(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158303
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】番組機器情報管理装置およびそのプログラム、ならびに、コントローラおよびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/222 20060101AFI20231023BHJP
H04N 21/21 20110101ALI20231023BHJP
【FI】
H04N5/222
H04N21/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068053
(22)【出願日】2022-04-18
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 智史
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 卓也
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C122DA38
5C122DA41
5C122EA44
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB09
5C164FA29
5C164SA41P
5C164SB41S
5C164YA15
(57)【要約】
【課題】番組制作において、機器ごとに制限をかけて使用することが可能な番組機器情報管理装置を提供する。
【解決手段】番組機器情報管理装置20は、少なくとも番組で使用する機器50の識別子を、制作する番組の識別子と対応付けて記憶する番組情報記憶部23と、機器情報登録装置40から機器50の機器情報を取得する登録機器情報取得部21と、機器情報を機器50の識別子と対応付けて記憶する機器情報記憶部22と、単一の番組の識別子を含んだコントローラ10からの機器情報の取得要求に対し、番組の識別子に対応付けられている機器50の識別子に対応する機器情報をコントローラ10に配信する番組機器情報配信部24と、を備える
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NMOS対応の番組制作用の機器を制御するコントローラに、番組で使用する機器の動作を特定する機器情報を提供する番組機器情報管理装置であって、
少なくとも前記番組で使用する機器の識別子を、制作する番組の識別子と対応付けて記憶する番組情報記憶部と、
前記機器情報を予め登録した機器情報登録装置のインタフェースを利用する認可を認証・認可サーバから取得し、前記機器情報登録装置から前記機器情報を取得する登録機器情報取得部と、
前記機器情報を前記機器の識別子と対応付けて記憶する機器情報記憶部と、
前記認証・認可サーバから取得した当該番組機器情報管理装置のインタフェースを利用する認可と単一の前記番組の識別子とを含んだ前記コントローラからの機器情報の取得要求に対し、前記番組の識別子に対応付けられている前記機器の識別子に対応する機器情報を前記コントローラに配信する番組機器情報配信部と、
を備えることを特徴とする番組機器情報管理装置。
【請求項2】
前記番組情報記憶部には、さらに前記番組の制作時間が記憶され、
前記番組の制作時間が変更された場合に、前記機器のインタフェースを利用する認可を前記番組の制作時間内で発行するように前記認証・認可サーバに設定する認可発行ルール設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の番組機器情報管理装置。
【請求項3】
前記番組情報記憶部には、さらに前記番組の制作に関わるユーザの識別子が記憶され、
前記認可発行ルール設定部は、前記ユーザの識別子が変更された場合に、前記番組の制作に関わるユーザからの要求に対して認可を発行するように前記認証・認可サーバに設定することを特徴とする請求項2に記載の番組機器情報管理装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の番組機器情報管理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
NMOS対応の番組制作用の機器を制御するコントローラであって、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の番組機器情報管理装置のインタフェースを利用する認可を認証・認可サーバから取得し、前記番組機器情報管理装置から前記番組の識別子に対応する機器情報を取得する番組機器情報取得部と、
前記番組機器情報取得部で取得した機器情報をユーザに提示し、ユーザから前記機器に対する制御内容の入力を受け付ける機器制御内容受付部と、
前記機器情報に対応する機器のインタフェースを利用する認可を認証・認可サーバから取得し、前記機器に対して前記制御内容の実行を指示する機器制御実行部と、
を備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項6】
前記機器制御実行部は、以前制御した同じ機器を制御する場合、前回の認可を再利用することを特徴とする請求項5に記載のコントローラ。
【請求項7】
コンピュータを、請求項5または請求項6に記載のコントローラとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、番組機器情報管理装置およびそのプログラム、ならびに、コントローラおよびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ番組等の番組制作システムは、映像、音声および制御信号の伝送に、機器同士を接続するSDI(Serial Digital Interface)ではなく、IP(Internet Protocol)ネットワークを利用するようになってきている。IPネットワークを用いるとネットワーク経由で機器の制御が可能となるため、ベンダ共通の制御方式を用いて、1つの制御アプリケーションが様々なベンダの機器を制御できることが求められる。
【0003】
そこで、近年では、番組制作システムで使用する各機器に、IPネットワークを利用したベンダ共通の制御方式であるAMWA(Advanced Media Workflow Association)で策定されたNMOS(Networked Media Open Specification)の実装が進んでいる。
AMWA NMOSのIS-04(非特許文献1参照)では、システム内の機器(ノード)を登録および検出する機器情報登録装置(RDS:Registration and Discovery System)が提供するAPI(Application Programming Interface)が定義されている。例えば、IS-04では、RDSにシステム内の機器を登録するための登録API(Registration API)や、システム内に存在する機器の情報を取得するための問い合わせAPI(Query API)が定義されている。
【0004】
また、AMWA NMOSのIS-05(非特許文献2参照)では、ネットワーク上の機器間の接続を制御するスイッチング制御を行うための接続API(Connection API)が定義されている。
また、AMWA NMOSのIS-10(非特許文献3参照)では、APIのセキュリティを高めるため、JWT(JSON〔JavaScript Object Notation〕 Web Token)(非特許文献4参照)によるアクセストークンを用いてAPIの利用を制限する認可方式が定義されている。
【0005】
ここで、
図7を参照して、従来の一般的なNMOS対応の番組制作システム100の構成と制御の流れについて説明する。
番組制作システム100は、コントローラ10Bと、認証・認可サーバ30Bと、機器情報登録装置40と、複数の機器50と、を備え、IPネットワーク(不図示)を介して接続して構成される。
【0006】
コントローラ10Bは、番組制作システム100内の機器50に対し、接続APIを使って機器50の接続制御を行う制御装置である。
認証・認可サーバ(Auth)30Bは、IS-10に準拠した認可を発行するサーバである。
機器情報登録装置(RDS)40は、番組制作システム100内の機器50の登録と検出を行う装置であって、登録APIと問い合わせAPIとを提供する。
機器(Node)50(501,…,50N:Nは1以上の整数)は、接続APIによる接続制御を受け付けるカメラ、マイク等の番組制作機器である。
【0007】
まず、機器50は、IS-10に準拠した方式で、登録APIを利用するための認可を認証・認可サーバ30Bから取得する(S10)。次に、機器50は、登録APIを利用して機器50の機器情報を機器情報登録装置40に登録する(S11)。この時、登録APIを利用した登録リクエストにはS10で取得した認可を含める。
コントローラ10Bは、IS-10に準拠した方式で問い合わせAPIを利用するための認可を認証・認可サーバ30Bから取得する(S12)。コントローラ10Bは、問い合わせAPIを利用して番組制作システム100内に存在する機器50の機器情報を機器情報登録装置40から取得する(S13)。この時、問い合わせAPIを利用した情報取得リクエストにはS12で取得した認可を含める。この問い合わせAPIからは、登録されているすべての機器50の機器情報が応答として返る。
【0008】
そして、コントローラ10Bは、IS-10に準拠した方式で接続APIを利用するための認可を認証・認可サーバ30Bから取得する(S14)。コントローラ10Bは、機器50の接続APIに対して、機器50を制御する制御リクエストを送信する(S15)。この時、制御リクエストにはS14で取得した認可を含める。
これによって、番組制作システム100は、IPネットワークを介して、種々の番組制作機器(機器50)を制御する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】AMWA IS-04 NMOS Discovery and Registration Specification
【非特許文献2】AMWA IS-05 NMOS Device Connection Management Specification
【非特許文献3】AMWA IS-10 NMOS Authorization Specification
【非特許文献4】RFC 7519 - JSON Web Token (JWT)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のNMOS対応の番組制作システムでは、コントローラは、機器(ノード)の接続APIを利用するための認可を認証・認可サーバから取得した場合、すべての機器に対して接続が可能になる。また、機器情報登録装置から取得する情報には、すべての機器の情報が含まれている。
そのため、従来のNMOS対応の番組制作システムでは、番組制作に際し、すべての機器の制御が可能となり、誤って他の番組制作で利用している機器に対して制御を行ってしまうことがあるという問題がある。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、番組制作において、機器ごとに制限をかけて使用することが可能な、番組機器情報管理装置およびそのプログラム、ならびに、コントローラおよびそのプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明に係る番組機器情報管理装置は、NMOS対応の番組制作用の機器を制御するコントローラに、番組で使用する機器の動作を特定する機器情報を提供する番組機器情報管理装置であって、番組情報記憶部と、登録機器情報取得部と、機器情報記憶部と、番組機器情報配信部と、を備える構成とした。
【0013】
かかる構成において、番組機器情報管理装置は、予め番組情報記憶部に、少なくとも番組で使用する機器の識別子を、制作する番組の識別子と対応付けて記憶しておく。
番組機器情報管理装置は、登録機器情報取得部によって、番組制作システム内の機器情報を予め登録した機器情報登録装置のインタフェースを利用する認可を、IS-10に定められた方式を用いて認証・認可サーバから取得し、機器情報登録装置から機器の種別、機能等の機器情報を取得する。
これによって、番組機器情報管理装置は、機器情報登録装置から番組制作に必要な機器の機器情報を取得することができる。
番組機器情報管理装置は、取得した機器情報を、機器の識別子と対応付けて機器情報記憶部に記憶する。
【0014】
そして、番組機器情報管理装置は、番組機器情報配信部によって、認証・認可サーバから取得した当該番組機器情報管理装置のインタフェースを利用する認可と単一の番組の識別子とを含んだコントローラからの機器情報の取得要求を取得する。
そして、番組機器情報管理装置は、番組機器情報配信部によって、番組情報記憶部で番組の識別子に対応付けられている機器の識別子に対応する機器情報を、機器情報記憶部から読み出してコントローラに配信する。
【0015】
これによって、番組機器情報管理装置は、コントローラから指定された識別子で特定される番組の制作に使用する機器情報のみがコントローラに配信される。
なお、番組機器情報管理装置は、コンピュータを、前記した各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0016】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るコントローラは、NMOS対応の番組制作用の機器を制御するコントローラであって、番組機器情報取得部と、機器制御内容受付部と、機器制御実行部と、を備える構成とした。
【0017】
かかる構成において、コントローラは、番組機器情報取得部によって、番組機器情報管理装置のインタフェースを利用する認可を認証・認可サーバから取得し、番組機器情報管理装置から番組の識別子に対応する機器情報を取得する。
これによって、コントローラは、番組の制作に使用する機器情報のみを取得する。
【0018】
そして、コントローラは、機器制御内容受付部によって、番組機器情報取得部で取得した機器情報をモニタ等の表示装置でユーザに提示し、ユーザから機器に対する制御内容の入力を、キーボード、マウス等で受け付ける。
そして、コントローラは、機器制御実行部によって、番組機器情報取得部で取得した機器のインタフェースを利用する認可を認証・認可サーバから取得し、機器に対して制御内容の実行を指示する。
【0019】
これによって、コントローラは、番組の制作に使用する機器のみを制御することができる。
なお、コントローラは、コンピュータを、前記した各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、番組制作において、コントローラが制御する機器を、番組の制作に使用する機器に限定することができる。
これによって、本発明は、誤って他の番組制作で利用している機器に対して制御を行うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る番組制作システムの構成を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る番組機器情報管理装置の構成を示すブロック構成図である。
【
図4】番組情報の一例を説明するための説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る番組制作システムの制御の流れを従来と対比して説明するための説明図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る番組制作システムの制御の流れを示すシーケンス図である。
【
図7】従来の番組制作システムの構成と制御の流れを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
≪番組制作システムの構成≫
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る番組制作システム1の構成について説明する。
【0023】
番組制作システム1は、NMOS対応のシステム内の機器を複数の番組制作で共有し、各機器を個別に制御するものである。
番組制作システム1は、コントローラ10と、番組機器情報管理装置20と、認証・認可サーバ30と、機器情報登録装置40と、複数の機器50と、を備え、IPネットワーク2を介して接続して構成される。なお、ここでは、NMOSのAPIについては、本発明に関連するもののみについて記載し、他のAPIについては、説明を省略している。
【0024】
コントローラ10は、番組制作システム1におけるNMOS対応の番組制作用の機器50を制御するものである。
コントローラ10は、番組制作システム1内の機器50に対し、接続API(Connection API)を使って機器50の接続制御を行う。
ここでは、コントローラ10は、認証・認可サーバ30から、個別の機器50の機器情報を取得するための認可と機器50を制御するための認可とを取得し、番組機器情報管理装置20から、個別の機器情報を取得して機器50を制御する。
なお、コントローラ10については、
図2を参照して後で詳細に説明する。
【0025】
番組機器情報管理装置20は、番組制作システム1におけるNMOS対応の番組制作用の機器50を制御するコントローラ10に、番組で使用する機器の機器情報を提供するものである。
番組機器情報管理装置20は、機器情報登録装置40から、登録されている機器50の機器情報を取得し、要求された機器50の機器情報をコントローラ10に応答する。
番組機器情報管理装置20を利用するためのAPIを、以下、スケジュールAPI(Schedule API)と呼ぶ。
なお、番組機器情報管理装置20については、
図3を参照して後で詳細に説明する。
【0026】
認証・認可サーバ(Auth)30は、AMWA NMOSのIS-10に準拠した認可を発行するサーバである。
ここでは、認証・認可サーバ(Auth)30は、IS-10に準拠して、機器50に対して登録の認可を与えたり、コントローラ10に対して、機器50に対する制御の認可を与えたりする。
なお、認証・認可サーバ(Auth)30は、IS-10の対応機能に加えて、アクセストークンを適用する機器50を個別に指定した認可リクエストを受け付ける機能を有する認可リクエスト処理部(不図示)を備える。なお、アクセストークンを適用する機器を個別に指定して認可リクエストを受け付ける手法は、一般的な手法であって、例えば、オープンソースの認証ソフトウェアである「Keycloak」で実現することができる。
【0027】
機器情報登録装置(RDS)40は、AMWA NMOSのIS-04に準拠した番組制作システム1内の機器50を登録および検出する装置である。
機器情報登録装置40は、登録API(Registration API)によって、装置内に機器50の機器情報を登録する登録リクエストを受け付ける機能を有する。また、機器情報登録装置40は、問い合わせAPI(Query API)によって、登録している機器50の機器情報を提供する問い合わせリクエストを受け付ける機能を有する。
機器情報は、機器50の動作を特定する各種情報であって、識別子、種別(カメラ、マイク等)、機能(映像・音声の入出力ポート数等)である。
【0028】
機器(Node)50(501,…,50N:Nは1以上の整数)は、AMWA NMOSのIS-04/05に準拠した番組を制作するためのカメラ、マイク、ビデオミキサ、モニタ等の各種装置である。
機器50は、AMWA NMOSのIS-10に準拠した方式で、登録APIを利用するための認可を認証・認可サーバ30から取得し、認可、機器情報を含んだ登録リクエストを機器情報登録装置40に送出することで、機器の登録を行う。
機器50は、接続APIによって制御の指示を接続リクエストとして受け付ける。
接続APIは、例えば、カメラに対して映像出力をモニタに伝送する等の種々の接続制御が定められている。
以下、コントローラ10および番組機器情報管理装置20について詳細に説明する。
【0029】
<コントローラ>
図2を参照して、コントローラ10の構成について説明する。
図2に示すように、コントローラ10は、認可取得部11と、番組機器情報取得部12と、機器制御内容受付部13と、機器制御実行部14と、を備える。
【0030】
認可取得部11は、認証・認可サーバ30から、システム内の各装置のAPIにアクセスするための認可(アクセストークン)を取得するものである。
ここでは、認可取得部11は、IS-10に準拠して、番組機器情報管理装置20のスケジュールAPIを利用するための認可を、認証・認可サーバ30から取得する。
認可取得部11は、取得したスケジュールAPIを利用するための認可を、番組機器情報取得部12に出力する。
【0031】
また、認可取得部11は、機器制御実行部14から、制御対象の機器50の接続APIを利用するための認可の取得依頼を入力された場合、認証・認可サーバ30から認可を取得する。この場合、認可取得部11は、認証・認可サーバ30に、制御対象の機器50の識別子と、認可を要求するユーザの識別子とを通知し、接続APIを利用するための認可を取得する。例えば、ここでは、認証・認可サーバ30に認証ソフトウェアであるKeycloakが組み込まれているものとする。その場合、認可取得部11は、アクセス管理プロトコル標準であるUMA(User-Managed-Access)で定義されたリクエスト形式を用いて、キーが“audience”、値が機器50の識別子であるJSONオブジェクトをclaim_tokenとしてPOST(HTTP POST)することで認可を取得することができる。
認可取得部11は、取得した接続APIを利用するための認可を機器制御実行部14に出力する。
【0032】
番組機器情報取得部12は、番組機器情報管理装置20のスケジュールAPIに、スケジュールAPIを利用する認可と番組の識別子とを含んだ機器情報を要求し、番組の識別子に対応する機器情報を取得するものである。
この機器情報には、機器50の識別子、種別(カメラ、マイク等)、機能(映像・音声の入出力ポート数等)以外に、番組関連情報(番組内での機器使用可能時間等)が含まれる。
【0033】
番組機器情報取得部12は、ユーザが指定した番組の識別子を、認可取得部11から入力される番組機器情報管理装置20のスケジュールAPIを利用するための認可に含めて、番組機器情報管理装置20に、番組で使用する機器50の機器情報を要求し、取得する。
なお、番組の識別子は、予め定めた値をユーザが外部から入力してもよいし、番組機器情報管理装置20から番組の識別子の一覧を取得し、ユーザがその一覧から選択してもよい。
番組機器情報取得部12は、取得した機器50の機器情報を、機器50の識別子およびユーザの識別子とともに機器制御内容受付部13に出力する。
【0034】
機器制御内容受付部13は、番組機器情報取得部12から入力される機器50の機器情報をユーザに提示し、ユーザから機器50に対する制御内容の入力を受け付けるものである。
ここで、制御内容とは、機器50の制御動作を規定する情報であって、動作開始時刻、動作停止時刻、映像・音声パラメータ、映像・音声の入出力先、ミキシング比率等である。
機器制御内容受付部13は、番組機器情報取得部12から入力された機器50の機器情報をモニタ等の表示装置(不図示)に提示し、制御内容をキーボード、マウス等の入力装置(不図示)を介して受け付ける。
機器制御内容受付部13は、入力された制御内容を、機器50の識別子およびユーザの識別子とともに機器制御実行部14に出力する。
【0035】
機器制御実行部14は、機器制御内容受付部13から入力される制御内容で、制御対象の機器50に制御の実行を指示するものである。
機器制御実行部14は、機器制御内容受付部13から制御内容とともに入力される制御対象の機器50の識別子およびユーザの識別子を含んだ、制御対象の機器50の接続APIを利用するための認可の取得依頼を認可取得部11に出力する。
機器制御実行部14は、認可取得部11から認可を取得し、制御対象の機器50の接続APIに、認可と制御内容とを接続リクエストとして出力する。
【0036】
なお、機器制御実行部14は、認可取得部11から取得した機器50の認可を内部のメモリに保持に、機器制御内容受付部13から、以前制御した同じ機器50への制御が指示された場合、その認可を再利用してもよい。これによって、IPネットワーク2の通信負荷を抑えることができる。
【0037】
以上説明した構成により、コントローラ10は、ユーザが番組制作で使用する機器50の制御しかできず、他の機器50に対する誤った制御を防止することができる。
なお、コントローラ10は、図示を省略したコンピュータを、前記各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0038】
<番組機器情報管理装置>
次に、
図3を参照して、番組機器情報管理装置20の構成について説明する。
図3に示すように、番組機器情報管理装置20は、登録機器情報取得部21と、機器情報記憶部22と、番組情報記憶部23と、番組機器情報配信部24と、認可発行ルール設定部25と、を備える。
【0039】
登録機器情報取得部21は、番組制作システム1内のNMOS対応の機器50の機器情報を予め登録した機器情報登録装置40のインタフェースを利用する認可を認証・認可サーバ30から取得し、機器情報登録装置40から機器情報を取得するものである。
ここでは、登録機器情報取得部21は、IS-10に定められた方式を用いて認証・認可サーバ30から機器情報登録装置40の問い合わせAPI(Query API)を利用するための認可を要求し、取得する。そして、登録機器情報取得部21は、取得した認可を用いて、機器情報登録装置40の問い合わせAPIから、登録されている機器50の機器情報を取得する。
登録機器情報取得部21は、取得した機器50の機器情報を機器情報記憶部22に記憶する。
【0040】
なお、登録機器情報取得部21は、機器情報登録装置40の問い合わせAPIに対して、定期的に機器情報を取得するか、機器情報登録装置40との間でWebSocket接続を行い、機器情報登録装置40から機器情報の更新をリアルタイムで取得してもよい。これによって、登録機器情報取得部21は、機器情報記憶部22において、機器50の機器情報を最新の状態に保つことができる。
【0041】
機器情報記憶部22は、登録機器情報取得部21で取得した機器情報登録装置40に登録されている機器50の機器情報を、機器50の識別子と対応付けて記憶するものである。
機器情報記憶部22は、半導体メモリ等の一般的な記憶媒体で構成することができる。
【0042】
番組情報記憶部23は、制作する番組に関連する情報(番組情報)を、番組の識別子と対応付けて記憶するものである。
番組情報は、例えば、
図4に示すように、「番組の識別子(d1)」、「制作時間(d2)」、「使用する機器の識別子(d3)」、「制作に関わるユーザの識別子(d4)」を含む。
【0043】
「番組の識別子(d1)」は、制作する番組を識別する識別情報である。例えば、「番組1」、「番組2」等である。
「制作時間(d2)」は、制作する番組の開始時刻と終了時刻を示す時間情報である。例えば、開始時間2022/01/01 10:00:00、終了時間2022/01/01 11:00:00等である。
「使用する機器の識別子(d3)」は、番組を制作する際に使用する機器50を識別する識別情報である。例えば、「CAM1(カメラ)」、「MIC1(マイク)」、「VMIX1(ビデオミキサ)」等である。
「制作に関わるユーザの識別子(d4)」は、番組の制作に関わるユーザを識別する識別情報である。例えば、「USER1」、「USER2」等である。
この番組情報は、外部設定ファイル等により設定してもよいし、番組機器情報配信部24が提供するAPIにより設定することとしてもよい。
【0044】
番組機器情報配信部24は、制作する番組で使用する機器50の機器情報の取得要求に対して、対象となる機器情報を配信するものである。
ここでは、番組機器情報配信部24は、コントローラ10から、スケジュールAPIで、当該APIを利用する認可に単一の番組の識別子を含んだ機器情報の取得要求を指示された場合に、番組の識別子に対応する機器情報をコントローラ10に配信する。
番組機器情報配信部24は、要求された番組の識別子に対応する番組情報(
図4参照)を番組情報記憶部23から読み出し、使用する機器の識別子に対応する機器情報を機器情報記憶部22から読み出し、番組情報を含んだ機器情報を生成して、コントローラ10に配信する。
【0045】
認可発行ルール設定部25は、番組情報記憶部23に記憶されている番組情報が変更された場合、その内容を認証・認可サーバ30における認可発行ルールに反映させるものである。
具体的には、認可発行ルール設定部25は、番組の制作時間が変更された場合、制作時間以外で利用する機器50やユーザが変更された場合に、機器50の接続APIを利用する認可を番組の制作時間内で発行するように認証・認可サーバ30に設定する。これによって、認証・認可サーバ30は、ある番組の制作時間の開始時刻で、番組の制作に関わるユーザに対し、番組で使用する機器の認可を発行する設定を行い、終了時刻で設定を解除する。
また、認可発行ルール設定部25は、番組の制作に関わるユーザの識別子が変更された場合、番組の制作に関わるユーザからの要求に対して認可を発行するように認証・認可サーバ30に設定する。
これによって、認証・認可サーバ30は、番組の制作時間で、番組の制作に関わるユーザからの要求に対してのみ認可を与えることができる。
【0046】
以上説明した構成により、番組機器情報管理装置20は、コントローラ10に対して、番組制作で使用する機器50の機器情報しか配信しないため、コントローラ10において、他の機器50に対する誤った制御を防止することができる。
なお、番組機器情報管理装置20は、図示を省略したコンピュータを、前記各部として機能させるためのプログラムで動作させることができる。
【0047】
≪番組制作システムの動作≫
次に、
図5,
図6を参照(構成については、適宜
図1~
図3参照)して、本発明の実施形態に係る番組制作システム1の動作について説明する。
【0048】
ステップS1において、機器50は、それぞれ、認証・認可サーバ30から、番組制作システム1に登録するため認可(アクセストークン)を取得する。
ここでは、機器50は、IS-10に準拠した方式で、機器情報登録装置40の登録APIを利用するための認可を認証・認可サーバ30から取得する。
【0049】
ステップS2において、機器50は、機器情報登録装置40に機器の登録を行う。
ここでは、機器50は、IS-04に準拠した方式で、機器情報登録装置40の登録APIを用いて、ステップS1で取得した認可、機器情報を含んだ登録リクエストを機器情報登録装置40に送出する。これによって、機器情報登録装置40には、番組制作システム1に接続される機器50が登録されることになる。
【0050】
ステップS3において、番組機器情報管理装置20は、認証・認可サーバ30から、登録されている機器50の機器情報を取得するため認可(アクセストークン)を取得する。
ここでは、番組機器情報管理装置20は、登録機器情報取得部21によって、IS-10に準拠した方式で、機器情報登録装置40の問い合わせAPIを利用するための認可を認証・認可サーバ30から取得する。
【0051】
ステップS4において、番組機器情報管理装置20は、機器情報登録装置40から機器情報を取得する。
ここでは、番組機器情報管理装置20は、登録機器情報取得部21によって、IS-04に準拠した方式で、機器情報登録装置40の問い合わせAPIを用いて、ステップS3で取得した認可を含んだ問い合わせリクエストを機器情報登録装置40に送出し、機器50の機器情報を取得する。
また、登録機器情報取得部21は、取得した機器50の機器情報を機器情報記憶部22に記憶する。
【0052】
ステップS5において、番組機器情報管理装置20は、番組情報が変更された場合、認可発行ルール設定部25によって、その変更内容を認証・認可サーバ30の認可発行ルールに反映させる。
ここでは、認可発行ルール設定部25は、番組情報記憶部23に記憶されている番組情報が変更された場合、その変更内容を認証・認可サーバ30に通知し、認証・認可サーバ30が、認可発行ルールを変更する。
なお、このステップS5は、ユーザが番組情報を変更した場合にのみ動作する。
【0053】
ステップS6において、コントローラ10は、認証・認可サーバ30から、番組機器情報管理装置20を利用するため認可(アクセストークン)を取得する。
ここでは、コントローラ10は、認可取得部11によって、IS-10に準拠した方式で、番組機器情報管理装置20のスケジュールAPIを利用するための認可を認証・認可サーバ30から取得する。
【0054】
ステップS7において、コントローラ10は、制作する番組で使用する機器50の機器情報を番組機器情報管理装置20から取得する。
ここでは、コントローラ10は、番組機器情報取得部12によって、スケジュールAPIを用いて、ステップS6で取得したスケジュールAPIを利用するための認可にユーザが指定した番組の識別子を含めた取得要求を、番組機器情報管理装置20に要求する。
そして、番組機器情報管理装置20は、番組機器情報配信部24によって、番組の識別子に対応する機器情報を、番組情報記憶部23から読み出して、コントローラ10に配信する。
そして、コントローラ10は、番組機器情報取得部12によって、番組の識別子に対応する機器情報を取得する。
【0055】
ステップS8において、コントローラ10は、認証・認可サーバ30から、登録されている機器50を制御する接続APIを利用するため認可(アクセストークン)を取得する。
ここでは、コントローラ10は、機器制御内容受付部13によって、ステップS7で取得した機器情報をユーザに提示し、ユーザから機器50に対する制御内容を受け付ける。
そして、コントローラ10は、認可取得部11によって、機器50の識別子とユーザの識別子とを含んだ、接続APIを利用するための認可を認証・認可サーバ30から取得する。
【0056】
ステップS9において、コントローラ10は、ユーザから指定された制御内容で機器50を制御する。
ここでは、コントローラ10は、機器制御実行部14によって、ステップS8で取得した接続APIを利用するための認可と、ユーザから指定された制御内容と接続APIに出力する。
これによって、コントローラ10は、ユーザが番組制作で使用する機器50のみを制御する。
【0057】
以上説明したように、番組制作システム1は、番組機器情報管理装置20が、コントローラ10に対して、番組制作で使用する機器50の機器情報しか配信しない。そのため、番組制作システム1は、コントローラ10から、番組で使用しない他の機器50に対する誤った制御を防止することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。
例えば、番組機器情報管理装置20は、内部に記憶部22,23を分離して備える構成としたが、一つの記憶媒体で領域を区分して記憶してもよい。また、記憶部22,23は、外部に記憶装置として分離してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 番組制作システム
10 コントローラ
11 認可取得部
12 番組機器情報取得部
13 機器制御内容受付部
14 機器制御実行部
20 番組機器情報管理装置
21 登録機器情報取得部
22 機器情報記憶部
23 番組情報記憶部
24 番組機器情報配信部
25 認可発行ルール設定部
30 認証・認可サーバ
40 機器情報登録装置
50 機器
2 IPネットワーク