す。例えば、各IGBTセル1-1は、活性セル領域1-2全体を通して第2の横方向に沿って延在する。
【0159】
図8A~8Dでは、複数のソース領域101が図示されており、一部のみがそれぞれの参照符号を有している。例えば、
図6Aに示すように、図示したソース領域101のそれぞれは、2つの活性メサ18の一部をなし、2つの活性メサ18間にそれぞれの制御トレンチ14が配置される。
【0160】
活性セル領域1-2は、遷移領域1-5によって完全に取り囲むことができ、同様にして、遷移領域1-5は、エッジ終端領域1-3によって完全に取り囲むことができる。遷移領域1-5及びエッジ終端領域1-3は、
図6A~6Cに関して例示的に説明したような態様で構成され得る。
【0161】
図8A~8Dに示すように、バリア領域105の横方向構造(この横方向構造は、通路1053の数、寸法、及び位置によって形成又は定義される)は、それに従ってトレンチパターンのレイアウトが形成されるピッチと比較して大幅に大きいピッチを示し得る。
【0162】
例えば、
図8Aを参照して、通路1053は、IGBTセル1-1のストライプ構成の配向と実質的に平行な配向を示し得る。通路1053のそれぞれは、複数の隣接するトレンチ及びメサと横方向にオーバーラップし得る。通路1053が活性メサ18の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップするように通路1053を位置付けることが適切である場合がある(これは、
図8Aに示す実施形態によるケースであり、この場合、通路1053の位置は、通路1053がソース領域101のサブセットとオーバーラップするように選択される)ことを上記で指摘している。従って、活性メサ18の前記サブセットの負荷電流は、バリア領域105を横断せずに、その通路1053を通って流れる。さらに
図8Aに示すように、ある実施形態によれば、通路1053も活性セル領域1-2と遷移領域1-5との間の遷移で終端し得る。
【0163】
図8Bに示す実施形態は、基本的に
図8Aに示す実施形態に対応し、通路1053は、完全にバリア領域105内に組み込まれるように、且つ遷移領域1-5と交差しないように寸法の決定及び位置付けが行われる。
【0164】
図8Cに概略的且つ例示的に示す実施形態によれば、通路1053は、IGBTセル1-1のストライプ構成の配向と実質的に直角な配向を示す。このような配向(この配向は、
図9の斜視投影においても概略的且つ例示的に示される)は、電力半導体デバイス1のスイッチング動作中の電圧スイングを減衰させること又は回避することを支援することができる。
図8Dに示す実施形態は、基本的に
図8Cに示す実施形態に対応し、通路1053は、完全にバリア領域105内に組み込まれるように、且つ遷移領域1-5と交差しないように寸法の決定及び位置付けが行われる。
【0165】
これより、
図10及び
図11に概略的且つ例示的に示される実施形態を参照すると、通路1053の一部又は全ては、ドリフト領域100に加えて又はドリフト領域100の代わりに、IGBTセル1-1のトレンチの下側セクションで充填され得る。例えば、通路1053の一部又は全ては、制御トレンチ14の下側セクションで充填される。
図10に示す実施形態によれば、これは、通路1053を充填しないトレンチと比較して垂直方向Zに沿ってより大きい全延在範囲を有するように制御トレンチ14を設計することによって達成され得る。
図11に示す実施形態によれば、これは、通路1053がそれぞれの局所的な高度(垂直方向Zに対する)内に配置されるようにバリア領域105を設けることによって達成され得る。さらに以下において、
図10及び
図11に示すような構造を製造する例示的方法を提示する。
【0166】
図10及び
図11にさらに示すように、ある実施形態では、接触スキームは、上述の例示的接触スキームと異なり、例えば、活性セル領域1-2内の各IGBTセル1-1の接触スキームは、「oSkGkSoDoD」であるが、この接触スキームによっても、活性メサ18は、それぞれのソーストレンチ16によって横方向に制限される。
【0167】
これより
図12~
図19を参照して、バリア領域105の別の例示的横方向構造を提示する。
図12~
図19に概略的且つ例示的に示す各実施形態によれば、活性領域1-2内の各IGBTセル1-1の接触スキームは、「oDoSoSkGkSoSoD」である。但し、上記の通り、他の実施形態では、異なる接触スキームが用いられ、接触スキームの例は、さらに上記に示している。
【0168】
例えば、
図12を参照すると、通路1053は、制御トレンチ14のストライプ構成と平行に延在する。バリア領域105は、各制御トレンチ14の両側に隣接して配置される活性メサ18の一部内に部分的に延在する。図に示すように、通路1053は、第1の横方向Xに沿って5つのIGBTセル1-1ごとに生じ得る。従って、第1の横方向Xに沿った2つの隣り合う通路1053間の距離Dは、500μmより大きくてもよく、例えば約700μmであり得る。従って、例えば、バリア領域105は、活性領域1-2内のIGBTセル1-1の総数の少なくとも常に正確に80%と完全に横方向にオーバーラップする。活性領域1-2内のIGBTセル1-1の総数の残りの20%は、
図12に示すように、例えばそれぞれの制御トレンチ14及びそれぞれの活性メサ18により、通路1053と横方向にオーバーラップし得る。さらに、同じく
図12に示すように、ウェル領域109は、遷移領域1-5内に延在せず、バリア領域105も遷移領域1-5内に延在しない。より正確に言えば、遷移領域1-5は、バリア領域105をウェル領域109から離す。
【0169】
図13に示す実施形態によれば、通路1053は、それぞれより小さい矩形断面を備え、活性セル領域1-2内でアイランドパターンに従って位置付けされ得る。各通路1053は、5μm~20μmの範囲内の第1の横方向Xに沿った幅と、5μm~20μmの範囲内の第2の横方向Yに沿った長さとを有し得る。
【0170】
ある実施形態では、各通路1053に関して、第1の横方向Xに沿った幅は、各通路1053の第2の横方向Yに沿った長さより大きく、例えば、各通路の幅対長さ比は、2又は3より大きい。従って、これらの通路は、IGBTセル1-1のストライプ構成と平行ではなく、IGBTセル1-1のストライプ構成と直角に延在するように幾何学的構成を備え得る。このような構成は、制御電極141に対する望ましくない電圧スイング/振動を回避/減少させるのに有効となり得る。
【0171】
第1の横方向Xに沿って、各IGBTセル1-1(各IGBTセル1-1のうち、
図13では、ソース領域101及び制御トレンチ14のみが示されており、図示したソース領域101のそれぞれは、それぞれの制御トレンチ14によって互いに離された2つのそれぞれの活性メサ18に電気的に接続される)は、通路1053の1つと横方向にオーバーラップし得る。第2の横方向Yに沿って、各IGBTセル1-1は、複数の通路1053と横方向にオーバーラップし得る。例えば、第1の横方向Xに沿って隣り合う2つの通路1053間の距離Dxは、数マイクロメートル(例えば、3μm~5μm)の範囲内である。さらに、第2の横方向Yに沿って隣り合う2つの通路1053間の距離Dyは、数マイクロメートル、例えば5μm~20μmの範囲内(例えば、約15μm)であり得る。
【0172】
第2の横方向Yに沿って、ソース領域101は、0.1μm~20μmの範囲内の距離Dsを有して位置付けることができる。例えば、各通路1053は、第2の横方向Yに沿ってソース領域101の少なくとも3つと横方向にオーバーラップする。
【0173】
類似の構成を
図14に概略的且つ例示的に示す。第1の横方向Xに沿って、各IGBTセル1-1は、通路1053の1つと横方向にオーバーラップし得る。第2の横方向Yに沿って、各IGBTセル1-1は、複数の通路1053と横方向にオーバーラップし得、第2の横方向に沿った距離Dyは、
図13に示す実施形態と比較して増大している。
【0174】
例えば、通路1053は、ダミートレンチ15と横方向にオーバーラップしない。より正確に言えば、各ダミートレンチ15は、バリア領域105内に延在する。例えば、通路1053は、制御トレンチ14及びソーストレンチ16と部分的にオーバーラップする。
【0175】
図15に概略的且つ例示的に示すバリア領域105の横方向構造は、基本的に、
図13及び
図14のそれぞれに示すような構造に対応する。従って、第1の横方向Xに沿って、各IGBTセル1-1は、通路1053の1つと横方向にオーバーラップし得る。第2の横方向Yに沿って、各IGBTセル1-1は、複数の通路1053と横方向にオーバーラップし得、第2の横方向に沿った距離Dyは、
図14に示す実施形態と比較して増大している。例えば、第2の横方向に沿って隣り合う2つの通路1053間の距離Dyは、数マイクロメートルの範囲(例えば、1μm~2000μm)内である。
【0176】
図16に概略的且つ例示的に示す変形形態によれば、バリア領域105の横方向構造は、チェス盤状パターンを有する。この実施形態によれば、バリア領域105の総量の約50%が通路1053(例えば、ドリフト領域100のそれぞれのセクションで充填される)によって構成され、バリア領域105の残りの50%はpドープ領域である。例えば、各通路1053は、矩形断面を示し得る。各通路1053は、3つの隣り合うIGBTセル1-1とオーバーラップするように第1の横方向Xに沿った幅と、3つの隣り合うソース領域101とオーバーラップするように第2の横方向Yに沿った長さとを有し得る。第2の横方向Yに沿って、ソース領域101は、上記の範囲内の距離Dsの範囲内に位置付けることができる。図示の通り、
図16の実施形態によれば、及び
図14に示す実施形態とは対照的に、通路1053は、ダミートレンチ15と横方向にオーバーラップし得る。
【0177】
図17に概略的且つ例示的に示す別の変形形態によれば、
図16に示す横方向構造と比較して、通路1053の構成分量は、50%から20%未満に減少し得る。各通路1053は、3つの隣り合うIGBTセル1-1とオーバーラップするように第1の横方向Xに沿った幅と、3つの隣り合うソース領域101とオーバーラップするように第2の横方向Yに沿った長さとを有し得る。第2の横方向Yに沿って、ソース領域101は、上記の範囲内の距離Dsの範囲内に位置付けることができる。ここでも、図示の通り、同様に
図17の実施形態によれば、及び
図14に示す実施形態とは対照的に、通路1053は、ダミートレンチ15と横方向にオーバーラップし得る。さらに、第1の横方向Xに沿った2つの隣り合う通路1053間の距離Dxは、3つの隣り合うIGBTセル1-1の全幅であり得る。第2の横方向Yに沿った距離Dyは、距離Dxより大きくてもよい。例えば、第2の横方向Yに沿った2つの隣り合う通路間の距離Dyは、距離Dsの少なくとも8倍であり得る。
【0178】
図17に示す実施形態に関する通路1053の寸法を変更せずに、
図18に概略的且つ例示的に示す実施形態によれば、通路1053の密度を増大させ得、従って距離Dx及びDyを減少させ得る。
図17及び
図18にさらに示すように、第2の横方向Yに沿って距離Dyで隣り合う2つの通路1053が第1の横方向Xに沿って横方向のオーバーラップを示さないように(
図17に示すように)、又は第1の横方向Xに沿って距離Dxで隣り合う2つの通路1053が第2の横方向Yに沿って横方向のオーバーラップを示さないように(
図18に示すように)、通路1053の位置付けが行われ得る。
【0179】
図17に示す実施形態に関する通路1053の寸法を変更せずに、
図19に概略的且つ例示的に示す実施形態によれば、通路1053の密度を減少させ得、従って距離Dx及びDyを増大させ得る。
【0180】
バリア領域105の横方向構造の別のバリエーションが可能である。例えば、バリア領域105の横方向構造の各バリエーション(例えば、
図7~
図19に例示的且つ概略的に示すような)は、設計ルールの以下の規定の1つ又は複数に従う。
(i)互いに隣接して配置されるパススルー通路1053の2つの任意のパススルー通路間の距離(例えば、前記距離Dx及びDy)は、1mm未満である。
(ii)バリア領域105は、半導体本体10の前記半導体層内に配置され、半導体層は、活性セル領域1-2内で完全且つ独占的に延在し、且つ総量を示し、パススルー通路1053は、前記総量の少なくとも1%且つ最大で50%を形成する。半導体層の残りの量、すなわちバリア領域105のpドープ部分は、第2の導電型の半導体領域によって形成される。
(iii)バリア領域105は、その通路1053にもかかわらず、活性セル領域1-2の複数のIGBTセル1-1内に含まれる不活性メサ19を互いに接続する。
(iv)通路1053は、活性セル領域1-2の活性メサ18の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップする(例えば、1つ又は複数の通路1053は、ソース領域101の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップするように位置付け及び/又は寸法の決定が行われる)。
(v)通路1053は、活性セル領域1-2の制御トレンチ14の少なくともサブセットと横方向にオーバーラップする。
(vi)バリア領域105は、完全且つ独占的に活性セル領域1-2内で延在する(且つ遷移領域1-5内に延在しない)。
(vii)バリア領域105は、(例えば、それぞれの活性メサ18が横方向に位置するそれぞれの制御トレンチ14との接触を確立することなく)活性メサ18のサブセット内に少なくとも部分的に延在する。例えば、それにより、バリア領域105は、活性メサ18のサブセット中のそれぞれの活性メサ18のセクションと、ダミートレンチ15の底部155との間に導電性経路を提供するように構成することができる。
(viii)バリア領域105の横方向構造は、第1のピッチの少なくとも2倍の大きさの第2のピッチを有する第2のレイアウトに従って構成される(IGBTセル1-1は、上記の通り、第1のピッチを有する第1のレイアウトに従った横方向構造を有して構成される)。
(ix)存在する場合(例えば、電力半導体デバイス1が、RC-IGBTとして構成される場合)、通路1053は、第2の負荷端子12に電気的に接続されたn型エミッタと横方向にオーバーラップし得る。
【0181】
上記で説明した通り、バリア領域105の位置及び/又は横方向構造(例えば、
図7~
図19に示すように1つ又は複数の通路によって形成される)は、活性メサ18の総量を第1の構成分と第2の構成分とに分割することを可能にすることができ、第1の構成分は、バリア領域105と横方向にオーバーラップせず、及び第2の構成分は、バリア領域105と横方向にオーバーラップする。上記で説明した通り、活性メサ18の第1の構成分は、バリア領域105の少なくとも1つの通路1053、又はバリア領域105が存在しないドリフト領域100の別のセクション(例えば、遷移領域1-5内)と横方向にオーバーラップする。これに対して、活性メサ18の第2の構成分は、バリア領域105と横方向にオーバーラップする。例えば、第2の構成分によって伝導される負荷電流は、バリア領域105を横断する。さらに上記で説明したように、ある実施形態では、第1の構成分は、少なくとも、公称負荷電流(この公称負荷電流用に電力半導体デバイスが設計される)の0%~100%の範囲内の負荷電流を伝送するように構成される。第2の構成分は、負荷電流が公称負荷電流の少なくとも0.5%を超える場合にのみ、負荷電流を伝送するように構成され得る。従って、活性メサ18の第1の構成分は、例えば、電力半導体デバイス1のターンオン中に負荷電流の伝導を開始する「イグニッション量」と見なすことができ、一方、第2の構成分は、最初に不活性な状態のままである。次いで、負荷電流が公称負荷電流の少なくとも0.5%の閾値を超える場合(この閾値は、0.5%より高くてもよく、例えば1%より高くてもよく、例えば少なくとも5%又は少なくとも10%であり得る)、バリア領域105は、第2の構成分も負荷電流を伝送することができるように導電性がより高くなり得る。
【0182】
本明細書では、電力半導体デバイスを処理する方法も提示する。例示的方法2のフローチャートを
図20に概略的に示す。例えば、第1のステップ2100では、半導体本体を設ける。
【0183】
方法2は、第1の導電型のドリフト領域を備えた活性セル領域と、少なくとも部分的に活性セル領域内に配置される複数のIGBTセルであって、各IGBTセルは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在する少なくとも1つのトレンチを含む、複数のIGBTセルと、活性セル領域を取り囲むエッジ終端領域と、活性セル領域とエッジ終端領域との間に配置される遷移領域であって、活性セル領域からエッジ終端領域に向かって横方向に沿って幅を有する遷移領域とを有し、IGBTセルの少なくとも一部は、遷移領域内に配置されるか又は遷移領域内に延在する、電力半導体デバイスを提供するように実施することができる。
【0184】
例えば、方法2は、ステップ2200をさらに有し得、ステップ2200中、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域が設けられ、電気的に浮遊するバリア領域は、活性セル領域内に且つIGBTセルのトレンチの少なくとも一部と接触して配置され、電気的に浮遊するバリア領域は、遷移領域内に延在しない。
【0185】
別の実施形態によれば、方法2は、第1の負荷端子及び第2の負荷端子を含む電力半導体デバイスを提供するように実施され、この電力半導体デバイスは、前記端子間で垂直方向に沿って負荷電流を伝導するように構成され、且つ第1の導電型のドリフト領域を備えた活性セル領域と、第2の導電型のウェル領域を有するエッジ終端領域と、活性セル領域内に配置される複数のIGBTセルであって、各IGBTセルは、垂直方向に沿ってドリフト領域内に延在し、且つ複数のメサを横方向に制限する複数のトレンチを含む、複数のIGBTセルとを有する。複数のトレンチは、制御電極を有する少なくとも1つの制御トレンチと、制御トレンチに電気的に結合されたダミー電極を有する少なくとも1つのダミートレンチと、第1の負荷端子に電気的に接続されたソース電極を有する少なくとも1つのソーストレンチとを含む。複数のメサは、少なくとも1つの制御トレンチと少なくとも1つのソーストレンチとの間に配置された少なくとも1つの活性メサと、少なくとも1つのダミートレンチに隣接して配置された少なくとも1つの不活性メサとを含む。ステップ2200は、少なくともダミートレンチの底部及びソーストレンチの底部の両方が、少なくとも部分的に電気的に浮遊するバリア領域内に延在し、電気的に浮遊するバリア領域とウェル領域との間に横方向に位置するドリフト領域の一部が、前記横方向に少なくとも1μmの横方向延在範囲を有する、第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域を設けることによって実行され得る。
【0186】
例えば、上記の方法2の両実施形態に関して、バリア領域は、IGBTセルのトレンチを形成する前に形成することができる。別の実施形態では、バリア領域は、IGBTセルのトレンチを形成した後に形成される。さらに別の実施形態では、バリア領域は、IGBTセルの形成中、例えばトレンチのエッチング後であり且つトレンチがトレンチ電極で充填される前に形成される。
【0187】
方法2の例示的実施形態は、上記で説明した電力半導体デバイス1の例示的実施形態に対応することができる。具体的には、方法2は、例えば、
図7~
図19に関して例を上記で提示した横方向構造を備えたバリア領域を形成するように実行することができる。
【0188】
方法2の一実施形態では、バリア領域105の横方向構造は、均一にドープされたp層を生成し、及び通路1053を形成するようにn型カウンタードーピングを局所的に与えることによって形成される。
【0189】
方法2の別の実施形態では、バリア領域105の横方向構造は、均一にドープされたp層を生成し、及びトレンチ深さの差異により(
図10を参照されたい)、例えば少なくとも部分的に最大ドーパント濃度(
図5のCCMを参照されたい)を超える深さまで層を通ってピンチングすることによって形成される。
【0190】
さらに別の実施形態では、バリア領域105の横方向構造は、マスク配置を用いて形成される。
【0191】
例えば、バリア領域105は、例えば、トレンチ絶縁体142、152、162、172を設けることと、トレンチ電極141、151、161、171を形成するためのポリシリコン充填によるトレンチの形成後の深い注入とにより製造される。次いで、バリア領域105の突出範囲(上記で説明した通り、トレンチ深さに応じて例えば5μm)の達成は、高注入エネルギー(例えば、注入材料がホウ素の場合、例えば4MeVの範囲内)を必要とする場合がある。例えば、注入のマスキングは、トレンチのポリシリコン充填に続く平坦面の存在により単純化することができる。注入は、高エネルギーで生じ得るが、ドーズは、低くてもよい。従って、トレンチ絶縁体142、152、162、172は、ダメージを受けない。この段落に記載する変形形態は、
図21~
図25に関して以下にさらに記載するトレンチ底部注入と組み合わせることができる。
【0192】
ある代替実施形態では、バリア領域105は、トレンチ製造プロセス前に生成される。例えば、これは、トレンチ深さと実質的に等しいターゲット厚さを有するエピタキシャル成長が後に続く局所的な浅いp型注入を実施することによって実行することができる。この場合、注入材料として、徐々に拡散するp型種を用いることができる。例えば、このような変形形態は、
図10による実施形態を形成するために用いることができる。より深い制御トレンチ14は、例えば、トレンチレイアウト幅を調整することにより、及び/又は浅いトレンチ及びより深いトレンチ用に別々のトレンチエッチングブロックを設けることにより形成することができる。次いで、より深い制御トレンチ14は、
図10に示すように、垂直方向Zに沿ってバリア領域105を越えて延在し、ドリフト領域100、すなわちその下側セクション100-2に入る。
図11に示す実施形態に関して、バリア領域105の局所的な高度は、例えば、局所的にカウンタードーピングを与えることにより、例えば局所的にn型注入を実行することにより達成することができる。代替的に、p型注入のみが実行され、その場合、注入減衰要素は、半導体本体10の表面の選択された位置(例えば、指定された制御トレンチ14の1つ又は複数が形成される位置)に設けられ得る。減衰要素により、注入イオンの侵入深さが減少し、それにより、バリア領域105の局所的な高度が結果として生じる。次いで、全てのトレンチ14、15、16、17は、同じ深さを示し得るが、バリア領域105の局所的な高度と横方向にオーバーラップするトレンチは、
図11に示すように、垂直方向Zに沿ってバリア領域105を越えて延在し、ドリフト領域100、すなわちその下側セクション100-2に入り得る。これにより、ある実施形態によれば、パススルー通路1053を形成することができる。例えば、減衰要素は、半導体本体表面上に局所的な段差を生じさせることにより(例えば、プラズマエッチング又は犠牲埋込LOCOSによって)形成され、この後に、トレンチがp型注入プロファイルと適切にアライメントするように適切な厚さのp型注入及びシリコンエピタキシャル再成長が続き得る。
【0193】
別の実施形態によれば、電力半導体デバイスを処理する方法は、第1の導電型のドリフト領域を備えた半導体本体を設けるステップと、複数のトレンチを生成するステップであって、トレンチは、垂直方向に沿って半導体本体内に延在し、且つ第1の横方向に沿って互いに隣接して配置される、ステップと、半導体本体にマスク配置を設けるステップであって、マスク配置は、横方向構造であって、それに従ってトレンチの一部が露出され、及びトレンチの少なくとも1つがマスク配置によって覆われる、横方向構造を有する、ステップと、半導体本体及びマスク配置をドーパント材料供給ステップ(例えば、注入処理ステップ)に供するステップであって、それにより、露出されたトレンチの底部の下方で、第1の導電型と相補的な第2の導電型の複数のドーピング領域(例えば、注入領域)を生成すること、ステップと、マスク配置を除去するステップと、半導体本体を温度アニーリングステップに供するステップであって、それにより、複数のドーピング領域を、オーバーラップするように、且つ露出されたトレンチの底部に隣接する第2の導電型のバリア領域を形成するように第1の横方向と平行に延在させる、ステップとを含む。
【0194】
これより、この方法の例示的態様を
図21~
図25に関して以下により詳細に説明し、
図21~
図25のそれぞれは、垂直断面の1つ又は複数のセクションに基づいて、1つ又は複数の実施形態による、電力半導体デバイスを処理する方法の1つ又は複数のステップを概略的且つ例示的に示す。
【0195】
図21~
図25に関して以下に記載する方法の例示的実施形態は、
図1~
図19に関して記載した電力半導体デバイスの実施形態の1つ又は複数(例えば、各バリア領域105)を形成するために用いられ得ることが理解されるものとする。
【0196】
これより、
図21に示す実施形態を参照すると、第1の導電型のドリフト領域100を備えた半導体本体10が設けられる。例えば、半導体本体10は、半導体ウエハの一部として設けられる。ドリフト領域100の例示的態様(例えば、垂直方向Zに沿ったその全延在範囲及び/又はそのドーパント濃度)に関しては、上記を参照されたい。
【0197】
ステップ20では、複数のトレンチ14、15、16が生成され、トレンチ14、15、16は、垂直方向Zに沿って半導体本体10内に延在し、第1の横方向Xに沿って互いに隣接して配置される。
【0198】
例えば、複数のトレンチ14、15、16の生成は、エッチング処理ステップ(例えば、プラズマエッチング処理ステップ)を実行することを含み得る。一般に、複数のトレンチ形成技術が利用可能であり、本明細書に記載の実施形態は、このような技術の特定の1つに限定されない。
【0199】
ある実施形態では、半導体本体10は、(プラズマ)エッチング中にハードマスクで覆われ得る。ハードマスクは、トレンチの形成後に除去することができ、又は別の処理ステップのためにマスキング層として保持することができる。
【0200】
例えば、トレンチ14、15、16は、第1の横方向Xに沿って等間隔で配置される。トレンチ14、15、16の例示的寸法、例えば第1の横方向Xに沿ったそれぞれの幅、垂直方向Zに沿ったそれぞれの深さ(又は全延在範囲)、及び/又はトレンチ14、15、16間の距離(すなわちメサ幅)に関しては、上記を参照されたい。
【0201】
ある変形形態では、
図24に示すように、トレンチの一部は、垂直方向Zに沿って他のトレンチよりも大きい全延在範囲を有して形成され得る。例えば、指定されたソーストレンチ16であり、且つ指定された制御トレンチ14と横方向に隣接して配置されるトレンチの一部は、より大きい深さを有して形成される。例えば、前記トレンチのより大きい深さは、残りのトレンチの深さの少なくとも110%、少なくとも120%、又は少なくとも130%であり得る。
【0202】
トレンチ14、15、16の生成後、後続のステップ21において、保護層300が少なくともトレンチ側壁に設けられる。ある実施形態では、トレンチ14、15、16の表面は、
図21に示すように、保護層300によって完全に覆われる。例えば、半導体本体10の表面セクション10-1及びトレンチ底部も保護層300によって覆われ得る。
【0203】
例えば、保護層300は、犠牲酸化膜である。保護層300を設けることは、堆積処理ステップ及び熱成長処理ステップの少なくとも一方を含み得る。保護層300の厚さは、一例として、5nm~150nm以上の範囲内であり得る。
【0204】
ステップ22では、マスク配置30が半導体本体10に設けられ、マスク配置30は、横方向構造であって、それに従ってトレンチ14、15、16の一部が露出され、トレンチ14、15、16の少なくとも1つがマスク配置30によって覆われる横方向構造を備える。
【0205】
例えば、保護層300を設けた後、トレンチ14、15、16は、マスク材料302、例えばフォトレジスト材料又はフォトレジスト化合物系の一部、すなわち反射防止膜材料又はその組み合わせで充填され、マスク材料302は、最初に全てのトレンチ14、15、16及び表面セクション10-1を被覆/充填し得る。その後、マスク材料302は、1つ又は複数の開口301を生成するように横方向に構造化される。従って、このような横方向の構造化後、ステップ22に関して
図21に概略的且つ例示的に示すように、トレンチ14、15、16の一部が露出され、トレンチ14、15、16の少なくとも一部がマスク配置30によって覆われる。例えば、
図24に示すように、より深いトレンチと、より深いトレンチ間のトレンチとがマスク材料302によって覆われる一方、他のトレンチは、露出される。
【0206】
以下の説明からより詳細に明らかになるように、生成されるバリア領域105は、基本的にマスク配置30の横方向構造に対応した横方向構造を示し得る。例えば、トレンチ14、15、16は、第1のピッチを有する第1のレイアウトに従って形成され、マスク配置30の横方向構造は、前記第2のレイアウトに従って構成することができ、第2のレイアウトは、第1のピッチの少なくとも2倍の大きさの第2のピッチ又は形状サイズを有する。
【0207】
マスク材料302を横方向に構造化することは、例えば、マスク材料302としてネガティブトーンレジスト材料を使用することによるリソグラフィ処理ステップを含み得る。例えば、このようなリソグラフィ処理ステップは、第1のピッチ(これに従ってトレンチ14、15、16が生成されている)の少なくとも2倍の大きさの第2のピッチ又は形状サイズに基づいて実行することができる。従って、マスク配置30の横方向構造は、トレンチパターンと比較してより粗い縮尺にすることができる。
【0208】
ある変形形態では、次のステップ24を実行する前であり且つマスク配置30を設ける前又は後に、トレンチ側壁144、154、164の保護層300を保持しながら、トレンチ14、15、16間の表面セクション10-1及びトレンチ底部145、155、165における保護層300を少なくとも部分的に除去するようにエッチバック処理ステップが実行され得る。
図23のステップ211に関して、これをより詳細に説明する。
【0209】
ある別の変形形態では、マスク配置30は、ステンシルマスクとして設けられる。その場合、レジスト材料は使用されず、レジスト材料に対するリソグラフィ処理ステップを実行するステップを省くことができる。例えば、このようなステンシルマスクは、注入中、トレンチレイアウトにアライメントさせることができる。
【0210】
ステップ24では、半導体本体10及びマスク配置30は、ドーパント材料供給ステップ、例えば注入処理ステップを受け、それにより、露出されたトレンチ14、15、16の底部の下方で、(第1の導電型と相補的な)第2の導電型の複数のドーピング領域(例えば、注入領域)1059が生成される。
【0211】
以下の説明は、ドーパント材料供給ステップが注入処理ステップを含み、従って、トレンチ底部の下に生成された領域1059が注入領域である例に向けられたものである。但し、他の例では、ドーピング領域1059を生成するために注入以外のプロセスが使用され得る。
【0212】
注入は、イオン注入であり得る。例えば、ステップ24中にホウ素が注入され得る。注入は、低エネルギー注入であり得、例えば、注入は、5keV~1000keVの範囲内のエネルギーで実行される。さらに、注入は、1e11cm-2~1e13cm-2の範囲内の注入ドーズで実行することができる。
【0213】
ある実施形態では、露出されたトレンチのトレンチ側壁が注入を受けないか又は少なくともほとんど受けないように、注入方向及びトレンチ14、15、16の配向を互いに適合させることができる。このために、ある実施形態では、トレンチ14、15、16の生成(ステップ20を参照されたい)は、第1の横方向に沿った各トレンチ幅が、垂直方向Zに沿った各トレンチの全延在範囲の少なくとも最初の80%に関して、各トレンチのトレンチ開口に存在するトレンチ幅の少なくとも95%の範囲内にとどまるように実行される。例えば、各トレンチの上側80%において、トレンチ幅は、減少しないか又は5%だけ減少する。当然のことながら、前記上側80%におけるトレンチ側壁が注入を受けないことを回避するために、各トレンチの上側80%におけるトレンチ幅の増大も可能となり得る。
【0214】
ある実施形態では、生成したトレンチ14、15、16は、基本的に垂直方向Zに平行なトレンチ側壁を示し、注入(ステップ24を参照されたい)は、垂直方向Zに沿って、及び例えば垂直方向Zに対して角度を付けずに又は傾斜せずに実行される。従って、注入は、0°注入となることができる。代替的に、側壁の注入を最小限に抑えるために、角度を付けた注入は、トレンチ14、15、16の方向に沿ってアライメントして実行され得る。
【0215】
さらに、上記で説明した通り、注入中、露出されたトレンチの側壁は、保護層300で覆われ得る。一例では、注入イオンが垂直方向Zに沿って加速されるため、且つ露出されたトレンチの側壁が保護層300で覆われるため、少なくとも露出されたトレンチそれぞれの上側80%の範囲内において、注入イオンは、トレンチ側壁に侵入しないか又はごく僅かな構成分のみがトレンチ側壁に侵入する。
【0216】
しかし、露出されたトレンチ間の表面セクション10-1も注入を受ける可能性があり、従ってこのような表面セクション10-1の下方の注入領域1029が発生し得る。しかし、半導体本体10のこれらのゾーンにおいて、第2の導電型のチャネル領域102が生成され得るため、このような注入領域1029は、必ずしも除去される必要はない。
【0217】
さらに、注入は、注入イオンの平均侵入深さ(例えば、イオンが、露出されたトレンチのトレンチ底部で半導体本体10に進入した後に横断する平均距離)が10nm~2000nmの範囲内となり得るように実行することができる。
【0218】
ステップ26では、マスク配置30及び保護層300が除去され得る。これは、1つ又は複数のエッチング処理ステップを実行することを含み得、例えば、第1のエッチング処理ステップにより、マスク材料302が除去され、第2のエッチング処理ステップにより、保護層300が除去される。
【0219】
ステップ28では、半導体本体10は、温度アニーリングステップを受け、それにより、
図21及び
図24に示すように、複数の注入領域1059は、オーバーラップするように、及び露出されたトレンチ14、15、16の底部に隣接する第2の導電型のバリア領域105を形成するように第1の横方向Xと平行に延在させられる。例えば、注入領域1059は、一体化し、連続したバリア領域105としてバリア領域105を形成するように拡散し得る。
【0220】
ある実施形態によれば、バリア領域105の形成は、以前に形成されたトレンチの深さに対する自己整合プロセスとして実行される。例えば、トレンチ14、15、16のうちの露出されたトレンチの深さの最終的な差異と類似した差異が同様にバリア領域105内に存在し得る。垂直方向Zに対するバリア領域105の位置は、基本的にトレンチ14、15、16によって定義することができる。バリア領域105が指定された機能を果たすことができるように、トレンチ14、15、16に対するバリア領域105の正しい相対位置(垂直方向Zの観点から)が望ましい場合があるため、上記のプロセスは、自己整合プロセスと見なすことができる。従って、ある実施形態によれば、バリア領域105の横方向構造は、マスク配置30の横方向構造に従って調節することができ、垂直方向に対するバリア領域105の位置及び延在範囲は、以前に形成されたトレンチ14、15、16によって定義することができる。
【0221】
温度アニーリングステップ28は、バリア領域105が1e14cm
-3~4e17cm
-3の範囲内の電気活性化ドーパント濃度を示すように実行することができ、電気活性化ドーパント濃度は、少なくとも0.1μm又は少なくとも0.5μmの垂直方向Zに沿った延在範囲内に存在し得る。ドーパント濃度の別の態様(例えば、
図5に関して述べたような垂直方向Zに沿った変動)及び/又は空間的寸法に関しては、上記を参照されたい。
【0222】
例えば、バリア領域105は、ドリフト領域100により、垂直方向Zに且つ垂直方向Zに対して空間的に制限されるように形成される。例えば、それにより、上記で説明したように、上側pn接合1051及び下側pn接合1052の両方が形成される。
【0223】
さらに
図21及び
図24を参照すると、ある実施形態では、温度アニーリングステップ28は、少なくとも、バリア領域105が、注入(ステップ24を参照されたい)中にマスク配置30で覆われたトレンチの底部及び/又は側壁に達するまでバリア領域105が横方向に延在するように実行することができる。
【0224】
例えば、
図21に示す実施形態によれば、温度アニーリングステップ28は、ステップ28に関して
図21に示すように、バリア領域105が前記トレンチ底部を越えてなお横方向に延在するように実行することができる。従って、生成されたバリア領域105は、注入中にマスク配置30によって覆われたトレンチ、すなわち注入(この注入中に注入領域1059が生成された)を受けなかったトレンチと完全に横方向にオーバーラップし得る。バリア領域105は、このトレンチを越え、マスクの被覆により注入を受けなかった隣接する2つのトレンチによって形成されるメサ領域内に僅かに延在し得る。例えば、このような制御された拡散を達成するために、それに応じて全体的なプロセスサーマルバジェットを注入24後に調節するか、又はサーマルバジェットが他の要件の制約を受ける場合、拡散が結果的に所望のプロファイルを有するバリア領域105を提供するように、最後の露出トレンチの位置を隣接するトレンチにアライメントさせるようにトレンチレイアウトを変更する。
【0225】
例えば、
図24に示すような別の実施形態によれば、注入領域1059の横方向拡散は、より深いトレンチによって阻止され得、従って、バリア領域105は、より深いトレンチの側壁164に達するまで「のみ」延在する。この場合、バリア領域105は、より深いトレンチ間にあるトレンチ、及びより深いトレンチと、より深いトレンチ間にあるトレンチとの間に形成されるメサ18の何れにも到達せず、より正確に言えば、このエリアにおいて、バリア領域105は、パススルー通路1053を示す。
【0226】
図22に関して、方法2の他の例示的及び任意選択的ステップを提示する。導入的に説明したように、方法2は、
図1~
図19に関して上記で提示した電力半導体デバイス1の実施形態の1つ又は複数を形成するために用いることができる。例えば、方法2は、複数のIGBTセル1-1を備えた電力半導体デバイス1を形成するように実行され、この垂直断面の一セクションを
図22に概略的且つ例示的に示す。従って、方法2は、ある実施形態では、制御電極141を備えた少なくとも1つの制御トレンチ14において、ダミー電極151を備えた少なくとも1つのダミートレンチ15において、及びソース電極161を備えた少なくとも1つのソーストレンチ16において、トレンチ14、15、16を形成することを含む。方法2は、半導体本体10において、且つトレンチ14、15、16間において、少なくとも1つの制御トレンチ14に隣接して配置される少なくとも1つの活性メサ18であって、制御電極141は、制御信号を受信し、且つ活性メサ18における負荷電流を制御するように構成される、少なくとも1つの活性メサ18と、少なくとも1つのダミートレンチ15に隣接して配置される少なくとも1つの不活性メサ19とを形成することをさらに含み得る。
【0227】
図示したIGBTセル1-1は、上記で説明した接触スキーム「oDoSoSkGkSoSoD」を示す。他の実施形態では、異なる接触スキームが用いられ得る。
【0228】
例えば、バリア領域105を生成した後、トレンチ14、15、16は、それぞれのトレンチ絶縁体(他の図面における参照符号142、152、162を参照されたい)と、それぞれのトレンチ電極141、151、161とが与えられ得る。さらに、メサ18及び19内にチャネル領域102を生成することができ、第1のメサ18内において、第1の接触プラグ113により、第1の負荷端子11に電気的に接続されたソース領域101を生成することができる。ある実施形態によれば、トレンチ14、15、16がトレンチ絶縁体142、152、162と、トレンチ電極141、151、161とを与えられる前に、例えばトレンチの角を丸くする目的で追加の犠牲熱酸化処理ステップを実行することが可能である。
【0229】
図22では、ドットエリア402は、注入中にマスク材料302が存在したエリアを示し、ハッチングエリアは、注入ステップ24中に生成された注入領域1059を示す。一例では、少なくとも1つの制御トレンチ14として指定されたトレンチと、そのトレンチに隣接するトレンチ16とがマスク配置30によって覆われる。バリア領域105が、注入24中にマスク配置30によって覆われた隣接トレンチ16の底部165及び/又は側壁164にもう少しで達するまで横方向に延在するようにバリア領域105が生成される。この隣接トレンチは、ソーストレンチ16として指定することができる。
図22には図示されないが(
図21には図示される)、バリア領域105が前記トレンチ底部165を越えて少なくとも1つの活性メサ18内まで横方向に延在するように温度アニーリングステップ28を実行することができる。
【0230】
マスク配置30の横方向構造に従って、バリア領域105は、上記で既に説明した複数のパススルー通路1053を示し得る。例えば、バリア領域105は、活性メサ18内に延在するが、ドリフト領域100によって制御トレンチ14から分離される。ある実施形態では、パススルー通路1053は、マスク配置30により、制御トレンチ14の少なくとも一部がドリフト領域100によってバリア領域105から分離されるように設計される。
【0231】
一般的には、バリア領域105の生成は、上記で説明した設計ルールの規定の1つ又は複数に従って生じ得る。設計ルールの1つ又は複数の規定は、それに応じてマスク材料302を横方向に構造化すること、それに応じてトレンチ14、15、16を形成すること、及び/又はそれに応じて注入ステップを実行すること、及び/又はそれに応じて温度アニーリングステップを実行することによって満たすことができる。
【0232】
例えば、設けられた半導体本体10は、ドリフト領域100を備えた前記活性セル領域1-2を有し、トレンチ14、15、16は、少なくとも活性セル領域1-2内に形成される。設けられた半導体本体10は、垂直方向Zに沿って少なくともバリア領域105と同じ深さに延在する第2の導電型のウェル領域109を備えた前記エッジ終端領域1-3をさらに有し得る。設けられた半導体本体10は、活性セル領域1-2とエッジ終端領域1-3との間に配置される前記遷移領域1-5をさらに有し得る。上記で説明した通り、遷移領域1-5は、活性セル領域1-2からエッジ終端領域1-3に向かう横方向に沿って少なくとも1μmの幅Wを有し得る。
【0233】
方法2の一実施形態では、遷移領域1-5内に形成されるトレンチ又はそのセクションは、マスク配置30によって覆われる。すなわち、バリア領域105は、ある実施形態によれば、遷移領域1-5内に延在しない。例えば、横方向に構造化されたバリア領域105は、活性セル領域1-2内にのみ生成される。
【0234】
これは、どのように設計ルールの規定の1つ又は複数を満たすことができるかの単なる一例である。設計ルールの1つ又は複数の代替又は追加の規定を考慮に入れた他の例が可能である。
【0235】
図23に概略的且つ例示的に示す実施形態は、
図21に例示的に示す方法に基づいたものであり、従って同じ参照符号が同じ方法ステップを指す。
図23に示す変形形態によれば、ステップ21(保護層300を設けるステップ)は、保護層300が比較的大きい厚さ(例えば、約100nmの厚さ)を示すように実行される。例えば、保護層300は、全てのトレンチ14、15、16に設けられる。保護層300は、厚い犠牲酸化であり得る。ステップ211では、エッチバック処理ステップが、表面セクション10-1及びトレンチ底部145、155、165の保護層300を少なくとも部分的に除去するように実行される。その後、ステップ22及び24においてマスク配置30が設けられ、例えば
図21に関して上記に記載したような態様で注入が実行される。但し、この注入は、エッチバック処理ステップ211により、
図21の変形形態と比較して低い注入エネルギーで実行することができる。エッチバックプロセスは、異方性反応性イオンエッチング(RIE)プロセスであり得る。さらに、注入中になおトレンチ側壁に存在する比較的厚い保護層300により、注入イオン/粒子がトレンチ側壁を横断しないことを確実にすることができる。例えば、このようにして、バリア領域105がドリフト領域100の一部によってチャネル領域102から分離された状態を維持すること、例えばチャネル領域102とバリア領域105との間にp型接続が存在しないことを確実にすることができる。ある変形形態では、ステップ22でマスク配置30を設けることは、エッチバック処理ステップ211が生じる前に実行される。例えば、マスク配置30が設けられた後に(すなわち、比較的厚い保護層300が依然として表面セクション10-1及びトレンチ底部145、155、165に存在する状態で)、マスク配置30によって露出された(覆われていない)領域において、表面セクション10-1及びトレンチ底部145、155、165の保護層300を少なくとも部分的に除去するようにエッチバック処理ステップ211が実行される。マスク材料302の下方のより厚い保護層300は、マスク配置30の除去を容易にすることができる。ある変形形態では、マスク配置30は、保護層300の厚さが、エッチバック処理ステップ211中にマスキングされたトレンチのドーパント材料供給ステップ24中にマスクとして機能するのに十分であれば、ドーパント材料供給ステップ24(例えば、前記注入ステップ)より前に除去され得る。順序の選択に関係なく、例えばステップ261においてマスク配置30が除去され、その後、ステップ262において保護層300の残りの部分が除去される。次いで、温度アニーリングステップ28を実行することができ、これに続いてトレンチ形成ステップを実行することができる。
【0236】
図25を参照して、ある変形形態では、保護層300を設けることの代わりに又は保護層300を設けることに加えて、方法2は、ステップ212において、トレンチ14、15、16内及びその上に犠牲平坦化構造309を形成することを含み得、マスク配置30は、犠牲平坦化構造309の上に設けられる。例えば、犠牲平坦化構造309を形成するために、酸化物(例えば、SiO
2)又はアモルファス炭素のような材料を使用することができる。犠牲平坦化構造309の形成は、トレンチ14、15、16の下側部分が空のままであり、トレンチの開口のみが閉じられるように実行することができる。例えば、これは、トレンチの開口が閉じるように上側トレンチ角部の堆積速度を最大にすることによって達成することができる。例えば、堆積は、非常にノンコンフォーマルなプロセス及び/又はラインオブサイトプロセスとして実行される。ある実施形態では、犠牲平坦化構造309を形成する材料の堆積は、2つの方向に実行され、それにより、図示されるクレバス3091を発生させ得る。例えば、マスク配置30は、犠牲平坦化構造309の上に形成され、その後、構造化される。次いで、犠牲平坦化構造309の露出部分が少なくとも最上部部分において除去され得る。トレンチ14、15、16の下側部分が空のままであるため、犠牲平坦化構造309の材料の除去を簡単に実施することができる。その後、例えば、別のトレンチ側壁保護を予め設けることなく注入24を実行することができ、その後、マスク配置30及び犠牲平坦化構造309の残りの部分を除去することができる。
【0237】
これより
図21を再度参照すると、ある代替実施形態では、トレンチ14、15、16をステップ20で形成し、任意選択的に、少なくともトレンチの側壁において保護層300を設けた後、ポリシリコン、又はドープ酸化物源(例えば、ホウ素ドープSiO
2又はアルミニウムドープSiO
2)、又は第2の導電型の別のドーパント源をトレンチ14、15、16内に(例えば、トレンチ底部145、155、165において)堆積することができる。例えば、ドーパント源(例えば、ドープ酸化物)の堆積は、スピンオンプロセス又はCVDプロセス(例えば、超コンフォーマルCVDプロセス)を含み得る。堆積されたドーパント源は、次いで、例えばリソグラフィ及びエッチング(例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング、又はウェットエッチング及びドライエッチングの組み合わせ)処理ステップによって構造化することができる。例えば、それにより、ドーパント源がトレンチ14、15、16の1つ又は複数から除去される。代替的に、ドーパント源の堆積前に又はドーパント源の堆積中に対応するマスクが設けられ得る。堆積されたドーパント源が、選択されたトレンチ14、15、16(これらは、ステップ24中に注入を受ける露出トレンチに対応すると見なすことができる)内にのみ存在する時点で、堆積されたドーパント源が半導体本体10内へとトレンチから外へ拡散し、それによってバリア領域105を形成するように最終的に一体化し得るドープ領域を形成するように拡散処理ステップ(例えば、高温炉処理ステップ)が実行され得る。その後、ある実施形態によれば、残りのドーパント源(例えば、ポリシリコン又はドープ酸化物)を全てのトレンチから除去することができ、例えば、制御トレンチ14、ソーストレンチ16、及びダミートレンチ15を形成するように通常のトレンチ形成プロセスが行われ得る。
【0238】
本明細書に記載した1つ又は複数の実施形態によれば、MPT構造に従って構成された複数のIGBTセルを備えたIGBTが提示され、各IGBTセルは、少なくとも1つの活性メサにおける負荷電流を制御するための制御トレンチと、制御端子にも電気的に接続され、且つ少なくとも1つの不活性メサに隣接して配置されるトレンチ電極を有した少なくとも1つのダミートレンチとを備え、活性メサ及びダミートレンチの底部は、横方向に構造化され、且つ電気的に浮遊するpドープバリア領域によって互いに接続される。ある実施形態によれば、このような接続により、IGBTのスイッチング動作中、制御端子に対する電圧スイングを減少させることができる。これは、例えば、IGBTのスイッチング中にゲート信号によりdV/dtの制御の向上を可能にすることができる。さらに、ある実施形態では、pバリア領域の横方向構造化は、IGBTの伝達及び出力特性のスナップバックを回避することができる。例えば、公称電流の10%未満又は1%未満の電流では、pバリア領域(例えば、バリア通路が存在する場所)によって覆われていない活性メサによって負荷電流が伝送される。より大きい電流に関して、バリア領域と、バリア領域の上のドリフト領域との間の遷移によって形成される上側pn接合は、電子流に対して順方向バイアスモードにあり、活性セル領域内の全ての活性メサは、pバリア領域によって覆われているか否かに関係なく負荷電流を伝送する。
【0239】
上記では、電力半導体デバイス及び対応する処理方法に関連する実施形態を説明した。例えば、これらの電力半導体デバイスは、シリコン(Si)に基づくものである。従って、単結晶半導体領域又は層(例えば、半導体本体10及びその領域/ゾーン100、101、102、105、107、108、109)は、単結晶Si領域又はSi層であり得る。他の実施形態では、多結晶又はアモルファスシリコンが用いられ得る。
【0240】
しかし、半導体本体10及びそのドープ領域/ゾーンは、半導体デバイスの製造に適した任意の半導体材料で作られ得ることが理解されるものとする。このような材料の例には、シリコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)などの元素半導体材料、シリコンカーバイド(SiC)又はシリコンゲルマニウム(SiGe)などのIV族化合物半導体材料、窒化ガリウム(GaN)、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、インジウムガリウムリン(InGaP)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、又はインジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)などの二元系、三元系、又は四元系III-V族半導体材料、及び2~3例を挙げるとテルル化カドミウム(CdTe)及びテルル化カドミウム水銀(HgCdTe)などの二元系又は三元系II-VI族半導体材料が含まれるが、これらに限定されない。上述の半導体材料は、「ホモ接合半導体材料」とも呼ばれる。2つの異なる半導体材料を組み合わせる場合、ヘテロ接合半導体材料が形成される。ヘテロ接合半導体材料の例には、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)-窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)-窒化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)-窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)-窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)-窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、シリコン-シリコンカーバイド(SixC1-x)、及びシリコン-SiGeヘテロ接合半導体材料が含まれるが、これらに限定されない。電力半導体デバイス用途の場合、現在、主にSi、SiC、GaAs、及びGaN材料が使用される。
【0241】
「下」、「下方」、「下側」、「上」、「上側」などといった空間的な相対語は、ある要素の第2の要素に対する位置付けを説明する描写を簡単にするために使用される。これらの用語は、図面に描かれたものと異なる配向に加えて、各デバイスの異なる配向を網羅することが意図される。さらに、「第1の」、「第2の」などといった用語も様々な要素、領域、セクションなどを説明するために使用され、同様に限定的であることを意図されない。本明細書全体を通して、同様の用語が同様の要素を指す。
【0242】
本明細書では、「有する」、「含有する」、「包含する」、「含む」、「示す」などの用語は、記載された要素又は特徴の存在を示すが、追加の要素又は特徴を除外しないオープンエンドの用語である。
【0243】
上記の変形形態及び適用例の範囲を念頭に置いて、本発明は、上述の記載及び添付の図面の何れによっても限定されないことが理解されるものとする。代わりに、本発明は、以下の特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0244】
1 電力半導体デバイス
1-1 IGBTセル
1-2 活性セル領域
1-3 エッジ終端領域
1-5 遷移領域
2 電力半導体デバイスを処理する方法
10 半導体本体
10-1 表面セクション
11 第1の負荷端子
12 第2の負荷端子
14 制御トレンチ
15 ダミートレンチ
16 ソーストレンチ
18 活性メサ
19 不活性メサ
20 複数のトレンチを生成するステップ
22 マスク配置を設けるステップ
24 ドーパント材料供給ステップ
26 マスク配置を除去するステップ
28 温度アニーリングステップ
30 マスク配置
100 ドリフト領域
100-1 上側セクション
105 バリア領域
109 ウェル領域
141 制御電極
151 ダミー電極
161 ソース電極
144、154、164 トレンチ側壁
145、155、165 トレンチ底部
212 犠牲平坦化構造を形成するステップ
300 保護層
301 横方向構造
309 犠牲平坦化構造
1059 ドーピング領域
2200 第2の導電型の電気的に浮遊するバリア領域を設けるステップ
W 幅
X 第1の横方向
Y 第2の横方向
Z 垂直方向
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の負荷端子及び第2の負荷端子であって、電力半導体デバイスが前記第1の負荷端子と前記第2の負荷端子との間で垂直方向に沿って負荷電流を伝導するように構成される、第1の負荷端子及び第2の負荷端子と、
第1の導電型のドリフト領域と、
前記垂直方向に沿って前記ドリフト領域内に延在し、且つ活性メサを横方向に制限する第1のペアのトレンチと、
前記活性メサ内の第2の導電型のチャネル領域と、
前記ドリフト領域から前記活性メサ内へと前記垂直方向に延在する前記第2の導電型の第1のバリア領域と、
前記活性メサ内にあって、前記チャネル領域と前記第1のバリア領域との間に挟まれた前記第1の導電型の第2のバリア領域と、を含む、電力半導体デバイス。
【請求項2】
前記活性メサ内に前記第1の導電型のソース領域をさらに含み、前記チャネル領域が前記ソース領域を前記第2のバリア領域から前記垂直方向に分離する、請求項1に記載の電力半導体デバイス。
【請求項3】
前記第2のバリア領域は、前記チャネル領域と接触して配置され、前記第2のバリア領域が前記第1のバリア領域と境界面をなすまで前記チャネル領域から前記垂直方向に沿って下方に延在する、請求項1又は2に記載の電力半導体デバイス。
【請求項4】
前記第2のバリア領域は、前記第1のペアのトレンチと交差する第1の横方向に前記活性メサを充填する、請求項1~3のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項5】
前記第2のバリア領域は、前記ドリフト領域の下側セクションのドーパント濃度の少なくとも2倍の大きさの最大ドーパント濃度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1のバリア領域と前記第2のバリア領域との間に形成されたpn接合は、前記第1のペアのトレンチの底部の下方に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1のバリア領域と前記第2のバリア領域との間に形成されたpn接合は、前記活性メサ内に配置される、請求項1~5のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1のバリア領域は、前記活性メサの全てではなく一部と横方向にオーバーラップする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1のバリア領域は、前記活性メサのメサ幅の最大70%と横方向にオーバーラップする、請求項8に記載の電力半導体デバイス。
【請求項10】
前記第2の導電型の追加のチャネル領域を含む追加の活性メサを横方向に制限する第2のペアのトレンチをさらに含み、前記追加の活性メサは、前記第1のバリア領域が存在しないバリア領域通路と横方向にオーバーラップする、請求項1~9のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項11】
前記追加の活性メサ内にあって、前記追加のチャネル領域と前記バリア領域通路との間に挟まれた前記第1の導電型の追加の第2のバリア領域をさらに含む、請求項10に記載の電力半導体デバイス。
【請求項12】
前記追加の第2のバリア領域は、前記追加のチャネル領域と接触して配置され、前記追加の第2のバリア領域が前記ドリフト領域の上側セクションと境界面をなすまで前記追加のチャネル領域から前記垂直方向に沿って下方に延在する、請求項11に記載の電力半導体デバイス。
【請求項13】
前記追加の活性メサ内に前記第1の導電型の追加のソース領域をさらに含み、前記追加のチャネル領域が前記追加のソース領域を前記追加の第2のバリア領域から前記垂直方向に分離する、請求項11に記載の電力半導体デバイス。
【請求項14】
前記バリア領域通路は、前記追加のソース領域の少なくとも一部と横方向にオーバーラップする、請求項13に記載の電力半導体デバイス。
【請求項15】
前記バリア領域通路は、電力半導体デバイスの公称負荷電流の10%未満の電流に対する負荷電流通路を提供する、請求項10に記載の電力半導体デバイス。
【請求項16】
前記バリア領域通路は、前記ドリフト領域のセクションで充填される、請求項10に記載の電力半導体デバイス。
【請求項17】
前記バリア領域通路は、前記第1のペアのトレンチより前記垂直方向により深く延在する追加のトレンチの下側セクションで充填される、請求項10に記載の電力半導体デバイス。
【請求項18】
前記垂直方向に沿って前記ドリフト領域内に延在し、且つ不活性メサを横方向に制限するペアのソーストレンチをさらに含み、前記第1のバリア領域が前記不活性メサ内に部分的に延在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項19】
ダミートレンチ電極を有する、ダミートレンチをさらに含み、
前記ダミートレンチは、前記垂直方向に沿って延在して、前記ダミートレンチ電極を絶縁する絶縁体を含み、
前記第1のバリア領域は、前記活性メサのセクションと前記ダミートレンチの底部との間に導電性経路を提供するように構成されている、請求項18に記載の電力半導体デバイス。
【請求項20】
前記第1のバリア領域は、前記ダミートレンチの前記底部と境界面をなすように、前記活性メサから前記ペアのソーストレンチの底部の下方に、且つ前記不活性メサを横断して延在する、請求項19に記載の電力半導体デバイス。
【請求項21】
前記第2のバリア領域は、横方向に構造化されている、請求項1~20のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【請求項22】
前記電力半導体デバイスの活性領域内のいくつかのメサが前記第2のバリア領域の一部を含み、且つ前記電力半導体デバイスの活性領域内のいくつかのメサが前記第2のバリア領域を含まないように、前記第2のバリア領域は横方向に構造化されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の電力半導体デバイス。
【外国語明細書】