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特開2023-157003感光材料およびパターン構造形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157003
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】感光材料およびパターン構造形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/16 20060101AFI20231018BHJP
   C23C 16/04 20060101ALI20231018BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231018BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20231018BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20231018BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G03F7/16
C23C16/04
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G03F7/40 521
G03F7/26
G03F7/38 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023062956
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】63/330,568
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨアン・トムザック
(72)【発明者】
【氏名】キシャン・アショクバイ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・デゼラー
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
4K030
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA09
2H196CA17
2H196FA10
2H196GA36
2H196HA11
2H197CA10
2H197CE01
2H197HA03
2H225AM62P
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC20
2H225CC29
2H225EA11P
2H225EA16P
4K030AA11
4K030AA13
4K030AA14
4K030BA40
4K030BA43
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA05
4K030FA01
4K030HA01
4K030LA02
4K030LA15
(57)【要約】
【課題】感光材料およびパターン構造形成方法を提供する。
【解決手段】EUV感受性層を形成するための方法および関連システム。方法は、複数の堆積サイクルを実行することを含む。堆積サイクルは、第一の前駆体パルスおよび第二の前駆体パルスを含む。第一の前駆体パルスは、基材を第一の前駆体に曝露することを含む。第一の前駆体は、2つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む。第二の前駆体パルスは、基材を第二の前駆体に曝露することを含む。一部の実施形態では、第二の前駆体は、2つ以上のヒドロキシル官能基を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
EUV感受性層を形成する方法であって、
基材を反応チャンバに提供することと、
複数の堆積サイクルを実行することであって、堆積サイクルが、
第一の前駆体パルスであって、前記第一の前駆体パルスが前記基材を第一の前駆体に曝露することを含む、第一の前駆体パルスと、
第二の前駆体パルスであって、前記第二の前駆体パルスが前記基材を第二の前駆体に曝露することを含む、第二の前駆体パルスと、を含む、実行することと、を含み、
前記第一の前駆体が、2つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む、方法。
【請求項2】
前記第一の前駆体が、次式によって表現され得る化合物を含み、
【化1】
式中、Xがハロゲンであり、nが少なくとも0~最大で6の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の前駆体が、塩化オキサリルを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二の前駆体が、1つ以上のアミノ官能基および1つ以上のヒドロキシル官能基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の前駆体が、次式によって表現され得る化合物を含み、
【化2】
式中、nが少なくとも1~最大で6の整数である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の前駆体が1,2-エタンジオールを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
表面層を含む基材にパターン形成する方法であって、前記方法が、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法によって、前記表面層上にEUV感受性層を形成する工程と、
EUVマスクを通して前記EUV感受性層をEUV放射線に部分的に露光し、それによって前記基材上に露光領域および未露光領域を形成する工程であって、前記露光領域が露光されたEUV感受性層を含み、前記未露光領域が未露光のEUV感受性層を含む、工程と、
前記未露光のEUV感受性層を選択的に除去し、それによって前記表面層を露光領域で露光する工程と、
前記露光された表面層を選択的にエッチングし、それによって前記表面層にパターン形成する工程と、を含む、方法。
【請求項8】
基材にパターン形成する方法であって、前記方法が、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法によって、前記基材上にEUV感受性層を形成する工程と、
EUVマスクを通して前記EUV感受性層をEUV放射線に部分的に露光し、それによって前記基材上に露光領域および未露光領域を形成する工程であって、前記露光領域が露光されたEUV感受性層を含み、前記未露光領域が未露光のEUV感受性層を含む、工程と、
前記露光されたEUV感受性層および前記未露光のEUV感受性層のうちの1つ上に選択的層を選択的に形成して、それによって前記基材上にパターンを形成する工程と、含む方法。
【請求項9】
前記部分的に露光する工程が、最大で200mJ/cm2のEUV用量を用いる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記選択的層が、前記露光されたEUV感受性層上に形成され、前記方法が、前記未露光のEUV感受性層を選択的にエッチングする工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記選択的層が、前記未露光のEUV感受性層上に選択的に形成され、前記方法が、前記露光されたEUV感受性層を選択的にエッチングする工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記未露光のEUV感受性層上に前記選択的層を選択的に形成することが、前記基材を金属前駆体に曝露することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属前駆体がアルキルアミドリガンドを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記金属前駆体が、アルキルリガンド、アルコキシドリガンド、シクロペンタジエニルリガンド、アミジナートリガンド、およびハロゲン化物リガンドのうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記基材をオゾンに曝露する工程をさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基材をプラズマに曝露する工程をさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマが、H2およびO2を含むプラズマガスを使用して生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法に従って形成されるEUV感受性層を含む基材。
【請求項19】
反応チャンバと、基材ハンドリングシステムと、第一の前駆体源と、第二の前駆体源と、コントローラと、を含むシステムであって、
前記第一の前駆体源が、2つ以上のハロゲン化アシル官能基を含み、
前記第二の前駆体源が、2つ以上のヒドロキシル官能基を含み、
前記コントローラが、前記システムに、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法を実施させるように配置されている、システム。
【請求項20】
EUV感受性層堆積装置と、基材ハンドリングシステムと、EUV露光装置と、エッチング装置と、を備える集積回路製造施設であって、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、集積回路製造施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集積回路製造の分野に含まれ、特に基板工程パターン形成の分野に含まれる。
【背景技術】
【0002】
集積回路製造中、基材の表面にパターン形成を施すことによって、基材の表面上に微細なパターンの特徴が形成され得る。より微細なパターンを形成することの必要性が残されている。したがって、新しいフォトレジスト材料および新しいフォトレジスト材料堆積法が必要である。
【0003】
このセクションに記載される問題および解決策の任意の考察は、本開示に対する状況を提供する目的でのみこの開示に含まれていて、本発明がなされた時点で、考察のいずれかまたはすべてが既知であったことを認めたものと取られるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、EUV感受性層を形成する方法が説明されている。方法は、基材を反応チャンバに提供することを含む。方法は、複数の堆積サイクルを実行することをさらに含む。堆積サイクルは、第一の前駆体パルスを含む。第一の前駆体パルスは、基材を第一の前駆体に曝露することを含む。堆積サイクルは、第二の前駆体パルスをさらに含む。第二の前駆体パルスは、基材を第二の前駆体に曝露することを含む。一部の実施形態では、第一の前駆体は、2つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む。
【0005】
一部の実施形態では、第一の前駆体は、次式によって表現できる化合物を含む。
【化1】
式中、Xはハロゲンであり、nは少なくとも0~最大で6の整数である。
【0006】
一部の実施形態では、第一の前駆体は塩化オキサリルを含む。
【0007】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、1つ以上のアミノ官能基および1つ以上のヒドロキシル官能基を含む。
【0008】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、次式によって表現できる化合物を含む。
【化2】
式中、nは少なくとも1~最大で6の整数である。
【0009】
一部の実施形態では、第二の前駆体は1,2-エタンジオールを含む。
【0010】
本明細書ではさらに、表面層を含む基材をパターン化する方法が説明される。方法は、本明細書に記載の方法によって、表面層上にEUV感受性層を形成することを含む。方法は、EUVマスクを介してEUV放射線にEUV感受性層を部分的に露光することをさらに含む。こうして、露光領域および未露光領域が基材上に形成される。露光領域は、露光されたEUV感受性層を含む。未露光領域は、未露光のEUV感受性層を含む。方法は、未露光のEUV感受性層を選択的に除去することをさらに含む。したがって、露光領域の表面層、すなわちEUV感受性層は、露光領域で除去されることができ、それによって、それらの領域の表面層が露出する。方法は、露光された表面層を選択的にエッチングする工程をさらに含む。こうして、パターンが表面層内に形成される。
【0011】
本明細書には、基材をパターン化する別の方法がさらに記載されている。方法は、本明細書に記載の方法によって、基材上にEUV感受性層を形成することを含む。方法は、EUVマスクを介してEUV放射線にEUV感受性層を部分的に露光することをさらに含む。こうして、露光領域および未露光領域が基材上に形成される。露光領域は、露光されたEUV感受性層を含み、未露光領域は、未露光のEUV感受性層を含む。方法は、露光されたEUV感受性層および未露光のEUV感受性層のうちの1つ上に選択的層を選択的に形成することをさらに含む。したがって、パターンが基材上に形成される。
【0012】
一部の実施形態では、部分的に露光する工程は、最大で200mJ/cm2のEUV用量を用いる。
【0013】
一部の実施形態では、選択的層は、露光されたEUV感受性層上に形成され、方法は、未露光のEUV感受性層を選択的にエッチングする工程をさらに含む。
【0014】
一部の実施形態では、選択的層は、未露光のEUV感受性層上に選択的に形成され、方法は、露光されたEUV感受性層を選択的にエッチングする工程をさらに含む。
【0015】
一部の実施形態では、未露光のEUV感受性層上に選択的層を選択的に形成することは、基材を金属前駆体に曝露することを含む。
【0016】
一部の実施形態では、金属前駆体は、アルキルアミドリガンドを含む。
【0017】
一部の実施形態では、金属前駆体は、アルキルリガンド、アルコキシドリガンド、シクロペンタジエニルリガンド、アミジナートリガンド、およびハロゲン化物リガンドのうちの1つ以上を含む。
【0018】
一部の実施形態では、方法は、基材をオゾンに曝露する工程をさらに含む。
【0019】
一部の実施形態では、方法は、基材をプラズマに曝露する工程をさらに含む。
【0020】
一部の実施形態では、プラズマは、H2およびO2を含むプラズマガスを使用して生成される。
【0021】
本明細書には、本明細書に記載の方法に従って形成されるEUV感受性層を含む基材がさらに記述されている。
【0022】
本明細書には、反応チャンバ、基材ハンドリングシステム、第一の前駆体源、第二の前駆体源、およびコントローラを含むシステムがさらに記載されている。第一の前駆体源は、2つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む。第二の前駆体源は、2つ以上のヒドロキシル官能基を含む。コントローラは、システムに本明細書に記載の方法を実行させるように配置される。
【0023】
本明細書には、EUV感受性層堆積装置、基材ハンドリングシステム、EUV露光装置、およびエッチング装置を含む集積回路製造施設がさらに記載されている。集積回路製造施設は、本明細書に記載の方法を実施するように構成される。
【0024】
これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照する以下のある特定の実施形態の発明を実施するための形態から、当業者には容易に明らかとなることになり、本発明は、開示されるいかなる特定の実施形態にも限定されないことになる。
【0025】
本開示の例示的な実施形態のより完全な理解は、以下の例示的な図に関連して考慮される場合、「発明を実施するための形態」および「特許請求の範囲」を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、2つのパネル、パネルa)およびパネルb)を有し、図1のパネルa)は、本明細書に記述されたパターン化されたEUV感受性層を形成する方法の実施形態を概略的に示し、図1のパネルb)は、実験的接触角測定値を示す。
図2図2は、本開示の例示的な実施形態によるシステム(200)を図示する。
図3図3は、本明細書に記述されるEUV感受性層を形成するための方法(300)の実施形態を示す。
図4図4は、基材上にパターンを形成する方法(400)の例示的な実施形態を示す。
図5図5は、基材上にパターンを形成する方法(500)の例示的な実施形態を示す。
図6図6は、本明細書に記載の集積回路処理施設(600)の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも原寸に比例して描かれてはいない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【0028】
ある特定の実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明は、具体的に開示する実施形態および/またはその使用、ならびにその明白な修正および均等なものを超えて拡大することが理解されるであろう。それ故に、開示される本発明の範囲は、以下に記載の特定の開示される実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0029】
本開示は概して、EUV感受性層を形成する方法、ならびに関連するパターン形成方法、関連するシステム、および関連する集積回路製造施設に関する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、使用されてもよい、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい、任意の下地材料または材料を指す場合がある。「基材」は、連続的または不連続的、剛性または可撓性、中実または多孔質であってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズの、複数結晶ウエハ、多結晶ウエハ、または単結晶ウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素などの材料から作製されてもよい。
【0031】
連続基材は、堆積プロセスが生じる、プロセスチャンバの境界を越えて延在してもよく、かつ、連続基材は、基材の端部に到達するまでプロセスが継続するように、プロセスチャンバを通って移動してもよい。連続基材は、任意の適切な形態での連続基材の製造および出力を可能にする、連続基材供給システムから供給されてもよい。連続基材の非限定的な例には、シート、可撓性材料、連続的なフィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が含まれてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと取り付けられる、担体またはシートを含んでもよい。
【0032】
本明細書で使用される場合、基材という用語は、1つ以上の層を含み、かつ/または1つ以上の層をその上に堆積させることができる、任意の下地材料または材料を指す場合がある。基材は、シリコン(例えば単結晶シリコン)などのバルク材料、ゲルマニウムなどの他の第IV族材料、またはGaAsなどの複合半導体材料を含むことができ、バルク材料の上に重なるまたはバルク材料の下にある1つ以上の層を含むことができる。例えば、基材は、バルク材料の上に重なるいくつかの層のパターン化スタックを含むことができる。パターン化スタックは、用途によって変化させることができる。さらに、基材は追加的または代替的に、基材の層の少なくとも一部分の中またはその上に形成される様々な特徴部(凹部、線、およびこれに類するものなど)を含むことができる。
【0033】
一部の実施形態では、膜は、厚さ方向に垂直な方向に延在する層を指す。一部の実施形態では、層は、表面上に形成されるある特定の厚さを有する材料、または膜もしくは膜でない構造の同義語を指す。膜または層は、ある特定の特性を有する個別の単一の膜もしくは層、または複数の膜もしくは層によって構成されてもよく、隣接する膜または層の間の境界は、明確であってもよく、明確でなくてもよく、物理的、化学的、および/もしくは他の任意の特性、形成プロセスもしくはシーケンス、ならびに/または隣接する膜もしくは層の機能もしくは目的に基づいて確立されていてもよく、確立されていなくてもよい。さらに、層または膜は、連続的または不連続的とすることができる。
【0034】
本開示において、ガスは、常温および常圧で気体である材料、気化した固体および/または気化した液体を含んでもよく、状況に応じて単一の気体または気体の混合物によって構成され得る。材料の堆積の文脈などにおける一部の場合において、前駆体という用語は、別の化合物を生成する化学反応に関与する化合物、および特に膜マトリックスまたは膜の主骨格を構成する化合物を指すことができる。一部の場合において、前駆体という用語と反応物質という用語は、交換可能に使用することができる。不活性ガスという用語は、かなりの程度まで化学反応に関与しないガス、および/または、例えばRFもしくはマイクロ波電力が印加された時に前駆体を励起するガスを指すが、反応物質とは異なり、かなりの程度まで膜マトリクスの一部にならない場合がある。
【0035】
循環堆積プロセスまたは周期的堆積プロセスという用語は、基材上に層を堆積するために前駆体(および/または反応物質)を反応チャンバの中に逐次的に導入することを指してもよく、分子層堆積(MLD)、原子層堆積(ALD)、周期的化学蒸着(周期的CVD)、ならびにALD構成要素またはMLD構成要素および周期的CVD構成要素を含むハイブリッド周期的堆積プロセスなどの処理技法を含む。
【0036】
分子層堆積という用語は、堆積サイクル、典型的には複数の連続的な堆積サイクルがプロセスチャンバ内で行われる、蒸着プロセスを指す場合がある。本明細書で使用される場合、「分子層堆積」という用語はまた、原子層堆積(ALD)、化学蒸着原子層堆積、原子層エピタキシー(ALE)、分子線エピタキシー(MBE)、ガス供給源MBE、または有機金属MBE、ならびに前駆体/反応性ガス、およびパージ(例えば不活性キャリア)ガスの交互パルスを用いて実施される場合の化学ビームエピタキシーなどの関連する用語によって示されるプロセスを含むことを意味する。
【0037】
本開示では、変数の任意の2つの数はその変数の実行可能な範囲を構成することができ、示された任意の範囲は、端点を含んでもよく、または除外してもよい。さらに、一部の実施形態では、示される変数の任意の値は、(それらが約とともに示されているか否かにかかわらず、)正確な値またはおおよその値を指す場合があり、等価物を含んでもよく、平均値、中央値、代表値、大多数などを指す場合がある。さらに、一部の実施形態では、本開示において、含む、によって構成される、および、有するという用語は、典型的にまたは広く含む、含む、から本質的になる、または、から成る、を独立して指すことができる。本開示の態様によれば、用語のいかなる定義された意味も、その用語の通常の意味および慣習上の意味を必ずしも除外しない。
【0038】
本明細書では、EUV感受性層、すなわち、極紫外光に感受性の層を形成する方法が説明されている。極紫外光は、少なくとも1nmから最大で50nmの波長を有する電磁放射として記述することができる。あるいは、極紫外光は、低波長紫外光または低エネルギーX線と呼ぶことができる。方法は、基材を反応チャンバに提供することを含む。方法は、複数の堆積サイクルを実行することをさらに含む。堆積サイクルは、第一の前駆体パルスおよび第二の前駆体パルスを含む。第一の前駆体パルスは、基材を第一の前駆体に曝露することを含む。第二の前駆体パルスは、基材を第二の前駆体に曝露することを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるEUV感受性層を形成する方法は、原子層堆積(ALD)プロセス、または分子層堆積(MLD)プロセスとして分類することができる。こうしたEUV感受性層は、パターン形成工程の後、後続するエッチング工程のマスクとして用いることができる。追加的または代替的に、およびパターン形成工程の後、こうしたEUV感受性層は、露光領域および未露光領域の一方の上で、他方と対比して、さらなる材料層を局所的かつ選択的に成長させるために用いることができる。
【0039】
本明細書に記載の方法に従って形成されるEUV感受性層は、液体製剤を使用して形成されるEUV感受性層を超えるいくつかの利点を有する。例えば、本EUV感受性層は、より低い厚さで同等または改善されたEUV感受性を有することができ、より良好な解像度を提供することができ、プロセス簡素化を提供することができる。例えば、本明細書に記載の方法に従って形成されるEUV感受性層は、必ずしも中間グルー層の存在を必要とせずに、基材上に直接形成されることができる。
【0040】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法の実施形態によって形成されるEUV感受性層は、オキサラート官能基を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法の実施形態によって形成されるEUV感受性層は、オキサミド官能基を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法の実施形態によって形成されるEUV感受性層は、オキサマート官能基を含み得る。
【0041】
一部の実施形態では、第一の前駆体は、ジカルボン酸を含む。本発明が任意の特定の理論または動作モードに束縛されることなく、このような前駆体は、極紫外光に露光されると分解し、それによってCOおよびCO2のうちの少なくとも1つを形成することができるオキサラート官能基を含有する層を形成するために使用されることができ、EUV感受性層は、EUV放射線に露光された領域で少なくとも部分的に除去されることができると、考えられる。有利なことに、複数の堆積サイクルを実行することは、複数のオキサラート層を形成するために使用されることができる。複数のオキサラート層を含むEUV感受性層は、単層を含むEUV感受性層と比較して、強化されたEUV感受性を提供することができる。
【0042】
一部の実施形態では、第一の前駆体は、前駆体分子当たり2つ以上のカルボン酸官能基を含む。
【0043】
一部の実施形態では、第一の前駆体は、1つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む。一部の実施形態では、第一の前駆体は、ハロゲン化ジアシル、3つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む分子、または両方を含むことができる。
【0044】
一部の実施形態では、第一の前駆体は、次式によって表現できる化合物を含む。
【化3】
【0045】
一部の実施形態では、Xはハロゲンを表し、nは少なくとも0~最大で6の整数を表す。一部の実施形態では、Xはヒドロキシル基を表し、nは少なくとも0~最大で6の整数を表す。一部の実施形態では、Xは、ハロゲンまたはヒドロキシル基を表し、nは0である。nがゼロである場合、オキサラート基を含むEUV感受性膜を好適に形成することができる。
【0046】
一部の実施形態では、第一の前駆体はハロゲン化オキサリルを含む。一部の実施形態では、第一の前駆体は、次式によって表現できる化合物を含む。
【化4】
【0047】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、1つ以上のアミノ官能基および1つ以上のヒドロキシル官能基を含む。一部の実施形態では、第二の前駆体は、1つ以上のアミノ官能基およびヒドロキシル官能基を含む、芳香族化合物または脂肪族化合物を含む。好適な脂肪族カルバノールアミンには、直鎖状、環状、および分枝状のアルカノールアミンが含まれる。適切なアルカノールアミンには、メタノールアミン、エタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、バリノール、およびスフィンゴシンが含まれる。
【0048】
ハロゲン化オキサリルを含む第一の前駆体が、2つ以上のヒドロキシル官能基を含む第二の前駆体と反応するとき、オキサラート官能基を含むEUV感受性層が好適に形成されることができる。
【0049】
ハロゲン化オキサリルを含む第一の前駆体が、2つ以上のアミノ官能基を含む第二の前駆体と反応するとき、オキサミド官能基を含むEUV感受性層が好適に形成されることができる。
【0050】
ハロゲン化オキサリルを含む第一の前駆体が、アミノ官能基およびヒドロキシル官能基を含む第二の前駆体と反応するとき、オキサマートを含むEUV感受性層が好適に形成されることができる。
【0051】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、2つ以上のチオール官能基を含む。一部の実施形態では、第二の前駆体は、ジチオール、高次ジチオール、または両方を含む。一部の実施形態では、第二の前駆体は、ベンゼン1,4ジチオールを含む。
【0052】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、塩化スクシニルを含む。第二の前駆体が塩化スクシニルを含む場合、形成されるEUV感受性層は、好適にスクシナートを含むことができる。
【0053】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、2つ以上のOH基を含む。一部の実施形態では、第二の前駆体は、ジオール、より高級のアルコール、または両方を含む。言い換えれば、一部の実施形態では、第二の前駆体は、2つ以上のヒドロキシル官能基を含むことができる。
【0054】
一部の実施形態では、第二の前駆体は、次式によって表現できる化合物を含む。
【化5】
【0055】
nは整数であることが理解されるべきである。一部の実施形態では、nは、少なくとも1~最大で6である。例えば、第二の前駆体は、メタンジオール、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、またはヘキサンジオールなどの直鎖状または分枝状のアルカンジオールを含むことができる。
【0056】
一部の実施形態では、第二の前駆体は1,2-エタンジオールを含む。
【化6】
【0057】
一部の実施形態では、EUV感受性層は、少なくとも0.5nm~最大で5.0nmの厚さ、例えば、少なくとも0.5nm~最大で1.0nmの厚さ、または少なくとも1.0nm~最大で2.0nmの厚さ、または少なくとも2.0nm~最大で5.0nmの厚さを有する。
【0058】
基材をパターン化する方法がさらに記載されている。基材は、表面層を含む。方法は、本明細書に記載の方法によって、表面層上にEUV感受性層を形成することを含む。方法は、EUVマスクを介してEUV放射線にEUV感受性層を部分的に露光することをさらに含む。こうして、露光領域および未露光領域が基材上に形成される。露光領域は、露光されたEUV感受性層を含み、未露光領域は、未露光のEUV感受性層を含む。方法は、未露光のEUV感受性層を選択的に除去することをさらに含む。こうして、表面層は、露光領域内で曝露される。方法は、露光された表面層の選択的エッチングをさらに含む。こうして、パターンが表面層内に形成される。こうしたパターンが形成された後、未露光のEUV感受性層は基材から任意的に除去することができる。
【0059】
本明細書には、基材をパターン化する別の方法がさらに記載されている。方法は、本明細書に記載の方法によって、基材上にEUV感受性層を形成することを含む。方法は、EUVマスクを介してEUV放射線にEUV感受性層を部分的に露光することをさらに含む。「EUVマスク」は、本開示の特定の実施形態によるリソグラフィープロセスなどのEUVベースのリソグラフィープロセスで使用するためのリソグラフィーマスクを指し得ることが理解されるべきである。こうして、露光領域および未露光領域が基材上に形成される。露光領域は、露光されたEUV感受性層を含む。未露光領域は、未露光のEUV感受性層を含む。方法は、露光されたEUV感受性層および未露光のEUV感受性層のうちの1つ上に選択的層を選択的に形成することをさらに含む。したがって、パターンが基材上に形成される。選択的層は、露光されたEUV感受性層上または未露光のEUV感受性層上に形成される場合があるが、両方の層上には形成されないか、または実質的には両方の層上には形成されない場合があることが理解されるべきである。
【0060】
選択的層は、例えば、原子層堆積(ALD)、分子層堆積(MLD)、または化学蒸着(CVD)プロセスを使用して形成することができる。選択的に形成され得る適切な材料には、酸化アルミニウムなどの酸化物、窒化ケイ素などの窒化物、およびCu、Ti、V、Al、Mo、W、およびRuなどの金属が含まれる。
【0061】
一部の実施形態では、選択的層は、露光領域上に形成され、本明細書に記載の基材にパターン形成をする方法は、露光領域上に形成された選択的層に相対する未露光領域を選択的にエッチングする工程をさらに含む。
【0062】
一部の実施形態では、EUV感受性層は、EUV露光中に露光領域から除去される。そうすることで、EUV感受性層で覆われた領域は、非反応性であり得る一方で、露光領域は、様々な金属前駆体に対して反応性であり得る。
【0063】
一部の実施形態では、選択的層は、未露光のEUV感受性層上に選択的に形成される。こうした実施形態では、本明細書に記載の基材にパターン形成を施す方法は、露光されたEUV感受性層を選択的にエッチングするか、またはそれ以外の方法で除去する工程をさらに含む。
【0064】
一部の実施形態では、EUVマスクを通してEUV感受性層をEUV放射線に部分的に露光する工程は、最大で200mJ/cm2、例えば少なくとも10mJ/cm2~最大で200mJ/cm2、または少なくとも50mJ/cm2~最大で190mJ/cm2、または少なくとも100mJ/cm2~最大で180mJ/cm2、または少なくとも130mJ/cm2~最大で170mJ/cm2、または150mJ/cm2のEUV用量を用いる。
【0065】
一部の実施形態では、未露光のEUV感受性層上に選択的層を選択的に形成することは、基材を金属前駆体に曝露することを含むことができる。
【0066】
一部の実施形態では、基材を金属前駆体に曝露する前に、基材をH2Oなどの酸素反応物質に曝露する工程がある場合がある。一部の実施形態では、金属曝露前のH2O曝露は、未露光のEUV感受性層のハロゲン化アシル末端表面を、カルボン酸末端表面に変換することができ、これは、様々な金属前駆体、リガンド、または両方に対して、強化された反応性を有することがある。
【0067】
一部の実施形態では、金属前駆体は、金属アルキル、金属アルコキシド、金属アミジナート、および金属シクロペンタジエニルのうちの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態では、金属前駆体は、金属ハロゲン化物を含むことができる。適切な金属ハロゲン化物には、TiCl4などの遷移金属塩化物などの遷移金属ハロゲン化物が含まれる。一部の実施形態では、金属前駆体は、アルキルアミドリガンドを含むことができる。一部の実施形態では、金属前駆体は、1つ以上のアルキルアミドリガンドを含む、ホモレプティック遷移金属前駆体を含む。こうした前駆体の例には、テトラキス(ジメチルアミド)スズ(IV)が含まれる。こうした前駆体は、例えば、選択的層を選択的に形成するために、H2Oなどの酸素反応物質と共に使用されることができる。
【0068】
適切な金属前駆体には、遷移金属ジアルキルアミド複合体、例えばテトラキス(ジメチルアミド)スズ(IV)、ペンタキス(ジメチルアミド)タンタル(V);ポスト遷移金属ジアルキルアミド複合体、例えばトリス(ジメチルアミド)アルミニウム(III);および遷移金属アルコキシド、例えばチタンテトライソプロポキシドが含まれる。
【0069】
追加的または代替的に、一部の実施形態では、金属前駆体は、アルキルリガンドを含むことができる。一部の実施形態では、金属前駆体は、テトライソプロピルチタンなどのホモレプティック遷移金属アルキルを含む。こうした前駆体は、例えば、選択的層を選択的に形成するために、H2Oなどの酸素反応物質と共に使用されることができる。
【0070】
追加的または代替的に、一部の実施形態では、金属前駆体は、アルコキシドリガンドを含むことができる。一部の実施形態では、金属前駆体は、チタンテトライソプロポキシドなどのホモレプティック遷移金属アルキルを含む。こうした前駆体は、例えば、選択的層を選択的に形成するために、H2Oなどの酸素反応物質と共に使用されることができる。
【0071】
金属前駆体は、一部の実施形態では、ヘテロレプティック遷移金属前駆体などのヘテロレプティック前駆体を含み得る。こうしたヘテロレプティック前駆体は、例えば、1つ以上のアルキルリガンドおよび1つ以上のアルキルアミドリガンドを含むことができる。あるいは、ヘテロレプティック前駆体は、1つ以上のアルキルリガンドおよび1つ以上のアルコキシドリガンドを含むことができる。こうした前駆体の例には、ポスト遷移金属前駆体、例えばジメチアルミニウムイソプロポキシドが含まれる。こうした前駆体は、一部の実施形態では、前駆体曝露および反応物質曝露の交互サイクルを含むALDプロセスなどの循環蒸着プロセスによって、未露光領域上で選択的層を選択的に成長させるために用いることができる。適切な反応物質には、H2Oなどの酸素反応物質が含まれる。
【0072】
一部の実施形態では、金属前駆体は、例えば、CVD、ALD、PECVD、またはPEALDプロセスにおいて、H2O、O2、およびO3などの酸素反応物質、N2、NH3、およびN2H2などの窒素反応物質、H2などの水素反応物質、または希ガス、酸素反応物質、窒素反応物質、水素反応物質のうち1つ以上を含むプラズマガスを使用するプラズマなどのプラズマとともに使用されることができる。したがって、金属ハードマスク、金属酸化物ハードマスク、または金属窒化物ハードマスクなどの金属含有ハードマスクを、露光領域上に直接的かつ選択的に形成することができる。ハードマスクの堆積後、例えば、オゾンを含有する環境中、またはプラズマガスが酸素および水素を含むプラズマ中でアニールを使用して、残りのEUV感受性膜、例えばオキサラート含有膜を次に基材から除去することができる。
【0073】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、例えば、EUV感受性層中に含まれるオキサラート基、オキサマート基、およびオキサミド基のうちの少なくとも1つなどのEUV感受性基とのEUV光の相互作用によって、EUV露光によって、EUV感受性層を局所的に除去することを含むことができる。EUV光露光中のこのような除去は必ずしも完全ではなく、EUV光露光時に、浮渣または他の残渣が、露光領域に形成さることがある。基材をさらに処理する前に、このような浮渣または他の残渣を除去することが望ましい。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、浮渣または他の残渣を除去する工程を含むことがある。これは、例えば、基材をオゾンに曝露することによって行うことができる。追加的または代替的に、浮渣または残渣を除去することは、基材をプラズマに曝露する工程を含むことができる。適切なプラズマには、H2およびO2を含むプラズマガスを用いるプラズマが含まれる。追加的または代替的に、かつ一部の実施形態では、プラズマガスは、ArまたはHeなどの希ガスを含むことができる。
【0074】
本明細書には、EUV感受性層を含む基材がさらに記載されている。EUV感受性層は、本明細書に記載の方法に従って形成される。
【0075】
本明細書には、反応チャンバ、基材ハンドリングシステム、第一の前駆体源、第二の前駆体源、およびコントローラを含むシステムがさらに記載されている。第一の前駆体源は、2つ以上のハロゲン化アシル官能基を含む。第二の前駆体は、ジオールおよびより高級のアルコールのうちの少なくとも1つを含む。言い換えれば、一部の実施形態では、第二の前駆体は、2つ以上のヒドロキシル官能基を含むことができる。コントローラは、システムに本明細書に記載の方法を実行させるように配置される。
【0076】
本明細書には、EUV感受性層堆積装置、基材ハンドリングシステム、EUV露光装置、およびエッチング装置を含む集積回路製造施設がさらに記載されている。集積回路製造施設は、本明細書に記載の方法を実施するために配置されている。適切なEUV感受性層堆積装置は、本明細書に記載されるシステムを含む。
【0077】
第一の実施例では、図1を参照する。図1は、2つのパネル、パネルa)およびパネルb)を有する。図1のパネルa)は、本明細書に記述されたパターン化されたEUV感受性層を形成する方法の実施形態を概略的に示す。図示した実施形態では、1つ以上の堆積サイクルが実施される。堆積サイクルは、第一のパルスおよび第二のパルスを含む。第一のパルスは、基材を塩化オキサリルに曝露することを含む。第二のパルスは、基材をエチレングリコールに曝露することを含む。EUV感受性層が形成される。堆積サイクルの数を選択することにより、EUV感受性層の厚さを制御することが可能になり、より多い堆積サイクル数は、より厚いEUV感受性層に対応する。したがって、有機ポリマー膜を含むEUV感受性層が基材上に形成される。次に、基材をフォトマスクを通してEUV放射線に露光して、基材上に露光領域および未露光領域を形成することができる。未露光領域では、EUV感受性層は実質的に手付かずのままである。露光領域では、EUV感受性層は、EUV放射線の影響下で少なくとも部分的に分解され、COおよびCO2などの揮発性反応生成物を形成し、任意的に有機残渣または浮渣をさらに形成する。「EUV放射線」は、少なくとも10nm~最大で100nmの波長、または少なくとも11nm~最大で50nmの波長、または少なくとも12nm~最大で20nmの波長、または少なくとも13nm~最大で14nmの波長を有する電磁放射を指すことがあることが理解されるべきである。図1のパネルb)は、10回の堆積サイクルを使用して形成され、塩化オキサリルおよびエチレングリコールを前駆体として使用した、露光されたEUV感受性層および未露光のEUV感受性層を含む、基材の異なる部分の実験的接触角測定値を示す。実験データは、150mJ/cm2の用量でEUV放射線に露光されたEUV感受性層上の水接触角、および未露光のEUV感受性層上の水接触角を示す。150mJ/cm2の用量でEUV放射線に露光されたEUV感受性層上の水接触角は、74.5°であることが分かった。未露光のEUV感受性層上の水接触角は、82.4±1.0°であることが分かった。露光領域と未露光領域との間の水接触角の差は、EUV感受性層のEUV感受性の明確な指標を提供する。
【0078】
図2は、本開示の例示的な実施形態によるシステム(200)を図示する。システム(200)は、本明細書に記載の方法を実施するために、および/または本明細書に記載の構造またはデバイス部分を形成するために使用されることができる。
【0079】
図示した実施例では、システム(200)は、1つ以上の反応チャンバ(202)、第一の前駆体ガス源(204)、第二の前駆体ガス源(206)、パージガス源(208)、排気装置(210)、およびコントローラ(212)を含む。第一の前駆体ガス源(204)は、本明細書に記載の第一の前駆体を含む。第二の前駆体ガス源(206)は、本明細書に記載の第二の前駆体を含む。
【0080】
反応チャンバ(202)は、任意の好適な反応チャンバ、例えばALDまたはCVD反応チャンバを含むことができる。
【0081】
第一の前駆体ガス源(204)は、容器、および本明細書に記載の1つ以上の第一の前駆体を、単独で、または1つ以上のキャリアガス(例えば、希ガス)と混合して含むことができる。第二の前駆体ガス源(206)は、容器、および本明細書に記載の1つ以上の反応物質を、単独で、または1つ以上のキャリアガスと混合して含むことができる。パージガス源(208)は、本明細書に記載の1つ以上の不活性ガスを含むことができる。四つのガス源(204~208)で示されているが、システム(200)は任意の好適な数のガス源を含むことができる。ガス源(204~208)は、それぞれがフローコントローラ、バルブ、ヒーターなどを含み得るライン(214~218)を介して、反応チャンバ(202)に連結されることができる。
【0082】
コントローラ(212)は、システム(200)に含まれるバルブ、マニホールド、ヒーター、ポンプ、および他の構成要素を選択的に動作させるための電子回路ならびにソフトウェアを含む。このような回路および構成要素は、前駆体、反応物質、およびパージガスを、それぞれの供給源(204~208)から導入するように動作する。コントローラ(212)は、ガスパルスシーケンスのタイミング、基材および/または反応チャンバの温度、反応チャンバ内の圧力、ならびに様々な他の動作を制御して、システム(200)の適切な動作を提供することができる。コントローラ(212)は、反応チャンバ(202)内外への前駆体、反応物質、およびパージガスの流れを制御するために、バルブを電気的にまたは空気圧で制御するための制御ソフトウェアを含むことができる。コントローラ(212)は、特定のタスクを実行するソフトウェアまたはハードウェアコンポーネント、例えばFPGAまたはASICなどの、モジュールを含むことができる。モジュールは、有利なことに、制御システムのアドレス指定可能な記憶媒体上に存在するように構成され、1つ以上のプロセスを実行するように構成されることができる。
【0083】
排気装置(210)は、1つ以上の真空ポンプを含むことができる。
【0084】
異なる数および種類の前駆体源および反応物質源ならびにパージガス源を含む、システム(200)の他の構成が可能である。さらに、反応チャンバ(202)内へ選択的にガスを供給するという目的を達成するために使用され得るバルブ、導管、前駆体源、およびパージガス源の多くの配置があることが理解されるであろう。さらに、システムの概略図として、説明を簡単にするために多くの構成要素が省略されていて、このような構成要素は、例えば、様々なバルブ、マニホールド、精製器、ヒーター、容器、通気孔、および/またはバイパスを含んでもよい。
【0085】
反応器システム(200)の作動中に、半導体ウエハなどの基材(図示せず)が、例えば基材ハンドリングシステムから反応チャンバ(202)に搬送される。基材が反応チャンバ(202)に搬送されると、ガス源(204~208)からの1つ以上のガス、例えば前駆体、反応物質、キャリアガス、および/またはパージガスが、反応チャンバ(202)内に導入される。
【0086】
さらなる実施例では、本明細書に記載のEUV感受性層を形成するための方法(300)の実施形態を示す図3を参照する。本実施形態による方法は、基材を提供する工程(310)を含む。次に、基材は、第一の前駆体および第二の前駆体に順次曝露される。特に、第一の前駆体パルス(320)および第二の前駆体パルス(330)が順次実施される。第一の前駆体パルス(320)は、基材を第一の前駆体に曝露することを含む。第二の前駆体パルス(330)は、前駆体を第二の前駆体に曝露することを含む。第一の前駆体パルスと第二の前駆体パルスは実質的に重複しない、すなわち、第一の前駆体パルス(320)中に提供される第一の前駆体と、第一の前駆体パルス(320)中または第二の前駆体パルス(330)中に提供される第二の前駆体の実質的な相互混合は存在しないことが理解されるべきである。任意的に、第一の前駆体パルスおよび第二の前駆体パルスを1回以上繰り返し(350)、複数の堆積サイクルを形成する。一部の実施形態では、第一の前駆体パルス(320)に続く第一のパージ(325)、および第二の前駆体パルス(330)に続く第二のパージ(335)といった、任意的なパージ(325、335)による、第一の前駆体パルス(320)および第二の前駆体パルス(330)である。任意的なパージ(325、335)は、基材を希ガスなどのパージガスに曝露することを含む。一部の実施形態では、第一の前駆体は、塩化オキサリルを含み、第二の前駆体は、1,2-エタンジオールを含み、パージガスは、Arを含む。
【0087】
さらなる実施例では、図4を参照する。図4は、基材上にパターンを形成する方法(400)の例示的な実施形態を示す。方法(400)は、基材を提供する工程(410)を含む。次に、EUV感受性層が、本明細書に記載の方法によって基材(420)上に形成される。次に、EUV感受性層がEUV放射線に露光(430)され、それによって露光領域および未露光領域を形成する。EUV露光(430)後、EUV感受性層は、任意的にレジスト現像技術を使用して現像することができ(440)、その技術自体は当技術分野で既知である。例示的な現像剤には、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液が含まれる。しかしながら、一部の実施形態では、EUV露光によって露光領域においてEUV感受性層の除去がもたらされるため、現像工程(440)は必ずしも実施される必要はないことが理解されるべきである。けれども、こうした実施形態においてさえ、現像剤溶液への基材の曝露は、例えば、露光領域からレジスト残渣を除去するための手段として、依然として有用である場合がある。本例示的な実施形態は、基材がエッチング液に曝露される、エッチング工程(450)をさらに含む。エッチング液は、有利なことに、EUV感受性層の未露光領域に相対して選択的に基材内に含まれる表面層をエッチングすることができる。適切なエッチング化学は、それ自体が当技術分野で説明されており、SF6、C4F8またはCF4などのフッ素含有エッチング液を含むプラズマガスを用いるArプラズマなどのフッ素系エッチング化学を含むことが理解されるべきである。エッチング工程(450)の後、本明細書に記載された実施形態による方法は終了(460)する。したがって、基材内に含まれる表面層にパターン形成することができる。次に、必要に応じて、基材にさらなる処理工程を施すことができる。
【0088】
さらなる実施例では、図5を参照する。図5は、基材上にパターンを形成する方法(500)の例示的な実施形態を示す。方法(500)は、基材を提供する工程(510)を含む。次に、本明細書に記載の方法によって、EUV感受性層が基材(520)上に形成される。次に、EUV感受性層がEUV放射線に露光(530)され、それによって露光領域および未露光領域を形成する。次に、材料は、未露光領域に相対して露光領域上に、または露光領域に相対して未露光領域上に、選択的に堆積される(540)。適切な選択的堆積方法は、それ自体が、当技術分野で記載されている。次に、基材はエッチングを施すことができる(550)。エッチング工程(550)は、特に、選択的に堆積された材料に相対して基材内に含まれる表面層を選択的にエッチングすることを含むことができる。任意的に、エッチング工程(550)の前には、未露光のEUV感受性層または露光領域の有機残渣のうちの1つが基材から除去される、クリーニング工程が先行する。適切なクリーニング工程は、それ自体が当技術分野で既知であり、アルゴン酸素プラズマ、およびオゾン曝露を含む。追加的または代替的に、クリーニング工程は、金属含有材料の除去をもたらし得る、Ar/SF6プラズマなどのフッ素含有プラズマに基材を曝露することを含む場合がある。エッチング工程の後、本明細書に記載された実施形態による方法は終了(560)する。次に、必要に応じて、基材にさらなる処理工程を施すことができる。
【0089】
さらなる実施例では、図6を参照する。図6は、本明細書に記載の方法による、例示的な集積回路製造施設(600)を示す。集積回路製造施設(600)は、EUV感受性層堆積装置(610)、基材ハンドリングシステム(620)、EUV露光装置(630)、およびエッチング装置(640)を備える。集積回路製造施設(600)は、本明細書に記載の方法を実施するように構成される。
【0090】
上述の本開示の例示的な実施形態は、これらの実施形態が本発明の実施形態の単なる実施例にすぎないため、本発明の範囲を限定しない。任意の均等な実施形態は、本発明の範囲内であることが意図される。実際、記述された要素の代替的な有用な組み合わせなど、本明細書に示されかつ記述された実施形態に加えて、本開示の様々な修正は、記述から当業者に明らかになる場合がある。こうした修正および実施形態も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】