(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158653
(43)【公開日】2023-10-30
(54)【発明の名称】濡れ性改善研磨パッドおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/22 20120101AFI20231023BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231023BHJP
【FI】
B24B37/22
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066745
(22)【出願日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】10-2022-0047693
(32)【優先日】2022-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イム、チャンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソンフン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158EB19
3C158EB21
3C158EB22
3C158EB24
3C158EB25
3C158EB28
3C158EB29
5F057AA03
5F057AA24
5F057BB03
5F057CA11
5F057CA25
5F057DA03
5F057DA38
5F057EB03
5F057EB04
5F057EB06
5F057EB07
5F057EB11
5F057EB13
5F057EB27
5F057EB30
5F057EC30
5F057FA37
5F057GA12
5F057GB02
5F057GB13
5F057GB20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】クッション層の防水性または撥水性を向上させ、CMP工程中に発生し得る吸湿を防止し得る研磨パッドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、研磨層111、接着層112およびクッション層113からなる積層体を含み、前記クッション層の吸収率が100%以下である研磨パッド110および前記研磨パッドの製造方法を開示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層、接着層およびクッション層からなる積層体を含み、
前記クッション層は、下記式(1)による吸収率が100%以下である、研磨パッド:
前記式(1)において、
W1は、前記クッション層を横および縦それぞれ35mmサイズに切断した試験片の重さ(g)であり、
W2は、前記試験片を水に24時間浸漬した後に測定した重さ(g)である。
【請求項2】
前記クッション層は基材層を含み、
前記基材層は、フッ素系樹脂またはシラン系樹脂を含むコーティング組成物から形成された表面コーティング層を含むか、または
前記基材層は、前記フッ素系樹脂または前記シラン系樹脂を含む含浸組成物で含浸された、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記表面コーティング層の厚さが80μm~120μmである、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記基材層は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびフルオロ重合体樹脂からなる群より選択される1つ以上の樹脂を含む不織布であって、
前記基材層の厚さは0.5mm~2.5mmである、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記クッション層の接触角が76°~90°である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記クッション層は、下記式(2)による乾燥圧縮率が3%~15%である、請求項1に記載の研磨パッド:
前記式(2)において、
D1およびD2は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【請求項7】
前記クッション層は、下記式(4)による乾燥圧縮弾性率が55%以下である、請求項6に記載の研磨パッド:
前記式(4)において、
前記D5は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、85gの錘で30秒間加圧した後800gの錘を追加して3分間追加加圧し、前記800gの錘を除去して1分間放置した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【請求項8】
前記クッション層は、下記式(3)による吸湿圧縮率が5.0%~6.6%である、請求項1に記載の研磨パッド:
前記式(3)において、
前記D3およびD4は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【請求項9】
前記クッション層は、下記式(5)による吸湿圧縮弾性率が60%以下である、請求項8に記載の研磨パッド:
前記式(5)において、
前記D6は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、85gの錘で30秒間加圧した後800gの錘を追加して3分間追加加圧し、前記800gの錘を除去して1分間放置した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【請求項10】
前記研磨パッドは、研磨平坦度が3.5%以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項11】
前記研磨層と前記クッション層との間の界面付着力が6.0kgf/25mm~7.7kgf/25mmである、請求項1に記載の研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、半導体の化学機械的平坦化(CMP、chemical mechanical planarization)工程に用いられる研磨パッドおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMP研磨パッドは、半導体製造工程中の化学機械的平坦化(CMP)工程において重要な役割を担う必須の材料であり、CMP性能の実現に重要な役割を担っている。前記CMP研磨パッドは、CMP工程中、均一な研磨作業によりウェーハ上の不要な部分を除去し、ウェーハ表面を平坦にする役割を果たす。
【0003】
CMP工程における機械的な研磨は、シリコンウェーハと表面に一定の粗さを有する研磨層を接触させ、これを互いに相対的に動かせることにより摩擦を起こすことによって行われ、化学的研磨は、化学的研磨剤を含むスラリーを研磨パッドとウェーハとの間に投入してウェーハ表面とスラリーとを反応させることにより行われる。
【0004】
この際、CMP研磨パッドは、研磨層、接着層およびクッション層の積層構造を有し、研磨層の表面硬化による研磨品質の低下を防止するために、研磨の際にCMP研磨パッドは常に蒸留水またはスラリーによって濡れた状態を維持せねばならない。
【0005】
ただ、研磨過程において蒸留水またはスラリーは、研磨パッドの側面または上面の一部で研磨パッド、特にクッション層に吸湿され得る。クッション層の吸湿により研磨パッドの圧縮率が局所的に減少した研磨パッドは、CMP工程が行われる際にウェーハにさらに大きい圧力を加えることとなり、ウェーハの研磨速度が不均一となり品質が低下する問題が発生し得る。特に、研磨パッドを長時間使用する場合、クッション層の吸湿現象が悪化し、中央部に比べて縁部の体積が増加し、圧縮率が著しく減少するため、ウェーハ研磨の際、中央部と縁部との研磨率の差が大きくなり、均一な研磨層を得ることが難しい。
【0006】
また、クッション層の吸湿により、CMP工程中に研磨層との接着力が弱くなって縁部において浮き現象が発生し、ひどい場合は研磨層が一部分離され研磨工程の位置を離脱することもあり得る。
【0007】
これを解決するために、従来、サブパッドの角を熱密封(特許文献1)したり、研磨パッドの縁部を防水物質でコーティング(特許文献2)したりするなどの方法が使用されていたが、このような方法によっても、表面部の吸湿による局所的な圧縮率変化および長期間使用時の研磨速度の差や接着力弱化の問題を改善できない限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1890331号
【特許文献2】韓国登録特許第10-0785604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述の問題を解決するために、本発明は以下の実現例により、クッション層の防水性または撥水性を向上させ、CMP工程中に発生し得る吸湿を防止し得る研磨パッドおよびその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実現例によると、研磨層、接着層、およびクッション層からなる積層体を含み、前記クッション層は撥水性を有し、前記クッション層は吸収率が100%以下である研磨パッドが提供される。
【0011】
他の実現例によると、クッション層を製造する段階と、研磨層における研磨面の裏面および前記クッション層の一面に接着剤を塗布する段階と、前記研磨層における研磨面の裏面と前記クッション層の一面とを高温加圧して付着させる段階とを含む、研磨パッドの製造方法であって、前記クッション層は吸収率が100%以下である研磨パッドの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
前記実現例による研磨パッドは、クッション層の防水または撥水性を向上させ、CMP工程中に発生し得る側面部または上面部における吸収率を減少させ、ウェーハ研磨の歩留まりを向上し得る。
【0013】
具体的に、前記研磨パッドは、クッション層自体に撥水性を付与して局所的な圧縮率変化を最小化することができ、クッション層自体に撥水性を付与して、長期間の研磨工程後にも研磨パッドの圧縮率変化を減少させ、研磨率の均一度、ウェーハの平坦度および生産歩留まりを向上させ得る。
【0014】
また、吸湿によるクッション層の体積変化を減少させ接着層の接着力弱化を防止して、クッション層と研磨層との間の浮き現象を防止し得るため、ウェーハ製造工程上の効率性をさらに向上させ得るので、産業上の利点を提供し得る。
【0015】
したがって、実現例による研磨パッドを用いると、スクラッチのようなウェーハ上の欠陥発生を低減することができ、研磨ムラを抑制して研磨精度を改善することができ、高品質の半導体材料を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実現例による半導体素子製造工程の概略的な工程図を示すものである。
【
図2】
図2は、一実現例による基材層が表面コーティング層を含む研磨パッドの積層構造を示すものである。
【
図3】
図3は、一実現例による基材層が含浸された研磨パッドの積層構造を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者が容易に実施できるように、実現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかしながら、実現例は、様々な異なる形態で実現することができ、本明細書で説明する実現例に限定されない。
【0018】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0019】
以下の実現例の説明において、各層、ホール、ウィンドウ、または領域などが、各層、ホール、ウィンドウ、または領域などの「上(on)」または「下(under)」に形成されるものと記載される場合において、「上」および「下」は、「直接(directly)」または「他の構成要素を介して(indirectly)」形成されるものを全て含む。
【0020】
なお、各構成要素の上/下に関する基準は、図面に基づいて説明する。図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさを意味するものではない。
【0021】
[研磨パッド]
一実現例による研磨パッドは、研磨層、接着層、およびクッション層からなる積層体を含む。
【0022】
<クッション層>
前記クッション層は、前記研磨層を支持しながら、前記研磨層にかかる衝撃を吸収して分散させる役割を果たす。
【0023】
前記クッション層は、濡れ特性が改善されたクッション層であり、前記クッション層は基材層を含み、本発明の一実現例において、クッション層の濡れ特性を改善するために、前記基材層が表面コーティング層を含み得る。
【0024】
本発明の一実現例において、前記基材層は、濡れ特性を改善するために撥水性樹脂が含浸されたものであり得る。
【0025】
本発明の一実現例において、前記基材層は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フルオロ重合体樹脂からなる群より1つ以上の樹脂を含んで形成される不織布または多孔質パッドであり得る。
【0026】
本発明の基材層を得る方法は特に限定されるものではないが、単成分紡糸、海島複合紡糸、または分割複合紡糸により得られたもの等を用い得る。また、スパンボンド、メルトブローンなどの紡糸から直接形成する長繊維不織布、抄紙法により得られる不織布や支持体上にナノ繊維を噴霧、浸漬またはコーティングして付着させたもの、織編物等が用いられ、シート状物の引張強度、製造コスト等の面から、スパンボンド法により得られる長繊維不織布が好ましい。
【0027】
前記長繊維不織布は、緻密化の観点から、乾熱または湿熱、もしくはその両方によって収縮または高密度化されることが好ましい。
【0028】
前記基材層は、空隙を含み得る。前記基材層に含まれる空隙は、オープンセルの構造を有し得る。前記基材層の空隙率は、前記研磨層の空隙率よりも大きくあり得る。
【0029】
前記基材層の厚さは、0.5mm~2.5mmであり得る。例えば、前記基材層の厚さは、0.7mm~2.3mm、0.8mm~2.0mm、1.0mm~1.6mm、1.1mm~1.5mm、1.3mm~1.4mmであり得るが、これに限定されるものではない。前記基材層の厚さが前述の範囲であるとき、クッション層に十分な研磨時の支持性能を付与し得る。
【0030】
本発明の一実現例において、前記クッション層は基材層を含み、前記基材層は、フッ素系樹脂またはシラン系樹脂を含むコーティング組成物から形成された表面コーティング層を含んでも良く、前記基材層は、フッ素系樹脂またはシラン系樹脂を含む含浸組成物に含浸されたものであり得る。
【0031】
前記コーティング組成物または含浸組成物は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、フッ素系樹脂、シラン系樹脂のうちの1つ以上により形成され得る。
【0032】
前記フッ素系樹脂は、疎水性を有する樹脂群より選択される1つ以上の樹脂で良く、末端にヒドロキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、またはアミン基を含む化合物を有する樹脂であり得る。
【0033】
前記フッ素系樹脂は、イソシアネート化合物、アルコール化合物およびフッ素系繰り返し単位を含むフッ素系化合物を含むプレポリマー組成物の共重合体であるウレタン系プレポリマーであり得るが、これに限定されるものではない。
【0034】
前記フッ素系化合物は、イソシアネートと反応してウレタンの主鎖にフッ素系繰り返し単位を導入し得る化合物が適用され得る。
【0035】
具体的に、前記フッ素系化合物は、分子内に炭素数1~10のフルオロアルキレン基、分枝にフッ素を含む酸化エチレン基、および/または炭素数1~10の炭化フッ素基を含み、末端にヒドロキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、またはアミン基を含む化合物であり得る。
【0036】
前記フッ素系化合物は、下記化学式1のフッ素系繰り返し単位を含み、少なくとも一端がヒドロキシ基、アミン基、またはエポキシ基を含むフッ素系化合物であり得る。
【0037】
[化学式1]
前記化学式1において、
前記R
11およびR
12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基およびフッ素からなる群より選択されるいずれか1つであり、前記R
11および前記R
12のうち少なくとも1つはフッ素であり、前記Lは炭素数1~5のアルキレンまたは-O-である。また、前記R
13およびR
14はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基およびフッ素からなる群より選択されるいずれか1つであり、前記R
13および前記R
14のうち少なくとも1つはフッ素である。また、前記nは0~20の整数であり、前記mは0~20の整数であり、前記nと前記mとは同時に0(ゼロ)ではない。
【0038】
具体的に、前記化学式1において、前記R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基およびフッ素からなる群より選択されるいずれか1つであり、前記R11および前記R12のうち少なくとも1つはフッ素であり、前記Lは炭素数1~5のアルキレンまたは-O-である。また、前記R13およびR14はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基およびフッ素からなる群より選択されるいずれか1つであり、前記R13および前記R14のうち少なくとも1つはフッ素である。また、前記nは0~10の整数であり、前記mは0~10の整数であり、前記nと前記mとは同時に0ではない。
【0039】
前記フッ素系化合物は、下記化学式2で表される化合物であり得る。
【0040】
[化学式2]
前記化学式2において、
前記R
11およびR
12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基およびフッ素からなる群より選択されるいずれか1つであり、前記R
11および前記R
12のうち少なくとも1つはフッ素であり、前記Lは炭素数1~5のアルキレンまたは-O-であり、前記R
13およびR
14はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基およびフッ素からなる群より選択されるいずれか1つであり、前記R
13および前記R
14のうち少なくとも1つはフッ素であり、前記nは0~20の整数であり、前記mは0~20の整数であり、前記nと前記mとは同時に0ではなく、前記R
21と前記R
22とはそれぞれ独立して、-(CH
2)m1-または-(CH
2)m2-(OCH
2CH
2)m3-(但し、m1、m2、m3はそれぞれ独立して1~20の整数)であり、前記R
41およびR
42はそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミン基、またはエポキシ基である。
【0041】
前記フッ素系化合物は、前記プレポリマー組成物の総重量を基準に、0.1重量%~4.9重量%で含まれ、2重量%~4重量%で含まれ、2.5重量%~3.5重量%で含まれ得る。前記フッ素系化合物を、前記プレポリマー組成物総重量を基準に0.1重量%未満で含む場合には、フッ素系化合物の含有による欠陥減少効果が微々たるものであり、4.9重量%を超えて含む場合には合成過程においてゲル化が起き、意図する物性を有するように合成を行うことが難しくなることがあり、撥水性が要求される程度以上に増加して研磨パッドの各層間の接着力が弱化して、研磨パッドの製造または使用時に各層が分離されるなど、研磨パッドの性能を低下させ得る。前記の含有量でフッ素系化合物を含むと、優れた欠陥減少効果を有する研磨パッドを提供し得る。
【0042】
前記シラン系樹脂は、疎水性を有する樹脂群より選択される1つ以上の樹脂であって良く、好ましくは、末端にヒドロキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、またはアミン基を含む化合物を有する樹脂であり得る。
【0043】
前記シラン系樹脂は、イソシアネート化合物、アルコール化合物およびシラン系繰り返し単位を含むシラン系化合物を含むプレポリマー組成物の共重合体であるウレタン系プレポリマーであり得るが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記シラン系化合物は、イソシアネートと反応してウレタンの主鎖にシラン系繰り返し単位を導入し得る化合物が適用され得る。
【0045】
具体的に、前記シラン系化合物は、下記化学式3のシラン系繰り返し単位を含み、少なくとも一末端がヒドロキシ基、アミン基、またはエポキシ基を含むシラン系化合物であり得る。
【0046】
[化学式3]
前記化学式3において、
前記R
11およびR
12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基であり、nは1~30の整数である。
【0047】
具体的に、前記化学式3において、前記R11およびR12はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~5のアルキル基であり、前記nは8~28の整数であり得る。
【0048】
前記シラン系化合物は、下記化学式4で表される化合物であり得る。
【0049】
[化学式4]
前記化学式4において、
前記R
11、R
12、R
13およびR
14はそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基であり、前記R
22は-(CH
2)m1-または-(CH
2)m2-(OCH
2CH
2)m3-(但し、m1、m2、m3はそれぞれ独立して1~20の整数)であり、前記R
31は炭素数1~20のアルキレン基であり、前記R
41およびR
42はそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、アミン基、またはエポキシ基であり、前記nは1~30の整数である。
【0050】
前記シラン系化合物は、前記プレポリマー組成物の総重量を基準に0.1重量%~4.9重量%で含まれ、2重量%~4重量%で含まれ、2.5重量%~3.5重量%で含まれ得る。前記シラン系化合物を、前記プレポリマー組成物の総重量を基準に0.1重量%未満で含む場合には、シラン系化合物の含有による欠陥減少効果が微々たるものであり、4.9重量%を超えて含む場合には合成過程においてゲル化が起き、意図する物性を有するように合成を行うことが難しくなることがあり、撥水性が要求される程度以上に増加し、研磨パッドの各層間の接着力が弱化して研磨パッドの製造または使用時に各層が分離されるなど、研磨パッドの性能を低下させ得る。前記の含有量で前記シラン系化合物を含むと、優れた欠陥減少効果を有する研磨パッドを提供し得る。
【0051】
前記フッ素系樹脂およびシラン系樹脂において、前記イソシアネート化合物は、p-フェニレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか1つが適用され得るが、これに限定されるものではない。
【0052】
前記フッ素系樹脂およびシラン系樹脂において、前記アルコール化合物は、ポリオール化合物または単分子アルコール化合物を1種以上含み得る。
【0053】
前記ポリオール化合物は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか1つが適用され得るが、これに限定されるものではない。
【0054】
前記単分子アルコール化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、メチルプロパンジオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるいずれか1つが適用され得るが、これに限定されるものではない。
【0055】
前記コーティング組成物として、フッ素系化合物またはシラン系化合物を含むポリウレタン樹脂を用いると、研磨パッドクッション層の水分吸収率を減少させ、長期間の研磨工程後にも研磨パッドの圧縮率および圧縮率変化を最小化して、優れた欠陥減少効果を有する研磨パッドを提供し得る。
【0056】
図2は、一実現例による研磨パッド110の積層構造を示しており、研磨層111とクッション層113とは接着層112により結合されている。また、前記クッション層113は、基材層114および表面コーティング層115を含み、前記基材層の表面に前記表面コーティング層115が形成される。
【0057】
前記表面コーティング層の製造は、クッション層を最終製品の大きさに裁断し、これをフッ素系化合物またはシラン系化合物を含むポリウレタン樹脂が入っている浴槽に浸漬して取り出し硬化させた後、乾燥させて使用するディッピング(dipping)方法により行われ得る。
【0058】
前記ディッピング方法により作製されたクッション層は、全ての面の表面がコーティングされ、水分が内部に浸透し難い構造となる。
【0059】
本発明の一実現例において、前記基材層の一面以上または全面に前記表面コーティング層が形成され得る。
【0060】
例えば、前記表面コーティング層は、基材層の上面および側面を含む2面以上の表面に形成されるか、または基材層の全面に形成され得る。
【0061】
本発明の一実現例において、前記表面コーティング層の厚さが、75μm~125μm、80μm~120μm、85μm~115μm、90μm~110μm、または95μm~105μmであり得る。
【0062】
前記表面コーティング層は、各面によって厚さが同一または異なり得る。例えば、上面に位置する前記表面コーティング層の厚さは80μm~120μmであり、側面に位置する前記表面コーティング層の厚さは80μm~120μmであり得る。
【0063】
前記表面コーティング層の厚さが前述の範囲であると、蒸留水やスラリーと接触する際、効果的に研磨パッドクッション層の吸収率を減少させることができ、研磨パッドの圧縮率および体積変化の最小化により欠陥およびスクラッチ発生を減少させ得るので、生産されるウェーハの品質を改善し得る。また、ウィンドウを含むパッドにおいては、ウィンドウの結露現象を防止して研磨パッドの使用時間を延長し得る。
【0064】
図3は、一実現例による研磨パッド110の積層構造を示す。研磨層111とクッション層113とは接着層112により結合されており、前記クッション層113は含浸された基材層116を含む。
【0065】
前記基材層の長繊維不織布を極細繊維化処理する前に、含浸によってポリウレタンを主成分とする高分子弾性体を付与することが好ましい。高分子弾性体のバインダー効果により、極細繊維が研磨布から落ちることを防止し、基材層表面に露出された際に、極細繊維および高分子樹脂が均一に分散することが可能となるためである。
【0066】
前記高分子弾性体を付与する際に使用する前記含浸組成物については前述の通りであるが、溶媒としてはN,N'-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を好ましく用いることができ、水系エマルジョン状を適用し得る。溶媒に溶解した含浸高分子樹脂溶液に不織布を浸漬して高分子弾性体を不織布に付与し、その後乾燥することにより高分子弾性体を実質的に凝固して固化させる。乾燥においては、不織布および高分子弾性体の性能が損なわれない程度の温度で加熱し得る。
【0067】
本発明のまた他の一実現例によると、前記クッション層は、含浸高分子樹脂が含浸された基材層の一面または全面に表面コーティング層がさらに形成されたものであり得る。フッ素系樹脂またはシラン系樹脂が含浸され撥水性が付与された基材層に、前記表面コーティング層まで形成されると、より優れた効果を示し得る。
【0068】
<クッション層の物性>
本発明の一実現例において、前記クッション層の接触角が76°~90°であり得る。例えば、前記クッション層の接触角は、80°~90°、82°~89°、85°~89°、84°~87°、84°~86.5°、87°~89°、または87.5°~88.5°であり得るが、これに限定されるものではない。
【0069】
接触角が前述の範囲であると、表面の表面エネルギーを下げて吸水量を最小化し得る。また、前記クッション層の接触角の変化により、パッドを製造する際に使用する接着剤との結合力が増加して、ウェーハ研磨時にデラミネーションが起こる確率が少なく、パッドの間に水が浸透する可能性を減少させ得る。
【0070】
本発明のクッション層の密度は、0.1g/cm3~0.6g/cm3、0.3g/cm3~0.5g/cm3、または0.3g/cm3~0.4g/cm3であり得る。
【0071】
前記クッション層の内部に水またはスラリーが含まれているか否かに基づいて、前記クッション層を乾燥状態のクッション層および吸湿状態のクッション層に分類する。この際、吸湿状態のクッション層は、乾燥状態のクッション層を水またはスラリーが入っている水槽に12時間~48時間浸漬して水分を吸湿させたもの、または12時間~48時間の研磨工程により水分を吸湿させたものであり得る。例えば、吸湿状態のクッション層は、乾燥クッション層を水が入っている水槽に24時間浸漬して吸湿させたものであり得るが、これに限定されるものではない。また、吸湿状態のクッション層は、乾燥クッション層を含む研磨パッドを25時間研磨工程に用いることにより、前記クッション層に水分を吸湿させたものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0072】
本発明のクッション層は、下記式(1)により導出された吸収率が100%以下であり得る。例えば、下記式(1)により導出された吸収率は、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、17%以下、15%以下、または10%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0073】
吸収率を前述の範囲に調整することにより、クッション層の圧縮率または硬度などの機械的物性の変化、電気的物性の変化、および/またはウェーハ研磨特性の変化に及ぼす影響を必要に応じて制御し得る。
【0074】
前記式(1)において、
W1は、前記クッション層を横および縦それぞれ35mmサイズに切断した試験片の重さ(g)であり、W2は、前記試験片を水に24時間浸漬した後に測定した重さ(g)である。
【0075】
本発明のクッション層は、下記式(2)による乾燥圧縮率が3%~15%、4%~13%、5%~10%、5%~8%、または5%~6%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0076】
前記式(2)において、
D1およびD2は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0077】
本発明のクッション層は、下記式(3)に対する吸湿圧縮率が5.0%~6.6%、5.0%~6.5%、5.2%~6.3%、5.3%~6.1%、5.7%~6.1%、または5.3%~5.5%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0078】
前記式(3)において、
前記D3およびD4は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0079】
前記圧縮率は、クッション層に弱い力と強い力を加えたときのクッション層の厚さ変化程度の比率をパラメータで表した値である。
【0080】
前記圧縮率が前述の範囲を満足するクッション層が適用された研磨パッドは、優れた研磨性能を確保し得る支持力を有し、被研磨体に発生するスクラッチを最小化し得る。具体的に、前記圧縮率が前述の範囲から外れるクッション層が適用された研磨パッドの場合、研磨率または研磨平坦度などの研磨性能が低下し、被研磨体にスクラッチが発生して被研磨体の品質が低下し得る。
【0081】
すなわち、前記クッション層の圧縮率が前述の範囲を満足することにより、製造された研磨パッドは、被研磨体に発生するスクラッチを最小化し得るだけでなく、研磨率および研磨平坦度に優れ、半導体装置用シリコンウェーハのように高度の表面平坦性が要求される材料を平坦化するのに容易である。
【0082】
本発明のクッション層は、下記式(4)に対する乾燥圧縮弾性率が55%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0083】
前記式(4)において、
D1およびD2は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0084】
前記D5は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、85gの錘で30秒間加圧した後800gの錘を追加して3分間追加加圧し、前記800gの錘を除去して1分間放置した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0085】
本発明のクッション層は、下記式(5)に対する吸湿圧縮弾性率が60%以下、58%以下、57%以下、56%以下、または55%以下であり得るが、これに限定されるものではない。
【0086】
前記式(5)において、
前記D3およびD4は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0087】
前記D6は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmの大きさに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、85gの錘で30秒間加圧した後、800gの錘を追加して3分間追加加圧し、前記800gの錘を除去して1分間放置した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0088】
前記圧縮弾性率は、クッション層に強い力を一定時間加えた後回復する程度に関するパラメータ値である。
【0089】
前記圧縮弾性率が前述の範囲を満足するクッション層が適用された研磨パッドは、被研磨体に発生するスクラッチを最小化するとともに、長時間使用した後も一定レベル以上の研磨性能を確保し得る。具体的に、前記圧縮弾性率が前述の範囲から外れるクッション層を用いた研磨パッドの場合、長時間使用時に研磨性能が急激に低下するなど、研磨性能が一定でないことがあり、被研磨体にスクラッチが発生して被研磨体の品質が低下し得る。
【0090】
すなわち、前記クッション層の圧縮弾性率が前述の範囲を満足する研磨パッドの場合、被研磨体にスクラッチ等の欠陥発生を最小化することができ、研磨性能を一定に保つことができ、優れた研磨率および研磨平坦度を有し得る。
【0091】
前記クッション層の圧縮率および圧縮弾性率は、前記クッション層をなす材質および組成だけでなく、前記クッション層の機械的物性、物理的構造、製造工程条件、後加工処理条件、保管/熟成条件等を総合的に調整して設計され得る。
【0092】
前記圧縮弾性率は、クッション層の吸収率に関連したものであり、吸収率が高いほどクッション層がより多量の水を吸湿することができ、クッション層を加圧する際に元の状態に復帰しようとする反発力が大きくなるので、圧縮弾性率が高くなり得る。
【0093】
前記クッション層は、下記式(6)による圧縮率変化が30%以下または20%以下であり得る。
【0094】
前記式(6)において、
D1およびD2は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0095】
D3およびD4は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0096】
前記圧縮率変化が前述の範囲を満足するとき、研磨作業時に好ましい範囲の研磨層にかかる衝撃量がクッション層に伝達され、研磨層自体の物理的エネルギーが高いので研磨率および研磨均一度が向上する。前記クッション層と研磨層とを積層使用して、所望の研磨性能を実現することができ、一定時間の研磨を行った後も研磨性能を一定に維持し得る。
【0097】
前述の範囲から外れると、クッション層に伝達されるエネルギー量は増加するが、クッション層に不均一な気孔が多いので均一にエネルギーを吸収することができないため、研磨面の平坦度が不均一になり研磨率も低くなり得る。
【0098】
<研磨層>
前記研磨層は、第1ウレタン系プレポリマー、硬化剤および発泡剤を含む研磨層組成物から製造されたものであり得る。
【0099】
プレポリマー(prepolymer)とは、一般に、最終製品を成形し易くするために重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子のことを意味する。
【0100】
プレポリマーは、それ自体でまたは他の重合性化合物と反応させた後、成形し得る。具体的に、前記第1ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて調製されたものであり、未反応イソシアネート基(NCO)を含み得る。
【0101】
前記硬化剤は、アミン化合物およびアルコール化合物のうちの1種以上であり得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1つ以上の化合物を含み得る。
【0102】
前記発泡剤は、研磨パッドの空隙形成に通常使用されるものであれば、特に制限しない。例えば、前記発泡剤は、中空構造を有する固相発泡剤、揮発性液体を用いた液相発泡剤、および不活性ガスの中から選ばれる1種以上であり得る。
【0103】
前記研磨層は空隙を含み得る。前記空隙(pore)は、クローズドセル(closed cell)の構造を有し得る。前記空隙の平均直径は、5μm~200μmであり得る。また、前記研磨層は、研磨層の総体積に対して20体積%~70体積%の空隙を含み得る。すなわち、前記研磨層の空隙率(porosity)は、20体積%~70体積%であり得る。
【0104】
前記研磨層の平均厚さは、0.8mm~5.0mm、1.0mm~4.0mm、1.0mm~3.0mm、1.5mm~2.5mm、1.7mm~2.3mm、または2.0mm~2.1mmであり得る。
【0105】
前記研磨層の硬度は、40ショアD~80ショアD、50ショアD~80ショアD、40ショアD~70ショアD、50ショアD~70ショアD、または55ショアD~65ショアDであり得る。
【0106】
前記研磨層の上面は、スラリーを維持して更新するために凹凸構造を有し得る。また、前記凹凸構造は、規則性があることが一般的であるが、スラリーの維持および更新のために特定の位置に溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることが可能である。
【0107】
前記研磨層は、所望の表面特性や厚さが得られた時点を検出して、工程を終了させる終点を決定するために利用するための透明なウィンドウを含み得る。
【0108】
光ビームは、ウィンドウを介して、加工されるウェーハの表面に誘導され、それはウィンドウを介して検出器に再び反射される。復帰信号に基づいてウェーハ表面特性が測定され得る。
【0109】
前記ウィンドウは、研磨層に第1貫通ホールを形成し、前記接着層を貫通する第3貫通ホール(任意の構成)および前記クッション層を貫通する第2貫通ホールを形成し、第1貫通ホール内にウィンドウを挿入させ周辺部を密封する方法により製造され得る。
【0110】
<接着層>
前記研磨パッドは、前記クッション層と前記研磨層との間に配置される接着層を含み得る。
【0111】
前記接着層は、前記研磨層と前記クッション層とを互いに接着させる役割をする。さらには、前記接着層は、前記研磨層の上部から研磨液が前記クッション層の下に漏れるのを抑制し得る。
【0112】
また、接着層の一部は、前記ウィンドウと前記クッション層とを接着させ得る。具体的に、前記接着層の一部は、前記ウィンドウ下面の一部と前記クッション層との間に配置され得る。また、前記接着層の一部は、前記ウィンドウの側面一部と前記クッション層との間にも配置され得る。
【0113】
前記研磨層と前記クッション層とは、接着層が使用されず互いに直接接合され得る。この際、前記ウィンドウと前記クッション層とは、接着層が使用されず互いに直接接合されるか、または接着層によって接着され得る。
【0114】
前記接着層は、ホットメルト接着剤を含み得る。前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0115】
前記接着層の厚さは、20μm~30μm、具体的に23μm~27μmであり得る。
【0116】
前記研磨パッドは、前記クッション層の下面に両面テープをさらに含んで良く、研磨パッドと定盤(platen)を接着する役割をし得る。
【0117】
[研磨パッドの製造方法]
一実現例による研磨パッドの製造方法は、クッション層を製造する段階と、研磨層の研磨面の裏面および/または前記クッション層の一面に接着剤を塗布する段階と、前記研磨層の研磨面の裏面と前記クッション層の一面とを高温加圧して付着させる段階とを含み、前記クッション層は下記式(1)による吸収率が100%以下である。
【0118】
前記式(1)において、
W1は、前記クッション層を横および縦それぞれ35mmサイズに切断した試験片の重さ(g)であり、
W2は、前記試験片を水に24時間浸漬した後に測定した重さ(g)である。
【0119】
具体的に、前記W1は、乾燥状態のクッション層の重さ(g)であり、前記W2は、前記クッション層を水に24時間浸漬した後に測定した重さ(g)であり得る。
【0120】
前記クッション層を製造する段階は、具体的に、前記クッション層が基材層を含み、前記基材層にフッ素系樹脂またはシラン系樹脂を含むコーティング組成物から表面コーティング層を形成してクッション層を製造する方法、または前記基材層に、フッ素変性ポリウレタン樹脂またはシラン変性ポリウレタン樹脂を含む樹脂を含浸してクッション層を製造する方法のうちの1つ以上を含むものであり得る。
【0121】
前記研磨層は、市販の研磨層を使用するか、または通常の方法によりウレタン系プレポリマー、硬化剤および発泡剤を順次または同時混合して組成物を製造する段階と、前記組成物をモルド内に注入して硬化させる段階と等により製造することができ、また、前記製造方法は、得られた研磨パッドの表面切削工程および研削工程、表面に溝(groove)を加工する工程などをさらに含み得る。
【0122】
その後、前記研磨層に打ち抜き(punching)工程により第1貫通ホールが形成され得る。前記クッション層に打ち抜き工程により第2貫通ホールが形成され得る。
【0123】
また、前記研磨層と前記クッション層とが互いに接合される際、前記研磨層の第1貫通ホールと前記クッション層の第2貫通ホールとが互いに対応するように整列され得る。
【0124】
前記研磨層と前記クッション層とは互いに接着され、前記研磨層と前記クッション層との間に配置された第1接着層により行われ得る。具体的に、前記研磨層の下面または前記クッション層の上面に第1接着層を配置し、前記研磨層と前記クッション層とを前記第1接着層により接着し得る。
【0125】
前記第1接着層は、前述のようにホットメルト接着剤を含み、前記研磨層と前記クッション層とは熱および/または圧力を加えて互いに接着され得る。
【0126】
前記第1貫通ホール内にウィンドウが挿入される。
その後、前記ウィンドウは、前記クッション層に接着され得る。具体的に、前記ウィンドウは、前記第1貫通ホール内に挿入されると同時に、前記クッション層に接着され得る。すなわち、前記ウィンドウは、前記第1接着層の一部によって前記クッション層に接着され得る。前記ウィンドウは、熱および/または圧力によって前記クッション層に接着され得る。
【0127】
<研磨パッドの物性>
このように製造された研磨パッドは、クッション層のサブパッドの撥水性に優れるため、CMP等の研磨過程における上面または側面における精製水またはスラリーの吸湿を抑制し得る。具体的に、クッション層の外側周縁部の周りの角および終点検出のために使用されるクッション層の貫通ホールの角における精製水またはスラリーの吸湿を抑制または防止するものであり得る。
【0128】
また、前記研磨パッドは、前記ウィンドウと前記研磨層の貫通ホールとの間でスラリー漏れが発生しても、クッション層への精製水またはスラリーの吸湿を抑制することができ、クッション層の湿潤による圧縮率変化を防止し得る。
【0129】
本発明の研磨パッドの乾燥圧縮率は、1.0%~2.5%であり得る。例えば、前記研磨パッドの乾燥圧縮率は、1.2%~2.3%、1.4%~2.1%、または1.5%~1.9%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0130】
本発明の研磨パッドの吸湿圧縮率は、0.8%~1.7%であり得る。例えば、前記研磨パッドの吸湿圧縮率は、0.9%~1.7%、1.0%~1.6%、1.1%~1.6%、1.1%~1.4%、または1.5%~1.6%であり得るが、これに限定されるものではない。
【0131】
乾燥圧縮率および吸湿圧縮率が前述の範囲を満足する積層体が適用された研磨パッドは、被研磨体に発生するスクラッチを最小化するとともに、優れた研磨性能を確保し得る支持力を有し得る。
【0132】
本発明の一実現例において、前記研磨パッドは、下記式(7)による圧縮率変化が50%以下であり得る。例えば、前記研磨パッドは、下記式(7)による圧縮率変化が40%以下、30%以下、20%以下、または10%以下であり得る。
【0133】
前記式(7)において、
P1およびP2は、前記研磨パッドを横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片に、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間加圧した後の厚さ(μm)であり、
P3およびP4は、前記研磨パッドを横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を水の入っている水槽に24時間浸漬した後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間加圧した後の厚さ(μm)である。
【0134】
圧縮率変化が前述の範囲に属すると、研磨作業の際に好ましい範囲の研磨層に加えられる衝撃量がクッション層に伝達され、研磨層自体の物理的エネルギーが高いため研磨率および研磨均一度を向上させ得るので、品質に優れる。
【0135】
前記研磨パッドの界面付着力は、各研磨層と各クッション層との間の界面付着力を180°剥離強度(peel strength)法により万能試験機(UTM)装置を用いて測定し、前記界面付着力は、6.0kgf/25mm~7.7kgf/25mm、6.3kgf/25mm~7.7kgf/25m、6.3kgf/25mm~7.5kgf/25mm、6.5kgf/25mm~7.5kgf/25mm、または6.8kgf/25mm~7.4kgf/25mmであり得る。
【0136】
クッション層のコーティングまたは含浸に起因して前記界面付着力が減少し得るが、前記界面付着力が前述の範囲に属すると、研磨工程の際に求められる研磨パッドの十分な接着力を提供することができ、研磨工程中に研磨層が一部分離され研磨工程の位置を離脱することを防止し得る。
【0137】
本発明の研磨パッドの研磨率は、2500Å/分~3000Å/分であり得る。
【0138】
本発明の一実現例において、前記研磨パッドは、下記式(8)による研磨平坦度が3.5%以下であり得る。例えば、前記研磨パッドは、下記式(8)による研磨平坦度が3.0%以下、2.5%以下、2.4%以下、または2.3%以下であり得る。
【0139】
式(8):研磨平坦度(%)=(研磨された厚さの標準偏差(Å)/平均研磨厚さ(Å))×100
【0140】
前記研磨パッドの研磨平坦度が前述の範囲であると、高度の表面平坦性が求められる被研磨体の表面を平坦化するのに容易であり、優れた品質の半導体材料を提供し得る。
【0141】
本発明の研磨パッドの耐久性について、25時間の研磨工程を完了した後、研磨パッドを目視で観察すると、研磨面においてバブルや破れ現象などが観察されない。
【0142】
本発明の研磨パッドは、エネルギーの均一な伝達により、本発明の研磨パッドを用いて製造されたシリコンウェーハの欠陥を減少させることができ、例えば、85%以上、88%以上、または92%以上欠陥発生を減少させ得る。
【0143】
本発明の研磨パッドで25時間の研磨工程を完了した後の欠陥発生数(defect)は3個以下であり得る。具体的に、欠陥発生数は2個以下、1個以下、または0個であり得る。
【0144】
本発明の研磨パッドは、切削率、研磨率などが既存の研磨パッドと同等のレベルを維持し、欠陥発生程度を著しく低下させ得るので、欠陥によるシリコンウェーハの不良率を著しく減少させ得る。
【0145】
(実施例)
前記の内容を下記実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するためのものであるのみ、実施例の範囲がこれらにのみ限定されるものではない。
【0146】
<クッション層の製造>
(製造例1~3)
ポリエステル繊維不織物にポリウレタン樹脂(脂肪族ジイソシアネート1.0モルに対して平均分子量3000のポリテトラメチレングリコール0.7モルおよび脂肪族ジアミン0.3モルからなるポリウレタン樹脂100重量部を乳化剤5重量部とともに水に分散)を含浸した後、130℃のオーブンにて硬化し乾燥して、全体の厚さがそれぞれ1.6mm、1.4mmおよび1.0mmのシートを製造した。
【0147】
(製造例4~6)
前記製造例1~3のシートの一面に、前記製造例1で用いられたポリウレタン樹脂100重量部にフッ素系樹脂(Solvay社、Fluorolink(登録商標)E10-H)3重量部を添加した水溶液をディッピング法により塗布し、130℃のオーブンにて硬化した後、乾燥して、100μm厚のコーティング層をそれぞれ形成した。
【0148】
(製造例7~9)
ポリエステル繊維不織物を、前記製造例1で用いられたポリウレタン樹脂にシラン系樹脂(Wacker社、IM11)3重量部を添加した水溶液に含浸した後、130℃のオーブンにて硬化して乾燥させ、全体の厚さがそれぞれ1.6mm、1.4mmおよび1.0mmのシートを製造した。
【0149】
前記製造例4~9では、コーティング層にフッ素系樹脂を用い、および含浸にシラン系樹脂を用いたが、コーティング層にシラン系樹脂を用い、および含浸にフッ素系樹脂を用いても良い。
【0150】
<研磨パッドの製造>
(実施例1)
研磨層の研磨面の裏面に熱融着接着剤としてポリウレタン系接着剤(YOUNGCHANG CHEMICAL社、HMF27)を27μmの厚さで塗布し、前記製造例1~9のクッション層の一面に前記熱融着接着剤を27μmの厚さで塗布した。次いで、研磨層の研磨面の裏面が前記製造例4のクッション層の一面と当接するように配置した後、120℃の条件下で加圧ローラを用いて算術厚さの50%ギャップ(Gap)を基準に加圧して、研磨層とクッション層とを付着した。次いで、25℃の条件下で24時間配置して後処理することにより、研磨パッドを製造した。
【0151】
(実施例2~6および比較例1~3)
前記製造例4のクッション層の代わりに、下記表4のように前記製造例1~3および5~9のクッション層を用いたことを除いて、前記実施例1と同様の方法により研磨パッドを製造した。
【0152】
(実験例)
<硬度>
製造例1~9で製造されたクッション層サンプルを5cm×5cmに裁断し、上面および下面に、PSA(PET基材(厚さ50μm)の両面に接着力2200gf/inch以上の)アクリル接着剤が塗布され、PETライナーの厚さが75μmであるアクリル接着テープを用いて、試験用接着層を形成した。温度25℃にて12時間保管した後、硬度計を用いてアスカーC硬度を測定した。
【0153】
<圧縮率および圧縮弾性率>
製造例1~9で製造されたクッション層サンプルについて、横および縦それぞれ25mmサイズの試験片を縁部30mm位置で採取した後、上面および下面に、PSA(PET基材、厚さ50μm)の両面に接着力2200gf/inch以上の)アクリル接着剤が塗布され、PETライナーの厚さが75μmであるアクリル接着テープを用いて試験用接着層を形成した。
【0154】
また、実施例1~6および比較例1~3で製造された研磨パッドサンプルについては、横および縦それぞれ25mmサイズの試験片を縁部30mm位置で採取して試験片を製造した。無負荷状態で各試験片のダイヤルゲージ(Dial Gauge)を測定し、85gの標準錘で加圧して30秒経過したときに第1厚さ(D1)を測定し、前記標準錘で30秒間加圧した試験片に800gの錘を追加した加圧条件(合計885g)を設定した後、3分が経過したときに第2厚さ(D2)を測定した。その後、下記式(2)を用いて乾燥圧縮率(%)を導出した。
【0155】
前記式(2)において、
D1およびD2は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けた後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0156】
そして、前記加圧条件で800gの錘を除去して1分間放置した後、第3厚さ(D5)を測定し、下記式(4)を用いて乾燥圧縮弾性率(%)を導出した。
【0157】
前記式(4)において、
前記D5は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に接着テープを貼り付けた後、85gの錘で30秒間加圧した後800gの錘を追加して3分間追加加圧し、前記800gの錘を除去して1分間放置した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0158】
吸湿圧縮率および吸湿圧縮弾性率については、前記試験片を水の入っている水槽に24時間浸漬して水分を十分に吸湿させた後取り出して両面の水分を除去した後、それぞれの第1厚さ(D3)、第2厚さ(D4)、第3厚さ(D6)を測定した後、吸湿圧縮率および吸湿圧縮弾性率を下記式(3)および式(5)により導出した。
【0159】
前記式(3)において、
前記D3およびD4は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、それぞれ85gの錘で30秒間加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)および800gの錘を追加して3分間追加加圧した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0160】
前記式(5)において、
前記D6は、前記クッション層を横および縦それぞれ25mmサイズに切断した試験片を基準に、前記試験片の上・下面に粘着テープを貼り付けて水に24時間浸漬した後、85gの錘で30秒間加圧した後、800gの錘を追加して3分間追加加圧し、前記800gの錘を除去して1分間放置した後に測定した前記試験片の厚さ(μm)である。
【0161】
<吸収率>
製造例1~9で製造されたクッション層サンプルについて、横および縦それぞれ35mmサイズの試験片の重さ(W1)を測定し、水の入っている水槽に24時間浸漬して水分を十分に吸湿させた。その後、試験片を取り出して重さ(W2)を測定し、下記式(1)を用いて吸収率(%)を計算した。
【0162】
前記式(1)において、
W1は、前記クッション層を横および縦それぞれ35mmサイズに切断した試験片の重さ(g)であり、
W2は、前記試験片を水に24時間浸漬した後に測定した重さ(g)である。
【0163】
<接触角>
標準試験法(ASTM D 5946)により、製造例1~9で製造されたクッション層の表面に水滴を滴下し、その水滴がクッション層の表面と接触する縁に対する仮想の接線と、クッション層の表面間の角度とを、接触角測定器(DST-60)により測定した。
【0164】
<界面付着力>
実施例1~6および比較例1~3で製造されたそれぞれの研磨パッドについて、各研磨層と各クッション層との間の界面付着力を、180°剥離強度(peel strength)法により万能試験機(UTM)装置を用いて測定した。この際、試験片は、横×縦が25mm×300mmの大きさに切断し、グリップ(grip)を握る位置は、各試験片の50mm程度の余裕を置いて測定し、試験速度は300mm/分下で測定した。
【0165】
実施例および比較例の研磨パッドを使用する研磨条件は、下記表1の通りである。
【0166】
【0167】
前記実施例1~6、および比較例1および3で製造された研磨パッドについて下記のように物性を測定および評価し、その結果を下記表4に示す。
【0168】
<研磨率>
CMP研磨装置を用いて、実施例1~6および比較例1~3で製造された研磨パッドを貼り付けた定盤上にPETEOSウェーハをセットした。その後、研磨荷重が3.5psiとなるように調整し、研磨パッド上にTSO-12(Advantech Korea社)スラリーを190ml/分の速度で投入しながら定盤を93rpmで30秒間回転させて研磨した。研磨後、シリコンウェーハをキャリアから取り外し、回転式脱水機(spin dryer)に取り付けて精製水(DIW)で洗浄した後、空気で15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウェーハを、接触式面抵抗測定装置(4点プローブ)を用いて研磨前後の厚さの差を測定した。その後、下記式を用いて研磨率を計算した。
研磨率(Å/分)=シリコンウェーハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(分)
【0169】
<研磨平坦度>
実施例1~6および比較例1~3で製造された研磨パッドについて、前記研磨率の測定方法と同じ条件で研磨工程を行った後、98カ所のウェーハ面内膜厚を測定して、下記式(8)により研磨平坦度(WIWNU:Within Wafer Non Uniformity、%)を導出した。
【0170】
式(8):研磨平坦度(%)=(研磨された厚さの標準偏差(Å)/平均研磨厚さ(Å))×100
【0171】
<耐久性>
実施例1~6および比較例1~3で製造された研磨パッドについて、前記研磨率の測定方法と同じ条件で研磨工程を行うが、研磨時間を25時間にした後、研磨完了後の研磨パッドについて研磨面上のバブルの発生有無、研磨パッドの破れ現象等があるかを目視で観察した。
【0172】
<表面欠陥数>
実施例1~6および比較例1~3で製造された研磨パッドを用いて研磨工程を行った後、欠陥検査装置(AIT XP+、KLA Tencor社)を用いて研磨の後ウェーハ表面に現れる残渣(residue)、スクラッチ(scratch)およびチャッタマーク(chatter mark)を測定した(条件:閾値150、ダイフィルター閾値280)。
【0173】
具体的に、研磨後、シリコンウェーハをクリーナー(Cleaner)に移動させ、1%HFと精製水(DIW)、1%H2NO3、および精製水(DIW)をそれぞれ用いて10秒ずつ洗浄した。その後、スピンドライヤーに移動させ精製水(DIW)で洗浄した後、窒素により15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウェーハを、前記欠陥検査装置を用いて研磨前後の欠陥(defect)変化を測定した。
【0174】
【0175】
【0176】
前記表2および表3に示すように、製造例4~9のクッション層は、製造例1~3のクッション層に比べて吸収率(吸収時の重さ変化率)が著しく減少し、圧縮率の変化も著しく減少した。また、表面コーティングの際に表面接触角が上昇して、表面に疎水性の性質を付与し得る。
【0177】
表面コーティングまたは含浸により撥水性を有する製造例4~9は、乾燥および吸湿状態で類似の値の圧縮率および圧縮弾性率を示すが、撥水性を有しない製造例1~3は、乾燥および吸湿状態において類似の値の圧縮率および圧縮弾性率の変化が大きく現れる。これは、製造例1~3が水分を吸収した状態では膨張して初期厚さが相対的にさらに厚くなり、製造例1~3の圧縮前後の厚さ差が大きいためである。
【0178】
【0179】
前記表4から分かるように、実施例1~6の研磨パッドは、比較例1~3の研磨パッドに比べて乾燥および吸湿状態の圧縮率の変化が少なく、研磨層自体の物理的エネルギーが高くなり、研磨率および研磨平坦度に優れることが確認できた。
【0180】
また、一定時間の研磨後の研磨パッドについて、研磨面上のバブルの発生有無、研磨パッドの破れ現象などが目視で観察されず、表面欠陥数が著しく減少して、優れた欠陥減少効果を有する研磨パッドを提供し得る。
【符号の説明】
【0181】
110:研磨パッド
120:定盤
130:半導体基板
140:ノズル
150:研磨スラリー
160:研磨ヘッド
170:コンディショナー
111:研磨層
112:接着層
113:クッション層
114:基材層
115:表面コーティング層
116:含浸された基材層