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特開2023-158793加工廃液処理装置及び加工液循環装置
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  • 特開-加工廃液処理装置及び加工液循環装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023158793
(43)【公開日】2023-10-31
(54)【発明の名称】加工廃液処理装置及び加工液循環装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/12 20060101AFI20231024BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20231024BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231024BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20231024BHJP
   C02F 1/38 20230101ALI20231024BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20231024BHJP
   C02F 9/00 20230101ALI20231024BHJP
   B04C 5/04 20060101ALI20231024BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20231024BHJP
【FI】
B24B55/12
B23Q11/00 U
H01L21/304 631
H01L21/78 F
C02F1/38
C02F1/32
C02F9/12
B04C5/04
C02F1/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022068791
(22)【出願日】2022-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】大頭 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 怜
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
4D025
4D037
4D053
5F057
5F063
【Fターム(参考)】
3C011BB32
3C047FF01
3C047FF03
3C047FF11
3C047GG13
3C047GG17
3C047GG18
4D025AA03
4D025BA07
4D025BB10
4D025CA04
4D025DA04
4D025DA10
4D037AA12
4D037AA13
4D037AB02
4D037AB03
4D037BA18
4D037BA28
4D037BB01
4D037BB02
4D037CA02
4D037CA15
4D053AA03
4D053AB04
4D053BA07
4D053BB02
4D053BC01
4D053BD01
4D053CA01
5F057AA33
5F057BA11
5F057DA11
5F057DA14
5F057FA43
5F063AA26
5F063DD01
5F063DD34
5F063DD58
5F063FF21
(57)【要約】
【課題】小型な構造で効率的に加工廃液から加工屑を除去できる加工廃液処理装置を得る。
【解決手段】加工廃液を溜める廃液タンク(11、40)から廃液ポンプ(12、41)で汲み上げられた加工廃液の加工屑を除去する遠心分離ユニット(13、42)を備え、遠心分離ユニットは、鉛直方向に延在し下側を収縮させたメガホン形状の筒(20、50)と、筒の下開口に連結し加工屑を回収する回収ボトル(21、51)と、筒の内側面に沿って加工廃液が旋回するように筒内に加工廃液を入れる入口(23、53)と、筒の上端を塞ぐ天板(22、52)と、天板の中央に配置する出口(24、54)と、を備え、回収ボトル内を水で満たした状態で、入口から筒内に加工廃液を送入させ、筒内で加工廃液を旋回させ、遠心力を利用して回収ボトル内の水と入れ替わって加工屑(S)を回収ボトルに進入させ、筒内の水を出口から排出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工液を供給し被加工物を加工する加工装置から排出された加工屑を含んだ加工廃液から、加工屑を除去する加工廃液処理装置であって、
加工屑を含んだ加工廃液を溜める廃液タンクと、該廃液タンクから加工廃液を汲み上げる廃液ポンプと、該廃液ポンプで汲み上げられた加工廃液の加工屑を除去する遠心分離ユニットと、を備え、
該遠心分離ユニットは、鉛直方向に延在し下側を収縮させたメガホン形状の筒と、該筒の下開口に連結し加工屑を回収する回収ボトルと、該筒の内側面に沿って加工廃液が旋回するように該筒内に加工廃液を入れる入口と、該筒の上端を塞ぐ天板と、該天板の中央に配置する出口と、を備え、
該回収ボトル内を水で満たした状態で、該入口から該筒内に加工廃液を送入させ、該筒内で加工廃液を旋回させ、遠心力を利用して該回収ボトル内の水と入れ替わって加工屑を該回収ボトルに進入させ、該筒内の水を該出口から排出する加工廃液処理装置。
【請求項2】
該筒と該回収ボトルとの連結している部分を開閉する連結バルブと、該回収ボトルの下端を開閉する排出バルブと、該回収ボトルの上部にエアを入れるエア供給口と、該エア供給口から該回収ボトル内にエアの供給を可能にするエアバルブと、を備え、
該連結バルブを閉じて、該排出バルブを開けて、該エアバルブを開けて該回収ボトルから加工屑を排出する、請求項1記載の加工廃液処理装置。
【請求項3】
該回収ボトルに加工屑が堆積していることを検知する加工屑検知センサと、加工屑廃棄容器と、制御部とを備え、
該制御部は、該加工屑検知センサが加工屑を検知したら、該連結バルブを閉じることと、該排出バルブを開けることと、該エアバルブを開けることとを制御し、該回収ボトルから該加工屑廃棄容器に加工屑を廃棄する、請求項2記載の加工廃液処理装置。
【請求項4】
加工液を供給し被加工物を加工する加工装置から排出される加工屑を含んだ加工廃液から加工液を再生する加工液循環装置であって、
加工屑を含んだ加工廃液を溜める廃液タンクと、該廃液タンクから加工廃液を汲み上げる廃液ポンプと、該廃液ポンプで汲み上げられた加工廃液の加工屑を除去する遠心分離ユニットと、該遠心分離ユニットから排出される加工屑が除去された廃液から清水を精製するフィルタユニットと、該清水を溜める清水タンクと、該清水タンクから該清水を汲み上げる清水ポンプと、該清水に紫外線を照射する紫外線照射ユニットと、紫外線が照射された該清水をイオン交換樹脂に通水させ純水を精製するイオン交換樹脂ユニットと、精密フィルタと、を備え、
該遠心分離ユニットは、鉛直方向に延在し下側を収縮させたメガホン形状の筒と、該筒の下端の下開口に連結し加工屑を回収する回収ボトルと、該筒の内側面に沿って加工廃液が旋回するように該筒内に加工廃液を入れる入口と、該筒の上端を塞ぐ天板と、該天板の中央に配置する出口と、を備え、
該回収ボトル内を水で満たした状態で、該入口から該筒内に加工廃液を送入させ、該筒内で加工廃液を旋回させ、遠心力を利用して該回収ボトル内の水と入れ替わって加工屑を該回収ボトルに進入させ、該筒内の水を該出口から排出する加工液循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置から排出される加工廃液を処理する加工廃液処理装置及び加工液循環装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造工程においては、被加工物であるワーク(ウェーハ)に対して研削装置による研削や切削装置による切削等の加工を行う。このような加工装置では、加工液を供給しながら加工具による加工を行い、加工で生じた加工屑が加工液に含まれて加工廃液として排出される。加工後には、加工廃液処理装置を用いて加工廃液から加工屑を除去している(例えば、特許文献1、2)。加工屑を除去することで、環境基準を満たした廃液として廃棄が可能になる。
【0003】
また、加工廃液に対して加工屑の除去やその他の浄化処理を行って加工液として再生し、加工装置に戻して加工液を再利用させる加工廃液処理装置が知られている(例えば、特許文献3)。このタイプの加工廃液処理装置は、加工装置との間で加工廃液と再生した加工液を循環させる加工液循環装置として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-322214号公報
【特許文献2】特開2020-131080号公報
【特許文献3】特開2009-190128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の加工廃液処理装置や加工液循環装置では、濾過や沈殿によって加工廃液から加工屑を分離させていたが、より一層効率的に加工屑の除去を行いたいという要求があった。また、従来よりも小型な装置で加工屑を除去することが望まれていた。
【0006】
特に、研削装置では大量の加工屑が出るので、濾紙で形成したフィルタを用いて加工屑を濾過する構造では、加工屑の量が多い場合にフィルタの交換頻度が多くなるという課題があった。また、フィルタの交換頻度を少なくするために、多量の加工屑を堆積可能なフィルタユニットを用いると、装置が大型化してしまうという問題があった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、小型な構造で効率的に加工廃液から加工屑を除去できる加工廃液処理装置及び加工液循環装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、加工液を供給し被加工物を加工する加工装置から排出された加工屑を含んだ加工廃液から、加工屑を除去する加工廃液処理装置であって、加工屑を含んだ加工廃液を溜める廃液タンクと、該廃液タンクから加工廃液を汲み上げる廃液ポンプと、該廃液ポンプで汲み上げられた加工廃液の加工屑を除去する遠心分離ユニットと、を備え、該遠心分離ユニットは、鉛直方向に延在し下側を収縮させたメガホン形状の筒と、該筒の下開口に連結し加工屑を回収する回収ボトルと、該筒の内側面に沿って加工廃液が旋回するように該筒内に加工廃液を入れる入口と、該筒の上端を塞ぐ天板と、該天板の中央に配置する出口と、を備え、該回収ボトル内を水で満たした状態で、該入口から該筒内に加工廃液を送入させ、該筒内で加工廃液を旋回させ、遠心力を利用して該回収ボトル内の水と入れ替わって加工屑を該回収ボトルに進入させ、該筒内の水を該出口から排出する。
【0009】
また、該筒と該回収ボトルとの連結している部分を開閉する連結バルブと、該回収ボトルの下端を開閉する排出バルブと、該回収ボトルの上部にエアを入れるエア供給口と、該エア供給口から該回収ボトル内にエアの供給を可能にするエアバルブと、を備え、該連結バルブを閉じて、該排出バルブを開けて、該エアバルブを開けて該回収ボトルから加工屑を排出する。
【0010】
さらに、該回収ボトルに加工屑が堆積していることを検知する加工屑検知センサと、加工屑廃棄容器と、制御部とを備え、該制御部は、該加工屑検知センサが加工屑を検知したら、該連結バルブを閉じることと、該排出バルブを開けることと、該エアバルブを開けることとを制御し、該回収ボトルから該加工屑廃棄容器に加工屑を廃棄する。
【0011】
本発明の一態様は、加工液を供給し被加工物を加工する加工装置から排出される加工屑を含んだ加工廃液から加工液を再生する加工液循環装置であって、加工屑を含んだ加工廃液を溜める廃液タンクと、該廃液タンクから加工廃液を汲み上げる廃液ポンプと、該廃液ポンプで汲み上げられた加工廃液の加工屑を除去する遠心分離ユニットと、該遠心分離ユニットから排出される加工屑が除去された廃液から清水を精製するフィルタユニットと、該清水を溜める清水タンクと、該清水タンクから該清水を汲み上げる清水ポンプと、該清水に紫外線を照射する紫外線照射ユニットと、紫外線が照射された該清水をイオン交換樹脂に通水させ純水を精製するイオン交換樹脂ユニットと、精密フィルタと、を備え、該遠心分離ユニットは、鉛直方向に延在し下側を収縮させたメガホン形状の筒と、該筒の下端の下開口に連結し加工屑を回収する回収ボトルと、該筒の内側面に沿って加工廃液が旋回するように該筒内に加工廃液を入れる入口と、該筒の上端を塞ぐ天板と、該天板の中央に配置する出口と、を備え、該回収ボトル内を水で満たした状態で、該入口から該筒内に加工廃液を送入させ、該筒内で加工廃液を旋回させ、遠心力を利用して該回収ボトル内の水と入れ替わって加工屑を該回収ボトルに進入させ、該筒内の水を該出口から排出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加工廃液処理装置及び加工液循環装置によれば、遠心分離ユニットを用いることによって、小型な構造で効率的に加工廃液から加工屑を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の加工廃液処理装置を示す図である。
図2】加工液循環装置を示す図である。
図3】第2の実施形態の加工廃液処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る加工廃液処理装置及び加工液循環装置について説明する。図1は、第1の実施形態の加工廃液処理装置を示している。図2は、加工液循環装置を示している。図3は、図2の加工液循環装置を構成する第2の実施形態の加工廃液処理装置を示している。
【0015】
図1に示す加工廃液処理装置10は、加工装置(図示略)から排出された加工廃液を処理する処理装置である。加工装置は、例えば半導体ウエーハ等の被加工物を研削する研削装置や切削する切削装置等である。研削装置や切削装置では、加工液(加工水)を供給しながら被加工物の研削や切削を行う。そして、研削や切削の際に生じる加工屑が加工液に含まれて加工廃液となり、加工装置から加工廃液が排出される。加工廃液処理装置10は、このような加工廃液に含まれる加工屑を除去する。
【0016】
加工廃液処理装置10は、廃液タンク11と廃液ポンプ12と遠心分離ユニット13を備えている。遠心分離ユニット13は、第1処理部14と第2処理部15を備えている。
【0017】
加工屑を含んだ加工廃液が廃液タンク11に貯留される。例えば、加工廃液処理装置10を加工装置に付設して、加工装置から排出された加工廃液を配管経由で廃液タンク11に送ることができる。あるいは、加工装置から離れた位置に加工廃液処理装置10を設置して、加工装置から排出された加工廃液を、加工廃液処理装置10の場所まで運搬してから廃液タンク11に溜めてもよい。
【0018】
廃液ポンプ12は、廃液タンク11から加工廃液を汲み上げて遠心分離ユニット13に送る。廃液ポンプ12は、鉛直方向の回転軸を備えるモータと、回転軸の端部に備えた羽根部とを備え、羽根部の回転によって水流を生じさせて加工廃液を圧送する。
【0019】
廃液タンク11と第1処理部14が導入配管16で接続され、第1処理部14と第2処理部15が連絡配管17で接続されている。遠心分離ユニット13における第1処理部14と第2処理部15によって、廃液ポンプ12で汲み上げられた加工廃液の加工屑を除去する。遠心分離ユニット13で加工屑の除去処理が行われた後の廃液は、第2処理部15に接続する排出配管18を経由して、純水リサイクル装置19へ送られる。導入配管16と連絡配管17と排出配管18はそれぞれ、フレキシブルなチューブ等で構成される。
【0020】
加工廃液処理装置10では、廃液タンク11から送られた加工廃液を、遠心分離ユニット13で処理する。遠心分離ユニット13は、上流側の第1処理部14と下流側の第2処理部15によって、加工廃液を二段階で処理する。
【0021】
遠心分離ユニット13の詳細について説明する。遠心分離ユニット13における第1処理部14と第2処理部15は同様の構造であり、第1処理部14と第2処理部15で共通する構成要素については同じ符号で示す。
【0022】
第1処理部14と第2処理部15はそれぞれ、筒20と回収ボトル21を備えている。筒20と回収ボトル21はそれぞれ軸方向を鉛直方向に向けて延在しており、筒20が上側に位置し、回収ボトル21が下側に位置している。
【0023】
筒20は、下側を収縮させたメガホン形状であり、径が略一定の上筒部201と、上筒部201の下端から下方に進むにつれて径を小さくする下筒部202と、を有している。上筒部201の上端は天板22で塞がれている。下筒部202の下端には、下方に向けて開口する下開口が形成されている。
【0024】
廃液タンク11を収容する筐体から上方に向けて一対の支持柱28が延設されている。一対の支持柱28の間に架け渡された支持部29によって、第1処理部14と第2処理部15のそれぞれの筒20が水平方向に横並びで支持されている。
【0025】
筒20の上端近くの側部に入口23が設けられている。入口23は、鉛直方向に対して略垂直である水平方向に延びる流路を有しており、入口23から筒20内に送入される加工廃液は、上筒部201の円筒状の面に対する接線に沿って進むように方向付けられる。従って、廃液ポンプ12により圧送されて入口23から筒20内に送入される加工廃液は、入口23の流路の向きによって、筒20の円周方向へ旋回する流れを形成する。
【0026】
天板22の中央には出口24が設けられている。出口24は天板22を鉛直方向に貫通しており、筒20内で下方から上方へ向かう加工廃液を出口24から排出させる。
【0027】
筒20の下開口には連結部25が設けられている。連結部25には上下方向に連通する流路が形成されており、ハンドバルブ26によって連結部25内の流路を開閉させることができる。ハンドバルブ26は手動で開閉操作を行うことが可能である。具体的には、レバー261を図1のように立てた状態ではハンドバルブ26が開き、レバー261を横に倒した状態ではハンドバルブ26が閉じられる。
【0028】
回収ボトル21の上端には、連結部25に着脱が可能な接続口27が設けられている。接続口27は、ねじ込み構造等によって連結部25に取り付けられる。連結部25と接続口27の接続部分は、外部へ漏水しない水密構造になっている。回収ボトル21は、接続口27の下方に貯留部211を有している。
【0029】
回収ボトル21は、様々な容器を用いることができる。例えば、飲用水の容器ボトル等を回収ボトル21として利用してもよい。また、複数の取り付け規格に対応した複数種の連結部25を準備しておき、使用する回収ボトル21の接続口27の規格に対応した連結部25を選択して使用することも可能である。
【0030】
なお、回収ボトル21内の加工屑の堆積状態を、外部からの観察(作業者による目視や撮像装置による撮影)によって判別する場合には、回収ボトル21を透明または半透明の材質で形成することが好ましい。
【0031】
導入配管16の上流側端部161が廃液タンク11の筐体外面の送出口111に接続し、導入配管16の下流側端部162が、第1処理部14における入口23に接続している。連絡配管17の上流側端部171が、第1処理部14における出口24に接続し、連絡配管17の下流側端部172が、第2処理部15における入口23に接続している。排出配管18の上流側端部181が、第2処理部15における出口24に接続している。従って、廃液ポンプ12の駆動によって汲み上げられた加工廃液は、導入配管16を通って第1処理部14の筒20に入り、第1処理部14の筒20から連絡配管17を通って第2処理部15の筒20に入り、第2処理部15の筒20から排出配管18を通って純水リサイクル装置19へ排出される。
【0032】
以上のように構成された加工廃液処理装置10による加工廃液の処理について説明する。加工廃液処理装置10の使用時に、第1処理部14と第2処理部15でそれぞれ回収ボトル21内に水を満たした状態にしておく。また、連結部25に回収ボトル21を連結させて、ハンドバルブ26を開いた状態にする。
【0033】
廃液ポンプ12によって廃液タンク11から汲み上げられた加工廃液は、導入配管16を通って第1処理部14の筒20に入る。第1処理部14では、廃液ポンプ12の力で圧送される加工廃液を水平方向に向く入口23から筒20に送入することで、筒20の内側面に沿って加工廃液が旋回する旋回流Raが形成される。旋回流Raとして流れる加工廃液は、筒20の内側面に沿って上筒部201側から下筒部202側へ進み、遠心力を利用して回収ボトル21内の水と入れ替わって加工屑Sを回収ボトル21に進入させる。回収ボトル21に入っていた水が入れ替わりで筒20に入り、筒20内で上方に向かう上昇流Rbが形成される。このようにして、加工廃液に含まれる加工屑Sが回収ボトル21内に堆積される。
【0034】
第1処理部14では、回収ボトル21に加工屑Sが回収された後の加工廃液(加工屑Sの含有量が低減された廃液)が上昇流Rbとして筒20内中央を上方に進んで天板22に達し、出口24から排出される。第1処理部14から排出された加工廃液は、連絡配管17を通って第2処理部15の筒20に入る。
【0035】
第2処理部15においても、第1処理部14と同様に、筒20の内側面に沿って加工廃液が旋回する旋回流Raが形成され、筒20の内側面に沿って上筒部201側から下筒部202側へ進む加工廃液が、旋回流Raによる遠心力を利用して回収ボトル21内の水と入れ替わって加工屑Sを回収ボトル21に進入させる。これにより、加工廃液に含まれる加工屑Sが回収ボトル21内に堆積される。回収ボトル21に入っていた水が入れ替わりで筒20に入り、筒20内で上方に向かう上昇流Rbが形成される。
【0036】
第2処理部15において、回収ボトル21に加工屑Sが回収された後の加工廃液(加工屑Sがほとんど除去された廃液)が上昇流Rbとして筒20内中央を上方に進んで天板22に達し、出口24から排出される。第2処理部15から排出された加工廃液は、排出配管18を通って純水リサイクル装置19に送られる。純水リサイクル装置19では、加工廃液に残存している僅かな加工屑を濾過で除去したり、その他の浄化処理を行ったりして、純水を精製する。
【0037】
第1処理部14や第2処理部15で、回収ボトル21の貯留部211内に溜まった加工屑Sが多くなったら、回収ボトル21を取り外して加工屑Sを回収及び廃棄する。加工廃液処理装置10では、回収ボトル21は透明または半透明の材質で形成されており、回収ボトル21の内部を外部から観察可能である。加工廃液処理装置10を管理する作業者が、回収ボトル21への加工屑Sの堆積状態を目視によって観察し、貯留部211の所定位置まで加工屑Sが達したら、回収ボトル21の交換時期であると判断する。交換時期の目安となる堆積量を示す指標(線やマーク)を回収ボトル21に設けてもよい。
【0038】
また、作業者の目視による確認に代えて、撮像装置で回収ボトル21を撮影し、画像解析によって加工屑Sの堆積を検知できるようにしてもよい。
【0039】
回収ボトル21を取り外す際には、廃液ポンプ12を停止させた上で、作業者がレバー261を横に倒す操作を行ってハンドバルブ26を閉じた状態にする。これにより、筒20内に加工廃液がある状態で連結部25から回収ボトル21の接続口27を取り外しても、筒20内の加工廃液が下開口から漏出しない。そして、次に使用する回収ボトル21の接続口27を連結部25に連結させてから、作業者がレバー261を上に向ける操作を行ってハンドバルブ26を開いた状態にする。
【0040】
なお、図1の第1処理部14と第2処理部15のように、2つの処理部を備える場合には、廃液ポンプ12を停止させることなく、ハンドバルブ26を閉じて、回収ボトル21の脱着作業を行ってもよい。
【0041】
遠心分離ユニット13から取り外された回収ボトル21(加工屑Sが堆積した回収ボトル21)を処分して、次に使用する回収ボトル21を新たなものに交換してもよい。あるいは、遠心分離ユニット13から取り外された回収ボトル21から加工屑Sを取り除き、当該回収ボトル21を洗浄した上で再利用してもよい。
【0042】
次に使用する回収ボトル21を連結部25に取り付ける際に、回収ボトル21に水を満たした状態にすることで、すぐに加工廃液処理装置10によって加工廃液を処理できる状態になる。
【0043】
なお、次に使用する回収ボトル21に水を入れずに(回収ボトル21が空の状態)で連結部25に取り付け、この状態から加工廃液処理装置10を使用することも可能である。この場合、回収ボトル21を連結部25に取り付けてからレバー261を操作してハンドバルブ26を開くことで、筒20内の加工廃液(加工屑Sを含む状態の加工廃液)が回収ボトル21内に落ちる。しばらくすると、回収ボトル21内で加工屑Sが沈殿し、回収ボトル21の上部は主に水で満たされた状態になる。この状態で、入口23から新たに加工廃液を送入すると、上述した旋回流Ra(遠心力)と上昇流Rbの作用によって、加工屑Sを回収ボトル21内に溜めて、加工屑Sが除去された加工廃液を出口24から排出することができる。
【0044】
以上のように、遠心分離ユニット13では、筒20と回収ボトル21に加工廃液を通すことによって、回収ボトル21の貯留部211に加工屑Sを堆積させて回収することができる。遠心分離ユニット13で加工屑Sを除去することにより、環境基準を満たした廃液の処分が可能になる。
【0045】
加工廃液処理装置10は、フィルタ等の濾過装置を用いずに、旋回流Raや上昇流Rbといった流体の流れ(特に、旋回流Raの遠心力)を利用して回収ボトル21内に加工屑Sを堆積させているため、構造が簡単で装置を小型化しやすいという利点がある。
【0046】
また、加工廃液処理装置10によって加工屑Sを除去することによって、純水リサイクル装置19によって回収すべき加工屑の量が少なくなる。その結果、純水リサイクル装置19で濾過を行うためのフィルタの交換頻度を少なくしたり、純水リサイクル装置19を小型化したりすることができる。
【0047】
続いて、図2及び図3を参照して、加工液循環装置の態様について説明する。なお、図2及び図3では、液体やエアを通す配管類を模式的に描いている。
【0048】
図2に示すように、加工液循環装置100は、加工装置1から排出された加工廃液を溜める廃液タンク40と、廃液タンク40に溜められた加工廃液を送出する廃液ポンプ41とを備え、廃液ポンプ41で汲み上げられた加工廃液が遠心分離ユニット42に送られ、遠心分離ユニット42において加工廃液に含まれる加工屑を除去する。加工液循環装置100はさらに、遠心分離ユニット42の下流側に、フィルタユニット43、清水タンク44、清水ポンプ45、紫外線照射ユニット46、イオン交換樹脂ユニット47、精密フィルタ48、温度調整ユニット49を備える。
【0049】
加工液循環装置100は制御部30によって統括的に制御される。図2では、制御部30と遠心分離ユニット42の間の接続関係のみを示しているが、遠心分離ユニット42以外の各部についても、制御部30との間で信号の送受が可能に接続されている。制御部30は、プロセッサとメモリ(記憶部)を備え、メモリに記憶された制御プログラムに従って、加工液循環装置100の各部の動作を制御する。なお、以下の説明において制御の主体が明記されていない場合は、制御部30の制御によって動作や判断が行われているものとする。
【0050】
図3を参照して、遠心分離ユニット42の構成及び動作を説明する。遠心分離ユニット42は、先に説明した加工廃液処理装置10の遠心分離ユニット13と同様の原理によって加工廃液から加工屑を除去するものである。遠心分離ユニット42は制御部30によって自動的に制御される。
【0051】
遠心分離ユニット42は、上流側の第1処理部421と下流側の第2処理部422を備えており、加工廃液を二段階で処理する。第1処理部421と第2処理部422は同様の構造であり、第1処理部421と第2処理部422で共通する構成要素については同じ符号で示す。
【0052】
第1処理部421と第2処理部422はそれぞれ、筒50と回収ボトル51を備えている。筒50と回収ボトル51はそれぞれ軸方向を鉛直方向に向けて延在しており、筒50の下方に回収ボトル51が位置している。
【0053】
筒50は、下側を収縮させたメガホン形状であり、径が略一定の上筒部501と、上筒部501の下端から下方に進むにつれて径を小さくする下筒部502と、を有している。上筒部501の上端は天板52で塞がれている。下筒部502の下端には、下方に向けて開口する下開口が形成されている。
【0054】
筒50の上端近くの側部に入口53が設けられている。入口53は水平方向に延びる流路を有しており、入口53から筒50内に送入される加工廃液は、上筒部501の円筒状の面に対する接線に沿って進むように方向付けられる。従って、廃液ポンプ41により圧送されて入口53から筒50内に送入される加工廃液は、入口53の流路の向きによって、筒50の円周方向へ旋回する旋回流を形成する。
【0055】
天板52の中央には出口54が設けられている。出口54は天板52を鉛直方向に貫通しており、筒50内で下方から上方へ向かう加工廃液を出口54から排出させる。
【0056】
筒50の下開口には連結部55が設けられ、連結部55に回収ボトル51の上端が連結している。先に説明した遠心分離ユニット13の回収ボトル21とは異なり、回収ボトル51は連結部55に対して固定的に連結されており、回収ボトル51は着脱されない。
【0057】
連結部55には連結バルブ56が設けられており、連結バルブ56によって連結部55内の流路を開閉させることができる。連結バルブ56の下方には、回収ボトル51の上部にエアを入れるエア供給口57が設けられている。エア供給口57は、エア供給路58を介してエア供給源59に連通している。エア供給路58にはエアバルブ60が設けられ、エアバルブ60を開くことでエア供給口57から回収ボトル51内にエアの供給が可能になる。
【0058】
回収ボトル51の下端には排出部61と排出バルブ62が設けられている。排出部61は下方に向けて開口しており、排出バルブ62によって排出部61の開口を開閉させることができる。
【0059】
回収ボトル51内に加工屑が堆積していることを検知する加工屑検知センサ63を備える。加工屑検知センサ63は回収ボトル51の上部に設けられており、堆積した加工屑が加工屑検知センサ63の位置まで達すると検知される。
【0060】
排出部61の下方に加工屑廃棄容器64が設けられる。加工屑廃棄容器64は、上方に向けて開口する容器であり、回収ボトル51から排出される加工屑を収容することができる。加工屑廃棄容器64は、回収ボトル51の下方の位置に着脱が可能である。
【0061】
連結バルブ56、エアバルブ60及び排出バルブ62はそれぞれ電動式であり、制御部30によって各バルブが制御される。また、廃液ポンプ41とエア供給源59の動作は制御部30によって制御される。また、加工屑検知センサ63による検知信号が制御部30に入力される。
【0062】
導入配管65の上流側端部651が廃液タンク40の筐体外面の送出口401に接続し、導入配管65の下流側端部652が、第1処理部421における入口53に接続している。連絡配管66の上流側端部661が、第1処理部421における出口54に接続し、連絡配管66の下流側端部662が、第2処理部422における入口53に接続している。排出配管67の上流側端部671が、第2処理部422における出口54に接続している。排出配管67の下流側端部はフィルタユニット43に接続している。従って、廃液ポンプ41の駆動によって汲み上げられた加工廃液は、導入配管65を通って第1処理部421の筒50に入り、第1処理部421の筒50から連絡配管66を通って第2処理部422の筒50に入り、第2処理部422の筒50から排出配管67を通ってフィルタユニット43へ排出される。
【0063】
以上のように構成された遠心分離ユニット42による加工廃液の処理について説明する。遠心分離ユニット42での廃液処理を行う際に、制御部30は、第1処理部421と第2処理部422のそれぞれで、連結バルブ56を開き、エアバルブ60及び排出バルブ62を閉じた状態にさせる。また、回収ボトル51に水を満たした状態にさせる。
【0064】
廃液ポンプ41によって廃液タンク40から汲み上げられた加工廃液は、導入配管65を通って第1処理部421の筒50に入る。第1処理部421では、圧送される加工廃液を水平方向に向く入口53から筒50に送入することで、筒50の内側面に沿って加工廃液が旋回する旋回流が形成される。旋回流として流れる加工廃液は、筒50の内側面に沿って上筒部501側から下筒部502側へ進み、遠心力を利用して回収ボトル51内の水と入れ替わって加工屑を回収ボトル51に進入させる。回収ボトル51に入っていた水が入れ替わりで筒50に入り、筒50内で上方に向かう上昇流が形成される。このようにして、加工廃液に含まれる加工屑が回収ボトル51内に堆積される。
【0065】
第1処理部421で加工屑がある程度除去された加工廃液(加工屑の含有量が低減された廃液)は、出口54から排出されて連絡配管66を通って第2処理部422の筒50に入る。第2処理部422においても、第1処理部421と同様に、筒50の内側面に沿って加工廃液が旋回する旋回流が形成され、筒50の内側面に沿って上筒部501側から下筒部502側へ進む加工廃液が、旋回流による遠心力を利用して回収ボトル51内の水と入れ替わって加工屑を回収ボトル51に進入させる。これにより、加工廃液に含まれる加工屑が回収ボトル51内に堆積される。回収ボトル51に入っていた水が入れ替わりで筒50に入り、筒50内で上方に向かう上昇流が形成される。
【0066】
第2処理部422において、回収ボトル51に加工屑が回収された後の加工廃液(加工屑がほとんど除去された廃液)が、上昇流として筒50内を上方に進んで天板52に達し、出口54から排出されて排出配管67に送られる。
【0067】
なお、第1処理部421と第2処理部422のそれぞれにおいて、加工廃液が筒50に送入される際に、回収ボトル51内に水が溜まっていない場合には、加工廃液が所定量送入されて回収ボトル51に満たされた状態になってから、筒50と回収ボトル51との間での廃液の入れ替わりが生じる。つまり、回収ボトル51内に予め水を満たした状態からではなくても、遠心分離ユニット42での廃液処理を行うことができる。
【0068】
回収ボトル51に加工屑が所定量以上堆積すると、加工屑検知センサ63によって加工屑の堆積が検知される。加工屑検知センサ63からの検知信号が入力されると、制御部30は、加工屑の廃棄処理を行わせる。廃棄処理では、連結バルブ56を閉じて、エアバルブ60及び排出バルブ62を開けて、エア供給源59からエアを送出する。連結バルブ56を閉じることにより、筒50から回収ボトル51に加工廃液が入らなくなる。排出バルブ62を開けることにより、回収ボトル51内に堆積した加工屑が、排出部61を通って下方に落下可能になる。加工屑が重力によって自然に落下しない場合でも、エア供給口57から回収ボトル51にエアが供給されることにより、回収ボトル51内の加工屑が押し出されて、排出部61から下方に強制的に排出される。このようにして、回収ボトル51から加工屑廃棄容器64に加工屑が廃棄される。
【0069】
加工屑の廃棄処理が完了したら、制御部30は、エア供給源59からのエアの供給を停止させ、連結バルブ56を開けて、エアバルブ60及び排出バルブ62を閉じる。これにより、遠心分離ユニット42は加工廃液を処理可能な状態に戻る。
【0070】
以上のように、遠心分離ユニット42では、加工廃液から加工屑を除去する処理と、回収ボトル51に堆積した加工屑を廃棄する処理とを、制御部30の制御によって自動で実行することができる。
【0071】
図2を参照して、遠心分離ユニット42での処理後の加工液循環装置100の動作について説明する。遠心分離ユニット42によって加工屑を除去した廃液は、排出配管67を通して排出されてフィルタユニット43に送られる。フィルタユニット43は、清水受けパン431上に配置される第1フィルタ432及び第2フィルタ433を備えている。第1フィルタ432と第2フィルタ433は、清水受けパン431に対して着脱が可能である。
【0072】
排出配管67は途中で分岐して、開閉バルブ434と開閉バルブ435を介して第1フィルタ432と第2フィルタ433に接続している。開閉バルブ434が開かれると、遠心分離ユニット42から排出された廃液が第1フィルタ432を通り、開閉バルブ435が開かれると、遠心分離ユニット42から排出された廃液が第2フィルタ433を通る。
【0073】
第1フィルタ432と第2フィルタ433では、通水された廃液を濾過して、遠心分離ユニット42によって除去されなかった加工屑の残りやその他の細かい異物を捕捉して取り除いて清水に精製し、精製後の清水を清水受けパン431に供給する。清水受けパン431に供給された清水は、配管68を通って清水タンク44に送られて貯留される。
【0074】
排出配管67に設けた圧力検出センサ31によって、フィルタユニット43の第1フィルタ432と第2フィルタ433に送られる廃液の圧力が検知される。圧力検出センサ31による検知信号が制御部30に送信される。制御部30は、圧力検出センサ31で検知された圧力の値が所定以上に達した場合に、第1フィルタ432または第2フィルタ433に加工屑やその他の異物が堆積して濾過能力が低下したと判断し、使用するフィルタを切り替える。
【0075】
例えば、開閉バルブ434を開いて第1フィルタ432に廃液を通しているときに圧力検出センサ31で所定以上の圧力値が検知されると、開閉バルブ434を閉じて開閉バルブ435を開き、第1フィルタ432による濾過から第2フィルタ433による濾過に切り替える。開閉バルブ435を開いて第2フィルタ433に廃液を通しているときに圧力検出センサ31で所定以上の圧力値が検知されると、開閉バルブ435を閉じて開閉バルブ434を開き、第2フィルタ433による濾過から第1フィルタ432による濾過に切り替える。
【0076】
さらに制御部30は、加工液循環装置100が備える表示モニタ(図示略)への表示やスピーカー(図示略)での発音等によって、使用するフィルタを切り替えたことや、濾過能力が低下したフィルタの情報を作業者に報知する。報知を受けた作業者は、濾過能力が低下したフィルタを清水受けパン431から取り外して、新たなフィルタに交換する。
【0077】
フィルタユニット43の前段に遠心分離ユニット42を配置することによって、第1フィルタ432や第2フィルタ433に堆積する加工屑が少なくなり、フィルタユニット43におけるフィルタの交換頻度を少なくさせることができる。また、第1フィルタ432や第2フィルタ433で捕捉される加工屑の量が少なくなることで、小容量のフィルタの使用が可能になり、フィルタユニット43の小型化を実現できる。
【0078】
さらに、フィルタユニット43ではフィルタと共に加工屑を処分する必要があるのに対して、遠心分離ユニット42では、回収ボトル51から加工屑廃棄容器64に廃棄された加工屑だけを処分すればよいので、廃棄物の量を低減させることができ、処分の手間も少なくて済む。
【0079】
紫外線照射ユニット46、イオン交換樹脂ユニット47及び精密フィルタ48は、支持台71上に配置されている。イオン交換樹脂ユニット47は、第1イオン交換樹脂471と第2イオン交換樹脂472を有している。第1イオン交換樹脂471、第2イオン交換樹脂472及び精密フィルタ48は、支持台71に対して着脱が可能である。
【0080】
フィルタユニット43での濾過を経て配管68を通って清水タンク44に溜められた清水は、清水ポンプ45によって汲み上げられて、配管69を通って紫外線照射ユニット46に送られる。紫外線照射ユニット46で紫外線が照射されて清水が殺菌される。紫外線照射ユニット46で殺菌処理された清水は、配管70を通ってイオン交換樹脂ユニット47に送られる。
【0081】
配管70は途中で分岐して、開閉バルブ473と開閉バルブ474を介して第1イオン交換樹脂471と第2イオン交換樹脂472に接続している。開閉バルブ473が開かれると、紫外線照射ユニット46で殺菌処理された清水が第1イオン交換樹脂471に通水され、開閉バルブ474が開かれると、紫外線照射ユニット46で殺菌処理された清水が第2イオン交換樹脂472に通水される。第1イオン交換樹脂471や第2イオン交換樹脂472に通水された清水は、イオンが交換されて純水に精製される。
【0082】
イオン交換樹脂ユニット47で精製された純水は、配管72を通って精密フィルタ48に送られる。精密フィルタ48では、純水に混入している樹脂屑(第1イオン交換樹脂471や第2イオン交換樹脂472で生じる屑)等の微細な異物を濾過して取り除く。
【0083】
配管72に設けた圧力検出センサ32によって、精密フィルタ48に送られる純水の圧力が検知される。圧力検出センサ32による検知信号が制御部30に送信される。制御部30は、圧力検出センサ32で検知された圧力の値が所定以上に達した場合に、精密フィルタ48に樹脂屑やその他の微細な異物が堆積して濾過能力が低下したと判断して、表示モニタ(図示略)への表示やスピーカー(図示略)での発音等によって報知する。報知を受けた作業者は、濾過能力が低下した精密フィルタ48を支持台71から取り外して、新たな精密フィルタ48に交換する。
【0084】
また、配管72に設けた比抵抗計33によって、第1イオン交換樹脂471または第2イオン交換樹脂472から精密フィルタ48に送られる純水の比抵抗(電気抵抗率)が検出され、比抵抗計33による計測結果の信号が制御部30に送信される。制御部30は、比抵抗計33で検知された比抵抗の値が所定以下になった場合に、第1イオン交換樹脂471または第2イオン交換樹脂472による純水精製能力が低下したと判断し、使用するイオン交換樹脂を切り替える。
【0085】
例えば、開閉バルブ473を開いて第1イオン交換樹脂471に清水を通しているときに比抵抗計33で所定以下の比抵抗値が検知されると、開閉バルブ473を閉じて開閉バルブ474を開き、第1イオン交換樹脂471によるイオン交換処理から第2イオン交換樹脂472によるイオン交換処理に切り替える。開閉バルブ474を開いて第2イオン交換樹脂472に清水を通しているときに比抵抗計33で所定以下の比抵抗値が検知されると、開閉バルブ474を閉じて開閉バルブ473を開き、第2イオン交換樹脂472によるイオン交換処理から第1イオン交換樹脂471によるイオン交換処理に切り替える。
【0086】
さらに制御部30は、表示モニタ(図示略)への表示やスピーカー(図示略)での発音等によって、使用するイオン交換樹脂を切り替えたことや、純水精製能力が低下したフィルタの情報を作業者に報知する。報知を受けた作業者は、純水精製能力が低下したイオン交換樹脂を支持台71から取り外して、新たなイオン交換樹脂に交換する。
【0087】
精密フィルタ48で濾過された純水は、配管73を通って温度調整ユニット49に送られる。温度調整ユニット49に送られた純水は、所定温度に調整されて、配管74を通って加工装置1に供給され、加工装置1に設けた加工液供給部に溜められる。加工装置1は加工液供給部に貯留された再生済みの加工液を用いて加工を行う。
【0088】
以上のように、加工液循環装置100では、フィルタユニット43の前段に備えた遠心分離ユニット42によって、加工廃液に含まれる加工屑を除去することによって、フィルタユニット43でのフィルタ交換の頻度を少なくするとともに、フィルタユニット43を含む加工液循環装置100の小型化を実現することができる。
【0089】
また、加工液循環装置100の遠心分離ユニット42では、回収ボトル51に堆積した加工屑をエアの噴射を用いて強制的に排出させるので、迅速且つ確実に回収ボトル51からの加工屑の廃棄を行うことができる。
【0090】
さらに、遠心分離ユニット42では、回収ボトル51に堆積した加工屑を加工屑検知センサ63で検知し、加工屑が所定以上に堆積した場合に、制御部30がバルブ類の動作を制御して、回収ボトル51から加工屑廃棄容器64への加工屑の廃棄を自動的に実行させる。これにより、遠心分離ユニット42の状態を作業者が目視等で常時確認したり、回収ボトル51の着脱作業を行ったりすることなく、継続的に加工廃液の処理を行うことができる。
【0091】
加工屑廃棄容器64は筒50及び回収ボトル51から離隔しており、加工屑廃棄容器64へ廃棄された加工屑は、第1処理部421及び第2処理部422での加工廃液の除去処理に影響を及ぼさない。従って、加工屑廃棄容器64に加工屑が堆積しても、遠心分離ユニット42での加工屑除去能力は低下しない。具体的には、加工屑廃棄容器64に廃棄された加工屑が排出部61の開口を塞いで、回収ボトル51からの加工屑の廃棄が妨げられる状態にならない限り、遠心分離ユニット42での処理を継続的に行うことができる。
【0092】
なお、各実施形態の遠心分離ユニット13、42は、同じ構造の二つの処理部(第1処理部14、421と第2処理部15、422)による二段階の加工屑除去処理を行っているが、本発明の遠心分離ユニットは当該構成には限定されない。例えば、処理部が一つのタイプ(筒と回収ボトルをそれぞれ一つだけ備えるタイプ)の遠心分離ユニットや、処理部が三つ以上のタイプ(三組以上の筒と回収ボトルを備えるタイプ)の遠心分離ユニットを用いることも可能である。
【0093】
また、遠心分離ユニットが複数の処理部を持つタイプ(複数組の筒と回収ボトルを備えるタイプ)である場合に、各処理部の構造を異ならせることも可能である。例えば、上流側の処理部では大きい筒や回収ボトルを用いて、下流側の処理部では小さい筒や回収ボトルを用いることができる。
【0094】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上説明したように、本発明の加工廃液処理装置及び加工液循環装置は、小型な構造で効率的に加工廃液から加工屑を除去することができ、被加工物に対して加工液を供給しながら研削や切削等の加工を行う加工装置に付設すると特に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 :加工装置
10 :加工廃液処理装置
11 :廃液タンク
12 :廃液ポンプ
13 :遠心分離ユニット
14 :第1処理部
15 :第2処理部
19 :純水リサイクル装置
20 :筒
21 :回収ボトル
22 :天板
23 :入口
24 :出口
25 :連結部
26 :ハンドバルブ
30 :制御部
31 :圧力検出センサ
32 :圧力検出センサ
33 :比抵抗計
40 :廃液タンク
41 :廃液ポンプ
42 :遠心分離ユニット
43 :フィルタユニット
44 :清水タンク
45 :清水ポンプ
46 :紫外線照射ユニット
47 :イオン交換樹脂ユニット
48 :精密フィルタ
49 :温度調整ユニット
50 :筒
51 :回収ボトル
52 :天板
53 :入口
54 :出口
55 :連結部
56 :連結バルブ
57 :エア供給口
58 :エア供給路
59 :エア供給源
60 :エアバルブ
61 :排出部
62 :排出バルブ
63 :加工屑検知センサ
64 :加工屑廃棄容器
100 :加工液循環装置
421 :第1処理部
422 :第2処理部
432 :第1フィルタ
433 :第2フィルタ
471 :第1イオン交換樹脂
472 :第2イオン交換樹脂
Ra :旋回流
Rb :上昇流
S :加工屑
図1
図2
図3