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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158021
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】無水塩化スカンジウムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 17/271 20200101AFI20231019BHJP
   C22B 3/10 20060101ALI20231019BHJP
   C22B 59/00 20060101ALI20231019BHJP
   C22B 3/04 20060101ALI20231019BHJP
   C22B 34/12 20060101ALI20231019BHJP
   C22B 5/12 20060101ALI20231019BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20231019BHJP
   C22B 3/26 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
C01F17/271
C22B3/10
C22B59/00
C22B3/04
C22B34/12 101
C22B5/12
C22B3/44 101Z
C22B3/44 101A
C22B3/26
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137435
(22)【出願日】2023-08-25
(62)【分割の表示】P 2020064932の分割
【原出願日】2020-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502362758
【氏名又は名称】JX金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 宏太
(57)【要約】
【課題】不純物を含有する酸化スカンジウムから不純物をある程度低減することができる塩化スカンジウムの製造方法を提供する。
【解決手段】不純物を含有する酸化スカンジウムから、塩化スカンジウムを製造する方法であって、酸化スカンジウムを塩酸で浸出させ、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を用いて得られる晶析前液を冷却し、当該晶析前液から塩化スカンジウムを結晶化させる晶析工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含有する酸化スカンジウムから、塩化スカンジウムを製造する方法であって、
酸化スカンジウムを塩酸で浸出させ、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を用いて得られる晶析前液を冷却し、当該晶析前液から塩化スカンジウムを結晶化させる晶析工程とを含む、塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項2】
前記浸出工程で、浸出後液中の塩酸とスカンジウムとのモル比が、HCl/Sc≧3.5になるようにする、請求項1に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項3】
前記晶析前液の遊離塩酸濃度が、0.5mоl/L以上である、請求項1又は2に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項4】
前記晶析工程で、前記晶析前液を0℃~20℃に冷却する、請求項1~3のいずれか一項に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項5】
前記浸出工程後であって前記晶析工程前に、前記浸出後液のスカンジウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度を高める濃縮工程をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項6】
前記晶析工程前に、前記晶析前液に、塩酸もしくは塩化水素を添加するHCl添加工程をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項7】
前記酸化スカンジウムとして、
スカンジウムを含む原料を浸出させる原料浸出工程と、前記原料浸出工程で得られる浸出後液を中和して不純物を沈殿除去する中和工程と、前記中和工程で得られる中和後液に対して溶媒抽出法により抽出及び逆抽出する溶媒抽出工程と、前記溶媒抽出工程で得られたSc(OH)3を塩酸により浸出する浸出工程と、その浸出後液にシュウ酸を添加してシュウ酸スカンジウムを得るシュウ酸沈殿工程と、前記シュウ酸スカンジウムをか焼するか焼工程とを経て得られる酸化スカンジウムを用いる、請求項1~6のいずれか一項に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項8】
前記スカンジウムを含む原料が、還元剤の存在下でのチタン鉱石と塩素ガスとの反応により四塩化チタンとともに生成される副生物である、請求項7に記載の塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項9】
塩化スカンジウムの水和物から水和水を除去し、無水塩化スカンジウムを製造する方法であって、
前記塩化スカンジウムの水和物を粉状の塩化アンモニウムと混合し、混合物を得る混合工程と、前記混合物を70℃~120℃の温度に加熱し、前記塩化アンモニウムの粒子表面に、溶融した塩化スカンジウムを付着させ、その後、335℃~500℃の温度まで昇温する乾燥工程を含む、無水塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項10】
前記乾燥工程で、少なくとも、塩化スカンジウムが溶融した後の昇温の期間中に、不活性ガスを流す、請求項9に記載の無水塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項11】
前記乾燥工程で、温度を段階的に上昇させて加熱する、請求項9又は10に記載の無水塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の塩化スカンジウムの製造方法により製造された塩化スカンジウムが水和水を有し、
当該塩化スカンジウムを、前記塩化スカンジウムの水和物とする、請求項9~11のいずれか一項に記載の無水塩化スカンジウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書は、塩化スカンジウムの製造方法及び、無水塩化スカンジウムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レアメタルの一つであるスカンジウムは、チタン鉱石等に含まれることがある。
特許文献1及び2には、「チタン鉱石からチタンとスカンジウムを抽出する方法」として、「(1)鉱石からスカンジウムを抽出する方法であって、(a)チタン鉱石を800~1250℃の流動床塩素化炉に供給して、塩化チタンから成る蒸気相と固体状残渣とを得;(b)前記固体状残渣からスカンジウムを回収することにより、チタン鉱石中に存在する極めて低レベルのスカンジウムを残渣中で濃縮して、チタン鉱石からのスカンジウムの回収を経済的に可能にすることを特徴とする方法」が記載されている。
【0003】
これに関連して、特許文献3には、「少なくともスカンジウム、チタン、ジルコニウムを含む水性原液を準備する工程と、前記水性原液に酸又はアルカリを混合してpHを1.0~2.0の範囲に調整することにより、スカンジウムを液相に含み、チタン及びジルコニウムを固相に含む、スカンジウム含有水性懸濁液を得る工程とを備えるスカンジウムの分離方法」が開示されている。
【0004】
ところで、チタン鉱石その他の原料から回収されるスカンジウムは、酸化スカンジウム(Sc23)の形態となっていることがある。かかる酸化スカンジウムは、その後のスカンジウムの用途等に応じて、塩化スカンジウム(ScCl3)にすることが必要になる場合がある。
【0005】
非特許文献1には、酸化スカンジウムから塩化スカンジウムを生成することについて、次のような記載がある。すなわち、酸化スカンジウムを塩酸に溶解させた後、水酸化アンモニウムを添加し、それにより得られた溶液について湿潤固体が得られるまで水を沸騰させて水を揮発除去したと記載されている。また、当該湿潤固体を真空引きしながら室温で一晩乾燥させ、真空引きしながら150℃に加熱し、この温度で3時間保持した後、これを300℃に加熱し、この温度で4時間維持した後、昇温して500℃で30分間加熱し、塩化アンモニウムを昇華させ、さらに850℃に加熱したとの記載もある。そして、これにより無水塩化スカンジウム(III)の白色結晶が昇華したとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3-115534号公報
【特許文献2】米国特許第5049363号明細書
【特許文献3】国際公開第2016/031699号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Robert W. Stotz et al.,“Preparation and mechanism of formation of anhydrous scandium (III) chloride and bromide”, Inorganic Chemistry, American Chemical Society, July 1, 1972, Vol. 11, No.7, p. 1720-1721
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
酸化スカンジウムから塩化スカンジウムを製造するに当り、非特許文献1に記載されているように、酸化スカンジウムを塩酸に溶解させた溶液を水酸化アンモニウム等で中和した後に蒸発乾固を行う方法では、酸化スカンジウムに含まれていた不純物が除去されずに、塩化スカンジウムにも含まれる。それ故に、この方法では、不純物が多い酸化スカンジウムを原料とした場合、不純物が少ない塩化スカンジウムを得ることができなかった。
【0009】
また、蒸発乾固後に得られる塩化スカンジウムの水和物と塩化アンモニウムの混合物を、非特許文献1のように300℃等といった高温に急速に加熱すると、加水分解によりScOClが生成されるので、無水塩化スカンジウムの収率が低下する。
【0010】
この明細書では、一の目的として、塩化スカンジウムの不純物をある程度低減することができる塩化スカンジウムの製造方法及び、無水塩化スカンジウムの製造方法を提供する。また、他の目的として、比較的高い収率で塩化スカンジウムを製造することができる塩化スカンジウムの製造方法及び、無水塩化スカンジウムの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この明細書で開示する塩化スカンジウムの製造方法は、不純物を含有する酸化スカンジウムから、塩化スカンジウムを製造する方法であって、酸化スカンジウムを塩酸で浸出させ、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を用いて得られる晶析前液を冷却し、当該晶析前液から塩化スカンジウムを結晶化させる晶析工程とを含むものである。
【0012】
この明細書で開示する無水塩化スカンジウムの製造方法は、塩化スカンジウムの水和物から水和水を除去し、無水塩化スカンジウムを製造する方法であって、前記塩化スカンジウムの水和物を粉状の塩化アンモニウムと混合し、混合物を得る混合工程と、前記混合物を70℃~120℃の温度に加熱し、前記塩化アンモニウムの粒子表面に、溶融した塩化スカンジウムを付着させ、その後、335℃~500℃の温度まで昇温する乾燥工程を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
上述した塩化スカンジウムの製造方法及び、無水塩化スカンジウムの製造方法によれば、塩化スカンジウムの不純物をある程度低減することができ、及び/又は、比較的高い収率で塩化スカンジウムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一の実施形態に係る塩化スカンジウムの製造方法及び無水塩化スカンジウムの製造方法を含むプロセスの一例を示すフロー図である。
図2】酸化スカンジウムを得るためのプロセスの一例を示すフロー図である。
図3】試験例2で用いた乾燥試験装置を示す模式図である。
図4】試験例2で用いた他の乾燥試験装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一の実施形態に係る塩化スカンジウムの製造方法は、不純物を含有する酸化スカンジウムから塩化スカンジウムを製造するため、酸化スカンジウム(Sc23)を塩酸で浸出させ、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を用いて得られる晶析前液を冷却し、当該晶析前液から塩化スカンジウムを結晶化させる晶析工程とを含む。晶析工程で生成する塩化スカンジウムは、多くの場合、塩化スカンジウム六水和物(ScCl3・6H2O)である。
【0016】
また、一の実施形態に係る無水塩化スカンジウムの製造方法は、塩化スカンジウムの水和物を粉状の塩化アンモニウムと混合し、混合物を得る混合工程と、前記混合物を70℃~120℃の温度に加熱し、前記塩化アンモニウムの粒子表面に、溶融した塩化スカンジウムを付着させ、その後、335℃~500℃の温度まで昇温する乾燥工程を含む。乾燥工程を経ることにより、塩化スカンジウムの水和物から水和水が除去されて、無水塩化スカンジウム(ScCl3)が製造される。
【0017】
上述した塩化スカンジウムの製造方法及び、無水塩化スカンジウムの製造方法は、たとえば図1に示すようなプロセスで用いられることがある。図1のプロセスは、塩化スカンジウムの製造方法の実施形態における浸出工程及び晶析工程を行って製造された塩化スカンジウム六水和物(ScCl3・6H2O)を、無水塩化スカンジウムの製造方法の実施形態における乾燥工程で用いて、無水塩化スカンジウムを製造するものである。これに限定されるものではないが、ここでは、図1に示すプロセスに従って説明する。
【0018】
(浸出工程)
浸出工程では、不純物を含有する酸化スカンジウムを塩酸で浸出させる。ここでは、反応式:Sc23+6HCl→2Sc3++6Cl-+3H2Oに基づいて、酸化スカンジウムが溶解し、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む浸出後液が得られる。
【0019】
なお、酸化スカンジウムには、イットリウム、セリウム、チタン、トリウム、ウラン、ジルコニウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも一種の不純物を合計、たとえば0.1質量%~3質量%で含むことがある。この実施形態では、このような不純物を含む酸化スカンジウムを対象とし、かかる不純物が低減された塩化スカンジウムを製造することができる。浸出工程で用いることができる酸化スカンジウムの詳細については後述する。
【0020】
上記の反応式より、塩酸と前記酸化スカンジウム中のスカンジウムとのモル比がHCl/Sc=3の関係を満たす量の塩酸を用いることで、理論上、すべての酸化スカンジウムを浸出させることができる。濃塩酸を用いてHCl/Sc=3の条件で浸出しようとしても、全量を浸出する事が出来ず、Sc23の溶け残りが発生してしまうおそれがある。従って、HCl/Sc≧3.5で浸出する事が好ましい。また、後述する晶析工程で用いる晶析前液中の遊離塩酸を多くして溶解度を有効に低下させるため、浸出工程では、それよりも多い量、具体的にはHCl/Sc≧3.5の関係を満たす量の塩酸を用いて、酸化スカンジウムを浸出させることができる。一方、塩酸が多すぎると、浸出後液のスカンジウム濃度を十分に上げられず、冷却によって晶析させようとしても結晶が得られないことが懸念される。それ故に、当該モル比は、HCl/Sc≦5.5とすることが好ましい。
【0021】
多くの場合、塩酸に酸化スカンジウムを添加することにより浸出を行う。浸出前の塩酸の濃度は35%以上が好ましい。これによって、浸出後液のスカンジウム濃度を高くすることが出来る。なお浸出の後、浸出後液のpHは、たとえばpH0未満となる。浸出時は、たとえば液温を90℃とし、必要に応じて攪拌することができる。浸出には、揮発した塩酸を濃縮して戻すための還流設備を用いることが好適である。
【0022】
浸出後液は、スカンジウムイオン濃度が、たとえば100g/L~150g/Lである場合がある。また、塩化物イオン濃度が、たとえば350g/L~450g/Lである場合がある。また、上述したような酸化スカンジウム中の不純物も浸出した結果として、浸出後液は、Zr、Ti及びThからなる群から選択される少なくとも一種の不純物イオンを、たとえば0.5g/L~2.0g/Lの濃度で含むことがある。
【0023】
(濃縮工程)
浸出工程で得られる浸出後液は、必要に応じて、そのスカンジウムイオン濃度及び塩化物イオン濃度を高める濃縮工程を行うことができる。これにより濃縮後液が得られる。晶析工程に先立って、このように浸出後液を濃縮して濃縮後液としておくことにより、後工程の晶析工程において、晶析可能な塩化スカンジウムの量を増やすことが出来る。但し、濃縮工程は省略することもある。
【0024】
濃縮工程では、浸出後液を、好ましくは90℃~130℃の温度に加熱し、濃縮倍率が所定の値になるまで濃縮する。このときの加熱温度が低すぎる場合は、濃縮に時間が掛かり、濃縮装置が大型化するおそれがある。一方、加熱温度が高すぎると、局所的に塩化スカンジウムの加水分解温度を超えてしまい、ScOClが発生することが懸念される。また、濃縮倍率が低いとスカンジウム濃度が十分に上がらず、晶析工程における塩化スカンジウムの晶析量が減少し、スカンジウムの収率が低下する。なお、このような加熱濃縮に限らず、減圧濃縮でもよい。
【0025】
濃縮工程の後、浸出後液が濃縮されて得られる濃縮後液は、スカンジウムイオン濃度が、好ましくは150g/L~220g/Lであり、塩化物イオン濃度が、好ましくは450g/L~600g/Lである。
濃縮工程を行った場合、濃縮後液は、後述する晶析工程に供する晶析前液になる。一方、濃縮工程を行わなかった場合は、浸出後液が晶析前液になる。
【0026】
(HCl添加工程)
たとえば晶析前液の遊離塩酸濃度が比較的低い場合その他の必要な場合には、後述する晶析工程に先立って、晶析前液(濃縮工程を行った場合は濃縮後液又は、濃縮工程を行わなかった場合は浸出後液)に、塩酸もしくは塩化水素を添加するHCl添加工程を行うことがある。
【0027】
HCl添加工程は、多くの場合、晶析前液の遊離塩酸濃度を高くして塩化スカンジウムの溶解度を低下させ、後述の晶析工程で塩化スカンジウムを結晶化させやすくすることを目的とする。それ故に、たとえば浸出工程で、先述したように過剰な量の塩酸を用いてHCl/Scのモル比が既に大きくなっていた場合等は、HCl添加工程を省略することがある。
【0028】
HCl添加工程では、具体的には、晶析前液に、液体の塩酸を混合させること、及び/又は、気体の塩化水素を吹き込むこと等により、HClを添加することができる。
【0029】
(晶析工程)
晶析工程では、晶析前液(濃縮工程を行った場合は濃縮後液もしくは、濃縮工程を行わなかった場合は浸出後液)、又は、HCl添加工程を行った場合はHCl調整後の当該晶析前液を冷却する。それにより、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む上記の晶析前液から、塩化スカンジウムを結晶化させて取り出すことができる。
【0030】
ここで、晶析前液の遊離塩酸濃度が高いと、晶析前液中の塩化スカンジウムの溶解度が低下する。その理由は、共通イオン効果によるものである。そして、この実施形態では、先述したように浸出工程で過剰な量の塩酸を用いたこと、及び/又は、HCl添加工程を行ったことにより、晶析前液の遊離塩酸濃度が高くなっている。このことは、晶析工程で塩化スカンジウムを容易に結晶化させることができるので望ましい。
【0031】
より詳細には、晶析前液の遊離塩酸濃度は、0.5mоl/L以上であることが好ましい。但し、晶析前液の遊離塩酸濃度が高くなるに従って、塩化スカンジウムの溶解度が低下する割合が減少していくので、当該溶解度を下げる効果が低くなる。この観点から、晶析前液の遊離塩酸濃度は、好ましくは8mоl/L以下である。
晶析前液の遊離塩酸濃度は次のようにして測定することができる。サンプルを適当な濃度に希釈して塩素濃度滴定を硝酸銀溶液によって行い、その濃度をA(mol/L)とする。また、ICPによってスカンジウム濃度を測定し、その濃度をB(mol/L)とする。A-B×3を遊離塩酸濃度とする。
【0032】
また、晶析前液のスカンジウムイオン濃度は、好ましくは150g/L~220g/Lであり、塩化物イオン濃度が、好ましくは450g/L~600g/Lである。晶析前液には、先述した不純物イオンが、たとえば0.5g/L~2.0g/Lで含まれ得る。晶析前液の温度は、晶析を防止する為に60℃以上で保持する事が好ましい。
【0033】
晶析工程では、上述したような晶析前液を、0℃~20℃に冷却することが好適である。これにより、塩化スカンジウムを有効に晶析させることができる。冷却温度が高すぎる場合は、塩化スカンジウムの結晶化が十分に進まないことが懸念される。冷却温度が低すぎる場合は、不純物も結晶として晶析し始めてしまい品位が低下する事が懸念される。また、温度によっては全量が凝固してしまい、固液分離が出来なくなる。
【0034】
一方、晶析前液に含まれていた不純物の多くは、晶析工程を経た後に晶析後液に溶解したまま残留する。したがって、晶析工程後に固液分離を行うことで、それらの不純物を塩化スカンジウムから分離させることができる。その結果、この実施形態では、不純物が低減された塩化スカンジウムを製造することができる。
【0035】
晶析工程で得られる塩化スカンジウムは、多くの場合、水和水を有するものであり、典型的には、塩化スカンジウム六水和物である。当該塩化スカンジウムには、たとえば、トリウム、ウラン、セリウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも一種の元素が含まれる場合があるが、その含有量は合計、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.002質量%以下に低減されていることがある。
【0036】
なお、晶析後液には、スカンジウムイオンが、たとえば90g/L~160g/Lで残っていることがある。晶析後液中のスカンジウムイオンを回収するため、晶析後液は、図1に示すように、必要に応じて中和等の不純物除去工程を経た後に、浸出工程後の浸出後液に混合させてもよい。
【0037】
(混合工程)
無水塩化スカンジウムを製造するには、塩化スカンジウムの水和物から水和水を除去する。但し、塩化スカンジウムの水和物を単純に加熱しても、加水分解によりScOClが生成されて、無水塩化スカンジウムが十分に得られず、その収率が低下する。これに対し、この実施形態では、塩化スカンジウムの水和物を塩化アンモニウムと混合して、混合物を得る混合工程と、その混合物を所定の条件の下で加熱する乾燥工程とを行う。
【0038】
混合工程で用いる塩化スカンジウムの水和物としては、図1に示すように、上述した晶析工程で得られた水和水を有する塩化スカンジウムを用いることができる他、別途準備した水和水を有する塩化スカンジウムを用いることもできる。
【0039】
混合工程では、上述したような塩化スカンジウムの水和物を、粉状の塩化アンモニウムと混合する。このとき、塩化スカンジウムの水和物と塩化アンモニウムとが、質量比で1:1.2~1:2.4の関係を満たすように混合することが好ましい。塩化スカンジウムの水和物に対して塩化アンモニウムが多すぎる場合は、製造に必要な塩化アンモニウムのコストが増大し、経済的が損なわれる可能性が懸念される。一方、塩化スカンジウムの水和物に対して塩化アンモニウムが少なすぎる場合は、加水分解によりScOClが生成されて、無水塩化スカンジウムが十分に得られず、その収率が低下するおそれがある。
【0040】
混合工程では、塩化スカンジウムの水和物と塩化アンモニウムとを混合するには、たとえば、容器回転型(V型、二重円錐型、ロッキング型等)、固定容器型(リボン型、遊星型、振動ミル型等)、流体運動型(流動層型、スタティックミキサー型等)等を用いることができる。
【0041】
(乾燥工程)
乾燥工程は、塩化スカンジウムの水和物から水和水を除去し、それにより無水塩化スカンジウムを製造するために行われる。
【0042】
ここでは、はじめに、上記の混合物を70℃~100℃の温度に加熱することにより、塩化スカンジウムを溶融させ、その溶融状態の塩化スカンジウムを粉状の塩化アンモニウムの粒子表面に付着させる。その後、335℃~500℃の温度まで昇温させ、塩化アンモニウムを揮発により除去すると、それとともに水和水も除去される。そして、冷却すると、無水塩化スカンジウムの固体が得られる。その結果として、加水分解によるScOClの生成を抑えながら、無水塩化スカンジウムを有効に製造することができる。
【0043】
はじめの加熱温度を70℃よりも低い温度とすれば、塩化スカンジウムがあまり溶融せず、塩化アンモニウムの粒子表面に付着しない。一方、100℃よりも高くすると、その際に塩化スカンジウムから水和水が外れて、加水分解によりScOClが生成され得る。したがって、この加熱温度は70℃~100℃とする。
このとき、上述した温度を15分以上にわたって維持することが好ましい。これにより、塩化スカンジウムを十分に溶融させることができる。
【0044】
その後の最終的な加熱温度は、335℃~500℃の範囲、好ましくは400℃~500℃とし、この温度を30分以上にわたって維持することが好適である。最終的な加熱温度を335℃未満にすると、塩化アンモニウムが十分に揮発しない。これに対し、500℃よりも高くすると、塩化スカンジウムの脱水反応に寄与しない不要な熱を掛ける事となり、経済性が損なわれる。
【0045】
このようにして温度を段階的に上昇させて加熱をすることで、ScOClの生成をより一層有効に抑制することができる。
【0046】
なお、上述したところでは、はじめの加熱と最終的な加熱とのそれぞれで所定の時間維持する二段階の加熱としたが、はじめの加熱の後かつ最終的な加熱の前にそれらの間の所定の温度に所定の時間維持する三段階以上の加熱としてもよい。具体的には、はじめの加熱の後、150℃~200℃の温度に15分~30分の間維持し、その後、最終的な加熱温度まで昇温することができる。たとえば、塩化スカンジウム六水和物は、100℃~150℃の温度で1.5水和物になることがあり、200℃の温度で最も多く水分を発生させ得る。特に水和水が外れる温度域は比較的ゆっくりと通過させることで、加水分解を抑制する効果がさらに得られやすくなると考えられる。このような点を考慮し、昇温パターンは適宜設定することができる。
【0047】
乾燥工程では、少なくとも、塩化スカンジウムが溶融した後の昇温の期間中は、窒素ガス等の不活性ガスを流しながら混合物を加熱することが好ましい。これにより、加熱中に塩化スカンジウムが酸素と反応して酸化スカンジウムになってしまうことを防止する。また、揮発した水分を系内から除去する必要があるが、ガスを流すことによって系内からの水分の除去が促進される。これによって、無水塩化スカンジウムの収率をより一層高める事が出来る。昇温の全期間にわたって、不活性ガスを流すこととしてもよい。不活性ガスの流量は、各種の条件にもよるが、0.5L/min~1.0L/minとすることが好ましいことがある。不活性ガスの流量が少ないと、揮発した水分が系内から除去されず、ScOClが生成する可能性が高くなる場合があり、また多いと生成した無水塩化スカンジウムが気流に乗ってロスする可能性が高くなる懸念がある。
【0048】
上述したような乾燥工程を経て得られる無水塩化スカンジウムは、ScOClの含有量が、5質量%以下、さらに1質量%以下であることが好ましい。
【0049】
(酸化スカンジウム)
先に述べた浸出工程で用いる酸化スカンジウムとしては、これに限らないが、たとえば、図2に示すように、スカンジウムを含む原料に対し、原料浸出工程、中和工程、溶媒抽出工程、浸出工程、シュウ酸沈殿工程、か焼工程を順次に行って得られるものとすることができる。
【0050】
ここで、スカンジウムを含む原料は、チタン鉱石から四塩化チタンを生成させる際に副生物として生成されるものとすることができる。四塩化チタンを生成するには、たとえば塩化炉等の反応炉の内部に、チタン鉱石及び、コークス等の還元剤を装入するとともに、下方側から塩素ガスを供給し、当該内部に流動床を形成しながら、還元剤の存在下でチタン鉱石中の酸化チタンと塩素ガスとを反応させる。これにより生成した四塩化チタンを含む気体は次工程の冷却システムに送られ、そこで冷却されて液体状の四塩化チタンが得られる。
【0051】
このとき、チタン以外の元素等も上記の気体に不純物として含まれて、四塩化チタンとともに冷却システムに送られる。かかる不純物としては、鉄、スカンジウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、アルミニウム、シリコン、トリウム等があり、その一部は塩化物になっていることがある。なお、この不純物には、未反応のチタン鉱石やコークスも含まれ得る。当該不純物は冷却システムで冷却されて、固体として回収される。この固体を、ここでは副生物といい、これを上記のスカンジウムを含む原料とすることができる。但し、スカンジウムを含む原料は、このようにして得られたものに限らない。
【0052】
副生物には、たとえば、スカンジウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム等を含むことがある。四塩化チタンの生成に用いられる上述したチタン鉱石は、採掘された鉱石に対して浮遊選鉱(浮選)、磁力選鉱(磁選)、比重選鉱等を行って、そのチタン品位を高めたチタン精鉱とする場合がある。副生物になる物質は、そのようなチタン精鉱を得る途中で微細な粒子としてチタン精鉱に付着して混入することがある。副生物は、スラリーの形態であってもよく、又は乾燥粒子の形態であってもよい。副生物は、上述したスカンジウムを含む原料として用いる前に、高温であれば空冷もしくは水冷等により冷却してもよく、またFeCl2等の水溶性の不純物を除去するべく水洗してもよい。また、副生物は、篩別等の乾式又は湿式の分級がなされた結果、粒径が10μm~55μm程度に調整されたものであってもよい。
【0053】
原料浸出工程では、酸性溶液を用いて、上述したスカンジウムを含む原料からスカンジウムを浸出させることができる。スカンジウムを有効に分離させて浸出させるため、当該酸性溶液のpHは浸出終了時に、好ましくは0.3~0.9、より好ましくは0.3~0.7の範囲になるように調整する。ここで「浸出終了時」とは、一時間あたりの浸出量(重量基準)の増加率が10%以下になった時点を意味する。また、浸出時にHClや、NaOH(或いは後述する中和工程でpH調整のために使用する物質)を添加して、pHを調整してもよい。酸性溶液は、強酸、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、臭素酸、これらの混合物等とすることができる。浸出時の温度は、好ましくは60~90℃、より好ましくは80℃~90℃とし、パルプ濃度は、たとえば100g/L~600g/L、典型的には200g/L~500g/Lとすることができる。浸出工程後は、濾過などの固液分離を行う。
【0054】
中和工程では、原料浸出工程で得られた浸出後液に、アルカリを添加してpHを調整する。これにより、スカンジウム以外の元素を沈殿させることができる。中和工程では、pHを1.3~2.5、さらに1.8~2.3にすることが好ましい。中和工程では、pH調整剤として、NaOH、Na2CO3、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、LiOH、Li2CO3、KOH、K2CO3、Mg(OH)2、MgCO3等を用いることができる。浸出工程と中和工程とは同じ槽で行うことができる。中和工程の後、固液分離を行い、沈殿物を除去する。
【0055】
溶媒抽出工程では、上記の中和工程で得られる中和後液に対し、D2EHPA(Bis(2-ethylhexyl)phosphate)及びTBPの混合溶媒等を用いて、スカンジウムイオンを油相に移す。その後、スカンジウムイオンを含む油相に対して、HClやNaCl、H2SO4等によるスクラビングを行い、NaOHを添加して、スカンジウムイオンの逆抽出を行う。これにより、Sc(OH)3が得られる。
【0056】
か焼工程に先立って、上記のSc(OH)3を塩酸で浸出する浸出工程、その浸出後液にシュウ酸を添加して、シュウ酸スカンジウムとするシュウ酸沈殿工程を行う。その後、か焼工程では、シュウ酸スカンジウムに対してか焼を行う。これにより、酸化スカンジウム(Sc23)が得られる。
【実施例0057】
次に、上述したような塩化スカンジウムの製造方法、無水塩化スカンジウムの製造方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、この説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
【0058】
(試験例1)
表1に示すように、不純物としてY、Ce、Ti、Th及びUを含有するSc23原料(A)もしくは(B)を、濃度が35%の塩酸に浸出させて、浸出後液を得た。浸出時のHCl/Scのモル比は4/1であった。この浸出後液に対して濃縮を行い、晶析前液を作製した。晶析前液の遊離塩酸濃度は0.8mоl/L、スカンジウム濃度は4.0mоl/Lであった。この晶析前液を15℃に冷却し、表1に示す組成の晶析物を得た。その後、水洗をした後の晶析物の組成も表1に示している。
【0059】
【表1】
【0060】
表1より、晶析により得られたScCl3は、どちらも不純物の多くが分離されて除去されていることが解かる。
【0061】
(試験例2)
比較例として次の試験を行った。非特許文献1に記載の方法に則り、Sc23:5gに1:1 HCl:140mlを添加して還溜を行いながら浸出し、浸出後液を得た。浸出後液にアンモニア水を45ml添加して過剰塩酸を中和し、得られた溶液を湿潤固体(乾固残渣)が得られるまで蒸発乾固させた。得られた乾固残渣を、図3に示す装置で、不活性ガス(窒素ガス)を流しながら加熱し、表2に示す温度条件にて昇温させた。この加熱により得られた固体の生成物について、ScCl3とScOClの二種類のみが含まれるものとみなして、重量変化からScCl3の割合を算出した。その結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
表2に示すように、いずれの比較1~4でも、ScCl3の収率が比較的低くなった。比較1と比較2とを比較すると、ゆっくりと昇温する事で、ScCl3の割合がやや増大するが、それでも収率が低かった。また、比較2~4を比較すると、不活性ガスの流量を増やすことによっても、ScCl3の割合が少し増大する。
【0064】
実施例として次の試験を行った。ScCl3・6H2OをNH4Clと、表3に示す割合で混合した。この混合物を、図3に示す装置(装置1)、もしくは図4に示す装置(装置2)で、不活性ガス(窒素ガス)を流しながら加熱し、表3に示す温度条件にて昇温させた。これにより得られた固体の生成物について、ScCl3とScOClの二種類のみが含まれるものとみなして、重量変化からScCl3の割合を算出した。その結果も表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
表3に示すように、いずれの条件1~7でも高い収率となった。特に条件2~7では、ScCl3の収率がさらに高くなった。条件1とその他の条件を比較すると、石英管内に水分が凝縮しないようにすると、ScCl3の割合が増大した。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化スカンジウムの水和物から水和水を除去し、無水塩化スカンジウムを製造する方法であって、
前記塩化スカンジウムの水和物を粉状の塩化アンモニウムと混合し、混合物を得る混合工程と、前記混合物を70℃~120℃の温度に加熱し、前記塩化アンモニウムの粒子表面に、溶融した塩化スカンジウムを付着させ、その後、335℃~500℃の温度まで昇温する乾燥工程を含む、無水塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項2】
前記乾燥工程で、少なくとも、塩化スカンジウムが溶融した後の昇温の期間中に、不活性ガスを流す、請求項に記載の無水塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項3】
前記乾燥工程で、温度を段階的に上昇させて加熱する、請求項又はに記載の無水塩化スカンジウムの製造方法。
【請求項4】
不純物を含有する酸化スカンジウムを塩酸で浸出させ、スカンジウムイオン及び塩化物イオンを含む浸出後液を得る浸出工程と、前記浸出後液を用いて得られる晶析前液を冷却し、当該晶析前液から塩化スカンジウムを結晶化させる晶析工程とを含む塩化スカンジウムの製造方法により製造された塩化スカンジウムが水和水を有し、
当該塩化スカンジウムを、前記塩化スカンジウムの水和物とする、請求項のいずれか一項に記載の無水塩化スカンジウムの製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
この明細書は、無水塩化スカンジウムの製造方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
この明細書では、一の目的として、塩化スカンジウムの不純物をある程度低減することができる無水塩化スカンジウムの製造方法を提供する。また、他の目的として、比較的高い収率で塩化スカンジウムを製造することができる無水塩化スカンジウムの製造方法を提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
上述した無水塩化スカンジウムの製造方法によれば、塩化スカンジウムの不純物をある程度低減することができ、及び/又は、比較的高い収率で塩化スカンジウムを製造することができる。