(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156393
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】アンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H01P 5/02 20060101AFI20231017BHJP
H01Q 7/00 20060101ALI20231017BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20231017BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20231017BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231017BHJP
【FI】
H01P5/02 C
H01Q7/00
H01Q1/24 C
H04B5/02
H02J50/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126982
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2019067345の分割
【原出願日】2019-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太矢 隆士
(57)【要約】
【課題】制限された形状又はサイズの中で高効率な電力伝送又は情報伝送を行うことが可能な磁気アンテナシステムを提供する。
【解決手段】電圧の印加によって磁界を生成し、各々が第1の方向に沿って伸張しかつ互いに第1の距離だけ離れて配置された第1及び第2の導線部を含む第1の平面コイルを有する第1のアンテナ装置と、磁界の印加によって電圧を生成し、各々が第1の方向に沿って伸張しかつ第1の距離よりも小さな第2の距離だけ離れて配置された第3及び第4の導線部を含む第2の平面コイルを有する第2のアンテナ装置と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加によって磁界を生成し、各々が第1の方向に沿って伸張しかつ互いに第1の距離だけ離れて配置された第1及び第2の導線部を含む第1の平面コイルを有する第1のアンテナ装置と、
磁界の印加によって電圧を生成し、各々が前記第1の方向に沿って伸張しかつ前記第1の距離よりも小さな第2の距離だけ離れて配置された第3及び第4の導線部を含む第2の平面コイルを有する第2のアンテナ装置と、を有することを特徴とするアンテナシステム。
【請求項2】
前記第1及び第2の平面コイルは、互いに対向して配置された際に、第1及び第2の平面コイルの面内方向において第3及び第4の導線部が第1の導線部と第2の導線部との間に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナシステム。
【請求項3】
前記第2の平面コイルは、前記第1の方向を長手方向とする平面形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナシステム。
【請求項4】
前記第2の平面コイルは、スパイラルインダクタであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項5】
前記第2のアンテナ装置は、前記第2の平面コイルを支持する可撓性の基板を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項6】
前記第1の平面コイルは、前記第1の方向を長手方向とする平面形状を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項7】
前記第1の平面コイルは、前記第2の平面コイルよりも小さな電気抵抗を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項8】
前記第1の平面コイルは、前記第2の平面コイルよりも大きな断面を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項9】
前記第1のアンテナ装置は、電力源を有する第1の電子機器に搭載され、
前記第2のアンテナ装置は、第2の電子機器に搭載され、
前記第1のアンテナ装置は、前記第1の電子機器の前記電力源から供給される電力を無線で送電する送電装置を構成し、
前記第2のアンテナ装置は、前記第1のアンテナ装置から送電された電力を受電し、当該電力を前記第2の電子機器に供給する受電装置を構成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項10】
前記第1のアンテナ装置は、電圧の印加によって、13.56MHzの交流磁界を生成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【請求項11】
前記第2のアンテナ装置の前記第1のアンテナ装置に対する相対位置を定める位置決め装置を有することを特徴とする1乃至10のいずれか1つに記載のアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線での磁気的な電力伝送及び情報伝送などに用いられるアンテナシステム
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやスマートウォッチなどの種々の電子機器のバッテリを無線で(又は無接点で)充電する技術が一般化されつつある(例えば、特許文献1など)。無線充電に対応する装置は、例えば、磁界を発生させる送電装置に近接させることで、当該磁界を媒体として当該送電装置から電力を受け取る。また、当該磁界を媒体とすることで、当該装置間では、電力の伝送のみならず、信号の伝送、すなわち情報の伝送を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置間での磁気的な電力伝送及び情報伝送を行う場合、当該装置の各々には、磁気を受け渡す磁気アンテナが設けられている。例えば、当該磁気アンテナの各々は、電流を磁界に変換し、又は磁界を電流に変換するコイルを含む。また、伝送効率を考慮すると、コイル同士が高い結合係数で磁気的に結合されていることが好ましい。
【0005】
このためには、例えば、伝送元となる装置のアンテナが安定した磁界を生成するコイルを有すること、また、伝送先となる装置のアンテナが当該磁界を受け取りやすい形状及びサイズのコイルを有することが好ましい。
【0006】
しかし、アンテナを内蔵する装置がサイズや形状などの点で制約を受ける場合がある。例えば、電子ペンは、人が不便なく持つことができる範囲内の形状、サイズ及び重量を有していなければならない。従って、例えば、電子ペンの場合、柱状又は筒状以外の形状がほとんど許容されない。このように、例えば、人に接する電子機器などにおいては、大幅に制限されたスペース内にアンテナを搭載することが必要になる。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、制限された形状又はサイズの中で高効率な電力伝送又は情報伝送を行うことが可能なアンテナシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるアンテナシステムは、電圧の印加によって磁界を生成し、各々が第1の方向に沿って伸張しかつ互いに第1の距離だけ離れて配置された第1及び第2の導線部を含む第1の平面コイルを有する第1のアンテナ装置と、磁界の印加によって電圧を生成し、各々が第1の方向に沿って伸張しかつ第1の距離よりも小さな第2の距離だけ離れて配置された第3及び第4の導線部を含む第2の平面コイルを有する第2のアンテナ装置と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるアンテナシステムにおいては、例えば電子ペンなどの棒状又は筒状の電子機器に受電装置としての第2のアンテナ装置が搭載される場合において、第1のアンテナ装置から生成される磁界が安定し、第1のアンテナ装置との間で高い磁界結合を生じさせることができる。従って、高効率な電力伝送及び情報伝送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係るアンテナシステムが搭載された電子システムの斜視図である。
【
図2】実施例1に係るアンテナシステムの斜視図である。
【
図3】実施例1に係るアンテナシステムの側面図である。
【
図4】実施例1に係るアンテナシステムにおける第1及び第2のアンテナ装置の断面図である。
【
図5】実施例1に係るアンテナシステムに生ずる磁界を示す図である。
【
図6】比較例に係るアンテナシステムに生ずる磁界を示す図である。
【
図7】実施例1の変形例1に係るアンテナシステムにおける第1のアンテナ装置の斜視図である。
【
図8】実施例1の変形例1に係るアンテナシステムにおける第2のアンテナ装置の断面図である。
【
図9】実施例1の変形例2に係るアンテナシステムにおける第1のアンテナ装置の斜視図である。
【
図10】実施例1の変形例2に係るアンテナシステムにおける第1及び第2のアンテナ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例0012】
図1は、実施例1に係るアンテナシステム10を含む電子システム20の斜視図である。本実施例においては、電子システム20は、タブレット端末(第1の電子機器、以下、単にタブレットと称する)21及び電子ペン(第2の電子機器、以下、単にペンと称する)22からなる。また、アンテナシステム10は、タブレット21に搭載される第1のアンテナ装置11及びペン22に搭載される第2のアンテナ装置12を含む。
【0013】
本実施例においては、タブレット21は、タブレット21の動作電源となるバッテリ(電力源)21Aを内部に有している。また、ペン22は、ペン22の動作電源となるバッテリ(電力源)22Aを内部に有している。また、本実施例においては、第1のアンテナ装置11は、タブレット21のバッテリ21Aを動作電源として動作する。また、第2のアンテナ装置12は、ペン22のバッテリ22Aを動作電源として動作する。
【0014】
また、本実施例においては、タブレット21は平板形状を有する。そして、第1のアンテナ装置11は、タブレット21の側面に沿って配置され、全体として細長い形状を有する。また、ペン22は柱状又は筒状などの細長い形状を有する。そして、第2のアンテナ装置12は、ペン22の側面に沿って配置され、全体として細長い形状を有する。
【0015】
また、本実施例においては、第1のアンテナ装置11は、タブレット21のバッテリ21Aから供給される電力を無線で送電する送電装置を構成する。また、第2のアンテナ装置12は、第1のアンテナ装置11から送電された電力を受電し、当該受電した電力をペン22のバッテリ22Aに供給する受電装置を構成する。
【0016】
また、本実施例においては、第1のアンテナ装置11は、電圧の印加によって磁界を生成する磁気アンテナである。また、第2のアンテナ装置12は、磁界の印加によって電圧(電流)を生成する磁気アンテナである。第1及び第2のアンテナ装置11及び12は、磁界を媒体として送受電を行う。本実施例においては、アンテナシステム10は、第1のアンテナ装置11から第2のアンテナ装置12に磁気的に電力を伝送する電力伝送システムを構成する。
【0017】
また、本実施例においては、アンテナシステム10は、第2のアンテナ装置12の第1
のアンテナ装置11に対する相対位置を定める位置決め装置13を有する。本実施例においては、位置決め装置13は、第1のアンテナ装置11が配置されたタブレット21の側面に設けられ、ペン22をタブレット21の側面に密着又は近接させた状態でペン22を保持する突起を有する。
【0018】
なお、位置決め装置13の構成はこれに限定されない。例えば、位置決め装置13は、タブレット21に設けられ、ペン22の側面と係合するように構成された凹部を有していてもよい。また、例えば、位置決め装置13は、タブレット21及びペン22の側面にそれぞれ設けられた永久磁石を含んでいてもよい。
【0019】
また、例えば、タブレット21は、ペン22の接近を検知するセンサ(図示せず)を有し、ペン22がタブレット21に近接した場合、第1のアンテナ装置11に対して送電動作を指令する。また、例えば、ペン22は、動作時はバッテリ22Aが満充電状態でない限り第2のアンテナ装置12に対して外部からの受電動作を指令する。
【0020】
図2は、第1及び第2のアンテナ装置11及び12の模式的な斜視図である。まず、第1のアンテナ装置11は、送電部として機能し、矩形の平面形状を有するアンテナ部(以下、第1のアンテナ部と称する)31と、第1のアンテナ部31の駆動及び制御を行う制御部(本実施例においては送電制御部として機能する)32と、を有する。
【0021】
本実施例においては、第1のアンテナ部31は、長手方向(第1の方向)D11及び短手方向(第2の方向)D12を有する矩形の平面コイル(以下、第1の平面コイルと称する)31Aと、絶縁性を有し、第1の平面コイル31Aを支持する平板形状の基板31Bと、を含む。
【0022】
例えば、基板31Bは、長手方向D11及び短手方向D12を有する細長い矩形の樹脂板からなる。また、第1の平面コイル31Aは、基板31Bの主面の一方(本実施例においては送電面として機能する。以下、第1の伝送面と称する)31Tに設けられ、第1の伝送面31Tの外周部に沿って環状に形成された導体配線(インダクタンス配線)からなる。
【0023】
本実施例においては、第1の平面コイル31Aは、ループアンテナを構成するスパイラルインダクタである。また、第1の平面コイル31Aは、各々が長手方向D11に沿って並行して伸張し、互いに反対方向の電流を生じさせる第1及び第2の導線部P1及びP2を有する。換言すれば、第1の平面コイル31Aは、第1及び第2の導線部P1及びP2の伸張方向を長手方向D11とする平面形状を有する。
【0024】
また、制御部32は、バッテリ21Aに接続され、第1のアンテナ部31Aの駆動制御を行う種々の素子が集積された制御回路(本実施例においては送電制御回路として機能する)32Aと、制御回路32Aを実装する実装基板32Bと、を含む。
【0025】
本実施例においては、制御回路32Aは、第1の平面コイル31Aと共に共振回路を構成するキャパシタ(図示せず)を含む。本実施例においては、第1のアンテナ装置11は、バッテリ21Aからの電力を受けて、第1のアンテナ部31によって、交流磁界を生成する。例えば、第1のアンテナ装置11は、13.56MHzの周波数の交流磁界を生成する。
【0026】
次に、第2のアンテナ装置12は、受電部として機能し、矩形の平面形状を有するアンテナ部(以下、第2のアンテナ部と称する)33と、第2のアンテナ部33の駆動及び制御を行う制御部(本実施例においては受電制御部として機能する)34と、を有する。
【0027】
本実施例においては、第2のアンテナ部33は、長手方向(第1の方向)D21及び短手方向(第2の方向)D22を有する矩形の平面コイル(以下、第2の平面コイルと称する)33Aと、絶縁性を有し、第2の平面コイル33Aを支持する平板形状の基板33Bと、を含む。
【0028】
例えば、基板33Bは、長手方向D21及び短手方向D22を有する細長い矩形の樹脂板からなる。また、第2の平面コイル33Aは、基板33Bの主面の一方(本実施例においては受電面として機能する。以下、第2の伝送面と称する)33Tに設けられ、第2の伝送面33Tの外周部に沿って環状に形成された導体配線(インダクタンス配線)からなる。
【0029】
本実施例においては、第2の平面コイル33Aは、ループアンテナを構成するスパイラルインダクタである。また、第2の平面コイル33Aは、各々が長手方向D21に沿って並行して伸張し、互いに反対方向の電流を生じさせる第3及び第4の導線部P3及びP4を有する。換言すれば、第2の平面コイル33Aは、第3及び第4の導線部P3及びP4の伸張方向を長手方向D21とする平面形状を有する。
【0030】
また、制御部34は、バッテリ22Aに接続され、第2のアンテナ部33の駆動制御を行う種々の素子が集積された制御回路(本実施例においては受電制御回路として機能する)32Aと、制御回路34Aを実装する実装基板34Bと、を含む。
【0031】
本実施例においては、制御回路34Aは、第2の平面コイル33Aと共に、13.56MHzを共振周波数とする共振回路を構成するキャパシタ(図示せず)を含む。本実施例においては、第2のアンテナ装置12は、第1のアンテナ装置11によって生成された交流磁界と共振(共鳴)し、13.56MHzの交流電圧(交流電流)を生成する。
【0032】
また、本実施例においては、制御回路34Aは、当該共振回路によって生成された交流電流を直流電流に変換する整流素子(図示せず)を有する。制御回路34Aは、当該整流素子によって生成された直流電流をバッテリ22Aに供給することで、バッテリ22Aに給電を行う。このように、アンテナシステム10は、バッテリ21Aからバッテリ22Aに電力を伝送する。
【0033】
図3は、第1及び第2のアンテナ装置11及び12の模式的な側面図である。
図3においては、タブレット21、ペン22及び位置決め装置13を2点鎖線で示している。
図3は、電力を伝送するための第1及び第2のアンテナ装置11及び12の配置例を示す図である。
【0034】
本実施例においては、第1のアンテナ装置11は、第1の平面コイル31Aが設けられた第1の伝送面31Tがタブレット21の側面21Sを介してタブレット21の外部に面するように、タブレット21内に配置されている。また、第2のアンテナ装置12は、第2の平面コイル33Aが設けられた第2の伝送面33Tがペン22の側面22Sを介してペン22の外部に面するように、ペン22内に配置されている。
【0035】
そして、例えば、
図3に示すように、位置決め装置13にペン22を保持させることによって、タブレット21の側面21Sに沿ってペン22の側面22Sを近接又は当接させる。これによって、第1及び第2のアンテナ装置11及び12は、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aの各々の長手方向D11及びD21が揃うように、互いに対向して配置される。例えば、このようにタブレット21及びペン22を位置決めすることで、アンテナシステム10がタブレット21のバッテリ21Aから電力の伝送を開始し、ペン2
2のバッテリ22Aへの無線給電が開始される。
【0036】
図4は、第1及び第2のアンテナ部31及び33の各々の短手方向D12及びD22に沿った断面図である。
図4は、
図3の4-4線に沿った断面図である。
図4を用いて、第1及び第2のアンテナ装置11及び12のアンテナ形状の詳細について説明する。
【0037】
まず、本実施例においては、第1の平面コイル31Aは、基板31Bの第1の伝送面31Tから部分的に露出するように基板31Bに埋め込まれ、第1の伝送面31Tにおいて環状に2回引き回された導線(インダクタンス配線)からなる。
【0038】
より具体的には、まず、
図4に示すように、第1の平面コイル31Aは、各々が長手方向D11に沿って並行して伸張し、互いに反対方向の電流を生じさせ、短手方向D12において距離(第1の距離、コイル内寸と称される場合がある)W11をおいて互いに離間して配列された第1及び第2の導線部P1及びP2を有する。
【0039】
また、第1の導線部P1は、各々が長手方向D11に沿って延び、互いに同一方向の電流を生じさせ、短手方向D12において距離(導体間ピッチと称される場合がある)W0をおいて互いに離間する2つの第1の導線P11及びP12からなる。
【0040】
また、第2の導線部P2は、各々が長手方向D11に沿って延び、互いに同一方向の電流を生じさせ、短手方向D12において距離(導体間ピッチと称される場合がある)W0をおいて互いに離間する2つの第2の導線P21及びP22からなる。
【0041】
次に、第2の平面コイル33Aは、基板33Bの第2の伝送面33Tから部分的に露出するように基板33Bに埋め込まれ、第2の伝送面33Tにおいて環状に2回引き回された導線(インダクタンス配線)からなる。
【0042】
第2の平面コイル33Aは、各々が長手方向D21に沿って並行して伸張し、互いに反対方向の電流を生じさせ、短手方向D22において距離W11よりも小さな外形寸法(第2の距離、コイル外寸と称される場合がある)W12を有するように配列された第3及び第4の導線部P3及びP4を有する。
【0043】
また、第3の導線部P3は、各々が長手方向D21に沿って延び、互いに同一方向の電流を生じさせ、短手方向D22において距離(導体間ピッチと称される場合がある)W0をおいて互いに離間する2つの第3の導線P31及びP32からなる。
【0044】
また、第4の導線部P4は、各々が長手方向D21に沿って延び、互いに同一方向の電流を生じさせ、短手方向D22において距離(導体間ピッチと称される場合がある)W0をおいて互いに離間する2つの第4の導線P41及びP42からなる。
【0045】
従って、
図4に示すように、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aは、第1及び第2の導線部P1及びP2の伸張方向と第3及び第4の導線部P3及びP4の伸張方向とが揃うように互いに対向して配置された際に、第1及び第2の平面コイルP31A及びP33Aの面内方向において第3及び第4の導線部P3及びP4が第1の導線部P1と第2の導線部P2との間に配置されるように構成されている。
【0046】
図5は、第1の平面コイル31Aによって生成された磁界を模式的に示す図である。
図5には、第1の平面コイル31Aによって生ずる磁界の磁力線MG11及びMG12を破線で示している。
【0047】
図5に示すように、長手方向D11に沿って第1の平面コイル31Aを見ると、第1の導線部P1から生成される磁界は、磁力線MG11に示すように、第1の導線部P1を中心として、ほぼ円環状に生成となる。また、第2の導線部P2から生成される磁界は、磁力線MG12に示すように、第2の導線部P2を中心として、ほぼ円環状となる。第2の平面コイル33Aは、このような磁界を生成する第1の平面コイル31Aに磁界結合を生じさせ、これを電流に変換する。
【0048】
なお、本願の発明者は、第1及び第2の平面コイル31A及び33A間に生じている磁界結合の結合係数を測定した。この結合係数を測定するために、本願の発明者は、以下の構成の第1及び第2のアンテナ装置11及び12を準備した。
【0049】
具体的には、第2の平面コイル33Aとして、長手方向D21のコイル外寸を30mmとし、短手方向D22のコイル外寸(距離W12)を4mmとし、導体幅(第3及び第4の導線P31、P32、P41及びP42の各々の断面における直径)を0.2mmとした2回巻きの平面コイルを準備した。また、第1の平面コイル31Aとして、短手方向D12のコイル内寸(距離W11)を5mmとし、長手方向D11のコイル外寸を30mmとし、導体幅(第1及び第2の導線P11、P12、P21及びP22の各々の断面における直径)を0.2mmとした2回巻きの平面コイルを準備した。
【0050】
そして、この第1の平面コイル31Aを1次コイルとし、第2の平面コイル33Aを2次コイルとした場合の第1及び第2の平面コイル31A及び33Aの結合係数を測定したところ、結合係数は0.137であった。
【0051】
図6は、比較例に係るアンテナシステム100の構成及びアンテナシステム100によって生成された磁界を模式的に示す図である。
図6は、アンテナシステム100における
図5と同様の図である。アンテナシステム100は、互いに同一の形状及びサイズのアンテナ部を有する第1及び第2のアンテナ装置101及び102からなる。
【0052】
アンテナシステム100においては、第1のアンテナ装置101は、矩形形状の平面コイルを構成する第1及び第2の導線部P10及びP20を有する。また、第2のアンテナ装置102は、第1のアンテナ装置102と同一の矩形形状の平面コイルを構成する第3及び第4の導線部P30及びP40を有する。
【0053】
図6に示すように、アンテナシステム100においては、例えば、第1及び第2のアンテナ装置101及び102を互いの平面コイルの中心を合わせるように対向させることができる。これによって、第1の導線部P10及び第3の導線部P30は互いに完全に対向し、第2の導線部P20及び第4の導線部P40は互いに完全に対向するように配置される。
【0054】
本願の発明者は、アンテナシステム100において、アンテナシステム10と同様の条件で第1及び第2のアンテナ装置101及び102間の磁界結合の結合係数を測定した。具体的には、第1及び第2のアンテナ装置101及び102として、アンテナシステム10における第2のアンテナ装置12と同様のアンテナ装置を2つ準備した。そして、第1及び第2のアンテナ装置101及び102間の結合係数を測定したところ、結合係数は0.063であった。
【0055】
従って、アンテナシステム10においては、アンテナシステム100の2倍以上の結合係数で第1及び第2のアンテナ装置11及び12間に磁界結合が生じていることがわかる。すなわち、アンテナシステム10は、アンテナシステム100よりも高い効率で電力伝送を行うことができることがわかる。
【0056】
これは、
図6に示すように、アンテナシステム100においては、第1のアンテナ装置101によって生成される磁界が歪むことに起因する。具体的には、例えばペン22などに搭載される第2のアンテナ装置102の平面コイル(第3及び第4の導線部P30及びP40)に対向するように第1のアンテナ装置101の平面コイル(第1及び第2の導線部P10及びP20)を構成及び配置した場合を考える。
【0057】
この場合、第1の導線部P10によって生成される磁界と、第2の導線部P20によって生成される磁界と、が互いに反発しあう。従って、第1の導線部P10によって生成される磁界が第2の導線部P20から離れる方向に広がり、第1の導線部P10の近傍に生ずる磁界の強度が弱まってしまう。同様に、第2の導線部P20によって生成される磁界の強度も弱まる。
【0058】
従って、第1のアンテナ装置101(比較例)によって生成される磁界の磁力線MG01及びMG02は、磁力線MG11及びMG12(本実施例)よりも長く、また不安定な密度となる。従って、良好な磁界結合(高い結合係数)を得ることが困難となる。
【0059】
これに対し、本実施例においては、
図4に示すように、第1のアンテナ装置11の第1の平面コイル31Aが第2のアンテナ装置12の第2の平面コイル33Aよりも大きなコイル内寸(距離W11)を有する。これによって、安定した強度の磁界を第2の平面コイル33Aの近傍に生じさせることができる。
【0060】
従って、高い結合係数でコイル間の磁界結合を生じさせ、高い伝送効率を得ることができる。また、高効率で電力伝送を行うことができるため、本実施例における電力の伝送元となるタブレット21のバッテリ21Aを低用量化及び低価格化することができる。
【0061】
また、短手方向D12及びD22においては、第1及び第2のアンテナ平面コイル31A及び33Aの位置がある程度ズレた場合でも磁界結合の強度、すなわち伝送効率が低下しにくい。従って、タブレット21及びペン22を厳密に位置合わせする必要が無い。従って、高い伝送効率及び高い利便性で電力伝送を行うことができる。
【0062】
また、アンテナシステム10内での熱の発生を低減することができる。この低い発熱性は、タブレット21及びペン22などの人が触れる電子機器に搭載されるアンテナシステム10においては、安全性の観点からも重要な特性である。
【0063】
なお、上記した第1及び第2の平面コイル31A及び33Aの構成は、一例に過ぎない。例えば、本実施例においては、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aが矩形のコイル形状を有する場合について説明した。
【0064】
しかし、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aは、矩形のコイル形状を有する場合に限定されない。例えば、第2の平面コイル33Aは、楕円形状又はトラック形状を有していてもよいし、部分的にクランクを有していてもよい。
【0065】
例えば、第1の平面コイル31Aは、各々が並行して伸張する第1及び第2の導線部P1及びP2を有していればよい。また、第2の平面コイル33Aは、例えば、各々が並行して伸張する第3及び第4の導線部P3及びP4を有していればよい。また、電子ペン22などの細長い形状の電子機器に搭載されることを考慮すると、第2の平面コイル33Aは、第3及び第4の導線部P3及びP4の伸張方向を長手方向D21とする平面形状を有していればよい。
【0066】
また、第1の平面コイル31Aは、第2の平面コイル33Aに対向して配置された際に第3及び第4の導線部P3及びP4を挟むように設けられた第1及び第2の導線部P1及びP2を有していればよい。また、例えば、第2の平面コイル33Aは、第1の平面コイル31Aの第1及び第2の導線部P1及びP2の離間距離よりも小さな距離だけ離間した第3及び第4の導線部P3及びP4を有していればよい。
【0067】
また、本実施例においては、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aが2回巻きの平面コイルからなる場合について説明した。しかし、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aの巻き数は2回である場合に限定されない。例えば、第1の平面コイル31Aが3回巻きの平面コイルであり、第2の平面コイル33Aが1回巻きの平面コイルであってもよい。すなわち、各導線部は、少なくとも1つの導線を含んでいればよい。
【0068】
なお、高い伝送効率を得ることを考慮すると、第1の平面コイル31Aにおける長手方向D11の内形寸法においても、第2の平面コイル33Aにおける長手方向D21の外形寸法よりも大きいことが好ましい。すなわち、第2の平面コイル33Aは、第1の平面コイル31Aに対向して配置された際に、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aの面内方向において、その全体が第1の平面コイル31Aの内側に配置されるように構成されていることが好ましい。
【0069】
また、第2の平面コイル33Aは、第1の平面コイル31Aのコイル内寸よりも小さなコイル外寸を有する部分を有していればよい。例えば、第2の平面コイル33Aは、内側に開口を有していなくてもよい。
【0070】
図7は、本実施例の変形例1に係るアンテナシステム10Aにおける第2のアンテナ装置12Aの模式的な斜視図である。アンテナシステム10Aは、第2のアンテナ装置12Aの構成を除いては、アンテナシステム10と同様の構成を有する。
【0071】
また、第2のアンテナ装置12Aは、アンテナ部35の構成を除いては、第2のアンテナシステム12と同様の構成を有する。第2のアンテナシステム12Aにおいては、アンテナ部35は、開口部を有さない第2の平面コイル35Aと、第2の平面コイル35Aを支持する基板35Bと、からなる。
【0072】
図8は、アンテナ部35の短手方向D22に沿った断面図である。
図8は、
図7の8-8線に沿った断面図である。
図8に示すように、本変形例においては、第2の平面コイル35Aにおける長手方向D21に沿って伸張する全ての導線が互いに同一の間隔をおいて基板35Bの主面(第2の伝送面35T)上に配列されている。
【0073】
具体的には、第2の平面コイル35Aは、長手方向D12において互いに反対方向の電流を生じさせる第3及び第4の導線部P3A及びP4Aを有する。また、本変形例においては、第2の平面コイル35Aは2回巻きの平面コイルである。第3の導線部P3Aは、長手方向D21に沿って延びる2つの第3の導線P33及びP34を有する。また、第4の導線部P4Aは、長手方向D21に沿って延びる2つの第4の導線P43及びP44を有する。
【0074】
また、本変形例においては、第3の導線P33及びP34は、短手方向D22において距離W0をおいて互いに離間して配置されている。また、第4の導線P43及びP44は、短手方向D22において距離W0をおいて互いに離間して配置されている。さらに、本実施例においては、第3の導線部P3Aにおける最も第4の導線部P4Aに近い第3の導線P33と、第4の導線部P4Aにおける最も第3の導線部P3Aに近い第4の導線P43と、は、短手方向D22において距離W0をおいて互いに離間して配置されている。
【0075】
すなわち、第2の平面コイル35Aにおいては、第3及び第4の導線部P3A及びP4Aは、短手方向D22において、第3及び第4の導線部P3A及びP4A内の導線の配置間隔と同一の間隔で互いに離間して配列されている。第2の平面コイル35Aをこのように構成することで、アンテナ部35を短手方向D22において最も小型化することができる。
【0076】
例えば、第2の平面コイル35Aは、第2の伝送面35Tに垂直な方向から見たときに第1の平面コイル33Aの内側に納まるような外形を有する部分を有していればよく、その内側のコイル形状については種々の形状を有し得る。従って、導電特性を阻害しない範囲内で導線同士を近づけて配置することができる。従って、例えば、複数巻きの平面コイルにおいては、同一方向の電流を生じさせる導線(例えば第3の導線P33及びP34)の配置間隔(距離W0)で全ての導線を配置することができる。
【0077】
この場合、電力の伝送特性を犠牲にすることなく、第2のアンテナ装置12Aを小型化することができる。従って、ペン22の内部などの制限されたスペースに搭載される場合であっても高い伝送効率で電力伝送を行うアンテナシステム10Aを提供することができる。
【0078】
また、本実施例においては、第1の平面コイル31Aが基板31B上に形成された導体配線からなり、第2の平面コイル33Aが基板33B上に形成された導体配線からなる場合について説明した。しかし、第1及び第2のアンテナ部31及び33は、基板上に形成されたインダクタンス配線からなる場合に限定されない。例えば、第1又は第2のアンテナ部31又は33は、自己支持できる種々の導体のみであってもよい。
【0079】
図9は、本実施例の変形例2に係るアンテナシステム10Bの第1のアンテナ装置11Aの模式的な斜視図である。アンテナシステム10Bは、第1のアンテナ装置11Aの構成を除いては、アンテナシステム10と同様の構成を有する。また、第1のアンテナ装置11Aは、第1のアンテナ部36の構成を除いては、第1のアンテナ装置11と同様の構成を有する。
【0080】
本変形例においては、第1のアンテナ部36は、第1の平面コイルのみからなる。すなわち、第1のアンテナ装置11Aは、第1のアンテナ部として機能する第1の平面コイル36を有する。また、第1の平面コイル36の表面は、第1のアンテナ装置11Aにおける第1の伝送面36Tとして機能する。
【0081】
図10は、アンテナシステム10Bにおける第1及び第2のアンテナ装置11A及び12の配置例を示す図である。
図10は、第1及び第2のアンテナ装置11A及び12の短手方向D12及びD22における断面図である。
図10においては、タブレット21及びその側面21Sを二点鎖線で示した。
【0082】
図10に示すように、また、第1のアンテナ装置11Aにおける第1の伝送面36Tは、タブレット21の側面21Sに沿ってタブレット21の内部に配置されている。また、本変形例においては、第1の平面コイル36におけるタブレット21の側面21Sに面する表面が第1の伝送面36Tとなる。
【0083】
本変形例においては、第1のアンテナ装置11Aの第1の平面コイル36は、第2のアンテナ装置12の第2の平面コイル33Aよりも大きな断面(本実施例においては直径)を有する。また、第1の平面コイル36は、第2の平面コイル33Aよりも小さな電気抵抗を有する。例えば、第1の平面コイル36は、エナメル線又はリッツ線からなる。
【0084】
例えば、送電側の電子機器内においては、アンテナ用に用意されるスペースの制限が緩い場合がある。この場合、強い磁界を生成することを優先的に考慮して第1のアンテナ装置11Aを構成することができる。
【0085】
従って、第1の平面コイル36は、例えばリッツ線などのように、第2の平面コイル33Aよりも小さな電気抵抗を有する導線、又は第2の平面コイル33Aよりも大きな断面を有する導線によって形成されることによって、安定した高強度の磁界を生成することができる。従って、高い伝送効率を得ることができる。
【0086】
また、本実施例においては、第2のアンテナ装置12が基板31Bを有する場合について説明した。この基板31Bは、種々の機器及び装置に搭載されることを考慮して、種々の形状、サイズ及び特性を有し得る。
【0087】
例えば、ペン22などの細長い柱状又は筒状の電子機器に搭載される場合、ペン22の側面22Sは、平面形状に限らず、曲面形状及び多角形状を有する場合がある。このような種々の形状の側面22Sに搭載されることを考慮すると、第2のアンテナ装置12は、変形可能な構成を有することが好ましい。
【0088】
従って、この場合、例えば、第2のアンテナ装置12の第2の平面コイル33Aは、フレキシブル基板など、可撓性を有する基板33Bによって支持されていることが好ましい。これによって、アンテナシステム10は、種々の形状を有する機器及び装置に搭載されることができる。
【0089】
また、本実施例においては、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aは、1つの階層で平面状に巻かれた導線からなる場合について説明した。しかし、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aは、平面状に巻かれた導線が複数回積層されるような構成を有していてもよい。
【0090】
また、第1のアンテナ装置11は、基板31Bの第1の伝送面31Tに設けられ、所定の周波数帯域(例えば13.56MHzを含む所定の帯域)に透磁性を有する磁性シートを有していてもよい。また、第2のアンテナ装置12は、基板33Bの第2の伝送面33Tに設けられ、所定の周波数帯域(例えば13.56MHzを含む所定の帯域)に透磁性を有する磁性シートを有していてもよい。これによって、第1及び第2の平面コイル31A及び33A間の磁界結合の強度が向上する。
【0091】
また、本実施例においては、第1のアンテナ装置11の制御部32が第1の平面コイル31Aと共に共振回路を構成するキャパシタを有し、第2のアンテナ装置12の制御部34が第2の平面コイル33Aと共に共振回路を構成するキャパシタを有する場合について説明した。しかし、電力の伝送方式及び伝送効率に応じて、キャパシタは設けられていなくてもよい。なお、キャパシタを設ける場合、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aは、周波数調整を行うため、部分的に断線させた部分を有していてもよい。
【0092】
また、本実施例においては、制御部32及び34がそれぞれ第1及び第2のアンテナ部31及び33の長手方向D11及びD21の端部に接続されている場合について説明した。しかし、制御部32及び34は、それぞれ第1及び第2のアンテナ部31及び33に接続されていればよく、その接続点はいずれの位置に設けられていてもよい。
【0093】
また、本実施例においては、アンテナシステム10が第1及び第2のアンテナ装置11及び12の位置を定める位置決め装置13を有する場合について説明した。しかし、アン
テナシステム10は、位置決め装置13を有していなくてもよい。
【0094】
また、アンテナシステム10は、タブレット21及びペン22などの電子機器に搭載される場合のみならず、種々のシステムに搭載されることができる。例えば、第1のアンテナ装置11が鉄道のレールに、第2のアンテナ装置12が鉄道車両に搭載されることができる。また、例えば、第1及び第2のアンテナ装置11及び12の一方が電柱に搭載されることもできる。また、第1のアンテナ装置11が道路に埋め込まれ、第2のアンテナ装置12が車両に搭載されることもできる。
【0095】
また、本実施例においては、アンテナシステム10が電力伝送を行うように構成される場合について説明した。しかし、アンテナシステム10は、電力のみならず、電気信号に重畳させて情報を伝送するように構成されることができる。
【0096】
例えば、アンテナシステム10は、電力伝送及び情報伝送を行うシステムとして機能することができる。この場合、制御部32は、タブレット21内の種々の機能素子やメモリなどからデータを取得し、これを電気信号に変換した上で、この電気信号に対応する駆動信号を生成すればよい。そして、制御部32は、当該駆動信号を第1のアンテナ部31に供給することで、当該データを示す磁界が生成される。また、第2のアンテナ装置12は、第2のアンテナ部33によって当該磁界を受け取り、電気信号に変換した後、データを復号すればよい。
【0097】
すなわち、アンテナシステム10は、電力伝送システムを構成することができるし、通信システムを構成することもできる。これらの場合でも、第1及び第2の平面コイル31A及び33Aが上記したような構成を有することで、高い伝送効率で電力及び情報の伝送を行うことができる。
【0098】
また、本実施例においては、第1の平面コイル31Aの第1及び第2の導線部P1及びP2が長手方向D11において互いに反対方向の電流を生じさせる場合について説明した。また、本実施例においては、第2の平面コイル33Aの第3及び第4の導線部P3及びP4が長手方向D21において互いに反対方向の電流を生じさせる場合について説明した。しかし、各導線部における電流の方向はこれに限定されない。
【0099】
上記したように、本実施例においては、アンテナシステム10は、例えば、電圧の印加によって磁界を生成し、各々が第1の方向D11に沿って伸張かつ第1の距離W11だけ離れて配置された第1及び第2の導線部P1及びP2を含む第1の平面コイル31Aを有する第1のアンテナ装置11と、磁界の印加によって電圧を生成し、各々が第1の方向D21に沿って伸張しかつ第1の距離W11よりも小さな第2の距離W12だけ離れて配置された第3及び第4の導線部P3及びP4を含む第2の平面コイル33Aを有する第2のアンテナ装置12と、を有する。従って、制限された形状又はサイズの中で高効率な電力伝送又は情報伝送を行うことが可能な磁気アンテナシステム10を提供することができる。