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特開2023-157167液処理装置、液処理方法及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157167
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】液処理装置、液処理方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20231019BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20231019BHJP
   B05D 1/40 20060101ALI20231019BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05C11/08
B05D1/40 A
B05D3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066903
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】成 東周
(72)【発明者】
【氏名】平尾 剛
【テーマコード(参考)】
4D075
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4D075AC64
4D075AC84
4D075AC88
4D075BB28Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DB13
4D075DB14
4D075DC21
4D075DC22
4D075EA05
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042EB05
4F042EB09
4F042EB13
4F042EB18
4F042EB27
5F146JA02
5F146JA06
5F146JA25
(57)【要約】
【課題】基板に供給される処理液を適切に除電し、処理液が塗布された基板の膜厚にばらつきが生じることを抑制すること。
【解決手段】レジスト塗布装置1は、塗布液ノズル41と、基板Wの上方の空間の外側の区域である待機区域90に設けられ、液処理が行われない非処理時において、塗布液ノズル41を収容する待機バス50と、を備えている。待機バス50は、塗布液ノズル41を囲うように配置された絶縁部材51と、塗布液ノズル41の先端よりも下方に配置されると共に接地された導電部材52と、を有している。そして、図3に示されるように、絶縁部材51及び導電部材52を貫通するように、レジストを通過させる貫通孔THが形成されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液を吐出可能に構成された処理液吐出ノズルと、
前記基板の上方の空間の外側の区域である待機区域に設けられ、液処理が行われない非処理時において、前記処理液吐出ノズルを収容する待機バスと、を備え、
前記待機バスは、
前記処理液吐出ノズルが収容された状態において、前記処理液吐出ノズルを囲うように配置された絶縁部材と、
前記処理液吐出ノズルが収容された状態において、前記処理液吐出ノズルの先端よりも下方に配置されると共に接地された第1導電部材と、を有し、
前記絶縁部材及び前記第1導電部材を貫通するように、前記処理液吐出ノズルから吐出された処理液を通過させる貫通孔が形成されている、液処理装置。
【請求項2】
前記第1導電部材は、前記絶縁部材の直下に配置されており、
前記絶縁部材と前記第1導電部材との境界面は、前記処理液吐出ノズルが収容された状態において、前記処理液吐出ノズルの先端よりも下方に位置している、請求項1記載の液処理装置。
【請求項3】
前記貫通孔を構成している前記第1導電部材の内壁は、前記貫通孔を構成している前記絶縁部材の内壁よりも、前記処理液吐出ノズルから吐出された処理液の液柱に接近するように形成されている、請求項1又は2記載の液処理装置。
【請求項4】
前記絶縁部材の内壁の表層よりも内側に、接地された第2導電部材を更に備える、請求項1記載の液処理装置。
【請求項5】
前記貫通孔を囲う前記第1導電部材の内壁から前記貫通孔の内側に向かって延びる第3導電部材を更に備える、請求項1記載の液処理装置。
【請求項6】
前記第3導電部材は、前記第1導電部材における上端部に設けられている、請求項5記載の液処理装置。
【請求項7】
前記第3導電部材は、複数本設けられており、
複数の前記第3導電部材は、互いに離間して設けられている、請求項5又は6記載の液処理装置。
【請求項8】
前記処理液吐出ノズルに前記処理液を供給する処理液供給部と、
前記処理液吐出ノズルを移動させる移動機構と、
制御部と、を更に備え、
前記制御部は、
液処理前において、前記処理液吐出ノズルが待機バス内に収容されるように前記移動機構を制御する第1制御と、
前記第1制御後において、前記待機バスに収容された前記処理液吐出ノズルから前記処理液が吐出されるように前記処理液供給部を制御する第2制御と、
前記第2制御後において、前記処理液吐出ノズルが基板上に移動するように前記移動機構を制御する第3制御と、
前記第3制御後において、前記基板に対して前記処理液を吐出する液処理が実施されるように前記処理液供給部を制御する第4制御と、を実行するように構成されている、請求項1記載の液処理装置。
【請求項9】
液処理前において、処理液を吐出可能に構成された処理液吐出ノズルを、待機バス内に収容し、該待機バスの絶縁部材に囲われた位置且つ導電部材よりも上方の位置に配置する第1工程と、
前記第1工程後において、前記処理液吐出ノズルから前記処理液を吐出させ、前記絶縁部材及び前記導電部材を貫通するように形成された貫通孔に、吐出された前記処理液を通過させる第2工程と、
前記第2工程後において、前記処理液吐出ノズルを基板上に移動させる第3工程と、
前記第3工程後において、前記処理液吐出ノズルから前記処理液を吐出させ、前記基板に対して前記処理液を吐出する液処理を実施する第4工程と、を含む液処理方法。
【請求項10】
請求項9記載の液処理方法を装置に実行させるためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液処理装置、液処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板に薬液を吐出する前にノズルを基板外に移動し、基板外で数秒薬液を吐出してから、基板上にノズルを移動し薬液を吐出することで、帯電による基板上のパターンの損傷を防ぎ、半導体装置の製造歩留まりを向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-87326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、単に、上述した液処理前の吐出を行うだけでは、液吐出ライン内(供給管及びノズル内)の処理液を十分に除電することができていない場合がある。処理液が帯電していることによって、処理液が塗布された基板の膜厚にばらつきが生じてしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、基板に供給される処理液を適切に除電し、処理液が塗布された基板の膜厚にばらつきが生じることを抑制する液処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る液処理装置は、基板に対して処理液を吐出可能に構成された処理液吐出ノズルと、基板の上方の空間の外側の区域である待機区域に設けられ、液処理が行われない非処理時において、処理液吐出ノズルを収容する待機バスと、を備える。待機バスは、処理液吐出ノズルが収容された状態において、処理液吐出ノズルを囲うように配置された絶縁部材と、処理液吐出ノズルが収容された状態において、処理液吐出ノズルの先端よりも下方に配置されると共に接地された第1導電部材と、を有する。絶縁部材及び第1導電部材を貫通するように、処理液吐出ノズルから吐出された処理液を通過させる貫通孔が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基板に供給される処理液を適切に除電し、処理液が塗布された基板の膜厚にばらつきが生じることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るレジスト塗布装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示されるレジスト塗布装置に含まれる待機バスを模式的に示す図である。
図3】待機バスの収容部の縦断側面図である。
図4】変形例に係る待機バスの収容部の一部分の縦断面図である。
図5】変形例に係る待機バスの収容部の一部分の平面図である。
図6】変形例に係る待機バスの収容部の一部分の縦断面図である。
図7】変形例に係る待機バスの収容部の一部分の縦断面図である。
図8】制御部のハードウェア構成を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係るレジスト塗布装置1の概略構成を示す図である。レジスト塗布装置1は、基板Wに対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施す基板処理システムに含まれる装置(基板処理装置)である。処理対象の基板Wとしては、半導体ウエハ、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)等が挙げられる。基板Wは、半導体ウエハ等の上に、前段の処理において被膜等が形成されたものも含む。レジスト塗布装置1は、基板処理システムに含まれる露光装置(不図示)による露光処理の前に、基板Wの表面にレジスト膜を形成する処理を行う。より具体的には、レジスト塗布装置1は、レジスト膜形成用の塗布液を基板Wの表面に供給し、上記ベーク前レジスト膜を形成する。また、レジスト塗布装置1は、基板Wの表面にベーク前レジスト膜を形成した後に、基板Wの周縁部に除去液を供給することで、ベーク前レジスト膜の周縁部を除去する。
【0010】
レジスト塗布装置1は、図1に示されるように、塗布処理部1aと、ノズルユニット40と、待機バス50と、移動機構3と、制御部7と、を備えている。レジスト塗布装置1は、互いに隣り合って並んで配置される2つ以上の塗布処理部を備えていてもよいが、ここでは1つの塗布処理部1aのみを説明する。また、レジスト塗布装置1は、その他の構成として、除去液ノズル、除去液ノズル用待機バス、及び処理空間用カメラ等を備えていてもよいが、ここでは説明を省略する。
【0011】
塗布処理部1aは、図1に示されるように、基板Wの裏面中央部を吸着して水平に保持すると共に基板Wを回転させる回転保持部であるスピンチャック12aを備えている。スピンチャック12aは、回転軸13aを介して回転駆動機構14aと接続されている。スピンチャック12aは、回転駆動機構14aを介して基板Wを保持した状態で鉛直軸回りに回転自在に構成されており、その回転軸上に基板Wの中心が位置するように設定されている。回転駆動機構14aは、制御部7からの制御信号を受けてスピンチャック12aの回転速度を制御する。
【0012】
スピンチャック12aの周囲には、スピンチャック12a上の基板Wを囲むようにして上方側に開口部20aを備えたカップ21aが設けられている。カップ21aの側周面上端側は内側に傾斜した傾斜部22aを形成している。カップ21aの底部側には例えば凹部状をなす液受け部23aが設けられている。液受け部23aは、隔壁24aにより基板Wの周縁下方側に全周に亘って外側領域と内側領域とに区画されている。外側領域の底部には貯留したレジストなどを排出するための排液口25aが設けられ、内側領域の底部には処理雰囲気を排気するための排気口26a,26aが設けられている。
【0013】
排気口26a,26aには排気ダクト110の一端が接続されており、排気ダクト110の他端は、排気ダンパを介して工場の排気源(図1参照)に接続されている。このように、排気ダクト110は、カップ21aの排気口26aに接続されると共に排気源に接続されている。
【0014】
カップ21a内には、3本の昇降ピン15aが設けられている(図1では便宜上2本のみ表示している)。昇降ピン15aは、昇降機構16aにより昇降することで、レジスト塗布装置1に基板Wを搬送する図示しない基板搬送機構とスピンチャック12aとの間で基板Wの受け渡しを行うことができる。
【0015】
ノズルユニット40は、後述する移動機構3のノズルアームの先端部に取り付けられている。ノズルユニット40は、図1に示されるように、複数種類(例えば10種類)のレジストを基板Wに対して吐出可能に構成された複数の塗布液ノズル41(処理液吐出ノズル)を有する。また、ノズルユニット40は、基板W上でレジストを広がりやすくするシンナーを吐出可能に構成された処理液ノズル42を有する。塗布液ノズル41及び処理液ノズル42は、鉛直下方に開口した吐出口を有している。塗布液ノズル41及び処理液ノズル42から吐出された薬液は遠心力により基板Wの周縁部への展伸するいわゆるスピンコーティングによって基板Wの表面全体に塗布される。
【0016】
塗布液ノズル41及び処理液ノズル42は、図1に示されるように、薬液供給ユニット43(処理液供給部)から薬液の供給を受ける。薬液供給ユニット43は、塗布液ノズル41に供給する薬液が貯留されタンクと、タンク内を加圧して当該タンク内の薬液の塗布液ノズルへ送液するための送液機構と、を備えたレジスト供給機構44を有している。レジスト供給機構44は、塗布液ノズル41と同じ数だけ設けられている。また、薬液供給ユニット43は、処理液ノズル42に供給する薬液が貯留されたタンクと、タンク内を加圧して当該タンク内の薬液を処理液ノズル42へ送液するための送液機構と、を備えたシンナー供給機構6を有している。
【0017】
塗布液ノズル41とレジスト供給機構44とを接続すると共に、処理液ノズル42とシンナー供給機構6とを接続するように、薬液供給ライン45が設けられている。薬液供給ライン45には、バルブ46を含む流量制御部47が介設されている。制御部7からの制御信号に応じて各バルブ46が開閉制御されることにより、各種類のレジスト及びシンナーが切り替えられて基板Wに供給される。
【0018】
塗布液ノズル41及び処理液ノズル42の一次側には、ノズルヘッド34内において、吐出バルブV及びサックバックバルブSVが、吐出側からこの順に直列に設けられている。吐出バルブV及びサックバックバルブSVは、例えば空気圧を動力として動作 する。吐出バルブVは、空気圧により各薬液供給ライン45と各塗布液ノズル41及び処理液ノズル42との間にて流路の開閉を行う。サックバックバルブSVは、空気圧により動作するピストン機構により、容積及び薬液圧力を調整可能となっている。
【0019】
移動機構3は、ノズルユニット40を保持して移動させる構成である。移動機構3は、ノズルアームの先端においてノズルユニット40を保持している。移動機構3のノズルアームは、シリンダ・モータ等によって上下に昇降可能とされている。移動機構3のノズル駆動部は、例えばモータ等によって、ノズル移動軸に沿ってノズルアームを水平移動させる。移動機構3は、制御部7からの制御信号に応じてノズルユニット40を移動させる。
【0020】
待機バス50は、基板Wの上方の空間である処理空間の外側の区域である待機区域90に設けられている。待機バス50は、基板Wに対する液処理(基板Wに対してレジストを吐出する液処理)が行われない非処理時において、塗布液ノズル41を含むノズルユニット40を収容する。待機バス50においては、レジストの除電のために、塗布液ノズル41からレジストが吐出される(詳細は後述)。そのため、待機バス50の底部には、吐出されたレジスト等を排出するための排液口が設けられている。また、上述したレジストの除電のために、待機バス50の一部の構成は、接地(アース)されている(詳細は後述)。
【0021】
図2は、待機バス50の側面を模式的に示す図である。図2に示されるように、待機バス50は、複数の塗布液ノズル41のそれぞれに一対一で対応するように、複数の収容部500を有している。すなわち、各収容部500には、それぞれ1つの塗布液ノズル41が収容される。以下では、1つの収容部500の詳細な構成について、図3を参照して説明する。
【0022】
図3は、待機バス50の収容部500の縦断側面図である。なお、図3においては、収容部500の構成の内、レジストの除電に係る構成を図示しており、一部の構成を省略している。図3に示されるように、収容部500は、三層構造とされており、絶縁部材51(アッパー層)と、該絶縁部材の直下に配置された導電部材52(第1導電部材,ミドル層)と、導電部材52の直下に配置された支持部53(ローワー層)と、を有している。
【0023】
絶縁部材51は、収容部500に塗布液ノズル41が収容された状態において、塗布液ノズル41の先端41aを囲うように配置された絶縁性の部材である。絶縁部材51は、例えば、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、又はポリアセタール樹脂等の材料により構成されていてもよい。なお、待機バス50に塗布液ノズル41が収容された状態は、少なくとも塗布液ノズル41において塗布液が吐出される吐出口が収容部500の内部に位置している。本実施形態では、例えば、吐出口は塗布液ノズル31の先端41aに設けられている。
【0024】
絶縁部材51には、塗布液ノズル41の先端41aが挿入可能となるように、貫通孔THが形成されている。貫通孔THは、絶縁部材51だけでなく、導電部材52及び支持部53を貫通するように上下方向に延びており、塗布液ノズル41から吐出されたレジスタを通過させる。絶縁部材51に形成された貫通孔THは、絶縁部材51の上端部分から下端部分に向かうにつれて先細りのテーパ形状に形成されている。すなわち、貫通孔THを構成している絶縁部材51の内壁51xは、上端部分ほど貫通孔THの中央部分から離間しており、下端部分ほど貫通孔THの中央部分に近づいている。絶縁部材51の下端部分においては、塗布液ノズル41の先端41aが通過することができない程度に、貫通孔THの径が小さくされている。すなわち、貫通孔THに収容された塗布液ノズル41の先端41aは、少なくとも、絶縁部材51の下端部分よりも上方に配置される。
【0025】
導電部材52は、収容部500に塗布液ノズル41が収容された状態において、塗布液ノズル41の先端41aよりも下方に配置されると共に接地された導電性の部材である。導電部材52は、例えば、ステンレス鋼又はカーボン含有樹脂等の材料により構成されていてもよい。カーボン含有樹脂の樹脂母体は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン、又はポリテトラフルオロエチレン等であってもよい。
【0026】
上述したように、貫通孔THは、導電部材52を貫通するように延びている。貫通孔THを構成している導電部材52の内壁52xは、貫通孔THを構成している絶縁部材51の内壁51xよりも、塗布液ノズル41から吐出されるレジストの液柱LCに接近するように(すなわち貫通孔THの中央部分側に)形成されている。絶縁部材51と導電部材52との境界面BOは、収容部500に塗布液ノズル41が収容された状態において、塗布液ノズル41の先端41aよりも下方に位置している。
【0027】
このような構成によれば、塗布液ノズル41から吐出され貫通孔THを通過するレジストが、導電部材52の内壁52xの近傍を流れることとなる。この際、帯電しているレジストの電荷が、導電部材52を介してグランド側に逃がされることとなる。これによって、液処理前のレジストについて適切に除電することができる。
【0028】
支持部53は、導電部材52の直下に配置されており、絶縁部材51及び導電部材52を支持する構成である。支持部53は、絶縁部材51と同様の材料により構成されていてもよいし、導電部材52と同様の材料により構成されていてもよい。
【0029】
待機バスの収容部の構成(レジストの除電に係る構成)は、上記に限定されない。以下では、図4図7を参照して、変形例に係る待機バスの収容部の構成について説明する。
【0030】
図4は、変形例に係る待機バスの収容部500Aの一部分の縦断面図である。図4においては、支持部53の図示を省略している。収容部500Aは、上述した収容部500に含まれる構成に加えて、導電部材60(第3導電部材)を有している。導電部材60は、貫通孔THを囲う導電部材52に架け渡されるように延びる棒状の部材である。換言すると、導電部材60は、導電部材52の内壁から貫通孔THの内側に向かって延びるように設けられている。導電部材60は、導電部材52における上端部(絶縁部材51との境界部分)に設けられている。導電部材60は、貫通孔THの全面を覆うことなく、少なくとも貫通孔THをレジストが通過できる程度に貫通孔THの領域を空けた状態で、導電部材52に架け渡されている。このような導電部材60が設けられることにより、貫通孔THにおけるレジストの通過面においてレジストと導電部材60が接する構成とすることができる。これにより、レジストの電荷が導電部材60によっても除電されることとなり、レジストをより好適に除電することができる。
【0031】
図5は、変形例に係る待機バスの収容部500Bの一部分の平面図である。図5においては、絶縁部材51の図示を省略している。収容部500Bは、収容部500Aと同様に、貫通孔THを囲う導電部材52に架け渡されるように延びる棒状の導電部材(導電部材160,第3導電部材)を有している。収容部500Bでは、図5に示されるように、導電部材160が複数本設けられている。複数の導電部材160は、互いに離間して設けられている。貫通孔THにおけるレジストの通過面に複数の導電部材160が設けられることにより、仮にレジストの通過領域がずれた場合においても、レジストと導電部材160とが接触しやすい構成とすることができる。また、複数の導電部材160が互いに離間しているので、貫通孔THにおける開口率を維持して、貫通孔THにおいてレジストが滞留してしまうことを抑制することができる。なお、複数の導電部材160は、それぞれが同じ方向に延びる態様に限定されず、例えば平面視した際に互いに交差するように(十字状になるように)延びていてもよい。
【0032】
図6は、変形例に係る待機バスの収容部500Cの一部分の縦断面図である。図6においては、絶縁部材51及び支持部53の図示を省略している。また、図6においては、導電部材52の形状を簡略化して示している。収容部500Cは、上述した収容部500に含まれる構成に加えて、一対の導電部材260,260を有している。一方の導電部材260は、貫通孔THを囲う導電部材52の内壁52xから、下方且つ貫通孔THの中央部に向けて延びている。他方の導電部材260は、内壁52xにおける一方の導電部材260の基端部分に対向する部分から、下方且つ貫通孔THの中央部に向けて延びている。そして、一対の導電部材260,260は、互いの先端部分(下端部分)において接している。このように、一対の導電部材260,260は、内壁52xから貫通孔THの中央部に向かって延び、縦断面図でみると、V字型に形成されている。このようなV字型の導電部材260,260によれば、レジストと導電部材260とが接触する箇所を塗布液ノズル41から離間させて、レジストが塗布液ノズル41に付着することを効果的に抑制できる。また、V字型の導電部材260,260によれば、導電部材260に接触したレジストを下方に誘導しやすくなるので、貫通孔THにおいてレジストが滞留してしまうことを効果的に抑制することができる。
【0033】
図7は、変形例に係る待機バスの収容部500Dの一部分の縦断面図である。図7に示されるように、収容部500Dでは、収容部500等と異なり、導電部材が層構成とされておらず、代わりに、貫通孔THに沿って形成された筒状の導電部材が設けられている。具体的には、収容部500Dは、導電部材として、導電部材152(第1導電部材)と、導電部材70(第2導電部材)と、を備えている。導電部材152及び導電部材70は、接地されている。
【0034】
導電部材152は、塗布液ノズル41の先端よりも下方に配置されている。導電部材152は、絶縁部材51の下部において、貫通孔THを囲うように上下方向に延びた筒状の導電部材である。
【0035】
導電部材70は、絶縁部材51の上壁の内側において上壁に沿って延びた部分と、絶縁部材51の内壁の内側において貫通孔THを囲うように上下方向に延びた筒状の部分とを有している。このように、導電部材70は、絶縁部材51の内部に設けられている。導電部材70が外部に露出していないことにより、導電部材70自体の溶出成分による汚染が抑制されると共に、導電部材70によって引き寄せたレジストが塗布液ノズル41等に付着することが抑制される。
【0036】
図1に戻り、制御部7は、レジスト塗布装置1の各構成を制御する。制御部7は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。図8に示されるように、制御部7は回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194と、入力デバイス195と、表示デバイス196とを含む。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ193はレジスト塗布装置1の液処理方法を制御部7に実行させるためのプログラムを記憶している。
【0037】
メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に応じて各構成との間で電気信号の入出力を行う。入力デバイス195及び表示デバイス196は、制御部7のユーザインタフェースとして機能する。入力デバイス195は、例えばキーボード等であり、ユーザによる入力情報を取得する。表示デバイス196は、例えば液晶モニタ等を含み、ユーザに対する情報表示に用いられる。入力デバイス195及び表示デバイス196は、所謂タッチパネルとして一体化されていてもよい。
【0038】
制御部7は、以下の第1制御と、第2制御と、第3制御と、第4制御と、を実行するように構成されている。なお、収容部として収容部500を例示するが、収容部500A,500B,500C,500Dであってもよい。第1制御では、制御部7は、液処理前において、塗布液ノズル41が待機バス50の収容部500内に収容されるように、移動機構3を制御する。第2制御では、制御部7は、第1制御後において、待機バス50の収容部500に収容された塗布液ノズル41からレジストが吐出されるように、薬液供給ユニット43を制御する。
【0039】
第3制御では、制御部7は、第2制御後において、塗布液ノズル41が基板W上に移動するように移動機構3を制御する。第4制御では、制御部7は、第3制御後において、基板Wに対してレジストを吐出する液処理が実施されるように薬液供給ユニット43を制御する。このような構成によれば、液処理前において、上述した除電の処理を適切に行うことができる。
【0040】
このような第1制御~第4制御が実施されることにより、以下の第1工程~第4工程を含む液処理方法が実施される。なお、第1工程~第4工程については、必ずしも制御部7の制御(上記第1制御~第4制御)に応じて実施されなくてもよい。
【0041】
第1工程では、液処理前において、塗布液ノズル41を待機バス50の収容部500内に収容し、塗布液ノズル41を、待機バス50の絶縁部材51に囲われた位置且つ導電部材52よりも上方の位置に配置する。第1工程後の第2工程では、塗布液ノズル41からレジストを吐出させ、絶縁部材51及び導電部材52を貫通するように形成された貫通孔THに、吐出されたレジストを通過させる。
【0042】
第2工程後の第3工程では、塗布液ノズル41を基板W上に移動させる。第3工程後の第4工程では、塗布液ノズル41からレジストを吐出させ、基板Wに対してレジストを吐出する液処理を実施する。
【0043】
次に、本実施形態に係るレジスト塗布装置1の作用効果について説明する。
【0044】
[E1]
本実施形態に係るレジスト塗布装置1は、塗布液ノズル41と、基板Wの上方の空間の外側の区域である待機区域90に設けられ、液処理が行われない非処理時において、塗布液ノズル41を収容する待機バス50と、を備えている。待機バス50は、塗布液ノズル41を囲うように配置された絶縁部材51と、塗布液ノズル41の先端よりも下方に配置されると共に接地された導電部材52と、を有している。そして、図3に示されるように、絶縁部材51及び導電部材52を貫通するように、レジストを通過させる貫通孔THが形成されている。
【0045】
本実施形態に係るレジスト塗布装置1の待機バス50では、塗布液ノズル41が収容された状態において塗布液ノズル41を囲う絶縁部材51が設けられると共に、塗布液ノズル41の先端41aよりも下方に、接地された導電部材52が設けられている。そして、待機バス50では、絶縁部材51及び導電部材52を貫通する貫通孔THが、塗布液ノズル41から吐出されたレジストを通過させるように形成されている。このような構成によれば、塗布液ノズル41から吐出され貫通孔THを通過するレジストが、導電部材52の内壁51xの近傍を流れることとなる。この際、帯電しているレジストの電荷が、導電部材52を介してグランド側に逃がされることとなるので、レジストを適切に除電することができる。すなわち、本実施形態に係るレジスト塗布装置1の待機バス50によれば、液柱及び導電部材52を介して、液吐出ライン内のレジストを適切に除電し、レジストが塗布された基板Wの膜厚にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0046】
[E2]
図3に示されるように、レジスト塗布装置1は、導電部材52は、絶縁部材51の直下に配置されていてもよい。そして、絶縁部材51と導電部材52との境界面BOは、塗布液ノズル41の先端41aよりも下方に位置していてもよい。このような構成によれば、導電部材52がレジストの電荷を引き寄せた場合においても、レジストが、塗布液ノズル41やその近傍の絶縁部材51の内壁51xに付着することを抑制することができる。
【0047】
[E3]
図3に示されるように、レジスト塗布装置1は、導電部材52の内壁52xは、絶縁部材51の内壁51xよりも、レジストの液柱LCに接近するように形成されている、[E1]又は[E2]に記載の装置であってもよい。このような構成によれば、レジストの液柱LCの電荷をより好適に導電部材52に引き寄せることができる。
【0048】
[E4]
図7に示されるように、レジスト塗布装置1は、絶縁部材51の内壁の表層よりも内側に、接地された導電部材70を更に備えている、[E1]~[E3]のいずれか一項に記載の装置であってもよい。このような構成によれば、絶縁部材51の内壁の内側に設けられた導電部材70によっても、レジストを除電することができる。すなわち、レジストをより適切に除電することができる。
【0049】
[E5]
図4に示されるように、レジスト塗布装置1は、貫通孔THを囲う導電部材52の内壁から貫通孔THの内側に向かって延びる導電部材60を更に備えている、[E1]~[E4]のいずれか一項に記載の装置であってもよい。このような構成によれば、貫通孔THにおけるレジストの通過面においてレジストの電荷を導電部材60に引き寄せることができ、より好適にレジストを除電することができる。
【0050】
[E6]
図4に示されるように、レジスト塗布装置1は、導電部材60が、導電部材52における上端部に設けられている、[E5]に記載の装置であってもよい。レジストについては、塗布液ノズル41に近い位置(すなわち上部)ほど、その形状が柱状で安定している。このため、導電部材60が導電部材52における上端部に設けられることにより、レジストの状態が安定した箇所でレジストと導電部材60とを接触させることができ、より好適にレジストを除電することができる。
【0051】
[E7]
図5に示されるように、導電部材52に架け渡される導電部材160は、複数本設けられており、複数の導電部材160は、互いに離間して設けられていてもよい。このような構成によれば、仮にレジストの通過領域がずれた場合においてもレジストと導電部材160とが接触しやすい構成とすることができる。また、複数の導電部材160が互いに離間していることにより、貫通孔THにおける開口率を維持して、レジストが貫通孔THを通過せずに滞留してしまうことを適切に抑制することができる。
【0052】
以上、本実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。例えば、液処理装置としてレジスト塗布装置1を説明したが、これに限定されない。例えば、液処理装置は、その他の液処理装置(例えば現像処理装置)であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…レジスト塗布装置(液処理装置)、3…移動機構、7…制御部、41…塗布液ノズル(処理液吐出ノズル)、41a…先端、43…薬液供給ユニット(処理液供給部)、50…待機バス、51…絶縁部材、51x…内壁、52,152…導電部材(第1導電部材)、52x…内壁、60,160…導電部材(第3導電部材)、70…導電部材(第2導電部材)、90…待機区域、BO…境界面、LC…液柱、TH…貫通孔、W…基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8