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特開2023-158341ブラシローラ保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158341
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】ブラシローラ保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231023BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20231023BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231023BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
G03G21/00 314
G03G15/16
G03G15/00 550
G03G21/18 114
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068121
(22)【出願日】2022-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 浩吉
【テーマコード(参考)】
2H134
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H134HB01
2H134HB13
2H134HB18
2H134HB19
2H134HD01
2H134HD06
2H134KB05
2H134KD04
2H134KF01
2H134KF02
2H134KF03
2H134KF05
2H134KH15
2H134KH16
2H134LA01
2H171FA02
2H171FA17
2H171GA20
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA31
2H171JA59
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB01
2H171QB15
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC23
2H171QC24
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA34
2H200GA47
2H200GB12
2H200GB13
2H200JA02
2H200JC03
2H200JC12
2H200LB02
2H200LB09
2H200LB12
2H200LB13
2H200LB17
2H200LB35
2H200MA03
2H200MA04
(57)【要約】
【課題】ブラシローラに付着した付着物を充分に除去する。
【解決手段】クリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)には、感光体ドラム11(対象物)に摺接可能なブラシ毛14b2(15a2)が周設されたブラシローラ14b(15a)と、ブラシ毛14b2(15a2)に接触可能に配置されて螺旋状に巻回されたコイル状部材14d(15d)と、コイル状部材14d(15d)を介してブラシローラ14b(15a)に対向する壁状部材14k1(15k1)と、が設けられている。そして、コイル状部材14d(15d)は、ブラシローラ14b(15a)の回転に連動して、ブラシローラ14b(15a)と壁状部材14k1(15k1)との間で互いの部材14b、14k1(15a、15k1)への衝突と反発とを交互に繰り返して搖動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に摺接可能なブラシ毛が周設されたブラシローラと、
前記ブラシ毛に接触可能に配置されて、螺旋状に巻回されたコイル状部材と、
前記コイル状部材を介して前記ブラシローラに対向する壁状部材と、
を備え、
前記コイル状部材は、前記ブラシローラの回転に連動して、前記ブラシローラと前記壁状部材との間で互いの部材への衝突と反発とを交互に繰り返して搖動することを特徴とするブラシローラ保持装置。
【請求項2】
前記壁状部材は、前記コイル状部材が衝突する表面に、シート状弾性部材が設置されたことを特徴とする請求項1に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項3】
前記壁状部材は、前記ブラシローラの回転中心に直交する断面でみたときに、前記回転中心と前記コイル状部材の中心とを通る仮想直線に接する部分と、前記部分から前記ブラシローラの回転方向下流側に対応する範囲と、を少なくとも含む表面に、前記シート状弾性部材が設置されたことを特徴とする請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項4】
前記コイル状部材は、長手方向両端部の中心にそれぞれ支軸が設けられて、前記支軸が当該ブラシローラ保持装置のハウジングに非回転で支持されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項5】
前記コイル状部材は、前記ブラシローラに対する喰い込み量が、長手方向中央部に比べて長手方向両端部が大きくなるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項6】
前記コイル状部材によって前記ブラシローラから除去されて当該ブラシローラ保持装置の内部に回収された回収物を外部に排出するための搬送部材を備え、
前記コイル状部材と前記壁状部材とは、当該ブラシローラ保持装置の内部において前記回収物に埋没しない位置に配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項7】
前記対象物は、トナー像が担持される像担持体であって、
前記ブラシローラに摺接する固形潤滑剤を備え、
前記コイル状部材は、前記固形潤滑剤が前記ブラシローラに接触する位置に対して前記ブラシローラの回転方向上流側で前記ブラシローラに接触することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項8】
前記ブラシローラは、前記ブラシ毛が所定の倒れ方向に倒れるように形成され、
前記コイル状部材は、前記倒れ方向に逆らって前記ブラシローラに接触するように、コイル巻き方向が定められたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項9】
前記壁状部材は、当該ブラシローラ保持装置のハウジングにおける内壁面の一部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置。
【請求項10】
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
トナー像が担持される前記対象物としての像担持体と、
請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置と、
を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記対象物と、
請求項1又は請求項2に記載のブラシローラ保持装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブラシローラが設置されたクリーニング装置、潤滑剤供給装置などのブラシローラ保持装置と、それを備えたプロセスカートリッジと、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、感光体ドラム等の対象物に摺接するブラシローラ(ファーブラシ)が保持されたブラシローラ保持装置を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
一方、特許文献1には、ファーブラシ(ブラシローラ)に付着したトナーを除去することを目的として、ファーブラシにコイルバネを接触させてフリッカとして機能させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のブラシローラ保持装置は、ブラシローラに付着したトナー、潤滑剤などの付着物を充分に除去することができなかった。そのため、クリーニング不良、潤滑剤供給不良などの不具合が生じてしまっていた。
特に、特許文献1のものは、ファーブラシにコイルバネを接触させているため、ファーブラシに付着したトナーが除去される効果が期待できるものの、その効果が充分ではなかった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ブラシローラに付着した付着物を充分に除去することができる、ブラシローラ保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明におけるブラシローラ保持装置は、対象物に摺接可能なブラシ毛が周設されたブラシローラと、前記ブラシ毛に接触可能に配置されて、螺旋状に巻回されたコイル状部材と、前記コイル状部材を介して前記ブラシローラに対向する壁状部材と、を備え、前記コイル状部材は、前記ブラシローラの回転に連動して、前記ブラシローラと前記壁状部材との間で互いの部材への衝突と反発とを交互に繰り返して搖動するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブラシローラに付着した付着物を充分に除去することができる、ブラシローラ保持装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
図2】プロセスカートリッジとその近傍とを示す構成図である。
図3】クリーニング装置と潤滑剤供給装置との要部を示す図である。
図4】(A)コイル状部材がブラシローラに接触した状態を長手方向に示す図と、(B)コイル状部材が壁状部材に衝突した状態を長手方向に示す図と、である。
図5】変形例1としての、クリーニング装置(又は、潤滑剤供給装置)を長手方向に示す図である。
図6】変形例2としての、コイル状部材とブラシローラのブラシ毛とを拡大して示す模式図である。
図7】変形例3としての、プロセスカートリッジとその近傍とを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、図1及び図2にて、画像形成装置1における全体の構成・動作について説明する。
図1は、実施の形態における画像形成装置1を示す全体構成図である。図2は、図1の画像形成装置1に設置されたイエロー用のプロセスカートリッジ10Y(作像部)の構成を示す断面図である。
なお、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BK(作像部)は、作像プロセスに用いられるトナーTの色が異なる以外はほぼ同一構造であるので、図2ではイエロー用のプロセスカートリッジ10Yのみを代表的に図示する。
【0011】
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は用紙等のシートが収容される給紙部、25はシートの搬送タイミングを調整するレジストローラ、を示す。
また、10Y、10M、10C、10BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成されるプロセスカートリッジ、16は各プロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルト17上に重ねて転写する1次転写ローラ、を示す。
また、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のトナー像をシート上に転写するための2次転写ローラ、19は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング装置、20はシート上のトナー像(未定着画像)を定着する定着装置、50は印刷動作(画像形成動作)に関わる情報が表示されたり操作をおこなったりするための操作表示パネル、を示す。
【0012】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(露光光)が、それぞれ、対応するプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11(像担持体)上に向けて発せられる。
【0013】
一方、4つのプロセスカートリッジ10Y、10M、10C、10BKの感光体ドラム11(図2参照)は、それぞれ、所定方向(反時計方向)に回転している。そして、まず、感光体ドラム11の表面は、帯電装置12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11上には、帯電電位(-900V程度である。)が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11の表面は、それぞれのレーザ光Lの照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光Lが各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光Lは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0014】
イエロー成分に対応したレーザ光Lは、紙面左側から1番目の感光体ドラム11(像担持体)の表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11の回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電装置12にて帯電された後の感光体ドラム11上には、イエロー成分に対応した静電潜像(-50~100V程度の露光電位が形成される。)が形成される。
【0015】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11の表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0016】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11の表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11上の潜像が現像されてトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部(1次転写ニップ)に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように1次転写ローラ9が設置されている。そして、1次転写ローラ9の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0017】
そして、1次転写工程後の感光体ドラム11の表面は、それぞれ、クリーニング装置14との対向位置に達する。そして、この位置で、クリーニングブレード14aやブラシローラ14b(図2参照)によって感光体ドラム11上に残存する未転写トナーが機械的に除去されて、除去された未転写トナーがクリーニング装置14内に回収される(クリーニング工程である。)。クリーニング装置14内に回収された未転写トナーは、廃トナー搬送スクリュ14c(図2参照)によってクリーニング装置14の外部に搬送されて、不図示の廃トナー回収容器の内部に廃トナーとして回収される。
その後、感光体ドラム11の表面は、潤滑剤供給装置15、除電装置(不図示)の位置を順次通過して、感光体ドラム11における一連の作像プロセスが終了する。
【0018】
他方、感光体ドラム11上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写ローラ18との対向位置(2次転写ニップ)に達する。そして、2次転写ローラ18との対向位置で、シート(用紙)上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17の表面は、中間転写ベルトクリーニング装置19の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング装置19に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0019】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写ローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送されるシートは、給紙部7からレジストローラ25等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、シートを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送されたシートが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ25(タイミングローラ)に導かれる。レジストローラ25に達したシートは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0020】
そして、フルカラー画像が転写されたシートは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像(トナー)がシート上に定着される。
そして、定着工程後のシートは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセス(印刷動作)が完了する。
【0021】
次に、図2にて、プロセスカートリッジ10Yについて詳述する。
図2に示すように、プロセスカートリッジ10Yは、像担持体(又は、対象物)としての感光体ドラム11と、帯電装置12と、現像装置13と、第1のブラシローラ保持装置としてのクリーニング装置14と、第2のブラシローラ保持装置としての潤滑剤供給装置15と、が一体的にユニットとして構成されている。プロセスカートリッジ10Yは、画像形成装置本体1に対して着脱可能(交換可能)に設置されていて、適宜に画像形成装置本体1から取り出されて新品のものに交換されたり修理がされたりすることになる。
【0022】
ここで、像担持体としての感光体ドラム11(対象物)は、負帯電性の有機感光体であって、ドラム状導電性支持体上に感光層等を設けたものである。
感光体ドラム11は、基層としての導電性支持体上に、絶縁層である下引き層、感光層としての電荷発生層及び電荷輸送層、表面層(保護層)が順次積層されている。
感光体ドラム11は、不図示の駆動モータによって図2の反時計方向に回転駆動される。
【0023】
図2を参照して、帯電装置12は、導電性芯金の外周に中抵抗の弾性層を被覆してなる帯電ローラであって、感光体ドラム11に対して微小なギャップをあけて対向するように設置されている。帯電装置12には帯電用電源部から所定の電圧(帯電バイアス)が印加されて、これにより対向する感光体ドラム11の表面を一様に帯電する。
なお、本実施の形態において、帯電装置12として、感光体ドラム11に当接する接触式の帯電ローラを用いることもできるし、コロナ放電方式を用いたグリッドを有する帯電チャージャを用いることもできる。
また、帯電装置12に印加する帯電バイアスとして、DC電圧にAC電圧が重畳されたものとすることもできるし、DC電圧のみとすることもできる。
【0024】
現像装置13は、主として、感光体ドラム11に対向する現像ローラ13aと、現像ローラ13aに対向する第1搬送スクリュ13bと、仕切部材を介して第1搬送スクリュ13bに対向する第2搬送スクリュ13cと、現像ローラ13aに対向するドクターブレード13dと、で構成される。現像ローラ13aは、内部に固設されてローラ周面に磁極を形成するマグネットと、マグネットの周囲を回転するスリーブと、で構成される。マグネットによって現像ローラ13a(スリーブ)上に複数の磁極が形成されて、現像ローラ13a上に現像剤Gが担持されることになる。現像装置13内には、キャリアCとトナーTとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
現像ローラ13aと2つの搬送スクリュ13b、13cとは、不図示の駆動モータによって感光体ドラム11とともに回転駆動される。
【0025】
図2図3を参照して、ブラシローラ保持装置としてのクリーニング装置14には、感光体ドラム11の表面に当接して感光体ドラム11の表面をクリーニングするクリーニングブレード14aやブラシローラ14bが設置されている。
そして、感光体ドラム11上に付着する未転写トナー(シートから生じる紙粉、帯電装置12による放電時に感光体ドラム11上に生じる放電生成物、トナーに添加されている添加剤、等の付着物も含むものとする。)が、クリーニングブレード14aやブラシローラ14bによって機械的に掻き取られてクリーニング装置14内に回収物として回収されることになる。
【0026】
クリーニングブレード14aは、ウレタンゴム等のゴム材料からなるブレード状部材であって、感光体ドラム11の表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。なお、本実施の形態において、クリーニングブレード14aは、感光体ドラム11の走行方向(回転方向)に対してカウンタ方向にて感光体ドラム11に当接している。
【0027】
ブラシローラ14bは、クリーニングブレード14aに対して感光体ドラム11の回転方向上流側の表面に摺接して、感光体ドラム11の表面をクリーニングするクリーニングローラとして機能する。
詳しくは、ブラシローラ14bは、対象物(像担持体)としての感光体ドラム11に摺接するブラシ毛14b2(図4参照)が周設されている。図4を参照して、ブラシローラ14bは、金属材料からなる芯金14b1の外周に直毛状又はループ状のブラシ毛14b2が巻装されたローラ部材である。ブラシ毛14b2としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、塩化ビニル等の樹脂繊維を用いることができ、必要に応じてカーボン等の導電付与剤が混入された導電繊維を用いることができる。また、ブラシ毛14b2は、長さ(毛足)が0.2~20mm、ブラシ密度が2~10万F/inch2のものを用いることができる。
ブラシローラ14bは、クリーニングブレード14aに対して感光体ドラム11の回転方向上流側であって、1次転写ニップ(1次転写ローラ9)に対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。そして、ブラシローラ14bは、そのブラシ毛14b2が感光体ドラム11の表面に接触した状態で、不図示の駆動モータによって図2の反時計方向に回転駆動される。
なお、本実施の形態において、クリーニング装置14には、ブラシローラ14bに接触可能なコイル状部材14dが設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0028】
図2図3を参照して、ブラシローラ保持装置としての潤滑剤供給装置15は、対象物(像担持体)としての感光体ドラム11に摺接するブラシ毛15a2(図4参照)が周設されて感光体ドラム11上に潤滑剤を供給するブラシローラ15a(潤滑剤供給ローラ)、ブラシローラ15a(ブラシ毛15a2)に摺接する固形潤滑剤15b、ブラシローラ15aに対して固形潤滑剤15bを付勢する付勢部材としての圧縮スプリング15c、感光体ドラム11に当接して感光体ドラム11上に供給された潤滑剤を薄層化(均一化)する薄層化ブレード15f(均しブレード)、コイル状部材15d、等で構成される。
潤滑剤供給装置15は、クリーニング装置14(クリーニングブレード14a)に対して感光体ドラム11の回転方向下流側であって、帯電装置12に対して感光体ドラム11の回転方向上流側に配設されている。また、薄層化ブレード15fは、ブラシローラ15aに対して感光体ドラム11の回転方向下流側に配設されている。
【0029】
ここで、ブラシローラ15aは、そのブラシ毛15a2(図4参照)が感光体ドラム11の表面に接触した状態で、不図示の駆動モータによって、感光体ドラム11とともに、図2の反時計方向に回転駆動される。これにより、固形潤滑剤15bからブラシローラ15aを介して感光体ドラム11上に潤滑剤が供給される。
ブラシローラ15aは、図2の反時計方向に回転する感光体ドラム11に対してカウンタ方向(逆方向)で摺接するように回転駆動される(図2の反時計方向の回転である。)。すなわち、ブラシローラ15aの回転方向は、感光体ドラム11との摺接位置において、感光体ドラム11の回転方向(走行方向)と逆方向になるように構成されている。
また、ブラシローラ15aは、固形潤滑剤15bと感光体ドラム11とに摺接するように配置されていて、ブラシローラ15aが回転することによって固形潤滑剤15bから潤滑剤を掻き取り、その潤滑剤を感光体ドラム11上に塗布する。
また、固形潤滑剤15bの後方部には、ブラシローラ15aと固形潤滑剤15bとの接触ムラをなくすために圧縮スプリング15c(付勢部材)が配置されていて、固形潤滑剤15bをブラシローラ15aに向けて付勢している。
【0030】
ここで、ブラシローラ15aは、対象物(像担持体)としての感光体ドラム11に摺接するブラシ毛15a2(図4参照)が周設されている。図4を参照して、ブラシローラ15aは、金属材料からなる芯金15a1の外周に直毛状又はループ状のブラシ毛15a2が巻装されたローラ部材である。ブラシ毛15a2としては、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリル、ビニロン、塩化ビニル等の樹脂繊維を用いることができ、必要に応じてカーボン等の導電付与剤が混入された導電繊維を用いることができる。また、ブラシ毛15a2は、長さ(毛足)が0.2~20mm、ブラシ密度が2~10万F/inch2のものを用いることができる。
なお、本実施の形態において、潤滑剤供給装置15には、ブラシローラ15aに接触可能なコイル状部材15dが設置されているが、これについては後で詳しく説明する。
【0031】
ここで、固形潤滑剤15bは、脂肪酸金属亜鉛に無機潤滑剤を含有させて形成したものである。また、脂肪酸金属亜鉛としては、少なくともステアリン酸亜鉛を含んだものが好ましい。また、無機潤滑剤としては、タルク、マイカ、窒化ホウ素のうち少なくとも1つであることが好ましい。
ステアリン酸亜鉛は、代表的なラメラ結晶紛体である。ラメラ結晶は両親媒性分子が自己組織化した層状構造を有していて、せん断力が加わると層間にそって結晶が割れて滑りやすい。したがって、感光体ドラム11の表面を低摩擦係化することができる。すなわち、せん断力を受けて均一に感光体ドラム11の表面を覆っていくラメラ結晶によって、少量の潤滑剤によって効果的に感光体ドラム11の表面を覆うことができる。そして、感光体ドラム11の表面を比較的均等に覆い帯電工程における電気的ストレスから良好に保護できることになる。
また、タルク、マイカ、窒化ホウ素のような板状構造を有する無機潤滑剤を使用することで、クリーニング装置14(クリーニングブレード14a)でのトナーや潤滑剤のすり抜けが生じにくくなり、帯電装置12を汚れにくくすることができる。
【0032】
薄層化ブレード15fは、潤滑剤供給装置15における下流側に設置されたウレタンゴム等のゴム材料からなる板状部材であって、感光体ドラム11の表面に所定角度かつ所定圧力で当接している。そして、ブラシローラ15aによって感光体ドラム11上に供給された潤滑剤は、薄層化ブレード15fによって、感光体ドラム11上に均一かつ適量に薄層化される。
【0033】
固形潤滑剤15bをブラシローラ15aを介して感光体ドラム11の表面に塗布すると、感光体ドラム11の表面には粉体状の潤滑剤が塗布されるが、この状態のままでは潤滑性は充分に発揮されないため、薄層化ブレード15fが潤滑剤を薄層化・均一化する部材として機能することになる。薄層化ブレード15fにより、感光体ドラム11上での潤滑剤の皮膜化がおこなわれて、潤滑剤はその潤滑性を充分に発揮することになる。
なお、本実施の形態において、薄層化ブレード15fは、感光体ドラム11の走行方向(回転方向)に対してカウンタ方向にて感光体ドラム11に当接しているが、感光体ドラム11の走行方向(回転方向)に対してトレーディング方向にて感光体ドラム11に当接するように構成してもよい。
【0034】
図2にて、先に述べた作像プロセスをさらに詳しく説明する。
現像ローラ13aは、図2中の矢印方向に回転している。現像装置13内の現像剤Gは、間に仕切部材を介在するように配設された第1搬送スクリュ13b及び第2搬送スクリュ13cの矢印方向の回転によって、トナー補給部30からトナー補給口を介して補給されたトナーTとともに撹拌混合されながら長手方向(図2図3の紙面垂直方向であって、図4の左右方向である。)に循環する。
【0035】
そして、摩擦帯電してキャリアCに吸着したトナーTは、キャリアCとともに現像ローラ13a上に担持される。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その後にドクターブレード13dの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、ドクターブレード13dの位置で適量に調整された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)に達する。
【0036】
その後、現像領域において、現像剤G中のトナーTが、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像に付着する。詳しくは、レーザ光Lが照射された画像部の潜像電位(露光電位)と、現像ローラ13aに印加された現像バイアス(-500V程度である。)と、の電位差(現像ポテンシャル)によって形成される電界によって、トナーTが潜像に付着する。
【0037】
その後、現像工程にて感光体ドラム11に付着したトナーTは、そのほとんどが中間転写ベルト17上に転写される。そして、感光体ドラム11の表面に付着(残留)した未転写のトナーTが、クリーニングブレード14aやブラシローラ14bによってクリーニング装置14内に回収される。その後、クリーニング工程後の感光体ドラム11の表面は、潤滑剤供給装置15、除電装置(不図示)を順次通過して、一連の作像プロセスが終了する。
【0038】
ここで、画像形成装置本体1に設けられたトナー補給部30は、交換可能に構成されたトナーボトル31と、トナーボトル31を保持・回転駆動するとともに現像装置13に新品トナーTを補給するトナーホッパ部32と、で構成されている。また、トナーボトル31内には、新品のトナーT(図2では、イエローのトナーである。)が収容されている。また、トナーボトル31の内周面には、螺旋状の突起が形成されている。
【0039】
なお、トナーボトル31内の新品トナーTは、現像装置13内のトナーT(既設のトナーである。)の消費にともない、トナー補給口から現像装置13内に適宜に補給されるものである。現像装置13内のトナーTの消費は、現像装置13の第2搬送スクリュ13cの下方に設置された磁気センサによって間接的又は直接的に検知される。
【0040】
以下、本実施の形態におけるクリーニング装置14や潤滑剤供給装置15の、特徴的な構成・動作について説明する。
先に図2図3等を用いて説明したように、本実施の形態におけるプロセスカートリッジ10Y(画像形成装置1)には、第1のブラシローラ保持装置としてのクリーニング装置14と、第2のブラシローラ保持装置としての潤滑剤供給装置15と、が設置されている。
クリーニング装置14と潤滑剤供給装置15とは、ブラシローラ保持装置として、どちらもブラシローラ14b、15aやコイル状部材14d、15dが設置されている。そして、クリーニング装置14には搬送部材としての廃トナー搬送スクリュ14cが設置されているのに対して潤滑剤供給装置15には設置されていない点と、潤滑剤供給装置15には固形潤滑剤15bや圧縮スプリング15cが設置されているのに対してクリーニング装置14には設置されていない点と、を除き、クリーニング装置14と潤滑剤供給装置15とはほぼ同等の構成部材からなっている。そのため、以下、同等の構成や機能の説明について、一方の装置についてのみおこない、他方の装置については適宜省略する(又は、カッコ書きで符号を記載する。)。
【0041】
図2図4に示すように、本実施の形態におけるブラシローラ保持装置としてのクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)には、対象物(トナー像が担持される像担持体としての感光体ドラム11である。)に摺接可能なブラシ毛14b2(15a2)が周設されたブラシローラ14b(15a)が設けられている。
なお、潤滑剤供給装置15には、ブラシローラ15aに摺接する固形潤滑剤15bが設けられている。そして、潤滑剤供給装置15において、コイル状部材15dは、固形潤滑剤15bがブラシローラ15aに接触する位置に対して、ブラシローラ15aの回転方向上流側でブラシローラ15aに接触するように配置されている。
【0042】
また、本実施の形態におけるクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)には、螺旋状に巻回された略円筒状のコイル状部材14d(15d)が、ブラシ毛14b2(15a2)に接触可能(喰込み可能)に配置されている。
詳しくは、図4を参照して、コイル状部材14d(15d)は、長手方向両端部の中心(コイル中心)にそれぞれ支軸14d1(15d1)が設けられている。すなわち、コイル状部材14d(15d)は、長手方向両端部の支軸14d1(15d1)以外の部分は、中心(コイル中心)に軸部が存在せず、螺旋状の円筒コイル部のみで形成されている。
そして、それらの支軸14d1(15d1)がクリーニング装置14(潤滑剤供給装置15)のハウジング14k(15k)に非回転で支持されている。
なお、コイル状部材14d(15d)としては、外周面に外力が作用したときに図4の上下方向に変位しやすいものが好ましく、例えば、線径が0.5~1.5mm程度の金属材料又は樹脂材料からなる線材をコイル状に形成したものを用いることができる。
【0043】
さらに、本実施の形態におけるクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)には、コイル状部材14d(15d)を介してブラシローラ14b(15a)に対向する壁状部材14k1(15k1)が設けられている。
なお、本実施の形態において、壁状部材14k1(15k1)は、クリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)のハウジング14k(15k)における内壁面の一部である。すなわち、ハウジング14k(15k)における内壁面の一部が、壁状部材14k1(15k1)として機能している。また、本実施の形態において、壁状部材14k1(15k1)は、コイル状部材14d(15d)の外周の一部を覆うように、その外周の曲率に略合致する曲面を有している。
【0044】
ここで、本実施の形態におけるクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)において、コイル状部材14d(15d)は、ブラシローラ14b(15a)の回転に連動して、ブラシローラ14b(15a)と壁状部材14k1(15k1)との間で互いの部材14b、14k1(15a、15k1)への衝突と反発とを交互に繰り返して搖動(振動)する。
詳しくは、装置が駆動されてブラシローラ14b(15a)が回転すると、図4(A)に示すように、コイル状部材14d(15d)は、ブラシ毛14b2(15a2)に衝突する(喰込む)ように黒矢印方向に移動して、そのときに生じる反発力によって壁状部材14k1(15k1)に向かって白矢印方向に移動(反発)する。そして、図4(B)に示すように、コイル状部材14d(15d)は、壁状部材14k1(15k1)に衝突(接触)するように黒矢印方向に移動して、そのときに生じる反発力によってブラシ毛14b2(15a2)に向かって白矢印方向に移動(反発)する。以降、ブラシローラ14b(15a)が回転している間、図4(A)、(B)の動作が繰り返される。
【0045】
このように、本実施の形態では、コイル状部材14d(15d)が、ブラシローラ14b(15a)と壁状部材14k1(15k1)との間でバウンドするように搖動(振動)するため、単純にコイル状部材をブラシローラにのみ接触させる場合に比べて、ブラシローラ14b(15a)に対するコイル状部材14d(15d)の干渉の程度(フリッカ性)が大きくなる。そのため、ブラシローラ14b(15a)に付着したトナー(未転写トナーである。)や潤滑剤(感光体ドラム11に供給されなかったフレッシュでない潤滑剤である。)などの付着物を充分かつ効率的に除去することができる。したがって、クリーニング不良(又は、潤滑剤供給不良)などの不具合が生じにくくなる。
【0046】
ここで、図3図4に示すように、本実施の形態において、ハウジング内壁面である壁状部材14k1(15k1)は、コイル状部材14d(15d)が衝突する表面に、シート状弾性部材14r(15r)が設置されている。
詳しくは、シート状弾性部材14r(15r)は、緩衝性と弾性(反発性)との双方を有する発泡ポリウレタン(スポンジ)などの材料からなり、厚さが0.05~2mm程度のシート状部材である。したがって、コイル状部材14d(15d)は、図4(B)に示すように、シート状弾性部材14r(15r)を介して壁状部材14k1(15k1)に衝突・反発することになる。なお、シート状弾性部材14r(15r)は、壁状部材14k1(15k1)に両面テープなどを介して貼着されている。
このように、壁状部材14k1(15k1)にシート状弾性部材14r(15r)を設置することで、コイル状部材14d(15d)が壁状部材14k1(15k1)で反発する機能を維持しつつ、コイル状部材14d(15d)が壁状部材14k1(15k1)で衝突するときの衝突音の発生を減ずることができる。
【0047】
ここで、図3を参照して、本実施の形態において、壁状部材14k1(15k1)は、ブラシローラ14b(15a)の回転中心に直交する断面でみたときに、その回転中心とコイル状部材14d(15d)の中心(コイル中心)とを通る仮想直線S1(S2)に接する部分と、その部分からブラシローラ14b(15a)の回転方向下流側に対応する範囲と、を少なくとも含む表面に、シート状弾性部材14r(15r)が設置されている。
これは、コイル状部材14d(15d)が、ブラシローラ14b(15a)との接触部分においてブラシローラ14b(15a)の回転方向の力を受けるため、上述した仮想直線S1(S2)に沿うように搖動するのではなくて、仮想直線S1(S2)に対して回転方向下流側に傾斜する方向(図4中の両矢印で示す方向である。)に搖動するためである。
このように構成することによって、コイル状部材14d(15d)がシート状弾性部材14r(15r)を介さずに壁状部材14k1(15k1)に直接的に衝突してしまう不具合が軽減されるため、コイル状部材14d(15d)が壁状部材14k1(15k1)で衝突するときの衝突音の発生を確実に減ずることができる。
【0048】
ここで、先に説明したように、本実施の形態におけるクリーニング装置14(ブラシローラ保持装置)には、コイル状部材14dによってブラシローラ14bから除去されてクリーニング装置14の内部に回収された回収物(未転写トナーであって、廃トナーである。)を外部に排出するための廃トナー搬送スクリュ14c(搬送部材)が設置されている。
そして、本実施の形態におけるクリーニング装置14において、コイル状部材14dと壁状部材14k1(コイル状部材14dが衝突するハウジング内壁面である。)とは、クリーニング装置14の内部において回収物(未転写トナー、廃トナー)に埋没しない位置に配置されている。
このように構成することにより、ブラシローラ14bと壁状部材14k1との間でのコイル状部材14dの搖動が、装置内の回収物によって阻害されることなく、良好におこなわれることになる。
なお、本実施の形態における潤滑剤供給装置15は、装置内において潤滑剤を回収するための充分なスペースが設けられており、またコイル状部材15dが回収スペースに対して充分に高い位置に設けられているため、コイル状部材15dや壁状部材15k1が回収物(潤滑剤)に埋没しにくくなる。したがって、ブラシローラ15aと壁状部材15k1との間でのコイル状部材15dの搖動が、装置内の回収物によって阻害されることなく、良好におこなわれることになる。
【0049】
<変形例1>
図5に示すように、変形例1におけるクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)において、コイル状部材14d(15d)は、ブラシローラ14b(15a)に対する喰い込み量が、長手方向中央部に比べて長手方向両端部が大きくなるように形成されている。
具体的に、変形例1において、コイル状部材14d(15d)は、長手方向両端部の外径D2が、長手方向中央部の外径D1に比べて、大きくなるように形成されている(D2>D1)。
これは、コイル状部材14d(15d)において、長手方向両端部の支軸14d1(15d1)がハウジング14k(15k)の側部に固定支持されているため、長手方向中央部に比べて長手方向両端部の搖動(振動)の程度が低く、ブラシローラ14b(15a)に対するフリッカ性(付着物を除去する性能)が小さくなる可能性があるためである。
これに対して、変形例1では、ブラシローラ14b(15a)に対するコイル状部材14d(15d)の喰い込み量が、長手方向中央部に比べて長手方向両端部(フリッカ性が弱くなりやすい部分である。)が大きくなるように構成しているため、ブラシローラ14b(15a)に対するフリッカ性が長手方向にわたって充分かつ均一になる。
【0050】
<変形例2>
図6は、変形例2において、コイル状部材14d(15d)とブラシローラ14b(15a)のブラシ毛14b2(15a2)との接触部を、図3の仮想面S1、S2において、ブラシローラ14b(15a)の回転方向上流側から各部の比例尺を無視して模式的にみた図である。
図6に示すように、変形例2におけるブラシローラ保持装置としてのクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)において、ブラシローラ14b(15a)は、ブラシ毛14b2(15a2)が所定の倒れ方向(図6の斜め上方であって、長手方向一端側である。)に倒れるように形成されている。
そして、図6(A)に示すように、コイル状部材14d(15d)は、ブラシ毛14b2(15a2)の倒れ方向に逆らってブラシローラ14b(15a)に接触するように、コイル巻き方向(図6(A)において上方から斜め下方に向かう巻き方向である。)が定められている。
このように構成することにより、図6(B)に示すようにブラシ毛14b2(15a2)の倒れ方向にならってブラシローラ14b(15a)にコイル状部材14d(15d)が接触するようにコイル巻き方向を設定する場合に比べて、ブラシローラ14b(15a)に対するコイル状部材14d(15d)の負荷抵抗が大きくなるものの、ブラシローラ14b(15a)に対するコイル状部材14d(15d)のフリッカ性が向上することになる。
【0051】
<変形例3>
図7に示すように、変形例3におけるブラシローラ保持装置としてのクリーニング装置14は、潤滑剤供給装置としても機能するものであって、ブラシローラ14bに摺接する固形潤滑剤15bと、固形潤滑剤15bをブラシローラ14bに向けて付勢する圧縮スプリング15cと、が設置されている。このように構成されたクリーニング装置14は、ブラシローラ14bによって、感光体ドラム11上の未転写トナーを除去・回収するとともに、感光体ドラム11上に潤滑剤を塗布することになる。
そして、変形例3において、コイル状部材14dは、固形潤滑剤15bがブラシローラ14bに接触する位置に対して、ブラシローラ14bの回転方向上流側でブラシローラ14bに接触するように配置されている。そして、コイル状部材14dは、ブラシローラ14bの回転にともない(クリーニング装置14の駆動にともない)、ブラシローラ14bと壁状部材14k1(シート状弾性部材14rが貼着されている。)との間で衝突・反発を繰り返して搖動するように構成されている。
このように構成されたクリーニング装置14であっても、ブラシローラ14bに付着したトナーや潤滑剤などの付着物を充分に除去することができる。したがって、クリーニング不良や潤滑剤供給不良などの不具合が生じにくくなる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態におけるクリーニング装置14(又は、潤滑剤供給装置15)は、感光体ドラム11(対象物)に摺接可能なブラシ毛14b2(15a2)が周設されたブラシローラ14b(15a)と、ブラシ毛14b2(15a2)に接触可能に配置されて螺旋状に巻回されたコイル状部材14d(15d)と、コイル状部材14d(15d)を介してブラシローラ14b(15a)に対向する壁状部材14k1(15k1)と、が設けられている。そして、コイル状部材14d(15d)は、ブラシローラ14b(15a)の回転に連動して、ブラシローラ14b(15a)と壁状部材14k1(15k1)との間で互いの部材14b、14k1(15a、15k1)への衝突と反発とを交互に繰り返して搖動する。
これにより、ブラシローラ14b(15a)に付着したトナーや潤滑剤などの付着物を充分に除去することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、感光体ドラム11や帯電装置12や現像装置13やクリーニング装置14や潤滑剤供給装置15を一体化してプロセスカートリッジ10Yを構成して、作像部のコンパクト化とメンテナンス作業性の向上とを図っている。
これに対して、これらの構成部材を、プロセスカートリッジの構成部材とせずに、それぞれ単体で画像形成装置本体1に交換可能に設置されるように構成することもできる。特に、潤滑剤供給装置15とクリーニング装置14とがユニット化されて画像形成装置本体1に交換可能に設置されるように構成することもできるし、潤滑剤供給装置15をクリーニング装置14に対して着脱可能に構成してそれぞれ単体で画像形成装置本体1に交換可能に設置されるように構成することもできる。
そして、このような場合にも、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電装置と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像装置と、像担持体上をクリーニングするクリーニング装置と、のうち少なくとも1つと、像担持体と、が一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるユニットと定義する。
【0054】
また、本実施の形態では、壁状部材14k1、15k1をハウジング14k、15kの一部として一体的に設けたが、壁状部材14k1、15k1をハウジング14k、15kに対して別部品として独立して設けることもできる。
また、本実施の形態では、ブラシローラ15aに対して固形潤滑剤15bを付勢する付勢部材として圧縮スプリング15cを用いたが、付勢部材の構成はこれに限定されることなく、種々の形態のものを用いることもできる。
また、本実施の形態では、像担持体としての感光体ドラム11の表面に付着したトナーを除去するクリーニング装置14や、像担持体としての感光体ドラム11の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置15に対して本発明を適用したが、像担持体としての中間転写ベルト17の表面に付着したトナーを除去するクリーニング装置や、像担持体としての中間転写ベルト17の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置に対しても本発明を適用することもできる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものとほぼ同様の効果を得ることができる。
【0055】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0056】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通りの付記1~11の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
対象物に摺接可能なブラシ毛が周設されたブラシローラと、
前記ブラシ毛に接触可能に配置されて、螺旋状に巻回されたコイル状部材と、
前記コイル状部材を介して前記ブラシローラに対向する壁状部材と、
を備え、
前記コイル状部材は、前記ブラシローラの回転に連動して、前記コイル状部材と前記壁状部材との間で互いの部材への衝突と反発とを交互に繰り返して搖動することを特徴とするブラシローラ保持装置。
(付記2)
前記壁状部材は、前記コイル状部材が衝突する表面に、シート状弾性部材が設置されたことを特徴とする付記1に記載のブラシローラ保持装置。
(付記3)
前記壁状部材は、前記ブラシローラの回転中心に直交する断面でみたときに、前記回転中心と前記コイル状部材の中心とを通る仮想直線に接する部分と、前記部分から前記ブラシローラの回転方向下流側に対応する範囲と、を少なくとも含む表面に、前記シート状弾性部材が設置されたことを特徴とする付記2に記載のブラシローラ保持装置。
(付記4)
前記コイル状部材は、長手方向両端部の中心にそれぞれ支軸が設けられて、前記支軸が当該ブラシローラ保持装置のハウジングに非回転で支持されたことを特徴とする付記1~付記3のいずれかに記載のブラシローラ保持装置。
(付記5)
前記コイル状部材は、前記ブラシローラに対する喰い込み量が、長手方向中央部に比べて長手方向両端部が大きくなるように形成されたことを特徴とする付記1~付記4のいずれかに記載のブラシローラ保持装置。
(付記6)
前記コイル状部材によって前記ブラシローラから除去されて当該ブラシローラ保持装置の内部に回収された回収物を外部に排出するための搬送部材を備え、
前記コイル状部材と前記壁状部材とは、当該ブラシローラ保持装置の内部において前記回収物に埋没しない位置に配置されたことを特徴とする付記1~付記5のいずれかにに記載のブラシローラ保持装置。
(付記7)
前記対象物は、トナー像が担持される像担持体であって、
前記ブラシローラに摺接する固形潤滑剤を備え、
前記コイル状部材は、前記固形潤滑剤が前記ブラシローラに接触する位置に対して前記ブラシローラの回転方向上流側で前記ブラシローラに接触することを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載のブラシローラ保持装置。
(付記8)
前記ブラシローラは、前記ブラシ毛が所定の倒れ方向に倒れるように形成され、
前記コイル状部材は、前記倒れ方向に逆らって前記ブラシローラに接触するように、コイル巻き方向が定められたことを特徴とする付記1~付記7のいずれかに記載のブラシローラ保持装置。
(付記9)
前記壁状部材は、当該ブラシローラ保持装置のハウジングにおける内壁面の一部であることを特徴とする付記1~付記8のいずれかに記載のブラシローラ保持装置。
(付記10)
画像形成装置本体に対して着脱可能に設置されるプロセスカートリッジであって、
トナー像が担持される前記対象物としての像担持体と、
付記1~付記9のいずれかに記載のブラシローラ保持装置と、
を備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
(付記11)
前記対象物と、
付記1~付記9のいずれかに記載のブラシローラ保持装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置(画像形成装置本体)、
10Y、10M、10C、10BK プロセスカートリッジ、
11 感光体ドラム(対象物、像担持体)、
14 クリーニング装置(ブラシローラ保持装置)、
14a クリーニングブレード、
14b ブラシローラ、
14b2 ブラシ毛、
14c 廃トナー搬送スクリュ(搬送部材)、
14d コイル状部材(円筒状コイル)、
14k ハウジング(ケース)、
14k1 壁状部材(ハウジングの内壁面の一部)、
14r シート状弾性部材、
15 潤滑剤供給装置(ブラシローラ保持装置)、
15a ブラシローラ、
15a2 ブラシ毛、
15b 固形潤滑剤、
15c 圧縮スプリング(付勢部材)、
15d コイル状部材(円筒状コイル)、
15f 薄層化ブレード、
15k ハウジング、
15k1 壁状部材(ハウジングの内壁面の一部)、
15r シート状弾性部材。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開平2-309384号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7