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特開2023-156645液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156645
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20231018BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20231018BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20231018BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C13/02
B05D1/26 Z
B05D3/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066138
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三根 陽介
(72)【発明者】
【氏名】石田 寛
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC78
4D075DA06
4D075DB13
4D075DC24
4D075EA05
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041BA01
4F041BA10
4F041BA13
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042DF10
4F042DF29
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】生産性を向上させる。
【解決手段】本開示による液滴吐出装置は、浮上ステージと、搬送部と、吐出ヘッドと、制御部とを備える。浮上ステージは、基板の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。搬送部は、浮上ステージによって浮上した基板を保持して浮上ステージに沿って移動させる。吐出ヘッドは、浮上ステージの上方に位置し、機能液の液滴を吐出する。制御部は、搬送部および吐出ヘッドを制御する。浮上ステージは、基板の搬入および搬出が行われる搬入出ステージを有する。制御部は、搬入出ステージにおいて基板を搬送部に渡す搬入処理と、その後、基板を保持した搬送部を移動させて吐出ヘッドの下方を通過させつつ基板に対し吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出する描画処理と、その後、搬送部を搬入出ステージに戻して搬送部による基板の保持を解除する搬出処理とを実行する。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって前記基板を浮上させる浮上ステージと、
前記浮上ステージによって浮上した前記基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる搬送部と、
前記浮上ステージの上方に位置し、機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドと、
前記搬送部および前記吐出ヘッドを制御する制御部と
を備え、
前記浮上ステージは、前記基板の搬入および搬出が行われる搬入出ステージを有し、
前記制御部は、
前記搬入出ステージにおいて前記基板を前記搬送部に渡す搬入処理と、
その後、前記基板を保持した前記搬送部を移動させて前記吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する描画処理と、
その後、前記搬送部を前記搬入出ステージに戻して前記搬送部による前記基板の保持を解除する搬出処理と
を実行する、液滴吐出装置。
【請求項2】
第1基板および第2基板の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって前記第1基板および前記第2基板を浮上させる浮上ステージと、
前記浮上ステージによって浮上した前記第1基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる第1搬送部と、
前記浮上ステージによって浮上した前記第2基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる第2搬送部と、
前記浮上ステージの上方に位置し、機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドと
を備え、
前記浮上ステージは、
前記搬送方向における一端に位置し、前記第1基板の搬入および搬出が行われる第1搬入出ステージと、
前記搬送方向における他端に位置し、前記第2基板の搬入および搬出が行われる第2搬入出ステージと
を備える、液滴吐出装置。
【請求項3】
前記搬送方向に沿って延在するガイドレールを備え、
前記第1搬送部および前記第2搬送部は、同一の前記ガイドレールに沿って移動する、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記第1搬入出ステージおよび前記第1搬送部、ならびに、前記第2搬入出ステージおよび前記第2搬送部の少なくとも一方は、前記液滴吐出装置に対して着脱自在である、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記第1搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間に配置され、前記機能液が吐出された前記第1基板を撮像する第1撮像部と、
前記第2搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間に配置され、前記機能液が吐出された前記第2基板を撮像する第2撮像部と
を備える、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記第1搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間に配置され、前記第1基板の上面に付着したパーティクルを検出する第1パーティクルセンサと、
前記第2搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間に配置され、前記第2基板の上面に付着したパーティクルを検出する第2パーティクルセンサと
を備える、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
前記吐出ヘッドのノズルから前記機能液を吸引する吸引処理および前記吐出ヘッドのノズル面を払拭するワイピング処理を行うメンテナンス部と、
前記第1基板および前記第2基板に対する前記機能液の吐出が行われていない期間に前記吐出ヘッドから前記機能液を吐出する定期フラッシング処理において前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液を受ける定期フラッシング部と、
前記定期フラッシング処理とは異なるタイミングで実行される検査処理において前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液をフィルムで受ける検査部と
を備え、
前記メンテナンス部および前記定期フラッシング部は、前記浮上ステージの上方かつ前記第1搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間の第1待機位置にて待機し、
前記検査部は、前記浮上ステージの上方かつ前記第2搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間の第2待機位置にて待機する、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
前記搬送方向における前記第1搬送部の両端部に配置され、前記第1搬送部と一体的に移動可能であり、前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液を受ける第1描画前フラッシング部と、
前記搬送方向における前記第2搬送部の両端部に配置され、前記第2搬送部と一体的に移動可能であり、前記吐出ヘッドから吐出された前記機能液を受ける第2描画前フラッシング部と、
を備える、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項9】
前記第1搬入出ステージに対する前記第1基板の搬入出を行う第1移載装置と、
前記第2搬入出ステージに対する前記第2基板の搬入出を行う第2移載装置と
を備え、
前記第1搬入出ステージおよび前記第2搬入出ステージの各々から見て前記搬送方向に隣接する位置を第1移載位置とし、前記第1搬入出ステージおよび前記第2搬入出ステージの各々から見て前記搬送方向と直交する方向に隣接する2つの位置のうち一方を第2移載位置とし他方を第3移載位置とした場合に、前記第1移載装置は、前記第1搬入出ステージに対する前記第1移載位置、前記第2移載位置および前記第3移載位置のうちいずれかの移載位置に配置され、前記第2移載装置は、前記第2搬入出ステージに対する前記第1移載位置、前記第2移載位置および前記第3移載位置のうち、前記第1移載装置が配置される移載位置とは異なる移載位置に配置される、請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項10】
前記第1搬送部、前記第2搬送部および前記吐出ヘッドを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記第1搬入出ステージにおいて前記第1基板を前記第1搬送部に渡す第1搬入処理と、
前記第2搬入出ステージにおいて前記第2基板を前記第2搬送部に渡す第2搬入処理と、
前記第1搬入処理後、前記第1基板を保持した前記第1搬送部を移動させて前記吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記第1基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する第1描画処理と、
前記第1描画処理後、前記第1搬送部を前記第1搬入出ステージに戻して前記第1搬送部による前記第1基板の保持を解除する第1搬出処理と、
前記第1搬出処理後、または、前記第1搬出処理と並行して、前記第2基板を保持した前記第2搬送部を移動させて前記吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記第2基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する第2描画処理と、
前記第2描画処理後、前記第2搬送部を前記第2搬入出ステージに戻して前記第2搬送部による前記第2基板の保持を解除する第2搬出処理と
を行う、請求項2~9のいずれか一つに記載の液滴吐出装置。
【請求項11】
前記第1描画処理は、前記第1搬入出ステージと前記吐出ヘッドとの間の第1位置と、前記吐出ヘッドと前記第2搬入出ステージとの間の第2位置との間で前記第1搬送部を往復させつつ前記第1基板に対して前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出し、
前記第2描画処理は、前記第2位置と前記第1位置との間で前記第2搬送部を往復させつつ前記第2基板に対して前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する、請求項10に記載の液滴吐出装置。
【請求項12】
前記第2搬入出ステージに設けられ、前記第2基板に設けられたアライメントマークを撮像するアライメントカメラを備え、
前記第2搬送部は、保持した前記第2基板の水平面内における姿勢を調整する調整部を備え、
前記制御部は、前記第1描画処理と並行して、前記アライメントカメラによって撮像された前記アライメントマークの画像に基づいて前記調整部を制御して、前記第2基板の水平面内における姿勢を調整するアライメント処理を行う、請求項10に記載の液滴吐出装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1描画処理における前記第1搬送部の移動と同期して前記第2搬送部の移動を開始する、請求項10に記載の液滴吐出装置。
【請求項14】
第1基板および第2基板の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって前記第1基板および前記第2基板を浮上させる浮上ステージの前記搬送方向における一端に位置し、前記第1基板の搬入および搬出が行われる第1搬入出ステージにおいて、前記浮上ステージによって浮上した前記第1基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる第1搬送部に前記第1基板を渡す第1搬入工程と、
前記浮上ステージの前記搬送方向における他端に位置し、前記第2基板の搬入および搬出が行われる第2搬入出ステージにおいて、前記浮上ステージによって浮上した前記第2基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる第2搬送部に前記第2基板を渡す第2搬入工程と、
前記第1搬入工程後、前記第1基板を保持した前記第1搬送部を移動させて、前記浮上ステージの上方に位置し機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記第1基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する第1描画工程と、
前記第1描画工程後、前記第1搬送部を前記第1搬入出ステージに戻して前記第1搬送部による前記第1基板の保持を解除する第1搬出工程と、
前記第1搬出工程後、または、前記第1搬出工程と並行して、前記第2基板を保持した前記第2搬送部を移動させて前記吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記第2基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する第2描画工程と、
前記第2描画工程後、前記第2搬送部を前記第2搬入出ステージに戻して前記第2搬送部による前記第2基板の保持を解除する第2搬出工程と
を含む、液滴吐出方法。
【請求項15】
第1基板および第2基板の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって前記第1基板および前記第2基板を浮上させる浮上ステージの前記搬送方向における一端に位置し、前記第1基板の搬入および搬出が行われる第1搬入出ステージにおいて、前記浮上ステージによって浮上した前記第1基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる第1搬送部に前記第1基板を渡す第1搬入手順と、
前記浮上ステージの前記搬送方向における他端に位置し、前記第2基板の搬入および搬出が行われる第2搬入出ステージにおいて、前記浮上ステージによって浮上した前記第2基板を保持して前記浮上ステージに沿って移動させる第2搬送部に前記第2基板を渡す第2搬入手順と、
前記第1搬入手順後、前記第1基板を保持した前記第1搬送部を移動させて、前記浮上ステージの上方に位置し機能液の液滴を吐出する吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記第1基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する第1描画手順と、
前記第1描画手順後、前記第1搬送部を前記第1搬入出ステージに戻して前記第1搬送部による前記第1基板の保持を解除する第1搬出手順と、
前記第1搬出手順後、または、前記第1搬出手順と並行して、前記第2基板を保持した前記第2搬送部を移動させて前記吐出ヘッドの下方を通過させつつ前記第2基板に対し前記吐出ヘッドから前記機能液の液滴を吐出する第2描画手順と、
前記第2描画手順後、前記第2搬送部を前記第2搬入出ステージに戻して前記第2搬送部による前記第2基板の保持を解除する第2搬出手順と
をコンピュータに実現させるプログラムが非一時的に記録された、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浮上ステージによって浮上させた基板を水平方向に搬送しつつ、基板の上方から機能液の液滴をインクジェット方式で吐出することにより、基板に対して描画を行う液滴吐出装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-126718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、生産性を向上させることができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による液滴吐出装置は、浮上ステージと、搬送部と、吐出ヘッドと、制御部とを備える。浮上ステージは、基板の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。搬送部は、浮上ステージによって浮上した基板を保持して浮上ステージに沿って移動させる。吐出ヘッドは、浮上ステージの上方に位置し、機能液の液滴を吐出する。制御部は、搬送部および吐出ヘッドを制御する。浮上ステージは、基板の搬入および搬出が行われる搬入出ステージを有する。制御部は、搬入出ステージにおいて基板を搬送部に渡す搬入処理と、その後、基板を保持した搬送部を移動させて吐出ヘッドの下方を通過させつつ基板に対し吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出する描画処理と、その後、搬送部を搬入出ステージに戻して搬送部による基板の保持を解除する搬出処理とを実行する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る液滴吐出装置の模式的な平面図である。
図3図3は、実施形態に係る液滴吐出装置の模式的な側面図である。
図4図4は、実施形態に係る第1搬送部の模式的な平面図である。
図5図5は、実施形態に係る第1搬送部が有する保持部の模式的な平面図である。
図6図6は、実施形態に係る第1搬送部が有する保持部の模式的な側面図である。
図7図7は、実施形態に係る描画部の模式的な平面図である。
図8図8は、実施形態に係るキャリッジの模式的な底面図である。
図9図9は、実施形態に係るメンテナンス部の模式的な平面図である。
図10図10は、実施形態に係る定期フラッシング部の模式的な平面図である。
図11図11は、実施形態に係る定期フラッシング部の模式的な側面図である。
図12図12は、実施形態に係る検査部の模式的な平面図である。
図13図13は、実施形態に係る検査部の模式的な側面図である。
図14図14は、実施形態に係る液滴吐出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図15図15は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図16図16は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図17図17は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図18図18は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図19図19は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図20図20は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図21図21は、実施形態に係る液滴吐出装置の動作例を示す模式図である。
図22図22は、第1変形例における第1移載装置および第2移載装置の配置の一例を示す図である。
図23図23は、第1変形例における第1移載装置および第2移載装置の配置の他の一例を示す図である。
図24図24は、第2変形例に係る液滴吐出装置の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示による液滴吐出装置、液滴吐出方法および記憶媒体を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0009】
また、以下に示す実施形態では、「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」といった表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密に「一定」、「直交」、「垂直」あるいは「平行」であることを要しない。すなわち、上記した各表現は、たとえば製造精度、設置精度などのずれを許容するものとする。
【0010】
また、以下参照する各図面では、説明を分かりやすくするために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする直交座標系を示す場合がある。また、鉛直軸を回転中心とする回転方向をθ方向と呼ぶ場合がある。
【0011】
(液滴吐出装置の構成)
まず、図1図3を参照して、実施形態に係る液滴吐出装置の構成について説明する。図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の模式的な斜視図である。図2は、実施形態に係る液滴吐出装置の模式的な平面図である。図3は、実施形態に係る液滴吐出装置の模式的な側面図である。なお、図1図3では、液滴吐出装置が備える構成の一部を省略して示している場合がある。
【0012】
図1図3に示すように、実施形態に係る液滴吐出装置100は、基板Sを水平方向(ここでは、Y軸方向)に搬送しつつ、基板Sの上方から機能液の液滴をインクジェット方式で吐出することにより基板Sの上面に所定パターンの描画を行う。
【0013】
実施形態に係る液滴吐出装置100は、ベース1と、浮上ステージ2と、第1搬送部3_1と、第2搬送部3_2と、描画部4と、第1描画前フラッシング部5_1と、第2描画前フラッシング部5_2とを備える。また、液滴吐出装置100は、第1パーティクルセンサ6_1と、第2パーティクルセンサ6_2と、第1撮像部7_1と、第2撮像部7_2と、メンテナンス部8と、定期フラッシング部9と、検査部10とを備える。また、液滴吐出装置100は、制御装置1000を備える。
【0014】
液滴吐出装置100は、基板Sを保持して搬送する搬送部を2つ備えている(第1搬送部3_1および第2搬送部3_2)。かかる液滴吐出装置100は、これら2つの搬送部を用いて2枚の基板S(第1基板S1および第2基板S2)に対する一連の処理を並行して行うことができる。たとえば、液滴吐出装置100は、第1搬送部3_1を用いて第1基板S1に対する描画処理を行っている最中に、第2搬送部3_2を用いて第2基板S2のアライメント処理を行うことができる。このようなことから、実施形態に係る液滴吐出装置100によれば、生産性を高めることができる。
【0015】
第1基板S1および第2基板S2は、たとえば、フラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板である。以下では、第1基板S1および第2基板S2を特に区別しない場合、これらを単に基板Sと呼称する。
【0016】
(ベース)
ベース1は、第1ベース11と、第2ベース12と、一対の第1ガイドレール13,13と、一対の第2ガイドレール14,14とを備える。
【0017】
第1ベース11および第2ベース12は、基板Sの搬送方向(ここでは、Y軸方向)に沿って延在する。第1ベース11および第2ベース12の上面は水平面である。第1ベース11は、第2ベース12の上面に配置されている。第1ベース11は、第2ベース12と比較して、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に幅狭である。
【0018】
一対の第1ガイドレール13,13は、第1ベース11の上面に設けられる。一対の第1ガイドレール13,13は、搬送方向(Y軸方向)に沿って延在している。一対の第1ガイドレール13,13は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に間隔をあけて配置される。
【0019】
一対の第2ガイドレール14,14は、第2ベース12の上面に設けられる。具体的には、一対の第2ガイドレール14,14は、第2ベース12の上面のうち、第1ベース11の両側方、すなわち、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における第1ベース11の側方に設けられる。一対の第2ガイドレール14,14は、搬送方向(Y軸方向)に沿って延在している。一対の第2ガイドレール14,14は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に間隔をあけて配置される。一対の第2ガイドレール14,14は、一対の第1ガイドレール13,13よりも短い。
【0020】
第1ベース11および第2ベース12は、搬送方向(Y軸方向)に並ぶ複数のベース部材に分割されており、部分的に取り外したり、長さの異なる別のベース部材に交換したりすることが可能である。同様に、一対の第1ガイドレール13,13も、搬送方向(Y軸方向)に並ぶ複数のレール部材に分割されており、部分的に取り外したり、長さの異なる別のレール部材に交換したりすることが可能である。
【0021】
(浮上ステージ)
浮上ステージ2は、一対の第1ガイドレール13,13の間に配置される。浮上ステージ2は、基板Sの下方から基板Sに向けて気体を噴出し、噴出する気体の圧力によって基板Sを浮上させる。かかる浮上ステージ2は、第1搬入出ステージ21と、第2搬入出ステージ22と、第1処理ステージ23と、第2処理ステージ24と、第1搬送ステージ25と、第2搬送ステージ26と、第3処理ステージ27とを備える。これらは、Y軸正方向に沿って第1搬入出ステージ21、第1処理ステージ23、第1搬送ステージ25、第3処理ステージ27、第2搬送ステージ26、第2処理ステージ24および第2搬入出ステージ22の順に配置される。
【0022】
第1搬入出ステージ21は、浮上ステージ2の搬送方向(Y軸方向)における一端に配置される。第1搬入出ステージ21では、第1基板S1の搬入および搬出が行われる。第2搬入出ステージ22は、浮上ステージ2の搬送方向(Y軸方向)における他端に配置される。第2搬入出ステージ22では、第2基板S2の搬入および搬出が行われる。
【0023】
第1搬入出ステージ21、第2搬入出ステージ22、第1搬送ステージ25および第2搬送ステージ26は、上方に向けて圧縮された気体(たとえば、空気)を噴出する複数の噴出口を有する。
【0024】
第1処理ステージ23、第2処理ステージ24、第3処理ステージ27は、上方に向けて圧縮された気体を噴出する複数の噴出口に加え、気体を吸引する複数の吸引口を備えている。第1処理ステージ23、第2処理ステージ24および第3処理ステージ27は、圧縮された気体を基板Sの下面に向けて噴出するとともに、基板Sおよびステージ間の空気を吸引することにより、基板Sの浮上高を高精度に調整することができる。
【0025】
第1搬入出ステージ21、第2搬入出ステージ22、第1処理ステージ23、第2処理ステージ24、第1搬送ステージ25および第2搬送ステージ26は、基板Sの搬送方向(Y軸方向)に沿って延在する複数のステージ部材を有している。これら複数のステージ部材は、基板Sの搬送方向と直交する方向(X軸方向)に互いに間隔をあけて並べられている。
【0026】
(第1搬送部および第2搬送部)
第1搬送部3_1は、浮上ステージ2によって浮上した第1基板S1を保持し、保持した第1基板S1を浮上ステージ2に沿って移動させる。第2搬送部3_2は、浮上ステージ2によって浮上した第2基板S2を保持し、保持した第2基板S2を浮上ステージ2に沿って移動させる。第1搬送部3_1は、第1搬入出ステージ21および第2搬送ステージ26間を往復移動可能である。また、第2搬送部3_2は、第2搬入出ステージ22および第1搬送ステージ25間を往復移動可能である。
【0027】
ここで、第1搬送部3_1および第2搬送部3_2の構成について説明する。第1搬送部3_1および第2搬送部3_2の構成は同様であるため、ここでは第1搬送部3_1の構成について説明することとし、第2搬送部3_2の構成の説明については省略する。
【0028】
図4は、実施形態に係る第1搬送部3_1の模式的な平面図である。図4に示すように、第1搬送部3_1は、複数(ここでは、2つ)の移動部31と、複数(ここでは、4つ)の保持部32とを備える。
【0029】
移動部31は、第1ガイドレール13上に設けられ、第1ガイドレール13に沿って移動する。2つの移動部31は、それぞれモータ等の駆動部を有しており、各々独立して移動することが可能である。なお、駆動部は、2つの移動部31のうち一方にのみ設けられてもよい。
【0030】
4つの保持部32は、2つの移動部31上にそれぞれ設けられ、第1基板S1の下方から第1基板S1を保持する。具体的には、4つの保持部32のうち2つは、2つの移動部31のうち一方に設けられ、4つの保持部32のうち残りの2つは、2つの移動部31のうち他方に設けられる。4つの保持部32は、第1基板S1の四隅を第1基板S1の下方から吸着保持する。第1基板S1は、4つの保持部32によって四隅を吸着保持され、且つ、浮上ステージ2によって浮上した状態で、2つの移動部31によって搬送される。
【0031】
ここで、保持部32の構成について図5および図6を参照して説明する。図5は、実施形態に係る第1搬送部3_1が有する保持部の模式的な平面図である。図6は、実施形態に係る第1搬送部3_1が有する保持部の模式的な側面図である。
【0032】
図5および図6に示すように、保持部32は、ベース部320と、第1調整部321と、第2調整部322と、回動部323と、アーム部324と、第1吸着部325とを備える。
【0033】
第1吸着部325は、第1基板S1を吸着保持する。具体的には、第1吸着部325は、複数の吸着パッド326を備える。複数の吸着パッド326は、水平方向(ここでは、Y軸方向)に並んで設けられる。なお、ここでは、第1吸着部325が3つの吸着パッド326を備える場合の例を示しているが、吸着パッド326の数は、3つに限定されない。第1吸着部325は、複数の吸着パッド326によって、第1基板S1の下面を吸着する。これにより、第1基板S1は、第1吸着部325に保持される。
【0034】
ベース部320、第1調整部321、第2調整部322、回動部323およびアーム部324は、移動部31に対する第1吸着部325の相対位置を調整する調整部の一例である。
【0035】
ベース部320は、移動部31上に固定される。第1調整部321は、ベース部320上に設けられ、ベース部320上を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って移動可能である。第2調整部322は、第1調整部321上に設けられ、第1調整部321上を搬送方向(Y軸方向)に沿って移動可能である。回動部323は、第2調整部322上に設けられ、鉛直軸(Z軸)周りに回転可能である。アーム部324は、水平方向に延在する部材であり、基端部において回動部323に支持され、先端部において第1吸着部325を支持する。
【0036】
このように、保持部32は、第1調整部321を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って移動させることにより、第1吸着部325を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に移動させることができる。すなわち、第1調整部321は、移動部31に対する第1吸着部325の位置を搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って調整することができる。
【0037】
また、保持部32は、第2調整部322を搬送方向(Y軸方向)に沿って移動させることにより、第1吸着部325を搬送方向(Y軸方向)に移動させることができる。すなわち、第2調整部322は、移動部31に対する第1吸着部325の位置を搬送方向(Y軸方向)に沿って調整することができる。
【0038】
また、調整部は、回動部323が鉛直軸(Z軸)まわりに回動することにより、回動部323にアーム部324を介して支持された第1吸着部325を鉛直軸(Z軸)まわりに回動させることができる。すなわち、回動部323は、移動部31に対する第1吸着部325の位置を鉛直軸(Z軸方向)を中心とする周方向に沿って調整することができる。
【0039】
第1調整部321および第2調整部322は、それぞれモータ等の駆動部を有しており、各々独立して移動することが可能である。一方、回動部323は、たとえば軸受であって、駆動部を有しておらず、第1調整部321および第2調整部322の動きに追従するように第1吸着部325を回動させる。なお、これに限らず、回動部323に駆動部が設けられてもよい。
【0040】
第1搬送部3_1および第2搬送部3_2は、同一の第1ガイドレール13,13に沿って移動する。このように、第1搬送部3_1と第2搬送部3_2とで第1ガイドレール13,13を共用することで、コストの増大やフットプリントの増大を抑えることができる。
【0041】
(描画部)
描画部4は、浮上ステージ2の上方に配置される。具体的には、描画部4は、第3処理ステージ27の上方に配置される。描画部4は、基板Sの上方から基板Sに向けて機能液を吐出することにより、基板Sの上面に描画を行う。
【0042】
ここで、描画部4の構成について図7および図8を参照して説明する。図7は、実施形態に係る描画部4の模式的な平面図である。図8は、実施形態に係るキャリッジの模式的な底面図である。
【0043】
図7に示すように、描画部4は、第1キャリッジ群41と、第2キャリッジ群42と、第3キャリッジ群43とを備える。第1キャリッジ群41、第2キャリッジ群42および第3キャリッジ群43は、搬送方向(Y軸方向)に沿って並べられる。
【0044】
第1キャリッジ群41、第2キャリッジ群42および第3キャリッジ群43は、それぞれ複数(ここでは、6つ)のキャリッジ40を含む。第1キャリッジ群41、第2キャリッジ群42および第3キャリッジ群43の各々において、複数のキャリッジ40は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に並べられている。
【0045】
第1キャリッジ群41に属する複数のキャリッジ40は、描画部4が備える第1梁部45によって水平に支持される(図1参照)。第2キャリッジ群42に属する複数のキャリッジ40は、描画部4が備える第2梁部46によって水平に支持される。第3キャリッジ群43に属する複数のキャリッジ40は、描画部4が備える第3梁部47によって水平に支持される。
【0046】
第1梁部45、第2梁部46および第3梁部47は、一対の支柱48,48によって支持される。一対の支柱48,48は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における第1梁部45、第2梁部46および第3梁部47の両端部に設けられる。一対の支柱48,48は、第1梁部45、第2梁部46および第3梁部47を昇降可能である。すなわち、一対の支柱48,48は、第1梁部45、第2梁部46および第3梁部47を昇降させる昇降機構の一例である。具体的には、一対の支柱48,48は、基板Sに対する機能液の吐出が行われる処理位置と、処理位置より上方の退避位置との間で第1梁部45、第2梁部46および第3梁部47を昇降させる。
【0047】
図8に示すように、キャリッジ40は、たとえば平板状の部材である。キャリッジ40には、複数の吐出ヘッド400が設けられている。一例として、図8に示す例において、キャリッジ40には、合計12個の吐出ヘッド400がX軸方向およびY軸方向に沿ってマトリクス状に設けられている。なお、ここでは、キャリッジ40に12個の吐出ヘッド400が設けられる場合の例を示したが、吐出ヘッド400の個数は、12個より多くてもよいし少なくてもよい。
【0048】
吐出ヘッド400は、第3処理ステージ27の上方に位置し、機能液の液滴を吐出する。吐出ヘッド400は、たとえばピエゾ方式のノズルヘッドである。吐出ヘッド400の下面(基板Sとの対向面)には、複数のノズル410が形成される。複数のノズル410は、例えばX軸方向およびY軸方向に沿ってマトリクス状に設けられている。
【0049】
吐出ヘッド400は、図示しないポンプ部を有する。ポンプ部は、機能液を貯めるキャビティ、キャビティの体積を変化させる圧電素子や振動板等を含んで構成され、圧電素子に電圧を印加して振動板を振動させることにより、キャビティの体積を変化させて各ノズル410から機能液の液滴を吐出させる。その他、吐出ヘッド400には、供給チューブを介して機能液タンクに接続される機能液導入部や、フレキシブルフラットケーブルを介して制御装置1000(図3参照)に接続されるヘッド基板等が設けられている。
【0050】
複数のキャリッジ40は、搬送方向(Y軸正方向)に沿って搬送される基板Sに対して複数の吐出ヘッド400から機能液を吐出する。機能液は、たとえばインクである。
【0051】
実施形態において、第1キャリッジ群41に属する複数の吐出ヘッド400は、赤(R)のインクを吐出する。また、第2キャリッジ群42に属する複数の吐出ヘッド400は、緑(G)のインクを吐出し、第3キャリッジ群43に属する複数の吐出ヘッド400は、青(B)のインクを吐出する。
【0052】
(第1描画前フラッシング部および第2描画前フラッシング部)
一対の第1描画前フラッシング部5_1,5_1は、搬送方向(Y軸方向)における第1搬送部3_1の両端部に配置される。言い換えれば、一対の第1描画前フラッシング部5_1,5_1は、搬送方向(Y軸方向)において第1搬送部3_1を挟むように配置される。
【0053】
一対の第2描画前フラッシング部5_2,5_2は、搬送方向(Y軸方向)における第2搬送部3_2の両端部に配置される。言い換えれば、一対の第2描画前フラッシング部5_2,5_2は、搬送方向(Y軸方向)において第2搬送部3_2を挟むように配置される。
【0054】
図4に示すように、各第1描画前フラッシング部5_1は、吐出ヘッド400から吐出された機能液を受ける液受部51と、液受部51を搬送方向(Y軸方向)に移動させる一対の移動部52,52とを備える。液受部51は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に延在する長尺板状の部材である。液受部51は、たとえば多孔質樹脂等の多孔質体で形成される。
【0055】
一対の移動部52,52は、一対の第1ガイドレール13,13上にそれぞれ設けられており、液受部51を下方から水平に支持する。一対の移動部52,52は、それぞれモータ等の駆動部を有しており、一対の第1ガイドレール13,13に沿って移動可能である。すなわち、一対の移動部52,52は、液受部51を第1搬送部3_1と一体的に移動させることができる。なお、駆動部は、2つの移動部52のうち一方にのみ設けられてもよい。また、一対の移動部52は、一対の移動部31が有する駆動部によって従動的に移動する構成であってもよい。この場合、一対の移動部52は、いずれも駆動部を有していなくてもよい。
【0056】
ここでは、第1描画前フラッシング部5_1の構成について説明したが、第2描画前フラッシング部5_2の構成も図4に示す第1描画前フラッシング部5_1の構成と同様である。
【0057】
(第1パーティクルセンサおよび第2パーティクルセンサ)
第1パーティクルセンサ6_1は、第1基板S1の上面に付着したパーティクルを検出する。具体的には、第1パーティクルセンサ6_1は、第1ユニット61と第2ユニット62とを備える。第1ユニット61は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における第1処理ステージ23の一端に設けられる。第2ユニット62は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における第1処理ステージ23の他端に設けられる。すなわち、第1ユニット61および第2ユニット62は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)において第1処理ステージ23を挟むように対向配置される。このように、第1パーティクルセンサ6_1は、搬送方向(Y軸方向)において、第1搬入出ステージ21と吐出ヘッド400との間に配置される。すなわち、第1パーティクルセンサ6_1は、第1搬入出ステージ21よりもY軸正方向かつ吐出ヘッド400よりもY軸負方向の位置に配置される。
【0058】
第1ユニット61は投光部を有し、第2ユニット62は受光部を有する。第1ユニット61の投光部は、第2ユニット62の受光部に向けて水平にレーザ光を照射する。第2ユニット62の受光部は、第1ユニット61の投光部から照射されたレーザ光を受光する。第1パーティクルセンサ6_1は、受光したレーザ光の光量を後述する制御装置1000へ出力する。制御装置1000は、第1パーティクルセンサ6_1から取得した検出結果に基づいて第1基板S1の上面に付着したパーティクルを検出する。
【0059】
第2パーティクルセンサ6_2は、第2基板S2の上面に付着したパーティクルを検出する。具体的には、第2パーティクルセンサ6_2は、第1ユニット61と、第2ユニット62とを備える。第1ユニット61は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における第2処理ステージ24の一端に設けられる。第2ユニット62は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における第2処理ステージ24の他端に設けられる。すなわち、第1ユニット61および第2ユニット62は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)において第2処理ステージ24を挟むように対向配置される。このように、第2パーティクルセンサ6_2は、搬送方向(Y軸方向)において、第2搬入出ステージ22と吐出ヘッド400との間に配置される。すなわち、第2パーティクルセンサ6_2は、第2搬入出ステージ22よりもY軸負方向かつ吐出ヘッド400よりもY軸正方向の位置に配置される。
【0060】
第2パーティクルセンサ6_2は、受光したレーザ光の光量を後述する制御装置1000へ出力する。制御装置1000は、第2パーティクルセンサ6_2から取得した検出結果に基づいて第2基板S2の上面に付着したパーティクルを検出する。
【0061】
なお、第1ユニット61は、投光部に加えて受光部を備えていてもよい。また、第2ユニット62も、受光部に加えて投光部を備えていてもよい。
【0062】
(第1撮像部および第2撮像部)
第1撮像部7_1は、たとえば第1搬送ステージ25の上方に配置される。なお、第1撮像部7_1は、第1処理ステージ23の上方に配置されてもよい。第1撮像部7_1は、少なくとも、第1搬入出ステージ21と吐出ヘッド400との間に配置されていればよい。第1撮像部7_1は、機能液が吐出された後(描画後)の第1基板S1の上面を撮像する。具体的には、第1撮像部7_1は、第3処理ステージ27から第1搬入出ステージ21に向かって移動中の第1基板S1の上面を撮像する。第1撮像部7_1によって撮像された画像は、制御装置1000に出力される。制御装置1000は、第1撮像部7_1によって撮像された画像に基づいて、第1基板S1の描画状態の良否を判定する。
【0063】
第2撮像部7_2は、たとえば第2搬送ステージ26の上方に配置される。なお、第2撮像部7_2は、第2処理ステージ24の上方に配置されてもよい。第2撮像部7_2は、少なくとも、第2搬入出ステージ22と吐出ヘッド400との間に配置されていればよい。第2撮像部7_2は、機能液が吐出された後(描画後)の第2基板S2の上面を撮像する。具体的には、第2撮像部7_2は、第3処理ステージ27から第2搬入出ステージ22に向かって移動中の第2基板S2の上面を撮像する。第2撮像部7_2によって撮像された画像は、制御装置1000に出力される。制御装置1000は、第2撮像部7_2によって撮像された画像に基づいて、第2基板S2の描画状態の良否を判定する。
【0064】
(メンテナンス部、定期フラッシング部および検査部)
メンテナンス部8、定期フラッシング部9および検査部10は、浮上ステージ2の上方に配置される。メンテナンス部8、定期フラッシング部9および検査部10の各々は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における両端部を図示しない一対の支柱によって水平に支持されている。この支柱は、一対の第2ガイドレール14,14上に設けられており、図示しない駆動部によって一対の第2ガイドレール14,14に沿って移動可能である。すなわち、メンテナンス部8、定期フラッシング部9および検査部10は、搬送方向に沿って往復移動可能である。
【0065】
図1に示すように、メンテナンス部8および定期フラッシング部9は、浮上ステージ2の上方かつ第1搬入出ステージ21と第3処理ステージ27との間の第1待機位置にて待機する。一方、検査部10は、浮上ステージ2の上方かつ第2搬入出ステージ22と第3処理ステージ27との間の第2待機位置にて待機する。たとえば、第2待機位置は、第2搬送ステージ26の上方であってもよい。すなわち、検査部10は、第2搬送ステージ26の上方にて待機していてもよい。かかる位置を第2待機位置とすることで、後述する検査処理に要する時間を短縮することができる。
【0066】
なお、上記の「第1搬入出ステージ21(第2搬入出ステージ22)と第3処理ステージ27との間」は、「第1搬入出ステージ21(第2搬入出ステージ22)と吐出ヘッド400との間」と言い換えてもよい。
【0067】
メンテナンス部8は、搬送方向(Y軸方向)に沿って延在する第2ガイドレール14,14上を移動する。メンテナンス部8は、メンテナンス作業を行わない場合には、第1搬入出ステージ21と第3処理ステージ27との間の第1待機位置に配置されている。一方、メンテナンス部8は、メンテナンス作業を行う場合には、第1待機位置から第3処理ステージ27と描画部4との間のメンテナンス位置に移動する。
【0068】
メンテナンス部8は、メンテナンス位置において、吸引処理およびワイピング処理を行う。吸引処理は、吐出ヘッド400内に残存する機能液をノズル410から吸引することにより、吐出ヘッド400から機能液を強制的に排出する処理である。ワインピング処理は、吸引処理後、吐出ヘッド400のノズル面(下面)を払拭する処理である。
【0069】
メンテナンス部8は、予め設定されたタイミングで、吸引処理およびワイピング処理を行う。たとえば、メンテナンス部8は、1日に数回、吸引処理およびワイピング処理を行う。
【0070】
かかるメンテナンス部8の構成例について図9を参照して説明する。図9は、実施形態に係るメンテナンス部8の模式的な平面図である。図9に示すように、メンテナンス部8は、複数の吸引部81と、複数のワイピング部82とを備える。
【0071】
複数の吸引部81は、たとえば搬送方向と直交する方向(X軸方向)におけるキャリッジ40の数に応じて設けられる。すなわち、複数の吸引部81は、複数のキャリッジ40に対応して設けられる。複数の吸引部81は、搬送方向(Y軸方向)におけるキャリッジ40の数に応じて搬送方向に3列設けられてもよい。各吸引部81は、搬送方向および上下方向にそれぞれ移動可能である。各吸引部81は、複数の吐出ヘッド400から機能液を吸引する。
【0072】
各吸引部81は、複数のキャップ811を備える。各キャップ811は、吐出ヘッド400の数に対応して設けられ、上下方向において吐出ヘッド400に対向可能となるように設けられる。
【0073】
各キャップ811は、吸引部81が上下方向に移動することによって、対応する吐出ヘッド400に密着可能である。各キャップ811は、吸引処理時に、対応する吐出ヘッド400に密着し、対応する吐出ヘッド400から吸引される機能液を受ける。吸引処理では、吐出ヘッド400に密着したキャップ811内が吸引機構によって負圧にされることによって、吐出ヘッド400内に残った機能液が吸引される。
【0074】
各吸引部81は、メンテナンス部8の支持台80に対し、搬送方向(Y軸方向)に沿ってそれぞれ移動する。具体的には、各吸引部81は、退避位置と吸引位置との間を搬送方向に沿ってそれぞれ移動する。退避位置は、各ワイピング部82によってワイピング処理が行われるキャリッジ40に対応する各吸引部81が退避する位置である。退避位置は、各吸引部81の基準位置でもある。吸引位置は、吸引処理およびワイピング処理を行う場合に、各キャップ811が、対応する吐出ヘッド400の下方となる位置である。
【0075】
ワイピング部82は、吸引処理によって機能液が吸引された各吐出ヘッド400に対しワイピング処理を行う。すなわち、ワイピング部82は、複数の吸引部81によって機能液が吸引された複数の吐出ヘッド400を払拭する。
【0076】
ワイピング部82は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における支持台80の両端にそれぞれ設けられる。すなわち、ワイピング部82は、2つ設けられ、一方のワイピング部82は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における支持台80の一端に設けられ、他方のワイピング部82は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)における支持台80の他端に設けられる。
【0077】
各ワイピング部82は、搬送方向と直交する方向(X軸方向)に沿って移動可能である。各ワイピング部82は、ロール部によってワイピングシート821を回転させながら移動することによって吐出ヘッド400の先端に付着した機能液を払拭する。
【0078】
定期フラッシング部9は、第1基板S1および第2基板S2に対する機能液の吐出が行われていない期間において吐出ヘッド400から機能液を吐出する定期フラッシング処理に用いられる。定期フラッシング処理は、予め設定されたタイミングで実行される。たとえば、定期フラッシング処理は、1日数回行われる。定期フラッシング部9は、定期フラッシング処理において吐出ヘッド400から吐出された機能液を受ける。
【0079】
検査部10は、上述した定期フラッシング処理とは異なるタイミングで実行される検査処理において吐出ヘッド400から吐出された機能液をフィルムで受けて撮像部で撮像する。
【0080】
かかる検査部10の構成について図10および図11を参照して説明する。図10は、実施形態に係る定期フラッシング部9の模式的な平面図である。図11は、実施形態に係る定期フラッシング部9の模式的な側面図である。
【0081】
図10および図11に示すように、定期フラッシング部9は、ベース部90と、ベース部90上に配置された液受部91とを備える。ベース部90は、上述した一対の支柱によって水平に支持されており、一対の第2ガイドレール14,14に沿って移動可能である。液受部91は、たとえば多孔質状の樹脂等で構成されており、複数の吐出ヘッド400から吐出される機能液を受ける。液受部91には、図示しない排液管が接続されており、液受部91によって受け止められた機能液は、排液管を介して排出される。
【0082】
図12は、実施形態に係る検査部10の模式的な平面図である。図13は、実施形態に係る検査部10の模式的な側面図である。検査部10は、ベース部101と、複数(ここでは、3つ)のフィルム102と、複数の第3撮像部103(図2および図3参照)とを備える。
【0083】
ベース部101は、上述した一対の支柱によって水平に支持されており、一対の第2ガイドレール14,14に沿って移動可能である。複数(ここでは、3つ)のフィルム102は、ベース部101上に搬送方向(Y軸方向)に沿って並べて配置される。複数のフィルム102は、第1キャリッジ群41、第2キャリッジ群42および第3キャリッジ群43にそれぞれ対応している。
【0084】
複数のフィルム102は、それぞれ材質が異なっていてもよい。たとえば、複数のフィルム102は、受ける機能液の種類に適した材質(たとえば、親水性の有無や表面粗さ等)のものが選定されてもよい。
【0085】
第3撮像部103は、フィルム102に吐出された機能液を撮像する。図2および図3に示すように、第3撮像部103は、描画部4とベース部101との間における描画部4の近傍に配置される。
【0086】
制御装置1000は、検査部10を制御して、ベース部101を描画部4の下方に配置させる。つづいて、制御装置1000は、描画部4を制御して、複数のフィルム102に対して機能液を吐出させる。つづいて、制御装置1000は、検査部10のベース部101を第3撮像部103の下方に位置させる。そして、制御装置1000は、第3撮像部103を制御して、フィルム102を上方から撮像する。第3撮像部103による撮像結果は、制御装置1000に出力され、制御装置1000によって、機能液が正常に吐出されているか否かが判定される。
【0087】
検査部10による検査処理は、たとえば、描画部4によって基板Sに対する描画処理が終了する毎に行われる。なお、これに限らず、検査処理は、たとえば、第1基板S1に対する描画処理が終了し、引き続き行われる第2基板S2に対する描画処理が終了した後に行われてもよい。また、検査処理は、たとえば、複数の(3枚以上の)基板Sに対する描画処理が終了した後に行われてもよい。
【0088】
(その他の構成)
液滴吐出装置100は、複数の第1プリアライメント機構15_1と、複数の第2プリアライメント機構15_2とを備える。
【0089】
複数の第1プリアライメント機構15_1は、第1搬入出ステージ21に配置される。具体的には、複数の第1プリアライメント機構15_1は、第1基板S1が第1搬入出ステージ21に位置している場合に、かかる第1基板S1の四隅に配置される。図2に示す例においては、第1基板S1の1辺に対して第1プリアライメント機構15_1が2つ配置されている。これら2つの第1プリアライメント機構15_1は、第1基板S1の1辺における角部の周辺に配置される。
【0090】
各第1プリアライメント機構15_1は、水平方向(X軸方向またはY軸方向)に沿って移動可能である。具体的には、搬送方向(Y軸方向)において第1基板S1と隣接する4つの第1プリアライメント機構15_1は、搬送方向に沿って水平移動可能である。また、搬送方向と直交する方向(X軸方向)において第1基板S1と隣接する4つの第1プリアライメント機構15_1は、搬送方向と直交する方向に沿って水平移動可能である。また、各第1プリアライメント機構15_1は、昇降可能である。
【0091】
複数の第2プリアライメント機構15_2は、第2搬入出ステージ22に配置される。具体的には、複数の第2プリアライメント機構15_2は、第2基板S2が第2搬入出ステージ22に位置している場合に、かかる第2基板S2の四隅に配置される。図2に示す例においては、第2基板S2の1辺に対して第2プリアライメント機構15_2が2つ配置されている。これら2つの第2プリアライメント機構15_2は、第2基板S2の1辺における角部の周辺に配置される。
【0092】
各第2プリアライメント機構15_2は、水平方向(X軸方向またはY軸方向)に沿って移動可能である。具体的には、搬送方向(Y軸方向)において第2基板S2と隣接する4つの第2プリアライメント機構15_2は、搬送方向に沿って水平移動可能である。また、搬送方向と直交する方向(X軸方向)において第2基板S2と隣接する4つの第1プリアライメント機構15_1は、搬送方向と直交する方向に沿って水平移動可能である。また、各第2プリアライメント機構15_2は、昇降可能である。
【0093】
複数の第1プリアライメント機構15_1は、プリアライメント処理に用いられる。プリアライメント処理は、後述する第1移載装置17_1から第1搬送部3_1に移載された後、第1基板S1が第1搬送部3_1によって保持される前に、第1基板S1の位置を整える処理である。具体的には、プリアライメント処理では、複数の第1プリアライメント機構15_1が、第1基板S1に近付くように水平方向(X軸方向またはY方向)に移動することで、第1搬送部3_1に対する第1基板S1の位置をある程度整えることができる。複数の第2プリアライメント機構15_2は、第2基板S2に対するプリアライメント処理に用いられる。
【0094】
液滴吐出装置100は、複数の第1アライメントカメラ16_1と、複数の第2アライメントカメラ16_2とを備える。
【0095】
複数(ここでは、2つ)の第1アライメントカメラ16_1は、第1搬入出ステージ21の下方に配置される。具体的には、各第1アライメントカメラ16_1は、平面視において、第1搬入出ステージ21が備える2つのステージ部材の間に配置され、これら2つのステージ部材の間から第1基板S1を撮像する。
【0096】
複数(ここでは、2つ)の第2アライメントカメラ16_2は、第2搬入出ステージ22の下方に配置される。具体的には、各第2アライメントカメラ16_2は、平面視において、第2搬入出ステージ22が備える2つのステージ部材の間に配置され、これら2つのステージ部材の間から第2基板S2を撮像する。
【0097】
複数の第1アライメントカメラ16_1は、本アライメント処理に用いられる。本アライメント処理は、プリアライメント処理後、第1搬送部3_1によって保持された第1基板S1の位置を精度良く調整する処理である。具体的には、アライメント処理では、複数の第1アライメントカメラ16_1が第1基板S1に設けられたアライメントマークを撮像する。そして、制御装置1000が、複数の第1アライメントカメラ16_1によって撮像された画像に基づいて、各保持部32の第1調整部321および第2調整部322を駆動させることにより、移動部31に対する第1基板S1の位置を調整する。複数の第2アライメントカメラ16_2は、第2基板S2に対する本アライメント処理に用いられる。
【0098】
液滴吐出装置100は、第1移載装置17_1と、第2移載装置17_2とを備える。第1移載装置17_1および第2移載装置17_2は、たとえば水平多関節ロボットである。第1移載装置17_1は、第1搬入出ステージ21に対する第1基板S1の搬入出を行う。第2移載装置17_2は、第2搬入出ステージ22に対する第2基板S2の搬入出を行う。
【0099】
図2に示す例において、第1移載装置17_1は、搬送方向(Y軸方向)において第1搬入出ステージ21に隣接する位置(第1搬入出ステージ21の第1移載位置)に配置される。同様に、第2移載装置17_2は、搬送方向(Y軸方向)において第2搬入出ステージ22に隣接する位置(第2搬入出ステージ22の第1移載位置)に配置される。なお、第1移載装置17_1および第2移載装置17_2の設置場所は、図2に示す例に限定されない。この点については後述する。
【0100】
また、液滴吐出装置100は、制御装置1000を備える。制御装置1000は、たとえばコンピュータであり、制御部1001と記憶部1002とを備える。記憶部1002には、液滴吐出装置100において実行される各種の処理を制御するプログラム(液滴吐出プログラムの一例)が格納される。制御部1001は、記憶部1002に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって液滴吐出装置100の動作を制御する。
【0101】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、記憶媒体から制御装置1000の記憶部1002にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体は、上記プログラムおよびかかるプログラムによって使用されるデータなどを非一時的に記録する媒体である。このような記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0102】
(液滴吐出装置の具体的な動作)
次に、上述した液滴吐出装置100の具体的な動作について図14および図15図21を参照して具体的に説明する。図14は、実施形態に係る液滴吐出装置100が実行する処理の手順を示すフローチャートである。また、図15図21は、実施形態に係る液滴吐出装置100の動作例を示す模式図である。なお、図14に示す各処理手順は、制御装置1000による制御に従って実行される。
【0103】
図14に示すように、液滴吐出装置100では、まず、第1搬入処理が行われる(ステップS101)。第1搬入処理は、第1搬入出ステージ21において第1基板S1を第1移載装置17_1から第1搬送部3_1に渡す処理である。第1搬入処理の開始時において、第1搬送部3_1は、第1搬入出ステージ21に配置されている。
【0104】
第1搬入処理では、まず、第1移載装置17_1から第1搬送部3_1に第1基板S1が受け渡される。具体的には、第1搬入出ステージ21には図示しない昇降ピンが設けられており、第1移載装置17_1は、かかる昇降ピンに第1基板S1を載置する。その後、昇降ピンが降下することにより、昇降ピンから第1搬送部3_1の保持部32に第2基板S2が渡される。
【0105】
つづいて、第1プリアライメント処理が行われる(ステップS102)。第1プリアライメント処理において、制御装置1000は、複数の第1プリアライメント機構15_1を駆動させることにより第1基板S1の位置を調整する。
【0106】
つづいて、第1保持処理が行われる(ステップS103)。第1保持処理において、制御装置1000は、第1搬送部3_1を制御して、各保持部32の第1吸着部325に第1基板S1を吸着保持させる。
【0107】
つづいて、第1本アライメント処理が行われる(ステップS104)。第1本アライメント処理は、第1アライメントカメラ16_1によって撮像されたアライメントマークの画像に基づいて第1搬送部3_1の調整部を制御して、第1基板S1の水平面内における姿勢を調整する処理である。第1本アライメント処理において、制御装置1000は、複数の第1アライメントカメラ16_1を用いて第1基板S1に設けられたアライメントマークを撮像する。その後、制御装置1000は、第1搬送部3_1が備える複数の保持部32の第1調整部321および第2調整部322を制御して、第1基板S1の位置を調整する。
【0108】
つづいて、第1パーティクル検出処理が行われる(ステップS105)。第1パーティクル検出処理において、制御装置1000は、第1搬送部3_1の移動部31を制御して、第1基板S1を第1搬入出ステージ21から第1搬送ステージ25に向けて、すなわちY軸正方向に移動させる。つづいて、制御装置1000は、第1処理ステージ23を通過する第1基板S1に対して第1パーティクルセンサ6_1からレーザ光を照射させる。そして、制御装置1000は、受光部によって受光されたレーザ光の光量に基づいて第1基板S1の上面に付着したパーティクルを検出する(図16参照)。
【0109】
つづいて、第1描画処理が行われる(ステップS106)。第1描画処理は、第1基板S1を保持した第1搬送部3_1を移動させて吐出ヘッド400の下方を通過させつつ第1基板S1に対し吐出ヘッド400から機能液の液滴を吐出する処理である。実施形態において制御装置1000は、第1搬送ステージ25と第2搬送ステージ26との間で第1搬送部3_1を2回往復させつつ、往路および復路の各々において描画部4から機能液の液滴を吐出させる(図17図20)。第1搬送ステージ25は、第1搬入出ステージ21と吐出ヘッド400のとの間の第1位置の一例である。第2搬送ステージ26は、吐出ヘッド400と第2搬入出ステージ22との間の第2位置の一例である。
【0110】
液滴吐出装置100では、第1基板S1に対する第1描画処理と並行して、第2基板S2に対する第2搬入処理、第2プリアライメント処理、第2保持処理、第2本アライメント処理および第2パーティクル検出処理が行われる(ステップS107~S111)。第2搬入処理(ステップS107)および第2プリアライメント処理(ステップS108)は、上述した第1搬入処理および第1プリアライメント処理と同様の処理である。第2保持処理(ステップS109)、第2本アライメント処理(ステップS110)および第2パーティクル検出処理(ステップS111)は、上述した第1保持処理、第1本アライメント処理および第1パーティクル検出処理と同様の処理である。
【0111】
たとえば、第2基板S2に対する第2搬入処理、第2プリアライメント処理、第2保持処理および第2本アライメント処理は、第1基板S1に対する1回目の往復移動および2回目の往路の移動中に行われる(図17図19参照)。そして、その後の第2基板S2に対する第2パーティクル検出処理は、第1基板S1に対する2回目の復路の移動中に行われる。すなわち、制御装置1000は、第1描画処理における第1搬送部3_1の第1搬送ステージ25への移動と同期して、第2パーティクル検出処理(および第2描画処理)における第2搬送部3_2の第2搬送ステージ26への移動を開始させる(図20参照)。
【0112】
このように、制御装置1000は、第1描画処理と並行して、第2プリアライメント処理および第2本アライメント処理を行う。
【0113】
なお、これに限らず、制御装置1000は、第1描画処理後、第2描画処理前に、検査部10による検査処理を行ってもよい。この場合、制御装置1000は、第1搬出処理後に第2搬出処理を行ってもよい。
【0114】
つづいて、第1描画判定処理が行われる(ステップS112)。第1描画判定処理において、制御装置1000は、第1搬送部3_1を制御して第1基板S1を第1搬送ステージ25から第1搬入出ステージ21へ移動させつつ、第1撮像部7_1を制御して移動中の第1基板S1の上面を撮像する。制御装置1000は、第1撮像部7_1によって撮像された画像に基づいて、第1基板S1の描画状態の良否を判定する。
【0115】
つづいて、第1搬出処理が行われる(ステップS113)。第1搬出処理は、第1搬送部3_1を第1搬入出ステージ21に戻して保持部32による第1基板S1の保持を解除し、第1搬出処理において、制御装置1000は、第1搬送部3_1による第1基板S1の吸着保持を解除する。その後、制御装置1000は、第1移載装置17_1を制御して、第1搬送部3_1から図示しない昇降ピン経由で第1基板S1を受け取る。
【0116】
液滴吐出装置100では、第1基板S1に対する第1描画判定処理および第1搬出処理と並行して、第2基板S2に対する第2描画処理が行われる(ステップS114)。第2基板S2に対する第2描画処理は、第2基板S2を保持した第2搬送部3_2を移動させて吐出ヘッド400の下方を通過させつつ第2基板S2に対し吐出ヘッド400から機能液の液滴を吐出する処理である。第2描画処理は、上述した第1基板S1に対する第1描画処理と同様である(図21参照)。すなわち、制御装置1000は、第2搬送ステージ26(第2位置の一例)と第1搬送ステージ25(第1位置の一例)との間で第2搬送部3_2を2回往復させつつ、往路および復路の各々において描画部4から機能液の液滴を吐出させる。
【0117】
その後、第2基板S2に対する第2描画判定処理(ステップS115)および第2搬出処理(ステップS116)が行われて、第1基板S1および第2基板S2に対する一連の処理が終了する。なお、第2基板S2に対する第2描画判定処理および第2搬出処理は、第1基板S1に対する第1描画判定処理および第1搬出処理と同様である。
【0118】
このように、実施形態に係る液滴吐出装置100は、2つの搬送部(第1搬送部3_1および第2搬送部3_2)を備えることで、第1基板S1に対する処理と並行して第2基板S2に対する処理を行うことができる。具体的には、液滴吐出装置100は、第1基板S1に対する描画処理(第1描画処理)と並行して、第2基板S2に対する搬入処理(第2搬入処理)およびアライメント処理(第2プリアライメントおよび第2本アライメント処理)を行うことができる。これにより、実施形態にかかる液滴吐出装置100は、複数の基板Sを連続的に処理する場合のトータルの処理時間を短縮することができる。したがって、実施形態に係る液滴吐出装置100によれば、生産性を向上させることができる。
【0119】
(第1変形例)
第1移載装置17_1および第2移載装置17_2の配置は、図2に示す例に限定されない。図22は、第1変形例における第1移載装置17_1および第2移載装置17_2の配置の一例を示す図である。図23は、第1変形例における第1移載装置17_1および第2移載装置17_2の配置の他の一例を示す図である。
【0120】
図22および図23に示すように、第1搬入出ステージ21および第2搬入出ステージ22の各々から見て搬送方向(Y軸方向)に隣接する位置を第1移載位置P1とする。また、第1搬入出ステージ21および第2搬入出ステージ22の各々から見て搬送方向と直交する方向(X軸方向)に隣接する2つの位置のうち一方を第2移載位置P2とし他方を第3移載位置P3とする。ここでは、第1搬入出ステージ21および第2搬入出ステージ22に対してX軸負方向側に位置する移載位置を第2移載位置P2とし、第1搬入出ステージ21および第2搬入出ステージ22に対してX軸正方向側に位置する移載位置を第3移載位置P3としている。
【0121】
図22に示すように、液滴吐出装置100は、第1移載装置17_1が第1搬入出ステージ21に対する第1移載位置P1に配置されている場合に、第2移載装置17_2が第2搬入出ステージ22に対する第3移載位置P3に配置されてもよい。
【0122】
また、図23に示すように、液滴吐出装置100は、第1移載装置17_1が第1搬入出ステージ21に対する第2移載位置P2に配置されている場合に、第2移載装置17_2が第2搬入出ステージ22に対する第3移載位置P3に配置されてもよい。
【0123】
このように、第1移載装置17_1は、第1搬入出ステージ21に対する第1移載位置P1、第2移載位置P2および第3移載位置P3のうちいずれかの移載位置に配置される場合に、第2移載装置17は、第2搬入出ステージ22に対する第1移載位置P1、第2移載位置P2および第3移載位置P3のうち、第1移載装置17が配置される移載位置とは異なる移載位置に配置されてもよい。
【0124】
なお、これに限らず、たとえば、第1移載装置17_1が第1搬入出ステージ21に対する第2移載位置P2に配置される場合に、第2移載装置17_2も第2搬入出ステージ22に対する第2移載位置P2に配置されてもよい。同様に、第1移載装置17_1が第1搬入出ステージ21に対する第3移載位置P3に配置される場合に、第2移載装置17_2も第2搬入出ステージ22に対する第3移載位置P3に配置されてもよい。
【0125】
(第2変形例)
図24は、第2変形例に係る液滴吐出装置100の模式的な斜視図である。図24に示すように、第2変形例に係る液滴吐出装置100は、図1に示す液滴吐出装置100から第1基板S1の処理に用いられる構成を取り外したものである。具体的には、第2変形例に係る液滴吐出装置100は、図1に示す液滴吐出装置100から第1搬入出ステージ21、第1処理ステージ23、第1搬送部3_1および第1描画前フラッシング部5_1が取り外されている。同様に、第2変形例に係る液滴吐出装置100は、図1に示す液滴吐出装置100から第1撮像部7_1、第1プリアライメント機構15_1、第1アライメントカメラ16_1および第1移載装置17_1が取り外されている。
【0126】
また、上述したように、第1ベース11は、複数のベース部材に分割されており、第1搬入出ステージ21の下方に位置するベース部材も液滴吐出装置100から取り外されている。同様に、一対の第1ガイドレール13,13は複数のレール部材に分割されており、第1搬入出ステージ21の側方に位置するレール部材も液滴吐出装置100から取り外されている。
【0127】
ここでは、第1搬入出ステージ21および第1搬送部3_1が液滴吐出装置100に対して着脱自在である場合の例を示した。これに限らず、第2搬入出ステージ22および第2搬送部3_2が液滴吐出装置100に対して着脱自在であってもよい。このように、第1搬入出ステージ21および第1搬送部3、ならびに、第2搬入出ステージ22および第2搬送部3の少なくとも一方は、液滴吐出装置100に対して着脱自在であってもよい。言い換えれば、液滴吐出装置100は、基板S(ここでは、第2基板S2)の搬入および搬出が行われる搬入出ステーション(ここでは、第2搬入出ステージ22)を1つ備える構成であってもよい。
【0128】
上述してきたように、実施形態に係る液滴吐出装置(一例として、液滴吐出装置100)は、浮上ステージ(一例として、浮上ステージ2)と、搬送部(一例として、第1搬送部3_1または第2搬送部3_2)と、吐出ヘッド(一例として、吐出ヘッド400)と、制御部(一例として、制御部1001)とを備える。浮上ステージは、基板(一例として、第1基板S1または第2基板S2)の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって基板を浮上させる。搬送部は、浮上ステージによって浮上した基板を保持して浮上ステージに沿って移動させる。吐出ヘッドは、浮上ステージの上方に位置し、機能液の液滴を吐出する。制御部は、搬送部および吐出ヘッドを制御する。浮上ステージは、基板の搬入および搬出が行われる搬入出ステージ(一例として、第1搬入出ステージ21または第2搬入出ステージ22)を有する。制御部は、搬入出ステージにおいて基板を搬送部に渡す搬入処理と、その後、基板を保持した搬送部を移動させて吐出ヘッドの下方を通過させつつ基板に対し吐出ヘッドから機能液の液滴を吐出する描画処理と、その後、搬送部を搬入出ステージに戻して搬送部による基板の保持を解除する搬出処理とを実行する。
【0129】
また、実施形態に係る液滴吐出装置(一例として、液滴吐出装置100)は、浮上ステージ(一例として、浮上ステージ2)と、第1搬送部(一例として、第1搬送部3_1)と、第2搬送部(一例として、第2搬送部3_2)と、吐出ヘッド(一例として、吐出ヘッド400)とを備える。浮上ステージは、第1基板(一例として、第1基板S1)および第2基板(一例として、第2基板S2)の搬送方向に沿って延在し、噴出する気体の圧力によって第1基板および第2基板を浮上させる。第1搬送部は、浮上ステージによって浮上した第1基板を保持して浮上ステージに沿って移動させる。第2搬送部は、浮上ステージによって浮上した第2基板を保持して浮上ステージに沿って移動させる。吐出ヘッドは、浮上ステージの上方に位置し、機能液の液滴を吐出する。浮上ステージは、搬送方向における一端に位置し、第1基板の搬入および搬出が行われる第1搬入出ステージと、搬送方向における他端に位置し、第2基板の搬入および搬出が行われる第2搬入出ステージとを備える。
【0130】
したがって、実施形態に係る液滴吐出装置によれば、生産性を向上させることができる。
【0131】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1 ベース
2 浮上ステージ
3_1 第1搬送部
3_2 第2搬送部
4 描画部
5_1 第1描画前フラッシング部
5_2 第2描画前フラッシング部
6_1 第1パーティクルセンサ
6_2 第2パーティクルセンサ
7_1 第1撮像部
7_2 第2撮像部
8 メンテナンス部
9 定期フラッシング部
10 検査部
13 第1ガイドレール
14 第2ガイドレール
15_1 第1プリアライメント機構
15_2 第2プリアライメント機構
16_1 第1アライメントカメラ
16_2 第2アライメントカメラ
17_1 第1移載装置
17_1 第2移載装置
21 第1搬入出ステージ
22 第2搬入出ステージ
23 第1処理ステージ
24 第2処理ステージ
25 第1搬送ステージ
26 第2搬送ステージ
27 第3処理ステージ
31 移動部
32 保持部
40 キャリッジ
41 第1キャリッジ群
42 第2キャリッジ群
43 第3キャリッジ群
100 液滴吐出装置
400 吐出ヘッド
1000 制御装置
1001 制御部
1002 記憶部
S1 第1基板
S2 第2基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24