(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015983
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】搬送ガイド部材、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/00 20060101AFI20230125BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20230125BHJP
G03G 15/045 20060101ALI20230125BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230125BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230125BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
B65H5/00 A
G03G21/16 195
G03G21/16 138
G03G15/045
G03G21/14
G03G21/00 530
G03G15/00 460
B65H5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070496
(22)【出願日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2021119465
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100117215
【弁理士】
【氏名又は名称】北島 有二
(72)【発明者】
【氏名】牧野 英世
(72)【発明者】
【氏名】浅見 彰
(72)【発明者】
【氏名】大橋 理人
(72)【発明者】
【氏名】小菅 明朗
(72)【発明者】
【氏名】辺見 香理
【テーマコード(参考)】
2H035
2H072
2H171
2H270
3F101
【Fターム(参考)】
2H035AA15
2H035AB06
2H035AC03
2H072AA17
2H072CA01
2H072HB03
2H072JA02
2H072JA04
2H072JC09
2H171FA19
2H171FA22
2H171FA24
2H171FA26
2H171FA27
2H171JA16
2H171JA22
2H171JA42
2H171JA57
2H171JA58
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC22
2H171SA11
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA28
2H171TA02
2H171TA15
2H171TA18
2H171UA07
2H171UA29
2H171VA02
2H171VA06
2H270KA04
2H270KA32
2H270MC78
2H270MD17
2H270MH09
2H270PA02
2H270SA18
2H270SB30
2H270SC14
2H270ZC04
3F101AA08
3F101AA09
3F101AA13
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】シートが静電気力により搬送ガイド部材に吸着する不具合を軽減する。
【解決手段】本発明における搬送ガイド部材71、72は、所定方向に搬送されるシートPをガイドする搬送ガイド部材であって、シートPに対向する対向面の全域にわたって微小な凹凸が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に搬送されるシートをガイドする搬送ガイド部材であって、
シートに対向する対向面の全域にわたって微小な凹凸が形成されたことを特徴とする搬送ガイド部材。
【請求項2】
前記凹凸は、外径が1~1.5mmであって高さが0.05~0.1mmのエンボスが千鳥配列されたものであることを特徴とする請求項1に記載の搬送ガイド部材。
【請求項3】
前記凹凸は、算術平均粗さが3~5μmであることを特徴とする請求項1に記載の搬送ガイド部材。
【請求項4】
前記凹凸は、低摩擦材料で形成されたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の搬送ガイド部材。
【請求項5】
前記低摩擦材料は、カーボンを含有したものであることを特徴とする請求項4に記載の搬送ガイド部材。
【請求項6】
ベース部材の前記対向面の側に、前記凹凸が形成されたシート部材を貼着したものであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の搬送ガイド部材。
【請求項7】
前記対向面に前記凹凸が形成された金属板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の搬送ガイド部材。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の搬送ガイド部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記所定方向に搬送されるシートの表面に転写されたトナー像を定着する定着装置と、
前記定着装置に対して前記搬送方向の下流側に設置されて、前記所定方向に搬送されるシートに電荷を付与する電荷付与装置と、
を備え、
前記搬送ガイド部材は、前記電荷付与装置に対して前記搬送方向の下流側に設置されたことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記電荷付与装置は、
前記シートのオモテ面に蓄積された電荷の極性とウラ面に蓄積された電荷の極性とがそれぞれ逆転されるように前記シートに電荷を付与して、
複数枚の前記シートが連続的に搬送されるときに、1枚おきに前記シートに電荷を付与することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定方向に搬送されるシートをガイドする搬送ガイド部材と、それを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、定着装置の下流側などに、所定方向に搬送されるシートをガイドする搬送ガイド部材(搬送ガイド板)を設置する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、特許文献2には、装置から排紙トレイに排出した後の用紙(シート)同士が静電気力によって吸着してしまう不具合を防止するために、定着工程後の用紙に電荷を付与する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、搬送ガイド部材にシートが静電気力により吸着してしまうことがあった。そして、そのようにシートが吸着してしまうことにより、シートの詰り(ジャム)が生じてしまうことがあった。
特に、特許文献2に開示されたもののように、定着工程後のシートに積極的に電荷を付与する場合には、その下流側に位置するガイド部材にシートが吸着する不具合が顕著になっていた。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、シートが静電気力により吸着しにくい、搬送ガイド部材、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明における搬送ガイド部材は、所定方向に搬送されるシートをガイドする搬送ガイド部材であって、シートに対向する対向面の全域にわたって微小な凹凸が形成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートが静電気力により吸着しにくい、搬送ガイド部材、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図4】定着装置と電荷付与装置との近傍を示す図である。
【
図5】搬送ガイド部材を示す、(A)上面図と、(B)断面図と、である。
【
図6】搬送ガイド部材のシート部材を示す、(A)断面図と、(B)上面図と、である。
【
図7】排出トレイに積載されたシートを示す概略図である。
【
図8】変形例1としての、シート部材を示す断面図である。
【
図9】変形例2としての、搬送ガイド部材を示す断面図である。
【
図10】
図9の搬送ガイド部材を示す、(A)斜視図と、(B)上面図と、である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0010】
まず、
図1及び
図2にて、画像形成装置100における全体の構成・動作について説明する。
図1は画像形成装置としてのプリンタを示す構成図であり、
図2はその作像部の一部を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置本体100の中央には、像担持体としての中間転写ベルト8(中間転写体)が設置されている。また、中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設されている。
【0011】
図2を参照して、イエローに対応した作像部6Yは、感光体としての感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置2Y、潤滑剤供給装置3、除電装置(不図示)、等で構成されている。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、除電工程)がおこなわれて、感光体ドラム1Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0012】
なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用されるトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成となっていて、それぞれのトナー色に対応した画像が形成される。以下、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部6Yのみの説明をおこなうことにする。
【0013】
図2を参照して、感光体ドラム1Yは、モータによって反時計方向に回転駆動される。そして、帯電装置4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での幅方向(
図1、
図2の紙面垂直方向であって、主走査方向である。)の露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0014】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、現像装置5Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程である。)。
その後、感光体ドラム1Yの表面は、中間転写体としての中間転写ベルト8(像担持体)及び1次転写ローラ9Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト8の表面に1次転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0015】
その後、感光体ドラム1Yの表面は、クリーニング装置2Yとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード2aによってクリーニング装置2Y内に回収される(クリーニング工程である。)。
ここで、クリーニング装置2Yの内部には、潤滑剤供給ローラ3a、固形潤滑剤3b、圧縮スプリング3cなどからなる潤滑剤供給装置3(感光体用潤滑剤供給装置)が内設されている。そして、
図2の時計方向に回転する潤滑剤供給ローラ3aによって、固形潤滑剤3bから潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラ3aによって感光体ドラム1Yの表面に潤滑剤が供給されることになる。
最後に、感光体ドラム1Yの表面は、除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム1上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム1Y上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
【0016】
なお、上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様におこなわれる。すなわち、作像部の上方に配設された露光装置7から、画像情報に基いたレーザ光Lが、各作像部6M、6C、6Kの感光体ドラム1M、1C、1K上に向けて照射される。
その後、各現像装置5M、5C、5Kによる現像工程を経て各感光体ドラム1M、1C、1K上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写する。こうして、中間転写ベルト8上にカラー画像が形成される。
【0017】
ここで、中間転写ベルト装置は、
図3を参照して、中間転写ベルト8(中間転写体)、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ22、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、テンションローラ22、中間転写クリーニング装置10、潤滑剤供給装置33(中間転写潤滑剤供給装置)、2次転写対向ローラ19、2次転写ローラ30、等で構成される。中間転写ベルト8は、複数のローラ部材16~22によって張架・支持されるとともに、駆動モータによる1つのローラ部材(駆動ローラ16)の回転駆動によって
図3中の矢印方向に無端移動される。
【0018】
4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kに、トナーの極性とは逆の極性の転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。
そして、中間転写ベルト8は、矢印方向に走行して、1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8の表面に重ねて1次転写される(1次転写工程である。)。
【0019】
その後、各色のトナー像が重ねて1次転写された中間転写ベルト8は、転写回転体としての2次転写ローラ30との対向位置に達する。この位置では、2次転写対向ローラ19が、2次転写ローラ30との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト8上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された用紙等のシートP上に2次転写される(2次転写工程である。)。このとき、中間転写ベルト8には、シートPに転写されなかった未転写トナーが残存する。
【0020】
その後、中間転写ベルト8は、中間転写クリーニング装置10の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に付着した未転写トナーなどの付着物が除去される。
さらに、中間転写ベルト8は、中間転写潤滑剤供給装置としての潤滑剤供給装置33の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給される。
こうして、中間転写ベルト8上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
【0021】
ここで、
図1を参照して、2次転写ニップの位置に搬送されるシートPは、装置本体100の下方に配設された給紙装置26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。
詳しくは、給紙装置26には、用紙などのシートPが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が
図1の反時計方向に回転駆動されると、一番上のシートPが第1搬送経路K1を経由してレジストローラ対28のローラ間に向けて給送される。
【0022】
レジストローラ対28(タイミングローラ対)に搬送されたシートPは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、シートPが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、シートP上に、所望のカラー画像が転写される。
【0023】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写されたシートPは、2次転写ニップを通過して、搬送ベルト35によって定着装置50の位置に搬送される。そして、この位置で、定着ローラ51及び加圧ローラ52(
図4参照)による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像がシートP上に定着される(定着工程である。)。
その後、シートPは、第2搬送経路K2(後述する電荷付与装置60や搬送ガイド部70が設置されている。)を経由して、排出ローラ対41によって装置外へと排出される。排出ローラ対41によって装置外に排出されたシートPは、出力画像として、スタック部上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0024】
次に、
図2にて、作像部における現像装置5Y(現像装置)の構成・動作について、さらに詳しく説明する。
現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Yと、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Yと、現像剤収容部内に配設された2つの搬送スクリュ55Yと、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Yと、等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成される。現像剤収容部内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容されている。
【0025】
このように構成された現像装置5Yは、次のように動作する。
現像ローラ51Yのスリーブは、
図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成された磁界によって現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。ここで、現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤G中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整される。具体的に、現像装置5Yに設置されたトナー濃度センサによってトナー濃度が低い状態が検知されたときには、トナー濃度が所定の範囲内になるように、トナー容器58から現像装置5Y内に新品トナーが補給される。
その後、トナー容器58から現像剤収容部内に補給されたトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合・撹拌されながら、隔絶された2つの現像剤収容部を循環する(
図2の紙面垂直方向の移動である。)。そして、現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成された磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0026】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、
図2中の矢印方向に搬送されて、ドクターブレード52Yの位置に達する。そして、現像ローラ51Y上の現像剤Gは、この位置で現像剤量が適量化された後に、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界によって、感光体ドラム1Y上に形成された潜像にトナーが吸着される。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部の上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
なお、トナー容器58は、現像装置5Y(画像形成装置100)に対して着脱可能(交換可能)に設置されている。そして、トナー容器58は、その内部に収容された新品のトナーが空になると、現像装置5Y(画像形成装置100)から取り外されて新品のものに交換されることになる。
【0027】
次に、
図3等を用いて、本実施の形態における中間転写ベルト装置について詳述する。
図3を参照して、中間転写ベルト装置は、像担持体としての中間転写ベルト8、4つの1次転写ローラ9Y、9M、9C、9K 、駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ22、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、テンションローラ22、中間転写クリーニング装置10、潤滑剤供給装置33、2次転写対向ローラ19、2次転写ローラ30、等で構成される。
【0028】
中間転写ベルト8は、各色のトナー像をそれぞれ担持する4つの感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接して1次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8は、主として8つのローラ部材(駆動ローラ16、従動ローラ17、転写前ローラ18、テンションローラ22、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、テンションローラ22、2次転写対向ローラ19、である。)によって張架され支持されている。
【0029】
1次転写ローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を介して対応する感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kに当接している。詳しくは、イエロー用の転写ローラ9Yは中間転写ベルト8を介してイエロー用の感光体ドラム1Yに当接して、マゼンタ用の転写ローラ9Mは中間転写ベルト8を介してマゼンタ用の感光体ドラム1Mに当接して、シアン用の転写ローラ9Cは中間転写ベルト8を介してシアン用の感光体ドラム1Cに当接して、ブラック用(黒色用)の転写ローラ9Kは中間転写ベルト8を介してブラック用(黒色用)の感光体ドラム1Kに当接している。
【0030】
駆動ローラ16は、4つの感光体ドラムに対して中間転写ベルトの走行方向下流側の位置で、中間転写ベルト8が120度程度の巻付角度で巻き付けられた状態で中間転写ベルト8の内周面に当接するように配置されている。駆動ローラ16は、制御部90によって制御される駆動モータMtによって
図3の時計方向に回転駆動される。これにより、中間転写ベルト8は所定の走行方向(
図3の時計方向である。)に走行することになる。
【0031】
従動ローラ17は、4つの感光体ドラムに対して中間転写ベルト8の走行方向上流側の位置で、中間転写ベルト8が180度程度の巻付角度で巻き付けられた状態で中間転写ベルト8の内周面に当接するように配置されている。中間転写ベルト8において、従動ローラ17から駆動ローラ16に至る部分は、ほぼ水平面になるように設定されている。従動ローラ17は、中間転写ベルト8の走行にともない
図3の時計方向に従動回転する。
【0032】
テンションローラ22は、中間転写ベルト8の外周面に当接している。転写前ローラ18、クリーニング対向ローラ20、潤滑剤対向ローラ21、テンションローラ22、2次転写対向ローラ19は、中間転写ベルト8の内周面に当接している。
2次転写対向ローラ19と潤滑剤対向ローラ21との間には、中間転写ベルト8を介してクリーニング対向ローラ20に当接するように中間転写クリーニング装置10(クリーニングブレード)が設置されている。
クリーニング対向ローラ20とテンションローラ22との間には、中間転写ベルト8を介して潤滑剤対向ローラ21に当接するように潤滑剤供給装置33が設置されている。潤滑剤供給装置33は、感光体ドラム用の潤滑剤供給装置3と同様に、潤滑剤供給ローラ、固形潤滑剤、圧縮スプリングなどからなる。そして、
図3の反時計方向に回転する潤滑剤供給ローラによって、固形潤滑剤から潤滑剤が少量ずつ削られて、潤滑剤供給ローラによって中間転写ベルト8の表面に潤滑剤が供給されることになる。
駆動ローラ16を除くローラ部材17~22、19は、いずれも、中間転写ベルト8の走行にともない従動回転する。
【0033】
図3を参照して、2次転写対向ローラ19は、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ30に当接している。2次転写対向ローラ19は、ステンレス鋼等からなる円筒状の芯金の外周面に、体積抵抗が10
7~10
8Ω程度で、硬度(JIS-A硬度)が48~58度程度のNBRゴムからなる弾性層83(層厚は5mm程度である。)が形成されたものである。
【0034】
また、本実施の形態において、2次転写対向ローラ19は、電源部95(バイアス出力手段)に電気的に接続されていて、その電源部95から高圧電圧となる2次転写バイアスが印加される。この2次転写対向ローラ19に印加される2次転写バイアスは、2次転写ニップに搬送されるシートPに、中間転写ベルト8の表面に1次転写されたトナー像を2次転写するためのものであって、トナーの極性と同じ極性(本実施の形態ではマイナス極性である。)の2次転写バイアス(直流電圧)である。これにより、中間転写ベルト8のトナー担持面(外周面)に担持されたトナーが、2次転写電界によって2次転写対向ローラ19側から2次転写ローラ30側に向かって静電移動することになる。
【0035】
2次転写ローラ30は、2次転写対向ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟んで2次転写ニップを形成している。2次転写ローラ30は、ステンレス鋼、アルミニウム等からなる中空状の芯金上に、硬度(アスカーC硬度)が40~50度程度の弾性層が形成(被覆)されたものである。2次転写ローラ30の弾性層は、ポリウレタン、EPDM、シリコーン等のゴム材料に、カーボン等の導電性フィラーを分散させたり、イオン性の導電材料を含有させたりして、ソリッド状又は発泡スポンジ状に形成することができる。本実施の形態において、弾性層は、転写電流の集中を抑えるために、その体積抵抗が106.5~107.5Ω程度に設定されている。なお、本実施の形態において、2次転写ローラ30は、接地(アース)されている。
【0036】
以下、
図3~
図6等を用いて、本実施の形態における画像形成装置100に設置された、特徴的な搬送ガイド部材71、72について詳述する。
先に
図1等を用いて説明したように、本実施の形態における画像形成装置100には、所定方向(
図4の矢印方向である。)に搬送されるシートPの表面に転写されたトナー像を定着する定着装置50が設置されている。
本実施の形態における定着装置50は、加熱源としてのヒータ(不図示)が内設された定着ローラ51、定着ローラ51に圧接してシートPが搬送される定着ニップを形成する加圧ローラ52、等で構成されている。定着ローラ51と加圧ローラ52とは、それぞれ、
図4の矢印方向に回転する。
【0037】
ここで、
図4等に示すように、本実施の形態における画像形成装置100には、所定方向(
図4の矢印方向である。)に搬送されるシートPに電荷を付与する電荷付与装置60が、定着装置50に対して搬送方向の下流側(
図4の左側である。)に設置されている。
この電荷付与装置60は、電源65から電圧を印加可能なバイアスローラ61、バイアスローラ61に圧接してシートPが搬送されるニップを形成する対向ローラ62、等で構成されている。バイアスローラ61と対向ローラ62とは、それぞれ、
図4の矢印方向に回転する。
電源65は、制御部90による制御によってバイアスローラ61にマイナス電圧を印加したり印加しなかったり切り替えられるように構成されている。対向ローラ62は、接地されている。
【0038】
そして、
図4に示すように、電荷付与装置60は、シートPのオモテ面に蓄積された電荷の極性(本実施の形態では、マイナス極性である。)と、ウラ面に蓄積された電荷の極性(本実施の形態では、プラス極性である。)と、がそれぞれ逆転されるようにシートPに電荷を付与するものである。
具体的に、本実施の形態では、2次転写ニップをシートPが通過するときに、2次転写対向ローラ19にマイナス極性の2次転写バイアスが印加されるため、マイナス極性のトナーがシートPのオモテ面(上面)に付着して、オモテ面にはマイナス極性の電荷が蓄積されて、ウラ面(下面)にはプラス極性の電荷が蓄積される。そして、このように電荷が蓄積されたシートPに対して、ウラ面に接触するバイアスローラ61にマイナス極性の電圧を印加することで、シートP´のオモテ面(上面)にはプラス極性の電荷が蓄積されて、ウラ面(下面)にはマイナス極性の電荷が蓄積される。
【0039】
そして、電荷付与装置60は、複数枚のシートPが連続的に搬送されるときに、1枚おきにシートPに電荷を付与するように、制御部90によって制御される。
具体的に、
図7(A)を参照して、本実施の形態では、連続通紙時に、1枚目のシートP1に対して電荷付与装置60をオフ(バイアスローラ61への電圧印加をおこなわない状態である。)して、2枚目のシートP2に対して電荷付与装置60をオン(バイアスローラ61への電圧印加をおこなう状態である。)する。以降、3枚目、5枚目、奇数枚目は電荷付与装置60をオフして、4枚目、6枚目、偶数枚目は電荷付与装置60をオンする。
そのため、排出トレイ40(
図1参照)上にスタックされる複数枚のシートP1~P4は、
図7(A)に示すように、上下に重なり合うシートの表面(上面と下面とである。)の電荷が同極性になり、互いに吸着しにくい関係になる。
【0040】
これに対して、上述したような電荷付与装置60による1枚おきのシートPへの電荷付与をおこなわない場合には、排出トレイ40上にスタックされる複数枚のシートP1~P4は、
図7(B)に示すように、上下に重なり合うシートの表面(上面と下面とである。)の電荷が逆極性になり、互いに吸着しやすい関係になる。したがって、排出トレイ40にシートPが順次積載されていくときにシートP同士が吸着してジャムしたりスタック不良が生じたりする不具合や、排出トレイ40上にスタックされた複数枚のシートP(シート束)を把持して捌いて揃えるときに揃え不良が生じる不具合などが発生しやすくなる。特に、このような現象は、シートPとして、帯電性が高くて表面に蓄積される電荷の帯電量が大きくなりやすい樹脂フィルムなどを用いた場合には無視できないものになる。また、上下方向にスタックされるシートPの枚数が多くなるほど無視できないものになる。
本実施の形態では、上下に重なり合うシートP同士が互いに吸着しにくいため、そのような不具合の発生を軽減することができる。
【0041】
ここで、本実施の形態における画像形成装置100は、
図4に示すように、電荷付与装置60に対して搬送方向の下流側(
図4の左側である。)に、搬送ガイド部材71、72(搬送ガイド部70)が設置されている。
なお、2つの搬送ガイド部材71、72は、上下の位置関係が異なり、上下反転されたものである点を除き、ほぼ同じように構成されているため、以下、
図5、
図6等において適宜に一方の搬送ガイド部材71についてのみ説明して他方の搬送ガイド部材72の説明を省略する。
【0042】
詳しくは、搬送ガイド部70は、電荷付与装置60の下流側であって、排出ローラ対41の上流側に、搬送方向に延びるように配置されている。搬送ガイド部70は、その位置を通過するシートPの下面に対向する第1の搬送ガイド部材71(下ガイド板)と、その位置を通過するシートPの上面に対向する第2の搬送ガイド部材72(上ガイド板)と、で構成されている。これらの搬送ガイド部材71、72は、
図4、
図5に示すように、どちらも、所定方向(
図4の矢印方向である。)に搬送されるシートPをガイドする略平板状部材であって、シートPの搬送性を向上させるためのものである。
なお、本実施の形態における搬送ガイド部材71、72には、搬送コロ(不図示)のコロが突出するための開口71cが設けられているが、このような搬送コロの設置を省くこともできる。
また、本実施の形態において、搬送ガイド部材71、72は、接地されている。
【0043】
ここで、本実施の形態における搬送ガイド部材71、72は、シートPに対向する対向面(
図5(B)の上面である。)の全域にわたって微小な凹凸が形成されている。
このような搬送ガイド部材71、72を設けることで、シートPが接触したとしてもその接触面積を大幅に減ずることができるため、その位置を通過するシートP´(
図4参照)が静電気力により吸着してしまう不具合が生じにくくなる。したがって、シートPが搬送ガイド部材71、72に吸着して詰り(ジャム)が生じてしまう不具合も軽減される。
特に、本実施の形態では、電荷付与装置60によって定着工程後のシートPに積極的に電荷を付与していて、そのままでは、その下流側に位置する搬送ガイド部材71、72にシートPが吸着する不具合が生じやすいため、上述したように搬送ガイド部材71、72の対向面に微小凹凸を形成することが有用になる。
また、シートPとして、帯電性が高くてそのままでは搬送ガイド部材71、72に吸着しやすい樹脂フィルムなどが搬送された場合であっても、搬送ガイド部材71、72の対向面に微小凹凸を形成することで、搬送ガイド部材71、72への吸着を軽減することができる。
【0044】
さらに詳しくは、
図5(B)に示すように、本実施の形態において、搬送ガイド部材71、72は、ベース部材71a(ベース板)の対向面の側に、凹凸が形成されたシート部材71bを貼着したものである。
ベース部材71aとしては、シルバートップなど電気亜鉛メッキ鋼板や、ニッケルメッキ鋼板や、ステンレス鋼板などを用いることができる。そして、そのベース部材71a上に、フッ素樹脂フィルム(フッ素樹脂)など低摩擦材料で形成されたシート部材71b(少なくとも、対向面の凹凸の部分が低摩擦材料で形成されたものである。)を貼着している。
このように、搬送ガイド部材71、72の対向面(凹凸)を低摩擦材料で形成することで、その位置を通過するシートP´が搬送ガイド部材71、72に接触(摺接)しても、その摩擦抵抗が減ぜられるため、シートPの搬送性が低下することはない。
特に、シート部材71bを、カーボンを含有した低摩擦材料で形成することで、シートP´が搬送ガイド部材71、72に接触(摺接)しても、搬送ガイド部材71、72が帯電しにくくなるため、シートPの吸着を防止する効果が経時においても安定的に維持されることになる。
【0045】
ここで、
図6を参照して、搬送ガイド部材71、72(シート部材71b)の対向面に形成された凹凸は、外径が1~1.5mmであって高さ(深さ)が0.05~0.1mmのエンボス71b10が千鳥配列されたものである。
詳しくは、
図6(A)、(B)に示すように、シート部材71bは、複数のエンボス71b10(本実施の形態では、略半球状に形成された凸部である。)が千鳥状に配列されたフッ素樹脂層71b1(例えば、PTFEフィルムである。)の底面(対向面の反対側の面である。)に、シリコーン系粘着剤などからなる粘着層71b2が形成されたものである。そして、このように形成されたシート部材71bは、粘着層71b2を介して、ベース部材71a(
図5(B)参照)に貼着されている。
本願発明者が、実験をおこなった結果、このように形成されたシート部材71bがベース部材71aに貼着された搬送ガイド部材71、72を用いることで、搬送ガイド部材71、72へのシートPの吸着がほとんど生じなくなることを確認した。
【0046】
<変形例1>
図8に示すように、変形例における搬送ガイド部材71のシート部材71bは、その対向面に形成された凹凸の算術平均粗さが3~5μmになるように設定されている。
詳しくは、変形例におけるシート部材71bは、ガラスクロス(ガラス繊維)にフッ素樹脂(PTFEである。)を含有・焼成させたものであって、フッ素樹脂層71b1内に500~600番手のガラスクロス71b20からなる層が設けられたものである。そして、その表面(対向面)の算術平均粗さは3~5μmになっている。そして、このように形成されたシート部材71bは、粘着層71b2を介して、ベース部材71a(
図5(B)参照)に貼着されている。
本願発明者が、実験をおこなった結果、このように形成されたシート部材71bがベース部材71aに貼着された搬送ガイド部材71、72を用いる場合であっても、搬送ガイド部材71、72へのシートPの吸着がほとんど生じなくなることを確認した。
【0047】
<変形例2>
図9、
図10に示すように、変形例2における搬送ガイド部材71は、シートPに対向する対向面に凹凸が形成された金属板71dが用いられている。
詳しくは、変形例2における搬送ガイド部材71は、
図5、
図6等を用いて説明したもののようにベース部材71a上に凹凸を有する樹脂製のシート部材71bが積層されたものではなく、複数の山部71d1(微小な凹凸)
が形成された単層構造の金属板71d(金属部材)が、シートPに対向するように設けられている。換言すると、搬送ガイド部材71は、シートPに対向する対向面に、金属材料からなる山型の凹凸が形成されていることになる。
さらに具体的に、変形例2では、金属板71dの材料として、ステンレス鋼、特に「ランナーステンレス」(高砂鐵工株式会社製)を用いている。金属板71dの対向面には、楕円形状の複数の山部71d1が千鳥配列されるように凹凸加工が施されている。1つの山部71d1は、短手方向長さNが4~4.5mm、長手方向長さMが8.5~9.5mmになるように形成されている。また、隣接する山部71d1と山部71d1とは、短手方向のピッチD1が6~6.2mm、長手方向のピッチD2が13.5~14.5mmになるように配列されている。また、金属板71dは、板厚が1mmの平板に凹凸加工を施して、総厚みtが1.35±0.05mmになるように形成されている。また、金属板71dは、楕円形状の山部71d1の長手方向(
図10(B)の上下方向である。)が、シートPの搬送方向に一致するように配置されている。
なお、図示は省略するが、変形例2において、搬送ガイド板71の金属板71dに、搬送コロが突出するための開口71c(
図5(A)参照)を設けることもできる。
また、変形例2において、複数の山部71d1が形成された金属板71dを保持する保持部材(例えば、亜鉛メッキ鋼板からなるステーである。)や、シートジャム時に金属板71dを開閉するための取っ手を、ブラインドリベットなどを用いて金属板71dに締結することもできる。その場合、締結される双方の部品には単純な下穴加工のみが施されることになる。特に、金属板71dは、搬送面からブラインドリベットの頭部が突出しないように、絞り加工が施されることになる。また、金属板71dに他の部材を締結するために、金属板71dに曲げ加工を施すこともできる。
このように、変形例2における搬送ガイド部材71は、シートPに対向する対向面に凹凸が形成された金属板71dを用いているため、金属板71d上をシートPが繰り返し摺接しても、シートPのエッジのバリなどによって表面が摩耗したり剥がれたりする不具合が生じにくくなる。そのため、搬送ガイド部材71の搬送面の摩耗や剥がれによる、搬送面へのシートPの吸着も生じにくくなる。すなわち、変形例2では、シートPが静電気力により搬送ガイド部材71、72に吸着する不具合が、経時においても安定的に軽減されることになる。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態における搬送ガイド部材71、72は、所定方向に搬送されるシートPをガイドする搬送ガイド部材であって、シートPに対向する対向面の全域にわたって微小な凹凸が形成されている。
これにより、シートPが静電気力により搬送ガイド部材71、72に吸着する不具合を軽減することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、2次転写対向ローラ19に2次転写バイアスを印加するように電源部95が構成された、斥力転写方式の画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、2次転写ローラ30に2次転写バイアスを印加するように電源部が構成された、引力転写方式の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。その場合、2次転写バイアスは、斥力転写方式のものに対して逆の極性になる。また、斥力転写方式と引力転写方式とが併用された画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、転写回転体として2次転写ローラ30を用いた画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、転写回転体として2次転写ベルトを用いた画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、像担持体としての中間転写ベルト8(中間転写体)と、転写回転体としての2次転写ローラ30と、を用いた画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写体を備えず、トナーを現像する現像装置と、現像装置によって現像されたトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム(感光体)と、感光体ドラムに当接して転写ニップを形成して、転写ニップに搬送されるシートに対して感光体ドラム上のトナー像を転写するための転写部材と、を備えた装置、いわゆる直接転写方式の画像形成装置に対しても、本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、カラー画像を形成する画像形成装置100に対して、本発明を適用した。これに対して、モノクロ画像のみを形成する画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、搬送ガイド部70における上下の2つの搬送ガイド部材71、72に対して本発明を適用したが、一方の搬送ガイド部材71に対してのみ本発明を適用することもできるし、他方の搬送ガイド部材72に対してのみ本発明を適用することもできる。
また、本実施の形態では、電荷付与装置60の下流側に配置された搬送ガイド部材71、72に対して本発明を適用したが、本発明が適用される搬送ガイド部材は、これに限定されることなく、静電気によるシートPの吸着が生じ得るすべての搬送ガイド部材に対して本発明を適用することができる。
そして、それらのような場合であっても、本実施の形態のものと同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【0052】
なお、本発明における態様は、例えば、以下の通り付記1~10の組み合わせとすることもできる。
(付記1)
所定方向に搬送されるシートをガイドする搬送ガイド部材であって、
シートに対向する対向面の全域にわたって微小な凹凸が形成されたことを特徴とする搬送ガイド部材。
(付記2)
前記凹凸は、外径が1~1.5mmであって高さが0.05~0.1mmのエンボスが千鳥配列されたものであることを特徴とする付記1に記載の搬送ガイド部材。
(付記3)
前記凹凸は、算術平均粗さが3~5μmであることを特徴とする付記1に記載の搬送ガイド部材。
(付記4)
前記凹凸は、低摩擦材料で形成されたことを特徴とする付記1~付記3のいずれかに記載の搬送ガイド部材。
(付記5)
前記低摩擦材料は、カーボンを含有したものであることを特徴とする付記4に記載の搬送ガイド部材。
(付記6)
ベース部材の前記対向面の側に、前記凹凸が形成されたシート部材を貼着したものであることを特徴とする付記1~付記5のいずれかに記載の搬送ガイド部材。
(付記7)
前記対向面に前記凹凸が形成された金属板を備えたことを特徴とする付記1~付記6のいずれかに記載の搬送ガイド部材。
(付記8)
付記1~付記7のいずれかに記載の搬送ガイド部材を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(付記9)
前記所定方向に搬送されるシートの表面に転写されたトナー像を定着する定着装置と、
前記定着装置に対して前記搬送方向の下流側に設置されて、前記所定方向に搬送されるシートに電荷を付与する電荷付与装置と、
を備え、
前記搬送ガイド部材は、前記電荷付与装置に対して前記搬送方向の下流側に設置されたことを特徴とする付記8に記載の画像形成装置。
(付記10)
前記電荷付与装置は、
前記シートのオモテ面に蓄積された電荷の極性とウラ面に蓄積された電荷の極性とがそれぞれ逆転されるように前記シートに電荷を付与して、
複数枚の前記シートが連続的に搬送されるときに、1枚おきに前記シートに電荷を付与することを特徴とする付記8又は付記9に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0053】
19 2次転写対向ローラ(転写部材、2次転写部材)、
30 2次転写ローラ、
50 定着装置、
60 電荷付与装置、
61 バイアスローラ、
62 対向ローラ、
70 搬送ガイド部、
71、72 搬送ガイド部材、
71a ベース部材、
71b シート部材、
71b1 フッ素樹脂層、 71b2 粘着層、
71b10 エンボス(凸部)、
71b20 ガラスクロス、
100 画像形成装置(画像形成装置本体)、
P、P´、P1~P4 シート(記録媒体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2014-78048号公報
【特許文献2】特開2016-210575号公報