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特開2023-158662逆浸透膜モジュールを収容したベッセルを備える水処理装置
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  • 特開-逆浸透膜モジュールを収容したベッセルを備える水処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158662
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】逆浸透膜モジュールを収容したベッセルを備える水処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/08 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
B01D61/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066208
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅和
(72)【発明者】
【氏名】長沼 大起
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA25A
4D006LA10
4D006PA01
4D006PB05
4D006PB06
4D006PC01
4D006PC41
(57)【要約】
【課題】 逆浸透膜モジュールの交換作業を容易にすることの可能な逆浸透膜モジュールのベッセルを提供する。
【解決手段】 逆浸透膜モジュールのベッセル1は、円筒状の下側部材2Aと上側部材2Bとからなり、下側部材2Aと上側部材2Bの開口端部には位置合わせ用のマーキング3A,3Bがそれぞれ付されている。この下側部材2Aと上側部材2Bとは、両者の接合面にOリング5を介在させて、クランプ4により高耐圧接続構造としてのヘルール構造で接続されている。下側部材2Aの下端には、側部に給水管が接続する給水部材6が接続されているとともに下部に処理水出口部材7が接続されている。また、上側部材2Bの頂部には、ブライン配管が接続する排出部材8が接続されている。そして、このベッセル1内に逆浸透膜モジュール9が収容されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜モジュールを長手方向から収容し、縦方向に設置される逆浸透膜モジュールのベッセルであって、
該ベッセルが長手方向に分割可能となっている、逆浸透膜モジュールのベッセル。
【請求項2】
前記逆浸透膜モジュールのベッセルの分割箇所が該逆浸透膜モジュールのベッセルの略中央である、請求項1に記載の逆浸透膜モジュールのベッセル。
【請求項3】
前記逆浸透膜モジュールを収容して縦方向に設置した逆浸透膜モジュールの上部を分割箇所から分離することで、前記逆浸透膜モジュールを前記ベッセルから取り出し可能となっている、請求項2に記載の逆浸透膜モジュールのベッセル。
【請求項4】
前記逆浸透膜モジュールのベッセルの分割箇所が高耐圧接続構造により接続されている、請求項1又は2に記載の逆浸透膜モジュールのベッセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜モジュールを縦方向に設置して使用する水処理装置における逆浸透膜モジュールのベッセルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、化粧品の製造、電子部品、精密機器の洗浄等においては、不純物を含まない高純度の純水が使用される。この種の純水を製造する装置として、純水製造装置等の水処理装置が用いられることがある。この水処理装置では、純水は、地下水、水道水等の原水を、逆浸透膜(RO膜)モジュールを備えた水処理装置で膜分離処理することにより製造することが汎用的に行われている。
【0003】
この逆浸透膜(RO膜)モジュールを備えた水処理装置を図7に概略的に示す。図7において、水処理装置21は、天板23と脚部24とを備えた枠体22内に1個の逆浸透膜モジュール26を収容したベッセル25を縦方向に配置した構造を有する。そして、このベッセル25の給水部材27に給水管(図示せず)を接続して給水(原水)Wを供給すると、この原水Wは逆浸透膜モジュール26で処理されて、処理水(純水)W1を処理水出口部材28から吐出するとともに、濃縮水W2をブライン配管(図示せず)に接続した排出部材29から排出する。
【0004】
この水処理装置1では逆浸透膜モジュール26は、原水Wの処理量や水質に応じて定期的(例えば2~3年/回)に交換している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような水処理装置21において、逆浸透膜モジュール26を交換する場合、ベッセル25が縦方向に設置されているので、天板23を開成してベッセル25の上部を開放し、排出部材29からブライン配管のジョイントを解除したら、ベッセル25ごと上側に引き抜くようにして水処理装置21から取り外し、このベッセル25を作業台にて横置した状態で固定し、排出部材29を含む頂部を外して、ベッセル25から逆浸透膜モジュール26を取り出して交換している。
【0006】
しかしながら、ベッセル25は全長が100cmを超えることもあるため、ベッセル25を水処理装置21から引き抜くには、作業台などを使用して複数人で行わなければならない。さらに、逆浸透膜モジュール26を交換した後、再度水処理装置21内にベッセル25を縦方向に設置する必要があり、その交換作業の工程数が多く、煩雑で作業時間を要する、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、逆浸透膜モジュールを縦方向に設置して使用する水処理装置における逆浸透膜モジュールの交換作業を容易にすることの可能な逆浸透膜モジュールのベッセルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、逆浸透膜モジュールを長手方向から収容し、縦方向に設置される逆浸透膜モジュールのベッセルであって、該ベッセルが長手方向に分割可能となっている、逆浸透膜モジュールのベッセルを提供する(発明1)。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、ベッセルを長手方向に分割可能とすることで、上側のベッセルを取り外すことで、逆浸透膜モジュールの上部が露出するので、ベッセルごと取り外す必要なく、逆浸透膜モジュールを抜き出すことができ、これにより逆浸透膜モジュールの交換作業を簡単に行うことができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記逆浸透膜モジュールのベッセルの分割箇所が該逆浸透膜モジュールのベッセルの略中央であることが好ましい(発明2)。上記発明(発明2)においては、前記逆浸透膜モジュールを収容して縦方向に設置した逆浸透膜モジュールの上部を分割箇所から分離することで、前記逆浸透膜モジュールを前記ベッセルから取り出し可能となっていることが好ましい(発明3)。
【0011】
かかる発明(発明2,3)によれば、ベッセルを長手方向に分割して上側のベッセルを取り外すと、逆浸透膜モジュールの略上半分が露出するので、ベッセルごと取り外す必要なく、逆浸透膜モジュールを抜き出すことができる。
【0012】
また、上記発明(発明1,2)においては、前記逆浸透膜モジュールのベッセルの分割箇所が高耐圧接続構造により接続されていることが好ましい(発明4)。
【0013】
かかる発明(発明4)によれば、ベッセルの分割箇所をヘルール構造などの高耐圧接続構造で接続することにより、分割箇所における水密性を維持しつつ、簡単に分割することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の逆浸透膜モジュールのベッセルは、略中央で長手方向に分割可能となっているので、上側のベッセルを取り外すことで、逆浸透膜モジュールの上部が露出するため、ベッセルごと取り外す必要なく、逆浸透膜モジュールを抜き出すことができる。このような逆浸透膜モジュールのベッセルを採用することにより、逆浸透膜モジュールの交換作業の作業を簡略化することができ、作業負荷の軽減及び作業時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルを示す縦断面図である。
図2】前記実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルを設置した水処理装置を示す概略図である。
図3】前記実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルにおける逆浸透膜モジュールの取り外し工程を示す概略図である。
図4】前記実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルにおける逆浸透膜モジュールの取り外し工程を示す概略図である。
図5】前記実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルにおける逆浸透膜モジュールの取り付け工程を示す概略図である。
図6】前記実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルにおける逆浸透膜モジュールの取り付け工程を示す概略図である。
図7】従来の逆浸透膜モジュールのベッセルを設置した水処理装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の逆浸透膜モジュールのベッセルについて添付図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<逆浸透膜モジュールのベッセル>
図1は、本発明の一実施形態による逆浸透膜モジュールのベッセルを示している。この逆浸透膜モジュールのベッセル1は、円筒状の下側部材2Aと上側部材2Bとを接合してなり、下側部材2Aと上側部材2Bの開口端部(接合部)には位置合わせ用のマーキング3A,3Bがそれぞれ付されている。この下側部材2Aと上側部材2Bとは、両者の接合面にOリング5を介在させて、クランプ4により高耐圧接続構造としてのヘルール構造で接続されている。
【0018】
このようなベッセル1において、下側部材2Aの下端には、側部に給水管(図示せず)が接続する給水部材6が接続されているとともに下部に処理水出口部材7が接続されている。また、上側部材2Bの頂部には、ブライン配管(図示せず)が接続する排出部材8が接続されている。そして、このベッセル1内に逆浸透膜モジュール9が収容されている。
【0019】
<水処理装置>
上述したような逆浸透膜モジュール9を内在したベッセル1を有する水処理装置の一例を図2に概略的に示す。図2において、水処理装置11は、天板13と脚部14とを備えた枠体12内にベッセル1を縦方向に配置した構造を有する。そして、このベッセル1の給水部材6に給水管(図示せず)を接続して給水(原水)Wを供給すると、この原水Wは逆浸透膜モジュール9で処理されて、処理水出口部材7から処理水(純水)W1を吐出するとともに、濃縮水W2をブライン配管(図示せず)が接続した排出部材8から排出する。
【0020】
<逆浸透膜モジュールの交換方法>
このような水処理装置11の運転を継続して処理水量が増大すると次第に逆浸透膜モジュール9のろ過性能が低下するので、該逆浸透膜モジュール9を交換する必要が生じる。この際のベッセル1内に収容した逆浸透膜モジュール9の交換方法について以下説明する。
【0021】
(逆浸透膜モジュールの取り外し工程)
まず、図1に示すベッセル1の中央のクランプ4を取り外し、下側部材2Aと上側部材2Bとの接続を解除する(図3)。そして、排出部材8に接続しているブライン配管のジョイントを取り外す。次に水処理装置11の天板13を開成し、ベッセル1の上部空間を開放したら上側部材2Bを引き抜く。
【0022】
これにより図4に示すように逆浸透膜モジュール9の略上半分が露出するので、この逆浸透膜モジュール9を引き抜くことで取り外す。
【0023】
(逆浸透膜モジュールの取り付け工程)
このようにして逆浸透膜モジュール9を取り外したら、図5に示すように交換用の逆浸透膜モジュール9を下側部材2Aに挿入する。この交換用の逆浸透膜モジュール9としては、新品の逆浸透膜モジュールや逆浸透膜モジュールを洗浄してろ過性能を回復させたリユース品などを用いることができる。
【0024】
これにより逆浸透膜モジュール9の略上半分が露出した状態となるので、図6に示す様に下側部材2Aと上側部材2Bの位置合わせ用のマーキング3A,3Bの位置を確認しながら、上側部材2Bを被せる。そして、排出部材8にブライン配管の位置を合せ、下側部材2Aと上側部材2Bとをクランプ4により、ヘルール構造で接続する。最後に排出部材8とブライン配管とをジョイントにより接続することで、逆浸透膜モジュール9の取り付けを完了する。
【0025】
上述したような本実施形態の逆浸透膜モジュール9のベッセル1は、下側部材2Aと上側部材2Bとに分割可能となっているので、上側部材2Bを取り外すことで、逆浸透膜モジュール9の上部が露出するので、ベッセルごと取り外す必要なく、逆浸透膜モジュール9を容易に抜き出して交換することが可能となっている。特に本実施形態においては、下側部材2Aと上側部材2Bとの分割箇所が高耐圧接続構造により接続されているので、下側部材2Aと上側部材2Bとの接続箇所における水密性を維持しつつ、簡単に分割することが可能となっている。
【0026】
以上、本発明について前記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、ベッセル1を取り付ける水処理装置11としては、図2に示すものに限らず、種々の装置構成のものを用いることができきる。例えば、活性炭カートリッジや非再生式の混床式イオン交換樹脂カートリッジなどを備えた水処理装置についても同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 逆浸透膜モジュールのベッセル
2A 下側部材
2B 上側部材
3A,3B 位置合わせ用マーキング
4 クランプ
5 Oリング
6 給水部材
7 処理水出口部材
8 排出部材
9 逆浸透膜モジュール
11 水処理装置
12 枠体
13 天板
14 脚部
W 給水(原水)
W1 処理水(純水)
W2 濃縮水
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜モジュールを収容したベッセルを備える水処理装置であって、
天板及び脚部を備えた枠体と、
前記枠体内に縦方向に設置されたベッセルと、
前記ベッセルに長手方向から収容された逆浸透膜モジュールと、
前記ベッセルの下方側部に位置し、前記逆浸透膜モジュールに原水を供給するための給水部材と、
前記ベッセルの下部に位置し、前記逆浸透膜モジュールの処理水を排出するための処理水出口部材と、
前記ベッセルの上部に位置し、前記逆浸透膜モジュールの濃縮水を排出するための排出部材と、
を備え、
前記ベッセルが長手方向の分割箇所において上側部材と下側部材とに分割可能に構成されている水処理装置
【請求項2】
前記分割箇所が前記ベッセルの長手方向における中央近傍に位置する、請求項1に記載の水処理装置
【請求項3】
前記ベッセル前記上側部材前記下側部材から分離することで、前記逆浸透膜モジュールを前記ベッセルから取り出し可能に構成されている、請求項1又は2に記載の水処理装置
【請求項4】
前記分割箇所において前記上側部材と前記下側部材とが高耐圧接続構造により接続されている、請求項1又は2に記載の水処理装置