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特開2023-159931ポリアルキレンオキシド組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023159931
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ポリアルキレンオキシド組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/10 20060101AFI20231026BHJP
   C08G 65/30 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
C08G65/10
C08G65/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069865
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】乾 章朗
(72)【発明者】
【氏名】井上 善彰
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏秀
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005AA12
4J005BB01
4J005BB02
4J005BC00
(57)【要約】
【課題】 揮発アルデヒドと臭気が少なく、分子量が高く、不飽和度が低く、分子量分布が狭く、透明性を有して、アルミニウムを含有することで、ポリウレタン形成性組成物とした際に高密度化できる、ポリアルキレンオキシド組成物、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 特定の構造を有する2価のホスファゼニウム塩、アルミニウム、およびポリアルキレンオキシドを含む、ポリアルキレンオキシド組成物とその製造方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)または(2)で示される2価のホスファゼニウム塩、アルミニウムを1ppm~100ppm、及びポリアルキレンオキシドを含むポリアルキレンオキシド組成物。
【化1】
(式(1)中、RおよびRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造、R同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。また、Aは、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。)
【化2】
(式(2)中、RおよびRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造を形成してもよい。また、An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表し、n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。)
【請求項2】
JIS K-1557記載の方法により算出したポリアルキレンオキシドの水酸基価と、
その官能基数とから算出したポリアルキレンオキシドの分子量が、1000~50000g/molの範囲である、請求項1に記載のポリアルキレンオキシド組成物。
【請求項3】
およびRが、メチル基であり、AおよびAn-が、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)または分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)の脱プロトン化体である、請求項1に記載のポリアルキレンオキシド組成物。
【請求項4】
以下の(A)~(C)工程を含む、請求項1~3のいずれかにポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
(A)工程;ホスファゼン化合物、アルミニウム化合物及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ポリアルキレンオキシド(I)を製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)に、珪藻土、セライト、乾式シリカ、湿式シリカ及びシリカゲルからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ及び水を添加して、加熱攪拌し、脱水処理後に濾過する工程。
(C)工程;(B)工程により得られたポリアルキレンオキシドのホスファゼン化合物に含まれるホスファゼン化合物1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を添加して系内でホスファゼニウム塩を形成する工程。
【請求項5】
(B)工程における加熱攪拌の温度が50~130℃である、請求項4に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
【請求項6】
(B)工程で使用するシリカが珪藻土である、請求項4に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
【請求項7】
珪藻土の平均粒径が50~300μmである、請求項6に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
【請求項8】
(A)工程で使用するホスファゼン化合物が、下記一般式(3)で示される化合物である、請求項4に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
【化3】
(式(3)中、R及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造、R同士又はR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。Xはハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、炭素数1~5のアルコキシアニオン、炭素数1~5のカルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。aはYが炭素原子のとき2であり、Yがリン原子のとき3である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリアルキレンオキシド組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレンオキシドは、ポリウレタンや界面活性剤の原料として有用であり、工業的規模で製造されている。ホスファゼニウム塩およびポリアルキレンオキシドを含有するポリアルキレンオキシド組成物が知られている。
【0003】
特許文献1は、揮発アルデヒド量が低減され、臭気および濁りの発生が抑制され、かつ、良好な液性(pH)を有した、ウレタン化反応が可能なポリアルキレンオキシド組成物として、特定の構造を有する2価のイミノホスファゼニウム塩を含有したポリアルキレンオキシド組成物とその製造方法について記載されている。
【0004】
特許文献2でも、揮発アルデヒド量が低減され、臭気および濁りの発生が抑制され、かつ、ウレタン化反応性に優れるポリアルキレンオキシド組成物として、特定の構造を有する2価のホスファゼニウム塩を含有したポリアルキレンオキシド組成物とその製造方法について記載されている。
【0005】
特許文献1および2のポリアルキレンオキシド組成物は、ポリアルキレンオキシドの不飽和度が高くなると、ポリウレタン樹脂とした際の架橋密度が低下し、貯蔵弾性率が低下するため、ヒステリシスロス、圧縮永久歪み等の物性が低下するという課題を抱えている。また、ポリアルキレンオキシドの分子量分布が広くなると、ポリウレタン樹脂とする際の成形性が悪化するという課題を抱えている。また、ポリアルキレンオキシド中の低分子量成分が多くなると、ポリウレタン樹脂とした際の架橋密度が低下し、貯蔵弾性率が低下するため、ヒステリシスロス、圧縮永久歪み等の物性が低下するという課題を抱えている。
【0006】
一方、特許文献3では、分子量が高く、不飽和度が低く、分子量分布が狭く、低分子量成分が少ないポリアルキレンオキシドとその製造方法について記載されている。
【0007】
特許文献3のポリアルキレンオキシドおよびポリアルキレンオキシド組成物は、揮発アルデヒド量の低減に関して改善の余地があることがわかった。室内や車内などの生活空間において発生するアルデヒド類は、低減することが強く求められている。ポリアルキレンオキシドおよびポリアルキレンオキシド組成物はウレタンなどの原料として有用であり、その用途には室内や車内で用いられる製品が含まれるため、臭気および濁りの発生の抑制が望まれている。
【0008】
また、ポリウレタン形成性組成物(自動車シート、クッション用途)を高密度化することで、ポリウレタン形成性組成物の動的耐久性(繰り返し圧縮)が、向上することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019- 157098号公報
【特許文献2】特開2019- 167480号公報
【特許文献3】特許6631079号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、揮発アルデヒドと臭気が少なく、分子量が高く、不飽和度が低く、分子量分布が狭く、透明性を有して、アルミニウムを含有することで、ポリウレタン形成性組成物とした際に高密度化できる、ポリアルキレンオキシド組成物とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各態様は、以下に示す[1]~[8]である。
[1]下記式(1)または(2)で示される2価のホスファゼニウム塩、アルミニウムを1ppm~100ppm、及びポリアルキレンオキシドを含むポリアルキレンオキシド組成物。
【0012】
【化1】
【0013】
(式(1)中、RおよびRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造、R同士もしくはR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。また、Aは、有機スルホン酸の脱プロトン化体を表す。)
【0014】
【化2】
【0015】
(式(2)中、RおよびRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造を形成してもよい。また、An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体を表し、n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。)
[2]JIS K-1557記載の方法により算出したポリアルキレンオキシドの水酸基価と、その官能基数とから算出したポリアルキレンオキシドの分子量が、1000~50000g/molの範囲である、上記[1]に記載のポリアルキレンオキシド組成物。
[3]RおよびRが、メチル基であり、AおよびAn-が、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)または分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)の脱プロトン化体である、上記[1]又は[2]に記載のポリアルキレンオキシド組成物。
[4]以下の(A)~(C)工程を含む、上記[1]~[3]のいずれかにポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
【0016】
(A)工程;ホスファゼン化合物、アルミニウム化合物及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ポリアルキレンオキシド(I)を製造する工程。
【0017】
(B)工程;(A)工程により得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)に、珪藻土、セライト、乾式シリカ、湿式シリカ及びシリカゲルからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ及び水を添加して、加熱攪拌し、脱水処理後に濾過する工程。
【0018】
(C)工程;(B)工程により得られたポリアルキレンオキシドのホスファゼン化合物に含まれるホスファゼン化合物1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を添加して系内でホスファゼニウム塩を形成する工程。
[5](B)工程における加熱攪拌の温度が50~130℃である、上記[4]に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
[6](B)工程で使用するシリカが珪藻土である、上記[4]又は[5]に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
[7]珪藻土の平均粒径が50~300μmである、上記[6]に記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
[8](A)工程で使用するホスファゼン化合物が、下記一般式(3)で示される化合物である、上記[4]~[7]のいずれかに記載のポリアルキレンオキシド組成物の製造方法。
【0019】
【化3】
【0020】
(式(3)中、R及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造、R同士又はR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。Xはハロゲンアニオン、ヒドロキシアニオン、炭素数1~5のアルコキシアニオン、炭素数1~5のカルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンを表す。aはYが炭素原子のとき2であり、Yがリン原子のとき3である。)
【発明の効果】
【0021】
本発明は、揮発アルデヒドと臭気が少なく、分子量が高く、不飽和度が低く、分子量分布が狭く、透明性を有して、アルミニウムを含有することで、ポリウレタン形成性組成物とした際に高密度化できる、ポリアルキレンオキシド組成物とその製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に関して詳細に説明する。
<ポリアルキレンオキシド組成物>
一態様にかかるポリアルキレンオキシド組成物は、上記式(1)または(2)で示される2価のホスファゼニウム塩と、ポリアルキレンオキシドと、アルミニウムを含む。
<ポリアルキレンオキシド>
ポリアルキレンオキシドは、ホスファゼン化合物及びアルミニウム化合物を含むアルキレンオキシド重合触媒存在下、活性水素含有化合物を開始剤とし、アルキレンオキシドの開環重合を行うことにより得られる。例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(1,2-ブチレンオキシド)、ポリ(2,3-ブチレンオキシド)、ポリイソブチレンオキシド、ポリブタジエンオキシド、ポリペンテンオキシド、ポリシクロヘキセンオキシド、ポリスチレンオキシド等が挙げられる。また、これらを共重合成分とするブロック共重合体およびランダム共重合体を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシドブロック共重合体であることが好ましい。これらのポリアルキレンオキシドは、下記i)からiv)を全て満たしたものであることが好ましい。
i)不飽和度が0.020meq/g以下
ii)Mw/Mnが1.10以下
iii)Mh/fが1,000以上
iv)Mh/3以下の分子量の面積比率が2.0%以下
(ただし、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミテーションクロマトグラフィー測定から求めた数平均分子量をMn、重量平均分子量をMw、最も高いピークの分子量をMh、ポリアルキレンオキシドの官能基数をfとする。)
これらの要件を満たすと、ポリウレタン形成性組成物とした際に、ヒステリシスロス、圧縮永久歪み、柔軟性等の物性を維持でき、成形性も維持できることから好ましい。
【0023】
ポリアルキレンオキシドは、JIS K-1557記載の方法により算出した
ポリアルキレンオキシドの水酸基価と、その官能基数とから算出した分子量として、1000~50000g/molであるものが好ましく、3000~30000g/molであるものであることが特に好ましい。
<アルミニウム>
ポリアルキレンオキシド組成物に含まれるアルミニウムは、ポリアルキレンオキシド組成物の透明性を維持できる、ポリアルキレンオキシドへの溶解性を有していること、または粒子サイズと分散性を有しているアルミニウム化合物であれば特に制限はない。例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニルモノイソブチルアルミニウム、モノフェニルジイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリポリアルキレンオキシアルミニウム等のアルコキシアルミニウム、のような有機アルミニウム;メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチル-イソブチルアルミノキサン等のアルミノキサン;塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機アルミニウムを挙げることができる。
【0024】
ポリアルキレンオキシド組成物のアルミニウム濃度は、1ppm~100ppm、好ましくは1ppm~50ppm以下、さらに好ましくは1ppm~20ppmである。アルミニウム濃度が100ppmより多いとポリアルキレンオキシド組成物が白濁し、これを用いて作製したポリウレタン形成性組成物にも濁りが見られた。アルミニウム濃度が1ppmより低いと、ポリウレタン形成性組成物の高密度化に十分な効果が得られなかった。
<2価のホスファゼニウム塩>
2価のホスファゼニウム塩としては、上記式(1)または(2)で示されるホスファゼニウム塩の範疇に属するものであれば如何なるものであってもよい。
【0025】
式(1)中、R及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造、R同士又はR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。
【0026】
炭素数1~20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、n-プ
ロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基
、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基
、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オ
クチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデ
シル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等が挙げられる。
【0027】
とRとが互いに結合した環構造としては、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリ
ジニル基、インドリル基、イソインドリル基等が挙げられる。
【0028】
同士もしくはR同士が互いに結合した環構造としては、例えば、2つのRもしく2つのRが、各々独立に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基から選ばれる1つの基となって、一方のアルキレン基と、他方のアルキレン基と、が互いに結合した環構造が挙げられる。
【0029】
これらの中で、原料であるグアニジン類の入手が容易という点から、RおよびRとしては、各々独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。RおよびRが、メチル基であることが特に好ましい。
【0030】
式(1)におけるカチオン種の具体例としては、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3-テトラエチルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,33-テトラ(n-プロピル)グアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3-テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-ブチル)グアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3-テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,1,3,3-テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス(1,3-ジエチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオンが挙げられる。これらの中でも、原料であるグアニジン類の入手が容易という点から、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオンが好ましい。
【0031】
式(1)中、Aは、有機スルホン酸の脱プロトン化体である。有機スルホン酸の代わりに、塩酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、アジピン酸、安息香酸、シュウ酸などの有機カルボン酸;を用いた場合、イミノホスファゼニウム塩がポリアルキレンオキシド中から析出し、ポリアルキレンオキシド組成物が濁ったり、酸由来の臭気が発生したりするため、好ましくない。
【0032】
有機スルホン酸としては、一般的に有機スルホン酸として知られている範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、高級アルコール硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられる。具体例としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)、直鎖アルキルナフタリンスルホン酸、分岐鎖アルキルナフタリンスルホン酸、β-ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、p-アニリンスルホン酸、o-アニリンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、工業的に入手が容易という点から、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)が好ましい。
【0033】
式(2)中、R及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表し、RとRが互いに結合した環構造、R同士又はR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。
【0034】
炭素数1~20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、ビニル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等が挙げられる。
【0035】
とRとが互いに結合した環構造としては、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、インドリル基、イソインドリル基等が挙げられる。
【0036】
これらの中で、原料の入手が容易という点から、RおよびRとしては、各々独立して、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。RおよびRが、メチル基であることが特に好ましい。
【0037】
式(2)におけるカチオン種の具体例としては、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジエチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジn-プロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジn-ブチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジフェニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジベンジルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジピロリジニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオン、テトラキス[トリス(ジピロリルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオンが挙げられる。これらの中でもテトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウム(ヒドロ)ジカチオンが好ましい。
【0038】
式(2)中、An-は、有機スルホン酸または有機ジスルホン酸の脱プロトン化体である。有機スルホン酸の代わりに、塩酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、アジピン酸、安息香酸、シュウ酸などの有機カルボン酸;を用いた場合、ホスファゼニウム塩がポリアルキレンオキシド中から析出し、ポリアルキレンオキシド組成物が濁ったり、酸由来の臭気が発生したりするため、好ましくない。
【0039】
有機スルホン酸、有機ジスルホン酸としては、一般的に有機スルホン酸、有機ジスルホン酸として知られている範疇に属するものであれば如何なるものであってもよい。
【0040】
有機スルホン酸としては、例えば、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、高級アルコール硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられる。
【0041】
有機ジスルホン酸としては、例えば、アルカンジスルホン酸、α-オレフィンジスルホン酸、高級アルコール二硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル二硫酸等が挙げられる。
【0042】
有機スルホン酸、有機ジスルホン酸の具体例としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、直鎖アルキルナフタリンスルホン酸、分岐鎖アルキルナフタリンスルホン酸、β-ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、p-アニリンスルホン酸、o-アニリンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、工業的に入手が容易という点から、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)が好ましい。
【0043】
なお、式(2)中、n及びmは、いずれか一方が1であり、他方が2である。すなわち、nが1のときmは2であり、nが2のときmは1である。
【0044】
ポリアルキレンオキシド組成物において、2価のホスファゼニウム塩の含有量は、特に制限はないが、臭気および濁りが抑制され、揮発アルデヒド量が少ないポリアルキレンオキシド組成物となることから、50ppm以上10000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以上5000ppm以下であり、さらに好ましくは200ppm以上3000ppm以下である。
【0045】
ポリアルキレンオキシド組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、6-tert-ブチル-2,4-メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオネート](例えば、BASF製Irganox1010)、3,5-ビス-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸オクタデシルエステル(例えば、BASF製Irganox1076)、3,5-ビス-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸イソオクチルエステル(例えば、BASF製Irganox1135)等のフェノール系酸化防止剤;n-ブチル-p-アミノフェノール、4,4-ジメチルジアミン、4,4-ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤;が挙げられる。これらの酸化防止剤は単一で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0046】
ポリアルキレンオキシド組成物は、臭気の発生が抑制されている。該ポリアルキレンオキシド組成物は、20mlのサンプル管に10gのポリアルキレンオキシド組成物を入れ、封をした状態で12時間静置後、開封した際の臭気が無いか、ほとんど無いものである。
【0047】
ポリアルキレンオキシド組成物は、濁りの発生が抑制されている。該ポリアルキレンオキシド組成物は、20mlのサンプル管に10gのポリアルキレンオキシド組成物を入れ、目視観察した際、濁りが無いか、ほとんど無いものである。
【0048】
ポリアルキレンオキシド組成物は、揮発アルデヒドが少ない。本発明にかかるにおけるその指標としては、一定条件加熱下(65℃、2時間)、窒素バブリング(流速:0.5L/min)により揮発するアセトアルデヒド量が、0.9ppm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8ppm以下である。また、上記条件より揮発するプロピオンアルデヒド量が、3.0ppm以下であることが好ましく、より好ましくは2.5ppm以下である。
<ポリアルキレンオキシド組成物の製造方法>
本発明の一態様であるポリアルキレンオキシド組成物の製造方法は、下記の(A)~(C)工程を含む。
【0049】
(A)工程;ホスファゼン化合物、アルミニウム化合物及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ポリアルキレンオキシド(I)を製造する工程。
【0050】
(B)工程;(A)工程により得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)に、珪藻土、セライト、乾式シリカ、湿式シリカ及びシリカゲルからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカ及び水を添加して、加熱攪拌し、脱水処理後に濾過する工程。
【0051】
(C)工程;(B)工程により得られたポリアルキレンオキシドに含まれるホスファゼン化合物1モルに対し、2モル以上の有機スルホン酸を添加して系内でホスファゼニウム塩を形成する工程。
【0052】
該(A)工程は、ホスファゼン化合物、アルミニウム化合物及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物にアルキレンオキシドを重合することで、粗ポリアルキレンオキシド(I)を製造する工程である。
【0053】
ホスファゼン化合物としては、例えば、上記一般式(3)で示される構造を挙げることができる。その際のR及びRは、各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を表す。ここで、RとRが互いに結合した環構造、R同士又はR同士が互いに結合した環構造を形成してもよい。
【0054】
炭素数1~20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等を挙げることができる。
【0055】
また、RとRが互いに結合し環構造を形成した場合としては、例えば、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、インドリル基、イソインドリル基等を挙げることができる。
【0056】
同士又はR同士が互いに結合した環構造としては、例えば、一方の置換基がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基となって、他方の置換基と互いに結合した環構造を挙げることができる。
【0057】
そして、これらの中で、R及びRとしては、特に触媒活性に優れるアルキレンオキシド重合触媒となり、原料の入手が容易という点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。
【0058】
また、上記ホスファゼン化合物におけるXは、ヒドロキシアニオン、炭素数1~4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンである。
【0059】
炭素数1~4のアルコキシアニオンとしては、例えば、メトキシアニオン、エトキシアニオン、n-プロポキシアニオン、イソプロポキシアニオン、n-ブトキシアニオン、イソブトキシアニオン、t-ブトキシアニオン等を挙げることができる。
【0060】
炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオンとしては、例えば、アセトキシアニオン、エチルカルボキシアニオン、n-プロピルカルボキシアニオン、イソプロピルカルボキシアニオン、n-ブチルカルボキシアニオン、イソブチルカルボキシアニオン、t-ブチルカルボキシアニオン等を挙げることができる。
【0061】
これらの中で、Xとしては、触媒活性に優れるアルキレンオキシド重合触媒となることから、ヒドロキシアニオン、炭酸水素アニオンが特に好ましい。
【0062】
ホスファゼン化合物としては、具体的には、テトラキス(1,1,3
,3-テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-プロピル)グアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-ブチル)グアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-プロピル)グアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-ブチル)グアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート等のホスファゼン化合物を例示することができる。
【0063】
また、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジエチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジn-プロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジn-ブチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジフェニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジエチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジn-プロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジn-ブチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジフェニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート等のホスファゼニウム塩を例示することができる。
【0064】
また、1-tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス(トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ)-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)を例示することができる。
【0065】
これらの中で、触媒性能に優れるポリアルキレンオキシド製造触媒となることから、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドが特に好ましい。
【0066】
(A)工程で使用するアルミニウム化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニルモノイソブチルアルミニウム、モノフェニルジイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム、メチルアルミノキサン等のアルミノキサン、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機アルミニウムを挙げることができる。
【0067】
(A)工程で使用する活性水素含有化合物としては、分子中に活性水素基を有する化合物であればよく、特に限定されない。例えば、ヒドロキシル化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物、フェノール化合物、チオール化合物等を挙げることができる。より具体的には、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、シュークローズ、グルコース等のヒドロキシ化合物、エチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、ピペリジン、ピペラジン等のアミン化合物、安息香酸、アジピン酸等のカルボン酸化合物、2-ナフトール、ビスフェノール等のフェノール化合物、エタンジチオール、ブタンジチオール等のチオール化合物等を挙げることができる。これらは、用途に応じて適宜選択できる。例えば、硬質フォーム用のポリアルキレンオキシドの合成には、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ、エチレンジアミン等を用いることが好ましく、軟質フォーム用のポリアルキレンオキシドの合成には、グリセリン、トリメチロールプロパン等を用いるのが好ましい。
【0068】
また、活性水素含有化合物として、水酸基を有するポリエーテルポリオールを用いることも可能である。例えば、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールグリセリンエーテル等を挙げることができる。この際に使用するポリエーテルポリオールの分子量に特に制限はなく、その中でも、低粘度で流動性に優れるポリアルキレンオキシドとなることから、分子量200~3000のポリエーテルポリオールであることが望ましい。
【0069】
これら活性水素含有化合物は、単独で用いても良いし、数種類を混合して用いても良い。
【0070】
ホスファゼン化合物と活性水素含有化合物の割合は任意であり、その中でも、より容易に高分子量を有するポリアルキレンオキシドを製造することが可能となることから、該活性水素化合物1モルに対し、ホスファゼン化合物1×10-4~1×10-1モルで用いることが好ましく、特に5×10-3~5×10-2モルの範囲であることが好ましい。
【0071】
また、アルミニウム化合物とホスファゼン化合物の割合は任意であり、ホスファゼン化合物1モルに対し、アルミニウム化合物2モル以上で用いることが好ましく、濾過性改善の観点から特に2~5モルの範囲であることが好ましい。
【0072】
また、ホスファゼン化合物、アルミニウム化合物、活性水素化合物からなる組成物から水を除去するために、1.3kPa以下の減圧下、60℃以上の温度で脱水操作を行うことが好ましい。
【0073】
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド又はシクロヘキセンオキシド等のエポキシ化合物を挙げることができる。これらのうち、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド又はスチレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。また、該アルキレンオキシドは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上のアルキレンオキシドを併用する場合、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が特に好ましい。プロピレンオキシド、エチレンオキシドを併用する場合には、例えば、プロピレンオキシドとエチレンオキシドを同時に添加する方法、プロピレンオキシドの次にエチレンオキシドを添加する方法、又はプロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドと繰り返して添加する方法等をとることができる。このうち、プロピレンオキシドの次にエチレンオキシドを添加する方法が好ましい。
【0074】
そして、アルキレンオキシドの(開環)重合反応の際の反応温度としては任意であり、その中でも特に重合反応の効率に優れることから、40~130℃の範囲であることが好ましい。また、反応圧力についても任意であり、その中でも特に重合反応の効率に優れることから、0.05~1.0MPaであることが好ましく、特に0.1~0.6MPaであることが好ましい。
【0075】
該(A)工程においては、上記したホスファゼン化合物、及びアルミニウム化合物を含有する粗ポリアルキレンオキシド(I)が得られる。
【0076】
(B)工程では、珪藻土、セライト、乾式シリカ、湿式シリカ、及びシリカゲルからなる群から選ばれる少なくとも1種のシリカを、上記した粗ポリアルキレンオキシド(I)に添加する。これらの中でも、アルミニウム化合物の吸着能に優れる珪藻土の使用が好ましい。
【0077】
上記シリカの使用量は、(A)工程により得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して、通常0.1~10重量部であり、アルミニウム化合物の吸着の効率化、かつ上記シリカおよび固体析出したアルミニウム化合物を濾別する際の濾過抵抗の低減が可能となることから、0.1~3重量部であることが好ましく、0.5~1.5重量部であることが特に好ましい。
【0078】
珪藻土を使用する場合、その平均粒径は10~300μmが好ましく、珪藻土を濾別する際の濾過抵抗の低減と入手のしやすさから、50~300μmの平均粒径であることが特に好ましい。
【0079】
珪藻土としては、例えば、(商品名)ラヂオライト#200、#300、#500、#600、#700、#800、#900、#2000、#3000(昭和化学工業社製)等を市販品として入手することができる。
【0080】
また、(B)工程においては、過酸化物、アルデヒド等の発生を抑制するために酸化防止剤を存在させることが好ましい。その際の酸化防止剤の添加量としては、粗ポリアルキレングリコール(I)100重量部に対して0.01~0.2重量部とすることが好ましく、特に0.06~0.1重量部とすることが好ましい。
【0081】
また、その際の酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤等が例示できる。具体的には、フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(以下、BHTと略する)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート(商品名:イルガノックス1076、BASF社製)、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート(商品名:イルガノックス1135、BASF社製)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(商品名:イルガノックス1010、BASF社製)、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、6-tert-ブチル-2,4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジーtert-ブチル-4-エチルフェノール等が挙げられる。また、アミン系酸化防止剤としては、n-ブチル-p-アミノフェノール、4,4-ジメチルジフェニルアミン、4,4-ジオクチルジフェニルアミン、4,4-ビス-α,α’-ジメチルベンジルフェニルアミン等が挙げられる。
【0082】
これらの酸化防止剤は単独で、又は2種類以上併用しても構わない。これらの酸化防止剤の中で、BHT、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナートの使用が好ましい。
【0083】
(B)工程においては、アルミニウム化合物を加水分解するために、粗ポリアルキレンオキシド(I)に水を添加することが好ましい。水の添加は、上記したシリカの添加と同時であっても、前後であってもどちらでもよい。
【0084】
この際の水の添加量は、(A)工程により得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して、水を1~5重量部、特に効率的なアルミニウム化合物の加水分解が可能となることから、2.5~5重量部であることが好ましい。
【0085】
(C)工程では、濾別したポリアルキレンオキシドが含有するホスファゼン化合物を定量する。測定方法は、CPR測定(JIS K-1557記載の方法)を行って事前に作成した検量線から求める、または微量窒素濃度の測定を通じて行う。
【0086】
有機スルホン酸としては、一般的に有機スルホン酸として知られている範疇に属するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、アルカンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、高級アルコール硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられる。具体例としては、例えば、p-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)、直鎖アルキルナフタリンスルホン酸、分岐鎖アルキルナフタリンスルホン酸、β-ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、p-アニリンスルホン酸、o-アニリンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、工業的に入手が容易という点から、ドデシルベンゼンスルホン酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ソフト型)、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ハード型)が好ましい。
【0087】
有機スルホン酸の代わりに、塩酸、過塩素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸などの無機酸;酢酸、アジピン酸、安息香酸、シュウ酸などの有機カルボン酸を用いた場合、ホスファゼニウム塩がポリアルキレンオキシド組成物中から析出し、ポリアルキレンオキシド組成物が濁ったり、酸由来の臭気が発生したりするため、好ましくない。
【0088】
有機スルホン酸の添加量は、上記式(3)で示されるホスファゼン化合物1モルに対して2モル以上であり、2モル以上10モル以下であることが好ましく、より好ましくは2.1モル以上8モル以下であり、さらに好ましくは2.2モル以上5.0モル以下である。2モルより少ないと、未反応の1価のホスファゼン化合物塩が残存し、ポリアルキレンオキシド組成物に臭気が発生するため、好ましくない。一方、10モルより多いと、ポリアルキレンオキシド組成物のウレタン化反応に影響が出るため、好ましくない。
【0089】
ポリアルキレンオキシド組成物の製造方法により得られるポリアルキレンオキシド組成物は、ポリウレタン原料、ポリエステル原料、界面活性剤原料、潤滑剤原料等に有用である。特に各種イソシアネート化合物と反応させることにより、断熱材等に使用される硬質フォームや、自動車のシート・クッション、寝具等に使用される軟質フォーム、接着剤、塗料、シーリング材、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーへの展開が期待される。
【実施例0090】
以下に実施例を示し、態様を明らかにするが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。なお、評価項目は以下に示す方法により評価した。
【0091】
~シリカの平均粒径の測定~
粒度分布測定装置(日機装社製、商品名:マイクロトラックMT3000)を用いてジイソプロピルエーテルを分散剤として、体積基準で表される粒径分布の累積カーブが中央値(メディアン径;累積カーブの50%に対応する粒径)である粒子と同じ体積の球の直径を平均粒径とした。
【0092】
~ポリアルキレンオキシドのCPRの測定~
JIS K-1557記載の方法により、ポリアルキレンオキシドのCPRを求めた。
【0093】
~ポリアルキレンオキシド中のホスファゼン化合物の濃度(重量%)~
CPR値とホスファゼン化合物の濃度に関する検量線から、ホスファゼン化合物の濃度を算出した。
【0094】
~ポリアルキレンオキシドのアルミニウム濃度の測定~
ポリアルキレンオキシドを、灰化した後、酸溶液に溶融してICP-AES(パーキンエルマー製、(商品名)Optima8300)を用いて測定した。事前に作成した検量線を使用して、ピーク強度から濃度を算出した。
【0095】
~濾過速度の測定~
孔径25μmの濾紙を敷いた濾過器を100℃に加熱し、シリカを含有する脱水後の粗ポリアルキレンオキシドを投入し、窒素圧0.3MPaを加圧して1分間で単位面積あたりに濾出するポリアルキレンオキシドの重量を測定した。
【0096】
~ポリアルキレンオキシドの分子量(単位:g/mol)~
ゲル・パーミェション・クロマトグラフ(GPC)(東ソー社製、HLC8020)を
用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃で測定を行い、標準物質としてポリスチレンを用い、ポリアルキレンオキシドの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、最も高いピークの分子量(Mh)を算出した。
【0097】
また、JIS K-1557記載の方法により、ポリアルキレンオキシドの水酸基価d(単位:mgKOH/g)を測定した。得られるポリアルキレンオキシドの官能基数をeとし、次式によりポリアルキレンオキシドの分子量を算出した。
【0098】
分子量=(56100/d)×e
~ポリアルキレンオキシドの分子量分布(単位:無し)~
上記方法で算出したMn、Mwから、ポリアルキレンオキシドの分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0099】
~ポリアルキレンオキシドの低分子量成分の面積比率(単位:%)~
上記方法で算出したMhを3で除した分子量(Mh/3)以下である低分子量成分の面積比率を算出した。
【0100】
~ポリアルキレンオキシドの不飽和度(単位:meq/g)~
JIS K-1557記載の方法により、ポリアルキレンオキシドの不飽和度を算出した。
【0101】
~ポリアルキレンオキシド組成物の臭気~
20mlのサンプル管に10gのポリアルキレンオキシド組成物を入れ、封をした状態で12時間静置後、開封し臭気の有無を評価した。
【0102】
~ポリアルキレンオキシド組成物からのアルデヒド揮発量(単位:ppm)~
ポリアルキレンオキシド組成物10gをインピンジャー(株式会社末永理化学社製、容量:30ml)に入れ、65℃で2時間加熱しながら、65℃でハイドロカーボントラップ通気済みの窒素ガスを0.5L/minの流速で吹き込んだ。通気後のガスを2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)カートリッジに捕集し、5mlの溶出液を用いて吸着成分を溶出した。溶出液の高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography;HPLC)測定を行い、ポリアルキレンオキシド組成物からのアルデヒド揮発量を測定した。
【0103】
~ポリウレタン形成性組成物の密度~
ポリアルキレンオキシド組成物とイソシアネートのMDIとを混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、樹脂体積と重量から算出した。
【0104】
合成例1(ホスファゼン化合物Aの合成)
攪拌翼を付した2リットルの4つ口フラスコを窒素雰囲気下とし、五塩化リン96g(0.46mol)、脱水トルエン800mlを加え、20℃で攪拌した。攪拌を維持したまま、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン345g(2.99mol)を滴下した後、100℃に昇温し、さらに1,1,3,3-テトラメチルグアニジン107g(0.92mol)を滴下した。得られた白色のスラリー溶液を100℃で14時間攪拌した後、80℃まで冷却し、イオン交換水250mlを加え、30分間攪拌した。攪拌を止めると、スラリーは全て溶解し、2相溶液が得られた。得られた2相溶液の油水分離を行い、水相を回収した。得られた水相にジクロロメタン100mlを加え、油水分離を行い、ジクロロメタン相を回収した。得られたジクロロメタン溶液をイオン交換水100mlで洗浄した。
【0105】
得られたジクロロメタン溶液を、攪拌翼を付した2リットルの四つ口フラスコに移液し、2-プロパノール900gを加えた後、常圧下で温度を80~100℃に昇温し、ジクロロメタンを除去した。得られた2-プロパノール溶液を攪拌しながら内部温度を60℃に放冷した後、85重量%水酸化カリウム31g(0.47mol)を加えて、60℃で2時間反応した。温度を25℃まで冷却し、析出した副生塩を濾過により除去することによって、目的とするホスファゼニウム塩A[上記一般式(3)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Xがヒドロキシアニオン、Yが炭素原子、aが2に相当するホスファゼニウム塩]の2-プロパノール溶液860gを、濃度25重量%、収率92%で得た。
【0106】
合成例2(ホスファゼン化合物Bの合成)
磁気回転子を付した100mlシュレンク管を窒素雰囲気下とし、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリド5.7g(7.4mmol、Aldrich社製)、2-プロパノール16mlを加え、25℃で攪拌し溶解させた。攪拌を維持したまま、85重量%水酸化カリウム0.53g〔8.1mmol、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムクロリドに対して1.1mol当量〕を2-プロパノールに溶解した溶液を加えた。25℃で5時間攪拌後、析出した副生塩を濾過により除去することによって、目的とするホスファゼニウム塩B[上記一般式(3)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Xがヒドロキシアニオン、Yがリン原子、aが3に相当するホスファゼニウム塩]の2-プロパノール溶液32.7gを、濃度17重量%、収率98%で得た。
【0107】
実施例1.
(A工程)
攪拌翼を備えた2リットルのオートクレーブに、合成例1により得られたホスファゼン化合物Aの2-プロパノール溶液(25重量%;テトラキス(テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド)5.4g及び活性水素含有化合物として3官能のポリアルキレングリコール(三洋化成工業製、(商品名)サンニックスGP-1000;水酸基価160mgKOH/g)175g(175mmol)を加え、オートクレーブ内を窒素雰囲気下とし、内温を80℃とし、0.2kPaの減圧下で溶媒及び副生水の除去を行った。次にホスファゼン化合物Aに対して3倍の物質量に相当するトリイソプロポキシアルミニウムを溶解したヘキサン溶液(30重量%)を添加した後、内温を80℃とし、0.2kPaの減圧下でヘキサンの除去を行うことで、ポリアルキレンオキシド製造用活性種の調製を行った。
【0108】
その後、内温を90℃とし、プロピレンオキシド880gを反応圧力0.3MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、内温90℃を維持しながら8時間開環重合反応を行った。次いで、0.2kPaの減圧下で残留プロピレンオキシドの除去を行った後、エチレンオキシド210gを反応圧力0.4MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、内温90℃を維持しながら6時間開環重合反応を行った。そして0.2kPaの減圧下で残留エチレンオキシドの除去を行い、粗ポリアルキレンオキシド(I)1200gを得た。
【0109】
(B工程)
得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0110】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して0.8重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0111】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを1000g回収した。
【0112】
この際、濾過速度は2.3(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0113】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Aの濃度は1100ppmであることが判った。
【0114】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸1.8g(5.45mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アセトアルデヒド揮発量は0.14ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.12ppmであった。
【0115】
また、得られたポリアルキレンオキシドの不飽和度は0.006meq/g、分子量分布は1.06、Mh/fは3,700g/mol、Mh/3以下の低分子量成分の面積比率は0.1%、アルミニウム濃度は1ppmであった。
【0116】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りが無く、密度は1.37g/cmであった。
【0117】
実施例2.
(B工程)
実施例1の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0118】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して0.6重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0119】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを1000g回収した。
【0120】
この際、濾過速度は2.8(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0121】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Aの濃度は1050ppmであることが判った。
【0122】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸1.4g(5.21mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.0mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アセトアルデヒド揮発量は0.14ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.11ppmであった。
【0123】
また、得られたポリアルキレンオキシドの不飽和度は0.006meq/g、分子量分布は1.06、Mh/fは3,700g/mol、Mh/3以下の低分子量成分の面積比率は0.1%、アルミニウム濃度は100ppmであった。
【0124】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りが無く、密度は1.42g/cmであった。
【0125】
実施例3.
(B工程)
実施例1の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0126】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して0.3重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0127】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを1000g回収した。
【0128】
この際、濾過速度は3.3(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0129】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Aの濃度は1050ppmであることが判った。
【0130】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸1.4g(5.21mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.0mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アセトアルデヒド揮発量は0.12ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.10ppmであった。
【0131】
また、得られたポリアルキレンオキシドの不飽和度は0.006meq/g、分子量分布は1.06、Mh/fは3,700g/mol、Mh/3以下の低分子量成分の面積比率は0.1%、アルミニウム濃度は100ppmであった。
【0132】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中
の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5とな
るように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物
を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りが無く、密度は1.45g/cmであった。
【0133】
実施例4.
(A工程)
攪拌翼を付した0.2リットルのオートクレーブを窒素雰囲気下とし、ポリエーテルポリオール(三洋化成工業社製、サンニックスGP1000)18g(活性水素量54mmol)、合成例2で得られたホスファゼン化合物Bの25重量%2-プロパノール溶液0.90g(0.45mmol)を加えた。内温を80℃とし、0.5kPaで減圧処理を行った。その後、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mol/lトルエン溶液1.35ml(1.35mmol)を加え、内温を80℃とし、0.5kPaで減圧処理を行い、アルキレンオキシド重合触媒を得た。
【0134】
得られたアルキレンオキシド重合触媒存在下、オートクレーブの内温を90℃とし、プロピレンオキシド92gを反応圧力0.3MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、反応させた。反応終了後、0.5kPaの減圧下で残留プロピレンオキシドの除去をおこなった。続いて、オートクレーブの内温を110℃とし、エチレンオキシド18gを反応圧力0.25MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、反応させた反応終了後、0.5kPaの減圧下で残留エチレンオキシドの除去をおこない、粗ポリアルキレンオキシド(II)127gを得た。
【0135】
(B工程)
得られた粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0136】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して0.8重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0137】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを120g回収した。
【0138】
この際、濾過速度は2.3(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0139】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Bの濃度は2300ppmであることが判った。
【0140】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.30g(0.91mmol、ホスファゼン化合物B1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物120gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アセトアルデヒド揮発量は0.53ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.11ppmであった。
【0141】
また、得られたポリアルキレンオキシドの不飽和度は0.006meq/g、分子量分布は1.06、Mh/fは3,700g/mol、Mh/3以下の低分子量成分の面積比率は0.1%、アルミニウム濃度は1ppmであった。
【0142】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りが無く、密度は1.35g/cmであった。
【0143】
実施例5.
(B工程)
実施例3の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0144】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して0.3重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0145】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを120g回収した。
【0146】
この際、濾過速度は2.6(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0147】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Bの濃度は2350ppmであることが判った。
【0148】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.24g(0.75mmol、ホスファゼン化合物B1molに対し2.0mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物120gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アセトアルデヒド揮発量は0.42ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.12ppmであった。
【0149】
また、得られたポリアルキレンオキシドの不飽和度は0.006meq/g、分子量分布は1.06、Mh/fは3,700g/mol、Mh/3以下の低分子量成分の面積比率は0.1%、アルミニウム濃度は100ppmであった。
【0150】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りが無く、密度は1.40g/cmであった。
【0151】
実施例6.
(B工程)
実施例3の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0152】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して0.3重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0153】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを120g回収した。
【0154】
この際、濾過速度は3.3(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0155】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Bの濃度は2350ppmであることが判った。
【0156】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.24g(0.75mmol、ホスファゼン化合物B1molに対し2.0mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物120gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アセトアルデヒド揮発量は0.32ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.10ppmであった。
【0157】
また、得られたポリアルキレンオキシドの不飽和度は0.006meq/g、分子量分布は1.06、Mh/fは3,700g/mol、Mh/3以下の低分子量成分の面積比率は0.1%、アルミニウム濃度は100ppmであった。
【0158】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りが無く、密度は1.44g/cmであった。
【0159】
【表1】
【0160】
比較例1.
(B工程)
実施例1の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0161】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して0.05重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0162】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを1000g回収した。
【0163】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Aの濃度は1100ppmであることが判った。
【0164】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸1.8g(5.45mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物のアルミニウム濃度は150ppmを示し、ポリアルキレンオキシド組成物は、白濁を呈していた。
【0165】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、ポリアルキレンオキシド組成物の濁りが原因で、濁りがあるものであった。
【0166】
比較例2.
(B工程)
実施例1の(A工程)で得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0167】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して1.5重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0168】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを1000g回収した。
【0169】
この際、濾過速度は0.5(g/(min.・cm))であり、濾過速度が非常に遅かった。
【0170】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Aの濃度は1100ppmであることが判った。
【0171】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸1.8g(5.45mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アルミニウム濃度は0.5ppmだった。アセトアルデヒド揮発量は0.12ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.10ppmであった。
【0172】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りはなかったが、密度は1.21g/cmに留まった。
【0173】
比較例3.
(C工程)
実施例1の(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドを内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.71g(2.18mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し1.0mol)を加え、1時間撹拌することによって、1価のホスファゼニウム塩(上記式(3)におけるYが炭素原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Xがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、臭気を有した。
【0174】
比較例4.
実施例1の(A工程)で得られた粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して2.5重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、85℃で1時間攪拌した。
【0175】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(I)100重量部に対して1.0重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)および1.0重量部に相当する固体酸(協和化学工業社製、キョーワード700SEN-S)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0176】
その後、減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを1050g回収した。
【0177】
このポリアルキレンオキシドは、2価のホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)およびホスファゼン化合物Aを含有せず、アルミニウム濃度は0.1ppmであった。
【0178】
また、ポリアルキレンオキシド組成物は、濁りは無かったが、臭気を有し、アセトアルデヒド揮発量は0.92ppmと高く、プロピオンアルデヒド揮発量も3.1ppmと高かった。
【0179】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りはなかったが、密度は1.20g/cmであった。
【0180】
比較例5.
実施例1の(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシド(I)1000gのホスファゼン化合物Aの濃度は1100ppmだったことから、内温80℃にて1.0mol/Lの塩酸水溶液5.45mL(5.45mmol、1価のホスファゼン化合物A1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のイミノホスファゼニウム塩(上記式(1)におけるRがメチル基、Rがメチル基、Aが塩素アニオンに相当するイミノホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、白濁を呈していた。
【0181】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、ポリアルキレンオキシド組成物の濁りが原因で、濁りがあるものであった。
【0182】
比較例6.
(B工程)
実施例3の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0183】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して0.05重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0184】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを120g回収した。
【0185】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Bの濃度は2300ppmであることが判った。
【0186】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.30g(0.91mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物120gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物のアルミニウム濃度は160ppmを示し、ポリアルキレンオキシド組成物は、白濁を呈していた。
【0187】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、ポリアルキレンオキシド組成物の濁りが原因で、濁りがあるものであった。
【0188】
比較例7.
(B工程)
実施例3の(A)工程で得られた粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して4.0重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で3時間攪拌した。
【0189】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して1.5重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0190】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを120g回収した。
【0191】
この際、濾過速度は0.2(g/(min.・cm))であり、濾過速度が非常に遅かった。
【0192】
(C工程)
(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドのCPR測定を行い、事前に作成しておいた検量線からホスファゼン化合物Aの濃度は2200ppmであることが判った。
【0193】
内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.28g(0.87mmol、ホスファゼン化合物A1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物120gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、無臭で、濁りが無く、水酸基価は24mgKOH/g、アルミニウム濃度は0.6ppmだった。アセトアルデヒド揮発量は0.12ppm、プロピオンアルデヒド揮発量は0.10ppmであった。
【0194】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りはなかったが、密度は1.20g/cmに留まった。
【0195】
比較例8.
(C工程)
実施例3の(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシドを内温80℃にてドデシルベンゼンスルホン酸0.12g(0.36mmol、ホスファゼン化合物B1molに対し1.0mol)を加え、1時間撹拌することによって、1価のホスファゼニウム塩(上記式(3)におけるYがリン原子、Rがメチル基、Rがメチル基、Xがドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物1000gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、臭気を有した。
【0196】
比較例9.
実施例3の(A工程)で得られた粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して2.5重量部に相当する水、0.075重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、85℃で1時間攪拌した。
【0197】
その後、粗ポリアルキレンオキシド(II)100重量部に対して1.0重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)および1.0重量部に相当する固体酸(協和化学工業社製、キョーワード700SEN-S)を添加し、120℃で3時間攪拌した。
【0198】
その後、減圧をしながら脱水を開始し、最終的に120℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ポリアルキレンオキシドを110g回収した。
【0199】
このポリアルキレンオキシドは、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-がドデシルベンゼンスルホン酸の脱プロトン化体に相当するホスファゼニウム塩)およびホスファゼン化合物Bを含有せず、アルミニウム濃度は0.1ppmであった。
【0200】
また、ポリアルキレンオキシド組成物は、濁りは無かったが、臭気を有し、アセトアルデヒド揮発量は0.95ppmと高く、プロピオンアルデヒド揮発量も3.3ppmと高かった。
【0201】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、NCO基が完全に消費されるまで反応させ、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、濁りはなかったが、密度は1.18g/cmであった。
【0202】
比較例10.
実施例3の(B工程)で濾過したポリアルキレンオキシド(II)120gのホスファゼン化合物Bの濃度は2300ppmだったことから、内温80℃にて1.0mol/Lの塩酸水溶液0.91mL(0.91mmol、1価のホスファゼン化合物B1molに対し2.5mol)を加え、1時間撹拌することによって、2価のホスファゼニウム塩(上記式(2)におけるRがメチル基、Rがメチル基、An-が塩素アニオンに相当するホスファゼニウム塩)を含有するポリアルキレンオキシド組成物120gを得た。得られたポリアルキレンオキシド組成物は、白濁を呈していた。
【0203】
得られたポリアルキレンオキシド組成物とMDIを、ポリアルキレンオキシド組成物中の水酸基(OH)に対するMDI中のイソシアネート基(NCO)のモル比が1.5となるように混合し、ポリウレタン形成性組成物を合成した。得られたポリウレタン形成性組成物は、ポリアルキレンオキシド組成物の濁りが原因で、濁りがあるものであった。
【0204】
【表2】