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特開2023-159478基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159478
(43)【公開日】2023-11-01
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231025BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20231025BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20231025BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/318 B
C23C16/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020160830
(22)【出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】森 岳史
(72)【発明者】
【氏名】竹林 雄二
(72)【発明者】
【氏名】平野 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 天和
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 優作
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA18
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA01
4K030EA11
4K030FA01
4K030GA12
4K030JA03
4K030KA08
4K030KA46
5F045AA06
5F045AA08
5F045AB31
5F045AB32
5F045AB33
5F045AC00
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC12
5F045AC15
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB08
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045DQ17
5F045EB02
5F045EB05
5F045EB08
5F045EB09
5F045EE04
5F045EE14
5F045EE19
5F045EE20
5F045EF02
5F045EF09
5F045EF14
5F045EG02
5F045EK06
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN04
5F045EN05
5F058BA20
5F058BC02
5F058BC03
5F058BC08
5F058BC09
5F058BF04
5F058BF07
5F058BF24
5F058BF29
5F058BF37
5F058BG01
5F058BG02
5F058BG03
5F058BG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】フットプリントを低減可能な基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板Sを処理するモジュール200と、複数のモジュール200に隣接する真空搬送室140と、モジュール200が有する排気部(下流側整流部215)に接続される排気管281と、搬送室140の側方であって且つモジュール200に隣接する領域に排気管281が配置される排気管配置領域228と、を有する。モジュールは、基板処理装置の長尺方向の軸上において搬送室と重なるよう配され、基板を処理する反応管210と、反応管210の上流側側方に設けられたガス供給部(ガス供給構造212)と、上流側整流部214と対向する位置であって、反応管210の下流側側方に設けられ、軸に対して斜めに配され、搬送室140と重ならないように構成されるガス排気部(ガス排気構造213)と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するモジュールと、
複数の前記モジュールに隣接する搬送室と、
前記モジュールが有する排気部に接続される排気管と、
前記搬送室の側方であって且つ前記モジュールに隣接する領域に排気管が配置される排気管配置領域と、を有し、
前記モジュールは、
前記基板処理装置の長尺方向の軸上において前記搬送室と重なるよう配され、前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の上流側側方に設けられたガス供給部と、
前記上流側整流部と対向する位置であって、前記反応管の下流側側方に設けられ、前記軸に対して斜めに配され、前記搬送室と重ならないように構成されるガス排気部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記反応管の下方に配される移載室を備え、
前記搬送室は真空搬送室であって、
前記移載室には前記移載室の雰囲気を真空状態とする移載室排気系が接続され、前記移載室は前記真空搬送室と連通可能な構成である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス排気部は、前記反応管に隣接する下流側整流部と、前記下流側整流部の下流に配される排気構造とを有する請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記下流側整流部は熱透過性部材で構成され、前記排気構造は金属で構成される請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、上流側でガス供給管が接続される分配部を備え、前記分配部と前記排気構造とは対向するよう設けられる請求項3または請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記下流側整流部の天井部は、複数の前記基板を支持するボートのうち、最上位に配された前記基板よりも高くなるよう構成され、底部は前記ボートのうち最下位に配された前記基板よりも低く構成され、
前記排気構造の天井部は、前記下流側整流部の天井部に連続する構造であり、前記排気構造の底部は前記下流側整流部の底部に連続する構造である請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記下流側整流部は鉛直方向に複数の区画板が配され、前記排気構造は天井部から前記底部まで障害物が無い排気バッファ構造として構成される請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記下流側整流部は複数の区画板が配され、前記区画板は前記基板と対向する方向で水平方向に延伸するよう構成される請求項3から請求項7のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記ガス供給部はガス吐出部を有し、
前記基板のエッジから前記排気管の接続位置までの距離は、
前記ガス吐出部の先端から前記基板のエッジまでの距離よりも長くなるよう構成される請求項1から請求項8のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記排気管は、前記排気構造の側方に設けられる請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項11】
それぞれの前記排気管は、前記搬送室から側方に向かって延伸される請求項1から請求項10のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記反応管を格納する反応管格納室を備え、
前記排気管配置領域は筐体によって構成され、
前記筐体の上部において前記反応管格納室と隣接し、
前記筐体の下部において前記搬送室と隣接し、
前記排気管は前記上部から前記下部にかけて延伸されるよう構成される請求項1から請求項11のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記排気管配置領域では、前記搬送室側が解放されるよう構成される請求項1から請求項12のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記排気管配置領域は、前記搬送室を介して隣接するよう構成される請求項1から請求項13のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記モジュールは斜壁を備え、
前記モジュールを複数配した際に、それぞれの前記モジュールの前記斜壁は鈍角を構成するよう隣接して凹部を構成し、
前記搬送室の凸部は、前記凹部に勘合するよう構成される請求項1から請求項15のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を処理するモジュールと、
複数の前記モジュールに隣接する搬送室と、
前記モジュールが有する排気部に接続される排気管と、
前記搬送室の側方であって且つ前記モジュールに隣接する領域に排気管が配置される排気管配置領域と、を有し、
前記モジュールは、
前記基板処理装置の長尺方向の軸上において前記搬送室と重なるよう配され、前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の上流側側方に設けられたガス供給部と、
前記上流側整流部と対向する位置であって、前記反応管の下流側側方に設けられ、前記軸に対して斜めに配され、前記搬送室と重ならないように構成されるガス排気部と、を備える 基板処理装置の前記反応管に基板を搬入する工程と、
前記ガス供給部から前記反応管内の前記基板にガスが供給しつつ、前記反応管から前記ガスを排気して、前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
基板を処理するモジュールと、
複数の前記モジュールに隣接する搬送室と、
前記モジュールが有する排気部に接続される排気管と、
前記搬送室の側方であって且つ前記モジュールに隣接する領域に排気管が配置される排気管配置領域と、を有し、
前記モジュールは、
前記基板処理装置の長尺方向の軸上において前記搬送室と重なるよう配され、前記基板を処理する反応管と、
前記反応管の上流側側方に設けられたガス供給部と、
前記上流側整流部と対向する位置であって、前記反応管の下流側側方に設けられ、前記軸に対して斜めに配され、前記搬送室と重ならないように構成されるガス排気部と、を備える基板処理装置の前記反応管に基板を搬入する手順と、
前記ガス供給部から前記反応管内の前記基板にガスが供給しつつ、前記反応管から前記ガスを排気して、前記基板を処理する手順と
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本態様は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる基板処理装置の一態様としては、例えば、複数枚の基板を一括して処理する基板処理装置が使用されている(例えば、特許文献1)。このような基板処理装置では、据え付け場所の面積の制約から、可能な限りフットプリントを低減することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-43361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、フットプリントを低減することが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基板を処理するモジュールと、複数の前記モジュールに隣接する搬送室と、前記モジュールが有する排気部に接続される排気管と、前記搬送室の側方であって且つ前記モジュールに隣接する領域に排気管が配置される排気管配置領域と、有し、前記モジュールは、前記基板処理装置の長尺方向の軸上において前記搬送室と重なるよう配され、前記基板を処理する反応管と、前記反応管の上流側側方に設けられたガス供給部と、前記上流側整流部と対向する位置であって、前記反応管の下流側側方に設けられ、前記軸に対して斜めに配され、前記反応室と重ならないように構成あれるガス排気部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、フットプリントを低減することが可能な技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一態様に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図2】本開示の一態様に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図3】本開示の一態様に係る基板処理装置の外観例を説明する説明図である。
図4】本開示の一態様に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図5】本開示の一態様に係る基板支持部を説明する説明図である。
図6】本開示の一態様に係るガス供給系を説明する説明図である。
図7】本開示の一態様に係るガス排気系を説明する説明図である。
図8】本開示の一態様に係る基板処理装置のコントローラを説明する説明図である。
図9】本開示の一態様に係るに係る基板処理フローを説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本態様の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面上の各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
本開示の一態様に係るに係る基板処理装置の概要構成を、図1図7を用いて説明する。図1は本態様に係る基板処理装置の構成例を示す横断面図である。図1においては、説明の便宜上、図中左側(例えばモジュール200b側)から右側(例えばモジュール200a側)に向かう方向をX軸、手前(例えばロードポート110側)から奥(例えばモジュール200側)に向かう方向をY軸と呼ぶ。X軸においては、図中左側をX2、右側をX1と呼び、Y軸においては、手前側をY1、奥側をY2と呼ぶ。
【0010】
後述するように二つのモジュール200(200a、200b)がX軸方向に隣接するよう構成されるので、X軸方向はモジュール200が配列される方向とも呼ぶ。
【0011】
Y1からY2に向かう方向は、次のように表現してもよい。後述するように、基板SはIOステージ110からモジュール200の間を移動するので、Y1からY2に向かう方向は基板Sの移動方向、あるいは基板Sがモジュールに向かう方向とも呼ぶ。また、基板処理装置100全体の長尺方向でもあることから、Y軸は基板処理装置の長尺方向とも呼ぶ。
【0012】
図1は基板処理装置を上方から見た図であるが、説明の便宜上高さの異なるものも図1に記載している。例えば図中では、反応管210と真空搬送ロボット180とを共に記載しているが、図2に記載のように反応管210と真空搬送ロボット180は高さが異なるものである。
【0013】
図2は、本態様に係る基板処理装置の構成例を示し、図1のA-A’における縦断面図である。図3図1における視線Cから見た外観図である。図4は本態様に係る基板処理部の構成例を示し、図1のB-B’における縦断面図である。図5は本態様に係る基板支持部とその周辺の構成を説明する説明図である。図6は本態様に係る基板処理装置のガス供給系を説明する説明図である。図7は本態様に係る基板処理装置のガス排気系を説明する説明図である。
【0014】
基板処理装置100は基板Sを処理するもので、IOステージ110、大気搬送室120、ロードロック室130、真空搬送室140、モジュール200、ユーティリティボックス500で主に構成される。次に各構成について具体的に説明する。
【0015】
図2では、説明の便宜上モジュール200の具体的な構造は説明を省略している。また、図1図2図4では、説明の便宜上ユーティリティボックス500の具体的な構造の説明を省略している。
【0016】
(大気搬送室・IOステージ)
基板処理装置100の手前側には、IOステージ(ロードポート)110が設置されている。IOステージ110上には複数のポッド111が搭載されている。ポッド111はシリコン(Si)基板などの基板Sを搬送するキャリアとして用いられる。
【0017】
IOステージ110は大気搬送室120に隣接する。大気搬送室120は、IOステージ110と異なる面に、ロードロック室130が連結される。大気搬送室120内には基板Sを移載する大気搬送ロボット122が設置されている。
【0018】
大気搬送室120の筐体121の前側には、基板Sを大気搬送室120に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口128が設置されている。基板搬入出口128は、図示しないポッドオープナーによって開放・閉鎖される。大気搬送室120の筐体127の奥側には、基板Sをロードロック室130に搬入搬出するための基板搬入出口133が設けられる。基板搬入出口133は、図示しないゲートバルブによって開放・閉鎖することにより、基板Sの出し入れを可能とする。
【0019】
(ロードロック室)
ロードロック室130は大気搬送室120に隣接する。ロードロック室130を構成する筐体131が有する面のうち、大気搬送室120と異なる面には、後述する真空搬送室140が配置される。本態様においては、二つの筐体131a、131bが設けられる。真空搬送室140は、ゲートバルブ134を介して接続される。ロードロック室130内には基板Sを載置する基板載置台136が設置されている。
【0020】
(真空搬送室)
基板処理装置100は、負圧下で基板Sが搬送される搬送空間となる搬送室としての真空搬送室(トランスファモジュール)140を備えている。真空搬送室140を構成する筐体141は平面視が左右対称の五角形状で形成され、外周にはロードロック室130及び基板Sを処理するモジュール200(200a、200b)が連結されている。
【0021】
筐体141は、ロードロック室130と隣接する壁142、モジュール200aと隣接する壁144、モジュール200bと隣接する壁145、壁142と壁144との間に設けられた壁143、壁142と壁145との間に設けられた壁146とで構成される。更に、上方には蓋141aが備えられている。蓋141aは壁142側に設けられたヒンジ141bを軸として固定され、筐体141内や真空搬送ロボット180をメンテナンスする際には、蓋141aのモジュール200側を上昇させ、図2に記載の矢印の方向に蓋141aを開放する。
【0022】
壁144と壁145とは所定角度(例えば鈍角)を構成するよう隣接する。そのため、壁144と壁145のうち、モジュール200と隣接する面は、真空搬送室140の中心から見て、放射状に構成されている。筐体141のうち、壁144と壁145とで構成される部分を凸部と呼ぶ。
【0023】
真空搬送室140の略中央部には、負圧下で基板Sを移載(搬送)する搬送部としての真空搬送ロボット180がフランジ147を基部として設置されている。真空搬送室140内に設置される真空搬送ロボット180は、エレベータ148およびフランジ147によって真空搬送室140の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。真空搬送ロボット180が有するアーム181は、エレベータ148によって昇降可能なよう構成されている。
【0024】
真空搬送ロボット180は、二つのアーム181を備える。アーム181は、基板Sを載置するエンドエフェクタ182を備える。アーム181の回転や延伸を行うことで、モジュール200内に基板Sを搬送したり、モジュール200内から基板Sを搬出したりする。
【0025】
壁144と壁145には、それぞれモジュール200(モジュール200a、200b)が接続される。具体的には、後述するモジュール200の移載室217が接続される。
【0026】
(モジュール)
X軸方向に、二つのモジュール200が配される。X1側にはモジュール200aが、X2側にはモジュール200bが配されれる。以下、モジュール200の説明において、「a」を有する番号はモジュール200aの構成を説明し、「b」を有する番号はモジュール200bの構成を説明する。なお、番号がついていないものは、各モジュール200共通の説明とする。
【0027】
図2図3に記載のように、モジュール200を構成する筐体201は、上方に反応管格納室206、下方に移載室217を備える。反応管格納室206、下方に移載室217の間には仕切り壁218が設けられる。反応管格納室206内には主に反応管210が格納される。少なくとも移載室217は上方から見て五角形状で構成される。更には、反応管格納室206も五角形状とすることが望ましい。本態様においては、移載室217と反応管格納室206とを同じ五角形状とし、上方から見て筐体201全体が五角形状で構成された例を用いて説明する。
【0028】
五角形状の筐体を構成する壁のうち、斜壁202(202a、202b)は、X軸、Y軸に対して斜めに配される。X軸方向に延伸する二つの壁は並行に配され、Y軸方向に延伸する二つの壁も並行に配されている。X軸と並行に配される壁では、Y1側の壁はY2側に配される壁よりも短くなるよう構成されている。このY1側の壁を壁203(203a、203b)と呼び、Y2側の壁を壁205(205a、205b)と呼ぶ。Y軸と並行に配される壁では、X軸の中心側の壁は外側の壁よりも短くなるよう構成されている。この中心側の壁を壁204(204a、204b)と呼ぶ。壁202は壁203と壁204との間に配される。
【0029】
筐体201a、筐体201bは左右対称に構成される。すなわち、壁204a、壁204bは隣接するよう構成され、壁203a、壁203bは筐体141を挟んで隣接するように配される。更に、壁202aと壁202bとは所定角度(例えば鈍角であり、壁144と壁145とで構成される角度))を形成すると共に、壁202aと壁202bとの間であって、Y1側に空間が構成されるよう隣接する。空間は、二つのモジュール200によって構成された凹部とも呼ぶ。筐体141の凸部は凹部に勘合される。
【0030】
このような構造とすることで、従来技術文献に記載のような四角状の筐体を並べる場合よりも、壁142から壁205までの距離を短くできる。したがって、基板処理装置100のフットプリントを低減できる。
【0031】
少なくとも移載室217は上記壁を有する構成である。移載室217のうち、各斜壁202には、基板Sを搬入出するための搬入出口149(149a、149b)が設けられる。搬入出口149は、図示しないゲートバルブによって開閉される。
【0032】
ところで、従来のように移載室の形状が、上方から見た際に四角形状である比較例を考える。ここで、本態様の五角形状のX軸方向、Y軸方向それぞれの長さが比較例と等しい場合、本態様のような五角形状の面積が小さいことは明らかである。
【0033】
従って、本態様の移載室の高さを比較例と同じとした場合に、本態様の移載室の容積が比較例よりも小さくなることは明らかである。後述するように、本態様においては移載室217の雰囲気を排気し真空状態とするが、従来の四角形状に比べ短時間で雰囲気を排気することが可能である。
【0034】
反応管格納室206内には、反応管210、上流側整流部214、下流側整流部215が備えられる。具体的には、モジュール200aの反応管格納室206aには反応管210a、上流側整流部214a、下流側整流部215aが備えられる。モジュール200bの反応管格納室206b内には反応管210b、上流側整流部214b、下流側整流部215bが備えられる。
【0035】
後述するように、上流側整流部214と下流側整流部215とは反応管210を介して対向する位置に設けられる。下流側整流部215の下流側には排気構造213が接続される。上流側整流部214、反応管210、下流側整流部215、排気構造213は直線状に配される。
【0036】
反応管格納部206a内においては、上流側整流部214a、下流側整流部215a、反応管210a、排気構造213aの一部が配される。また、反応管格納部206b内においては、上流側整流部214b、下流側整流部215b、反応管210b、排気構造213bの一部が配される。
【0037】
排気構造213は筐体201の壁203を貫通するよう構成される。具体的には、排気構造213のうち、下流側整流部215側は筐体201内に配され、下流側整流部215と異なる側の先端は壁203から外側に突き出るように構成されている。
【0038】
後述するように、排気構造213を構成する筐体241には排気管281が接続される。排気管281は、筐体141と壁203に隣接する領域である排気管配置領域228に配される。排気構造213aに接続される排気管281aは排気管配置領域228aに配され、排気構造213bに接続される排気管281bは排気管配置領域228bに配される。各排気管281は、図3に記載のように基板処理装置100を支持するグレーチング構造の床板101を貫通し、床板101下方のユーティリティエリアに延伸され、ポンプ等に接続される。
【0039】
排気管配置領域228は排気管281が配置可能な領域であればよく、筐体により構成し、その中に排気管281を配するようにしてもよい。この場合、筐体の上部において反応管格納室206と隣接し、筐体の下部において搬送室140の筐体141と隣接するよう構成する。
【0040】
筐体のような壁を設けた構成に限らず、壁の無い構成でもよい。その場合、排気管281が貫通される床板101の一部を排気管配置領域228として確保する。このような構成とすることで、筐体141の下方が排気管配置領域228側に解放される。そうすると、メンテナンス担当者が排気管配置領域228に踏み込むことができるため、メンテナンス担当者は排気管配置領域228から真空搬送ロボット180やエレベータ等の真空搬送室140が有する構成をメンテナンスできる。
【0041】
図3に記載のように本態様においては、排気管281aは排気管接続部242aを介して排気構造213aのX1側に接続される。排気管281bは排気構造213bのX2側に接続される。すなわち、それぞれ筐体141と逆側で接続される。このような構造とすることで、排気管281と筐体141との間に空間を確保できるので、メンテナンス担当者が入り込むスペースを確保することができ、筐体141下方をメンテナンスすることができる。また、排気構造213と筐体141との間にスペースを確保できるので、蓋141aを開いてもそのスペースから筐体141内や真空搬送ロボット180をメンテナンスすることができる。更には、筐体141の両側にスペースを設けることができるので、筐体141の両側からメンテナンスできる。両側にメンテナンスエリアを設けることは、例えば筐体141のX軸方向の幅が大きい場合に有効である。
【0042】
モジュール200の奥側(Y2側)には、ユーティリティ部500が配される。ユーティリティ部500には、電装品ボックスやガスボックス等が設けられている。図1においては、説明の便宜上ガスボックス510のみ記載している。
【0043】
ガスボックス510には、後述するガス供給管221(ガス供給管251、ガス供給管261)とガス供給管281が格納される。更には、それらガス供給管を加熱する供給管加熱部や、ガス源等が格納される。
【0044】
続いて、筐体141、筐体201、反応管210、上流側整流部214、下流側整流部215、排気構造213との関係を説明する。
【0045】
反応管格納室206a内では、上流側整流部214a、下流側整流部215a、反応管210a、排気構造213aで構成されるセンターラインはY軸に対して斜めに配される。このとき、排気構造213aの長手方向の延長線が、筐体141と重ならないように配される。上方から見た反応管210aの中心は、Y軸方向において斜壁202aと重なるように配される。このような構造とすることで、斜壁202aのY1側をデッドエリアとすることができる。
【0046】
反応管格納室206bも同様に上流側整流部214b、下流側整流部215b、反応管210b、排気構造213bで構成されるセンターラインがY軸に対して斜めに配される。このとき、排気構造213bの長手方向の延長線が筐体141と重ならないように配される。このような構造とすることで、斜壁202bのY1側をデッドエリアとすることができる。
【0047】
ここで、比較例として反応管格納室206a内で、上流側整流部214a、下流側整流部215a、反応管210a、排気構造213aで構成されるセンターラインが、Y軸と平行になる構成を考える。このような構成の場合、上流側整流部214a、下流側整流部215aのいずれか、もしくは両方が反応管格納室206aからはみ出る恐れがある。その場合、ヒータ211の影響が小さくなるため、はみ出た部分で温度が下がり、ガスが固形化される等の影響を受ける恐れがある。また、Y軸方向の幅(壁203と壁205との間の距離)を大きくすることで上流側整流部214a、下流側整流部215aを反応管格納室206内に収納することも考えられるが、そうすると反応管格納室216と関連する移載室217のY軸方向の幅も多くなって断面積が増加するため、移載室217の容積が大きくなることが考えられる。これに対して、上記のようにセンターラインを斜めにすると、Y軸方向の幅を広げることなく上流側整流部214a、下流側整流部215aを収納可能であり、更には移載室217の容積を小さくすることができる。
【0048】
また、反応管格納室206における斜壁202aと斜め壁202bによって真空搬送室140の蓋141aが上昇可能なスペースを確保できる。したがって、上方向に蓋141aが解放される真空搬送室140を備える場合でも、真空反応室140をメンテナンスすることが可能となる。
【0049】
続いて、図4を用いてモジュール200の構成について説明する。ここではモジュール200bを例に説明する。モジュール200aは、モジュール200bと線対象の関係であるため、ここでは説明を省略する。なお、図4図1におけるB-B’の断面図である。
【0050】
モジュール200の反応管格納室206bは、鉛直方向に延びた円筒形状の反応管210と、反応管210の外周に設置された加熱部(炉体)としてのヒータ211と、ガス供給部としてのガス供給構造212と、ガス排気部としてのガス排気構造213とを備える。ガス供給部には、上流側整流部214を含めてもよい。また、ガス排気部としては下流側整流部215を含めてもよい。
【0051】
ガス供給構造212は反応管210のガス流れ方向上流に設けられ、ガス供給構造212から反応管210にガスが供給される。ガス排気構造213は反応管210のガス流れ方向下流に設けられ、反応管210内のガスはガス排気構造213から排出される。
【0052】
反応管210とガス供給構造212との間には、ガス供給構造212から供給されたガスの流れを整える上流側整流部214が設けられる。また、反応管210とガス排気構造213との間には、反応管210から排出されるガスの流れを整える下流側整流部215が設けられる。反応管210の下端は、マニホールド216で支持される。
【0053】
反応管210、上流側整流部214、下流側整流部215は連続した構造であり、例えば石英やSiC等の材料で形成される。これらはヒータ211から放射される熱を透過する熱透過性部材で構成される。ヒータ213の熱は、基板Sやガスを加熱する。
【0054】
ガス供給構造212は、ガス供給管251、ガス供給管261が接続されると共に、各ガス供給管から供給されたガスを分配する分配部225を有する。分配部225の下流側には複数のノズル223、224が設けられる。ガス供給管251とガス供給管261は、後述するように異なる種類のガスを供給する。ノズル223、ノズル224は上下の関係や横並びの関係で配される。本態様においては、ガス供給管251とガス供給管261をまとめてガス供給管221とも呼ぶ。各ノズルはガス吐出部とも呼ぶ。
【0055】
分配部225は、ガス供給管251からノズル223に、ガス供給管261からノズル224に供給されるよう構成されている。例えば、それぞれのガス供給管とノズルの組み合わせごとに、ガスが流れる経路を構成する。このようにすることで、各ガス供給管から供給されるガスが混合することがなく、したがって分配部225にてガスが混合したことにより生じ得るパーティクルの発生を抑制できる。
【0056】
上流側整流部214は、筐体227と区画板226を有する。区画板226のうち、基板Sと対向する部分は少なくとも基板Sの径よりも大きくなるよう、水平方向に延伸される。ここでいう水平方向とは、筐体227の側壁方向を示す。区画板226は鉛直方向に複数配される。区画板226は筐体227の側壁に固定され、ガスが区画板226を超えて下方、もしくは上方の隣接領域に移動しないように構成される。超えないようにすることで、後述するガス流れを確実に形成できる。
【0057】
区画板226は孔の無い連続した構造である。それぞれの区画板226は、基板Sに対応した位置に設けられる。区画板226の間や区画板226と筐体227との間には、ノズル223、ノズル224が設けられる。
【0058】
ノズル223、ノズル224から吐出されたガスは、区画板226によってガス流れが整えられ、基板Sの表面に供給される。区画板226は水平方向に延伸され、且つ孔の無い連続構造であるので、ガスの主流は鉛直方向への移動が抑制され、水平方向に移動される。したがってそれぞれの基板Sまでに到達するガスの圧力損失を、鉛直方向に渡って均一にできる。
【0059】
下流側整流部215は、基板支持部300に基板Sが支持された状態において、最上位に配された基板Sよりも天井が高くなるよう構成され、基板支持部300最下位に配された基板Sよりも底部が低くなるよう構成される。
【0060】
下流側整流部215は筐体231と区画板232を有する。区画板232のうち、基板Sと対向する部分は少なくとも基板Sの径よりも大きくなるよう、水平方向に延伸される。ここでいう水平方向とは、筐体231の側壁方向を示す。更には、区画板232は鉛直方向に複数配される。区隔板232は筐体231の側壁に固定され、ガスが区画板232を超えて下方、もしくは上方の隣接領域に移動しないように構成される。超えないようにすることで、後述するガス流れを確実に形成できる。筐体231のうち、ガス排気構造213と接触する側には、フランジ233が設けられる。
【0061】
区画板232は孔の無い連続した構造である。区画板232は、それぞれ基板Sに対応した位置であって、それぞれ区画板226に対応した位置に設けられる。対応する区画板226と区画板232は、同等の高さにすることが望ましい。更には、基板Sを処理する際、基板Sの高さと区画板226、区画板232の高さをそろえることが望ましい。このような構造とすることで、各ノズルから供給されたガスは、図中の矢印のような、区画板226上、基板S、区画板232上を通過する流れが形成される。このとき、区画板232は水平方向に延伸され、且つ孔の無い連続構造である。このような構造とすることで、それぞれの基板S上から排出されるガスの圧力損失を均一にできる。したがって、各基板Sを通過するガスのガス流れは、鉛直方向への流れが抑制されつつ、排気構造213に向かって水平方向に形成される。
【0062】
区画板226と区画板232を設けることで、それぞれの基板Sの上流、下流それぞれで、鉛直方向において圧力損失を均一にできるので、区画板226、基板S上、区画板232にかけて鉛直方向への流れが抑制された水平なガス流れを確実に形成できる。
【0063】
ガス排気構造213は下流側整流部215の下流に設けられる。ガス排気構造213は主に筐体241とガス排気管接続部242とで構成される。筐体241のうち、下流側整流部215側には、フランジ243が設けられる。ガス排気構造213は金属で構成され、下流側整流部215は石英で構成されるため、Oリング等の緩衝材を介してフランジ233とフランジ243とがねじ等で固定される。Oリングに対するヒータ211の影響を抑制可能なよう、フランジ243はヒータ211の外側に配されることが望ましい。
【0064】
ガス排気構造213は、下流側整流部215の空間と連通する。筐体231と筐体241は高さが連続した構造である。筐体231の天井部は筐体241の天井部と同等の高さに構成され、筐体231の底部は筐体241の底部と同等の高さに構成される。
【0065】
ガス排気構造213は区画板が存在しない構造である。そのため、ガス排気構造213は、障害物の無い排気バッファ構造とも呼ぶ。ガス排気構造213のうち、ガス流れの下流側には、排気孔244が設けられる。筐体241の外側であって、排気孔244に対応する箇所には、ガス排気管接続部242が設けられる。水平方向において、ガス排気管接続部244から基板Sの下流側のエッジまでの距離は、各ノズルの先端から基板Sの上流側のエッジまでの距離よりも長くなるよう配される。
【0066】
下流側整流部215を通過したガスは、排気孔244から排気される。このとき、ガス排気構造は区画板のような構成が無いことから、鉛直方向を含むガス流れが、ガス排気孔に向かって形成される。
【0067】
次に、下流側整流部215の下流側に排気バッファ構造215を設ける理由を説明する。上述のように、区画板232によって鉛直方向の圧力損失をある程度均一にすることができるが、排気孔242に近づくにつれ、排気ポンプ284の影響を受けやすく、ガスが排気孔側に引っ張られ、圧力損失が不均一になることが考えられる。そうすると、鉛直方向において基板Sを均一に処理できない懸念がある。
【0068】
そこで下流側整流部215を設け、鉛直方向のガス流れを緩和することとした。具体的には、区画板232上から排気バッファ構造215に移動したガスは排気孔244から排気されるが、排気孔244は区画板232から所定距離離れた位置に配されているため、その分水平方向にガスが流れる。この所定距離とは、例えば区画板232上で水平なガス流れを形成可能な距離である。その間水平方向のガス流れの影響が大きいため、鉛直方向のガス流れは、区画板232の直後に排気孔244が設けられた場合に比べ緩和される。
【0069】
区画板232上では鉛直方向の力の影響が少なくなるため圧力損失が均一となり、その結果区画板232上では水平なガス流れを形成できる。したがって、鉛直方向に配された複数の基板S上では圧力損失を一定にすることができ、より均一な処理が可能となる。
【0070】
移載室217は、反応管210の下部にマニホールド216を介して設置される。移載室217には、基板搬入口149を介して真空搬送ロボット180により基板Sを基板支持具(以下、単にボートと記す場合もある)300に載置(搭載)したり、真空搬送ロボット180により基板Sを基板支持具300から取り出したりすることが行われる。
【0071】
移載室217の内部には、基板支持具300、仕切板支持部310、及び基板支持具300と仕切板支持部310と(これらを合わせて基板保持具と呼ぶ)を上下方向と回転方向に駆動する第1の駆動部を構成する上下方向駆動機構部400を格納可能である。図4においては、基板保持具300は上下方向駆動機構部400によって上昇され、反応管内に格納された状態を示す。
【0072】
次に、図4図5を用いて基板支持部の詳細を説明する。
基板支持部は、少なくとも基板支持具300で構成され、移載室217の内部で基板搬入口149を介して真空搬送ロボット180により基板Sの移し替えを行ったり、移し替えた基板Sを反応管210の内部に搬送して基板Sの表面に薄膜を形成する処理を行ったりする。なお、基板支持部に、仕切板支持部310を含めて考えても良い。
【0073】
仕切板支持部310は、基部311と天板312との間に支持された支柱313に複数枚の円板状の仕切板314が所定のピッチで固定されている。基板支持具300は、基部301に複数の支持ロッド315が支持されており、この複数の支持ロッド315により複数の基板Sが所定の間隔で支持される構成を有している。
【0074】
基板支持具300には、基部301に支持された複数の支持ロッド315により複数の基板Sが所定の間隔で載置されている。この支持ロッド315により支持された複数の基板Sの間は、仕切板支持部310に支持された支柱313に所定に間隔で固定(支持)された円板状の仕切板314によって仕切られている。ここで、仕切板314は、基板Sの上部と下部のいずれか又は両方に配置される。
【0075】
基板支持具300に載置されている複数の基板Sの所定の間隔は、仕切板支持部310に固定された仕切板314の上下の間隔と同じである。また、仕切板314の直径は、基板Sの直径よりも大きく形成されている。
【0076】
ボート300は、複数の支持ロッド315で、複数枚、例えば5枚の基板Sを鉛直方向に多段に支持する。基部301及び複数の支持ロッド315は、例えば石英やSiC等の材料で形成される。なお、ここでは、ボート300に5枚の基板Sを支持した例を示すが、これに限るものでは無い。例えば、基板Sを5~50枚程度、支持可能にボート300を構成しても良い。なお、仕切板支持部310の仕切板314は、セパレータとも呼ぶ。
【0077】
仕切板支持部310と基板支持具300とは、上下方向駆動機構部400により、反応管210と移載室217との間の上下方向、及び基板支持具300で支持された基板Sの中心周りの回転方向に駆動される。
【0078】
第1の駆動部を構成する上下方向駆動機構部400は、駆動源として、上下駆動用モータ410と、回転駆動用モータ430と、基板支持具300を上下方向に駆動する基板支持具昇降機構としてのリニアアクチュエータを備えたボート上下機構420を備えている。
【0079】
仕切板支持部昇降機構としての上下駆動用モータ410は、ボールねじ411を回転駆動することにより、ボールねじ411に螺合しているナット412をボールねじ411に沿って上下に移動させる。これにより、ナット412を固定しているベースプレート402と共に仕切板支持部310と基板支持具300とが反応管210と移載室217との間で上下方向に駆動される。ベースプレート402はガイド軸414と係合しているボールガイド415にも固定されており、ガイド軸414に沿って上下方向にスムーズに移動できる構成となっている。ボールねじ411とガイド軸414 との上端部と下端部とは、それぞれ、固定プレート413と416に固定されている。
【0080】
回転駆動用モータ430とリニアアクチュエータを備えたボート上下機構420とは第2の駆動部を構成し、ベースプレート402に側板403で支持されている蓋体としてのベースフランジ401に固定されている。
【0081】
回転駆動用モータ430は先端部に取り付けた歯部431と係合する回転伝達ベルト432を駆動し、回転伝達ベルト432と係合している支持具440を回転駆動する。支持具440は、仕切板支持部310を基部311で支持しており、回転伝達ベルト432を介して回転駆動用モータ430で駆動されることにより、仕切板支持部310とボート300とを回転させる。
【0082】
リニアアクチュエータを備えたボート上下機構420は軸421を上下方向に駆動する。軸421の先端部分にはプレート422が取り付けられている。プレート422は、軸受け423を介してボート300の基部301に固定された支持部441と接続されている。支持部441が軸受け423を介してプレート422と接続されることにより、回転駆動用モータ430で仕切板支持部310を回転駆動したときに、ボート300も仕切板支持部310と一緒に回転することができる。
【0083】
一方、支持部441は、リニアガイド軸受け442を介して支持具440に支持されている。このような構成とすることにより、リニアアクチュエータを備えたボート上下機構420で軸421を上下方向に駆動した場合、仕切板支持部310に固定された支持具440に対してボート300に固定された支持部441を相対的に上下方向に駆動することができる。
【0084】
仕切板支持部310に固定された支持具440とボート300に固定された支持部441との間は、真空ベローズ443で接続されている。
【0085】
蓋体としてのベースフランジ401の上面には真空シール用のOリング446が設置されており、図3に示すように上下駆動用モータ410で駆動されてベースフランジ401の上面が移載室217に押し当てられる位置まで上昇させることにより、反応管210の内部を気密に保つことができる。
【0086】
続いて図6を用いてガス供給系の詳細を説明する。
図6(a)に記載のように、ガス供給管251には、上流方向から順に、第一ガス源252、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)253、及び開閉弁であるバルブ254が設けられている。
【0087】
第一ガス源252は第一元素を含有する第一ガス(「第一元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第一元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。具体的にはヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガス、モノクロロシラン(SiHCl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiHCl、略称:DCS)、トリクロロシラン(SiHCl、略称:TCS)ガス、テトラクロロシラン(SiCl、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(SiCl、略称:OCTS)ガス等のSi-Cl結合を含むクロロシラン原料ガスである。
【0088】
主に、ガス供給管251、MFC253、バルブ254により、第一ガス供給系250(シリコン含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0089】
供給管251のうち、バルブ254の下流側には、ガス供給管255が接続される。ガス供給管255には、上流方向から順に、不活性ガス源256、MFC257、及び開閉弁であるバルブ258が設けられている。不活性ガス源256からは不活性ガス、例えば窒素(N)ガスが供給される。
【0090】
主に、ガス供給管255、MFC257、バルブ258により、第一不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス源256から供給される不活性ガスは、基板処理工程では、反応管210内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。第一不活性ガス供給系を第一ガス供給系250に加えてもよい。
【0091】
図6(b)に記載のように、ガス供給管261には、上流方向から順に、第二ガス源262、流量制御器(流量制御部)であるMFC263、及び開閉弁であるバルブ264が設けられている。
【0092】
第二ガス源262は第二元素を含有する第二ガス(以下、「第二元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第二元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第二元素含有ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0093】
ここで、第二元素含有ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本態様では、第二元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスである。具体的には、アンモニア(NH)、ジアゼン(N)ガス、ヒドラジン(N)ガス、Nガス等のN-H結合を含む窒化水素系ガスである。
【0094】
主に、ガス供給管261、MFC263、バルブ264により、第二ガス供給系260が構成される。
【0095】
供給管261のうち、バルブ264の下流側には、ガス供給管265が接続される。ガス供給管265には、上流方向から順に、不活性ガス源266、MFC267、及び開閉弁であるバルブ268が設けられている。不活性ガス源266からは不活性ガス、例えば窒素(N)ガスが供給される。
【0096】
主に、ガス供給管265、MFC267、バルブ268により、第二不活性ガス供給系が構成される。不活性ガス源266から供給される不活性ガスは、基板処理工程では、反応管210内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。第二不活性ガス供給系を第二ガス供給系260に加えてもよい。
【0097】
図6(c)に記載のように、ガス供給管271は移載室217に接続される。ガス供給管271には、上流方向から順に、第三ガス源272、流量制御器(流量制御部)であるMFC273、及び開閉弁であるバルブ274が設けられている。ガス供給管271は移載室217に接続される。移載室217を不活性ガス雰囲気としたり、移載室217を真空状態にしたりする際、不活性ガスを供給する。
【0098】
第三ガス源272は不活性ガス源である。主に、ガス供給管271、MFC273、バルブ274により、第三ガス供給系270が構成される。第三ガス供給系は、移載室供給系とも呼ぶ。
【0099】
続いて図7を用いて排気系を説明する。
反応管210の雰囲気を排気する排気系280は、反応管210と連通する排気管281を有し、排気管接続部242を介して筐体241に接続される。
【0100】
図7(a)に記載のように、排気管281には、開閉弁としてのバルブ282、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ283を介して、真空排気装置としての真空ポンプ284が接続されており、反応管210内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。排気系280は処理室排気系とも呼ぶ。
【0101】
移載室217の雰囲気を排気する排気系290は、移載室217に接続されると共に、その内部と連通する排気管291を有する。
【0102】
排気管291には、開閉弁としてのバルブ292、APCバルブ293を介して、真空排気装置としての真空ポンプ294が接続されており、移載室217内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。排気系290は移載室排気系とも呼ぶ。
【0103】
続いて図8を用いてコントローラを説明する。基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ600を有している。
【0104】
コントローラ600の概略を図6に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ600は、CPU(Central Processing Unit)601、RAM(Random Access Memory)602、記憶部としての記憶部603、I/Oポート604を備えたコンピュータとして構成されている。RAM602、記憶部603、I/Oポート604は、内部バス605を介して、CPU601とデータ交換可能なように構成されている。基板処理装置100内のデータの送受信は、CPU601の一つの機能でもある送受信指示部606の支持により行われる。
【0105】
コントローラ600には、上位装置670にネットワークを介して接続されるネットワーク送受信部683が設けられる。ネットワーク送受信部683は、上位装置からポッド111に格納された基板Sの処理履歴や処理予定に関する情報等を受信することが可能である。
【0106】
記憶部603は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶部603内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が読み出し可能に格納されている。
【0107】
なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ600に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM602は、CPU601によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0108】
I/Oポート604は、基板処理装置100の各構成に接続されている。
【0109】
CPU601は、記憶部603からの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置681からの操作コマンドの入力等に応じて記憶部603からプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU601は、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、基板処理装置100を制御可能に構成されている。
【0110】
CPU601は送受信指示部606を有する。コントローラ600は、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、DVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)682を用いてコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本態様に係るコントローラ600を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置682を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置682を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶部603や外部記憶装置682は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部603単体のみを含む場合、外部記憶装置682単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0111】
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成のモジュール200を用いて基板S上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ600により制御される。
【0112】
ここでは、第一ガスと第二ガスを用いて、それらを交互に供給することによって基板S上に膜を形成する成膜処理について、図9を用いて説明する。
【0113】
(S202)
移載室圧力調整工程S202を説明する。ここでは、移載室217内の圧力を真空搬送室140と同レベルの圧力とする。具体的には、排気系290を作動させ、移載室217の雰囲気が真空レベルとなるよう、移載室217の雰囲気を排気する。前述のように、従来に比べ移載室217の容積は小さくなるので、雰囲気を排気する際の時間が短縮されている。
【0114】
(S204)
続いて搬入工程S204を説明する。
移載室217が真空レベルとなったら、基板Sの搬送を開始する。基板Sが真空搬送室140に到着したら、基板搬入口149に隣接する図示しないゲートバルブを解放し、真空搬送ロボット180は基板Sを移載室217に搬入する。
【0115】
このとき基板支持具300は移載室217中に待機され、基板Sは基板支持具300に移載される。所定枚数の基板Sが基板支持具300に移載されたら真空搬送ロボット180を筐体141に退避させると共に、基板支持具300を上昇させ基板Sを反応容器210中に移動させる。
【0116】
反応容器210への移動では、基板Sの表面が区画板226、区画板232の高さとそろうよう、位置決めされる。
【0117】
(S206)
加熱工程S206を説明する。反応管210内に基板Sを搬入したら、反応管210内を所定の圧力となるように制御するとともに、基板Sの表面温度が所定の温度となるように制御する。温度は、例えば室温以上700℃以下であり、好ましくは室温以上であって550℃以下である。圧力は例えば50から5000Paとすることが考えられる。
【0118】
(S208)
膜処理工程S208を説明する。加熱工程S206の後に、S208の膜処理工程を行う。膜処理工程S208では、プロセスレシピに応じて、第一ガス供給系を制御して第一ガスを反応管210に供給すると共に、排気系を制御して処理空間を排気し、膜処理を行う。なお、ここでは第二ガス供給系を制御して、第二ガスを第一ガスと同時に処理空間に存在させてCVD処理を行ったり、第一ガスと第二ガスとを交互に供給して交互供給処理を行ったりしても良い。また、第二ガスをプラズマ状態として処理する場合は、図示しないプラズマ生成部を用いてプラズマ状態としてもよい。
【0119】
膜処理方法の具体例である交互供給処理としては次の方法が考えられる。たとえば第一工程で第一ガスを反応管210に供給し、第二工程で第二ガスを反応管210に供給し、パージ工程として第一工程と第二工程の間に不活性ガスを供給すると共に反応管210の雰囲気を排気し、第一工程とパージ工程と第二工程との組み合わせを複数回行う交互供給処理を行い、Si含有膜を形成する。
【0120】
供給されたガスは、上流側整流部214、基板S上の空間、下流側整流部214にてガス流れが形成される。この時、各基板S上で圧力損失が無い状態で基板Sにガスが供給されるので、各基板S間で均一な処理が可能となる。
【0121】
(S210)
基板搬出工程S210を説明する。S210では、上述した基板搬入工程S204と逆の手順にて、処理済みの基板Sを移載室217の外へ搬出する。
【0122】
(S212)
判定S212を説明する。ここでは所定回数基板を処理したか否かを判定する。所定回数処理していないと判断されたら、搬入工程S204に戻り、次の基板Sを処理する。所定回数処理したと判断されたら、処理を終了する。
【0123】
なお、上記ではガス流れの形成において水平と表現したが、全体的に水平方向にガスの主流が形成されればよく、複数の基板の均一処理に影響しない範囲であれば、垂直方向に拡散したガス流れであってもよい。
【0124】
また、上記では同程度、同等、等しい等の表現があるが、これらは実質同じものを含むことは言うまでもない。
【0125】
(他の実施形態)
以上に、本態様の実施形態を具体的に説明したが、それに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0126】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理において、基板S上に第一ガスと第二ガスとを用いて膜を形成する場合を例に挙げたが、本態様がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスとして他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本態様を適用することが可能である。具体的には、第一元素としては、例えばチタン(Ti)、シリコン(Si)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等、種々の元素であってもよい。また、第二元素としては、例えば窒素(N)、酸素(O)等であってもよい。
【0127】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として成膜処理を例に挙げたが、本態様がこれに限定されることはない。すなわち、本態様は、各実施形態で例に挙げた成膜処理の他に、各実施形態で例示した薄膜以外の成膜処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。さらに、さらに、本態様は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本態様は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0128】
S…基板、100…基板処理装置、200…モジュール、600…コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9