IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

特開2023-15765プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法
<>
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図1
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図2
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図3
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図4
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図5
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図6
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図7
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図8
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図9
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図10
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図11
  • 特開-プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015765
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230125BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20230125BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/302 101L
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119726
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠人
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB21
2G084BB30
2G084CC04
2G084CC05
2G084CC09
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD23
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084DD55
2G084DD64
2G084FF15
2G084FF32
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB12
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB30
5F004CA06
(57)【要約】
【課題】上部電極アセンブリを構成する電極プレートの温調を効果的に行う。
【解決手段】プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、前記基板支持部内に配置される下部電極と、前記基板支持部の上方に配置され、少なくとも1つの冷媒入口及び少なくとも1つの冷媒出口を有し、RF電位又はDC電位に接続される導電性部材と、上部電極アセンブリと、を備え、前記上部電極アセンブリは、前記導電性部材の下面に着脱可能に接続され、前記少なくとも1つの冷媒入口及び前記少なくとも1つの冷媒出口と連通する1又は複数の冷媒流路を有する導電性プレートと、前記導電性プレートの下方に配置される電極プレートと、前記電極プレートと前記導電性プレートとの間に配置される導電性接合シートと、を有する、プラズマ処理装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部内に配置される下部電極と、
前記基板支持部の上方に配置され、少なくとも1つの冷媒入口及び少なくとも1つの冷媒出口を有し、RF電位又はDC電位に接続される導電性部材と、上部電極アセンブリと、を備え、
前記上部電極アセンブリは、
前記導電性部材の下面に着脱可能に接続され、前記少なくとも1つの冷媒入口及び前記少なくとも1つの冷媒出口と連通する1又は複数の冷媒流路を有する導電性プレートと、
前記導電性プレートの下方に配置される電極プレートと、
前記電極プレートと前記導電性プレートとの間に配置される導電性接合シートと、を有する、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記導電性接合シートは、400℃~1000℃の融点を有する第1導電性材料で形成される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記第1導電性材料は金属を有する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1導電性材料はAl-Si合金、Al-Mg合金又はAl-Si-Mg合金を有する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記導電性プレートと前記電極プレートとの間の線膨張係数差は2ppm/℃以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記導電性部材は第2導電性材料で形成され、
前記導電性プレートは前記第2導電性材料とは異なる第3導電性材料で形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第3導電性材料はMo又は金属基複合材料を有する、請求項6に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記第2導電性材料はAlを有する、請求項6又は7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記電極プレートはSi又はSiCで形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリであって、
前記プラズマ処理装置に着脱可能に接続され、1又は複数の冷媒流路を有する導電性プレートと、
プラズマ暴露面を有する電極プレートと、
前記電極プレートと前記導電性プレートとの間に配置される導電性接合シートと、を備える上部電極アセンブリ。
【請求項11】
前記導電性接合シートは、400℃~1000℃の融点を有する第1導電性材料で形成される、請求項10に記載の上部電極アセンブリ。
【請求項12】
前記第1導電性材料は金属を有する、請求項11に記載の上部電極アセンブリ。
【請求項13】
前記第1導電性材料はAl-Si合金、Al-Mg合金又はAl-Si-Mg合金を有する、請求項11に記載の上部電極アセンブリ。
【請求項14】
前記導電性プレートと前記電極プレートとの間の線膨張係数差は2ppm/℃以下である、請求項10~13のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリ。
【請求項15】
前記導電性プレートはMo又は金属基複合材料で形成される、請求項10~14のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリ。
【請求項16】
前記電極プレートはSi又はSiCで形成される、請求項10~15のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリ。
【請求項17】
プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリの製造方法であって、
電極プレート及び導電性プレートを提供する工程と、
前記電極プレートと前記導電性プレートとの間に導電性接合シートを挟む工程と、
ホットプレス又はHIP(Hot Isostatic Pressing)により前記導電性接合シートを介して前記電極プレートと前記導電性プレートとを接合する工程と、を有する、上部電極アセンブリの製造方法。
【請求項18】
前記電極プレートと前記導電性プレートとを接合する工程は、400℃~1000℃の接合温度で行われる、請求項17に記載の上部電極アセンブリの製造方法。
【請求項19】
前記導電性接合シートはAl-Si合金、Al-Mg合金又はAl-Si-Mg合金を有する、請求項17又は18に記載の上部電極アセンブリの製造方法。
【請求項20】
前記導電性プレートはMo又は金属基複合材料で形成される、請求項17~19のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリの製造方法。
【請求項21】
前記電極プレートはSi又はSiCで形成される、請求項17~20のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリの製造方法。
【請求項22】
プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリの再生方法であって、
上部電極アセンブリを提供する工程であり、前記上部電極アセンブリは、導電性プレートと、第1の電極プレートと、前記導電性プレートと前記第1の電極プレートとを接合する第1の導電性接合シートとを含む、工程と、
前記上部電極アセンブリから前記第1の電極プレートを除去する工程と、
前記上部電極アセンブリから前記第1の導電性接合シートを除去する工程と、
前記上部電極アセンブリに含まれる前記導電性プレートと第2の電極プレートとの間に第2の導電性接合シートを挟む工程と、
ホットプレス又はHIP(Hot Isostatic Pressing)により前記第2の導電性接合シートを介して前記第2の電極プレートと前記導電性プレートとを接合する工程と、を有する、上部電極アセンブリの再生方法。
【請求項23】
前記第2の電極プレートと前記導電性プレートとを接合する工程は、400℃~1000℃の接合温度で行われる、請求項22に記載の上部電極アセンブリの再生方法。
【請求項24】
前記第2の導電性接合シートはAl-Si合金、Al-Mg合金又はAl-Si-Mg合金を有する、請求項22又は23に記載の上部電極アセンブリの再生方法。
【請求項25】
前記導電性プレートはMo又は金属基複合材料で形成される、請求項22~24のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリの再生方法。
【請求項26】
前記第2の電極プレートはSi又はSiCで形成される、請求項22~25のいずれか一項に記載の上部電極アセンブリの再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマ処理装置、プラズマ処理装置で使用する上部電極アセンブリ、上部電極アセンブリの製造方法、及び、上部電極アセンブリの再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プラズマ処理装置における、複合シャワーヘッド電極アセンブリの構成が開示されている。特許文献1では複合シャワーヘッド電極アセンブリを構成する複数の部材のうち、電極板とバッキング板との間に例えばシリコーンで形成される界面ゲルを配し、導電性を担保しつつ電極板の温度制御を行っている。
【0003】
また、特許文献2には、プラズマ処理装置の上部電極構造が開示されている。特許文献2に係る上部電極構造では、プラズマ処理空間に面する第1のプレートの温度制御を、その上方に位置する第2のプレートに冷媒用の流路を形成することで行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2012-500471号公報
【特許文献2】特開2015-216261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示にかかる技術は、処理チャンバへの入熱が増えた場合に、部材の接合に伴う熱抵抗を低減し上部電極アセンブリを構成する電極プレートの温調を効果的に行う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、プラズマ処理チャンバと、前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、前記基板支持部内に配置される下部電極と、前記基板支持部の上方に配置され、少なくとも1つの冷媒入口及び少なくとも1つの冷媒出口を有し、RF電位又はDC電位に接続される導電性部材と、上部電極アセンブリと、を備え、前記上部電極アセンブリは、前記導電性部材の下面に着脱可能に接続され、前記少なくとも1つの冷媒入口及び前記少なくとも1つの冷媒出口と連通する1又は複数の冷媒流路を有する導電性プレートと、前記導電性プレートの下方に配置される電極プレートと、前記電極プレートと前記導電性プレートとの間に配置される導電性接合シートと、を有する、プラズマ処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、処理チャンバへの入熱が増えた場合に、部材の接合に伴う熱抵抗を低減し上部電極アセンブリを構成する電極プレートの温調を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】プラズマ処理システムの構成を模式的に示す説明図である。
図2】上部電極アセンブリの一部を拡大して示す説明図である。
図3】導電性プレートに導電性コート層を形成した場合の概略説明図である。
図4】上部電極アセンブリの製造方法を示すフロー図である。
図5】上部電極アセンブリの再生方法を示すフロー図である。
図6】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
図7】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
図8】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
図9】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
図10】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
図11】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
図12】冷媒流路の具体的な形状の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
半導体デバイスの製造工程では、チャンバ中に供給された処理ガスを励起させてプラズマを生成することで、基板支持部に支持された半導体基板(以下、単に「基板」という。)に対して、エッチング処理、成膜処理、拡散処理などの各種プラズマ処理が行われる。これらプラズマ処理は、例えばチャンバ天部の一部を構成する上部電極アセンブリを備える、容量結合型(CCP:Capacitively Coupled Plasma)のプラズマ処理装置を用いて行われる。
【0010】
ここで、近年の半導体デバイスの製造プロセスにおいては、基板表面に形成されるパターンの微細化の要求に伴い、プラズマ処理装置において、RF(Radio Frequency)電源を高出力とし、例えば深堀のエッチング処理を行うことが求められている。しかしながら、深堀のエッチング処理では、エッチング時間の短縮やイオン直進性を向上させるといった観点から、更なるRF出力の増加が求められ、それに伴うチャンバへの入熱が問題となる。
【0011】
チャンバへの入熱が過大となると、温度上昇によるエッチング副産物等の付着状況の変化や、チャンバ構造部材の熱による破損などが懸念される。このため、基板に対するプラズマ処理結果を均一に制御することや、チャンバ構造部材の破損を防止するといった観点から、プラズマ入熱に伴うチャンバの冷却性能向上が求められている。
【0012】
上述した特許文献1には、チャンバを構成する複合シャワーヘッド電極アセンブリ(上部電極アセンブリ)において、プラズマ暴露面に位置する電極板を界面ゲルを介して取り付け、密着性と熱伝導性の向上が図られている。また、上述した特許文献2では、上部電極構造における第1のプレートと第2のプレートとの間の吸着を静電吸着方式によって行い、密着性と熱伝導性の向上を図っている。
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に記載の界面ゲルは例えばシリコーンで形成され、熱伝導率が低く熱抵抗が高いため、プラズマ入熱が過大となった場合には更なる熱伝導率の向上を図ることが求められる。また、界面ゲルがシリコーンで形成される場合、シリコーンは体積抵抗が高く、電極プレートとの電気接点を別に設ける必要があるといった課題がある。シリコーンにフィラー添加することで熱伝導率を改善することもできるが、密着性が悪化するため界面熱抵抗が増加し現実的ではない。また、上記特許文献2に記載の静電吸着方式を採用したとしても、チャンバへの入熱が過大である場合には熱抵抗低減効果が不十分であり、更なる改善の余地がある。
【0014】
本開示に係る技術は上記事情に鑑みてなされたものであり、チャンバへの入熱が過大となった場合であっても、上部電極アセンブリを構成する電極プレートの温調を従来に比べ効果的に行うことが可能な技術を提供するものである。以下、一実施形態にかかるプラズマ処理システム、及び本実施形態にかかるエッチング方法を含むプラズマ処理方法ついて、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
<プラズマ処理システム>
先ず、本実施形態にかかるプラズマ処理システムについて説明する。図1は本実施形態にかかるプラズマ処理システムの構成の概略を示す縦断面図である。
【0016】
プラズマ処理システムは、容量結合型のプラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、上部電極アセンブリ13を含む。上部電極アセンブリ13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、上部電極アセンブリ13は、プラズマ処理チャンバ10の天部を構成する導電性部材10b(ceiling)に取り付けられる。プラズマ処理チャンバ10の内部には、上部電極アセンブリ13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sが形成される。プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間10sからガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。側壁10aは接地される。上部電極アセンブリ13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10とは電気的に絶縁される。
【0017】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111の上面は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域111a(基板支持面)と、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111b(リング支持面)とを有する。環状領域111bは、平面視で中央領域111aを囲んでいる。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含み、1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。
【0018】
一実施形態において本体部111は、基台113及び静電チャック114を含む。基台113は導電性部材を含む。基台113の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャック114は、基台113の上面に配置される。静電チャック114の上面は前述の中央領域111a及び環状領域111bを有する。
【0019】
また、図示は省略するが、基板支持部11は、リングアセンブリ112、静電チャック114及び基板Wのうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と静電チャック114の上面との間に伝熱ガス(バックサイドガス)を供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0020】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介して上部電極アセンブリ13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する1又はそれ以上の流量変調デバイスを含んでもよい。
【0021】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材(下部電極)及び/又は上部電極アセンブリ13の導電性部材(上部電極)に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ処理チャンバ10において1又はそれ以上の処理ガスからプラズマを生成するように構成されるプラズマ生成部の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0022】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して下部電極及び/又は上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~160MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、下部電極及び/又は上部電極に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0023】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のバイアスDC信号は、下部電極に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック114内の吸着用電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、上部電極に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a、32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0024】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10sの内部圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0025】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0026】
<上部電極アセンブリ>
次に、上述した上部電極アセンブリ13、及び当該上部電極アセンブリ13に付随するプラズマ処理装置1の構成要素について、図2を用いて説明する。図2は、上部電極アセンブリ13の一部を拡大して示す説明図である。
【0027】
図2に示すように、一実施形態において上部電極アセンブリ13は、基板支持部11の上方に配置される導電性部材10bの下面に取り付けられ、電極プレート120と導電性プレート130を含む。導電性部材10bは、プラズマ処理チャンバ10の天部を構成してもよく、プラズマ処理チャンバ10の天部に取り付けられてもよい。電極プレート120と導電性プレート130は、導電性接合シート140を介して垂直方向に積層されている。換言すれば、上部電極アセンブリ13は、下から電極プレート120、導電性接合シート140、導電性プレート130の順に積層されている。即ち、電極プレート120は、導電性プレート130の下方に配置されている。
【0028】
導電性部材10bは例えばAl(アルミニウム)等の導電性材料(第2導電性材料)で形成される。電極プレート120は例えばSi、SiCで形成され、その下面はプラズマ処理空間10sに露出している。即ち、電極プレート120は、プラズマ処理空間10sにおいて生成されるプラズマに暴露されるプラズマ暴露面を有する。電極プレート120はプラズマ処理における上部電極として機能する。電極プレート120には、厚み方向(垂直方向)に貫通して複数のガス導入口13aが形成されている。ガス導入口13aは、導電性部材10bの内部に形成されたガス拡散空間13b及びガス供給口13cを介してガス供給部20に接続されており、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに導入するように構成される。
【0029】
導電性部材10bは、電極プレート120、導電性接合シート140、導電性プレート130を含む上部電極アセンブリ13をその脱着面137において脱着自在(脱着可能)に支持する導電性支持体として機能する。上部電極アセンブリ13は、固定ユニットにより導電性部材10bに固定される。固定ユニットには、例えば特開2016-18768号公報や特開2016-18769号公報に記載の吊り上げ式、例えばUS2009/0095424A1に記載のねじ止め式、例えばUS2021/0032752A1に記載の接着式のような種々の手法が適用され得る。
【0030】
導電性部材10bの内部には少なくとも1つのガス拡散空間13bと、少なくとも1つのガス供給口13cが形成されている。ガス拡散空間13b及びガス供給口13cはガス供給部20に接続されており、上述したように、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスを電極プレート120に形成されたガス導入口13aを介してプラズマ処理空間10sに導入するように構成される。
【0031】
導電性プレート130は、プラズマ入熱に起因して温度が変動する電極プレート120をターゲット温度に調節するように構成される少なくとも1つの冷媒流路131を内部に有している。冷媒流路131には、導電性部材10bを挿通し、その上部の流路入口133と流路出口134を介し装置外部のチラー(図示せず)との間で循環するブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、導電性部材10bは、上面及び下面を有する。導電性部材10bは、その上面に少なくとも1つの冷媒入口133及び少なくとも1つの冷媒出口134を有する。導電性部材10bは、少なくとも1つの冷媒入口133から導電性部材10bの下面まで貫通する少なくとも1つの第1の冷媒流路を有する。導電性部材10bは、その下面から少なくとも1つの冷媒出口134まで貫通する少なくとも1つの第2の冷媒流路を有する。そして、導電性プレート130は、少なくとも1つの第1の冷媒流路を介して少なくとも1つの冷媒入口133と連通し、少なくとも1つの第2の冷媒流路を介して少なくとも1つの冷媒出口134と連通する1又は複数の冷媒流路131を有する。なお、冷媒流路131の具体的な形状については図6図12を参照して後述する。また、導電性部材10bは、RF電位又はDC電位に接続される。一実施形態において、導電性部材10bは、RF電源31又はDC電源32に接続され。
【0032】
一実施形態において、導電性プレート130は、大きな押し付け力を付与することが可能な、靭性の高い導電性材料(第3導電性材料)で形成される。導電性部材10bに固着させる際に、ねじトルクなどの応力が加わる場合があるためである。一実施形態において、導電性プレート130は、Mo(モリブデン)又はMMC(Metal Matrix Composites)と呼ばれる金属基複合材料で形成される。
【0033】
一実施形態において、導電性プレート130はAl-Si、AlN、SiCといった高抵抗材料で形成される。その場合、導電性プレート130に導電性コート層139が形成される。図3は導電性プレート130に導電性コート層139を形成した場合の概略説明図である。図3に示すように、導電性コート層139は、導電性部材10bと導電性接合シート140とを電気的に挿通させるように形成されれば良く、例えば、導電性プレート130の下面及び側面全面と上面の一部を覆うように形成されても良い。導電性コート層139は例えばアルミニウム等の導電性材料で形成される。
【0034】
一実施形態において、導電性接合シート140は、400℃~1000℃の融点を有する、いわゆる金属ロウと呼ばれる金属で形成される。一実施形態において、導電性接合シート140は、Al-Si合金、Al-Mg合金、Al-Si-Mg合金で形成される。導電性接合シート140による導電性プレート130と電極プレート120との接合は例えばホットプレス又はHIP(Hot Isostatic Pressing)と呼ばれるガス圧による加圧処理により行われる。従って、電極プレート120は、他の固定手段を伴うことなく導電性接合シート140を介して導電性プレート130に接合される。
【0035】
電極プレート120は例えばSi、SiC電極である。即ち、電極プレート120は、Si又はSiCで形成される。例えばプラズマを用いたエッチング処理では、電極プレート120はプラズマ暴露面となるため使用に伴う経時的な剥離や劣化、エッチング副産物の付着などに伴い適宜、再生、交換が必要となる。また、当然、プラズマ処理開始時においても、新たな電極プレート120を用意する必要がある。この電極プレート120を含む上部電極アセンブリ13の製造方法、再生方法については図4、5を参照して後述する。
【0036】
一実施形態において、導電性プレート130と電極プレート120との間の線膨張係数差は2ppm/℃以下である。導電性接合シート140を接合層として導電性プレート130と電極プレート120を接合するに際し、導電性プレート130と電極プレート120との接合不良やスクラッチ等によるパーティクルの発生を抑えるためである。両者の線膨張係数差が2ppm/℃を超えると、導電性接合シート140の接合温度(溶融温度、Al-Si系ロウであれば550℃)を起点とし、常温までの線膨張差に応じた熱応力が接合界面に働き、破損してしまう恐れがある。また、電極プレート120に比べ導電性接合シート140の厚みは小さく構成される。
【0037】
<プラズマ処理装置による基板の処理方法>
次に、以上のように構成されたプラズマ処理装置1における基板Wの処理方法の一例について説明する。なお、プラズマ処理装置1においては、基板Wに対して、エッチング処理、成膜処理、拡散処理などの各種プラズマ処理が行われる。
【0038】
先ず、プラズマ処理チャンバ10の内部に基板Wが搬入され、基板支持部11の静電チャック114上に基板Wが載置される。次に、静電チャック114の吸着用電極に電圧が印加され、これにより、静電力によって基板Wが静電チャック114に吸着保持される。
【0039】
静電チャック114に基板Wが吸着保持されると、次に、プラズマ処理チャンバ10の内部が所定の真空度まで減圧される。次に、ガス供給部20から上部電極アセンブリ13を介してプラズマ処理空間10sに処理ガスが供給される。また、第1のRF生成部31aからプラズマ生成用のソースRF電力が下部電極に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、第2のRF生成部31bからバイアスRF電力が供給されてもよい。そして、プラズマ処理空間10sにおいて、生成されたプラズマの作用によって、基板Wにプラズマ処理が施される。
【0040】
ここで、基板Wのプラズマ処理に際しては、プラズマ処理空間10sに隣接して配置された上部電極アセンブリ13の電極プレート120が、プラズマ入熱により温度変動する。そして、このように電極プレート120に温度変動が生じた場合、基板Wに対するプラズマ処理結果が面内不均一になるおそれがある。
【0041】
そこで本実施形態においては、導電性プレート130に内包された冷媒流路131による電極プレート120の温度制御を行う。具体的には、例えばプラズマ入熱により電極プレート120の温度が上昇した際に冷媒流路131の内部に伝熱流体を通流させることで導電性プレート130の温度を低下させる。これにより電極プレート120から導電性プレート130への伝熱を促進して電極プレート120の温度を低下させる。
【0042】
ここで本実施形態にかかる上部電極アセンブリ13においては、電極プレート120、導電性接合シート140、導電性プレート130をこの順に積層し、いわゆる金属ロウと呼ばれる金属接合によって電極プレート120と導電性プレート130を接合している。このため本実施形態においては、電極プレート120と導電性プレート130の積層方向である垂直方向への伝熱が促進され、電極プレート120の温度制御を効果的に行うことができる。
【0043】
プラズマ処理を終了する際には、第1のRF生成部31aからのソースRF電力の供給及びガス供給部20からの処理ガスの供給が停止される。プラズマ処理中にバイアスRF電力を供給していた場合には、当該バイアスRF電力の供給も停止される。
【0044】
次いで、静電チャック114による基板Wの吸着保持が停止され、プラズマ処理後の基板W、及び静電チャック114の除電が行われる。その後、基板Wを静電チャック114から脱着し、プラズマ処理装置1から基板Wを搬出する。こうして一連のプラズマ処理が終了する。
【0045】
<上部電極アセンブリの製造方法ならびに再生方法>
図4は上述した上部電極アセンブリ13の製造方法を示すフロー図であり、図5は上部電極アセンブリ13の再生方法を示すフロー図である。
【0046】
図4に示すように、本実施形態に係る上部電極アセンブリ13の製造方法は以下のように行われる。先ず、工程S11に示すように、電極プレート120及び導電性プレート130が提供される。そして、工程S12に示すように、電極プレート120と導電性プレート130との間に導電性接合シート140を挟む。この状態で工程S13に示すように、ホットプレスあるいはHIP(Hot Isostatic Pressing)といった手段により導電性接合シート140を溶融させ、電極プレート120と導電性プレート130とを金属接合させる。このようにして上部電極アセンブリ13が製造される。
【0047】
また、図5に示すように、本実施形態に係る上部電極アセンブリ13の再生方法は以下のように行われる。先ず、工程S21に示すように、使用済みの上部電極アセンブリ13が回収される。そして回収された上部電極アセンブリ13において、導電性プレート130の破損確認が行われ、破損していない場合に、以降の工程が実施される。即ち、工程S22に示すように、回収された上部電極アセンブリ13において残存する使用済みの電極プレート120(ここでは第1の電極プレートとする)が除去される。電極プレート120の除去は研削による機械加工又は導電性接合シート140への加熱による剥離によって行われても良い。
【0048】
そして、工程S23に示すように、残存する使用済みの導電性接合シート140(ここでは第1の導電性接合シートとする)が除去される。導電性接合シート140の除去はブラスト加工によって行われても良い。ここで、導電性プレート130に導電性コート層139を形成していた場合には、導電性コート層139の除去も併せて行っても良い。
【0049】
次いで、工程S24に示すように、新しい電極プレート120(ここでは第2の電極プレートとする)と、新しい導電性接合シート140(ここでは第2の導電性接合シートとする)が用意される。そして、既存の導電性プレート130と第2の電極プレート120との間に第2の導電性接合シート140を挟む。そして、工程S25に示すように、ホットプレスあるいはHIPといった手段により第2の導電性接合シート140を溶融させ、第2の電極プレート120と既存の導電性プレート130とを金属接合させる。このようにして、既存の導電性プレート130を用い、新たな電極プレート120(第2の電極プレート)を備えた上部電極アセンブリ13が完成する。
【0050】
<冷媒流路の形状>
上述したように、本実施形態に係る上部電極アセンブリ13を構成する導電性プレート130は、プラズマ入熱に起因して温度が変動する電極プレート120をターゲット温度に調節するように構成される少なくとも1つの冷媒流路131を内部に有している。冷媒流路131の形状や構成は電極プレート120のプラズマ暴露面に要求される温度分布に応じて任意に設計できる。以下にその一例を説明する。
【0051】
図6図12は冷媒流路131の具体的な形状の一例を示す説明図である。図6図12(a)は流路を平面視で見た図であり、図12(b)は図12(a)のA-A断面で見た際の流路の一部拡大図である。なお、図6図12には、冷媒流路131の始点(S)と終点(G)を図示している。
【0052】
冷媒流路131は、例えば図6に示すように始点と終点がほぼ同じ位置である一筆書き形状を有しても良い。また、図7に示すように、始点と終点が異なる位置である一筆書き形状を有しても良い。また、図8、9に示すように、始点と終点がそれぞれ複数あるような同心円状の複数流路で構成されても良い。また、図10に示すように、所定の幾何学的な形状を有する複数流路を設けた構成でも良い。また、図11に示すように、放射状の流路でも良い。
【0053】
また、図12に示すように、噴出流方式の微細な流路を複数形成し、それぞれの流路において冷媒の流れ(図12(b)矢印参照)を作り出し温調を行っても良い。
【0054】
<本開示の技術の作用効果>
以上の実施形態では、上部電極アセンブリ13において電極プレート120と導電性プレート130との接合を、例えば金属接合である導電性接合シート140を用いた接合方法によって行っている。これにより、接合に伴う界面の熱抵抗を大幅に低減することが可能となり、電極プレート120の温調を効果的に行うことができる。また、電極プレート120と導電性プレート130との接合を金属接合とすることで、両者の間の電気的接点を得ることが可能となる。
【0055】
また、以上の実施形態では、上部電極アセンブリ13は電極プレート120、導電性接合シート140、導電性プレート130から構成され、導電性部材10bは上部電極アセンブリ13を脱着面137において脱着自在に支持している。これにより、プラズマ処理時に電極プレート120の経時的な剥離や劣化、エッチング副産物の付着などに伴い再生、交換が必要になった場合であっても、既存の導電性プレート130を再利用し、且つ、容易に電極プレート120の再生、交換を行うことができる。
【0056】
また、以上の実施形態に係る上部電極アセンブリ13においては、導電性プレート130の内部に冷媒流路131を有した構成を採っている。これにより、例えば導電性部材10bの内部に冷媒流路を有していたような従前の構成に比べ、電極プレート120の温調を効果的に行うことができる。加えて、冷媒流路131を脱着自在な導電性プレート130の内部に設けているため、冷媒流路131の形状を電極プレート120のプラズマ暴露面に要求される温度分布に応じて部材を脱着させるといった簡単な方法で変更することが可能である。
【0057】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 プラズマ処理装置
10 プラズマ処理チャンバ
10b 導電性部材
10s プラズマ処理空間
13 上部電極アセンブリ
120 電極プレート
130 導電性プレート
131 冷媒流路
133 冷媒入口
134 冷媒出口
140 導電性接合シート
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12